JP5794232B2 - 太陽熱発電用フィルムミラー、その製造方法及び太陽熱発電用反射装置 - Google Patents

太陽熱発電用フィルムミラー、その製造方法及び太陽熱発電用反射装置 Download PDF

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Description

本発明は、太陽熱発電用フィルムミラーとその製造方法及びそれを用いた太陽熱発電用反射装置に関する。
近年、石油、天然ガス等の化石燃料エネルギーに代わるエネルギーとしては現在、石炭エネルギー、バイオマスエネルギー、核エネルギー、風力エネルギー、太陽エネルギー等の自然エネルギーの検討がなされているが、化石燃料の代替エネルギーとして最も安定しており、且つ量の多い自然エネルギーは、太陽エネルギーであると考えられている。しかしながら、太陽エネルギーは非常に有力な代替エネルギーであるものの、これを活用する観点からは、(1)太陽エネルギーのエネルギー密度が低いこと、(2)太陽エネルギーの貯蔵及び移送が困難であること等が問題となると考えられる。
太陽エネルギーの上記課題に対し、太陽エネルギーのエネルギー密度が低いという問題は、巨大な反射装置で太陽エネルギーを集めることによって解決する方法が提案されている。反射装置は、太陽光による紫外線や熱、風雨、砂嵐等に晒されるため、従来、ガラス製ミラーが用いられてきた。ガラス製ミラーは、環境に対する耐久性が高い反面、輸送時に破損すること、あるいは重いため、ミラーを設置する架台の強度を持たせる必要があり、その結果、プラントの建設費がかさむといった問題があった。
上記問題を解決するため、ガラス製ミラーを樹脂製反射シートに置き換える方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、使用している樹脂が外部環境に対して弱く、また反射層に銀等の金属を用いると、樹脂層を介して酸素や水蒸気、硫化水素等が透過し、銀を腐食するといった問題もあり、樹脂製ミラーの適用は困難であった。
一方、太陽光を集光する目的において、高い反射率を得るという観点から、銀反射層よりも入射光側に位置している樹脂層に、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤(以下、UV吸収剤ともいう)を多量に添加することで、樹脂のUV光による光劣化で生じる変色による樹脂層の光透過率低下の抑制を行う方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、特開昭61−154942号公報においては、銀反射層の上層に、銀の腐食防止剤を含む層を積層して、銀腐食による反射率低下の抑制を行い、さらに腐食防止剤層の上層にベンゾトリアゾール系のUV吸収層を設けることで、樹脂層の光透過率低下の抑制を行う方法が開示されている。
しかしながら、上記特許文献2等に記載されている方法では、耐候性としては決して十分ではなく、太陽光の照射に伴い、フィルムミラーの支持体樹脂が劣化を起こし、層間の剥離や歪みが生じることが判明した。この層間の剥離や歪みは、フィルムミラーの正反射率の低下、しいては発電効率の低下につながる問題であり、早急な改良が求められていた。
特開2005−59382号公報 米国特許出願公開第7,507,776B2明細書
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、反射層である支持体樹脂の劣化による正反射率の低下を防止すると共に、軽量で柔軟性があり、耐光性及び耐候性に優れ、太陽光に対して良好な正反射率を有する太陽熱発電用フィルムミラーとその製造方法及びそれを用いた太陽熱発電用反射装置を提供することにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.銀層からなる金属反射層の入射光側の1層以上の樹脂層が、トリアジン系UV吸収剤及びUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤をそれぞれ樹脂の1質量%以上含有し、かつ樹脂層内のUV吸収剤総量が樹脂の15質量%以下であり、
前記UV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤がベンゾトリアゾール系UV吸収剤であり、
前記トリアジン系UV吸収剤及びベンゾトリアゾール系UV吸収剤を同一の樹脂層中に含有する層が少なくとも1層以上存在し、
前記トリアジン系UV吸収剤及びベンゾトリアゾール系UV吸収剤を同一の樹脂層に含有する樹脂層が、脂肪族ジイソシアネート系架橋剤を樹脂の5〜40質量%含有し、かつ酸化防止剤を樹脂の0.5〜10質量%含有することを特徴とする太陽熱発電用フィルムミラー。
.前記トリアジン系UV吸収剤及びベンゾトリアゾール系UV吸収剤を同一の樹脂層に含有する樹脂層が、アミノ基を有するシランカップリング剤を樹脂の0.1〜10質量%含有し、かつ前記樹脂層が銀層からなる金属反射層と接していることを特徴とする前記に記載の太陽熱発電用フィルムミラー。
銀層からなる金属反射層の入射光側の1層以上の樹脂層が、トリアジン系UV吸収剤及びUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤をそれぞれ樹脂の1質量%以上含有し、かつ樹脂層内のUV吸収剤総量が樹脂の15質量%以下であり、
前記トリアジン系UV吸収剤及びUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤が異なる樹脂層中に含有され、かつ前記トリアジン系UV吸収剤を含有する樹脂層が少なくとも1層のUV−A領域に吸収極大を持つUV吸収剤を含有する樹脂層よりも入射光側に存在し、かつ樹脂層内のUV吸収剤総量が樹脂の1〜15質量%であることを特徴とする太陽熱発電用フィルムミラー。
.前記UV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤がベンゾトリアゾール系UV吸収剤であることを特徴とする前記に記載の太陽熱発電用フィルムミラー。
.前記トリアジン系UV吸収剤またはベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含有する樹脂層が、脂肪族ジイソシアネート系架橋剤を樹脂の5〜40質量%含有し、かつ酸化防止剤を樹脂の0.5〜10質量%含有することを特徴とする前記に記載の太陽熱発電用フィルムミラー。
.前記トリアジン系UV吸収剤またはベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含有する樹脂層が、アミノ基を有するシランカップリング剤を樹脂の0.1〜10質量%含有し、かつ前記樹脂層が銀層からなる金属反射層と接していることを特徴とする前記又はに記載の太陽熱発電用フィルムミラー。
.前記1〜のいずれか一項に記載の太陽熱発電用フィルムミラーを製造する太陽熱発電用フィルムミラーの製造方法であって、前記金属反射層を銀の蒸着により形成することを特徴とする太陽熱発電用フィルムミラーの製造方法。
.前記1〜のいずれか一項に記載の太陽熱発電用フィルムミラーを金属支持体上に粘着層を介して貼り合せてなることを特徴とする太陽熱発電用反射装置。
本発明により、非常に過酷な環境下で太陽熱発電用フィルムミラーとして用いられた場合であっても、銀層の反入射光側の支持体樹脂は劣化することはなく、高い正反射率を長期間にわたり維持することが可能な太陽熱発電用フィルムミラーが得られる。これは、トリアジン系UV吸収剤及びUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤を併用したUV吸収層(UV吸収剤を含有する樹脂層)を設けることで得られた効果であると考えられる。
本発明の太陽熱発電用フィルムミラーの構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の太陽熱発電用フィルムミラーの構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の太陽熱発電用フィルムミラーの構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の太陽熱発電用フィルムミラーの構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の太陽熱発電用フィルムミラーの構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の太陽熱発電用フィルムミラーの構成の一例を示す概略断面図である。
