JP2014137574A - 光制御フィルム及びその製造方法並びに光制御窓 - Google Patents

光制御フィルム及びその製造方法並びに光制御窓 Download PDF

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Abstract

【課題】賦形フィルムを有する光制御フィルムが太陽光に曝されたとき、その太陽光により賦形フィルムと基材フィルムとの密着性等が低下するのを抑制できる光制御フィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基材フィルム1とプライマー層2と凹凸部R1及び基材部R2を有する賦形フィルム3とを少なくとも有し且つそれらがその順で積層され、そのプライマー層2が、紫外線吸収剤及び光安定剤の一方又は両方を含む熱硬化性樹脂若しくは電子線硬化性樹脂で形成されている光制御フィルム10により、上記課題を解決した。この光制御フィルム10は、基材フィルム1上に、紫外線吸収剤及び光安定剤の一方又は両方を含む熱硬化性樹脂組成物若しくは電子線硬化性樹脂組成物でプライマー層2を形成し、そのプライマー層2上に、熱硬化性樹脂組成物又は紫外線硬化性樹脂組成物で賦形フィルム3を形成して製造できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光制御フィルム及びその製造方法並びに光制御窓に関する。さらに詳しくは、賦形フィルムを有する光制御フィルムが太陽光に曝されたとき、その太陽光により賦形フィルムと基材フィルムとの間の密着性等が低下するのを抑制できる光制御フィルム及びその製造方法並びに光制御窓に関する。
家屋の窓ガラス等に貼り合わされて太陽光を制御する光制御フィルムが種々提案されている。特許文献1には、家屋の窓ガラス等に貼り合わされ、その窓ガラス等から入射する太陽光を屋内の天井や奥の方まで効率よく導くことができる採光フィルムが提案されている。この採光フィルムは、一方の面に複数の単位プリズム等の賦形部が形成され、その賦形部で入射した太陽光を屈折させたり反射させたりして光を室内に取り入れている。また、特許文献2には、夏季は室内への太陽光の取り込みを抑制して室内が暑くなりすぎるのを抑制することができ、冬季は室内への太陽光の取り込みを増して室内を暖めることができる熱線制御フィルムが提案されている。この熱線制御フィルムは、太陽光を透過する光透過部と、赤外線を吸収する赤外線吸収部とからなり、その赤外線吸収部は、光透過部に設けられた賦形部に赤外線吸収材料を充填して形成されている。
上記した採光フィルムや熱線制御フィルム等の光制御フィルムは、いずれも賦形部を有し、採光フィルムはその賦形部で光を屈折又は反射し、熱線制御フィルムはその賦形部に充填された赤外線吸収部で熱を吸収している。これらの採光フィルムや熱線制御フィルムは、建物や自動車等の窓に貼るフィルムとして用いられるので、太陽光に含まれる強い紫外線に曝された状態で使用されている。
ところで、紫外線は樹脂材料を劣化させることから、紫外線に曝される用途で使用される各種の熱線制御フィルムでは、その熱線制御フィルムを構成する樹脂材料中に紫外線吸収剤や光安定剤を添加している。例えば、特許文献3〜5には、熱線遮蔽層に紫外線吸収剤を有させて耐紫外線劣化性を付与した熱線制御フィルムが提案されている。
こうした紫外線吸収剤や光安定剤の添加は、特許文献1の採光フィルムや特許文献2の熱線制御フィルムにも同様に適用でき、採光フィルムや熱線制御フィルムに耐紫外線劣化性を付与することができる。
特開2008−40025号公報 特開2010−259406号公報 特開平11−237506号公報 特開2008−209574号公報 特開2011−031601号公報
採光フィルムや熱線制御フィルム等の光制御フィルムは、基材フィルム上に、凹凸の賦形形状を有したフィルム(以下「賦形フィルム」という。)を賦形部として貼り合わせている。そのため、上記した特許文献3〜5と同様に、光制御フィルムの耐紫外線劣化性を向上させるための紫外線劣化性や光安定剤は、通常、賦形フィルムに含有させることが好ましい。
しかしながら、賦形フィルムは凹凸の賦形形状を有することから、その凹部と凸部とでは紫外線吸収剤の総量が異なり、入射した紫外線の吸収性が異なる。そのため、その賦形フィルムを通過した後の太陽光に含まれる紫外線量が凹部と凸部とで異なるので、紫外線量が異なるその太陽光は、賦形フィルムの下に設けられた基材フィルムの表面のうち、凹部の下にある部分を選択的に劣化させ、賦形フィルムと基材フィルムとの間の密着性を低下させるおそれがある。
また、賦形フィルムに光安定剤のみが含まれている場合には、紫外線自体は賦形フィルムで吸収されることなくその賦形フィルムを透過する。しかし、凹部と凸部とでは太陽光の通過長さが異なる。そのため、その賦形フィルムを通過した後の太陽光の光エネルギーが凹部と凸部とで異なるので、光エネルギーが異なるその太陽光は、賦形フィルムの下に設けられた基材フィルムの表面のうち、凹部の下にある部分のみを選択的に劣化させ、賦形フィルムと基材フィルムとの間の密着性を低下させるおそれがある。
この問題に対しては、賦形フィルムに紫外線吸収剤や光安定剤を多量に含有させることが考えられるが、賦形フィルムは、外力に対する一定以上の硬度(剛性)が要求されるため、紫外線吸収剤や光安定剤を多量に含有させると硬度(剛性)が低下してしまう。そのため、賦形フィルム中に紫外線吸収剤や光安定剤を含有させる量にも制限があり、充分な耐紫外線劣化性を付与できないという問題もある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、賦形フィルムを有する光制御フィルムが太陽光に曝されたとき、その太陽光により賦形フィルムと基材フィルムとの密着性等が低下するのを抑制できる光制御フィルム及びその製造方法並びに光制御窓を提供することにある。
(1)上記課題を解決するための本発明に係る光制御フィルムは、基材フィルムとプライマー層と賦形フィルムとを少なくとも有し且つそれらがその順で積層され、前記プライマー層が、紫外線吸収剤及び光安定剤の一方又は両方を含む熱硬化性樹脂若しくは電子線硬化性樹脂で形成されていることを特徴とする。
本発明に係る光制御フィルムにおいて、前記凹凸部の底部と前記基材部の前記プライマー層側の面との距離が、100μm以下であるように構成してもよい。
本発明に係る光制御フィルムにおいて、前記凹凸部が、厚さ方向に細長く延びた楔形状であるように構成してもよい。
本発明に係る光制御フィルムにおいて、前記賦形フィルムは、前記凹凸部の凹部に赤外線吸収材料を含有する熱線選択吸収フィルム、又は、前記凹凸部で光を反射する採光フィルムであるように構成してもよい。
(2)上記課題を解決するための本発明に係る光制御窓は、上記した本発明に係る光制御フィルムを窓に貼り合わせたことを特徴とする。
(3)上記課題を解決するための本発明に係る光制御フィルムの第1の製造方法は、基材フィルムを準備する工程と、前記基材フィルム上に、紫外線吸収剤及び光安定剤の一方又は両方を含む熱硬化性樹脂組成物若しくは電子線硬化性樹脂組成物でプライマー層を形成する工程と、前記プライマー層上に、熱硬化性樹脂組成物又は紫外線硬化性樹脂組成物で賦形フィルムを形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る光制御フィルムの第2の製造方法は、熱硬化性樹脂組成物又は紫外線硬化性樹脂組成物で賦形フィルムを形成する工程と、前記賦形フィルム上に、紫外線吸収剤及び光安定剤の一方又は両方を含む熱硬化性樹脂組成物若しくは電子線硬化性樹脂組成物でプライマー層を形成する工程と、前記プライマー層上に、基材フィルムを貼り合わせる工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、賦形フィルムを有する光制御フィルムが太陽光に曝されたとき、その太陽光により賦形フィルムと基材フィルムとの密着性等が低下するのを抑制できる光制御フィルム及びその製造方法並びに光制御窓を提供することにある。
具体的には、本発明に係る光制御フィルムによれば、賦形フィルムを通過した後の太陽光に含まれる紫外線量が凹部と凸部とで異なる場合であっても、賦形フィルムの下に設けられた基材フィルムの表面のうち、凹部の下にある部分の選択的な劣化を防ぐことができる。その結果、賦形フィルムと基材フィルムとの間の密着性の低下を抑制等して耐紫外線劣化性を向上させることができる。
本発明に係る光制御フィルムの一例を示す模式的な断面図である。 本発明に係る光制御フィルムの他の一例を示す模式的な断面図である。 光制御フィルムが貼り合わされた光制御窓の例を示す模式的な断面図である。 光制御フィルムの構造形態の詳しい説明図である。
以下、本発明に係る光制御フィルム及びその製造方法について詳細に説明する。本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[光制御フィルム及びその製造方法]
本発明に係る光制御フィルム10は、図1及び図2に示すように、基材フィルム1とプライマー層2と賦形フィルム3とを少なくとも有し且つそれらがその順で積層されている。そして、プライマー層3が、紫外線吸収剤及び光安定剤の一方又は両方を含む熱硬化性樹脂若しくは電子線硬化性樹脂で形成されていることに特徴がある。この光制御フィルム10は、図3に示すように、窓に貼り合わされて使用される。
光制御フィルム10は、2つの方法で製造できる。第1の製造方法は、基材フィルム1を準備する工程と、基材フィルム1上に、紫外線吸収剤及び光安定剤の一方又は両方を含む熱硬化性樹脂組成物若しくは電子線硬化性樹脂組成物でプライマー層2を形成する工程と、プライマー層2上に、熱硬化性樹脂組成物又は紫外線硬化性樹脂組成物で賦形フィルム3を形成する工程とを有している。第2の製造方法は、熱硬化性樹脂組成物又は紫外線硬化性樹脂組成物で賦形フィルム3を形成する工程と、賦形フィルム3上に、紫外線吸収剤及び光安定剤の一方又は両方を含む熱硬化性樹脂組成物若しくは電子線硬化性樹脂組成物でプライマー層2を形成する工程と、プライマー層2上に、基材フィルム1を貼り合わせる工程とを有している。
