JP6690372B2 - 積層コーティング膜の形成方法及び光学機能パネルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、グラビアオフセット方式を用いた積層コーティング膜の形成方法に関し、特に、3次元表面形状を有する光学機能パネルの製造に好適に適用することができる積層コーティング膜の形成方法、及び光学機能パネルの製造方法に関する。
近年、スマートフォンやスマートパッド、カーナビゲーションシステム等の液晶表示装置やヘッドアップディスプレイ等は、需要の拡大に伴い、形状の多様化や光学機能の向上等の様々なニーズがある。そのため、これらを構成するプラスチック製の光学機能パネルについても、凹凸面や曲面等の表面形状の3次元化や、視認性の向上等のさらなる機能付与が求められている。
光学機能パネルとして、液晶表示装置の前面板は、表面硬度を高めるためのハードコートフィルムや、視認性を改善するための防眩フィルムや反射防止フィルム等が貼着されることが一般的である。しかしながら、これらのフィルムは、皺や剥がれによる歪みが生じやすく、表面形状が平坦でない場合は使用できなかった。
また、光学部品に、直接コーティングを施して薄膜を設けることも知られている。例えば、特許文献1に、曲面又は凹凸形状を有する基材に対して、大気圧下でプラズマ処理を行って、コーティング膜を形成する表面処理方法が記載されている。
また、特許文献2には、インクジェット装置を用いて、複数のノズルのうちの選択したノズルから基材上にインクを吐出させて当該基材上にランダムな配置でドットを形成した後に前記ドットを硬化させる工程を繰り返すことにより、防眩層を形成する光学部品の製造方法が記載されている。
特開2004−70301号公報 特開2009−139465号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されているようなドライ方式によるコーティング膜形成方法は、基材のサイズが限定されるほか、生産サイクルが長く、実用的とは言い難いものであった。
一方、ウェット方式によるコーティング膜形成方法であっても、上記特許文献2に記載されているようなインクジェット装置による方法では、ノズルからのインクの吐出距離の調整が難しく、3次元表面形状を有する樹脂成形体に、全面的に均一なコーティングを行うことは難しい。
液晶表示装置の前面板に求められる光学的機能を達成するためには、前面板の全面にわたる高度なコーティング精度が必要とされる。しかしながら、3次元表面形状を有する樹脂成形体をコーティング可能な従来技術によっても、前面板に求められる低反射性を実現し、鮮鋭度の高い画像表示を可能とする方法はなかった。
これに対して、本発明者らは、3次元表面形状を有する樹脂成形体をコーティングする手法として、グラビアオフセット方式を用いた薄膜形成に着目して検討した。グラビアオフセット方式とは、印刷技術の一つであり、グラビアコート方式とオフセット方式とを組み合わせた方式である。すなわち、グラビア版(凹版)に供給した塗液(インキ)を、該グラビア版と接触して回転するブランケットに転写させた後、基材表面に転写する方法である。
光学機能パネルにおけるコーティング膜の形成方法として、グラビアオフセット方式を用いた方法はこれまで知られていない。また、従来のグラビアオフセット方式では、コーティング膜の厚さがμmオーダーからmmオーダーであり、nmオーダーの薄膜を含む積層構成を有するコーティング膜を形成することはできなかった。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、グラビアオフセット方式を用いたコーティング膜形成において、薄膜の膜厚をnmオーダーで制御することにより、優れた低反射性を得ることができる、積層コーティング膜の形成方法、及び光学機能パネルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、3次元表面形状への均一かつ高度な光学機能付与を図る上で、グラビアオフセット方式を用いて積層コーティング膜の各層を形成することにより、nmオーダーの膜厚制御が可能となり、かつ、表面粗度の抑制もすることができ、該積層コーティング膜を有する樹脂成形体が優れた低反射性を示すことを見出したことに基づくものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[12]を提供するものである。
[1]基材表面に、ハードコート層及び低反射層を含む積層構成を有する積層コーティング膜を形成する方法であって、前記積層コーティング膜の各層を、ブランケットロールを用いたグラビアオフセット方式により形成して積層し、前記低反射層は膜厚5〜400nmの薄膜層を少なくとも1層有し、前記積層コーティング膜の最表面の算術平均粗さが220nm以下であることを特徴とする、積層コーティング膜の形成方法。
[2]前記積層コーティング膜の各層の形成用の組成物を含む塗液は、フッ素系化合物の含有量が1質量%以下である、上記[1]に記載の積層コーティング膜の形成方法。
[3]前記積層コーティング膜の各層の形成用の組成物が光硬化型樹脂を含む、上記[1]又は[2]に記載の積層コーティング膜の形成方法。
