JP6033153B2 - フィルムミラー、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、太陽エネルギーは非常に有力な代替エネルギーであるものの、これを活用しようとする場合、太陽エネルギーのエネルギー密度が低い、エネルギーの貯蔵や移送が難しくそのため夜間等に利用しにくい、等の問題があるとされている。
しかしながら、これら反射鏡は太陽光による紫外線や熱線、潮風や酸性雨といった風雨および化学的衝撃、埃・粉塵・砂嵐といった物理的衝撃に晒されることとなり、従来ガラス製の反射鏡が用いられてきた。しかしながら、ガラス製ミラーは環境に対する耐久性は高いものの、重量があって破損しやすいという特徴のため、輸送時に破損したり、重いミラーを設置する架台を強大にする必要から建設費がかさんだり、太陽を追尾するために駆動させるのに大きなエネルギーが必要であったりする、といった問題があった。
プラスチック基材への主な金属膜形成法としては、蒸着やめっき処理が挙げられる。めっきにて密着性を上げるためには、プラスチックフィルム基材の表面に凹凸をつけ、金属とフィルム基材との間のアンカー効果により密着性を上げるという方法がとられてきた。しかしながら、アンカー効果により密着性を上げる方法では、金属膜厚が薄い場合にはプラスチックフィルム基材表面の凹凸が金属層表面に反映されることで、反射能が落ちてしまうという問題があった。
しかしながら、無電解めっきによる成膜は、無電解めっきで使用する処理液中において金属の自己析出反応が起こりやすく、処理液の寿命が著しく低くなるため、生産効率やコストの面で問題があった。また、無電解めっき処理にて表面凹凸が増加し、反射率が低くなるという問題も生じていた。
一方、これに対し、金属前駆体含有ポリマーを塗布後に金属として還元、もしくは金属前駆体と相互作用できるポリマーを塗布後に金属前駆体を吸着し金属として還元し、プラスチックフィルム基材上に金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層を形成することで導電性を持たせ、そこに電気めっきにより金属層を成膜する手法が開示されている(例えば、特許文献2、3参照。)。これらの手法では、無電解めっきを経ることなく直接電解めっきを施すことができるため、金属の自己析出の問題なく、密着性よくプラスチックフィルム基材上に金属膜を形成させることができる。
このため、経時した場合でも、高い反射率が維持され、且つ反射層中への下地層の金属の拡散が抑制されたフィルムミラーが望まれているのが現状である。
また、本発明のさらなる課題は、上記本発明のフィルムミラーの簡易な製造方法、及び該フィルムミラーを用いた、軽量であり、耐久性に優れた太陽熱発電装置用フィルムミラー、並びに太陽光発電装置用フィルムミラーを提供することである。
<1> 支持体と、還元された金属粒子である、銀粒子及び少なくとも1種の銀よりも卑な金属からなる金属粒子、並びにめっき下塗りポリマーを含むめっき下塗りポリマー層と、銀を含有する反射層と、樹脂保護層と、をこの順に有するフィルムミラーであって、前記銀よりも卑な金属が、Co、Zn、Al、Fe、Ni、Sn、Pb及びCuから選ばれた少なくとも1種であり、前記還元された金属粒子全量に対する前記銀よりも卑な金属からなる金属粒子の含有率が5質量%以上80質量%以下であり、前記めっき下塗りポリマーが、重合性基、並びにエーテル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及びボロン酸基から選ばれた少なくとも一種の官能基を側鎖に有するアクリルポリマーである、フィルムミラー。
<3> 銀よりも卑な金属が銅である<1>又は<2>に記載のフィルムミラー。
<4> アクリルポリマーが、カルボン酸基、スルホン酸、リン酸基及びボロン酸から選ばれた官能基を有するアクリルポリマーである<1>〜<3>のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
<6> めっき下塗りポリマー層を形成する工程が、支持体上に、重合性基、並びにエーテル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及びボロン酸基から選ばれた少なくとも一種の官能基を側鎖に有するアクリルポリマーを含むポリマー層を形成する工程、還元されて銀となる銀前駆体、並びに還元されて銀よりも卑な、Co、Zn、Al、Fe、Ni、Sn、Pb及びCuから選ばれた少なくとも1種の金属の前駆体を、該ポリマー層に付与する工程、及び、該銀前駆体及び該銀よりも卑な金属の前駆体を還元する工程を含む<5>に記載のフィルムミラーの製造方法。
<7> 太陽熱発電装置用または太陽光発電装置用である<1>〜<4>のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
即ち、支持体と密着性が良好なポリマーからなるめっき下塗りポリマー層に含まれる還元された銀粒子及び銀よりも卑な金属の粒子は、ポリマーと親和性が良好であり、且つ、これら金属粒子が、銀を含有する反射層に含まれる銀との間においても相互作用することで、支持体と銀含有反射層との高い密着性が維持される。
めっき下塗りポリマー層において、還元された銀粒子と、銀よりも卑な金属の粒子とはそれぞれがポリマー層中に均一に分散されて混在している。ここで、銀よりもイオン化され易い銀よりも卑な金属の粒子は、酸素の影響を受けて隣接する銀粒子や銀を含有する反射層内の銀よりも早く酸化されるために、酸素の銀に対する影響が低減され、銀を含有する反射層の酸化による反射性能の低下が抑制されるものと考えられる。
また、銀よりも卑な金属がイオン化した場合でも、めっき下塗りポリマー層表面に形成された銀を含有する反射層よりも近傍に存在するめっき下塗りポリマー層中の銀粒子へと選択的に拡散され、銀を含有する反射層への拡散は抑制される。隣接する銀粒子中に拡散した銀よりも卑な金属イオンはそこで酸化物となり、もはや拡散されない。このため、銀含有反射層に対する酸素の影響、銀よりも卑な金属の銀含有反射層への拡散のいずれもが低減され、銀を含有する反射層の高い反射性能が長期間維持されるものと考えられる。
このため、本発明のフィルムミラーは、銀の使用量を低減した場合でも、銀を含有する反射層に与える酸素や銀よりも卑な金属の影響がより低減され、長期間優れた反射性能が維持されるものと推定している。
また、本発明によれば、上記の本発明のフィルムミラーの簡易な製造方法を提供することができ、それを用いた太陽熱発電装置、太陽光発電装置を提供することができる。
本発明に係るフィルムミラーは、(A)支持体と、(B)還元された金属粒子である銀粒子及び少なくとも1種の銀よりも卑な金属からなる金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層(以下、適宜、「めっき下塗りポリマー層」と称する。)と、(C)銀を含有する反射層(以下、適宜、「銀含有反射層」と称する。)と、(D)樹脂保護層と、をこの順に有する。ここで、前記(C)銀含有反射層がフィルムミラーの反射面を構成する。
先ず、各層について各層を構成する成分と共に説明し、次いで製造方法について説明する。なお、各層の説明において、製造方法についても説明することがある。
本発明において、(A)支持体として用いるフィルム基材の材料としては、フレキシブル性や軽量化の観点で、ポリエステル、ポリイミド、熱硬化型ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリアラミド、液晶ポリマー等が挙げられ、これらの樹脂をフィルム状など任意の形状に成形して支持体として用いることができる。また、ガラスエポキシ基材、紙基材などを用いてもよい。
支持体は、上記例示した基材からなる単層構造であっても、複数種を積層してなる多層構造であってもよい。
樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BT樹脂、PPE樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、液晶樹脂、ポリエステル樹脂、PEN、アラミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルスルホン、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアセチレン等が好適であり、フィルム状に成形できる樹脂であればすべて使用することができる。
特に好適な支持体としては、ポリエステル樹脂のフィルム又はポリイミド樹脂のフィルムが挙げられる。
支持体の厚みとしては、10μm〜5mm程度が好ましい。厚みがこの範囲において、生産時のハンドリングが良好であり、容易に任意の形状に成形が可能である。支持体の厚みは、より好ましくは、20μm〜1mmであり、更に好ましくは25μm〜500μmである。
表面処理としては、UV照射、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理、火炎処理などの表面を分解活性化させる処理、ヒドラジン、N−メチルピロリドン、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液のようなアルカリ性溶液での処理、硫酸、塩酸、硝酸のような酸性溶液での処理などが挙げられる。
また、支持体表面の汚れを落として清浄にする処理としては、メタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル、アセトン等の有機溶剤による処理、付着したゴミを落とすための水洗等が挙げられる。
これらの表面処理は複数種を組み合わせて行ってもよい。
また、めっき下塗りポリマー層の形成を容易にしたり、形成されためっき下塗りポリマー層との密着性をより向上したり、といった目的で、支持体とめっき下塗りポリマー層との間に、別の下塗り層をさらに設けてもよい。
