JP2005283849A - 硬化性樹脂組成物、それを用いた反射防止フィルムの製造方法、反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、それを用いた反射防止フィルムの製造方法、反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高架橋性と安定性を両立し、所望の強度と低屈折率を有する低屈折率層を形成し得る硬化性樹脂組成物、この硬化性樹脂組成物を用いた低屈折率で高い膜強度の低屈折率層を有し、高生産性の反射防止フィルム、この優れた特性を有する反射防止フィルムを用いた偏光板、これら反射防止フィルムや偏光板を備え外光の反射や像の映り込みが防止された画像表示装置を提供する。
【解決手段】複数の層からなる反射防止フィルムの最外層に位置する低屈折率層を形成するために用いられ、ラジカル重合性基を有する重合体を含有し、塗布後でありかつ硬化処理前の状態で、重合体中に含まれる未反応のラジカル重合性基量の、塗布前の状態で重合体中に含まれる未反応のラジカル重合性基量に対する比率が、0.8以上である硬化性樹脂組成物、この組成物を用いて製造された反射防止フィルム、これを用いた偏光板、これらを備えた画像表示装置。
【選択図】 なし

Description

本発明は、反射防止フィルムを形成するために用いられる硬化性樹脂組成物、それを用いた反射防止フィルムの製造方法、反射防止フィルム、それを少なくとも一方の表面保護フィルムとして用いた偏光板および前面板、並びにそれらを用いた画像表示装置に関する。
反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な画像表示装置において、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、ディスプレイの表面に配置される。そのため、反射防止フィルムには反射防止性能や反射光の色味の無色化などの高い光学性能に加え、高い物理強度(耐擦傷性など)、耐薬品性、耐候性(耐湿熱性、耐光性など)が要求される。
反射防止フィルムに用いる反射防止層(高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層など)としては、金属酸化物の透明薄膜を積層させた多層膜が従来から広く用いられている。金属酸化物の透明薄膜は、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法により形成することが通常に行われてきた。
しかし、蒸着による金属酸化物の透明薄膜の形成方法は生産性が低く大量生産に適しておらず、別の方法として高い生産性が期待できる塗布により形成する方法が提案されている。
例えば、生産性が期待でき、更に上記の光学性能(反射防止性能、反射光の色味)と物理強度を満たす塗布方式の反射防止フィルムとしては、屈折率と膜厚を規定した複数層からなる反射防止フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
反射防止フィルムを塗布により作製する場合、その反射防止フィルムの最外層に設置される低屈折率層を構成する材料としては樹脂組成物が好ましく、その樹脂組成物を製膜してなる層として、1)高強度、2)低屈折率であることが求められる。ここで、1)高強度を満たすためには架橋密度の向上による三次元網目構造の高密度化が好ましい。しかし、一方で2)低屈折率を満足するためにはマトリックスの低屈折率化を目的としたフッ素原子を有する構造等の導入、低屈折率微粒子や空隙等の低屈折率構造の導入による低屈折率化膜の設計が望ましいが、いずれも膜強度の低下をもたらしてしまう。
そこで、形成される低屈折率層の膜を高強度化する方法が種々提案されており、具体的には、例えば架橋性基を有する共重合体を用いる方法が提案されている。すなわち、フッ素を効率的に高含率に導入しつつ、反応性の高い架橋性基を可能な限り高密度に導入した共重合体により低屈折率層を形成することにより、強度と低屈折率性を両立することが提案されており、例えば特許文献2に例示されているラジカル重合性基を有する含フッ素共重合体の使用が提案されている。
特開2003−121606号公報 特開2004−45462号公報
しかし、高い反応性を有する架橋性基を高密度で含有する架橋性樹脂素材は、高強度の膜を形成可能な反面、熱、光、摩擦、衝撃等の外的刺激に対する安定性に問題を生ずる場合がある。架橋性樹脂素材の安定性が不足するために経時変性を起こすと、膜形成前に既に架橋反応がある程度以上進行し、あるいは架橋性基が硬化工程に失活してしまい、硬化後のマトリックス中の本来達成すべき高密度三次元網目構造が不十分となり、結果として膜強度の低下を引き起こすことになるので、硬化処理前の安定性の確保と、硬化処理での架橋反応性の向上の両立が望まれている。
一方、透明な光学薄膜積層体からなる反射防止フィルムを形成する上では、ムラ等の面状故障が無く均一に均質で透明な膜を形成することが品質の観点で必要である。膜厚による色味変化が大きい低屈折率層では面状故障がより目立つことから、この要求はより高い。また、特に昨今の電子ディスプレイの大判化、高精細化に伴い、これらに対する要求は更に高くなっている。
ここで、低屈折率化の目的で使用するフッ素含有共重合体は、一般的に、他素材との相溶性に対して制約があり、また下層との濡れ性の観点でも懸念があることから、塗布性に対して不利であるため、フッ素含有ポリマーを含む樹脂組成物からなる膜を均一に制御して形成することは非常に困難である。更に、フッ素含有ポリマーの安定性の不足による経時変性等により、液物性変化・異物形成などが発生し、塗布性の変化によるムラ等の面状が悪化し、所望の均一な膜が得られなくなってしまうことが問題となっている。
本発明の目的は、反応性の高い架橋性基を有し、安定性を長期間維持する硬化性樹脂組成物を提供すること、換言すれば高架橋性と安定性を両立した材料を含有し、所望の強度と低屈折率を有する低屈折率層を形成することができる硬化性樹脂組成物を提供することである。
本発明の他の目的は、高架橋性で安定性の高い硬化性樹脂組成物を用いて、低屈折率で高い膜強度の低屈折率層とを有し、高い生産性で生産することが可能な反射防止フィルムを提供することである。
本発明の更なる他の目的は、上記の優れた特性を有する反射防止フィルムを用いた偏光板、更にはこれら反射防止フィルムや偏光板を備え外光の反射や像の映り込みが防止された液晶表示装置などの画像表示装置を提供することである。
本発明によれば、下記構成の硬化性樹脂組成物、反射防止フィルム、偏光板、及び液晶表示装置が提供され、本発明の上記目的が達成される。
1.透明支持体上に塗設された複数の層からなる反射防止フィルムの最外層に位置する低屈折率層を形成するために用いられ、ラジカル重合性基を有する重合体を含有する組成物であって、
該組成物の塗布後でありかつ硬化処理前の状態で、該重合体中に含まれる未反応のラジカル重合性基量の、塗布前の状態で該重合体中に含まれる未反応のラジカル重合性基量に対する比率が、0.8以上であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
2.硬化性樹脂組成物を40℃、30日間の加熱経時した後に塗布しかつ硬化処理前の状態で、重合体中に含まれる未反応のラジカル重合性基量の、加熱経時前の該硬化性樹脂組成物に含まれる該重合体中の未反応のラジカル重合性基量に対する比率が、0.8以上であることを特徴とする上記1に記載の硬化性樹脂組成物。
3.硬化性樹脂組成物を塗布、硬化してなる硬化樹脂層の、硬化処理後の層中に含まれるラジカル重合性基の反応率が60モル%以上であることを特徴とする上記1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
4.ラジカル重合性基がアクリロイル基及びメタクリロイル基から選ればれる少なくとも1つの重合性基であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
5.質量平均粒子径が10nm以上150nm以下の無機微粒子を含有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
6.重合禁止剤を含むことを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
7.重合禁止剤がフェノール類、キノン類、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、アミン類及びスルフィド類から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする上記6に記載の硬化性樹脂組成物。
8.重合禁止剤が下記一般式2で表される化合物であることを特徴とする上記6または7に記載の硬化性樹脂組成物。
Figure 2005283849
(一般式2中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2及びR3はそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
9.上記1〜8のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を、支持体上に塗設された少なくとも一つの層を有する基材フィルム上に塗布する工程、乾燥する工程、及び硬化する工程を含み、該硬化工程が紫外線照射または電子線照射を含む工程であり、該紫外線照射時または電子線照射時の該硬化性樹脂組成物からなる被硬化膜表面の酸素濃度が1体積%以下であることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
10.硬化工程における紫外線照射時または電子線照射時の基材フィルムの温度が60℃以上であることを特徴とする上記9に記載の反射防止フィルムの製造方法。
11.塗布工程がグラビアロールとドクターブレードを用いた塗布方式でなされることを特徴とする上記9または10のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
12.透明支持体上に、少なくとも該支持体よりも屈折率の高い高屈折率層と、低屈折率層とを有し、上記9〜11のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とする反射防止フィルム。
13.支持体よりも屈折率が高く、互いの屈折率が異なる少なくとも2層以上の高屈折率層を有することを特徴とする上記12に記載の反射防止フィルム。
14.上記12または13に記載の反射防止フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
15.偏光膜の2枚の保護フィルムの一方に上記12または13に記載の反射防止フィルムを用い、他方の保護フィルムに光学異方性層を有する光学補償フィルムを用いたことを特徴とする上記14に記載の偏光板。
16.光学補償フィルムの光学異方性層が光学異方性を有するディスコティック構造単位を有する化合物を有し、該ディスコティック構造単位の円盤面がフィルム表面に対して傾いており、かつ該円盤面とフィルム表面とのなす角度が、光学異方性層の深さとともに変化していることを特徴とする上記15に記載の偏光板。
17.上記12または13に記載の反射防止フィルム、並びに上記14〜16のいずれかに記載の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
18.TN、STN、IPS、VAおよびOCBのいずれかのモードの透過型、反射型または半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする上記17記載の画像表示装置。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂として、ラジカル重合性基の反応性と安定性のバランスが取れた素材を使用すること、さらには微粒子を併用すること、該樹脂素材の硬化処理時を特定の条件領域にすることにより、硬化性樹脂組成物の安定性と硬化性を両立でき、所望の低い屈折率と強度を有する均質な薄層(低屈折率層)を得ることができる。従って、本発明の組成物から諸性能に優れる本発明の反射防止フィルムが得られ、しかも該反射防止フィルムを設けた本発明表の偏光板、これら反射防止フィルムや偏光板を備えた液晶表示装置等の本発明の画像表示装置を得ることができる。
本願明細書において、「数値A」〜「数値B」という記載は、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「数値A以上数値B以下」の意味を表す。また、「(メタ)アクリロイル」の記載は、「アクリロイルまたはメタクリロイル、あるいは両者」の意味を表す。「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリルアミド」も同様である。
[反射防止フィルムの層構成]
本発明の反射防止フィルムは、透明支持体上に、光透過性を有し屈折率の異なる複数の層が積層されてなる多層型反射防止フィルムを有する。本発明においては、各層とも、少なくとも1種類の膜形成性の溶質と少なくとも1種類の溶媒とを含む塗布組成物を塗布、乾燥、硬化させることにより形成する。硬化させる際には、必要に応じて加熱および/または電離放射線を照射してもよい。なお、膜形成性の溶質とは有機バインダーや有機金属化合物など層のマトリックス材料を意味する。
2層積層から成る反射防止フィルムは、透明支持体側から、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成を有する。ここで、透明支持体、高屈折率層及び低屈折率層は以下の関係を満足する屈折率を有する。
高屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
なお、本明細書において、2層積層、3層積層などと言うときは、積層の数のなかに透明支持体は含まれない。
透明支持体と高屈折率層との間には、ハードコート層を設けてもよい。また、高屈折率層がハードコート層、防眩層の機能を兼ね、高屈折率ハードコート層または防眩性高屈折率ハードコート層であってもよい。
なお、本明細書において反射防止フィルムの層を示す高屈折率、中屈折率、低屈折率とは、層相互の相対的な屈折率の高低をいう。
少なくとも3層積層から成る反射防止フィルムは、透明支持体側から、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成を有する。透明支持体、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
透明支持体と中屈折率層との間には、ハードコート層を設けてもよい。また、中屈折率層はハードコート層、即ち中屈折率ハードコート層であってもよい。
このような3層構成では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、中屈折率層が下記数式(I)、高屈折率層が下記数式(II)、低屈折率層が下記数式(III)をそれぞれ満足することがより優れた反射防止性能を有する反射防止フィルムを作製できる点で好ましい。
数式(I):(hλ/4)×0.7<n33<(hλ/4)×1.3
数式(I)中、hは正の整数(一般に1、2または3)であり、n3は中屈折率層の屈折率であり、そして、d3は中屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
数式(II):(iλ/4)×0.7<n44<(iλ/4)×1.3
数式(II)中、iは正の整数(一般に1、2または3)であり、n4は高屈折率層の屈折率であり、そしてd4は高屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
数式(III):(jλ/4)×0.7<n55<(jλ/4)×1.3
数式(III)中、jは正の奇数(一般に1)であり、n5は低屈折率層の屈折率であり、そしてd5は低屈折率層の層厚(nm)である。λは可視光線の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
更には、中屈折率層が下記数式(IV)、高屈折率層が下記数式(V)、低屈折率層が下記数式(VI)をそれぞれ満足することが、特に好ましい。ここで、λは500nm、hは1、iは2、jは1である。
数式(IV):(hλ/4)×0.80<n33<(hλ/4)×1.00
数式(V) :(iλ/4)×0.75<n44<(iλ/4)×0.95
数式(VI):(jλ/4)×0.95<n55<(jλ/4)×1.05
これにより、反射防止フィルムの反射光の色味(後述)がニュートラルとなり、表示装置の表示画像の視認性が優れたものと成る。
ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層などに、平均粒径が0.2〜10μmの粒子を含有させて、防眩層の機能を兼ねさせることにより、防眩機能を有する反射防止フィルムを作製することも好ましい。
また、上記のいずれかの形態において、更に帯電防止層や防湿層等の他の層を最上層か、もしくはいずれかの層の間に設けても良い。
[透明支持体]
本発明の反射防止フィルムの透明支持体としては、ガラス板よりもプラスチックフィルムの方が好ましい。プラスチックフィルムの材料の例には、セルロースアシレート(例、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4、4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリシクロアルカン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトン等が含まれる。セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが好ましい。
透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率は、1.4〜1.7であることが好ましい。
透明支持体には、赤外線吸収剤あるいは紫外線吸収剤を添加してもよい。赤外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、SiO2、TiO2、BaSO4、CaCO3、タルクおよびカオリンが含まれる。
透明支持体がセルロースアシレートフィルムの場合、セルロースアシレートを溶剤に溶解して調製したセルロースアシレート溶液(ドープと称する)を単層流延、複数層共流延の何れかの流延方法により作製したセルロースアシレートフィルムが好ましい。
特に、環境保全の観点から、セルロースアシレートを低温溶解法あるいは高温溶解法によってジクロロメタンを実質的に含まない溶剤に溶解することで調製したセルロースアシレートドープを用いて作製したセルロースアシレートフィルムが好ましい。
単層のセルロースアシレートフィルムは、特開平7−11055号公報等で開示されているドラム流延、あるいはバンド流延等により作製され、後者の複数の層からなるセルロースアシレートフィルムは、特開昭61−94725号公報、特公昭62−43846号公報等で開示されている、いわゆる共流延法により作製される。
例えば、原料フレークをハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル等)等の溶剤にて溶解し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えた溶液(ドープ)を、水平式のエンドレスの金属ベルトまたは回転するドラムからなる支持体の上に、ドープ供給手段(ダイと称する)により流延する。
単層ならば単一のドープを単層流延し、複数の層ならば高濃度のセルロースエステルドープの両側に低濃度ドープを共流延し、支持体上である程度乾燥して剛性が付与されたフィルムを支持体から剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部を通過させて溶剤を除去する。
上記のような、セルロースアシレートを溶解するための溶剤としては、ジクロロメタンが代表的である。しかし、地球環境や作業環境の観点では、溶剤はジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶剤中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。ジクロロメタン等を実質的に含まない溶剤を用いてセルロースアシレートのドープを調整する場合には、後述するような特殊な溶解法を用いることが好ましい。
第一の方法は、冷却溶解法と称され、以下に説明する。まず室温付近の温度(−10〜40℃)で溶剤中にセルローストリアセテートを撹拌しながら徐々に添加する。次に、混合物は−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルローストリアセテートと溶剤の混合物は固化する。さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、溶剤中にセルローストリアセテートが流動する溶液となる。昇温は、室温中に放置するだけでもよいし、温浴中で加温してもよい。
第二の方法は、高温溶解法と称され、以下に説明する。まず室温付近の温度(−10〜40℃)で溶剤中にセルローストリアセテートを撹拌しながら徐々に添加する。セルローストリアセテート溶液は、各種溶剤を含有する混合溶剤中にセルローストリアセテートを添加し予め膨潤させることが好ましい。本法において、セルローストリアセテートの溶解濃度は30質量%以下が好ましいが、膜製膜時の乾燥効率の点から、なるべく高濃度であることが好ましい。次に有機溶剤混合液は、0.2MPa〜30MPaの加圧下で70〜240℃に加熱される(好ましくは80〜220℃、更に好ましく100〜200℃、最も好ましくは100〜190℃)。次にこれらの加熱溶液はそのままでは塗布できないため、使用された溶剤の最も低い沸点以下に冷却する必要がある。その場合、−10〜50℃に冷却して常圧に戻すことが一般的である。冷却はセルローストリアセテート溶液が内蔵されている高圧高温容器や配管系を、室温に放置するだけでもよく、更に好ましくは冷却水などの冷媒を用いて該装置を冷却してもよい。ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルムおよびその製造法については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、以下公開技報2001−1745号と略す)に記載されている。