[4]前記ハードコート層がアクリル系組成物を含む、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の積層コーティング膜の形成方法。
[5]前記低反射層がアクリル系バインダーを3〜20質量%含有する組成物により構成される層を有する、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の積層コーティング膜の形成方法。
[6]前記低反射層は、屈折率が1.5以上2.0以下の高屈折率層の上に、屈折率が1.2以上1.5未満の低屈折率層が積層されたものである、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の積層コーティング膜の形成方法。
[7]前記低屈折率層がシリカ系微粒子を含む、上記[6]に記載の積層コーティング膜の形成方法。
[8]基材表面に、ハードコート層及び低反射層を含む積層構成を有する積層コーティング膜を備えた光学機能パネルの製造方法であって、前記積層コーティング膜を、ブランケットロールを用いたグラビアオフセット方式により形成し、前記低反射層は膜厚5〜400nmの薄膜層を少なくとも1層有し、前記積層コーティング膜の最表面の算術平均粗さが220nm以下であることを特徴とする、光学機能パネルの製造方法。
[9]前記基材が、無機ガラス、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂のうちから選ばれる少なくともいずれか1種からなるものである、上記[8]に記載の光学機能パネルの製造方法。
[10]前記基材が厚さ0.5mm以上の射出成形材である、上記[8]又は[9]に記載の光学機能パネルの製造方法。
[11]前記光学機能パネルが表示装置の前面板である、上記[8]〜[10]のいずれか1項に記載の光学機能パネルの製造方法。
[12]前記光学機能パネルがヘッドアップディスプレイのコンバイナーである、上記[8]〜[10]のいずれか1項に記載の光学機能パネルの製造方法。
本発明の積層コーティング膜の形成方法によれば、グラビアオフセット方式を用いた積層コーティング膜形成において、nmオーダーで膜厚を制御することによって、表面が滑らかな積層コーティング膜が得られ、かつ、優れた低反射性を得ることができる。本発明の積層コーティング膜の形成方法は、基材表面が平面形状である場合はもちろん、凹凸面や曲面等の3次元表面形状にも適用可能であり、3次元形状の成形体表面への均一な機能付与にも応用することができる。
また、本発明の光学機能パネルの製造方法によれば、前記積層コーティング膜を備えた光学機能パネルを好適に製造することができる。
試験6におけるコーティング膜表面の中央部及び端部の450〜650nmの波長領域での反射率の測定結果を示したグラフである。 実施例1及び比較例1における各光学機能パネル表面の450〜650nmの波長領域での反射率の測定結果を示したグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の積層コーティング膜の形成方法は、基材表面に、ハードコート層及び低反射層を含む積層構成を有する積層コーティング膜を形成する方法であって、前記積層コーティング膜の各層を、ブランケットロールを用いたグラビアオフセット方式により形成して積層する方法である。そして、前記低反射層は膜厚5〜400nmの薄膜層を少なくとも1層有し、前記積層コーティング膜の最表面の算術平均粗さが220nm以下であることを特徴とする。
グラビアオフセット方式による積層コーティング膜の形成において、このように低反射層の膜厚を制御することにより、表面が滑らかな積層コーティング膜を形成することができる。
[積層コーティング膜の形成方法]
本発明においては、ブランケットロールを用いたグラビアオフセット方式により、積層コーティング膜の各層を形成して積層する。グラビアオフセット方式とは、上述したように、グラビア版に供給した塗液を、該グラビア版と接触して回転するブランケットロールに転写させた後、基材表面に転写する方式である。
本発明において用いられるブランケットロールは、積層コーティング膜の各層、特に、低反射層のコーティング膜を構成する薄膜層を、nmオーダーで膜厚を制御して基材表面に転写するため、また、凹凸面や曲面等の3次元表面形状を有する樹脂成形体等の基材表面にコーティングを可能とする観点から、その材質はゴム又は樹脂であることが好ましい。特に、弾性を有することから、ゴムが好ましい。具体的には、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、及びこれらのうちの2種以上からなる混合物等が挙げられる。これらの中でも、耐溶剤性が高い、濡れ張力が低く溶媒の選択肢の幅が広がる等の観点から、シリコーンゴムが好適に用いられる。
これに伴い、ハードコート層や低反射層を形成するための塗液は、ブランケットロール表面ではじかれることなく、全面に転写されるように、ブランケットロールに対して濡れ性を有するものを用いることが好ましい。
