JP5433926B2 - 硬化性樹脂組成物及び反射防止膜 - Google Patents

硬化性樹脂組成物及び反射防止膜 Download PDF

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本発明は、硬化性樹脂組成物及び反射防止膜に関する。より詳細には、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体とフッ素原子を有する置換基を持つ(メタ)アクリロイル化合物を含み、塗工性に優れ、硬化させたときに、低屈折率で耐擦傷性に優れた硬化物が得られる硬化性樹脂組成物、及びそのような硬化物からなる低屈折率層を含む反射防止膜に関する。
液晶表示パネル、冷陰極線管パネル、プラズマディスプレー等の各種表示パネルにおいて、外光の映りを防止し、画質を向上させるために、低屈折率性、耐擦傷性、塗工性、及び耐久性に優れた硬化物からなる低屈折率層を含む反射防止膜が求められている。
これら表示パネルにおいては、付着した指紋、埃等を除去するため表面をエタノール等を含侵したガーゼで拭くことが多く、耐擦傷性が求められている。
反射防止膜の低屈折率層用材料として、例えば、水酸基含有含フッ素重合体を含むフッ素樹脂系塗料が知られている(例えば、特許文献1〜3)。
しかし、このようなフッ素樹脂系塗料では、塗膜を硬化させるために、水酸基含有含フッ素重合体と、メラミン樹脂等の硬化剤とを、酸触媒下、加熱して架橋させる必要があり、加熱条件によっては、硬化時間が過度に長くなったり、使用できる基材の種類が限定されてしまうという問題があった。
また、得られた塗膜についても、耐候性には優れているものの、耐擦傷性や耐久性に乏しいという問題があった。
そこで、上記の問題点を解決するため、少なくとも1個のイソシアネート基と少なくとも1個の付加重合性不飽和基とを有するイソシアネート基含有不飽和化合物と水酸基含有含フッ素重合体とを、イソシアネート基の数/水酸基の数の比が0.01〜1.0の割合で反応させて得られる不飽和基含有含フッ素ビニル重合体を含む塗料用組成物が提案されている(例えば、特許文献4)。
しかし、上記公報では、不飽和基含有含フッ素ビニル重合体を調製する際に、水酸基含有含フッ素重合体のすべての水酸基を反応させるのに十分な量のイソシアネート基含有不飽和化合物を用いず、積極的に当該重合体中に未反応の水酸基を残存させるものであった。
このため、このような重合体を含む塗料用組成物は、低温、短時間での硬化を可能とするものの、残存した水酸基を反応させるために、メラミン樹脂等の硬化剤をさらに用いて硬化させる必要があった。さらに、上記公報記載の組成物から得られた塗膜は、塗工性、耐擦傷性についても十分とはいえないという課題があった。
また、反射防止膜の耐擦傷性を改善するために、反射防止膜の最外層である低屈折率膜にシリカ粒子を添加する技術が広く用いられている(例えば、特許文献5,6)。
さらに、より低反射率の反射防止膜を提供するために従来よりもさらに低屈折率を有する低屈折率膜用材料が望まれている。そこでアクリル等の樹脂成分よりも空気の屈折率が低いことを利用して、多孔質粒子や中空粒子等の粒子内部に空隙を有する粒子(以下、総称として中空粒子」ということがある。)を用いた技術が知られている(例えば、特許文献7〜9)。
特開昭57−34107号公報 特開昭59−189108号公報 特開昭60−67518号公報 特開昭61−296073号公報 特開2002−265866号公報 特開平10−316860号公報 特開2003−139906号公報 特開2002−317152号公報 特開平10−142402号公報
従って、本発明は、屈折率が低く、耐擦傷性、防汚性に優れる硬化物を与える硬化性樹脂組成物及びその硬化物からなる低屈折率層を有する反射防止膜を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を行い、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体に特定の多官能アクリルモノマーを加えた硬化性樹脂組成物が、低屈折率で優れた耐擦傷性を有する硬化物を与えることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の硬化性樹脂組成物及び反射防止膜が提供される。
1.下記成分(B)、(D)及び(I):
(B)下記一般式(B−1)で表される化合物、
(D)数平均粒径1〜100nmのシリカを主成分とする中空若しくは多孔質の粒子、及び
(I)有機溶剤
を含有する硬化性樹脂組成物。
Figure 0005433926
[式(B−1)中、Rbは水素原子又はメチル基である。]
2.さらに(C)2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(B)を除く化合物を含有する上記1に記載の硬化性樹脂組成物。
3.さらに(H)ポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物を含有する、上記1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
4.下記成分(A)、(B)及び(I):
(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、
(B)下記一般式(B−1)で表される化合物、及び
(I)有機溶剤
を含有する硬化性樹脂組成物。
Figure 0005433926
[式(B−1)中、Rbは水素原子又はメチル基である。]
5.(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体が、少なくとも1個のエチレン性不飽和基及び水酸基と反応可能な基を含有する化合物と、水酸基含有含フッ素重合体とを反応させて得られるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体である上記4に記載の硬化性樹脂組成物。
6.さらに、(C)2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(B)を除く化合物を含有する上記4又は5に記載の硬化性樹脂組成物。
7.さらに、(D)数平均粒径1〜100nmのシリカを主成分とする中空若しくは多孔質の粒子を含有する上記4〜6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
8.さらに、(E)数平均粒径1〜100nmのシリカを主成分とする中実の粒子を含有する上記4〜7のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
9.前記(D)及び/又は(E)のシリカを主成分とする粒子が表面に(メタ)アクリロイル基を有する上記7又は8に記載の硬化性樹脂組成物。
10.さらに、(F)1個の(メタ)アクリロイル基及び炭素数3以上の環状構造を有し、分子量が400以下の化合物を含有する上記4〜9のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
11.さらに、(G)活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物を含有する上記4〜10のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
12.さらに、(H)ポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物を含有する上記4〜11のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
130.さらに、(J)フッ素系界面活性剤を含有する上記4〜12のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
14.反射防止膜用である上記1〜13のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
15.上記1〜13のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
16.上記15に記載の硬化物からなる低屈折率層を有する反射防止膜。
本発明によれば、従来より低い屈折率を有し、かつ優れた耐擦傷性を有する硬化物を与える硬化性樹脂組成物が得られる。
さらに、本発明によれば、上記硬化物からなる低屈折率層を有し、優れた耐擦傷性を有する反射防止膜が得られる。
本発明の硬化性樹脂組成物及び反射防止膜の実施形態について以下説明する。
1.硬化性樹脂組成物
本発明の硬化性樹脂組成物(以下、本発明の組成物ということがある)は、下記の成分(A)〜(K)を含み得る。これらの成分のうち、本発明の組成物の第1の態様においては、(A)、(B)及び(I)は必須成分であり、(C)〜(H)、(J)及び(K)は適宜含むことのできる任意成分である。また、本発明の組成物の第2の態様においては、(B)、(D)及び(I)が必須成分であり、その他は適宜含むことのできる任意成分である。
(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
(B)下記一般式(B−1)で表される化合物
Figure 0005433926
[式(B−1)中、Rbは水素原子又はメチル基である。]
(C)成分(B)以外の2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
(D)数平均粒径1〜100nmのシリカを主成分とする中空若しくは多孔質の粒子
(E)数平均粒径1〜100nmのシリカを主成分とする中実の粒子
(F)1個の(メタ)アクリロイル基と炭素数3以上の環状構造を有する、分子量400以下の化合物
(G)活性エネルギー線の照射により活性主を発生する化合物
(H)ポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物
(I)有機溶剤
(J)フッ素系界面活性剤
(K)その他の添加剤
本発明の組成物において、(B)成分はフッ素を含有しており従来の多官能(メタ)アクリレート化合物と比較して低屈折率であるが、硬化膜とした際の塗膜硬度は従来の多官能(メタ)アクリレート化合物を用いた場合と同等である。そのため低屈折率材料において(A)成分と(B)成分を併用することで(A)成分由来の低屈折率性、防汚性を発現し、また(B)成分に起因する高い架橋密度により優れた耐擦傷性を有する硬化膜(低屈折率膜)が得られる。また、(B)成分単独で用いた場合においても優れた耐擦傷性を有する硬化膜(低屈折率膜)が得られる。
これらの成分について以下説明する。
(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(A)は、フッ素系オレフィンの重合物である。(A)成分により本発明の組成物は低屈折率、防汚性、耐薬品性、耐水性等の反射防止膜用低屈折率材料としての基本性能を発現する。
好ましくは、(A)成分は、側鎖水酸基がイソシアネート基や酸クロリド基、カルボン酸基を有する(メタ)アクリル系化合物で変性されている。このような変性により、ラジカル重合性(メタ)アクリル化合物と共架橋化することができ、耐擦傷性が向上する。
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、少なくとも1個のエチレン性不飽和基及び水酸基と反応可能な基を含有する化合物と水酸基含有含フッ素重合体とを反応させて得られる。
(1)少なくとも1個のエチレン性不飽和基及び水酸基と反応可能な基を含有する化合物
このような化合物としては、分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を含有している化合物であって、フッ素重合体の水酸基と反応しうる官能基を持っていれば特に制限されるものではない。
また、上記エチレン性不飽和基としては、後述する硬化性樹脂組成物をより容易に硬化させることができることから、(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。
このような化合物としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルクロライド、無水(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートの一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
尚、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば昭和電工(株)製 商品名 カレンズMOI、AOI、BEIが挙げられる。
このような化合物は、ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて合成することもできる。