本発明者は上記課題に関し鋭意検討を行った結果、太陽熱発電用フィルムミラーを構成する支持体樹脂の劣化は、支持体樹脂層に含まれる樹脂の低分子量成分、残留重合開始剤また残留モノマーの紫外線による分解が起因であることが判明した。さらには、上記各成分を分解させる光線としては、UV−A領域(320〜400nm)からUV−B領域(290〜320nm)にわたる紫外光であり、とりわけUV−B領域(290〜320nm)の光線であることが分かった。
このような課題は、特に、反射層として銀を用いた場合に顕在化する。銀は、可視光における反射率はアルミニウム等の金属に対して優れているものの、波長320nm以下の光を反射できず、UV−B領域の光を透過する性質がある。従って、従来は紫外線による劣化を考慮する際には、反射層の光入射側の層の劣化を考慮すればよかったが、銀反射層を用いた場合は、それでは十分ではなく、銀反射層を透過したUV−B領域の光線による反射層の反対側の層の劣化抑制も必要になることが分かった。そして、UV−B領域の光線をカットするには、1種類の有機UV吸収剤の使用では不十分であることが判明した。例えば、UV吸収剤にベンゾトリアゾール系化合物を用いてUV−A領域(320〜400nm)の光線に対して吸収性を持たせた場合、UV−B領域(290〜320nm)の光線は銀層を透過してしまい、支持体樹脂の劣化が進行した。また、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤はUV−B領域の光線で劣化しやすく、経時的にUV−A領域の光線カット能が低下していくことが分かった。そこで、UV−B領域(290〜320nm)の光線に対して高い吸収性を有し、UV−B領域の光線が当たっても劣化しにくいトリアジン系化合物をUV吸収剤として用いる試みを行った。しかしながら、UV−A領域からUV−B領域の光線をカットするのに十分な量のトリアジン系化合物を添加したところ、トリアジン系化合物に由来する黄着色がUV吸収層に強く出て、可視光領域の反射率が低下した。
そこで、さらなる検討を行った結果、ベンゾトリアゾール系化合物等のUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤とトリアジン系UV吸収剤を併用した場合に、UV−B領域の紫外線に対して、十分な吸収性を持たせることが可能であるとともに、UV吸収層の黄着色も同時に抑えられることが分かった。その結果、支持体樹脂の劣化は抑制され、結果として正反射率の低下を抑えることができるということを見出した。また、トリアジン系UV吸収剤によるUV−B領域の紫外線のカットにより、ベンゾトリアゾール系化合物等のUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤の寿命は相乗的に長くなり、長期間にわたりUV−A領域からUV−B領域の光線をカットすることが可能であることが分かった。さらに、UV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤としてベンゾトリアゾール系のUV吸収剤を用い、銀層とベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含む層が接する場合、ベンゾトリアゾール系のUV吸収剤が硫化に対する防食剤として機能するということも分かった。
以下本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者は鋭意検討の結果、銀層の入射光側の1層以上の樹脂層が、トリアジン系UV吸収剤及びUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤をそれぞれ樹脂の1質量%以上含有し、かつ樹脂層内のUV吸収剤総量が樹脂の15質量%以下としたフィルムミラー、または銀層からなる金属反射層の入射光側の樹脂層において、トリアジン系UV吸収剤及びUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤が異なる樹脂層中に含まれており、かつトリアジン系UV吸収剤を含有する樹脂層が少なくとも1層のUV−A領域に吸収極大を持つUV吸収剤を含有する樹脂層よりも入射光側に存在する構造であるフィルムミラーは、樹脂基材のUV劣化によるゆがみに起因するフィルムミラーの正反射率の低下という課題が解決されることが判明した。
これは、銀に混合させた金属または銀層よりも入射光側に積層したUV吸収層が、可視光領域の反射率を低下させることなく、UV−B領域(290〜320nm)の紫外線を吸収し、支持体層樹脂の低分子量成分、残留重合開始剤また残留モノマーの分解を抑制したことに起因するものと考えられる。
銀層(銀膜)は、この領域における反射率が高くないので、トリアジン系UV吸収剤によりUV−B領域(290〜320nm)の紫外線を吸収させることで、樹脂基材の低分子量成分、残留重合開始剤また残留モノマーの分解を抑制することができる。ここで、UV−B領域(290〜320nm)の紫外線よりは穏やかであるが、樹脂の劣化を進行させるUV−A領域(320〜400nm)の紫外線を、同波長領域に吸収極大を持つUV吸収剤で吸収させることができる。トリアジン系UV吸収剤単独でUV−A領域(320〜400nm)からUV−B領域(290〜320nm)の紫外線を吸収させようとすると、トリアジン系UV吸収剤添加量が増えることにより、トリアジン系UV吸収剤に特有な黄色着色が起きる。このような黄色着色は可視光領域の反射率の低下につながる。
一方、前述のようにトリアジン系UV吸収剤とUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を有するUV吸収剤とを併用することで、着色を抑えながらUV−A領域(320〜400nm)からUV−B領域(290〜320nm)の紫外線を吸収させることができるようになる。さらに、紫外線による劣化を起こしにくいトリアジン系UV吸収剤が紫外線を吸収することで、より劣化しやすいUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を有するUV吸収剤の寿命を延ばすことになるため、相乗的にUV吸収能の高いUV吸収層となる。さらに、UV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を有するUV吸収剤の内、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤は銀の腐食防止能を有しており、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含む層が銀層と接する場合、銀層の硫化や酸化による腐食を抑制することができる。
また、UV吸収剤を含む樹脂層にジイソシアネート系の架橋剤が含まれていると、樹脂層の強度及び樹脂層同士の密着性が向上する。このUV吸収剤を含む樹脂層に酸化防止剤を添加すると、光照射により発生するペルオキシラジカルに由来する樹脂鎖の酸化的開裂やUV吸収剤の分解を抑制することができる。
また、UV吸収剤を含む樹脂層が銀層と接する場合、樹脂層中にアミノ基を有するシランカップリング剤を添加すると銀層と樹脂層の膜密着性を大幅に向上させることができる。
以下、本発明の太陽熱発電用フィルムミラーの各構成要素の詳細について説明する。
太陽熱発電用フィルムミラー10は、図1A〜図1Fに示すように、例えば、樹脂基材1、銀反射層2、腐食防止層3、UV吸収層4、UV吸収層5、UV吸収層6、UV吸収層7、ハードコート層8などを備えて構成されている。
(ハードコート層)
本発明の太陽熱発電用フィルムミラーにおいては、最外層として、ハードコート層を設けることができる。本発明に係るハードコート層は、傷防止のために設けられる。
本発明に係るハードコート層は、バインダーとして、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂等で構成することができる。特に、硬度と耐久性等の点で、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。さらに、硬化性、可撓性及び生産性の点で、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂を適用することが好ましい。
活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂または熱硬化型のアクリル系樹脂とは、重合硬化成分として多官能アクリレート、アクリルオリゴマーあるいは反応性希釈剤を含む組成物である。その他に必要に応じて光開始剤、光増感剤、熱重合開始剤あるいは改質剤等を含有しているものを用いてもよい。
