JP2014199311A - フィルムミラー及び太陽光反射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自己支持性を有し、且つ、照り返しの光に対する耐久性に優れるフィルムミラーを提供すること。【解決手段】光入射側から、保護層と、金属反射層と、厚みが100μm以上の樹脂基材と、紫外線遮断層と、をこの順に有するフィルムミラー。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルムミラー及びそれを用いた太陽光反射装置に関する。
近年、石油、石炭、天然ガス等に代表される化石燃料に代わる代替エネルギーの研究がさかんに行なわれている。特に、太陽光、風力、地熱等の自然エネルギーは、資源の枯渇、地球温暖化等の懸念がなく、クリーンなエネルギーとして注目されている。これらの中でも、太陽光を利用する太陽エネルギーは、安定供給が可能なエネルギーとして更なる開発が期待されている。
その一方で、太陽エネルギーにはエネルギー密度が低いという問題がある。この問題を解決するため、近年では、巨大な反射鏡を用いて太陽光を集光しようという試みがなされている。
これまで、太陽光を集光するための反射鏡は、屋外に設置され、太陽光に起因する紫外線や熱、風雨、砂塵等に晒されるため、ガラス製のものが用いられてきた。しかしながら、ガラス製の反射鏡は、耐候性に優れるものの、重量があり、破損しやすく、かつ、柔軟性に欠けるため、取り扱い難い。そこで、最近では、ガラス製の反射鏡を、軽量で柔軟性のある樹脂製の反射シートに置き換えることが考えられている。
しかしながら、樹脂製の反射シートを太陽光集光用フィルムミラーとして用いると、太陽光に長期間晒されることで樹脂が劣化し、フィルムミラーの反射率が低下するという問題があった。
この問題に対しては、金属反射層の光入射側とは反対側に紫外線吸収剤を含有する層を設ける試みがなされている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたフィルムミラーによれば、銀反射層を支持する層を、2つの紫外線非耐性ポリマー層を紫外線吸収剤が含まれた粘着層で貼り合わせたものとすることで、銀反射層を透過した紫外線による銀反射層を支持するポリマー層の劣化を抑制できるとされている。
特開2012−242714号公報
フィルムミラーは、軽量で柔軟性を有するというガラス製の反射鏡にはない利点を有する反面、自己支持性を有さないため、単体での使用は実用上困難である。そのため、フィルムミラーは、その裏面に金属基板に貼り付けることで支持性を持たせて使用されることが一般的であり、特許文献1に記載されたフィルムミラーについても、アルミニウム板への貼り付けが行なわれている。
しかしながら、薄いシート状のフィルムミラーと金属基板とを接着する工程は煩雑であり、接着工程において微細なシワが発生した場合には反射性能の低下をもたらす。また、フィルムミラーが有する樹脂基材と金属基板とは、熱膨張率が大きく異なるため、金属基板が貼り付けられたフィルムミラーを砂漠等の過酷な環境下で長期間使用すると、樹脂基材と金属基板との界面で剥離が生じ、金属反射層の平面性が損なわれて、反射率の低下を引き起こすことが懸念される。さらに、金属基板が貼り付けられたフィルムミラーは、軽量性に劣り、運搬や設置といった作業が煩雑なものとなる。
そこで、樹脂反射シート自体に支持性を持たせることも考えられるが、裏面に設けられた金属製の基板を取り除くと、地面からの照り返しの光によって、裏面側から樹脂の劣化が生じ得る。従来の樹脂反射シートは、その裏面に金属製の基板に貼り付けることを前提としているため、裏面側からの光に対する防御手段が何ら講じられていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、金属製の支持基材を用いることなく、自己支持性を示し、且つ、照り返しの光に対する耐久性に優れたフィルムミラーを提供することにある。
また、本発明の他の課題は、本発明のフィルムミラーを用いた、軽量で、且つ、照り返しの光に対する耐久性に優れた太陽光反射装置を提供することにある。
上記課題を達成するための具体的な手段は、以下の通りである。
<1> 光入射側から、保護層と、金属反射層と、厚みが100μm以上の樹脂基材と、紫外線遮断層と、をこの順に有するフィルムミラー。
<2> 樹脂基材が多層構造である<1>に記載のフィルムミラー。
<3> 多層構造を構成する複数の樹脂基材のうち、最も光入射側に位置する樹脂基材の厚みが100μm以上である<2>に記載のフィルムミラー。
<4> 200nm〜380nmの波長領域における紫外線遮断層の光線透過率が5%以下である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のフィルムミラー。
<5> 太陽光集光用として用いられる<1>〜<4>のいずれか1つに記載のフィルムミラー。
<6> <1>〜<5>のいずれか1つに記載のフィルムミラーが、光透過性領域を有する支持部材に支持されてなる太陽光反射装置。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、“(メタ)アクリレート”は、アクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、“(メタ)アクリル”は、アクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表す。
さらに、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、「光入射側」とは、金属反射層により反射する太陽光が入射する側を意味する。
また、本明細書において、フィルムミラーの「裏面」とは、金属反射層により反射する太陽光が入射する側とは反対側の面を意味する。
本発明によれば、金属製の支持基材を用いることなく、自己支持性を示し、且つ、照り返しの光に対する耐久性に優れたフィルムミラーを提供することができる。
また、本発明のフィルムミラーを用いることで、軽量で、且つ、照り返しの光に対する耐久性に優れた太陽光反射装置を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
[フィルムミラー]
本発明のフィルムミラーは、光入射側から、保護層と、金属反射層と、厚みが100μm以上の樹脂基材と、紫外線遮断層と、をこの順に有することを特徴とする。
本発明のフィルムミラーによれば、金属製の支持基材を用いることなく、自己支持性を示し、且つ、照り返しの光に対する耐久性に優れる。ここで、「自己支持性」とは、他の部材による支持がなくても、フィルムミラー単体でその形態を保ち得ることをいう。
本発明のフィルムミラーは、厚みが100μm以上の樹脂基材を有することで、自己支持性を有するものとなり、従来のように、金属製の支持基材に貼り付けなくても、フィルムミラー単体での使用が可能となる。しかしながら、屋外に設置されるフィルムミラーは、その裏面に地面からの照り返しの光を受けるため、裏面側からフィルムミラーを構成する樹脂の劣化が進行する。
本発明においては、樹脂基材の厚みを100μm以上とし、且つ、樹脂基材の金属反射層側とは反対側に、紫外線遮断層を有する構成とすることで、従来のように、金属製の支持基材を用いなくても、自己支持性を示し、且つ、照り返しの光に対する耐久性に優れるフィルムミラーを実現する。
また、本発明においては、金属製の支持基材を貼り付ける必要がないので、砂漠等の過酷な環境下で長期間使用しても、フィルムミラーが有する樹脂基材と金属製の支持基材との熱膨張率の差による界面剥離が生じる恐れがない。
さらに、本発明においては、金属製の支持基材を貼り付ける接着工程が不要となるので、接着工程で発生し得るシワに起因する反射性能の低下が生じることがなく、また、製造コストの削減も可能となる。
そして、本発明においては、金属製の支持基材を貼り付ける必要がないので、使用時の軽量化を実現することができ、運搬や設置等の作業性が良好なものとなる。
以下、本発明のフィルムミラーの構成について、詳細に説明する。
<樹脂基材>
本発明のフィルムミラーは、厚みが100μm以上の樹脂基材を有する。
本発明のフィルムミラーによれば、樹脂基材の厚みが100μm以上であるので、自己支持性を示し、その使用に際して、従来のフィルムミラーのように、アルミ等の金属製の支持基材に貼り付ける必要がなく、フィルムミラー単体で使用することができる。
また、本発明のフィルムミラーによれば、アルミ等の金属製の支持基材に貼り付ける工程が不要となり、製造コストの削減を実現することができる。
さらに、金属製の支持基材の貼り付けを要しないので、軽量であり、運搬、設置等の作業性が良好となる。
樹脂基材の厚みの下限値は、自己支持性がより向上する観点から、150μm以上が好ましく、180μm以上がより好ましく、200μm以上が更に好ましい。
樹脂基材の厚みの上限値は、特に限定されるものではなく、フレキシブル性、軽量化、及び生産時のハンドリングの観点から規定すればよいが、ロールツーロール(Roll-to-Roll)による製造という観点から、1000μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましく、500μm以下が更に好ましい。
樹脂基材を構成する樹脂は、特に限定されるものではないが、フレキシブル性及び軽量化の観点から、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン(BT)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等)、ポリアミド樹脂(アラミド樹脂を含む)、ポリエーテルスルホン、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアセチレン等が好適である。これらの中でも、ポリエステル樹脂及びポリイミド樹脂が特に好適である。
