JP4740603B2 - 反射防止フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高精細な描画性、反射防止性および防眩性、並びに防汚性に優れた高耐久性の反射防止フィルム、及びその製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び画像表示装置に関する。
反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な画像表示装置に設けられているほか、眼鏡やカメラのレンズにも設けられている。反射防止フィルムとしては、金属酸化物の透明薄膜を積層させた多層膜が従来から普通に用いられている。複数の透明薄膜を用いるのは、可視域でなるべく広い波長領域での光の反射を防止するためである。金属酸化物の透明薄膜は、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法やスパッタ法により形成されている。
金属酸化物の透明薄膜は、反射防止フィルムとして優れた光学的性質を有している。また、PVD法による反射防止フィルムは、用途に応じて表面凹凸による防眩性を有する支持体上に形成される場合がある。平滑な支持体上に形成されたものより平行光線透過率は減少するが、背景の映り込みが表面凹凸によって散乱されて低下するため防眩性を発現し、反射防止効果とあいまって、画像形成装置に適用するとその表示品位は著しく改善される。しかしながら、蒸着法やスパッタ法による製膜方法は、生産性が低く大量生産に適していないという問題がある。
蒸着法に代えて、無機微粒子を含む塗料の塗布により形成された層を複数有する多層構成の反射防止フィルムが提案されている。たとえば、表面凹凸を有する支持体上に反射防止層を塗布する方法や、表面凹凸を形成するためのマット粒子を反射防止層を形成する塗布液に添加する方法の他に、エンボス方法等により反射防止層の表面に凹凸形状を賦形する方法が提案されている。また、反射防止層を塗布後に塗布層が完全に硬化する前にエンボス加工する方法(例えば、特許文献1及び2等)も提案されている。これらは、凹凸の賦形は容易だが薄層の多層構成からなる反射防止フィルムの各層の膜厚を一定に保持することが難しく、結果として防眩性、反射防止性にムラが生じてしまう問題がある。
これに対して、平滑な反射防止フィルムを作成後にエンボス加工する方法が提案されている(例えば、特許文献3及び4等)。しかし、この方法でも、近年の液晶ディスプレイの高視野角化、高速応答化、並んで要求される高精細化への対応は難しかった。即ち高精細化(高画質)に対する要求が非常に高くなっている。この高精細化は、液晶セルサイズの微小化により実現され、セルサイズが小さくなるにつれて、例えば133ppi(133pixels/inch)以上の超高精細の領域になると、防眩性を有する反射防止フィルムを透過し、ユーザーの目に届く光に輝度バラツキが生じ、これにより「ギラツキ」という問題が発生し、表示品位が劣化するという問題があった。
この「ギラツキ」は、反射防止フィルムの表面に画像表示セルよりも大きな凹凸が存在することにより、単一セルからの透過光がレンズ効果により集光したり、隣接する幾つかのセルからのRGB透過光が混色を起こしたりすることによって発生する描画故障である。
一方、画像表示装置用の防眩、あるいは反射防止フィルムは、その機能より、装置の最外面に装着されることが多い。特にテレビやコンピューター用モニター、携帯用デジタル機器に用いられる場合は、使用中に様々な塵埃或は環境変化による水滴付着等の付着を受
けることがあるため、防汚性並びに耐候性向上が望まれていた。
特開2000−206317号公報 特開2000−214302号公報 特開2000−275401号公報 特開2000−275404号公報
本発明の目的は、高精細な描画性、反射防止性および防眩性、並びに防汚性に優れた高耐久性の反射防止フィルムを提供することである。
また、本発明の他の目的は、反射防止層を有する反射防止フィルムにおいて、エンボス加工による版のパターン転写を容易にすることにより、制御された微細構造をフィルム表面に形成し、防眩効果及び防汚効果を実現し、近年要求されている高精細な画像描画装置において、塵埃等の付着し難い、「ギラツキ」などの欠陥が生じない反射防止フィルムを長尺ロール形態で生産性良好に製造できる反射防止フィルムの製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、光学性能、物理強度、防汚性および耐候性に優れ、安価で大量に製造可能な偏光板を提供することである。
また、本発明の他の目的は、適切な手段により防汚性及び耐候性良好な反射防止処理がされている画像表示装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、反射防止フィルムの最表面の表面を、大小2種類の凹凸により形成することにより、上記目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、下記構成の反射防止フィルムの製造方法が提供され、上記目的が達成される。
<1> 透明支持体上に該透明支持体の屈折率より低い屈折率を有する低屈折率層を少なくとも一層含む反射防止層を、反射防止層を構成する各層の形成用組成物を順次または同時に塗布して形成する反射防止層形成工程、およびその後に反射防止層側の最表面をエンボス加工して表面に凹凸形状を形成する凹凸形成工程を具備することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
ここで、前記反射防止フィルムは、透明支持体と、該透明支持体上に形成された反射防止層とを具備してなり、該反射防止層が、該透明支持体よりも低屈折率であり且つ最上層を形成する低屈折率層を有し、該透明支持体と該反射防止層の間にハードコート層を有し、該ハードコート層が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマー、及び同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物の両方を各々少なくとも1種含有し、架橋性ポリマー中の開環重合性基と、前記エチレン性不飽和基との両方を重合させることにより硬化するハードコート層形成用組成物を塗布し硬化してなる硬化膜であり、
反射防止層側のフィルム最表面には、算術平均粗さRaが0.02〜1μm、凹凸の平均間隔Smが5〜65μmの第一の凹凸形状が形成され且つ凹凸プロファイルの傾斜角(正反射面に対する傾斜角度分布)が15度以下に分布していると共に、該第一の凹凸形状表面上に、該第一の凹凸形状よりも小さい第二の凹凸形状が形成され、その算術平均粗さRaが0.001〜0.05μm、凹凸の平均間隔Smが0.005〜0.2μmである反射防止フィルムである。
一般式(1)
Figure 0004740603
式中a 1 、a 2 は、各々同じでも異なってもよく、水素原子、脂肪族基、−COOR 1 、又は−CH 2 COOR 1 を表す。但し、R 1 は炭化水素基を表す。
1 は開環重合性基を含む一価の基を表す。
1 は単結合もしくは二価の連結基である。
<2>
上記の第一の凹凸形状が、凹凸の最大高さRyが2μm以下であることを特徴とする上記<1>記載の反射防止フィルムの製造方法。
<3>
上記の第二の凹凸形状が、十点平均粗さRzが0.005〜0.055μmである凹凸からなることを特徴とする上記<1>又は<2>記載の反射防止フィルムの製造方法。
<4>
上記反射防止層が、上記低屈折率層と透明支持体との間に、透明支持体の屈折率よりも高屈折率の高屈折率層を少なくとも1つ有することを特徴とする上記<1>乃至<3>の何れかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
<5>
上記高屈折率層が、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子を含有し、かつ、該高屈折率層の屈折率が1.55〜2.40であることを特徴とする上記<4>に記載の反射防止フィルムの製造方法。
<6>
上記反射防止層の厚さが、反射防止層の総厚の変動幅が±6%であることを特徴とする上記<1>乃至<5>の何れかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
<7>
上記反射防止層が、波長380nmから780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光のCIE1976L * * * 色空間のL * 、a * 、b * 値のそれぞれの値の面内における変化率が15%未満であることを特徴とする上記<1>乃至<6>の何れかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
<8>
上記反射防止層が、耐候性試験前後の該フィルムが波長380nm〜680nmにおける平均反射率の変化が0.5%以下であり、且つ反射光の色味変化ΔEがL * * * 色度図上で15以下であることを特徴とする上記<1>乃至<7>の何れかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
<9>
上記低屈折率層が、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%〜100%であり、屈折率が1.17〜1.40である、中空構造の無機微粒子を少なくとも1種含有してなることを特徴とする上記<1>乃至<8>の何れかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
<10>
上記低屈折率層が、上記無機微粒子、硬化性反応基を有する含フッ素ポリマー、及び酸触媒の存在下で製造されてなる、下記一般式[A]で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を、各々少なくとも1種含有する低屈折率層形成用組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることを特徴とする上記<9>記載の反射防止フィルムの製造方法。
一般式[A]
(R 10 α −Si(X) 4-α
(式中、R 10 は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。αは1〜3の整数を表す。)
なお、本発明は上記<1>〜<10>に関するものであるが、参考のためその他の事項、例えば下記(1)〜(17)に記載の事項などについても記載した。
(1)透明支持体と、該透明支持体上に形成された反射防止層とを具備してなり、該反射防止層が、該透明支持体よりも低屈折率であり且つ最上層を形成する低屈折率層を有する反射防止フィルムにおいて、反射防止層側のフィルム最表面には、算術平均粗さRaが0.02〜1μm、凹凸の平均間隔Smが5〜65μmの第一の凹凸形状が形成され且つ凹凸プロファイルの傾斜角(正反射面に対する傾斜角度分布)が15度以下に分布していると共に、該第一の凹凸形状表面上に、該第一の凹凸形状よりも小さい第二の凹凸形状が形成され、その算術平均粗さRaが0.001〜0.05μm、凹凸の平均間隔Smが0.005〜0.2μmであることを特徴とする反射防止フィルム。
(2)上記の第一の凹凸形状が、凹凸の最大高さRyが2μm以下であることを特徴とする(1)記載の反射防止フィルム。
(3)上記の第二の凹凸形状が、十点平均粗さRzが0.005〜0.055μmである凹凸からなることを特徴とする(1)又は(2)記載の反射防止フィルム。
(4)上記反射防止層が、上記低屈折率層と透明支持体との間に、透明支持体の屈折率よりも高屈折率の高屈折率層を少なくとも1つ有することを特徴とする(1)乃至(3)の何れかに記載の反射防止フィルム。
(5)上記反射防止層の厚さが、反射防止層の総厚の変動幅が±6%であることを特徴とする(1)乃至(4)の何れかに記載の反射防止フィルム。
(6)上記反射防止層が、波長380nmから780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光のCIE1976L***色空間のL*、a*、b*値のそれぞれの値の面内における変化率が15%未満であることを特徴とする(1)乃至(5)の何れかに記載の反射防止フィルム。
(7)上記反射防止層が、耐候性試験前後の該フィルムが波長380nm〜680nmに
おける平均反射率の変化が0.5%以下であり、且つ反射光の色味変化ΔEがL***色度図上で15以下であることを特徴とする(1)乃至(6)の何れかに記載の反射防止フィルム。
(8)上記低屈折率層が、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%〜100%であり、屈折率が1.17〜1.40である、中空構造の無機微粒子を少なくとも1種含有してなることを特徴とする(1)乃至(7)の何れかに記載の反射防止フィルム。
(9)上記低屈折率層が、上記無機微粒子、硬化性反応基を有する含フッ素ポリマー、及び酸触媒の存在下で製造されてなる、下記一般式[A]で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を、各々少なくとも1種含有する低屈折率層形成用組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることを特徴とする(8)記載の反射防止フィルム。
一般式[A]
(R10α−Si(X)4-α
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。αは1〜3の整数を表す。)
(10)上記高屈折率層が、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子を含有し、かつ、該高屈折率層の屈折率が1.55〜2.40であることを特徴とする(4)に記載の反射防止フィルム。
(11)さらに、上記透明支持体と上記反射防止層の間にハードコート層を有し、該ハードコート層が、ラジカル重合性基とカチオン重合性基とを各々少なくとも1種含有する重合性化合物を少なくとも1種を含有するハードコート層形成用組成物を塗設し硬化してなる硬化膜であることを特徴とする(1)乃至(10)の何れかに記載の反射防止フィルム。
(12)上記ハードコート層形成用組成物が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマー、及び同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物とを各少なくとも1種を含有して成ることを特徴とする(11)に記載の反射防止フィルム。
一般式(1)
Figure 0004740603
式中a1、a2は、各々同じでも異なってもよく、水素原子、脂肪族基、−COOR1、又は−CH2COOR1を表す。但し、R1は炭化水素基を表す。
1は開環重合性基を含む一価の基又はエチレン性不飽和基を表す。L1は単結合もしくは二価の連結基である。
(13)透明支持体上に該透明支持体の屈折率より低い屈折率を有する低屈折率層を少なくとも一層含む反射防止層を、反射防止層を構成する各層の形成用組成物を順次または同時に塗布して形成する反射防止層形成工程、およびその後に反射防止層側の最表面をエンボス加工して表面に凹凸形状を形成する凹凸形成工程を具備することを特徴とする(1)乃至(12)の何れかに記載の反射防止フィルムの製造方法。
(14)2枚の保護フィルムを偏光子の表面と裏面に貼り合せた偏光板において、(1)乃至(12)の何れかに記載の反射防止フィルムを少なくとも片面の保護フィルムに用いたことを特徴とする偏光板。
(15)偏光膜の2枚の保護フィルムの一方に(1)乃至(12)のいずれかに記載の反射防止フィルムを用い、他方の保護フィルムに光学異方性層を有する光学補償フィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
(16)上記(1)及至(12)のいずれかに記載の反射防止フィルムまたは(14)もしくは(15)記載の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
(17)TN、STN、IPS、VAおよびOCBのいずれかのモードの透過型、反射型または半透過型の液晶表示装置を有することを特徴とする(16)に記載の画像表示装置。
上述のように、本発明は、透明支持体上に反射防止層を塗設して成る反射防止フィルム、特に好ましくは多層構成から成る反射防止層を設けてなる反射防止フィルムの最表面が、特定の大きさと特定の分布に揃えた第一の凹凸形状を具備し、更にその第一凹凸形状の表面にそれより小さな、好ましくは特定の大きさと特定の分布を有する第二の凹凸形状を形成して成ることを特徴とする。そして、更に、反射防止層の厚みが実質的に均一に制御されているのが好ましい。これにより、反射防止フィルムを長尺ロール透明支持体から作製する場合においても、フィルム全面において均質な反射防止性と防眩性、並びに防汚性に優れたものとなる。これは、第一の凹凸により防眩性が付与され、第二の凹凸により防汚性、撥水性が発揮されていると考えられ、この2つの凹凸が上記の範囲の凹凸形状であることにより、より、均質な反射防止性、防眩性、撥水性並びに防汚性が効果的に働くものと思われる。
この第一、第二の凹凸形状は、反射防止フィルム最表面に所望の特定形状を形成できればよく、透明支持体上に少なくとも低屈折率層を塗設して低屈折率層を形成した後に特定形状を賦与しても、透明支持体および/または支持体上の塗設層のいずれに対して第一および/または第二の凹凸形状に対応する形状を設けることによってもよい。中でも(1)最外層の低屈折率層に最も近いハードコート層に第一の凹凸形状に対応する形状を、低屈折率層に第二の凹凸形状を設ける態様(図1参照)、(2)最外層の低屈折率層に最も近いハードコート層に第一および第二の両方に対応する凹凸形状を設ける態様(図2参照)、あるいは(3)最外層の低屈折率層塗設後に第一、第二の凹凸形状を設ける態様が、所望形状の付与のしやすさ(生産効率)の点から好ましい。特に、透明支持体上に少なくとも低屈折率層を塗設して低屈折率層を形成した後に特定形状を賦与することが好ましい。
更には、反射防止層と透明支持体との間に特定構造の硬化樹脂からなるハードコート層を塗設した場合には、ハードコート層硬化後の反射防止フィルム表面に特定構造の微細な凹凸形状を、エンボス加工方法で、形状が変化することなく安定して賦与できることを見出した。表面凹凸が前記のように形成され且つ反射防止層の膜厚が実質上均一な反射防止フィルムとして形成されるのは、エンボス加工により支持体が熱塑性変形し且つ上記のハードコート樹脂層の弾性変形の両作用が主要な効果と思われる。
更には、本発明の反射防止フィルムは、低屈折率層がその膜厚以下の低屈折率の中空構造無機微粒子を含有し、更には硬化性反応基含有の含フッ素ポリマー及び特定のオルガノシラン化合物を併用した硬化膜とした場合には、光学特性並びに膜強度を向上できる。
更には、本発明の反射防止フィルムは、高屈折率層用の高屈折率粒子として特定の酸化チタンを超粒子に分散した場合には、光学特性並びに耐候性が著しく改善できる。
本発明の反射防止フィルムは、高精細な描画性、反射防止性および防眩性、並びに防汚性に優れた高耐久性のものである。
また、本発明の反射防止フィルムの製造方法によれば、制御された微細構造をフィルム表面に形成し、防眩効果及び防汚効果を実現し、近年要求されている高精細な画像描画性能を有し、塵埃等が付着し難く、「ギラツキ」などの欠陥が生じない反射防止フィルムを長尺ロール形態で生産性良好に製造できる。
また、本発明の偏光板は、光学性能、物理強度、防汚性および耐候性に優れ、安価で大量に製造可能なものである。
また、本発明の画像表示装置は、適切な手段により防汚性及び耐候性良好な反射防止処理がされているものである。
以下、本発明の反射防止フィルムについて詳細に説明する。
本発明の反射防止フィルムは、透明支持体と、該透明支持体上に形成された反射防止層とを具備してなり、該反射防止層が、該透明支持体よりも低屈折率であり且つ最上層を形成する低屈折率層を有する。
そして、本発明の反射防止フィルムにおいては、反射防止層側のフィルム最表面には、特定形状の第一の凹凸形状が形成されていると共に、該第一の凹凸形状表面上に、該第一の凹凸形状よりも小さい表面粗さの第二の凹凸形状が形成されていることを特徴とする。
まず、反射防止層の層構成について説明する。
[反射防止層の層構成]
本発明の反射防止フィルムが有する反射防止層は、少なくとも透明支持体よりも低屈折率の低屈折率層を設けてなる。より好ましくは光透過性を有し且つ互いに屈折率の異なる層を二層以上積層してなる多層型反射防止層である。該多層型反射防止層は、透明支持体側から高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成を有する。透明支持体、高屈折率層及び低屈折率層は以下の関係を満足する屈折率を有する。
高屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
また、透明支持体と高屈折率層の間に、ハードコート層を設けることが好ましい。更には、該多層型反射防止層は、ハードコート機能を有する高屈折率層或いは防眩性高屈折率層と低屈折率層とからなってもよく、また、さらに中屈折率層を有していてもよい。
尚、ここで記載した高屈折率、中屈折率、低屈折率とは層相互の相対的な屈折率の高低をいう。
中屈折率層を有する場合、透明支持体側から、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成を有する。透明支持体、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層は、以下の関係を満足する屈折率を有する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
また、透明支持体と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、前記のような中屈折率ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層からなってもよい。
このような3層構成の反射防止層は、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層のそれぞれの層の光学膜厚、すなわち屈折率と膜厚の積が設計波長λに対してnλ/4前後、またはその倍数であることが好ましく、このことは特開昭59−50401号公報に記載されている。
更には、特に設計波長λ(=500nm)に対して中屈折率層が下式(I)を、高屈折率層が下式(II)を、低屈折率層が下式(III)をそれぞれ満足することが好ましい。
100.00<n1d1<125.00 (I)
187.50<n2d2<237.50 (II)
118.75<n3d3<131.25 (III)
式中、n1は中屈折率層の屈折率であり、d1は中屈折率層の層厚(nm)であり、n2は高屈折率層の屈折率であり、d2は高屈折率層の層厚(nm)であり、n3は低屈折率層の屈折率であり、そして、d3は低屈折率層の層厚(nm)である。
更に、例えばトリアセチルセルロース(屈折率:1.49)からなるような屈折率が1.45〜1.55の透明支持体に対しては、n1は1.60〜1.65、n2は1.85〜1.95、n3は1.35〜1.45の屈折率である必要があり、ポリエチレンテレフタレート(屈折率:1.66)からなるような屈折率が1.55〜1.70の透明支持体に対しては、 n1は1.65〜1.75、n2は1.85〜2.05、n3は1.35〜1.45の屈折率であるのが好ましい。上記のような屈折率を有する中屈折率層や高屈折率層の素材が選択できない場合には、設定屈折率よりも高い屈折率を有する層と低い屈折率を有する層を複数層組み合わせた等価膜の原理を用いて、実質的に設定屈折率の中屈折率層あるいは高屈折率層と光学的に等価な層を形成できることは公知であり、本発明の反射率特性を実現するためにも用いることができる。本発明の「実質的に3層」とは、このような等価膜を用いた4層、5層の反射防止層も含むものである。
これにより、反射防止フィルムの反射光の色味がニュートラルとなり、表示装置の表示画像の視認性が優れたものと成る。
また、本発明の反射防止フィルムにおいては、上記反射防止層の厚さが実質的に均一であるのが好ましい。
ここで、反射防止層の厚さが「実質的に均一」とは、反射防止層の総厚の変動幅が±6%であることを意味する。さらに好ましくは±5%、特に好ましくは±3%である。
例えば、低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層が空気界面側より、この順序に各層ともλ/4nの厚みで積層された3層型設計の場合、各層の膜厚の均一性は±3%が上限であって、それ以上になると著しく反射防止性能が低下してしまう。
反射防止膜の厚みは、望まれる場合には、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)及びX−線光電子分光計(ESCA)の様な当分野周知の各種表面分析技術により分析できる。
次に、本発明の特徴部分である最表面の表面形状について説明する。
本発明の反射防止フィルムにおける反射防止層側のフィルム最表面には、特定形状の第一の凹凸形状が形成されていると共に、該第一の凹凸形状表面上に、該第一の凹凸形状よりも小さい第二の凹凸形状が形成されていることを特徴とする。すなわち、本発明においては、フィルムの最表面に複数の大きな凹凸を形成して第一の凹凸形状を形成すると共に第一の凹凸形状の表面にも小さな複数の凹凸を形成して第二の凹凸形状を形成してなる。[反射防止フィルムの表面形状]