支持体は、樹脂などの基材に加え、目的に応じて種々の添加剤を含有してもよい。
添加剤としては、樹脂フィルムを用いた場合に耐久性をより向上させるための紫外線吸収剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、樹脂の柔軟性をより向上させるための可塑剤などが挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤、及びホスファイト系酸化防止剤を使用することが好ましい。
特に、フェノール系酸化防止剤としては、分子量が550以上のものが好ましい。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
支持体に酸化防止剤を用いる場合の含有量としては、支持体の基材となる樹脂100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部の範囲であることが好ましい。
支持体に用いられる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、シアノアクリレート系、サリチル酸フェニル系等の紫外線吸収剤、酸化チタン等の無機粒子型紫外線吸収剤などが挙げられ、これらから選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
支持体に紫外線吸収剤を用いる場合の含有量としては、支持体の基材となる樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲であることが好ましい。
本発明における(B)めっき下塗りポリマー層は、還元された金属粒子としての銀粒子及び銀よりも卑な金属の粒子と、後述のめっき下塗りポリマーとを少なくとも有する。
本発明においては、銀などの金属の前駆体と後述のめっき下塗りポリマーとを含む組成物を用いて、支持体上に塗布等の方法により金属の前駆体を含むめっき下塗りポリマー層を形成し、あるいは、後述のめっき下塗りポリマーを含む組成物を用いて支持体上に層を形成し、その後、支持体上に設けた前記層に、金属の前駆体を含む組成物を浸漬等の方法によって接触させることにより金属の前駆体を含むポリマー層を形成し、然る後、金属の前駆体を含むめっき下塗りポリマー層が有する該金属の前駆体を還元して、本発明の(B)還元された金属の粒子を含むめっき下塗りポリマー層を形成することが好ましい。
まず、めっき下塗りポリマー層形成用組成物に用いるめっき下塗りポリマーについて説明する。
本発明におけるめっき下塗りポリマー層形成用組成物に用いるめっき下塗りポリマーは、重合性基、及び、金属前駆体と相互作用する官能基(以後、適宜「相互作用性基」と称する。)を少なくとも有する。相互作用性基は、以下に詳述するように、酸性基などのイオン性極性基と、シアノ基などの非解離性官能基を含む。
重合性基は、ポリマーの作製後に高分子反応により導入されてもよい。
めっき下塗りポリマーには、2種以上の重合性基を含んでいてもよく、2種以上の相互作用性基を含んでいてもよい。
めっき下塗りポリマーの主骨格としては、アクリルポリマー、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル等が好ましいが、アクリルポリマーであることがより好ましい。
アクリルポリマーとしては、相互作用性基として、イオン性極性基である酸性基を側鎖に含み、且つ、重合性基を側鎖に含む高分子化合物であることが好ましい。
アクリルポリマーに導入される酸性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等が挙げられるが、原料入手の点からカルボキシル基が好ましい。
また、重合性基としては、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、カルボン酸のビニルエステル基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アリルエステル基、スチリル基等の各種重合性基が好ましい。
これらの例は、特許2763775号公報、特開平3−172301号公報、特開2000−232264号公報等が挙げられる。
めっき下塗りポリマーが有する重合性基は、エネルギー付与により、ポリマー同士、または、ポリマーと下地層(支持体若しくは支持体上に設けられた下塗り層)との間で化学結合を形成しうる官能基であればよい。重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基などが挙げられる。カチオン重合性基としては、オキセタン環、オキシラン環(エポキシ環)、ビニルエーテル基を含む官能基が挙げられる。
なかでも、反応性の観点から、ラジカル重合性基が好ましい。
前記R2及びR3としては、それぞれ独立に、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基等が挙げられ、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことからより好ましい。
これらの基に導入しうる置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。
これらの基に導入しうる置換基としては、前記一般式(A−5)においてR1、R2及びR12に導入しうる置換基として挙げたものが同様に例示される。
前記Yが表す−N−R12−におけるR12としては、前記一般式(A−5)におけるR12において挙げたものと同様である。
また、前記R10、R11としては、それぞれ独立に、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基等が好ましく、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことからより好ましい。
ここで、導入しうる置換基としては、前記一般式(A−5)においてR1、R2及びR12に導入しうる置換基として挙げたものが同様に例示される。
前記Zとしては、酸素原子、硫黄原子、−NR13−、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13は、水素原子又は水素原子、又は1価の有機基を表し、1価の有機基としては、置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、R13としては、水素原子、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、含有量(meq/g)は、例えば、ヨウ素価滴定により測定することができる。
側鎖にカルボキシル基を含有する高分子化合物は、例えば、カルボキシル基を含有するラジカル重合性化合物1種以上と、必要に応じて共重合成分として他のラジカル重合性化合物1種以上とを通常のラジカル重合法によって製造することができ、ラジカル重合法としては、例えば、懸濁重合法、溶液重合法等が挙げられる。
めっき下塗りポリマーが有する相互作用性基は、金属前駆体と相互作用する官能基(例えば、配位性基、金属イオン吸着性基など)であり、金属前駆体と静電相互作用を形成可能な官能基、あるいは、金属前駆体と配位形成可能な含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などを使用することができる。
相互作用性基としては、非解離性官能基であっても、イオン性極性基であってもよく、これらが同時に含まれていてもよい。
非解離性官能基からなる相互作用性基としては、上記相互作用性基の中でも、極性が高く、めっき触媒等への吸着能が高いことから、エーテル基、又はシアノ基が特に好ましく、シアノ基が最も好ましいものとして挙げられる。
一般的に、高極性になるほど吸水率が高くなる傾向であるが、シアノ基はめっき下塗りポリマー層中にて互いに極性を打ち消しあうように相互作用しあうため、膜が緻密になり、且つ、めっき下塗りポリマー層全体としての極性が下がるため、高極性にもかかわらず吸水性が低くなる。また、めっき下塗りポリマー層の良溶剤にて触媒を吸着させることで、シアノ基が溶媒和されてシアノ基間の相互作用がなくなり、めっき触媒と相互作用できるようになる。以上のことから、シアノ基を有するめっき下塗りポリマー層は低吸湿でありながら、めっき触媒とはよく相互作用をする、相反する性能を発揮する点で、好ましい。
また、本発明における相互作用性基としては、既述の置換基のなかでも、シアノ基、又は、アルキルシアノ基であることが更に好ましい。これは、芳香族シアノ基は芳香環に電子を吸引されており、めっき触媒等への吸着性として重要な不対電子の供与性が低めになるが、アルキルシアノ基はこの芳香環が結合していないため、めっき触媒等への吸着性の点で好ましい。
また、イオン性極性基からなる相互作用性基としては、上記相互作用性基の中でも、めっき下塗りポリマーの基材との密着性の観点から、酸性基が好ましく、より具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ボロン酸基が挙げられ、中でも適度な酸性(他の官能基を分解しない)という点、及びめっき層との親和力向上などの諸性能を向上させるという点から、カルボン酸基が特に好ましい。
カルボン酸基を有するラジカル重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、インクロトン酸、マレイン酸、p−カルボキシルスチレン等が挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、p−カルボキシルスチレンが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
