JP2009163260A - 硬化性樹脂組成物及び反射防止膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材12と、25℃におけるNa−D線の屈折率が1.45以下の低屈折率層18とを有する反射防止膜10であって、前記低屈折率層が、(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、(B)(メタ)アクリレート化合物、(C)数平均粒径1〜30nmのシリカを主成分とする粒子、及び、(D)数平均粒径40〜100nmのシリカを主成分とする粒子、を含有する硬化性樹脂組成物を硬化して得られることを特徴とする反射防止膜。
【選択図】図1
Description
これら表示パネルにおいては、付着した指紋、埃等を除去するため表面をエタノール等を含侵したガーゼで拭くことが多く、耐擦傷性が求められている。
特に、液晶表示パネルにおいては、反射防止膜は、偏光板と貼り合わせた状態で液晶ユニット上に設けられている。また、基材としては、例えば、トリアセチルセルロース等が用いられているが、このような基材を用いた反射防止膜では、偏光板と貼り合わせる際の密着性を増すために、通常、アルカリ水溶液でケン化を行う必要がある。
従って、液晶表示パネルの用途においては、耐久性において、特に、耐アルカリ性に優れた反射防止膜が求められている。
しかし、このようなフッ素樹脂系塗料では、塗膜を硬化させるために、水酸基含有含フッ素重合体と、メラミン樹脂等の硬化剤とを、酸触媒下、加熱して架橋させる必要があり、加熱条件によっては、硬化時間が過度に長くなったり、使用できる基材の種類が限定されてしまうという問題があった。
また、得られた塗膜についても、耐候性には優れているものの、耐擦傷性や耐久性に乏しいという問題があった。
このため、このような重合体を含む塗料用組成物は、低温、短時間での硬化を可能とするものの、残存した水酸基を反応させるために、メラミン樹脂等の硬化剤をさらに用いて硬化させる必要があった。さらに、上記公報で得られた塗膜は、塗工性、耐擦傷性についても十分とはいえないという課題があった。
しかし、中空粒子を用いるとかかる空隙を有しない粒子(中実粒子)に比べて硬化膜の耐擦傷性が低下する欠点があった。
[1] 下記成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、
(B)(メタ)アクリレート化合物、
(C)数平均粒径1〜30nmのシリカを主成分とする粒子、
(D)数平均粒径40〜100nmのシリカを主成分とする粒子、
を含有する硬化性樹脂組成物。
[2] 前記(B)(メタ)アクリレート化合物が、分子内に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を含有することを特徴とする[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
[3] 前記(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体が、
1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、
水酸基含有含フッ素重合体と、
をイソシアネート基/水酸基のモル比が1.1〜1.9の割合で反応させて得られるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体である[1]又は[2]に記載の硬化性樹脂組成物。
[4] 前記(C)シリカを主成分とする粒子、及び前記(D)シリカを主成分とする粒子が、重合性不飽和基を含む有機化合物によって表面処理がなされている[1]〜[3]のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物。
[5] 反射防止膜用である[1]〜[4]のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物。
[6] [1]〜[5]のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜。
[7] [6]に記載の硬化物からなる低屈折率層を有する反射防止膜。
本発明の硬化性樹脂組成物は、下記の成分(A)〜(G)を含み得る。これらの成分のうち、(A)〜(D)は必須成分であり、(E)〜(G)は適宜含むことのできる任意成分である。
(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
(B)(メタ)アクリレート化合物
(C)数平均粒径1〜30nmのシリカを主成分とする粒子、
(D)数平均粒径40〜100nmのシリカを主成分とする粒子、
(E)活性エネルギー線の照射又は熱により活性種を発生する化合物
(F)有機溶媒
(G)その他の添加剤
本発明の組成物においては、異なる2種類の粒子((C)成分及び(D)成分)により、硬化物中の粒子の充填率が高い硬化膜が得られるため、高い耐擦傷性を有する硬化膜(低屈折率膜)が得られると考えられる。
(C)成分と(D)成分のいずれか一方又は両方を中空粒子とすることにより、より屈折率の低い硬化膜が得られる。特に、(C)成分の中実粒子と(D)成分の中空粒子を組み合わせることにより、屈折率を低くしながら、耐擦傷性を高めることができる。
また、成分(A)と粒子成分((C)成分及び(D)成分)を光架橋性とすることにより、光重合性の(B)成分との親和性が改善される。
これらの成分について以下説明する。
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(A)は、フッ素系オレフィンの重合物である。(A)成分により本発明の組成物は低屈折率、防汚性、耐薬品性、耐水性等の反射防止膜用低屈折率材料としての基本性能を発現する。
好ましくは、(A)成分は、側鎖水酸基が(メタ)アクリル系化合物で変性されている。さらに好ましくは、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系化合物によって変性されている。このような変性により、ラジカル重合性(メタ)アクリル化合物と共架橋化することができ、耐擦傷性が向上する。