第一の凹凸形状における上記特定形状は、JISB0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.02〜1.0μm、表面凹凸の平均間隔(Sm)が5〜65μmであり、好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.02〜0.8μm、表面凹凸の平均間隔(Sm)が5〜50μmであり、さらに好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.04〜0.6μmで、表面凹凸の平均間隔(Sm)が10〜40μmである。算術平均粗さ(Ra)及び平均間隔(Sm)が上記の範囲内において、フィルム全面において均質な反射防止性と防眩性が良好なものとなる。
また、凹凸プロファイルの傾斜角(正反射面に対する傾斜角度分布)が15度以下に分布している。さらには、十点平均粗さ(Ra)と算術平均粗さ(Rz)との比(Ra/Rz)は0.1以上であるのが好ましく、最大高さ(Ry)が2.0μm以下であるのが好ましい。この範囲内で、フィルム全面の透明性が良好で、且つ反射防止性と防眩性がより一層優れたものとなる。また、(Ra)と(Rz)との比(Ra/Rz)は0.15以上、並びに最大高さ(Ry)が0.05〜1.5μm、傾斜角が0.25〜15度であるのが更に好ましく、特に好ましくは、(Ra)と(Rz)の比(Ra/Rz)が0.17以上、並びに最大高さ(Ry)が0.1〜1.0μm、傾斜角が0.25〜10度である。
ここで、RaとRzの関係は表面の凹凸の均一性を示すものである。
また、凹凸プロファイルの傾斜角は小さい方が好ましい。不規則な凹凸プロファイルの傾斜角は一義でなく分布をもって存在するが、小さい傾斜角の頻度が高くなると防眩性が得られず、大きい傾斜角の頻度が高くなると反射防止フィルムが白味をおびてくることがあるため、凹凸は均一なことが好ましい。
表面の凹と凸の形状は、(株)ミツトヨ社製2次元粗さ計SJ−400型もしくは、(株)RYOKA SYSTEM社製の「マイクロマップ」機により評価することが出来る。
また、凹凸プロファイルの傾斜角は、図1に示すようにして測定する事ができる。すなわち、基材上の3点A、B、Cから鉛直上向きに垂線を伸ばし、その3点が表面と交わっ
た点をA'、B'、C'とする。三角形A'B'C'面の法線D−D'が、基材から鉛直上向きに伸ばした垂線O−O'と為す角度θを傾斜角度とする。測定面積は基材上で0.25平方ミリメートル以上が好ましく、この面を基材上で三角形に分割して測定し、求めた傾斜角度を平均して表面の平均傾斜角度を求める。
測定する装置はいくつかあるが、一例を述べる。装置はマイクロマップ社(米国)製SXM520−AS150型を用いた場合を説明する。例えぱ対物レンズが10倍の時、傾斜角度の測定単位は0.85平方ミクロン単位であり、測定範囲は0.48平方ミリである。対物レンズの倍率を大きくすれば、それに合わせて測定単位と測定範囲は小さくなる。測定データはMAT−LAB等のソフトを用いて解析し、傾斜角度分布を算出することができる。これにより傾斜角度が15゜以上の割合を容易に求めることができる。
上記の第二の凹凸形状は、上記の第一の凹凸形状の表面に形成され、第一の凹凸形状の大きさよりも小さい。すなわち、第二の凹凸形状により形成される複数の凹凸は、第一の凹凸形状により形成される複数の凹凸より小さい。このため、第一の凹凸形状のみに着目して測定したフィルム表面の表面粗さよりも第二の凹凸形状のみに着目して測定したフィルム表面の表面粗さの方が小さい。具体的には、第二の凹凸形状は、算術平均粗さRaが0.001〜0.05μm、凹凸の平均間隔Smが0.005〜0.2μmである。より好ましくは、算術平均粗さRaが0.002〜0.02μm、凹凸の平均間隔Smが0.005〜0.5μmである。また、十点平均粗さRzが0.005〜0.07μmから成る凹凸形状を有するのが好ましく、Rzが0.005〜0.055μmであることがより好ましい。
この範囲において、本発明の反射防止フィルムの最表面の撥水・撥油効果が有効に発現し、環境変化による結露発生や水分付着並びにそれらによる塵埃等の付着が軽減若しくは解消される。
ついで、本発明の反射防止フィルムを構成する透明支持体、反射防止層及び必要に応じて採用されるその他の層について説明する。
[反射防止フィルムに用いる透明支持体]
透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率は、1.4乃至1.7であることが好ましい。
また、透明支持体の形成材料としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムの材料の例には、セルロースエステル(例、セルロースアセテート類、ニトロセルロース類)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4'−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。
これらの有機基材を構成する有機高分子に、公知の添加剤(例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑り剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等)を含有させたものも使用することができる。これらの詳細は、発明協会公開技法公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.16−22に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。これらの添加剤の添加量は、基材の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがさらに好ましい。
特に液晶表示装置や有機EL表示装置等に用いるために本発明の反射防止フィルムを偏光板の保護フィルムの片側として用いる場合にはセルロースエステルが好ましく用いられる。
本発明に用いられるセルロースエステル原料のセルロースとしては、綿花リンター、ケナフ、木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースエステルでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。
本発明においてはセルロースからエステル化してセルロースアシレートを作製するが、特に好ましい前述のセルロースがそのまま利用できる訳ではなく、リンター、ケナフ、パルプを精製して用いられる。
本発明において、セルロースアシレートとは、セルロースの脂肪酸エステルのことであるが、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。
低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースエステルとしてはセルロースアセテートが好ましく、その例としては、ジアセチルセルロースおよびトリアセチルセルロースなどが挙げられる。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いることも好ましい。
これらのセルロースアシレートフィルムは、前述の公開技報公技番号2001−1745号に記載の内容のものが好ましく用いられる。また、平面CRTやPDP等に用いるためにガラス基板等に張り合わせて用いる場合にはポリエチレンテレフタレート、あるいはポリエチレンナフタレートが好ましい。
上記の透明支持体の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚は10〜300μmが好ましく、さらに好ましくは20〜150μm、特に好ましくは30〜120μm、最も好ましくは40〜100μmである。
ついで、反射防止層について説明する。本発明においては反射防止層の必須の構成層として低屈折率層を有するが、さらに該低屈折率層と上記透明支持体との間に高屈折率層を有するのが好ましい。よって、まず高屈折率層について説明する。
[高屈折率層]
上記高屈折率層は、高屈折率の無機微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性の高屈折率層形成用組成物を塗設してなる屈折率1.55〜2.40の硬化膜から成るのが好ましい。屈折率は1.65〜2.30がより好ましく、更には1.80〜2.00が特に好ましい。上記高屈折率層の屈折率は上述のように、好ましくは屈折率1.55〜2.40であり、いわゆる高屈折率層あるいは中屈折率層といわれている層であるが、以下の本明細書では、これらの層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。
[高屈折率層形成用組成物]
以下に高屈折率層を形成する高屈折率層形成用組成物について説明する。
[高屈折率の無機微粒子]
上記高屈折率層用組成物に含まれる高屈折率の無機微粒子は、屈折率が好ましくは1.80〜2.80、一次粒子の平均粒径が好ましくは3〜150nmである。屈折率が1.80未満の粒子では、皮膜の屈折率を高める効果が小さい場合があり、屈折率が2.80を越える粒子は着色している場合があるため好ましくない。また、一次粒子の平均粒径が150nmを越える粒子では皮膜を形成したときのヘイズ値が高くなり、皮膜の透明性を損なう場合があり、3nm未満では高い屈折率の保持が難しい場合があるので好ましくない。本発明で、より好ましい無機微粒子は屈折率が1.90〜2.80で、一次粒子の平均粒径が3〜100nmの粒子であり、更に好ましいのは屈折率が1.90〜2.80で、一次粒子の平均粒径が5〜80nmの粒子である。
好ましい高屈折率無機微粒子の具体例は、Ti、Zr、Ta、In、Nd、Sn、Sb、Zn、La、W、Ce、Nb、V、Sm、Y等の酸化物或は複合酸化物、硫化物を主成分とする粒子が挙げられる。ここで、主成分とは粒子を構成する成分の中で最も含有量(重量%)が多い成分をさす。本発明で好ましいのはTi、Zr、Ta、In、Snから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む酸化物若しくは複合酸化物を主成分とする粒子である。本発明で使用される無機微粒子には、粒子の中に種々の元素が含有されていても構わない。例えば、Li、Si、Al、B、Ba、Co、Fe、Hg、Ag、Pt、Au、Cr、Bi、P、Sなどが挙げられる。酸化錫、酸化インジウムにおいては粒子の導電性を高めるために、Sb、Nb、P、B、In、V、ハロゲンなどの元素を含有させることが好ましく、特に、酸化アンチモンを約5〜20重量%含有させたものが最も好ましい。
特に好ましくは、Co、Zr、ALから選ばれる少なくとも1つの元素を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子(以降、「特定の酸化物」と称することもある)が挙げられる。特に、好ましい元素はCoである。Tiに対する、Co、Al、Zrの総含有量は、Ti100質量部に対し0.05〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部、さらに好ましくは0.2〜7質量部、特に好ましくは0.3〜5質量部、最も好ましくは0.5〜3質量部である。
Co、Al、Zrは、二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部、あるいはまた、表面に存在する。二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の内部に存在することがより好ましく、内部と表面の両方に存在することが最も好ましい。これらの特定の金属元素は、酸化物として存在しても良い。
また、他の好ましい無機粒子として、チタン元素と酸化物が屈折率1.95以上となる金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素(以下、「Met」とも略称する)との複合酸化物の粒子で、かつ該複合酸化物はCoイオン、Zrイオン、及びAlイオンから選ばれる金属イオンの少なくとも1種がドープされてなる無機微粒子(「特定の複酸化物」と称することもある)が挙げられる。ここで、該酸化物の屈折率が1.95以上となる金属酸化物の金属元素としては、Ta、Zr、In、Nd、Sb,Sn、及びBiが好ましい。特には、Ta、Zr、Sn、Biが好ましい。複合酸化物にドープされる金属イオンの含有量は、複合酸化物を構成する全金属[Ti+Met]量100質量部に対して、25質量部を越えない範囲で含有することが屈折率維持の観点から好ましい。より好ましくは0.05〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部、最も好ましくは0.3〜3質量部である。
ドープした金属イオンは、金属イオン、金属原子の何れのもので存在してもよく、複合酸化物の表面から内部まで適宜に存在する。表面と内部との両方に存在することが好ましい。
上記無機微粒子は結晶構造を有することが好ましい。結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。
このことにより、上記の「特定の酸化物」或は「特定の複酸化物」の無機微粒子は、屈折率が好ましくは1.90〜2.80を有し、より好ましくは、2.10〜2.80であり、更に好ましくは2.20〜2.80である。又、二酸化チタンが有する光触媒活性を抑えることができ、高屈折率層の耐候性を著しく改良することができる。
上記の金属元素或は金属イオンをドープする方法は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、特開平5−330825号公報、同11−263620号公報、特表平11−512336号公報、ヨーロッパ公開特許第0335773号公報等に記載の方法、イオン注入法(例えば、権田俊一、石川順三、上条栄治編「イオンビーム応用技術」((株)シ−エムシー、1989年刊行、青木 康、表面科学、Vol.18,(5)、p.262、1998、安保正一等、表面科学、Vol.20(2)、p.60、1999等記載)等に従って製造できる。
上記無機微粒子は、表面処理してもよい。表面処理は、無機化合物及び/又は有機化合物を用いて該粒子表面の改質を実施し、無機粒子表面の濡れ性を調製し有機溶媒中での微粒子化、高屈折率層形成用組成物中での分散性や分散安定性を向上する。粒子表面に物理
化学的な吸着させる無機化合物としては、例えば、ケイ素を含有する無機化合物(SiO2など)、アルミニウムを含有する無機化合物(Al23,Al(OH)3など)、コバルトを含有する無機化合物(CoO2,Co23,Co34など)、ジルコニウムを含有する無機化合物(ZrO2,Zr(OH)4など)、鉄を含有する無機化合物(Fe23など)などが挙げらる。
表面処理に用いる有機化合物の例には、従来公知の金属酸化物や無機顔料等の無機フィラー類の表面改質剤を用いることが出来る。例えば、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」第一章(技術情報協会、2001年刊行)等に記載されている。
具体的には、該無機微粒子表面と親和性を有する極性基を有する有機化合物、カップリング化合物があげられる。無機微粒子表面と親和性を有する極性基としては、カルボキシ基、ホスホノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、環状酸無水物基、アミノ基等があげられ、分子中に少なくとも1種を含有する化合物が好ましい。例えば、長鎖脂肪族カルボン酸(例えばステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等)、ポリオール化合物(例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート等)、ホスホノ基含有化合物(例えばEO(エチレンオキサイド)変性リン酸トリアクリレート等)、アルカノールアミン(エチレンジアミンEO付加体(5モル)等)が挙げれる。
カップリング化合物としては、従来公知の有機金属化合物が挙げられ、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。具体的には、例えば特開2002−9908号公報同2001−310423号公報明細書中の段落番号「0011」〜「0015」記載の化合物等が挙げられる。
これらの表面処理は、2種類以上の化合物を併用することもできる。
上記無機微粒子としては、上記の「特定の酸化物」をコアとして無機化合物からなるシェルを形成するコア/シェル構造の微粒子も好ましい。シェルとしては、Al、Si、Zrから選ばれる少なくとも1種の元素から成る酸化物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−166104号公報記載の内容が挙げられる。
本発明で使用される無機微粒子の形状は、特に限定されないが米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、不定形状が好ましい。無機微粒子は単独で用いてもよいが、2種類以上を併用して用いることもできる。
(分散剤)
上記無機微粒子を安定した所定の超微粒子として用いるため分散剤を併用することが好ましい。分散剤としては、該無機微粒子表面と親和性を有する極性基を有する低分子化合物、または高分子化合物であることが好ましい。
上記極性基としては、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、オキシホスホノ基、−P(=O)(R1)(OH)基、−O−P(=O)(R1)(OH)基、アミド基(−CONHR2、−SO2NHR2)、環状酸無水物含有基、アミノ基、四級アンモニウム基等が挙げられる。
ここで、R1は炭素数1〜18の炭化水素基を表す(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、クロロエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、シクロヘキシル基等)。R2は、水素原子又は前記R1と同一の内容を表す。
上記極性基において、解離性プロトンを有する基はその塩であってもよい。また、上記アミノ基は、一級アミノ基、二級アミノ基又は三級アミノ基のいずれでもよい。三級アミノ基であることが好ましい。また、四級アンモニウム基も同様に好ましい。すなわち極性基は、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ
基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、炭素原子数が1〜12の脂肪族基(上記R1の基と同一の内容のもの等)であることが好ましい。又、三級アミノ基は、窒素原子を含有する環形成のアミノ基(例えば、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、ピリジン環等)であってもよく、更に四級アンモニウム基はこれら環状アミノ基の四級アモニウム基であってもよい。特に炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。
本発明に用いられる分散剤の極性基としては、pKaが7以下のアニオン性基或はこれらの解離基の塩が好ましい。特に、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、オキシホスホノ基、又はこれらの解離基の塩が好ましい。
分散剤は、さらに架橋性又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋性又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基カルボニル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタニル基、ビニルオキシ基、スピロオルトエステル基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基、エポキシ基、又は加水分解性シリル基である。
具体的には、例えば、特開平11−153703号公報、特許番号US6210858B1、特開2002−2776069号公報、特開2001−310423号公報明細書中の段落番号[0013]〜[0015]記載の化合物等が挙げられる。
また、本発明に用いられる分散剤は、高分子分散剤であることも好ましい。特に、アニオン性基、及び架橋性又は重合性官能基を含有する高分子分散剤があげられ、これらの官能基が上記した内容と同様のものが挙げられる。
分散剤の無機微粒子に対する使用量は、無機微粒子100質量部に対して1〜100質量部の範囲であることが好ましく、3〜50質量部の範囲であることがより好ましく、5〜40質量部の範囲であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
(分散媒体)
本発明において、無機微粒子の湿式分散に供する分散媒体は、水、有機溶媒から適宜選択して用いることができ、沸点が50℃以上の液体であることが好ましく、沸点が60℃〜180℃の範囲の有機溶媒であることがより好ましい。
分散媒体は、無機微粒子及び分散剤を含む全分散用組成物が5〜50質量%となる割合で用いることが好ましい。更には、10〜30質量%が好ましい。この範囲において、分散が容易に進行し、得られる分散物は作業性良好な粘度の範囲となる。
分散媒体としては、アルコール類、ケトン類、エステル類アミド類、エーテル類、エーテルエステル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。具体的には、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート等)、ケトン(例、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、乳酸エチル、等)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチルクロロホルム等)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等)、エーテル(例、ジオキサン、テトラハイドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール、エチルセルソルブ、メチルカルビノール等)が挙げられる。単独での2種以上を混合して使用してもよい。好ましい分散媒体は、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ブタノールが挙げられる。また、ケトン溶媒(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)を主にした塗布溶媒系も好ましく用いられ、ケトン系溶媒の含有量が高屈折率層形成用組成物に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
(無機微粒子の超微粒子化)
高屈折率層形成用組成物は、平均粒子径100nm以下の無機化合物の超微粒子分散物とすることにより、該組成物の液の安定性が向上し、この高屈折率層形成用組成物から形成された硬化膜は、無機微粒子が硬化膜のマトリックス中で超微粒子状態で均一に分散されて存在し、光学特性が均一で透明な高屈折率層が達成される。硬化膜のマトリックス中で存在する超微粒子の大きさは、平均粒径3〜100nmの範囲が好ましく、5〜100nmがより好ましい。特に10〜80nmが最も好ましい。
更には、500nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが好ましく、300nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが特に好ましい。これにより、硬化膜表面が上記した特定の凹凸形状を形成できる。
上記無機微粒子を上記の範囲の粗大粒子を含まない超微粒子の大きさに分散するには、前記の分散剤と共に、平均粒径0.8mm未満のメディアを用いた湿式分散方法で分散して初めて達成される。
湿式分散機としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、ダイノミル、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター、コロイドミル等の従来公知のものが挙げられる。特に上記無機微粒子を超微粒子に分散するには、サンドグラインダーミル、ダイノミル、及び高速インペラーミルが好ましい。
上記分散機と共に用いるメディアとしては、その平均粒径が好ましくは0.8mm未満であり、平均粒径がこの範囲のメディアを用いることで上記の無機微粒子径が100nm以下となり、かつ粒子径の揃った超微粒子を得ることができる。メディアの平均粒径は、好ましくは0.5mm以下であり、より好ましくは0.05〜0.3mmである。
また、湿式分散に用いられるメディアとしては、ビーズが好ましい。具体的には、ジルコニアビーズ、ガラスビーズ、セラミックビーズ、スチールビーズ等が挙げられ、分散中におけるビーズの破壊等を生じ難い等の耐久性と超微粒子化の上から0.05〜0.2mmのジルコニアビーズが特に好ましく、分散工程での分散温度は20〜60℃が好ましく、より好ましくは25〜45℃である。この範囲の温度で超微粒子に分散すると分散粒子の再凝集、沈殿等が生じない。これは、無機化合物粒子への分散剤の吸着が適切に行われ、常温下での分散剤の粒子からの脱着等による分散安定不良とならないためと考えられる。
このような範囲においてのみ、透明性を損なわない屈折率均一性、膜の強度、隣接層との密着性等に優れた高屈折率膜を形成できる。
また、上記湿式分散の工程の前に、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
