JP2019119206A - インサート成形用多層フィルムおよびインサート成形物 - Google Patents

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Abstract

【課題】プレフォーム工程での成形加工性の向上と、耐摩耗性の向上を図ることができる、インサート成形用多層フィルムの提供。【解決手段】透明な熱可塑性基材フィルム2の片面に、130℃での損失正接(tanδ)が0.21以上0.68以下のハードコート層3が設けられており、このハードコート層3の上に、130℃での単体伸度(L:%)が、70%以下であり、損失正接(tanδ)との関係で、(−277×tanδ+128)≦L≦(−148×tanδ+131)である低屈折率層4が形成されているインサート成形用多層フィルム1。【選択図】図1

Description

本発明は、透明な熱可塑性基材フィルムの片面に、ハードコート層と、低屈折率層とがその順で設けられたインサート成形用多層フィルム、およびそのインサート成形用多層フィルムを用いたインサート成形物に関する。
カーナビゲーションシステムに代表される車載用ディスプレイにおいて、その表面保護とか加飾のために、印刷層を設けたハードコートフィルムと熱可塑性樹脂を金型により一体成形するインサート成形法がしばしば用いられる。また、従来からの車載用ディスプレイは、その画像表示部と筐体部とが別々の部材からなって、それら部材を組み合わせた構成であったため、ディスプレイの表面に設けられるハードコートフィルムもそれぞれの部材に応じて選択、使用されてきた。
しかしながら、近年、静電容量式のタッチパネルの普及を背景に、カーナビゲーションシステムのように、空調コントロールなどもタッチ操作に変わりつつあり、画像表示部と筐体部とを一体化したディスプレイが普及し始めた。それに伴い、画像表示部と筐体部を一体化したデザインの印刷を施したハードコートフィルムが用いられ、そのハードコートフィルムがインサート成形により、立体的に成形された。
通常、インサート成形法とは、ハードコートフィルムをプレフォーム工程として加温プレス成形により賦形した後に、その成形されたハードコートフィルムを射出成形金型に装着し、背面より溶融された熱可塑性樹脂を流し込んで、一体成形する方法である。そこで、プレフォーム工程での成形加工性が良く、また、ディスプレイに用いた際の視認性の向上を図るために、外光の反射を防止できるような低屈折率層を表面に備えた、傷つきにくいインサート成形用フィルムが求められている。
このような要求に対応するために、透明樹脂シートの片面に、ハードコート層と反射防止層が順に積層された透明樹脂基板が提案されている(例えば、特許文献1)。これによると、ハードコート層については、紫外線硬化と熱硬化による2種類の硬化システムを利用しており、また、低屈折率層については、熱硬化による硬化システムを利用している。初期は、紫外線硬化のみであるために伸びやすく、その状態でプレフォーム工程を通るため、その工程での成形加工性が担保され、その後、溶融樹脂と接触するインサート成形時の熱で硬化することにより、耐摩耗性も発現できるように設計されている。
特許第5745639号公報
しかし、前記従来のハードコートフィルムのように、低屈折率層の硬化を、インサート成形時の熱に頼るものであると、プレフォーム工程で傷がつく虞があり、生産工程での取り扱いに注意する必要があった。
低屈折率層を備えるインサート成形用多層フィルムは、プレフォーム工程での成形加工性と傷つきにくさが要求され、また、その成形加工性に影響を与える大きな因子として、低屈折率層の単体伸度、ハードコート層のクラック伝播抑制力、熱可塑性基材フィルムとハードコート層の密着性、ハードコート層と低屈折率層の密着性などが考えられる。
また、このようなインサート成形用多層フィルムは、プレフォーム工程で発生する微細なクラックの伝播の抑制と、成形品としての傷つきにくさ(耐摩耗性)が要求されるが、この二つの要求は相反する。低屈折率層でクラックが発生した場合における、ハードコート層のクラック伝播の抑制は、多層フィルムの硬度を下げることになり、成形品に傷がつきやすくなる。一方、その硬度を上げるとクラック伝播を促すこととなってしまい、二つの要求を満たすことが難しかった。
そこで、本発明の目的とするところは、インサート成形用のフィルムであって、プレフォーム工程での成形加工性の向上と、耐摩耗性の向上を図ることができる、インサート成形用多層フィルム、およびそのインサート成形用多層フィルムを用いたインサート成形物を提供することにある。
この発明に係るインサート成形用多層フィルムおよびインサート成形物は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係るインサート成形用多層フィルムは、透明な熱可塑性基材フィルムの片面に、ハードコート層と低屈折率層とがその順で設けられた、インサート成形用多層フィルムであって、前記ハードコート層の130℃における、動的粘弾性測定装置により測定される損失正接(tanδ)が、0.21以上0.68以下であり、かつ、前記低屈折率層の130℃での単体伸度(L:%)が、70%以下であり、前記損失正接(tanδ)との関係で、(−277×tanδ+128)≦L≦(−148×tanδ+131)である。
また、請求項2に記載の発明に係るインサート成形用多層フィルムは、請求項1に記載のインサート成形用多層フィルムにおいて、前記ハードコート層および/または前記低屈折率層の主成分が、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂である。