1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物としては、分子内に、1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を含有している化合物であれば特に制限されるものではない。
尚、イソシアネート基を2個以上含有すると、水酸基含有含フッ素重合体と反応させる際にゲル化を起こす可能性がある。
また、上記エチレン性不飽和基として、後述する硬化性樹脂組成物をより容易に硬化させることができることから、(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。
このような化合物としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネートの一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
ジイソシアネートの例としては、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネア−ト)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが好ましい。
尚、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、大阪有機化学(株)製 商品名 HEA、日本化薬(株)製 商品名 KAYARAD DPHA、PET−30、東亞合成(株)製 商品名 アロニックス M−215、M−233、M−305、M−400等として入手することができる。
水酸基含有含フッ素重合体は、好ましくは、下記構造単位(a)、(b)及び(c)を含んでなる。
(a)下記式(1)で表される構造単位。
(b)下記式(2)で表される構造単位。
(c)下記式(3)で表される構造単位。
上記式(1)において、R1及びR2のフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基等の炭素数1〜6のフルオロアルキル基が挙げられる。また、R2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
これらの中でも、ヘキサフルオロプロピレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)又はパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)がより好ましく、これらを組み合わせて用いることがさらに好ましい。
また、このような理由により、構造単位(a)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、25〜65モル%とするのがより好ましく、30〜60モル%とするのがさらに好ましい。
式(2)において、R4又はR5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ラウリル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
また、このような理由により、構造単位(b)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、20〜60モル%とするのがより好ましく、30〜60モル%とするのがさらに好ましい。
式(3)において、R7のヒドロキシアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
また、水酸基含有ビニル単量体としては、上記以外にも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を用いることができる。
また、このような理由により、構造単位(c)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、5〜40モル%とするのがより好ましく、5〜30モル%とするのがさらに好ましい。
水酸基含有含フッ素重合体は、さらに下記構造単位(d)を含んで構成することも好ましい。
また、このような理由により、構造単位(d)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、0.1〜5モル%とするのがより好ましく、0.1〜3モル%とするのがさらに好ましい。同じ理由により、構造単位(e)の含有率は、その中に含まれる構造単位(d)の含有率を上記範囲にするよう決定することが望ましい。
水酸基含有含フッ素重合体は、さらに下記構造単位(f)を含んで構成することも好ましい。
また、このような理由により、構造単位(f)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、0.1〜3モル%とするのがより好ましく、0.2〜3モル%とするのがさらに好ましい。
水酸基含有含フッ素重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで、テトラヒドロフランを溶剤として測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であることが好ましい。この理由は、数平均分子量が5,000未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の機械的強度が低下する場合があるためであり、一方、数平均分子量が500,000を超えると、後述する硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、薄膜コーティングが困難となる場合があるためである。
また、このような理由により、水酸基含有含フッ素重合体のポリスチレン換算数平均分子量を10,000〜300,000とするのがより好ましく、10,000〜100,000とするのがさらに好ましい。