なお、賦形フィルム3は、凸部及び凹部で構成される凹凸部R1と、基材部R2とを有している。この賦形フィルム3を備えた光制御フィルム10は、凹凸部R1の凹部に赤外線吸収材料を充填した熱線選択吸収フィルム10A(図1を参照)、又は、凹凸部R1で光を反射等する採光フィルム10B,10C(図2を参照)等として用いられる。特に熱線選択吸収フィルム10Aは、夏季には室内への太陽光の取り込みを抑制して室内が暑くなりすぎるのを抑制することができ、冬季には室内への太陽光の取り込みを増して室内を暖めることができる熱線制御フィルムとして利用できる。
以下、光制御フィルム10の各構成要素について詳しく説明するとともに、併せてその製造方法も説明する。
<基材フィルム>
基材フィルム1は、窓貼り用フィルムとしての透明性を有し、その上にプライマー層2と賦形フィルム3とを設ける光制御フィルム10の基材として用いられる。基材フィルム1は、十分な強度を有するものであれば特に限定されず、実使用の見地からは、ポリエステル系樹脂、シクロオレフィンポリマー、及びトリアセチルセルロース(TAC)等からなる基材フィルム1を挙げることができる。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、これらの共重合体、及びポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)等を挙げることができる。ポリエステル系樹脂のうちでも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びこれらの共重合体が好ましく、ポリエチレンナフタレート及びポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。シクロオレフィンポリマーとしては、ノルボルネン系ポリマー、シクロペンテン系ポリマー、シクロブテン系ポリマー等を挙げることができ、中でも、ノルボルネン系ポリマーを好ましく挙げることができる。
基材フィルム1の材質としてポリエステル系樹脂を適用する場合、その全てがポリエステル系樹脂の基材フィルム1であってもよいし、プライマー層2と賦形フィルム3が形成される側の面に少なくともポリエステル系樹脂層が形成された積層型の基材フィルム1であってもよい。この積層型の基材フィルム1では、プライマー層2が形成されるポリエステル系樹脂層以外の層は、ポリエステル系樹脂層でなくてもよい。ポリエステル系樹脂層以外の層としては、耐熱性、熱膨張及び光透過性等を考慮した各種の樹脂層を選定できる。
基材フィルム1の厚さは特に限定されないが、10μm以上、500μm以下の程度であることが好ましい。基材フィルム1は、その厚さによって基材シートと呼ばれることがある。また、基材フィルム1は、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。全光線透過率を80%以上とすることにより、透明性がより要求される場合に好ましく使用することができる。基材フィルム1は、必要に応じて着色剤を含んでいてもよいし、酸化防止剤や紫外線吸収剤等を含んでいてもよい。また、一軸延伸又は二軸延伸したフィルムは、透明性及び機械的強度が共に高いので好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートの2軸延伸フィルムは、耐熱性、機械的強度、光透過性及びコスト等の点で好ましい。
こうした基材フィルム1は、市販品を購入することにより準備してもよいし、自前で製造することにより準備してもよい。基材フィルム1の製造方法としては、従来公知の製造方法を適用でき、例えば、溶液流延法、溶融押出法、カレンダー法等を挙げることができる。
基材フィルム1の表面は、必要に応じて、後述するプライマー層2との密着性を向上させるために表面処理されていることが好ましい。表面処理としては、酸化処理、凹凸化処理(粗面化処理)、易接着コート処理等を挙げることができる。酸化処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線照射処理等を挙げることができる。凹凸化処理(粗面化処理)としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等を挙げることができる。これらの表面処理は、基材フィルム1の種類に応じて選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また、易接着コート処理は、基材フィルム1上に樹脂層等を薄くコーティングして接着性を向上させる処理であり、例えば、ポリエステル系樹脂層等を設ける方法がある。このときの樹脂層の厚さは、通常、0.005μm以上、0.2μm以下の程度であり、好ましくは0.01μm以上、0.1μm以下の程度である。ポリエステル系樹脂層は架橋されていることが好ましく、架橋剤としてはメラミン系架橋剤やエポキシ系架橋剤等を挙げることができる。
なお、基材フィルム1の他方の表面S4には、機能層が設けられていてもよい。機能層としては、マット剤層、表面保護層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層、及び粘着層等を挙げることができる。これらの機能層のうち、表面保護層やハードコート層等は、光制御フィルム10を図3(A)に示す内貼り態様で窓ガラス20等に貼り合わせる場合に、基材フィルム1の表面に好ましく設けられ、粘着層8は、光制御フィルム10を図3(B)に示す外貼り態様で窓ガラス20等に貼り合わせる場合に基材フィルム1の表面に好ましく設けられる。
<プライマー層>
プライマー層2は、賦形フィルム3が設けられる側の基材フィルム1上に、後述する賦形フィルム1の下地層として設けられている。プライマー層2は、紫外線吸収剤及び光安定剤の一方又は両方を含む熱硬化性樹脂組成物若しくは電子線硬化性樹脂組成物で形成される。すなわち、熱硬化性樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含むもの、光安定剤を含むもの、又は、紫外線吸収剤と光安定剤の両方を含むもの、が用いられる。また、電子線硬化性樹脂組成物も、紫外線吸収剤を含むもの、光安定剤を含むもの、又は、紫外線吸収剤と光安定剤の両方を含むもの、が用いられる。熱硬化性樹脂は加熱により架橋重合が可能なラジカル重合性の化合物であり、また、電子線硬化性樹脂は電子線照射により架橋重合が可能なラジカル重合性の化合物であれば特に限定されない。
このプライマー層2は、紫外線吸収剤及び光安定剤の一方又は両方を含む熱硬化性樹脂若しくは電子線硬化性樹脂で形成されているので、光制御フィルム10が太陽光50に曝されたとき、その太陽光50により賦形フィルム3と基材フィルム1との密着性が低下したり、紫外線がプライマー層2を透過して基材フィルム1を変色(黄変)させたりするのを抑制できる。特に、賦形フィルム2を通過した後の太陽光に含まれる紫外線量が凹部と凸部とで異なる場合であっても、賦形フィルム3の下に設けられた基材フィルム1の表面のうち、凹部の下にある部分の選択的な劣化を防ぐことができる。その結果、賦形フィルム3と基材フィルム1との間の密着性の低下を抑制等して耐紫外線劣化性を向上させることができる。
(硬化性樹脂組成物)
硬化性樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂組成物又は電子線硬化性樹脂組成物が適用される。熱硬化性樹脂組成物を用いる場合は、その組成物に含まれる熱硬化性樹脂を加熱によって硬化させてプライマー層2を形成する。一方、電子線硬化性樹脂組成物を用いる場合は、その組成物に含まれる電子線硬化性樹脂を電子線照射により硬化させてプライマー層2を形成する。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、水酸基官能性アクリル樹脂、カルボキシル官能性アクリル樹脂、アミド官能性共重合体、ウレタン樹脂等を挙げることができ、これらを1種又は2種以上用いることができる。これらの樹脂の架橋硬化の態様としては、例えば、エポキシ樹脂は、アミン、酸触媒、カルボン酸、酸無水物、水酸基、ジシアンジアミド又はケチミンとの反応により架橋硬化を促進でき;フェノール樹脂は、塩基触媒と過剰なアルデヒドとの反応により架橋硬化を促進でき;ユリア樹脂は、アルカリ性又は酸性の下での重縮合反応により架橋硬化を促進でき;不飽和ポリエステル樹脂は、無水マレイン酸とジオールとの共縮合反応により架橋硬化を促進でき;メラミン樹脂は、メチロールメラミンの加熱重縮合反応により架橋硬化を促進でき;アルキド樹脂は、側鎖等に導入された不飽和基同士の空気酸化による反応により架橋硬化を促進でき;ポリイミド樹脂は、酸又は弱アルカリ触媒の存在下での反応により、又は、イソシアネート化合物との反応(2液型の場合)により架橋硬化を促進でき;シリコーン樹脂は、シラノール基の酸触媒の存在下での縮合反応により架橋硬化を促進でき;水酸基官能性アクリル樹脂は、水酸基と自身が持つアミノ樹脂との反応(1液型の場合)により架橋硬化を促進でき;カルボキシル官能性アクリル樹脂は、アクリル酸又はメタクリル酸等のカルボン酸とエポキシ化合物による反応により架橋硬化を促進でき;アミド官能性共重合体は、水酸基との反応又は自己縮合反応により架橋硬化を促進でき;ウレタン樹脂は、水酸基を含有するポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂等の樹脂とイソシアネート化合物又はその変性物との反応により架橋硬化を促進できる。これらの反応を利用した架橋剤又は硬化剤が通常用いられる。