更には、分散物中の分散粒子がその平均粒径、および粒子径の単分散性が上記した範囲を満足する上で、分散物中の粗大凝集物を除去するためにビーズとの分離処理において精密濾過されるように濾材を配置することも好ましい。精密濾過するための濾材は濾過粒子サイズ25μm以下が好ましい。精密濾過するための濾材のタイプは上記性能を有していれば特に限定されないが例えばフィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられる。分散物を精密濾過するための濾材の材質は上記性能を有しており、且つ塗布液に悪影響を及ばさなければ特に限定はされないが例えばステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。
(高屈折率層のマトリックス)
高屈折率層は、上述のように無機微粒子とマトリックスバインダーを少なくとも含有してなる。
本発明の好ましい態様によれば、高屈折率層のマトリックスは、(1)有機バインダー、または(2)加水分解性官能基を含有する有機金属化合物、及びこの有機金属化合物の部分縮合物、の少なくともいずれかを含有する高屈折率層形成用組成物を塗布後に、硬化して形成される。
(1)有機バインダー
有機バインダーとしては、
(イ)従来公知の熱可塑性樹脂、
(ロ)従来公知の反応性硬化性樹脂と硬化剤との組み合わせ、または(ハ)バインダー前駆体(後述する硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)と重合開始剤との組み合わせ、から形成されるバインダーが挙げられる。
上記(イ)、(ロ)または(ハ)のバインダー形成用成分と、高屈折無機微粒子と分散剤を含有する分散液から高屈折率層形成用組成物が調製される。該組成物は、透明支持体上に塗布し、塗膜を形成した後、バインダー形成用成分に応じた方法で硬化され、高屈折率層が形成される。硬化方法は、バインダー成分の種類に応じて適宜選択され、例えば加熱及び光照射の少なくともいずれかの手段により、硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応または重合反応を生起させる方法が挙げられる。なかでも、上記(ハ)の組み合わせを用いて光照射することにより硬化性化合物を架橋反応または重合反応させて硬化したバインダーを形成する方法が好ましい。
更に、高屈折率層形成用組成物を塗布と同時にまたは塗布後に、高屈折無機微粒子の分散液に含有される分散剤を架橋反応または重合反応させることが好ましい。
このようにして作製した硬化膜中のバインダーは、例えば、前記した分散剤とバインダーの前駆体である硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋または重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに、硬化膜中のバインダーは、アニオン性基が無機微粒子の分散状態を維持する機能を有するので、架橋または重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、高屈折無機微粒子を含有する硬化膜中の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良することができる。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩ビー酸ビ共重合体樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリメタアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、イミド樹脂等が挙げられる。
また、上記反応性硬化性樹脂、即ち、熱硬化型樹脂及び/又は電離放射線硬化型樹脂を使用することが好ましい。熱硬化型樹脂には、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。電離放射線硬化型樹脂には、例えば、ラジカル重合性不飽和基((メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、スチリル基、ビニル基等)及び/又はカチオン重合性基(エポキシ基、チオエポキシ基、ビニルオキシ基、オキセタニル基等)の官能基を有する樹脂で、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等が挙げられる。これらの反応性硬化性樹脂に必要に応じて、架橋剤(エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、メラミン化合物等)、重合開始剤(アゾビス化合物、有機過酸化化合物、有機ハロゲン化合物、オニウム塩化合物、ケトン化合物等のUV光開始剤等)等の硬化剤、重合促進剤(有機金属化合物、酸化合物、塩基性化合物等)等の従来公知の化合物を加えて使用する。具体的には、例えば、山下普三、金子東助「架橋剤ハンドブック」(大成社、1981年刊)記載の化合物が挙げられる。
以下、硬化したバインダーの好ましい形成方法である、上記(ハ)の組み合わせを用いて光照射により硬化性化合物を架橋または重合反応させて硬化したバインダーを形成する方法について、主に説明する。
光硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、ラジカル重合性またはカチオン重合性のいずれでもよい。
ラジカル重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
分子内に2個以上のラジカル重合性基を含有する多官能モノマーを含有することが好ましい。
ラジカル重合性多官能モノマーとしては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する化合物から選ばれることが好ましい。好ましくは、分子中に2〜6個の末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。このような化合物群はポリマー材料分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、またはそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつことができる。
ラジカル重合性モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が挙げられる。また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類やアミド類と、単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類及びチオール類との反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物としては、アルカンジオール、アルカントリオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサントリオール、イノシットール、シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン等が挙げられる。これら脂肪族多価アルコール化合物と、不飽和カルボン酸との重合性エステル化合物(モノエステルまたはポリエステル)、例として、例えば、特開2001−139663号公報明細書段落番号[0026]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。
その他の重合性エステルの例としては、例えば、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開平2−226149号等記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号記載のアミノ基を有するもの等も好適に用いられる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とから形成される重合性アミドの具体例としては、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、特公昭54−21726号記載のシクロヘキシレン構造を有するもの等を挙げることができる。
また、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物(特公昭48−41708号公報等)、ウレタンアクリレート類(特公平2−16765号等)、エチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物(特公昭62−39418号等)、ポリエステルアクリレート類(特公昭52−30490号等))、更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308頁(1984年)に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマーも使用することができる。
これらラジカル重合性の多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
次に、高屈折率層のバインダーの形成に用いることができるカチオン重合性基含有の化合物(以下、「カチオン重合性化合物」または「カチオン重合性有機化合物」とも称する)について説明する。
本発明に用いられるカチオン重合性化合物は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/または架橋反応を生ずる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、エポキシ化合物、環状チオエーテル化合物、環状エーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニル炭化水素化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができる。本発明では前記したカチオン重合性有機化合物のうちの1種を用いても2種以上を用いてもよい。
カチオン重合性基含有化合物としては、1分子中のカチオン重合性基の数は2〜10個が好ましく、特に好ましくは2〜5個である。該化合物の分子量は好ましくは3000以下であり、より好ましくは200〜2000の範囲、特に好ましくは400〜1500の範囲である。分子量が小さすぎると、皮膜形成過程での揮発が問題となり、大きすぎると、高屈折率層形成用組成物との相溶性が悪くなり好ましくない。
上記エポキシ化合物としては脂肪族エポキシ化合物及び芳香族エポキシ化合物が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのホモポリマー、コポリマーなどを挙げることができる。さらに、前記のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチルエポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。また、脂環式エポキシ化合物としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、或いは不飽和脂環族環(例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン、ジシクロオクテン、トリシクロデセン等)含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。
また、芳香族エポキシ化合物としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価または多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のモノまたはポリグリシジルエーテルを挙げることができる。これらのエポキシ化合物として、例えば、特開平11−242101号明細書中の段落番号〔0084〕〜〔0086〕記載の化合物、特開平10−158385号明細書中の段落番号〔0044〕〜〔0046〕記載の化合物等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシ化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
環状チオエーテル化合物としては、上記のエポキシ環がチオエポキシ環となる化合物が挙げられる。
環状エーテル化合物としては、オキセタニル基を含有する化合物が挙げられ、具体的に
は、例えば特開2000−239309号明細書中の段落番号〔0024〕〜〔0025〕に記載の化合物等が挙げられる。これらの化合物は、エポキシ基含有化合物と併用することが好ましい。
スピロオルソエステル化合物としては、例えば特表2000−506908号公報等記載の化合物を挙げることができる。
ビニル炭化水素化合物としては、スチレン化合物、ビニル基置換脂環炭化水素化合物(ビニルシクロヘキサン、ビニルビシクロヘプテン等)、ビニルエーテル化合物としては、例えば、プロペニル化合物(Journal of PolymerScience:Part A:Polymer Chemistry,Vol.32,2895(1994)記載等)、アルコキシアレン化合物(Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.33,2493(1995)記載等)、ビニル化合物(Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.34,1015(1996)、特開2002−29162号等記載)、イソプロペニル化合物(Journal ofPolymer Science:Part A:Polymer Chemistry,Vol.34,2051(1996)記載等)等を挙げることができる。
2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、本発明の多官能性化合物は、上記のラジカル重合性基及びカチオン重合性基から選ばれる少なくとも各1種を少なくとも分子内に含有する化合物を用いることが好ましい。例えば、特開平8−277320号明細書中の段落番号〔0031〕〜〔0052〕記載の化合物、特開2000−191737号明細書中の段落番号〔0015〕記載の化合物等が挙げられる。本発明に供される化合物は、これらの限定されるものではない。
上記したラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを、ラジカル重合性化合物:カチオン重合性化合物の質量比で、90:10〜20:80の割合で含有していることが好ましく、80:20〜30:70の割合で含有していることがより好ましい。
[重合開始剤]
次に、前記(ハ)の組み合わせにおいて、バインダー前駆体と組み合わせて用いられる重合開始剤について詳述する。
重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
本発明の重合開始剤(L)は、光及び/又は熱照射により、ラジカル若しくは酸を発生する化合物である。本発明において用いられる光重合開始剤(L)は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、取り扱いを白灯下で実施することができる。また、近赤外線領域に極大吸収波長を持つ化合物を用いることもできる。
まず、ラジカルを発生する化合物(L1)について詳述する。
本発明において好適に用いられるラジカルを発生する化合物(L1)は、光及び/又は熱照射によりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を、開始、促進させる化合物を指す。
公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを、適宜、選択して用いることができる。また、ラジカルを発生する化合物は、単独又は2種以上を併用して用いることができる。
ラジカルを発生する化合物としては、例えば、従来公知の有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤等の熱ラジカル重合開始剤、アミン化合物(特公昭44−20189号公報記載)、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、有機過酸化化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、スルホン化合物、ジスルホン化合物等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
上記有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林 等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特開昭63−298339号、M.P.Hutt"Jurnal of Heterocyclic Chemistry"1(No3),(1970)」等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。
より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。
他の有機ハロゲン化化合物の例として、特開平5−27830号公報中の段落番号〔0039〕〜〔0048〕記載のケトン類、スルフィド類、スルホン類、窒素原子含有の複素環類等が挙げられる。
上記カルボニル化合物としては、例えば、「最新 UV硬化技術」60〜62ページ((株)技術情報協会刊、1991年)、特開平8−134404号明細書の段落番号〔0015〕〜〔0016〕、同11−217518号明細書の段落番号〔0029〕〜〔0031〕に記載の化合物等が挙げられ、アセトフェノン系、ヒドロキシアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサン系、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体、ベンジルジメチルケタール、アシルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
上記有機過酸化化合物としては、例えば、特開2001−139663号明細書の段落番号〔0019〕に記載の化合物等が挙げられる。
上記メタロセン化合物としては、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各公報記載の種々の化合物等が挙げられる。
上記有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martin"Rad Tech'98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago"等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号〔0022〕〜〔0027〕記載の化合物が挙げられる。
他の有機ホウ素化合物として、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
上記スルホン化合物としては、特開平5−239015号に記載の化合物等、上記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号明細書に記載の一般式(II)及び一般式(III)で示される化合物等が挙げられる。
これらのラジカル発生化合物は、一種のみを添加しても、二種以上を併用してもよい。添加量としては、ラジカル重合性モノマーの全量100質量部に対し0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜25質量部、特に好ましくは1〜20質量部で添加することができる。この範囲において、高屈折率層用組成物の経時安定性が問題なく高い重合性となる。
次に、光重合開始剤(L)として用いることができる光酸発生剤(L2)について詳述
する。
酸発生剤(L2)としては、光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、或いは、マイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。
また、酸発生剤(L2)として、例えば、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物が挙げられる。有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物のこれらの具体例は、前記ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。
本発明において、特に好適に用いられる酸発生剤(L2)としては、オニウム塩が挙げられる。該オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられ、例えば特開2002−29162号明細書の段落番号〔0058〕〜〔0059〕に記載の化合物等が挙げられる。
中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。
本発明において、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、例えば、特開平9−268205号公報の段落番号〔0035〕に記載のアミル化されたスルホニウム塩、特開2000−71366号明細書の段落番号〔0010〕〜〔0011〕に記載のジアリールヨードニウム塩又はトリアリールスルホニウム塩、特開2001−288205号公報の段落番号〔0017〕に記載のチオ安息香酸S−フェニルエステルのスルホニウム塩、特開2001−133696号公報の段落番号〔0030〕〜〔0033〕に記載のオニウム塩等が挙げられる。
酸発生剤の他の例としては、特開2002−29162号公報の段落番号〔0059〕〜〔0062〕に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、光分解してスルホン酸を発生する化合物(イミノスルフォネート等)等の化合物が挙げられる。
これらの酸発生剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの酸発生剤は、全カチオン重合性モノマーの全質量100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜15質量部、特に好ましくは1〜10質量部の割合で添加することができる。添加量が上記範囲において、高屈折率用組成物の安定性、重合反応性等から好ましい。
本発明の高屈折率層形成用組成物は、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の合計質量100質量部に対して、ラジカル重合開始剤を0.5〜10質量部及びカチオン重合開始剤を1〜10質量部の割合で含有していることが好ましい。より好ましくは、ラジカル重合開始剤を1〜5質量部、及びカチオン重合開始剤を2〜6質量部の割合で含有する。
本発明の高屈折率層用組成物には、紫外線照射により重合反応を行なう場合には、従来公知の紫外線分光増感剤、化学増感剤を併用してもよい。例えばミヒラーズケトン、アミノ酸(グリシンなど)、有機アミン(ブチルアミン、ジブチルアミンなど)等が挙げられる。
また、近赤外線照射により重合反応を行なう場合には、近赤外線分光増感剤を併用することが好ましい。
併用する近赤外線分光増感剤は、700nm以上の波長域の少なくとも一部に吸収帯を有する光吸収物質であるのが好ましく、分子吸光係数が10000以上の値を有する化合物がより好ましい。更には、750〜1400nmの領域に吸収を有し、且つ分子吸光係数が20000以上の値が好ましい。また、420nm〜700nmの可視光波長域に吸
収の谷があり、光学的に透明であることがより好ましい。近赤外線分光増感剤は、近赤外線吸収顔料及び近赤外線吸収染料として知られる種々の顔料及び染料を用いることができる。その中でも、従来公知の近赤外線吸収剤を用いることが好ましい。
市販の染料および文献(例えば、「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシー)、「特殊機能色素」(池森・柱谷編集、1986年、(株)シーエムシー発行)、J.FABIAN、Chem.Rev.、92、pp1197〜1226(1992)、日本感光色素研究所が1995年に発行したカタログ、Exciton Inc.が1989年に発行したレーザー色素カタログあるいは特許に記載されている公知の染料が利用できる。
(2)加水分解性官能基を含有する有機金属化合物
上記高屈折率層のマトッリクスとして用いられる、加水分解性官能基を含有する有機金属化合物としては、Si、Ti、Zr、Al等からなる化合物が挙げられる。加水分解性官能基すなわち加水分解可能な官能基な基としては、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、水酸基が挙げられ、特に、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基が好ましい。
好ましい有機金属化合物は、下記一般式[B]で表される有機ケイ素化合物及びその部分加水分解物(部分縮合物)である。なお、一般式[B]で表される有機ケイ素化合物は、容易に加水分解し、引き続いて脱水縮合反応が生じる(いわゆるゾルゲル反応が起こる)ことは良く知られた事実である。
一般式[B]
(Ram−Si(Z)n
一般式[B]中、Raは、置換もしくは無置換の炭素数1〜30脂肪族基若しくは炭素数6〜14アリール基を表す。Zは、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子等)、OH基、ORb基、OCORb基を表す。ここで、Rbは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。mは0〜3の整数を表す。nは1〜4の整数を表す。mとnの合計は4である。但し、mが0の場合は、ZはORb基またはOCORb基を表す。
