JP5356612B2 - 保護フィルム付き微細凹凸構造体およびその製造方法 - Google Patents

保護フィルム付き微細凹凸構造体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、保護フィルム付き微細凹凸構造体およびその製造方法に関する。
本願は、2011年08月16日に、日本に出願された特願2011−177818号、および2011年11月25日に、日本に出願された特願2011−257915号、に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
微細な凹凸が規則的に配置された微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体は、連続的に屈折率を変化させることで、反射防止性能を発現することが知られている。微細凹凸構造体が良好な反射防止性能を発現するためには、隣り合う凸部同士または凹部同士の間隔(周期)が可視光の波長以下である必要がある。このような微細凹凸構造体は、ロータス効果により超撥水性能を発現することも可能である。
微細凹凸構造を形成する方法としては、例えば、下記の方法等が提案されている。
・微細凹凸構造が表面に形成されたモールドを用いて射出成形やプレス成形を行う方法(方法1)。
・モールドと透明基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、樹脂組成物と記す。)を配し、活性エネルギー線の照射によって樹脂組成物を硬化させてモールドの微細凹凸構造を硬化物に転写した後、モールドを硬化物から剥離する方法(方法2)。
・樹脂組成物にモールドの微細凹凸構造を転写した後、モールドを樹脂組成物から剥離し、活性エネルギー線の照射によって樹脂組成物を硬化させる方法(方法3)。
これらの中でも、微細凹凸構造の転写性、表面組成の自由度を考慮すると、活性エネルギー線の照射によって樹脂組成物を硬化させて、モールドの微細凹凸構造を転写する方法(方法2、3)が好適である。この方法は、連続生産が可能なベルト状やロール状のモールドを用いる場合に特に好適であり、生産性に優れた方法である。
ところで、微細凹凸構造体には、下記の問題がある。
・同じ樹脂組成物を用いて作製した表面が平滑な成形体に比べて耐擦傷性に劣る。
・モールドの微細凹凸構造を転写したフィルム状の微細凹凸構造体を連続的に生産し、これをロール状に巻き取った場合に、硬化物の硬度が十分でないと、巻き締まりによって微細凹凸構造の形状(特に凸部の形状)が変化することがある。
・モールドの微細凹凸構造を転写したフィルム状の微細凹凸構造体を各種ディスプレイ等に貼り付ける際の荷重によって微細凹凸構造の形状(特に凸部の形状)が変化することがある。
そこで、微細凹凸構造の形状を維持(保護)することを目的として、微細凹凸構造体を使用するまでの間、微細凹凸構造側の表面に保護フィルムを貼着することがある。
しかし、微細凹凸構造の周期が数nm〜数百nmである場合、通常の微細凹凸構造に比べて凸部同士の間隔が狭いため、微細凹凸構造体と保護フィルムとの接触面積が小さい。
また、保護フィルムの粘着剤層の粘着剤成分が微細凹凸構造の凹部に入り込みにくい。そのため、保護フィルムが微細凹凸構造体に十分に密着せず、保管時や運搬時に保護フィルムが剥がれることがある。
微細凹凸構造を表面に有する光学フィルム用の保護フィルムであって、密着性に優れた保護フィルムとしては、下記のものが開示されている。
(1)粘着剤層を有し、該粘着剤層をプリズムシートに貼り付けた後、特定の条件で押し付けた際のプリズムシートの粘着剤層の厚さに対する食い込み度が45%以下である保護フィルム(特許文献1)。
(2)表面粗さが0.030μm以下である粘着剤層を有する保護フィルム(特許文献2)。
このように保護フィルムには密着性が求められる一方で、通常よりも粘着力の強い粘着剤等を含む粘着剤層を備えた保護フィルム(強粘着保護フィルム)を用いると、粘着剤による微細凹凸構造体の表面汚染が生じるという問題がある。これは、時間が経過するにつれて粘着剤層の粘着剤成分が微細凹凸構造の凹部の深くまで浸透したり、保護フィルムを剥離した際に粘着剤成分が微細凹凸構造体の表面に残留したりすること(以下、これらを糊残りと記す。)が原因と考えられる。微細凹凸構造体の表面汚染は、反射防止性能の低下につながる。具体的には、反射率の波長依存性が変化したり、反射率が全体的に上昇したりする場合がある。
そこで、微細凹凸構造体に貼着しやすく、かつ粘着剤成分が微細凹凸構造の凹部の深くまで浸透しにくい保護フィルムとして、下記のものが開示されている。
(3)微細凹凸構造体の微細凹凸構造以外の部分に保護フィルムが貼着するように、基材フィルムの表面に粘着剤層が積層した保護フィルム(特許文献3)。
しかし、(1)〜(3)の保護フィルムは、必ずしも密着性と糊残りの抑制とを十分に満足するものではなかった。
特開2011−13496号公報 特開2011−88356号公報 特開2010−120348号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体と保護フィルムとが良好に密着し、不用意に剥がれず、保護フィルムを剥がした後に微細凹凸構造に糊残りが生じにくい保護フィルム付き微細凹凸構造体、およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、粘着剤成分による微細凹凸構造体の表面汚染(糊残り)は、微細凹凸構造の表面と粘着剤層との間で働く力と、保護フィルムを剥がす際に粘着剤層自身が引っ張られる力とのバランスを図ることで解決できることを見出した。
(2)の保護フィルムにおいては、粘着剤層を低ガラス転移温度に設計することによって、微細凹凸構造が粘着剤層に食い込み、接触面積を稼ぐことで密着性を出している。従来の保護フィルムにおいては、接触面積をいかに増やすかが重要であった。
しかし、接触面積を増やすことなく、接触部位における粘着剤層と微細凹凸構造との相互作用を強くすることによっても、十分な密着性を持たせることが可能である。
粘着剤層の強度(凝集力)が弱いと、微細凹凸構造の表面から粘着剤層を引き剥がすのに必要な力よりも弱い力で破断が生じ、粘着剤層が凝集破壊を引き起こす傾向にある。
したがって、微細凹凸構造の表面から粘着剤層を引き剥がすのに必要な力に十分に耐え得るだけの強度を粘着剤層が有していれば、糊残りは起こりにくくなるとの着想に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を有する。
(1) 可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体に、該微細凹凸構造体の表面を保護する保護フィルムが貼着した保護フィルム付き微細凹凸構造体であって、前記微細凹凸構造体の表面の水接触角が40°以下であり、前記保護フィルムが、前記微細凹凸構造側表面と接する粘着剤層を有し、かつ、前記粘着剤層を厚さ方向に圧縮率20%まで圧縮したときの圧縮応力が0.6〜3.0MPaである、保護フィルム付き微細凹凸構造体。
(2) 可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体に、該微細凹凸構造体の表面を保護する保護フィルムが貼着した保護フィルム付き微細凹凸構造体であって、前記保護フィルムが、前記微細凹凸構造側表面と接する粘着剤層を有し、前記微細凹凸構造の表面の赤外線吸収スペクトルにおける、3700〜3100cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積A1と、1730±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積A2との比(A1/A2)が、0.1〜0.8であり、前記粘着剤層の表面の赤外線吸収スペクトルにおける、3700〜3100cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積B1と、1730±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積B2との比(B1/B2)が、0.6〜1.3である、保護フィルム付き微細凹凸構造体。
(3) 前記粘着剤層の表面の赤外線吸収スペクトルにおける、3700〜3100cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積B1と、1730±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積B2との比(B1/B2)が、0.6〜1.3である、前記(1)に記載の保護フィルム付き微細凹凸構造体。
(4) 前記微細凹凸構造の表面の赤外線吸収スペクトルにおける、3700〜3100cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積A1と、1730±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積A2との比(A1/A2)が、0.1〜0.8である、前記(1)に記載の保護フィルム付き微細凹凸構造体。
(5) 前記粘着剤層の貯蔵弾性率E’が、10〜60℃のうちの少なくともいずれかの温度で1×10〜6×10Paの範囲にある、前記(1)に記載の保護フィルム付き微細凹凸構造体。
(6) 前記粘着剤層は、貯蔵弾性率E’が1.5×10Pa以上の範囲にゴム状平坦域を有する、前記(2)または(5)に記載の保護フィルム付き微細凹凸構造体。
(7) 前記(1)または(2)に記載の保護フィルム付き微細凹凸構造体を製造する方法であって、前記粘着剤層を加熱して、前記保護フィルムを前記微細凹凸構造体の表面に貼着させる、保護フィルム付き微細凹凸構造体の製造方法。
(8) 前記粘着剤層の貯蔵弾性率E’を6×10Pa以下にした状態で、前記保護フィルムを前記微細凹凸構造体の表面に貼着させる、前記(7)に記載の保護フィルム付き微細凹凸構造体の製造方法。
本発明の保護フィルム付き微細凹凸構造体は、微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体と保護フィルムとが良好に密着し、不用意に剥がれず、保護フィルムを剥がした後に微細凹凸構造に糊残りが生じにくい。
本発明の保護フィルム付き微細凹凸構造体の製造方法によれば、微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体と保護フィルムとが良好に密着し、不用意に剥がれず、保護フィルムを剥がした後に微細凹凸構造に糊残りが生じにくい保護フィルム付き微細凹凸構造体を製造できる。
保護フィルム付き微細凹凸構造体の一例を示す断面図である。 微細凹凸構造体の一例を示す断面図である。 微細凹凸構造体の他の例を示す断面図である。 エステル結合のC=O伸縮振動のピーク面積を求める際のベースライン引き方を説明する赤外線吸収スペクトルである。 OH伸縮振動のピーク面積を求める際のベースライン引き方を説明する赤外線吸収スペクトルである。 陽極酸化アルミナを表面に有するモールドの製造工程を示す断面図である。 実施例2−5、2−6における粘着剤層の貯蔵弾性率E’のグラフである。
本明細書における「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基またはメタクリロイル基を意味する。
また、本明細書における「活性エネルギー線」は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
また、本明細書における「可視光の波長」は、380〜780nmの波長を意味する。
図1、図2、図3、図6においては、各層を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層ごとに縮尺を異ならせてある。
また、図2、図3において、図1と同じ構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する場合がある。
<保護フィルム付き微細凹凸構造体>
「第一実施形態」
本発明の第一実施形態に係る保護フィルム付き微細凹凸構造体は、例えば図1に示すように、微細凹凸構造体10と、保護フィルム20とを有する。
保護フィルム付き微細凹凸構造体1は、微細凹凸構造体10の微細凹凸構造側の表面と保護フィルム20の粘着剤層21とが接するように、微細凹凸構造体10に保護フィルム20が貼着したものである。
微細凹凸構造体10がフィルム状またはシート状の場合、保護フィルム付き微細凹凸構造体1は、所定サイズの積層フィルムという形状でもよいし、巻物状であってもよい。
(微細凹凸構造体)
本実施形態の微細凹凸構造体10は、図2に示すように、基材11と、基材11の表面に形成された、微細凹凸構造を表面に有する硬化物12とを有する。
なお、微細凹凸構造が形成されている側(微細凹凸構造側)の表面を「微細凹凸構造体の表面」という場合がある。また、微細凹凸構造体がフィルム状またはシート状の場合、微細凹凸構造側とは反対側の表面を「微細凹凸構造体の裏面」という場合がある。
基材:
本実施形態の基材11としては、微細凹凸構造を表面に有する硬化物12を支持可能なものであればよく、微細凹凸構造体10をディスプレイ部材等に適用する場合は、透明基材、すなわち光を透過するものが好ましい。
透明基材の材料としては、合成高分子(メチルメタクリレート(コ)ポリマー、ポリカーボネート、スチレン(コ)ポリマー、メチルメタクリレート−スチレンコポリマー等)、半合成高分子(セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート、ポリ乳酸等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、これらの複合物(ポリメチルメタクリレートとポリ乳酸の複合物、ポリメチルメタクリレートとポリ塩化ビニルの複合物等)、ガラス等が挙げられる。