電子線硬化性樹脂としては、所定の屈折率を有する透明な電子線硬化樹脂であればよく、電子線硬化性樹脂として一般的に用いられている各種の重合性オリゴマー及びプレポリマーの中から選択された1種又は2種以上を用いることができる。重合性オリゴマー及びプレポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー又はプレポリマーを挙げることができ、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエーテルウレタン(メタ)アクリレート系、カプロラクトンウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等のオリゴマー又はプレポリマー等を好ましく挙げることができ、これらを1種又は2種以上用いることができる。これらのうち、良好な耐候性を有するポリカーボネート系ウレタンアクリレートやポリエステル系ウレタンアクリレート等のウレタンアクリル共重合体樹脂が好ましい。なお、ここで、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。電子線硬化性樹脂は、特に溶剤等を使用する必要がない点から好ましい。
多官能性のウレタン(メタ)アクリレートとともに、メチル(メタ)アクリレート等の単官能性(メタ)アクリレートを用いることができる。単官能性(メタ)アクリレートは、その粘度を調整する希釈剤等として、本発明の目的を損なわない範囲で併用してもよい。単官能性(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいし、低分子量の多官能性(メタ)アクリレートを併用してもよい。
プライマー層2を形成する熱硬化性樹脂組成物又は電子線硬化性樹脂組成物は、後述する賦形フィルム3に使用される樹脂(具体的には熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂)と反応性を有する熱硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂を1種類以上含有していることが好ましい。これにより、賦形フィルム3に対するプライマー層2の応力緩和効果がより顕著になり、基材フィルム1と賦形フィルム3との間の密着性をより長時間保持することができる。具体的には、例えば、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂を含むことが好ましい。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂としては、後述する賦形フィルム3の形成材料として使用される各種モノマー、オリゴマー及びプレポリマーと同様の樹脂を挙げることができ、さらに、こうしたモノマー、オリゴマー及びプレポリマーが重合したポリマーを挙げることができる。中でも、ウレタンアクリレート系樹脂は、賦形フィルム3との密着性及び耐候性の点で好ましく用いることができる。ウレタンアクリレート系樹脂としては、例えば、ポリカーボネート系ウレタン−アクリル共重合体樹脂を好ましく挙げることができる。
賦形フィルム3に使用される樹脂と反応性を有する熱硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂の、熱硬化性樹脂組成物又は電子線硬化性樹脂組成物の全量に対する含有量は、全固形分比で、1質量%以上、60質量%以下の範囲内であることが好ましく、5質量%以上、40質量%以下の範囲内であることがより好ましい。
なお、電子線硬化性樹脂組成物には、紫外線吸収剤が含まれていても構わない。この場合であっても、組成物に含まれる紫外線吸収剤が、電子線硬化性樹脂の硬化を妨げることがない。なお、プライマー層2は紫外線硬化性樹脂組成物で形成されてもよいが、その場合にも、組成物中に紫外線吸収剤及び光安定剤の一方又は両方を含ませることができる。ただし、紫外線吸収剤が主に吸収する紫外線の波長と、紫外線硬化性樹脂を硬化させるために照射する紫外線の波長とがすれていることが必要である。両者の紫外線波長をずらすことにより、紫外線吸収剤を含む紫外線硬化性樹脂組成物を用いた場合であっても、所定波長の紫外線を照射することにより、紫外線硬化性樹脂を硬化してプライマー層2を形成することができる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、プライマー層2に含まれていることが好ましく、より好ましくは光安定剤とともにプライマー層2に含まれていることが好ましい。なお、プライマー層2に光安定剤が含まれている場合は、紫外線吸収剤を含まなくてもよい。この紫外線吸収剤は、プライマー層2を通過する紫外線を吸収して、プライマー層2の下にある基材フィルム1と賦形フィルム3との密着性の低下を防ぐように作用する。特に、賦形フィルム3の凹部を通過する紫外線量と、賦形フィルム3の凸部を通過する紫外線量とが異なる場合であっても、賦形フィルム3の下に設けられた基材フィルム1の表面のうち、凹部の下にある部分の選択的な劣化(光酸化劣化)を防ぐことができる。その結果、賦形フィルム3と基材フィルム1との間の密着性の低下や変色(黄変)を抑制等して耐紫外線劣化性を向上させることができる。
紫外線吸収剤は、無機系でも有機系でもよい。無機系の紫外線吸収剤としては、平均粒径が5nm以上120nm以下の程度の酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等を好ましく挙げることができる。有機系の紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、サリチレート系、アクリロニトリル系等を好ましく挙げることができる。中でも、紫外線吸収能が高く、また紫外線等の高エネルギーに対しても劣化しにくいトリアジン系がより好ましい。
トリアジン系紫外線吸収剤は、紫外線吸収能力が高く、紫外線等の高エネルギーに対しても劣化し難いという利点がある。トリアジン系紫外線吸収剤としては、具体的には、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール、1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリ[{3,5−ビス−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]、及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等を挙げることができる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステル等を挙げることができる。
紫外線吸収剤として、分子内にアクリロイル基等の反応性官能基を有する紫外線吸収剤を用いることもできる。反応性官能基を有する紫外線吸収剤としては、例えば、(2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン)メタクリル酸メチル共重合体等を挙げることができる。
紫外線吸収剤は、プライマー層2中に単独で含まれていてもよいし、光安定剤とともに含まれていてもよい。また、下記の反応性官能基を有する紫外線吸収剤が含まれていてもよい。プライマー層2中に含まれる紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収剤の紫外線吸収能力に応じて任意に設定されるが、組成物の全量に対して、固形分比で、0.1質量%以上、25質量%以下の範囲内であることが好ましく、5質量%以上、20質量%以下の範囲内であることがより好ましい。こうした範囲の紫外線吸収剤を含むプライマー層2は、より良好な耐候性を示す光制御フィルム10となる。含有量が0.1質量%未満の場合は、充分な耐候性が得られないことがあり、含有量が25質量%を超えると、過剰配合による黄変やブリードアウトによるヘイズ悪化の問題が生じることがある。なお、プライマー層2に含まれる紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。紫外線吸収剤を2種以上組み合わせた場合の含有量は、それらの合計の含有量である。
こうした紫外線吸収剤は、その紫外線吸収効果により、プライマー層2を通過する太陽光50に含まれる紫外線を極力吸収する。その結果、図1に示すように、賦形フィルム3を通過した後の太陽光50に含まれる紫外線量が凹部と凸部とで異なる場合であっても、賦形フィルム3の下に設けられた基材フィルム1の表面のうち、凹部の下にある部分の選択的な劣化(光酸化劣化)を防ぐことができる。選択的な劣化の防止は、賦形フィルム3と基材フィルム1との間の密着性の低下を抑制等して耐紫外線劣化性を向上させることができる。
(光安定剤)
光安定剤は、プライマー層2を通過する太陽光50に含まれる紫外線の作用によりラジカルが発生した場合に、そのラジカルを捕獲して不活性化させることができ、光酸化劣化の進行を抑制することができるものであれば特に限定されない。光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好ましく、酸化反応を引き起こすフリーラジカルが生じた場合、そのフリーラジカルを触媒的に捕捉し、安定化させることができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート等を挙げることができる。また、反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤を用いてもよく、具体的には、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート等を挙げることができる。