ここで、「濡れ性を有する」とは、JIS K 6768:1999における濡れ性の測定において、ブランケットロール表面に対して濡れが2秒以上保持されるものを言う。濡れ性の具体的な評価方法は、下記実施例に記載のとおりである。
このような観点から、前記各層の形成用の組成物を含む塗液は、フッ素系化合物の含有量が1質量%以下であることが好ましい。
積層コーティング膜の各層は、該層の形成用の組成物を含む塗液をグラビアオフセット方式にて塗布した後、乾燥し、硬化させる。この工程を、各層毎に繰り返して積層構成を形成することが好ましい。このような工程の繰り返しにより、nmオーダーで膜厚を好適に制御することができ、かつ、表面が滑らかな積層コーティング膜を形成することができる。
乾燥は、塗液に用いられる溶媒を除去するために行い、通常、加熱して行われる。乾燥温度は、前記溶媒の種類にもよるが、表面粗度が抑制された滑らかな表面の積層コーティング膜を形成する観点から、60〜120℃であることが好ましく、より好ましくは70〜110℃である。
また、乾燥後の硬化は、光照射により行うことが好ましい。表面が滑らかな積層コーティング膜を形成し、nmオーダーで積層コーティング膜の各層の膜厚を制御するためには、熱硬化よりも、光照射によりコーティング膜を形成することが好ましい。照射光としては、紫外線を用いることがより好ましい。
このため、積層コーティング膜の各層、特に、ハードコート層は、厚みが大きく、積層コーティング膜の表面状態への影響が大きいため、これらを形成する組成物は、光硬化型樹脂を含むものであることが好ましい。前記光硬化型樹脂は、紫外線硬化型樹脂であることがより好ましい。
なお、硬化のための光照射条件は、硬化可能な条件であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、紫外線照射の場合、波長350〜400nmの紫外線を、積算光量300〜500mJ/cmの範囲で照射する。
積層コーティング膜の形成工程としては、例えば、積層コーティング膜の各層毎に、該層の形成用の組成物を含む塗液を塗布した後、60〜120℃で乾燥し、紫外線照射により硬化させる工程を経ることが好ましい。
より具体的には、グラビアオフセット方式で、基材表面に1層目を形成するための塗液を塗布して形成された塗膜を乾燥し、紫外線照射により硬化させる。次に、硬化した1層目の上に、2層目を形成するための塗液を塗布して形成された塗膜を乾燥し、紫外線照射により硬化させる。さらに、硬化した2層目の上に、3層目を形成するための塗液を塗布して形成された塗膜を乾燥し、硬化させる。このような工程を繰り返すことにより、積層コーティング膜を形成する。
各層を形成する組成物中には、紫外線硬化樹脂の硬化のための光重合開始剤が添加される。光重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンジルジメチルケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、アセトフェノン類、ヒドロキシケトン類、アミノアルキルフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類等が挙げられる。これらの中でも、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類等が好ましい。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、光重合開始剤の添加量は、紫外線硬化樹脂100質量部に対して0.1〜15質量部であることが好ましい。
また、前記塗液は、nmオーダーで膜厚を制御し、かつ、表面が滑らかな積層コーティング膜を形成する観点から、固形分濃度を1〜70質量%とすることが好ましく、より好ましくは5〜40質量%である。
上記のような形成方法によれば、表面が滑らかな積層コーティング膜が得られ、具体的には、積層コーティング膜の最表面を、算術平均粗さが220nm以下、好ましくは190nm以下、より好ましくは120nm以下の滑らかな表面とすることができる。
[基材]
本発明において積層コーティング膜の形成に用いられる基材は、特に限定されるものではないが、ハードコート層及び低反射層を含む積層構成を有するコーティング膜の形成が求められる光学機能パネル向けの基材が好ましい。例えば、透明又は半透明の無機材料や樹脂材料等からなる基材を使用することができ、これらのうち、作業性の観点からは、軽量で薄型の樹脂基材が好ましい。具体的には、無機ガラス、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独でも、2種以上による複合基材を構成していてもよい。これらのうち、車載機器用の光学機能パネルに用いられる前面板やコンバイナーにおいては、飛散防止性の観点から、ポリカーボネートが好ましい。
なお、本発明で言う「アクリル系」には、メタクリル系も含むものとし、アクリル又はメタクリルを意味するものとして、「(メタ)アクリル」と表記する場合もある。