基材11の形状は、微細凹凸構造体10の用途に応じて適宜選択でき、微細凹凸構造体10が反射防止フィルム等である場合には、シート状またはフィルム状が好ましい。
基材11の製造方法としては、射出成形法、押出成形法、キャスト成形法等が挙げられる。
基材11の表面には、密着性、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の特性の改良を目的として、コーティングやコロナ処理が施されていてもよい。
硬化物:
本実施形態の硬化物12は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、樹脂組成物と記す。)の硬化物からなり、微細凹凸構造を表面に有する。
微細凹凸構造は、等間隔に並んだ円錐状の凸部13と凹部14とで形成される。
微細凹凸構造の周期、すなわち凸部13の頂部13aからこれに隣接する凸部13の頂部13aまでの距離Wは、可視光の波長以下である。
微細凹凸構造の周期が可視光の波長以下、すなわち380nm以下であれば、可視光の散乱を抑制でき、反射防止フィルム等の光学用途に好適に用いることができる。
微細凹凸構造の周期は、凸部13が形成しやすい点から、25nm以上が好ましい。
微細凹凸構造の周期は、電界放出形走査電子顕微鏡によって、隣接する凸部13同士の距離Wを10点測定し、これらの値を平均したものとする。
凸部13の高さ(または凹部14の深さ)、すなわち凸部13の頂部13aから凹部14の底部14aまでの垂直距離dは、波長により反射率が変動するのを抑制できる深さとすることが好ましい。具体的には、60nm以上が好ましく、90nm以上がより好ましく、150nm以上がさらに好ましく、180nm以上が特に好ましい。凸部13の高さが150nm近傍では、人が認識しやすいとされる550nmの波長域光の反射率を最も低くすることができる。特に、凸部13の高さが150nm以上になると、凸部13の高さが高くなるほど、可視光域における最高反射率と最低反射率の差が小さくなる。このため、凸部13の高さが150nm以上になれば、反射光の波長依存性が小さくなり、目視での色味の相違は認識されなくなる。
凸部13の高さは、凸部13の耐擦傷性が良好となる点から、400nm以下が好ましい。
凸部13の高さは、電界放出形走査電子顕微鏡によって、10個の凸部13の高さ(垂直距離d)を測定し、これらの値を平均したものとする。
凸部13の形状は、垂直面における断面積が、頂部13a側から基材11側に、連続的に増大する形状であることが、屈折率を連続的に増大させることができ、波長による反射率の変動(波長依存性)を抑制し、可視光の散乱を抑制して低反射率にできることから好ましい。
硬化物の水接触角:
ところで、上述したように、微細凹凸構造の周期が数nm〜数百nmである場合、凸部13同士の間隔が狭いため、微細凹凸構造体10と保護フィルム20との接触面積が小さく、保護フィルム20が微細凹凸構造体10に十分に密着しにくい。
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、微細凹凸構造の周期が原因となる密着性の低下は、硬化物12の物性によって改善できることを見出した。樹脂組成物によって硬化物12を形成する場合、その表面自由エネルギーによって密着性が変化する。例えば、フッ素コーティング処理すると汚れが付着しにくくなったり、シリコーン処理すると表面の摩擦が低くなったりすることは、すでに知られている。このように、極性の低い材料を用いると表面自由エネルギーは低くなり、密着性が低下する傾向にある。逆に極性の高い材料を用いると表面自由エネルギーは高くなり、密着性が向上する傾向にある。
本発明者らは、表面自由エネルギーの指標として、水接触角に着目した。
水接触角とは、巨視的には平面と見なせる表面上に水滴を落としたとき、平面、水滴、空気の3相が交わる点における水滴の接線の角度を指す。一般に、水接触角90°以下の場合は親水表面になり、水接触角が90°より大きくなると撥水表面になるとされている。水接触角が小さくなるほど、その表面の表面自由エネルギーは高いことを示す。
上述したような、可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を表面に有する場合、微細凹凸構造の構成材料(樹脂組成物)が親水性であれば、その表面における水接触角は小さくなり親水表面となる。逆に、微細凹凸構造の構成材料が疎水性であれば、その表面における水接触角は大きくなり疎水表面となる。
本実施形態においては、微細凹凸構造体10の表面の水接触角は40°以下であり、5〜30°が好ましく、10〜20°がより好ましい。水接触角が40°以下であれば、表面自由エネルギーが高くなり、保護フィルム20が微細凹凸構造体10に良好に密着する。
微細凹凸構造体10の表面の水接触角を40°以下にするためには、硬化物12の材料(樹脂組成物)に親水性の重合性成分を含ませることが簡便である。例えば、ポリエチレングリコール構造を有する重合性成分などを用いることで、微細凹凸構造体10の表面の水接触角を40°以下にできる。ポリエチレングリコール構造を有する重合性成分としては、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレートや、ポリエチレングリコールモノアクリレートなどが挙げられる。
微細凹凸構造体の指紋除去性:
ところで、微細凹凸構造体10を反射防止フィルム等として用いる場合、通常、ディスプレイ等の対象物の表面に貼り付けて用いられる。したがって、人の手に触れる機会が多いため、微細凹凸構造体10は、使用に際して付着する指紋汚れを除去できる指紋除去性を有することが好ましい。具体的には、国際公開第2008/096872号に示されるように、水拭きで指紋汚れを除去できるものが好ましい。
水拭きで指紋汚れを除去可能か否かの判断は、例えば、下記のような方法で行う。
微細凹凸構造体10の、微細凹凸構造側とは反対側の表面を、ラッカースプレー等によって黒く塗り、微細凹凸構造体10の微細凹凸構造側の表面に人差し指1本の指紋を付着させた後、5分間以内に水道水を入れた水槽中に3秒間浸漬させることによって水道水を十分染み込ませる。ついで、水滴が滴り落ちなくなる程度まで絞ったクリーニングクロスを用い、1cm四方当たり10gの荷重をかけて、指紋が付着した微細凹凸構造体10の表面を1回拭き取った後、該表面の外観を目視評価する。評価は室温23℃、相対湿度65%の環境下で、蛍光灯(1000ルクス)の下で多方向に傾けて行う。汚れが目視でわからないものを、水拭きで指紋汚れ除去可能と見なす。
微細凹凸構造体10の表面の水接触角が40°以下であれば、上述したように保護フィルム20が微細凹凸構造体10に良好に密着するのに加え、微細凹凸構造体10の微細凹凸構造側の表面が親水性となるため、微細凹凸構造体10の表面に付着した汚れと、微細凹凸構造体10の表面との間に水が濡れ広がり、汚れを浮かすことで汚れの除去が可能となる。したがって、水拭きで指紋汚れを容易に除去できる。
硬化物の赤外線吸収スペクトル:
微細凹凸構造体10の微細凹凸構造の表面、すなわち硬化物12の表面の赤外線吸収スペクトルにおける、3700〜3100cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積A1と、1730±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積A2との比(A1/A2)は、0.1〜0.8が好ましく、0.2〜0.7がより好ましく、0.3〜0.6がさらに好ましい。
A1/A2が0.1以上であれば、保護フィルム20が微細凹凸構造体10により良好に密着する。A1/A2が0.8以下であれば、微細凹凸構造体10が吸水して、凸部13同士が表面張力によって寄り添ってしまう現象を避けることができる。
また、A1/A2が0.1〜0.8であれば、上述したように保護フィルム20が微細凹凸構造体10により良好に密着するのに加え、微細凹凸構造体10の微細凹凸構造側の表面が親水性となるため、微細凹凸構造体10の表面に付着した汚れと、微細凹凸構造体10の表面との間に水が濡れ広がり、汚れを浮かすことで汚れの除去が可能となる。したがって、水拭きで指紋汚れを容易に除去できる。
なお、A1/A2と粘着剤層21の微細凹凸構造体10に対する密着性との関係や、赤外線吸収スペクトルの測定方法等については、後述する第二実施形態にて詳細に説明する。
微細凹凸構造体の用途:
本実施形態の微細凹凸構造体10は、可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を表面に有するため、光学用途、特に反射防止フィルム、立体形状の反射防止体等の反射防止物品として好適である。
微細凹凸構造体の他の形態:
本実施形態の微細凹凸構造体10は、図2に示すものに限定されない。
例えば、微細凹凸構造を有する硬化物12は、基材11の片面に形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。
また、微細凹凸構造は、硬化物12の表面全体に形成されていてもよく、表面の一部に形成されていてもよい。
また、凸部13の形状は、図2に示す円錐状または角錐状に限定されず、図3に示すような、凸部13の頂部13bが曲面である釣鐘状であってもよい。その他、垂直面における断面積が、頂部側から基材側に連続的に増大する形状を採用することができる。なお、微細凹凸構造体10に撥水性能を効果的に発現させるためには、凸部13の頂部が細いことが好ましく、微細凹凸構造体10と水滴の接触面における硬化物12の占有する面積ができるだけ少ないことが好ましい。
中間層:
また、図3に示すように、基材11と硬化物12との間に、耐擦傷性、接着性等の諸物性を向上させる目的で、中間層15を設けてもよい。
中間層15の材料としては、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、アクリルグラフトポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリカーボネート、ポリブタジエン、スチレン系樹脂等が挙げられる。
(保護フィルム)
本実施形態の保護フィルム20は、微細凹凸構造体10の表面を保護するものであり、図1に示すように、微細凹凸構造体10の微細凹凸構造側表面に貼り付けられる。
保護フィルム20は、フィルム基材22と、フィルム基材22の表面に形成された粘着剤層21とを有する。
粘着剤層:
本実施形態の粘着剤層21は、微細凹凸構造体10の微細凹凸構造側表面に接する。
粘着剤層21の厚さは、3〜200μmが好ましく、3〜100μmがより好ましく、3〜50μmがさらに好ましい。
粘着剤層の圧縮応力:
ところで、上述したように、保護フィルム20を微細凹凸構造体10の微細凹凸構造側表面に貼着させた場合、粘着剤層21中の粘着剤成分が微細凹凸構造の凹部14の深くまで浸透したり、保護フィルム20を剥離した際に粘着剤層21の一部や粘着剤成分が微細凹凸構造体10の表面に残留したりすることがある。糊残りを抑制するためには、粘着剤成分のうち、低分子量成分の含有量を比較的少なくすればよいが、これだけでは必ずしも十分ではない。
サブミクロンオーダーの微細凹凸構造を有する微細凹凸構造体10の表面に保護フィルム20を貼着する場合、粘着剤層21の強度が強すぎる(硬すぎる)と、微細凹凸構造体10の表面との接触面積を確保できず、また、粘着剤層21中の粘着剤成分が凹部14に入り込みにくいため、保護フィルム20の微細凹凸構造体10への密着性が悪くなるという問題がある。一方で、粘着剤層21の強度が弱すぎる(柔らかすぎる)と、粘着剤層21の粘着剤成分が微細凹凸構造の凹部14に深く入り込みすぎ、保護フィルム20が微細凹凸構造体10から剥離しにくくなるという問題がある。また、保護フィルム20の剥離時に、粘着剤層21が凝集破壊して糊残りが発生し、微細凹凸構造体10の表面が汚染されるという問題もある。
保護フィルム20の密着性を向上させるためには、ガラス転移温度の低いポリマー等を粘着剤成分として用いればよい。しかし、ガラス転移温度の低いポリマーを用いると、形成される粘着剤層21は柔らかくなる傾向にあり、保護フィルム20の剥離時に凝集破壊を起こしやすい。
このように、微細凹凸構造体10の微細凹凸構造側表面に保護フィルム20が密着しやすいこと(密着性)と、微細凹凸構造体10の微細凹凸構造側表面に糊残りが生じにくいこと(低汚染性)を両立することは困難であった。
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、密着性に優れながら、糊残りの問題を解決するためには、微細凹凸構造体10の表面と粘着剤層21との密着力に十分に勝るだけの凝集力が粘着剤層21に必要であることを突き止めた。かかる理由は以下の通りである。
例えば、微細凹凸構造体10がフィルム状やシート状である場合、微細凹凸構造体10に保護フィルム20が貼着した保護フィルム付き微細凹凸構造体1は、通常、ロール状に巻き取られ、運搬、保管されることになる。そのため、微細凹凸構造体10の表面は、保護フィルム20の粘着剤層21に押し付けられた状態、すなわち圧縮応力を受けたままの状態で、長期間保持されることになる。このとき、圧縮強度が弱い粘着剤層21では、経時的に粘着剤層21の粘着剤成分が微細凹凸構造の凹部14に深く入り込んでしまうため、密着力が強まり、その結果、保護フィルム20を剥離するには大きな力(剥離力)が必要となる。剥離力が粘着剤層21の凝集力を上回ると、糊残りが生じてしまう。また、初期では糊残りが生じなくても、長期間の保管によって糊残りが生じてしまうようでは、実用に適さない。このような理由により、粘着剤層21には密着力に十分に勝るだけの凝集力が必要となる。
そして、本発明者らは、粘着剤層21の凝集力の指標として圧縮応力に着目し、粘着剤層21の圧縮応力を特定の範囲内に設定することによって、糊残りを生じることもなく、かつ微細凹凸構造体10との密着性も確保できる、すなわち、密着性と低汚染性を両立できることを見出した。