一般式[B]においてRaの脂肪族基としては、好ましくは炭素数1〜18(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ベンジル基、フェネチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル、ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基等)が挙げられる。より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは1〜8のものである。
aのアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラニル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
置換基としては特に制限はないが、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アルコキシシリル基(トリメトキシシリル、トリエトキシシリル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、(メタ)アクリロイル等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が好ましい。
これらの置換基のうちで、更に好ましくは水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基であり、特に好ましくはエポキシ基、重合性のアシルオキシ基((メタ)アクリロイル)、重合性のアシルアミノ基(アクリルアミノ、メタクリルアミノ)である。またこれら置換基は更に置換されていても良い。
bは置換もしくは無置換のアルキルを表す。アルキル基中の置換基の説明はRaと同じである。
mは0〜3の整数を表す。nは1〜4の整数を表す。mとnの合計は4である。mとして好ましくは0、1、2であり、特に好ましくは1である。mが0の場合は、ZはORb基またはOCORb基を表す。
一般式[B]の化合物の含有量は、高屈折率層形成用組成物の全固形分の10〜80質量%が好ましく、より好ましくは20〜70質量%、特に好ましくは30〜50質量%である。
一般式[B]の化合物の具体例として、例えば特開2001−166104号公報段落番号[0054]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。
高屈折率層において、有機バインダーは、シラノール基を有することが好ましい。バインダーがシラノール基を有することで、高屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性がさらに改良される。
シラノール基は、例えば、高屈折率層形成用組成物を構成するバインダー形成成分として、バインダー前駆体(硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)や重合開始剤、高屈折率無機微粒子の分散液に含有される分散剤と共に、架橋または重合性官能基を有する一般式[B]で表される有機ケイ素化合物を該組成物に配合し、該組成物を透明支持体上に塗布して上記の分散剤、多官能モノマーや多官能オリゴマー、一般式[B]で表される有機ケイ素化合物を架橋反応または重合反応させることによりバインダーに導入することができる。
上記の有機金属化合物を硬化させるための加水分解・縮合反応は、触媒存在下で行われることが好ましい。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸類、シュウ酸、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの有機酸類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基類、トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基類、トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブトキシチタネートなどの金属アルコキシド類、β−ジケトン類或いはβ−ケトエステル類の金属キレート化合物類等が挙げられる。具体的には、例えば特開2000−275403号公報中の段落番号[0071]〜[0083]記載の化合物等が挙げられる。
これらの触媒化合物の組成物中での割合は、有機金属化合物100質量部に対し、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.1〜50質量部、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。反応条件は有機金属化合物の反応性により適宜調節されることが好ましい。
高屈折率層においてマトリックスは、特定の極性基を有することも好ましい。特定の極性基としては、アニオン性基、アミノ基、及び四級アンモニウム基が挙げられる。アニオン性基、アミノ基及び四級アンモニウム基の具体例としては、前記分散剤について述べたものと同様のものが挙げられる。
特定の極性基を有する高屈折率層のマトリックスは、例えば、高屈折率層形成用組成物に、高屈折率無機微粒子と分散剤を含む分散液を配合し、硬化膜形成成分として、特定の極性基を有するバインダー前駆体(特定の極性基を有する硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)と重合開始剤の組み合わせ及び特定の極性基を有し、かつ架橋または重合性官能基を有する一般式[B]で表される有機ケイ素化合物の少なくともいずれかを配合し、さらに所望により特定の極性基と架橋または重合性官能基とを有する単官能性モノマーを配合し、該塗布組成物を透明支持体上に塗布して上記の分散剤、単官能性モノマー、多官能モノマーや多官能オリゴマー及び/または一般式[B]で表される有機ケイ素化合物を架橋または重合反応させることにより得られる。
特定の極性基を有する単官能性モノマーは、上記組成物の中で無機微粒子の分散助剤として機能する。さらに、塗布後、分散剤、多官能モノマーや多官能オリオリゴマーと架橋反応、または、重合反応させてバインダーとすることで高屈折率層における無機微粒子の良好な均一な分散性を維持し、物理強度、耐薬品性、耐候性に優れた高屈折率層を作製することができる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する単官能性モノマーの分散剤100質量部に対する使用量は、0.5〜50質量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜30質量部である。高屈折率層の塗布と同時または塗布後に、架橋または重合反応によってバインダーを形成すれば、高屈折率層の塗布前に単官能性モノマーを有効に機能させることができる。
また、上記高屈折率層のマトリックスとしては、前記した有機バインダーの(イ)に相当し、従来公知の架橋または重合性官能基を含有する有機ポリマーから硬化・形成されたものも挙げられる。高屈折率層形成後のポリマーが、さらに架橋または重合している構造を有することが好ましい。ポリマーの例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素から成る)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。なかでも、ポリオレフィン、ポリエーテルおよびポリウレアが好ましく、ポリオレフィン及びポリエーテルがさらに好ましい。硬化前の有機ポリマーとしての質量平均分子量は1×103〜1×106が好ましく、より好ましくは3×103〜1×105である。
硬化前の有機ポリマーは、前記の内容と同様の特定の極性基を有する繰り返し単位と、架橋または重合構造を有する繰り返し単位とを有する共重合体であることが好ましい。ポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、全繰り返し単位中0.5〜99質量%であることが好ましく3〜95質量%であることがさらに好ましく、6〜90質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二つ以上の同じでも異なってもよいアニオン性基を有していてもよい。
シラノール基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、2〜98mol%であることが好ましく、4〜96mol%であることがさらに好ましく、6〜94mol%であることが最も好ましい。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.1〜50質量%であることが好ましく、更には0.5〜30質量%が好ましい。
なお、シラノール基、アミノ基、及び四級アンモニウム基は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋または重合構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
ポリマー中の架橋または重合構造を有する繰り返し単位の割合は、全ポリマー中1〜90質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがさらに好ましく、8〜60質量%であることが最も好ましい。
バインダーが架橋または重合してなるマトリックスは、高屈折率層形成用組成物を透明
支持体上に塗布して、塗布と同時または塗布後に、架橋または重合反応によって形成することが好ましい。
上記無機微粒子と上記マトリックスバインダーとの配合割合は、上記マトリックスバインダー100質量部に対して、無機微粒子の配合量が10〜90質量部となるようにするのが好ましく、20〜70質量部となるようにするのがさらに好ましい。特に好ましくは30〜65質量部である。
(高屈折率層形成用組成物の他の成分)
上記高屈折率層形成用組成物は、更に用途・目的によって適宜他の化合物を添加することが出来る。例えば、高屈折率層に、芳香環、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)、S,N,P等の原子を含有すると有機化合物の屈折率が高くなることから、これらを含有する硬化性化合物などの架橋または重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
さらに高屈折率層には、前記の成分(無機微粒子、重合開始剤、増感剤など)以外に、樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、導電性の金属微粒子等を添加することもできる。
[高屈折率層の形成]
高屈折率層は、後述する透明支持体上に直接、又は、他の層を介して上述の高屈折率層形成用組成物の塗布液を塗布して構築することが好ましい。
該塗布液は、特定の無機化合物の超微粒子分散物、マトリックスバイダー用液、必要に応じて用いる添加剤を塗布用分散媒に各々所定の濃度に混合・希釈して調整される。
該塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルターは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜10μmのフィルタが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜5μmであるフィルタを用いることが好ましく用いられる。フィルタの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、ろ過圧力は15kgf/cm2 以下、より好ましくは10kgf/cm2 以下、更には2kgf/cm2 以下で濾過することが好ましい。
ろ過フィルター部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、前記した無機微粒子の湿式分散物のろ過部材と同様のものが挙げられる。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
本発明において、高屈折率層は、前記透明支持体フィルム上に上記高屈折率層形成用組成物をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、光及び/又は熱照射することにより作製することができる。好ましくは、光照射による硬化が、迅速硬化から有利である。更には、光硬化処理の後半で加熱処理することも好ましい。
光照射の光源は、紫外線光域或いは近赤外線光のものであればいずれでもよく、紫外線光の光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる。波長350〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。また、近赤外光光源としてはハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプが挙げられ、波長750〜1400nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。
近赤外光光源を用いる場合、紫外線光源と組み合わせて用いる、或は高屈折率層塗設側と反対の基材面側より光照射しても良い。塗膜層内の深さ方向での膜硬化が表面近傍と遅滞無く進行し均一な硬化状態の硬化膜が得られる。
光照射による光ラジカル重合の場合は、空気又は不活性気体中で行なうことができるが、ラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、又は重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。照射する紫外線の照射強度は、0.1〜100mW/cm2程度が好ましく、塗布膜表面上での光照射量は100〜1000mJ/cm2が好ましい。また、光照射工程での塗布膜の温度分布は、均一なほど好ましく、±3℃以内が好ましく、更には±1.5℃以内に制御されることが好ましい。この範囲において、塗布膜の面内及び層内深さ方向での重合反応が均一に進行するので好ましい。
高屈折率層のJIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の高屈折率層塗設の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
高屈折率層のヘイズは低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
[中屈折率層]
本発明の反射防止フィルムにおける反射防止層は、上記高屈折率層の他にさらに屈折率が異なる層を有するのが好ましい。即ち、上記反射防止層は、透明支持体の上に直接または他の層を介して高屈折率層が形成され、最上層に低屈折率層が形成されており、さらに、高屈折率層の透明支持体側面に(低屈折率層を設けたのとは反対側の面に)高屈折率層よりも屈折率が低く且つ低屈折率層及び透明支持体よりも屈折率が高い中屈折率層が形成された3層積層構造であるのが好ましい。上記したように、各屈折率層の屈折率は相対的なものである。
本発明の中屈折率層を構成する材料は、従来公知の材料の何れでもよいが、上記高屈折率層と同様のものが好ましい。屈折率は無機微粒子の種類、使用量で容易に調整される。また、上記高屈折率層に記載の内容と同様にして形成することができる。膜厚は、好ましくは30〜500nmの薄層を形成する。更に好ましくは、50〜300nmの膜厚である。
[低屈折率層]
ついで、本発明における必須の層である低屈折率層について説明する。
低屈折率層は、反射防止層の必須の構成層であり、反射防止層側の最外層を形成する層である。
低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.31〜1.48であり、より好ましくは1.33〜1.47である。低屈折率層の屈折率は、上記支持体の屈折率よりも低いのが望ましい。
低屈折率層を設置する方法としては、従来公知のいずれの方法でもよいが、蒸着、スパッタ、CVDおよび塗布による方法が好ましく用いられる。塗布法にはゾル−ゲル法、および下記に示す硬化法があげられる。
本発明において低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築される。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等から成る薄膜層の手段を適宜適用できる。すなわち、含フッ素化合物を含有することが好ましい。特に、本発明における低屈折率層は、熱硬化性または電離放射線硬化型の架橋性の含フッ素化合物を主体として形成された硬化した含フッ素ポリマーにより構成されているのが好ましい。
本発明において、「含フッ素化合物を主体とする」とは、低屈折率層中に含まれる含フッ素化合物が低屈折率層の全質量に対し、50質量%以上であることを意味し、60質量%以上含まれることがより好ましい。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範
囲で含むことが好ましい。
含フッ素化合物には、含フッ素ポリマー、含フッ素界面活性剤、含フッ素エーテル、含フッ素シラン化合物等が挙げられる。具体的には、例えば特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、同2001−40284号号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]等の記載の化合物等が挙げられる。
そして、本発明においては、上記低屈折率層は、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下で且つ中空構造を有し、屈折率が1.17〜1.40である無機微粒子を含有するのが好ましい。さらには、該無機微粒子、酸触媒の存在下で製造されてなる、下記一般式[A]で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物、及び硬化性反応基を有する含フッ素ポリマーを、各々少なくとも1種含有する低屈折率層形成用組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であるのが好ましい。
一般式[A]
(R10α−Si(X)4-α
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。αは1〜3の整数を表す。)
また、該組成物が、更に、ラジカル重合性基及び/又はカチオン重合性基から選ばれる重合性基を少なくとも2個以上含有する多官能重合性化合物及び重合開始剤を含有するのが好ましい。
以下、低屈折率層形成用組成物について説明する。
「含フッ素ポリマー」
含フッ素ポリマーとしては、フッ素原子を含む繰り返し構造単位、架橋性若しくは重合性の官能基を含む繰り返し構造単位、それ以外の置換基からなる繰り返し構造単位からなる共重合体が好ましい。すなわち、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーとの共重合体、すなわち、架橋性もしくは重合性の官能基である硬化性反応基を有する含フッ素ポリマーが好ましく、さらにその他のモノマーが共重合された含フッ素ポリマーを用いてもよい。
架橋性若しくは重合性の官能基としては従来公知の官能基の何れでも良い。
架橋性の官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋性官能基を有する化合物は塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
重合性の官能基としては、ラジカル重合性基、カチオン重合性基が挙げられる。
好ましくは、ラジカル重合性基(例えば、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(例えば、エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタニル基等)が挙げられる。
其の他の繰り返し構造単位としては、溶剤可溶化のために炭化水素系共重合成分により形成される繰り返し構造単位が好ましく、このような構造単位をポリマー全体中50質量%程度導入したフッ素系ポリマーが好ましい。この際には、シリコーン化合物と組み合わせることが好ましい。
シリコーン化合物としては、ポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に
硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、上市品のサイラプレーン(チッソ(株)製等)等の反応性シリコーン、特開平11−258403号公報に記載のポリシロキサン構造の両末端にシラノール基含有の化合物等が挙げられる。
架橋又は重合性基を有する含フッ素ポリマーの架橋又は重合反応は、最外層を形成するための低屈折率層形成用組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
この際、重合開始剤、増感剤等として、前記高屈折率層用のものと同様のものが用いられる。
共重合してもよいその他のモノマーには特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。
上記のポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
また、低屈折率層としては、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化して形成されるゾルゲル硬化膜も好ましく用いられる。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報等記載の化合物)、特開平9−157582号公報記載のパーフルオロアルキル基含有シランカップリング剤、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
併用する触媒としては、従来公知の化合物が挙げられ、上記文献中に記載のものが好ましく挙げられる。
本発明で特に有用な硬化性反応基を有する含フッ素ポリマーとしては、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類との共重合体が挙げられる。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%を占めていることである。
本発明に用いられる共重合体の好ましい態様として下記一般式1で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004740603
一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結
基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*−(CH22−O−**、*−(CH22−NH−**、*−(CH24−O−**、*−(CH26−O−**、*−(CH22−O−(CH22−O−**、*−CONH−(CH23−O−**、*−CH2CH(OH)CH2−O−**、*−CH2CH2OCONH(CH23−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式1中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式1中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。但し、x+y+z=100である。
以下に本発明で有用な共重合体の好ましい具体例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004740603
Figure 0004740603
Figure 0004740603
Figure 0004740603
Figure 0004740603
「無機微粒子」
上記硬化性組成物に用いられる無機微粒子は、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%
以上100%以下で、屈折率が1.17〜1.40である無機微粒子である。
さらに詳述すると、無機微粒子としては、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の低屈折率化合物からなる粒子が好ましい。特に好ましくは二酸化珪素(シリカ)粒子である。無機微粒子の一次粒子の質量平均径は、1〜150nmであることが好ましく、より好ましくは3〜100nmである。無機微粒子は、より微細に分散されていることが好ましい。
無機微粒子の形状は米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、短繊維状、リング状、あるいは不定形状であることが好ましい。
無機微粒子は異なる複数種を使用することもできる。
特に、低屈折率層の屈折率上昇をより一層少なくするために、中空の無機微粒子であるのが好ましい。中空の無機微粒子は屈折率が好ましくは1.17〜1.40、より好ましくは1.17〜1.35、さらに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空の無機微粒子を形成している外殻のみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(I)で表される空隙率w(%)は以下の通り計算される。
数式(I)
w=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
中空の無機微粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17未満の低屈折率の粒子は好ましくない。