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、上述した、1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、水酸基含有含フッ素重合体とを、イソシアネート基/水酸基のモル比が1.1〜1.9の割合で反応させて得られる。この理由は、モル比が1.1未満になると耐擦傷性及び耐久性が低下する場合があるためであり、一方、モル比が1.9を超えると、硬化性樹脂組成物の塗膜のアルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、イソシアネート基/水酸基のモル比を、1.1〜1.5とするのが好ましく、1.2〜1.5とするのがより好ましい。
また、このような理由から、(A)成分の添加量を15〜55重量%とするのがより好ましく、20〜50重量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(メタ)アクリレート化合物は、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物及びそれを用いた反射防止膜の耐擦傷性を高めるために用いられる。
(メタ)アクリロイル基を1個有するモノマーとしては、例えばアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドテトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレートで表される化合物を例示することができる。これらの単官能性モノマーうち、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、このような理由から、(B)成分の添加量を1〜60重量%とするのがより好ましく、1〜40重量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物には、数平均粒径1〜30nmのシリカを主成分とする粒子(C)と、数平均粒径40〜100nmのシリカを主成分とする粒子(D)の粒径が異なる2種類の粒子を配合する。粒径は、透過型電子顕微鏡により測定する。
数平均粒径1〜30nmのシリカを主成分とする粒子(C)は、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物の耐擦傷性、特にスチールウール耐性を改善するために配合する。
数平均粒径40〜100nmのシリカを主成分とする粒子(D)は、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物において、低屈折率、耐擦傷性を発現させるために配合する。
これらシリカを主成分とする粒子としては、公知のものを使用することができ、また、その形状も、球状であれば通常のコロイダルシリカに限らず中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。しかし、組成物の屈折率を低減させる観点から中空粒子や多孔質粒子が好ましく、成分(C)及び(D)のいずれか一方又は両方が中空粒子であることが特に好ましい。また、球状に限らず、不定形の粒子であっても良い。固形分が10〜40重量%のコロイダルシリカが好ましい。
シリカを主成分とする粒子の市販品としては、、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製 商品名:メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、MEK−ST−S、MEK−ST−L、IPA−ZL、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。
本発明に用いられる特定有機化合物は、分子内に重合性不飽和基含む重合性の化合物である。この化合物は、分子内に、さらに下記式(11)に示す基を含む化合物であること及び分子内にシラノ−ル基を有する化合物又は加水分解によってシラノ−ル基を生成する化合物であることが好ましい。
特定有機化合物に含まれる重合性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエ−ト基、アクリルアミド基を好適例として挙げることができる。
この重合性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
特定有機化合物は、分子内に前記式(11)に示す基をさらに含むものであることが好ましい。前記式(11)に示す基[−X−C(=Y)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1とを併用することが好ましい。
前記式(11)に示す基[−X−C(=Y)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
特定有機化合物は、分子内にシラノール基を有する化合物(以下、「シラノール基含有化合物」ということがある)又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物(以下、「シラノール基生成化合物」ということがある)であることが好ましい。このようなシラノール基生成化合物としては、ケイ素原子上にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等を有する化合物を挙げることができるが、ケイ素原子上にアルコキシ基又はアリールオキシ基を含む化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
シラノール基又はシラノール基生成化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、酸化物粒子と結合する構成単位である。
特定有機化合物の好ましい具体例としては、例えば、下記式(12)に示す化合物を挙げることができる。
R19、R20の例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。
(a)法;まずメルカプトアルコキシシランとポリイソシアネート化合物とを反応させることで、分子中にアルコキシシリル基、[−S−C(=O)−NH−]基及びイソシアネート基を含む中間体を形成し、次に中間体中に残存するイソシアネートに対して活性水素含有重合性不飽和化合物を反応させて、この不飽和化合物を[−O−C(=O)−NH−]基を介して結合させる方法、
