JP2016190758A - 合わせガラスおよび合わせガラス用光制御部品 - Google Patents
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Abstract
Description
合わせガラスにおいても、中間層としてこのような光制御層を備えることで、合わせガラス本来の機能である耐衝撃性および飛散防止性に加え、光制御機能の発揮が期待される。例えば、特許文献1では、一対のガラス板間に赤外線反射膜が形成された複合フィルムが一対の接着シートを介して接着された合わせガラスが開示されており、上記複合フィルムが熱線の透過を遮断する光制御層として機能する。
しかし、電離放射線硬化性樹脂は、その構造内にフェニル基や未反応の重合性不飽和結合と有しており、これらは外光の紫外線を吸収しやすい。このため光制御層は、上記官能基や結合による紫外線の吸収により劣化が生じやすいという問題を有していた。
一方、光制御層の劣化を防止するために、光制御層内に紫外線吸収剤等の耐候剤を含有させると、光制御層の製造に際し電離放射線硬化性樹脂の硬化に要する紫外線が上記耐候剤に吸収されてしまい、硬化反応が阻害されて光制御層を所望の形状に成形しにくくなり、形状精度の低下により光制御機能に悪影響を及ぼすという問題も有していた。
耐候剤のマイグレーションが生じ、接着層中の耐候剤量が減少すると、光制御層の劣化の要因となる波長光が接着層にて十分に吸収されず、一部がそのまま光制御層に到達してしまう。そして光制御層を形成する樹脂内に有する官能基や結合が上記波長光を吸収することで、光制御層の劣化が生じて黄変すると想定される。また、上記耐候剤が光制御層に含まれる未反応モノマーや開始剤類と反応することにより、光制御層の劣化が生じて黄変することも想定される。
このように、光制御層および接着層の劣化により、合わせガラスが十分な耐候性を有さないという問題もある。
これにより、本発明の合わせガラスは、高耐候性と高光制御機能を有することができる。
本発明の合わせガラスは、第1ガラス基板、第1接着層、バリア層、光制御層、第2接着層、および第2ガラス基板がこの順に積層され、少なくとも上記第1接着層が耐候剤を含むことを特徴とするものである。
本発明の合わせガラス10は、通常、第1ガラス基板1が光制御層4よりも先に光Lが入射するようにして配置される。
これにより、本発明の合わせガラスは、高耐候性と高光制御機能を有することができる。
本発明における第1接着層は、耐候剤を含むものである。
第1接着層は、第1ガラス基板とバリア層とを接着させる層である。
耐候剤としては、光制御層の劣化および第1接着層の劣化を防止することが可能なものであればよく、各層の劣化防止に要求される機能に応じて1種以上が選択されて用いられる。上記耐候剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等が挙げられる。
上記有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、フェニルサリシレート系、シアノアクリレート系、ベンゾエート系、ベンゾオキサジノン系、トリアジン系、ヒドロキシフェニルトリアジン系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダートアミン系等が挙げられる。
また、上記反応性紫外線吸収剤としては、上述の有機系紫外線吸収剤に、例えばビニル基、アクリロイル基、メタクロイル基等の付加重合性二重結合、あるいはアルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等の反応基を導入したものが挙げられる。
上記酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤等が挙げられる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、IRGANOX 1035、IRGANOX 3114(以上、チバスペシャリティケミカルズ社製)、AO−80、AO−60(以上、ADEKA社製)等が挙げられる。また、ホスファイト系酸化防止剤としては、具体的にはPEP−36A、PEP−8(以上ADEKA社製)が挙げられる。