ジイソシアネートの例としては、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネア−ト)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリレートの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
尚、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、大阪有機化学(株)製 商品名 HEA、日本化薬(株)製 商品名 KAYARAD DPHA、PET−30、東亞合成(株)製 商品名 アロニックス M−215、M−233、M−305、M−400等として入手することができる。
(2)水酸基含有含フッ素重合体
水酸基含有含フッ素重合体は、好ましくは、下記構造単位(a)と、(b−1)及び/又は(b−2)と、(c)とを含んでなる。
(a)下記式(1)で表される構造単位。
(b−1)下記式(2−1)で表される構造単位。
(b−2)下記式(2−2)で表される構造単位。
(c)下記式(3)で表される構造単位。
Figure 0005433926
[式(1)中、R1はフッ素原子、フルオロアルキル基又は−OR2で表される基(R2はアルキル基又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
Figure 0005433926
[式(2−1)中、R3は水素原子又はメチル基を、R4はアルキル基、−(CH2)−OR5若しくは−OCOR5で表される基(R5はアルキル基又はグリシジル基を、dは0又は1の数を示す)、カルボキシル基又はアルコキシカルボニル基を示す]
Figure 0005433926
[式中、Rは式(2−1)で定義した通りであり、R24はフルオロアルキル基を示し、xは0〜2の数を示す]
Figure 0005433926
[式(3)中、R6は水素原子又はメチル基を、R7は水素原子又はヒドロキシアルキル基を、vは0又は1の数を示す]
(i)構造単位(a)
上記式(1)において、R1及びR2のフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基等の炭素数1〜6のフルオロアルキル基が挙げられる。また、R2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
構造単位(a)は、含フッ素ビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このような含フッ素ビニル単量体としては、少なくとも1個の重合性不飽和二重結合と、少なくとも1個のフッ素原子とを有する化合物であれば特に制限されるものではない。このような例としてはテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン等のフルオロレフィン類;アルキルパーフルオロビニルエーテル又はアルコキシアルキルパーフルオロビニルエーテル類;パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)、パーフルオロ(イソブチルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類;パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
これらの中でも、ヘキサフルオロプロピレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)又はパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)がより好ましく、これらを組み合わせて用いることがさらに好ましい。
尚、構造単位(a)の含有率は、構造単位(a)と、(b−1)及び/又は(b−2)と、(c)との合計を100モル%としたときに、30〜65モル%である。この理由は、含有率が30モル%未満になると、本発明が意図するところのフッ素含有材料の光学的特徴である、低屈折率の発現が困難となる場合があるためであり、一方、含有率が65モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性、透明性、又は基材への密着性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(a)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)及び/又は(b−2)と、(c)との合計を100モル%としたときに、35〜60モル%とするのがより好ましく、40〜55モル%とするのがさらに好ましい。
(ii)構造単位(b−1)
式(2−1)において、R4又はR5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ラウリル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
構造単位(b−1)は、上述の置換基を有するビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このようなビニル単量体の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルもしくはシクロアルキルビニルエーテル類;エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル等のアリルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
(iii)構造単位(b−2)
また、本発明の共重合体において構造単位(b−1)と共に、又は構造単位(b−1)の代わりに構造単位(b−2)を用いることができる。構造単位(b−2)は、式(2−2)で示されるビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このようなビニル単量体の具体例としては、以下の構造式を有するものが挙げられる。
Figure 0005433926
(式中、Rは水素原子又はメチル基であり、xは0〜2の数を表す。また、上記式中、芳香環の中にFと記した基は、5つの水素の全てがフッ素原子で置換されていることを示す。)
尚、構造単位(b−1)及び/又は(b−2)の含有率は、構造単位(a)と、(b−1)及び/又は(b−2)と、(c)との合計を100モル%としたときに、1〜50モル%である。この理由は、含有率が1モル%未満になると、水酸基含有含フッ素共重合体の有機溶剤への溶解性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が50モル%を超えると、水酸基含有含フッ素共重合体の透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(b−1)及び/又は(b−2)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)及び(b−2)と、(c)との合計を100モル%としたときに、1〜45モル%とすることがより好ましい。また、上記に示した(b−1)及び/又は(b−2)の含有率とは、構造単位(b−1)又は(b−2)が単独で用いられた場合には、構造単位(b−1)又は(b−2)のいずれかの含有率を意味し、構造単位(b−1)と(b−2)を併用した場合には、両者の合計の含有率を意味する。
(iv)構造単位(c)
式(3)において、R7のヒドロキシアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
構造単位(c)は、水酸基含有ビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このような水酸基含有ビニル単量体の例としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類、アリルアルコール等が挙げられる。
また、水酸基含有ビニル単量体としては、上記以外にも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を用いることができる。
尚、構造単位(c)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)及び/又は(b−2)と、(c)との合計を100モル%としたときに、5〜60モル%とすることが好ましい。この理由は、含有率が5モル%未満になると、フッ素重合体の水酸基含有量が低下し、硬化塗膜の十分な硬度が得られない場合があるためであり、一方、含有率が60モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(c)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)及び/又は(b−2)と、(c)との合計を100モル%としたときに、5〜55モル%とするのがより好ましく、10〜50モル%とするのがさらに好ましい。
(iv)構造単位(d)及び構造単位(e)
水酸基含有含フッ素重合体は、さらに下記構造単位(d)を含んで構成することも好ましい。
(d)下記式(4)で表される構造単位。
Figure 0005433926
[式(4)中、R8及びR9は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す]
式(4)において、R8又はR9のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が、ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基等の炭素数1〜4のフルオロアルキル基等が、アリール基としてはフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等がそれぞれ挙げられる。
構造単位(d)は、前記式(4)で表されるポリシロキサンセグメントを有するアゾ基含有ポリシロキサン化合物を用いることにより導入することができる。このようなアゾ基含有ポリシロキサン化合物の例としては、下記式(5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005433926
[式(5)中、R10〜R13は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基又はシアノ基を示し、R14〜R17は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基を示し、p、qは1〜6の数、s、tは0〜6の数、yは1〜200の数、zは1〜20の数を示す。]
式(5)で表される化合物を用いた場合には、構造単位(d)は、構造単位(e)の一部として水酸基含有含フッ素重合体に含まれる。
(e)下記式(6)で表される構造単位。
Figure 0005433926
[式(6)中、R10〜R13、R14〜R17、p、q、s、t及びyは、上記式(5)と同じである。]
式(5),(6)において、R10〜R13のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、R14〜R17のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が挙げられる。
本発明において、上記式(5)で表されるアゾ基含有ポリシロキサン化合物としては、下記式(7)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 0005433926
[式(7)中、y及びzは、上記式(5)と同じである。]
尚、構造単位(d)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)及び/又は(b−2)と、(c)との合計100モル部に対して、0.1〜10モル部とすることが好ましい。この理由は、含有率が0.1モル部未満になると、硬化後の塗膜の表面滑り性が低下し、塗膜の耐擦傷性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が10モル部を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性に劣り、コート材として使用する際に、塗布時にハジキ等が発生し易くなる場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(d)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)及び/又は(b−2)と、(c)との合計100モル部に対して、0.1〜5モル部とするのがより好ましく、0.1〜3モル部とするのがさらに好ましい。同じ理由により、構造単位(e)の含有率は、その中に含まれる構造単位(d)の含有率を上記範囲にするよう決定することが望ましい。