プライマー層2に含まれる光安定剤の含有量は、光安定剤のラジカル捕捉能力に応じて任意に設定されるが、例えばヒンダードアミン系光安定剤は、プライマー層2に対して、0.1質量%以上、20質量%以下の範囲内で含有していることが好ましく、0.1質量%以上、15質量%以下の範囲内で含有することがより好ましく、0.1質量%以上、10質量%以下の範囲内で含有していることが特に好ましい。プライマー層2がこの範囲内のヒンダードアミン系光安定剤を含有することにより、賦形フィルム3を通過した後の太陽光50に含まれる紫外線量が凹部と凸部とで異なる場合であっても、賦形フィルム3の下に設けられた基材フィルム1の表面のうち、凹部の下にある部分の選択的な劣化(光酸化劣化)を防ぐことができる。なお、プライマー層2に含まれる光安定剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。光安定剤を2種以上組み合わせた場合の含有量は、それらの合計の含有量である。
以上のように、熱硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂で形成されるプライマー層2は、紫外線吸収剤及び光安定剤の一方又は両方を含む。これ以外の耐候剤は、本発明の趣旨を損なわない範囲内で含有させてもよい。
プライマー層2に含まれる紫外線吸収剤や光安定剤は、熱硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂と化学結合可能な反応性官能基を有していることが好ましい。その反応性官能基を有する紫外線吸収剤や光安定剤は、熱硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂に反応性官能基を介して結合するので、紫外線吸収剤や光安定剤のブリードアウトによる熱線制御機能低下やヘイズ悪化(外観性の悪化)を防ぐことができる。
プライマー層2に含まれる紫外線吸収剤や光安定剤の総量は、30質量%以下であることが好ましい。それらの総量が30質量%を超えると、プライマー層2の透明性や硬度(剛性)等の特性が不十分になることがあり、光制御フィルム10の光透過性が低下したり、硬度が低下して、光制御機能に支障が出たりする等のおそれがある。
プライマー層2の厚さは、通常、2μm以上、25μm以下の範囲内であり、3μm以上、20μm以下の範囲内であることが好ましい。厚さが2μm以上であれば、十分な接着性が得られ、厚さが25μm以下であれば、経済的に好ましい。
プライマー層2の形成方法は、上記した樹脂を含むプライマー層形成用樹脂組成物を、必要に応じて溶剤(酢酸エチル、トルエン等)で粘度調整して塗布する方法を適用できる。塗布装置は、公知の塗布装置であれば特に制限はなく、ナイフコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ロールコーター等が挙げられる。
<賦形フィルム>
賦形フィルム3は、図1及び図2に示すように、凹部と凸部とを有する凹凸形状(賦形形状)Rを一方の面に有するフィルムであり、基材フィルム1上のプライマー層2の上に設けられている。賦形フィルム3の形態としては、本願では、図1に示す熱線選択吸収フィルム10Aと、図2に示す光屈折制御フィルム10B,10Cとを例示して説明するが、これらに限定されない。以下、順に説明する。
(熱線選択吸収フィルム)
熱線選択吸収フィルム10Aは、熱線吸収部4と熱線透過部5とで構成された賦形部を備えている。
(熱線透過部)
熱線透過部5は、図1に示すように、熱線選択吸収フィルム10Aのうち、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂で形成され、厚さ方向Yに細長く延びた凹形状(楔形状又は長方形状)の賦形部R1が面内方向Xに並設されている部分である。この熱線透過部5は、赤外線吸収材料を含んでいない。したがって、熱線透過部5は、可視光を透過するとともに赤外線も透過する。熱線透過部5に入射した可視光であっても、賦形部R1に赤外線吸収材料が含まれてなる熱線吸収部4は赤外線を吸収するので、熱線吸収部4では少なくとも赤外線の透過が遮蔽される。
熱線透過部5は、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂で形成されている。熱硬化性樹脂は、上記したプライマー層2の欄で説明したものと同様の熱硬化性樹脂を適用できる。また、紫外線硬化性樹脂は、例えば、紫外線の照射により架橋重合が可能なラジカル重合性の樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリレート基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等のラジカル重合性不飽和基を有するモノマー(単量体)、オリゴマー及びプレポリマーから選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。こうしたオリゴマー及びプレポリマーとしては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレンアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコーンアクリレート及びポリオールアクリレート等から選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、単官能モノマー及び多官能モノマーを挙げることができる。単官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカブロラクトン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、スチレン等のビニルモノマー;フェノキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソオクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、アクリロイルモルホリン等のアクリレートモノマー;及びアクリルアミド誘導体が挙げられる。多官能モノマーとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ノナンジオールジアクリレート、ペンタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等、及びこれらのエチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、及びカプロラクタン変性物等が挙げられる。モノマーは、1種を用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記したモノマーが結合して生成したオリゴマーやプレポリマーであってもよい。こうしたモノマー、オリゴマー及びプレポリマーは、要求される性能や工業生産性等に応じて、いずれか1種を単独で用いたり、いずれか2種を混合して用いたり、又は、各々の1種若しくは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、本発明においては、前記モノマー、オリゴマー及びプレポリマーと共に、その粘度を調整する等の目的で、メチル(メタ)アクリレート等の単官能性(メタ)アクリレートのような希釈剤を、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、低分子量の多官能性(メタ)アクリレートを併用してもよい。また、希釈剤としては、上記のモノマーを用いて、樹脂組成物の塗工性を確保することもできる。なお、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
紫外線硬化性樹脂は、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アセトフェノン系化合物及びアシルフォスフォンオキサイド系化合物等を挙げることができる。アセトフェノン系化合物としては、例えば、アセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、アミノアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン]、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等を挙げることができ、アシルフォスフォンオキサイド系化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。光重合開始剤は、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、光重合開始剤の配合量は、熱線透過部5を形成するための紫外線硬化性樹脂組成物の全量に対して、0.1質量%以上、5質量%以下の範囲内であることが好ましい。なお、光重合開始剤の定量方法としては、例えば、ガスクロマトグラフィー質量分析法で求めることができる。
熱線透過部5は、図1に示すように、厚さ方向Yに細長く延びた凹形状(楔形状又は長方形状)の賦形部R1を面内方向Xに並設している。賦形部R1は、熱線透過部5を構成する熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂を硬化させる前に金型で所定の形状に賦形し、その賦形状態で加熱し又は紫外線を照射して形成される。金型は、通常、凹形状(楔形状又は長方形状)を賦形するための凹凸部を表面に有したロール状又は板状の型である。紫外線は、賦形される側の面との反対面から照射され、具体的には、基材フィルム1の側から紫外線が照射される。