また、基材は、表面が平面形状であるものに限られず、凹凸面や曲面等の3次元表面形状を有する基材にも適用することができる。本発明の方法によれば、種々の表面形状を有する基材の表面に、膜厚がnmオーダーで制御された、表面が滑らかな積層コーティング膜を形成することができる。
[積層コーティング膜]
基材表面に形成される積層コーティング膜は、ハードコート層及び低反射層を含む積層構成を有するものである。
<ハードコート層>
ハードコート層は、耐擦傷性を高めるための層である。ハードコート層は、上述したように、光硬化型樹脂を含んでいることが好ましく、ハードコート層を形成するための組成物としては、耐擦傷性向上の観点から、アクリル系組成物を含んでいることが好ましい。
前記アクリル系組成物としては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、共重合系(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン変性(メタ)アクリレート、アミノ樹脂(メタ)アクリレート等のアクリレートのモノマーやオリゴマーを用いることができる。これらのモノマーやオリゴマーは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ハードコート層を形成するための塗液に用いられる溶媒としては、前記モノマーやオリゴマーを溶解することができ、かつ、乾燥温度を低くする観点から、沸点が比較的低いものが好ましく、例えば、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ハードコート層は、所望の反射抑制及び耐擦傷性を阻害せず、また、積層コーティング膜の膜厚制御や積層コーティング膜表面の滑らかさに支障をきたさない範囲において、必要に応じて、公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
<低反射層>
低反射層は、積層構成において十分な密着性を得る観点から、アクリル系バインダーの含有量が3〜20質量%である組成物により構成される層を有していることが好ましく、前記含有量は、より好ましくは5〜10質量%である。
アクリル系バインダーとしては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、共重合系(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、アリロキシメチル(メタ)アクリレート、シリコーン変性(メタ)アクリレート、アミノ樹脂(メタ)アクリレート等のアクリレートのモノマーやオリゴマー等のモノマーやオリゴマーを用いることができる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
低反射層は、所望の反射抑制を阻害せず、また、積層コーティング膜の膜厚制御や表面の滑らかさに支障をきたさない範囲において、必要に応じて、公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
また、低反射層は、屈折率が1.5以上2.0以下の高屈折率層の上に、屈折率が1.2以上1.5未満の低屈折率層が積層されたものであることが好ましい。このような屈折率の異なる層を積層して低反射層を構成することにより、効果的に反射を抑制することができる。
(高屈折率層)
高屈折率層は、反射抑制の観点から、屈折率が1.5〜2.0であることが好ましく、より好ましくは1.6〜1.9である。
高屈折率層は、紫外線硬化樹脂を含み、また、上述したようにアクリル系バインダーを含むものであることが好ましい。高屈折率層を形成するための組成物としては、例えば、ジビニルベンゼン;ジアリルフタレート;アクリロイルモルフォリン;多官能チオール;ウレタン(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート;アリロキシメチル(メタ)アクリレート等のアクリル系化合物等のモノマーやオリゴマーを用いることができる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記組成物は、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウム等の金属酸化物微粒子等の高屈折率材料として公知の材料を含んでいてもよい。
高屈折率層を形成するための塗液に用いられる溶媒としては、前記モノマーやオリゴマーを溶解し、かつ、前記高屈折率材料を良好に分散させることができるものであり、また、乾燥温度を低くする観点から、沸点が比較的低いものが好ましく、例えば、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(低屈折率層)
低屈折率層は、反射抑制の観点から、屈折率が1.2以上1.5未満であることが好ましく、より好ましくは1.3〜1.4である。