また、請求項3に記載の発明に係るインサート成形用多層フィルムは、請求項1または2に記載のインサート成形用多層フィルムにおいて、前記熱可塑性基材フィルムが、ポリカーボネート層とポリメチル(メタ)アクリレート層との複数層構造からなり、前記ハードコート層は、ポリメチル(メタ)アクリレート層上に形成されている。
また、請求項4に記載のインサート成形物は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインサート成形用多層フィルムを備えるインサート成形物であって、前記インサート成形用多層フィルムが賦形され、そのインサート成形用多層フィルムの、前記ハードコート層と前記低屈折率層とが設けられていない側の面に、熱可塑性樹脂が溶着するように、前記インサート成形用多層フィルムがインサートされて成形されている。
なお、この明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
本発明のインサート成形用多層フィルムでは、透明な熱可塑性基材フィルムの片面に、特定組成の130℃での損失正接(tanδ)が0.21以上0.68以下のハードコート層を設けると同時に、このハードコート層の上に、130℃での単体伸度(L:%)が、70%以下であり、前記損失正接(tanδ)との関係で、(−277×tanδ+128)≦L≦(−148×tanδ+131)である低屈折率層を形成することで、インサート成形用多層フィルムを賦形するプレフォーム工程での成形加工性の向上と、耐摩耗性の向上を図ることができる。
この発明の一実施の形態の、インサート成形用多層フィルムの模式図である。 この発明の他の実施の形態の、インサート成形用多層フィルムの模式図である。 インサート成形用多層フィルムを賦形する金型を示した模式図である。
以下、この発明に係るインサート成形用多層フィルムおよびインサート成形物を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を示す。インサート成形用多層フィルム1は、透明な熱可塑性基材フィルム2の片面に、ハードコート層3と低屈折率層4とがその順で設けられている。後述するように、このインサート成形用多層フィルム1は、プレフォーム工程の加温プレスにより賦形(プレフォーム)され、その後、賦形されたフィルムは射出成形金型内に保持され、背面から溶融された熱可塑性樹脂が流し込まれて、その熱可塑性樹脂と一体化される。表面の低屈折率層4は、傷つきにくさと反射防止性のための層であり、屈折率を下げるために中空シリカ等の微粒子4aが配合されており、硬い組成になっている。このため、プレフォーム工程の成形時に、表面の傷等による応力集中を受けて樹脂の切断が起こりやすく、クラックが発生しやすい。
低屈折率層4で発生したクラックがハードコート層3に伝播するのを抑制する方法として、マイクロクラックによるポリマー破壊のグリフィス理論から、クラックの生成による破壊を抑えるためには、損失正接(tanδ)を大きくする方法を見出し、この損失正接(tanδ)に注目した。
そこで、加温プレス(賦形)での成形温度である130℃において、良好な成形加工性と耐摩耗性が両立するには、ハードコート層3の130℃における、動的粘弾性測定装置により測定される損失正接(tanδ)が、0.21以上0.68以下であり、かつ、低屈折率層4の130℃での単体伸度(L:%)が、70%以下であり、前記損失正接(tanδ)との関係で、(−277×tanδ+128)≦L≦(−148×tanδ+131)であることを見出した。
つまり、tanδが高い場合は低屈折率層4でクラックが入った場合であっても、ハードコート層3へのクラックの伝播を抑制でき、成形加工性が良好になる。また、低屈折率層4の単体伸度が高ければ低屈折率層4でクラック自体が入らず、tanδは低くても成形加工性が良好になる。tanδが0.68を超えるとハードコート層3が柔らかすぎて、荷重をかけたときに、低屈折率層4に傷が発生する虞があり、tanδが0.21未満であるとハードコート層3が硬すぎて成形加工性が悪くなる虞がある。また、低屈折率層4の単体伸度が70%より高くなると、低屈折率層4が柔らかすぎて、荷重をかけたときに、その低屈折率層4に傷が発生する虞がある。すなわち、透明な熱可塑性基材フィルム2の片面に、130℃での損失正接(tanδ)が0.21以上0.68以下のハードコート層3を設けると同時に、このハードコート層3の上に、130℃での単体伸度(L:%)が、70%以下であり、前記損失正接(tanδ)との関係で、(−277×tanδ+128)≦L≦(−148×tanδ+131)である低屈折率層4を形成することで、インサート成形用多層フィルム1を賦形するプレフォーム工程での成形加工性の向上と、耐摩耗性の向上を図ることができる。
以下に、このインサート成形用多層フィルム1の構成要素について説明する。
<熱可塑性基材フィルム>
透明な熱可塑性基材フィルム2の材料は、特に限定されるものではないが、耐衝撃性、耐候性を備えるとともに、透明性が高く、成形加工時の負荷にも耐える点で、ポリカーボネートまたはポリメチル(メタ)アクリレートからなるフィルムを使用することが好ましい。特に、ポリメチル(メタ)アクリレートは、後に詳述するハードコート層3との密着性が良好であり、熱可塑性基材フィルム2として適している。また、ポリカーボネートは、インサート成形に好適であるが、耐溶剤性やハードコート層3との密着性が劣っているため、ポリカーボネートにポリメチル(メタ)アクリレートを積層した構造のものが、熱可塑性基材フィルム2の材料として適している。そこで、図示実施の形態においては、熱可塑性基材フィルム2は、ポリカーボネート層2aとポリメチル(メタ)アクリレート層2bとの複数層(二層)構造からなり、ハードコート層3は、ポリメチル(メタ)アクリレート層2b上に形成される。
