JP2008031327A - 硬化性樹脂組成物及び積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 導電性無機化合物を含有する帯電防止層に隣接する層を形成するために用いられる硬化性樹脂組成物であって、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体と、下記式(1)で表されるシランカップリング剤によって表面修飾された無機化合物粒子を含有する硬化性樹脂組成物。
(R21はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエ−ト基、又はアクリルアミド基、R22は分子量が100以下である有機基、Qはアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシル基、アミノ基、ハロゲン原子、a、bは1から3の整数を示す)
【選択図】なし
Description
1.導電性無機化合物を含有する帯電防止層に隣接する層を形成するために用いられる硬化性樹脂組成物であって、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(1A)と、下記式(1)で表されるシランカップリング剤によって修飾された無機化合物粒子(1B)を含有する硬化性樹脂組成物。
2.前記式(1)で表されるシランカップリング剤が、下記式(2)で表される上記1記載の硬化性樹脂組成物。
3.前記無機化合物粒子の数平均粒子径が30〜100nmである上記1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
4.前記無機化合物粒子が中実粒子である上記1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
5.前記無機化合物粒子が中空粒子である上記1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
6.前記帯電防止層に含有される導電性無機化合物粒子の数平均粒子径が30〜100nmである上記1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
7.前記帯電防止層に含有される導電性無機化合物粒子が、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、リンドープ酸化錫(PTO)、アンチモン酸亜鉛(AZO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)、酸化亜鉛、酸化ルテニウム、酸化レニウム、酸化銀、酸化ニッケル及び酸化銅からなる群から選択される一又は二以上の金属酸化物からなる上記1〜6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
8.導電性無機化合物粒子を含有する帯電防止層と、該帯電防止層に隣接して設けられ、上記1〜7のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物から形成された層と、を備えた積層体。
1.硬化性樹脂組成物
本発明の硬化性樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」ということがある)は、下記の成分(1A)〜(1F)を含み得る。成分(1A)及び(1B)は必須成分であり、成分(1C)〜(1F)は必要に応じて添加する任意成分である。
(1A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
(1B)特定のシランカップリング剤によって修飾された無機化合物粒子
(1C)活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物
(1D)分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物
(1E)有機溶媒
(1F)その他の添加剤
これらの成分について以下説明する。
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(1A)は、フッ素系オレフィンの重合物である。(1A)成分により本発明の組成物は低屈折率、防汚性、耐薬品性、耐水性等の反射防止膜用低屈折率材料としての基本性能を発現する。
好ましくは、(1A)成分は、側鎖水酸基が(メタ)アクリル系化合物で変性されている。さらに好ましくは、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系化合物によって変性されている。このような変性により、ラジカル重合性(メタ)アクリル化合物と共架橋化することができ、得られる硬化膜の耐擦傷性が向上する。
1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物としては、分子内に、1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を含有している化合物であれば特に制限されるものではない。
尚、イソシアネート基を2個以上含有すると、水酸基含有含フッ素重合体と反応させる際にゲル化を起こす可能性がある。
また、上記エチレン性不飽和基としては、後述する本発明の硬化性樹脂組成物をより容易に硬化させることができることから、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
このような化合物としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネートの一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
ジイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネア−ト)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが好ましい。