本発明においては、これらの樹脂を単独で用いてもよいし、複数の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
その他、ガラスエポキシ、液晶ポリマー等をフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることもできる。
本発明における樹脂基材は、単層構造、又は複数の層からなる多層構造のいずれであってもよい。樹脂基材が多層構造である場合、この多層構造を構成する複数の樹脂基材は、同じ樹脂で構成されていてもよいし、異なる樹脂で構成されていてもよい。
樹脂基材が多層構造である場合、多層構造を構成する複数の基材の接着方法は、特に限定されず、例えば、加熱、加圧等によって熱融着する方法、接着剤を介して貼り合わせる方法、基材の表面に塗布法等により別の基材を形成する方法等が挙げられる。これらの中でも、接着容易性の観点から、接着剤を介して貼り合わせる方法が好ましい。
複数の基材を、接着剤を介して貼り合わせる場合、樹脂基材間に介在する接着剤層の表面の凹凸が樹脂基材の表面に影響を与えることで、樹脂基材上に形成される金属反射層の鏡面性が損なわれ、反射率が低下する懸念がある。このような接着剤による影響を抑制するために、多層構造を構成する複数の樹脂基材のうち、最も光入射側に位置する、すなわち、最も金属反射層に近接する樹脂基材の厚みを100μm以上とすることが好ましい。
多層構造である樹脂基材において、複数の樹脂基材を貼り合わせる接着剤の層厚は、金属反射層の平滑性をより良好にするという観点から、接着性を確保できる範囲内で、できるだけ薄いことが好ましく、例えば、1μm〜30μmであることが好ましい。
樹脂基材は、その一方又は両方の面に設けられる層の形成を容易にするために、表面処理が施されていてもよい。
表面処理としては、例えば、UV照射、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理、火炎処理等により、樹脂基材の表面を分解活性化させる処理が挙げられる。その他の表面処理としては、ヒドラジン、N−メチルピロリドン、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等のアルカリ性溶液による処理、硫酸、塩酸、硝酸等の酸性溶液による処理等が挙げられる。また、樹脂基材には、その表面の汚れを落とすために、水や、メタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル、アセトン等の有機溶剤による洗浄処理が施されていてもよい。
本発明における樹脂基材は、フィルムミラーの反射性能をより良好なものとする観点から、表面粗さ(Ra)が50nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることが更に好ましい。ここでいう表面粗さ(Ra)は、JIS B0601(1994)に準拠して求められる算術平均粗さである。
樹脂基材は、柔軟性を維持する観点から、可塑剤を含んでいてもよく、また、フィルム自体の劣化を防ぐ観点から、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤等を含んでいてもよい。
<紫外線遮断層>
本発明のフィルムミラーは、樹脂基材の金属反射層側とは反対側に、紫外線遮断層を有する。本発明のフィルムミラーは、上述のように、厚みが100μm以上の樹脂基材を有し、自己支持性を示すため、従来のフィルムミラーのように、支持のために、アルミ等の金属製の支持基材に貼り付ける必要がなく、フィルムミラー単体で使用することができる。しかしながら、屋外において、フィルムミラーを単体で使用すると、地面からの照り返しの光がフィルムミラーの裏面に当たり、樹脂基材を構成する樹脂が劣化する。樹脂基材を構成する樹脂の劣化は、金属反射層の劣化にもつながり、フィルムミラーの性能の低下を招く。本発明においては、樹脂基材の金属反射層側とは反対側に、紫外線遮断層を設けることで、照り返しの光による樹脂基材の劣化を抑制する。
本発明において、「紫外線遮断層」とは、200nm〜380nmの波長領域における光線透過率が20%以下である層をいう。
紫外線遮断層としては、樹脂に紫外線を遮断し得る紫外線遮断剤を含有させた層、蒸着等により形成された紫外線を遮断し得る金属層、金属酸化物層等が挙げられる。
紫外線遮断剤としては、有機系の紫外線吸収剤及び無機系の紫外線遮蔽剤のいずれも使用することができる。本明細書では、これらを「紫外線遮断剤」と総称する。
有機系の紫外線吸収剤は、特に限定されるものではなく、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、ヒンダードアミン系、トリアジン系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659;市販品の例としては、ADEKA社製の「LA31」)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(分子量447.6;市販品の例としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「チヌビン234」)等が挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサルチレート、2−4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
ヒンダードアミン系紫外線吸収剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、〔2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシフェノール〕(市販品の例としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「チヌビン1577FF」)、〔2−[4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール〕(市販品の例としては、サイテックインダストリーズ社製の「CYASORB UV−1164」)、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニル, とオキシラン[(C10〜C16アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物(市販品の例としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「チヌビン400」)等が挙げられる。
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(分子量438.7;市販品の例としては、住友化学社製の「Sumisorb400」)等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機系の紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等の白色顔料、カーボンブラック、黒色酸化鉄、銅/クロム/コバルト/鉄から選択される1種以上の金属が含まれる複合酸化物等の黒色顔料が挙げられる。
これらの無機系の紫外線遮蔽剤は、触媒機能を抑えたり、微粒子として安定化させたりするために、表面をアルミニウム(Al)化合物、ケイ素(Si)化合物、有機物分散剤等でコーティングされたものでもよい。また、これらの無機系の紫外線遮蔽剤は、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、マイカ等の体質顔料を併用してもよい。
本発明においては、紫外線遮断剤は、耐久性の観点から、有機系の紫外線吸収剤よりも無機系の紫外線遮蔽剤が好ましく、また、紫外線遮蔽剤の中でも、熱を吸収し難く、熱による樹脂の劣化が生じ難い点において、カーボンブラック等の黒色顔料よりも、酸化チタン等の白色顔料がより好ましい。
紫外線遮断剤を含ませるバインダーとしての樹脂は、強度、熱や光に対する耐久性、隣接する層との密着性等に優れたフィルム又は層を形成し得るものが好ましい。
樹脂としては、例えば、セルロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、セルロースジアセテート樹脂、セルローストリアセテート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレンビニルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、ノルボルネン系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアミド、フッ素系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐候性、取り扱い性、及びコストの観点から、アクリル樹脂が好ましい。
紫外線遮断層には、上記紫外線遮断剤及び上記樹脂以外に、例えば、上記樹脂を架橋し得る架橋剤、界面活性剤、帯電防止剤、塗布助剤(レベリング剤)、酸化防止剤、消泡剤等の添加剤が含有されていてもよい。
紫外線遮断層としての金属層を形成する金属としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、鉄、銅、ニッケル、銀、金、クロム、インジウム等の金属が挙げられ、これらの中でも、優れた紫外線遮断能を有するだけでなく、加工特性に優れ、且つ、軽量である点において、アルミニウムが好ましい。