該低屈折率層中の中空の無機微粒子の平均粒径は、該低屈折率層の厚みの30%以上100%以下にあることが好ましい。より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、無機微粒子の粒径は30nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
なお、これら中空の無機微粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定をおこなうことができる。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満である無機微粒子(「小サイズ粒径の無機微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径の無機微粒子(「大サイズ粒径の無機微粒子」と称す)と併用することが好ましい。
小サイズ粒径の無機微粒子は、大サイズ粒径の無機微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径の無機微粒子の保持剤として寄与することができ、好ましい。
小サイズ粒径の無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このような無機微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
無機微粒子は、分散液中あるいは低屈折率層形成用組成物溶液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング剤による処理が特に好ましい。
上記カップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として硬化性組成物溶液
調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
上記無機微粒子の配合割合は、上記低屈折率層全組成物100質量部に対して5〜90質量部とするのが膜の透明性、膜の強度等の点から好ましく、20〜60質量部とするのがさらに好ましい。又、中空構造の無機微粒子と他の粒子を配合する場合は、全粒子中の中空構造の無機微粒子は5〜95質量部が好ましく、より好ましくは10〜90質量部、特に好ましくは30〜80質量部である。
「オルガノシラン化合物」
一般式[A]で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物について説明する。
一般式[A]
(R10α−Si(X)4-α
前記一般式〔A〕において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR12COO(R12は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
αは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはXが複数存在するとき、複数のR10あるいはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
前記一般式〔A〕で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式[A1]で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
Figure 0004740603
前記一般式[A1]において、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくは*-COO-**、*-CONH-**又は*-O-**を表し、単結合、*-COO-**および*-CONH-**が好ましく、単結合および*-COO-**が更に好ましく、*-COO-**が特に好ましい。*は=C(R1)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は一般式〔A〕と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは一般式〔A〕と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
一般式〔A〕、一般式[A1]の化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式〔A〕、一般式[A1]で表される化合物の具体例を示すが、限定されるものではない。
Figure 0004740603
Figure 0004740603
これらのうち、(M−1)、(M−2)、および(M−5)が特に好ましい。
そして、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物は、一般に前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造されるものである。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。本発明においては、無機酸類及び有機酸類の酸触媒を用いるのが好ましい。中でも、無機酸では塩酸、硫酸が好ましく、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、更には、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸が好ましく、特に、塩酸、硫
酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、具体的には、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
上記低屈折率層形成用組成物における、含フッ素ポリマーに対するオルガノシランのゾル成分の使用量は、含フッ素ポリマー100質量部に対して5〜100質量部が好ましく、5〜40質量部がより好ましく、8〜35質量部が更に好ましく、10〜30質量部が特に好ましい。使用量が少ないと本発明の効果が得にくく、使用量が多すぎると屈折率が増加したり、膜の形状・面状が悪化したりするので好ましくない。
多官能重合性化合物としては、多官能モノマーや多官能オリゴマーが挙げられ、これらが有する官能基としては、ラジカル重合性、カチオン重合性から選ばれる何れの官能基でもよい。
ラジカル重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
分子内に2個以上のラジカル重合性基を含有する多官能モノマーを含有することが好ましい。
ラジカル重合性多官能モノマーとしては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも2個有する化合物から選ばれることが好ましい。好ましくは、分子中に2〜6個の末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。このような化合物群はポリマー材料分野において広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、またはそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつことができる。
ラジカル重合性モノマー例としては、前記の高屈折率層組成物で記載の化合物と同様の内容のものが挙げられる。
これらラジカル重合性の多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
次に、カチオン重合性基含有の化合物(以下、「カチオン重合性化合物」または「カチオン重合性有機化合物」とも称する)について説明する。
本発明に用いられるカチオン重合性化合物は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/または架橋反応を生ずる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、エポキシ化合物、環状エーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、ビニルエーテル化合物などを挙げることができる。本発明では前記したカチオン重合性有機化合物のうちの1種を用いても2種以上を用いてもよい。
カチオン重合性基含有化合物としては、1分子中のカチオン重合性基の数は2〜10個が好ましく、特に好ましくは2〜5個である。該化合物の分子量は3000以下であり、好ましくは200〜2000の範囲、特に好ましくは400〜1500の範囲である。
上記したカチオン重合性基含有化合物の具体的な内容は、前記の高屈折率層用組成物のカチオン重合性基含有化合物と同様のものが挙げられる。
これらカチオン重合性の多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
上記したラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを、ラジカル重合性化合物:カチオン重合性化合物の質量比で、90:10〜20:80の割合で含有していることが好ましく、80:20〜30:70の割合で含有していることがより好ましい。
上記多官能重合性化合物の配合量は、前記含フッ素ポリマー100質量部に対して、0.1〜50質量部とするのが好ましい。
上記低屈折率層形成用組成物に用いることができる重合開始剤としては、前述の通り前
記高屈折率層用のものと同様のものが用いられる。該重合開始剤の配合量は、前記多官能性化合物100質量部に対して、0.5〜20質量部とするのが好ましい。
[低屈折率層形成用組成物の他の成分]
また、上記低屈折率層形成用組成物には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することが好ましい。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層形成用組成物全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164b、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CF2CF3、−CH2(CF24H、−CH2(CF28CF3、−CH2CH2(CF24H等)であっても、分岐構造(例えば−CH(CF32、−CH2CF(CF32、−CH(CH3)CF2CF3、−CH(CH3)(CF25CF2H等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えば−CH2OCH2CF2CF3、−CH2CH2OCH248H、−CH2CH2OCH2CH2817、−CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はなく、用いられる。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防汚性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防汚剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防汚剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低屈折率層形成用組成物全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されない。
また、低屈折率層は、ミクロボイドを内包してもよい。具体的には、例えば特開平9−222502号公報、同9−288201、同11−6902号公報等に記載の内容が挙げられる。
また、本発明においては、有機微粒子を用いることもでき、該有機微粒子としては、例えば、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の化合物等があげられ、その形状は、上述の無機微粒子と同じである。
低屈折率層の厚さは、30〜200nmが好ましく、50〜150nmがより好ましい。
低屈折率層のヘイズは、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
低屈折率層は、その表面エネルギーが26mN/m以下であることが好ましい。更に好ましくは15〜25.8mN/mである。表面エネルギーをこの範囲にすることが防汚性の点で好ましい。
このような性質は、低屈折率層が、含フッ素化合物を含有する熱硬化性または電離放射線硬化型の架橋性含フッ素化合物を含有する含フッ素ポリマーの硬化膜であることにより発現される。
特に、最外層となる低屈折率層中に含まれる含フッ素化合物が最外層の全質量に対し、50質量%以上であることで膜表面全体がムラ無く安定した特性を示す。
固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明のフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液を偏光板保護膜面上に滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出出来る。
また、最表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
又、低屈折率層表面の動摩擦係数は、0.25以下であることが好ましく、0.05〜0.25であることがより好ましい。更に好ましくは0.03〜0.15である。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で表面を移動させたときの、表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。
低屈折率層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K6902に従うテーバー試験での摩耗量は小さいほど好ましい。
[ハードコート層]
また、本発明においては、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体の表面、すなわち、透明支持体と前記反射防止層との間に、ハードコート層を設けることが好ましい。
ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、多官能モノマーや多官能オリゴマー或いは加水分解性官能基含有の有機金属化合物を含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、硬化性化合物を架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。具体的には、高屈折率層のマトリックスバインダーと同様の内容のものが挙げられる。
更に好ましい態様として、ラジカル重合性基とカチオン重合性基を各々少なくとも1種を含有する重合性化合物を少なくとも1種用いることが挙げられる。ラジカル重合性基とカチオン重合性基は同一分子内に含有されてもよいし、或は異なる分子に含有されていても良い。すなわち、上記ハードコート層は、ラジカル重合性基とカチオン重合性基とを各々少なくとも1種含有する重合性化合物を少なくとも1種含有するハードコート層形成用組成物を塗設し、硬化してなる硬化皮膜であることが好ましい。
これらの重合性化合物を主として含有する低屈折率層形成用組成物から形成される硬化膜からなる多層型反射防止層は、後述するエンボス加工による表面凹凸の賦形が均一に安定して可能となる。これらは、ハードコート層の熱弾性変形が適切に作用することによると推測される。
好ましい具体的な態様として、上記ハードコート層形成用組成物は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーと、同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物との両方を各々少なくとも1種含有し、架橋性ポリマー中の開環重合性基とエチレン性不飽和基との両方を重合させることにより硬化する組成物であるのが好ましい。
Figure 0004740603
式中a1、a2は、各々同じでも異なっていてもよく、水素原子、脂肪族基、−COOR1、又は−CH2COOR1を表す。但し、R1は炭化水素基を表す。
1は開環重合性基又はエチレン重合性基を含む一価の基であり、L1は単結合もしくは二価の連結基である。
一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーについて詳細に説明する。
一般式(1)の式中R1は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、−COOR1、又は−CH2COOR1を表す。R1は炭素数1〜4のアルキル基を表す。好ましくは水素原子もしくはメチル基である。
1は単結合もしくは二価の連結基であり、好ましくは単結合、−O−、アルキレン基、アリーレン基および*側で主鎖に連結する*−COO−、*−CONH−、*−OCO−、*−NHCO−である。
1が開環重合性基を含む一価の基の場合には、開環重合性基を含む一価の基とはカチオン、アニオン、ラジカルなどの作用により開環重合が進行する環構造を有する一価の基であり、この中でもヘテロ環状化合物のカチオン開環重合が好ましい。好ましいP1としては、ビニルオキシ基、或はエポキシ環、オキセタン環、テトラヒドロフラン環、ラクトン環、カーボネート環、オキサゾリン環などのイミノエーテル環などを含む一価の基が挙げられ、この中でも特に好ましくはエポキシ環、オキセタン環、オキサゾリン環を含む一価の基あり、最も好ましくはエポキシ環を含む一価の基である。
1がエチレン性不飽和基の場合には、好ましくはアクリロイル基、メタクロイル基、スチリル基、又はビニルオキシカルボニル基を表す。
上記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは、対応するモノマーを重合させて合成することが簡便で好ましい。この場合の重合反応としてはラジカル重合が最も簡便で好ましい。
以下に一般式(1)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。具体例中、a1、a2は一般式(1)と同じものを表す。
Figure 0004740603
本発明の一般式(1)で表される繰り返し単位のうち、より好ましい例としては、エポキシ環を有するメタクリレートまたはアクリレートから誘導される繰り返し単位である。
また、本発明の一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは複数種の一般式(1)で表される繰り返し単位で構成されたコポリマーであってもよく、その中でも特にエポキシ環を有するメタクリレートまたはアクリレートから誘導される繰り返し単位のいずれかのコポリマーとすることでより効果的に硬化収縮を低減できる。
本発明の一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマーは一般式(1)以外の繰り返し単位を含んだコポリマーでもよい。特に架橋性ポリマーのTgや親疎水性をコントロールしたい場合や、架橋性ポリマーの開環重合性基の含有量をコントロールする目的で一般式(1)以外の繰り返し単位を含んだコポリマーとすることができる。一般式(1)以外の繰り返し単位の導入方法は、対応するモノマーを共重合させて導入する手法が好ましい。
一般式(1)以外の繰り返し単位を、対応するビニルモノマーを共重合することによって導入する場合、好ましく用いられるモノマーとしては、アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸など)類から誘導されるエステル類もしくはアミド類(例えば、N−i−プロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アルキルエステル(メタ)アクリレート(アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−ニトロプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、2−イソボルニル(メタ)クリレート、2−ノルボルニルメチル(メタ)クリレート、5−ノルボルネン−2−イルメチル(メタ)クリレート3−メチル−2−ノルボルニルメチル(メタ)クリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)クリレートなど)、アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸など)、ビニルエステル類(例えば酢酸ビニル)、マレイン酸またはフマル酸から誘導されるエステル類(マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチルなど)、マレイミド類(N−フェニルマレイミドなど)、マレイン酸、フマル酸、p−スチレンスルホン酸のナトリウム塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジエン類(例えばブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレン)、芳香族ビニル化合物(例えばスチレン、p−クロルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム)、N−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルサクシンイミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、1−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、ビニリデンクロライド、ビニルアルキルエーテル類(例えばメチルビニルエーテル)、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等が挙げれる。これらのビニルモノマーは2種類以上組み合わせて使用してもよい。これら以外のビニルモノマーはリサーチディスクロージャーNo.1955(1980年、7月)に記載されているものを使用することができる。本発明ではアクリル酸またはメタクリル酸から誘導されるエステル類、およびアミド類、および芳香族ビニル化合物が特に好ましく用いられるビニルモノマーである。
一般式(1)以外の繰り返し単位として開環重合性基或はエチレン性不飽和基以外の反応性基を有する繰り返し単位も導入することができる。特に、ハードコート層の硬度を高めたい場合や、基材もしくはハードコート上に別の機能層を用いる場合の層間の接着性を改良したい場合、開環重合性基以外の反応性基を含むコポリマーとする手法は好適である。開環重合性基以外の反応性基を有する繰り返し単位の導入方法は対応するビニルモノマー(以下、「反応性モノマー」と称する。)を共重合する手法が簡便で好ましい。
以下に反応性モノマーの好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ヒドロキシル基含有ビニルモノマー(例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなど)、イソシアネート基含有ビニルモノマー(例えば、イソシアナトエチルアクリレート、イソシアナトエチルメタクリレートなど)、N−メチロール基含有ビニルモノマー(例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど)、カルボキシル基含有ビニルモノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、カルボキシエチルアクリレート、安息香酸ビニル)、アルキルハライド含有ビニルモノマー(例えばクロロメチルスチレン、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート)、酸無水物含有ビニルモノマー(例えばマレイン酸無水物)、ホルミル基含有ビニルモノマー(例えばアクロレイン、メタクロレイン)、スルフィン酸基含有ビニルモノマー(例えばスチレンスルフィン酸カリウム)、活性メチレン含有ビニルモノマー(例えばアセトアセトキシエチルメタクリレート)、アミノ基含有モノマー(例えばアリルアミン)、アルコキシシリル基含有モノマー(例えばメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)などが挙げられる。
本発明の一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマー中、一般式(1)で表される繰り返し単位が含まれる割合は、30質量%以上100質量%以下、好ましくは50質量%以上100質量%以下、特に好ましくは70質量%以上100質量%以下である。一般式(1)以外の繰り返し単位が、架橋反応性基を有さない場合、その含量が多すぎると硬度が低下し、架橋反応性基を有する場合、硬度は維持できることもあるが、硬化収縮が大きくなったり、脆性が悪化する場合がある。特にアルコキシシリル基含有モノマー(例えばメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)と一般式(1)で表される繰り返し単位の共重合体を用いる場合などのように架橋反応時に脱水、脱アルコール
などの分子量低下を伴う場合、硬化収縮が大きくなりやすい。このような分子量低下を伴って架橋反応が進行する架橋反応性基を有する繰り返し単位を上記架橋性ポリマーに導入する場合の一般式(1)で表される繰り返し単位が含まれる好ましい割合は、70質量%以上99質量%以下、より好ましくは80質量%以上99質量%以下、特に好ましくは90質量%以上99質量%以下である。
上記架橋性ポリマーの好ましい分子量範囲は重量平均分子量で1000以上100万以下、さらに好ましくは3000以上20万以下である。最も好ましくは5000以上10万以下である。