アクリルオリゴマーとは、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート等であり、また、メラミンやイソシアヌール酸等の剛直な骨格にアクリル基を結合したもの等も用いられ得る。
また、反応性希釈剤とは、塗工剤の媒体として塗工工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能性あるいは多官能性のアクリルオリゴマーと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。
市販されている多官能アクリル系硬化塗料としては、例えば、三菱レイヨン株式会社製の「ダイヤビームシリーズ」、長瀬産業株式会社製の「デナコールシリーズ」、新中村株式会社製の「NKエステルシリーズ」、大日本インキ化学工業株式会社製の「UNIDICシリーズ」、東亜合成化学工業株式会社製の「アロニックスシリーズ」、日本油脂株式会社製の「ブレンマーシリーズ」、日本化薬株式会社製の「KAYARADシリーズ」、共栄社化学株式会社製の「ライトエステルシリーズ」、「ライトアクリレートシリーズ」等を挙げることができる。
本発明に係るハードコート層中には、本発明の効果が損なわれない範囲で、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、光安定剤、UV吸収剤等の安定剤、界面活性剤、レベリング剤及び帯電防止剤等を用いることができる。
レベリング剤は、特に、ハードコート層を塗工する際、表面凹凸低減に効果的である。レベリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤として、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(例えば、東レダウコーニング(株)製SH190)が好適である。
(UV吸収層)
本発明に係るUV吸収層は、樹脂中にUV吸収剤を分散した構成のものである。
本発明のフィルムミラーにおいては、トリアジン系UV吸収剤及びUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤が同一のUV吸収層に存在し、それぞれ樹脂の1質量%以上含み、かつ樹脂層内のUV吸収剤総量が樹脂の15質量%以下である構成、及び、トリアジン系UV吸収剤及びUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤が異なる樹脂層中に含まれており、かつトリアジン系UV吸収剤を含有する樹脂層が少なくとも1層のUV−A領域に吸収極大を持つUV吸収剤を含有する樹脂層よりも入射光側に存在する構成のものである。
またUV吸収層には、ジイソシアネート系の架橋剤が含まれていると、樹脂層の強度及び樹脂層同士の密着性が向上する効果が出る。このUV吸収剤を含む樹脂層に酸化防止剤を添加すると、光照射により発生するペルオキシラジカルに由来する樹脂鎖の酸化的開裂やUV吸収剤の分解を抑制することができる。さらに、UV吸収剤を含む樹脂層が銀層と接する場合、樹脂層中にアミノ基を有するシランカップリング剤を添加すると銀層と樹脂層の膜密着性を大幅に向上させることができる。
(トリアジン系UV吸収剤)
トリアジン系UV吸収剤は下記一般式(I)で表わされる。
一般式(I) Q−Q−OH
式中、Qは1,3,5−トリアジン環を表し、Qは芳香族環を表す。
一般式(I)としてさらに好ましくは下記一般式(I−A)で表される化合物である。
Figure 0005794232
式中、Rは炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;フェニル基、ヒドロキシ基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数5〜12のシクロアルコキシ基、炭素原子数3〜18のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子、−COOH、−COOR、−O−CO−R、−O−CO−O−R、−CO−NH、−CO−NHR、−CO−N(R)(R)、CN、NH、NHR、−N(R)(R)、−NH−CO−R、フェノキシ基、炭素原子数1〜18のアルキル基で置換されたフェノキシ基、フェニル−炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数6〜15のビシクロアルコキシ基、炭素原子数6〜15のビシクロアルキルアルコキシ基、炭素原子数6〜15のビシクロアルケニルアルコキシ基、または炭素原子数6〜15のトリシクロアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜18のアルキル基;ヒドロキシ基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基または−O−CO−Rで置換された炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−Rまたは−SO−R10を表すか;あるいはRは1以上の酸素原子で中断された及び/またはヒドロキシ基、フェノキシ基もしくは炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換された炭素原子数3〜50のアルキル基を表すか;あるいはRは−A;−CH−CH(XA)−CH−O−R12;−CR13R′13−(CH−X−A;−CH−CH(OA)−R14;−CH−CH(OH)−CH−XA;
Figure 0005794232
−CR15R′15−C(=CH)−R″15;−CR13R′13−(CH−CO−X−A;−CR13R′13−(CH−CO−O−CR15R′15−C(=CH)−R″15または−CO−O−CR15R′15−C(=CH)−R″15(式中、Aは−CO−CR16=CH−R17を表す。)で表される定義の一つを表す。
は、互いに独立して、炭素原子数6〜18のアルキル基;炭素原子数2〜6のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;COOR;CN;−NH−CO−R;ハロゲン原子;トリフルオロメチル基;−O−Rを表す。
はRに対して与えられた定義を表し;Rは炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表すか;あるいはRは1以上の−O−、−NH−、−NR−、−S−で中断された及びOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3〜50のアルキル基を表し;RはH;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数2〜18のアルケニル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルケニル基;炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基を表し;RはH;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し;R及びRは互いに独立して炭素原子数1〜12のアルキル基;炭素原子数3〜12のアルコキシアルキル基;炭素原子数4〜16のジアルキルアミノアルキル基を表すか;または炭素原子数5〜12のシクロアルキル基を表し;あるいはR及びRは一緒になって炭素原子数3〜9のアルキレン基、炭素原子数3〜9のオキサアルキレン基または炭素原子数3〜9のアザアルキレン基を表し;Rは炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数2〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6〜15のビシクロアルケニル基;または炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基を表し;R10は炭素原子数1〜12のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;または炭素原子数7〜14のアルキルフェニル基を表し;R11は互いに独立してH;炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜6のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;ハロゲン原子;炭素原子数1〜18のアルコキシ基を表し;R12は炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数3〜8のアルケノキシ基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基で1〜3回置換されたフェニル基を表すか;または炭素原子数7〜11のフェニルアルキル基;炭素原子数5〜12のシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のトリシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルキルアルキル基;炭素原子数6〜15のビシクロアルケニルアルキル基;−CO−Rを表し;またはR12は1以上の−O−、−NH−、−NR−、−S−で中断された及びOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7〜18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3〜50のアルキル基を表し;R13及びR′13は互いに独立してH;炭素原子数1〜18のアルキル基;フェニル基を表し;R14は炭素原子数1〜18のアルキル基;炭素原子数3〜12のアルコキシアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1〜4のアルキル基を表し;R15、R′15及びR″15は互いに独立してHまたはCHを表し;R16はH;−CH−COO−R;炭素原子数1〜4のアルキル基;またはCNを表し;R17はH;−COOR;炭素原子数1〜17のアルキル基;またはフェニル基を表し;Xは−NH−;−NR−;−O−;−NH−(CH−NH−;または−O−(CH−NH−を表し;及び指数mは数0〜19を表し;nは数1〜8を表し;pは数0〜4を表し;qは数2〜4を表す;ただし一般式一般式(I−A)中、R、R及びR11の少なくとも1つが2個以上の炭素原子を含む、である。
トリアジン系紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
(UV−A領域に吸収極大を有するUV吸収剤)
本発明に適用可能なものとしては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系のUV吸収剤が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線は下記一般式(II)で表わされる。
Figure 0005794232
式中、Q及びQはそれぞれ独立に芳香族環を表す。Xは置換基を表し、Yは酸素原子、硫黄原子または窒素原子を表す。XYは水素原子であってもよい。
ベンゾフェノン系UV吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンズトリアゾール系紫外線は下記一般式(III)で表わされる。
Figure 0005794232
式中、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に一価の有機基を表し、R、R及びRの少なくとも1つは総炭素数10〜20の無置換の分岐または直鎖のアルキル基を表す。
ベンズトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンズトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンズトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンズトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンズトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンズトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンズトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンズトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンズトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンズトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンズトリアゾール、2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンズトリアゾール、(2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロロベンズトリアゾール、2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンズトリアゾール、(2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロロベンズトリアゾール等が挙げられる。
(ジイソシアネート系架橋剤)
本発明に適用可能なものとしては、特に制限はなくTDI(トリレンジイソシアネート)系、XDI(キシレンジイソシアネート)系、MDI(メチレンジイソシアネート)系、HMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系等の従来から使用されてきた各種イソシアネートが使用可能であるが、耐候性の点から脂肪族ジイソシアネートのMDI系、HMDI系のイソシアネートを使用するのが好ましい。脂肪族ジイソシアネートは一般に芳香族ジイソシアネート系架橋剤よりも耐候性が高い。例えば芳香族ジイソシアネート系の架橋剤を用いた場合、UV露光した際に樹脂層の黄変や銀層との界面の赤紫色変色が発生するため反射率の低下という問題を引き起こすことがある。
(アミノ基を有するシランカップリング剤)
本発明に適用可能なものとしては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、N−(2−(2−アミノエチル)アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−エチルアミノ)−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジエトキシメチルシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジエトキシメチルシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、(2−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンなどのアミノ基を有するシラン化合物が挙げられる。
(酸化防止剤)
本発明に適用可能なものとしては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物の酸化防止剤群の中から選ぶことができる。
ヒンダードフェノール系化合物の具体例としては、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオ−ドデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミドN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−l−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス−[3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス−{2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル7−(3−メチル−5−tブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)が含まれる。上記タイプのフェノール化合物は、例えば、チバ・ジャパン株式会社から、“IRGANOX1076”及び“IRGANOX1010”という商品名で市販されている。