尚、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、大阪有機化学(株)製 商品名 HEA、日本化薬(株)製 商品名 KAYARAD DPHA、PET−30、サートマー社製 商品名 SR−399E、東亞合成(株)製 商品名 アロニックス M−215、M−233、M−305、M−400等が挙げられる。
水酸基含有含フッ素重合体は、好ましくは、下記構造単位(a)及び/又は(b)、並びに(c)及び/又は(d)を含んでなる(ただし、(b)及び(c)のみを含んでなる水酸基含有含フッ素重合体は除く)。
(a)下記式(3)で表される構造単位。
(b)下記式(4)で表される構造単位。
(c)下記式(5)で表される構造単位。
(d)下記式(6)で表される構造単位。
上記式(3)において、R1及びR2のフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基等の炭素数1〜6のフルオロアルキル基が挙げられる。また、R2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
これらの中でも、ヘキサフルオロプロピレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)又はパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)がより好ましく、これらを組み合わせて用いることがさらに好ましい。
また、このような理由により、構造単位(a)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体における構成単位(a)〜(d)の合計量に対して、25〜65モル%とするのがより好ましく、30〜60モル%とするのがさらに好ましい。
式(4)において、R4又はR5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ラウリル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。また、R51のフルオロアルキル基としては、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、パーフルオロデシル基等が挙げられる。
また、このような理由により、構造単位(b)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体における構成単位(a)〜(d)の合計量に対して、20〜60モル%とするのがより好ましい。
式(5)において、R7のヒドロキシアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
また、水酸基含有ビニル単量体としては、上記以外にも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を用いることができる。
また、このような理由により、構造単位(c)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体における構成単位(a)〜(d)の合計量に対して、5〜40モル%とするのがより好ましく、5〜30モル%とするのがさらに好ましい。
水酸基含有含フッ素重合体は、さらに構造単位(d)を含んで構成することも好ましい。これにより従来のフッ素重合体よりも、さらに低屈折率を示す硬化膜が得られる。
式(6)において、Rfのフッ素を含有する炭素数2〜10の2価の有機基としては、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、下記式(7)で表される構造単位が挙げられる。
このような理由により、構造単位(d)の含有率は、水酸基含有含フッ素重合体における構成単位(a)〜(d)の合計量に対して、10〜60モル%とするのがより好ましく、25〜60モル%とするのがさらに好ましい。
水酸基含有含フッ素重合体は、さらに下記構造単位(e)を含んで構成することも好ましい。
また、このような理由により、構造単位(e)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、0.1〜5モル部とするのがより好ましく、0.1〜モル部とするのがさらに好ましい。同じ理由により、構造単位(f)の含有率は、その中に含まれる構造単位(e)の含有率を上記範囲にするよう決定することが望ましい。
水酸基含有含フッ素重合体は、さらに下記構造単位(g)を含んで構成することも好ましい。
また、このような理由により、構造単位(g)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、0.1〜3モル部とするのがより好ましく、0.2〜3モル部とするのがさらに好ましい。
水酸基含有含フッ素重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで、テトラヒドロフランを溶剤として測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であることが好ましい。この理由は、数平均分子量が5,000未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の機械的強度が低下する場合があるためであり、一方、数平均分子量が500,000を超えると、後述する硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、薄膜コーティングが困難となる場合があるためである。
また、このような理由により、水酸基含有含フッ素重合体のポリスチレン換算数平均分子量を10,000〜300,000とするのがより好ましく、10,000〜100,000とするのがさらに好ましい。
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、上述した、1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、水酸基含有含フッ素重合体とを、反応させて得られることが好ましい。このとき、イソシアネート基/水酸基のモル比が1.1〜1.9の割合で反応させるのが好ましい。この理由は、モル比が1.1未満になると耐擦傷性及び耐久性が低下する場合があるためであり、一方、モル比が1.9を超えると、硬化性樹脂組成物の塗膜のアルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、イソシアネート基/水酸基のモル比を、1.1〜1.5とするのがより好ましく、1.2〜1.5とするのがさらに好ましい。