(熱線吸収部)
熱線吸収部4は、前記した賦形部R1に赤外線吸収材料を充填して形成される。賦形部R1に赤外線吸収材料を充填してなる熱線吸収部4は、図4に示すように、夏季には室内への太陽光50中の赤外線の取り込みを抑制して室内が暑くなりすぎるのを抑制することができ、冬季には室内への太陽光50中の赤外線の取り込みを増して室内を暖めることができるように作用するものであれば、その形状は特に限定されない。通常は、厚さ方向Yに細長く延びている凹形状、具体的には楔形状等を挙げることができる。熱線吸収部4への充填材料は、少なくとも赤外線吸収材料を含む樹脂組成物であればよく、具体的には、硬化性樹脂と赤外線吸収材料とを少なくとも含む樹脂組成物を挙げることができる。
赤外線吸収材料としては、太陽光の熱線(赤外線)を吸収する効果があれば特に限定されず、無機系の赤外線吸収材料や有機系の赤外線吸収材料のいずれも用いることができる。
無機系の赤外線吸収材料としては、例えば、金属酸化物系のナノ粒子を挙げることができる。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)及び硫化亜鉛の群から選ばれる1種又は2種以上のナノ粒子を挙げることができる。これらの中で、アンチモンドープ酸化錫(ATO)又は錫ドープ酸化インジウム(ITO)のナノ微粒子が好ましいる。ナノ粒子、特にATO又はITOのナノ粒子の平均粒径は、ヘイズを抑制する観点から、1nm以上、300nm以下の範囲内が好ましく、1nm以上、100nm以下の範囲内がさらに好ましい。
金属酸化物系のナノ粒子は、赤外線を効率的に吸収する観点から、硬化性樹脂組成物中に0.2質量%以上、20質量%以下の範囲内で含有することが好ましく、0.5質量%以上、10質量%以下の範囲内で含有することがより好ましく、1質量%以上、7.5質量%以下の範囲内で含有することが特に好ましい。また、ATO又はITOのナノ粒子を用いる場合は、透明性の観点から、0.5質量%以上、7.5質量%以下の範囲内で含有することが好ましく、1質量%以上、5質量%以下の範囲内で含有することがより好ましい。
その他の無機系の赤外線吸収材料として、耐候性、近赤外線吸収性能及び可視光線透過性等の観点から、タングステン酸化物が好ましく、複合酸化タングステンがさらに好ましい。複合酸化タングステンとしては、MWOで表される化合物を挙げることができる。この式中、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、及びIから選択される1種又は2種以上の元素を示し、m及びnは、0.001≦m≦1.0、2.2≦n≦3.0を満たす数である。
複合酸化タングステンは、六方晶、正方晶又は立方晶の結晶構造を有する場合に耐久性に優れることから、それら六方晶、正方晶及び立方晶から選ばれる1又は2以上の結晶構造を含むことが好ましい。これらの中で、六方晶が可視光領域の吸収が最も少ないため特に好ましい。例えば、六方晶の結晶構造を持つ複合酸化タングステンとしては、好ましいM元素として、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe及びSnから選択される1種又は2種以上の元素を挙げることができる。この場合のM元素の存在量mは、0.001以上、1.0以下の範囲内が好ましく、好ましくは0.33程度である。この0.33は、六方晶の結晶構造から理論的に算出される値であり、この前後の添加量で好ましい赤外線吸収特性が得られる。一方、酸素の存在量nは、2.2以上、3.0以下の範囲内が好ましい。代表例としては、Cs0.33WO、Rb0.33WO3、K0.33WO3、Ba0.33WO3等を挙げることができる。m、nが上記の範囲に収まるものであれば、有用な近赤外線吸収特性を得ることができる。
複合酸化タングステンとしては、セシウム含有複合酸化タングステンが、赤外線吸収特性及び耐候性等の観点から好ましい。セシウム含有複合酸化タングステンは、Cs0.2〜0.4WO2.5〜3.0で表される。この複合酸化タングステンは、有機系の赤外線吸収材料の中でも特に耐候性に優れることが知られているフッ素含有フタロシアニン化合物に比べて、耐候性が格段に優れており、しかも可視光線透過性が高い。複合酸化タングステンは微粒子形状で用いるのが好ましく、その平均粒径は、分散性及び光学特性等の観点から、800nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。
他の無機系の赤外線吸収材料として、LaB6、CeB6、PrB6、NdB6、GdB6、TbB6、DyB6、HoB6、YB6、SmB6、EuB6、ErB6、TmB6、YbB6、LuB6、SrB6、CaB6、(La,Ce)B6等の六ホウ化物等を挙げることができる。
一方、有機系の赤外線吸収材料としては、例えば、シアニン系化合物;スクワリリウム系化合物;チオールニッケル錯塩系化合物;ナフタロシアニン系化合物;フタロシアニン系化合物;トリアリルメタン系化合物;ナフトキノン系化合物;アントラキノン系化合物;N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミニウムの過塩素酸塩、フェニレンジアミニウムの塩素塩、フェニレンジアミニウムのヘキサフルオロアンチモン酸塩、フェニレンジアミニウムのフッ化ホウ素酸塩、フェニレンジアミニウムのフッ素塩、フェニレンジアミニウムの過塩素酸塩等のアミノ化合物;銅化合物とビスチオウレア化合物との反応、リン化合物と銅化合物との反応、リン酸エステル化合物と銅化合物との反応、により得られるリン酸エステル銅化合物;等を挙げることができる。これらの中では、チオールニッケル錯塩系化合物(特開平9−230134号公報等)及びフタロシアニン系化合物が好ましい。特に、特開2000−26748号公報等に開示されているフッ素含有フタロシアニン化合物は、有機系の赤外線吸収材料の中で、可視光線透過性が高く、かつ耐熱性、耐光性、耐候性等の特性に優れることから、無機系と併用する場合に好ましい。
熱線吸収部4に用いられる硬化性樹脂組成物には、その性能を阻害しない範囲で各種の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤等を挙げることができる。なお、電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を、硬化性樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下の範囲内で添加することが好ましい。なお、光重合用開始剤は、従来使用されているものを同様に使用することができる。
(形成方法)
賦形フィルム3は、熱硬化性樹脂組成物又は紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、賦形し、硬化して形成する。このとき、プライマー層2上に賦形フィルム3を設ける第1の方法と、賦形フィルム3を設けた後、その賦形フィルム3上にプライマー層2を設ける第2の方法がある。いずれの場合であっても、賦形フィルム3自体の形成方法に変わりはない。
賦形フィルム3の作製方法は特に限定されず、各種の方法を適用できるが、代表例としては、プライマー層2上に、熱硬化性樹脂組成物又は紫外線硬化性樹脂組成物を設ける第1工程と、その熱硬化性樹脂組成物又は紫外線硬化性樹脂組成物を賦形して、厚さ方向Yに細長く延びる凹形状に賦形部R1を形成する第2工程と、賦形された熱硬化性樹脂組成物を加熱し又は紫外線硬化性樹脂組成物を紫外線照射して硬化させ、前記賦形部R1を有した熱線透過部5を形成する第3工程と、前記賦形部R1内に赤外線吸収材料を充填して熱線吸収部4を形成する第4工程とを含む作製方法を挙げることができる。
(賦形部)
形成する賦形フィルム3は、凹凸部R1の底部S3と基材部R2のプライマー層側の面S2との距離T2が100μm以下であることが好ましい。こうすることにより、賦形フィルム3の柔軟性を損なうことなく、上記同様、賦形フィルム3と基材フィルム1との間の密着性の低下を抑制等して耐紫外線劣化性を向上させることができる。
また、凹凸部R1の頂部S1と基材部R2のプライマー層側の面S2との間の距離T1と、凹凸部R1の底部S3と基材部R2のプライマー層側の面S2との距離T2との比(T2/T1)が、1/5以上1/2以下であるように構成してもよい。
凹凸部R1を透過する太陽光の光エネルギーの減衰差を小さくするために、賦形フィルム3を構成する凹凸部R1と基材部R2のうち、凹凸部R1の厚さ割合を小さくし、基材部R2の厚さ割合を大きくすることが考えられる。こうすることにより、凹凸部R1を透過した太陽光が、賦形フィルム3の下に設けられた基材フィルム3の表面のうち、凹部の下にある部分のみを選択的に劣化するのを防ぐことができる可能性がある。しかし、基材部R2の厚さ割合が大きくなると、賦形フィルム3の剛性が増し、賦形フィルム3と基材フィルム1との間の密着性が低下し、界面剥離が起こりやすくなるという問題が生じるおそれがある。また、凹凸部R1の厚さ割合が小さいので、その凹凸部R1で十分な光制御機能を生じさせることができないという問題が生じるおそれがある。また、凹凸部R1の厚さ割合が増すと賦形フィルムの屈曲性が低下するので、賦形フィルムが割れやすくなり、得られた光制御フィルムの窓貼り等の作業性が低下するおそれもある。
こうした問題に対し、上記のように、凹凸部R1の頂部S1と基材部R2のプライマー層側の面S2との間の距離T1と、頂部S1と凹凸部R1の底部S3との距離T2との比(T2/T1)を1/5以上1/2以下にすることで、そうした問題(密着性の低下、界面剥離、不十分な光制御機能、屈曲性の低下、賦形フィルムの割れ、作業性の低下)のいずれか1又は2以上を解決することができる。