以下、本発明の使用されるめっき下塗りポリマーの好適な構成について詳細に説明する。
本発明におけるめっき下塗りポリマーとしては、既述のように重合性基と、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する相互作用性基とを有するが、相互作用性基は、非解離性官能基であっても、イオン性極性基であってもよく、これらの少なくともいずれかを有するポリマーである。
上記めっき下塗りポリマーの好適な態様として、下記式(A)で表される重合性基含有ユニットと下記式(B)で表される非解離性官能基からなる相互作用性基含有ユニットと下記式(C)で表されるイオン性極性基からなる相互作用性基含有ユニットとを含む共重合体、下記式(A)で表されるユニットと下記式(B)で表されるユニットとを含む共重合体、下記式(A)で表されるユニットと下記式(C)で表されるユニットとを含む共重合体、が挙げられる。
なお、本発明において有機基とは、炭素原子を含む置換基を指す。
式(B)で表されるユニットにおいて、Wはシアノ基又はエーテル基であることが好ましい。また、XおよびL2はいずれも単結合であることが好ましい。
また、式(C)で表されるユニットにおいて、Vはカルボン酸基であることが好ましく、また、Vがカルボン酸基であり、且つ、L3がVと連結する部分において4員〜8員の環構造を含む態様が好ましく、更に、Vがカルボン酸基であり、且つ、L3の鎖長が6原子〜18原子である態様も好ましい。
更に、式(C)で表されるユニットにおいて、Vがカルボン酸基であり、且つ、U及びL3が単結合であることも好ましい態様の1つである。なかでも、Vがカルボン酸基であり、且つ、U及びL3のいずれも単結合である態様が最も好ましい。
即ち、式(A)で表されるユニットと式(B)で表されるユニットと式(C)で表されるユニットとを含む共重合体の場合には、式(A)で表されるユニット:式(B)で表されるユニット:式(C)で表されるユニット=5mol%〜50mol%:5mol%〜40mol%:20mol%〜70mol%であることが好ましく、10mol%〜40mol%:10mol%〜35mol%:20mol%〜60mol%であることがより好ましい。
また、式(A)で表されるユニットと式(B)で表されるユニットとを含む共重合体の場合には、式(A)で表されるユニット:式(B)で表されるユニット=5mol%〜50mol%:50mol%〜95mol%が好ましく、10mol%〜40mol%:60mol%〜90mol%であるこがより好ましい。
さらに、式(A)で表されるユニットと式(C)で表されるユニットとを含む共重合体の場合は、式(A)で表されるユニット:式(C)で表されるユニット=5mol%〜50mol%:50mol%〜95mol%が好ましく、10mol%〜40mol%:60mol%〜90mol%であるこがより好ましい。
この範囲にて、UV露光に対するめっき下塗りポリマーの重合性の向上、金属前駆体還元後の還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマーの抵抗値の低下、また耐湿密着力の向上、を行うことができる。
他のラジカル重合性化合物としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、ハロゲンスチレン等のスチレン類、アルキル(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、N−置換マレイミド類、ビニルシアノ類等などから選ばれるラジカル重合性化合物などが挙げられる。
ビニルシアノ類としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、シアノプロペン、ジシアノエチレン、等が挙げられる。
なお、ここで記載の重量平均分子量とは、GPC(使用溶媒:N−メチルピロリドン)を用いてポリスチレン換算により測定される値であり、例えば、次の条件で測定することができる。
・カラム:ガードカラム TOSOH TSKguardcolum Super AW−H
分離カラム TOSOH TSKgel Super AWM−H(サイズ6.0mm×15cmを3本連結)
・溶離液:N−メチルピロリドン(LiBr10mM含有)
・流速:0.35mL/min
・検出方法:RI
・温度:カラム40℃、インレット40℃、RI40℃
・サンプル濃度:0.1wt%
・注入量:60μL
また、本発明におけるめっき下塗りポリマーの重合度としては、10量体以上のものを使用することが好ましく、更に好ましくは20量体以上のものである。また、1500量体以下が好ましく、1000量体以下がより好ましい。
めっき下塗りポリマー層形成用組成物はめっき下塗りポリマーを含有する。
めっき下塗りポリマー層形成用組成物中のめっき下塗りポリマーの含有量は特に制限されないが、組成物全量に対して、2質量%〜50質量%が好ましく、5質量%〜30質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、ポリマー層の層厚の制御がしやすい。
また、めっき下塗りポリマーの含有量を、この範囲とすることにより、塗布膜の面状がより良好となり、塗布液が高粘化することもなく、所望の塗布膜厚を得ることがさらに容易である。
本発明に係るめっき下塗りポリマー層形成用組成物は、前述のめっき下塗りポリマーの他に、このめっき下塗りポリマーを溶解しうる溶剤を含有することが好ましい。
めっき下塗りポリマー層形成用組成物に使用できる溶剤は特に限定されず、通常の塗布等で使用される溶剤などが挙げられる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、1−メトキシ−2−プロパノールの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンの如きアミド系溶剤、アセトニトリル、プロピロニトリルの如きニトリル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルの如きエステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートの如きカーボネート系溶剤、この他にも、エーテル系溶剤、グリコール系溶剤、アミン系溶剤、チオール系溶剤、ハロゲン系溶剤などが挙げられる。なお、これらの溶剤は単一で使用してもよいし、混合して使用してもよい。
めっき下塗りポリマー層形成用組成物中の溶剤の含有量は特に制限されないが、組成物全量に対して、50質量%以上95質量%以下が好ましく、70質量%以上90質量%以下がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、めっき下塗りポリマー層の膜厚の制御などがしやすい。
以下、本発明において用いるのに好適な有機溶剤の具体例を列挙する。
アミン系溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
チオール系溶媒としては、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノールなどが挙げられる。
ハロゲン系溶媒としては、3−ブロモベンジルアルコール、2−クロロエタノール、3−クロロ−1,2−プロパンジオールなどが挙げられる。
なお、本発明における引火点は、JIS−K2265に準拠するタグ密閉式によって得られた測定値を意味する。
本発明に係るめっき下塗りポリマー層形成用組成物に使用される水は、不純物を含まないことが好ましく、RO水や脱イオン水、蒸留水、精製水などが好ましく、脱イオン水や蒸留水がより好ましい。
本発明に係るめっき下塗りポリマー層形成用組成物に水と水溶性有機溶剤との混合液を使用する場合は、めっき下塗りポリマーの溶解性を高めるために添加剤を使用することができる。
例えば、溶質であるめっき下塗りポリマーがカルボン酸基などの酸性基を有する場合は、この酸性基をカルボン酸ナトリウムなどの塩とすることで、このめっき下塗りポリマーは、水と水溶性有機溶剤との混合液に溶解し易くなる。カルボン酸基をカルボン酸ナトリウムに変換するために使用する添加剤としては、塩基性の化合物が使用することができ、具体的には、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、アンモニア、1、8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)などが使用できる。特に好ましくは水溶性化の度合い、最適な塩基性度の観点から、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムが好ましい。
本発明に係るめっき下塗りポリマー層形成用組成物は、エネルギー付与に対する感度を高めるために、活性種を発生しうる材料を含有することが好ましい。活性種を発生しうる材料としては、各種のラジカル開始剤が好適である。
低分子の光重合開始剤としては、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドの如きホスフィンオキサイド類;ベンゾフェノン、(4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノンの如きベンゾフェノン類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きベンジルケタール類;ミヒラーのケトン;ベンゾイルベンゾエート;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの如きベンゾイン類;α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、トリクロロメチルトリアジンおよび−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、の如きチオキサントン等の公知の光重合開始剤を使用できる。また通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども光照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを用いてもよい。
