JP2017185425A - 積層コーティング膜の形成方法及び光学機能パネルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材表面に、ハードコート層及び低反射層を含む積層構成を有する積層コーティング膜を形成する方法であって、前記積層コーティング膜の各層を、ブランケットロールを用いたグラビアオフセット方式により形成して積層し、前記低反射層は膜厚5〜400nmの薄膜層を少なくとも1層有し、前記積層コーティング膜の最表面の算術平均粗さが220nm以下であることを特徴とする積層コーティング膜の形成方法、及び、前記積層コーティング膜を備えた光学機能パネルの製造方法。
【選択図】なし
Description
一方、ウェット方式によるコーティング膜形成方法であっても、上記特許文献2に記載されているようなインクジェット装置による方法では、ノズルからのインクの吐出距離の調整が難しく、3次元表面形状を有する樹脂成形体に、全面的に均一なコーティングを行うことは難しい。
[1]基材表面に、ハードコート層及び低反射層を含む積層構成を有する積層コーティング膜を形成する方法であって、前記積層コーティング膜の各層を、ブランケットロールを用いたグラビアオフセット方式により形成して積層し、前記低反射層は膜厚5〜400nmの薄膜層を少なくとも1層有し、前記積層コーティング膜の最表面の算術平均粗さが220nm以下であることを特徴とする、積層コーティング膜の形成方法。
[2]前記積層コーティング膜の各層の形成用の組成物を含む塗液は、フッ素系化合物の含有量が1質量%以下である、上記[1]に記載の積層コーティング膜の形成方法。
[3]前記積層コーティング膜の各層の形成用の組成物が光硬化型樹脂を含む、上記[1]又は[2]に記載の積層コーティング膜の形成方法。
[4]前記ハードコート層がアクリル系組成物を含む、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の積層コーティング膜の形成方法。
[5]前記低反射層がアクリル系バインダーを3〜20質量%含有する組成物により構成される層を有する、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の積層コーティング膜の形成方法。
[6]前記低反射層は、屈折率が1.5以上2.0以下の高屈折率層の上に、屈折率が1.2以上1.5未満の低屈折率層が積層されたものである、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の積層コーティング膜の形成方法。
[7]前記低屈折率層がシリカ系微粒子を含む、上記[6]に記載の積層コーティング膜の形成方法。
[9]前記基材が、無機ガラス、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂のうちから選ばれる少なくともいずれか1種からなるものである、上記[8]に記載の光学機能パネルの製造方法。
[10]前記基材が厚さ0.5mm以上の射出成形材である、上記[8]又は[9]に記載の光学機能パネルの製造方法。
[11]前記光学機能パネルが表示装置の前面板である、上記[8]〜[10]のいずれか1項に記載の光学機能パネルの製造方法。
[12]前記光学機能パネルがヘッドアップディスプレイのコンバイナーである、上記[8]〜[10]のいずれか1項に記載の光学機能パネルの製造方法。
また、本発明の光学機能パネルの製造方法によれば、前記積層コーティング膜を備えた光学機能パネルを好適に製造することができる。
本発明の積層コーティング膜の形成方法は、基材表面に、ハードコート層及び低反射層を含む積層構成を有する積層コーティング膜を形成する方法であって、前記積層コーティング膜の各層を、ブランケットロールを用いたグラビアオフセット方式により形成して積層する方法である。そして、前記低反射層は膜厚5〜400nmの薄膜層を少なくとも1層有し、前記積層コーティング膜の最表面の算術平均粗さが220nm以下であることを特徴とする。
グラビアオフセット方式による積層コーティング膜の形成において、このように低反射層の膜厚を制御することにより、表面が滑らかな積層コーティング膜を形成することができる。
本発明においては、ブランケットロールを用いたグラビアオフセット方式により、積層コーティング膜の各層を形成して積層する。グラビアオフセット方式とは、上述したように、グラビア版に供給した塗液を、該グラビア版と接触して回転するブランケットロールに転写させた後、基材表面に転写する方式である。
ここで、「濡れ性を有する」とは、JIS K 6768:1999における濡れ性の測定において、ブランケットロール表面に対して濡れが2秒以上保持されるものを言う。濡れ性の具体的な評価方法は、下記実施例に記載のとおりである。
このため、積層コーティング膜の各層、特に、ハードコート層は、厚みが大きく、積層コーティング膜の表面状態への影響が大きいため、これらを形成する組成物は、光硬化型樹脂を含むものであることが好ましい。前記光硬化型樹脂は、紫外線硬化型樹脂であることがより好ましい。
なお、硬化のための光照射条件は、硬化可能な条件であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、紫外線照射の場合、波長350〜400nmの紫外線を、積算光量300〜500mJ/cm2の範囲で照射する。