本実施形態においては、応力がかかる前の粘着剤層21を厚さ方向に圧縮率20%まで圧縮したときの圧縮応力は0.6〜3.0MPaであり、0.6〜2.8MPaが好ましく、1.0〜2.8MPaがより好ましく、1.55〜2.8MPaがさらに好ましい。
圧縮応力が0.6MPa以上であれば、微細凹凸構造が粘着剤層21へ食い込み過ぎ、接触面積が増えることで剥離力が増大し、剥離力が粘着剤層21の凝集力を上回ることを防止できる。よって、剥離時に粘着剤層21が凝集破壊しにくく、微細凹凸構造体10の表面への糊残りを抑制することができる。一方、圧縮応力が3.0MPa以下であれば、微細凹凸構造体10に貼り付けが可能となる。また、微細凹凸構造が適度に粘着剤層21へ食い込み、接触面積が適度に増えるので、微細凹凸構造体10と保護フィルム20の密着性を発現し易くなる。
なお、圧縮応力は粘着剤層21の凝集力も反映しており、微細凹凸構造の食い込み度合いもさることながら、粘着剤層21の凝集破壊する応力の指標にもなる。
粘着剤層21の圧縮応力は、以下のようにして測定される値である。
まず、粘着剤層21を構成する粘着剤成分(粘着剤組成物)を2枚のガラス板の間に流し込み、厚さ約2mmのスペーサーを挟んだ状態で、光硬化させて板状に成形し、この板を1cm角のチップ状に打ち抜いたものを圧縮試験用の試験片とする。
一般的な引張圧縮試験機を用い、試験片の厚さ方向に圧縮応力をかけ、その際の歪を測定して、圧縮応力−歪曲線を作成する。測定は室温23℃、相対湿度65%の環境下で行うことが望ましい。
圧縮試験においては、歪が大きくなると急激に応力が上昇する。試験片のロットぶれなどの影響も大きく出やすいことから、本発明においては応力がかかる前の試験片の厚さから20%まで圧縮した時点での圧縮応力によって、粘着剤層21の好適な物性を評価することとする。
なお、圧縮率20%まで圧縮とは、例えば応力がかかる前の試験片の厚さが5mmのである場合は、その20%である1mmの分だけ圧縮した状態を指す。
粘着剤層21の圧縮応力を上記範囲内にするには、粘着剤層21を適度に架橋させるのがよい。
粘着剤組成物に含まれる各種成分については詳しくは後述するが、例えば、粘着剤層21を光硬化によって形成する場合、ジアクリレートのような架橋性モノマーや多官能モノマー、具体例としては、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、アルキルジ(メタ)アクリレート(1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等)、2官能モノマー(エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エポキシジアクリレート、ウレタンジアクリレート等)、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及び、これらのエトキシ変性物などの多官能モノマーを2〜15モル%含有する重合性成分を粘着剤組成物に配合させることが好ましい。より好ましくは3〜10モル%、更に好ましくは5〜8モル%である。
また、側鎖に水酸基を有するポリマーにジイソシアネートなどの化合物を加えて、後架橋させて粘着剤層21を形成する場合には、ポリマーを構成する単量体成分の4モル%以上となるように架橋剤を添加することが好ましく、ポリマー中の架橋可能な官能基の数で制御しても、添加する架橋剤の量で調整しても構わない。
また、上述したように、糊残りを抑制するためには粘着剤層21の凝集力を高めることが重要である。凝集力を高めるには、粘着剤組成物に水素結合を形成しやすい構造を有する化合物を配合するのが好適である。水素結合を形成しやすい構造としてはウレタン結合が挙げられ、イソシアネート化合物によって後架橋させる方法や、ウレタンアクリレートを用いて光硬化させ、重合と同時に架橋させる方法によって、粘着剤層21を形成してもよい。
粘着剤層の赤外線吸収スペクトル:
粘着剤層21の表面の赤外線吸収スペクトルにおける、3700〜3100cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積B1と、1730±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積B2との比(B1/B2)は、0.6〜1.3が好ましく、0.6〜1.1がより好ましく、0.7〜1.0がさらに好ましい。
B1/B2が0.6以上であれば、保護フィルム20が微細凹凸構造体10により良好に密着する。B1/B2が1.3以下であれば、保護フィルム20が微細凹凸構造体10と極端に密着することなく、糊残りを生じさせにくくなる。
また、B1/B2は、粘着剤層21の凝集力も反映しており、微細凹凸構造体10との密着性もさることながら、粘着剤層21の凝集力の指標にもなる。B1/B2が0.6以上であれば、粘着剤層21自身の凝集力も十分なものとなり、糊残りを生じさせにくくなる。
なお、B1/B2と粘着剤層21の微細凹凸構造体10に対する密着性との関係等については、後述する第二実施形態にて詳細に説明する。
粘着剤層の貯蔵弾性率E’:
本実施形態の粘着剤層21は、粘弾性測定における貯蔵弾性率E’が、10〜60℃のうちの少なくともいずれかの温度で1×10〜6×10Paの範囲にあるものであることが好ましい。10〜60℃のうちの少なくともいずれかの温度で、貯蔵弾性率E’が1×10Pa以上であれば糊残りしにくい粘着剤層21となり、6×10Pa以下であれば圧着によって微細凹凸構造体10に保護フィルム20を容易に貼着できる。
粘着剤層21の貯蔵弾性率E’は、10〜40℃のうちの少なくともいずれかの温度で1×10〜6×10Paの範囲にあることがより好ましい。
ここで、「10〜60℃のうちの少なくともいずれかの温度で1×10〜6×10Paの範囲にある」とは、貯蔵弾性率E’の測定において昇温途中の10〜60℃の間のどこかで、貯蔵弾性率E’が1×10〜6×10Paの値を示すことをいう。例えば、59℃までは貯蔵弾性率E’が6×10Paより大きい値を示しても、60℃において6×10Paとなるのであればよい、ということであり、10〜60℃の全温度領域において、常に1×10〜6×10Paの範囲にある必要は必ずしもない。
貯蔵弾性率E’は、公知の粘弾性測定装置で測定することができる。
例えば、粘着剤組成物を厚さ500μmのフィルムに成形し、このフィルムを幅5mmの短冊状に打ち抜いたものを試験片とし、粘弾性測定装置を用い、引張モード、チャック間2cm、1Hzにて−50〜100℃まで2℃/分で昇温の条件で測定することによって、貯蔵弾性率E’を求めることができる。
また、本実施形態の粘着剤層21は、ゴム状平坦域における貯蔵弾性率E’が1.5×10Pa以上の範囲にあるものが好ましく、より好ましくは2×10Pa以上であり、さらに好ましくは2×10〜6×10Paである。ゴム状平坦域における貯蔵弾性率E’が1.5×10Pa以上であれば、糊残りしにくい粘着剤層21となる。特にゴム状平坦域における貯蔵弾性率E’が2×10Pa以上であれば、高温高湿下などの苛酷な環境で、保護フィルム付き微細凹凸構造体1を長期間保管した場合でも、糊残りしにくい粘着剤層21となる。ゴム状平坦域における貯蔵弾性率E’が6×10Pa以下であれば、圧着によって微細凹凸構造体10に保護フィルム20を容易に貼着できる。
ゴム状平坦域とは、後述する実施例2−5、2−6における粘着剤層の貯蔵弾性率E’のグラフ(図7)に示すように、ガラス転移温度以上の温度領域で、貯蔵弾性率E’が温度に依存せず、略一定の値をとる範囲である。一つの目安として、ある温度における貯蔵弾性率E’と、その温度より20℃高い温度までの温度領域における貯蔵弾性率E’の変化率が±10%の範囲内であれば平坦とみなしてよい。
通常、粘着剤組成物が架橋されていない場合は、ガラス転移温度以上の温度領域でも貯蔵弾性率E’は低下を続ける。ゴム状平坦域は、粘着剤組成物が架橋されている場合に見られる現象である。したがって、ゴム状平坦域における貯蔵弾性率E’は、粘着剤組成物の架橋状態を反映するものである。
なお、引張モードで貯蔵弾性率E’の測定を行った場合、粘着剤組成物に含まれるポリマー成分が十分に架橋されていないと、ガラス転移温度を超えたあたりで、ポリマー成分が滑り抜けてしまい、貯蔵弾性率E’の測定ができなくなることがある。引張モードで10〜60℃の貯蔵弾性率E’が測定できない、ということは、架橋度が低いことを表す現象であり、ゴム状平坦域における貯蔵弾性率E’が1.5×10Pa以上ではないことを意味すると見なしてよい。
粘着剤組成物:
本実施形態の粘着剤層21は、粘着剤組成物によって形成される。粘着剤組成物は、少なくとも粘着剤を含む。
粘着剤としては、少なくとも上述の圧縮応力の条件を満足する粘着剤層21を形成することが可能であり、所望の粘着性を有するものであればよく、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤等が挙げられる。中でも、透明性、耐久性に優れ、光学フィルム用途として好ましく、また耐熱性が高く、さらに低コストである点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
アクリル系粘着剤としては、アクリレートと、他のモノマーとを共重合したアクリル系コポリマーが挙げられる。
アクリレートとしては、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、ヒドロキシルエチルアクリレート、2−ヒドロキシルプロピルアクリレート、プロピレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、アクリルアミド、グリシジルアクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等が挙げられる。アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他のモノマーとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシルエチルメタクリレート、メタクリルアミド、グリシジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレート、n−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。中でも、n−エチルヘキシルメタクリレートが好ましい。他のモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、側鎖が嵩高いモノマーは、コポリマーのガラス転移温度を低下させ、粘着力を発現させやすくする傾向がある。このようなモノマーとしては、ポリオキシアルキレンモノアクリレート、長鎖アルキルアクリレート等が知られている。これらモノマーを他のモノマーとして適量用いることによって、粘着剤層21を好適な物性にすることが可能である。ただし、多量に用いると、重合、硬化が不十分となり、未反応のモノマーとして粘着剤層21中に残存する場合がある。未反応モノマーは、低分子量成分としてブリードアウトし、糊残りの原因となる場合がある。したがって、側鎖が嵩高いモノマーの含有量は、アクリレートと他のモノマーの合計100質量%中、40質量%未満が好ましく、30質量%未満がより好ましい。
アクリル系コポリマーに含まれるアクリレートと他のモノマーとのユニット比(アクリレート/他のモノマー)は、アクリル系コポリマーが所望の粘着力を発揮することができればよく、保護フィルム20の用途等に応じて適宜設定することができる。
また、アクリル系コポリマーの質量平均分子量(Mw)は、アクリル系コポリマーが所望の粘着力を発揮することができればよく、特に限定されない。
粘着剤組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。
架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤等が挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、多官能エポキシ系化合物が挙げられる。
多官能エポキシ系化合物としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物の3量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマー、このようなウレタンプレポリマーの3量体等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。
また、重合性部位を1分子中に2つ以上有するウレタンアクリレートを用いることも可能である。架橋度の調整が、仕込みの組成比を反映しやすいため、多官能モノマーを用いることが好ましい。
ウレタンアクリレートとしては、市販品を用いてもよく、アクリロイル基含有化合物とイソシアネート化合物を好適な比率で反応させて得られたものを用いてもよい。市販品としては、ダイセル・サイテック社製の「Ebecryl(登録商標)」シリーズ、東亞合成社製のアロニックス(登録商標)M1200、日本合成化学社製の紫光シリーズ等が挙げられる。
架橋剤の含有量は、架橋剤の種類によっても異なるが、粘着剤100質量部に対して、1〜40質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましい。架橋剤の含有量が1質量部以上であれば、粘着剤が架橋することで凝集力が高まり、糊残りが発生しにくくなる。架橋剤の含有量が40質量部以下であれば、架橋密度が高くなりすぎず、圧着によって微細凹凸構造体10に保護フィルム20を容易に貼着できる。
粘着剤組成物は、さらに金属キレート剤を含んでいてもよい。
金属キレート剤は、金属元素と塩形成部位とを有するものであり、粘着剤とともに用いた場合、金属元素と粘着剤が有するカルボキシル基等とがキレート結合をすることによって、架橋することができるものである。