低屈折率層も、紫外線硬化樹脂を含み、また、上述したようにアクリル系バインダーを含むものであることが好ましい。低屈折率層を形成するための組成物としては、例えば、シロキサン類;メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン等のアクリル系化合物等のモノマーやオリゴマーを用いることができる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なお、低屈折率層を構成する組成物には、一般的には、フッ素系樹脂が用いられるが、本発明においては、ブランケットロールに対する濡れ性を有する塗液を構成するため、フッ素系樹脂を用いることは好ましくない。
前記組成物は、中空シリカ、含フッ素化合物、アルコキシシラン、イソシアネート化合物等の低屈折率材料として公知の材料を含んでいてもよい。
また、低屈折率層は、低屈折率材料からなる粒子を含んでいることが好ましく、シリカ系微粒子を含んでいることがより好ましい。具体的には、多孔質シリカ、中空シリカ等が挙げられる。
シリカ系微粒子の粒径は、上記のような観点から、1〜30nmであることが好ましく、より好ましくは5〜20nmである。また、シリコーン系微粒子の含有量は、光学特性および隣接層との密着性の観点から、低反射層に占める割合が50〜70質量%であることが好ましい。
低屈折率層を形成するための塗液に用いられる溶媒としては、前記モノマーやオリゴマーを溶解し、かつ、前記低屈折率材料を良好に分散させることができるものであり、また、乾燥温度を低くする観点から、沸点が比較的低いものが好ましく、例えば、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<積層構成>
積層コーティング膜の積層構成は、ハードコート層及び低反射層を含んでいれば、特に限定されるものではない。低反射層による反射抑制、ハードコート層による耐擦傷性、及びコーティング膜最表面の滑らかさを損なわない範囲において、ハードコート層及び低反射層以外の他の層を積層してもよい。前記他の層としては、具体的には、強度保持層、耐摩耗層、耐指紋層等が挙げられる。
全層数も、反射抑制、耐擦傷性、及び表面の滑らかさを損なわない限り、特に限定されるものではなく、2層であっても、3層以上であってもよい。各層の層数及び厚みも、用途や目的に応じて、適宜調整することができる。
生産性や経済性等の観点からは、2層又は3層構成が好ましく、具体的には、基材側から順に、低反射層/ハードコート層、ハードコート層/低反射層、高屈折率層/低屈折率層/ハードコート層、ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層等の積層構成が挙げられる。
また、積層構成における各層の膜厚は、反射抑制や耐擦傷性等の積層コーティング膜の機能性を損なわず、また、表面の滑らかさを損なわない範囲であることが好ましい。本発明の方法によれば、積層コーティング膜の各層をnmオーダーの膜厚で制御可能であるという利点を有しているため、このような特徴を生かして、低反射層は膜厚5〜400nmの薄膜層を少なくとも1層有するものとする。
低反射層は、膜厚5〜400nmの低屈折率層を有していることが好ましく、低屈折率層の膜厚は、より好ましくは10〜250nmである。
また、低反射層は、膜厚5〜390nmである高屈折率層を有していることが好ましく、高屈折率層の膜厚は、より好ましくは10〜300nmである。
また、ハードコート層は、低反射層に比べて、膜厚が厚いことが好ましく、好ましくは500〜10000nm、より好ましくは700〜7000nm、さらに好ましくは900〜5000nmである。
各層を厚膜化させたい場合には、同種の層を積層することにより、所望の膜厚となるようにしてもよい。
[光学機能パネルの製造方法]
本発明の光学機能パネルの製造方法は、上記のような積層コーティング膜の形成方法を用いて行うものである。具体的には、基材表面に、ハードコート層及び低反射層を含む積層構成を有する積層コーティング膜を備えた光学機能パネルの製造において、前記積層コーティング膜を、ブランケットロールを用いたグラビアオフセット方式により形成し、前記低反射層は膜厚5〜400nmの薄膜層を少なくとも1層有し、前記積層コーティング膜の最表面の算術平均粗さが220nm以下であることを特徴としている。
光学機能パネルに用いられる基材としては、上記の積層コーティング膜の形成方法で述べた材質からなる基材を好適に用いることができる。
また、前記基材は、厚さ0.5mm以上の射出成形材であることが好ましい。本発明の光学機能パネルの製造方法によれば、このような厚みを有する成形材表面にも、前記積層コーティング膜を好適に形成することができる。すなわち、基材表面が平面形状である場合に限られず、凹凸面や曲面等の3次元表面形状を有する成形材表面にも、膜厚がnmオーダーで制御された、滑らかな積層コーティング膜を形成することができる。
光学機能パネルとしては、例えば、スマートフォンやスマートパッド、カーナビゲーションシステム等の表示装置の前面板が挙げられる。また、カーナビゲーションシステム等と異なり、曲面形状の透明板である、ヘッドアップディスプレイのコンバイナーも挙げられる。
本発明の積層コーティング膜を有する光学機能パネルは、分光光度計を用いて測定される、450〜650nmの波長領域全域における表面の拡散反射率を2.0%以下とすることができる。そのため、特に、低反射性が要求される、スマートフォンやスマートパッド、カーナビゲーションシステム等の表示装置の前面板に好適である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
