JPWO2012026311A1 - フィルムミラー、フィルムミラーの製造方法及び太陽熱発電用反射装置 - Google Patents

フィルムミラー、フィルムミラーの製造方法及び太陽熱発電用反射装置 Download PDF

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Abstract

十点平均粗さRzが1μm以上10μm以下の表面凹凸を持つ面に屈折率n’の接着層を有し、かつ、屈折率がnの高分子フィルムと、反射層を含むフィルムとを、該接着層を介して貼り合わせたフィルムミラーが、下記式(1)を満たすことを特徴とするフィルムミラー及び太陽熱発電用反射装置。式(1) |n−n’|<0.1

Description

本発明は、反射層を備えたフィルムミラーとその製造方法及びそれを用いた太陽熱発電用反射装置に関するものである。
近年の地球温暖化は一層深刻な事態に発展し、将来の人類の生存すら脅かされる可能性がでてきている。その主原因は、20世紀に入りエネルギー源として多量に使用されてきた化石燃料から放出された大気中の二酸化炭素(CO)であると考えられている。従って近い将来、化石燃料をこのまま使い続けることは許されなくなると考えられる。また、他方で、中国、インド、ブラジル等のいわゆる発展途上国の急激な経済成長に伴うエネルギー需用の増大により、かつては無尽蔵と考えられていた石油、天然ガスの枯渇が現実味を帯びてきている。
石油、天然ガス等の化石燃料エネルギーに代わる代替エネルギーとしては、現在、石炭エネルギー、バイオマスエネルギー、核エネルギー、風力エネルギー、及び太陽エネルギー等の自然エネルギーが検討されているが、化石燃料の代替エネルギーとして最も安定しており、かつ量の多い自然エネルギーは、太陽エネルギーであると考えられる。
しかしながら、太陽エネルギーは非常に有力な代替エネルギーであるものの、これを活用する観点からは、(1)太陽エネルギーのエネルギー密度が低いこと、及び(2)太陽エネルギーの貯蔵及び移送が困難であることが問題となると考えられる。
これに対して、太陽エネルギーのエネルギー密度が低いという問題は、巨大な反射装置で太陽エネルギーを集めることによって解決することが提案されている。
反射装置は、太陽熱による紫外線や熱、風雨、砂嵐等に晒されるため、従来、ガラス製ミラーが用いられてきた。ガラス製ミラーは環境に対する耐久性が高い反面、輸送時に破損する、大型のガラス製ミラーになると、かなりの重さとなるため、ミラーを設置する架台の強度を持たせる必要があり、プラントの建設費がかさむといった問題を抱えていた。更に、ガラス製ミラーは破損しやすく、交換時には破損部でけがをしない様な配慮が必要となり、また、多くの場合、屋外に設置されている場合が多く、作業環境(風雨、砂、埃等)による影響もあり、交換時には交換作業に熟練が要求されている。
上記問題を解決するために、ガラス製ミラーを樹脂製の反射シートに置き換える方法が、例えば、特許文献1に開示されている。
ガラス製ミラーを樹脂性のシートまたはさらに薄いフィルムの置き換えた場合はロール状に巻くことができるため連続製膜が可能になり、生産効率を格段に高めることができる。しかし樹脂性のフィルムはガラスに比べて2つの欠点が上げられる。1つはフィルム表面同士が貼り付き変形する点、2つめは傷つきやすいという欠点である。
フィルムをロールに巻こうとするとフィルム同士がまだら状に貼り付きフィルムの変形、膜厚変化を引き起こす。貼り付きを解消する方法として滑り性を良くする表面処理が施される。たとえばフィルムの両端にエンボス加工を施したり、粒子を混ぜて表面凹凸を形成したりする方法がある。両端にエンボス加工を施した箇所は最終製品には使えずに生産途中に裁断する必要があり廃棄する部分が生じてしまう。粒子を混ぜる場合は、たとえば特許文献2に開示されているような方法が開発されているが、光の拡散が光学仕様の範囲内に入るように粒子径を制限したり粒子の個数を制限したりする必要が生じる。光学性能と滑り性能が取り合いとなり両立は難しかった。
2つ目の問題については、打ち抜き加工時の傷付きを防止するため表面に光学的に透明な耐擦傷性易滑層を設ける方法が特許文献3に開示されている。しかしこの方法は銀層を形成した後に耐擦傷性易滑層を形成する順番であって、耐擦傷性易滑層製膜途中の銀層の傷付き、剥離、腐食劣化、酸化劣化が問題である。銀層で不良が発生した場合には製品として使えず歩留まりが低い。
特開2005−59382号公報 特許第3845435号 特許第3821596号
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、簡易な生産設備で製造でき、高い正反射率を有し、優れた耐候性、耐擦傷性及び密着性を備えたフィルムミラーとその製造方法、それを用いた太陽熱発電用反射装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.十点平均粗さRzが1μm以上10μm以下の表面凹凸を持つ面に屈折率n’の接着層を有し、かつ、屈折率がnの高分子フィルムと、反射層を含むフィルムとを、該接着層を介して貼り合わせたフィルムミラーが、下記式(1)を満たすことを特徴とするフィルムミラー。
式(1) |n−n’|<0.1
2.前記接着層の厚さは5μmから30μmの範囲であることを特徴とする前記1記載のフィルムミラー。
3.前記高分子フィルムの表面が、直径1μm以上10μm以下の粒子を含有することを特徴とする前記1又は2記載のフィルムミラー。
4.前記反射層を含むフィルムの反射層が、銀反射層であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載のフィルムミラー。
5.前記1〜4のいずれか1項記載のフィルムミラーを、十点平均粗さRzが1μm以上10μm以下の表面凹凸を持つ面に屈折率n’の接着層を有し、かつ、屈折率がnの高分子フィルムと、反射層を含むフィルムとを、該接着層を介して貼り合わせて製造することを特徴とするフィルムミラーの製造方法。
6.前記1〜4のいずれか1項記載のフィルムミラーを用いた太陽熱発電用反射装置。
本発明により、簡易な生産設備で製造でき、高い正反射率を有し、優れた耐候性、耐擦傷性及び密着性を備えたフィルムミラーとその製造方法及びそれを用いた太陽熱発電用反射装置を提供することができた。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、十点平均粗さRzが1μm以上10μm以下の表面凹凸を持つ面に屈折率n’の接着層を有し、かつ、屈折率がnの高分子フィルムと、反射層を含むフィルムとを、該接着層を介して貼り合わせたフィルムミラーが、式(1)「|n−n’|<0.1」を満たすことを特徴とするフィルムミラーにより、簡易な生産設備で製造でき、高い正反射率を有し、優れた耐候性、耐擦傷性及び密着性を備えたフィルムミラーを実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明のフィルムミラーの詳細について説明する。