ヒンダードアミン系化合物の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)デカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
また、高分子タイプの化合物でもよく、具体例としては、N,N′,N″,N″′−テトラキス−[4,6−ビス−〔ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]等の、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物等の、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物等で、数平均分子量(Mn)が2,000〜5,000のものが好ましい。
上記タイプのヒンダードアミン化合物は、例えば、チバ・ジャパン株式会社から、“TUNUVIN144”及び“TUNUVIN770”、株式会社ADEKAから“ADK STAB LA−52”という商品名で市販されている。
リン系化合物の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、トリデシルホスファイト等のモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)等のジホスファイト系化合物;トリフェニルホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4′−ジイルビスホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4′−ジイルビスホスホナイト等のホスホナイト系化合物;トリフェニルホスフィナイト、2,6−ジメチルフェニルジフェニルホスフィナイト等のホスフィナイト系化合物;トリフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン系化合物;等が挙げられる。
上記タイプのリン系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、“SumilizerGP”、株式会社ADEKAから“ADK STAB PEP−24G”、“ADK STAB PEP−36”及び“ADK STAB 3010”、チバ・ジャパン株式会社から“IRGAFOS P−EPQ”、堺化学工業株式会社から“GSY−P101”という商品名で市販されている。
(UV吸収層のバインダー樹脂)
本発明に係るUV吸収層の形態としては、従来公知の種々の樹脂中にUV吸収剤を分散させたフィルムを挙げることができる。基材となる樹脂フィルムとしては、例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、セルロースエステル系フィルム、アクリルフィルムが好ましく、特に、アクリルフィルムが好ましい。また溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
(腐食防止層)
本発明の太陽熱発電用フィルムミラーにおいては、腐食防止層を設けることができる。本発明に係る腐食防止層は、銀反射層の腐食防止のために設けられる。
本発明に係る腐食防止層の構成としては、腐食防止剤のみから形成される層または腐食防止剤を含有する樹脂からなる層を挙げることができるが、腐食防止剤を含有する樹脂層であることが好ましい。さらに好ましくは、腐食防止剤を0.01〜10質量%含有する樹脂層を用いるのがよい。
さらに、腐食防止層に用いる樹脂は、接着剤層としても機能を有するものがよく、銀反射層と樹脂基材層(樹脂フィルム)との接着性を高める機能があるものであれば特に限定はない。従って、腐食防止層に用いる樹脂は、樹脂基材(樹脂フィルム)と銀反射層とを密着する密着性、銀反射層を真空蒸着法等で形成する時の熱にも耐え得る耐熱性、及び銀反射層が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性が必要である。
本発明に係る腐食防止層に使用する樹脂は、上記の密着性、耐熱性及び平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂等の単独またはこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の混合樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。
本発明に係る腐食防止剤層の厚さは、密着性、平滑性、反射材の反射率等の観点から、0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。
腐食防止剤層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
(腐食防止剤)
本発明に係る腐食防止層に用いられる腐食防止剤としては、大別して、銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤と酸化防止剤が好ましく用いられる。
ここで、「腐食」とは、金属(銀)がそれをとり囲む環境物質によって、化学的または電気化学的に浸食されるか、もしくは材質的に劣化する現象をいう(JIS Z0103−2004参照)。
なお、腐食防止剤の含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、一般的には、0.1〜1.0g/mの範囲内であることが好ましい。
(銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤)
銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤としては、例えば、アミン類及びその誘導体、ピロール環を有する化合物、トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物類、チオ尿素類、メルカプト基を有する化合物、ナフタレン系の少なくとも一種またはこれらの混合物から選ばれることが望ましい。
アミン類及びその誘導体としては、例えば、エチルアミン、ラウリルアミン、トリ−n−ブチルアミン、O−トルイジン、ジフェニルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、アセトアミド、アクリルアミド、ベンズアミド、p−エトキシクリソイジン、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムサリシレート、モノエタノールアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンカーバメイト、ニトロナフタレンアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレート、シクロヘキシルアミンシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロヘキシルアンモニウムアクリレート、シクロヘキシルアミンアクリレート等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピロール環を有する物としては、N−ブチル−2,5−ジメチルピロール,N−フェニル−2,5ジメチルピロール、N−フェニル−3−ホルミル−2,5−ジメチルピロール,N−フェニル−3,4−ジホルミル−2,5−ジメチルピロール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
トリアゾール環を有する化合物としては、例えば、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−メチル−1,2,3−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4,5,6,7−テトラハイドロトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピラゾール環を有する化合物としては、例えば、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリジン、ピラゾリドン、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、4−アミノピラゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チアゾール環を有する化合物としては、例えば、チアゾール、チアゾリン、チアゾロン、チアゾリジン、チアゾリドン、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、P−ジメチルアミノベンザルロダニン、2−メルカプトベンゾチアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