上記の透明支持体の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚は1〜300μmがよく、好ましくは30〜150μm、特に好ましくは40〜120μm、最も好ましくは40〜100μmである。
[低屈折率層]
本発明の反射防止フィルムは、透明支持体上に設けた高屈折率層の上に低屈折率層を順次積層して成ることが好ましい。低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.49であることが好ましく、1.20〜1.45であることがより好ましく、1.20〜1.44であることがさらに好ましい。
耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等から成る薄膜層の手段を適用できる。
本発明において、「含フッ素化合物を主体とする」とは、最外層中に含まれる含フッ素化合物が最外層の全質量に対し、50質量%以上であることを意味し、60質量%以上含まれることがより好ましい。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含むことが好ましい。
含フッ素化合物には、含フッ素ポリマー、含フッ素界面活性剤、含フッ素エーテル、含フッ素シラン化合物等が挙げられる。具体的には、例えば特開平9−222503号公報段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報段落番号[0019]〜[0030]、同2001−40284号号公報段落番号[0027]〜[0028]等の記載の化合物等が挙げられる。
含フッ素ポリマーとしてフッ素原子を含む繰り返し構造単位、架橋性若しくは重合性の官能基を含む繰り返し構造単位、及びそれ以外の基からなる繰り返し構造単位(以後、「その他の繰り返し構造単位」とも言う)からなる共重合体が好ましい。
その他の繰り返し構造単位としては、塗布溶剤可溶化のために炭化水素系共重合成分が好ましく、その他の繰り返し構造単位を50%程度導入したフッ素系ポリマーが好ましい。この際には、シリコーン化合物と組み合わせることも好ましい。
シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、上市品のサイラプレーン(チッソ(株)製等)等の反応性シリコーン、特開平11−258403号公報に記載のポリシロキサン構造の両末端にシラノール基含有の化合物等が挙げられる。
架橋性基または重合性基を有する含フッ素ポリマーの架橋または重合反応は、低屈折率層を形成するための塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
また、シランカップリング剤と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル硬化膜も好ましい。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報等記載の化合物)、特開平9−157582号公報記載のパーフルオロアルキル基含有シランカップリング剤、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
本発明では、低屈折率層は、含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を必須の構成成分とする共重合体(FP)の硬化皮膜によって形成される層であることが特に好ましい。
該共重合体由来の成分は皮膜固形分の20質量%以上を占めることが好ましく、40質量%以上を占めることがより好ましく、60質量%以上を占めることが特に好ましい。
以下に、前記の特定の含フッ素共重合体(FP)について説明する。
含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やM−2020(商品名、ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下する。本発明では含フッ素共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
本発明で好ましく用いられる含フッ素共重合体(FP)は、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を必須の構成成分として有する。含フッ素共重合体への(メタ)アクリロイル基の導入法は特に限定されるものではないが、例えば、(i)水酸基、アミノ基等の求核基を有するポリマーを合成した後に、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸とメタンスルホン酸の混合酸無水物等を作用させる方法、(ii)上記求核基を有するポリマーに、硫酸等の触媒存在下、(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(iii)上記求核基を有するポリマーにメタクリロイルオキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(iv)エポキシ基を有するポリマーを合成した後に(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(v)カルボキシル基を有するポリマーにグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(vi)3−クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う方法などが挙げられる。これらの中で、本発明では特に水酸基を含有するポリマーに対して(i)または(ii)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入することが好ましい。
また、これらの本発明で好ましく用いられる含フッ素共重合体は、更に保存安定性の観点を加えると、測鎖にメタクリロイル基を有する繰返し単位を構成成分として有することが好ましく、また安定性と膜の硬化性を両立する観点ではアクリロイル基とメタクリロイル基を併せ持つことが好ましい。アクリロイル基とメタクリロイル基を併せ持つ場合には、アクリロイル基/メタクリロイル基の数の比で5/95乃至95/5の範囲でこれらの基を有することが出来る。また、上記の観点における別の形態として、アクリロイル基を有する含フッ素共重合体とメタクリロイル基を有する含フッ素共重合体を併用することも好ましい。
これらの(メタ)アクリロイル基含有繰返し単位の組成比を高めれば皮膜強度は向上するが屈折率も高くなる。含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位の種類によっても異なるが、一般に(メタ)アクリロイル基含有繰返し単位は5〜90質量%を占めることが好ましく、30〜70質量%を占めることがより好ましく、40〜60質量%を占めることが特に好ましい。
本発明に有用な含フッ素共重合体では上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で含フッ素共重合体中の0〜65mol%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40mol%の範囲であることがより好ましく、0〜30mol%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、ビニルモノマーとして例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N‐ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
本発明に用いられる含フッ素共重合体の好ましい形態として下記一般式1aで表される重合体が挙げられる。
一般式1a
Figure 2005283849
一般式1a中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましいLの例としては、*−(CH22−O−**,*−(CH22−NH−**、*−(CH24−O−**、*−(CH26−O−**、*−(CH22−O−(CH2 2−O−**、*−CONH−(CH23−O−**、*−CH2CH(OH)CH2−O−**、*−CH2CH2OCONH(CH23−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表す。
一般式1a中、Xは水素原子またはメチル基を表す。後述に記載の樹脂組成物の安定性と硬化後の膜強度を両立する観点では、メチル基が好ましい。
一般式1a中、Aは、任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表し、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。
本発明に用いられる含フッ素共重合体の特に好ましい形態として一般式1bで表される共重合体が挙げられる。
一般式1b
Figure 2005283849
一般式1bにおいて、X、x、yは一般式1aと同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表し、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表し、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。例としては、前記一般式1aにおけるAの例として説明したものが当てはまる。
z1およびz2は、それぞれの繰返し単位のmol%を表し、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値である。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。
一般式1aまたは1bで表される含フッ素共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる含フッ素共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
以下に本発明で有用な一般式1aまたは1bで表される含フッ素共重合体の具体例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005283849
Figure 2005283849
Figure 2005283849
Figure 2005283849
Figure 2005283849
P−41:P−3のXをCH3に置き換えた重合体(Mn=4.8×104)。
P−42:P−4のXをCH3に置き換えた重合体(Mn=3.5×104)。
P−43:P−5のXをCH3に置き換えた重合体(Mn=3.8×104)。
P−44:P−6のXをCH3に置き換えた重合体(Mn=4.3×104)。
P−45:P−7のXをCH3に置き換えた重合体(Mn=8.5×104)。
P−46:P−8のXをCH3に置き換えた重合体(Mn=1.8×104)。
P−47:P−10のXをCH3に置き換えた重合体(Mn=5.8×104)。
P−48:P−11のXをCH3に置き換えた重合体(Mn=2.8×104)。
Figure 2005283849
本発明に用いられる含フッ素共重合体(FP)の合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することにより行なうことができる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。具体的には、特開2004−45462号公報等に記載の内容で行なうことができる。
(低屈折率層形成用の硬化性樹脂組成物)
本発明の低屈折率層形成用の硬化性樹脂組成物(以下、塗布組成物とも言うことがある)は、前記含フッ素共重合体を構成成分とするのが好ましく、さらに必要に応じて各種添加剤および重合開始剤を適当な溶剤に溶解して作製されることが好ましい。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが、一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
低屈折率層の皮膜硬度の観点からは硬化剤等の添加剤を添加することは必ずしも有利ではないが、高屈折率層との界面密着性等の観点から、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物等の硬化剤、あるいはシリカ等の無機微粒子を添加することもできる。また、硬化性を向上させる目的で増感剤を併用することもできる。増感剤としては、後記する高屈折率層で使用するのものと同様のものが挙げられる。これらを添加する場合には低屈折率層皮膜の全固形分に対して0〜90質量%の範囲であることが好ましく、0〜80質量%の範囲であることがより好ましく、0〜70質量%の範囲であることが特に好ましい。
また、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤、後述の表面自由エネルギーを低下させる化合物等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
重合開始剤としては熱の作用によりラジカルを発生するもの、あるいは光の作用によりラジカルを発生するもののいずれの形態も可能である。
熱の作用によりラジカル重合を開始する化合物としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
光の作用によりラジカル重合を開始する化合物としては、後記する高屈折率層で例示したと同様の化合物が挙げられる。
熱または光の作用によってラジカル重合を開始する化合物の添加量としては、炭素−炭素二重結合の重合を開始できる量であれば良いが、一般的には低屈折率層形成組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%であり、特に好ましくは2〜5質量%の場合である。
低屈折率層形成用硬化樹脂組成物に含まれる溶剤としては、含フッ素共重合体を含む組成物が沈殿を生じることなく、均一に溶解または分散されるものであれば特に制限はなく2種類以上の溶剤を併用することもできる。好ましい例としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、含フッ素溶媒などを挙げることができる。
低屈折率層は、含フッ素化合物以外に充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)、シランカップリング剤、界面活性剤等を含有することができる。特に、無機微粒子、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
(無機微粒子)
次に本発明の低屈折率層中に、含有することのできる無機微粒子について、以下に記載する。
無機微粒子の塗設量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。例えば、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子が好ましい。無機微粒子の平均粒径は、耐擦傷性の改良効果、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ黒の締まりといった外観や積分反射率の悪化を抑制すること等の観点から、30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
低屈折率層の屈折率上昇をより一層少なくするために、中空のシリカ微粒子を用いることが好ましく、該中空シリカ微粒子は屈折率が1.17〜1.40、より好ましくは1.17〜1.35、さらに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、空隙率xは下記数式(VIII)で算出され、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
(数式VIII):x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17未満の低屈折率の粒子は成り立たない。
なお、これら中空シリカ粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定をおこなった。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することが好ましい。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
シリカ微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。カップリング剤の使用が特に好ましい。 カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
上記カップリング剤は、低屈折率層の無機フィラーの表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
シリカ微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
また、硬化性樹脂組成物中に上記の無機微粒子を用いることは、理由は定かではないが、本発明の硬化性組成物における安定性と硬化後の膜強度を両立することに対して有効である。
以上シリカ微粒子について述べたことは、他の無機粒子についても適用される。
上記の硬化性組成物に添加して使用できるシランカップリング剤の好ましい例として、下記一般式[A]で表されるオルガノシラン化合物、その加水分解物およびその部分縮合物から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。オルガノシラン化合物の加水分解物またはその部分縮合物、あるいはこれら両者の混合物を以後、ゾル成分と称する。
一般式[A]:(R10m−Si(X)4-m
(式中、R10は不飽和結合を含むアルキル基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
前記オルガノシラン化合物またはそのゾル成分を併用すると耐擦傷性を向上できる点で、特に反射防止能と耐擦傷性とを両立させる点で、好ましい。
このオルガノシラン化合物またはそのゾル成分は、前記硬化性組成物に配合され、該組成物を塗布、乾燥後、電離放射線照射および加熱のいずれかの手段で重合して硬化物を形成する際に、低屈折率層のバインダーとして機能する。上記多官能(メタ)アクリレートモノマーと併用した場合には、共架橋することで、さらに硬度が向上する。
前記一般式[A]において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR11COO(R11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはXが複数存在するとき、複数のR10あるいはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
前記一般式[A]で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式[B]で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
一般式[B]
Figure 2005283849
前記一般式[B]において、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。R1としては、水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくは *−COO−** ,*−CONH−** または *−O−** を表し、単結合、*−COO−** および *−CONH−** が好ましく、単結合および *−COO−** が更に好ましく、*−COO−** が特に好ましい。* は=C(R1)−に結合する位置を、** はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は一般式[A]の場合と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは一般式[A]と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
一般式[A]、一般式[B]の化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式[A]、一般式[B]で表される化合物の具体例を示すが、限定されるものではない。
Figure 2005283849
Figure 2005283849
これらのうち、(M−1)、(M−2)、および(M−5)が特に好ましい。
そして、前記オルガノシラン化合物から誘導されるゾル成分は、一般に前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造されるものである。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、TiまたはAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。本発明においては、無機酸類及び有機酸類、または金属キレート化合物を触媒として用いるのが好ましい。中でも、無機酸では塩酸、硫酸が好ましく、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、更には、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸が好ましく、特に、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、具体的には、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