以下に示す基材及び塗液を用いて評価用コーティング膜試料を作製し、下記試験1〜5を行った。また、下記実施例及び比較例においても、以下に示す基材及び塗液を用いた。
[コーティング膜試料作製用基材及び塗液]
コーティング膜試料作製のための基材及び塗液として、以下に示すものを代表例として用いた。
また、コーティング膜試料の作製、下記実施例及び比較例に使用したグラビアオフセット装置は、HK試験印刷装置(GOP−10A−H型、鷹羽産業株式会社製)であり、シリコーンゴム製のブランケットロール(直径100mm、幅115mm)を使用した。
<基材1>
ポリカーボネート(平板、縦90mm、幅80mm、厚さ2mm)
<高屈折率層1>
以下の各原料を混合した塗液
・二酸化ジルコニウム粒子(粒径15〜25nm、リオデュラス(登録商標)TYZ、東洋インキ株式会社製) 17.5質量%
・α−(アリロキシメチル)アクリレート 7.5質量%
・溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 74.5質量%
・光重合開始剤:アセトフェノン系化合物 0.5質量%
<高屈折率層2>
以下の各原料を混合した塗液
・二酸化ジルコニウム粒子(粒径15〜25nm、リオデュラス(登録商標)TYZ、東洋インキ株式会社製) 35.0質量%
・アクリル系バインダー:α−(アリロキシメチル)アクリレート 15質量%
・溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 49質量%
・光重合開始剤:アセトフェノン系化合物 1質量%
<低屈折率層1>
以下の各原料を混合した塗液
・中空シリカ(粒径1〜5nm、ハイパーテック(登録商標)FN−107M、日産化学工業株式会社製) 5.7質量%
・シリコーン変性アクリレートオリゴマー 1.9質量%
・シリコーン変性アクリレート 1.9質量%
・溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 90質量%
・光重合開始剤:ベンゾフェノン系化合物 0.5質量%
<低屈折率層2>
以下の各原料を混合した塗液
・テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体 2.0質量%
・溶媒:ハイドロフロロメタキシレン 98質量%
<低屈折率層3>
以下の各原料を混合した塗液
・中空シリカ(粒径1〜5nm、エクセルピュアBD−P01、中央自動車工業株式会社製) 5質量%
・溶媒:エタノール 30質量%、ノルマルプロピルアルコール 30質量%、メタノール 5質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル 30質量%
<ハードコート層1>
以下の各原料を混合した塗液
・ポリウレタンメタクリレート 20質量%
・メタクリル酸メチル 20質量%
・光重合開始剤:α−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物 1.2質量%
・溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 58.8質量%
<ハードコート層2>
以下の各原料を混合した塗液
・ポリウレタンメタクリレート 32.5質量%
・メタクリル酸メチル 32.5質量%
・光重合開始剤:α−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物 2.0質量%
・溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 33質量%
(試験1)濡れ性
ブランケットに対する塗液の濡れ性について、低屈折率層1を形成するための塗液と、フッ素系化合物を2質量%含む低屈折率層2を形成するための塗液とで比較評価を行った。
JIS K 6768:1999を参照して、各塗液をブランケットと同材質であるシリコーン平板(10cm×10cm)上に滴下し、綿棒で6cm以上に広げ、その直後からコーティング膜が途切れるまでの時間を測定することにより、濡れ性を評価した。濡れの状態が2秒間以上保持されている場合、「濡れ性を有する」ものとみなす。
(試験2)膜厚制御(反射率測定)
コーティング膜形成工程を3回繰り返した場合の各回の後のコーティング膜の膜厚について、二酸化ジルコニウム粒子の含有量(塗液中の固形分濃度)が異なる高屈折率層1と高屈折率層2とで比較評価を行った。
基材1上に、各層を形成するための塗液を、グラビアオフセット装置を用いて塗布した後、70℃で乾燥し、紫外線照射装置(UVC−5033/1N4C、ウシオ電機株式会社製)を用いた紫外線照射(波長365nm、積算光量400mJ/cm;以下、同様。)により硬化させて、コーティング膜を形成した。この工程を計3回繰り返し、各回工程終了後に、コーティング膜表面の反射率を分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製)により測定し、各波長領域における反射率挙動から膜厚を求めた。