光安定剤としては、光学フィルム等の高光透過性が要求される部材の接着層に使用されるもの、例えばヒンダードアミン系光安定剤、ニッケル錯体系光安定剤等が挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、Tinuvin 111FDL、Tinuvin 123、Tinuvin 144、Tinuvin 152、Tinuvin 292、Tinuvin 5100(以上、BASF社製)、Viosorb 770、Viosorb 622、Viosorb 765(以上、共同薬品社製)、LA−63P(ADEKA社製)等が挙げられる。
また、光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基を有する反応性光安定剤を用いてもよい。具体的には1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート(製品名:サノールLS−3410 日本乳化剤株式会社製)等が挙げられる。
第1接着層における紫外線吸収剤(固形分)の含有量としては、光制御層の劣化の要因となる波長光を十分に吸収可能な量であればよく、後述する接着剤100重量部に対して0.1重量部〜40重量部の範囲内であることが好ましく、中でも1重量部〜30重量部の範囲内であることが好ましい。
接着剤100重量部に対する紫外線吸収剤の含有量が上記範囲よりも多いと、例えば耐候剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いる場合において、第1接着層が着色を帯びてしまい、合わせガラス全体としての光透過性の低下や外観上の問題が生じる可能性がある。一方、紫外線吸収剤の含有量が上記範囲よりも少ないと、紫外線等の光制御層の劣化原因となる波長光を第1接着層において十分に吸収しきれず、光制御層の劣化が生じる場合がある。
耐候剤が、紫外線吸収剤に加えて紫外線吸収剤以外の耐候剤を含む場合、第1接着層における上記紫外線吸収剤以外の耐候剤(固形分)の含有量としては、接着剤100重量部に対して0.1重量部〜40重量部の範囲内であることが好ましく、中でも1重量部〜30重量部の範囲内であることが好ましい。
接着剤100重量部に対する上記紫外線吸収剤以外の耐候剤の含有量が上記範囲よりも大きいと、第1接着層を形成する接着剤の溶解性の観点から好ましくなく、一方、上記範囲よりも小さいと、添加することによる効果が発揮されない場合がある。
上記耐候剤が、紫外線吸収剤以外の耐候剤として酸化防止剤と光安定剤との両方を含む場合は、酸化防止剤と光安定剤との総量が上記範囲内となる。
第1接着層の形成に用いられる接着剤としては、所望の接着力を示し、高い光透過性を有することが可能な材料であれば特に限定されるものではなく、一般に合わせガラスにおいてガラス基板と中間層との接着に用いられるものが挙げられるが、中でも、ホットメルト接着剤、反応性ホットメルト接着剤が好適に用いられる。
接着剤に含まれる樹脂としては、一般的なホットメルト接着剤および反応性ホットメルト接着剤に含まれる熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂を含む接着剤により形成される第1接着層は、熱可塑性樹脂を含むもの、あるいは、熱硬化性樹脂が加熱により硬化してなる硬化樹脂を含むものである。
上記樹脂として具体的には、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、スチレン−ブタジエンゴム共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等の熱可塑性エラストマー等も挙げられる。これらの樹脂は1種以上が好適に用いられる。中でも、上記樹脂がEVA、PVBであることが好ましく、EVAとPVBとを併用してもよい。透明性、および接着性、ならびに衝撃エネルギー吸収性、耐候性、および機械強度等の諸性能に優れた第1接着層を形成することができるからである。
第1接着層は、上述の材料の他に添加剤を含むものであってもよい。添加剤としては、例えば架橋剤、シランカップリング剤、接着付与剤、充填剤、レベリング剤等が挙げられる。架橋剤としては、例えばイソシアネート系、金属キレート系、エポキシ系、およびメラミン系が挙げられる。
第1接着層の厚さとしては、高耐衝撃性および高飛散防止性を発揮することが可能な接着力で第1ガラス基板とバリア層とを接着することが可能であり、上述した所望の量の耐候剤を含むことができる大きさであればよく、例えば0.025mm〜60mm程度、好ましくは0.3mm〜30mmの範囲内である。第1接着層の厚さが上記範囲よりも大きいと、合わせガラスの光透過性が低下する場合があり、また、得られた合わせガラスをサッシに組み込むことが難しくなり、施工し難くなる場合がある。一方、上記厚さが上記範囲よりも小さいと、所望量の耐候剤を含むことができない場合や、所望の接着力が得られず、合わせガラスとしての性能を担保できない場合がある。