(v)構造単位(f)
水酸基含有含フッ素重合体は、さらに下記構造単位(f)を含んで構成することも好ましい。
(f)下記式(8)で表される構造単位。
Figure 0005433926
[式(8)中、R18は乳化作用を有する基を示す]
式(8)において、R18の乳化作用を有する基としては、疎水性基及び親水性基の双方を有し、かつ、親水性基がポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル構造である基が好ましい。
このような乳化作用を有する基の例としては下記式(9−1)又は(9−2)で表される基が挙げられる。
Figure 0005433926
[式(9−1)中、nは1〜20の数、mは0〜4の数、uは3〜50の数を示す]
Figure 0005433926
[式(9−2)中、n、m及びuは、上記式(9−1)と同様である]
構造単位(f)は、反応性乳化剤を重合成分として用いることにより導入することができる。このような反応性乳化剤としては、下記式(10−1)又は(10−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005433926
[式(10−1)中、n、m及びuは、上記式(9−1)と同様である]
Figure 0005433926
[式(10−2)中、n、m及びuは、上記式(9−1)と同様である]
尚、構造単位(f)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)及び/又は(b−2)と、(c)との合計100モル部に対して、0.1〜5モル部とすることが好ましい。この理由は、含有率が0.1モル部以上になると、水酸基含有含フッ素重合体の溶剤への溶解性が向上し、一方、含有率が5モル部以内であれば、硬化性樹脂組成物の粘着性が過度に増加せず、取り扱いが容易になり、コート材等に用いても耐湿性が低下しないためである。
また、このような理由により、構造単位(f)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)及び/又は(b−2)と、(c)との合計100モル部に対して、0.1〜3モル部とするのがより好ましく、0.2〜3モル部とするのがさらに好ましい。
(vi)分子量
水酸基含有含フッ素重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで、テトラヒドロフランを溶剤として測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であることが好ましい。この理由は、数平均分子量が5,000未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の機械的強度が低下する場合があるためであり、一方、数平均分子量が500,000を超えると、後述する硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、薄膜コーティングが困難となる場合があるためである。
また、このような理由により、水酸基含有含フッ素重合体のポリスチレン換算数平均分子量を10,000〜300,000とするのがより好ましく、10,000〜100,000とするのがさらに好ましい。
(A)成分の添加量については、特に制限されるものではないが、有機溶剤以外の組成物全量に対して通常1〜80重量%である。この理由は、添加量が1重量%未満となると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の屈折率が高くなり、十分な反射防止効果が得られない場合があるためであり、一方、添加量が80重量%を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の耐擦傷性が得られない場合があるためである。
また、このような理由から、(A)成分の添加量を1〜70重量%とするのがより好ましく、1〜60重量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(B)一般式(B−1)で表される化合物
(B)成分は下記一般式(B−1)で表されるフッ素を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物である。(B)成分は、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物及びそれを用いた反射防止膜の反射率低減と耐擦傷性を高めるために用いられる。
Figure 0005433926
[式(B−1)中、Rbは水素原子又はメチル基である。]
上記式(B−1)において、Rbが水素原子である下記式(B−1−1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005433926
式(B−1−1)で表される化合物の市販品としては、共栄社化学株式会社製LINC−3A((B)成分の含有量65重量%、ペンタエリスリトールテトラアクリレートを35重量%含む)が挙げられる。
(B)成分の添加量については、特に制限されるものではないが、有機溶剤以外の組成物全量に対して通常1〜80重量%である。この理由は、添加量が1重量%未満となると、十分な低屈折率と高硬度が得られない場合があるためであり、一方、添加量が80重量%を超えると、反射防止膜としての防汚性が得られない場合があるためである。
また、このような理由から、(B)成分の添加量を5〜70重量%とするのがより好ましく、5〜60重量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(C)成分(B)以外の、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
成分(C)の2個以上の(メタ)アクリレート化合物は、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物及びそれを用いた反射防止膜の耐擦傷性を高めるために用いられる。
この化合物については、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であれば特に制限されるものではない。(メタ)アクリロイル基を2個以上含有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(以下「EO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド(以下「PO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加物、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート等を例示することができる。これらの多官能(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、例えば、SA1002(以上、三菱化学(株)製)、ビスコート195、ビスコート230、ビスコート260、ビスコート215、ビスコート310、ビスコート214HP、ビスコート295、ビスコート300、ビスコート360、ビスコートGPT、ビスコート400、ビスコート700、ビスコート540、ビスコート3000、ビスコート3700(以上、大阪有機化学工業(株)製)、カヤラッドR−526、HDDA、NPGDA、TPGDA、MANDA、R−551、R−712、R−604、R−684、PET−30、GPO−303、TMPTA、THE−330、DPHA、DPHA−2H、DPHA−2C、DPHA−2I、D−310、D−330、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、T−1420、T−2020、T−2040、TPA−320、TPA−330、RP−1040、RP−2040、R−011、R−300、R−205(以上、日本化薬(株)製)、アロニックスM−210、M−220、M−233、M−240、M−215、M−305、M−309、M−310、M−315、M−325、M−400、M−6200、M−6400(以上、東亞合成(株)製)、ライトアクリレートBP−4EA、BP−4PA、BP−2EA、BP−2PA、DCP−A(以上、共栄社化学(株)製)、ニューフロンティアBPE−4、BR−42M、GX−8345(以上、第一工業製薬(株)製)、ASF−400(以上、新日鐵化学(株)製)、リポキシSP−1506、SP−1507、SP−1509、VR−77、SP−4010、SP−4060(以上、昭和高分子(株)製)、NKエステルA−BPE−4(以上、新中村化学工業(株)製)等を挙げることができる。
尚、本発明の組成物には、これらのうち、分子内に少なくとも3個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物がさらに好ましい。かかる3個以上の化合物としては、上記に例示されたトリ(メタ)アクリレート化合物、テトラ(メタ)アクリレート化合物、ペンタ(メタ)アクリレート化合物、ヘキサ(メタ)アクリレート化合物等の中から選択することができ、これらのうちペンタエリスリトールヒドロキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートが特に好ましい。上記の化合物は、各々1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これら(メタ)アクリレート化合物はフッ素を含んでいてもよい。このような化合物の例として、パーフルオロ―1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタフルオロオクタン―1,6−ジ(メタ)アクリレート、オクタフルオロオクタンジオールと2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートとの付加物等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
(C)成分の添加量については、特に制限されるものではないが、有機溶剤以外の組成物全量に対して通常1〜60重量%である。この理由は、添加量が1重量%未満となると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の耐擦傷性が得られない場合があるためであり、一方、添加量が60重量%を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の屈折率が高くなり、十分な反射防止効果が得られない場合があるためである。
また、このような理由から、(C)成分の添加量を1〜50重量%とするのがより好ましく、1〜40重量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(D)数平均粒径1〜100nmのシリカを主成分とする中空若しくは多孔質の粒子
本発明の組成物には、数平均粒径1〜100nmのシリカを主成分とする中空若しくは多孔質の粒子(D)を配合することができる。粒径は、透過型電子顕微鏡により測定する。粒子(D)を配合することにより、本発明の組成物を硬化させてなる硬化物に低屈折率、耐擦傷性を発現させることができる。(D)粒子としては、公知のものを使用することができ、また、その形状も球状に限らず不定形であってもよい。固形分が5〜40重量%のコロイダルシリカが好ましい。
また、分散媒は、水あるいは有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類等の有機溶剤を挙げることができ、これらの中で、アルコール類及びケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独で、又は2種以上混合して分散媒として使用することができる。
(D)粒子の市販品としては、例えば、触媒化成工業株式会社製 商品名:JX1008SIV、JX1009SIV、JX1010SIV等を挙げることができる。
(D)成分の配合量は、有機溶剤以外の組成物全量に対して通常1〜80重量%配合され、10〜80重量%が好ましく、20〜80重量%がさらに好ましい。尚、粒子の量は、固形分を意味し、粒子が溶剤分散ゾルの形態で用いられるときは、その配合量には溶剤の量を含まない。
(E)数平均粒径1〜100nmのシリカを主成分とする中実粒子
本発明の組成物には、数平均粒径1〜100nmのシリカを主成分とする中実の粒子を配合することができる。粒子の粒径は、透過型電子顕微鏡により測定する。
