JP6033056B2 - 活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物、ハードコート被覆熱可塑性シート及び光学部材 - Google Patents
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Description
このようなことから、より簡便、容易かつ安価に、複数の機能を備えるプラスチック材料が要求されている。
(1)(A)鎖状脂肪族炭化水素系ジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンプレポリマー、
(B)式(1)で表されるフッ素原子含有炭化水素基を含有する(メタ)アクリレート、
(CpFq−O−)r−A−(−O−CO−CR=CH2)s (1)
(式(1)中、
pは1〜18の整数、qは3〜37の整数、
rは1〜18の整数、sは2〜19の整数、ただし、r+sは3〜20であり、
Aは、多価アルコールの脱水酸基残基、
Rは、水素原子またはメチル基を表す。)
(C)SP値が9.8以上を有し、エチレン性不飽和基を含むモノマーを重合させて得られた重合体、
(E)フッ素を含有する溶剤及び
(F)(E)以外の溶剤を含有する活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物。
(2)前記(A)のウレタンプレポリマー100重量部に対して、
前記(B)のフッ素原子含有炭化水素基を含有する(メタ)アクリレートが1〜100重量部、
前記(C)の重合体が0.1〜50重量部である上記に記載の活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物。
(3)さらに、(D)光重合開始剤を含む上記いずれかに記載の活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物。
(4)前記(A)のウレタンプレポリマー、
前記(B)のフッ素原子含有炭化水素基を含有する(メタ)アクリレート、
前記(C)の重合体及び
前記(D)の光重合開始剤の合計100重量部に対して、
前記(E)の溶剤及び(F)の溶剤の合計が10〜2000重量部である上記記載の活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物。
(5)前記(E)の溶剤と(F)の溶剤との重量比が5:95〜30:70の範囲である上記いずれかに記載の活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物。
(6)前記(E)の溶剤が、ビストリフルオロメチルベンゼン及びトリフルオロメチルベンゼンの少なくとも1種含む上記いずれかに記載の活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物。
(7)前記(D)の光重合開始剤が、式(2)で表されるフルオロアルキル基含有光開始剤を含む上記いずれかに記載の活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物。
(式(2)中、
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、アリール基以外の有機基、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシル基を表す。ただし、R1、R2及びR3の全てが同時に水素原子となることはない。また、R1、R2及びR3はいずれか2つが互いに連結して環を形成してもよい。
R4は、フルオロアルキル基含有基を表す。)
(8)熱可塑性シートと、
該熱可塑性シートの一面に塗布され、乾燥され、かつ活性エネルギー線照射によって硬化された上記のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物からなるハードコートとを備えるハードコート被覆熱可塑性シート。
(9)上記のハードコート被覆熱可塑性シートを用いた光学部材。
また、本発明によれば、1つの樹脂組成物による単一層の形成による簡便な工程によって、安価に、被覆熱可塑性シート及び光学部材を提供することが可能となる。
また、以下に示す各成分はいずれも、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物(以下単に「本発明の樹脂組成物」ということがある)は、主として、上述したように、
(A)のウレタンプレポリマー、
(B)のフッ素原子含有炭化水素基を含有する(メタ)アクリレート、
(C)の重合体、
(E)の溶剤及び(F)の溶剤を含有する。
また、本発明の樹脂組成物は、さらに(D)光重合開始剤を含有することが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物は、可視光線、紫外線、放射線、赤外線、X線、α線、β線、γ線、電子線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化させることが可能である。この組成物の硬化重合体は、その表面において反射防止機能及びハードコート機能の双方を発揮させることが可能である。
ウレタンプレポリマーは、鎖状脂肪族炭化水素系ジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させて得ることができるウレタンプレポリマーである。
鎖状脂肪族炭化水素系ジイソシアネートとしては、鎖状脂肪族炭化水素に2つのイソシアネート基が置換された化合物である。
鎖状脂肪族炭化水素は、直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよく、脂肪族炭化水素としては、飽和の炭化水素が挙げられる。この場合の炭素数は、例えば、2〜10程度が好ましく、3〜8程度がより好ましい。