紫外線遮断層としての金属酸化物層を形成する金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化鉛、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物等が挙げられ、これらの中でも、紫外線遮蔽性が高く、薄膜形成が容易な点において、酸化亜鉛が好ましい。
紫外線遮断層が上記樹脂に上記紫外線遮断剤を含ませた層である場合、紫外線遮断層における紫外線遮断剤の含有量は、200nm〜380nmの波長領域における紫外線遮断層の光線透過率が20%以下となるように調整すればよい。
また、紫外線遮断層が金属膜又は金属酸化物膜からなる層である場合には、200nm〜380nmの波長領域における紫外線遮断層の光線透過率が20%以下となるように、紫外線遮断層の厚みを調整すればよい。
紫外線遮断層は、照り返しの光による樹脂基材の劣化を十分に抑制する観点から、200nm〜380nmの波長領域における光線透過率が15%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
本発明のフィルムミラーにおいて、紫外線遮断層は、樹脂基材の金属反射層側とは反対側に備えられていればよく、光入射側からみて最外層である必要はない。すなわち、本発明の効果を損なわない範囲において、紫外線遮断層の光入射側とは反対側の面上に、更に他の層が設けられていてもよい。
〔紫外線遮断層の形成方法〕
例えば、樹脂基材の面上に、紫外線遮断層を形成する方法としては、以下の方法が挙げられる。但し、本発明においては、これらの方法に限定されるものではない。
(1)上記紫外線遮断剤、上記樹脂、及び所望により併用される各種添加剤を溶剤に溶解又は分散させ、紫外線遮断層塗布液を調製し、この紫外線遮断層塗布液を従来公知のコーティング方法により樹脂基材の面上に塗布し、乾燥させることにより、紫外線遮断層を形成する方法。
(2)樹脂基材の面上に、上記紫外線を遮断し得る金属を蒸着して、金属蒸着膜である紫外線遮断層を形成する方法。
(3)樹脂基材の面上に、上記紫外線を遮断し得る金属の金属箔や金属蒸着フィルムを、熱又は接着剤により、貼り合わせる方法。
紫外線遮断層の厚みは、必要な紫外線遮断機能を発揮されれば、特に限定されるものではないが、一般的には、0.005μm〜150μmの範囲内であることが好ましい。
<樹脂中間層>
本発明のフィルムミラーは、樹脂基材上に金属反射層を有するが、樹脂基材と金属反射層との密着性を向上させる目的で、両者の間に、樹脂中間層を有していてもよい。
樹脂中間層としては、金属を接着し易くするための易接着層、金属反射層をめっき法により形成する場合に有用なめっき下塗りポリマー層等が挙げられ、これらは単層で構成されても、2層以上の複数層で構成されるものであってもよい。
〔易接着層〕
本発明においては、樹脂基材と金属反射層との密着性を向上させるために、易接着層を設けてもよい。易接着層上に、めっき下塗りポリマー層を設ける場合には、易接着層が樹脂基材とめっき下塗りポリマー層との接着性を向上させるため、結果として、樹脂基材と金属反射層との密着性がより向上する。
易接着層は、隣接する樹脂基材との密着性の観点から、樹脂基材を構成する樹脂と同じ樹脂、又は樹脂基材を構成する樹脂と親和性を有する樹脂を含んでいることが好ましい。 樹脂基材を構成する樹脂と親和性を有する樹脂としては、例えば、ガラス転移点や弾性率、線膨張係数といった熱的物性が互いに近い樹脂が挙げられる。
易接着層に含まれる樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又はこれらの混合物が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレンアクリル酸共重合樹脂、エチレンアクリル酸エステル共重合樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
なお、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよいし、併用してもよい。2種以上の樹脂の併用は、それぞれの欠点が補うことでより優れた効果を発現させる目的で行なわれる。
熱可塑性樹脂を用いる場合には、必要に応じて、架橋剤を使用することが好ましい。架橋剤の種類としては、熱可塑性樹脂が有するカルボン酸基、水酸基、アミノ基、メルカプタン基等の官能基と反応する反応性基を複数有する架橋剤が好ましい。好ましい反応性基の種類としては、カルボジイミド基、オキサゾリン基、イソシアネート基、エポキシ基、メラミン等があげられる。これらの反応性基を複数有する化合物としては、例えば、カルノジライト(日清紡社製)、エポクロス(日本触媒社製)、デナコール(ナガセケムテックス社製)、ベッカミン(DIC北日本ポリマ社製)等の架橋剤が市販されている。
架橋剤の添加量は、熱可塑性樹脂が有する官能基と架橋剤の反応性基とが当量となるように調合することが好ましいが、適切な膜物性を得るために、架橋剤の添加量を適宜増減してもよい。
易接着層には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、有機又は無機微粒子からなるマット材、塗布助剤として界面活性剤、帯電防止剤、ワックス類等の各種添加剤を1種又は2種以上添加してもよい。
いずれの添加剤も、添加される場合には、主成分となる樹脂に対して、0質量%を超えて50質量%以下の範囲で添加されることが好ましく、0質量%を超えて20質量%以下の範囲で添加されることがより好ましい。添加剤を、樹脂に対して50質量%を超える範囲で用いると、樹脂自体が本来有する強度等の特性が低下する懸念がある。
〔易接着層の形成方法〕
易接着層は、上述の各成分を水に分散又は溶解させた塗布液、若しくは、各成分を溶解可能な有機溶媒に溶解させた塗布液を、塗布等の方法により樹脂基材に付与し、加熱及び/又は光照射により硬膜化させることにより形成することができる。
加熱の温度及び時間は、塗布溶剤が十分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適性の点からは、乾燥温度が190℃以下であり、且つ、乾燥時間が10分以内であることが好ましく、乾燥温度が40℃〜180℃であり、且つ、乾燥時間が5分以内であることがより好ましい。
塗布液を調製する際に用いられる溶媒は、上述の各成分を溶解又は分散し得るものであれば、特に限定されるものではない。乾燥の容易性及び作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。具体的には、特開2007−154306号公報の段落[0045]に記載されている、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、水等を用いることができる。これらの中でも、特にVOC(Volatile Organic Compounds、揮発性有機化合物)抑制の観点から水が好ましい。上記の例示溶媒は、単独、又は、混合して用いることができる。塗布溶液中の固形分の濃度は、1質量%〜50質量%が適当である。なお、水を溶媒として用いる場合には、上記易接着層に含まれる樹脂を水分散物又は水溶性化物とすることが好ましい。
本発明における易接着層の厚みは、一般に、0.05μm〜5μmであり、0.1μm〜3μmであることが好ましい。
〔めっき下塗りポリマー層〕
本発明におけるめっき下塗りポリマー層は、還元された金属粒子と後述のめっき下塗りポリマーとを少なくとも有する。
本発明においては、金属前駆体と後述のめっき下塗りポリマーとを含む組成物を用いて、樹脂基材上に塗布等の方法により金属前駆体を含むめっき下塗りポリマー層を形成する
ことが好ましい。また、本発明においては、後述のめっき下塗りポリマーを含む組成物を用いて樹脂基材上に層を形成した後、該層に、金属前駆体を含む組成物を浸漬等の方法によって接触させて、金属前駆体を含むポリマー層を形成し、然る後、該下塗りポリマー層に含まれる金属前駆体を還元することにより、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層を形成することも好ましい。
(めっき下塗りポリマー)
めっき下塗りポリマー層を形成するために用いられるめっき下塗りポリマーについて説明する。
めっき下塗りポリマー層を形成するために用いられるめっき下塗りポリマーは、金属前駆体と相互作用する官能基(以下、適宜「相互作用性基」と称する。)を少なくとも有するとともに、耐水性及び耐薬品性の観点から、必要に応じて、重合性基を有することが好ましい。
めっき下塗りポリマーの主骨格としては、アクリルポリマー、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリイミド、メタクリルポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、エチレンアクリル酸共重合体等が好ましく、アクリルポリマーがより好ましい。
めっき下塗りポリマーは、分子内に上記重合性基と上記相互作用性基とを有することが好ましく、上記重合性基を有する場合には、この重合性基をポリマーの主鎖末端及び側鎖の少なくともいずれかに有していればよい。めっき下塗りポリマーとしては、例えば、上記重合性基を有する構成単位と、上記相互作用性基を有する構成単位とを含んで構成されるポリマー等が挙げられ、同一の構成単位に重合性基と相互作用性基とを含んで構成されるポリマーでもよい。また、めっき下塗りポリマーは、2種以上の重合性基を含んでいてもよく、2種以上の相互作用性基を含んでいてもよい。また、重合性基は、ポリマーの作製後に高分子反応により導入されてもよい。