また、これらの活性種を発生しうる材料を、支持体を形成する樹脂フィルムや支持体上の下塗り層に含有させてもよく、そのような場合には、めっき下塗りポリマー同士のみならず、めっき下塗りポリマーと支持体との相互作用がより良好に形成されることになり、銀を含む反射層と支持体の結合がより強固になる。なお、既述のように、支持体を形成する樹脂が、ポリマー骨格中に重合開始部位を有する樹脂である場合には、活性種を発生しうる材料の添加は必ずしも必要ではない。
また、支持体を構成する樹脂フィルム基材中に重合開始剤を含有させる場合の含有量は、固形分で0.05質量%〜30質量%程度であることが好ましく、0.1質量%〜10.0質量%程度であることがより好ましい。
本発明に係るめっき下塗りポリマー層形成用組成物には、エネルギー付与が露光で行われる場合、その露光に対する感度をより高める目的で、ラジカル発生剤に加え、増感剤を含有させることもできる。
増感剤は、活性エネルギー線により励起状態となり、ラジカル発生剤と相互作用(例えば、エネルギー移動、電子移動等)することにより、ラジカルの発生を促進することが可能である。
具体的には、例えば、公知の多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、インドカルボシアニン、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリドン類(例えば、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドン等)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン等が挙げられ、他に、特開平5−19475号、特開平7−271028号、特開2002−363206号、特開2002−363207号、特開2002−363208号、特開2002−363209号等の各公報に記載のクマリン化合物など)が挙げられる。またその他にも、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン誘導体等が含まれる。
本発明に係るめっき下塗りポリマー層形成用組成物は、界面活性剤を含有していてもよい。
本発明に用いられる界面活性剤は、前述の溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
また、本発明に係るめっき下塗りポリマー層形成用組成物には、必要に応じて可塑剤を添加することもできる。使用できる可塑剤としては、一般的な可塑剤が使用でき、フタル酸エステル類(ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジブチルエステル、ジ−2−エチルヘキシルエステル、ジノルマルオクチルエステル、ジイソノニルエステル、ジノニルエステル、ジイソデシルエステル、ブチルベンジルエステル)、アジピン酸エステル類(ジオクチルエステル、ジイソノニルエステル)、アゼラインサンジオクチル、セバシンサンエステル類(ジブチルエステル、ジオクチルエステル)リン酸トリクレシル、アセチルクエン酸トリブチル、エポキシ化大豆油、トリメリット酸トリオクチル、塩素化パラフィンやジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような高沸点溶媒も使用することができる。
本発明に係るめっき下塗りポリマー層形成用組成物には、必要に応じて、重合禁止剤を添加することもできる。使用できる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ジターシャリーブチルハイドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ハイドロキノンなどのハイドロキノン類、p−メトキシフェノール、フェノールなどのフェノール類、ベンゾキノン類、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニロキシ フリーラジカル)、4−ヒドロキシTEMPOなどのフリーラジカル類、フェノチアジン類、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン、そのアルミニウム塩などのニトロソアミン類、カテコール類を使用することができる。
また、後述のように、本発明に係るめっき下塗りポリマー層形成用組成物を用いて密着補助層上にめっき下塗りポリマー層を形成する場合、密着補助層の硬化を進めるために、めっき下塗りポリマー層形成用組成物に硬化剤及び/又は硬化促進剤を添加することができる。例えば、密着補助層にエポキシ化合物が含まれる場合の硬化剤及び/又は硬化促進剤として、重付加型では、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、酸無水物、フェノール、フェノールノボラック、ポリメルカプタン、活性水素を2個以上持つ化合物等、触媒型としては、脂肪族第三アミン、芳香族第三アミン、イミダゾール化合物、ルイス酸錯体などが挙げられる。
また、熱、光、湿気、圧力、酸、塩基などにより硬化開始するものとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリアミドアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキシスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒラジド、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、ポリアゼライン酸無水物、フェノールノボラック、キシリレンノボラック、ビスフェノールAノボラック、トリフェニルメタンノボラック、ビフェニルノボラック、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック、テルペンフェノールノボラック、ポリメルカプタン、ポリサルファイド、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール−トリ−2−エチルヘキシル酸塩、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2−メチルイミダゾリル−(1))−エチルS−トリアジン、BF3モノエチルアミン錯体、ルイス酸錯体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル、メラミン誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアミン塩、アミンイミド化合物、芳香族ジアゾニウム塩、ジアーリルヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレニウム塩、ケチミン化合物などが挙げられる。
なお、硬化剤及び/又は硬化促進剤は密着補助層に添加してもよく、その場合は、密着補助層に添加した量とめっき下塗りポリマー層形成用組成物中に添加した総和量で上記範囲を満たすことが好ましい。
本発明に係るめっき下塗りポリマー層形成用組成物には、更に、ゴム成分(例えば、CTBN)、難燃化剤(例えば、りん系難燃化剤)、希釈剤やチキソトロピー化剤、顔料、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤、水溶性物質(例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等のミネラル成分)、溶解性低分子物質(例えば、εカプロラクタム、ポリエチレングリコール等のポリアルキルグリコール)などを添加してもよい。また、支持体の項で例示したような酸化防止剤を添加してもよい。
以下、フィルムミラーの材料とそれを用いためっき下塗りポリマー層の作製方法を簡易に説明するが、フィルムミラーの製造方法については後で詳述する。
(めっき下塗りポリマー層形成用組成物の支持体への接触)
得られためっき下塗りポリマー層形成用組成物を、支持体を形成するフィルム基材に接触させる方法は特に限定されず、めっき下塗りポリマー層形成用組成物中にフィルム基材を浸漬する方法や、めっき下塗りポリマー層形成用組成物を支持体上に塗布する方法などが挙げられる。得られるめっき下塗りポリマー層の厚みを制御しやすい点から、組成物を支持体上に塗布する方法が好ましい。
塗布の方法は特に制限されず、具体的な方法としては、ダブルロールコータ、スリットコータ、エアナイフコータ、ワイヤーバーコータ、スライドホッパー、スプレーコーチィング、ブレードコータ、ドクターコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、トランスファーロールコータ、エクストロージョンコータ、カーテンコータ、ディップコーター、ダイコータ、グラビアロールによる塗工法、押し出し塗布法、ロール塗布法等の公知の方法を用いることができる。
また蒸着によりポリマー層を形成してもよく、更にインクジェットによりポリマー層を形成してもよい。インクジェットの場合、ポリマー層形成領域を制御することができ、露光におけるマスキングが不要になる。
なお、本工程においてめっき下塗りポリマー層を形成するに際しては、乾燥条件として、ポリマー層を20℃〜60℃で0〜2時間乾燥した後に60℃以上で0時間を超え2時間以下乾燥することが好ましく、20℃〜60℃で1秒間〜20分間乾燥した後に60℃以上で0時間を超え2時間以下乾燥することがより好ましい。