金属キレート化合物は、Zr、TiまたはAlから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
本発明の金属キレート化合物は、縮合反応の速度および塗膜にした場合の膜強度の観点から、オルガノシランに対し、好ましくは、0.01〜50質量%、より好ましくは、0.1〜50質量%、さらに好ましくは、0.5〜10質量%の割合で用いられる。
本発明に用いられる低屈折率層の塗布液には、上記オルガノシラン化合物の加水分解物および部分縮合物のうち少なくとも1種と金属キレート化合物が配合され、さらに加えてβ−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物のうち少なくとも1種が配合されることが好ましく、上記金属キレート化合物の配位子として用いられている化合物の配合が好ましい。これらの化合物は、本発明に用いられる組成物の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウムおよびアルミニウム化合物のうちの少なくとも1種)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物のゾル成分の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物およびβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物またはβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。
加水分解・縮合反応は、通常、オルガノシランの加水分解性基1モルに対して0.3〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして好ましくは触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
加水分解性基がアルコキシドで触媒が有機酸の場合には、有機酸のカルボキシル基やスルホ基がプロトンを供給するために、水の添加量を減らすことができ、オルガノシランのアルコキシド基1モルに対する水の添加量は、0〜2モル、好ましくは0〜1.5モル、より好ましくは、0〜1モル、特に好ましくは、0〜0.5モルである。アルコールを溶媒に用いた場合には、実質的に水を添加しない場合も好適である。
触媒の使用量は、触媒が無機酸の場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、触媒が有機酸の場合には、水の添加量によって最適な使用量が異なるが、水を添加する場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、実質的に水を添加しない場合には、加水分解性基に対して1〜500モル%、好ましくは10〜200モル%であり、より好ましくは20〜200モル%であり、更に好ましくは50〜150モル%であり、特に好ましくは50〜120モル%である。
反応は25〜100℃で撹拌することにより行われるが、オルガノシランの反応性により適宜調節されることが好ましい。
前記オルガノシラン化合物またはそのゾル成分の配合量は、低屈折率層の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
前記オルガノシラン化合物のままで低屈折率層に添加すると、溶剤の乾燥中にオルガノシラン化合物の一部が同時に揮発することがあるため、比較的多量に添加する必要がある。一方、ゾル成分として添加する場合には、比較的添加量を減量でき、屈折率等の特性の制御がしやすく、好ましい。
(重合禁止剤)
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合禁止剤を構成成分として含有することができる。
本発明において好適に用いることができる重合禁止剤としては、例えばヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、モノ−tert−ブチルヒドロキノン、カテコール、p−tert−ブチルカテコール、p−メトキシフェノール、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−m−クレゾール、ピロガロール、s−ナフトール等のフェノール類、ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、p−トルキノン、p−キシロキノンなどのキノン類;ニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、2−メチル−2−ニトロソプロパン、a−フェニル−tert−ブチルニトロン、5,5−ジメチル−1−ピロリン−1−オキシドなどのニトロ化合物またはニトロソ化合物;クロラニル−アミン、ジフェニルアミン、ジフェニルピクリルヒドラジン、フェノール−a−ナフチルアミン、ピリジン、フェノチアジンなどのアミン類;ジチオベンゾイルスルフィド、ジベンジルテトラスルフィドなどのスルフィド類等のラジカル重合禁止剤が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いてもよい。
より好ましくはフェノール類、キノン類、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、アミン類、スルフィド類のうち少なくとも1つに属する化合物である。中でも、ラジカル捕捉能が高く、得られる皮膜の屈折率を低くできることから、フェノール類を用いることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物に用いられる特に好ましい重合禁止剤として、下記一般式2で表される化合物が挙げられる。下記一般式2で表される化合物を用いることにより、高い安定性を硬化性樹脂組成物に付与することができる。
Figure 2005283849
一般式2中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表す。R1は、好ましくは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、特に好ましくは水素原子またはメチル基である。
2及びR3は、それぞれ炭素数1〜8のアルキル基を表し、直鎖でも、分岐構造または環構造を有してもよい。R2及びR3は、好ましくは4級炭素を含む*−C(CH32−R4で表される構造(*は芳香環への連結部位を表し、R4は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)である。
2は、より好ましくはt−ブチル基、t−アミル基またはt−オクチル基である。R3は、より好ましくはt−ブチル基、t−アミル基である。このような化合物として、市販のものではSumilizer GM、Sumilizer GS(共に商品名、住友化学工業(株)製)等が挙げられる。
以下に、本発明で好ましく用いられる重合禁止剤の例(I−1〜I−34)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、I−1〜I−18は、前記一般式2の具体例に該当するが、I−19〜I−34はその他の化合物である。
Figure 2005283849
Figure 2005283849
Figure 2005283849
Figure 2005283849
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これら重合禁止剤は、本発明のラジカル重合性基を有する含フッ素共重合体に対して十分な安定性を発揮させるために、硬化性樹脂組成物中の全固形分に対して0.0001〜10質量%となるように添加することが好ましく、より好ましくは0.0001〜5質量%であり、特に好ましくは0.001〜2質量%である。
これらの重合禁止剤の適量を併用することにより、本発明の硬化性樹脂組成物の安定性と硬化後の膜強度を両立することができる。
(表面自由エネルギーを低下させる化合物)
表面自由エネルギーを低下させる化合物としては公知のシリコーン系あるいはフッ素系、あるいはフルオロアルキルシリコーン系の化合物を用いることができる。これらを添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物の分子鎖の末端および側鎖の少なくともいずれかに置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM−4421、FM−5521、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221 (以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CF2CF3、−CH2(CF24H、−CH2(CF28CF3、−CH2CH2(CF24H等)であっても、分岐構造(例えば−CH(CF32、−CH2CF(CF32、−CH(CH3)CF2CF3、−CH(CH3)(CF26H等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えば、−CH2OCH2CF2CF3、−CH2CH2OCH2(CF24H、−CH2CH2OCH2CH2817、−CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フルオロアルキルシリコーン化合物としてはGelest社製FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。フッ素含量およびシリコーン含量、分子内に有する好ましい置換基の例は前述したシリコーン化合物、フッ素系化合物に同じであることが好ましいが特に制限されるものではない。
(塗布液の安定性と硬化性の両立)
塗布液は生産性、生産安定性の観点で素材の経時安定性が求められる。更に膜強度やその工程ロバスト性の観点での生産安定性のため、硬化性の安定性が求められる。また、生産性、コスト、低環境負荷等の観点では、高速塗布適性、硬化エネルギーの低エネルギー化が求められている。結果として、これらの経時安定性と硬化性の安定性を両立することが求められる。
そこで、先ず本発明の特徴としては、硬化性が良好であり、硬化反応が十分進行することがあげられる。具体的には、硬化処理後の反応率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。反応率が60%以下だと膜中の架橋密度が充分でなく、所望の膜強度をえられずに耐擦傷性等の性能が低下する。
硬化処理における反応率は、以下の方法により求めた。先ず、調液後の低屈折率層塗布液中に存在するラジカル重合性基量は、該樹脂組成物を赤外分光光度計により測定し、1700cm-1付近のカルボニル基の伸縮振動による吸収と、810cm-1付近の二重結合の変角振動による吸収の強度比(=b/a)を求め、ラジカル重合性基量とした。更に、硬化処理後の膜中におけるラジカル重合性基量については、該樹脂組成物を塗設し、硬化処理後の硬化膜を赤外分光光度計により測定することで、塗布液中のラジカル重合性基量と同様にしてラジカル重合性基量を求め、更に塗布液中のラジカル重合性基量に対する硬化膜のラジカル重合性基量の比率として反応率を求めた。
本発明の更なる特徴としては、塗布液の硬化性と経時安定性を両立することである。具体的には、塗布液の経時安定性を確認する目的で加熱経時安定性試験を行い、経時試験後の塗布液の安定性は、該樹脂組成物を塗設してなる膜を硬化処理する前での膜中の含フッ素共重合体中に含まれるラジカル重合性基量と調液直後の該樹脂組成物中の該ラジカル重合性基量の比率を指標とし、確認した。尚、本発明における加熱経時試験は、樹脂組成物を調整後、遮光容器に保管し、40℃の恒温水槽において30日間の静置経時させることを示す。
尚、上記のラジカル重合性基量は、具体的にはいずれも以下の方法により求めた。すなわち、上記の各低屈折率層用塗布液をグラビアコーターとドクターブレードを用いて膜厚100μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(FD−100M、富士写真フイルム(株)製)上に塗設することで得られた塗布膜中に存在するラジカル重合性基量を、上記の方法により求め、各条件での得られたラジカル重合性基量の比をもとめることで、安定性の評価を行った。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述したように、安定性が良好なことが特徴である。具体的には、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布後、硬化処理前の重合体中に含まれる未反応のラジカル重合性基量の、塗布前の該硬化性樹脂組成物に含まれる該重合体中の未反応のラジカル重合性基量に対する比率が0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.95以上であることが更に好ましい。また、前記の加熱経時安定性試験後のラジカル重合性基量が、樹脂組成物を調整直後のラジカル重合性基量に対する比率で0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.95以上であることが更に好ましく、0.97以上であることがもっとも好ましい。さらに硬化性樹脂組成物を40℃、30日間の加熱経時した後に塗布した場合にも、硬化処理前の重合体中に含まれる未反応のラジカル重合性基量の、加熱経時前の該硬化性樹脂組成物に含まれる該重合体中の未反応のラジカル重合性基量に対する比率が0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.95以上であることが更に好ましい。上記比率が0.8以上であると、塗布液中に反応物を含む異物が形成されることがなく、膜中に欠損部位ができ輝点が形成されたり、その他のスジ状、段状、ムラ状の面状が形成されないなど、良好な塗布性が得られる点で好ましい。比率が0.5を下回る場合には、点欠陥が発生しやすく、ムラが生じやすいだけでなく、膜強度が損なわれ耐擦傷性が低下する。
本発明の硬化性樹脂組成物においては、前記の重合禁止剤を硬化性樹脂組成物中の全固形分に対して0.0001〜10質量%となるように添加することにより上記の比率を0.8以上にすることができる。重合禁止剤の添加量は、より好ましくは0.0001〜5質量%であり、特に好ましくは0.001〜2質量%である。また、上記の比率を0.8以上にするという点では、一般式1a及び1bで表される含フッ素共重合体のXとしてメチル基を選択することが好ましい。
(低屈折率層の形成)
低屈折率層は、含フッ素共重合体、その他所望により含有される任意成分を溶解あるいは分散させた硬化性樹脂組成物(塗布組成物)を塗布と同時、または塗布後に光照射、電子線ビーム照射や加熱することによる架橋反応、または、重合反応により形成することが好ましい。
本発明において、低屈折率層は、前述した透明支持体上に本発明の低屈折率層形成用の塗布組成物をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、光及び/または熱照射することにより作製することができる。薄膜形成方法についてはウエット塗布量を最小化することで乾燥ムラをなくす観点からは、マイクログラビア法およびグラビア法が好ましい。また、好ましくは、光照射による硬化が、迅速硬化から有利である。更には、光硬化処理の後半で加熱処理することも好ましい。
光照射の光源は、紫外線光域或いは近赤外線光のものであればいずれでもよく、紫外線光の光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる。波長350〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。また、近赤外光光源としてはハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプが挙げられ、波長750〜1400nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。近赤外光光源を用いる場合、紫外線光源と組み合わせて用いても良いし、低屈折率層塗設側と反対の基材面側より光照射しても良い。
塗膜層内の深さ方向での膜硬化が表面近傍と遅滞無く進行し均一な硬化状態の硬化膜が得られる。
照射する紫外線の照射強度は、0.1〜300mW/cm2程度が好ましく、塗布膜表面上での光照射量は100〜1000mJ/cm2が好ましい。また、光照射工程での塗布膜の温度分布は、均一なほど好ましく、±3℃以内が好ましく、更には±1.5℃以内に制御されることが好ましい。この範囲において、塗布膜の面内及び層内深さ方向での重合反応が均一に進行するので好ましい。
また電子線照射の場合は、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器から放出される50〜1000keVのエネルギーを有する電子線が用いられる。
光照射による光ラジカル重合の場合は、空気または不活性気体中で行なうことができるが、ラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、または重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。好ましくは酸素濃度が1体積%以下、更に好ましくは酸素濃度が0.5体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が0.3体積%以下である。
酸素濃度を1体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
また、上記のラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、または重合率を十分に高めるための別の手段としては、光照射時の雰囲気温度を制御する方法か、もしくは膜面温度を所定の温度に制御する方法を用いることができる。具体的には、光照射時の膜面温度を60℃以上にすることが好ましく、80℃以上にすることがより好ましく、90℃以上にすることが更に好ましい。
さらには、上記の酸素濃度を少なくする方法と膜面温度を高める方法を併用することもできる。
低屈折率層の厚さは、50〜400nmであることが好ましく、50〜200nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、反射防止フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
[高屈折率層]
本発明の高屈折率層は、好ましくは、高屈折率の無機化合物微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性組成物を塗設して形成される屈折率1.55〜2.40の硬化皮膜から成る。屈折率は1.65〜2.30が好ましく、更には1.80〜2.00が特に好ましい。本発明の高屈折率層の屈折率は屈折率1.55〜2.40であり、いわゆる高屈折率層あるいは中屈折率層と言われている層であるが、以下の本明細書では、これらの層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。
(高屈折率無機微粒子)
本発明の高屈折率層に含まれる高屈折率の無機微粒子は、屈折率が好ましくは1.80〜2.80、一次粒子の平均粒径が好ましくは3〜200nmである。屈折率が上記範囲にあると、皮膜の屈折率を高める効果が充分であり、粒子の着色を避けることができる。また、一次粒子の平均粒径が上記範囲にあると、高い屈折率が保持され、形成される皮膜のヘイズ値が低く、皮膜の透明性が維持される。本発明で、より好ましい無機微粒子は、屈折率が1.90〜2.80で、一次粒子の平均粒径が3〜150nmの粒子であり、更に好ましい無機微粒子は、屈折率が1.90〜2.80で、一次粒子の平均粒径が5〜80nmの粒子である。
好ましい高屈折率無機微粒子の具体例は、Ti、Zr、Ta、In、Nd、Sn、Sb、Zn,La、W、Ce、Nb、V、Sm、Y等の酸化物或は複合酸化物、硫化物を主成分とする粒子が挙げられる。ここで、主成分とは粒子を構成する成分の中で最も含有量(重量%)が多い成分をさす。本発明でより好ましい高屈折率無機微粒子の具体例は、Ti、Zr、Ta、In、Snから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む酸化物若しくは複合酸化物を主成分とする粒子である。
本発明で使用される無機微粒子には、粒子の中に種々の元素が含有されていても構わない。例えば、Li、Si、Al、B、Ba、Co、Fe、Hg、Ag、Pt、Au、Cr、Bi、P、Sなどが挙げられる。酸化錫、酸化インジウムの場合は、粒子の導電性を高めるために、Sb、Nb、P、B、In、V、ハロゲンなどの元素を含有させることが好ましく、酸化アンチモンを約5〜20重量%含有させたものが特に好ましい。
特に好ましい無機微粒子は、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)、Zr(ジルコニウム)から選ばれる少なくとも1つの元素を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子である。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
本発明における二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の一次粒子の質量平均径は3〜200nmであることが好ましく、より好ましくは3〜150nm、さらに好ましくは3〜100nm、特に好ましくは5〜80nmである。
無機微粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。無機微粒子の比表面積は、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることがさらに好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子に、Co、Al及びZrから選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、二酸化チタンが有する光触媒活性を抑えることができ、本発明の高屈折率層の耐候性を改良することができる。