(b)法;まずポリイソシアネート化合物と活性水素含有重合性不飽和化合物とを反応させることで分子中に重合性不飽和基、[−O−C(=O)−NH−]基、及びイソシアネート基を含む中間体を形成し、これにメルカプトアルコキシシランを反応させてこのメルカプトアルコキシシランを[−S−C(=O)−NH−]基を介して結合させる方法、
等を挙げることができる。さらに両者の中では、マイケル付加反応による重合性不飽和基の減少がない点で(a)法が好ましい。
これらの化合物は1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
特定有機化合物による粒子の表面処理方法としては特に制限はないが、特定有機化合物と粒子とを混合し、加熱、攪拌処理することにより製造することも可能である。尚、特定有機化合物が有するシラノール基生成部位と、粒子とを効率よく結合させるため、反応は水の存在下で行われることが好ましい。ただし、特定有機化合物がシラノール基を有している場合は水はなくてもよい。従って、粒子及び特定有機化合物を少なくとも混合する操作を含む方法により表面処理できる。
表面処理時においてアルコキシシラン化合物の加水分解で消費される水の量は、1分子中のケイ素上のアルコキシ基の少なくとも1個が加水分解される量であればよい。好ましくは加水分解の際に添加、又は存在する水の量は、ケイ素上の全アルコキシ基のモル数に対し3分の1以上であり、さらに好ましくは全アルコキシ基のモル数の2分の1以上3倍未満である。完全に水分の存在しない条件下でアルコキシシラン化合物と粒子とを混合して得られる生成物は、粒子表面にアルコキシシラン化合物が物理吸着した生成物であり、そのような成分から構成される粒子を含有する組成物の硬化物においては、高硬度及び耐擦傷性の発現の効果は低い。
これらの溶剤の添加量は反応を円滑、均一に行わせる目的に合う限り特に制限はない。
酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;メタンスルフォン酸、トルエンスルフォン酸、フタル酸、マロン酸、蟻酸、酢酸、蓚酸等の有機酸;メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸等の不飽和有機酸を、塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩酸塩、テトラブチルアンモニウム塩酸塩等のアンモニウム塩を、また、塩基としては、例えば、アンモニア水、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の1級、2級又は3級脂肪族アミン、ピリジン等の芳香族アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウムヒドロキシド類等を挙げることができる。
これらの中で好ましい例は、酸としては、有機酸、不飽和有機酸、塩基としては3級アミン又は4級アンモニウムヒドロキシドである。これらの酸、塩又は塩基の添加量は、アルコキシシラン化合物100重量部に対して、好ましくは0.001重量部から1.0重量部、さらに好ましくは0.01重量部から0.1重量部である。
脱水剤としては、ゼオライト、無水シリカ、無水アルミナ等の無機化合物や、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、テトラエトキシメタン、テトラブトキシメタン等の有機化合物を用いることができる。中でも、有機化合物が好ましく、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル等のオルトエステル類がさらに好ましい。
尚、粒子に結合したアルコキシシラン化合物の量は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の重量減少%の恒量値として、空気中で110℃から800℃までの熱重量分析により求めることができる。
活性エネルギー線の照射又は熱により活性種を発生する化合物は、硬化性樹脂組成物を硬化させるために用いられる。
活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物(以下「光重合開始剤」という。)としては、活性種として、ラジカルを発生する光ラジカル発生剤等が挙げられる。
尚、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の光エネルギー線が挙げられる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が速く、しかも照射装置が比較的安価で、小型な観点から、紫外線を使用することが好ましい。
光ラジカル発生剤の例としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジル、又はBTTBとキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリン、その他の色素増感剤との組み合わせ等を挙げることができる。
光重合開始剤の添加量は特に制限されるものではないが、有機溶剤以外の組成物全量に対して0.1〜10重量%とするのが好ましい。この理由は、添加量が0.1重量%未満となると、硬化反応が不十分となり耐擦傷性、アルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。一方、光重合開始剤の添加量が10重量%を超えると、硬化物の屈折率が増加し反射防止効果が低下する場合があるためである。
また、このような理由から、光重合開始剤の添加量を、有機溶剤以外の組成物全量に対して1〜5重量%とすることがより好ましい。
熱により活性種を発生する化合物(以下「熱重合開始剤」という。)としては、活性種として、ラジカルを発生する熱ラジカル発生剤等が挙げられる。
