JP2006224650A - 意匠性被覆用積層シートおよび積層シート被覆金属板 - Google Patents

意匠性被覆用積層シートおよび積層シート被覆金属板 Download PDF

Info

Publication number
JP2006224650A
JP2006224650A JP2005138114A JP2005138114A JP2006224650A JP 2006224650 A JP2006224650 A JP 2006224650A JP 2005138114 A JP2005138114 A JP 2005138114A JP 2005138114 A JP2005138114 A JP 2005138114A JP 2006224650 A JP2006224650 A JP 2006224650A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
resin layer
laminated sheet
sheet
metal plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005138114A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4907102B2 (ja
Inventor
Toshiaki Ebiya
俊昭 蛯谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Plastics Inc
Original Assignee
Mitsubishi Plastics Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Plastics Inc filed Critical Mitsubishi Plastics Inc
Priority to JP2005138114A priority Critical patent/JP4907102B2/ja
Publication of JP2006224650A publication Critical patent/JP2006224650A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4907102B2 publication Critical patent/JP4907102B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】 従来から用いられているエンボス付与機を用いて、良好なエンボス柄を付与することができ、カレンダー製膜法によって、各種色味のシートを効率よく得ることができる意匠性被覆用積層シート、およびこの積層シートにより被覆して作製した、良好な性能(耐沸騰水浸漬性、エンボス耐熱性、耐湿熱性、加工性、表面硬度、耐薬品性)を有する積層シート被覆金属板を提供する。
【解決手段】 第一樹脂層10と第二樹脂層20Aとの少なくとも2層を有する意匠性被覆用積層シートにおいて、第一樹脂層を、ガラス転移温度(Tg)が85℃以上であるアクリル系樹脂を主体とし、シート製膜時の流れ方向(MD)およびそれに直交する方向(TD)の両方向についての23℃における引張り破断伸びが、100%以上350%以下であり、着色剤を有する層とし、第二樹脂層を、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体とし、透明で、無配向である層とする。
【選択図】 図1(c)

Description

本発明は、意匠性被覆用積層シート、および該積層シートで被覆した積層シート被覆金属板に関する。特に、耐傷入り性、耐薬品性、加工性に優れるとともに、エンボスの耐熱性や沸騰水浸漬性にも優れ、ユニットバス壁材、ユニットバス天井材等に好適に用いることができる積層シート被覆金属板、および該金属板を製造するための積層シートに関する。また、本発明の意匠性被覆用積層シートは、金属板に被覆して用いる以外にも木質板、無機質繊維板、熱可塑性樹脂板、熱硬化性樹脂板等に被覆して意匠性を高める目的に好適に用いることができる。
従来、上記用途における材料としては、エンボス意匠を付与した軟質塩化ビニル系樹脂シート(以下、「軟質PVCシ−ト」ということがある。)を、合成樹脂成形品、合板、木質繊維板、金属板等に被覆したものが用いられてきた。この軟質PVCシ−トの特徴としては、
(1)エンボス付与適性に優れることから、意匠性に富んだ被覆材を得ることができる、
(2)一般的に背反要素である加工性と表面の傷入り性のバランスが比較的良好である、
(3)各種添加剤との相容性に優れること、および長年にわたり添加剤による物性向上検討が行われて来たことから、耐久性に優れた樹脂皮膜を得ることが容易である、等の点を挙げることができる。