金属キレート剤としては、アルミニウムキレート化合物(アルミニウムイソプピレート、アルミニウムブチレート、アルミニウムエチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセネート、アルミニウムアルキルアセトアセネート等)、チタンキレート化合物(ジプロポキシ−ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジブトキシチタン−ビス(オクチレングリコレート)、ジプロポキシチタン−ビス(エチルアセトアセテート)、ジプロポキシチタン−ビス(ラクテート)、ジプロポキシチタン−ビス(トリエタノールアミナート)、ジ−n−ブトキシチタン−ビス(トリエタノールアミナート)、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、ブチルチタネートダイマー、ポリ(チタンアセチルアセトナート)等)、ジルコニウムキレート化合物(ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテート等)、有機カルボン酸金属塩(オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫等)、亜鉛キレート化合物(アセチルアセトン亜鉛キレート、ベンゾイルアセトン亜鉛キレート、ジベンゾイルメタン亜鉛キレート、アセト酢酸エチル亜鉛キレート等)等が挙げられる。中でも、粘着剤を架橋する架橋速度を容易に調整できる点から、アルミニウムキレート化合物(アルミニウムイソプピレート、アルミニウムブチレート、アルミニウムエチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセネート、アルミニウムアルキルアセトアセネート等)が好ましい。
金属キレート剤の含有量は、金属キレート剤の種類によっても異なるが、粘着剤100質量部に対して、0.06〜0.50質量部が好ましい。金属キレート剤の含有量が0.06質量部未満では、粘着剤層21を形成する際の架橋速度が遅く、生産性が低下するおそれがある。金属キレート剤の含有量が0.50質量部を超えても、効果が頭打ちになるばかりか、コストアップとなる。
粘着剤組成物は、さらに他の添加剤を含んでいてもよい。
粘着剤が、アクリル系粘着剤を構成するアクリレートおよび他のモノマーのような、光照射により硬化する感光性モノマー成分を重合させてなる感光性粘着剤であって、感光性粘着剤を含む粘着剤組成物をフィルム基材22に塗工した後、紫外線や可視光線の照射によって重合、硬化させて粘着剤層21を形成する場合においては、他の添加剤として活性エネルギー線重合開始剤を含ませる。
活性エネルギー線重合開始剤は、活性エネルギー線の照射によって開裂し、重合反応を開始させるラジカルを発生する化合物である。活性エネルギー線としては、装置コストや生産性の点から、紫外線が好ましい。
活性エネルギー線重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、チオキサントン類(2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等)、アセトフェノン類(ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等)、ベンゾインエーテル類(ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等)、アシルホスフィンオキサイド類(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等)、メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。活性エネルギー線重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、吸収波長の異なる2種以上を併用することが好ましい。
また必要に応じて、過酸化物(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキシド等)、アゾ系開始剤等の熱重合開始剤を併用してもよい。
活性エネルギー線重合開始剤の含有量は、粘着剤組成物中に含まれる全モノマーの含有量の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、0.2〜3質量部がさらに好ましい。活性エネルギー線重合開始剤の含有量が0.01質量部以上であれば、粘着剤組成物の硬化性に優れ、硬化物(粘着剤層21)の機械特性、特に耐擦傷性が良好となる。活性エネルギー線重合開始剤の含有量が10質量部以下であれば、硬化物内に残存する重合開始剤による弾性率および耐擦傷性の低下や着色を抑制することができる。
また、粘着剤組成物は、他の添加剤として活性エネルギー線吸収剤、酸化防止剤等を含んでいてもよい。
活性エネルギー線吸収剤は、粘着剤組成物の硬化の際に照射される活性エネルギー線を吸収し、樹脂の劣化を抑制できるものが好ましい。活性エネルギー線吸収剤としては、ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、ベンゾエート系の紫外線吸収剤が挙げられる。市販品としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のチヌビンシリーズの400、479、共同薬品社製のViosorbシリーズの110が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系の酸化防止剤、リン系の酸化防止剤、イオウ系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系の酸化防止剤が挙げられる。市販品としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のIRGANOXシリーズが挙げられる。
活性エネルギー線吸収剤、酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
活性エネルギー線吸収剤およびまたは酸化防止剤の含有量は、粘着剤組成物中に含まれる全モノマーの含有量の合計100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましく、0.01〜0.5質量部がさらに好ましい。活性エネルギー線吸収剤およびまたは酸化防止剤の含有量が0.01質量部以上であれば、硬化物の黄色化やヘイズ上昇を抑制し、耐候性を向上させることができる。活性エネルギー線吸収剤およびまたは酸化防止剤の含有量が5質量部以下であれば、粘着剤組成物の硬化性、硬化物の耐擦傷性、硬化物のフィルム基材22との密着性を良好にできる。
さらに、粘着剤組成物は、必要に応じて、離型剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、光安定剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤、着色剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
また、粘着剤組成物は、溶剤を含んでいてもよいが、含まない方が好ましい。溶剤を含まない場合は、例えば、粘着剤組成物をフィルム基材22に塗工し、活性エネルギー線照射によって重合、硬化させて粘着剤層21を形成するプロセスにおいて、溶剤が硬化物中に残る心配がない。また、製造工程を考慮した場合、溶剤除去のための設備投資が不要であり、コストの点でも好ましい。
本発明においては、粘着剤層21中の低分子量成分の含有量を比較的少なくすることが好ましいため、架橋剤、金属キレート剤、酸化防止剤、活性エネルギー線吸収剤、活性エネルギー線重合開始剤等の添加剤が低分子量成分となる場合には、そのような添加剤の含有量は比較的少ない方が好ましく、特に粘着剤層21は低分子量成分となる添加剤を含まないことが好ましい。
フィルム基材:
本実施形態のフィルム基材22は、保護対象である微細凹凸構造体10に傷が付かないように十分な強度を有するものであればよい。
フィルム基材22の材料としては、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコールコポリマー等)、フッ素系樹脂(ポリフッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー等)、塩素系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等)、アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、スルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン等)、ケトン系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン等)、熱可塑性ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリイミド、ポリアミド等が挙げられる。中でも、透明性に優れ、特に微細凹凸構造体10が光学用途に用いられる場合に好適であり、また平滑性の良好なフィルム基材22が得られる点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、フィルム基材22が透明性に優れていれば、保護フィルム20越しに微細凹凸構造体10の状態を検査することもできる。
フィルム基材22には、粘着剤層21との密着力を向上するために、粘着剤層21を形成する側の表面にコロナ処理、プラズマ処理といった表面処理や、下塗り剤(プライマ)の塗布等を行ってもよい。
フィルム基材22の厚さは、微細凹凸構造体10に貼着した際に、密着性よく貼り合わせることができ、傷等から十分に保護することができる厚さであればよく、保護フィルム20の用途等に応じて適宜設定されるが、通常、12〜100μm程度であり、16〜80μmが好ましく、25〜50μmがより好ましい。フィルム基材22の厚さが100μmを超えると、微細凹凸構造体10に密着性よく貼着することが困難となるおそれがある。フィルム基材22の厚さが12μm未満では、微細凹凸構造体10を傷等から十分に保護することが困難となるおそれがある。
保護フィルムの製造方法:
本実施形態の保護フィルム20は、フィルム基材22の表面に粘着剤組成物を塗工する方法;フィルム基材22の表面に粘着剤層21を転写する方法;粘着剤組成物とフィルム基材22の材料とを溶融共押出して成形する方法;粘着剤組成物とフィルム基材22の材料とをそれぞれ押出成形法等によってフィルム状に成形した後、接着する方法等によって製造できる。
中でも、粘着剤層21を平滑性よく形成できる点から、フィルム基材22の表面に粘着剤組成物を塗工する方法が好ましい。
また、粘着剤層21は、ポリマー溶液にイソシアネート化合物等の架橋剤を混合したものをフィルム基材22の表面に塗工し、熱等を加えて養生することによって形成してもよく、粘着剤組成物を所定の厚さでフィルム基材22の表面に塗工し、活性エネルギー線照射によって硬化させて形成してもよい。
粘着剤層21が露出する場合には、保護フィルム20が実用に供されるまで剥離処理した剥離シート、剥離フィルム等のセパレータで粘着剤層21を保護してもよい。特に、セパレータの表面粗さRaを適宜設定すれば、セパレータ剥離後の粘着剤層21の表面粗さRaを容易に制御できる。
セパレータとしては、プラスチックフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等)、多孔質材料(紙、布、不織布等)、ネット、発泡シート、金属箔、これらのラミネート体等の適宜な薄葉体等が挙げられる。
中でも、表面平滑性に優れる点から、プラスチックフィルムが好ましい。
粘着剤層21をセパレータで保護する場合は、フィルム基材22の表面に粘着剤層21を形成した後に、粘着剤層21の上にセパレータを積層してもよく、フィルム基材22とセパレータとの間に粘着剤組成物を挟み込み、活性エネルギー線を照射して粘着剤組成物を硬化して、フィルム基材22とセパレータの間に粘着剤層21を形成してもよい。
保護フィルムの特性:
本実施形態の保護フィルム20の剥離強度(剥離力)は、微細凹凸構造体10と密着できる程度であればよく、微細凹凸構造体10に対して、0.010〜5.000N/25mmが好ましく、0.010〜3.000N/25mmがより好ましく、0.015〜1.000N/25mmがさらに好ましい。剥離強度が上記範囲であれば、微細凹凸構造体10に十分な強度で密着することができ、かつ不要となった際に微細凹凸構造体10から容易に剥離できる。
保護フィルム20の剥離強度は、以下のようにして測定される。
保護フィルム20を巾25mm×長さ150mmの大きさの短冊状の試験片に切断した後、JIS Z0237の規格に準拠した条件で、微細凹凸構造を表面に有する被着体にラミネートする。そして、試験片を剥離角180°、剥離速度300mm/分、室温下の条件で、試験片の長さ方向に剥がしたときの剥離強度を測定する。剥離強度の測定には、例えば、インストロン社製の万能試験機5565を用いることができる。微細凹凸構造を表面に有する被着体としては、通常、実際に保護フィルム20を貼り合わせるものを用いることとする。
「第二実施形態」
本発明の第二実施形態に係る保護フィルム付き微細凹凸構造体は、例えば図1に示すように、微細凹凸構造体10と、保護フィルム20とを有する。
(微細凹凸構造体)
本実施形態の微細凹凸構造体10は、図2に示すように、基材11と、基材11の表面に形成された、微細凹凸構造を表面に有する硬化物12とを有する。
基材:
本実施形態の基材11は、第一実施形態の基材11と同様である。
硬化物:
本実施形態の硬化物12は、樹脂組成物の硬化物からなり、微細凹凸構造を表面に有する。
微細凹凸構造は、等間隔に並んだ円錐状の凸部13と凹部14とで形成される。
本実施形態の硬化物12の微細凹凸構造の周期、凸部13の高さ、凸部13の形状は、第一実施形態の硬化物12と同様である。
硬化物の赤外線吸収スペクトル:
ところで、上述したように、微細凹凸構造の周期が数nm〜数百nmである場合、凸部13同士の間隔が狭いため、微細凹凸構造体10と保護フィルム20との接触面積が小さく、保護フィルム20が微細凹凸構造体10に十分に密着しにくい。
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、微細凹凸構造の周期が原因となる密着性の低下は、硬化物12の物性によって改善できることを見出した。樹脂組成物によって硬化物12を形成する場合、その表面に存在する官能基や化合物よって密着性が変化する。例えば、フッ素コーティング処理すると汚れが付着しにくくなったり、シリコーン処理すると表面の摩擦が低くなったりすることは、すでに知られている。このように、極性の低い材料を用いると、密着性が低下する傾向にある。逆に、水酸基、アミド基等の、水素結合を形成する官能基が表面に多く存在すると、密着性が向上する傾向にある。
本発明者らは、密着性向上に寄与する官能基として水酸基やアミド基に着目した。
水酸基は、酸素原子と水素原子の電気陰性度の違いから、酸素原子は若干負に帯電し、水素原子は若干正に帯電する。また、酸素原子に存在する非共有電子対がプロトンと相互作用しやすく、いわゆる水素結合を形成しやすい官能基である。
アミド基は、窒素原子と水素原子の電気陰性度の違いから、窒素原子は若干負に帯電し、水素原子は若干正に帯電する。また、窒素原子に存在する非共有電子対がプロトンと相互作用しやすく、いわゆる水素結合を形成しやすい官能基である。
水素結合を分子内や分子間で形成しやすい高分子化合物は、凝集力が高く、高強度、高弾性になりやすく、容易に破断しにくくなる。
これら水酸基やアミド基の量を評価する方法としては、赤外分光法が知られている。
赤外分光法は、試料に赤外線を照射し、分子の振動に相当するエネルギー吸収を測定する方法であり、ATR法(全反射法)は、高屈折率媒質(プリズム)に試料を密着させ、媒質と試料の界面で起こる赤外線の全反射を利用している。これは、反射時に赤外線がわずかに試料内部へ染み込むことで生じるエバネッセント波を測定するものであり、試料の表面の構造解析等に用いられる。
サンプルとしては、温度23℃、相対湿度50%に調整された部屋に一昼夜以上静置したものを用いる。
装置としては、赤外線吸収スペクトルを測定できる装置であればよく、例えば、Nicolet社のFT−IR Avater330が挙げられる。
測定は、例えば、ダイヤモンド製プリズムを用い、所定の治具を据え付け、ATR法にて測定波数4000〜700cm−1、分解能4cm−1、積算回数64回という条件で行われる。
得られた赤外線吸収スペクトルから、例えば、OMNIC E.S.P.ソフトウェアパッケージのピーク面積ツールを用いて、エステル結合のC=O伸縮振動のピーク面積(SC=O)とOH伸縮振動のピーク面積(SOH)の比(SOH/SC=O)を求める。
エステル結合のC=O伸縮振動のピーク面積は、1730±10cm−1の領域に吸収極大を有する吸収曲線の面積とし、OH伸縮振動のピーク面積は、3700〜3100cm−1の領域に吸収極大を有する吸収曲線の面積とする。ベースラインは、図4および図5に示すように、それぞれの吸収曲線の両側の裾または別の吸収曲線との間の谷を結ぶ線とする。
赤外線吸収スペクトルにおける3700〜3100cm−1の領域に吸収極大を有する吸収曲線は、水酸基やアミド基に由来する水素結合の形成状態を反映するものである。
赤外線吸収スペクトルにおける1730±10cm−1の領域に吸収極大を有する吸収曲線は、重合性成分として(メタ)アクリレートを用いた場合、その(メタ)アクリロイル基に必ず含まれるカルボニルに由来するピークである。
エステル結合のC=O伸縮振動のピーク面積(SC=O)とOH伸縮振動由来のピーク面積(SOH)の比(SOH/SC=O)は、表面の水素結合形成能を定量的に反映した値となる。
本実施形態においては、微細凹凸構造体10の微細凹凸構造の表面、すなわち硬化物12の表面の赤外線吸収スペクトルにおける、3700〜3100cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積A1と、1730±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積A2との比(A1/A2)は、0.1〜0.8であり、0.2〜0.7が好ましく、0.3〜0.6がより好ましい。
A1/A2が0.1以上であれば、表面に水素結合を形成できる官能基が多いことになり、保護フィルム20が微細凹凸構造体10に良好に密着する。A1/A2が0.8以下であれば、微細凹凸構造体10が吸水して、凸部13同士が表面張力によって寄り添ってしまう現象を避けることができる。
A1/A2を0.1以上にするためには、硬化物12の材料(樹脂組成物)に親水性の重合性成分を含ませることが簡便である。例えば、側鎖の末端に水酸基を有する重合性成分、水酸基を一部残した多官能モノマー、ウレタン結合を有するモノマー等を用いる。
また、親水性の重合性成分の使用量を適宜調整することで、A1/A2を0.8以下にできる。
側鎖の末端に水酸基を有する重合性成分としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、末端水酸基型のポリエチレングリコールモノアクリレート等が挙げられる。
水酸基を一部残した多官能モノマーとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン結合を有するモノマーとしては、イソシアネート基を有する化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの3量体等)に、水酸基を有するモノマー(2−ヒドロキシエチルアクリレート等)を直接反応させた化合物;イソシアネート化合物とポリオール化合物を反応させたポリウレタンの側鎖や末端に重合性反応基を導入した化合物等が挙げられる。
親水性の重合性成分の市販品としては、ダイセル・サイテック社のEbecryl(登録商標)シリーズ、東亞合成社製のアロニックス(登録商標)シリーズ、日本化薬社製のKAYARAD(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
微細凹凸構造体の指紋除去性:
ところで、上述したように、微細凹凸構造体10を反射防止フィルム等として用いる場合、通常、ディスプレイ等の対象物の表面に貼り付けて用いられる。したがって、人の手に触れる機会が多いため、微細凹凸構造体10は、使用に際して付着する指紋汚れを除去できる指紋除去性を有することが好ましい。具体的には、国際公開第2008/096872号に示されるように、水拭きで指紋汚れを除去できるものが好ましい。
水拭きで指紋汚れを除去可能か否かの判断は、例えば、第一実施形態の説明において先に例示した方法で行う。
A1/A2が0.1〜0.8であれば、上述したように保護フィルム20が微細凹凸構造体10に良好に密着するのに加え、微細凹凸構造体10の微細凹凸構造側の表面が親水性となるため、微細凹凸構造体10の表面に付着した汚れと、微細凹凸構造体10の表面との間に水が濡れ広がり、汚れを浮かすことで汚れの除去が可能となる。したがって、水拭きで指紋汚れを容易に除去できる。
微細凹凸構造体の用途:
本実施形態の微細凹凸構造体10は、可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を表面に有するため、光学用途、特に反射防止フィルム、立体形状の反射防止体等の反射防止物品として好適である。
微細凹凸構造体の他の形態:
本実施形態の微細凹凸構造体10は、図2に示すものに限定されない。
本実施形態の微細凹凸構造体10の他の形態としては、第一実施形態の説明において先に例示したものが挙げられる。
中間層:
また、本実施形態の微細凹凸構造体10は、図3に示すように、基材11と硬化物12との間に、耐擦傷性、接着性等の諸物性を向上させる目的で、中間層15を設けてもよい。
中間層15の材料は、第一実施形態の中間層15の材料と同様である。
(保護フィルム)
本実施形態の保護フィルム20は、微細凹凸構造体10の表面を保護するものであり、図1に示すように、微細凹凸構造体10の微細凹凸構造側表面に貼り付けられる。
保護フィルム20は、フィルム基材22と、フィルム基材22の表面に形成された粘着剤層21とを有する。
粘着剤層:
本実施形態の粘着剤層21は、微細凹凸構造体10の微細凹凸構造側表面に接する。
粘着剤層21の厚さは、3〜200μmが好ましく、3〜100μmがより好ましく、3〜50μmがさらに好ましい。
粘着剤層の赤外線吸収スペクトル:
上述したように、本発明者らは鋭意検討した結果、密着性に優れながら、糊残りの問題を解決するためには、微細凹凸構造体10の表面と粘着剤層21との密着力に十分に勝るだけの凝集力が粘着剤層21に必要であることを突き止めた。かかる理由は第一実施形態において説明した通りである。
そして、本発明者らは、粘着剤層21の凝集力の指標として、分子内や分子間での水素結合形成に着目し、粘着剤層21の表面の赤外線吸収スペクトルにおける、エステル結合のC=O伸縮振動のピーク面積(SC=O)とOH伸縮振動由来のピーク面積(SOH)の比(SOH/SC=O)を特定の範囲内に設定することによって、糊残りを生じることもなく、かつ微細凹凸構造体10との密着性も確保できる、すなわち、密着性と低汚染性を両立できることを見出した。
本実施形態においては、粘着剤層21の表面の赤外線吸収スペクトルにおける、3700〜3100cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積B1と、1730±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積B2との比(B1/B2)は、0.6〜1.3であり、0.6〜1.1が好ましく、0.7〜1.0がより好ましい。
B1/B2が0.6以上であれば、表面に水素結合を形成できる官能基が多いことになり、保護フィルム20が微細凹凸構造体10に良好に密着する。B1/B2が1.3以下であれば、保護フィルム20が微細凹凸構造体10と極端に密着することなく、糊残りを生じさせにくくなる。
また、B1/B2は、粘着剤層21の凝集力も反映しており、微細凹凸構造体10との密着性もさることながら、粘着剤層21の凝集力の指標にもなる。B1/B2が0.6以上であれば、粘着剤層21自身の凝集力も十分なものとなり、糊残りを生じさせにくくなる。
B1/B2を0.6〜1.3にするには、微細凹凸構造体10の表面と同様に、粘着剤層21の材料(粘着剤組成物)に親水性の重合性成分を含ませることが簡便である。例えば、側鎖の末端に水酸基を有する重合性成分、水酸基を一部残した多官能モノマー、ウレタン結合を有するモノマー等を用いる。
粘着剤層の貯蔵弾性率E’:
本実施形態の粘着剤層21は、ゴム状平坦域における貯蔵弾性率E’が1.5×10Pa以上の範囲にあるものが好ましく、より好ましくは1.5×10〜6×10Paである。ゴム状平坦域における貯蔵弾性率E’が1.5×10Pa以上であれば、糊残りしにくい粘着剤層21となる。ゴム状平坦域における貯蔵弾性率E’が6×10Pa以下であれば、圧着によって微細凹凸構造体10に保護フィルム20を容易に貼着できる。
ゴム状平坦域については、第一実施形態において説明した通りである。
本実施形態の粘着剤層21の貯蔵弾性率E’は、10〜60℃のうちの少なくともいずれかの温度で1.5×10〜6×10Paの範囲にあることがより好ましい。
「10〜60℃のうちの少なくともいずれかの温度で1.5×10〜6×10Paの範囲にある」とは、貯蔵弾性率E’の測定において昇温途中の10〜60℃の間のどこかで、貯蔵弾性率E’が1.5×10〜6×10Paの値を示すことをいう。例えば、59℃までは貯蔵弾性率E’が6×10Paより大きい値を示しても、60℃において6×10Paとなるのであればよい、ということであり、10〜60℃の全温度領域において、常に1.5×10〜6×10Paの範囲にある必要は必ずしもない。
貯蔵弾性率E’の測定方法については、第一実施形態において説明した通りである。
粘着剤組成物:
本実施形態の粘着剤層21は、粘着剤組成物によって形成される。
本実施形態の粘着剤組成物は、第一実施形態の粘着剤組成物と同様である。
フィルム基材:
本実施形態のフィルム基材22は、保護対象である微細凹凸構造体10に傷が付かないように十分な強度を有するものであればよい。
本実施形態のフィルム基材22は、第一実施形態のフィルム基材22と同様である。
保護フィルムの製造方法:
本実施形態の保護フィルム20の製造方法は、第一実施形態の保護フィルム20の製造方法と同様である。
保護フィルムの特性:
本実施形態の保護フィルム20の剥離強度(剥離力)は、微細凹凸構造体10と密着できる程度であればよく、微細凹凸構造体10に対して、0.010〜5.000N/25mmが好ましく、0.010〜3.000N/25mmがより好ましく、0.015〜1.000N/25mmがさらに好ましい。剥離強度が上記範囲であれば、微細凹凸構造体10に十分な強度で密着することができ、かつ不要となった際に微細凹凸構造体10から容易に剥離できる。
保護フィルム20の剥離強度の測定方法については、第一実施形態において説明した通りである。
<保護フィルム付き微細凹凸構造体の製造方法>
本発明の保護フィルム付き微細凹凸構造体は、微細凹凸構造体に保護フィルムを貼着することで製造できる。
(微細凹凸構造体の製造)
微細凹凸構造体の製造方法としては、例えば、下記の方法等が挙げられる。
・微細凹凸構造が表面に形成されたモールドを用いて射出成形やプレス成形を行う方法(方法1)。
・モールドと透明基材との間に樹脂組成物を配し、活性エネルギー線の照射によって樹脂組成物を硬化させてモールドの微細凹凸構造を硬化物に転写した後、モールドを硬化物から剥離する方法(方法2)。
・樹脂組成物にモールドの微細凹凸構造を転写した後、モールドを樹脂組成物から剥離し、活性エネルギー線の照射によって樹脂組成物を硬化させる方法(方法3)。