シリカを主成分とする中実粒子(E)を配合することにより、本発明の組成物を硬化させてなる硬化物の耐擦傷性を持たせることができる。
中実粒子(E)としては、公知のものを使用することができ、また、その形状も球状に限らず、不定形の粒子であってもよい。固形分が5〜40重量%のコロイダルシリカが好ましい。
また、分散媒は、水あるいは有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類等の有機溶剤を挙げることができ、これらの中で、アルコール類及びケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独で、又は2種以上混合して分散媒として使用することができる。
シリカを主成分とする中実粒子の市販品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製 商品名:メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、MEK−ST−S、MEK−ST−L、IPA−ZL、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。
(E)成分の配合量は、有機溶剤以外の組成物全量に対して通常1〜40重量%配合され、1〜30重量%が好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。尚、粒子の量は、固形分を意味し、粒子が溶剤分散ゾルの形態で用いられるときは、その配合量には溶剤の量を含まない。
また、シリカを主成分とする粒子(D)、(E)は、粒子表面に化学修飾等の表面処理を行ったものを使用することができ、例えば分子中に1以上のアルキル基を有する加水分解性ケイ素化合物又はその加水分解物を含有するもの等を反応させることができる。このような加水分解性ケイ素化合物としては、トリメチルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、1,1,1―トリメトキシ−2,2,2−トリメチル−ジシラン、ヘキサメチル−1,3−ジシロキサン、1,1,1―トリメトキシ−3,3,3−トリメチル−1,3−ジシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−ジメチルメトキシシリル−ポリジメチルシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−トリメトキシシリル−ポリジメチルシロキサンヘキサメチル−1,3−ジシラザン等を挙げることができる。また、分子中に1以上の反応性基を有する加水分解性ケイ素化合物を使用することもできる。分子中に1以上の反応性基を有する加水分解性ケイ素化合物は、例えば反応性基としてNH基を有するものとして、尿素プロピルトリメトキシシラン、N―(2−アミノエチル)―3―アミノプロピルトリメトキシシラン等、OH基を有するものとして、ビス(2−ヒドロキシエチル)―3アミノトリプロピルメトキシシラン等、イソシアネート基を有するものとして3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等、チオシアネート基を有するものとして3−チオシアネートプロピルトリメトキシシラン等、エポキシ基を有するものとして(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等、チオール基を有するものとして、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。好ましい化合物として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
重合性不飽和基を含む有機化合物によって、シリカを主成分とする粒子(D),(E)の表面処理をすることもできる。重合性不飽和基を含む有機化合物としては、以下に述べる特定有機化合物を用いることができる。
(2)特定有機化合物
本発明に用いられる特定有機化合物は、分子内に重合性不飽和基含む重合性の化合物である。この化合物は、分子内に、さらに下記式(11)に示す基を含む化合物であること及び分子内にシラノ−ル基を有する化合物又は加水分解によってシラノ−ル基を生成する化合物であることが好ましい。
Figure 0005433926
[式(11)中、XはNH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、YはO又はSを示す。]
(i)重合性不飽和基
特定有機化合物に含まれる重合性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエ−ト基、アクリルアミド基を好適例として挙げることができる。
この重合性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
(ii)式(11)に示す基
特定有機化合物は、分子内に前記式(11)に示す基をさらに含むものであることが好ましい。前記式(11)に示す基[−X−C(=Y)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1とを併用することが好ましい。
前記式(11)に示す基[−X−C(=Y)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
(iii)シラノ−ル基又は加水分解によってシラノ−ル基を生成する基
特定有機化合物は、分子内にシラノール基を有する化合物(以下、「シラノール基含有化合物」ということがある)又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物(以下、「シラノール基生成化合物」ということがある)であることが好ましい。このようなシラノール基生成化合物としては、ケイ素原子上にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等を有する化合物を挙げることができるが、ケイ素原子上にアルコキシ基又はアリールオキシ基を含む化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
シラノール基又はシラノール基生成化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、酸化物粒子と結合する構成単位である。
(iv)好ましい態様
特定有機化合物の好ましい具体例としては、例えば、下記式(12)に示す化合物を挙げることができる。
Figure 0005433926
19、R20は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアリール基であり、aは1、2又は3の数を示す。
19、R20の例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。
[(R19O)a20 3-aSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
21は炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。そのような有機基としては例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。これらのうち好ましい例は、メチレン、プロピレン、シクロヘキシレン、フェニレン等である。
また、R22は2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。例えば、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合、さらには前記式(11)に示す基を含むこともできる。
23は(b+1)価の有機基であり、好ましくは鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Zは活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。例えば、アクリロイル(オキシ)基、メタアクリロイル(オキシ)基、ビニル(オキシ)基、プロペニル(オキシ)基、ブタジエニル(オキシ)基、スチリル(オキシ)基、エチニル(オキシ)基、シンナモイル(オキシ)基、マレエート基、アクリルアミド基、メタアクリルアミド基等を挙げることができる。これらの中でアクリロイル(オキシ)基及びメタアクリロイル(オキシ)基が好ましい。また、bは好ましくは1〜20の正の整数であり、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。
本発明で用いられる特定有機化合物の合成は、例えば、特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。即ち、(イ)メルカプトアルコキシシランと、ポリイソシアネート化合物と、活性水素基含有重合性不飽和化合物との付加反応により行うことができる。また、(ロ)分子中にアルコキシシリル基及びイソシアネート基を有する化合物と、活性水素含有重合性不飽和化合物との直接的反応により行うことができる。さらに、(ハ)分子中に重合性不飽和基及びイソシアネート基を有する化合物と、メルカプトアルコキシシラン又はアミノシランとの付加反応により直接合成することもできる。
前記式(12)に示す化合物を合成するためには、これらの方法のうち(イ)が好適に用いられる。より詳細には、例えば、
(a)法;まずメルカプトアルコキシシランとポリイソシアネート化合物とを反応させることで、分子中にアルコキシシリル基、[−S−C(=O)−NH−]基及びイソシアネート基を含む中間体を形成し、次に中間体中に残存するイソシアネートに対して活性水素含有重合性不飽和化合物を反応させて、この不飽和化合物を[−O−C(=O)−NH−]基を介して結合させる方法、
(b)法;まずポリイソシアネート化合物と活性水素含有重合性不飽和化合物とを反応させることで分子中に重合性不飽和基、[−O−C(=O)−NH−]基、及びイソシアネート基を含む中間体を形成し、これにメルカプトアルコキシシランを反応させてこのメルカプトアルコキシシランを[−S−C(=O)−NH−]基を介して結合させる方法、
等を挙げることができる。さらに両者の中では、マイケル付加反応による重合性不飽和基の減少がない点で(a)法が好ましい。
前記式(12)に示す化合物の合成において、イソシアネ−ト基との反応により[−S−C(=O)−NH−]基を形成することができるアルコキシシランの例としては、アルコキシシリル基とメルカプト基を分子中にそれぞれ1個以上有する化合物を挙げることができる。このようなメルカプトアルコキシシランとしては、例えば、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、メルカプトプロピルトリフェノキシシシラン、メルカプトプロピルトリブトキシシシラン等を挙げることができる。これらの中では、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシランが好ましい。また、アミノ置換アルコキシシランとエポキシ基置換メルカプタンとの付加生成物、エポキシシランとα,ω−ジメルカプト化合物との付加生成物を利用することもできる。
特定有機化合物を合成する際に用いられるポリイソシアネ−ト化合物としては鎖状飽和炭化水素、環状飽和炭化水素、芳香族炭化水素で構成されるポリイソシアネ−ト化合物の中から選ぶことができる。
このようなポリイソシアネ−ト化合物の例としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、1,3−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネ−ト、4,4’−ビフェニレンジイソシアネ−ト、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネア−ト)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネ−ト、4−ジフェニルプロパンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−ト、水添ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネ−ト、2,5(又は6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等を挙げることができる。これらの中で、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネア−ト)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、等が好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