この軟質PVCシートの長尺シ−トに連続的にエンボスを付与する方法としては、製膜後のシートを再加熱により軟化させ、エンボス柄を彫刻したロール(エンボス版ロール)で抑えて柄を連続的に転写させる方法が一般的に用いられている。シートを加熱する方法として、加熱した金属ロールに接触させて加熱するような接触型や、赤外ヒーターや、熱風ヒーターなどによってロールなどに接触させることなく加熱する非接触型などが考えられる。実際の製造ラインでは、どちらか一方だけの場合もあるが、一般的には併用されることが多い。また、これら一連の工程を有する設備をエンボス付与機等と称している。
このようなエンボス付与機においては、一般的に、エンボス版ロールの交換脱着が非常に容易に行える設計が盛り込まれている。また、エンボス版ロールの直径が押出し製膜設備のキャスティングロール等と比較して小さいことから、多種のエンボス版ロールを用意しておくことでエンボス柄の変更を容易かつ経済的に行うことができる。これらのことから、このエンボス付与機を用いたエンボス付与方法は、小ロット対応に適したものであるといえる。
また、着色された軟質PVCシートの表面に印刷を施した後、透明な軟質PVCシートを積層一体化し、該積層シートをエンボス付与機へ連続的に通すことによって得られる、エンボス意匠と同時に印刷意匠を有する軟質PVC積層シートが存在する。この場合、前述のエンボス付与機でのシート予熱を利用して、2層のシートを熱融着で積層一体化することができ、積層のための特別な工程を必要としないことから生産性が良く、コスト面でも優れたものであった。
しかし、近年、VOC問題や内分泌撹乱作用の問題、燃焼時に塩化水素ガスその他の塩素含有ガスを発生する問題等から上記の軟質PVCシートは、その使用に制限を受けるようになってきた。そこで、上記のような優れた特徴を有する軟質PVCシートの代替材料が求められており、加工性と表面傷付き性に優れたポリエステル系樹脂よりなるシートを用いることが検討されている。
特許文献1には、結晶性の高いポリエステルを主成分として、凹凸模様を表面に有する樹脂被覆金属板が記載されている。また、特許文献2には、従来からのエンボス付与機により良好なエンボス柄転写を得られるポリエステル系積層シートが記載されている。また、特許文献3には、ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂の組み合わせによる積層シートが記載されている。
特許第3251020号公報 国際公開第03/045690号パンフレット 特許第2885998号公報
しかし、特許文献1に記載の樹脂被覆金属板における樹脂の組成では、従来から軟質PVCのシートにエンボス柄を転写するために用いられてきたエンボス付与機によって、エンボス柄を転写するのは容易ではなかった。よって、良好なエンボス柄を付与するためには、エンボス付与前の樹脂シートを金属板にラミネートするのと同時に、あるいは、樹脂被覆金属板を再加熱して結晶性の高いポリエステル樹脂の融点以上に加熱してエンボス柄を転写する必要があった。また、結晶性の高いポリエステル樹脂を主体とすることから、カレンダー製膜により樹脂シートを得ることが容易ではなく、樹脂シートを得るためには、小ロット適性に劣る押出し製膜法によらなければならなかった。よって、各種色味のシートを効率よく得るには問題があった。
また、特許文献2に記載の積層シートにおいては、やはり結晶性のポリエステル樹脂を含むことから、各種色味のシートをカレンダー製膜により得る小ロット生産をするには問題があった。
また、特許文献3に記載の積層シートにおいては、両層とも透明なシートであり、着色シートをカレンダー製膜することにより小ロットで各種色味のシートを得ることを目的とするものではない。
そこで、本発明は、従来から用いられているエンボス付与機を用いて、良好なエンボス柄を付与することができ、カレンダー製膜法によって、各種色味のシートを効率よく得ることができる意匠性被覆用積層シート、およびこの積層シートを被覆して作製した、良好な性能(耐沸騰水浸漬性、エンボス耐熱性、耐湿熱性、加工性、表面硬度、耐薬品性)を有する積層シート被覆金属板を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
第一の本発明は、ガラス転移温度(Tg)が85℃以上であるアクリル系樹脂を主体とし、シート製膜時の流れ方向(MD)およびそれに直交する方向(TD)の両方向についての23℃における引張り破断伸びが、100%以上350%以下であり、着色剤を有する第一樹脂層(10)、および実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体とし、透明で、無配向である第二樹脂層(20)からなる少なくとも2層を有する意匠性被覆用積層シートである。
ここで、本発明の「積層シート」には、その厚みに関して一般的には「フィルム」と呼称する範囲と「シート」と呼称する範囲の両方を含むものである。以下、本発明においては、便宜上、「シート」という単一呼称を用いた。