(試験3)表面粗度
ハードコート層1の表面粗度について、乾燥温度80℃の場合と120℃の場合とで比較評価を行った。
基材1上に、ハードコート層1を形成するための塗液を、グラビアオフセット装置を用いて塗布した後、各乾燥温度で乾燥し、紫外線照射により硬化させて、コーティング膜を形成した。各コーティング膜表面について、白色干渉計(バートスキャン(登録商標)、株式会社菱化システム製)にて、コーティング膜表面に白色光を照射し、凹凸に起因する干渉縞を数値化することにより、表面粗度を測定した。なお、算術平均粗さを表面粗度として評価した。
(試験4)密着性
コーティング膜の密着性について、高屈折率層1上に形成した低屈折率層1と、アクリル系バインダーを含まない低屈折率層3とで比較評価を行った。
基材1上に、高屈折率層1を形成するための塗液を、スピンコートにより塗布した後、70℃で乾燥し、紫外線照射により硬化させて、高屈折率層1のコーティング膜を形成した。このコーティング膜上に、各低屈折率層を形成するための塗液をスピンコートにより塗布し、70℃で乾燥した。低屈折率層1のコーティング品は、紫外線照射により硬化させた。このようにして、各低屈折率層のコーティング膜を形成した。
各低屈折率層のコーティング膜について、碁盤目試験により剥離の有無を確認し、密着性を評価した。
碁盤目試験は、各低屈折率層のコーティング膜に1.5mm間隔で等間隔にカッターで切り込みを入れ、10×10マスの碁盤目を作成し、前記マスにセロハンテープ(ニチバン株式会社製)を指でしっかりと貼り付けた後、ゆっくりと剥離し、剥離の有無により評価した。
(試験5)膜厚(電子顕微鏡(SEM)観察像)及び曇り
コーティング膜の膜厚について、樹脂成分の含有量が異なるハードコート層1とハードコート層2とで比較評価を行った。
基材1上に、各層を形成するための塗液を、グラビアオフセット装置を用いて塗布した後、120℃で乾燥し、紫外線照射により硬化させて、ハードコート層1のコーティング膜を形成した。このコーティング膜の断面をSEM観察し、任意の3箇所の膜厚を測定し、平均値を膜厚の値とした。また、各コーティング品の曇りについて、目視にて確認した。なお、曇りは、主として、表面粗度が大きくなることに起因して生じる。
上記各試験結果を下記表1にまとめて示す。
表1から分かるように、試験1の結果から、フッ素化合物を2.0質量%含む塗液は、グラビアオフセット装置に用いられるブランケットに対する濡れ性が悪く、良好なコーティング膜を形成することは困難であると言える。
また、試験2の結果から、グラビアオフセット方式によりnmオーダーでのコーティング膜の膜厚の制御が可能であり、コーティング膜形成工程の繰り返しにより、所望の膜厚とするための厚膜化も可能であると言える。
また、試験3の結果から、表面粗度は、乾燥温度の影響も受けるものであると言える。
また、試験4の結果から、アクリル系バインダーを含む塗液を用いることにより、コーティング膜の密着性が向上すると言える。
また、試験5の結果から、樹脂成分濃度に応じた膜厚調整により、表面粗度が大きくなることによる曇りの発生を抑制することが可能であると言える。
(試験6)3次元表面形状
縦及び横方向の曲率(mm−1)が1/800であるコンバイナー形状のポリカーボネート製の基材2(縦幅60mm、横幅120mm、厚さ2mm)上に、低屈折率層1を形成するための塗液を、グラビアオフセット装置を用いて塗布した後、70℃で乾燥し、紫外線照射により硬化させて、膜厚105nmの低屈折率層1のコーティング膜を形成した。
このコーティング膜について、表面粗度を上記試験3と同様の測定方法により測定したところ、60nmであった。
また、コーティング膜表面の反射率を分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製)により測定した。450〜650nmの波長領域におけるコーティング膜表面の中央部及び端部のそれぞれの任意の2点について拡散反射率を測定し、その平均値を反射率とした。これらの測定結果のグラフを図1に示す。
図1のグラフに示した結果から分かるように、450〜650nmの波長領域におけるコーティング膜表面の中央部及び端部での反射率はほぼ同等であり、いずれも2.1%以下であった。したがって、3次元表面形状の基材表面にも、表面が滑らかで、反射率がほぼ均一な低反射層をコーティングできることが認められ、本発明の方法は、コンバイナー等の3次元表面形状の光学機能パネルにも適用し得ると言える。
(実施例1)
基材1上に、ハードコート層1を形成するための塗液を、グラビアオフセット装置を用いて塗布した後、70℃で乾燥し、紫外線照射により硬化させて、膜厚1000nmのハードコート層1を形成した。このハードコート層1上に、膜厚160nmの高屈折率層1を同様にして形成した後、さらに、膜厚105nmの低屈折率層1を同様にして形成し、積層コーティング膜を有する光学機能パネル1を得た。
(比較例1)
実施例1において、各層コーティング後における乾燥温度を150℃とし、それ以外は、実施例1と同様にして、積層コーティング膜を有する光学機能パネル2を得た。