熱可塑性基材フィルム2の厚みは、30〜500μmの範囲にあることが好ましく、75〜400μmの範囲にあることがより好ましい。30μmより小さい場合はインサート成形する際にしわになる懸念があり、500μmより大きい場合は、インサート成形する際にクラックなどが生じる懸念がある。熱可塑性基材フィルム2には、各種の添加剤が含有されていてもよい。
<ハードコート層>
本発明のハードコート層3の、JIS K7244−4に基づき動的粘弾性測定装置により測定される、130℃における損失正接(tanδ)は、0.21以上0.68以下である。損失正接が0.21未満では、低屈折率層4でのクラック発生の有無に関わらず硬すぎて成形加工性が悪くなる虞がある。0.68を超えると、ハードコート層3が軟らかすぎるため、低屈折率層4の伸度に関わらず、耐摩耗性に係る荷重を与えると低屈折率層4に傷が発生する虞がある。
ハードコート層3は、透明な熱可塑性基材フィルム2のポリメチル(メタ)アクリレート層2b上に、ハードコート層用塗工液を塗工し、紫外線照射することで作製される。塗工方法は、例えば、リバースグラビアコート法、ダイレクトグラビアコート法、ダイコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、ロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ナイフコート法、キスコート法等のようなコーティング方法を用いることができるが、これらに限定されるわけではない。
紫外線の照射装置については、高圧水銀ランプ、無電極(マイクロ波方式)ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、その他の任意のランプを用いた紫外線照射装置を使用することができる。また、紫外線の照射量については、50〜800mJ/cm2の範囲、好ましくは、100〜300mJ/cm2の範囲であるのがよい。
このハードコート層3の膜厚は、0.5μm以上、15μm以下の範囲とすることが好ましく、0.5μm未満では、十分な強度が得られず、また、15μmを越えるとカールとかクラックが発生する虞がある。
ハードコート層用塗工液は、詳しくは、ハードコート層3を形成する硬化性組成物であって、紫外線によって硬化するものが好ましい。この紫外線によって硬化する組成物は、バインダー(紫外線硬化性化合物および光重合開始剤を含む)、添加剤、有機溶剤を含む組成物である。ここで、紫外線硬化性化合物としては、例えば、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマーあるいはプレポリマーの単独またはそれらの混合物を用いることができ、特に、ハードコート層3の強度とプレフォーム工程の成形における金型への追従性を付与することができる、例えばウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを主成分とするのが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、UV−6300B、UV−7650B、UV−7630B(日本合成化学工業株式会社製、商品名)とか、UF−8001G(共栄社化学株式会社製、商品名)とか、U−2PPA、UA−122P(新中村化学工業株式会社製、商品名)とか、UN−3220HA、UN−2700(根上工業株式会社製、商品名)とか、EBECRYL8254、EBECRYL8528、EBECRYL8807(ダイセル・オルネクス株式会社製、商品名)とかが知られているが、これらの紫外線硬化性化合物を、単独の使用、あるいは2種以上の混合での使用でも構わない。
また、市販されているハードコート塗材の中でtanδが0.21〜0.68の範囲内であるもの(例えば、アイカアイトロンZ−607−5L(アイカ工業株式会社製、商品名)、アイカアイトロンZ−607−9L(アイカ工業株式会社製、商品名)など)を選択しても良い。
ハードコート層3のハードコート塗膜のガラス転移点(Tg)は、特に制限されないが、例えば、80〜140℃の範囲であることが好ましく、95〜130℃の範囲であるのがより好ましい。ガラス転移点が低すぎると、ハードコート層3の強度低下の問題が生じる虞があり、また、ガラス転移点が高すぎると、プレフォーム工程の際に割れが生じやすくなる懸念がある。
光重合開始剤は、紫外線照射により、分解して重合を開始させるものであれば特に限定されず、それら光重合開始剤を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
前記ハードコート層用塗工液には、塗工時の濡れ性(wettability)を改善するとともに、干渉縞(unever interference)やハジキ(cissing)を防止するため、レベリング剤を用いることが好ましい。また、レベリング剤の添加により、ハードコート層3に含まれる後述の微粒子3aの分散性の向上も期待できる。このレベリング剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系のレベリング剤を用いることができるが、フッ素系レベリング剤がより好ましい。フッ素系レベリング剤としては、フルオロ基、親水基、親油基、紫外線反応基を含有したオリゴマー等があり、市販品としては、例えば、フタージェント(株式会社ネオス製、商品名)、オプツール(ダイキン工業株式会社製、商品名)、KY−1200シリーズ(信越化学工業株式会社製、商品名)などが知られている。