これらの中でも、微細凹凸構造の転写性、表面組成の自由度の点から、方法2、3が好ましく、方法2が特に好ましい。方法2は、連続生産が可能なベルト状やロール状のモールドを用いる場合に特に好適であり、生産性に優れた方法である。
モールドに微細凹凸構造(反転構造)を形成する方法としては、電子ビームリソグラフィー法、レーザ光干渉法等が挙げられる。例えば、適当な支持基板の表面に適当なフォトレジスト膜を塗布し、紫外線レーザ、電子線、X線等の光で露光し、現像することによって微細凹凸構造を形成したモールドを得ることができる。また、フォトレジスト層を介して支持基板をドライエッチングによって選択的にエッチングし、レジスト層を除去して、支持基板そのものに微細凹凸構造を直接形成することも可能である。
また、陽極酸化ポーラスアルミナをモールドとして利用することも可能である。例えば、アルミニウムをシュウ酸、硫酸、リン酸等を電解液として所定の電圧にて陽極酸化することにより形成される20〜200nmの細孔構造をモールドとして利用してもよい。この方法によれば、高純度アルミニウムを定電圧で長時間陽極酸化した後、一旦酸化皮膜を除去し、再び陽極酸化することで非常に高規則性の細孔が自己組織化的に形成できる。さらに、二回目に陽極酸化する工程で陽極酸化処理と孔径拡大処理を組み合わせることによって、断面が矩形でなく三角形や釣鐘型である細孔も形成可能となる。また、陽極酸化処理と孔径拡大処理の時間や条件を適宜調節することによって、細孔最奥部の角度を鋭くすることも可能である。
さらに、微細凹凸構造を有するマザーモールドから電鋳法等で複製モールドを作製してよい。
モールドそのものの形状は、特に限定されず、例えば、平板状、ベルト状、ロール状のいずれでもよい。特に、ベルト状やロール状にすれば、連続的に微細凹凸構造を転写でき、生産性をより高めることができる。
モールドと基材との間に樹脂組成物を配する方法としては、モールドと基材との間に樹脂組成物を配置した状態でモールドと基材とを押圧することによって、モールドの微細凹凸構造に樹脂組成物を注入する方法等が挙げられる。
上述した第一実施形態の微細凹凸構造体を製造する場合、樹脂組成物は、微細凹凸構造体の表面の水接触角が40°以下となるものであればよい。
一方、上述した第二実施形態の微細凹凸構造体を製造する場合、樹脂組成物は、硬化物のA1/A2が0.1〜0.8となるものであればよい。
また、これらの樹脂組成物は、分子中にラジカル重合性結合およびまたはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマーを適宜含むものが好ましく、さらに、非反応性のポリマーを含んでいてもよい。また、樹脂組成物は、通常、硬化のための重合開始剤を含む。重合開始剤としては、公知のものが挙げられる。
基材とモールドとの間の樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して重合、硬化する方法としては、紫外線照射による方法が好ましい。紫外線を照射するランプとしては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、フュージョンランプ等が挙げられる。
紫外線の照射量は、重合開始剤の吸収波長や含有量に応じて決定すればよい。通常、紫外線の積算光量は、400〜4000mJ/cmが好ましく、400〜2000mJ/cmがより好ましい。積算光量が400mJ/cm以上であれば、樹脂組成物を十分硬化させて硬化不足による耐擦傷性の低下を抑制することができる。積算光量が4000mJ/cm以下であれば、硬化物の着色や基材の劣化を防止する点で意義が有る。照射強度は、基材の劣化等を招かない程度の出力に抑えることが好ましい。
樹脂組成物の重合、硬化後、モールドを硬化物から剥離して、微細凹凸構造を有する硬化物を得て、微細凹凸構造体を得る。
また、基材が立体形状の積層体等の場合は、形成した微細凹凸構造体を、別途成形した立体形状の積層体に貼り付けることもできる。
このようにして得られる微細凹凸構造体は、基材の表面にモールドの微細凹凸構造が鍵と鍵穴の関係で転写され、高い耐擦傷性を備え、かつ撥水性を兼ね備えるとともに、連続的な屈折率の変化によって優れた反射防止性能を発現でき、反射防止フィルムや立体形状の反射防止体として好適である。
(保護フィルムの貼着)
このようにして得られた微細凹凸構造体に、保護フィルムの粘着剤層と微細凹凸構造体微細凹凸構造側の表面とが接するように保護フィルムを貼着して、保護フィルム付き微細凹凸構造体を得る。その際、運搬、加工時に保護フィルムが浮いたり剥がれたりしないよう、保護フィルムと微細凹凸構造体とが後で剥離できる程度の力で密着するように、微細凹凸構造体の上に保護フィルムを積層させ、圧力をかけることが好ましい。特に、微細凹凸構造体を製造した後、引き続き、製造ライン上で保護フィルムを圧着させることが好ましい。例えば、微細凹凸構造体と保護フィルムとが積層した状態でゴムロール等の間に通すことで、適当な力がかかり、適度に密着した保護フィルム付き微細凹凸構造体が得られる。微細凹凸構造体に保護フィルムを貼着する際の圧力は、通常、0.1〜10MPaの範囲内である。
また、保護フィルムの粘着剤層が硬い場合には、微細凹凸構造体に貼り付ける前に粘着剤層を加熱することによって所望の貯蔵弾性率E’にして、微細凹凸構造体の表面に貼着させることが好ましい。粘着剤層を加熱する際は、保護フィルムの貼り付けエリア全体を加熱する必要はなく、貼り付けに用いるロールを所望の温度に加熱することによって十分に対応できる。保護フィルムの貼り付けは、1対のゴムロールの間を通すものであってもよく、1つのゴムロールによって平板状の壁や台に押し付ける方法であってもよい。例えば、貼り付けに用いるゴムロールは、ゴムロール内側に設けられた加熱装置によって加熱され、ゴムロール表面が40〜60℃になるように設定する。微細凹凸構造体および保護フィルムは、いずれも室温で貼り付けエリアに搬送、供給され、ゴムロールによって保護フィルムの粘着剤層が加熱され、粘着剤層が貼り付けに適した物性になることによって、微細凹凸構造体と保護フィルムとが良好に貼り合わされる。
ゴムロールによる加熱は、保護フィルムに接するゴムロールのみでもよい。特に、粘着剤層を加熱し、その貯蔵弾性率E’を6×10Pa以下にした状態で、保護フィルムを微細凹凸構造体の表面に貼着させることが好ましい。粘着剤層の貯蔵弾性率E’が6×10Pa以下となったときに、保護フィルムを微細凹凸構造体の表面に貼着すれば、微細凹凸構造体の表面が適度に保護フィルムの粘着剤層に食い込みやすくなるため、より容易に、かつ密着性よく貼り合わせることができる。
<作用効果>
以上説明した第一実施形態の保護フィルム付き微細凹凸構造体にあっては、微細凹凸構造体の表面の水接触角が40°以下であるため、微細凹凸構造体と保護フィルムとが良好に密着し、不用意に剥がれない。また、保護フィルムの粘着剤層の圧縮応力が0.6〜3.0MPaであるため、粘着剤層が適度な凝集力を有し、保護フィルムを剥がした後に微細凹凸構造に糊残りが生じにくい。
また、以上説明した第二実施形態の保護フィルム付き微細凹凸構造体にあっては、微細凹凸構造体の前記微細凹凸構造側表面のA1/A2が0.1〜0.8であるため、微細凹凸構造体と保護フィルムとが良好に密着し、不用意に剥がれない。また、保護フィルムの粘着剤層の表面のB1/B2が0.6〜1.3であるため、粘着剤層が適度な凝集力を有し、保護フィルムを剥がした後に微細凹凸構造に糊残りが生じにくい。
また、第一実施形態および第二実施形態の保護フィルム付き微細凹凸構造体は、保護フィルムによって微細凹凸構造体の表面が保護されているため、出荷、運搬、保存時に、微細凹凸構造の傷付きを防止できる。
また、第一実施形態および第二実施形態の保護フィルム付き微細凹凸構造体は、保護フィルムを剥がした後に微細凹凸構造に糊残りが少ないことから、反射防止性能を高く維持した状態で微細凹凸構造体を提供できる。
また、保護フィルムを構成する粘着剤層やフィルム基材が透明性に優れていれば、保護フィルムを剥がすことなく、保護フィルム越しに微細凹凸構造の状態を検査できることができる。微細凹凸構造の状態の検査としては、全光線透過率、曇価、反射率等の定量的な光学特性の測定、製品欠陥の有無の検出等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の記載において、特に断りがない限り「部」は「質量部」を意味する。
(各種測定および評価方法)
(1)モールドの細孔の測定:
陽極酸化ポーラスアルミナからなるモールドの一部の縦断面に白金を1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用い、加速電圧3.00kVで観察し、隣り合う細孔の間隔(周期)および細孔の深さを測定した。具体的にはそれぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
(2)微細凹凸構造体の凸部の測定:
微細凹凸構造体の縦断面に白金を10分間蒸着し、(1)の場合と同じ装置および条件にて、隣り合う凸部の間隔(周期)および凸部の高さを測定した。具体的にはそれぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
(3)水接触角の測定:
微細凹凸構造体の微細凹凸構造側の表面(微細凹凸構造体の表面)に5μLのイオン交換水を滴下し、自動接触角測定器(KRUSS社製)を用いて、θ/2法にて微細凹凸構造体の表面の水接触角を算出した。
(4)赤外線吸収スペクトル:
微細凹凸構造体の微細凹凸構造側の表面または粘着剤層の表面の赤外線吸収スペクトルを、Nicolet社のFT−IR Avater330を用い、ATR法にて測定波数4000〜700cm−1、分解能4cm−1、積算回数64回の条件にて測定した。サンプルとしては、温度23℃、相対湿度50%に調整された部屋に一昼夜以上静置したものを用いた。
得られた赤外吸収スペクトルから、OMNIC E.S.P.ソフトウェアパッケージのピーク面積ツールを用いて、エステル結合のC=O伸縮振動のピーク面積(SC=O)とOH伸縮振動のピーク面積(SOH)の比(SOH/SC=O)を求めた。エステル結合のC=O伸縮振動のピーク面積は1730±10cm−1の領域に吸収極大を有する吸収曲線の面積とし、OH伸縮振動のピーク面積は3700〜3100cm−1の領域に吸収極大を有する吸収曲線の面積とした。ベースラインは、それぞれの吸収曲線の両側の裾または別の吸収曲線との間の谷を結ぶ線とした。
(5)反射率の測定:
微細凹凸構造体の、微細凹凸構造側とは反対側の表面(微細凹凸構造体の裏面)を、サンドペーパー(GRITNo.500)で粗面化した後、黒く塗ったサンプルを、分光光度計(日立社製、U‐4100)を用いて、入射角5°の条件で波長380nm〜780nmの間の相対反射率を測定した。
(6)圧縮応力の測定:
粘着剤層を構成する粘着剤組成物を用いて厚さ約2mmのフィルムに成形し、このフィルムを1cm角の板状に打ち抜いたものを試験片とした。得られた試験片について、圧縮試験機にて0.1mm/分の速度で厚さ方向に圧縮率20%まで圧縮し、圧縮率20%における圧縮応力を測定した。
(7)貯蔵弾性率E’の測定:
粘着剤層を構成する粘着剤組成物を用いて厚さ500μmのフィルムを成形し、このフィルムを幅5mmの短冊状に打ち抜いたものを試験片とした。得られた試験片について、粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ社、DMS110)を用い、引張モード、チャック間2cm、1Hzにて−50〜100℃まで2℃/分で昇温の条件で測定し、貯蔵弾性率E’を求めた。
(8)密着性の評価
(8−1)密着性の評価1
保護フィルムを40℃に加熱した後、直ちに微細凹凸構造体に貼り合せて得た試験片を、押切式裁断機にて裁断したときの状態について目視にて観察し、保護フィルムが微細凹凸構造体から剥がれなければ密着性良好と判断し「○」とし、剥がれた場合は密着性不良と判断し「×」とした。
(8−2)密着性の評価2
得られた保護フィルム付き微細凹凸構造体を、押切式裁断機にて裁断したときの状態について目視にて観察し、保護フィルムが微細凹凸構造体から剥がれなければ密着性良好と判断し「○」とし、剥がれた場合は密着性不良と判断し「×」とした。
(9)糊残りの評価
(9−1)糊残りの評価1
保護フィルムを40℃に加熱した後、直ちに微細凹凸構造体に貼り合せて得た試験片を、23℃、相対湿度50%の環境下にて2週間保管した。その後、保護フィルムを剥離し、(5)と同様にして微細凹凸構造体の反射率を測定した。
400nm、550nm、700nmの波長において、保護フィルム貼着前の微細凹凸構造体の反射率と、保護フィルムを貼着した状態で2週間経過した後の微細凹凸構造体の反射率との差を求め、平均値を計算し、以下の評価基準にて糊残りの程度を評価した。
A:差の平均値が±0.02%以内である。
B:差の平均値が±0.02%超±0.06%以内である。
C:差の平均値が±0.06%超である。または、反射率のカーブが変化している。
(9−2)糊残りの評価2
得られた保護フィルム付き微細凹凸構造体を、23℃、相対湿度50%の環境下にて2週間保管した。その後、保護フィルムを剥離し、(5)と同様にして微細凹凸構造体の反射率を測定した。
400nm、550nm、700nmの波長において、保護フィルム貼着前の微細凹凸構造体の反射率と、保護フィルムを貼着した状態で2週間経過した後の微細凹凸構造体の反射率との差を求め、平均値を計算し、以下の評価基準にて糊残りの程度を評価した。
A:差の平均値が±0.02%以内である。
B:差の平均値が±0.02%超±0.06%以内である。
C:差の平均値が±0.06%超である。または、反射率のカーブが変化している。
(モールドの作製)
図6に示す工程にしたがい、モールド(細孔の深さ:180nm)を以下のように作製した。
まず、純度99.99%のアルミニウム板30を、羽布研磨し、ついで過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し、鏡面化した。