飽和の炭化水素としては、エタン、n−プロパン、イソプロパン、n−ブタン、sec−ブタン、tert−ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、2−エチルヘキシル等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類は、炭素数2〜12程度のアルキル基を含有するもの、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェノキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリオール(メタ)アクリレート類は、例えば、炭素数2〜10程度の2〜4価のポリオール(メタ)アクリレート類、具体的には、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
アルキレンオキサイド付加ポリオール(メタ)アクリレート類は、例えば、アルキレンオキサイド付加トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
フッ素原子含有炭化水素基を含有する(メタ)アクリレートは、式(1)で表される化合物が好ましい。
(CpFq−O−)r−A−(−O−CO−CR=CH2)s (1)
(式(1)中、
pは1〜18の整数、qは3〜37の整数、
rは1〜18の整数、sは2〜19の整数、ただし、r+sは3〜20であり、
Aは、多価アルコールの脱水酸基残基、
Rは、水素原子またはメチル基を表す。)
パーフルオロシクロペンチル基、パーフルオロシクロヘキシル基等が挙げられる(式中、*は結合手を表す)。なかでも、炭化水素の全ての水素原子がフッ素原子に置換されたパーフルオロ基が好ましい。
(式(1−1)中、p、q及びRは、上記と同義を表し、nは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは1又は2を表す。)
(式(1−2)中、p、q及びRは、上記と同義を表す。)
トリアクリロイルペンタフルオロエチルペンタエリスリトール、
トリアクリロイルヘプタフルオロイソプロピルペンタエリスリトール、
トリアクリロイルヘプタデカフルオロノネニルペンタエリスリトール、
ペンタアクリロイルペンタフルオロエチルジペンタエリスリトール、
ペンタアクリロイルヘプタフルオロイソプロピルジペンタエリスリトール、
ペンタアクリロイルヘプタデカフルオロノネニルジペンタエリスリトール等が挙げられる。
さらに、特開2003−313242号公報に記載された化合物等が挙げられる。
エチレン性不飽和基を含むモノマーを重合させて得られた重合体は、エチレン性不飽和基を含むモノマーに由来する構造単位を有し、かつ、SP値が9.8(cal/cm 3 ) 1/2 以上を有するものであれば、特に限定されず、いかなる重合体をも用いることができる。ただし、(A)鎖状脂肪族炭化水素系ジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンプレポリマーとは異なる。
エチレン性不飽和基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基及びこれらを組み合わせた基等が挙げられる。
例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基を有するモノマーとしては、アクリル酸アミド類、アルキル(メタ)アクリレート類、アミノアルキル(メタ)アクリレート類、アミノアルキル(メタ)アクリレートの4級塩類、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの酸無水物付加物類、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、アルキルジオールジ(メタ)アクリレート類、ポリオールポリ(メタ)アクリレート類、アルキレンオキサイド付加ポリオールポリ(メタ)アクリレート類が挙げられる。また、特開2000−264939号に記載のものを用いてもよい。
ビニル基を有するモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、N−ビニルアセトアミド、ビニルピロリドン、スチレン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルアルキルエーテル類、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸の塩類等が挙げられる。
なお、SP値の上限は、特に限定されるものではないが、例えば、14.0(cal/cm 3 ) 1/2 程度以下が挙げられる。
このようなSP値の重合体を選択することにより、本発明の樹脂組成物の透明性を確保することができ、光学用途に好適に使用することができる。
(C)の重合体は、(A)のウレタンプレポリマー100重量部に対して、0.1〜50重量部含有されていることが好ましく、1.0〜10.0重量部含有されていることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、光重合開始剤を含むことが好ましい。ただし、硬化させる際の活性エネルギー線として電子線等を用いる場合など光重合開始剤を必要としない場合には、必ずしも含有していなくてもよい。
光重合開始剤は、特に限定されないが、活性エネルギー線によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。また、フルオロアルキル基を含有する光重合開始剤がより好ましく、パーフルオロアルキル基を含有する光重合開始剤がさらに好ましい。
フルオロアルキル基としては、直鎖、分岐のいずれでもよい。例えば、モノ、ジ又はパーフルオロメチル基、モノ、ジ、トリ又はパーフルオロエチル基、モノ、ジ、トリ又はパーフルオロプロピル基、モノ、ジ、トリ又はパーフルオロオクチル基等が挙げられる。