また、本発明に用いることのできる同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を含む上記化合物について説明する。好ましいエチレン性不飽和基の種類は、アリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、ビニルエーテル基であり、特に好ましくはメタクリロイル基又はアクリロイル基であり、特に好ましくはアクリロイル基である。エチレン性不飽和基を含む化合物はエチレン性不飽和基を分子内に2個以上有していればよいが、より好ましくは3個以上である。そのなかでもアクリロイル基を有する化合物が好ましく、分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に数個のアクリル酸エステル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーを好ましく使用できる。具体的には、前記した高屈折率層の多官能モノマーと同様のものが挙げられる。
これらの重合性化合物は、重合開始剤を併用することが好ましく、具体的には前記の高屈折率層に記載したと同様のものが挙げられる。
ハードコート層は、一次粒子の平均粒径が300nm以下の無機微粒子を含有することが好ましい。より好ましくは10〜150nmであり、さらに好ましくは20〜100nmである。ここでいう平均粒径は重量平均径である。一次粒子の平均粒径を200nm以下にすることで透明性を損なわないハードコート層を形成できる。
無機微粒子はハードコート層の硬度を高くすると共に、塗布層の硬化収縮を抑える機能がある。また、ハードコート層の屈折率を制御する目的にも添加される。
ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、WO00/46617号公報等に記載の内容のもが挙げられる。
ハードコート層における無機微粒子の含有量は、ハードコート層の全質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%である。
前記したように、高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。高屈折率層がハードコート層を兼ねる場合、高屈折率層で記載した手法を用いて無機微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜15μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜12μm、特に好ましくは0.7〜10μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
[その他の層]
多層型反射防止層には、さらに、防湿層、帯電防止層、プライマー層、下塗り層や保護
層、シールド層、滑り層を設けてもよい。シールド層は、電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。
[反射防止フィルムの製造方法]
上述した本発明の反射防止フィルムは、透明支持体上に該透明支持体の屈折率より低い屈折率を有する低屈折率層を少なくとも一層含む反射防止層を、反射防止層を構成する各層の形成用組成物を順次または同時に塗布して形成する反射防止層形成工程、及び、その後に反射防止率層側の最表面をエンボス加工して表面に凹凸形状を形成する凹凸形成工程を行うことにより製造することができる。
以下、この本発明の製造方法について説明する。
「反射防止層形成工程」
多層構成の反射防止膜の各層は、上述した各組成物を、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書記載)により、塗布して形成することができる。二層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
本発明の反射防止フィルムにおいて、高屈折率層と低屈折率層を積層する場合、ゴミ、ほこり等の異物が存在したとき、輝点欠陥が目立ちやすい。本発明における輝点欠陥とは、目視により、塗膜上の反射で見える欠陥のことで、塗布後の反射防止フィルムの裏面を黒塗りする等の操作により目視で検出できる。目視により見える輝点欠陥は、一般的に50μm以上である。輝点欠陥が多いと製造時の得率が低下し、大面積の反射防止フィルムを製造することができない。
本発明の反射防止フィルムは、好ましくは輝点欠陥の数が1平方メートル当たり20個以下、より好ましくは10個以下、さらに好ましくは5個以下、特に好ましくは1個以下とする。
本発明の反射防止フィルムを連続的に製造するために、ロール状の支持体フィルムを連続的に送り出す工程、塗布液を塗布・乾燥する工程、塗膜を硬化する工程、硬化した層を有する支持体フィルムを巻き取る工程が行われる。
ロール状のフィルム支持体からフィルム支持体がクリーン室に連続的に送り出され、クリーン室内で、フィルム支持体に帯電している静電気を静電除電装置により除電し、引き続きフィルム支持体上に付着している異物を、除塵装置により除去する。引き続きクリーン室内に設置されている塗布部で塗布液がフィルム支持体上に塗布され、塗布されたフィルム支持体は乾燥室に送られて乾燥される。
乾燥した塗布層を有するフィルム支持体は乾燥室から放射線硬化室へ送り出され、放射線が照射されて塗布層に含有されるモノマーが重合して硬化する。さらに、放射線により硬化した層を有するフィルム支持体は熱硬化部へ送られ、加熱されて硬化を完結させ、硬化が完結した層を有するフィルム支持体は巻き取られてロール状となる。
上記工程は、各層の形成毎に行ってもよいし、塗布部−乾燥室−放射線硬化部−熱硬化室を複数設けて、各層の形成を連続的に行うことも可能である。
本発明において、輝点欠陥の少ない反射防止フィルムを作成するためには、前述の高屈折率層用塗布物中の高屈折率超微粒子分散度を精密に制御すること、及び塗布液の精密濾過操作が挙げられる。反射防止層を形成する各層は上記の塗布部における塗布工程および乾燥室で行われる乾燥工程が高い清浄度の空気雰囲気下で行われ、かつ塗布が行われる前に、フィルム上のゴミ、ほこりが充分に除かれていることが好ましい。塗布工程および乾燥工程の空気清浄度は、米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の規格に基づき、クラス10(0.5μm以上の粒子が353個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましく、更に好ましくはクラス1(0.5μm以上の粒子が35.5個/(立方メートル
)以下)以上であることが望ましい。また、空気清浄度は、塗布−乾燥工程以外の送り出し、巻き取り部等においても高いことがより好ましい。
塗布が行われる前工程としての除塵工程に用いられる除塵方法として、特開昭59−150571号公報に記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を押しつける方法、特開平10−309553号公報に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法、特開平7−333613号公報に記載される超音波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸引する方法(伸興社製、ニューウルトラクリーナー等)等の乾式除塵法が挙げられる。また、洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法、特公昭49−13020号公報に記載されているフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行なう方法、特開2001−38306号に記載のように、ウェブを液体でぬらしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等の湿式除塵法を用いることができる。このような除塵方法の内、超音波除塵による方法もしくは湿式除塵による方法が、除塵効果の点で特に好ましい。
また、このような除塵工程を行う前に、フィルム支持体上の静電気を除電しておくことは、除塵効率を上げ、ゴミの付着を抑える点で特に好ましい。このような除電方法としては、コロナ放電式のイオナイザ、UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いることができる。除塵、塗布前後のフィルム支持体の帯電圧は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以下、特に好ましくは、100V以下である。
「凹凸形成工程」
次にエンボス加工により上述の第一及び第二の凹凸形状を形成する工程について説明する。
[エンボス版の表面形状]
本発明においてエンボス加工に際して使用されるエンボス版の形状は、凹凸配列の規則性が高いと光干渉が発生するために好ましくないため、以下の凹凸のパラメータを有するであることが好ましい。平均凹凸周期(RSm)は5μm〜100μmが好ましく、5μm〜50μmがさらに好ましく、5μm〜30μmが最も好ましい。算術平均粗さ(Ra)は、0.05μm〜20μmが好ましく、0.3〜5μmがさらに好ましく、0.3μm〜1μmが最も好ましい。凹凸プロファイルの傾斜角は0.5度〜10度に分布していることが好ましく、0.5度〜5度に分布していることがさらに好ましい。
平均凹凸周期(RSm)、算術平均粗さ(Ra)、平均傾斜角は(株)ミツトヨ社製2次元粗さ計SJ−400型もしくは、(株)RYOKA SYSTEM社製の「マイクロマップ」機を用いて測定することができる。
本発明に用いるエンボス版は金属表面に上記に記載の凹凸を形成されたものであり、ショット加工、放電加工、エッチング加工、レーザー加工等が金属表面に不規則な凹凸パターンを形成する方法として利用できる。この内、ショット加工および放電加工が自動的に不規則な凹凸パターンを形成できる点で好ましい。エッチングやレーザー加工においても、レジストパターンの作成方法やレーザービームの操作方法によってランダムなパターニングが可能である。
エンボス版として好ましく用いられる金属は、ビッカーズ硬度が500以上の炭素とクロムを含む鉄合金であればいずれでも良く、これらには高炭素鋼、クロム−モリブデン鋼、ステンレス鋼などが挙げられる。
表面硬度を上げる方法として、ステンレスに代表される鉄合金を真空下でアンモニアなどの窒素化合物を導入して、高温反応させる窒化処理が広く知られている。また、ハードクロムメッキに代表されるメッキ処理も有効であり、リンあるいはリンとホウ素を導入したニッケルメッキ(日本カニゼン株式会社のカニゼンメッキ、カニボロンメッキ)やTiC、WC、SiC、B4C、TiB2などのセラミック粒子を共析したクロムならびにニッケルメッキも有効に利用できる。
これら硬質層の被覆厚は5μm乃至300μmが好ましく、20μm乃至100μmがさらに好ましい。
ショット加工は、ガラス、ジルコニア、タングステンなど、直径が50μm以下で嵩比重が1.5Kg/L以上の粒子を1Kg/cm2以上の圧力で吹き付けることによって実施できる。平均凹凸周期は粒子経によって、平均粗さは粒子の嵩密度、吹き付け圧力、ショット時間によって制御することができる。
本発明に供されるエンボス板の表面加工方法としては、表面凹凸を精密に制御できることから放電加工方法が最も好ましい。
放電加工で版表面の凹凸を造形する場合、版材質の重要なパラメータは硬度、融点、熱伝導係数である。これらは放電によって発生する熱で表面が彫られていく形状や速度に影響する。すなわち、硬度や融点が異なると、放電で同じ熱量が発生しても、融解して彫られる量や形が異なる。また、熱伝導係数も放電スパークで局所的に加熱された熱が拡散する速度に影響するため、凹凸周期や深さに反映される。
上述の様々な表面硬化処理を行った場合、同じ放電加工によって得られる版は、算術平均粗さや平均凹凸周期のみならず、大小の凹凸が重なりあった結果の複合波形や凹凸配置のランダムネスが変化する。以上のようなことから、放電加工条件と版の表面材質を組み合わせることによって、エンボス転写した後のフィルムは、描画画像に白みやザラツキ感のない防眩性と反射防止性に優れた光学的特性を発現する。
放電加工は、汎用の形彫放電加工機(例えば、三菱電機社製、Sodick社製)が利用できる。微細な凹凸形状を得るためには、ミクロン単位の位置制御が可能なCAD/CAM機能を搭載している機種が好ましい。
放電加工には電極に正の電位を掛けるプラス放電と負の電位を掛けるマイナス放電とがある。プラス放電の場合、ワーク表面で発生する熱量が高いため加工速度は速いが、不均一な凹凸形状となることがしばしば起こる。マイナス放電では、電極の消耗は激しいが、ワーク表面の凹凸形状はより均一となり、本発明に用いるエンボス版として好ましい。
電極は電気抵抗が低く熱伝導係数が高い銅を用いることが好ましい。一つ一つの局所放電を微小にし、放電エネルギーを小さくして微細な凹凸形状を得るためには平板電極の厚みを好ましくは5mm以下、更に好ましくは3mm以下、最も好ましくは2mm以下にする必要があるが、銅で十分な剛性が得られない場合には、真鍮を用いることも好ましい。
放電電圧の制御には電源側でパルスを発生させる方法と電源回路と放電加工機が形成するRC回路を利用するコンデンサー放電とがある。本発明におけるエンボス版の造形においては、コンデンサー放電の方が広い面積で、均質な凹凸形状が得られることから好ましい。印加電圧は高い方が電極とワーク間の距離が大きい状態で放電できるため、熱や溶融片の放出効率が高く好ましい。半導体電源の上限に当たる100乃至500Vを用いる。
[エンボス加工]
エンボス加工の方式は、平板版プレス、連続ベルト版プレス、ロール版プレスのいずれも採用できる。この内、帯状物の連続加工として連続ベルト版プレスとロール版プレスが、さらにプレス圧やプレス温度の自由度の観点でロール版プレスが最も好ましい。
ロール版プレスに用いるロールの材質は、プレス圧に耐えられる剛性を有するものであれば金属、セラミック、合成樹脂、合成樹脂と金属やガラスのコンポジットなど、限定されず使用できるが、版の耐久性の観点より、版表面はビッカース硬度が500以上であることが好ましく、実用的に500乃至1000であることが好ましい。
表面硬度を上げる方法として、ステンレスに代表される鉄合金を真空下でアンモニアなどの窒素化合物を導入して、高温反応させる窒化処理が広く知られている。また、ハードクロムメッキに代表されるメッキ処理も有効であり、リンあるいはリンとホウ素を導入し
たニッケルメッキ(カニゼン社のカニゼンメッキ、カニボロンメッキ)やTiC、WC、SiC、B4C、TiB2などのセラミック粒子を共析したクロムならびにニッケルメッキも有効に利用できる。
これら硬質層の被覆厚は5μm乃至300μmが好ましく、20μm乃至100μmがさらに好ましい。
本発明におけるエンボス操作は通常「ホットエンボス」と呼ばれる加熱した版を樹脂フィルムに押し当てながらパターン転写する方法であり、加熱溶融製膜、加熱溶融ラミネート、あるいは予め加熱した樹脂フィルムの温度以下の版を押し当ててパターン転写する「コールドエンボス」とは異なる。版を加熱する手段としては、80℃以上に加熱でき版表面の温度分布が小さければ限定されないが、電熱線ヒーター、電磁誘導加熱、赤外線ヒーター、版内部を中空構造にして温水、オイル、スチームなどの熱媒を循環するジャケット式ヒーターなどが好ましく利用できる。この内、ロール版プレスに利用できる方法として、電熱線ヒーター、電磁誘導加熱(例えば、トクデン社製ヒートロール)、ジャケット式ヒーターが好ましく、版表面の温度分布が小さい点で、電磁誘導加熱ならびにジャケット式ヒーターがさらに好ましい。
ロール版プレスに用いるエンボスロールの直径に特に限定はない。ロールとして製作できるφ50mm乃至φ3000mmが適用できるが、真直度数μm/m幅に精度良く加工できる点ならびに重量が肥大化することより、実質的にはφ50mm乃至φ2000mmである。
エンボスロールに対向して設置するバックアップロールの材質もプレス圧に耐えられる剛性を有するものであれば金属、セラミック、合成樹脂、合成樹脂と金属、ガラスのコンポジットなど、限定されず使用できる。耐久性の観点より、ビッカーズ硬度が500以上の炭素とクロムを含む鉄合金で被覆されていることが好ましい。被覆厚は10μm乃至50mm、このましくは50μm乃至50mmである。ビッカーズ硬度が高く、耐食性に優れ、表面研摩しやすいハードクロムメッキも好ましく利用できる。バックアップロールの表面粗さは、樹脂フィルムの裏面を平滑に維持するために可能な限り小さいことが好ましい。具体的には金属表面の鏡面仕上げとして得られる算術平均粗さ(Ra)が0.01μm以下が好ましい。
ロール版プレスに用いるバックアップロールの直径に特に限定はない。ロールとして製作できるφ50mm乃至φ3000mmが適用できるが、真直度数μm/m幅に精度良く加工できる点ならびに重量が肥大化することより、実質的にはφ50mm乃至φ2000mmである。
バックアップロールは冷却してもよい。ロール内部を中空構造にして冷水などの冷媒を循環するジャケット構造や冷風吹き付けが好ましく利用できる。バックアップロールを冷却する利点は、樹脂フィルムに可塑剤などの添加剤が含まれる場合、フィルム内部からの泣き出しや蒸発が軽減できる点、プレス部を通過した直後に樹脂フィルムをバックアップロールと接触させることにより、即時に冷却して転写パターンを固定できる点がある。
プレス条件はフィルム表面に掛ける圧力、版の表面温度、ならびにプレス時間である。プレス圧力は1×105Pa以上が好ましく、1×105乃至100×105Paがさらに好ましく、5×105乃至50×105Paが最も好ましい。本発明に用いられるロール版ならびにバックアップロールの直径の範囲では、これら圧力範囲に対応する線圧として、1000N/cm以上が好ましく、1000乃至50000N/cmがさらに好ましく、5000乃至30000N/cmが最も好ましい。
ホットエンボス加工における版の表面温度は、80℃以上であることが好ましい。80℃乃至220℃であることがさらに好ましく、100℃乃至200℃であることが最も好ましい。
プレス時間が厳密に定義できるのは平板版プレスと連続ベルト版プレスである。プレス時間は1秒乃至600秒が好ましく、10秒乃至600秒がさらに好ましく、10秒乃至300秒が最も好ましい。ロール版プレスの場合は、プレス圧によるエンボスロースとバックアップロールのニップ部の接触長と樹脂フィルムの搬送速度により、実効プレス時間が決まる。ニップ部の接触長はエンボスロールとバックアップロールの物理性(径、弾性率など)やプレス条件(圧力、温度)によって変化するので一概には規定できない。搬送速度は1乃至50m/minが好ましく、1乃至30m/minがさらに好ましく、5乃至30m/minが最も好ましい。
ロール版プレスの場合、回転軸を介してプレス圧を掛けるとロールがたわんで幅方向に均一な圧力が作用しなくなる。これを軽減するためには、プレス圧に対応したたわみ量を予め予測してロール径を補正するクラウンロール方式やプレス方向に対向して回転軸に圧力を掛けるベンド補正方式が適用できる。ロールの幅方向中心径をロール幅1m当り5μm乃至50μmテーパー状に太くすることが好ましく、5μm乃至30μmテーパー状に太くすることがさらに好ましく、10μm乃至30μmテーパー状に太くすることが最も好ましい。ベンド補正圧は、エンボスロールとバックアップロールの物理性(径、弾性率など)やプレス条件(圧力、温度)によって変化するが、プレス圧の3%乃至20%で反作用することが好ましく、プレス圧の3%乃至15%で反作用することがさらに好ましく、プレス圧の5%乃至10%で反作用することが最も好ましい。
本発明における画像表示装置に組み込む光学フィルムのエンボス加工においては、塵埃の制御を厳密に行う必要がある。反射防止層を塗設したフィルムを送り出してエンボス加工し、再び巻き取るまでの工程はクラス100以上、好ましくはクラス10以上のクリーンルーム環境で実施する。
また、反射防止層を塗設したフィルムを送り出し、エンボス加工工程前に除塵機を使用することも好ましい。周知の乾式或は湿式の除塵方法を用いることが出来る。具体的には、前記の反射防止層作製に記載と同様のものが挙げられる。
こうしてクリーンルーム内で除塵処理した後のフィルム表面には10μm以上の異物が10コ/m2未満であることが好ましく、1コ/m2未満であることがさらに好ましく、0.1コ/m2未満であることが最も好ましい。
エンボス加工する工程の前に透明樹脂フィルムを予熱する工程を設けることも好ましい。常温のフィルムを本発明における80℃以上のエンボス版に導入すると急激な軟化と体積変化、さらにはフィルムと版の摩擦抵抗などが絡み合って、シワなどを発生させることがある。これを回避するために、徐々にエンボス温度まで加熱する方法が採用できる。
ポリマーフィルムを予め室温以上に加熱する工程では、熱風の衝突、加熱ロールによる接触伝熱、マイクロ波による誘導加熱、あるいは赤外線ヒーターによる輻射熱加熱等が好ましく利用できる。特に加熱ロールによる接触伝熱は、熱伝達効率が高く小さな設置面積で行える点、搬送開始時のフィルム温度の立上りが速い点で好ましい。一般の2重ジャケットロールや電磁誘導ロール(トクデン社製)が利用できる。加熱後のフィルム温度は、25乃至220℃であることが好ましく、25乃至150℃がさらに好ましく、40乃至100℃が最も好ましい。また、上記温度範囲に制御するために、加熱手段に対してフィードバック制御を行ってもよい。
エンボス加工する工程の後にフィルムを冷却する工程を設けることも好ましい。ホットエンボス後のフィルムは加熱状態にあり、温度低下して十分に圧縮弾性率が下がらないまま、搬送にともなうテンションやローラーとの接触を受けると、エンボス転写した表面形状が変形したり緩和したりすることがしばしば発生する。これを回避するために、ホットエンボス直後からフィルムを強制冷却する方法が採用できる。
ポリマーフィルムの温度を低下させる手段は、ポリマーフィルムへの冷風の衝突、ある
いは、冷却ロールによる接触伝熱等が好ましく採用できる。冷却後のフィルム温度は、80℃以下であることが好ましく、10℃乃至80℃であることがさらに好ましく、15℃乃至70℃であることが最も好ましい。フィルム温度は、非接触式の赤外線温度計で測定することが好ましい。冷却手段に対してフィードバック制御を行い、冷却温度を調節することもできる。
連続搬送のロールエンボス加工においては、巻取り工程の前に乾燥工程を実施することもできる。透明樹脂フィルムをロール状に巻き取る前に、好ましい含水率に調整するために加熱乾燥してもよい。逆に、設定された湿度を有する風で調湿することもできる。
[反射防止フィルムの特性]
反射防止フィルムの反射率は低いほど好ましい。具体的には450〜650nmの波長領域での平均反射率が2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましく、0.7%以下であることが最も好ましい。反射防止フィルムのヘイズは、40%以下が好ましい。更には、0.5〜30%が好ましく、特に好ましくは1〜20%である。
又、本発明の反射防止フィルムは、輝点欠陥の数が好ましくは1平方メートル当たり20個以下、より好ましくは10個以下、さらに好ましくは5個以下、特に好ましくは1個以下である。
反射防止フィルムの強度は、JISK−6902に基づくテーバー磨耗試験における磨耗性は小さいほど好ましい。
また、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上てあることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
[反射防止フィルムの耐候性]
本発明における耐候性とは、JISK5600−7−7:1999に基づく促進耐候性試験による耐候性であり、反射防止フィルムの反射防止層が、150時間処理後の性能が、該促進耐候性試験後のヘイズは耐候試験前のヘイズに対し、好ましくは、増加幅が10%以内であり且つ最大のヘイズが3%を越えないものである。又、JISK−6902に基づくテーバー磨耗試験における磨耗量の増加幅は好ましくは10%以内である。
更に、50μm以上の大きさの輝度欠陥の数は、好ましくは1平方メートル当たり20個以下、より好ましくは10個以下である。
また、本発明の反射防止フィルムにおいては、上記反射防止層が、波長380nmから780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光のCIE1976L***色空間のL*、a*、b*値のそれぞれの値の面内における変化率が15%未満であるのが好ましく、更に好ましくは10%以下である。この範囲において、反射防止性能にムラのない視認性良好となる。
また、上記反射防止層が、耐候性試験前後の該フィルムが波長380nm〜680nmにおける平均反射率の変化が0.5%以下であり、且つ反射光の色味変化ΔEがL***色度図上で15以下であるのが、耐候性の点で好ましい。
鏡面反射率及び色味の測定は、分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を用いて、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
[偏光板用保護フィルム]
本発明の反射防止フィルムを偏光子の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)として用いる場合、反射防止層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が45°以下となるよう親水化処理して、偏光子との接着性を充分とすることが好ましい。
透明支持体としては、セルロースアシレートフィルムを用いることが特に好ましい。
本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板用保護フィルムを作製する手法としては、下記2つの手法が挙げられる。