前記レベリング剤は、前記ハードコート層用塗工液における含有量が、バインダー(紫外線硬化性化合物および光重合開始剤を含む)に対し、0.05〜5重量%であることが好ましく、0.15〜3重量%であることがより好ましい。レベリング剤が、0.05重量%未満であると、平滑な膜面が得られず、また、5重量%を超えると、前記塗工液の泡立ちとか、塗工膜の白化の虞がある。
前記硬化性組成物(つまり、ハードコート層3)には、ハードコート層3の機械強度を高めるため、微粒子3a、特に、無機微粒子が含まれる。この微粒子3aとして、シリカなどから得られる無機粒子、アルミニウム(アルミナ)、チタン(チタニア)、ジルコニウムなどから得られる金属酸化物粒子等がある。
シリカについては、コロイダルシリカとして、例えば、メタノールシリカゾル、MA−ST−M、IAP−ST、EAC−ST、MEK−ST−L、MIBK−ST、MEK−AC−2140Z(日産化学工業株式会社製、商品名)などが知られており、粉体シリカとして、例えば、アエロジル300、アエロジル380(日本アエロジル株式会社製、商品名)などが知られている。
アルミナについては、例えば、AS−200(日産化学工業株式会社製、商品名)、NANOBYK−3601(ビックケミー社製、商品名)、Z−607ALU(アイカ工業株式会社製、商品名)などを用いることができる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これら無機粒子や金属酸化物粒子は、塗膜強度を向上する目的に加えて、屈折率の調整や表面粗さの調整にも好ましく使用でき、単独のみならず混合して使うことも可能である。
微粒子3aの平均粒径は、10〜400nmの範囲にあるのが好ましく、30〜400nmの範囲にあるのがより好ましい。平均粒径が400nmを超えると、形成される表面凹凸が大きくなり、そのためギラツキが発生したり、滑り性が適正にならなくなったりする虞がある。ここで、平均粒径とは、国際標準化機構規格ISO 13320を基とする日本工業規格JIS Z8825に従うレーザ回折・散乱法により得られる体積基準の粒子径分布の、算術平均値を言う。
また、前記硬化性組成物には、有機溶剤が含まれるが、この有機溶剤で紫外線硬化性化合物、光重合開始剤、微粒子3a、およびレベリング剤等を溶解あるいは分散させることで、ハードコート層3を形成するための塗工液とすることができる。また、有機溶剤を用いて塗工液を希釈することにより、膜厚を適宜調整できる。
有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルのようなアルコール系の有機溶剤や、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン(アノン)、アセトン等のようなケトン系有機溶剤や、酢酸ブチル、酢酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のようなエステル系有機溶剤や、トルエン、キシレン等のような芳香族系有機溶剤や、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のようなアミド系有機溶剤等を用いることができる。
<低屈折率層>
低屈折率層4の130℃における単体伸度は、70%以下である。低屈折率層4の単体伸度が70%を超えると、プレフォーム時に追従性があるためクラックは発現しないが、傷がつきやすい。単体伸度が低いと、プレフォーム時にクラックが発生しやすいが、前述の通り低屈折率層4でクラックが発生しても、低屈折率層4の単体伸度(L:%)とハードコート層3の前記損失正接(tanδ)が、(−277×tanδ+128)≦L≦(−148×tanδ+131)の関係であれば、ハードコート層3へのクラックの伝播、さらには、ハードコート層3でのクラックの伸展を抑制でき、プレフォームでの成形加工性は良好である。
低屈折率層4の厚みは、30nm〜200nmの範囲にあることが好ましく、特に80nm〜110nmの範囲が好ましい。30nmより薄い膜厚であったり、200nmよりも厚い膜厚であると、表面反射を軽減する効果が著しく低下する。視感反射率としては、2.0%以下が実使用上好ましい。
低屈折率層用塗工液は、低屈折率層4を形成する硬化性組成物であって、好ましくは、紫外線によって硬化するものがよい。この組成物は、バインダー(紫外線硬化性化合物および光重合開始剤を含む)、微粒子4aとして中空シリカ微粒子、有機溶剤、添加剤とからなっている。紫外線硬化性化合物としては、例えば、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマーあるいはプレポリマーの単独またはそれらの混合物を用いることができ、特に、ハードコート層3と同様の理由で、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを主成分とするのが好ましい。低屈折率層4の屈折率は、ハードコート層3の屈折率より低く設定され、その屈折率は1.42以下が好ましい。1.42を上回る場合には反射防止性能が劣る。