(式(2)中、
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、アリール基以外の有機基、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシル基を表す。ただし、R1、R2及びR3の全てが同時に水素原子となることはない。また、R1、R2及びR3はいずれか2つが互いに連結して環を形成してもよい。
R4は、フルオロアルキル基含有基表す。)
アルキル基としては、上記と同様のものが挙げられる。
アルコキシ基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシ、ペンチルカルボニルオキシ、ヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
アリールカルボニルオキシ基としては、フェニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としては、モルホリノ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。なかでもフッ素原子が好ましい。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等が挙げられる。
なかでも、R1、R2及びR3の1以上が、アリール基以外の有機基として、フッ化炭素原子数が3〜50程度、5〜30程度、5〜20程度、さらに5〜10程度のフルオロアルキルカルボニルオキシ基であるものが好ましい。これにより、後述する溶剤(E)への良好な溶解性を得ることができる。
R1=R2=R3=Cl、
R1=R2=Cl、R3=H、
R1=H、R2=R3=OC2H5、
R1=OH、R2=R3=CH3、
R1=OH、R2及びR3が結合してシクロヘキシル環を形成、
R1=R2=CH3、R3=モルホリノ基、
R1=R2=CH3、R3=OCO−フルオロアルキル基、
R1=R2=CH3、R3=OCO−パーフルオロアルキル基等が例示される。
(i)−[C(X)F]k−、
(ii)−[C(X)F]k−L−、
(iii)−[C(X)F−O]l−、
(iv)−[C(X)F−C(Y)F−O]m−及び
(v)−[C(X)F−C(Y)F−C(Z)F−O]n−
(ここで、X、Y及びZは、それぞれ独立して、F原子又はCF3 基を表し、k、l、m及びnは、各フッ素含有単位の数を表し、Lは2価の連結基を表す。)
なかでも、kが10以下(好ましくは8以下)の(i)又は(ii)で表される基が好ましい。
(a)−COO−、
(b)−COO−(CH2)j−O−、
(c)−CH2CH(OH)CH2O−、
(d)−CH2CH(OH)CH2O−(CH2)j−O−、
(e)−CH2O−、
(f)−CH2O−(CH2)j−O−、
(g)−(CH2)j−、
(h)−NHCOO−(CH2)j−O−。
(ここで、jは2〜6の整数を表す。)
なかでも、(a)、(b)、(h)が好ましい。
CF3(CF2)7COO−、CF3(CF2)8COO−、CF3(CF2)9COO−、(CF3)2CF(CF2)2CH2CH2COO−、(CF3)2CF(CF2)2COO−、(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2COO−、CF3CF2(CF2CF2O)2CF2COO−、CF3OCF2CF2OCF2COO−、(CF3)3CCF2CF(CF3)CF2COO−、CF3CF2(CF2CF2O)3CF2COO−、CF3(CF2)5COOCH2CH2O−、CF3(CF2)6COOCH2CH2O−、CF3(CF2)7COOCH2CH2O−、CF3(CF2)8COOCH2CH2O−、CF3(CF2)9COOCH2CH2O−、(CF3)2CF(CF2)2CH2CH2COOCH2CH2O−、(CF3)2CF(CF2)2COOCH2CH2O−、(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2COOCH2CH2O−、(CF3)2CF(CF2)4COOCH2CH2O−、F[CF(CF3)CF2O]4CF(CF3)COOCH2CH2O−、CF3O(CF2CF2O)2CF2COOCH2CH2O−、CF3CF2(CF2CF2O)3CF2COOCH2CH2O−等。また、特開2004−292430号公報に記載のものが挙げられる。なかでも、CF3(CF2)5COOCH2CH2O−、CF3(CF2)6COOCH2CH2O−、CF3(CF2)7COOCH2CH2O−、CF3(CF2)8COOCH2CH2O−、CF3(CF2)9COOCH2CH2O−等が好ましい。
(式中、kは上記と同義であり、k’は0〜10の整数、好ましくは0〜5の整数を表す。)
また、特開2004−292430号公報に記載された方法又はそれに準じた方法によって製造することができる。
フッ素を含有する溶剤としては、1以上のフッ素原子を含有するものであれば特に限定されず、いかなるものをも使用することができる。このような溶剤を用いることにより、(B)フッ素原子含有炭化水素基を含有する(メタ)アクリレート及び/又は(D)光重合開始剤に対する相溶性を適切なものに調整することができる。
フッ素を含有する溶剤としては、例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン等のフルオロカーボン、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、HFC 43-10mee 、 1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、ビストリフルオロメチルベンゼン及びトリフルオロメチルベンゼンなどが挙げられる。