上記実施例及び比較例で得られた各光学機能パネルについて、表面粗度を上記試験3と同様の測定方法により測定したところ、実施例1は190nm、比較例1は230nmであった。
また、反射率を上記試験6と同様にして測定した。なお、各光学機能パネル表面の任意の2点の拡散反射率の平均値を反射率とした。これらの反射率の測定結果のグラフを図2に示す。
図2に示したグラフから分かるように、450〜650nmの波長領域における反射率は、比較例1では2.0%を超えるのに対して、実施例1では、1.8%未満であった。
上記測定結果から、所定の乾燥温度で得られた積層コーティング膜は、表面が滑らかであり、かつ、低反射性が向上することが認められた。
したがって、実施例1のような本発明の光学機能パネルは、例えば、表示装置の前面板等の、低反射性を要求される用途に好適であると言える。

Claims (13)

  1. 基材表面に、ハードコート層及び低反射層を含む積層構成を有する積層コーティング膜を形成する方法であって、
    前記積層コーティング膜の各層を、ゴム又は樹脂からなるブランケットロールを用いたグラビアオフセット方式により形成して積層し、
    前記積層コーティング膜の各層を形成するための塗液の固形分濃度が1〜70質量%であり、
    前記塗液が、前記ブランケットロール表面に対して濡れが2秒以上保持される濡れ性を有し、
    前記積層コーティング膜の各層は、前記塗液を、前記グラビアオフセット方式にて塗布した後、60〜120℃の乾燥温度で乾燥させるものであり、
    前記低反射層は膜厚5〜400nmの薄膜層を少なくとも1層有し、前記積層コーティング膜の最表面の算術平均粗さが220nm以下であることを特徴とする、積層コーティング膜の形成方法。
  2. 前記積層コーティング膜の各層は、前記塗液を、前記グラビアオフセット方式にて塗布した後、乾燥し、硬化させるものであって、前記乾燥後の硬化は光照射により行う、請求項1に記載の積層コーティング膜の形成方法。
  3. 前記積層コーティング膜の各層の形成用の組成物を含む塗液は、フッ素系化合物の含有量が1質量%以下である、請求項1又は2に記載の積層コーティング膜の形成方法。
  4. 前記積層コーティング膜の各層の形成用の組成物が光硬化型樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層コーティング膜の形成方法。
  5. 前記ハードコート層がアクリル系組成物を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層コーティング膜の形成方法。
  6. 前記低反射層がアクリル系バインダーを3〜20質量%含有する組成物により構成される層を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層コーティング膜の形成方法。
  7. 前記低反射層は、屈折率が1.5以上2.0以下の高屈折率層の上に、屈折率が1.2以上1.5未満の低屈折率層が積層されたものである、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層コーティング膜の形成方法。
  8. 前記低屈折率層がシリカ系微粒子を含む、請求項に記載の積層コーティング膜の形成方法。
  9. 基材表面に、ハードコート層及び低反射層を含む積層構成を有する積層コーティング膜を備えた光学機能パネルの製造方法であって、
    前記積層コーティング膜の各層を、ゴム又は樹脂からなるブランケットロールを用いたグラビアオフセット方式により形成して積層し、
    前記積層コーティング膜の各層を形成するための塗液の固形分濃度が1〜70質量%であり、
    前記塗液が、前記ブランケットロール表面に対して濡れが2秒以上保持される濡れ性を有し、
    前記積層コーティング膜の各層は、前記塗液を、前記グラビアオフセット方式にて塗布した後、60〜120℃の乾燥温度で乾燥させるものであり、
    前記低反射層は膜厚5〜400nmの薄膜層を少なくとも1層有し、前記積層コーティング膜の最表面の算術平均粗さが220nm以下であることを特徴とする、光学機能パネルの製造方法。
  10. 前記基材が、無機ガラス、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂のうちから選ばれる少なくともいずれか1種からなるものである、請求項に記載の光学機能パネルの製造方法。
  11. 前記基材が厚さ0.5mm以上の射出成形材である、請求項9又は10に記載の光学機能パネルの製造方法。
  12. 前記光学機能パネルが表示装置の前面板である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の光学機能パネルの製造方法。
  13. 前記光学機能パネルがヘッドアップディスプレイのコンバイナーである、請求項9〜11のいずれか1項に記載の光学機能パネルの製造方法。
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