《フィルムミラー、太陽熱発電用反射装置の構成》
本発明のフィルムミラーは、太陽光が入射する側から順に高分子フィルム、接着層、銀反射層及び保護コーティング層を有する高分子フィルム層を有する構成であることが好ましい。
本発明において、太陽光の入射側に十点平均粗さRz値が1μm以上10μm以下の粗面を有する高分子フィルムを配置し、接着層の屈折率と高分子フィルムの屈折率差を0.1以下にすることにより、高分子フィルムの粗面の光散乱は無くなり赤外光から可視光範囲にわたって透明となる。高分子フィルムの少なくとも片面が粗面であることでハンドリング性がよくなりRoll to Rollと呼ばれる連続生産が可能となる。高分子フィルムの両面が平滑または屈折率差が0.1以上あった場合、高分子フィルムから接着層との界面では界面反射する光と出射する光とに分けられ、界面反射する光は高分子フィルム内部を反射吸収し減衰することになる。高分子フィルムと接着層がまったく同じ屈折率であれば界面反射は無いが、実際にはそのような高分子フィルムと接着層の組み合わせを選択することは非常に難しい。一方で少なくとも片面が粗面で接着層との屈折率差が0.1以下にすることで界面反射する光の割合を減らすことができ、より多くの光を太陽光の反射面である銀反射層に到達させ単位面積あたりの発電効率を高めることができる。
加えて、高分子フィルムの粗面は表面凹凸によって表面積が増えるため接着が細部にまで入り込み接着性を上げるアンカー効果が得られる。更に太陽光入射側に、高分子フィルムを配置することにより、保護コーティング層に加えて銀反射層を外部環境から保護する優れた耐光性、耐久性を実現することができるのである。
フィルムミラーを、粘着層を介して保持部材、例えば、アルミニウム支持体等の金属製材に固定して、太陽熱発電用反射装置を形成する。
《フィルムミラー》
次いで、本発明のフィルムミラーの各構成要素について説明する。
〔高分子フィルム〕
高分子フィルム基材の材料としては、フレキシブル性や軽量化の点で、例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル、ポリカーボネート、ポリオレフィン(特に、シクロオレフィン樹脂)、セルロース、ポリアミドのいずれかを含む単層または共押し出しフィルムが好ましい。これらの中でも、耐候性に優れ、特に、少なくとも2種以上のアクリル系モノマーを共重合したアクリル系共重合体、またはシクロオレフィン樹脂が好適である。
好適なアクリル系共重合体としては、具体的には例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートのような側鎖中に官能性基を有しないモノマー(以下、非官能性モノマーという)から選ばれる1種または2種以上のモノマーを主成分とし、これに2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、等のモノマーから選ばれる1種または2種以上のモノマーの側鎖中にOHやCOOHなどの官能性基を有するモノマー(以下、官能性モノマーという)の1種または2種以上を組合せて、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法等の重合法により共重合させることにより得られる重量平均分子量が4万ないし100万、好ましくは10万ないし40万のアクリル系共重合体が挙げられ、中でも、エチルアクリレート、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等の比較的Tgの低いポリマーを与える非官能性モノマーを50〜90質量%、メチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等の比較的Tgの高いポリマーを与える非官能性モノマーを10〜50質量%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸、イタコン酸等の官能性モノマーを0〜10質量%含有するようなアクリル系重合体が最も好適である。
また、本発明に係る高分子フィルムに好適に用いることのできるシクロオレフィン樹脂は、脂環式構造を含有する重合体樹脂からなるものである。好ましいシクロオレフィン樹脂は、環状オレフィンを重合又は共重合した樹脂である。環状オレフィンとしては、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、エチルテトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、テトラシクロ〔7.4.0.110,13.02,7〕トリデカ−2,4,6,11−テトラエンなどの多環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの単環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。
好ましいシクロオレフィン樹脂は、環状オレフィン以外の単量体を付加共重合したものであってもよい。付加共重合可能な単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテンなどのエチレン又はα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどのジエン等が挙げられる。
シクロオレフィン樹脂として、下記のノルボルネン系樹脂も挙げられる。ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン骨格を繰り返し単位として有していることが好ましく、その具体例としては、例えば、特開2003−139950号公報、特開2003−14901号公報、特開2003−161832号公報、特開2003−195268号公報、特開2003−211588号公報、特開2003−211589号公報、特開2003−268187号公報、特開2004−133209号公報、特開2004−309979号公報、特開2005−121813号公報、特開2005−164632号公報、特開2006−72309号公報、特開2006−178191号公報、特開2006−215333号公報、特開2006−268065号公報、特開2006−299199号公報等に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。具体的には、日本ゼオン(株)製ゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製アートン、三井化学(株)製アペル(APL8008T、APL6509T、APL6013T、APL5014DP、APL6015T)などが好ましく用いられる。