また、このような理由から、(1A)成分の添加量を25〜90質量部とするのがより好ましい。
本発明に用いられる成分(1B)は、下記式(1)で示されるシランカップリング剤によって修飾された無機化合物粒子(以下、「無機化合物粒子(1B)」又は「成分(1B)」ということがある)である。無機化合物粒子を下記式(1)で示されるシランカップリング剤と結合させることで、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる層と後述する帯電防止層との密着性が向上する。
本発明で用いる特定のシランカップリング剤は下記式(1)で示される構造を有する。
R22の分子量が150よりも大きい場合には、後述する帯電防止層との密着性が低下し、耐擦傷性が低下する場合がある。
このような化合物としては、具体的にはビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、式(2)に示される化合物等が挙げられる。
尚本発明に使用される無機化合物粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の無機酸化物、あるいはフッ化アルミニウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム等の無機フッ化物からなる粒子が好ましい。無機酸化物粒子としては、得られる硬化性組成物の硬化被膜の無色性の観点から、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物からなる粒子であり、具体的には、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、酸化セリウム等の粒子を挙げることができる。中でも、高硬度の観点から、シリカ、アルミナ、ジルコニア及び酸化アンチモンの粒子が好ましい。これらの無機酸化物粒子は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、無機フッ化物粒子としては、フッ化アルミニウム(屈折率:1.38)、フッ化カルシウム(屈折率:1.23〜1.45)、フッ化リチウム(屈折率:1.30)、フッ化マグネシウム(屈折率:1.38〜1.40)等の粒子が挙げられ、これらの中で、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウムの粒子が好適に用いられる。また、粒子硬度や吸湿性、屈折率を考慮するとフッ化マグネシウム粒子が最も好ましい。フッ化マグネシウム粒子の市販品としては、ステラケミファ製フッ化マグネシウム、フッ化マグネシウムOP、フッ化マグネシウムG1、フッ化マグネシウムH、三和研磨製フッ化マグネシウム等を挙げることができる。尚、上記市販品は粒子径数μmの粗粒子であるため、本発明において(1B)成分として用いるためには、粉砕機等を用いて粉砕、分散するし、数平均粒子径を30〜100nmとすることが好ましい。
活性エネルギー線の照射又は熱により活性種を発生する化合物は、硬化性樹脂組成物を硬化させるために用いられる。
尚、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の光エネルギー線が挙げられる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が速く、しかも照射装置が比較的安価で、小型な観点から、紫外線を使用することが好ましい。
また、このような理由から、光重合開始剤の添加量を、(1A)成分と(1B)成分の合計100質量部に対して1〜10質量部とすることがより好ましい。
分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物は、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物及びそれを用いた反射防止膜の耐擦傷性を高めるために用いられる。
アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート等を例示することができる。
また、このような理由から、(1D)成分の添加量を1〜80質量部とするのがより好ましく、1〜65質量部の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物には、さらに有機溶媒を添加することが好ましい。このように有機溶媒を添加することにより、薄膜の反射防止膜を均一に形成することができる。このような有機溶媒としては、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メタノール、エタノール、t−ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、(1B)成分以外の無機充填剤若しくは顔料、染料等の添加剤をさらに含有させることも好ましい。
本発明の組成物から形成される層に隣接する帯電防止層は、導電性無機化合物粒子を含有する帯電防止層であれば特に限定されないが、下記成分を含有する帯電防止層形成用硬化性組成物から形成されることが好ましい。帯電防止層形成用硬化性組成物は、下記成分(2A)〜(2E)を含み得る。
(2A)導電性無機化合物粒子(2A−1)とアルコキシシラン化合物(2A−2)とを有機溶媒(2A−3)中で反応させた反応液
(2B)分子内に2個以上の重合性不飽和基を有する化合物
(2C)重合開始剤
(2D)溶剤
(2E)添加剤
帯電防止層は、上記成分を含有する硬化性組成物を硬化させることにより得られ、その硬化物の表面抵抗は通常1012Ω/□以下、好ましくは1010Ω/□以下である。
これらの成分(2A)〜(2E)について以下説明する。