また、めっき下塗りポリマーは、目的に応じて、重合性基を含む構成単位、及び相互作用性基を含む構成単位以外の構成単位を含んでいてもよい。重合性基を含む構成単位、及び相互作用性基を含む構成単位以外の構成単位を含むことで、めっき下塗り組成物としたときに、水又は有機溶剤への溶解性に優れたものとなり、均一な層を形成することができる。
めっき下塗りポリマーの好ましい態様としては、相互作用性基としての酸性基と重合性基とを側鎖に有するアクリルポリマーが挙げられる。
以下、めっき下塗りポリマーに含まれる重合性基、相互作用性基等について詳述する。
−重合性基−
めっき下塗りポリマーが有する重合性基は、エネルギー付与により、ポリマー同士、又は、ポリマーと下地層(樹脂基材又は支持基材上に設けられた下塗り層)との間で化学結合を形成し得る官能基であればよい。重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、ラジカル重合性基が好ましい。
ラジカル重合性基としては、例えば、メタクリロイル基、アクリロイル基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基、スチリル基、ビニル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基等が挙げられる。これらの中でも、メタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アクリルアミド基、及びメタクリルアミド基が好ましく、ラジカル重合反応性及び合成汎用性の観点から、メタクリロイル基、アクリロイル基、アクリルアミド基、及びメタクリルアミド基がより好ましく、耐アルカリ性の観点から、アクリルアミド基、及びメタクリルアミド基が更に好ましい。
アクリルポリマーに導入される重合性基としては、例えば、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基等の(メタ)アクリル基、カルボン酸のビニルエステル基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基等の各種重合性基が好ましい。
−相互作用性基−
めっき下塗りポリマーが有する相互作用性基は、金属前駆体と相互作用する官能基(例えば、配位性基、金属イオン吸着性基等)であり、金属前駆体と静電相互作用を形成し得る官能基、金属前駆体と配位形成し得る含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基等を使用することができる。
相互作用性基の具体例としては、アミノ基、アミド基、イミド基、ウレア基、トリアゾール環、イミダゾール基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アルキルアミン構造を含む基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)等の含窒素官能基;エーテル基、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、カーボネート基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基等の含酸素官能基;チオフェン基、チオール基、チオウレア基、スルホキシド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル構造を含む基等の含硫黄官能基;ホスフォート基、ホスフォロアミド基、ホスフィン基、リン酸エステル構造を含む基等の含リン官能基;塩素、臭素等のハロゲン原子を含む基等が挙げられ、塩構造をとり得る官能基においては、それらの塩も使用することができる。
相互作用性基としては、非解離性官能基であっても、イオン性極性基であってもよい。なお、めっき下塗りポリマーは、これらを同時に有していてもよいが、好ましくは、相互作用性基として、イオン性極性基を有し、非解離性官能基を有さない方がよい。
イオン性極性基としては、めっき下塗りポリマーの樹脂基材(樹脂基材上に上記易接着層が形成されている場合には、易接着層)に対する密着性の観点から、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びボロン酸基が挙げられ、これらの中でも適度な酸性(他の官能基を分解しない)を有する点、他の官能基に影響を与える懸念が少ない点、めっきの層との親和性に優れる点、及び原料が入手容易であるという点から、カルボン酸基が特に好ましい。
カルボン酸基等のイオン性極性基は、酸性基を有するラジカル重合性化合物を共重合させることにより、めっき下塗りポリマーに導入することができる。
ラジカル重合性基と非解離性官能基からなる相互作用性基とを有するポリマーとしては、特開2009−007540号公報の段落[0106]〜[0112]に記載のポリマー等を好適に使用することができる。
また、ラジカル重合性基とイオン性極性基からなる相互作用性基とを有するポリマーとしては、特開2006−135271号公報の段落[0065]〜[0070]に記載のポリマー等を好適に使用することができる。
さらに、ラジカル重合性基と、非解離性官能基からなる相互作用性基と、イオン性極性基からなる相互作用性基とを有するポリマーとしては、特開2010−248464号公報の段落[0010]〜[0128]、特開2010−84196号公報、及び米国特許出願公開2010−080964号明細書の段落[0030]〜[0108]に記載のポリマー等を好適に使用することができる。
めっき下塗りポリマー層は、エネルギー付与に対する感度を高めるために、光重合開始剤、熱重合開始剤等のラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、一般に公知のものが使用される。
但し、エネルギー付与により、めっき下塗りポリマーが、樹脂基材や易接着層と相互作用する活性点を生成し得る場合、すなわち、めっき下塗りポリマーとして、ポリマー骨格中に重合開始部位を有するポリマーを用いるような場合には、これらのラジカル重合開始剤を添加しなくてもよい。
めっき下塗りポリマー層を形成するための組成物(以下、適宜、「めっき下塗りポリマー層形成用組成物」と称する。)に含有させるラジカル重合開始剤の量は、めっき下塗りポリマー層形成用組成物の構成に応じて選択されるが、一般的には、めっき下塗りポリマー層形成用組成物中に、0.05質量%〜30質量%程度であることが好ましく、0.1質量%〜10.0質量%程度であることがより好ましい。
〔めっき下塗りポリマー層の形成方法〕
−めっき下塗りポリマー層形成用組成物の塗布−
めっき下塗りポリマー層は、例えば、上記樹脂基材、又は、上記樹脂基材上に設けられた易接着層の面上に、めっき下塗りポリマー層形成用組成物を塗布し、エネルギーを付与することにより形成することができる。
上記樹脂基材上に、めっき下塗りポリマー層を直接設ける場合には、予め樹脂基材の表面にエネルギーを付与する等の易接着処理(例えば、コロナ処理、プラズマ処理等)を施しておくことが好ましい。
樹脂基材上に、めっき下塗りポリマーを含むポリマー層を設ける方法は、特に限定されるものではなく、例えば、めっき下塗りポリマー層形成用組成物中に樹脂基材を浸漬する方法や、めっき下塗りポリマー層形成用組成物を樹脂基材上に塗布する方法等が挙げられる。得られる層の厚みを制御し易い点において、めっき下塗りポリマー層形成用組成物を樹脂基材上に塗布する方法が好ましい。
めっき下塗りポリマー層形成用組成物の塗布量は、後述する金属前駆体との十分な相互作用を形成させる観点から、固形分換算で0.05g/m〜10g/mであることが好ましく、0.3g/m〜5g/mであることが特に好ましい。
樹脂基材等へ塗布しためっき下塗りポリマー層形成用組成物は、20℃〜60℃で1秒間から2時間乾燥させた後、60℃を超える温度で1秒間〜2時間乾燥させることが好ましく、20℃〜60℃で1秒間〜20分間乾燥させた後、60℃を超える温度で1秒間〜20分間乾燥させることがより好ましい。
上記樹脂基材、又は、上記樹脂基材上に設けられた易接着層の面上に、めっき下塗りポリマー層形成用組成物を塗布した後、エネルギーを付与すると、エネルギー付与領域において、ポリマーが有する重合性基同士、又は、ポリマーが有する重合性基と、上記樹脂基材、若しくは、上記樹脂基材上に設けられた易接着層との間に相互作用が形成され、樹脂基材上に(又は、易接着層を介して樹脂基材上に)固定化されためっき下塗りポリマー層が形成される。このようにして、樹脂基材とめっき下塗りポリマー層とが強固に密着することとなる。
−エネルギーの付与−
エネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光が挙げられる。
露光によるエネルギー付与方法としては、具体的には、UVランプ、可視光線等による光照射が可能である。露光で使用する光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線等がある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
露光パワーは、重合を容易に進行させるため、ポリマーの分解を抑制するため、及びポリマーが良好な相互作用を形成するためといった観点から10mJ/cm〜8000mJ/cmの範囲であることが好ましく、100mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲であることがより好ましい。
なお、露光は、窒素、ヘリウム、二酸化炭素等の不活性ガスによる置換を行ない、酸素濃度を600ppm以下、好ましくは400ppm以下に抑制した雰囲気中で行なってもよい。