特定有機化合物の合成において、前記ポリイソシアネ−ト化合物と付加反応により[−O−C(=O)−NH−]基を介し結合できる活性水素含有重合性不飽和化合物の例としては、分子内にイソシアネ−ト基との付加反応により[−O−C(=O)−NH−]基を形成できる活性水素原子を1個以上有しかつ重合性不飽和基を1個以上含む化合物を挙げることができる。
これらの活性水素含有重合性不飽和化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブタンジオ−ルモノ(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェ−ト、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルモノ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルモノ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパンジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルエタンジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスルト−ルペンタ(メタ)アクリレ−ト等を挙げることができる。また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレ−ト等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物を用いることができる。これらの化合物の中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリ(メタ)アクリレ−ト等が好ましい。
これらの化合物は1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
(3)シリカを主成とする粒子(以下、粒子ともいう。)の表面処理方法
粒子の表面処理方法としては特に制限はないが、加水分解性ケイ素化合物又は特定有機化合物(以下、表面処理剤ともいう)と粒子とを混合し、加熱、攪拌処理することにより製造することも可能である。尚、表面処理剤が有するシラノール基生成部位と、粒子とを効率よく結合させるため、反応は水の存在下で行われることが好ましい。ただし、表面処理剤がシラノール基を有している場合は水がなくてもよい。従って、粒子及び表面処理剤を少なくとも混合する操作を含む方法により表面処理できる。
粒子と表面処理剤の反応量は、粒子及び特定有機化合物の合計を100重量%として、好ましくは0.01重量%以上であり、さらに好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは1重量%以上である。0.01重量%未満であると、組成物中における粒子の分散性が十分でなく、得られる硬化物の透明性、耐擦傷性が十分でなくなる場合がある。
表面処理時において表面処理剤中のアルコキシシラン化合物の加水分解で消費される水の量は、1分子中のケイ素上のアルコキシ基の少なくとも1個が加水分解される量であればよい。好ましくは加水分解の際に添加、又は存在する水の量は、ケイ素上の全アルコキシ基のモル数に対し3分の1以上であり、さらに好ましくは全アルコキシ基のモル数の2分の1以上3倍未満である。完全に水分の存在しない条件下でアルコキシシラン化合物と粒子とを混合して得られる生成物は、粒子表面にアルコキシシラン化合物が物理吸着した生成物であり、そのような成分から構成される粒子を含有する組成物の硬化物においては、高硬度及び耐擦傷性の発現の効果は低い。
表面処理時においては、表面処理剤を別途加水分解操作に付した後、これと粉体粒子又は粒子の溶剤分散ゾルを混合し、加熱、攪拌操作を行う方法;前記アルコキシシラン化合物の加水分解を粒子の存在下で行う方法;又は、他の成分、例えば、重合開始剤等の存在下、粒子の表面処理を行う方法等を選ぶことができる。この中では、前記アルコキシシラン化合物の加水分解を粒子の存在下で行う方法が好ましい。表面処理時、その温度は、好ましくは0℃以上150℃以下であり、さらに好ましくは20℃以上100℃以下である。また、処理時間は通常5分から24時間の範囲である。
表面処理時において、粉体状の粉体を用いる場合、表面処理剤との反応を円滑にかつ均一に行わせることを目的として、有機溶剤を添加してもよい。そのような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、Y−ブチロラクトン等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
これらの溶剤の添加量は反応を円滑、均一に行わせる目的に合う限り特に制限はない。
粒子として溶剤分散ゾルを用いる場合、溶剤分散ゾルと、表面処理剤とを少なくとも混合することにより製造することができる。ここで、反応初期の均一性を確保し、反応を円滑に進行させる目的で、水と均一に相溶する有機溶剤を添加してもよい。
また、表面処理時において、反応を促進するため、触媒として酸、塩又は塩基を添加してもよい。
酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;メタンスルフォン酸、トルエンスルフォン酸、フタル酸、マロン酸、蟻酸、酢酸、蓚酸等の有機酸;メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸等の不飽和有機酸を、塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩酸塩、テトラブチルアンモニウム塩酸塩等のアンモニウム塩を、また、塩基としては、例えば、アンモニア水、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の1級、2級又は3級脂肪族アミン、ピリジン等の芳香族アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウムヒドロキシド類等を挙げることができる。
これらの中で好ましい例は、酸としては、有機酸、不飽和有機酸、塩基としては3級アミン又は4級アンモニウムヒドロキシド、アンモニア水である。
また、反応を促進するため、脱水剤を添加することも好ましい。
脱水剤としては、ゼオライト、無水シリカ、無水アルミナ等の無機化合物や、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、テトラエトキシメタン、テトラブトキシメタン等の有機化合物を用いることができる。中でも、有機化合物が好ましく、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル等のオルトエステル類がさらに好ましい。
尚、粒子に結合したアルコキシシラン化合物の量は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の重量減少%の恒量値として、空気中で110℃から800℃までの熱重量分析により求めることができる。
尚、シリカを主成分とする粒子(D)、(E)の添加量は、表面処理の有無にかかわらず、前記した範囲内である。
(F)1個の(メタ)アクリロイル基と炭素数3以上の環状構造を有する、分子量400以下の化合物
1個の(メタ)アクリロイル基と炭素数3以上の環状構造を有する、分子量400以下の化合物は、当該硬化性樹脂組成物を硬化して得られる低屈折率硬化物と下地ハードコートとの密着性を向上させ、それを用いた反射防止膜耐擦傷性を高めるために用いられる。(F)成分はハードコート層に一部浸透することで、本発明の組成物からなる低屈折率硬化物とハードコート層とを共架橋化させたり、またハードコート表面を荒らす(浸食する)ことによるアンカー効果をもたらす。
この化合物については、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基と炭素数3以上の環状構造を含有し、かつ分子量が400以下の化合物であれば特に制限されるものではないが、前述の効果を与える化合物の例として下記一般式(C−1)〜(C−5)が挙げられる。
Figure 0005433926
[式(C−1)〜(C−5)中、Xは水素又はメチル基を示し、X及びXはそれぞれ独立して炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状アルキル基を示し、Xはそれぞれ独立して水素、フッ素、フッ素によって置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
具体的には、(メタ)アクリロイルモルホリン、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2,2-ジメチル−1,3−ジオキソラン等が挙げられる。これらの化合物うち(メタ)アクリロイルモルホリン、ベンジル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
これらの化合物の市販品としては、例えばMMDOL30、MEDOL30、MIBDOL30、CHDOL30、MEDOL10、MIBDOL10、MIBDOL10、CHDOL10、ビスコート150、ビスコート160(以上、大阪有機化学工業(株)製)、ACMO(以上、(株)興人製)等を挙げることができる。
(F)成分の添加量は、有機溶剤を除く組成物全量に対して通常0.1〜30重量%である。この理由は、添加量が0.1重量%未満となると、下地ハードコート層への染込み(浸透)が不十分で密着性が向上せず、硬化塗膜の耐擦傷性が得られない場合があるためであり、一方、添加量が30重量%を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の硬度が低下し、硬化塗膜の耐擦傷性が得られない場合があるためである。
また、このような理由から、(F)成分の添加量を0.5〜25重量%とするのがより好ましく、1〜20重量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(G)活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物
活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物とは、光重合開始剤であり、本発明の組成物を紫外線等の活性エネルギー線により硬化させるために用いる成分である。
成分(G)の光重合開始剤の例としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジル、又はBTTBとキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリン、その他の色素増感剤との組み合わせ等を挙げることができる。
これらの光重合開始剤のうち、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン等が好ましく、さらに好ましくは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン等を挙げることができる。
上記光重合開始剤の市販品としては、例えば、イルガキュア369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、2−ベンジル―2−ジメチルアミノ―1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン)が好ましい。
また、(G)成分として下記式(g−1)で示される光重合開始剤は、チバ・スペシャリティーケミカルズ製Irg127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン)単独で用いた場合でも、又は他の重合開始剤と併用した場合でも、0.2J/cm以下の低照射光量で、本発明の組成物を硬化させてなる硬化物に優れた耐擦傷性を発現させることができる。
Figure 0005433926
上記式(g−1)で示される化合物は、α−ヒドロキシケトン基を2個有するため高感度であり、低照射光量でも、本発明の組成物を効果的に硬化させ、得られる硬化物の耐擦傷性を向上させる。
尚、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物(光重合開始剤)を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の光エネルギー線が挙げられる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が速く、しかも照射装置が比較的安価で、小型である点から、紫外線を使用することが好ましい。