高分子フィルムの厚さは、特に制限はないが、9μm以上、175μm以下であることが好ましく、より好ましくは12μm以上、100μm以下である。
厚さが9μm以上であれば、フィルムミラー加工時のしわの発生や破損を防止することができ、175μm以下であれば偏肉やたるみを防止でき均一性の高い基材を形成することができる。
高分子フィルム表面は、少なくとも片面が表面粗さ1μm以上10μm以下の粗面となっており、粗面を形成する方法としては表面凹凸形状の転写を用いる方法と、透明微粒子を添加する方法とがある。
表面凹凸形状を高分子フィルムに付与する方法としては特に限定されないが、熱インプリントや光インプリントを好適に用いることができる。
熱インプリントとは、微細な表面形状が施された金型と樹脂を熱し、樹脂に金型を押し付け、金型と樹脂を冷却後、金型を離型し、金型表面に施された形状を樹脂へ転写させる手法である。ここで、熱インプリントに用いられる樹脂は熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性樹脂であってもよいが、透明性の高い樹脂が好ましい。熱インプリントに適した樹脂としては、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、各種シクロオレフィンコポリマー、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。ここで、ポリエチレンテレフタレートを用いるときは、結晶性を低下させるために、イソフタル酸、シクロヘキサンジメタノール、ナフタレート、スピログリコール、フルオレン等を共重合することが好ましい。結晶性が高いと、熱インプリントした際にフィルムが結晶化し、白色化することがあるためである。
一方、光インプリントとは、基材フィルム上に光硬化性樹脂を塗布し、微細な表面形状が施された金型を樹脂塗布面に押し付け、該部分に紫外線等の光線を照射し、光硬化性樹脂を硬化させ、その後離型し、金型表面に施された形状を樹脂へ転写させる手法である。光インプリントに適した樹脂としては、アクリル系樹脂が挙げられる。
表面凹凸形状を付与するインプリント以外の手法としては、以下の塗布方法が挙げられるが、この方法に制限されない。
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許第2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
本発明で用いられるマイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを用い、且つ高分子フィルムの搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。
透明微粒子を添加する場合は、ヘイズHが式:H(%)<70−Gs(%)を満たすことが望ましく、透明微粒子の屈折率Ndと透明樹脂の屈折率Nbとの差(|Nd−Nb|)が0.02以下であるのが好ましく、0.01以下であるのがより好ましく、0.005以下であるのがさらに好ましい。|Nd−Nb|があまり大きいと、ヘイズが高くなり易く、前記式:H(%)<70−Gs(%)を満たし難くなる。ここでGsは60度鏡面光沢度を意味する。
透明微粒子の体積平均粒径は、0.5〜10μmであるのが好ましく、1〜6μmであるのがより好ましく、2〜4μmであるのがさらに好ましい。体積平均粒径があまりに小さいと、それに応じて粗面層の厚みを薄くする必要があり、十分な塗膜強度が保てなくなるため好ましくない。体積平均粒径があまりに大きいと、それに応じて粗面層の厚みを厚くする必要があり、通常塗工できる範囲を越えて技術的に困難となり、且つ、経済的でない。
透明微粒子としては、例えば、アクリル系やスチレン系の架橋粒子のほか、タルク、ガラスビーズ、シリコーン粒子などが用いられる。なかでも、屈折率やサイズを制御し易い面から、アクリル系の架橋粒子を用いることが好ましい。
粗面層の厚みは、透明微粒子の体積平均粒径の2〜5倍であるのが好ましく、2.5〜3倍であるのがより好ましい。粗面層の厚みがこの範囲にあれば、透明微粒子が塗膜に内包され、塗膜表面になだらかで微細な凹凸が形成されて、良好な滑り性能でありながら透明性が高い、つまり、光沢度の割にヘイズが低い光学特性の優れた樹脂フィルムとすることができる。粗面層の厚みが透明微粒子の体積平均粒径に対しあまりに小さいと、塗膜の表面に透明微粒子による多数の突起が形成され、光散乱を消すために接着層を厚くせねばならず、製品全体の構成が不必要に厚くなってしまう。粗面層の厚みが透明微粒子の体積平均粒径に対しあまりに大きいと、所望とする滑り性能とするための突起が得られない。
(紫外線吸収剤)
本発明に係る高分子フィルムにおいては、耐候性並びに耐光性向上の観点から紫外線吸収剤を含有することが好ましい。本発明に係る高分子フィルムに使用される紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ太陽光利用の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明に用いられる紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物等を挙げることができるが、ベンゾフェノン系化合物や着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号、同8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号、特開2003−113317号公報記載の高分子紫外線吸収剤を用いてもよい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(1−メチル−1−フェニルエチル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)900、チヌビン(TINUVIN)928、チヌビン(TINUVIN)360(いずれもBASFジャパン社製)、LA31(ADEKA社製)、RUVA−100(大塚化学製)が挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(酸化防止剤、安定剤)
本発明に係る高分子フィルム基材においては、酸化防止剤または安定剤を含有することが好ましい。本発明に係る高分子フィルム基材に好ましく適用することのできる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤およびホスファイト系酸化防止剤を挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−2,4,8,10−テトラオキオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。特に、フェノール系酸化防止剤としては、分子量が550以上のものが好ましい。