なお、上記した熱線透過部5と熱線吸収部4とで構成された賦形フィルム3は、基材(図示しない)を有していてもよい。基材は、フィルム部材であり、上記した賦形フィルム3は、その基材上に熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂を塗布した後に硬化して形成してもよい。すなわち、基材上に、熱線透過部5を形成するための樹脂組成物を塗布し、塗布した樹脂組成物を賦形しながら硬化させ、硬化した楔形状等の凹部に赤外線吸収材料等を充填することにより、熱線選択吸収フィルム10Aを得てもよい。基材は特に限定されず、上記した基材フィルム1と同様のものを用いることができる。
なお、本発明では、プライマー層2に紫外線吸収剤や光安定剤を含有させているが、それと同時に、賦形フィルム3にも紫外線吸収剤や光安定剤を含有させてもよい。具体的には、上記したプライマー層2で説明したのと同様な紫外線吸収剤や光安定剤を、必要に応じて含有させることができる。こうすることで、賦形フィルム自体にも、耐候性を付与することができる。紫外線吸収剤や光安定剤の含有量は、要求される賦形フィルム3の性質(太陽光(可視光線、赤外線)透過性、反射性、硬度等)を低下させない範囲であることが好ましい。
(熱線吸収部の機能)
図1に示す賦形形状Rを備えた光制御フィルム10は、熱線選択吸収フィルムとして用いることができる。熱線選択吸収フィルムは、図4に示すように、熱線吸収部4と熱線透過部(光透過部)5とで少なくとも構成されている。
図4は、熱線吸収部4の構造形態の詳しい説明図である。図4では、太陽光50の進行方向と水平方向とのなす角度をθ01とし、太陽光50が光制御フィルム10の熱線透過部5に入射した際の屈折角をθ02とし、光制御フィルム10の楔形状の熱線吸収部4の高さ、ピッチ、及び凸部の頂部間の幅(賦形部R1の頂部側の幅)を、それぞれTa、P’、W2’としている。このとき、空気の屈折率をn1、熱線透過部5の屈折率をn2とすると、スネルの法則より、n1sinθ=n2sinθ01 となる。そして、θa=tan-1[{P’−(W2’/2)}/Ta]とした場合において、θaがθ02よりも小さい場合には、全ての熱線透過部5に入射した屈折光は、熱線吸収部4に当たって遮蔽されることになる。また、θaがθ02よりも大きい場には、θ02の大きさに対応して室内に太陽光50が取り入れられることになる。このように、θaとθ02との大小関係に対応して、太陽光50の室内への取り込み量が制御される。
したがって、光制御フィルム10が建物の南側壁面に設けられた窓ガラスに配置され、夏至の南中高度をθ1とし、秋分の日の南中高度をθ2とし、熱線透過部5に太陽光50が入射した際の屈折角を、それぞれθ10、θ20とした場合、スネルの法則より、n1sinθ1=n2sinθ10、n1sinθ2=n2sinθ20 、となり、θ20≦tan-1[{P’−(W2’/2)}/Ta]<θ10、となる。その結果、熱線透過部5と熱線吸収部4との境界面で反射が起こらない場合には、夏至の太陽光を100%遮断でき、春分の日〜夏至〜秋分の日の期間以外の期間では、太陽光の光制御フィルム10への入射の角度θに応じた量で、太陽光を室内に採光できる。
このとき、熱線透過部5と熱線吸収部4との屈折率を選択すれば、熱線透過部5と熱線吸収部4との境界面の反射を抑制することができる。その結果、実質的に夏至の太陽光を100%遮断することができる。なお、夏至では、熱線透過部5に入射した太陽光50が、熱線透過部5と熱線吸収部4との境界面での反射を少なくするという点からは、熱線透過部5の屈折率が、熱線吸収部4の屈折率と同じ又は熱線吸収部4の屈折率よりも低いことが好ましい。
(光屈折制御フィルム)
次に、図2(A)(B)に示す光屈折制御フィルム10B,10Cについて説明する。光屈折制御フィルム10B,10Cは、その目的により、形成される賦形形状Rの光学特性を考慮して適宜設計される。賦形形状Rとしては、例えば図2(A)に示すプリズムや、図2(B)に示すフレネルレンズとすることができる。
賦形フィルム3に図2(A)に示すプリズムが形成される場合、そのプリズムとしては、主切断面(稜線と直交する断面)の形状が三角形又は略三角形で、頂部に稜線を有する単位プリズムを、その稜線と直交する方向に多数平行に配列してなるものを挙げることができる。この単位プリズムの断面形状は三角形又は略三角形に限定されず、四角形、五角形、六角形又は八角形等の多角形であってもよいし、扇形や三角形の頂点近傍に曲率を設けた形状等のように直線と曲線との組合せ形状等であってもよい。単位プリズムの頂部の角度は特に限定されるものではなく、例えば、80°以上、110°以下の程度である。また、配列された単位プリズムのピッチも特に限定されるものではなく、例えば、10μm以上、300μm以下の程度である。
賦形フィルム3に図2(B)に示すフレネルレンズが形成される場合、そのフレネルレンズとしては、凸レンズを分割して平面的に配置した一般的なフレネルレンズ形状を挙げることができる。なお、フレネルレンズのフレネル中心は、光屈折制御フィルム10B,10Cの面内にあってもよいし面外にあってもよい。
これらの光屈折制御フィルム10B,10Cの構成材料、含有する紫外線吸収剤や光安定剤、基本的な形成方法、等については、上記した熱線選択吸収フィルム10Aで説明した内容と同様であるので、ここではその説明を省略する。
<表面保護層>
表面保護層11,13は、光制御フィルム10の表面のうち、窓ガラス等20に貼り合わされる側の反対側の最表面に必要に応じて設けられる。例えば図3(B)に示す態様のように、光制御フィルム10を窓ガラス等20の外側に貼り合わせる場合には、表面保護層11は、光制御フィルム10の最表面に設けられて、光制御フィルム10に耐候性や耐傷性等のハードコート性を付与する。また、例えば図3(A)に示す態様では、表面保護層は図示していないが、基材フィルム1の最表面S4に好ましく設けられる。また、図3に示すように、表面保護層13は、各種の賦形形状Rを備えた光制御フィルム10の最表面に設けられていることが好ましい。
表面保護層11,13は、有機系材料で形成しても、無機系材料で形成してもよい。有機系材料としては、紫外線硬化性樹脂と光重合開始剤を含有する紫外線硬化性樹脂組成物を好ましく用いることができる。ここで用いる紫外線硬化性樹脂は、上記した賦形フィルム3で用いるものと同じものを使用することができ、さらにハードコート性や耐候性を向上させるために、耐傷フィラーや、上記同様の紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤を含有させてもよい。また、その紫外線硬化性樹脂には、その性能を阻害しない範囲で、例えば重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤等を含有させてもよい。
有機系材料での表面保護層を11,13の形成は、光制御フィルム10上に各種の手段で設けることができる。例えば、塗布法、熱転写法、ヒートラミネート法又はドライラミネート法で設けることができる。表面保護層11,13を熱転写法、ヒートラミネート法又はドライラミネート法で設ける場合は、例えば図3(B)に示すように、熱融着層や粘着層等の下地層12を必要に応じて設けることが望ましい。また、表面保護層11,13を塗布法で設ける場合は、光制御フィルム10上に上記したプライマー層2と同様の下地層12を予め塗布形成してもよい。なお、有機系材料での表面保護層の形成は、例えば図1及び図3に示すような、表面が平坦なものに対して好ましく適用できる。
無機系材料での形成は、例えば図1及び図3に示すような、表面が平坦なものに対して好ましく適用できるし、例えば図2に示すように、表面が凹凸形状であり、その凹凸形状をそのまま保持したい場合にも好ましく適用できる。無機系材料としては、例えば、珪素、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、インジウム、セリウム、及び亜鉛から選ばれる1種又は2種以上の元素を含有する無機化合物を挙げることができ、より具体的には、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化珪素亜鉛及び酸化インジウム合金等の酸化物、窒化珪素、窒化アルミニウム、及び窒化チタン等の窒化物、酸化窒化珪素等の酸化窒化物を挙げることができる。
無機系材料での表面保護層の形成は、イオンプレーティング法又はプラズマ化学気相成長法(プラズマCVD法)で成膜される。こうした各種の形成方法は、得ようとする表面保護層の物性及び厚さ等を考慮し、従来公知の成膜条件を適宜調整して行えばよい。
以上説明したように、本発明に係る光制御フィルム10は、太陽光50に曝されたとき、その太陽光50により賦形フィルム3と基材フィルム1との密着性等が低下するのを抑制できる。例えば、賦形フィルム3を通過した後の太陽光50に含まれる紫外線量が凹部と凸部とで異なる場合であっても、賦形フィルム3の下に設けられた基材フィルム1の表面のうち、凹部の下にある部分の選択的な劣化を防ぐことができる。その結果、賦形フィルム3と基材フィルム1との間の密着性の低下を抑制等して耐紫外線劣化性を向上させることができる。
[光制御窓]
本発明に係る光制御窓30(30A,30B)は、図3に示すように、上記した本発明に係る光制御フィルム10を窓に貼り合わせたものである。こうして構成した光制御窓30は、賦形フィルム3と基材フィルム1との間の密着性の低下を抑制等して耐紫外線劣化性を向上させた光制御フィルム10が窓に貼り合わされているので、長期間、剥離等の不具合が生じない光制御窓とすることができる。