加熱によるエネルギー付与は、例えば、一般の熱ヒートローラー、ラミネーター、ホットスタンプ、電熱板、サーマルヘッド、レーザー、送風乾燥機、オーブン、ホットプレート、赤外線乾燥機、加熱ドラム等により行なうことができる。
また、加熱によりエネルギー付与を行なう場合、その温度は、重合を容易に進行させるため、また、樹脂基材の熱変性を抑制するため、20℃〜200℃であることが好ましく、40℃〜120℃であることがより好ましい。
−未反応めっき下塗りポリマーの除去−
エネルギー付与後は、更に適宜、未反応のポリマーを除去する工程を設けてもよい。未反応のポリマーの除去方法としては、例えば、ポリマーを溶解する溶剤や、アルカリ可溶性のポリマーの場合はアルカリ系現像液(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液)等を、めっき下塗りポリマー層が形成された樹脂基材に接触させる方法が挙げられる。
めっき下塗りポリマー層の厚みは、特に限定されるものではないが、上記樹脂基材等との密着性の観点から、0.05μm〜10μmであることが好ましく、0.3μm〜5μmであることがより好ましい。
めっき下塗りポリマー層の表面粗さ(Ra)は、反射性能の観点から、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。ここでいう表面粗さ(Ra)は、JIS B0601(1994)に準拠して求められる算術平均粗さである。
−還元された金属粒子−
本発明におけるめっき下塗りポリマー層は、還元された金属粒子を含む。めっき下塗りポリマー層に含まれる還元された金属粒子は、めっき下塗りポリマー層に、金属前駆体を付与し、この金属前駆体を還元して、金属前駆体を還元された金属粒子とすることによって得られる。金属前駆体をめっき下塗りポリマー層に付与すると、上記相互作用性基に、金属前駆体が相互作用により付着する。
−金属前駆体−
本発明において用いられる金属前駆体は、還元反応により金属に変化させることで電極として機能するものであれば、特に限定されないが、金属反射層の形成において、めっきの電極として機能するものが好ましく挙げられる。
具体的には、Au、Pt、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Co等の金属イオンが用いられる。これらの金属イオンは、還元反応によって0価の金属粒子となる。
金属前駆体である金属イオンは、金属塩としてめっき下塗りポリマー層形成用組成物に含まれることが好ましい。
使用される金属塩としては、適切な溶剤に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば、特に限定されるものではなく、M(NO、MCl、M2/n(SO)、M3/n(PO)(Mは、n価の金属原子を表す)等が挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオン等が挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類、数、及び触媒能の点で、Agイオン、Cuイオン、及びPdイオンが好ましい。
Agイオンとしては、以下に示すような銀化合物が解離したものを好適に用いることができる。銀化合物の具体例としては、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、シアン化銀、チオシアン酸銀、塩化銀、臭化銀、クロム酸銀、クロラニル酸銀、サリチル酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、ジエチルジチオカルバミド酸銀、及びp−トルエンスルホン酸銀が挙げられる。これらの中でも、水溶性の観点から硝酸銀が好ましい。
Cuイオンとしては、以下に示すような銅化合物が解離したものを好適に用いることができる。銅化合物の具体例としては、硝酸銅、酢酸銅、硫酸銅、シアン化銅、チオシアン酸銅、塩化銅、臭化銅、クロム酸銅、クロラニル酸銅、サリチル酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミド酸銅、及びp−トルエンスルホン酸銅が挙げられる。これらの中でも、水溶性の観点から硫酸銅が好ましい。
金属前駆体は、分散液又は溶液(金属前駆体液)として、形成されためっき下塗りポリマー層に付与されることが好ましい。
付与の方法としては、例えば、めっき下塗りポリマー層形成用組成物を用いて樹脂基材上にめっき下塗りポリマー層を形成した後、このめっき下塗りポリマー層の面上に金属前駆体を含む組成物(分散液又は溶液)を塗布する方法が挙げられる。また、めっき下塗りポリマー層が形成された樹脂基材を、金属前駆体を含む組成物(分散液又は溶液)に浸漬する方法が挙げられる。
金属前駆体は、めっき下塗りポリマー層に、金属前駆体を含む分散液又は溶液を接触させ、ファンデルワールス力のような分子間力による相互作用、又は、孤立電子対による配位結合による相互作用を利用することで、めっき下塗りポリマー中の相互作用基に吸着させることができる。
金属前駆体の吸着を十分に行なわせるという観点から、金属前駆体を含む分散液又は溶液中の金属前駆体の濃度は、0.001質量%〜50質量%であることが好ましく、0.005質量%〜30質量%であることがより好ましい。
金属前駆体の分散液及び溶液に用いる溶媒には、水や有機溶媒が用いられる。水や有機溶剤を含有することで、ポリマー層に対する金属前駆体の浸透性が向上し、相互作用性基に効率よく金属前駆体を吸着させることができる。
金属前駆体のめっき下塗りポリマー層への付与に、分散液を用いる場合、金属前駆体の粒子径は、1nm〜200nmであることが好ましく、1nm〜100nmであることがより好ましく、1nm〜60nmであることが更に好ましい。金属前駆体の粒子径を上記範囲内とすることで、還元された金属粒子の粒子径を所望の大きさに制御することができる。
なお、ここでいう粒子径とは、平均1次粒子径(体積換算)のことであり、SEM(S−5200、日立ハイテクマニファクチャ&サービス社製)の画像から読み取ったものである。
なお、金属前駆体は、予め、めっき下塗りポリマー層用組成物に含有させてもよく、その場合、めっき下塗りポリマー層用組成物における金属前駆体の含有量は、組成物全量に対して、0.5質量%〜100質量%であることが好ましく、1質量%〜50質量%であることがより好ましい。
めっき下塗りポリマー層に付与した金属前駆体である金属イオンは、金属活性化液(還元液)により還元する。金属活性化液は、金属前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤と、該還元剤を活性化するためのpH調整剤を含む。
金属活性化液全体に対する還元剤の濃度は、0.05質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがより好ましい。
還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸等の還元剤を用いることが可能である。特に、ホルムアルデヒドを含有するアルカリ水溶液で還元することが好ましい。
金属活性化液全体に対するpH調整剤の濃度は、0.05質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
pH調整剤としては、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することが可能である。
還元時の温度は、10℃〜100℃であることが好ましく、20℃〜70℃であることが更に好ましい。
これら濃度や温度は、還元の際の、金属前駆体の粒子径、ポリマー層の表面粗さ(Ra)、導電性(表面抵抗値)、及び還元液の劣化の観点から、上記範囲内であることが好ましい。
めっき下塗りポリマー層に含まれる還元された金属粒子の粒子径は、反射性能の観点から、1nm〜200nmであることが好ましく、1nm〜100nmであることがより好ましく、1nm〜60nmであることが更に好ましい。この範囲内にあることで、めっき後の反射率が良好となる。
なお、ここでいう粒子径は、SEM(S−5200、日立ハイテクマニファクチャ&サービス社製)画像から読み取ったものである。
還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層の表面抵抗値は、0.001Ω/□以上100Ω/□以下であることが好ましく、0.03Ω/□以上50Ω/□以下であることがより好ましい。この範囲内であると、均一及び平滑にめっき面が形成され、反射率が良好となる。
また、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層の表面粗さ(Ra)は、反射性能の観点から、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。ここでいう表面粗さ(Ra)は、JIS B0601(1994)に準拠して求められる算術平均粗さである。
このようにして得られた金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層は、以下に詳述する金属反射層を湿式法であるめっき法により形成する際に好適に用いられ、めっき下塗りポリマー層を用いてめっき法により形成された金属反射層は、樹脂基材との密着性と表面平滑性とに優れる。
<金属反射層>
本発明における金属反射層は、樹脂基材上に、直接設けられるか、又は、所望により設けられる既述の樹脂中間層を介して設けられる。
金属反射層は、金属を含有する金属膜で構成される反射層である。金属反射層を形成する金属としては、光を反射する金属であれば、特に限定されるものではないが、可視光及び赤外光の両方を反射する金属が好ましい。可視光及び赤外光の両方を反射する金属としては、例えば、銀、アルミニウム等が挙げられる。