上記接着力は、JIS Z0237に準拠する方法で、第1接着層が形成された25mm幅のサンプル(被着体:青板ガラス、3mm厚)を用いて、180°引き剥がし法(速度:300mm/min)にて測定される。
本発明におけるバリア層は、第1接着層と光制御層との間に設けられる層である。
上記バリア層により、第1接着層から光制御層への耐候剤のマイグレーションを阻止することができる。
上記バリア層は、通常、第1接着層と直に接して設けられることが好ましい。耐候剤のマイグレーションを効率よく阻止することができるからである。
また、上記バリア層は、通常、後述する第3接着層を介して光制御層と接着されることで設けられるが、バリア層の種類に応じて、光制御層と直に接して設けられてもよい。
ここで、バリア層について、耐候剤のマイグレーションが起こりにくい構造を有するとは、高比重であることをいう。具体的には、バリア層を構成する材料の比重が0.8以上、好ましくは0.9以上であることをいう。このようなバリア層としては、具体的には、透明樹脂により形成された透明樹脂層、透明無機化合物により形成された透明無機化合物層が挙げられる。
透明樹脂層は、材料自体が安価で汎用性があり、また、一般に市販される透明樹脂フィルムや透明樹脂シートをそのままバリア層として用いることが可能であるという利点を有する。
上記樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン(COP)等のポリオレフィン系樹脂;セルローストリアセテート(CTA)等のセルロース系樹脂;ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂;ウレタン系樹脂;アクリルシリコン系樹脂;フッ素系樹脂;エポキシ系樹脂;ポリカーボネート(PC)系樹脂;6−ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)等のイミド系樹脂;ポリアミドイミド(PAI)系樹脂;ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC)系樹脂;メラミン系樹脂;アミノアルキッド系樹脂;ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)等のサルフォン系樹脂;尿素系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);アクリルポリオール系樹脂;アクリル・ウレタン共重合体;アクリルポリオール・イソシアネート共重合体等が挙げられる。透明樹脂層は、これらの樹脂の1種単独により形成されたものであってもよく、2種以上を含んでいてもよい。
さらに、市販の透明樹脂フィルムや透明樹脂シートを用いる場合であれば、第1接着層上または光制御層上に後述する第3接着層を介して市販の透明樹脂フィルムやシートをラミネートする方法等が挙げられる。
透明無機化合物層は、厚さが薄くても高密度であることから、薄膜で耐候剤のマイグレーションを効率良く阻止することができるという利点を有する。
バリア層は、透明樹脂層または透明無機化合物層からなる単一層であってもよく、複数の透明樹脂層の積層体、または複数の透明無機化合物層を積層させた積層体であってもよい。また、透明樹脂層と透明無機化合物層とを積層させた積層体であってもよい。
本発明における光制御層は、バリア層と第2接着層との間に設けられる層である。
中でも本発明においては、上記光制御層が、ルーバー型であることが好ましい。充填部の材料や光の入射角度に応じて光の制御方法を選択することが可能であり、合わせガラスの光制御機能をより高くすることができるからである。
以下、ルーバー型光制御層と、その他の光制御層とに分けて説明する。
ルーバー型光制御層は、一方の面に複数本の溝部を有する光透過部、および上記複数本の溝部内に形成された充填部をする。
図3は、ルーバー型光制御層を有する合わせガラスの一例を示す概略断面図である。
以下、ルーバー型光制御層の各構成について説明する。
光透過部は、一方の面に複数本の溝部を有する。