熱ラジカル発生剤の例としては、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチル−オキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル、アセチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルパーアセテート、クミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等の一種単独又は二種以上の組み合わせを挙げることができる。
熱重合開始剤の添加量についても特に制限されるものではないが、有機溶剤以外の組成物全量に対して0.1〜10重量%とするのが好ましい。この理由は、添加量が0.1重量%未満となると、硬化反応が不十分となり耐擦傷性、アルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。一方、光重合開始剤の添加量が10重量%を超えると、硬化物の屈折率が増加し反射防止効果が低下する場合があるためである。
また、このような理由から、有機溶剤以外の組成物全量に対して熱重合開始剤の添加量を1〜5重量%とするのがより好ましい。
硬化性樹脂組成物には、さらに有機溶媒を添加することが好ましい。このように有機溶媒を添加することにより、薄膜の反射防止膜を均一に形成することができる。このような有機溶媒としては、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、t−ブタノール、イソプロパノール等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
硬化性樹脂組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、(C),(D)成分以外の無機充填剤若しくは顔料、染料等の添加剤をさらに含有させることも好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、上記(B)成分、(C)成分及び(D)成分、又は必要に応じて上記(E)成分、(F)有機溶剤、及び(G)添加剤をそれぞれ添加して、室温又は加熱条件下で混合することにより調製することができる。具体的には、ミキサ、ニーダー、ボールミル、三本ロール等の混合機を用いて、調製することができる。ただし、加熱条件下で混合する場合には、熱重合開始剤の分解開始温度以下で行うことが好ましい。
この理由は、露光量が0.01J/cm2未満となると、硬化不良が生じる場合があるためであり、一方、露光量が10J/cm2を超えると、硬化時間が過度に長くなる場合があるためである。
また、このような理由により、露光量を0.1〜5J/cm2の範囲内の値とするのがより好ましく、0.3〜3J/cm2の範囲内の値とするのがより好ましい。
また、このような理由から、50〜180℃の範囲内の温度で、2〜120分間加熱するのがより好ましく、80〜150℃の範囲内の温度で、5〜60分間加熱するのがさらに好ましい。
本発明の反射防止膜は、上記硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物からなる低屈折率層を含む。さらに、本発明の反射防止膜は、低屈折率層の下に、高屈折率層、ハードコート層及び/又は基材等を含むことができる。
図1に、かかる反射防止膜10を示す。図1に示すように、基材12の上に、ハードコート層14、高屈折率層16及び低屈折率層18が積層されている。
このとき、基材12の上に、ハードコート層14を設けずに、直接、高屈折率層16を形成してもよい。
また、高屈折率層16と低屈折率層18の間、又は高屈折率層16とハードコート層14の間に、さらに、中屈折率層(図示せず。)を設けてもよい。
低屈折率層は、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物から構成される。硬化性樹脂組成物の構成等については、上述の通りであるため、ここでの具体的な説明は省略するものとし、以下、低屈折率層の屈折率及び厚さについて説明する。
従って、低屈折率膜の屈折率を1.44以下とするのがより好ましく、1.43以下とするのがさらに好ましい。
尚、低屈折率膜を複数層設ける場合には、そのうちの少なくとも一層が上述した範囲内の屈折率の値を有していれば良く、従って、その他の低屈折率膜は1.45を超えた値であってもよい。
従って、低屈折率層と、高屈折率層との間の屈折率差を0.1〜0.5の範囲内の値とするのがより好ましく、0.15〜0.5の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
従って、低屈折率層の厚さを50〜250nmとするのがより好ましく、60〜200nmとするのがさらに好ましい。
尚、より高い反射防止性を得るために、低屈折率層を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計した厚さを50〜300nmとすれば良い。
高屈折率層を形成するための硬化性組成物としては、特に制限されるものでないが、被膜形成成分として、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂、シアネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シロキサン樹脂等の一種単独又は二種以上の組み合わせを含むことが好ましい。これらの樹脂であれば、高屈折率層として、強固な薄膜を形成することができ、結果として、反射防止膜の耐擦傷性を著しく向上させることができるためである。
しかしながら、通常、これらの樹脂単独での屈折率は1.45〜1.62であり、高い反射防止性能を得るには十分で無い場合がある。そのため、高屈折率の無機粒子、例えば金属酸化物粒子を配合することがより好ましい。また、硬化形態としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化できる硬化性組成物を用いることができるが、より好適には生産性の良好な紫外線硬化性組成物が用いられる。
従って、高屈折率層の厚さを50〜1,000nmとするのがより好ましく、60〜500nmとするのがさらに好ましい。
また、より高い反射防止性を得るために、高屈折率層を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計した厚さを50〜30,000nmとすれば良い。