本発明における金属反射層を形成する金属は、光の反射性能の観点から、銀、又は銀を含む合金が好ましい。銀、又は銀を含む合金によれば、フィルムミラーの可視光領域での反射率を高め、入射角による反射率の依存性を低減できる。ここでいう可視光領域とは、400nm〜700nmの波長領域を意味する。また、入射角とは、膜面に対して垂直な線に対する角度を意味する。
銀合金としては、銀含有金属層の耐久性が向上する点において、銀と、金、パラジウム、スズ、ガリウム、インジウム、銅、チタン、及びビスマスからなる群の金属から選ばれる1種以上の金属とからなる合金が好ましい。銀合金としては、銀と金との合金が、耐湿熱性、反射率等の観点から特に好ましい。
例えば、金属反射層が銀合金からなる膜である場合、銀の含有量は、金属反射層における銀と他の金属との合計(100原子%)中、90原子%〜99.8原子%であることが好ましい。また、他の金属の含有量は、耐久性の点から0.2原子%〜10原子%であることが好ましい。
金属反射層の表面粗さ(Ra)は、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることが更に好ましい。金属反射層の表面粗さ(Ra)を、上記範囲内とすると、得られたフィルムミラーの反射率が向上するので、太陽光を効率良く集光することが可能となる。ここでいう表面粗さ(Ra)は、JIS B0601(1994)に準拠して求められる算術平均粗さである。
〔金属反射層の形成方法〕
本発明における金属反射層は、湿式法又は乾式法のいずれの方法でも形成することができる。湿式法としては、例えば、電気めっき法、無電解めっき法、銀錯体塗布焼成法等が挙げられる。乾式法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が挙げられる。
本発明においては、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層を利用して、真空蒸着等の乾式めっきを行なうことにより、金属反射層を形成することが好ましい。この方法によれば、めっき下塗りポリマー層の表面が金属で覆われているため、通常の蒸着等よりも密着性が良く、且つ、熱に対しても強い金属反射層を形成することができる。
また、本発明においては、樹脂中間層との密着性に、より優れた金属反射層の形成が可能となる点において、金属反射層をめっき法により形成することが特に好ましい。
以下、金属反射層を電気めっき法により形成する場合について、説明する。
電気めっき法としては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明においては、樹脂中間層が電極としての機能を有する場合には、樹脂中間層に対して電気めっきを行なうことにより、金属反射層を形成することができる。
めっきに用いられる金属化合物としては、例えば、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、メタンスルホン酸銀、アンモニア銀、シアン化銀、チオシアン酸銀、塩化銀、臭化銀、クロム酸銀、クロラニル酸銀、サリチル酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、ジエチルジチオカルバミド酸銀、p−トルエンスルホン酸銀等の銀化合物が挙げられる。これらの中でも、環境影響や平滑性の観点から、メタンスルホン酸銀が好ましい。
また、本発明においては、樹脂中間層と金属反射層との間に、例えば、銅、ニッケル、クロム、鉄等の他の金属を含有する金属層を下地金属層として設けてもよい。適切な厚みの下地金属層を入れることで、表面平滑化による反射率の向上、及びピンホールの低減が可能となる。
金属反射層の厚みは、金属反射層の表面に、ピンホールや光を散乱させるような凹凸を作らないという観点から、0.05μm〜2.0μmであることが好ましく、0.08〜0.5μmであることがより好ましい。
なお、電気めっき法により金属反射層を形成する場合には、金属反射層の厚みは、めっき浴中に含まれる金属濃度、又は、電流密度を調整することで制御することができる。
本発明においては、電気めっきの後、金属反射層の反射性能や耐久性を向上させるために、金属反射層の表面を強酸、強アルカリ等で処理したり、金属反射層の表面に無機皮膜や金属酸化皮膜を形成したりしてもよい。また、金属反射層の表面に、変色防止剤を含む変色防止剤層を更に設けてもよい。
変色防止剤としては、金属を吸着する吸着基を有するものと、酸化を防止するものとに大別される。変色防止剤の例としては、チオエーテル系、チオール系、Ni系有機化合物系、ベンゾトリアゾール系、イミダゾール系、オキサゾール系、テトラザインデン系、ピリミジン系、チアジアゾール系等の変色防止剤が挙げられる。
<保護層>
本発明のフィルムミラーでは、太陽光、雨水、砂塵等による金属反射層の劣化や破損を防止し、鏡面性の安定化を図るために、上記金属反射層の光入射側に、保護層を有する。
本発明における保護層は、バインダーとして樹脂を含有する。保護層の形成に用いられる樹脂は、強度、熱や光に対する耐久性、空気や水分の遮断性、保護層と隣接する層(例えば、金属反射層)との密着性に加え、透明性、特にフィルムミラーが必要とする波長の光に対する透過性に優れたフィルム又は層を形成し得るものが好ましい。
保護層の形成に用いられる樹脂としては、例えば、セルロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)系樹脂、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等)、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、セルロースジアセテート樹脂、セルローストリアセテート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレンビニルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、ノルボルネン系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂、ポリウレタン系樹脂等を挙げることができる。
これらの中でも、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂、アクリル樹脂、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が好ましく、光透過性の観点からアクリル樹脂がより好ましい。
本発明における保護層には、架橋剤が含有されていてもよい。架橋剤が含有されていると、保護層中に架橋構造が形成されるため、強度がより向上するとともに、隣接する金属反射層との密着性がより向上する等の利点がもたらされる。
架橋剤としては、保護層を構成する樹脂との相関により選択することができ、例えば、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メラミン化合物、ビスビニルスルオン化合物などが挙げられ、効果の観点からは、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、及びエポキシ化合物からなる群より選ばれ少なくとも1種の架橋剤が好ましい。
保護層には、上記の各成分に加え、例えば、紫外線吸収剤、光重合開始剤、帯電防止剤、塗布助剤(レベリング剤)、酸化防止剤、消泡剤等の添加剤が含有されていてもよい。
〔保護層の形成方法〕
例えば、金属反射層の面上に保護層を形成する方法としては、以下の方法が挙げられる。但し、本発明においては、これらの方法に限定されるものではない。
(1)上記樹脂及び所望により併用される成分を溶剤に溶解させ、保護層形成用塗布液を調製し、この保護層形成用塗布液を金属反射層の面上に塗布し、乾燥させることにより、保護層を形成する方法。
(2)上記(1)の保護層形成用塗布液を金属反射層の面上に塗布し、乾燥させて、金属反射層の面上に膜を形成した後、この膜に対して、加熱、UV照射等を施すことにより、保護層を形成する方法。
(3)上記樹脂及び所望により併用される成分の混合物を、上記樹脂が溶融する温度まで加熱した後、得られた溶融物を金属反射層の面上にキャストすることにより、保護層を形成する方法。
(4)上記樹脂及び所望により併用される各成分の混合物を予め成形してフィルムとし、このフィルムを、粘着剤を用いて金属反射層に貼り合わせるか、又は、熱ラミネート等により金属反射層に融着させることにより、保護層を形成する方法。
保護層の膜厚は、必要な保護機能と耐久性とを達成し、且つ、光反射能低減を抑制するといった観点から、3μm〜30μmであることが好ましく、5μm〜10μmであることがより好ましい。
[太陽光集光用フィルムミラー]
本発明のフィルムミラーは、金属反射層で反射する光の入射側とは反対側、すなわち、裏面からの光に対して優れた耐久性を有するので、屋外に設置され、その裏面が地面からの照り返しの光に晒される太陽光集光用フィルムミラーとして好適に用いることができる。特に、本発明のフィルムミラーは、砂漠等の強い太陽光に晒される場所に設置される太陽熱発電に用いられる太陽光集光用フィルムミラーとして有用である。
また、本発明のフィルムミラーは、自己支持性を有しているので、その裏面全体にアルミ等の金属製の基材を貼り付ける必要がなく、従来のフィルムミラーに比して軽量である。したがって、本発明のフィルムミラーによれば、運搬や屋外での設置といった煩雑な作業の負担を低減することができる。
[太陽光反射装置]