(1)片面を親水化処理した透明支持体の未処理の面(親水化処理面の反対側)に上記の各層(例、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層等)を塗設する手法。
(2)透明支持体の一方の面に上記の各層(例、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層など)を塗設した後、偏光子と貼り合わせる側を親水化処理する手法。
さらにまた、反射防止フィルムの偏光子と貼り合わせる側の透明支持体の表面に鹸化処理液を塗布して、偏光子と貼り合わせる側を親水化処理することもできる。
透明支持体の表面の親水化処理は、公知の方法で行うことが出来る。例えば、コロナ放電処理、グロー放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ処理等で該フィルム表面を改質する方法が挙げられる。これらについては、詳細が前記の公技番号2001−1745の30頁〜32頁に詳細に記載されている。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
アルカリ液の中に透明支持体、又は、反射防止フィルムを適切な時間浸漬或いはアルカリ液を塗布して鹸化処理するのが好ましい。アルカリ液及び処理は、特開2002−82226号公報、WO02/46809号公報等に記載の内容が挙げられる。鹸化処理のフィルム表面の水に対する接触角が45゜以下になるように実施することが好ましい。
偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光子と接着させて使用する。
偏光板用保護フィルムは、光学性能(反射防止性能、防眩性能など)、物理性能(耐擦傷性など)、耐薬品性、防汚性能(耐汚染性など)、耐候性(耐湿熱性、耐光性)において、本発明の反射防止フィルムで記載した性能を満足することが好ましい。
[偏光板]
本発明の偏光板の一つの態様は、2枚の保護フィルムを偏光子の表面と裏面に貼り合せた偏光板であり、上述の本発明の反射防止フィルムを少なくとも片面の保護フィルムに用いたことを特徴とする。これにより、反射防止機能を有する偏光板が作製でき、大幅なコスト削減、表示装置の薄手化が可能となる。
また、本発明の偏光板の他の態様は、偏光子の2枚の保護フィルムの一方に上述の本発明の反射防止フィルムを用い、他方の保護フィルムに光学異方性層を有する光学補償フィルムを用いたことを特徴とする。この形態とすることにより、上述の形態の偏光板で奏される効果に加えてさらに液晶表示装置の明室でのコントラストを改良し、上下左右の視野角が非常に広げることができる偏光板を作製できる。
偏光板における保護フィルムは、上記のように、反射防止層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の透明支持体の表面の水に対する接触角が45°以下であることが、偏光子との接着性の点で好ましい。
[光学補償フィルム]
上記の他の態様にて用いることができる光学補償フィルムについて説明する。
光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号に記載されているディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学補償層を有し、該ディスコティック化合物と支持体とのなす角度が層の深さ方向において変化していることを特徴とする光学補償フィルムが好ましい。
該角度は光学異方性層の支持体面側からの距離の増加とともに増加していることが好ましい。
光学補償フィルムを偏光子の保護フィルムとして用いる場合、偏光子と貼り合わせる側
の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、上述の本発明の反射防止フィルムまたは本発明の偏光板が画像表示面に配置されていることを特徴とする。このように、本発明の反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。
そして、本発明の画像表示装置は、TN、STN、IPS、VAおよびOCBのいずれかのモードの透過型、反射型または半透過型の液晶表示装置に適用するのが好ましい。以下、さらに説明する。
液晶表示装置としては、従来公知の何れも用いることができる。例えば、内田龍雄監修「反射型カラーLCD総合技術」((株)シーエムシー、1999年刊)、「フラットパネルディスプレイの新展開」((株)東レリサーチセンター調査部門、1996年刊)、「液晶関連市場の現状と将来展望(上巻)、(下巻)」(富士キメラ総研(株)、2003年刊)等に記載されているものが挙げられる。
例えばツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
また、本発明の光学フィルムは、付設する液晶表示装置表示画像の大きさが20インチ以上であっても、コントラストが良好で広い視野角を有し、かつ色相変化及び外光の移りこみ防止を実現でき、好ましい。
(TNモード液晶表示装置)
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献の記載が挙げられる。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
(OCBモード液晶表示装置)
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている装置がが液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
(VAモード液晶表示装置)
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモード)の液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が挙げられる。
(IPSモード液晶表示装置)
IPSモードの液晶セルでは、液晶分子を基板に対して常に水平面内で回転させるモードで、電界無印加時には電極の長手方向に対して若干の角度を持つように配向されている。電界を印加すると電界方向に液晶分子は向きを変える。液晶セルを挟持する偏光板を所定角度に配置することで光透過率を変えることが可能となる。液晶分子としては、誘電率異方性Δεが正のネマチック液晶を用いる。液晶層の厚み(ギャップ)は、2.8μm超4.5μm未満とする。これは、レタデーションΔn・dは0.25μm超0.32μm未満の時、可視光の範囲内で波長依存性が殆どない透過率特性が得られる。偏光板の組み合わせにより、液晶分子がラビング方向から電界方向に45°回転したとき最大透過率を得ることができる。尚、液晶層の厚み(ギャップ)はポリマビーズで制御している。もちろんガラスビーズヤファイバー、樹脂製の柱状スペーサでも同様のギャップを得ることができる。また液晶分子は、ネマチック液晶であれば、特に限定したものではない。誘電率異方性Δεは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減でき、屈折率異方性Δnは小さいほうが液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入時間が短縮され、かつギャップばらつきを少なくすることができる。
(その他液晶モード)
ECBモードおよびSTNモードの液晶表示装置に対しては、上記と同様の考え方で本発明の偏光板を供することが出来る。
本発明に用いる反射防止フィルム、及び、偏光板は、また、透過型または半透過型の液晶表示装置に用いる場合には、輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEFなど)と併せて用いることにより、さらに視認性の高い表示装置を得ることができる。
又、λ/4板と組み合わせることで、反射型液晶用の偏光板や、有機ELディスプレイ用表面保護板として表面および内部からの反射光を低減するのに用いることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
[実施例1-1]
(ハードコート層用塗布液(HCL−1)の調整)
テトラメチロールメタンテトラアクリレート1296質量部及びポリグリシジルメタクリレート(質量平均分子量:1.5×104)のメチルエチルケトン53.2質量%溶液809質量部を、メチルエチルケトン943質量部及びシクロヘキサノン880質量部の混合溶液に溶解した後、攪拌しながらイルガキュア184、48.1質量部、およびジ(t−ブチルフェニル)ヨウドニウム・ヘキサフルオロフォスフェイト(Di(t−butyl phenyl)iodoniumhexafluoro Phosphate)24質量部を加えて10分間攪拌した。この混合物を孔径0.5μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、ハードコート層用組成物(HCL−1)を調整した。
(無機微粒子分散液(PL−1)の調製)
酸化アルミニウムとステアリン酸で表面処理した二酸化チタン微粒子(TTO−55B:酸化チタン含量79〜85%:石原産業(株)製)100g、下記構造の分散剤(D−1)22g、およびシクロヘキサノン285gを、粒径0.1mmのジルコニアビーズ(YTZボール、(株)ニッカトー製)と共に、ダイノミルにより分散した。分散温度は35〜40℃で8時間実施した。200メッシュのナイロン布でビーズを分離して、無機微粒子分散液(PL−1)を調製した。
得られた分散物の分散粒子径は、透過電子顕微鏡で測定した所、単分散性良好な平均粒径75nmの粒子であった。
また、分散物の粒度分布を測定した(レーザー解析・散乱粒子径分布測定装置LA−920.堀場製作所製)結果、粒径300nm以上の粒子は0%であった。
Figure 0004740603
(中屈折率層用塗布液(ML−1)の調製)
上記の無機微粒子分散液(PL−1)88.9gに、メチルエチルケトン452.4質量部、およびシクロヘキサノン1753.7質量部の混合溶媒を攪拌しながら加えた。次にDPHA(多官能アクリレートモノマー、日本化薬(株)製)、58.4質量部、イルガキュア907、3.1質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.1質量部、メチルエチルケトン30.0質量部、およびシクロヘキサノン116.1質量部の混合溶媒を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用の塗布液(ML−1)を調製した。
(高屈折率層用塗布液(HL−1)の調製)
上記の無機微粒子分散液(PL−1)400質量部に、メチルエチルケトン198.1質量部、およびシクロヘキサノン792.4質量部の混合溶媒を攪拌しながら加えた。次にDPHA、37.5質量部、イルガキュア907、2.0質量部、光増感剤:カヤキュアーDETX、0.5質量部、メチルエチルケトン18.7質量部、およびシクロヘキサノン74.6質量部の混合溶液を添加して攪拌した後、超音波分散を10分間行った。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液(HL−1)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(LL−1)の調製)
DPHA、1.4質量部、下記構造の含フッ素樹脂(PF−1)5.6質量部、中空シリカ(平均粒径40nm、シェル層厚7nm、屈折率1.31、イソプロパノール分散液、固形分含量18質量%)20.0質量部、反応性シリコーンRMS−033(Gelest(株)製)0.7質量部、下記内容のゾル液a:6.2質量部、及びイルガキュア907:0.2質量部をメチルエチルケトン315.9質量部に投入して攪拌した。孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液(LL−1)を調製した。
Figure 0004740603
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(反射防止フィルムの作製)
超音波除塵器で、膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80UF、富士写真フイルム(株)製)の塗布側表面を除電処理した上に、ハードコート層用塗布液(HCL−1)をグラビアコーターを用いて塗布した。80℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタル
ハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量500mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層を形成した。上記のハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液(ML−1)をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量550mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率1.63、膜厚70nm)を形成した。
中屈折率層の上に、高屈折率層用塗布液(HL−1)をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量550mJ/cm2の紫外線を照射し、高屈折率層(屈折率1.90、膜厚107nm)を形成した。
上記の高屈折率層上に、上記低屈折率層用塗布液を線数180本/インチ、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度15m/分の条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、反射防止フィルム(AF−1)を作成した。
上記において、塗布、乾燥工程は0.5μm以上の粒子として30個/(立方メートル)以下の空気清浄度の空気雰囲気下で行われ、塗布直前に特開平10−309553号公報に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法で除塵を行いながら塗布を行った。除塵前のベースの帯電圧は、200V以下であった。上記の塗布は1層毎に、送り出し−除塵−塗布−乾燥−(UVまたは熱)硬化−巻き取りの各工程で行った。
(表面凹凸形状の形成)
エンボシングカレンダー機(由利ロール(株)製)に、下記内容のエンボス版(H−1)を装着し、線圧500Kgf/cm、プレ加熱温度90℃、およびエンボスロール温度160℃の条件にて、上記の反射防止フィルムの片面にプレス操作を行い、反射防止フィルム(BF−1)を作製した。なお、バックアップロール常温、搬送速度1m/分の条件で行った。
〔エンボス版(H−1)〕
熱硬化処理した直径20cm、幅12cmのS45C材芯金ロールをケロシン加工液中に平均粒径1.5μmのグラファイト粒子を3g/L添加し、三菱電機社製型彫放電加工機EA8型を用いて、厚み0.5mmの銅電極にてマイナスのコンデンサー放電加工し、算術平均粗さ(Ra)0.3μm、平均凹凸周期(RSm)25μmの表面凹凸とした。次に、研磨材をもちいて研磨して表1の形状となるように研磨調整してエンボス版(H−1)を得た。
(表面形状の評価)
得られた各フィルム表面の形状は、JIS B 0601−1994に基づいて、表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)、最大高さ(Ry)、および表面凹凸の平均間隔(Sm)を(株)ミツトヨ社製2次元粗さ計SJ−400型により評価した。但し、Ra、RzおよびRyは測定長4μm、Smの測定長は20μmとした。表面凹凸の均一性は、(Ra/Rz)の比により算出した。凹凸プロファイルの傾斜角度分布は、Surface Explore SX−520 システム(菱化システム(株)製、干渉顕微鏡(ニコン製 MM-40/60シリーズ 対物レンズ:二光束干渉対物レンズ、ハロゲンランプ使用、CCDカメラ:640×480))のマイクロマップソフトを用いて測定した値である。
又、第二の凹凸の形状は、フィルム表面をAFM観察してその表面形状(Ra、Rz、Sm)を測定した。物性を表2に示した。
[比較例1−1]
エンボス版を下記表1に記載されるHR−1に変更した以外は、実施例1と同様にエンボス加工して、反射防止フィルムを作製した。表面形状に関する物性を表2に示した。
[比較例1−2]
エンボス版を下記表1に記載されるHR−2に変更した以外は、実施例1と同様にエンボス加工して、反射防止フィルムを作製した。表面形状に関する物性を表2に示した。
[比較例1−3]
エンボス版を下記表1に記載されるHR−3に変更した以外は、実施例1と同様にエンボス加工して、反射防止フィルムを作製した。表面形状に関する物性を表2に示す。
Figure 0004740603
〔反射防止フィルムの評価〕
反射防止フィルムの評価を下記方法で行い、結果を表3に示す。
(ヘイズ)
ヘイズメーター(NHD−1001DP、日本電色工業(株)製)を用いて、高屈折率層フィルムのヘイズを評価した。
(反射率)
分光光度計(V−550、ARV−474、日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における分光反射率を測定した。450〜650nmの波長範囲における平均反射率を求めた。
(水滴滑溶性)
反射防止膜を蒸留水中に浸し、超高速洗浄機中で1分間洗浄した後、風乾し、25℃、65%RHの環境下で、傾斜摩擦計HEIDON 47L−388(新東科学(株)製)を用いて、サンプル表面に10μlの蒸留水の水滴を滴下して水滴の転がる角度を測定し、以下の基準で評価した。
○:水滴の転がる角度が25度未満。
△:水滴の転がる角度が25度以上40度未満
×:水滴の転がる角度が40度以上。
(防汚性)
サンプル表面に指紋を付着させてから、それをベンコットン(旭化成(株)製)で拭き取った時の状態を観察して、以下の基準で評価した。
◎:簡単に拭き取れる。
○:しっかり擦れば拭き取れる。
△:一部が拭き取れずに残る。
×:殆んど拭き取れずに残る。
(防眩性)
作成した反射防止フィルムにルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を映し、その反射像のボケの程度を以下の基準で評価した。
◎:蛍光灯の輪郭が全くわからない
○:蛍光灯の輪郭がわずかにわかる
△:蛍光灯はぼけているが、輪郭は識別できる
×:蛍光灯がほとんどぼけない
(ギラツキ)
作製した反射防止フィルムを、133ppi(133pixels/inch)に模し
たセル上、距離1mmの位置にフィルムを乗せ、ギラツキ(反射防止フィルムの表面凹凸が起因の輝度バラツキ)の程度を、以下の基準で目視評価した。
◎:全く〜ほとんどギラツキが見られない
○:わずかにギラツキがある
△:少しギラツキがある
×:ギラツキがはっきり認識できる
(輝点異物)
全層塗布した後のフィルムの裏面をマジックインキ等で黒塗りした後、塗膜上にある輝点欠陥の数を目視で判定した。目視で見える輝点欠陥のサイズは、50μm以上である。
輝点欠陥は、1平方メートルあたりの個数でカウントした。
(密着性)
各反射防止フィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した。各反射防止フィルムの反射防止層を有する側の表面において、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(NO.31B)における密着試験を同じ場所で繰り返し3回行った。剥がれの有無を目視で観察し、下記の4段階評価を行った。
◎:100升において剥がれが全く認められなかったもの
○:100升において剥がれが認められたものが2升以内のもの
△:100升において剥がれが認められたものが10〜3升のもの
×:100升において剥がれが認められたものが10升をこえたもの
(耐擦傷性)
反射防止フィルムにおいて、#0000のスチルウールに200g/cm2の荷重をかけ、10往復したときの傷の状態を観察して、以下の基準で評価した。
◎:傷が全くつかない
○:傷がわずかにつくが、目立たない
△:明確に見える傷がつく
×:明確に見える傷が顕著につく
(鉛筆硬度)
高屈折率層フィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS
S6006が規定する3Hの試験用鉛筆を用いて、1kgの荷重にて以下の内容で目視評価した。
○:n=5の評価において傷が全く認められない
△:n=5の評価において傷が1または2つ
×:n=5の評価において傷が3つ以上
(質感)
10cm四方のガラス板の両面に偏光フィルムをクロスニコル配置で貼り合せ、さらに片面にエンボス面を上にして反射防止フィルムを貼り付けた。100Wの白色電球から2m離した位置でエンボス面を観察し、質感について以下のランク付けを行った。
ランク5:反射光の強度が視覚的に均一で、しっとりした質感である。
ランク1:反射光の強度が視覚的にばらついており、ざらざらした質感である。
予めランク5と1の両極端を定め、この間のランクは相対評価した。
Figure 0004740603
Figure 0004740603
実施例1及び比較例1−1〜1−3の反射防止層の膜厚の変動幅は、何れの試料も±2.5%以内であった。
実施例1は、光学特性、膜の密着性、強度の何れも良好であった。又、撥水性のレベルを表す水滴滑落性、及び防汚性が良好であった。更に、防眩性、ギラツキ感、質感とも良好であった。比較例1−1は、反射防止性能は実施例1と同等であったが、水滴滑落性、及び防汚性が低下した。比較例1−2は、反射防止性能は実施例1とほぼ同等であったが、水滴滑落性、及び防汚性が低下した。比較例1−3はギラツキ感と質感及び水滴滑落性、及び防汚性が低下した。
以上のように、本発明の反射防止フィルムは良好な性能を示した。
〔実施例2−1および実施例2−2〕
(ハードコート層用塗布液(HCL−2)の調整)
トリメチロールプロパントリアクリレート 1296質量部、下記構造の重合性化合物のメチルエチルケトン53.2質量%溶液809質量部、及び下記構造のオキセタン化合物43質量部を、メチルエチルケトン943質量部およびシクロヘキサノン880質量部の混合溶液に溶解した後、攪拌しながらイルガキュア184、48.1質量部、および下記構造の開始剤(I−2)24質量部gを加えて10分間攪拌した。この混合物を孔径0.5μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、ハードコート層用組成物(HCL−2)を調整した。
Figure 0004740603
Figure 0004740603
(ハードコート層用塗布液(HCL−3)の調整)
ウレタンアクリレートオリゴマーUV−6300B(日本合成化学工業(株)製)250質量部、下記構造の重合性化合物、75質量部、イルガキュア907、7.5質量部、カヤキュアーDETX、5.0質量部、および下記構造の開始剤(I−3)3質量部を、メチルエチルケトン192.5質量部およびシクロヘキサノン128.3質量部の混合溶液に溶解した。混合物を攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層の塗布液(HCL−3)を調製した。
Figure 0004740603
Figure 0004740603
(ハードコート層用塗布液(HCL−4)の調整)
多官能アクリレートモノマー:DPHA436.9質量部、イルガキュア907;13.1質量部を、メチルエチルケトン330質量部およびシクロヘキサノン220質量部の混合溶液に溶解した。混合物を攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層の塗布液(HCL−4)を調製した。
(無機微粒子分散液(PL−2)の調製)
二酸化チタン粒子の作製:特開平5−330825号公報の実施例(段落番号[0014]の3〜17行)に基づいて、鉄(Fe)を塩化コバルト(III)に変更した以外は同公報と同様にして、二酸化チタン粒子の中にコバルトをドープしたコバルト含有の二酸化チタン微粒子(P−2)を作製した。コバルトのドープ量は、Ti/Co(質量比)で、98.5/1.5となるようにした。
作製した二酸化チタン粒子は、ルチル型の結晶構造が認められ、1次粒子の平均粒子サイズが40nm、比表面積が38nm、比表面積が44m2/gであった。
無機微粒子分散液の作製:上記無機微粒子(P−2)100質量部、下記構造の高分子分散剤(D−2)20質量部、およびシクロヘキサノン360質量部を添加して、粒径0
.1mmのジルコニアビーズと共にダイノミルにより分散した。分散温度は35〜40℃で5時間実施した。300nm以上の粒子径が0%の平均径55nmの無機微粒子分散液(PL−2)を調製した。
分散剤(D−2)
Figure 0004740603
(無機微粒子分散液(PL−3)の調製)
二酸化チタン粒子の作製:特開平5−330825号公報の実施例(段落番号[0014]の3〜17行)に基づいて、鉄(Fe)を硝酸ジルコニル(ZrO(NO32)に変更した以外は同様にして、二酸化チタン粒子の中にジルコニウムをドープしたジルコニウム含有の二酸化チタン微粒子(P−3)を作製した。ジルコニウムのドープ量は、Ti/Zr(質量比)で、97.5/2.5となるようにした。
作製した二酸化チタン粒子は、ルチル型の結晶構造が認められ、1次粒子の平均粒子サイズが40nm、比表面積が39m2/gであった。
無機微粒子分散液の作製:上記無機微粒子(P−3)100質量部に、下記分散剤(D−3)18質量部、およびシクロヘキサノン303質量部を添加して、粒径0.1mmのジルコニアビーズを用いてダイノミルにより分散した。分散温度は40〜45℃で分散時間6時間実施し無機微粒子分散液(PL−3)を調製した。得られた分散物の分散粒子の平均径は55nmで、300nm以上の粒子は0%であった。
Figure 0004740603
(無機微粒子分散液(PL−4)の調製)