低屈折率層4には、前述のように、微粒子4aが含まれる。低屈折率層4は、中空シリカなどの微粒子4aの配合によって屈折率を下げている。微粒子4aの大きさは、光の散乱を抑制するためにも、0.1μm以下であることが好ましい。市販品としては、例えば、シリナックス(日鉄鉱業株式会社製、商品名)、スルーリアNAU(日揮触媒化成株式会社製、商品名)などが知られている。表面未処理の中空シリカを配合した場合、プレフォーム工程で中空シリカ表面とバインダー間で応力集中によるクラックが発生しやすいので、その応力集中を緩和するには、表面処理済の中空シリカを配合するのがよい。
前記低屈折率層4には、添加剤として含フッ素アクリル化合物が含有されており、このような材料として、前記したハードコート層3のレベリング剤と同種のものを用いることができる。この含フッ素アクリル化合物は、防指紋性を発現し、多層フィルム1を車載用途で使用する場合は、ナビゲーション画面の操作などにより指紋が付着し視認性が低下することを防止することができるとともに、表面の滑り性が良くなるため、耐摩耗性にも効果がある。
前記含フッ素アクリル化合物は、前記低屈折率層用塗工液における含有量が、バインダー(紫外線硬化性化合物および光重合開始剤を含む)に対し、0.5〜5重量%であることが好ましく、0.8〜3重量%であることがより好ましい。含フッ素アクリル化合物が、0.5重量%未満であると、平滑な膜面が得られず、また、5重量%を超えると、前記塗工液の泡立ちとか、塗工膜の白化の虞がある。
低屈折率層4は、ハードコート層3の上に、低屈折率層用塗工液を塗工し、紫外線照射することで作製される。塗工方法は、ハードコート層用塗工液と同様のコーティング方法を用いることができる。
紫外線の照射装置および紫外線の照射量についても、ハードコート層用塗工液についての紫外線照射の場合と同様でよい。
有機溶剤についても、ハードコート層用塗工液の有機溶剤と同様の有機溶剤を用いることができる。
インサート成形物は、前記インサート成形用多層フィルム1を備える。詳細には、インサート成形物は、インサート成形用多層フィルム1が賦形(プレフォーム)され、そのインサート成形用多層フィルム1の、ハードコート層3と低屈折率層4が設けられていない側の面に、熱可塑性樹脂が溶着するように、インサート成形用多層フィルム1がインサートされて成形されている。
詳細には、インサート成形用多層フィルム1は、プレ成形工程で、加温プレス成形により賦形される。その後、賦形されたインサート成形用多層フィルム1は、射出成形金型内に保持され、背面より溶融された熱可塑性樹脂が流し込まれることにより、インサート成形用多層フィルム1と熱可塑性樹脂とが一体化したインサート成形物が得られる。
熱可塑性樹脂については、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネートなどの透明な樹脂を用いることができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、ハードコート層3には、微粒子3aが含まれるが、図2に示すように、この微粒子3aは含まれなくてもよい。
また、熱可塑性基材フィルム2は、ポリカーボネート層2aとポリメチル(メタ)アクリレート層2bとの二層構造からなるが、ポリカーボネート層2aあるいはポリメチル(メタ)アクリレート層2bの一層からなっていてもよく、また、他の材料を用いた、一層あるいは多層構造からなっていてもよい。
また、ハードコート層3および/または低屈折率層4の主成分は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂であるのがよく、このため、前述したように、ハードコート層用塗工液とか低屈折率層用塗工液の紫外線硬化性化合物は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを主成分とするものであるのが好ましいが、これに限るものではない。
また、インサート成形用多層フィルム1は、車載のディスプレイ用のハードコートフィルムとして好適に用いることができるが、その用途は、特に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例をもって具体的に詳述するが、本発明は、それら実施例に制限されるものではない。
物性値の評価方法は、次の通りである。
(1)ハードコート層のtanδの測定
セパレートフィルム(東山フイルム株式会社製「HY−PS11」、厚み50μm)の離型面に、ハードコート層用樹脂組成物(ハードコート層用塗工液)をバーコーターにて硬化後の膜厚が40μmとなるように塗布し、160W高圧水銀ランプにて光量200mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させることによりハードコートフィルムを作製した。その後、ハードコート層のみをセパレートフィルムから離型させ、試験サンプルを作製した。JIS K7244−4に基づき、動的粘弾性測定装置(レオロジー社製、FTレオスペクトラーDVE−V4)を用いて、引張りモード、周波数10Hzにて、tanδを測定した。一般的に粘弾性測定においては、tanδは、実測値として10℃程度高い温度帯で測定され、測定温度の実測値のバラツキも考慮して、得られたデータより130〜150℃の平均値を算出した。
(2)低屈折率層の単体伸度の測定