帯電防止層形成用硬化性組成物に用いられる成分(2A)は、導電性無機酸化物粒子(2A−1)とアルコキシシラン化合物(2A−2)とを有機溶媒(2A−3)中で反応させて得られるものである。成分(2A)を含有することにより、導電性が発現され、帯電防止層としての機能を有する。また、導電性無機化合物粒子とアルコキシシラン化合物とを予め反応させた反応液を用いることによって、保存安定性及び硬化性に優れるという効果が得られる。
成分(2A)に用いる導電性無機酸化物粒子(2A−1)は、得られる帯電防止層に導電性を付与する機能を有する。導電性無機酸化物粒子(2A−1)の形状は特に制限されないが、球状、針状、鱗片状等であり得る。針状及び鱗片状粉末を含む場合、少量の添加で硬化物中に導電路を有効に形成することができる。
導電性無機酸化物粒子が球状の場合、その数平均粒子径は、30nm〜2μmであることが好ましい。また、導電性無機酸化物粒子が針状の場合、その平均粒子径は、30nm〜2μmであることが好ましい。ここで、導電性無機酸化物粒子が針状の場合の数平均粒子径は、針状粒子の長径をいう。この理由は、導電性無機酸化物粒子の数平均粒子径が30nm未満になると、硬化塗膜中に導電路が形成されにくくなるため、帯電防止性が著しく損なわれる場合があるためであり、2μmを超えると、組成物中において導電性無機酸化物の粒子を均一に分散させることが困難となるおそれがあり、また、導電性無機酸化物粒子が沈降しやすくなり、保存安定性に欠けるおそれがあるためである。さらには、導電性無機酸化物粒子の数平均粒子径が2μmを超えると、得られる反射防止膜の透明性が低下したり、濁度(Haze値)が上昇する場合があるためである。従って、導電性無機酸化物の数平均粒子径を30nm〜2μmの範囲内の値とするのがより好ましく、10nm〜1μmの範囲内の値とするのがより好ましい。
帯電防止層形成用硬化性組成物に用いられる有機溶媒は、前述のように、導電性無機酸化物粒子(2A−1)を分散させる分散媒として用いられる。
有機溶媒(2A−3)の配合量は、導電性無機酸化物粒子(2A−1)100質量部に対し、好ましくは、20〜4,000質量部、さらに好ましくは、100〜1,000質量部である。溶媒量が20質量部未満であると、粘度が高いため均一の反応が困難であることがあり、4,000質量部を超えると、塗布性が低下することがある。
このような有機溶媒としては、例えば、常圧での沸点が200℃以下の溶媒を挙げることができる。具体的には、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類、アミド類が用いられ、これらは、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類が好ましい。
中でも、イソプロピルアルコール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、乳酸エチル等が好ましい。
帯電防止層形成用硬化性組成物に用いられるアルコキシシラン化合物(A−2)としては、分子内にウレタン結合[−O−C(=O)NH−]及び/又はチオウレタン結合[−S−C(=O)NH−]並びに不飽和2重結合を有するアルコキシシラン化合物が好適に用いられる。このようなアルコキシシラン化合物(2A−2)としては、例えば、下記式(17)で示されるアルコキシシラン化合物を挙げることができる。
式(17)中、R32は炭素数1〜6のアルキル基、cは1又は2、Xは炭素数1〜6の2価のアルキレン基、Yは鎖状、環状、分岐状いずれかの炭素数3〜14の2価の炭化水素基、Zは2〜6価の鎖状、環状、分岐状いずれかの炭素数2〜14の2価の炭化水素基であり、基Z内にエーテル結合を含んでもよい、R33は水素原子又はメチル基、dは1〜5の整数である。
アルコキシシラン化合物(2A−2)の好ましい製造方法としては、例えば、メルカプトアルコキシシランとジイソシアネート類との反応によりチオウレタン結合で結合した中間体を製造後、残存するイソシアネートと水酸基含有の(メタ)アクリレート類とを反応させることによりウレタン結合で結合した生成物とする方法を挙げることができる。
ジイソシアネートに対する水酸基含有(メタ)アクリレート類のモル比が1.0未満であると、ゲル化することがあり、1.5を超えると、帯電防止性が低下することがある。
成分(2A)である反応液は、導電性無機化合物(2A−1)とアルコキシシラン化合物(2A−2)とを有機溶媒(2A−3)中で反応させることにより得られるものであるが、導電性無機化合物粒子(2A−1)上に、分子内にウレタン結合[−O−C(=O)NH−]チオウレタン結合[−S−C(=O)NH−]、及び/又は不飽和2重結合を有する有機基を化学結合させたものを含む液を得ることを意図したものである。
酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、蟻酸、蓚酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸等の有機酸や、テトラメチルアンモニウム塩酸塩、テトラブチルアンモニウム塩酸塩等のアンモニウム塩を挙げることができる。
塩基としては、例えば、アンモニア水、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類を挙げることができるが、好ましい触媒は、酸であり、より好ましくは有機酸である。これら触媒の添加量はアルコキシシラン化合物(2A−2)100質量部に対して、好ましくは、0.001質量部〜1質量部、さらに好ましくは0.01質量部〜0.1質量部である。
脱水剤としては、有機カルボン酸オルトエステル及びケタールであり、具体的には、例えば、オルト蟻酸メチルエステル、オルト蟻酸エチルエステル、オルト酢酸メチルエステル、オルト酢酸エチルエステル等及びアセトンジメチルケタ−ル、ジエチルケトンジメチルケタ−ル、アセトフェノンジメチルケタ−ル、シクロヘキサノンジメチルケタ−ル、シクロヘキサノンジエチルケタ−ル、ベンゾフェノンジメチルケタ−ル等を挙げることができる。中でも、好ましくは有機カルボン酸オルトエステル類であり、さらに好ましくはオルト蟻酸メチルエステル、オルト蟻酸エチルエステルである。
本発明に用いられる反応液は、上述のように、導電性無機化合物粒子(2A−1)とアルコキシシラン化合物(2A−2)とを有機溶媒(2A−3)中で反応させて得られるものであるが、非導電性粒子とアルコキシシラン化合物(2A−2)とを有機溶媒中で反応させて得られる反応液を併用してもよい。