光透過部の溝部形成面から見た溝部の開口形状としては、直線状、曲線状等が挙げられる。また、隣り合う各溝部は、平行して形成されていてもよく、ランダムに形成されていてもよく、交差して形成されていてもよい。中でも、複数本の溝部が直線状であり、且つ平行して形成されていることが好ましい。このような溝部の長さについては、特に限定されず、光制御層の機能等に応じて適宜設定することができる。なお、溝部の長さとは、充填部の溝部形成面から見た溝部開口の長手方向の長さをいう。
なお、溝部の幅とは、すなわち充填部の幅を意味し、例えば図2(b)においてaで示す部分である。
なお、溝部の深さは、光透過部の溝部形成面から溝部の凹部先端までの長さ、すなわち充填部の高さを意味し、例えば図2(b)においてbで示す部分である。
光透過部は、通常、樹脂により形成される。上記樹脂としては、熱または紫外線や電子線等の電離放射線の照射により硬化した硬化樹脂が挙げられる。
硬化樹脂としては、例えば熱硬化樹脂、電離放射線硬化樹脂が挙げられる。中でも上記樹脂が電離放射線硬化樹脂であることが好ましい。
光透過部の厚さは、溝部形成面からその対向面までの長さ、すなわち光制御層の厚さ(図2中のcで示す部分)をいう。
なお、可視光線透過率は、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製 V−670)を用い、PETフィルム(品番:コスモシャインA4100(片面易接着層付き)、厚さ100μm、東洋紡績製)上に厚さ10μmの光透過部を形成したサンプルの、測定波長域380nm〜780nmで測定した値である。
充填部は、光透過部の溝部内に形成される。上記充填部は、通常、溝部と同形状となる。
また、充填部が、隠蔽性を示す材料で形成された光拡散部である場合、充填部と光透過部との界面において光を拡散反射させて室内への採光量の増加を図ることができる。
さらに、充填部が、熱線吸収剤を含む熱線吸収材料で形成された熱線吸収部である場合、充填部内にて熱線吸収剤により入射した光に含まれる熱線の一部が吸収されることで、熱線の透過および遮蔽を選択的に行うことができる。
以下、充填部の各態様について説明する。
低屈折率部は、充填部が光透過部を形成する樹脂よりも屈折率の低い樹脂で形成されたものである。
低屈折率部を形成する樹脂としては、透明で光透過性を有し、光透過部よりも低屈折率を示す樹脂であればよい。上記樹脂としては、硬化樹脂が好ましく、中でも電離放射線硬化樹脂が好ましい。
上記電離放射線硬化樹脂としては、上述の「(a)光透過部」の項で説明した紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂を電離放射線で硬化させた紫外線硬化樹脂または電子線硬化樹脂が好ましい。
低屈折率部を形成する電離放射線硬化樹脂が紫外線硬化樹脂である場合、上記低屈折率部には光重合開始剤が含まれていてもよい。光重合開始剤の種類や含有量については、「(a)光透過部」の項で説明した内容と同様とすることができる。
また、このとき上記光透過部と上記低屈折率部との屈折率差が大きいほど好ましい。光透過部と低屈折率部との界面において入射光の全反射が生じやすくなり、採光量を増加させることができるからである。具体的には上記屈折率差が、0.05以上であることが好ましく、特に0.10以上であることが好ましい。屈折率差が上記範囲に満たない場合、全反射の波長分散が発生した際に、長波長成分は全反射せずに短波長成分のみが全反射し、その結果採光の色彩に変化が生じることがある。
光拡散部は、隠蔽性を示す材料で形成されたものである。
上記光拡散部を形成する材料としては、隠蔽性があればよく、例えば白色顔料、銀色顔料等が挙げられる。白色顔料としては、例えば酸化チタン、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられる。銀色顔料としては、例えばアルミニウム、クロム等の金属が挙げられる。
また、上記光拡散部は、必要に応じて他の任意の材料を含んでもよい。
熱線吸収部は、熱線吸収剤を含む熱線吸収材料により形成されたものである。
熱線吸収材料は少なくとも熱線吸収剤およびバインダ樹脂を含み、上記熱線吸収剤としては、可視光線(波長域380nm〜780nm)を透過し熱線を吸収するもの、すなわち、赤外光領域に吸収特性を有し、且つ、可視光領域に透過特性を有するものであればよい。
熱線吸収部および熱線吸収部を形成する熱線吸収材料については、特開2015−021257号公報、特開2014−115529号公報、特開2014−174214号公報等に開示されるものと同様とすることができる。