熱可塑性基材フィルムとしてポリエステルフィルム(東レ株式会社製「SF20」、厚み188μm)の片面に、低屈折率層用樹脂組成物(低屈折率層用塗工液)をバーコーターにて硬化後の膜厚が100nmとなるように塗布し、160W高圧水銀ランプにて光量200mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させることにより低屈折率層フィルムを作製した。基材フィルムに低屈折率層が積層されたサンプルを、長さ100mm×幅15mmの矩形に切り出して試験サンプルを作製した。引張試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフAG―IS 1KN)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度400mm/minで、引張試験を行った。クラックが発生したときの単体伸度をクラック単体伸度とした。測定時の環境は、温度130℃であり、サンプル設置3分後から、5%ずつ伸ばし目視で観察した。
(3)成形加工性の評価
インサート成形用多層フィルムを、600℃に加熱した赤外線ヒーターで9秒加熱した後、金型温度85℃で真空成形を行った。金型の形状は、60mm×130mm、絞り高さ5mmで、天面部に深さ1mmとなる凹み形状を持つ平面金型5を用いた(図3参照)。真空成形により賦形(プレフォーム)した成形品の成形状態を目視で観察し、以下の数字で評価した。判定基準を下記に示す。この賦形の成形加工性のランクが3以上のものを成形加工性が良好と判断した。
1:側面部全面と天面部と各辺全長と各角部にクラックが発生している。
2:側面部全面と各辺全長と各角部にクラックが発生しているが、天面部にクラックの発生がない。
3:側面部の一部と各辺全長と各角部にクラックが発生している。
4:各辺全長にクラックが発生している。
5:各辺の一部にクラックが発生している。
6:クラックの発生がない。
(4)耐摩耗性の評価
インサート成形用多層フィルムの表面を、平面摩耗試験機(株式会社大栄科学精器製作所製、PAS−400)を用いて、2枚重ねのネル布に1000gf/4cm2の荷重をかけて、ストローク幅70mm、速度140mm/secで1000往復摩擦したあと、裏面に黒色塗料を塗り、反射光で表面を目視観察し、以下の数字で評価した。判定基準を下記に示す。反射光で目視観察して、容易に目視可能なキズを深いキズ、LEDなどの光源で目視可能なキズを細かいキズとした。
1:細かいキズ、深いキズが10本以上ある。
2:細かいキズは10本以上あるが、深いキズは10本以下。
3:細かいキズ、深いキズが10本以下。
4:細かいキズは10本以下で、深いキズはない。
5:キズがない。
(5)膜厚の測定
膜厚は、実際に習得した各波長の反射率スペクトルと、膜厚、屈折率を入力する反射率シミュレーションによって得られるスペクトルとをフィッティングさせる方法で算出した。
(6)視感度反射率の測定
インサート成形用多層フィルムの裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを紫外可視近赤外分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−3600)により、5°正反射率を測定し、この測定値に比視感度値を乗じて視感度反射率を算出した。
<実施例1>
(ハードコート層用塗工液(1)の調製)
紫外線硬化型樹脂組成物Z−607−5L(アイカ工業株式会社製、固形分濃度30重量%)を、固形分濃度25重量%となるようにPGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を加え、ハードコート層用塗工液(1)を得た。
(低屈折率層用塗工液(1)の調製)
微粒子4aとしての中空シリカ微粒子を含む紫外線硬化型樹脂組成物ELCOM P−5062(日揮触媒化成株式会社製、固形分濃度3重量%、平均粒径60nm)100重量部に対し、含フッ素アクリル化合物としてKY−1203(信越化学工業株式会社製、固形分濃度20重量%)を0.6重量部加え、固形分濃度2.5重量%となるようにIPA(イソプロピルアルコール)を加え、低屈折率層用塗工液(1)を得た。
(インサート成形用多層フィルム(1)の作製)
ポリカーボネート層2a、ポリメチルメタクリレート層2bとの二層構造からなる熱可塑性基材フィルム2としての透明基材フィルム(エスカーボシート株式会社製、「テクノロイC003」、厚み300μm)のポリメチルメタクリレート層2b上に、ハードコート層用塗工液(1)を#10のワイヤーバーを用いて、硬化後のハードコート層3の膜厚が3.5μmとなるように塗布し、100℃×1分で乾燥後、160W高圧水銀ランプにて光量200mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させることにより、ハードコート層3を形成した。次に、このハードコート層3上に、低屈折率層用塗工液(1)を#4のワイヤーバーを用いて、硬化後の低屈折率層4の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、80℃×1分で乾燥後、窒素雰囲気下、160W高圧水銀ランプにて光量200mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させることにより、低屈折率層4を形成し、インサート成形用多層フィルム(1)を作製した。
<実施例2>
(低屈折率層用塗工液(2)の調製)
紫外線硬化型樹脂組成物ELCOM P−5062(日揮触媒化成株式会社製、固形分濃度3重量%、平均粒径60nm)/Z−825−6L改(アイカ工業株式会社製、固形分濃度3重量%、開発品)(混合割合5/5)、100重量部に対し、含フッ素アクリル化合物としてKY−1203(信越化学工業株式会社製、固形分濃度20重量%)を0.6重量部加え、固形分濃度2.5重量%となるようにIPA(イソプロピルアルコール)を加え、低屈折率層用塗工液(2)を得た。
(インサート成形用多層フィルム(2)の作製)