帯電防止層形成用硬化性組成物に用いられる成分(2B)は、分子内に2個以上の重合性不飽和基を有する化合物であり、その配合量は、帯電防止性能と屈折率とを高めるためには、帯電防止層形成用組成物中の全固形分に対し、好ましくは、10質量%以下、さらに好ましくは、5質量%以下である。成分(2B)の具体例としては、メタ)アクリルエステル類、ビニル化合物類を挙げることができる。(メタ)アクリルエステル類としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメタノールジ(メタ)アクリレート、及びこれらの出発アルコール類へのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。ビニル化合物類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等を挙げることができる。これらを1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なかでも、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメタノールジ(メタ)アクリレート等が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、優れた耐擦傷性、優れた有機溶媒耐性を有する帯電防止層が得られるからである。
本発明で用いる帯電防止層形成用硬化性組成物は、加熱又は放射線照射のみで硬化するが、硬化速度をさらに高めるため、重合開始剤(2C)として熱重合開始剤及び/又は光重合開始剤を配合してもよい。尚、本発明において、放射線とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等を意味する。
中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドが好ましい。
これらの光重合開始剤の市販品としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 商品名:イルガキュア184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア1116、1173、BASF社製ルシリンLR8728、UCB社製 商品名:ユベクリルP36等を挙げることができる。中でも、イルガキュア184、651、907、ダロキュア1173、ルシリンLR8728が好ましい。
好ましい熱重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物を挙げることができ、具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、ア
ゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
溶剤は、帯電防止層形成用硬化性組成物の塗布性を高めるために用いられる。溶剤の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等のケトン類、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル基含有アルコール類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のヒドロキシエステル類、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸ブチル等のβ―ケトエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類からなる群から選択される少なくとも一種の有機溶媒を使用することが好ましい。これらの中で、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等のケトン類がより好ましい。
帯電防止層形成用硬化性組成物には、その他の添加剤として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、滑材、溶媒等を必要に応じて配合することができる。酸化防止材としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 商品名:イルガノックス1010、1035、1076、1222等、紫外線吸収剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 商品名:チヌビン P234、320、326、327、328、213、329、シプロ化成(株)製 商品名:シーソーブ102、103、501、202、712等、光安定剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 商品名:チヌビン292、144、622LD、三共(株)製 商品名:サノ−ルLS770、LS440、住友化学工業(株)製 商品名:スミソーブ TM−061等を挙げることができる。
このようにして得られた、帯電防止層形成用硬化性組成物の粘度は、通常25℃において、5〜200,00 mPa・sであり、好ましくは10〜10,000 mPa・sである。
次に本発明の積層体が反射防止膜である場合について図1を参照しながら説明する。本発明の積層体からなる反射防止膜の基本的構成を図1に示す。図1は、かかる反射防止膜10を示す。図1に示すように、基材12の上に、上記帯電防止層形成用硬化性組成物からなる帯電防止層14と、帯電防止層14と比較して波長589nmにおける屈折率が低い、本発明の硬化性樹脂組成物からなる低屈折率層(硬化膜層)18が積層されている。