二酸化チタン粒子の作製:特開平5−330825号公報の実施例(段落番号[0014]の3〜17行)に基づいて、塩化コバルト(III)と塩化アルミニウムをドープしたコバルト,アルミニウム含有の二酸化チタン微粒子(P−4)を作製した。コバルトとアルミニウムのドープ量は、Ti/Co/Al(質量比)で、97.5/1.25/1.25となるようにした。
作製した二酸化チタン粒子は、ルチル型の結晶構造が認められ、1次粒子の平均粒子サイズが40nm、比表面積が39m2/gであった。
無機微粒子分散液の作製:上記無機微粒子(P−4)100質量部に、下記分散剤(D−4)22質量部、およびシクロヘキサノン366質量部を添加して、粒径0.1mmのジルコニアビーズを用いてダイノミルにより分散した。分散温度は40〜45℃で分散時間6時間実施し無機微粒子分散液(PL−4)を調製した。得られた分散物の分散粒子の平均径は55nmで、300nm以上の粒子は0%であった。
Figure 0004740603
(無機微粒子分散液(PL−5)の調製)
二酸化チタン粒子の作製:特開平5−330825号公報の実施例(段落番号[0014]の3〜17行)に基づいて、二酸化チタン粒子の中にコバルトをドープし、水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子(P−5)を作製した。
コバルトのドープ量は、Ti/Co(質量比)で、98.5/1.5となるようにした。
作製した二酸化チタン粒子は、ルチル型の結晶構造が認められ、1次粒子の平均粒子サイズが40nm、比表面積が38nm、比表面積が44m2/gであった。
無機微粒子分散液の作製:無機微粒子P−2をP−5に変更した以外はPL−2と同様にして300nm以上の粒子径が0%の平均径55nmの無機微粒子分散液(PL−5)
を調製した。
(無機微粒子分散液(PL−6)の調製)
コバルトイオンドープ(ドープ量4質量%)のTiおよびTaから成る複合酸化物[Ti/Ti+Ta=0.8モル比]微粒子(P−6)92g、下記構造のシリル化合物 31質量部およびシクロヘキサノン 337質量部の混合物をサンドミル(1/4Gのサンドミル)にて6時間微細分散した。メディアは0.2mmΦのジルコニアビーズを1400質量部用いた。ここに1モル/L塩酸0.1質量部を添加し、窒素雰囲気下で80℃に昇温した、更に4時間攪拌した。得られた表面処理した分散粒子(PL−6)の粒径は60nm、300nm以上の粒子は0%だった。
Figure 0004740603
(無機微粒子分散液(PL−7)の調製)
チタン、ビスマスおよびジルコニウムからなる複合酸化物[Bi/Bi+Ti+Zr=0.08モル比、Zr/Bi+Ti+Zr=0.05モル比](P−7)100質量部に、下記分散剤(D−5)25質量部、およびシクロヘキサノン375質量部を添加して、粒径0.1mmのジルコニアビーズを用いてダイノミルにより分散した。分散温度は40〜45℃で分散時間6時間実施し無機微粒子分散液(PL−7)を調製した。得られた分散物の分散粒子の平均径は75nmで、300nm以上の粒子は0%であった。
Figure 0004740603
(低屈折率層用塗布液(LL−2)の調製)
(低屈折率層(LL−2))
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)130質量部、シリカゾル(シリカ、MEK−ST、平均粒径15nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)5質量部、中空シリカ(CS60−IPA、平均粒径60nm、シェル層厚10nm、屈折率 1.31、イソプロパノール20質量%分散液、触媒化成(株)製)15質量部、上記のゾル液a 6質量部、メチルエチルケトン50質量部、およびシクロヘキサノン60質量部を添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液(LL−2)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(LL−3)の調製)
屈折率1.42の熱架橋性含フッ素ポリマー(JN−7228、固形分濃度6%、JSR(株)製)150質量部、DHPMA:3.5質量部、シリカゾルMEK−ST:5質量部、中空シリカCS60−IPA:15質量部、上記のゾル液a 6質量部、反応性シリコーンX22−164C:3質量部、メチルエチルケトン50質量部、およびシクロヘキサノン60質量部を添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液(LL−3)を調製した。
[実施例2−1]
(中屈折率層用塗布液(ML−2)の調製)
上記の無機微粒子分散液(PL−2)88.9gに、多官能性アクリレートDPHA、58.4g、イルガキュア907、3.1g、カヤキュアーDETX、1.1g、メチルエチルケトン482.4g、およびシクロヘキサノン1869.8gを添加して攪拌した。超音波分散を10分間行った後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用の塗布液を(ML−2)調製した。
(高屈折率層用塗布液(HL−2)の調製)
上記の無機微粒子分散液(PL−2)500gに、メチルエチルケトン204.4g、
およびシクロヘキサノン817.6gの混合溶媒を攪拌しながら加えた。次にDPHA、37.5g、イルガキュア907、2.5g、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.8g、メチルエチルケトン19g、およびシクロヘキサノン76.2gの混合溶液を添加して攪拌した後、超音波分散を10分間行った。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液(HL−2)を調製した。
(反射防止フィルムの作製)
前記のトリアセチルセルロースフィルム(TD−80UF)上に、ハードコート層用塗布液(HCL−2)をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、120℃で乾燥した。次に酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量500mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液(ML−2)をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率1.67、膜厚70nm)を形成した。
中屈折率層の上に、高屈折率層用塗布液(HL−2)をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率1.95、膜厚105nm)を形成した。この上に、低屈折率層用塗布液(LL−2)をグラビアコーターを用いて塗布した。80℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層(屈折率1.43、膜厚86nm)を形成した。
(表面凹凸形状の形成)
エンボシングカレンダー機(由利ロール(株)製)にエンボス版H−2(表面形状;第一の形状:Ra=0.6μm、Sm=13μm、第二の形状:Ra=15nm、Sm=95nm)を装着し、線圧500Kgf/cm、プレ加熱温度70℃、エンボスロール温度140℃、バックアップロール常温、搬送速度5m/分の条件で、上記の反射防止フィルムの片面にプレス操作を行い、反射防止フィルム(BF−2)を作製した。得られた反射防止フィルムの表面は、表面エネルギーが21mN/m、動摩擦係数が0.12であった。
実施例2−2
実施例2−1の高屈折率層用の無機微粒子分散物(PL−2)の代わりに、実施例1−1で用いた無機微粒子分散物(PL−1)を同量用いた他は、実施例1と同様にして反射防止フィルムを作製した。次に、このフィルムを実施例2−1と同じ条件でエンボス加工を行い反射防止フィルム(BF−3)を作製した。
得られた反射防止フィルムの表面は、表面エネルギーが20mN/m、動摩擦係数が0.11であった。
(反射防止フィルムの評価)
各試料について、実施例1と同様にして、各評価項目を評価した。その結果を表4及び5に示す。高屈折率層フィルム、および反射防止フィルムのいずれもが実施例1と同等以上の良好な性能を示した。
更に下記の試験を行った。その結果を表5に合わせて示す。
(色味均一性)
分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5度の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの測定された反射スペクトルから、CIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を表わすCIE1976L***色空間のL*値、a*値、b*値を算出し、反射光の色味を評価した。
フィルムは長さ方向に1mに試料とし、測定点はロール形態の長さ及び幅方向の中央並びに両端の各3点を測定した。フィルム試料は塗工ロールの先端部、中央部、及び終端部を用いた。
各値は上記の測定点の中央値とし、変動幅は最大値と最小値との差を中央値で除した計算値を%表示した。下記の4段階評価を行った。
○:変化率が10%以下
△:変化率が10%を越える乃至20%未満
×:変化率が21%以上
(耐候性)
サンシャインウエザーメーター(S−80、スガ試験機(株)製)、湿度50%)を用いて、露光時間200時間の各水準の耐候性試験を行った。
(反射率測定、反射光スペクトル)
耐候性試験前後の試料について、傾斜角5°の入射光の反射スペクトルを鏡面反射率の測定方法と同様にして測定し、更に波長380nm〜680nmの波長領域におけるCIE色度図反射光の色味を計算することにより、耐候性試験前後の色味変化を求め、下記の4段階評価を行った。
(反射光の色味変化ΔE)
◎:ΔEが5以下、
○:ΔEが5〜10、
△:ΔEが10〜15、
×:ΔEが15以上
Figure 0004740603
Figure 0004740603
実施例2−1及び2−2の各フィルムの防汚れ性、光学特性及び機械的特性は、実施例1と同等以上の良好な性能をしめした。更に両フィルムの耐候試験後の性能を調べた所、長時間の経時でも良好な結果を示した。
[実施例2−3〜実施例2−7]
(中屈折率層用塗布液(ML−3〜7)/高屈折率層用塗布液(HL−3〜7)の調製)
実施例2−1において、無機微粒子分散液(PL−2)の代わりに、各無機微粒子分散液(PL−3〜7)を用いた他は、実施例2−1と同様にして、中屈折率層用塗布液(ML−3〜7)/高屈折率層用塗布液(HL−3〜7)を調液した。
表6に示すように、ハードコート層用塗布液/中屈折率層用塗布液/高屈折率層用塗布液/低屈折率層用塗布液を使用し、実施例2−1と同様にして反射防止フィルムを作製した。その表面形状について表7に示す。
Figure 0004740603
Figure 0004740603
得られた反射防止フィルムの表面形状および各評価項目について、実施例2−1と同様にして測定、評価した。各反射防止フィルムの性能は、実施例2−1と同等以上の良好な
結果を示した。
[実施例3]
(ハードコート層塗布液(HCL−5)の調整)
多官能性アクリレートモノマーDPHA、125質量部、下記構造の重合性化合物、75質量部、ウレタンアクリレートオリゴマーUV−6300B(日本合成化学工業(株)製)125質量部、イルガキュア907、7.5質量部、カヤキュアーDETX、5.0質量部、および下記構造の開始剤(I−5)3質量部を、メチルエチルケトン192.5質量部およびシクロヘキサノン128.3質量部の混合溶液に溶解した。混合物を攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層の塗布液(HCL−5)を調製した。
Figure 0004740603
Figure 0004740603
(無機微粒子分散液(PL−8)の調製)
ドープによりCoイオンを3質量%含有するTiとZrの複酸化物[Ti/Ti+Zr=0.80質量比(酸化物換算)]微粒子(P−8)218質量部に、下記構造の分散剤(D−8)38.6質量部、重合禁止剤t−ブチルヒドロキノン0.5質量部、およびメチルイソブチルケトン702質量部を添加してダイノミルにより分散し、質量平均径65nmの高屈折率無機微粒子分散液(PL−8)を調製した。得られた表面処理した無機微粒子の粒径は35nmだった。また、100nm以上の粒子は0%であった。
Figure 0004740603
(高屈折率層用塗布液(HL−8)の調製)
メチルセロソルブ5質量部、テトラエトキシシラン20質量部、メチルトリメトキシシラン26質量部および3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン54質量部を加え、液温を5〜10℃に保ち、攪拌しながら0.01規定の塩酸36.8質量部を3時間で滴下した。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、シリル化合物の部分加水分解物を得た。つぎに上記無機微粒子分散液(PL−8)(濃度は26.7質量%)374.5質量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート11.8質量部、硬化剤としてジルコニウムアセチルアセトネート2.2質量部、シュウ酸0.5質量部、イルガキュア907、0.6質量部、カヤキュア−DETX0.4質量部を、前述のシリル化合物の部分加水分解物57.1質量部に加え、十分に攪拌した後でろ過を行って高屈折率層用塗布液(HL−8)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(LL−4)の調製)
シクロヘキサノン193質量部およびメチルエチルケトン623質量部に、多官能性アクリレートモノマー:DPHA、1.7質量部、イルガキュア907、1.7質量部および反応性シリコーン(X-22-164C、信越化学工業(株)製)1.7質量部を溶解した。さらに、下記構造の含フッ素共重合体の18.4質量%のメチルイソブチルケトン溶液182質量部を添加、撹拌の後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE-03)で濾過して、低屈折率層用塗布液(LL−4)を調製した。
Figure 0004740603
(反射防止フィルムの作製)
セルロースアシレートフィルムを、特開2001−151936号公報の実施例1記載
の方法で膜厚80μmのフィルムを作製した。この透明支持体の上に上記のハードコート層塗布液(HCL−5)を塗布・乾燥し、次に実施例2−1に記載の中屈折率層を形成した。中屈折率層の上に、高屈折率層用塗布液(HL−8)をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度550mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射、その後温度100℃で20分間加熱して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率1.94、膜厚100nm)を形成した。この上に低屈折率層用塗布液を#3のワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で1時間乾燥して、反射防止フィルムを作成した。
(表面凹凸形状の形成)
エンボシングカレンダー機(由利ロール(株)製)にエンボス版H−1を装着し、実施例1と同様にして、上記の反射防止フィルムの片面にプレス操作を行い、反射防止フィルム(BF−9)を作製した。得られた反射防止フィルムの表面形状は、表8記載の通りであった。
Figure 0004740603
実施例2と同様にしてフィルムの性能を評価した。その結果、実施例2と同等の良好な性能を示した。
[実施例4]
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した各本発明の反射防止フィルムを装着した画像表示装置は、防眩性、反射防止性能、防汚性、耐候性に優れ、ギラツキのない極めて視認性が優れた性能を示した。
[実施例5]
(偏光板用保護フィルムの作製)
実施例1,実施例2−1〜2−7、および実施例3で作製した反射防止フィルムにおいて、本発明の反射防止層を有する側とは反対側の透明支持体の表面を、水酸化カリウム57質量部、プロピレングリコール120質量部、イソプロピルアルコール535質量部、および水288質量部からなるアルカリ溶液を40℃に保温した鹸化液を塗布して鹸化処理した。
鹸化処理した透明支持体表面のアルカリ溶液を、水で十分に洗浄した後、100℃で十分に乾燥させた。このようにして、偏光板用保護フィルムを作製した。
(視認側偏光板の作製)
膜厚75μmのポリビニルアルコールフィルム((株)クラレ製)を水1000質量部、ヨウ素7質量部、ヨウ化カリウム10.5質量部からなる水溶液に5分間浸漬し、ヨウ素を吸着させた。次いで、このフィルムを4質量%ホウ酸水溶液中で、4.4倍に縦方向に1軸延伸をした後、緊張状態のまま乾燥して偏光膜を作製した。
接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に本発明の反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理した透明支持体面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したセルロースアシレートフィルム:TD−80UFを同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の偏光板を装着したTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、または、半透過型の液晶表示装置は、反射防止性能に優れ、極めて視認性が優れていた。
[実施例6]
(偏光板の作製)
ディスコティック構造単位の円盤面が透明支持体面に対して傾いており、かつ該ディスコティック構造単位の円盤面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化している光学補償層を有する光学補償フィルム(ワイドビューフィルム A 12B、富士写真フイルム(株)製)において、光学補償層を有する側とは反対側の表面を実施例5と同様の条件で鹸化処理した。
実施例5で作製した偏光膜に、接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に、実施例5で作製した反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には鹸化処理した光学補償フィルムのトリアセチルセルロース面を同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の偏光板を装着したTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、または、半透過型の液晶表示装置は、光学補償フィルムを用いていない偏光板を装着した液晶表示装置よりも明室でのコントラストに優れ、上下左右の視野角が非常に広く、更に、反射防止性能に優れ、極めて視認性と表示品位が優れていた。
[実施例7]
実施例1〜3の反射防止フィルム(BF)試料(BF−1〜BF−9)を、各々、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、ガラス表面での反射が抑えられ、いずれも視認性の高い表示装置が得られた。
[実施例8]
実施例5の各視認側偏光板試料を用いて、偏光板の反射防止層を有している側の反対面にλ/4板を張り合わせ、有機EL表示装置の表面のガラス板に貼り付けたところ、表面反射および、表面ガラスの内部からの反射がカットされ、極めて視認性の高い表示が得られた。
本発明の反射防止フィルムにおける第一、第二の凹凸形状の形成を説明する説明図である。 本発明の反射防止フィルムにおける第一、第二の凹凸形状の形成を説明する説明図である。 反射防止フィルム最表面の凹凸プロファイルの傾斜角を測定する方法を説明するための説明図である。
符号の説明
L : 低屈折率層
H : ハードコート層
1 : 第一の凹凸形状
2 : 第二の凹凸形状
1' : 第一の凹凸形状に対応する形状
2' : 第二の凹凸形状に対応する形状
A、B、C : 基材面に仮定した面積が0.5乃至2平方ミクロンである三角形の頂点
A'、B'、C' : 3点A、B、Cから鉛直上向きに垂線を伸ばし、その3点が防眩性反射防止フィルムの表面と交わった点
D−D' : 三角形A'B'C'面の法線
O−O' : 基材から鉛直上向きに伸ばした垂線
θ : 法線D'が、垂線O'と為す角度。傾斜角度。

Claims (10)

  1. 透明支持体上に該透明支持体の屈折率より低い屈折率を有する低屈折率層を少なくとも一層含む反射防止層を、反射防止層を構成する各層の形成用組成物を順次または同時に塗布して形成する反射防止層形成工程、およびその後に反射防止層側の最表面をエンボス加工して表面に凹凸形状を形成する凹凸形成工程を具備することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
    ここで、前記反射防止フィルムは、透明支持体と、該透明支持体上に形成された反射防止層とを具備してなり、該反射防止層が、該透明支持体よりも低屈折率であり且つ最上層を形成する低屈折率層を有し、該透明支持体と該反射防止層の間にハードコート層を有し、該ハードコート層が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む架橋性ポリマー、及び同一分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物の両方を各々少なくとも1種含有し、架橋性ポリマー中の開環重合性基と、前記エチレン性不飽和基との両方を重合させることにより硬化するハードコート層形成用組成物を塗布し硬化してなる硬化膜であり、
    反射防止層側のフィルム最表面には、算術平均粗さRaが0.02〜1μm、凹凸の平均間隔Smが5〜65μmの第一の凹凸形状が形成され且つ凹凸プロファイルの傾斜角(正反射面に対する傾斜角度分布)が15度以下に分布していると共に、該第一の凹凸形状表面上に、該第一の凹凸形状よりも小さい第二の凹凸形状が形成され、その算術平均粗さRaが0.001〜0.05μm、凹凸の平均間隔Smが0.005〜0.2μmである反射防止フィルムである。
    一般式(1)
    Figure 0004740603
    式中a 1 、a 2 は、各々同じでも異なってもよく、水素原子、脂肪族基、−COOR 1 、又は−CH 2 COOR 1 を表す。但し、R 1 は炭化水素基を表す。
    1 は開環重合性基を含む一価の基を表す。
    1 は単結合もしくは二価の連結基である。
  2. 上記の第一の凹凸形状が、凹凸の最大高さRyが2μm以下であることを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルムの製造方法
  3. 上記の第二の凹凸形状が、十点平均粗さRzが0.005〜0.055μmである凹凸からなることを特徴とする請求項1又は2記載の反射防止フィルムの製造方法
  4. 上記反射防止層が、上記低屈折率層と透明支持体との間に、透明支持体の屈折率よりも高屈折率の高屈折率層を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の反射防止フィルムの製造方法
  5. 上記高屈折率層が、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子を含有し、かつ、該高屈折率層の屈折率が1.55〜2.40であることを特徴とする請求項4に記載の反射防止フィルムの製造方法。
  6. 上記反射防止層の厚さが、反射防止層の総厚の変動幅が±6%であることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の反射防止フィルムの製造方法
  7. 上記反射防止層が、波長380nmから780nmの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光のCIE1976L***色空間のL*、a*、b*値のそれぞれの値の面内における変化率が15%未満であることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の反射防止フィルムの製造方法
  8. 上記反射防止層が、耐候性試験前後の該フィルムが波長380nm〜680nmにおける平均反射率の変化が0.5%以下であり、且つ反射光の色味変化ΔEがL***色度図上で15以下であることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の反射防止フィルムの製造方法
  9. 上記低屈折率層が、平均粒径が該低屈折率層の厚みの30%〜100%であり、屈折率が1.17〜1.40である、中空構造の無機微粒子を少なくとも1種含有してなることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の反射防止フィルムの製造方法
  10. 上記低屈折率層が、上記無機微粒子、硬化性反応基を有する含フッ素ポリマー、及び酸触媒の存在下で製造されてなる、下記一般式[A]で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を、各々少なくとも1種含有する低屈折率層形成用組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることを特徴とする請求項記載の反射防止フィルムの製造方法
    一般式[A]
    (R10α−Si(X)4-α
    (式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。αは1〜3の整数を表す。)
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