特に、好ましい元素はCoである。また、2種類以上を併用することも好ましい。
Ti(チタン)に対するCo、AlまたはZrの含有量は、それぞれTiに対して0.05〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜7質量%、特に好ましくは0.3〜5質量%、最も好ましくは0.5〜3質量%である。
Co、Al及びZrは、二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部と表面の少なくともいずれかに存在させることができるが、二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部に存在させることが好ましく、内部と表面の両方に存在することが最も好ましい。
Co、Al、Zrを二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部に存在させる(例えば、ドープする)には、種々の手法がある。例えば、イオン注入法(Vol.18,No.5,pp.262−268,1998;青木 康)や、特開平11−263620号公報、特表平11−512336号公報、ヨーロッパ公開特許第0335773号明細書、特開平5−330825号公報に記載の手法があげられる。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の粒子形成過程において、Co、Al、Zrを導入する手法(例えば、特表平11−512336号公報、ヨーロッパ公開特許第0335773号明細書、特開平5−330825号公報に記載)が特に好ましい。
Co、Al、Zrは、酸化物として存在することも好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子には、目的により、さらに他の元素を含むこともできる。他の元素は、不純物として含んでいてもよい。他の元素の例としては、上記の無機粒子で例示した元素が挙げられる。
また、他の好ましい無機粒子として、チタン元素と酸化物が屈折率1.95以上となる金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素(以下、「Met」とも略称する)との複合酸化物の粒子で、かつ該複合酸化物はCoイオン、Zrイオン、及びAlイオンから選ばれる金属イオンの少なくとも1種がドープされてなる無機微粒子(「特定の複酸化物」と称することもある)が挙げられる。ここで、該酸化物の屈折率が1.95以上となる金属酸化物の金属元素としては、Ta、Zr、In、Nd、Sb、Sn、及びBiが好ましい。特には、Ta、Zr、Sn、Biが好ましい。複合酸化物にドープされる金属イオンの含有量は、複合酸化物を構成する全金属[Ti+Met]量に対して、25質量%を越えない範囲で含有することが屈折率維持の観点から好ましい。より好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%、最も好ましくは0.3〜3質量%である。
ドープした金属イオンは、金属イオン、金属原子の何れのもので存在してもよく、複合酸化物の表面から内部まで適宜に存在する。表面と内部との両方に存在することが好ましい。
本発明の無機微粒子は結晶構造を有することが好ましい。結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。
このことにより、本発明の特定の酸化物或は特定の複酸化物の無機微粒子は、屈折率1.90〜2.80を有する。好ましくは、2.10〜2.80であり、更に好ましくは2.20〜2.80である。また、二酸化チタンが有する光触媒活性を抑えることができ、本発明の高屈折率層の耐候性を改良することができる。
本発明の無機微粒子は、二酸化チタンを主成分とする酸化物、或は複合酸化物をコアとして、無機化合物からなるシェルを形成するコア/シェル構造の微粒子も好ましい。シェルとしては、Al、Si、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素から成る酸化物が好ましく、特にAl、Zrが好ましい。具体的には、例えば特開2001−16604号公報記載の内容が挙げられる。
また、本発明に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、表面処理により光触媒活性を低下または消失させる無機化合物または有機化合物により被覆されていることが、高屈折率層の耐候性を改良する上では、好ましい。
表面処理に用いる無機化合物の例には、Coを含有する無機化合物(CoO2,Co23,Co34など)、Alを含有する無機化合物(Al23,Al(OH)3など)、Zrを含有する無機化合物(ZrO2,Zr(OH)4など)、ケイ素を含有する無機化合物(SiO2など)、鉄を含有する無機化合物(Fe23など)などが含まれる。
Coを含有する無機化合物、Alを含有する無機化合物、Zrを含有する無機化合物が特に好ましく、Alを含有する無機化合物とZrを含有する無機化合物を併用することが特に好ましい。
表面処理に用いる有機化合物の例には、従来公知の金属酸化物や無機顔料等の無機フィラー類の表面改質剤を用いることが出来る。例えば、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」第一章(技術情報協会、2001年刊行)等に記載されている。
具体的には、該無機粒子表面と親和性を有する極性基を有する有機化合物が挙げられる。該有機化合物は、有機カップリング化合物を含む。無機粒子表面と親和性を有する極性基としては、カルボキシ基、ホスホノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、環状酸無水物基、アミノ基等が挙げられる。有機化合物としては、分子中に少なくとも1種の上記極性基を含有する化合物が好ましい。例えば、長鎖脂肪族カルボン酸(例えばステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等)、ポリオール化合物(例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート等)、ホスホノ基含有化合物(例えばEO(エチレンオキサイド)変性リン酸トリアクリレート等)、アルカノールアミン(エチレンジアミンEO付加体(5モル)等)が挙げられる。
有機カップリング化合物としては、従来公知の有機金属化合物が挙げられ、アルミネートカップリング剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤(例、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどの金属アルコキシド、プレンアクト(KR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41Bなど;味の素(株)製)など)等が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましく、前記一般式[A]及び[B]で表される化合物が好ましい。
表面処理に用いる有機化合物は、さらに、架橋または重合性官能基を有することが好ましい。架橋または重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシカルボニル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、チオエポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基、スピロオルトエステル基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基等)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基、或はエポキシ基を有する基である。
これらの表面処理は、2種類以上を併用することもできる。
高屈折率層に含有される二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることが好ましく、特に好ましくは不定形状、紡錘形状である。
(高屈折率無機微粒子の分散剤)
本発明の無機微粒子の分散には、分散剤を用いることができる。
分散剤としては、該無機微粒子表面と親和性を有する極性基を有する低分子化合物、または高分子化合物であることが好ましい。
上記極性基としては、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、オキシホスホノ基、−P(=O)(OR21)(OH)基、−O−P(=O)(OR21)(OH)基、アミド基(−CONHR22、−SO2NHR22)、−SO2NHSO221、−CONHSO221、環状酸無水物含有基、アミノ基、四級アンモニウム基等が挙げられる。
ここで、R21は炭素数1〜18の炭化水素基を表す(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、クロロエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、シクロヘキシル基等)。R22は、水素原子または前記R21と同一の内容を表す。
上記極性基において、解離性プロトンを有する基はその塩であってもよい。また、上記アミノ基、四級アンモニウム基は、一級アミノ基、二級アミノ基または三級アミノ基のいずれでもよく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、炭素原子数が1〜12の脂肪族基(上記R21が表す炭化水素基と同一の内容のもの等)であることが好ましい。また、三級アミノ基は、窒素原子を含有する環形成のアミノ基(例えば、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、ピリジン環等)であってもよく、更に四級アンモニウム基はこれら環状アミノ基の四級アンモニウム基であってもよい。特に炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。
四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオン、PF6イオン、SbF6イオン、BF4イオン、B(R234イオン(R23は、炭化水素基を表し、例えばブチル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ブチルフェニル基等)、スルホン酸イオン等が好ましい。
本発明に係る分散剤の極性基としては、pKaが7以下のアニオン性基或はこれらの解離基の塩が好ましい。特に、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、オキシホスホノ基、またはこれらの解離基の塩が好ましい。
1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1個以上含有されていればよい。無機微粒子の分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個が含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
分散剤は、さらに架橋または重合性官能基を含有することが好ましい。架橋または重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシカルボニル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、チオエポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基)等が挙げられる。好ましくは、エチレン性不飽和基、エポキシ基、或は加水分解性シリル基である。
具体的には、例えば特開2001−310423号公報中の段落番号[0013]〜[0015]記載の化合物等が挙げられる。
本発明の好ましい分散剤は、アニオン性基と、架橋性官能基または重合性官能基のいずれかとを有する化合物が好ましい。更には、これらの化合物において該架橋または重合性官能基を側鎖に有する分散剤が特に好ましい。
アニオン性基と、架橋官能基または重合性官能基とを有し、更には該架橋または重合性官能基を側鎖に有する高分子分散剤の場合には、その重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。分散剤のより好ましい重量平均分子量(Mw)は2000〜1000000であり、さらに好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。
アニオン性基と、架橋官能基または重合性官能基とを有し、かつ該架橋または重合性官能基を側鎖に有する分散剤は、上記アニオン性基を側鎖または末端に有する。側鎖にアニオン性基を導入する方法としては、例えばアニオン性基含有モノマー(例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、部分エステル化マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、燐酸モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル等を重合させる方法、水酸基、アミノ基等を有するポリマーに対して酸無水物を作用させる方法等の高分子反応の利用する方法が挙げられる。
極性基含有の重合体成分の具体例としては、例えば特開平11−153703号公報中の段落番号[0024]〜[0041]記載の内容等が挙げられる。
側鎖にアニオン性基を有する分散剤において、アニオン性基含有繰返し単位の割合は、全繰返し単位のうちの10-4〜100mol%の範囲であり、好ましくは1〜50mol%、特に好ましくは5〜20mol%である。
一方、末端にアニオン性基を導入する手法としては、アニオン性基含有連鎖移動剤(例えばチオグリコール酸等)の存在下で重合反応を行なう手法、アニオン性基含有重合開始剤(例えば和光純薬工業性V−501)を用いて重合反応を行なう手法等によって合成できる。
特に好ましい分散剤は、側鎖にアニオン性基を有する分散剤である。
本発明に用いる好ましい分散剤において、側鎖にエチレン性不飽和基を有する繰返し単位の例としては、ポリ−1,2−ブタジエンおよびポリ−1,2−イソプレン構造あるいは、(メタ)アクリル酸のエステルまたはアミドの繰返し単位であって、それに特定の残基(−COORまたは−CONHRのR基)が結合しているものが利用できる。上記特定の残基(R基)の例としては、−(CH2)n−CR101=CR102103、−(CH2O)n−CH2CR101=CR102103、−(CH2CH2O)n−CH2CR101=CR102103、−(CH2)n−NH−CO−O−CH2CR101=CR102103、−(CH2)n−O−CO−CR101=CR102103および−(CH2CH2O)2−X(R101〜R103は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、R101とR102またはR101とR103は互いに結合して環を形成してもよく、nは1〜10の整数であり、そしてXはジシクロペンタジエニル残基である)を挙げることができる。エステル残基のRの具体例には、−CH2CH=CH2、−CH2CH2O−CH2CH=CH2、−CH2CH2OCOCH=CH2、−CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、−CH2C(CH3)=CH2、−CH2CH=CH−C65、−CH2CH2OCOCH=CH−C65、−CH2CH2−NHCOO−CH2CH=CH2および−CH2CH2O−X(Xはジシクロペンタジエニル残基)が含まれる。アミド残基のRの具体例には、−CH2CH=CH2、−CH2CH2−Y(Yは1−シクロヘキセニル残基)および−CH2CH2−OCO−CH=CH2、−CH2CH2−OCO−C(CH3)=CH2が含まれる。
上記のエチレン性不飽和基を有する分散剤においては、その不飽和結合基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、分子間で直接、または重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、分子間に架橋が形成されて硬化する。あるいは、分子中の原子(例えば不飽和結合基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、分子間に架橋が形成されて硬化する。
側鎖に架橋または重合性官能基を導入する方法は、例えば特開平3−249653号公報等に記載のごとく架橋または重合性官能基含有モノマー(例えばアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリアルコキシシリルプロピルメタクリレート等)の共重合、ブタジエンあるいはイソプレンの共重合、3−クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーの共重合を行なった後に脱塩化水素を行なう方法、高分子反応による架橋または重合性官能基の導入(例えばカルボキシル基含有ポリマーへのエポキシ基含有ビニルモノマーの高分子反応)等によって合成することができる。
架橋性官能基または重合性官能基の含有単位は、アニオン性基含有繰返し単位以外の全ての繰返し単位を構成していてもよいが、好ましくは全架橋または繰返し単位のうちの5〜50mol%であり、特に好ましくは5〜30mol%である。
本発明の好ましい分散剤は、架橋または重合性官能基、アニオン性基を有するモノマー以外のモノマーとの共重合体であっても良い。共重合成分に関しては特に限定はされないが、分散安定性、他のモノマー成分との相溶性、形成皮膜の強度等種々の観点から選択される。好ましい例としては、好ましい例としては、メタアクリレート類、アクリレート類、カルボン酸ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体類、スチレン及びその誘導体類、アクリロニトリル等が挙げられる。
本発明の好ましい高分子分散剤は、ブロック共重合体、ランダム共重合体の何れでも良い。コストおよび合成的な容易さからランダム共重合体が好ましい態様として挙げられる。
分散剤の無機微粒子に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
(高屈折率無機微粒子の湿式メディア分散)
高屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、分散物の状態で高屈折率層用塗布物とし、それを塗布、乾燥、硬化して高屈折率層形成に使用することが好ましい。
無機微粒子は、少なくとも分散媒、被分散微粒子及び分散剤を分散用メディア(分散用ビーズ)とともに湿式分散する。
湿式分散用の分散機としては、従来公知のものが挙げられる。具体的には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター、コロイドミル、ダイノミル等が含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。具体的には、生産性と微細化/単分散化等の分散性能の観点で、スーパーアペックスミル(アペックス社製)が好適に用いられる。
また、分散前に予備分散処理を実施してもよい。予備分散を行うことにより、あらかじめ粗大粒径を有する凝集物をほぐして、また一方で分散剤を粒子に予め十分に馴染ませておくことができ、結果的に本分散の効率と精度を上げることができる。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
分散物中の無機微粒子の一次粒子の質量平均径は3〜200nmであることが好ましく、より好ましくは3〜150nm、さらに好ましくは3〜100nm、特に好ましくは5〜80nmである。
更には、湿式分散物中の分散無機粒子中には、500nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが好ましく、300nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが特に好ましい。
上記分散機と共に用いるメディアとしては、その平均粒径が0.5mm未満であり、好ましくは0.3mm以下であり、より好ましくは0.05〜0.2mmである。
また、湿式分散に用いられるメディアとしては、ビーズが好ましい。具体的には、ジルコニアビーズ、ガラスビーズ、セラミックビーズ、スチールビーズ等が挙げられ、分散中におけるビーズの破壊等を生じ難い等の耐久性と超微粒子化の上から0.05〜0.2mmのジルコニアビーズが特に好ましい。
(高屈折率無機微粒子の分散媒)
本発明において、無機微粒子の湿式分散に供する分散媒体は、水、有機溶媒から適宜選択して用いることができ、沸点が50℃以上の液体であることが好ましく、沸点が60℃〜180℃の範囲の有機溶媒であることがより好ましい。
分散媒体は、無機微粒子及び分散剤を含む分散用組成物が5〜50質量%となる割合で用いることが好ましい。更には、10〜30質量%が好ましい。この範囲において、分散が容易に進行し、得られる分散物は作業性良好な粘度の範囲となる。