より具体的には、グラビアオフセット方式で、基材表面に1層目を形成するための塗液を塗布して形成された塗膜を乾燥し、紫外線照射により硬化させる。次に、硬化した1層目の上に、2層目を形成するための塗液を塗布して形成された塗膜を乾燥し、紫外線照射により硬化させる。さらに、硬化した2層目の上に、3層目を形成するための塗液を塗布して形成された塗膜を乾燥し、硬化させる。このような工程を繰り返すことにより、積層コーティング膜を形成する。
なお、光重合開始剤の添加量は、紫外線硬化樹脂100質量部に対して0.1〜15質量部であることが好ましい。
本発明において積層コーティング膜の形成に用いられる基材は、特に限定されるものではないが、ハードコート層及び低反射層を含む積層構成を有するコーティング膜の形成が求められる光学機能パネル向けの基材が好ましい。例えば、透明又は半透明の無機材料や樹脂材料等からなる基材を使用することができ、これらのうち、作業性の観点からは、軽量で薄型の樹脂基材が好ましい。具体的には、無機ガラス、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独でも、2種以上による複合基材を構成していてもよい。これらのうち、車載機器用の光学機能パネルに用いられる前面板やコンバイナーにおいては、飛散防止性の観点から、ポリカーボネートが好ましい。
なお、本発明で言う「アクリル系」には、メタクリル系も含むものとし、アクリル又はメタクリルを意味するものとして、「(メタ)アクリル」と表記する場合もある。
基材表面に形成される積層コーティング膜は、ハードコート層及び低反射層を含む積層構成を有するものである。
<ハードコート層>
ハードコート層は、耐擦傷性を高めるための層である。ハードコート層は、上述したように、光硬化型樹脂を含んでいることが好ましく、ハードコート層を形成するための組成物としては、耐擦傷性向上の観点から、アクリル系組成物を含んでいることが好ましい。
前記アクリル系組成物としては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、共重合系(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン変性(メタ)アクリレート、アミノ樹脂(メタ)アクリレート等のアクリレートのモノマーやオリゴマーを用いることができる。これらのモノマーやオリゴマーは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
低反射層は、積層構成において十分な密着性を得る観点から、アクリル系バインダーの含有量が3〜20質量%である組成物により構成される層を有していることが好ましく、前記含有量は、より好ましくは5〜10質量%である。
アクリル系バインダーとしては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、共重合系(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、アリロキシメチル(メタ)アクリレート、シリコーン変性(メタ)アクリレート、アミノ樹脂(メタ)アクリレート等のアクリレートのモノマーやオリゴマー等のモノマーやオリゴマーを用いることができる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
高屈折率層は、反射抑制の観点から、屈折率が1.5〜2.0であることが好ましく、より好ましくは1.6〜1.9である。
高屈折率層は、紫外線硬化樹脂を含み、また、上述したようにアクリル系バインダーを含むものであることが好ましい。高屈折率層を形成するための組成物としては、例えば、ジビニルベンゼン;ジアリルフタレート;アクリロイルモルフォリン;多官能チオール;ウレタン(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート;アリロキシメチル(メタ)アクリレート等のアクリル系化合物等のモノマーやオリゴマーを用いることができる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記組成物は、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウム等の金属酸化物微粒子等の高屈折率材料として公知の材料を含んでいてもよい。
低屈折率層は、反射抑制の観点から、屈折率が1.2以上1.5未満であることが好ましく、より好ましくは1.3〜1.4である。
低屈折率層も、紫外線硬化樹脂を含み、また、上述したようにアクリル系バインダーを含むものであることが好ましい。低屈折率層を形成するための組成物としては、例えば、シロキサン類;メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン等のアクリル系化合物等のモノマーやオリゴマーを用いることができる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なお、低屈折率層を構成する組成物には、一般的には、フッ素系樹脂が用いられるが、本発明においては、ブランケットロールに対する濡れ性を有する塗液を構成するため、フッ素系樹脂を用いることは好ましくない。