めっき下塗りポリマー層形成用組成物を支持体へ接触させた後、エネルギーを付与することで、エネルギー付与領域においてポリマーが有する重合性基同士、或いは、ポリマーが有する重合性基と支持体との間に相互作用が形成され、支持体上に固定化されためっき下塗りポリマー層が形成される。
本工程におけるエネルギー付与方法としては、例えば、露光等の輻射線照射を用いることができる。例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射が可能である。
露光で使用する光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、などがある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
またアーク放電やグロー放電などによるプラズマ照射もエネルギー付与の手法として用いることができる。
露光パワーは、重合を容易に進行させるため、また、ポリマーの分解を抑制するため、或いは、ポリマーが良好な相互作用を形成するため、といった観点から10mJ/cm2〜8000mJ/cm2の範囲であることが好ましく、100mJ/cm2〜3000mJ/cm2の範囲であることがより好ましい。
また、窒素、ヘリウム、二酸化炭素等の不活性ガスによる置換を行い、酸素濃度を600ppm以下、好ましくは400ppm以下に抑制した雰囲気中で照射してもよい。
本工程において、めっき形成領域が後述するフィルムミラーの反射層形成領域となるため、パターン状に露光を行うことで、露光領域のみに反射層が形成される。パターン状の露光としては、走査露光或いは、未露光にフォトマスクによるマスキングを施す手段などが挙げられる。
さらに、エネルギー付与後に、適宜、未反応のポリマーを除去する工程を行ってもよい。除去方法としては、溶媒を使用する方法が挙げられ、例えば、ポリマーを溶解する溶剤や、アルカリ可溶性のポリマーの場合はアルカリ系現像液(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液)などをめっき下塗りポリマー層が形成された支持体に接触させることで未反応のポリマーを除去することができる。
このようにして形成されためっき下塗りポリマー層の厚みは特に制限されないが、後に形成される反射層となる金属膜との密着性の点から、0.05μm〜10μmが好ましく、0.3μm〜5μmがより好ましい。
また、乾燥重量で0.05g/m2〜10g/m2が好ましく、特に0.3g/m2〜5g/m2が好ましい。
表面粗さの測定方法としては、原子間力顕微鏡(AFM)(セイコーインスツルメンツ製、SPA−400)にて測定した。
本発明のめっき下塗りポリマー層は、還元された金属粒子である銀粒子及び銀より卑な金属の粒子を含む。めっき下塗りポリマー層に含まれる還元された金属粒子は、支持体上に形成された、前述のめっき下塗りポリマー層に、前記金属の前駆体を付与し、該金属の前駆体を還元して、金属の前駆体を還元された金属粒子とすることによって得られる。金属の前駆体をめっき下塗りポリマー層に接触させることで、該金属の前駆体がめっき下塗りポリマーの相互作用性基に相互作用により付着する。
以下にめっき下塗りポリマー層に含まれる金属の前駆体について説明する。
本発明においては、めっき下塗りポリマー層は、金属の前駆体として、少なくとも銀前駆体と、銀よりも卑な金属の前駆体とを含む。金属の前駆体を還元反応により金属粒子に変化させることで、該金属粒子はその後に実施されるめっき工程において電極として機能する。ここで、銀粒子と銀よりも卑な金属の粒子とがそれぞれの前駆体を還元して得られることが重要であり、還元して得られる微細な2種の金属粒子がめっき下塗りポリマー層中に互いに近接して混在することで本発明の効果が得られるものと考えている。
本発明においては、金属の前駆体として、銀前駆体を用いる。
銀前駆体としては、銀イオンが用いられる。銀前駆体である銀イオンは、めっき下塗りポリマーを含む組成物(めっき下塗りポリマー層形成用組成物)に含まれており、支持体上に層を形成した後、還元反応によって0価の銀粒子となる。
銀前駆体としての銀金属イオンは、銀塩としてめっき下塗りポリマー層形成用組成物に含まれることが好ましい。
使用される銀塩としては、適切な溶剤に溶解して銀イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、AgNO3、AgCl2、AgSO4、AgPO4などが挙げられる。銀イオンは、以下に具体的に示すごとき銀塩が解離したものを好適に用いることができる。銀イオンは多座配位可能である点で、触媒能に優れる。
銀化合物の具体例としては、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、シアン化銀、チオシアン酸銀、塩化銀、臭化銀、クロム酸銀、クロラニル酸銀、サリチル酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、ジエチルジチオカルバミド酸銀、p−トルエンスルホン酸銀が挙げられる。この中でも、水溶性の観点から硝酸銀が好ましい。
本発明においては、前記めっき下塗りポリマー層中に少なくとも1種の銀よりも卑な金属の粒子を含有する。このため、少なくとも1種の銀よりも卑な金属の前駆体を用いる。
銀よりも卑な金属としては、具体的には、Co、Zn、Al、Fe、Ni、Sn、Pb、Cuなどの金属が挙げられ、これらより選択された1種以上の金属イオンが用いられる。 これら金属の前駆体である金属イオンは、金属塩としてめっき下塗りポリマー層形成用組成物に含まれることが好ましい。
使用される金属塩としては、適切な溶剤に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。例えば、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類、数、および触媒能の点で、Cuイオン、Pdイオンが好ましい。
銅(Cu)イオンを用いる場合、以下に示すような銅化合物が解離したものを好適に用いることができる。
銅化合物の具体例としては、硝酸銅、酢酸銅、硫酸銅、シアン化銅、チオシアン酸銅、塩化銅、臭化銅、クロム酸銅、クロラニル酸銅、サリチル酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミド酸銅、p−トルエンスルホン酸銅が挙げられる。この中でも、水溶性の観点から硫酸銅が好ましい。
パラジウム化合物の具体例としては、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、硫酸パラジウム、シアン化パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウムが挙げられる。このなかでも、水溶性の観点から硝酸パラジウムが好ましい。
なお、ここで粒子径とは、平均1次粒子径(体積換算)のことであり、測定の方法については、以下の金属粒子の項で述べる方法と同じ方法が適用される。
上記銀前駆体及び銀よりも卑な金属の前駆体は、分散液または溶液(以下、金属前駆体液と総称することがある)として、めっき下塗りポリマー層に付与されることが好ましい。
金属前駆体液(金属前駆体の溶液又は分散液)の調製に用いる溶媒又は分散媒としては、水や有機溶媒が用いられる。水や有機溶剤を含有することで、金属の前駆体のポリマー層に対する浸透性がより向上し、相互作用性基に効率よく金属の前駆体を吸着させることができる。
更に、分散液や溶液には、目的に応じて他の添加剤を含有することができる。他の添加剤としては、例えば、膨潤剤や、界面活性剤などが挙げられる。
同一の金属前駆体液に、銀前駆体と銀よりも卑な金属の前駆体を含有する場合には、銀よりも卑な金属の前駆体の含有量を上記好ましい範囲に調整すればよく、別々に含有させる場合、それぞれの金属前駆体液に含まれる含有量を調整して、上記好ましい含有比率の範囲となるようにすればよい。
調製された金属前駆体液をめっき下塗りポリマー層に付与する方法としては、支持体上に形成されためっき下塗りポリマー層に、上記のようにして調製された金属前駆体液(分散液または溶液)を前記層に浸漬、塗布等の方法により接触させればよい。
調製された金属前駆体液をめっき下塗りポリマー層に付与する方法としては、めっき下塗りポリマー層を備える支持体に、金属前駆体液を前浸漬、塗布等の方法により接触させる方法が挙げられる。接触により金属の前駆体がめっき下塗りポリマーにおける相互作用性基に付着し、金属の前駆体を含むめっき下塗りポリマー層が形成される。
このとき、銀前駆体を含む金属前駆体液と、銀よりも卑な金属の前駆体を含む金属前駆体液とを、別々に(順次)接触させてもよく、銀前駆体と銀よりも卑な金属の前駆体とを含む金属前駆体液を接触させてもよい。
なかでも、それぞれの金属前駆体の付与量を制御しやすいという観点から、銀前駆体を含む金属前駆体液と、銀よりも卑な金属の前駆体を含む金属前駆体液とを、別々に接触させる逐次接触方法が好ましい。逐次接触の場合、銀前駆体を含む金属前駆体液と、銀よりも卑な金属前駆体を含む金属前駆体液の接触順は任意である。
前記銀前駆体及び銀よりも卑な金属の前駆体を還元させることで、めっき下塗りポリマー層中に、還元された銀粒子及び還元された銀よりも卑な金属の粒子が生成する。
還元は、還元剤を含有する溶液を接触させることにより行われる。
ポリマー層に付与した金属前駆体である金属イオンを金属活性化液(還元液)により還元する。金属活性化液は、金属前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤と該還元剤を活性化するためのpH調整剤からなる。
金属活性化液全体に対する還元剤の濃度が0.05質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。