本発明の太陽光反射装置は、本発明のフィルムミラーが光透過性領域を有する支持部材に支持されてなる。本発明のフィルムミラーは、上述のように、自己支持性を有しているので、その全面を支持部材で支える必要がなく、また、裏面からの光に対して優れた耐久性を有するので、その裏面全体を覆う必要がない。本発明の太陽光反射装置によれば、本発明のフィルムミラーを全面で支える支持部材を必要としないので、軽量であり、屋外での設置等の作業性に優れる。
また、本発明の太陽光反射装置は、裏面からの光に対して優れた耐久性を有する本発明のフィルムミラーを備えているので、砂漠等の強い太陽光に晒される場所に設置される太陽熱発電用太陽光反射装置として有用である。
本発明の太陽光反射装置において、本発明のフィルムミラーを支持部材に支持する方式としては、点支持であっても、面支持であってもよい。点支持の場合には、フィルムミラーが支持部材と1点以上の支持点により固定化されていればよく、例えば、支持脚のみで支える方法が挙げられる。面支持の場合には、光透過性領域を有する形状の部材の面と接触して支えられていればよく、支持面の形状は、支持部材の形状にもよるが、例えば、枠状、格子状等が挙げられる。
支持部材の材料は、特に限定されるものではなく、例えば、鋼、銅、アルミニウム、銅めっき鋼、錫めっき鋼、アルミニウムめっき鋼、ステンレス鋼、クロムめっき鋼等の金属、樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐食性の観点から、めっき鋼、ステンレス板、及びアルミニウムが好ましく、軽量化の観点から、アルミニウムがより好ましい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[フィルムミラーの作製]
〔実施例1〕
−めっき下塗りポリマー層の形成−
樹脂基材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(A4300、両面易接着処理済、厚み:250μm、東洋紡社製)の一方の面上に、下記の方法により調製しためっき下塗りポリマー層形成用塗布液を、乾燥後の膜厚が約0.5μmとなるように、バーコート法により塗布した。次いで、25℃で10分間、及び80℃で5分間乾燥した後、UV照射装置(UVランプ:メタルハライドランプ、GSユアサ社製)を用いて、UV露光(波長:254nm、UV露光量:1000mJ/cm)することにより、めっき下塗りポリマー層を形成した。
−めっき下塗りポリマー層形成用塗布液の調製−
下記構造のアクリルポリマー1(下記構造における各繰り返し単位の数字は、質量換算の組成比を表す。)(7質量部)、1−メトキシ−2プロパノール(74質量部)、及び水(19質量部)の混合溶液に、光重合開始剤(エサキュアKTO−46、ランベルディー社製)(0.35質量部)を添加し、攪拌することにより、アクリルポリマー1を含むめっき下塗りポリマー層形成用塗布液を調製した。なお、アクリルポリマー1の重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出)は、5.3万であり、アクリルポリマー1におけるカルボン酸基の含有量は、4.3meq/gであった。
(金属前駆体の付与)
めっき下塗りポリマー層が形成されたPETフィルム(以下、適宜、めっき下塗りポリマー層付きPETフィルムと称する。)を、1質量%炭酸水素ナトリウム水溶液中に5分間浸漬させた後、純水で洗浄した。
次に、この浸漬及び洗浄後のめっき下塗りポリマー層付きPETフィルムを、1質量%硝酸銀水溶液中に5分間浸漬させた後、純水で洗浄し、めっき下塗りポリマー層に無電解めっき触媒である金属前駆体(銀イオン)を付与した。
(金属前駆体の還元)
次に、金属前駆体である銀イオンが付与されためっき下塗りポリマー層付きPETフィルムを、40mmol/Lの水酸化ナトリウムと2.2質量%のホルマリンとを含むアルカリ水溶液(pH12)(還元液に相当)に浸漬させた後、純水で洗浄することにより、めっき下塗りポリマー層に付与された銀イオンを還元した。
−金属反射層の形成−
(電気めっき)
次に、還元銀を表面に有するめっき下塗りポリマー層に対して、以下の電気めっき処理を行ない、銀反射層(厚み:100nm)を形成した。
電気めっき液として、ダインシルバーブライトPL50(大和化成社製)を、8M水酸化カリウムによりpH8.0に調整したものを調製した。この電気めっき液に、還元銀を表面に有するめっき下塗りポリマー層付きPETフィルムを浸漬させ、0.5A/dm2にて20秒間めっきした後、純水で1分間掛け流しにより洗浄した。
電気めっき後処理として、めっき後のPETフィルムを、ダインシルバーACC(大和化成社製)の10質量%水溶液に90秒間浸漬させた後、純水で1分間掛け流しにより洗浄した。このようにして、PETフィルム上に、金属反射層である銀反射層を形成した。
金属反射層の表面粗さ(Ra)を、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定したところ、約4nmであった。
−保護層の形成−
上記にて得られた金属反射層のめっき処理面上に、下記の保護層形成用塗布液1を、乾燥重量が10g/mとなるようにバーコート法により塗布した。そして、これを130℃で1分間乾燥することにより、保護層1を形成した。
〜保護層形成用塗布液1の組成〜
・ダイヤナールBR−102 21質量部
〔アクリル樹脂、三菱レーヨン社製〕(バインダー)
・Sumisorb250 4質量部
〔ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、住友化学社製〕(紫外線吸収剤)
・シクロヘキサノン(溶剤) 5質量部
・メチルエチルケトン(溶剤) 70質量部
・メガファックF−780F 0.04質量部
〔フッ素系界面活性剤、固形分:30質量%、DIC社製〕(塗布助剤)
次に、保護層1の上に、下記の保護層形成用塗布液2を、乾燥重量が8g/mとなるようにバーコート法により塗布した。そして、これを130℃で1分間乾燥した後、窒素雰囲気下で、照射量が500mJ/cmになるように高圧水銀灯を照射することにより、保護層2を形成した。
−保護層形成用塗布液2の組成−
・ディフェンサFH−700 22質量部
〔フッ素系UV硬化樹脂、固形分:91質量%、DIC社製〕(ハードコート剤)
・シクロヘキサノン(溶剤) 5質量部
・メチルエチルケトン(溶剤) 72質量部
・メガファックF−780F 0.04質量部
〔フッ素系界面活性剤、固形分:30質量%、DIC社製〕(塗布助剤)
−紫外線遮断層の形成−
上記PETフィルムの保護層が形成された側とは反対側の面上に、下記の紫外線遮断層形成用塗布液1を、乾燥後の膜厚が約10μmとなるように、バーコート法により塗布し、120℃で10分間乾燥させることにより、紫外線遮断層を形成した。
なお、形成された紫外線遮断層の波長200nm〜380nmにおける透過率を、紫外可視近赤外分光光度計(UV−3100、島津製作所社製)を用いて測定したところ、上記の全波長域において、5%以下であった。
−紫外線遮断層形成用塗布液1の組成−
・ジュリマーET410 68質量部
〔アクリル樹脂、固形分:30質量%、日本純薬社製〕(バインダー)
・エポクロスWS−700 24.5質量部
〔オキサゾリン化合物、固形分:25質量%、日本触媒社製〕(架橋剤)
・ナロアクティーCL95の1質量%水溶液 3質量部
〔ナロアクティーCL95・・・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、固形分:100質量%、三洋化成工業社製〕(界面活性剤)
・MF−5765 White 4.5質量部
〔酸化チタン系着色剤、固形分:66.5質量%、大日精化工業社製〕(紫外線遮断剤)
このようにして、光入射側から、保護層、金属反射層、樹脂中間層(めっき下塗りポリマー層)、樹脂基材、及び紫外線遮断層をこの順に有する実施例1のフィルムミラーを作製した。
〔実施例2〕
実施例1において、上記PETフィルムの保護層が形成された側とは反対側の面上に、下記の紫外線遮断層形成用塗布液2を、乾燥後の膜厚が約10μmとなるように、バーコート法により塗布し、120℃で10分間乾燥させることにより、紫外線遮断層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のフィルムミラーを作製した。
なお、形成された紫外線遮断層の波長200nm〜380nmにおける透過率を、紫外可視近赤外分光光度計(UV−3100、島津製作所社製)を用いて測定したところ、上記の全波長域において、5%以下であった。
−紫外線遮断層形成用塗布液2の組成−
・ジュリマーET410 65質量部
〔アクリル樹脂、固形分:30質量%、日本純薬社製〕(バインダー)
・エポクロスWS−700 23質量部
〔オキサゾリン化合物、固形分:25質量%、日本触媒社製〕(架橋剤)
・ナロアクティーCL95の1質量%水溶液 3質量部
〔ナロアクティーCL95・・・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、固形分:100質量%、三洋化成工業社製〕(界面活性剤)
・MF−5630 Black 9質量部
〔カーボンブラック系着色剤、固形分:31.5質量%、大日精化工業社製〕(紫外線遮断剤)
〔実施例3〕
実施例1において、上記PETフィルムの保護層が形成された側とは反対側の面上に、下記の紫外線遮断層形成用塗布液3を、乾燥後の膜厚が約10μmとなるように、バーコート法により塗布し、120℃で10分間乾燥させることにより、紫外線遮断層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3のフィルムミラーを作製した。