イミダゾール環を有する化合物としては、例えば、イミダゾール、ヒスチジン、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5ジヒドロキシメチルイミダゾール、4−フォルミルイミダゾール、2−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−フォルミルイミダゾール、4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
インダゾール環を有する化合物としては、例えば、4−クロロインダゾール、4−ニトロインダゾール、5−ニトロインダゾール、4−クロロ−5−ニトロインダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
銅キレート化合物類としては、例えば、アセチルアセトン銅、エチレンジアミン銅、フタロシアニン銅、エチレンジアミンテトラアセテート銅、ヒドロキシキノリン銅等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チオ尿素類としては、例えば、チオ尿素、グアニルチオ尿素等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
メルカプト基を有する化合物としては、すでに上記に記載した材料も加えれば、例えば、メルカプト酢酸、チオフェノール、1,2−エタンジオール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、グリコールジメルカプトアセテート、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ナフタレン系としては、チオナリド等が挙げられる。
(銀反射層)
本発明に係る銀反射層の形成方法としては、湿式法及び乾式法のいずれの方法も適用することができる。
湿式法とは、めっき法の総称であり、溶液から金属を析出させて銀膜を形成する方法であり、具体例としては、銀鏡反応等を挙げることができる。
一方、乾式法とは、真空成膜法の総称であり、具体的な方法としては、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法等が挙げられる。とりわけ、本発明においては、連続的に成膜するロールツーロール方式を適用することが可能な蒸着法が好ましく用いられる。すなわち、本発明の太陽熱発電用フィルムミラーの製造方法においては、本発明に係る銀反射層を銀蒸着によって形成する工程を用いて形成する態様である。
本発明に係る銀反射層の厚さは、反射率等の観点から、10〜200nmが好ましく、より好ましくは30〜150nmである。
本発明において、銀反射層は支持体に対して光線入射側にあっても、その反対側にあってもよいが、支持体が樹脂であることから、光線による樹脂劣化を防止する目的から、支持体に対し光線入射側に位置する方が好ましい。
(樹脂基材)
本発明に係る樹脂基材としては、従来公地の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。
中でも、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、及びセルロースエステル系フィルムが好ましい。特に、ポリエステル系フィルム、セルロースエステル系フィルムを用いることが好ましく、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
樹脂基材の厚さは、樹脂の種類及び目的等に応じて適切な厚さにすることが好ましい。例えば、一般的には10〜300μmの範囲内である。好ましくは20〜200μm、さらに好ましくは30〜100μmである。
(粘着層)
本発明の太陽熱発電用反射装置は、太陽熱発電用フィルムミラーを他の基材、特に金属支持体上に粘着層を介して貼り合せる。
本発明に係る粘着層の構成としては、特に制限されず、例えば、ドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤等のいずれもが用いられる。粘着剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトリルゴム等が用いられる。
ラミネート法は、特に制限されず、例えば、ロール式で連続的に行うのが経済性及び生産性の点から好ましい。
粘着層の厚さは、粘着効果、乾燥速度等の観点から、通常1〜50μm程度の範囲であることが好ましい。
本発明の太陽熱発電用フィルムミラーと貼り合せられる他の基材としては、銀反射層層の保護性を付与できるものであればよく、例えば、アクリルフィルムまたはシート、ポリカーボネートフィルムまたはシート、ポリアリレートフィルムまたはシート、ポリエチレンナフタレートフィルムまたはシート、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはシート、フッ素フィルム等のプラスチックフィルムまたはシート、または酸化チタン、シリカ、アルミニウム粉、銅粉等を練り込んだ樹脂フィルムまたはシート、これらを練り込んだ樹脂をコーティングして金属蒸着等の表面加工を施した樹脂フィルムまたはシートが用いられる。
貼り合わせフィルムまたはシートの厚さは、特に制限はないが通常12〜250μmの範囲であることが好ましい。
また、これらの他基材は本発明の太陽熱発電用フィルムミラーと貼り合わせる前に凹部や凸部を設けてから貼り合せてもよく、貼り合せた後で凹部や凸部を有するように成形してもよく、貼り合わせと凹部や凸部を有するように成形することを同時にしてもよいものである。
(太陽熱発電用フィルムミラーの厚さ)
本発明の太陽熱発電用フィルムミラーの全体の厚さは、ミラーのたわみ防止、正反射率、取り扱い性等の観点から、75〜250μmが好ましく、さらに好ましくは90〜230μm、特に好ましくは100〜220μmである。
(太陽熱発電用反射装置)
本発明の太陽熱発電用フィルムミラーは、太陽光を集光する目的に好ましく使用できる。太陽熱発電用フィルムミラー単体で太陽光集光ミラーとして用いることもできるが、より好ましくは、樹脂基材を挟んで銀反射層を有する側と反対側の樹脂基材面に塗設された粘着層を介して、他の基材、特に金属支持体上に、本発明の太陽熱発電用フィルムミラーを貼り付けて、本発明の太陽熱発電用反射装置として用いることである。
太陽熱発電用反射装置として用いる場合、反射装置の形状を樋状(半円筒状)として、半円の中心部分に内部に流体を有する筒状部材を設け、筒状部材に太陽光を集光させることで内部の流体を加熱し、その熱エネルギーを変換して発電する形態が一形態として挙げられる。また、平板状の反射装置を複数個所に設置し、それぞれの反射装置で反射された太陽光を一枚の反射鏡(中央反射鏡)に集光させて、反射鏡により反射して得られた熱エネルギーを発電部で変換することで発電する形態も一形態として挙げられる。特に後者の形態においては、用いられる反射装置に高い正反射率が求められるため、本発明の太陽熱発電用フィルムミラーが特に好適に用いられる。
(金属支持体)
本発明の太陽熱発電用反射装置に用いられる金属支持体としては、鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム系合金めっき鋼板、銅めっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめっき鋼板、ステンレス鋼板等熱伝導率の高い金属材料を用いることができる。
本発明においては、特に耐食性の良好なめっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板等にすることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
「実施例;太陽熱発電用反射装置の作製」
(太陽熱発電用反射装置1の作製)
樹脂基材として、2軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ100μm)を用いた。上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、銀反射層として、真空蒸着法により厚さ80nmの銀反射層を形成し、この銀反射層上に、ポリエステル系樹脂とトルエンジイソシアナート系樹脂とを、樹脂固形分比率(質量比)で10:2に混合した樹脂中に、腐食防止剤としてグリコールジメルカプトアセテートを樹脂固形分に対して3質量%となる量を添加し、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ0.1μmの腐食防止層を形成した。