光制御層は、図5に示すように、溝部形成面と対向する面上に基材14を有していてもよい。上記基材としては、光制御層を支持し、光透過性を有するものであれば特に限定されないが、樹脂基材が挙げられる。樹脂基材に用いられる樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリウレタン等のウレタン系樹脂;6−ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;塩化ビニル系樹脂等を用いることができる。中でも透明性および強度の点からポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましい。
基材は、必要に応じて片面または両面に表面処理が施されていてもよい。
ルーバー型光制御層の溝部形成面は、平坦性が高くてもよく、低くてもよいが、平坦性が高いことが好ましい。溝部形成面の平均表面粗さ(Ra)として0.1nm〜100nmの範囲内、中でも0.1nm〜20nmの範囲内、特に0.1nm〜10nmの範囲内であることが好ましい。
なお、上記平均表面粗さ(Ra)は、JIS B0601 2001の規定に従い23℃の測定環境下で測定した値である。
プリズム型光制御層は、外光を偏光、反射して室内側への光の入射方向を制御する機能を有するものであり、例えば図6で示すように、基材32上に台形断面を有する単位プリズム31を複数備えた構造を有する。プリズム型光制御層4Bは、単位プリズム31の偏光面において外光を全反射して所望の偏光を生じさせることにより、外光が室内へ入射する際の入射方向を制御することができる。なお、隣り合う単位プリズム間33は、空気が充填されていてもよく、単位プリズムと屈折率の異なる材料が充填されていてもよい。
また、単位プリズムの構造等の詳細については、例えば、特開2013−155569号公報に記載される単位プリズムの詳細と同様とすることができる。
光制御層は、バリア層側表面に任意の層を有していてもよい。任意の層としては、オーバーコート層、平坦化層、光散乱層等が挙げられる。
光制御層がオーバーコート層を有することで、バリア層や後述する第3接着層に対する密着性を向上させることができる。また、上記光制御層が平坦化層や光散乱層を有することで、合わせガラスを介して対象物を視認する際に、光の回折現象や干渉現象の発生により多重像が発現するのを防ぐことができる。オーバーコート層、平坦化層、および光散乱層については、従来公知のものを用いることができる。
本発明における第2接着層は、光制御層と第2ガラス基板との間に設けられる層である。
第2接着層は、「1.第1接着層」の項で説明した耐候剤を含んでいてもよく、含まなくてもよい。
第2接着層の形成に用いられる接着剤としては、第1接着層と同様とすることができる。
本発明における第1ガラス基板および第2ガラス基板(総じてガラス基板と称する場合がある。)は、合わせガラスの最外に設けられ、第1接着層および第2接着層を介してバリア層および光制御層を挟持する。
第1ガラス基板および第2ガラス基板は、種類が同じであっても異なってもよい。
また、ガラス基板の光透過性としては、本発明の合わせガラスが後述する光透過性を示すことが可能であればよく、厳密な透過率で規定されない。
本発明においては、上記バリア層と上記光制御層との間に第3接着層を有していてもよい。バリア層および光制御層を強固に接着することができるからである。
上記接着剤としては、例えばアクリル系接着剤、シリコン系接着剤、エステル系接着剤、ウレタン系接着剤、フッ素系接着剤、ポリイミド系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタンエステル系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、合成ゴム系接着剤、天然ゴム系接着剤等が挙げられる。
また、第3接着層の形成に用いられる接着剤は、第1接着層または第2接着層と同じ接着剤であってもよい。
また、第3接着層の接着力としては、光制御層とバリア層とを層間で剥離が生じにくい強度であればよく、例えば4N/25mm以上、好ましくは10N/25mm以上、より好ましくは15N/25mm以上である。上記接着力は、JIS Z0237に準拠する方法で、100μmのPET基材上に裏打ちして貼り合わせたものを、常温にて24時間静置後に180°方向に剥離した剥離強度である。
第3接着層は第1および第2接着層と同様の光透過性を有することが好ましい。