低屈折率層用塗工液(1)を低屈折率層用塗工液(2)に変更する以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用多層フィルム(2)を作製した。
<実施例3>
(ハードコート層用塗工液(2)の調製)
紫外線硬化型樹脂組成物Z−607−5L(アイカ工業株式会社製、固形分濃度30重量%)/Z−607−9L(アイカ工業株式会社製、固形分濃度30重量%)(混合割合6/4)を、固形分濃度25重量%となるようにPGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を加え、ハードコート層用塗工液(2)を得た。
(インサート成形用多層フィルム(3)の作製)
ハードコート層用塗工液(1)をハードコート層用塗工液(2)に変更する以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用多層フィルム(3)を作製した。
<実施例4>
(インサート成形用多層フィルム(4)の作製)
ハードコート層用塗工液(1)をハードコート層用塗工液(2)に、低屈折率層用塗工液(1)を低屈折率層用塗工液(2)に変更する以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用多層フィルム(4)を作製した。
<実施例5>
(低屈折率層用塗工液(3)の調製)
紫外線硬化型樹脂組成物Z−825−6L改(アイカ工業株式会社製、固形分濃度3重量%、開発品)、100重量部に対し、含フッ素アクリル化合物としてKY−1203(信越化学工業株式会社製、固形分濃度20重量%)を0.6重量部加え、固形分濃度2.5重量%となるようにIPA(イソプロピルアルコール)を加え、低屈折率層用塗工液(3)を得た。
(インサート成形用多層フィルム(5)の作製)
ハードコート層用塗工液(1)をハードコート層用塗工液(2)に、低屈折率層用塗工液(1)を低屈折率層用塗工液(3)に変更する以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用多層フィルム(5)を作製した。
<実施例6>
(ハードコート層用塗工液(3)の調製)
紫外線硬化型樹脂組成物Z−607−5L(アイカ工業株式会社製、固形分濃度30重量%)/Z−607−9L(アイカ工業株式会社製、固形分濃度30重量%)(混合割合3/7)を、固形分濃度25重量%となるようにPGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を加え、ハードコート層用塗工液(3)を得た。
(低屈折率層用塗工液(4)の調製)
紫外線硬化型樹脂組成物ELCOM P−5062(日揮触媒化成株式会社製、固形分濃度3重量%、平均粒径60nm))/Z−825−6L改(アイカ工業株式会社製、固形分濃度3重量%、開発品)(混合割合2/8)、100重量部に対し、含フッ素アクリル化合物としてKY−1203(信越化学工業株式会社製、固形分濃度20重量%)を0.6重量部加え、固形分濃度2.5重量%となるようにIPA(イソプロピルアルコール)を加え、低屈折率層用塗工液(4)を得た。
(インサート成形用多層フィルム(6)の作製)
ハードコート層用塗工液(1)をハードコート層用塗工液(3)に、低屈折率層用塗工液(1)を低屈折率層用塗工液(4)に変更する以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用多層フィルム(6)を作製した。
<実施例7>
(ハードコート層用塗工液(4)の調製)
紫外線硬化型樹脂組成物Z−607−9L(アイカ工業株式会社製、固形分濃度30重量%)を、固形分濃度25重量%となるようにPGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を加え、ハードコート層用塗工液(4)を得た。
(インサート成形用多層フィルム(7)の作製)
ハードコート層用塗工液(1)をハードコート層用塗工液(4)に、低屈折率層用塗工液(1)を低屈折率層用塗工液(3)に変更する以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用多層フィルム(7)を作製した。
<実施例8>
(ハードコート層用塗工液(5)の調製)
紫外線硬化型樹脂組成物Z−607−5L(アイカ工業株式会社製、固形分濃度30重量%)、100重量部に対し、微粒子3aとして無機微粒子を含むZ−607ALU(アイカ工業株式会社製、固形分濃度30重量%、平均粒径32nm)を15重量部加え、固形分濃度25重量%となるようにPGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を加え、ハードコート層用塗工液(5)を得た。
(インサート成形用多層フィルム(8)の作製)
ハードコート層用塗工液(1)をハードコート層用塗工液(5)に変更する以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用多層フィルム(8)を作製した。
<実施例9>
(低屈折率層用塗工液(5)の調製)
紫外線硬化型樹脂組成物TU2361(荒川化学工業株式会社製、固形分濃度10重量%)、100重量部に対し、含フッ素アクリル化合物としてKY−1203(信越化学工業株式会社製、固形分濃度20重量%)を1.0重量部加え、固形分濃度2.8重量%となるようにメチルイソブチルケトン(MIBK)を加え、低屈折率層用塗工液(5)を得た。
(インサート成形用多層フィルム(9)の作製)