チオール系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)等を挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
また、本発明に係る高分子フィルム基材においては、上記酸化防止剤と共に、下記の光安定剤を用いることもできる。
ヒンダードアミン系の光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1−メチル−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2、6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、トリエチレンジアミン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン等が挙げられる。
その他ニッケル系紫外線安定剤として、〔2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)〕−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチル−ジチオカーバメート等も使用することが可能である。
特にヒンダードアミン系の光安定剤としては、3級のアミンのみを含有するヒンダードアミン系の光安定剤が好ましく、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、または1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール/トリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物が好ましい。
〔接着層〕
本発明に係るフィルムミラーは、接着層を有する。接着層は金属からなる反射層と樹脂基材(樹脂フィルム)との接着性を高めるために用いられるもの(密着性)や、他の構成層同士の接着性を高めるもの、金属からなる反射層を真空蒸着法等で形成する時の熱にも耐え得る耐熱性、及び金属からなる反射層が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性を有するものであってもよいが、樹脂からなることが好ましい。
接着層に使用する樹脂は、上記の密着性、耐熱性及び平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂等の単独またはこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の混合樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。ポリエステル系樹脂では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましい。
接着層の厚さは、粒子の凹凸を埋めて光拡散を消す効果の観点と、密着性、平滑性、反射材の反射率等の観点から、0.5〜50μmが好ましく、より好ましくは1〜30μmである。
接着層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
〔反射層〕
反射層としては、例えば、銀または銀合金、その他、金、銅、アルミニウム、これらの合金も用いることができる。特に、銀を使用することが好ましい。このような反射層は、光を反射させる反射膜としての役割を果たす。反射層を銀または銀合金からなる膜とすることにより、フィルムミラーの可視光領域での反射率を高め、入射角による反射率の依存性を低減できる。可視光領域とは、400〜700nmの波長領域を意味する。入射角とは、膜面に対して垂直な線に対する角度を意味する。
銀合金としては、反射層の耐久性が向上する点から、銀と、金、パラジウム、スズ、ガリウム、インジウム、銅、チタン及びビスマスからなる群から選ばれる1種以上の他の金属とからなる合金が好ましい。他の金属としては、高温耐湿性、反射率の点から、金が特に好ましい。
反射層が銀合金からなる膜である場合、銀は、反射層における銀と他の金属との合計(100原子%)中、90〜99.8原子%が好ましい。また、他の金属は、耐久性の点から0.2〜10原子%が好ましい。
また、反射層の膜厚は、60〜300nmが好ましく、80〜200nmが特に好ましい。反射層の膜厚が60nm未満では、膜厚が薄く、光を透過してしまうため、フィルムミラーの可視光領域での反射率が低下する恐れがある。反射層の膜厚が300nmを超えると、反射層の表面に凹凸が発生しやすくなり、これにより光の散乱が生じてしまい、可視光領域での反射率が低下するおそれがある。
金属からなる反射層は、湿式めっき、乾式めっき、銀蒸着で形成することが好ましい。
〔保護コーティング層〕
本発明のフィルムミラーにおいては、上記反射層上に保護コーティング層を有することが好ましい。
保護コーティング層は、腐食防止剤を含み、反射層を形成する金属、例えば、銀の腐食劣化を防ぐとともに、太陽熱発電用反射装置を構成する際、保護コーティング層上に形成する粘着層との接着力向上に寄与するものである。
保護コーティング層の形成に用いることのできる樹脂としては、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂等の単独またはこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。
イソシアネートは、TDI(トリレンジイソシアネート)系、XDI(キシレンジイソシアネート)系、MDI(メチレンジイソシアネート)系、HMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系等の従来から使用されてきた各種イソシアネートが使用可能であるが、耐候性の点から、XDI系、MDI系、HMDI系のイソシアネートを使用するのが好ましい。
保護コーティング層の厚さは、密着性、耐候性等の観点から、0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。
保護コーティング層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