なかでも、ビストリフルオロメチルベンゼン及びトリフルオロメチルベンゼンが好ましい。
フッ素原子を有する溶剤以外の溶剤としては、特に限定されるものでなく、通常、樹脂組成物に使用されるものを適宜選択して使用することができる。
例えば、アルコール類、グリコール類、脂肪族環状ケトン類、酢酸エステル類、その他等が用いることができる。なかでも、アルコール類以外の溶剤を用いることが好ましい。
酢酸エステル類としては、例えば、酢酸エチル酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチルが挙げられる。
さらに、ソルベントナフサ、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、n−オクタン、イソオクタン等の飽和炭化水素溶剤、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等を用いてもよい。
無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等が挙げられる。無機フィラーの平均粒径は、特に透明性が必要になる場合は100nm以下が好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
有機フィラーとしては、例えば、アクリル架橋粒子、スチレン−アクリル架橋粒子、ウレタン架橋粒子、ナイロン架橋粒子等が挙げられる。有機フィラーは、特に防眩性が必要な場合に好適に用いられる。
顔料、染料、紫外線安定剤、酸化防止剤、重合開始剤及び希釈剤としては、当該分野で公知のものを使用することができる。
本発明のハードコート被覆熱可塑性シートは、主として、熱可塑性シートと、ハードコートとを備える。
例えば、熱可塑性シートの一面に、上述した活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物を塗布し、乾燥し、硬化させることによって得ることができる。
塗布の厚みは、硬化後に1.0〜20μm程度とすることが適している。
乾燥は、特に限定されるものではなく、風乾、加熱乾燥等のいずれでもよい。
光照射は、例えば、紫外線等により約100〜1,500mJ/cm2程度が挙げられる。
プライマー層としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂が挙げられる。プライマー層の厚みは2〜50nm程度が適している。プライマー層は、これらの樹脂溶液を、ディッピング法、スプレー法、フローコート法、ロールコート法、スピンコート法などいずれかの方法で塗布することにより形成することができる。
本発明の光学部材は、上述した活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物又はハードコート被覆熱可塑性シートを用いて構成される。
光学部材としては、例えば、プリズムレンズシート、フレネルレンズ、眼鏡レンズ、非球面レンズ等の光学プラスチックレンズ、光ディスク、光ファイバー、光導波路等のオプトエレクトロニクス用部材が挙げられる。また、これら光学部材等に使用し得る印刷インキ、塗料、クリアコート剤、ツヤニス等としても使用することができる。
製造例1:フルオロアルキル基含有光重合開始剤の合成
300mLの攪拌機付き丸型フラスコに、パーフルオロヘキサン酸35.7gと、2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン20.0gとを仕込み、トルエン中で脱水エステル化法の定法に従い、110℃で4時間反応させた。4時間後、ガスクロマトグラフィー分析により2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノンが存在しないことを確認した。その後、中和、精製を行ない、約45.8gの白褐色固体を得た。
ここで得られた化合物を、以下の実施例でフルオロアルキル基含有光重合開始剤として用いた。
(A)のウレタンプレポリマー、
(B)のフッ素原子含有炭化水素基を含有する(メタ)アクリレート
(C)の重合体
(D)の光重合開始剤
(E)のフッ素を含有する溶剤及び
(F)の溶剤を、表1に示す組成比(重量部)で混練し、約51重量%の樹脂分を含む樹脂組成物を得た。
(A)−1 商品名:UA−306H、HDI系ウレタンプレポリマー(共栄社化学株式会社製)
(A)−2 商品名:UA−510H、HDI系ウレタンプレポリマー(共栄社化学株式会社製)
(A)−3 商品名:UA−306I、IPDI系ウレタンプレポリマー(共栄社化学株式会社製)
(B)−1 商品名:LINC−3A、トリアクリロイルヘプタデカフルオロノネニルペンタエリスリトール(共栄社化学株式会社製)
(B)−2 商品名:LINC−5A、ヘプタアクリロイルヘプタデカフルオロノネニルジペンタエリスリトール(共栄社化学株式会社製)
(B)−3 商品名:LINC−202UA、パーフルオロアルカンジエタノールとアクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させたウレタンプレポリマー(共栄社化学株式会社製)
(C)−1 商品名:ポリフローWS314、アクリルポリマー(SP値11.5(cal/cm 3 ) 1/2 )、NV 50%(共栄社化学株式会社製)
(C)−2 商品名:ポリフローNo77、アクリルポリマー(SP値10.3(cal/cm 3 ) 1/2 )(共栄社化学株式会社製)
(C)−3 商品名:ポリフローNo75、アクリルポリマー(SP値9.9(cal/cm 3 ) 1/2 )(共栄社化学株式会社製)
(C)−4 商品名:ポリフローNo85、アクリルポリマー(SP値9.6(cal/cm 3 ) 1/2 )、NV 83%(共栄社化学株式会社製)
(D)−1 製造例1で合成した光重合開始剤(共栄社化学株式会社製)
(D)−2 商品名:IRGACURE 907(BASF社製)