特に、ホルムアルデヒドを含有するアルカリ水溶液で還元することが好ましい。
pH調整剤としては、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを使用することが可能である。
また、還元時の温度としては10℃〜100℃が好ましく、20℃〜70℃が更に好ましい。
これら濃度や温度範囲は、還元の際の、金属前駆体の粒子径、ポリマー層の表面粗さ、導電性(表面抵抗値)、還元液の劣化の観点からこの範囲であることが好ましい。
なお、ここで粒子径とは、SEM(日立ハイテクマニファクチャ&サービス社製 S−5200)画像から読み取ったものである。
本発明においては、表面抵抗は、表面抵抗計(三菱化学製、ロレスターGP MCP−T600)にて測定した値を用いている。
なお、めっき下塗りポリマー層中における還元された銀粒子と銀よりも卑な金属の粒子の含有量は以下の方法にて確認することができる。
還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層付きの基板を濃硝酸溶液に浸漬して、めっき下塗りポリマー層に含まれる銀粒子および銅粒子を溶解後、溶液中の銀及び銅の含有率を、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)(島津製作所製、ICP−1000IV)を用いた元素分析により測定することで確認される。
本発明における銀を含有する反射層(以下、適宜、銀含有反射層と称する)は、銀を含有する金属膜で構成される反射層であり、最表面、即ち、後述する(D)樹脂保護層を設ける側の表面粗さRaが20nm以下である。反射層は単層の金属層であっても、異なる金属組成物を有する複数の金属層の積層構造を有していてもよいが、銀は反射性に優れるため、最表面層は銀を含有する金属層であることが好ましい。
本発明における銀含有反射層は、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層の上に、電気めっき法等により、銀含有金属膜を形成することで得られる。
電気めっき以外の方法としては、蒸着やスパッタリングなどの方法が挙げられる。
銀含有反射層が銀合金からなる膜である場合、銀の含有量としては、銀含有反射層における銀と他の金属との合計(100原子%)中、90〜99.8原子%が好ましい。また、他の金属の含有量は、耐久性の点から0.2〜10原子%が好ましい。
電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明においては、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層が、電極としての機能を有する場合、めっき下塗りポリマー層に対して電気めっきを行うことにより、銀含有反射層を形成できる。
電気めっき法などにより得られる銀含有反射層の膜厚は、めっき浴中に含まれる金属濃度、または、電流密度などを調整することで制御することができる。適切な厚みの下地金属層を入れることで、表面平滑化による反射率向上やピンホール低減が可能となる。
銀含有反射層の膜厚は、ピンホールなく反射膜を形成する観点、および銀含有反射層の表面に光を散乱させるような凹凸を作らないという観点から、0.05μm以上2.0μm以下であることが好ましく、0.08μm以上0.5μm以下がより好ましい。
銀との吸着基を有する変色防止剤としては、アミン類およびその誘導体、ピロール環を有する物、トリアゾール環を有する物、ピラゾール環を有する物、チアゾール環を有する物、イミダゾール環を有する物、インダゾール環を有する物、銅キレート化合物類、チオ尿素類、メルカプト基を有する物、ナフタレン系の少なくとも一種またはこれらの混合物から選ばれることが望ましい。
トリアゾール、4,5,6,7−テトラハイドロトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チアゾール環を有する物としては、チアゾール、チアゾリン、チアゾロン、チアゾリジン、チアゾリドン、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、P−ジメチルアミノベンザルロダニン、2−メルカプトベンゾチアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
銅キレート化合物類としては、アセチルアセトン銅、エチレンジアミン銅、フタロシアニン銅、エチレンジアミンテトラアセテート銅、ヒドロキシキノリン銅等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チオ尿素類としては、チオ尿素、グアニルチオ尿素等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ナフタレン系としては、チオナリド等が挙げられる。
本発明のフィルムミラーは、太陽光や紫外線による耐光性劣化防止の目的で、入射光側に(D)樹脂保護層を設ける。
樹脂保護層としては、公知の紫外線吸収剤を含有する樹脂からなるフィルムを用いてもよく、また、紫外線吸収剤を含有するUV硬化性樹脂や紫外線吸収剤を含有する熱硬化性樹脂を用いて形成してもよい。
樹脂フィルムの成型方法は任意であり、例えば、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶融押出製膜で製造されたフィルムであってもよい。
樹脂保護層における紫外線吸収剤の含有量は、樹脂保護層全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下、好ましくは1質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上10質量%以下である。紫外線吸収剤の含有量が上記好ましい範囲において、形成された樹脂保護層と隣接する層との密着性が良好となり、且つ、紫外線吸収剤による耐候性改良効果が十分に得られる。
接着層には、銀含有反射層と樹脂保護層とを密着する密着性、耐候性、及び高い反射性能を引き出すための平滑性、および反射光領域に光の吸収がないことが求められる。
接着層には樹脂が使用されるが、用いる樹脂としては、上記の密着性、耐候性、耐熱性、及び平滑性等の条件を満足するものであれば特に制限はなく、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂等の単独またはこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の混合樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合して熱硬化型とすることがより好ましい。
接着層には前述の紫外線吸収剤、柔軟性を維持するための可塑剤やフィルム自体の劣化を防ぐ酸化防止剤、ラジカル捕捉剤等を含んでもよい。
接着層の形成方法としては、接着剤組成物を、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法により銀含有反射層表面に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。
反射率は、分光光度計(島津製作所製、UV−3100PC)にて測定し、波長600nmにおける値を用いた。
次に、本発明のフィルムミラーの製造方法について、各工程を順次説明する。以下に記載の方法は本発明の一つの態様であって、本発明はこれに制限されるものではない。
本発明のフィルムミラーの製造方法は、支持体上に、還元された金属粒子として銀粒子及び銀よりも卑な金属の粒子を含むめっき下塗りポリマー層を形成する工程(「工程1」と称する。)、電気めっきにより、銀を含有する金属層を形成する工程(「工程2」と称する。)、及び樹脂保護層を形成する工程(「工程3」と称する。)を含むことを特徴とする。
支持体上に、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層を形成する工程は、銀前駆体及び銀よりも卑な金属の前駆体を含むポリマー層を形成する工程(「工程1−1」と称する。)と、前記銀前駆体及び銀よりも卑な金属の前駆体を還元する工程(「工程1−2」と称する。)とからなることが好ましい。
また、「工程1−1」は、めっき下塗りポリマーを含むポリマー層形成用組成物を塗布等の方法により、支持体上に層を設け、エネルギーを付与してポリマー層を形成する工程(「工程1−1−1」と、該ポリマー層に金属前駆体を付与する工程(「工程1−1−2」)とを含むことが好ましい。
なお、「めっき下塗りポリマーを含むポリマー層形成用組成物」は、金属前駆体を含有しないで、めっき下塗りポリマーと、溶剤等のその他の成分を含む組成物であることを意味する。本明細書において単に「ポリマー層」と称する場合には、金属前駆体を含まず、めっき下塗りポリマーとその他の成分を含んで支持体上に形成された層を意味する。
工程1−1−1では、重合性基と相互作用性基とを有するポリマーを含むポリマー層を有する基板に対して、エネルギーを付与することにより、めっき下塗りポリマー中に含まれる重合性基、および支持体表面の官能基が活性化され、ポリマー間の架橋や、支持体とポリマー層との間で化学的な結合などが形成される。その結果として、ポリマー層と支持体とが強固に密着する。
塗布の方法は特に制限されず、具体的な方法としては、ダブルロールコータ、スリットコータ、エアナイフコータ、ワイヤーバーコータ、スライドホッパー、スプレーコータ、ブレードコータ、ドクターコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、トランスファーロールコータ、エクストロージョンコータ、カーテンコータ、ディップコータ、ダイコータ、グラビアロールによる塗工法、押し出し塗布法、ロール塗布法等の公知の方法を用いることができる。