本発明に係る保護コーティング層が含有する反射層の腐食防止剤としては、大別して、銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤と酸化防止剤が好ましく用いられる。ここで、「腐食」とは、金属(銀)がそれをとり囲む環境物質によって、化学的または電気化学的に浸食されるか若しくは材質的に劣化する現象をいう(JIS Z0103−2004参照)。
また、本発明に係るフィルムミラーにおいては、下塗り層が酸化防止剤を含有し、かつ保護コーティング層が銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤を含有している態様も好ましい。
なお、腐食防止剤の含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、一般的には、0.1〜1.0g/mの範囲内であることが好ましい。
〈銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤〉
本発明のフィルムミラーは銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤を有することが好ましい。具体的には、アミン類およびその誘導体、ピロール環を有する化合物、トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物類、チオ尿素類、メルカプト基を有する化合物、ナフタレン系の少なくとも一種またはこれらの混合物から選ばれることが望ましい。
アミン類およびその誘導体としては、例えば、エチルアミン、ラウリルアミン、トリ−n−ブチルアミン、o−トルイジン、ジフェニルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、アセトアミド、アクリルアミド、ベンズアミド、p−エトキシクリソイジン、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムサリシレート、モノエタノールアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンカーバメイト、ニトロナフタレンアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレート、シクロヘキシルアミンシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロヘキシルアンモニウムアクリレート、シクロヘキシルアミンアクリレート等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピロール環を有する物としては、例えば、N−ブチル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−3−ホルミル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−3,4−ジホルミル−2,5−ジメチルピロール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
トリアゾール環を有する化合物としては、例えば、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−メチル−1,2,3−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4,5,6,7−テトラハイドロトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピラゾール環を有する化合物としては、例えば、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリジン、ピラゾリドン、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、4−アミノピラゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チアゾール環を有する化合物としては、例えば、チアゾール、チアゾリン、チアゾロン、チアゾリジン、チアゾリドン、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、P−ジメチルアミノベンザルロダニン、2−メルカプトベンゾチアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
イミダゾール環を有する化合物としては、例えば、イミダゾール、ヒスチジン、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、4−フォルミルイミダゾール、2−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−フォルミルイミダゾール、4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
インダゾール環を有する化合物としては、例えば、4−クロロインダゾール、4−ニトロインダゾール、5−ニトロインダゾール、4−クロロ−5−ニトロインダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
銅キレート化合物類としては、例えば、アセチルアセトン銅、エチレンジアミン銅、フタロシアニン銅、エチレンジアミンテトラアセテート銅、ヒドロキシキノリン銅等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チオ尿素類としては、例えば、チオ尿素、グアニルチオ尿素等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
メルカプト基を有する化合物としては、すでに上記に記載した材料も加えれば、メルカプト酢酸、チオフェノール、1,2−エタンジオール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、グリコールジメルカプトアセテート、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ナフタレン系としては、チオナリド等が挙げられる。
本発明に係る保護コーティング層に用いられる反射層の腐食防止剤としては、酸化防止剤、安定剤を用いることもできる。酸化防止剤、安定剤としては、先に説明した高分子フィルムに適用可能な酸化防止剤及び安定剤と同様のものを挙げることができる。
〔下塗り層〕
本発明のフィルムミラーにおいては、高分子フィルムと反射層との密着性を向上させる観点から、高分子フィルム基材と反射層間に下塗り層を設けることが好ましい。