本発明の合わせガラスは、図7で例示するように、第2接着層5が耐候剤21を含む場合、光制御層4と第2接着層5との間にバリア層3を有していてもよい。第1ガラス基板または第2ガラス基板のいずれの面から光Lが入射する場合であっても、バリア層により耐候剤のマイグレーションを阻止することが可能となり、光の入射方向に因らず光制御層の劣化を防ぐことができるからである。
本発明の合わせガラスの光透過性については、合わせガラスの用途や使用するガラス基板にも因るが、例えば全光線透過率が65%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上、特に好ましくは75%以上である。全光線透過率は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K7361に準拠して測定される。また、上記合わせガラスは、高透明性を有していてもよくヘイズを有していてもよい。
また、上述したように本発明の合わせガラスが、第1接着層および第2接着層が耐候剤を含み、第1接着層と光制御層との間および第2接着層と光制御層との間にバリア層を設けた層構成であれば、第1ガラス基板および第2ガラス基板のいずれも合わせガラスの光の入射面とすることが可能であり、中でも光制御層の溝部形成面側に位置するガラス基板が、合わせガラスの光の入射面であることが好ましい。
また、本発明の合わせガラスが、第1接着層および第2接着層が耐候剤を含み、光制御層が、溝部形成面と対向する面上に基材を有するルーバー型光制御層である層構成の場合も同様に、第1ガラス基板および第2ガラス基板のいずれも合わせガラスの光の入射面とすることが可能であり、中でも光制御層の溝部形成面側に位置するガラス基板が、合わせガラスの光の入射面となることが好ましい。
本発明の光制御部品は、光制御層と、上記光制御層の一方の面上に形成されたバリア層とを有し、上記光制御層は、一方の面に複数本の溝部を有する光透過部、および上記溝部内に形成された充填部を有し、上記バリア層が、上記光制御層の上記溝部が形成された面上に形成されていることを特徴とするものである。
なお、光制御層が溝部形成面と対向する面上に基材を有する構造である場合、本発明の光制御部品は、光制御層の両面にバリア層を備える構造とすることができる。
1.第1接着層の積層
厚さ3mm、30cm×30cmサイズのフロートガラスの(第1ガラス基板)の片面に、下記組成のホットメルト型接着剤組成物Aを用いて形成された硬化後厚さ0.4μmのシート状の第1接着層を配置した。
<ホットメルト型接着剤組成物A>
・エチレン酢酸ビニル共重合体 … 100重量部
・紫外線吸収剤A(ベンゾフェノン系、Viosorb 100 共同薬品社製) … 10重量部
・酸化防止剤A(ホスファイト系、PEP−36A ADEKA社製)… 5重量部
・架橋剤A(タイク 日本化成社製) … 3重量部
・シランカップリング剤(KBM−503 信越シリコーン社製) … 0.1重量部
バリア層としてPETフィルム(厚さ16μm)を用い、上記第1接着層上に配置した。
下記の方法で光制御層を形成し、上記光制御層の溝部形成面上に下記組成の第3接着層用組成物Aからなる第3接着層を形成し、上記第3接着層が上記バリア層側となるようにして光制御層を配置した。
<第3接着層用組成物A>
・粘着主剤:アクリル共重合体(SKダイン1429DT(固形分30%) 綜研化学社製) … 100重量部
・イソシアネートHDI系硬化剤(Y−75 綜研化学社製) … 10重量部(固形分比3重量部)
連続帯状の透明2軸延伸PETフィルム(厚さ100μm)の一方の表面に、下記の組成から成る液状の光透過部用組成物を硬化後厚さが200μmとなるように塗布した。
<光透過部用組成物>
・ビスフェノールAエポキシジアクリレート … 50重量部
・アクリル系モノマー …40重量部
・(メタ)アクリル酸エステル誘導体 … 10重量部
・ベンゾフェノン系光重合開始剤(イルガキュア184、チバスペシャリティケミカルズ社製) … 1重量部
上記ロール金型とPETフィルムとの間に光透過部用組成物を挟んだ状態で、水銀灯を用いて紫外線照射を行い、光透過部用組成物を架橋硬化させた後、ロール金型を剥離して溝部群を表面に有する光透過部をPETフィルムの片面上に形成した。上記溝部群は、光透過部の表面の面方向に沿って一方向に直線状に連なり、その主切断面が、高さ160μm、光透過部表面側の長さが33μm、PETフィルム側の長さが10μmの2段台形となる凹状であった。