分散媒体としては、アルコール類、ケトン類、エステル類アミド類、エーテル類、エーテルエステル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。具体的には、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート等)、ケトン(例、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、乳酸エチル、等)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチルクロロホルム等)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等)、エーテル(例、ジオキサン、テトラハイドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール、エチルセルソルブ、メチルカルビノール等)が挙げられる。単独での2種以上を混合して使用してもよい。好ましい分散媒体は、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ブタノールが挙げられる。また、ケトン溶媒(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)を主にした塗布溶媒系も好ましく用いられ、ケトン系溶媒の含有量が分散用組成物に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。特に好ましい分散媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが挙げられる。
更には、分散物中の分散粒子がその平均粒径、および粒子径の単分散性が上記した範囲を満足する上で、分散物中の粗大凝集物を除去するためにビーズとの分離処理において精密濾過されるように濾材を配置することも好ましい。精密濾過するための濾材は濾過粒子サイズ25μm以下が好ましい。精密濾過するための濾材のタイプは上記性能を有していれば特に限定されないが例えばフィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられる。分散物を精密濾過するための濾材の材質は上記性能を有しており、かつ塗布液に悪影響を及ばさなければ特に限定はされないが例えばステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。
(高屈折率層のマトリックス)
高屈折率層は、高屈折率無機超微粒子とマトリックスを少なくとも含有してなる。
本発明の好ましい態様によれば、高屈折率層のマトリックスは、(i)有機バインダー、または(ii)加水分解可能な官能基を有する有機金属化合物、及びこの有機金属化合物の部分縮合物、の少なくともいずれかを含有する高屈折率層形成用組成物を塗布後に、硬化して形成される。
(i)有機バインダー
有機バインダーとしては、
(イ)従来公知の熱可塑性樹脂、
(ロ)従来公知の反応性硬化性樹脂(反応硬化型樹脂)と硬化剤との組み合わせ、または
(ハ)バインダー前駆体(後述する硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)と重合開始剤との組み合わせ、
から形成されるバインダーが挙げられる。
本発明では、上記(イ)、(ロ)または(ハ)のバインダー形成用成分と、高屈折率複合酸化物微粒子と分散剤とを含有する分散液から高屈折率層形成用の塗布組成物を調製することができる。塗布組成物は、透明支持体上に塗布、乾燥され、塗膜が形成された後、バインダー形成用成分に応じた方法で硬化され、高屈折率層が形成される。硬化方法は、バインダー成分の種類に応じて適宜選択され、例えば加熱及び光照射の少なくともいずれかの手段により、硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応または重合反応を生起させる方法が挙げられる。なかでも、上記(ハ)の組み合わせを用いて光照射することにより硬化性化合物を架橋反応または重合反応させて硬化したバインダーを形成する方法が好ましい。
更に、高屈折率層形成用の塗布組成物を塗布と同時または塗布後に、高屈折率複合酸化物微粒子の分散液に含有される分散剤を架橋反応または重合反応させることが好ましい。
このようにして作製した硬化膜中のバインダーは、例えば、前記した分散剤とバインダーの前駆体である硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋または重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに、硬化膜中のバインダーは、アニオン性基が無機微粒子の分散状態を維持する機能を有するので、架橋または重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、高屈折率無機化合物微粒子を含有する硬化膜中の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良することができる。
上記(イ)の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩ビ−酸ビ共重合体樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリメタアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、イミド樹脂等が挙げられる。
また、上記(ロ)の反応硬化型樹脂、即ち、熱硬化型樹脂及び電離放射線硬化型樹脂の少なくともいずれかを使用することが好ましい。熱硬化型樹脂には、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。電離放射線硬化型樹脂には、例えば、ラジカル重合性不飽和基((メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、スチリル基、ビニル基等)及びカチオン重合性基(エポキシ基、チオエポキシ基、ビニルオキシ基、オキセタニル基等)の少なくともいずれかの官能基を有する樹脂で、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等が挙げられる。
これらの反応硬化型樹脂に必要に応じて、架橋剤(エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、メラミン化合物等)、重合開始剤(アゾビス化合物、有機過酸化化合物、有機ハロゲン化合物、オニウム塩化合物、ケトン化合物等のUV光開始剤等)等の硬化剤、重合促進剤(有機金属化合物、酸化合物、塩基性化合物等)等の従来公知の化合物を加えて使用する。具体的には、例えば、山下普三、金子東助「架橋剤ハンドブック」(大成社、1981年刊)記載の化合物が挙げられる。
以下、硬化したバインダーの好ましい形成方法である、上記(ハ)の組み合わせを用いて光照射により硬化性化合物を架橋または重合反応させて硬化したバインダーを形成する方法について、主に説明する。
光硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、ラジカル重合性またはカチオン重合性のいずれでもよい。
ラジカル重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
分子内に2個以上のラジカル重合性基を含有する多官能モノマーを含有することが好ましい。
ラジカル重合性多官能モノマーとしては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する化合物から選ばれることが好ましい。好ましくは、分子中に2〜6個の末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。このような化合物群はポリマー材料分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、またはそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつことができる。
ラジカル重合性モノマー例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が挙げられる。また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類やアミド類と、単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類及びチオール類との反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物としては、アルカンジオール、アルカントリオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサントリオール、イノシットール、シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン等が挙げられる。これら脂肪族多価アルコール化合物と、不飽和カルボン酸との重合性エステル化合物(モノエステルまたはポリエステル)、例として、例えば、特開2001−139663号公報段落番号[0026]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。
その他の重合性エステルの例としては、例えば、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号の各公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開平2−226149号公報等記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を有するもの等も好適に用いられる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とから形成される重合性アミドの具体例としては、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、特公昭54−21726号公報記載のシクロヘキシレン構造を有するもの等を挙げることができる。
また、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物(特公昭48−41708号公報等)、ウレタンアクリレート類(特公平2−16765号公報等)、エチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物(特公昭62−39418号公報等)、ポリエステルアクリレート類(特公昭52−30490号公報等))、更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308頁(1984年)に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマーも使用することができる。
これらラジカル重合性の多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
次に、高屈折率層のバインダーの形成に用いることができるカチオン重合性基含有の化合物(以下、「カチオン重合性化合物」または「カチオン重合性有機化合物」とも称する)について説明する。
本発明に用いられるカチオン重合性化合物は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び架橋反応の少なくとも一方の反応を生ずる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、エポキシ化合物、環状チオエーテル化合物、環状エーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニル炭化水素化合物などを挙げることができる。本発明では前記したカチオン重合性有機化合物のうちの1種を用いても2種以上を用いてもよい。
カチオン重合性基含有化合物としては、1分子中のカチオン重合性基の数は2〜10個が好ましく、特に好ましくは2〜5個である。該化合物の分子量は3000以下であり、好ましくは200〜2000の範囲、特に好ましくは400〜1500の範囲である。分子量が小さすぎると、皮膜形成過程での揮発が問題となり、大きすぎると、高屈折率層形成用の塗布組成物との相溶性が悪くなり好ましくない。
上記エポキシ化合物としては脂肪族エポキシ化合物及び芳香族エポキシ化合物が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのホモポリマー、コポリマーなどを挙げることができる。さらに、前記のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチルエポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。また、脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、或いは不飽和脂環族環(例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン、ジシクロオクテン、トリシクロデセン等)含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。
また、芳香族エポキシ化合物としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価または多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のモノまたはポリグリシジルエーテルを挙げることができる。これらのエポキシ化合物として、例えば、特開平11−242101号公報の段落番号〔0084〕〜〔0086〕記載の化合物、特開平10−158385号公報の段落番号〔0044〕〜〔0046〕記載の化合物等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
環状チオエーテル化合物としては、上記のエポキシ環がチオエポキシ環となる化合物が挙げられる。
環状エーテルとしてのオキセタニル基を含有する化合物としては、具体的には、例えば特開2000−239309号公報の段落番号〔0024〕〜〔0025〕に記載の化合物等が挙げられる。これらの化合物は、エポキシ基含有化合物と併用することが好ましい。
スピロオルソエステル化合物としては、例えば特表2000−506908号公報等記載の化合物を挙げることができる。
ビニル炭化水素化合物としては、スチレン化合物、ビニル基置換脂環炭化水素化合物(ビニルシクロヘキサン、ビニルビシクロヘプテン等)、プロペニル化合物(JournAl of PolymerScience:Part A:Polymer Chemistry,Vol.32,2895(1994)記載等)、アルコキシアレン化合物(JournAl of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.33,2493(1995)記載等)、ビニル化合物(JournAl of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.34,1015(1996)、特開2002−29162号公報等記載)、イソプロペニル化合物(JournAl ofPolymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.34,2051(1996)記載等)等を挙げることができる。
2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
上記したラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを併用する場合には、ラジカル重合性化合物:カチオン重合性化合物の質量比で、90:10〜20:80の割合で含有していることが好ましく、80:20〜30:70の割合で含有していることがより好ましい。
次に、前記(ハ)の組み合わせにおいて、バインダー前駆体と組み合わせて用いられる重合開始剤について詳述する。
重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
本発明の重合開始剤(L)は、光照射及び熱照射の少なくともいずれかにより、ラジカル若しくは酸を発生する化合物である。本発明において用いられる光重合開始剤(L)は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、取り扱いを白灯下で実施することができる。また、近赤外線領域に極大吸収波長を持つ化合物を用いることもできる。
まず、ラジカルを発生する化合物(L1)について詳述する。
本発明において好適に用いられるラジカルを発生する化合物(L1)は、光または熱照射によりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を、開始、促進させる化合物を指す。
公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを、適宜、選択して用いることとができる。また、ラジカルを発生する化合物は、単独または2種以上を併用して用いることができる。
ラジカルを発生する化合物としては、例えば、従来公知の有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤等の熱ラジカル重合開始剤、アミン化合物(特公昭44−20189号公報記載)、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン化合物等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
上記有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林 等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特開昭63−298339号、M.P.Hutt”JurnAl of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)」等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:S−トリアジン化合物が挙げられる。
より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ、またはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。
他の有機ハロゲン化合物の例として、特開平5−27830号公報中の段落番号〔0039〕〜〔0048〕記載のケトン類、スルフィド類、スルホン類、窒素原子含有の複素環類等が挙げられる。
上記カルボニル化合物としては、例えば、「最新 UV硬化技術」60〜62ページ((株)技術情報協会刊、1991年)、特開平8−134404号明細書の段落番号〔0015〕〜〔0016〕、同11−217518号明細書の段落番号〔0029〕〜〔0031〕に記載の化合物等が挙げられ、アセトフェノン系、ヒドロキシアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサン系、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体、ベンジルジメチルケタール、アシルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
上記有機過酸化化合物としては、例えば、特開2001−139663号公報明細書の段落番号〔0019〕に記載の化合物等が挙げられる。
上記メタロセン化合物としては、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各公報記載の種々の化合物等が挙げられる。
上記有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martin”Rad Tech’98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号〔0022〕〜〔0027〕記載の化合物が挙げられる。
他の有機ホウ素化合物として、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
上記ジスルホン化合物としては、特開平5−239015号公報に記載の化合物等、上記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報に記載の一般式(II)及び一般式(III)で示される化合物等が挙げられる。
これらのラジカル発生化合物は、一種のみを添加しても、二種以上を併用してもよい。添加量としては、ラジカル重合性モノマーの全量に対し0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜25質量%、特に好ましくは1〜20質量%で添加することができる。この範囲において、高屈折率層形成用の塗布組成物の経時安定性が問題なく高い重合性となる。
次に、光重合開始剤(L)として用いることができる光酸発生剤(L2)について詳述する。
酸発生剤(L2)としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、或いは、マイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。
また、酸発生剤(L2)として、例えば、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物、オニウム塩が挙げられる。有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物のこれらの具体例は、前記ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられ、例えば特開2002−29162号明細書の段落番号〔0058〕〜〔0059〕に記載の化合物等が挙げられる。
本発明において、特に好適に用いられる酸発生剤(L2)としては、オニウム塩が挙げられ、中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。
本発明において、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、例えば、特開平9−268205号公報の段落番号〔0035〕に記載のアミル化されたスルホニウム塩、特開2000−71366号明細書の段落番号〔0010〕〜〔0011〕に記載のジアリールヨードニウム塩またはトリアリールスルホニウム塩、特開2001−288205号公報の段落番号〔0017〕に記載のチオ安息香酸S−フェニルエステルのスルホニウム塩、特開2001−133696号公報の段落番号〔0030〕〜〔0033〕に記載のオニウム塩等が挙げられる。