本発明に係る下塗り層に使用する樹脂では、上記密着性の他、耐熱性及び平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂等の単独またはこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の混合樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。
本発明において、下塗り層の厚さは、密着性、平滑性、反射層の反射率等の観点から、0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。
下塗り層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知の湿式コーティング方法が使用できる。
〔その他の構成要素〕
本発明のフィルムミラーにおいては、必要に応じ、下記の示す各機能層を形成してもよい。
(耐傷性易滑層)
本発明のフィルムミラーにおいては、フィルムミラーの最外層として、耐傷性易滑層を設けることができる。この耐傷性易滑層は、傷防止のために設けられる。
耐傷性易滑層層は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂などで構成することができる。特に、硬度と耐久性などの点で、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。さらに、硬化性、可撓性および生産性の点で、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂からなるものが好ましい。
活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂または熱硬化型のアクリル系樹脂とは、重合硬化成分として多官能アクリレート、アクリルオリゴマーあるいは反応性希釈剤を含む組成物である。その他に必要に応じて光開始剤、光増感剤、熱重合開始剤あるいは改質剤等を含有しているものを用いてもよい。
アクリルオリゴマーとは、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどであり、また、メラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなども用いられ得る。
また、反応性希釈剤とは、塗工剤の媒体として塗工工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能性あるいは多官能性のアクリルオリゴマーと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。
市販されている多官能アクリル系硬化塗料としては、三菱レイヨン株式会社;(商品名“ダイヤビーム”シリーズなど)、長瀬産業株式会社;(商品名“デナコール”シリーズなど)、新中村株式会社;(商品名“NKエステル”シリーズなど)、DIC(株);(商品名“UNIDIC”シリーズなど)、東亞合成株式会社;(商品名“アロニックス”シリーズなど)、日本油脂株式会社;(商品名“ブレンマー”シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名“KAYARAD”シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名“ライトエステル”シリーズ、“ライトアクリレート”シリーズなど)などの製品を利用することができる。
本発明において、耐傷性易滑層中には、本発明の効果が損なわれない範囲で、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レベリング剤および帯電防止剤などを用いることができる。
レベリング剤は、特に、耐傷性易滑層を塗工する際、表面凹凸低減に効果的である。レベリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤として、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(例えば、東レダウコーニング(株)製SH190)が好適である。
(ガスバリア層)
本発明のフィルムミラーにおいては、湿度の変動、特に高湿度によるフィルム基材及びフィルム基材で保護される各種機能層の劣化を防止することを目的として、ガスバリア層を設けることができる。
本発明において、ガスバリア層の防湿性としては、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が、100g/m・day/μm以下、好ましくは50g/m・day/μm以下、更に好ましくは20g/m・day/μm以下となるようにガスバリア層の防湿性を調整することが好ましい。また。酸素透過度としては、測定温度23℃、湿度90%RHの条件下で、0.6ml/m/day/atm以下であることが好ましい。水蒸気透過度は、例えば、MOCON社製の水蒸気透過度測定装置PERMATRAN−W3−33にて測定できる。
本発明に適用可能なガスバリア層は、主には金属酸化物により形成されるが、金属酸化物からなるガスバリア層としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、または酸化珪素、酸化アルミニウムを出発材料とした複合酸化物、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化クロム等が挙げられ、特に水蒸気バリア性の観点から酸化珪素、酸化アルミニウム、または珪素、アルミニウムを出発材料とした複合酸化物が好ましい。そのほか波長550nmにおける屈折率が1.35から1.8の低屈折率層と、波長550nmにおける屈折率が1.85から2.8である高屈折率膜を交互に積層した多層膜であっても良い。低屈折率膜材料としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどが挙げられる。高屈折率膜材料としては、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。これらは真空蒸着法、スパッタ法、イオンブレーティングなどのPVD法(物理蒸着法)、あるいは、CVD法(化学蒸着法)などの真空プロセスにより形成される。金属酸化物からなるガスバリア層の厚さは5〜800nmの範囲が好ましく、更に好ましくは10〜300nmの範囲である。
本発明において、フィルム基材上に酸化珪素層または酸化アルミニウム層、または酸化珪素、酸化アルミニウムを出発材料として形成した複合酸化物からなるガスバリア層は、酸素、二酸化炭素、空気などのガスまたは水蒸気に対する高いバリア作用に優れる。
さらに、酸化珪素層または酸化アルミニウム層、または酸化珪素、酸化アルミニウムを出発材料とした複合酸化物層は、膜厚がそれぞれ1μm以下であり、それぞれの光線透過率の平均値は90%以上であることが好ましい。これによって、光損失がなく、太陽光を効率よく反射することができる。