上記帯電防止層形成用硬化性組成物を硬化させて得られる帯電防止層14は、基材12の上に形成される。帯電防止層形成用硬化性組成物によるコーティング方法としては、ロールコート、スプレーコート、フローコート、デイピング、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の公知の方法を適用することができる。また、帯電防止層形成用硬化性組成物を硬化する手段も特に制限されないが、例えば、放射線を照射することによっても硬化することが好ましい。この場合、例えば、紫外線照射装置(メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等)を用いて、0.001〜10J/cm2の光照射条件のもとで行なうことができるが、照射条件はこれに限定されない。0.01〜5J/cm2がより好ましく、0.1〜3J/cm2がさらに好ましい。帯電防止層の屈折率の変化の程度は、金属酸化物粒子の含有量、種類、組成、及び硬化性化合物の含有量、種類等により、例えば1.6〜2.2に調整できる。また、基材の上に帯電防止層を直接形成する場合には、帯電防止層の厚さは0.05μm〜50μm、好ましくは0.5μm〜5μmの範囲である。
続いて、本発明の硬化性樹脂組成物を帯電防止層14に対して塗布(コーティング)して、低屈折率層(硬化膜層)用の塗膜を形成することが好ましい。このようなコーティング方法としては、特に制限されるものでないが、例えば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、又はインクジェット法等のコーティング方法を用いることができる。本発明の硬化性樹脂組成物からなる塗膜を硬化させる手段も特に制限されるものではないが、例えば加熱することが好ましい。この場合、30〜200℃、10秒〜180分間の条件で加熱するのが好ましい。この理由は、このような加熱条件であれば、基材や形成される反射防止膜を損傷することなく、より効率的に反射防止性に優れた反射防止膜を得ることができるためである。上記の理由により、低屈折率層(硬化膜層)を形成する際の加熱条件としては、50〜160℃で、20秒〜120分間加熱することがより好ましく、60〜140℃で、30秒〜60分間加熱することがさらに好ましい。
(1)水酸基含有含フッ素重合体の製造
内容積2.0リットルの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル400g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)53.2g、エチルビニルエーテル36.1g、ヒドロキシエチルビニルエーテル44.0g、過酸化ラウロイル1.00g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサン(VPS1001(商品名)、和光純薬工業(株)製)6.0g及びノニオン性反応性乳化剤(NE−30(商品名)、旭電化工業(株)製)20.0gを仕込み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
さらに、表2において、単量体と構造単位との対応関係は以下の通りである。
単量体 構造単位
ヘキサフルオロプロピレン (a)
パーフルオロ(プロピルビニルエーテル) (a)
エチルビニルエーテル (b)
ヒドロキシエチルビニルエーテル (c)
NE−30 (f)
ポリジメチルシロキサン骨格 (d)
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、上記(1)で得られた水酸基含有含フッ素重合体を50.0g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.01g及びメチルイソブチルケトン(MIBK)370gを仕込み、20℃で水酸基含有含フッ素重合体がMIBKに溶解して、溶液が透明、均一になるまで攪拌を行った。
次いで、この系に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート15.1gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート0.1gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を継続することにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体AのMIBK溶液を得た。
この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、15.0質量%であった。使用した化合物、溶剤及び固形分含量を表3に示す。
固形分が20質量%、pHが2.7、BET法での比表面積が226m2/g、メチルレッド吸着法により求めたシリカ粒子上のシラノール濃度が4.1×10−5モル/g、原子吸光法で求めた溶媒中の金属含量が、Naとして4.6ppm、Caとして0.013ppm、Kとして0.011ppmのメチルエチルケトンシリカゾル(日産化学工業(株)製、商品名:MEK−ST−L、数平均粒子径45nm、シリカ濃度30%)30kgをタンクに入れ、50℃に加熱し、循環流量50リットル/分、圧力1kg/cm2で、限外濾過膜モジュール((株)トライテック製)及びアルミナ製限外濾過膜(日本碍子(株)製、商品名:セラミックUFエレメント、仕様:4mmΦ、19穴、長さ1m、分画分子量=15万、膜面積=0.24m2)を用いて濃縮を行った。0.5時間後、10kgの濾液を排出したところ、固形分は30質量%となった。濃縮開始前の平均透過流速(限外濾過膜の単位面積、単位時間あたりの膜透過質量)は90kg/m2/時間であり、濃縮終了時は55kg/m2/時間であった。透過型顕微鏡法で求めた数平均粒子径は30〜40nmと濃縮前後で変化しなかった。
(1)特定シランカップリング剤の製造
攪拌機付きの容器内のメルカプトプロピルトリメトキシシラン221部及びジブチル錫ジラウレート1部の混合溶液に、イソホロンジイソシアネート222部を、乾燥空気中、50℃で1時間かけて滴下した後、さらに70℃で3時間攪拌した。
続いて、この反応溶液中に新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%からなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)549部を30℃で1時間かけて滴下した後、さらに60℃で10時間攪拌して反応液を得た。