低屈折率層用塗工液(1)を低屈折率層用塗工液(5)に変更し、低屈折率層4を形成するとき、70℃×1分で乾燥後、160W高圧水銀ランプにて光量300mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させた以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用多層フィルム(9)を作製した。
<実施例10>
(ハードコート層用塗工液(6)の調製)
紫外線硬化型樹脂組成物Z−607−26HL(アイカ工業株式会社製、固形分濃度40重量%)、100重量部に対し、無機微粒子としてZ−607ALU(アイカ工業株式会社製、固形分濃度30重量%、平均粒径32nm)を20重量部加え、固形分濃度25重量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を加え、ハードコート層用塗工液(6)を得た。
(低屈折率層用塗工液(6)の調製)
含フッ素アクリル化合物としてKY−1203(信越化学工業株式会社製、固形分濃度20重量%)を2.0重量部に変更する以外は、低屈折率層用塗工液(5)と同様にして、低屈折率層用塗工液(6)を得た。
(インサート成形用多層フィルム(10)の作製)
ハードコート層用塗工液(1)をハードコート層用塗工液(6)に、低屈折率層用塗工液(1)を低屈折率層用塗工液(6)に変更する以外は、実施例1と同様にしてインサート成形用多層フィルム(10)を作製した。
<比較例1>
(インサート成形用多層フィルム(11)の作製)
低屈折率層用塗工液(1)を低屈折率層用塗工液(3)に変更する以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用多層フィルム(11)を作製した。
<比較例2>
(インサート成形用多層フィルム(12)の作製)
ハードコート層用塗工液(1)をハードコート層用塗工液(4)に変更する以外は、実施例(1)と同様にして、インサート成形用多層フィルム(12)を作製した。
<比較例3>
(インサート成形用多層フィルム(13)の作製)
ハードコート層用塗工液(1)をハードコート層用塗工液(4)に、低屈折率層用塗工液(1)を低屈折率層用塗工液(2)に変更する以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用多層フィルム(13)を作製した。
<比較例4>
(インサート成形用多層フィルム(14)の作製)
ハードコート層用塗工液(1)をハードコート層用塗工液(4)に、低屈折率層用塗工液(1)を低屈折率層用塗工液(4)に変更する以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用多層フィルム(14)を作製した。
<比較例5>
(インサート成形用多層フィルム(15)の作製)
ハードコート層用塗工液(1)をハードコート層用塗工液(3)に、低屈折率層用塗工液(1)を低屈折率層用塗工液(2)に変更する以外は、実施例1と同様にして、インサート成形用多層フィルム(15)を作製した。
ハードコート層3の損失正接(tanδ)、低屈折率層4の単体伸度、インサート成形用多層フィルムの成形加工性、耐摩耗性の評価結果を表1に示す。
Figure 2019119206
実施例1〜実施例10と比較例1〜比較例5の比較から、ハードコート層3の損失正接(tanδ)は、0.21〜0.68に入り、かつ、低屈折率層4の単体伸度(L:%)は、70%以下であり、前記損失正接(tanδ)との関係で、(−277×tanδ+128)≦L≦(−148×tanδ+131)であれば、成形加工性と耐摩耗性が良好であることがわかる。
1 インサート成形用多層フィルム
2 熱可塑性基材フィルム
2a ポリカーボネート層
2b ポリメチル(メタ)アクリレート層
3 ハードコート層
4 低屈折率層

Claims (4)

  1. 透明な熱可塑性基材フィルムの片面に、ハードコート層と低屈折率層とがその順で設けられた、インサート成形用多層フィルムであって、
    前記ハードコート層の130℃における、動的粘弾性測定装置により測定される損失正接(tanδ)が、0.21以上0.68以下であり、かつ、前記低屈折率層の130℃での単体伸度(L:%)が、70%以下であり、前記損失正接(tanδ)との関係で、(−277×tanδ+128)≦L≦(−148×tanδ+131)である、インサート成形用多層フィルム。
  2. 前記ハードコート層および/または前記低屈折率層の主成分が、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂である、請求項1に記載のインサート成形用多層フィルム。
  3. 前記熱可塑性基材フィルムが、ポリカーボネート層とポリメチル(メタ)アクリレート層との複数層構造からなり、前記ハードコート層は、ポリメチル(メタ)アクリレート層上に形成されている、請求項1または2に記載のインサート成形用多層フィルム。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインサート成形用多層フィルムを備えるインサート成形物であって、
    前記インサート成形用多層フィルムが賦形され、そのインサート成形用多層フィルムの、前記ハードコート層と前記低屈折率層とが設けられていない側の面に、熱可塑性樹脂が溶着するように、前記インサート成形用多層フィルムがインサートされて成形されている、インサート成形物。
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