酸発生剤の他の例としては、特開2002−29162号公報の段落番号〔0059〕〜〔0062〕に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、光分解してスルホン酸を発生する化合物(イミノスルフォネート等)等の化合物が挙げられる。
これらの酸発生剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの酸発生剤は、全カチオン重合性モノマーの全質量100質量%に対し0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%の割合で添加することができる。添加量が上記範囲において、高屈折率層形成用の塗布組成物の安定性、重合反応性等から好ましい。
本発明の高屈折率層形成用の塗布組成物は、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の合計質量に対して、ラジカル重合開始剤を0.5〜10質量%及びカチオン重合開始剤を1〜10質量%の割合で含有していることが好ましい。より好ましくは、ラジカル重合開始剤を1〜5質量%、及びカチオン重合開始剤を2〜6質量%の割合で含有する。
本発明の高屈折率層形成用の塗布組成物には、紫外線照射により重合反応を行なう場合には、従来公知の紫外線分光増感剤、化学増感剤を併用してもよい。例えばミヒラーズケトン、アミノ酸(グリシンなど)、有機アミン(ブチルアミン、ジブチルアミンなど)等が挙げられる。
また、近赤外線照射により重合反応を行なう場合には、近赤外線分光増感剤を併用することが好ましい。
併用する近赤外線分光増感剤は、700nm以上の波長域の少なくとも一部に吸収帯を有する光吸収物質であればよく、分子吸光係数が10000以上の値を有する化合物が好ましい。更には、750〜1400nmの領域に吸収を有し、かつ分子吸光係数が20000以上の値が好ましい。また、420nm〜700nmの可視光波長域に吸収の谷があり、光学的に透明であることがより好ましい。近赤外線分光増感剤は、近赤外線吸収顔料及び近赤外線吸収染料として知られる種々の顔料及び染料を用いることができる。その中でも、従来公知の近赤外線吸収剤を用いることが好ましい。
市販の染料および文献(例えば、「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシー)、「特殊機能色素」(池森・柱谷編集、1986年、(株)シーエムシー発行)、J.FABIAN、Chem.Rev.、92、pp1197〜1226(1992)、日本感光色素研究所が1995年に発行したカタログ、Exciton Inc.が1989年に発行したレーザー色素カタログあるいは特許に記載されている公知の染料が利用できる。
(ii)加水分解可能な官能基を含有する有機金属化合物
本発明に用いる高屈折率層のマトッリクスとして、加水分解可能な官能基を含有する有機金属化合物を用いてゾルゲル反応により塗布膜形成後に硬化された膜を形成することも好ましい。有機金属化合物としては、Si、Ti、Zr、Al等からなる化合物が挙げられる。加水分解可能な官能基な基としては、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、水酸基が挙げられ、特に、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基が好ましい。 好ましい有機金属化合物は、前記一般式[A]で表される有機ケイ素化合物及びその部分加水分解物(部分縮合物)である。
高屈折率層においてマトリックスは、特定の極性基を有することも好ましい。 特定の極性基としては、アニオン性基、アミノ基、及び四級アンモニウム基が挙げられる。アニオン性基、アミノ基及び四級アンモニウム基の具体例としては、前記分散剤について述べたものと同様のものが挙げられる。
特定の極性基を有する高屈折率層のマトリックスは、例えば、高屈折率層形成用の塗布組成物に、高屈折率無機微粒子と分散剤を含む分散液を配合し、硬化膜形成成分として、特定の極性基を有するバインダー前駆体(特定の極性基を有する硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)と重合開始剤の組み合わせ及び特定の極性基を有し、かつ架橋または重合性官能基を有する一般式[A]で表される有機ケイ素化合物の少なくともいずれかを配合し、さらに所望により特定の極性基と架橋または重合性官能基とを有する単官能性モノマーを配合し、該塗布組成物を透明支持体上に塗布して上記の分散剤、単官能性モノマー、多官能モノマーや多官能オリゴマー、及び一般式[A]で表される有機ケイ素化合物から選ばれる少なくともいずれかを架橋または重合反応させることにより得られる。
特定の極性基を有する単官能性モノマーは、塗布組成物の中で無機微粒子の分散助剤として機能する。さらに、塗布後、分散剤、多官能モノマーや多官能オリオリゴマーと架橋反応、または、重合反応させてバインダーとすることで高屈折率層における無機微粒子の良好な均一な分散性を維持し、物理強度、耐薬品性、耐候性に優れた高屈折率層を作製することができる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する単官能性モノマーの分散剤に対する使用量は、0.5〜50質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1〜30質量%である。高屈折率層の塗布と同時または塗布後に、架橋または重合反応によってバインダーを形成すれば、高屈折率層の塗布前に単官能性モノマーを有効に機能させることができる。
また、本発明の高屈折率層のマトリックスとして、前記した有機バインダーの(イ)に相当し、従来公知の架橋または重合性官能基を含有する有機ポリマーから硬化・形成されたものが挙げられる。高屈折率層形成後のポリマーが、さらに架橋または重合している構造を有することが好ましい。ポリマーの例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素から成る)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。なかでも、ポリオレフィン、ポリエーテルおよびポリウレアが好ましく、ポリオレフィン及びポリエーテルがさらに好ましい。硬化前の有機ポリマーとしての質量平均分子量は1×103〜1×106が好ましく、より好ましくは3×103〜1×105である。
硬化前の有機ポリマーは、前記の内容と同様の特定の極性基を有する繰り返し単位と、架橋または重合構造を有する繰り返し単位とを有する共重合体であることが好ましい。ポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、全繰り返し単位中の0.5〜99質量%であることが好ましく3〜95質量%であることがさらに好ましく、6〜90質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二つ以上の同じでも異なってもよいアニオン性基を有していてもよい。
シラノール基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、2〜98mol%であることが好ましく、4〜96mol%であることがさらに好ましく、6〜94mol%であることが最も好ましい。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.1〜50質量%であることが好ましく、更には0.5〜30質量%が好ましい。
なお、シラノール基、アミノ基、及び四級アンモニウム基は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋または重合構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
ポリマー中の架橋または重合構造を有する繰り返し単位の割合は、1〜90質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがさらに好ましく、8〜60質量%であることが最も好ましい。
バインダーが架橋または重合してなるマトリックスは、高屈折率層形成用の塗布組成物を透明支持体上に塗布して、塗布と同時または塗布後に、架橋または重合反応によって形成することが好ましい。
本発明の高屈折率層は、更に用途、目的によって適宜他の化合物を添加することが出来る。例えば、高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましく、高屈折率層に、芳香環、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)、S,N,P等の原子を含有すると有機化合物の屈折率が高くなることから、これらを含有する硬化性化合物などの架橋または重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
(高屈折率層の他の成分)
高屈折率層には、前記の成分(無機微粒子、重合開始剤、光増感剤など)以外に、樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、導電性の金属微粒子、などを添加することもできる。
また、高屈折率層は、後述する平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能を付与した防眩層を兼ねることもできる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは40〜170nm、特に好ましくは50〜150nmである。高屈折率層がハードコート層を兼ねる場合、0.5〜10μmが好ましく、より好ましくは1〜7μm、特に好ましくは2〜5μmである。
(高屈折率層用塗布液の安定性)
高屈折率層用塗布液についても低屈折率層用塗布液と同様に使用する素材の経時安定性と硬化性の安定性の両立が求められる。該塗布液を塗設後の硬化前のラジカル重合性基量が調整後に対する比率で0.8以上が好ましく、0.9以上がより好ましく、0.95以上が更に好ましい。また硬化処理後のラジカル重合性基の反応率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
(屈折率層の形成)
高屈折率層は、前述した透明支持体上に直接、または、他の層を介して上述の高屈折率層用組成物の塗布液を塗布して構築することが好ましい。
本発明の高屈折率層用塗布液は、特定の無機化合物の超微粒子分散物、マトリックスバイダー用液、必要に応じて用いる添加剤を塗布用分散媒に各々所定の濃度に混合・希釈して調整される。
高屈折率層の塗布溶媒としては、前記の分散媒での有機溶媒と同様のものが挙げられる。
塗布溶媒には、ケトン系溶媒の含有量が塗布組成物に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。好ましいケトン溶媒としては、前記メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが挙げられる。
塗布に用いる塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルターは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜100μmのフィルターが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜25μmであるフィルターが好ましく用いられる。フィルターの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、ろ過圧力は1.47MPa(15kgf/cm2)以下、より好ましくは0.98MPa(10kgf/cm2)以下、更には0.196MPa(2kgf/cm2)以下で濾過することが好ましい。
ろ過フィルター部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、前記した無機化合物の湿式分散物のろ過部材と同様のものが挙げられる。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
本発明において、高屈折率層は、前述した透明支持体上に本発明の高屈折率層形成用の塗布組成物をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、光照射及び熱照射のいずれかにより作製することができる。薄膜形成方法についてはウエット塗布量を最小化することで乾燥ムラをなくす観点からは、マイクログラビア法およびグラビア法が好ましい。また、好ましくは、光照射による硬化が、迅速硬化から有利である。更には、光硬化処理の後半で加熱処理することも好ましい。
光照射の光源は、紫外線光域或いは近赤外線光のものであればいずれでもよく、紫外線光の光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる。波長350〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。また、近赤外光光源としてはハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプが挙げられ、波長750〜1400nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。近赤外光光源を用いる場合、紫外線光源と組み合わせて用いても良いし、高屈折率層塗設側と反対の基材面側より光照射しても良い。
塗膜層内の深さ方向での膜硬化が表面近傍と遅滞無く進行し均一な硬化状態の硬化膜が得られる
照射する紫外線の照射強度は、0.1〜300mW/cm2程度が好ましく、塗布膜表面上での光照射量は100〜1000mJ/cm2が好ましい。また、光照射工程での塗布膜の温度分布は、均一なほど好ましく、±3℃以内が好ましく、更には±1.5℃以内に制御されることが好ましい。この範囲において、塗布膜の面内及び層内深さ方向での重合反応が均一に進行するので好ましい。
光照射による光ラジカル重合の場合は、空気または不活性気体中で行なうことができるが、ラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、または重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。好ましくは酸素濃度が10体積%以下、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下である。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
高屈折率層の強度は、JIS K 5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K 5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、または、他の層を介して構築することが好ましい。
[中屈折率層]
本発明の反射防止フィルムは、互いに屈折率の異なる少なくとも2層以上の高屈折率層を有する場合、前述の高屈折率層と更に前述の高屈折率層よりも屈折率の低い高屈折率層として、更に中屈折率層を設けることが好ましい。
この層は、透明支持体と前記の高屈折率層の間に設けることが好ましく、屈折率は透明支持体の屈折率とこの支持体より高い高屈折率層との間の屈折率となるように設計される。具体的には、中屈折率層の屈折率が1.55から1.79、高屈折率層が1.80〜2.0とすることが好ましい。
中屈折率層は、少なくとも従来公知の屈折率1.60以上の透明性の無機化合物粒子及びマトリックスバインダーから成る硬化性膜である。好ましくは、高屈折率層の組成物と同様のものが挙げられ、屈折率は該硬化膜層中の無機粒子の含有量で適宜に調節することが好ましい。高屈折率層の説明で挙げた素材、高屈折率層の形成方法等に関する記載は中屈折率層にも好ましく適用できる。
中屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。中屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、40〜170nmであることがより好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましい。
[ハードコート層]
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光または熱の硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、多官能モノマーや多官能オリゴマー或いは加水分解性官能基含有の有機金属化合物を含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、硬化性化合物を架橋反応、または、重合反応させることにより形成することができる。
硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基、エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタニル基、ビニルオキシ基等のカチオン重合性基が挙げられる。中でも、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基が好ましい。
また、加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したものが挙げられる。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマー、光重合開始剤、光増感剤の具体例としては、高屈折率層で例示したものが挙げられる。光重合反応は、ハードコート層の塗布および乾燥後、紫外線照射または近赤外線照射により行うことが好ましい。両者を同時に照射してもよい。
ハードコート層は、脆性の付与のために重量平均分子量が500以上のオリゴマーまたはポリマーを添加することが好ましい。両者を併用することも好ましい。
オリゴマー、ポリマーとしては、(メタ)アクリレート系、セルロース系、スチレン系の重合体や、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。好ましくは、側鎖に官能基を有するポリ(グリシジル(メタ)アクリレート)やポリ(アリル(メタ)アクリレート)等が挙げられる。
ハードコート層におけるオリゴマーまたはポリマーの含有量は、ハードコート層の全質量に対し5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜40質量%、特に好ましくは20〜30質量%である。
前記したように、高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。高屈折率層がハードコート層を兼ねる場合、高屈折率層で記載した手法を用いて高い屈折率を有する無機微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。
ハードコート層は、さらに後述する平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有させて光拡散性層及び防眩層の少なくともいずれかの層を兼ねることもできる。
ハードコート層は、透明支持体の表面に、ハードコート層形成用の塗布組成物を塗布することで構築することが好ましい。
ハードコート層の形成方法は、前記の高屈折率層形成と同様の内容で行われる。
塗布溶媒としては、高屈折率層で例示したケトン系溶剤であることが好ましい。ケトン系溶剤を用いることで、透明支持体(特に、セルローストリアセテート支持体)の表面とハードコート層との接着性がさらに改良する。
特に好ましい塗布溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。また、塗布溶媒は、高屈折率層で例示したケトン系溶媒以外の溶媒を含んでいてもよい。
塗布溶媒には、ケトン系溶媒の含有量が塗布組成物に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
ハードコート層の膜厚は、用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは1〜9μm、特に好ましくは5〜8μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K 5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K 5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
本発明に用いる反射防止フィルムは、高屈折率層を有する側の表面に凹凸を形成し、防眩性を付与することもできる。
防眩性は表面の平均表面粗さ(Ra)と相関している。表面の凹凸は100cm2の面積の中からランダムに1mm2を取り出し、取り出した表面の1mm2の面積当たりに対し、平均表面粗さ(Ra)が0.01〜0.4μmであることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3μm、さらに好ましくは0.05〜0.25μm、特に好ましくは0.07〜0.2μmである。
平均表面粗さ(Ra)に関しては、テクノコンパクトシリーズ(6)(表面粗さの測定・評価法,著者;奈良次郎,発行所;(株)総合技術センター)に記載されている。
本発明に用いる反射防止フィルムの表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することが出来る。
表面の凹凸の形成法としては公知の手法が用いられる。本発明では、膜の表面に高い圧力で凹凸の形状を有する版を押し当てること(例えば、エンボス加工)により形成する手法、また、反射防止フィルム上のいずれかの層に粒子を含有させて防眩層とし、反射防止フィルムの表面に凹凸を形成する手法が好ましい。
エンボス加工により表面に凹凸を形成する方法では、公知の手法が適用できるが、特開2000−329905号公報に記載されている手法により凹凸を形成することが特に好ましい。