光透過部の屈折率は1.60、充填部の屈折率は1.47であった。上記屈折率は、JIS K7142に準拠する方法で、アッベ屈折計((株)アタゴ社製)を用いて温度23℃の条件下、測定波長589nmのナトリウム光源を用いて測定された値とする。
<低屈折率部用組成物>
・ポリプロピレングリコールジアクリレート(APG−400、新中村化学社製) …30重量部
・多官能アクリル系モノマー … 50重量部
・単官能アクリル系モノマー … 15重量部
・イソシアネートHDI系硬化剤(Y−75、綜研化学社製) … 4重量部(固形分比)
・光重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製) … 1重量部
ホットメルト型接着剤組成物Aを用いて、第1接着層と同様にしてシート状の第2接着層を形成し、光制御層上に配置した。
上記第2接着層上に厚さ3mm、30cm×30cmサイズのフロートガラス(第2ガラス基板)を配置して積層体とした。
第3接着層用組成物Aにかえて下記組成の第3接着層用組成物Bを用いて第3接着層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
<第3接着層用組成物B>
・粘着主剤:アクリル系共重合体(SKダイン2094DT(固形分25%) 綜研化学社製) … 100重量部
・イソシアネートHDI系硬化剤(Y−75 綜研化学社製) … 10重量部(固形分比3重量部)
第3接着層用組成物Aにかえて下記組成の第3接着層用組成物Cを用いて第3接着層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
<第3接着層用組成物C>
・粘着主剤:アクリル系共重合体(SKダイン1811DT(固形分23%) 綜研化学社製) … 100重量部
・イソシアネートHDI系硬化剤(Y−75 綜研化学社製) … 5.7重量部(固形分比1.3重量部)
ホットメルト型接着剤組成物Aにかえて下記組成のホットメルト型接着剤組成物Bを用いて第1接着層および第2接着層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
<ホットメルト型接着剤組成物B>
・エチレン酢酸ビニル共重合体 … 100重量部
・紫外線吸収剤B(ベンゾフェノン系、Uvinul 3049 BASF社製) … 10重量部
・酸化防止剤A(ホスファイト系、PEP−36A ADEKA社製) … 5重量部
・架橋剤A(タイク 日本化成社製) … 3重量部
・シランカップリング剤(KBM−503 信越シリコーン社製) … 0.1重量部
ホットメルト型接着剤組成物Aにかえて下記組成のホットメルト型接着剤組成物Cを用いて第1接着層および第2接着層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
<ホットメルト型接着剤組成物C>
・エチレン酢酸ビニル共重合体 … 100重量部
・紫外線吸収剤A(ベンゾフェノン系、 Viosorb 100 共同薬品社製) … 10重量部
・酸化防止剤B(ヒンダートフェノール系、IRGANOX 1035 BASF社製)… 5重量部
・架橋剤A(タイク 日本化成社製) … 3重量部
・シランカップリング剤(KBM−503 信越シリコーン社製) … 0.1重量部
バリア層の厚さを25μmとしたこと以外は実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
バリア層の厚さを50μmとしたこと以外は実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
ホットメルト型接着剤組成物Aにかえて下記組成のホットメルト型接着剤組成物Dを用いて第1接着層および第2接着層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
<ホットメルト型接着剤組成物D>
・エチレン酢酸ビニル共重合体 … 100重量部
・紫外線吸収剤C(ベンゾトリアゾール系、 Tinuvin 384−2 チバ・ジャパン社製) … 10重量部
・酸化防止剤A(ホスファイト系、PEP−36A ADEKA社製)… 5重量部
・架橋剤A(タイク 日本化成社製) … 3重量部
・シランカップリング剤(KBM−503 信越シリコーン社製) … 0.1重量部
バリア層及び第3接着層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして合わせガラスを作製した。