尚、高屈折率層と基材との間にハードコート層を設ける場合には、高屈折率層の厚さを50〜300nmとすることができる。
本発明の反射防止膜に用いるハードコート層の構成材料については特に制限されるものでない。このような材料としては、シロキサン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の一種単独又は二種以上の組み合わせを挙げることができる。
本発明の反射防止膜に用いる基材の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ガラス、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、トリアセチルセルロース樹脂(TAC)等からなる基材を挙げることができる。これらの基材を含む反射防止膜とすることにより、カメラのレンズ部、テレビ(CRT)の画面表示部、あるいは液晶表示装置におけるカラーフィルター等の広範な反射防止膜の利用分野において、優れた反射防止効果を得ることができる。
水酸基含有含フッ素重合体の合成
内容積2.0リットルの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル400g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)53.2g、エチルビニルエーテル36.1g、ヒドロキシエチルビニルエーテル44.0g、過酸化ラウロイル1.00g、上記式(7)で表されるアゾ基含有ポリジメチルシロキサン(VPS1001(商品名)、和光純薬工業(株)製)6.0g及びノニオン性反応性乳化剤(NE−30(商品名)、旭電化工業(株)製)20.0gを仕込み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
さらに、表2において、単量体と構造単位との対応関係は以下の通りである。
単量体 構造単位
ヘキサフルオロプロピレン (a)
パーフルオロ(プロピルビニルエーテル) (a)
エチルビニルエーテル (b)
ヒドロキシエチルビニルエーテル (c)
NE−30 (f)
ポリジメチルシロキサン骨格 (d)
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体A−1(メタアクリル変性フッ素重合体)((A)成分)の合成
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、製造例1で得られた水酸基含有含フッ素重合体を50.0g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.01g及びメチルイソブチルケトン(MIBK)370gを仕込み、20℃で水酸基含有含フッ素重合体1がMIBKに溶解して、溶液が透明、均一になるまで攪拌を行った。
次いで、この系に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを15.1gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート0.1gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を継続することにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体A−1のMIBK溶液を得た。
この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、15.2重量%であった。使用した化合物、溶剤及び固形分含量を表3に示す。
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体A−2(アクリル変性フッ素重合体)((A)成分)の合成
製造例2と同様に製造例1で得られた水酸基含有含フッ素重合体を50.0g、2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.01g及びMIBK370g、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを13.7g、ジブチルチンジラウレート0.1gを用いて反応を行い、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体A−2のMIBK溶液を得た。固形分含量を求めたところ、15.0重量%であった。使用した化合物、溶剤及び固形分含量を表3に示す。
特定有機化合物(S1)の合成
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン7.8部、ジブチルスズジラウレート0.2部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート20.6部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間攪拌した。これにペンタエリスリトールトリアクリレート71.4部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱攪拌することで特定有機化合物(S1)を得た。
生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550カイザ−の吸収ピ−ク及びイソシアネ−ト基に特徴的な2260カイザ−の吸収ピ−クが消失し、新たに、[−O−C(=O)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基中のカルボニルに特徴的な1660カイザ−のピ−ク及びアクリロイル基に特徴的な1720カイザ−のピ−クが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロイル基と[−S−C(=O)−NH−]基、[−O−C(=O)−NH−]基を共に有する特定有機化合物が生成していることを示した。
シリカを主成分とする粒子C−1((C)成分)の調製