また、「無配向」とは、積層シートに何らかの性能を付与するために意図して延伸操作等の配向処理を行ったものではないことを意味している。よって、押出し製膜時にキャスティングロールによる引き取りで発生する配向等まで存在しないという意味ではない。
また、「主体」とは、それぞれの樹脂を含む層の樹脂成分を基準(100質量%)として、対応するそれぞれの樹脂を50質量%以上、好ましくは75質量%以上含むことをいう(本明細書において、以下、同様である。)。
第二の本発明は、ガラス転移温度(Tg)が85℃以上であるアクリル系樹脂を主体とし、シート製膜時の流れ方向(MD)、およびそれに直交する方向(TD)の両方向についての23℃における引張り破断伸びが、100%以上350%以下であり、着色剤を有する第一樹脂層(10)、および実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂と、芳香族ポリカーボネート系樹脂とのブレンド組成物を主体とし、透明で無配向である第二樹脂層(20)からなる少なくとも2層を有する意匠性被覆用積層シートである。
前記ブレンド組成物について、示差走査熱量計により加熱速度10℃/分で測定したガラス転移温度(Tg)は、単一であり、かつ100℃以上150℃以下であることが好ましい。
第三の本発明は、ガラス転移温度(Tg)が85℃以上であるアクリル系樹脂を主体とし、シート製膜時の流れ方向(MD)、およびそれに直交する方向(TD)の両方向についての23℃における引張り破断伸びが、100%以上350%以下であり、着色剤を有する第一樹脂層(10)、および実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂60〜80質量%と、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂40〜20質量%とのブレンド組成物を主体とし、透明で無配向である第二樹脂層(20)からなる少なくとも2層を有する意匠性被覆用積層シートである。
前記第一樹脂層(10)におけるアクリル系樹脂は、アクリル樹脂系架橋弾性体成分を核にして、アクリル系樹脂をグラフト重合して得られるコア・シェル型の共重合組成物を含み、前記第一樹脂層(10)は、カレンダー製膜法によって製膜されたものであることが好ましい。
前記実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂は、テレフタル酸、またはジメチルテレフタル酸をジカルボン酸成分の主体とし、ジオール成分の20〜80mol.%が1.4−シクロヘキサンジメタノールで、残りの80〜20mol.%がエチレングリコールである共重合ポリエステル系樹脂であることが好ましい。
上記の意匠性被覆用積層シートにおいては、第一樹脂層(10)と第二樹脂層(20)との間に印刷層(30)を有していてもよい。
上記の意匠性被覆用積層シートにおいては、前記第二樹脂層(20)側表面にエンボス版により形成された凹凸形状を有していてもよい。
第四の本発明は、上記の第二樹脂層(20)側表面にエンボス版により形成された凹凸形状を有している意匠性被覆用積層シートの第一樹脂層(10)側を接着面として、接着剤によって金属板(60)の上に積層した積層シート被覆金属板である。
第五の本発明は、上記の積層シート被覆金属板を用いた、建築内装材である。
第六の本発明は、上記の積層シート被覆金属板を用いた、鋼製家具部材である。
第七の本発明は、上記の積層シート被覆金属板を用いた、家電製品筐体部材である。
第八の本発明は、上記の積層シート被覆金属板を用いた、エレベーター壁面材である。
第一の本発明においては、着色剤を有する第一樹脂層10が、アクリル系樹脂を主体としているので、着色性に優れている。また、第一樹脂層10は、第二樹脂層20および金属板60との接着性に優れている。また、アクリル系樹脂はカレンダー製膜が比較的容易であることから、小ロットで各種色味の積層シートを容易に得ることができる。
また、所定の引張り破断伸びを有する第一樹脂層10とすることで、本発明の積層シートで金属板を被覆した場合に、その被覆金属板の加工性を良好なものとすることができる。さらに、第一樹脂層10を構成するアクリル系樹脂のガラス転移温度が85℃以上であり、第二樹脂層20がポリエステル系樹脂を主体とする層であることより、本発明の積層シートは、表面硬度に優れ、また、エンボス付与機でのエンボス柄の転写適性にも優れている。よって、色味だけでなく、エンボス柄に関しても小ロットで多様な柄を転写できる積層シートを得ることができる。
第二の本発明においては、第二樹脂層20を実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂と、芳香族ポリカーボネート系樹脂とのブレンド組成物を主体とする層とすることで、ブレンド組成物のガラス転移温度を高くすることができ、沸騰水浸漬など、高温の水と接触した場合のエンボス柄の残存性をより良好なものとできるものである。