(D)−3 商品名:IRGACURE 184(BASF社製)
(E)−1 商品名:PTF−TFM、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(セントラル硝子株式会社製)
(F)−1 MIBK:メチルイソブチルケトン
(G) 変性シリコーン、商品名:ポリフローKL402(共栄社化学株式会社製)
得られたハードコートについて、密着性、反射率、ヘイズ値、水接触角、マジック拭取性、耐スチールウール性の評価を行った。
JIS K5600−5−6の方法に従い、クロスカット1mm碁盤目試験による密着性を確認した。XX/100中のXXは密着試験後に密着している枡目(100/100の場合は100個密着している)を表す。
得られたハードコート付きTACフィルムの裏面を黒マジックで塗りつぶし、完全に光が透過しない状態にした後、日本分光株式会社製 紫外可視近赤外分光光度計V−570を用い、入射光5°、観測角5°にて反射率を測定した。550nmの波長での反射率を本特許の反射率とした。
JIS K7136の方法に従い、スガ試験機株式会社製ヘーズメーターHZ−2を用いて、測定した。
<水接触角>
協和界面科学株式会社製 Drop Master 500を用い、蒸留水を得られたコート層に滴下した際の接触角を測定した。
ゼブラ株式会社製の油性黒マーカーを得られたコート層に塗布し、10秒後にキムワイプで拭き取った。拭き取り部分を目視により観察したとき、完全に拭き取りができたものを○、完全に拭き取りができなかったものを×として評価した。
得られたコート層に約500g重及び1kg重の負荷をかけたスチールウール(#0000)で10往復、擦ることにより行った。目視により観察したとき、傷が付かなかったものを○、1〜5本の傷が付いたものを△、6本以上の傷が付いたものを×とする3段階で評価した。
一方、比較例では、特に反射率及びヘイズ値の双方を満足するものは得られないことがわかった。
実施例1で得られた活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物を、上述した各特性の評価用と同様に、基材(TACフィルム)に塗布し、コート層を形成し、ハードコート被覆熱可塑性シートを作製した。
得られたシートを、射出成形金型に挟みこみ、成形同時射出成型法にてアクリル樹脂を射出した。冷却後、ハードコート層を有するパネル状の光学成型品を得た。
Claims (8)
- (A)鎖状脂肪族炭化水素系ジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンプレポリマー、
(B)式(1)で表されるフッ素原子含有炭化水素基を含有する(メタ)アクリレート、
(CpFq−O−)r−A−(−O−CO−CR=CH2)s (1)
(式(1)中、
pは1〜18の整数、qは3〜37の整数、
rは1〜18の整数、sは2〜19の整数、ただし、r+sは3〜20であり、
Aは、多価アルコールの脱水酸基残基、
Rは、水素原子またはメチル基を表す。)
(C)SP値が9.8(cal/cm 3 ) 1/2 以上を有し、エチレン性不飽和基を含むモノマーを重合させて得られた重合体、
(E)フッ素を含有する溶剤及び
(F)(E)以外の溶剤を含有する活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物であって、
前記(A)のウレタンプレポリマー100重量部に対して、
前記(B)のフッ素原子含有炭化水素基を含有する(メタ)アクリレートが1〜100重量部、
前記(C)の重合体が4.375〜50重量部である活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物。 - さらに、(D)光重合開始剤を含む請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物。
- 前記(A)のウレタンプレポリマー、
前記(B)のフッ素原子含有炭化水素基を含有する(メタ)アクリレート、
前記(C)の重合体及び
前記(D)の光重合開始剤の合計100重量部に対して、
前記(E)の溶剤及び(F)の溶剤の合計が10〜2000重量部である請求項2記載の活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物。 - 前記(E)の溶剤と(F)の溶剤との重量比が5:95〜30:70の範囲である請求項1〜3のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物。
- 前記(E)の溶剤が、ビストリフルオロメチルベンゼン及びトリフルオロメチルベンゼンの少なくとも1種含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物。
- 前記(D)の光重合開始剤が、式(2)で表されるフルオロアルキル基含有光開始剤を含む請求項2又は3に記載の活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物。
(式(2)中、
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、アリール基以外の有機基、水素原子、ハロゲン原子又はヒドロキシル基を表す。ただし、R1、R2及びR3の全てが同時に水素原子となることはない。また、R1、R2及びR3はいずれか2つが互いに連結して環を形成してもよい。
R4は、フルオロアルキル基含有基を表す。) - 熱可塑性シートと、
該熱可塑性シートの一面に配置された請求項1〜6のいずれか1つに記載の活性エネルギー線硬化型ハードコート用樹脂組成物の硬化物からなるハードコートとを備えるハードコート被覆熱可塑性シート。 - 請求項7記載のハードコート被覆熱可塑性シートを用いた光学部材。
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