(ii)添加量
(G)成分の添加量は、有機溶剤を除く組成物全量に対して通常0.1〜20重量%である。この理由は、添加量が0.1重量%未満となると、硬化不良を起こすためであり、一方、添加量が20重量%を超えると、過剰量の成分により塗膜強度の低下が起こるからである。また、このような理由から、(G)成分の添加量を0.5〜10重量%とするのがより好ましく、0.5〜8重量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(H)ポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物
ポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物は、表面滑り性を改善し、硬化塗膜の耐擦傷性を向上に効果があるとともに、防汚性を付与することができる。かかるポリジメチルシロキサンを有する化合物が好ましく、さらに(メタ)アクリロイル基や水酸基等の反応性基を有することが好ましい。これらの具体事例としては、サイラプレーンFM−4411、FM−4421、FM−4425、FM−7711、FM−7721、FM−7725、FM−0411、FM−0421、FM−0425、FM−DA11、FM−DA21、FM−DA26、FM0711、FM0721、FM−0725、TM−0701、TM−0701T(チッソ(株)製)、UV3500、UV3510、UV3530(ビックケミー・ジャパン(株)製)、BY16−004、SF8428(東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)、VPS−1001(和光純薬製)等が挙げられる。特にサイラプレーンFM−7711、FM−7721、FM−7725、FM−0411、FM−0421、FM−0425、FM0711、FM0721、FM−0725、VPS−1001、TEGO製Rad2600が好ましい。
(ii)添加量
(H)成分の添加量は、有機溶剤を除く組成物全量に対して通常0.01〜20重量%である。この理由は、添加量が0.01重量%未満となると、滑り性改善効果が十分に得られず、一方、添加量が20重量%を超えると、過剰量の成分により塗膜強度の低下や塗工性悪化が起こるからである。
また、このような理由から、(H)成分の添加量を0.1〜15重量%とするのがより好ましく、0.5〜10重量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(I)有機溶剤
本発明の組成物は、有機溶剤を含有する。有機溶剤を含有することにより、薄膜の反射防止膜を均一に形成することができる。このような有機溶剤としては、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、2−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族類、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族類等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。これらの内、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、2−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましく、より好ましくはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、t-ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの一種単独又は二種以上の組み合わせである。
有機溶剤の添加量についても特に制限されるものではないが、固形分100重量部に対し、100〜100,000重量部とするのが好ましい。この理由は、添加量が100重量部未満となると、硬化性樹脂組成物の粘度調整が困難となる場合があるためであり、一方、添加量が100,000重量部を超えると、硬化性樹脂組成物の保存安定性が低下したり、あるいは粘度が低下しすぎて取り扱いが困難となる場合があるためである。
(J)フッ素系界面活性剤
フッ素系界面活性剤(以下、成分(J)という)は、塗膜の表面を改質し、防汚性を向上させる効果があるとともに、塗工性も改善する。成分(J)は、親水性基及び親油性基あるいは何れか一方の基、並びにパーフルオロアルキル基を有することが好ましい。親水性基の例として、ポリエチレンオキシド鎖、カルボキシル基、スルホニル基等の酸性基或いはその塩又はエステル等が挙げられる。これらの具体例としては、メガファックF−114、F410、F411、F450、F493、F494、F443、F444、F445、F446、F470、F471、F472SF、F474、F475、R30、F477、F478、F479、F480SF、F482、F483、F484、F486、F487、F172D、F178K、F178RM、ESM−1、MCF350SF、BL20、R08、R61、R90(大日本インキ化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、成分(J)の化合物は、前記成分(H)のポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物と併用することにより、表面滑り性、防汚性、耐擦傷性をより向上させることができるため、併用することが好ましい。
(J)成分の添加量は、有機溶剤を除く組成物全量に対して通常0.01〜20重量%である。この理由は、添加量が0.01重量%未満となると、滑り性改善効果が十分に得られず、一方、添加量が20重量%を超えると、過剰量の成分により塗膜強度の低下や塗工性悪化が起こるからである。
また、このような理由から、(J)成分の添加量を0.1〜10重量%とするのがより好ましく、0.5〜8重量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(K)添加剤
本発明の組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、シリカ粒子以外の無機粒子、光増感剤、熱重合開始剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、顔料、染料、スリップ剤等の添加剤をさらに含有させることも好ましい。
特に無機粒子は塗膜強度を改善するために有効であり、添加する場合は数平均粒径1〜100nmの範囲であることが好ましく、球形、数珠状、不定形粒子を用いることができ、かつ内部構造に空隙を有する多孔質、中空粒子も用いることができる。用いることができる無機粒子としては、無機酸化物又はフッ化物が好ましく、例えばアルミナ、チタニア、ジルコニア、フッ化マグネシウム等が挙げられる。また、これらの無機粒子の表面は任意の有機基で表面変性されていてもよく、(メタ)アクリル基で変性することにより、硬化性樹脂組成物との相溶性が向上し、かつ硬化時に他の硬化性組成物と共架橋することが可能となり、硬化膜の耐擦傷性を改良することが可能である。
熱重合開始剤は、熱により活性種を発生する化合物であり、活性種としてラジカルを発生する熱ラジカル発生剤等が挙げられる。熱ラジカル発生剤の例としては、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチル−オキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル、アセチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルパーアセテート、クミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等の一種単独又は二種以上の組み合わせを挙げることができる。
次に、本発明の硬化性樹脂組成物の調製方法及び硬化条件を説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記(A)〜(J)、及び状況に応じてさらに(K)成分をそれぞれ添加して、室温又は加熱条件下で混合することにより調製することができる。具体的には、ミキサ、ニーダー、ボールミル、三本ロール等の混合機を用いて、調製することができる。ただし、加熱条件下で混合する場合には、熱重合開始剤の分解開始温度以下で行うことが好ましい。
本発明の組成物の硬化条件についても特に制限されるものではないが、例えば活性エネルギー線を用いた場合、照射光量を0.01〜10J/cm2の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、照射光量が0.01J/cm2未満となると、硬化不良が生じる場合があるためであり、一方、照射光量が10J/cm2を超えると、硬化時間が過度に長くなる場合があるためである。
また、本発明の組成物を、加熱してさらに硬化させることもでき、この場合には、30〜200℃の範囲内の温度で、0.5〜180分間加熱するのが好ましい。このように加熱することにより、基材等を損傷することなく、より効率的に耐擦傷性に優れた反射防止膜を得ることができる。
また、このような理由から、50〜180℃の範囲内の温度で、0.5〜120分間加熱するのがより好ましく、80〜150℃の範囲内の温度で、1〜60分間加熱するのがさらに好ましい。
2.反射防止膜
本発明の反射防止膜は、上記硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物からなる低屈折率層を含む。さらに、本発明の反射防止膜は、低屈折率層の下に、高屈折率層、ハードコート層及び/又は基材等を含むことができる。
図1に、かかる反射防止膜の断面図を示す。図1に示すように、基材2の上に、ハードコート層3、低屈折率層4が積層されている。
このとき、基材2の上に、ハードコート層3の代わりに、直接高屈折率層を形成してもよい。また、ハードコート層3と低屈折率層4との間に高屈折率層5を設けてもよい(図2)。また、ハードコート層3と高屈折率層5との間に、中屈折率層6を設けてもよい(図3)。
(1)低屈折率層
低屈折率層は、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物から構成される。硬化性樹脂組成物の構成等については、上述の通りであるため、ここでの具体的な説明は省略するものとし、以下、低屈折率層の屈折率及び厚さについて説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の屈折率(Na−D線の屈折率、測定温度25℃)、即ち、低屈折率膜の屈折率を1.50以下とすることが好ましい。この理由は、低屈折率膜の屈折率が1.50を超えると反射防止効果が著しく低下する場合があるためである。従って、低屈折率膜の屈折率を1.48以下とするのがより好ましく、1.45以下とするのがさらに好ましい。
尚、低屈折率膜を複数層設ける場合には、そのうちの少なくとも一層が上述した範囲内の屈折率の値を有していればよく、従って、その他の低屈折率膜の屈折率は1.50を超えた値であってもよい。
低屈折率層の厚さについても特に制限されるものではないが、例えば、50〜200nmであることが好ましい。この理由は、低屈折率層の厚さが50nm未満となると、反射防止効果が十分に得られない場合があるためであり、一方、厚さが200nmを超えると、光干渉が生じて反射防止効果が低下する場合があるためである。
従って、低屈折率層の厚さを50〜250nmとするのがより好ましく、70〜150nmとするのがさらに好ましい。
(2)高屈折率層
高屈折率層を形成するための硬化性組成物としては、特に制限されるものでないが、被膜形成成分として、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂、シアネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シロキサン樹脂等の一種単独又は二種以上の組み合わせを含むことが好ましい。これらの樹脂であれば、高屈折率層として、強固な薄膜を形成することができ、結果として、反射防止膜の耐擦傷性を著しく向上させることができるためである。
しかしながら、通常、これらの樹脂単独での屈折率は1.45〜1.62であり、高い反射防止性能を得るには十分ではない場合がある。そのため、高屈折率の無機粒子、例えば金属酸化物粒子を配合することがより好ましい。また、硬化形態としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化を用いることができるが、これらの内、より好適には生産性の良好な紫外線硬化性組成物が用いられる。