第三の本発明においては、第二樹脂層20に特定範囲の量のポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂を配合することで、PBT系樹脂の結晶性により、沸騰水浸漬など、高温の水と接触した場合のエンボス柄の残存性をより良好にすることができる。
第四の本発明においては、良好な加工性と、耐傷入り性を有し、沸騰水浸漬でも外観の劣化を生じないエンボス意匠性の積層シート被覆金属板を得ることができる。
第五〜第七の本発明においては、上記の性能を有する金属板を用いて作製した、良好な性能を有する加工品を得ることができる。
以下、本発明を具体化した実施の形態を説明する。
本発明の意匠性被覆用積層シートは、第一樹脂層10および第二樹脂層20からなる少なくとも2層を有する。以下に適宜図1(a)〜図1(e)を参照しつつ、本発明の意匠性被覆用積層シート、および積層シート被覆金属板について説明する。
図1(a)は、本発明の基本構成の積層シートである、着色アクリル系樹脂層(第一樹脂層10)と、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体とし、透明で、無配向である樹脂層(第二樹脂層20)の少なくとも2層より形成されている積層シート110の断面を示す模式図である。また、図1(b)は、図1(a)の構成に加えて、第一樹脂層10と第二樹脂層20との間に印刷柄30が設けられている構成の積層シート120の断面を示す模式図である。図1(c)は、図1(b)の積層シート120の第二樹脂層20側表面にエンボス柄が付与されてエンボスつきの第二樹脂層20Aが配置されている積層シート130の断面を示す模式図である。また、図1(d)は、図1(a)の構成において、第一樹脂層10と第二樹脂層20との間に接着剤層40、若しくは接着性樹脂層40を設けた積層シート140の断面を示す模式図である。さらに、図1(e)は、図1(c)に示す構成の積層シート130が接着剤50を介して金属板60上に積層されている、積層シート被覆金属板150の断面を示す模式図である。
<第一樹脂層10>
第一樹脂層10は、ガラス転移温度が、85℃以上であるアクリル系樹脂を主体とするものである。ガラス転移温度が、これより低いアクリル系樹脂を用いた場合は、本発明の積層シートで金属板を被覆した場合、その表面硬度が低くなりやすい。また、積層シートで被覆した金属板を沸騰水に浸漬した場合に、第一樹脂層10の弾性率が著しく低下し、積層シートの変形、膨れが発生したり、金属板60からの剥離が生じたりする等のおそれがある。ここで、沸騰水浸漬試験は、ユニットバス壁材等の規格試験として一般的に設けられている項目であり、ユニットバス壁材等の用途に用いる場合には、沸騰水浸漬耐性を有することが必要とされる。
第一樹脂層10は、シート製膜時の流れ方向(MD)およびそれに直交する方向(TD)の両方向についての23℃における引張り破断伸びが、100%以上350%以下である。引張り破断伸びが小さすぎると、積層シートで被覆した金属板に対して、折り曲げ加工等を施した場合に、積層シートの割れ等加工性不良を生じ易くなる。また、引張り破断伸びが大きすぎると、第一樹脂層10の柔軟性が高過ぎるため、第一樹脂層10を単体として取り扱い際に作業性の問題が生じ、また、以下で説明する第二樹脂層20を積層したとしても、積層シートに十分な耐傷入り性を付与することが難しくなる。
「アクリル系樹脂」とは、一般式(1)
CH=CR1−COOR2
で示されるアクリル系単量体の単一組成、または複数組成を重合して得られる重合体を主成分として含むものをいう。
一般式(1)において、R1は、水素原子またはメチル基を表し、R2は、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基またはシクロアルキル基を表す。
第一樹脂層10における、アクリル系樹脂としては、例えば、ブチルアクリレート等とメチルメタアクリレート等とをランダム共重合させて破断伸びを向上させたアクリル樹脂、アクリル系樹脂との相容性に優れ、アクリル系樹脂のガラス転移温度を低下させる作用を有する可塑剤を添加したアクリル系樹脂、あるいは、アクリル系樹脂とある程度の相溶性を有するポリマー成分を添加等することにより必要な破断伸びを得たアクリル系樹脂、を用いることができる。
上記のアクリル系樹脂のガラス転移温度を低下させる作用を有する可塑剤としては、フタル酸系の可塑剤、連続塊状重合により得られた分子量1000〜20000のアクリル系高分子可塑剤(例えば、東亜合成社製「アルフォンUP」)等を用いることができる。
また、上記のアクリル系樹脂とある程度の相溶性を有するポリマー成分としては、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリエチレンオキサイド等を用いることができる。
所定のガラス転移温度および所定の引張り破断伸びを有する第一樹脂層10とするために、アクリル系樹脂は、アクリル樹脂系架橋弾性体成分を核にして、アクリル系樹脂をグラフト重合して得られるコア・シェル型の共重合組成物を含むものであることが好ましい。