(犠牲防食層)
本発明のフィルムミラーには、犠牲防食層を設けることができる。本発明でいう犠牲防食層とは、金属から構成される反射層を犠牲防食により保護する層のことであり、犠牲防食層を反射層とフィルム基材との間に配置することにより、金属からなる反射層の耐食性を向上させることができる。本発明において、犠牲防食層としては、銀よりもイオン化傾向の高い銅が好ましく、銅の犠牲防食層は、銀から構成される反射層の下に設けることによって、銀の劣化を抑制することができる。
《太陽熱発電用反射装置》
次いで、本発明のフィルムミラーを適用した太陽熱発電用反射装置について、説明する。
本発明の太陽熱発電用反射装置は、フィルムミラーを、粘着層を介して保持部材、例えば、アルミニウム支持体等の金属製部材に固定することにより形成されている。
(粘着層)
粘着層としては、特に制限されず、例えば、ドライラミネート剤、ウェットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤等のいずれもが用いられる。例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトリルゴム等が用いられる。
ラミネート方法は、特に制限されず、例えば、ロール式で連続的に行うのが経済性及び生産性の点から好ましい。
粘着層の厚さは、粘着効果、乾燥速度等の観点から、通常1〜50μm程度の範囲であることが好ましい。
(保持部材)
本発明の太陽熱発電用反射装置において、保持部材としては金属支持体を用いることが好ましく、例えば、鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム系合金めっき鋼板、銅めっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめっき鋼板、ステンレス鋼板など熱伝導率の高い金属材料を用いることができる。本発明においては、特に、耐食性の良好なめっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板などにすることが好ましい。
(太陽熱発電用反射装置)
本発明の太陽熱発電用反射装置は、太陽光を集光する目的の太陽熱発電用フィルムミラーとして適用することができる。太陽熱発電用反射装置として用いる場合、反射装置の形状を樋状(半円筒状)として、半円の中心部分に内部に流体を有する筒状部材を設け、筒状部材に太陽光を集光させることで内部の流体を加熱し、その熱エネルギーを変換して発電する形態が一形態として挙げられる。また、平板状の反射装置を複数個所に設置し、それぞれの反射装置で反射された太陽光を一枚の反射鏡(中央反射鏡)に集光させて、反射鏡により反射して得られた熱エネルギーを発電部で変換することで発電する形態も一形態として挙げられる。特に後者の形態においては、用いられる反射装置に高い正反射率が求められる為、本発明の太陽熱発電用反射装置が特に好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《フィルムミラーの作製》
(フィルムミラー1の作製)
樹脂基材として、2軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ25μm)を用いた。このフィルムの片面に、銀反射層として真空蒸着法により厚さ80nmの銀反射層を形成した。銀反射層上にアクリル系の粘着剤エスダイン#7851(積水化学工業製)を15μm厚に塗布して粘着層を形成した。耐擦傷性易滑層として2軸延伸ポリエステルフィルム側にメチルアクリレート:ブチルアクリレート共重合体(比率64:36、紫外線硬化樹脂)の酢酸エチル溶液をグラビアコート法によりコーティングし、80℃で4分間乾燥後に紫外線照度が100mJ/cmとなるように紫外線を照射して比較例のフィルムミラー1の作製を作製した。
(フィルムミラー2の作製)
樹脂基材として、2軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ25μm)を用いた。このフィルムの片面に、銀反射層として、真空蒸着法により厚さ80nmの銀反射層を形成した。銀反射層上に、ポリエステル系樹脂(ポリエスター SP−181、日本合成化学社製)と、TDI系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率で10:2に混合した樹脂中に、さらに腐食防止剤としてグリコールジメルカプトアセテートを塗布後に0.3g/mとなるよう調整した量を添加し、グラビアコート法により0.1μmになるようコーティングしての銀保護ポリマー層1とした。さらにその上に紫外線吸収剤を含む層として、水分散エマルジョンタイプのベンゾトリアゾール系高分子型紫外線吸収コーティング液UVA−1383MG(BASF社製)をグラビアコート法によりコーティングして、55℃で4分間乾燥し厚さ3μmの銀保護ポリマー層2を形成した。銀保護ポリマー層1と2を合わせて銀保護ポリマー層とした。銀保護ポリマー層の上に、接着剤としてアクリル系の粘着剤TSB−085(DIC製)を10μm厚に塗布して接着層を形成したのち、粒径5μmの樹脂フィラーを片面に含む高分子フィルムのフィラー側を接着層にニップロール温度80℃、ニップロール圧力2MPaの条件によって貼り付けた。高分子フィルムはPMMAであり、屈折率nは1.495である。樹脂基材の銀反射層側とは逆側にアクリル系の粘着剤エスダイン#7851(積水化学工業製)を15μm厚に塗布して粘着層を形成して本発明のフィルムミラー2を作製した。
(フィルムミラー3の作製)
フィルムミラー2の作製において、高分子フィルム上に耐傷性易滑層として、レベリング剤メガファックRS72K(DIC製)を1%含むメチルアクリレート:ブチルアクリレート共重合体(比率64:36)の酢酸エチル溶液をグラビアコート法によりコーティングし、80℃で4分間乾燥後に紫外線照度が100mJ/cmとなるように作製した以外は同様にして本発明のフィルムミラー3を作製した。
(フィルムミラー4の作製)
フィルムミラー2の作製において、屈折率nが1.495の高分子フィルム(PMMAフィルム)の代わりに屈折率1.62、十点平均粗さRzが0.8μmのポリカーボネートフィルムを用いた以外は同様にして比較例のフィルムミラー4を作製した。
(フィルムミラー5の作製)
フィルムミラー2の作製において、十点平均粗さRzが15μmである高分子フィルムを用いた以外は同様にして比較例のフィルムミラー5を作製した。
(フィルムミラー6の作製)