高屈折率層の厚さは特に制限されるものではないが、例えば、50〜30,000nmであることが好ましい。この理由は、高屈折率層の厚さが50nm未満となると、低屈折率層と組み合わせた場合に、反射防止効果や基材に対する密着力が低下する場合があるためであり、一方、厚さが30,000nmを超えると、光干渉が生じて逆に反射防止効果が低下する場合があるためである。
従って、高屈折率層の厚さを50〜1,000nmとするのがより好ましく、60〜500nmとするのがさらに好ましい。
また、より高い反射防止性を得るために、高屈折率層を複数層設けて多層構造とする場合には、その複数の高屈折率層の厚さの合計を50〜30,000nmとすればよい。
尚、高屈折率層と基材との間にハードコート層を設ける場合には、高屈折率層の厚さを50〜300nmとすることができる。
(3)ハードコート層
本発明の反射防止膜に用いるハードコート層の構成材料については特に制限されるものでない。このような材料としては、シロキサン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の一種単独又は二種以上の組み合わせを挙げることができる。
また、ハードコート層の厚さについても特に制限されるものではないが、1〜100μmとするのが好ましく、3〜30μmとするのがより好ましい。この理由は、ハードコート層の厚さが1μm未満となると、ハードコートとしての硬度が低下する場合があるためであり、一方、厚さが100μmを超えると、ハードコートの硬化収縮により基材が変形する場合があるためである。
(4)基材
本発明の反射防止膜に用いる基材の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ガラス、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、トリアセチルセルロース樹脂(TAC)等からなる基材を挙げることができる。これらの基材を含む反射防止膜とすることにより、カメラのレンズ部、テレビ(CRT)の画面表示部、あるいは液晶表示装置におけるカラーフィルター等の広範な反射防止膜の利用分野において、優れた反射防止効果を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に限定されるものではない。「部」及び「%」は、特に断らない限り、「重量部」及び「重量%」を意味する。
(製造例1)
水酸基含有含フッ素重合体の合成
内容積2.0リットルの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル11544g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)3464g、エチルビニルエーテル938g、ヒドロキシエチルビニルエーテル1145g、過酸化ラウロイル37.5g、上記式(7)で表されるアゾ基含有ポリジメチルシロキサン(VPS1001(商品名)、和光純薬工業(株)製)225g及びノニオン性反応性乳化剤(ER−30(商品名)、旭電化工業(株)製を予め溶媒をすべて留去した固体組成としたもの)1125gを仕込み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いでヘキサフルオロプロピレン1953gを仕込み、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.3×105Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が1.7×105Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出してオートクレーブを開放し、固形分濃度26.4%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い約5kgの水酸基含有含フッ素重合体を得た。これを水酸基含有含フッ素重合体とする。使用した単量体と溶剤を表1に示す。
Figure 0005433926
得られた水酸基含有含フッ素重合体に付き、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算数平均分子量及びアリザリンコンプレクソン法によるフッ素含量をそれぞれ測定した。また、1H−NMR、13C−NMRの両NMR分析結果、元素分析結果及びフッ素含量から、水酸基含有含フッ素重合体を構成する各単量体成分の割合を決定した。結果を表2に示す。
Figure 0005433926
尚、VPS1001は、数平均分子量が7〜9万、ポリシロキサン部分の分子量が約10,000の、上記式(7)で表されるアゾ基含有ポリジメチルシロキサンである。ER−30は、上記式(10−2)において、nが10〜14、mが1、uが14〜45であるノニオン性反応性乳化剤である。
さらに、表2において、単量体と構造単位との対応関係は以下の通りである。
単量体 構造単位
ヘキサフルオロプロピレン (a)
パーフルオロ(プロピルビニルエーテル) (a)
エチルビニルエーテル (b−1)
ヒドロキシエチルビニルエーテル (c)
ER−30 (f)
ポリジメチルシロキサン骨格 (d)
(製造例2−1)
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体A−1(メタアクリル変性フッ素重合体)((A)成分)の合成
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、製造例1で得られた水酸基含有含フッ素重合体を120g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.02g及びメチルイソブチルケトン(MIBK)899gを仕込み、20℃で水酸基含有含フッ素重合体がMIBKに溶解して、溶液が透明、均一になるまで攪拌を行った。
次いで、この系に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート38.6gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート0.3gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を継続することにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体A−1のMIBK溶液を得た。
この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、15.0重量%であった。使用した化合物、溶剤及び固形分含量を表3に示す。
(製造例2−2)
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体A−2(メタアクリル変性フッ素重合体)((A)成分)の合成
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、製造例1で得られた水酸基含有含フッ素重合体を120g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.02g及びメチルイソブチルケトン(MIBK)862gを仕込み、20℃で水酸基含有含フッ素重合体がMIBKに溶解して、溶液が透明、均一になるまで攪拌を行った。
次いで、この系に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート32.1gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート0.3gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を継続することにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体A−1のMIBK溶液を得た。
この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、15.0重量%であった。使用した化合物、溶剤及び固形分含量を表3に示す。
Figure 0005433926
(製造例3)
ハードコート層用組成物の調製
紫外線を遮蔽した容器中において、ペンタエリスリトールヒドロキシトリアクリレート95重量部、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン5重量部、MIBK100重量部を50℃で2時間攪拌することで均一な溶液のハードコート層用組成物を得た。この組成物をアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、50重量%であった。
(製造例4)
硬化性樹脂組成物塗工用基材の作製
TACフィルム(厚さ50μm)に、製造例3で調製したハードコート層用組成物をワイヤーバーコータで膜厚6μmとなるように塗工し、オーブン中、80℃で1分間乾燥し、塗膜を形成した。次いで、空気下、高圧水銀ランプを用いて、300mJ/cm2の光照射条件で紫外線を照射し、硬化性樹脂組成物塗工用基材を作製した。
(製造例5)
特定有機化合物(S1)の製造
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン23.0部、ジブチルスズジラウレート0.5部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート60.0部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60重量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40重量%とからなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)202.0部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱攪拌することで特定有機化合物(S1)を得た。
生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550カイザーの吸収ピーク及びイソシアネート基に特徴的な2260カイザーの吸収ピークが消失し、新たに、[−O−C(=O)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基中のカルボニルに特徴的な1660カイザーのピーク及びアクリロイル基に特徴的な1720カイザーのピ−クが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロイル基と[−S−C(=O)−NH−]基、[−O−C(=O)−NH−]基を共に有する特定有機化合物が生成していることを示した。
(製造例6)
アクリル変性中空シリカ粒子D−1((D)成分)の製造
製造例5で合成した特定有機化合物(S1)3.0部、中空シリカ粒子(JX1009SIV、メチルイソブチルケトンゾル、触媒化成工業製)137部(固形分30.1部)、イオン交換水0.1部、0.05mol/Lの希硫酸0.01部の混合液を、80℃、3時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.4部を用いて粒子分散液D−1を得た。D−1の固形分含量を求めたところ、25重量%であった。
このシリカ系粒子の平均粒子径は、50nmであった。ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
(製造例7)
メタアクリル変性中空シリカ粒子D−2((D)成分)の製造
中空シリカ粒子(JX1008SIV、イソプロピルアルコールゾル、触媒化成工業製)100部と10%アンモニア水10部、エタノール700部を室温で混合し、攪拌しながらγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、商品名:SZ6030)3部を加えた。その後、70℃で3時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却し、メチルイソブチルケトン700部を加え、エバポレーターを用いて固形分濃度25重量%になるまで濃縮し、粒子分散液D−2を得た。D−2をアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレ−ト上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、25重量%であった。このシリカ系粒子の平均粒子径は、50nmであった。ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
(製造例8)
アクリル変性中実シリカ粒子E−1((E)成分)の製造