製造例4で合成した特定有機化合物(S1)8.7部、メチルエチルケトンシリカゾル(日産化学工業(株)製、商品名:MEK−ST(数平均粒子径0.022μm、シリカ濃度30%))91.3部(固形分27.4部)、イソプロパノール0.2部及びイオン交換水0.1部の混合液を、80℃、3時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.4部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで無色透明の粒子分散液C−1を得た。C−1をアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレ−ト上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、35重量%であった。
このシリカ系粒子の平均粒子径は、20nmであった。ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
シリカを主成分とする粒子D−1((D)成分)の調製
平均粒径5nm、SiO2濃度20重量%のシリカゾル100gと純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として1.17重量%の珪酸ナトリウム水溶液9000gとAl2O3として0.83重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、殆ど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20重量%のSiO2・Al2O3核粒子分散液を調製した。
この核粒子分散液500gに純水1,700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、珪酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られた珪酸液(SiO2濃度3.5重量%)3,000gを添加してシリカ外殻を形成した核粒子の分散液を得た。
次いで、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13重量%になったシリカ外殻を形成した核粒子の分散液500gに純水1,125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10リットルと純水5リットルを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、ついで限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換して、固形分濃度20重量%のシリカ外殻からなる中空のシリカ系粒子の分散液D−1を調製した。
このシリカ系粒子の平均粒子径、屈折率は、それぞれ、50nm、1.29であった。ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
シリカを主成分とする粒子D−2((D)成分)の調製
製造例5と同様に製造例4で合成した特定有機化合物(S1)3.0部、製造例6で合成した中空シリカ粒子(D−1)137部(固形分27.4部)、イオン交換水0.1部、0.05mol/Lの希硫酸0.01部、オルト蟻酸メチルエステル1.4部を用いて粒子分散液D−2を得た。D−2の固形分含量を求めたところ、25重量%であった。
このシリカ系粒子の平均粒子径は、50nmであった。ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
シリカを主成分とする粒子D−3((D)成分)の調製
製造例5と同様に製造例4で合成した特定有機化合物(S1)3.0部、メチルエチルケトンシリカゾル(日産化学工業(株)製、商品名:MEK−ST―L(数平均粒子径0.050μm、シリカ濃度30%))91.3部(固形分27.4部)、イオン交換水0.1部、オルト蟻酸メチルエステル1.4部を用いて粒子分散液D−3を得た。D−3の固形分含量を求めたところ、25重量%であった。
このシリカ系粒子の平均粒子径は、50nmであった。ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
シリカ粒子含有ハードコート層用組成物の調製
紫外線を遮蔽した容器中において、製造例5で合成したC−1を86部(固形分として30部)、ジペンタエリスリト−ルヘキサアクリレ−ト65部、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン5部、MIBK44部を50℃で2時間攪拌することで均一な溶液のハードコート層用組成物を得た。この組成物をアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、50重量%であった。
硬化性樹脂組成物塗工用基材の作製
片面易接着ポリエチレンテレフタレートフィルムA4100(東洋紡績(株)製、膜厚188μm)の易接着処理面に、製造例9で調製したシリカ粒子含有ハードコート層用組成物をワイヤーバーコータで膜厚3μmとなるように塗工し、オーブン中、80℃で1分間乾燥し、塗膜を形成した。次いで、空気下、高圧水銀ランプを用いて、0.9mJ/cm2の光照射条件で紫外線を照射し、硬化性樹脂組成物塗工用基材を作製した。
表4に示すように、製造例2で得たエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体A−1のMIBK溶液を267g((A)成分の固形分として40g)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(SR399E、サートマー(株)製)((B)成分)8g、製造例5で得られたシリカを主成分とする粒子C−1を14.3g((C)成分の固形分として5g)、製造例7で得られたシリカを主成分とする粒子D−2を180g((D)成分の固形分として45g)、光重合開始剤として2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)2g、及びMIBK