フィルムミラー2の作製において粒径5μmの樹脂フィラーを片面に含む高分子フィルムのフィラー側を接着層にニップロール温度80℃、ニップロール圧力2MPaの条件によって貼り付けた。高分子フィルムは、フッ素系樹脂TFE/PDD(テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー)であり、屈折率nは1.395である。樹脂基材の銀反射層側とは逆側にアクリル系の粘着剤エスダイン#7851(積水化学工業製)を15μm厚に塗布して粘着層を形成して比較例のフィルムミラー6を作製した。
(フィルムミラー7の作製)
フィルムミラー6の作製において、高分子フィルム上に耐傷性易滑層として、レベリング剤メガファックRS72K(DIC製)を1%含むメチルアクリレート:ブチルアクリレート共重合体(比率64:36)の酢酸エチル溶液をグラビアコート法によりコーティングし、80℃で4分間乾燥後に紫外線照度が100mJ/cmとなるように作製した以外は同様にして本発明のフィルムミラー7を作製した。
《フィルムミラーの測定》
得られたフィルムミラーの高分子フィルムの屈折率nと十点平均粗さRz、及び接着層の屈折率n’は以下の方法で測定し結果を表1に示す。
(屈折率)
オリンパス製レンズ反射率測定機USPM−250を用いて波長300〜800nmの波長領域における高分子フィルムの反射率を測定し、空気との屈折率差と反射率から高分子フィルムの屈折率nを計算した。同様に接着層の屈折率n’も反射率測定値から計算した。
(十点平均粗さRz)
十点平均粗さRzはVeeco社製白色光干渉式表面粗さ測定機 WYKO HD3300を用いて測定した。
《フィルムミラーの評価》
〔初期のスポット径の測定〕
上記作製したフィルムミラーについて、例えばニコンエンジニアリング社製の小型ワーキングオートコリメーターWV−60を用いて、反射スポットのスポット径を計測した。スポットは、有効観測領域が直径28mmの円形とし、フィルムミラー表面が鏡面で反射効率が高い場合は、フィルムミラーに入射した光束径と同じスポット径がCCDセンサを通してモニター上に得られる。従って、初期スポット径が28mmに近いほど、反射効率に優れていることを表す。
〔初期の5度正反射率の測定〕
上記作製したフィルムミラーの太陽光入射面側における5度正反射率を測定した。日立社製の分光光度計 U−4100(固体試料測定システム)を使って、入射角5度の基準サンプルに対する相対反射率測定を行った。波長範囲は250nm〜2500nmで測定し、部分的に反射率が落ちる波長範囲が無いかどうかを確認した。可視光領域(400nm〜800nm)における反射率を平均し、これを5度正反射率とした。
〔耐擦過性の評価〕
上記作製したフィルムミラーの太陽光入射面側を、新東科学株式会社摩擦摩耗試験機(トライボステーションTYPE:32、移動速度4000mm/min.)を使用し、1000g/cmの荷重をかけた日本スチールウール株式会社製の品番#0000のスチールウールを20往復させた。次いで、20往復後に、上記と同様の方法でスポット径の測定を行った。上記の初期のスポット径の測定値に対し、変動幅が少ないほど、耐擦過性に優れていることを表す。
〔耐候性の評価〕
上記作製したフィルムミラーを、温度85℃、相対湿度85%の環境下で30日間放置後したのち、フィルムミラーの太陽光入射面側に対しキセノンランプ照射(スガ試験機 SX75を用いて、放射強度180W/m 168時間)を行った。次いで、キセノンランプ照射後に上記と同様の方法で5度正反射率を測定した。上記の初期の5度正反射率に対し、変動幅が少ないほど、耐候性に優れていることを表す。
〔密着性の評価〕
JIS K 5400に準拠した碁盤目試験を行った。具体的には、反射層を形成した面側に、1mm間隔で縦、横に11本の切れ目を入れ、1mm角の碁盤目を100個作製した。この上にセロハンテープを貼り付け、90度の角度で素早く剥がし、剥がれずに残った碁盤目の数を測定し、下記の基準に従って、高分子フィルム基材と反射層との密着性評価を評価した。
A:剥離がまったく認められない
B:剥離した碁盤目数が、1個以上、5個以下である
C:剥離した碁盤目数が、6個以上、10個以下である
D:剥離した碁盤目数が、11個以上、20個以下である
E:剥離した碁盤目数が、21個以上である
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2012026311
表1に記載の結果より明らかな様に、本発明のフィルムミラーは、比較例に対し、優れた正反射性を有すると共に、耐擦過性、耐候性及び密着性に優れていることが分かる。
実施例2
《太陽熱発電用反射装置の作製》
上記作製した各フィルムミラーの太陽光入射面とは反対側に形成した粘着層を保持部材として厚さ1mmのアルミニウム支持体上に固着させて、太陽熱発電用反射装置を作製した。
《太陽熱発電用反射装置の評価》
上記作製した太陽熱発電用反射装置について、実施例1に記載の方法と同様にして、初期のスポット径、初期の5度正反射性、耐擦過性、耐候性、密着性を評価した。耐久性は、北緯24度東経125度の場所で3ヶ月間屋外暴露した後の5度正反射率である。結果を表2に示す。
Figure 2012026311
本発明のフィルムミラーを用いた太陽熱発電用反射装置は、比較例に対し良好な結果を得ることができた。
本発明は、以上のように構成されていることから、太陽光を反射するフィルムミラー、フィルムミラーの製造方法及び太陽熱発電用反射装置として利用できる。

Claims (6)

  1. 十点平均粗さRzが1μm以上10μm以下の表面凹凸を持つ面に屈折率n’の接着層を有し、かつ、屈折率がnの高分子フィルムと、反射層を含むフィルムとを、該接着層を介して貼り合わせたフィルムミラーが、下記式(1)を満たすことを特徴とするフィルムミラー。
    式(1) |n−n’|<0.1
  2. 前記接着層の厚さは5μmから30μmの範囲であることを特徴とする請求項1記載のフィルムミラー。
  3. 前記高分子フィルムの表面が、直径1μm以上10μm以下の粒子を含有することを特徴とする請求項1又は2記載のフィルムミラー。
  4. 前記反射層を含むフィルムの反射層が、銀反射層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のフィルムミラー。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載のフィルムミラーを、十点平均粗さRzが1μm以上10μm以下の表面凹凸を持つ面に屈折率n’の接着層を有し、かつ、屈折率がnの高分子フィルムと、反射層を含むフィルムとを、該接着層を介して貼り合わせて製造することを特徴とするフィルムミラーの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項記載のフィルムミラーを用いた太陽熱発電用反射装置。
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