反射防止フィルムのいずれかの層に粒子を含有させて光拡散性層及び防眩層のいずれかの層を形成する場合、平均粒径が0.2〜10μmの粒子を用いることが好ましい。ここでいう平均粒径は、二次粒子(粒子が凝集していない場合は一次粒子)の質量平均径である。
粒子としては、無機粒子と有機粒子が挙げられる。無機粒子の具体例としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化錫、ITO、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリンおよび硫酸カルシウムなどの粒子が挙げられる。二酸化珪素、酸化アルミニウムが好ましい。
有機粒子としては樹脂粒子が好ましい。樹脂粒子の具体例としては、シリコン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂から作製される粒子などが挙げられる。好ましくは、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂から作製される粒子であり、特に好ましくはポリメチルメタクリレート樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリスチレン樹脂から作製される粒子である。
凹凸を形成するために防眩層に用いる粒子としては、樹脂粒子であるほうが好ましい。
粒子の平均粒径は、好ましくは0.5〜7.0μm、更に好ましくは1.0〜5.0μm、特に好ましくは1.5〜4.0μmである。
粒子の屈折率は1.35〜1.80であることが好ましく、より好ましくは1.40〜1.75、さらに好ましくは1.45〜1.75である。
粒子の粒径分布は狭いほど好ましい。粒子の粒径分布を示すS値は下記式で算出され、2以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.7以下である。
S値=[D(0.9)−D(0.1)]/D(0.5)
D(0.1):体積換算粒径の積算値の10%相当粒径
D(0.5):体積換算粒径の積算値の50%相当粒径
D(0.9):体積換算粒径の積算値の90%相当粒径
また、粒子の屈折率は、特に限定されないが、防眩層の屈折率とほぼ同じである(屈折率差で0.005以内)か、光拡散性層及び防眩層の少なくともいずれかの層の屈折率と0.02以上異なっていることが好ましい。
粒子の屈折率と、防眩層の屈折率をほぼ同じにすることで、反射防止フィルムを画像表示面に装着したときのコントラストが改良される。
粒子の屈折率と光拡散性層及び防眩層の少なくともいずれかの層の屈折率との間に屈折率の差を付けることで、反射防止フィルムを液晶表示面に装着したときの視認性(ギラツキ故障、視野角特性など)が改良される。
粒子の屈折率と防眩層の屈折率の間に屈折率の差を付ける場合、0.03〜0.5であることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.4、特に好ましくは0.05〜0.3である。
光拡散性及び防眩性の少なくとも一方の特性を付与する粒子は、反射防止フィルム上に構築されたいずれかの層に含有させることができ、好ましくはハードコート層、低屈折率層、高屈折率層であり、特に好ましくはハードコート層、高屈折率層である。複数の層に添加してもよい。
[反射防止フィルムのその他の層]
反射防止フィルムには、以上に述べた以外の層を設けてもよい。例えば、防湿層、帯電防止層、プライマー層、下塗り層や保護層、シールド層、滑り層、接着層等を設けてもよい。シールド層は、電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。シールド層は電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。
[反射防止フィルムの形成法]
反射防止フィルムの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、エクストルージョンコート法やダイコート法等の塗布方式により形成することができる。ウエット塗布量を最小化することで乾燥ムラをなくす観点からは、マイクログラビア法およびグラビア法が好ましい。本発明の反射防止フィルムの複数の光学薄膜のうちの少なくとも2層を、1回の支持体フィルムの送り出しで、各々の該光学薄膜の形成工程とフィルムの巻取りの工程を行い形成するのが、生産コストの観点から好ましい。反射防止層が3層構成の場合には、3層を1回の工程にて形成するのがより好ましい。このような製造方法は、塗布機の支持体フィルムの送り出しから巻取りまでの間に、塗布ステーションと乾燥、硬化ゾーンのセットを複数個、好ましくは光学薄膜の数と同じ数以上、縦列して設けることによって達成される。
図1に装置構成の一例を示す。図1はロールフィルムの送り出し(101)から巻取り(112)までの一工程中に、第一の塗布ステーション(102)、第一の乾燥ゾーン(103)、第一のUV照射機(104)、第二の塗布ステーション(105)、第二の乾燥ゾーン(106)、第二のUV照射機(107)、第三の塗布ステーション(108)、第三の乾燥ゾーン(109)、第三のUV照射機(110)、後乾燥ゾーン(111)を含んだ例であり、例えば中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の3層、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層の3層、ハードコート層、防眩層、低屈折率層の3層等、一工程で3層までの機能層を形成することができる。必要に応じて、塗布ステーションの数を2つに減らした装置構成として中屈折率層と高屈折率層の2層だけを一工程で形成し、面状、膜厚等をチェックした結果をフィードバックして得率を向上させたり、防眩層、低屈折率層の2層からなる防眩性反射防止フィルムを低コストで製造したり、4つに増やした装置構成として、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を一工程で形成して塗布コストを大幅に低減する、といった製造方法とすることも、別の好ましい形態として挙げられる。
[反射防止フィルムの性能]
本発明において反射防止フィルムは、物理強度(耐擦傷性など)を改良するために、高屈折層を有する側の表面の動摩擦係数は0.25以下であることが好ましい。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で高屈折率層を有する側の表面を移動させたときの、高屈折率層を有する側の表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
また、反射防止フィルムは、防汚性能を改良するために、高屈折率層を有する側の表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
反射防止フイルムが防眩機能を持たない場合、ヘイズは低いほど好ましい。
反射防止フィルムが防眩機能を有する場合、ヘイズは、0.5〜50%であることが好ましく、1〜40%であることがさらに好ましく、1〜30%であることが最も好ましい。
[偏光板用保護フィルム]
本発明の偏光板を作製するにあたり、反射防止フィルムを偏光膜の表面保護フイルム(偏光板用保護フイルム)として用いるために、高屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良することが必要である。
透明支持体としては、セルローストリアセテートフィルムを用いることが特に好ましい。
本発明における偏光板用保護フィルムを作製する手法としては、(1)予め親水化処理した透明支持体の一方の面に上記の各層(例、高屈折率層、ハードコート層、最外層など)を塗設する手法、(2)透明支持体の一方の面に上記の各層(例、高屈折率層、ハードコート層、低屈折率層、最外層など)を塗設した後、偏光膜と貼り合わせる側を親水化処理する手法、の2つが考えられるが、(1)はハードコートを塗設するべき面まで親水化されるため、支持体とハードコート層との密着性の確保が困難となるため、(2)の手法が好ましい。
(親水化処理)
透明支持体の表面の親水化処理は、公知の方法で行うことが出来る。例えば、コロナ放電処理、グロー放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ処理等で該フィルム表面を改質する方法が挙げられる。これらについては、詳細が前記の公技番号2001−1745の30頁〜32頁に詳細に記載されている。
(アルカリ鹸化処理)
これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアセテートフィルムの表面処理としては極めて有効である。処理方法として、以下の方法が挙げられる。
(1)浸漬法
アルカリ液の中に反射防止フィルムを適切な条件で浸漬して、フイルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/lであり、特に好ましくは1〜2mol/lである。好ましいアルカリ液の液温は25〜70℃、特に好ましくは30〜60℃である。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、透明支持体の反射防止層を有する主面と反対の主面が親水化される。偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、高屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に高屈折率層を有する主面までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる反射防止層の受けるダメージの指標として、反対側の主面の支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に支持体がセルローストリアセテートであれば、好ましくは20度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。この範囲で、反射防止フィルムの受けるダメージに実害が無く、かつ偏光膜との接着性を保持できる。
(2)アルカリ液塗布法
上述の浸漬法における反射防止フィルムへのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を反射防止フィルムを有する主面と反対側の主面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。アルカリ液及び処理は、特開2002−82226号公報、WO02/46809号公報に記載の内容が挙げられる。ただし、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。
[偏光板]
本発明の好ましい偏光板は、偏光膜の保護フイルム(偏光板用保護フイルム)の少なくとも一方に、本発明の反射防止フイルムを有する。偏光板用保護フイルムは、上記のように、高屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が20度〜50度の範囲にあることが好ましい。
本発明の反射防止フイルムを偏光板用保護フイルムとして用いることにより、物理強度、耐候性に優れた反射防止機能を有する偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
また、本発明の反射防止フイルムを偏光板用保護フイルムの一方に、後述する光学異方性層のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板を作製することにより、さらに、液晶表示装置の明室でのコントラストを改良し、上下左右の視野角が非常に広げることができる偏光板を作製できる。
[光学補償フィルム]
光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されているディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性を有する光学異方性層を有し、該ディスコティック化合物と光学補償フィルム表面とのなす角度が、光学異方性層の深さとともに変化している光学補償フィルムが好ましい。
該角度は光学異方性層の支持体面側からの距離の増加とともに増加していることが好ましい。
光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムとして用いる場合、偏光膜と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
[液晶表示装置]
本発明の反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。本発明の反射防止フィルムは透明支持体を有しているので、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
本発明の反射防止フィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
ECBモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として広く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」東レリサーチセンター発行(2001)などに記載されている。
特にTNモードやIPSモードの液晶表示装置に対しては、特開2001−100043等に記載されているように、視野角拡大効果を有する光学補償フィルムを偏光膜の裏表2枚の保護フィルムの内の本発明の反射防止フィルムとは反対側の面に用いることにより、1枚の偏光板の厚みで反射防止効果と視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができ、特に好ましい。
また、本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板を透過型または半透過型の液晶表示装置に用いる場合には、市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEFなど)と併せて用いることにより、さらに視認性の高い表示装置を得ることができる。
また、λ/4板と組み合わせることで、反射型液晶用の偏光板や、有機ELディスプレイ用表面保護板として表面および内部からの反射光を低減するのに用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれによっていささかも限定して解釈されるものではない。
〔実施例1〕
(低屈折率層用塗布液L−1の調製)
本発明の含フッ素共重合体P−1をメチルエチルケトンに7質量%の濃度になるように溶解し、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)を固形分に対して3質量%、光ラジカル発生剤イルガキュア907(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を固形分に対して5質量%添加し、低屈折率層用塗布液L−1を調製した。
(低屈折率層用塗布液L−2〜L−16の調製)
低屈折率層用塗布液の組成物として、L−1で使用した本発明に係る含フッ素共重合体P−1の代わりに表1に示す含フッ素共重合体と他のバインダー成分をそれぞれ固形分中の質量%比で表1に示す量となるように使用し、更に重合禁止剤を使用する場合には表1に記載の化合物をバインダー固形分総量に対する質量比で表示の添加量となるように添加した。これらの使用した素材のトータルの固形分がL−1と同様に7質量%となるようメチルエチルケトンに溶解し、表1に示される低屈折率装用塗布液L−2〜L−16を調整した。
Figure 2005283849
それぞれ使用した化合物または分散液を以下に示す。
・P−1、P−2、P−49、P−51、P−53、P−56:本発明の含フッ素共重合体
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
・EB1290K:6官能ウレタンアクリレートモノマー(ダイセル・ユー・シー・ビー(株)製)
・TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(V#295、大阪有機化学(株)製)
・MEK−ST:シリカゾル(シリカ、平均粒径15nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)
・MEK−ST−L:シリカゾル(シリカ、MEK−STの粒子サイズ違い、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)
・X22−164C:反応性シリコーン(信越化学工業(株)製)
・RMS−033:反応性シリコーン(Gelest(株)製)
・イルガキュア907:光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
・Irg.1010:イルガノックス1010、重合禁止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
・I−18:本発明の重合禁止剤
(オルガノシランゾル液の調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、オルガノシランゾル液を得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(中空シリカ分散液C−2の調製)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、触媒化成工業(株)製CS60−IPA、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20%、シリカ粒子の屈折率1.31)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン30部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加し、分散液C−1を得た。
分散液(C−1)の500gにほぼシリカの含量一定となるようにメチルエチルケトンを添加しながら、圧力20.0kPa(150torr)で減圧蒸留による溶媒置換を行った。得られた中空シリカ分散液C−2のイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.0%以下であった。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をメチルエチルケトンで調整し20%にしたときの粘度は25℃で2mPa・sであった。
(低屈折率層塗布液の安定性試験の評価)
組成物の塗布後でありかつ硬化処理前の状態での重合体中に含まれる未反応のラジカル重合性基量の、塗布前の状態で該重合体中に含まれる未反応のラジカル重合性基量に対する比率は、上記の低屈折率層塗布液中に存在する二重結合量の塗設後の存在量を、通常条件(調液後、室温1時間以内に塗設)にて測定し、塗布液調液直後に対する比率を求めた。また、加熱経時後の同様の比率としては、加熱経時試験(40℃、遮光条件における30日間の静置経時試験)後の塗布液について低屈折率層塗布液中に存在する二重結合量の塗設後の存在量を測定し、塗布液調液直後に対する比率を求めた。二重結合存在量については、樹脂組成物を赤外分光光度計により測定し、1700cm-1付近のカルボニル基の伸縮振動による吸収(このピーク値の補正ベースラインに対する高さをaとする)と、810cm-1付近の二重結合の変角振動による吸収(このピーク値の補正ベースラインに対する高さをbとする)の比(=b/a)を求め、二重結合存在量とした。更に、通常条件、および加熱経時試験後の塗布液中の二重結合存在量については上記の各低屈折率層用塗布液をグラビアコーターを用いて膜厚100μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(FD−100M、富士写真フイルム(株)製)上に塗設することで得られた塗布膜中に存在する二重結合存在量を赤外分光光度計により測定し、調液直後と同様の方法により存在量を求めた。得られたb/aの値の比を、通常条件、加熱経時試験、それぞれについて調液直後に対して求めることで安定性の評価を行った。グラビアコーターによる塗設は、線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径90mmφのグラビアロールとドクターブレードを用い、グラビアロール回転数30rpm、塗布速度10m/分、ブレード圧9.8Nの条件にて行った。尚、本発明に記載の実施例中においては、グラビアコーターによる塗設はいずれも上記条件にて行った。得られた結果を表2(二重結合残存比率、通常条件/サーモ後)に示す。
Figure 2005283849
(硬化後二重結合反応率の評価)
膜厚100μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(FD−100M、富士写真フイルム(株)製)上に、低屈折率層用塗布液L−1をグラビアコーターを用いて塗布した。乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.05体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量600mJ/cm2の照射量とした。硬化後の低屈折率層は膜厚85nmであった。このようにして、硬化膜を作製した。作製した硬化膜について、膜中に存在する二重結合存在量を塗布液安定性評価と同様の方法により赤外分光光度計にて測定し、塗布液調液直後に対する反応率を求めた。
また、低屈折率用塗布液L−2〜L−16に対しても使用する塗布液と、硬化時の酸素濃度以外を表3に示す条件に変更する以外はL−1と同様の方法を用い、硬化後二重結合反応率の評価を行った。得られた結果を表3(硬化後反応率、mol%)に示す。
(ハードコート層用塗布液HC1の調製)