なお、形成された紫外線遮断層の波長200nm〜380nmにおける透過率を、紫外可視近赤外分光光度計(UV−3100、島津製作所社製)を用いて測定したところ、上記の全波長域において、5%以下であった。
−紫外線遮断層形成用塗布液3の組成−
・ジュリマーET410 54質量部
〔アクリル樹脂、固形分:30質量%、日本純薬社製〕(バインダー)
・エポクロスWS−700 19.5質量部
〔オキサゾリン化合物、固形分:25質量%、日本触媒社製〕(架橋剤)
・ナロアクティーCL95の1質量%水溶液 3質量部
〔ナロアクティーCL95・・・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、固形分:100質量%、三洋化成工業社製〕(界面活性剤)
・TINUVIN 400−DW 23.5質量部
〔紫外線吸収剤、有効成分:10質量%、固形分:20質量%、BASFジャパン社製〕
(紫外線遮断剤)
〔実施例4〕
実施例1において、上記PETフィルムの保護層が形成された側とは反対側の面上に、高周波スパッタリング(Radio frequency sputtering:RF)法(ターゲット:酸化亜鉛(ZnO)、スパッタリングガス:Ar/O)を用いて、膜厚200nmの酸化亜鉛からなる紫外線遮断層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4のフィルムミラーを作製した。
なお、形成された紫外線遮断層の波長200nm〜380nmにおける透過率を、紫外可視近赤外分光光度計(UV−3100、島津製作所社製)を用いて測定したところ、上記の全波長域において、5%以下であった。
〔実施例5〕
実施例1において、上記PETフィルムの保護層が形成された側とは反対側の面上に、高周波スパッタリング(Radio frequency sputtering:RF)法(ターゲット:アルミニウム(Al)、スパッタリングガス:Ar)を用いて、膜厚200nmのアルミニウムからなる紫外線遮断層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、実施例5のフィルムミラーを作製した。
なお、形成された紫外線遮断層の波長200nm〜380nmにおける透過率を、紫外可視近赤外分光光度計(UV−3100、島津製作所社製)を用いて測定したところ、上記の全波長域において、5%以下であった。
〔実施例6〕
実施例6のフィルムミラーは、実施例1と同様にして、一方の面上に、めっき下塗りポリマー層、金属反射層、及び保護層を形成したPETフィルムと、下記の方法により、一方の面上に、紫外線遮断層を形成したPETフィルムと、を準備し、これら2種類のフィルムを、接着剤を用いて貼り合わせることにより作製した。
接着剤として、LIS―825(東洋インキ社製)41.8質量%、及びLCR−901(東洋インキ社製)3質量%を、酢酸エチル55.2質量%に溶解させることにより得られた接着剤溶液を用いた。
PETフィルム(A4300、両面易接着処理済、厚み:250μm、東洋紡社製)の一方の面上に、上記の紫外線遮断層形成用塗布液1を、乾燥後の膜厚が約10μmとなるように、バーコート法により塗布し、120℃で10分間乾燥させることにより、紫外線遮断層を形成した。
次に、PETフィルムの紫外線遮断層が形成された側とは反対側の面上に、接着剤を厚さ約10μmとなるように、バーコート法により塗布し、室温で2分間及び80℃で10分間乾燥させた後、この接着剤の面と、保護層等を形成したPETフィルムの保護層が形成された側とは反対側の面とが対向するように、ローラーで貼り合せた。
〔比較例1〕
実施例1において、樹脂基材であるPETフィルムの一方の面上に、紫外線遮断層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1のフィルムミラーを作製した。
[耐久性評価]
1.破断強度
実施例1〜実施例6のフィルムミラーを構成する、紫外線遮断層が形成された樹脂基材(以下、「紫外線遮断層形成基材」という。)を以下の方法により作製した。
実施例1〜実施例5のフィルムミラーを構成する紫外線遮断層形成基材は、PETフィルム(A4300、両面易接着処理済、厚み:250μm、東洋紡社製)の一方の面上に、それぞれ実施例1〜実施例5と同様の方法で、紫外線遮断層を形成することにより作製した。
実施例6のフィルムミラーを構成する紫外線遮断層形成基材は、PETフィルム(A4300、両面易接着処理済、厚み:250μm、東洋紡社製)の一方の面上に、実施例6と同様の方法で、紫外線遮断層を形成した後、このPETフィルムの紫外線遮断層が形成された側とは反対側の面上に、実施例6と同様の方法で、PETフィルム(A4300、両面易接着処理済、厚み:250μm、東洋紡社製)を貼り合わせることにより作製した。
上記の方法により作製した実施例1〜実施例6のフィルムミラーを構成する紫外線遮断層形成基材をそれぞれ2枚用意し、それぞれ幅30mm×長さ150mmに裁断した。そして、2枚のうち1枚を、キセノンランプ耐光性試験機(Ci5000、パワー:180W、Black Panel Temperature:83℃、ATLAS社製)内に、紫外線遮断層に紫外線が照射されるように、紫外線遮断層側を上にして配置し、温度55℃、湿度50%RHの条件下で1000時間放置(以下、「湿熱処理」という。)した。
そして、湿熱処理を施した紫外線遮断層形成基材、及び、湿熱処理を施していない紫外線遮断層形成基材(湿熱処理前の紫外線遮断層形成基材に相当)について、それぞれ長さ方向に、100mm/分の力で引っ張り、紫外線遮断層形成基材が破断するまでの伸びを測定した。
比較例1のフィルムミラーで用いた樹脂基材を2枚用意し、それぞれ幅30mm×長さ150mmに裁断した。そして、2枚のうち1枚を、キセノンランプ耐光性試験機内に配置し、温度55℃、湿度50%RHの条件下で1000時間放置(湿熱処理)した。
そして、湿熱処理を施した樹脂基材、及び、湿熱処理を施していない樹脂基材(湿熱処理前の樹脂基材に相当)について、それぞれ長さ方向に、100mm/分の力で引っ張り、樹脂基材が破断するまでの伸びを測定した。
得られた測定値から、破断強度保持率(%)(湿熱処理後の破断強度/湿熱処理前の破断強度×100)を算出し、以下の評価基準に従って、樹脂基材の破断強度からみた耐久性を評価した。結果を表1に示す。
なお、実用上許容できるものは、「A」及び「B」に分類されるものである。
(評価基準)
A:破断強度保持率が90%以上である。
B:破断強度保持率が80%を超えて90%未満である。
C:破断強度保持率が80%以下である。
2.密着性
試験は、JIS K5400のテープ試験方法に準じた方法にて行なった。
実施例1〜実施例6のフィルムミラーを幅100mm×長さ100mmに裁断して、測定用の試料を準備した。各試料を、キセノンランプ耐光性試験機(Ci5000、パワー:180W、Black Panel Temperature:83℃、ATLAS社製)内に、紫外線遮断層に紫外線が照射されるように、紫外線遮断層側を上にして配置し、温度55℃、湿度50%RHの条件下で1000時間放置(湿熱処理)した。
また、比較例1のフィルムミラーを幅100mm×長さ100mmに裁断して、測定用の試料を準備した。試料を、キセノンランプ耐光性試験機(Ci5000、パワー:180W、Black Panel Temperature:83℃、ATLAS社製)内に、樹脂基材側を上にして配置し、温度55℃、湿度50%RHの条件下で1000時間放置(湿熱処理)した。
湿熱処理後のフィルムミラーの保護層に対して、カッターを用いて、1mm間隔で縦横それぞれ11本ずつ素地面に達する切れ込みを入れた。そして、保護層の切れ込みを入れた面に、粘着テープ(CT24、ニチバン社製)を貼り付け、その上からケシゴムでこすり、粘着テープを完全に付着させた後、垂直方向に勢いよく引き剥がした。そして、樹脂基材を構成する樹脂のめっき下塗りポリマー層への付着状態を目視にて観察することにより、樹脂基材とめっき下塗りポリマー層との密着性からみた耐久性を評価した。結果を表1に示す。評価基準については、以下のとおりである。
なお、実用上許容できるものは、「A」に分類されるものである。
(評価基準)
A:樹脂基材を構成する樹脂のめっき下塗りポリマー層への付着が認められない。
B:樹脂基材を構成する樹脂のめっき下塗りポリマー層への付着が認められる。
表1に示すように、樹脂基材の金属反射層側とは反対側に、紫外線遮断剤を含む紫外線遮断層、また、金属や金属酸化物の膜からなる紫外線遮断層を設けることで、樹脂基材の金属反射層側とは反対側からの光入射に起因する樹脂基材の破断強度の低下を抑制できるとともに、樹脂基材と該樹脂基材と隣接する層(例えば、めっき下塗りポリマー層)との密着性を維持できることが明らかとなった。

Claims (6)

  1. 光入射側から、保護層と、金属反射層と、厚みが100μm以上の樹脂基材と、紫外線遮断層と、をこの順に有するフィルムミラー。
  2. 前記樹脂基材が多層構造である請求項1に記載のフィルムミラー。
  3. 前記多層構造を構成する複数の樹脂基材のうち、最も光入射側に位置する樹脂基材の厚みが100μm以上である請求項2に記載のフィルムミラー。
  4. 200nm〜380nmの波長領域における前記紫外線遮断層の光線透過率が5%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
  5. 太陽光集光用として用いられる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のフィルムミラーが、光透過性領域を有する支持部材に支持されてなる太陽光反射装置。
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