工程(a):
アルミニウム板30を、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30分間陽極酸化を行い、酸化皮膜32に細孔31を生じさせた。
工程(b):
酸化皮膜32が形成されたアルミニウム板30を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜32を除去し、細孔31に対応する周期的な窪み33を露出させた。
工程(c):
窪み33を露出させたアルミニウム板30について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行い、細孔35を有する酸化皮膜34を形成した。
工程(d):
酸化皮膜34が形成されたアルミニウム板を、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔35の径拡大処理を行った。
工程(e):
径拡大処理を行ったアルミニウム板30について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行い、細孔35から下方に延びる小径の細孔35を形成した。
工程(f):
工程(d)および工程(e)を合計で4回繰り返し、最後に工程(e)を行い、平均間隔(周期):100nm、深さ:180nmの略円錐形状の細孔35を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得た。
得られた陽極酸化ポーラスアルミナを脱イオン水で洗浄し、表面の水分をエアーブローで除去し、表面防汚コーティング剤(ダイキン工業社製、オプツールDSX)を固形分0.1質量%になるように希釈剤(ハーベス社製、HD−ZV)で希釈した溶液に10分間浸漬し、20時間風乾してモールド40を得た。
(微細凹凸構造体(1−1)の製造)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1−1)の調製:
新中村化学社製のA−DPHの20部、第一工業製薬社製のニューフロンティアPET−3の20部、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学社製、NKエステルA−200)の35部、ヒドロキシエチルアクリレートの25部、活性エネルギー線重合開始剤として、日本チバガイギー社製のイルガキュア184の1.0部、およびイルガキュア819の0.5部を混合し、均一に溶解させ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1−1)を調製した。
微細凹凸構造体(1−1)の製造:
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1−1)を50℃に調温し、50℃に調温したモールドの細孔が形成された表面に流し込み、その上に厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製、WE97A)を押し広げながら被覆した。その後、フィルム側からフュージョンランプを用いてベルトスピード6.0m/分で、積算光量1000mJ/cmとなるよう紫外線を照射して、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1−1)を硬化させた。次いで、フィルムからモールドを剥離して、微細凹凸構造体(1−1)を得た。
得られた微細凹凸構造体(1−1)の表面には、モールドの微細凹凸構造が転写されており、図2に示すような、隣り合う凸部13の平均距離(周期)Wが100nm、凸部13の平均垂直距離が180nmの略円錐形状の微細凹凸構造が形成されていた。水接触角、A1/A2および反射率の結果を表1に示す。
(微細凹凸構造体(1−2)の製造)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1−2)の調製:
トリメチロールエタン/コハク酸/アクリル酸をモル比2/1/4で反応させた混合物の70部、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学社製、NKエステルA−600)の20部、ヒドロキシエチルアクリレートの3部、メチルアクリレートの7部、活性エネルギー線重合開始剤として、日本チバガイギー社製のイルガキュア184の1.0部およびイルガキュア819の0.1部を混合し、均一に溶解させ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1−2)を調製した。
微細凹凸構造体(1−2)の製造:
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1−2)を用いた以外は、微細凹凸構造体(1−1)の製造方法と同じ方法で、微細凹凸構造体(1−2)を製造した。
得られた微細凹凸構造体(1−2)の表面には、モールドの微細凹凸構造が転写されており、図2に示すような、隣り合う凸部13の平均距離(周期)Wが100nm、凸部13の平均垂直距離が180nmの略円錐形状の微細凹凸構造が形成されていた。水接触角、A1/A2および反射率の結果を表1に示す。
(微細凹凸構造体(2−1)の製造)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−1)の調製:
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(第一工業製薬社製、ニューフロンティアA−DPH)の20部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(第一工業製薬社製、ニューフロンティアPET−3)の20部、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学社製、NKエステルA−200)の35部、ヒドロキシエチルアクリレートの25部、活性エネルギー線重合開始剤として、日本チバガイギー社製のイルガキュア184の1.0部、およびイルガキュア819の0.5部を混合し、均一に溶解させ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−1)を調製した。
微細凹凸構造体(2−1)の製造:
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−1)を50℃に調温し、50℃に調温したモールドの細孔が形成された表面に流し込み、その上に厚さ40μmのトリアセチルセルロースフィルムを押し広げながら被覆した。その後、フィルム側からフュージョンランプを用いてベルトスピード6.0m/分で、積算光量1000mJ/cmとなるよう紫外線を照射して、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−1)を硬化させた。次いで、フィルムからモールドを剥離して、微細凹凸構造体(2−1)を得た。
得られた微細凹凸構造体(2−1)の表面には、モールドの微細凹凸構造が転写されており、図2に示すような、隣り合う凸部13の平均距離(周期)Wが100nm、凸部13の平均垂直距離が180nmの略円錐形状の微細凹凸構造が形成されていた。水接触角、A1/A2および反射率の結果を表1に示す。
(微細凹凸構造体(2−2)の製造)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−2)の調製:
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(第一工業製薬社製、ニューフロンティアA−DPH)の20部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(第一工業製薬社製、ニューフロンティアPET−3)の25部、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(第一工業製薬社製、ニューフロンティアDPEA−12)の25部、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学社製、NKエステルA−600)の25部、メチルアクリレートの5部、活性エネルギー線重合開始剤として、日本チバガイギー社製のイルガキュア184の1.0部およびイルガキュア819の0.1部を混合し、均一に溶解させ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−2)を調製した。
微細凹凸構造体(2−2)の製造:
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−2)を用い、基材として厚さ38μmのアクリルフィルム(三菱レイヨン社製、アクリプレンHBS010)を用いた以外は、微細凹凸構造体(2−1)の製造方法と同じ方法で、微細凹凸構造体(2−2)を製造した。
得られた微細凹凸構造体(2−2)の表面には、モールドの微細凹凸構造が転写されており、図2に示すような、隣り合う凸部13の平均距離(周期)Wが100nm、凸部13の平均垂直距離が180nmの略円錐形状の微細凹凸構造が形成されていた。水接触角、A1/A2および反射率の結果を表1に示す。
(微細凹凸構造体(2−3)の製造)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−3)の調製:
トリメチロールエタン/コハク酸/アクリル酸をモル比2/1/4で反応させた混合物の70部、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学社製、NKエステルA−600)の20部、ヒドロキシエチルアクリレートの3部、メチルアクリレートの7部、活性エネルギー線重合開始剤として、日本チバガイギー社製のイルガキュア184の1.0部およびイルガキュア819の0.1部を混合し、均一に溶解させ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−3)を調製した。
微細凹凸構造体(2−3)の製造:
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−3)を用い、基材として厚さ38μmのアクリルフィルム(三菱レイヨン社製、アクリプレンHBS010)を用いた以外は、微細凹凸構造体(2−1)の製造方法と同じ方法で、微細凹凸構造体(2−3)を製造した。
得られた微細凹凸構造体(2−3)の表面には、モールドの微細凹凸構造が転写されており、図2に示すような、隣り合う凸部13の平均距離(周期)Wが100nm、凸部13の平均垂直距離が180nmの略円錐形状の微細凹凸構造が形成されていた。水接触角、A1/A2および反射率の結果を表1に示す。
(微細凹凸構造体(2−4)の製造)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−4)の調製:
トリメチロールエタン/コハク酸/アクリル酸をモル比2/1/4で反応させた混合物の45部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの45部、シリコーンジアクリレート(信越シリコーン社製、x−22−1602)の10部、活性エネルギー線重合開始剤として、日本チバガイギー社製のイルガキュア184の1.0部およびイルガキュア819の0.1部を混合し、均一に溶解させ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−4)を調製した。
微細凹凸構造体(2−4)の製造:
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−4)を用い、基材として厚さ38μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(三菱樹脂社製、WE97A)を用いた以外は、微細凹凸構造体(2−1)の製造方法と同じ方法で、微細凹凸構造体(2−4)を製造した。
得られた微細凹凸構造体(2−4)の表面には、モールドの微細凹凸構造が転写されており、図2に示すような、隣り合う凸部13の平均距離(周期)Wが100nm、凸部13の平均垂直距離が180nmの略円錐形状の微細凹凸構造が形成されていた。水接触角、A1/A2および反射率の結果を表1に示す。
(微細凹凸構造体(2−5)の製造)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−5)の調製:
ウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック社製、Ebecryl8402)の20部、シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(日本化成社製)の80部、活性エネルギー線重合開始剤として、日本チバガイギー社製のイルガキュア184の1.0部およびイルガキュア819の0.1部を混合し、均一に溶解させ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−5)を調製した。
微細凹凸構造体(2−5)の製造:
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−5)を用い、基材として厚さ38μmのポリエチレンテレフタラート(以下、PETと記す。)フィルム(三菱樹脂社製、WE97A)を用いた以外は、微細凹凸構造体(2−1)の製造方法と同じ方法で、微細凹凸構造体(2−5)を製造した。
得られた微細凹凸構造体(2−5)は、モールドから剥離した当初は他の微細凹凸構造体と同様に、透明で反射防止性能に優れたものであったが、剥離から数分経過すると、次第に白色の靄がかかってきた。モールドの微細凹凸構造が転写され、硬化物の表面に微細な凸部が林立するが、微細凹凸構造体(2−5)は、水酸基、アミノ基等の水素結合形成可能な官能基が硬化物の表面に多く存在するため、凸部間での相互作用が強く、凸部同士が寄り添い、光を乱反射するサイズになってしまっていた。A1/A2および反射率の結果を表1に示す。