続いて、アクリル樹脂と、アクリル樹脂に対し1質量%のTinuvin234(チバ・ジャパン社製)及びアクリル樹脂に対し1質量%のTinuvin1577(チバ・ジャパン社製)を、固形分比率が10:2となる条件で、メチレンクロライド溶媒を用いて溶解及び分散させた塗工液を、グラビアコート法によりコーティングして厚さ3μmのUV吸収層を形成した。次いで、形成したUV吸収層上に、UV硬化型のハードコート液であるオプスター(JSR社製)を、アプリケータを用いて塗布し、波長350nmのUV光を30秒照射することで、厚さ5μmのハードコート層を形成した。
次いで、基材のポリエチレンテレフタレートフィルムの上記ハードコート層を形成した面とは反対側の面に、粘着層としてアクリル樹脂接着剤(昭和高分子社製)を厚さ10μmでコートして、太陽熱発電用フィルムミラー1を作製した。
次いで、厚さ0.1mmで、縦4cm×横5cmのアルミ板(住友軽金属社製)上に、上記作製した太陽熱発電用フィルムミラー1の粘着層を介して貼り付け、UV−A領域に吸収極大を有するUV吸収剤とトリアジン系UV吸収剤を同一のUV吸収層に有する太陽熱発電用反射装置1を作製した。
(太陽熱発電用反射装置2〜10、15〜18の作製)
太陽熱発電用反射装置1の作製において、表2に記載のようにUV吸収剤の種類と量を変え、一部の試料には脂肪族ジイソシアネート系架橋剤のヘキサメチレンジイソシアネート、酸化防止剤としてヒンダードアミン系化合物のTinuvin152をUV吸収層に添加して、UV−A領域に吸収極大を有するUV吸収剤とトリアジン系UV吸収剤を同一のUV吸収層に有する太陽熱発電用反射装置2〜10、15〜18を作製した。
(太陽熱発電用反射装置11〜14の作製)
太陽熱発電用反射装置1の作製において、銀反射層の上に腐食防止層を設けることなくUV吸収層を積層した。UV吸収層には、表2に記載のようにUV吸収剤、脂肪族ジイソシアネート系架橋剤のヘキサメチレンジイソシアネート、酸化防止剤としてヒンダードアミン系化合物のTinuvin152、さらにアミノ基を有するシランカップリング剤としてアミノプロピルトリエトキシシランをUV吸収層に添加して、UV−A領域に吸収極大を有するUV吸収剤とトリアジン系UV吸収剤が同一のUV吸収層にあり、かつUV吸収層が銀層と接する構造の太陽熱発電用反射装置11〜14を作製した。
(太陽熱発電用反射装置19〜26及び32〜34の作製)
太陽熱発電用反射装置1の作製において、腐食防止層の上にUV吸収層1及びUV吸収層2を設けた。一部の試料には表3に記載のように脂肪族ジイソシアネート系架橋剤のヘキサメチレンジイソシアネート、酸化防止剤としてヒンダードアミン系化合物のTinuvin152をUV吸収層に添加して、UV−A領域に吸収極大を有するUV吸収剤とトリアジン系UV吸収剤を別のUV吸収層に有する太陽熱発電用反射装置19〜26及び32〜34を作製した。
(太陽熱発電用反射装置27〜31及び35の作製)
太陽熱発電用反射装置19〜26の作製において、銀反射層の上に腐食防止層を設けることなくUV吸収層を2層または3層積層した。UV吸収層には、表3に記載のようにUV吸収剤、脂肪族ジイソシアネート系架橋剤のヘキサメチレンジイソシアネート、酸化防止剤としてヒンダードアミン系化合物のTinuvin152、さらにアミノ基を有するシランカップリング剤としてアミノプロピルトリエトキシシランをUV吸収層に添加した。また、太陽熱発電用装置31においては、膜厚40μmのUV吸収層3を積層した。以上の方法によりUV−A領域に吸収極大を有するUV吸収剤とトリアジン系UV吸収剤が別のUV吸収層にあり、かつUV吸収層が銀層と接する構造の太陽熱発電用反射装置27〜31及び35を作製した。
実施例で用いたUV吸収剤を表1に示す。
Figure 0005794232
(太陽熱発電用反射装置の評価)
上記作製した太陽熱発電用反射装置について、下記の方法に従って、耐光性、耐湿熱性、耐硫化性及び膜密着性の評価を行った。
(耐光性:正反射率安定性)
島津製作所社製の分光光度計UV265を、積分球反射付属装置を取り付けたものに改造し、反射面の法線に対して、入射光の入射角を5°となるように調整し、各試料の反射角5°での正反射率を測定した。評価は、350nmから700nmまでの平均反射率として測定した。
次いで、各試料を、岩崎電気製アイスーパーUVテスターを用いて、65℃の環境下で7日間紫外線照射を行った後、上記方法により正反射率を測定し、紫外線照射前を100%としたときの紫外線照射後の正反射率の平均値を算出し、下記の基準に従って、耐光性を評価した。
◎:正反射率の平均値が、85%以上である
○:正反射率の平均値が、80%以上、85%未満である
△:正反射率の平均値が、70%以上、80%未満である
×:正反射率の平均値が、70%未満である
(耐湿熱性:ブリードアウト耐性)
NAGANO SCIENCE社製の恒温恒湿槽LH43を用いて、80℃、90%Rhの環境下で7日間試料を処理した後、蛍光灯下及びグリーンランプ(フナテック社製)下で目視による観察を行い、下記の基準に従って耐湿熱性を評価した。
○:蛍光灯下及びグリーンランプ下で添加剤析出見られず
△:蛍光灯下で添加剤の析出は見られないが、グリーンランプ下で1cm当たり5個以下の添加剤の析出が見られる
×:蛍光灯下及びグリーンランプ下で、1cm当たり5個以上の添加剤析出見られる
〔耐硫化性:正反射率安定性〕
各試料を、10%硫化アンモニウム水溶液中に48時間浸漬した後、正反射率を測定し、硫化処理後の正反射率の平均値を算出し、下記の基準に従って、耐光性を評価した。
正反射率測定は、島津製作所社製の分光光度計UV265を、積分球反射付属装置を取り付けたものに改造し、反射面の法線に対して、入射光の入射角を5°となるように調整し、各試料について劣化処理前の反射角5°での正反射率を測定した。評価は、350nmから700nmまでの平均反射率として測定した。
◎:正反射率の平均値が、85%以上である
○:正反射率の平均値が、80%以上85%未満である
△:正反射率の平均値が、75%以上、80%未満である
×:正反射率の平均値が、75%未満である
〔膜密着性:耐候性〕
岩崎電気製アイスーパーUVテスターを用いて、65℃の環境下で7日間紫外線照射を行った後、粘着層の密着性の評価を、JIS K5400の碁盤目セロハンテープ剥離試験に従って評価した。即ち、強制劣化後のサンプル表面にカッターナイフで1mm間隔の碁盤目状に切り込みを入れ、セロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付けた後にはく離し、はく離部の割合を測定し、下記の基準に従って、接着層の膜密着性を評価した。
◎:劣化試験後に膜はく離部の割合が1.0%未満
○:劣化試験後に膜はく離部の割合が1.0%以上、2.0%未満
△:劣化試験後に膜はく離部の割合が2.0%以上、3.0%未満
×:劣化試験後に膜はく離部の割合が3.0%以上
評価の結果を表2、3に示す。
Figure 0005794232
Figure 0005794232
表2から明らかなように、銀層からなる金属反射層の入射光側の1層以上の樹脂層が、トリアジン系UV吸収剤及びUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤をそれぞれ樹脂の1質量%以上含有し、かつ樹脂層内のUV吸収剤総量が樹脂の15質量%以下である太陽熱発電用反射装置14(本発明)では、UV照射後の正反射率が高い値を維持しているが、トリアジン系UV吸収剤またはUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤のみを含むUV吸収を有する太陽熱発電用反射装置16、17(比較例)では、UV照射後の正反射率がいずれも低いことが分かる。
これは、トリアジン系UV吸収剤及びUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤を併用したことにより、UV−B領域(290〜320nm)及びUV−A領域(320〜400nm)の紫外線がカットされ、銀層の反入射光側にある樹脂基材の劣化によるゆがみが効果的に抑制されたことに由来すると考えられる。