トリメチロールプロパントリアクリレート(V#295、大阪有機化学(株)製)750.0重量部に、質量平均分子量15000のポリ(グリシジルメタクリレート)270.0質量部、メチルエチルケトン730.0質量部、シクロヘキサノン500.0質量部及び光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))50.0質量部をミキシングタンクに投入し、攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液を調製した。
(二酸化チタン微粒子分散液の調製)
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、かつ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子(MPT−129C、石原産業(株)製、TiO2:Co34:Al23:ZrO2=90.5:3.0:4.0:0.5質量比)を使用した。
この粒子257.1質量部に、下記分散剤41.1質量部、およびシクロヘキサノン701.8質量部を添加してダイノミルにより分散し、質量平均径70nmの二酸化チタン微粒子分散液を調製した。
分散剤
Figure 2005283849
(中屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン微粒子分散液99.1質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA)68.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)3.6質量部、光増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製)1.2質量部、メチルエチルケトン279.6質量部およびシクロヘキサノン1049.0質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用塗布液を調製した。
(高屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン微粒子分散液469.8質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)40.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)3.3質量部、光増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製)1.1質量部、メチルエチルケトン526.2質量部、およびシクロヘキサノン459.6質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液を調製した。
(反射防止フィルム1の作製)
膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士写真フイルム(株)製)上に、ハードコート層用塗布液HC1をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液、高屈折率層用塗布液、低屈折率層用塗布液L−1を3つの塗布ステーションを有するグラビアコーターを用いて連続して塗布した。
中屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量400mJ/cm2の照射量とした。
硬化後の中屈折率層は屈折率1.630、膜厚67nmであった。
高屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量400mJ/cm2の照射量とした。
硬化後の高屈折率層は屈折率1.905、膜厚107nmであった。
低屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.05体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量600mJ/cm2の照射量とした。
硬化後の低屈折率層は屈折率1.440、膜厚85nmであった。このようにして、反射防止フィルムを作製した。
(反射防止フィルム2〜16の作製)
反射防止フィルム1の作製において、低屈折率層用塗布液L−1の代わりに表1に示すL−2〜L−16を用い、作製条件も表3に記載の条件にて反射防止フィルム2〜16を作製した。
(鹸化処理)
作製した反射防止フィルムの裏面を親水化するため鹸化処理(1.5mol/L−アルカリ(NaOH)、55℃、120秒)を施し、水で十分に洗浄し、次いで希硫酸水溶液で中和を行なった後、さらに水で十分に洗浄し、その後100℃で十分に乾燥させて偏光板用反射防止フィルムとした。
(偏光板用反射防止フィルムの反射防止面の評価)
作製した偏光板用反射防止フィルムについて、以下の各項目の評価を行った。各試料の反射防止膜の評価結果を表3に示す。
(1)平均反射率測定
作製した偏光板用反射防止フィルムの裏面を紙やすりで粗面化し黒マジックで一面黒く塗った後、5°鏡面反射率を分光光度計(550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着)を用い、380〜780nmの波長領域における、入射角θ(θ=5)の出射角−θの鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出して測定した。また、得られた反射率をCouthyの経験式により表される積層体の反射率計算の式から計算することにより、低屈折率層の屈折率を概算して求めた。
(2)面状評価
作製した反射防止フィルムの裏面を黒マジックで一面黒く塗った後、面状観察を行い、段状/スジ状/モヤ状/等のムラの観点で塗布面状の評価を行った。
○:ムラが見えない
○△:良く見るとムラが見えるが、目立たない。
△:良く見るとムラが見え、気になる。
×:ムラが目立ち、気になる。
(3)膜強度(スチールウール耐傷性)評価
作製した偏光板用反射防止フィルムについて、下記の耐擦傷性試験を行った。
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなった。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール(日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000)を巻いて、動かないようバンド固定した。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、荷重:500g/cm2、先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
◎:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
○△:弱い傷が見える。
△:中程度の傷が見える。
△×〜×:一目見ただけで分かる傷がある。
Figure 2005283849
表3、表4に示される結果から、低屈折率層用塗布液に含まれる含フッ素共重合体として、共重合体中のラジカル重合性基の構造を選択することより、塗布液の安定性と皮膜性能を両立できることがわかった
[実施例2]
(低屈折率用塗布液L−17〜L−36の作製)
実施例1において、低屈折率層用塗布液の組成物として、L−1で使用した本発明に係る含フッ素共重合体(P−1)の代わりに表4に示す共重合体と他のバインダー成分をそれぞれ固形分中の質量%比で表4に示す量となるように使用し、更に重合禁止剤を使用する場合には表4記載の化合物をバインダー固形分総量に対する質量比で表示の添加量となるように添加した。これらの使用した素材のトータルの固形分がL−1と同様に7質量%となるようメチルエチルケトンに溶解し、低屈折率装用塗布液L−17〜L−36を調製した。
Figure 2005283849
(塗布液の安定性と硬化後反応率の評価)
実施例1と同様にして塗布液の安定性と硬化後反応率の評価を行った。その結果を表5、表6に示す。
(反射防止フィルムの評価)
実施例1において、使用する低屈折率用塗布液と硬化条件として表6に示す塗布液と硬化条件を用いる以外は実施例1と同様にして反射防止フィルムを作製し、それらの反射防止フィルムの評価を行った。その結果を表6に示す。
Figure 2005283849
Figure 2005283849
表5及び6に示される結果より、本発明の低屈折率層用塗布液は、添加剤の併用、または硬化条件の選択により、塗布液の安定性と皮膜性能を両立できることがわかる。
[実施例3]
実施例1、実施例2において、本発明の低屈折率層用塗布液中に使用したX−22−164Cを固形分に対し3質量%添加する代わりに、RMS−033(反応性シリコーン、Gelest社製)を固形分に対して4質量%添加する以外は同様にして低屈折率層用塗布液の安定性評価と、該低屈折率層用塗布液を使用した反射防止フィルムの評価を行った結果、実施例1、実施例2と同様にして、塗布液の安定性と硬化後の被膜性能に優れる反射防止フィルムが得られることが分かった。
[実施例4]
(ハードコート層用塗布液HC2の調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)315.0gに、シリカ微粒子のメチルエチルケトン分散液(MEK−ST、粒径15nm、固形分濃度30質量%、日産化学(株)製)450.0g、メチルエチルケトン15.0g、シクロヘキサノン220.0g、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)16.0g、を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液HC2を調製した。
ハードコート層用塗布液として、HC1の替わりにHC2を用いた以外は実施例1、実施例2と同様にして、反射防止フィルム401〜454を作製し、実施例1と同様の評価を行ったところ、本発明の低屈折率層用塗布液を用いれば、実施例1、実施例2と同様に、塗布液の安定性と硬化後の被膜性能に優れる反射防止フィルムが得られることが分かった。
[実施例5]
(光散乱層用塗布液Aの調製)
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(PET−30、日本化薬(株)製)50gをトルエン38.5gで希釈した。更に、重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を2g添加し、混合攪拌した。 この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.51であった。
さらにこの溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した平均粒径3.5μmの架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61、SX−350、綜研化学(株)製)の30%トルエン分散液を1.7gおよび平均粒径3.5μmの架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.55、綜研化学(株)製)の30%トルエン分散液を13.3g加え、最後に、フッ素系表面改質剤(FP−13、質量平均分子量14,000)0.75g、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製)を10gを加え、完成液とした。
前記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して光散乱層用塗布液Aを調製した。
FP−13
Figure 2005283849
ハードコート層用塗布液として、HC1の替わりに光散乱層用塗布液Aを用い、更に高屈折率層、中屈折率層を用いなかった以外は実施例1、実施例2と同様にして、反射防止フィルム501〜554を作製し、実施例1と同様の評価を行ったところ、平均反射率以外は、本発明の低屈折率層用塗布液を用いれば、実施例1、実施例2と同様に、塗布液の安定性と硬化後の被膜性能を両立する反射防止フィルムが得られることが分かった。
[実施例6]
(光散乱層用塗布液Bの調製)
市販ジルコニア含有UV硬化型ハードコート液(デソライトZ7404、JSR(株)製、固形分濃度約61%、固形分中ZrO2含率約70%、重合性モノマー、重合開始剤含有)285g、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)85gを混合し、更に、メチルイソブチルケトン60g、メチルエチルケトン17gで希釈した。更に、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学(株)製)28gを混合攪拌した。この溶液を塗布、紫外線硬化して得られた塗膜の屈折率は1.61であった。
さらにこの溶液に平均粒径3.0μmの分級強化架橋PMMA粒子(屈折率1.49、MXS−300、綜研化学(株)製)の30%メチルイソブチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散した分散液を35g加え、次いで、平均粒径1.5μmのシリカ粒子(屈折率1.46、シーホスタKE−P150、日本触媒(株)製)の30%メチルエチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpmで30分分散した分散液を90g加え、最後に、前記フッ素系表面改質剤(FP−13)0.12gを混合攪拌し、完成液とした。
前記混合液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して光散乱層用塗布液Bを調製した。
ハードコート層用塗布液として、HC1の替わりに光散乱層用塗布液Bを用い、更に高屈折率層、中屈折率層を用いなかった以外は実施例1、実施例2と同様にして、反射防止フィルム601〜654を作製し、実施例1と同様の評価を行ったところ、本発明の低屈折率層用塗布液を用いれば、平均反射率以外は、実施例1、実施例2と同様に、塗布液の安定性と硬化後の被膜性能を両立する反射防止フィルムが得られることが分かった。
[実施例7]
(画像表示装置の評価)
上記で作製した本発明の偏光板用反射防止フィルムを下記方法により偏光板に加工後に装着したTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置は、反射防止性能に優れ、極めて視認性が優れることがわかった。
(偏光板の作製方法)
(1)膜厚75μmのポリビニルアルコールフィルム((株)クラレ製)を水1000質量部、ヨウ素7質量部、ヨウ化カリウム105質量部からなる水溶液に5分間浸漬し、ヨウ素を吸着させた。次いで、このフィルムを4質量%ホウ酸水溶液中で、4.4倍に縦方向に1軸延伸をした後、緊張状態のまま乾燥して偏光膜を作製した。
(2)接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に実施例1〜9の反射防止フィルム(偏光板用表面保護フィルム)の鹸化処理したセルローストリアセテート面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したセルローストリアセテートフィルムTD80UFを同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせ偏光板を作製した。
[実施例8]
(視野角拡大偏光板の作製)
ディスコティック構造単位の円盤面が透明支持体面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化している光学補償層を有する光学補償フィルム(ワイドビューフィルムSA 12B、富士写真フイルム(株)製)の表面を、実施例1のフィルム1と同様の条件で浸漬法により鹸化処理し、実施例7の偏光板の作製方法(2)における鹸化セルローストリアセテートに置き換えて鹸化処理した光学補償フィルムの光学補償層面を実施例7の偏光板の作製方法(2)のポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせることにより、反射防止フィルムと光学補償フィルムで両主面を保護した視野角拡大偏光板を作製した。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した偏光板の光学補償層面を透過型TNセルの視認側のガラス面に貼り合せることによって作製した液晶表示装置は、光学補償フィルムを用いていない偏光板を装着した液晶表示装置よりも明室でのコントラストに優れ、上下左右の視野角が非常に広く、さらに、反射防止性能に優れ、極めて視認性と表示品位が優れることがわかった。
[実施例9]
実施例1の本発明試料を、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、ガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高い表示装置が得られた。
[実施例10]
実施例1の本発明試料を用いて、片面反射防止フィルム付き偏光板を作製し、偏光板の反射防止膜を有している側の反対面にλ/4板を張り合わせ、反射防止膜側が最表面になるように、有機EL−表示装置の表面のガラス板に貼り付けたところ、表面反射および、表面ガラスの内部からの反射がカットされ、極めて視認性の高い表示が得られた。
反射防止性能に優れた反射防止フィルムを表面保護フィルムに用いた偏光板の層構成を模式的に示す概略断面図である。
符号の説明
101 送り出しロールフィルム
102 第一の塗布ステーション
103 第一の乾燥ゾーン
104 第一のUV照射機
105 第二の塗布ステーション
106 第二の乾燥ゾーン
107 第二のUV照射機
108 第三の塗布ステーション
109 第三の乾燥ゾーン
110 第三のUV照射機
111 後乾燥ゾーン
112 巻取りロールフィルム

Claims (15)

  1. 透明支持体上に塗設された複数の層からなる反射防止フィルムの最外層に位置する低屈折率層を形成するために用いられ、ラジカル重合性基を有する重合体を含有する組成物であって、
    該組成物の塗布後でありかつ硬化処理前の状態で、該重合体中に含まれる未反応のラジカル重合性基量の、塗布前の状態で該重合体中に含まれる未反応のラジカル重合性基量に対する比率が、0.8以上であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 硬化性樹脂組成物を40℃、30日間の加熱経時した後に塗布しかつ硬化処理前の状態で、重合体中に含まれる未反応のラジカル重合性基量の、加熱経時前の該硬化性樹脂組成物に含まれる該重合体中の未反応のラジカル重合性基量に対する比率が、0.8以上であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 硬化性樹脂組成物を塗布、硬化してなる硬化樹脂層の、硬化処理後の層中に含まれるラジカル重合性基の反応率が60モル%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. ラジカル重合性基がアクリロイル基及びメタクリロイル基から選ればれる少なくとも1つの重合性基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 質量平均粒子径が10nm以上150nm以下の無機微粒子を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を、支持体上に塗設された少なくとも一つの層を有する基材フィルム上に塗布する工程、乾燥する工程、及び硬化する工程を含み、該硬化工程が紫外線照射または電子線照射を含む工程であり、該紫外線照射時または電子線照射時の該硬化性樹脂組成物からなる被硬化膜表面の酸素濃度が1体積%以下であることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
  7. 硬化工程における紫外線照射時または電子線照射時の基材フィルムの温度が60℃以上であることを特徴とする請求項6に記載の反射防止フィルムの製造方法。
  8. 塗布工程がグラビアロールとドクターブレードを用いた塗布方式でなされることを特徴とする、請求項6または7のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
  9. 透明支持体上に、少なくとも該支持体よりも屈折率の高い高屈折率層と、低屈折率層とを有し、請求項6〜8のいずれかに記載の反射防止フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とする反射防止フィルム。
  10. 支持体よりも屈折率が高く、互いの屈折率が異なる少なくとも2層以上の高屈折率層を有することを特徴とする請求項9に記載の反射防止フィルム。
  11. 請求項9または10に記載の反射防止フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いたことを特徴とする偏光板。
  12. 偏光膜の2枚の保護フィルムの一方に請求項9または10に記載の反射防止フィルムを用い、他方の保護フィルムに光学異方性層を有する光学補償フィルムを用いたことを特徴とする請求項11に記載の偏光板。
  13. 光学補償フィルムの光学異方性層が光学異方性を有するディスコティック構造単位を有する化合物を有し、該ディスコティック構造単位の円盤面がフィルム表面に対して傾いており、かつ該円盤面とフィルム表面とのなす角度が、光学異方性層の深さとともに変化していることを特徴とする請求項12に記載の偏光板。
  14. 請求項9または10に記載の反射防止フィルム、並びに請求項11〜13のいずれかに記載の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
  15. TN、STN、IPS、VAおよびOCBのいずれかのモードの透過型、反射型または半透過型の液晶表示装置であることを特徴とする請求項14に記載の画像表示装置。
JP2004095945A 2004-03-29 2004-03-29 硬化性樹脂組成物、それを用いた反射防止フィルムの製造方法、反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置 Pending JP2005283849A (ja)

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