この反応液中の生成物、すなわち、重合性不飽和基を有する有機化合物における残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1質量%以下であり、各反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550cm−1の吸収ピーク及び原料イソシアネート化合物に特徴的な2260cm−1の吸収ピ−クが消失し、新たにウレタン結合及びS(C=O)NH−基に特徴的な1660cm−1のピーク及びアクリロキシ基に特徴的な1720cm−1のピークが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロキシ基と−S(C=O)NH−、ウレタン結合を共に有するアクリロキシ基修飾アルコキシシランが生成していることを示した。
以上により、チオウレタン結合と、ウレタン結合と、アルコキシシリル基と、重合性不飽和基とを有する化合物773部と反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート220部の組成物(Bb−1)(特定シランカップリング剤)を得た。
合成した特定シランカップリング剤(Bb−1)8.7部、メチルエチルケトンシリカゾル(日産化学工業(株)製、商品名:MEK−ST−L、数平均粒子径45nm、シリカ濃度30%)91.3部(固形分27.4部)、イソプロパノール0.2部及びイオン交換水0.1部の混合液を、80℃、3時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.4部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで無色透明の粒子分散液を得た。得られた粒子分散液をアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、35質量%であった。
このシリカ系粒子の平均粒子径は、20nmであった。ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
メタアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン2.8部、メチルエチルケトンシリカゾル(日産化学工業(株)製、商品名:MEK−ST−L、数平均粒子径45nm、シリカ濃度30%)95.6部(固形分27.4部)及びイオン交換水0.1部の混合液を、80℃、3時間撹拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.4部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱撹拌することで粒子分散液を得た。固形分含量を求めたところ32質量%であった。
このシリカ系粒子の平均粒子径は45nmであった。ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
紫外線を遮蔽した容器中において、製造例2−2で合成したアクリル変性シリカ粒子(B−2)を75部(固形分として27部)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート14.3部、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート9.5部、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン0.6部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン0.6部を50℃で2時間攪拌することで均一な溶液のハードコート層用組成物を得た。この組成物をアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、50質量%であった。
紫外線を遮蔽した容器中において、ATO:アンチモンドープ酸化錫粒子(石原産業(株)社製SN−100P、一次粒子径50nm)を27.315部(固形分として8.85部)、テトラメチロールメタントリアクリレート0.86部、p−メトキシフェノール(0.003部)、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン0.288部、MeOH4.035部、PGME67.5部を50℃で2時間攪拌することで均一な溶液のハードコート層用組成物を得た。この組成物をアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、50質量%であった。
リン含有酸化錫分散液(触媒化成工業(株)製 ELCOM JX−1001PTV、分散溶媒 プロピレングリコールモノメチルエーテル、リン含有酸化錫30質量%、平均一次粒子径50nm、分散剤2.17質量%含有)を30.67部(固形分として4.0部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製 商品名 KAYARAD DPHA 以下B−1と称する場合がある。)12.765部、トリシクロデカンジイルジメタノールジアクリレート15.6部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン1.035部、及びMeOH55.53部、を50℃で2時間攪拌することで均一な溶液の帯電防止層形成用組成物1を得た。この帯電防止層形成用組成物1をアルミ皿に2g秤量後、140℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、35質量%であった。また、帯電防止層形成用組成物1を磁性るつぼに2g秤量後、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥し、750℃のマッフル炉中で1時間焼成した後の無機残渣より、固形分中の無機含量を求めたところ、60質量%であった。
片面易接着ポリエチレンテレフタレートフィルムA4100(東洋紡績(株)製、膜厚188μm)の易接着処理面に、製造例3で調製したシリカ粒子含有ハードコート層用組成物をワイヤーバーコータで膜厚5μmとなるように塗工し、オーブン中、80℃で1分間乾燥し、塗膜を形成した。続いて、形成した塗膜上に製造例4−1で調製したアンチモン含有酸化スズ(ATO)含有帯電防止層用組成物をワイヤーバーコータで膜厚100nmとなるように塗工し、オーブン中、80℃で1分間乾燥し、塗膜を形成し、硬化性樹脂組成物塗工用基材を作製した。