光制御フィルム10の窓ガラス等20への貼り合わせは、窓ガラス等20と光制御フィルム10との間に粘着層8を介して貼り合わせて行われる。図3(A)に示す内貼り型の光制御窓30Aは、通常、光制御フィルム10の賦形フィルム表面に粘着層8を設け、その粘着層8を窓ガラス等20の室内側表面に貼り合わせて構成されている。この態様で設けられる粘着層8は、太陽光50中の紫外線に直接曝されるので、上記した紫外線吸収剤や光安定剤が上記と同じ含有量で含まれていることが好ましい。一方、図3(B)に示す外貼り型の光制御窓30Bは、通常、光制御フィルム10の基材フィルム表面に粘着層8を設け、その粘着層8を窓ガラス等20の室外側表面に貼り合わせて構成されている。この態様で設けられる粘着層8は、太陽光50中の紫外線の影響を抑制するプライマー層2が太陽光50側に設けられているので、上記した紫外線吸収剤や光安定剤は含まれていても含まれていなくてもよい。
粘着層8の構成材料は特に限定されるものではなく、例えば、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤を適宜選択して用いることができる。これらのうち、耐候性等の点からアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル等のアクリル系モノマーの重合体や共重合体を主成分とするアクリル系粘着剤が好ましく、特にn−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましい。また、架橋剤を添加することもでき、具体的には、イソシアネート系、金属キレート、エポキシ系、及びメラミン系の架橋剤を挙げることができる。
粘着剤の塗布量は、乾燥重量で10g/m以上、30g/m以下の範囲が好ましい。塗布量が10g/m以上であれば、十分な接着力が得られ、30g/m以下であれば、印刷加工時に粘着剤のはみ出しがない。粘着剤の塗布方法は、上記粘着剤を溶剤(酢酸エチル、トルエン等)で固形分20質量%以上60質量%以下に希釈した塗布液を調製し、塗布する方法を適用できる。粘着剤の塗布装置は、公知の塗布装置であれば特に制限はなく、ナイフコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ロールコーター等が挙げられる。
なお、光制御フィルム10に予め粘着層8を設ける場合は、その粘着層8上に離型フィルム(図示しない)を設けておくことが好ましい。離型フィルムが設けられた光制御フィルム10は、窓ガラス等20に光制御フィルム10を貼り合わせる場合に、離型フィルムを剥がして粘着層8を窓ガラス等20に容易に貼り合わせることができる。離型フィルムとしては、上記した基材フィルム1と同様の材質からなるフィルム上に離型層を設けたものである、離型層としては、例えば、シリコーンワックス等の各種ワックス類、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等を挙げることができる。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
先ず、基材フィルム1として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、A4300)を用い、その易接着面上に、下記組成に調製したプライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物(1)を、硬化後の厚さが2μm〜3μmとなるようにダイコートにて塗布し、60℃の条件下で30秒間加熱乾燥させてプライマー層2を形成した。
(プライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物(1)の組成)
・ポリカーボネート系ウレタン/アクリル共重合体樹脂(ウレタン/アクリル質量比70/30) 19.2質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(商品名:チヌビン400、BASFジャパン株式会社製) 3質量部
・ヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、商品名:サノールLS−3410、日本乳化剤株式会社製) 3質量部
・硬化剤(ヘキサンメチレンジイソシアネート) 4.8質量部
次に、形成したプライマー層2上に、下記組成に調製した賦形フィルム形成用の紫外線硬化性樹脂組成物を、硬化後の厚さが100μmとなるように塗布した。
(賦形フィルム形成用の紫外線硬化性樹脂組成物の組成)
・ウレタンアクリレート系プレポリマー 70質量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートモノマー(DPHA) 28質量部
・1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:イルガキュア184、チバスペシャリティケミカルズ社製) 2質量部
次に、塗布した紫外線硬化性樹脂組成物に熱線吸収部用の凹部を賦形するためのロール状金型を準備した。このロール状金型は、その表面の円周方向に直線状に連なる凸部が78μm周期で複数条互いに平行に並設した凸条群(熱線吸収部と逆形状の群)を有している。凸部は、その主切断面が高さ63μmで表面側の幅が24μmの長方形となっている。こうして準備されたロール状金型を、上記プライマー層2上に塗布した紫外線硬化樹脂組成物に押し当て、その状態で水銀灯からの紫外線を照射した。紫外線の照射により、紫外線硬化樹脂組成物が架橋硬化し、その後にロール状金型を離型してプライマー層2上に賦形フィルム3を形成した。賦形フィルム3の表面には、一方向に直線状に連なる凹状溝が設けられている。その凹状溝は、その主切断面が、高さTa63μmで幅Wa24μmの長方形となる溝部である。
次に、下記組成に調製した熱線吸収部形成用の紫外線硬化性樹脂組成物を、前記した溝部に塗工した。
(熱線吸収部形成用の紫外線硬化性樹脂組成物の組成)
・透明アクリル系の紫外線硬化性プレポリマー 100質量部
・ATOナノ粒子(平均粒子径:100nm) 5質量部
・光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、商品名:イルガキュア184、チバスペシャリティケミカルズ社製) 2質量部
次に、塗布した紫外線硬化性樹脂組成物を鉄製のドクターブレードでスキージし、溝部外の樹脂組成物を掻き取り除去し、溝部内のみに紫外線硬化性樹脂組成物を充填した。その後、充填した溝部に水銀灯からの紫外線を照射することにより、紫外線硬化性樹脂組成物を架橋硬化して熱線吸収部4を形成した。こうして得た光制御フィルム10は、基材フィルム1(PETフィルム)と、その基材フィルム1上に設けられたプライマー層2と、そのプライマー層2上に設けられた賦形フィルム3(熱線選択吸収フィルム6)とで構成され、熱線選択吸収フィルムとして用いられる。
[実施例2]
下記組成に調製したプライマー層形成用の電子線硬化性樹脂組成物(2)を用い、電子線照射によりプライマー層2を形成した。それ以外は、実施例1と同様にして実施例2の光制御フィルム10を製造した。
(プライマー層形成用の電子線硬化性樹脂組成物(2)の組成)
・ウレタンアクリレート樹脂(商品名:UV7000B、日本合成化学株式会社製) 24質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(商品名:チヌビン400、BASFジャパン株式会社製) 3質量部
・ヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、商品名:サノールLS−3410、日本乳化剤株式会社製) 3質量部
[実施例3]
下記組成に調製したプライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物(3)を用い、プライマー層2を形成した。それ以外は、実施例1と同様にして実施例3の光制御フィルム10を製造した。
(プライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物(3)の組成)
・ポリカーボネート系ウレタン/アクリル共重合体樹脂(ウレタン/アクリル質量比70/30) 21.6質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(商品名:チヌビン400、BASFジャパン株式会社製) 3質量部
・硬化剤(ヘキサンメチレンジイソシアネート) 5.4質量部
[実施例4]
下記組成に調製したプライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物(4)を用い、プライマー層2を形成した。それ以外は、実施例1と同様にして実施例4の光制御フィルム10を製造した。
(プライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物(4)の組成)
・ポリカーボネート系ウレタン/アクリル共重合体樹脂(ウレタン/アクリル質量比70/30) 22.8質量部
・ヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、商品名:サノールLS−3410、日本乳化剤株式会社製) 1.5質量部
・硬化剤(ヘキサンメチレンジイソシアネート) 5.7質量部
[実施例5]
下記組成に調製したプライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物(5)を用い、プライマー層2を形成した。それ以外は、実施例1と同様にして実施例5の光制御フィルム10を製造した。
(プライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物(5)の組成)