Figure 0005356612
〔実施例1−1〕
(保護フィルムの作製)
フィルム基材として易接着層付PETフィルム(東洋紡績社製、A4300、厚さ38μm)を用いた。
表2に示す配合組成にて光重合性の粘着剤組成物を調製した。得られた粘着剤組成物をフィルム基材の表面に塗工し、その上にポリエチレンフィルムを被せて、ローラで厚さが均一になるように展ばした。
フュージョンUVランプ(Dバルブ)(フュージョンUVシステムズ・ジャパン社製)を用い、積算光量がおよそ1000mJ/cmになるように活性エネルギー線を照射して、粘着剤組成物の硬化物からなる粘着剤層(厚さ約3〜5μm)がフィルム基材の表面に形成された保護フィルムを得た。圧縮応力、B1/B2および貯蔵弾性率E’を表2に示す。
(保護フィルム付き微細凹凸構造体の製造)
微細凹凸構造体(1−1)と保護フィルムとを5cmの幅で短冊状に切り、保護フィルムの粘着剤層が微細凹凸構造体(1−1)の微細凹凸構造側の表面に貼着するように、重さ2kgのゴムローラを用いて貼り付け、保護フィルム付き微細凹凸構造体を得た。
別途、(8−1)密着性の評価1、および(9−1)糊残りの評価1に基づいて密着性および糊残りの評価用の試験片を作製し、密着性および糊残りの評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例1−2〜1−5、比較例1−1〜1−7〕
表2〜4に示す配合組成にて粘着剤組成物を調製し、得られた粘着剤組成物および表2〜4に示す種類の微細凹凸構造体を用いた以外は、実施例1−1と同様にして保護フィルム付き微細凹凸構造体を製造し、各評価を行った。結果を表2〜4に示す。
〔実施例2−1〕
(保護フィルムの作製)
フィルム基材として易接着層付PETフィルム(東洋紡績社製、A4300、厚さ38μm)を用いた。
表5に示す配合組成にて光重合性の粘着剤組成物を調製した。得られた粘着剤組成物をフィルム基材の表面に塗工し、その上にポリエチレンフィルムを被せて、ローラで厚さが均一になるように展ばした。
フュージョンUVランプ(Dバルブ)(フュージョンUVシステムズ・ジャパン社製)を用い、積算光量がおよそ1000mJ/cmになるように活性エネルギー線を照射して、粘着剤組成物の硬化物からなる粘着剤層(厚さ約3〜5μm)がフィルム基材の表面に形成された保護フィルムを得た。圧縮応力、B1/B2および貯蔵弾性率E’を表5に示す。
(保護フィルム付き微細凹凸構造体の製造)
微細凹凸構造体(2−1)と保護フィルムとを5cmの幅で短冊状に切り、保護フィルムの粘着剤層が微細凹凸構造体(2−1)の微細凹凸構造側の表面に貼着するように、重さ2kgのゴムローラを用いて貼り付け、保護フィルム付き微細凹凸構造体を得た。(8−2)密着性の評価2、および(9−2)糊残りの評価2に基づいて密着性および糊残りの評価を行った。結果を表5に示す。
〔比較例2−1〕
(保護フィルム付き微細凹凸構造体の製造)
微細凹凸構造体(2−1)と、アクリル系保護フィルム(日立化成工業社製、ヒタレックスDP−1010)とを5cmの幅で短冊状に切り、保護フィルムの粘着剤層が微細凹凸構造体(2−1)の微細凹凸構造側の表面に貼着するように、重さ2kgのゴムローラを用いて貼り付けようと試みたが、密着性が悪く、保護フィルム付き微細凹凸構造体が得られなかった。B1/B2を表7に示す。
〔比較例2−2〕
(保護フィルム付き微細凹凸構造体の製造)
微細凹凸構造体(2−1)と、アクリル系保護フィルム(サンエー化研社製、SAT HC1138T5−J)とを5cmの幅で短冊状に切り、保護フィルムの粘着剤層が微細凹凸構造体(2−1)の微細凹凸構造側の表面に貼着するように、重さ2kgのゴムローラを用いて貼り付けようと試みたが、密着性が悪く、保護フィルム付き微細凹凸構造体が得られなかった。B1/B2を表7に示す。
〔実施例2−2〜2−7、比較例2−3〜2−10〕
表5〜8に示す配合組成にて粘着剤組成物を調製し、得られた粘着剤組成物および表5〜8に示す種類の微細凹凸構造体を用いた以外は、実施例2−1と同様にして保護フィルム付き微細凹凸構造体を製造し、各評価を行った。結果を表5〜8に示す。また、実施例2−5、2−6における粘着剤層の貯蔵弾性率E’のグラフを図7に示す。
Figure 0005356612
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Figure 0005356612
Figure 0005356612
Figure 0005356612
Figure 0005356612
Figure 0005356612
表2〜8中の略号は下記の通りである。
・EB8402:2官能ウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック社製、エベクリル8402)。
・CHDMMA:シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(日本化成社製)。
・HPA:2−ヒドロキシプロピルアクリレート。
・AP400:ポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油社製、ブレンマーAP−400)。
・IOA:イソオクチルアクリレート。
・DAR TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(日本チバガイギー社製、DAROCURE TPO)。
表2〜4に示す結果から明らかなように、各実施例の保護フィルム付き微細凹凸構造体は、保護フィルムが微細凹凸構造体に良好に密着していた。しかも、2週間経過後も糊残りすることなく保護フィルムを剥離することができた。
特に、実施例1−1〜1−3、1−5で用いた保護フィルムに備わる粘着剤層は、10〜60℃のうちの少なくともいずれかの温度での貯蔵弾性率E’が1×10〜6×10Paの範囲にあるものであった。中でも、実施例1−1、1−2の場合は、25℃での貯蔵弾性率E’が1×10〜6×10Paの範囲内であり、室温(25℃)での貼り付けに問題は無かった。なお、実施例1−3で用いた保護フィルムに備わる粘着剤層は、25℃での貯蔵弾性率E’が6×10Paより大きい値を示したが、35℃での貯蔵弾性率E’は2.5×10Paとなった。また、実施例1−5で用いた保護フィルムに備わる粘着剤層は、25℃での貯蔵弾性率E’が6×10Paより大きい値を示したが、45℃での貯蔵弾性率E’は4.6×10Paとなった。これらの結果より、実施例1−3、1−5で用いた保護フィルムは、実施例1−1、1−2で用いた保護フィルムに比べて、室温(25℃)での貼り付けは困難であるものの、貯蔵弾性率E’を6×10Pa以下にした状態で、保護フィルムを微細凹凸構造体の表面に貼着すれば、すなわち、微細凹凸構造体に貼り付ける直前に保護フィルムの粘着剤層を例えば35℃や45℃に加熱すれば、容易に貼り付けることが可能であることが示された。
また、実施例1−1、1−2、1−4、1−5で用いた保護フィルムに備わる粘着剤層は、貯蔵弾性率E’が2×10Pa以上のゴム状平坦域を有し、長期の保管や高湿熱環境においても変化しにくい物性であった。
一方、圧縮率20%まで圧縮したときの圧縮応力が0.6MPa未満である粘着剤層を備えた保護フィルを用いた比較例1−1〜1−3、1−5、1−6の保護フィルム付き微細凹凸構造体は、粘着剤層が柔らかすぎたため、2週間経過後に保護フィルムを剥離すると、糊残りが発生した。特に、比較例1−5、1−6の場合は、反射率の波長依存性が変わるほどの糊残りが発生した。
比較例1−4の場合、粘着剤層が柔らかすぎたため、粘着剤層が微細凹凸構造の凹部深くまで入り込みすぎ、貼り付け直後の段階から保護フィルムを剥離することができなかった。また、粘着剤層の圧縮応力および貯蔵弾性率E’の評価用の試験片を採取できなかった。
圧縮率20%まで圧縮したときの圧縮応力が3.1MPaである粘着剤層を備えた保護フィルを用いた比較例1−7の保護フィルム付き微細凹凸構造体は、粘着剤層が固すぎたため、粘着剤層が微細凹凸構造の凹部に入り込みにくく、密着性に劣るものであった。そのため、反射率の測定は行わなかった。
また、表5〜8に示す結果から明らかなように、各実施例の保護フィルム付き微細凹凸構造体は、保護フィルムが微細凹凸構造体に良好に密着していた。しかも、2週間経過後も糊残りすることなく保護フィルムを剥離することができた。
また、実施例で用いた保護フィルムに備わる粘着剤層は、ゴム状平坦域における貯蔵弾性率E’が1.5×10Pa以上であり、長期の保管や高湿熱環境においても変化しにくい物性であった。
一方、粘着剤層の表面のB1/B2が0.6未満である保護フィルを用いた比較例2−1〜2−3、2−5、2−7は、粘着剤層の表面に水素結合形成できる官能基が少なく、密着性が悪く、保護フィルム付き微細凹凸構造体を得られなかった。
また、粘着剤層の表面のB1/B2が1.3を超える保護フィルを用いた比較例2−4、2−6、2−8は、微細凹凸構造体の表面との相互作用が強く、2週間経過後に保護フィルムを剥離すると、糊残りが発生した。
また、比較例2−9、2−10は、微細凹凸構造体の微細凹凸構造側の表面のA1/A2が0.1未満であり、水素結合形成できる官能基が少なかったため、保護フィルムの粘着剤層と十分な相互作用がなく、密着性が悪く、保護フィルム付き微細凹凸構造体を得られなかった。
本発明の保護フィルム付き微細凹凸構造体は、微細凹凸構造体としての優れた光学性能を維持しながら、運搬、加工における微細凹凸構造の傷付きを防ぐことができる。加えて、長期保管をしても糊残りを生じることなく、初期の光学性能を発揮できる。したがって、本発明の保護フィルム付き微細凹凸構造体から保護フィルムを剥離した微細凹凸構造体は、例えば、建材用途(壁、屋根等)、窓材(家屋、自動車、電車、船舶等)、鏡等に利用可能であり、工業的に極めて有用である。また、反射防止性能が求められるディスプレイ等の用途にも利用可能である。
1 保護フィルム付き微細凹凸構造体
10 微細凹凸構造体
11 基材
12 硬化物
13 凸部
13a 頂部
13b 頂部
14 凹部
14a 底部
15 中間層
20 保護フィルム
21 粘着剤層
22 フィルム基材
30 アルミニウム板
31 細孔
32 酸化皮膜
33 窪み
34 酸化皮膜
35 細孔
40 モールド

Claims (8)

  1. 可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体に、該微細凹凸構造体の表面を保護する保護フィルムが貼着した保護フィルム付き微細凹凸構造体であって、
    前記微細凹凸構造体の表面の水接触角が40°以下であり、
    前記保護フィルムが、前記微細凹凸構造側表面と接する粘着剤層を有し、
    かつ、前記粘着剤層を厚さ方向に圧縮率20%まで圧縮したときの圧縮応力が0.6〜3.0MPaである、保護フィルム付き微細凹凸構造体。
  2. 可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体に、該微細凹凸構造体の表面を保護する保護フィルムが貼着した保護フィルム付き微細凹凸構造体であって、
    前記保護フィルムが、前記微細凹凸構造側表面と接する粘着剤層を有し、
    前記微細凹凸構造の表面の赤外線吸収スペクトルにおける、3700〜3100cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積A1と、1730±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積A2との比(A1/A2)が、0.1〜0.8であり、
    前記粘着剤層の表面の赤外線吸収スペクトルにおける、3700〜3100cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積B1と、1730±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積B2との比(B1/B2)が、0.6〜1.3である、保護フィルム付き微細凹凸構造体。
  3. 前記粘着剤層の表面の赤外線吸収スペクトルにおける、3700〜3100cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積B1と、1730±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積B2との比(B1/B2)が、0.6〜1.3である、請求項1に記載の保護フィルム付き微細凹凸構造体。
  4. 前記微細凹凸構造の表面の赤外線吸収スペクトルにおける、3700〜3100cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積A1と、1730±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積A2との比(A1/A2)が、0.1〜0.8である、請求項1に記載の保護フィルム付き微細凹凸構造体。
  5. 前記粘着剤層の貯蔵弾性率E’が、10〜60℃のうちの少なくともいずれかの温度で1×10〜6×10Paの範囲にある、請求項1に記載の保護フィルム付き微細凹凸構造体。
  6. 前記粘着剤層は、貯蔵弾性率E’が1.5×10Pa以上の範囲にゴム状平坦域を有する、請求項2または5に記載の保護フィルム付き微細凹凸構造体。
  7. 請求項1または2に記載の保護フィルム付き微細凹凸構造体を製造する方法であって、
    前記粘着剤層を加熱して、前記保護フィルムを前記微細凹凸構造体の表面に貼着させる、保護フィルム付き微細凹凸構造体の製造方法。
  8. 前記粘着剤層の貯蔵弾性率E’を6×10Pa以下にした状態で、前記保護フィルムを前記微細凹凸構造体の表面に貼着させる、請求項7に記載の保護フィルム付き微細凹凸構造体の製造方法。
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