なお、工程1−1−1において、ポリマー層を形成するに際しては、塗布後の溶媒が残存した状態で露光しても、乾燥させて残存溶媒を除去してから露光してもよいが、ポリマー層の表面平滑性の観点から乾燥させてから露光するほうが好ましい。乾燥は行わなくてもよいが、乾燥を行う場合の乾燥条件としては、ポリマー層を20℃〜60℃で0時間を超え2時間以下乾燥した後に60℃以上で0時間を超え、2時間以下乾燥することが好ましく、20℃〜60℃で1秒間〜20分間乾燥した後に60℃以上で0時間を超え2時間以下乾燥することがより好ましい。
露光を行う場合の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、などがある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
またアーク放電やグロー放電などによるプラズマ照射もエネルギー付与の手法として用いることができる。
エネルギー付与に要する時間としては、光源により異なるが、通常、0.5秒〜5時間の間である。
また、これらのエネルギー付与方法を組み合わせてもよい。例えば、露光と加熱を組み合わせてもよい。
なお、エネルギーの付与を露光にて行う場合、その露光パワーは、重合を容易に進行させるため、またポリマーの分解を抑制するため、更には後述の未反応ポリマー除去後の表面をより平滑にするため、10mJ/cm2〜8000mJ/cm2の範囲であることが好ましく、100mJ/cm2〜3000mJ/cm2の範囲であることがより好ましい。
また加熱にてエネルギー付与を行う場合、その温度は、重合を容易に進行させるため、また支持体の熱変性を抑制するため、20℃〜200℃の範囲であることが好ましく、40℃〜120℃の範囲であることがより好ましい。
さらに、エネルギー付与後に、適宜、エネルギー付与後のポリマー層から未反応のめっき下塗りポリマーを除去してもよい。除去方法としては、溶媒を使用する方法が挙げられ、例えば、めっき下塗りポリマーを溶解する溶剤や、めっき下塗りポリマーがアルカリ可溶性である場合は、アルカリ系現像液(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液)などで除去することができる。
また、乾燥重量で0.05g/m2〜10g/m2が好ましく、特に0.3g/m2〜5g/m2が好ましい。
さらに、ポリマー層の表面粗さ(Ra)は、反射性能の点から、20nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましい。
なお、ポリマー層中におけるポリマーの含有量は、ポリマー層全量に対して、2質量%〜100質量%であることが好ましく、更に好ましくは10質量%〜100質量%の範囲である。
銀前駆体及び銀よりも卑な金属の前駆体を、工程1−1−1で得られたポリマー層に付与する方法は、特に制限されない。
本工程に用いられる銀前駆体及び銀よりも卑な金属の前駆体を含有する金属前駆体液の詳細は既述の通りであり、既述の金属前駆体液をポリマー層上に塗布する方法、または、金属前駆体液にポリマー層が形成された支持体を浸漬する方法などにより両者を接触させることでポリマー層中の相互作用性基に金属の前駆体が付与される。
ポリマー層と金属前駆体液(分散液、溶液)との接触時間としては、30秒〜24時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
接触時の金属前駆体含有液の温度は、5℃〜80℃程度であることが好ましく、15℃〜60℃程度であることがより好ましい。
このような吸着を充分に行なわせるという観点からは、金属前駆体含有液中の金属前駆体濃度または金属イオン濃度は、0.001〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.005〜30質量%の範囲であることがより好ましい。
本工程では、ポリマー層に付与した金属前駆体である金属イオンを金属活性化液(還元液)により還元する。金属活性化液は、金属前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤と該還元剤を活性化するためのpH調整剤からなる。
金属活性化液全体に対する還元剤の濃度が0.05質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。
特に、ホルムアルデヒドを含有するアルカリ水溶液で還元することが好ましい。
pH調整剤としては、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを使用することが可能である。
また、還元時の温度としては10℃〜100℃が好ましく、20℃〜70℃が更に好ましい。
これら濃度や温度範囲は、還元の際の、金属前駆体の粒子径、ポリマー層の表面粗さ、導電性(表面抵抗値)、還元液の劣化の観点からこの範囲であることが好ましい。
また反射性能の観点から、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層の表面のRaは20nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましい。また同じく反射性能の観点から、還元された金属粒子の粒子径としては、1nm以上200nm以下が好ましく、1nm以上100nm以下がより好ましく、1nm以上60nm以下であることが更に好ましい。
銀を含有する金属反射層は、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層の上に、電気めっき法で形成される。電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明においては、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層が、電極としての機能を有する場合、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層に対して電気めっきを行うことにより、銀含有反射層を形成できる。
めっきに用いる銀化合物としては、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、メタンスルホン酸銀、アンモニア銀、シアン化銀、チオシアン酸銀、塩化銀、臭化銀、クロム酸銀、クロラニル酸銀、サリチル酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、ジエチルジチオカルバミド酸銀、p−トルエンスルホン酸銀が挙げられる。中でも環境影響や平滑性の観点から、メタンスルホン酸銀が好ましい。
本工程により、表面が平滑で反射性能に優れた銀含有反射層が形成される。
本発明のフィルムミラーでは、(C)銀含有反射層表面に(D)樹脂保護層を有する。(D)樹脂保護層の形成方法には、特に制限はないが、銀含有反射層表面に保護フィルムを、接着層を介して貼り合せる方法が好ましい。
貼り合せの方法としては、前述の接着剤を保護フィルム又は銀含有反射層の表面に塗布して接着層を形成した後、両者を貼り合せる方法が一般的である。
また、樹脂保護層形成用の保護フィルムを熱ラミネートなどの方法で融着させる方法、樹脂保護層形成材料を溶融して銀含有反射層上にキャストにより形成する方法、樹脂保護層形成材料を銀含有反射層上に塗布した後、何らかの反応をさせて硬化させ、樹脂保護膜を形成する方法、真空蒸着などの気相法を用いて形成する方法などにより樹脂保護層を形成してもよい。これらの方法を用いた場合、接着層を介すことなく、銀含有反射層上に直接、保護層を形成することができる。
本発明のフィルムミラーは前記構成としたため、簡易な方法で作製され、銀含有反射層の光反射性能に優れ、且つ、光反射性能の経時による低下が抑制されるため、太陽熱発電装置用フィルムミラーまたは太陽光発電装置用フィルムミラーとして有用である。
本発明のフィルムミラーは単体でも、太陽光の集光に用いることができるが、好ましくは、樹脂等の基板上に貼り付けにより保持させたり、枠体に固定化したりして、太陽光反射板として用いることが好ましい。
本発明の太陽光反射板は、本発明のフィルムミラーを用いて作製されたものであり、具体的には、本発明の太陽光反射板は、樹脂、金属、又はセラミックのいずれかからなる基板に、本発明のフィルムミラーが粘着層を介して貼り合されたり、固定治具を介して、樹脂、金属、若しくはセラミックのいずれかからなる枠に取り付けられたりして用いられる。
フィルムミラーを、太陽光を集光させるに当たり、基体として、剛性を有する筐体に貼り合わせる場合の、剛性を有する筐体とは、SUS、Al、Al合金などの金属、塩ビ、ポリカーボネート、アクリルなどの樹脂、CRP、FRPなどの複合材料からなる筐体を言う。太陽光の集光に適した形状を有した筐体にフィルムミラーを、下記粘着層を介して貼り合わせることができる。
また、既述の(D)樹脂保護層の項にて詳述した接着層形成用の樹脂を粘着層に用いてもよい。
(めっき下塗りポリマー層形成工程)
アクリルポリマー1(下記構造、各繰り返し単位の数字は質量換算の組成比を表す。):7質量%、1−メトキシ−2プロパノール:74質量%、水:19質量%の溶液に、光重合開始剤(エサキュアKTO−46、ランベルディー社製):0.35質量%を添加し、攪拌することにより、めっき下塗りポリマー(アクリルポリマー1)の溶液を調製した。
得られためっき下塗りポリマーが塗布されたPETフィルムは、1質量%の炭酸水素ナトリウム水溶液に5分間浸漬後に純水で1分間掛け流しにより洗浄を行い、未反応のポリマーを除去した。
銀よりも卑な金属の前駆体を含む溶液〔金属前駆体液(1)〕として、硫酸銅の0〜1%水溶液を調整した。