・ポリカーボネート系ウレタン/アクリル共重合体樹脂(ウレタン/アクリル質量比70/30) 22.8質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(商品名:チヌビン400、BASFジャパン株式会社製) 1.5質量部
・硬化剤(ヘキサンメチレンジイソシアネート) 5.7質量部
[実施例6]
下記組成に調製したプライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物(6)を用い、プライマー層2を形成した。それ以外は、実施例1と同様にして実施例6の光制御フィルム10を製造した。
(プライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物(6)の組成)
・ポリカーボネート系ウレタン/アクリル共重合体樹脂(ウレタン/アクリル質量比70/30) 19.2質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(商品名:チヌビン400、BASFジャパン株式会社製) 6質量部
・硬化剤(ヘキサンメチレンジイソシアネート) 4.8質量部
[実施例7]
下記組成に調製したプライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物(7)を用い、プライマー層2を形成した。それ以外は、実施例1と同様にして実施例7の光制御フィルム10を製造した。
(プライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物(7)の組成)
・ポリカーボネート系ウレタン/アクリル共重合体樹脂(ウレタン/アクリル質量比70/30) 23.5質量部
・ヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、商品名:サノールLS−3410、日本乳化剤株式会社製) 0.6質量部
・硬化剤:ヘキサンメチレンジイソシアネート 5.9質量部
[実施例8]
下記組成に調製したプライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物(8)を用い、プライマー層2を形成した。それ以外は、実施例1と同様にして実施例8の光制御フィルム10を製造した。
(プライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物(8)の組成)
・ポリカーボネート系ウレタン/アクリル共重合体樹脂(ウレタン/アクリル質量比70/30) 21.6質量部
・ヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、商品名:サノールLS−3410、日本乳化剤株式会社製) 3質量部
・硬化剤:ヘキサンメチレンジイソシアネート 5.4質量部
[比較例1]
実施例1において、基材フィルム1の易接着面上に、プライマー層を形成せずに、賦形フィルム形成用の紫外線硬化性樹脂組成物で賦形フィルム3を形成した。それ以外は、実施例1と同様にして比較例1の光制御フィルムを製造した。
[比較例2]
比較例1において、賦型フィルム形成用の紫外線硬化性樹脂組成物に、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を12.5質量部、及びヒンダードアミン系光安定剤を12.5質量部配合した。それ以外は、比較例1と同様にして比較例2の光制御フィルムを製造した。
[比較例3]
比較例2において、賦形フィルムの硬化後の厚さが200μmとなるように塗布した。それ以外は、比較例2と同様にして比較例3の光制御フィルムを製造した。
[比較例4]
実施例1において、プライマー層形成用の熱硬化性樹脂組成物(1)にヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤を配合せず、賦型フィルム形成用の紫外線硬化性樹脂組成物に、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を12.5質量部、及びヒンダードアミン系光安定剤を12.5質量部配合した。それ以外は、実施例1と同様にして比較例4の光制御フィルムを製造した。
[比較例5]
比較例4において、賦形フィルムの硬化後の厚さが200μmとなるように塗布した。それ以外は、比較例4と同様にして比較例5の光制御フィルムを製造した。
[耐候性評価試験]
耐候性評価試験は、超耐候試験機(岩崎電機株式会社製、SUV−W23)を用いて、以下のサイクル試験条件にて合計500時間の試験を行った。
(サイクル試験条件)
紫外線照射:365nmの紫外線を60mW/cmの照射量で照射
試験サイクル(1サイクル24時間):紫外線照射20時間(温度63℃、湿度50%)→シャワー30秒→結露4時間(湿度98%)
[基材フィルムと賦形フィルムとの間の密着性評価]
耐候性試験後の光制御フィルム10について、JIS−K−5600−5−1に準拠して、直径1.5mmの円筒形マンドレルを用いて耐屈曲性評価試験を行った。試験後、超高分解能電界放出形走査型電子顕微鏡(日立ハイテク株式会社製、SU−8000)を用い、光制御フィルム10の断面形状を観察し、基材フィルム1と賦形フィルム3との間の界面密着性を評価した。
○:基材フィルムと賦形フィルムとの間で界面剥離が観察されない
×:基材フィルムと賦形フィルムとの間で界面剥離が観察される
[外観評価]
分光式色差計(日本電色工業株式会社製、SE−2000型)を用い、JIS−K−7105に準拠し、透過法で耐候性試験後の試料の外観を測定した。評価は、JIS−K7105に規定される色相を示す尺度のうち、黄色味を示す尺度であるb値の増加量により行い、その増加量について下記基準で行った。
○:耐候試験後のb値の増加量が1.0未満で黄変が認められない
△:耐候試験後のb値の増加量が1.0以上3.0未満で若干の黄変が認められる
×:耐候試験後のb値の増加量が3.0以上で黄変が認められる
[結果]
結果を表1に示す。実施例1,2の光制御フィルム10は、耐候性評価試験後であっても、基材フィルム1と賦形フィルム3との間で界面剥離や黄変が観察されず、良好な耐候性と密着性を示した。一方、比較例1,2,4の光制御フィルムは、基材フィルム1と賦形フィルム3との間での界面剥離や黄変が観察された。また、賦形フィルムの厚さを150μmにした比較例3,5の光制御フィルムは、基材フィルムと賦形フィルムとの間での界面剥離や若干の黄変が観察された。
Figure 2014137574
1 基材フィルム
2 プライマー層
3 賦形フィルム(賦形部)
4 熱線吸収部
4A 熱線吸収部の賦形面
4S 熱線吸収部の頂部表面
5 熱線透過部(光透過部)
6 熱線選択吸収フィルム
8 粘着層
10 光制御フィルム
10A 熱線選択吸収フィルム
10B,10C 光屈折制御フィルム
11 表面保護層
12 表面保護層の下地層
13 表面保護層
20 窓(窓ガラス)等
30,30A,30B 光制御窓
50 太陽光
R 凹凸形状(賦形形状)
R1 凹凸部(賦形部)
R2 基材部
S1 凸部の頂部
S2 基材部のプライマー層側の面
S3 凹部の底部
S4 光制御フィルムの基材フィルムの表面(賦形フィルム側の面の反対面)
T1 凸部の頂部と基材部のプライマー層側の面との間の距離
T2 凹部の底部と基材部のプライマー層側の面との距離
Ta 熱線吸収部の高さ
P 凹部の底部ピッチ
P’ 凸部の頂部ピッチ
W1 凹部の底部間の幅
W2 凹部の底部の幅
W1’ 凸部の頂部の幅
W2’ 凸部の頂部間の幅
L 法線
θ 法線と賦形面との角度
θ01 太陽光の進行方向と水平方向とのなす角度
θ02 太陽光が熱線透過部に入射した際の屈折角
θa 法線との角度
Wa 熱線吸収部の頂部幅
X 賦形フィルムの面内方向
Y 賦形フィルムの厚さ方向

Claims (7)

  1. 基材フィルムとプライマー層と賦形フィルムとを少なくとも有し且つそれらがその順で積層され、
    前記プライマー層が、紫外線吸収剤及び光安定剤の一方又は両方を含む熱硬化性樹脂若しくは電子線硬化性樹脂で形成されていることを特徴とする光制御フィルム。
  2. 前記凹凸部の底部と前記基材部の前記プライマー層側の面との距離が、100μm以下である、請求項1に記載の光制御フィルム。
  3. 前記凹凸部が、厚さ方向に細長く延びた楔形状である、請求項1又は2に記載の光制御フィルム。
  4. 前記賦形フィルムは、前記凹凸部の凹部に赤外線吸収材料を含有する熱線選択吸収フィルム、又は、前記凹凸部で光を反射する採光フィルムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光制御フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光制御フィルムを窓に貼り合わせたことを特徴とする光制御窓。
  6. 基材フィルムを準備する工程と、
    前記基材フィルム上に、紫外線吸収剤及び光安定剤の一方又は両方を含む熱硬化性樹脂組成物若しくは電子線硬化性樹脂組成物でプライマー層を形成する工程と、
    前記プライマー層上に、熱硬化性樹脂組成物又は紫外線硬化性樹脂組成物で賦形フィルムを形成する工程と、を有することを特徴とする光制御フィルムの製造方法。
  7. 熱硬化性樹脂組成物又は紫外線硬化性樹脂組成物で賦形フィルムを形成する工程と、
    前記賦形フィルム上に、紫外線吸収剤及び光安定剤の一方又は両方を含む熱硬化性樹脂組成物若しくは電子線硬化性樹脂組成物でプライマー層を形成する工程と、
    前記プライマー層上に、基材フィルムを貼り合わせる工程と、を有することを特徴とする光制御フィルムの製造方法。
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