製造例5で合成した特定有機化合物(S1)8.7部、メチルエチルケトンシリカゾル(日産化学工業(株)製、商品名:MEK−ST(数平均粒子径0.022μm、シリカ濃度30%))91.3部(固形分27.4部)、イソプロパノール0.2部及びイオン交換水0.1部の混合液を、80℃、3時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.4部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで無色透明の粒子分散液E−1を得た。E−1をアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレ−ト上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、35重量%であった。
このシリカ系粒子の平均粒子径は、20nmであった。ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
(実施例1)
表4−1に示すように、製造例2で得たエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体A−1のMIBK溶液を328g((A)成分の固形分として48g)、トリアクリロイルヘプタデカフルオロノネニルペンタエリスリトール(LINC−3A、共栄社化学製)48g((B)成分として32g、(C)成分としてペンタエリスリトールテトラアクリレート16部)、光重合開始剤として、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュア127、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)3g、ポリジメチルシロキサンH−1(FM0725、チッソ製)1g及びMIBK925g、t−ブタノール1200gを、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、室温にて1時間攪拌し均一な硬化性樹脂組成物を得た。また、製造例2の方法により固形分濃度を求めたところ4.0重量%であった。
(実施例2〜31、比較例1〜3)
表4−1〜表4−6に示す組成とした他は、実施例1と同様にして各硬化性樹脂組成物を得た。
Figure 0005433926
Figure 0005433926
Figure 0005433926
Figure 0005433926
Figure 0005433926
Figure 0005433926
表4−1〜表4−6中の成分は次の通りである。
中空粒子:触媒化成製、JX1009SIV(メチルイソブチルケトンゾル、固形分濃度22重量%)
トリアクリロイルヘプタデカフルオロネニルペンタエリスリトール:共栄社製、LINC−3A(ペンタエリスリトールテトラアクリレートを35部含む)
ペンタエリスリトールヒドロキシトリアクリレート:日本化薬製、PET−30
アクリロイルモルホリン:興人製、ACMO
イルガキュア127:2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製
ポリジメチルシロキサンH−1:チッソ製、サイラプレーンFM−0725
ポリジメチルシロキサンH−2:和光純薬製、VPS1001
中空粒子D−3:触媒化成工業製JX1009SIV
ポリジメチルシロキサンH−3:TEGO製Rad2600
パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物J−1:大日本インキ化学工業製F−444
ポリジメチルシロキサンH−4:チッソ製、サイラプレーンFM−7711
ポリジメチルシロキサンH−5:チッソ製、サイラプレーンFM−7721
ポリジメチルシロキサンH−6:チッソ製、サイラプレーンFM−7725
ポリジメチルシロキサンH−7:チッソ製、サイラプレーンFM−0721
ポリジメチルシロキサンH−8:チッソ製、サイラプレーンTM0701T
(評価例1)
外観の評価
実施例1〜31及び比較例1〜3で得られた各硬化性樹脂組成物を、ワイヤーバーコータを用いて製造例4で得られた硬化性樹脂組成物塗工用基材のハードコート上に膜厚0.1μmとなるように塗工し、80℃で1分間乾燥し、塗膜を形成した。次いで、窒素気流下、高圧水銀ランプを用いて、表4−1〜表4−5に示す照射光量(mJ/cm)で紫外線を照射し、反射防止膜を作製した。得られた反射防止膜の外観を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表4−1〜表4−6に示す。
◎:塗布ムラなく、ほぼ均一に塗布されている
○:塗布ムラなし
△:若干塗布ムラあり
×:全面に塗布ムラあり
(評価例2)
ヘーズ
評価例1で得られた反射防止膜について、カラーヘーズメーターでヘーズを測定し、評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表4−1〜表4−6に示す。
○:ヘーズ0.3%以下
△:ヘーズ0.3%超、1.0%以下
×:ヘーズ1.0%超
(評価例3)
硬化膜の屈折率測定
各硬化性樹脂組成物を、スピンコーターによりシリコンウェハー上に、乾燥後の厚さが約0.1μmとなるように塗布後、窒素下、高圧水銀ランプを用いて、0.3J/cmの光照射条件で紫外線を照射して硬化させた。得られた硬化物について、エリプソメーターを用いて25℃での波長589nmにおける屈折率(n 25)を測定した。結果を表4−1〜表4−6に示す。
(評価例4)
反射防止膜の反射率
評価例1で得られた反射防止膜の裏面を黒色スプレーで塗装し、分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、波長340〜700nmの範囲で反射率を基材側から測定して評価した。具体的には、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における反射防止用積層体(反射防止膜)の反射率を測定し、そのうち波長550nmにおける光の反射率から、反射防止性を、以下の基準で評価した。結果を表4−1〜表4−6に示す。
◎:反射率が1.0%以下
○:反射率が1.0超、1.5%以下
△:反射率が1.5%超、3.0%以下
×:反射率が3.0%超
(評価例5)
耐擦傷性テスト(スチールウール耐性テスト)
評価例1で得られた硬化膜を、スチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール(株)製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB-301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重500gの条件で10回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を、以下の基準により目視で確認した。評価基準は以下の通りである。結果を表4−1〜表4−6に示す。
◎:硬化膜に傷が発生しない。
○:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められないか、あるいは硬化膜にわずかな細い傷が認められる。
△:硬化膜全面に筋状の傷が認められる。
×:硬化膜の剥離が生じる。
(評価例6)
耐汚染性
評価例1で得られた反射防止膜に指紋をつけ、不織布(旭化成製、商品名:ベンコットS−2)にて塗膜表面を拭き取った。耐汚染性を、以下の基準により評価した。結果を表4−1〜表4−6に示す。
◎:塗膜表面の指紋が少ない拭取り回数で完全に拭取れた。
○:塗膜表面の指紋が完全に拭取れた。
×:拭き取られずに指紋跡が試料表面に残存した。
(評価例7)
耐擦傷性(消しゴム)
消しゴム(PE−03A、トンボ鉛筆製)を消しゴム試験機に取り付け、評価例1で得られた硬化膜の表面を荷重500gの条件で50回繰返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生具合を以下の基準により目視で確認した。評価基準は以下の通りである。結果を表4−4〜4−6に示す。
◎:無傷
○:傷はないが色目が変化
△:傷あり
×:全面に剥離
(評価例8)
マジック繰返し拭取り性(拭取れる回数)
評価例1で得られた反射防止膜表面の約0.25cm(0.5cm×0.5cm)を油性染料インキタイプのマーキングペン(ゼブラ(株)製、商品名:マッキー)で隙間なく塗りこむ。30秒間自然乾燥させた後、マーカーで塗りこんだ箇所を不織布(ベンコット)で拭き取る(1回目)。さらに同じ箇所を油性マーカーで塗り込み、同様に拭き取りを繰り返し行い、油性インキが拭き取れなくなるまで行った。油性インキを拭き取ることができた繰り返し回数を表4−4〜4−6に示す。
表4−1〜表4−6の結果から、本発明の組成物は、低い屈折率を得られることで優れた反射防止効果と、優れた耐擦傷性、耐汚染性を有する硬化膜を与えることがわかる。
表4−5の結果から、本発明の組成物からなる硬化膜は、耐擦傷性(消しゴム)及びマジック繰り返し拭取り性にも優れていることがわかる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、耐擦傷性、塗工性及び耐久性に優れた硬化膜を与えることができ反射防止膜用材料やポリマークラッドとして使用することができ、特に反射防止膜用材料として有用である。
図1は、本発明の反射防止膜の一実施形態を示す模式図である。 図2は、本発明の反射防止膜の他の実施形態を示す模式図である。 図3は、本発明の反射防止膜の他の実施形態を示す模式図である。
符号の説明
1 反射防止膜
2 基材
3 ハードコート層
4 低屈折率層
5 高屈折率層
6 中屈折率層

Claims (13)

  1. 下記成分(A)、(B)及び(I):
    (A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、
    (B)下記一般式(B−1)で表される化合物、及び
    (I)有機溶剤
    を含有する硬化性樹脂組成物。
    Figure 0005433926
    [式(B−1)中、Rは水素原子又はメチル基である。]
  2. (A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体が、少なくとも1個のエチレン性不飽和基及び水酸基と反応可能な基を含有する化合物と、水酸基含有含フッ素重合体とを反応させて得られるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体である請求項に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. さらに、(C)2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(B)を除く化合物を含有する請求項又はに記載の硬化性樹脂組成物。
  4. さらに、(D)数平均粒径1〜100nmのシリカを主成分とする中空若しくは多孔質の粒子を含有する請求項のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. さらに、(E)数平均粒径1〜100nmのシリカを主成分とする中実の粒子を含有する請求項のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記(D)及び/又は(E)のシリカを主成分とする粒子が表面に(メタ)アクリロイル基を有する請求項又はに記載の硬化性樹脂組成物。
  7. さらに、(F)1個の(メタ)アクリロイル基及び炭素数3以上の環状構造を有し、分子量が400以下の化合物を含有する請求項のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. さらに、(G)活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物を含有する請求項のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. さらに、(H)ポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物を含有する請求項のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  10. さらに、(J)フッ素系界面活性剤を含有する請求項のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  11. 反射防止膜用である請求項1〜10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
  13. 請求項12に記載の硬化物からなる低屈折率層を有する反射防止膜。
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