上記工程で得られためっき下塗りポリマーが塗布されたPETフィルム基板を、調製した銀よりも卑な金属を含む金属前駆体液(1)に5分間25℃で浸漬後、純水で1分間掛け流しにより洗浄を行い、銅イオンの付与を行った。
次に、銀前駆体を含む溶液〔金属前駆体液(2)〕として、硝酸銀の0〜1質量%水溶液を調製した。上記工程で得られためっき下塗りポリマーが塗布されたPETフィルム基板であって、金属前駆体液(1)に浸漬された基板を、さらに、調製した金属前駆体液(2)に5分間25℃で浸漬後、純水で1分間掛け流しにより洗浄を行い、銀イオンの付与を行った。
金属前駆体液(1)及び金属前駆体液(2)は、下塗りポリマー層中の下記ICP−AESによる測定値が所望のAg/Cu比となるように、処理液濃度を調製して付与を行った。
還元液として、ホルムアルデヒド0.25質量%、水酸化ナトリウム0.14質量%の水溶液を調製した。上記工程で得られた金属前駆体が付与されたPETフィルム基板を、調製した還元液に1分間25℃で浸漬後、純水で1分間掛け流しにより洗浄を行い、銅前駆体及び銀前駆体の還元を行った。
前記金属前駆体の還元を行うことで、めっき下塗りポリマー層中に還元された銅粒子と還元された銀粒子が生成する。
得られた還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層を濃硫酸に浸漬して、めっき下塗りポリマー層に含まれる銀粒子および銅粒子を溶解後、溶液中の銀及び銅の含有率を、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)(島津製作所製、ICP−1000IV)を用いた元素分析により測定し、当該濃度により銀/銅の含有比率(表2においては「Ag/Cu比」と記載)を算出した。結果を下記表2に示した。
電気めっきの前処理として、上記工程で得られた還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層を表面に有するPETフィルム基板を、ダインクリーナーAC100(大和化成社製)の10質量%水溶液に30秒間25℃で浸漬後、数回洗浄した。続けて同じく電気めっき前処理として、ダインシルバーACC(大和化成社製)の10質量%水溶液に10秒浸漬後、数回洗浄した。
電気めっき液として、ダインシルバーブライトPL50(主成分 メタンスルホン酸銀、大和化成社製)を用い、8M水酸化カリウムによりpH9.0に調整した。上記還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層を表面に有するPETフィルム基板を、電気めっき液に浸漬し、0.5A/dm2、にて20秒間めっきした。
電気めっき後処理として、めっき後のPETフィルム基板を、ダインシルバーACC(主成分 メタンスルホン酸、大和化成社製)の10質量%水溶液に90秒間浸漬後、数回洗浄した。
接着剤として、LIS―825(東洋インキ社製)を44質量%、LCR−901(東洋インキ社製)を4.4質量%、を酢酸エチル52質量%に溶解させ、接着剤溶液を調製した。
得られた接着剤溶液を、上記工程で得られた銀めっき面に、乾燥後の膜厚が約10μmとなるように、バーコート法により塗布し、室温で2分および80℃で10分間乾燥した。
これに保護層としてUV吸収剤含有PMMAフィルム(住友化学社製、S001G)をラミネーターにより貼り合わせた(ラミネート速度0.1m/min、ラミネート圧力0.5MPa)。その後60℃で12時間後加熱することで、接着剤を硬化させた。
貼り合わせた後の銀面の600nmにおける反射率を測定したところ、約94%であった。
上記のようにして得られたフィルムミラーを用いて、下記の評価を行った。結果は他の実施例、比較例の結果とともに表2に示した。
<1.耐久性評価>
得られたフィルムミラーについて、キセノンランプ耐光性試験機(ATLAS社製、Ci5000、パワー:180W、Black Panel Temperature:83℃)内に配置して、500時間放置し、その際のフィルムミラーの450nmにおける反射率の低下を以下の式により評価した。
〔反射率の低下〕=(放置前の反射率(%)−放置後の反射率(%))
なお、反射率は、紫外可視近赤外分光光度計UV−3100(島津製作所社製)を用いて測定した。以下の基準に従って耐光性を評価した。評価AA、A及びBが実用上問題のないレベルである。
AA:反射率の低下が10%未満
A:反射率の低下が10%以上15%未満
B:反射率の低下が15%以上20%未満
C:反射率の低下が20%以上
フィルムミラーを、JIS H8504テープ試験方法に準じて、カッターで2mm角のマス目状の切れ目を入れ、100個のマス目を形成した後、テープによる引き剥がし試験を行い、以下の基準で評価した。評価AA及びAが実用上問題のないレベルである。
AA:剥離なし
A:剥離があり、マス目の25%未満が剥離
B:マス目の25%以上が剥離
得られたフィルムミラーについて、恒温恒湿槽(エスペック社製、PR−3ST)にて、フィルムミラーを温度65℃、湿度80%RHの環境下で2000時間放置し、その際の銀含有反射層への拡散による450nmにおける反射率の低下を下記式により測定して、以下の基準で評価した。
反射率の低下=(放置前の反射率(%)−放置後の反射率(%))
なお、反射率は、紫外可視近赤外分光光度計UV−3100(島津製作所社製)を用いて測定した。上記条件の放置試験による反射率の低下は、銀含有反射層への銅イオンの拡散に起因する。評価AA及びAが実用上問題のないレベルである。
AA:反射率の低下が10%未満
A:反射率の低下が10%以上15%未満
B:反射率の低下が15%以上
実施例1における硫酸銅溶液の濃度及び硝酸銀の濃度を、それぞれ下記表2に記載の濃度に変えた溶液を用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルムミラーを得た。
得られた各フィルムミラーは実施例1と同様に評価した。
実施例1において、硫酸銅水溶液を付与せず、硝酸銀水溶液のみを付与した以外は実施例1と同様にしてフィルムミラーを得た。得られたフィルムミラーは実施例1と同様に評価した。
〔比較例1〕
実施例1において、硫酸銅水溶液のみを付与し、硝酸銀水溶液を付与しなかった以外は実施例1と同様にしてフィルムミラーを得た。得られたフィルムミラーは実施例1と同様に評価した。
以上の結果より、本発明のフィルムミラーは、反射性能の耐久性、支持体と銀含有反射層との密着性のいずれにも優れ、銀含有反射層への銀よりも卑な金属の拡散が抑制されることが明らかとなった。
Claims (7)
- 支持体と、還元された金属粒子である、銀粒子及び少なくとも1種の銀よりも卑な金属からなる金属粒子、並びにめっき下塗りポリマーを含むめっき下塗りポリマー層と、銀を含有する反射層と、樹脂保護層と、をこの順に有するフィルムミラーであって、
前記銀よりも卑な金属が、Co、Zn、Al、Fe、Ni、Sn、Pb及びCuから選ばれた少なくとも1種であり、前記還元された金属粒子全量に対する前記銀よりも卑な金属からなる金属粒子の含有率が5質量%以上80質量%以下であり、
前記めっき下塗りポリマーが、重合性基、並びにエーテル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及びボロン酸基から選ばれた少なくとも一種の官能基を側鎖に有するアクリルポリマーである、
フィルムミラー。 - 前記還元された金属粒子全量に対する前記銀よりも卑な金属からなる金属粒子の含有率が、5質量%以上50質量%以下である請求項1に記載のフィルムミラー。
- 前記銀よりも卑な金属が銅である請求項1又は請求項2に記載のフィルムミラー。
- 前記アクリルポリマーが、カルボン酸基、スルホン酸、リン酸基及びボロン酸から選ばれた官能基を側鎖に有するアクリルポリマーである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
- 支持体上に、還元された金属粒子である、銀粒子及び少なくとも1種の銀よりも卑な金属からなる金属粒子、並びにめっき下塗りポリマーを含むめっき下塗りポリマー層を形成する工程、
電気めっきにより、銀を含有する反射層を形成する工程、及び
樹脂保護層を形成する工程を含み、
前記銀よりも卑な金属が、Co、Zn、Al、Fe、Ni、Sn、Pb及びCuから選ばれた少なくとも1種であり、前記還元された金属粒子全量に対する前記銀よりも卑な金属からなる金属粒子の含有率が5質量%以上80質量%以下であり、
前記めっき下塗りポリマーが、重合性基、並びにエーテル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及びボロン酸基から選ばれた少なくとも一種の官能基を側鎖に有するアクリルポリマーである、
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のフィルムミラーの製造方法。 - 前記めっき下塗りポリマー層を形成する工程が、
支持体上に、重合性基、並びにエーテル基、シアノ基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及びボロン酸基から選ばれた少なくとも一種の官能基を側鎖に有するアクリルポリマーを含むポリマー層を形成する工程、
還元されて銀となる銀前駆体、並びに還元されて銀よりも卑な、Co、Zn、Al、Fe、Ni、Sn、Pb及びCuから選ばれた少なくとも1種の金属の前駆体を、該ポリマー層に付与する工程、及び、
該銀前駆体及び該銀よりも卑な金属の前駆体を還元する工程、を含む請求項5に記載のフィルムミラーの製造方法。 - 太陽熱発電装置用または太陽光発電装置用である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
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