ホットメルト型接着剤組成物Aにかえて下記組成のホットメルト型接着剤組成物Eを用いて第1接着層および第2接着層を形成したこと以外は、比較例1と同様にして合わせガラスを作製した。
<ホットメルト型接着剤組成物E>
・エチレン酢酸ビニル共重合体 …100重量部
・酸化防止剤A(ホスファイト系、PEP−36A ADEKA社製)… 10重量部
・架橋剤A(タイク 日本化成社製) … 3重量部
・シランカップリング剤(KBM−503 信越シリコーン社製) … 0.1重量部
実施例1〜8および比較例1〜2で得た合わせガラスに対し、耐紫外線劣化性試験による耐候性評価を行った。耐紫外線劣化性試験は、促進耐候性試験機(スガ試験機(株)製 サンシャインウェザーメーターS300、JIS B7753:2007準拠)を用いて、下記の(A)、(B)を1サイクルとしてこれを2000hrs繰り返すことにより行った。
(A)ブラックパネル(B.P.)温度63℃、湿度50%RHの雰囲気下で、フィルタAタイプを用いて照度255W/m2(波長域300nm〜700nm)のカーボンアーク灯式により光照射する。 : 102分
(B)ブラックパネル(B.P.)温度63℃、湿度98%RHの雰囲気下で、フィルタAタイプを用いてカーボンアーク灯式(照度:255W/m2(波長域300nm〜700nm)により光照射し、かつ、シャワリングをする。 : 18分
YI=100×(1.2985X−1.1335Z)/Y
(ここで、X、YおよびZは、XYZ表色系における試験片の三刺激値)
微黄変が発生せず黄色度が抑えられたもの(YI≦6)を「非常に良い(○)」とし、黄変が発生して実用上問題になるもの(YI>6)を「悪い(×)」とした。また、試験後の合わせガラスの光透過性として、同じ紫外可視近赤外分光光度計を用いて可視光線透過率を測定し、80%以上のものを○、それ未満のものを×とした
結果を表1に示す。
2 … 第1接着層
3 … バリア層
4 … 光制御層
4A … ルーバー型光制御層
5 … 第2接着層
6 … 第2ガラス基板
10 … 合わせガラス
20 … ガラス用光制御部品
Claims (10)
- 第1ガラス基板、第1接着層、バリア層、光制御層、第2接着層、および第2ガラス基板がこの順に積層され、
少なくとも前記第1接着層が耐候剤を含むことを特徴とする合わせガラス。 - 前記バリア層と前記光制御層との間に第3接着層を有することを特徴とする請求項1に記載の合わせガラス。
- 前記耐候剤が、紫外線吸収剤を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の合わせガラス。
- 前記耐候剤が、前記紫外線吸収剤に加えて、酸化防止剤および光安定剤の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項3に記載の合わせガラス。
- 前記バリア層が透明樹脂層であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の合わせガラス。
- 前記透明樹脂層が、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびポリアミド系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の合わせガラス。
- 前記バリア層が透明無機化合物層であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の合わせガラス。
- 前記光制御層が、一方の面に複数本の溝部を有する光透過部、および前記複数本の溝部内に形成された充填部を有し、
前記光制御層の前記溝部が形成された側の面が前記バリア層側となるように配置されることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の合わせガラス。 - 前記光透過部が樹脂で形成されており、
前記充填部が、前記光透過部を形成する樹脂よりも屈折率の低い樹脂で形成された低屈折率部であることを特徴とする請求項8に記載の合わせガラス。 - 光制御層と、前記光制御層の一方の面上に形成されたバリア層とを有し、
前記光制御層は、一方の面に複数本の溝部を有する光透過部、および前記溝部内に形成された充填部を有し、
前記バリア層が、前記光制御層の前記溝部が形成された側の面上に形成されていることを特徴とする合わせガラス用光制御部品。
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