前記組成物は、中空シリカ、含フッ素化合物、アルコキシシラン、イソシアネート化合物等の低屈折率材料として公知の材料を含んでいてもよい。
シリカ系微粒子の粒径は、上記のような観点から、1〜30nmであることが好ましく、より好ましくは5〜20nmである。また、シリコーン系微粒子の含有量は、光学特性および隣接層との密着性の観点から、低反射層に占める割合が50〜70質量%であることが好ましい。
積層コーティング膜の積層構成は、ハードコート層及び低反射層を含んでいれば、特に限定されるものではない。低反射層による反射抑制、ハードコート層による耐擦傷性、及びコーティング膜最表面の滑らかさを損なわない範囲において、ハードコート層及び低反射層以外の他の層を積層してもよい。前記他の層としては、具体的には、強度保持層、耐摩耗層、耐指紋層等が挙げられる。
全層数も、反射抑制、耐擦傷性、及び表面の滑らかさを損なわない限り、特に限定されるものではなく、2層であっても、3層以上であってもよい。各層の層数及び厚みも、用途や目的に応じて、適宜調整することができる。
生産性や経済性等の観点からは、2層又は3層構成が好ましく、具体的には、基材側から順に、低反射層/ハードコート層、ハードコート層/低反射層、高屈折率層/低屈折率層/ハードコート層、ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層等の積層構成が挙げられる。
低反射層は、膜厚5〜400nmの低屈折率層を有していることが好ましく、低屈折率層の膜厚は、より好ましくは10〜250nmである。
また、低反射層は、膜厚5〜390nmである高屈折率層を有していることが好ましく、高屈折率層の膜厚は、より好ましくは10〜300nmである。
また、ハードコート層は、低反射層に比べて、膜厚が厚いことが好ましく、好ましくは500〜10000nm、より好ましくは700〜7000nm、さらに好ましくは900〜5000nmである。
各層を厚膜化させたい場合には、同種の層を積層することにより、所望の膜厚となるようにしてもよい。
本発明の光学機能パネルの製造方法は、上記のような積層コーティング膜の形成方法を用いて行うものである。具体的には、基材表面に、ハードコート層及び低反射層を含む積層構成を有する積層コーティング膜を備えた光学機能パネルの製造において、前記積層コーティング膜を、ブランケットロールを用いたグラビアオフセット方式により形成し、前記低反射層は膜厚5〜400nmの薄膜層を少なくとも1層有し、前記積層コーティング膜の最表面の算術平均粗さが220nm以下であることを特徴としている。
光学機能パネルに用いられる基材としては、上記の積層コーティング膜の形成方法で述べた材質からなる基材を好適に用いることができる。
本発明の積層コーティング膜を有する光学機能パネルは、分光光度計を用いて測定される、450〜650nmの波長領域全域における表面の拡散反射率を2.0%以下とすることができる。そのため、特に、低反射性が要求される、スマートフォンやスマートパッド、カーナビゲーションシステム等の表示装置の前面板に好適である。
[コーティング膜試料作製用基材及び塗液]
コーティング膜試料作製のための基材及び塗液として、以下に示すものを代表例として用いた。
また、コーティング膜試料の作製、下記実施例及び比較例に使用したグラビアオフセット装置は、HK試験印刷装置(GOP−10A−H型、鷹羽産業株式会社製)であり、シリコーンゴム製のブランケットロール(直径100mm、幅115mm)を使用した。
<基材1>
ポリカーボネート(平板、縦90mm、幅80mm、厚さ2mm)
<高屈折率層1>
以下の各原料を混合した塗液
・二酸化ジルコニウム粒子(粒径15〜25nm、リオデュラス(登録商標)TYZ、東洋インキ株式会社製) 17.5質量%
・α−(アリロキシメチル)アクリレート 7.5質量%
・溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 74.5質量%
・光重合開始剤:アセトフェノン系化合物 0.5質量%
<高屈折率層2>
以下の各原料を混合した塗液
・二酸化ジルコニウム粒子(粒径15〜25nm、リオデュラス(登録商標)TYZ、東洋インキ株式会社製) 35.0質量%
・アクリル系バインダー:α−(アリロキシメチル)アクリレート 15質量%
・溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 49質量%
・光重合開始剤:アセトフェノン系化合物 1質量%
<低屈折率層1>
以下の各原料を混合した塗液
・中空シリカ(粒径1〜5nm、ハイパーテック(登録商標)FN−107M、日産化学工業株式会社製) 5.7質量%
・シリコーン変性アクリレートオリゴマー 1.9質量%
・シリコーン変性アクリレート 1.9質量%
・溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 90質量%
・光重合開始剤:ベンゾフェノン系化合物 0.5質量%
<低屈折率層2>
以下の各原料を混合した塗液
・テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体 2.0質量%
・溶媒:ハイドロフロロメタキシレン 98質量%
<低屈折率層3>
以下の各原料を混合した塗液
・中空シリカ(粒径1〜5nm、エクセルピュアBD−P01、中央自動車工業株式会社製) 5質量%
・溶媒:エタノール 30質量%、ノルマルプロピルアルコール 30質量%、メタノール 5質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル 30質量%
<ハードコート層1>
以下の各原料を混合した塗液
・ポリウレタンメタクリレート 20質量%
・メタクリル酸メチル 20質量%
・光重合開始剤:α−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物 1.2質量%
・溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 58.8質量%
<ハードコート層2>
以下の各原料を混合した塗液
・ポリウレタンメタクリレート 32.5質量%
・メタクリル酸メチル 32.5質量%
・光重合開始剤:α−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物 2.0質量%
・溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル 33質量%
ブランケットに対する塗液の濡れ性について、低屈折率層1を形成するための塗液と、フッ素系化合物を2質量%含む低屈折率層2を形成するための塗液とで比較評価を行った。
JIS K 6768:1999を参照して、各塗液をブランケットと同材質であるシリコーン平板(10cm×10cm)上に滴下し、綿棒で6cm2以上に広げ、その直後からコーティング膜が途切れるまでの時間を測定することにより、濡れ性を評価した。濡れの状態が2秒間以上保持されている場合、「濡れ性を有する」ものとみなす。
コーティング膜形成工程を3回繰り返した場合の各回の後のコーティング膜の膜厚について、二酸化ジルコニウム粒子の含有量(塗液中の固形分濃度)が異なる高屈折率層1と高屈折率層2とで比較評価を行った。
基材1上に、各層を形成するための塗液を、グラビアオフセット装置を用いて塗布した後、70℃で乾燥し、紫外線照射装置(UVC−5033/1N4C、ウシオ電機株式会社製)を用いた紫外線照射(波長365nm、積算光量400mJ/cm2;以下、同様。)により硬化させて、コーティング膜を形成した。この工程を計3回繰り返し、各回工程終了後に、コーティング膜表面の反射率を分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製)により測定し、各波長領域における反射率挙動から膜厚を求めた。
ハードコート層1の表面粗度について、乾燥温度80℃の場合と120℃の場合とで比較評価を行った。
基材1上に、ハードコート層1を形成するための塗液を、グラビアオフセット装置を用いて塗布した後、各乾燥温度で乾燥し、紫外線照射により硬化させて、コーティング膜を形成した。各コーティング膜表面について、白色干渉計(バートスキャン(登録商標)、株式会社菱化システム製)にて、コーティング膜表面に白色光を照射し、凹凸に起因する干渉縞を数値化することにより、表面粗度を測定した。なお、算術平均粗さを表面粗度として評価した。
コーティング膜の密着性について、高屈折率層1上に形成した低屈折率層1と、アクリル系バインダーを含まない低屈折率層3とで比較評価を行った。
基材1上に、高屈折率層1を形成するための塗液を、スピンコートにより塗布した後、70℃で乾燥し、紫外線照射により硬化させて、高屈折率層1のコーティング膜を形成した。このコーティング膜上に、各低屈折率層を形成するための塗液をスピンコートにより塗布し、70℃で乾燥した。低屈折率層1のコーティング品は、紫外線照射により硬化させた。このようにして、各低屈折率層のコーティング膜を形成した。
各低屈折率層のコーティング膜について、碁盤目試験により剥離の有無を確認し、密着性を評価した。
碁盤目試験は、各低屈折率層のコーティング膜に1.5mm間隔で等間隔にカッターで切り込みを入れ、10×10マスの碁盤目を作成し、前記マスにセロハンテープ(ニチバン株式会社製)を指でしっかりと貼り付けた後、ゆっくりと剥離し、剥離の有無により評価した。
コーティング膜の膜厚について、樹脂成分の含有量が異なるハードコート層1とハードコート層2とで比較評価を行った。
基材1上に、各層を形成するための塗液を、グラビアオフセット装置を用いて塗布した後、120℃で乾燥し、紫外線照射により硬化させて、ハードコート層1のコーティング膜を形成した。このコーティング膜の断面をSEM観察し、任意の3箇所の膜厚を測定し、平均値を膜厚の値とした。また、各コーティング品の曇りについて、目視にて確認した。なお、曇りは、主として、表面粗度が大きくなることに起因して生じる。
また、試験2の結果から、グラビアオフセット方式によりnmオーダーでのコーティング膜の膜厚の制御が可能であり、コーティング膜形成工程の繰り返しにより、所望の膜厚とするための厚膜化も可能であると言える。