また、太陽熱発電用反射装置18(比較例)のように、単一のUV吸収層に合計で15質量%を超えるUV吸収が含まれているとブリードアウトが起こり、膜密着性の低下が起き、最終的にはフィルムミラー全体のゆがみが生じるため正反射率が低下することが分かる。
また、太陽熱発電用反射装置3と4(参考例)の比較により、UV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤としてはCHIMASSORB81よりもTinuvin234の方がUV照射後の正反射率は良好である。これは、一般にCHIMASSORB81のようなベンゾフェノン系UV吸収剤よりも、Tinuvin234のようなトリアジン系UV吸収剤の方が、UV耐性がよいことに由来すると考えられる。
また、太陽熱発電用反射装置7〜14(本発明)のようにUV吸収層にジイソシアネート系架橋剤を樹脂の5〜40質量%含み、かつ酸化防止剤を樹脂の0.5〜10質量%含む場合、より強固なUV吸収層となり、酸化によるUV吸収剤の劣化も抑制されるためUV照射後の正反射率は最も高くなる。
ここで、太陽熱発電用反射装置7(本発明)と15(参考例)を比較すると、太陽熱発電用反射装置15では芳香族ジイソシアネートを用いたことにより、UV照射後に若干の変色が生じたが、太陽熱発電用反射装置7の脂肪族ジイソシアネートを用いた場合、変色がなくUV照射後の正反射率が良好であることから、脂肪族ジイソシアネートが架橋剤として好ましいことが分かる。
また、太陽熱発電用反射装置11〜14(本発明)のようにUV吸収層が銀層と接する場合、銀層の硫化耐性は太陽熱発電用反射装置〜10(本発明)のメルカプト系の防食剤を含む腐食防止層よりも優れる。このとき、UV吸収層にアミノ基を有するシランカップリング剤が含まれていると、銀層とUV吸収層の膜密着性は大きく向上することが分かる。
表3から明らかなように、トリアジン系UV吸収剤及びUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤が異なる樹脂層中に含有され、かつ前記トリアジン系UV吸収剤を含有する樹脂層が少なくとも1層のUV−A領域に吸収極大を持つUV吸収剤を含有する樹脂層よりも入射光側に存在する太陽熱発電用反射装置19〜32(本発明)では入射光側のUV耐性の強いトリアジン系UV吸収剤が反入射光側のUV−A領域に吸収極大を持つUV吸収剤の劣化を抑制するため、UV照射後の正反射率が高い値を維持している。
一方、UV−A領域に吸収極大を持つUV吸収剤の反入射光側にトリアジン系UV吸収剤を含むUV吸収層を有する太陽熱発電用反射装置34〜35(比較例)は、入射光側の層に存在するUV−A領域に吸収極大を持つUV吸収剤がUV劣化を起こしやすいためUV照射後の正反射率は低い値となっている。
また、単一の樹脂層に15質量%を超えるUV吸収剤を添加している太陽熱発電用反射装置33(比較例)では、ブリードアウトを起こし、膜密着性の低下に由来する平面性の低下からUV照射後の正反射率も低い値となっている。
また、太陽熱発電用反射装置21と22の比較により、UV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤としてはCHIMASSORB81よりもTinuvin234の方がUV照射後の正反射率は良好である。これは、一般にCHIMASSORB81のようなベンゾフェノン系UV吸収剤よりもTinuvin234のようなトリアジン系UV吸収剤の方がUV耐性がよいことに由来すると考えられる。
また、太陽熱発電用反射装置23〜32のように、UV吸収層にジイソシアネート系架橋剤を樹脂の5〜40質量%含み、かつ酸化防止剤を樹脂の0.5〜10質量%含む場合、より強固なUV吸収層となり、酸化によるUV吸収剤の劣化も抑制されるためUV照射後の正反射率は最も高くなる。
ここで、太陽熱発電用反射装置24と32を比較すると、太陽熱発電用反射装置32では芳香族ジイソシアネートを用いたことにより、UV照射後に若干の変色が生じたが、太陽熱発電用反射装置24では脂肪族ジイソシアネートを用いた場合、変色がなくUV照射後の正反射率が良好であることから、脂肪族ジイソシアネートが架橋剤として好ましいことが分かる。
また、太陽熱発電用反射装置27〜31のようにUV吸収層が銀層と接する場合、銀層の硫化耐性は太陽熱発電用反射装置19〜26のメルカプト系の防食剤を含む腐食防止層よりも優れる。このとき、UV吸収層にアミノ基を有するシランカップリング剤が含まれていると、銀層とUV吸収層の膜密着性は大きく向上することが分かる。
本発明は、以上のように構成されていることから、太陽光を反射する太陽熱発電用フィルムミラーとその製造方法及び太陽熱発電用反射装置として利用できる。
1 樹脂基材
2 銀反射層
3 腐食防止層
4 UV吸収層
5 UV吸収層−1
6 UV吸収層−2
7 UV吸収層−3
8 ハードコート層
10 太陽熱発電用フィルムミラー

Claims (8)

  1. 銀層からなる金属反射層の入射光側の1層以上の樹脂層が、トリアジン系UV吸収剤及びUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤をそれぞれ樹脂の1質量%以上含有し、かつ樹脂層内のUV吸収剤総量が樹脂の15質量%以下であり、
    前記UV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤がベンゾトリアゾール系UV吸収剤であり、
    前記トリアジン系UV吸収剤及びベンゾトリアゾール系UV吸収剤を同一の樹脂層中に含有する層が少なくとも1層以上存在し、
    前記トリアジン系UV吸収剤及びベンゾトリアゾール系UV吸収剤を同一の樹脂層に含有する樹脂層が、脂肪族ジイソシアネート系架橋剤を樹脂の5〜40質量%含有し、かつ酸化防止剤を樹脂の0.5〜10質量%含有することを特徴とする太陽熱発電用フィルムミラー。
  2. 前記トリアジン系UV吸収剤及びベンゾトリアゾール系UV吸収剤を同一の樹脂層に含有する樹脂層が、アミノ基を有するシランカップリング剤を樹脂の0.1〜10質量%含有し、かつ前記樹脂層が銀層からなる金属反射層と接していることを特徴とする請求項に記載の太陽熱発電用フィルムミラー。
  3. 銀層からなる金属反射層の入射光側の1層以上の樹脂層が、トリアジン系UV吸収剤及びUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤をそれぞれ樹脂の1質量%以上含有し、かつ樹脂層内のUV吸収剤総量が樹脂の15質量%以下であり、
    前記トリアジン系UV吸収剤及びUV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤が異なる樹脂層中に含有され、かつ前記トリアジン系UV吸収剤を含有する樹脂層が少なくとも1層のUV−A領域に吸収極大を持つUV吸収剤を含有する樹脂層よりも入射光側に存在し、かつ樹脂層内のUV吸収剤総量が樹脂の1〜15質量%であることを特徴とする太陽熱発電用フィルムミラー。
  4. 前記UV−A領域(320〜400nm)に吸収極大を持つUV吸収剤がベンゾトリアゾール系UV吸収剤であることを特徴とする請求項に記載の太陽熱発電用フィルムミラー。
  5. 前記トリアジン系UV吸収剤またはベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含有する樹脂層が、脂肪族ジイソシアネート系架橋剤を樹脂の5〜40質量%含有し、かつ酸化防止剤を樹脂の0.5〜10質量%含有することを特徴とする請求項に記載の太陽熱発電用フィルムミラー。
  6. 前記トリアジン系UV吸収剤またはベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含有する樹脂層が、アミノ基を有するシランカップリング剤を樹脂の0.1〜10質量%含有し、かつ前記樹脂層が銀層からなる金属反射層と接していることを特徴とする請求項又はに記載の太陽熱発電用フィルムミラー。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の太陽熱発電用フィルムミラーを製造する太陽熱発電用フィルムミラーの製造方法であって、
    前記金属反射層を銀の蒸着により形成することを特徴とする太陽熱発電用フィルムミラーの製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の太陽熱発電用フィルムミラーを金属支持体上に粘着層を介して貼り合せてなることを特徴とする太陽熱発電用反射装置。
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