1530gを、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、室温にて1時間攪拌し均一な硬化性樹脂組成物を得た。また、製造例2の方法により固形分濃度を求めたところ5重量%であった。
表4の組成に従った他は、製造例11と同様にして各硬化性組成物を得た。表中の(A)〜(E)成分の組成の単位は重量部である。
製造例11〜15で得られた各硬化性樹脂組成物をワイヤーバーコータを用いて製造例10で得られたハードコート上に膜厚0.1μmとなるように塗工し、80℃で1分間乾燥し、塗膜を形成した。次いで、窒素気流下、高圧水銀ランプを用いて、0.3mJ/cm2の光照射条件で紫外線を照射し、反射防止膜層を作成した。
(評価例1)
外観の評価
実施例1〜5で得られた反射防止膜の外観を目視で評価した。評価基準は以下の通り。結果を表4に示す。
○:塗布ムラなし
△:若干塗布ムラあり
×:全面に塗布ムラあり
透過率及びヘーズの測定
実施例1〜5で得られた反射防止膜をカラーヘーズメーターで光線透過率及びヘーズを測定した。結果を表4に示す。
硬化膜の屈折率測定
製造例11〜15で得られた各硬化性樹脂組成物をスピンコーターによりシリコンウェハー上に、乾燥後の厚さが約0.1μmとなるように塗布後、窒素下、高圧水銀ランプを用いて、0.3mJ/cm2の光照射条件で紫外線を照射して硬化させた。得られた硬化物について、エリプソメーターを用いて25℃での波長539nmにおける屈折率(nD 25)を測定した。結果を表4に示す。
反射防止膜の反射率測定
実施例1〜5で得られた反射防止膜の裏面を黒色スプレーで塗装し、分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、波長340〜700nmの範囲で反射率をマイクロレンズ側から測定して評価した。具体的には、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における反射防止用積層体(反射防止膜)の反射率を測定した。結果を表4に示す。
耐擦傷性テスト(スチールウール耐性テスト)
評価例3で得られた硬化膜を、スチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール(株)製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB-301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重500gの条件で10回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を、以下の基準により目視で確認した。結果を表4に示す。
◎:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
○:硬化膜にわずかな細い傷が認められる。
△:硬化膜全面に筋状の傷が認められる。
×:硬化膜の剥離が生じる。
耐汚染性テスト
実施例1〜5で得られた反射防止膜に指紋をつけ、不織布(ベンコットン)にて塗膜表面を拭き取った。耐汚染性を、以下の基準により評価した。結果を表4に示す。
○:塗膜表面の指紋跡がほぼ完全に拭き取られた。
×:拭き取られずに指紋跡が試料表面に残存した。
耐薬品性テスト
実施例1〜5で得られた反射防止膜(評価用試料)を、25°の2N水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬し、蒸留水にて洗浄し風乾後、その表面を、エタノールを染み込ませたセルロース製不織布(商品名ベンコット、旭化成工業(株))を用いて往復200回手で擦り、評価用試料表面のアルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性を、以下の基準により評価した。結果を表4に示す。
○:評価用試料表面が無傷。
△:評価用試料表面に傷がついている。
×:塗膜の剥離が見られる。
12 基材
16 ハードコート層
18 低屈折率層
Claims (6)
- 基材と、25℃におけるNa−D線の屈折率が1.45以下の低屈折率層とを有する反射防止膜であって、
前記低屈折率層が、
(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、
(B)(メタ)アクリレート化合物、
(C)数平均粒径1〜30nmのシリカを主成分とする粒子、及び、
(D)数平均粒径40〜100nmのシリカを主成分とする粒子、
を含有する硬化性樹脂組成物を硬化して得られることを特徴とする反射防止膜。 - 前記(C)数平均粒径1〜30nmのシリカを主成分とする粒子、及び、前記(D)数平均粒径40〜100nmのシリカを主成分とする粒子の、いずれか一方又は両方が、中空粒子であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜。
- 前記(B)(メタ)アクリレート化合物が、分子内に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の反射防止膜。
- 前記(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体が、
1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、
水酸基含有含フッ素重合体と、
をイソシアネート基/水酸基のモル比が1.1〜1.9の割合で反応させて得られるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体である請求項1〜3のいずれか一に記載の反射防止膜。 - 前記(C)数平均粒径1〜30nmのシリカを主成分とする粒子、及び前記(D)数平均粒径40〜100nmのシリカを主成分とする粒子が、重合性不飽和基を含む有機化合物によって表面処理がなされている請求項1〜4のいずれか一に記載の反射防止膜。
- さらに、基材と低屈折率層の間に、ハードコート層を有する請求項1〜5のいずれか一に記載の反射防止膜。
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