また、試験3の結果から、表面粗度は、乾燥温度の影響も受けるものであると言える。
また、試験4の結果から、アクリル系バインダーを含む塗液を用いることにより、コーティング膜の密着性が向上すると言える。
また、試験5の結果から、樹脂成分濃度に応じた膜厚調整により、表面粗度が大きくなることによる曇りの発生を抑制することが可能であると言える。
縦及び横方向の曲率(mm−1)が1/800であるコンバイナー形状のポリカーボネート製の基材2(縦幅60mm、横幅120mm、厚さ2mm)上に、低屈折率層1を形成するための塗液を、グラビアオフセット装置を用いて塗布した後、70℃で乾燥し、紫外線照射により硬化させて、膜厚105nmの低屈折率層1のコーティング膜を形成した。
このコーティング膜について、表面粗度を上記試験3と同様の測定方法により測定したところ、60nmであった。
また、コーティング膜表面の反射率を分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製)により測定した。450〜650nmの波長領域におけるコーティング膜表面の中央部及び端部のそれぞれの任意の2点について拡散反射率を測定し、その平均値を反射率とした。これらの測定結果のグラフを図1に示す。
基材1上に、ハードコート層1を形成するための塗液を、グラビアオフセット装置を用いて塗布した後、70℃で乾燥し、紫外線照射により硬化させて、膜厚1000nmのハードコート層1を形成した。このハードコート層1上に、膜厚160nmの高屈折率層1を同様にして形成した後、さらに、膜厚105nmの低屈折率層1を同様にして形成し、積層コーティング膜を有する光学機能パネル1を得た。
実施例1において、各層コーティング後における乾燥温度を150℃とし、それ以外は、実施例1と同様にして、積層コーティング膜を有する光学機能パネル2を得た。
また、反射率を上記試験6と同様にして測定した。なお、各光学機能パネル表面の任意の2点の拡散反射率の平均値を反射率とした。これらの反射率の測定結果のグラフを図2に示す。
上記測定結果から、所定の乾燥温度で得られた積層コーティング膜は、表面が滑らかであり、かつ、低反射性が向上することが認められた。
したがって、実施例1のような本発明の光学機能パネルは、例えば、表示装置の前面板等の、低反射性を要求される用途に好適であると言える。
Claims (12)
- 基材表面に、ハードコート層及び低反射層を含む積層構成を有する積層コーティング膜を形成する方法であって、
前記積層コーティング膜の各層を、ブランケットロールを用いたグラビアオフセット方式により形成して積層し、前記低反射層は膜厚5〜400nmの薄膜層を少なくとも1層有し、前記積層コーティング膜の最表面の算術平均粗さが220nm以下であることを特徴とする、積層コーティング膜の形成方法。 - 前記積層コーティング膜の各層の形成用の組成物を含む塗液は、フッ素系化合物の含有量が1質量%以下である、請求項1に記載の積層コーティング膜の形成方法。
- 前記積層コーティング膜の各層の形成用の組成物が光硬化型樹脂を含む、請求項1又は2に記載の積層コーティング膜の形成方法。
- 前記ハードコート層がアクリル系組成物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層コーティング膜の形成方法。
- 前記低反射層がアクリル系バインダーを3〜20質量%含有する組成物により構成される層を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層コーティング膜の形成方法。
- 前記低反射層は、屈折率が1.5以上2.0以下の高屈折率層の上に、屈折率が1.2以上1.5未満の低屈折率層が積層されたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層コーティング膜の形成方法。
- 前記低屈折率層がシリカ系微粒子を含む、請求項6に記載の積層コーティング膜の形成方法。
- 基材表面に、ハードコート層及び低反射層を含む積層構成を有する積層コーティング膜を備えた光学機能パネルの製造方法であって、
前記積層コーティング膜を、ブランケットロールを用いたグラビアオフセット方式により形成し、前記低反射層は膜厚5〜400nmの薄膜層を少なくとも1層有し、前記積層コーティング膜の最表面の算術平均粗さが220nm以下であることを特徴とする、光学機能パネルの製造方法。 - 前記基材が、無機ガラス、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂のうちから選ばれる少なくともいずれか1種からなるものである、請求項8に記載の光学機能パネルの製造方法。
- 前記基材が厚さ0.5mm以上の射出成形材である、請求項8又は9に記載の光学機能パネルの製造方法。
- 前記光学機能パネルが表示装置の前面板である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の光学機能パネルの製造方法。
- 前記光学機能パネルがヘッドアップディスプレイのコンバイナーである、請求項8〜10のいずれか1項に記載の光学機能パネルの製造方法。
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