片面易接着ポリエチレンテレフタレートフィルムA4100(東洋紡績(株)製、膜厚188μm)の易接着処理面に、製造例4−2で調製したリン含有酸化スズ(PTO)含有帯電防止層用組成物をワイヤーバーコータで膜厚2μmとなるように塗工し、オーブン中、80℃で1分間乾燥し、塗膜を形成し、硬化性樹脂組成物塗工用基材を作製した。
片面易接着ポリエチレンテレフタレートフィルムA4100(東洋紡績(株)製、膜厚188μm)の易接着処理面に、製造例3で調製したシリカ粒子含有ハードコート層用組成物をワイヤーバーコータで膜厚5μmとなるように塗工し、オーブン中、80℃で1分間乾燥し、塗膜を形成し、硬化性樹脂組成物塗工用基材を作製した。
表4に示すように、製造例1で得たエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体AのMIBK溶液を477.3部((1A)成分の固形分として71.6部)、ペンタエリスリトールヒドロキシトリアクリレート(HIPENNY、新中村化学工業(株)製、(1D)成分)7.6部、アクリロイルモルホリン(ACMO、興人製、(1D)成分)5部、光重合開始剤として2−ベンジル―2−ジメチルアミノ―1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)4.8部、アクリル変性ポリジメチルシロキサン(サイラプレーンFM7725、チッソ(株))1部、及びMIBK314部、メチルアミルケトン157部、及び製造例2−3で得られたアクリル変性シリカ粒子(B−3)32.79部(固形分として10部)を、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、室温にて1時間攪拌し均一な硬化性樹脂組成物を得た。また、この硬化性樹脂組成物をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、3.5質量%であった。
表4の組成に従った他は、実施例1と同様にして各硬化性組成物を得た。表中の成分の組成単位は質量%である。
実施例1〜2、比較例1〜4及び参考例1〜3で得られた各硬化性樹脂組成物を、ワイヤーバーコータを用いて製造例4−1〜4−3で得られた基材P−1〜P−3上に膜厚0.1μmとなるように塗工し、80℃で1分間乾燥し、塗膜を形成した。得られた硬化膜を、スチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール(株)製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重2.8kgの条件で10回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で確認し、以下の基準で評価した。結果を表4に示す。
◎ :硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
○ :硬化膜にわずかな細い傷が認められる。
○△:硬化膜に部分的に細い傷が認められる。
△ :硬化膜全面に傷が認められる。
△×:硬化膜全面に傷が認められる。
× :硬化膜の剥離が生じる。
評価例1と同様にして得られた硬化膜のエタノール耐性テストを次に示す方法で実施した。即ち、エタノールを染み込ませた不織布(BEMCOT S−2、旭化成工業社製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重2.8kgの条件で20回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で確認し、以下の基準で評価した。結果を表4に示す。
○:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
△:硬化膜に細い傷が認められる。
×:硬化膜の一部に剥離が生じ、又は硬化膜の表面に筋状の傷が発生した。
評価例1で得られた各反射防止膜について、カラーヘーズメーターで光線透過率及びヘーズを測定し、以下の基準で評価した。結果を表4に示す。
・ヘーズ試験
○:1.1以下
△:1.1超
・光線透過率
○:91.9以上
△:91.9未満
12 基材
14 帯電防止層
18 低屈折率層(硬化膜層)
Claims (8)
- 前記無機化合物粒子の数平均粒子径が30〜100nmである請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記無機化合物粒子が中実粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記無機化合物粒子が中空粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記帯電防止層に含有される導電性無機化合物粒子の数平均粒子径が30〜100nmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記帯電防止層に含有される導電性無機化合物粒子が、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、リンドープ酸化錫(PTO)、アンチモン酸亜鉛(AZO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)、酸化亜鉛、酸化ルテニウム、酸化レニウム、酸化銀、酸化ニッケル及び酸化銅からなる群から選択される一又は二以上の金属酸化物からなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 導電性無機化合物粒子を含有する帯電防止層と、該帯電防止層に隣接して設けられ、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物から形成された層と、を備えた積層体。
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