アクリル樹脂系架橋弾性体成分とは、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートを構成成分として含み、エチレングリコールジメタアクリレートなどの架橋性モノマーを共重合することによって得られるガラス転移温度が0℃より低いアクリル系の架橋ゴムをいう。
該アクリル系架橋弾性体成分にグラフト重合されるアクリル系樹脂とは、メチルメタアクリレートを構成成分として含む架橋されていないアクリル系樹脂をいう。
このようなコア・シェル型の共重合組成物を含むアクリル系樹脂としては、ソフトアクリル、軟質アクリル、柔軟性アクリル、またはカレンダーアクリルなどの呼称で市販されているものを用いることができる。
このようなアクリル系樹脂は、架橋弾性体成分を比較的多量に含有していることから熔融張力が高く、カレンダー製膜時に熔融張力が不足してドローダウンすることで製膜困難となるおそれが少ない。また、架橋弾性体成分を含むことによって、第一樹脂層10の金属ロールからの離型性が良好なものとなり、滑剤等に特別な工夫をしなくともカレンダーロールへの粘着のおそれが少ない。従って、第一樹脂層10におけるアクリル系樹脂を、コア・シェル型の共重合組成物を含むアクリル系樹脂とすることによって、第一樹脂層10をカレンダー製膜法によって製膜するのに適したものとすることができる。
上記したコア・シェル型の共重合体組成物を含むアクリル系樹脂を用いた場合、アクリル系樹脂を所定のガラス転移温度として、かつ、第一樹脂層10の引張り破断伸びを所定の範囲とすることが容易であり、この点からも、上記のコア・シェル型の共重合体組成物を含むアクリル系樹脂を用いることが最も好ましい形態である。また、第一樹脂層10をカレンダー製膜により作製し、小ロット対応とする必要がない場合は、カレンダー適性を有しないアクリル系樹脂を用いても構わない。
第一樹脂層10には意匠性の付与、金属板60など積層シートが被覆される下地材の視覚的隠蔽効果の付与、印刷層30の発色の向上等の目的で着色剤が添加される。着色剤としては、顔料であっても、染料であってもよく、上記目的のために一般的に用いられているものを用いることができる。その添加量に関しても上記目的のために一般的に添加される量で良く、例えば、顔料の添加量は、第一樹脂層10全体の質量を基準(100質量%)として、0.2〜40質量%である。また、染料の添加量は、第一樹脂層10全体の質量を基準(100質量%)として、0.1〜2質量%である。また、着色剤は、一種類であってもよいし、数種類を混合して用いてもよい。
好ましい着色剤としては、例えば、白系の着色では隠蔽効果が高く、かつ粒径が微細であることから積層シートの加工性に与える影響の少ない酸化チタン顔料をベースとして、色味の調整のために、有彩色の有機、無機の顔料あるいは染料を少量添加したものを用いることができる。この場合、第一樹脂層10がアクリル系樹脂を主体とする層であるので、着色剤の分散性が優れており、第一樹脂層10の発色性は良好なものとなる。これにより、意匠性に優れた本発明の積層シートを得ることができる。
下地の視覚的隠蔽効果に関しては、用途によってその重要度が異なり一概に規定できるものではないが、一つの目安としては内装建材用途の樹脂被覆金属板においては、JIS K5400 7.2「塗料一般試験方法・隠蔽率」に準拠して測定した隠蔽率が0.98以上であることが求められる場合が多く、本発明の積層シートで被覆した積層シート被覆金属板においても、上記の隠蔽率が0.98以上であることが好ましい。また用途によっては、下地の有する色彩や模様の意匠を反映させるため、あえて第一樹脂層の着色隠蔽性を低下させることもできる。
また、第一樹脂層10には、その性質を損なわない範囲において、各種添加剤を適宜な量添加しても良い。添加剤としては、燐系、フェノール系等の各種酸化防止剤、ラクトン系、フェノールアクリレート系等のプロセス安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、衝撃改良剤、各種加工助剤、金属不活化剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料分散性改良剤、充填・増量剤等、樹脂材料に一般的に添加される添加剤を挙げることができる。
第一樹脂層10の製膜方法に関しては、特に制限はなく、Tダイ製膜法、インフレーション法等の押出し製膜法や、溶剤キャスト法等により製膜することができる。この中でも、小ロット対応性に優れるカレンダー製膜法によって製膜することが特に好ましい。
第一樹脂層10の厚みは、40μm以上であることが好ましい。厚みが薄すぎる場合は、下地を隠蔽するために多量の着色剤を添加することが必要となり、その結果、第一樹脂層10の加工性が低下するおそれがある。また、第一樹脂層10の厚みを薄くしつつ、高い隠蔽効果を得るために、特殊な着色剤を添加する必要が生じ、製造コストが上昇してしまう。さらに、第一樹脂層10をカレンダー法で製膜する場合の製膜安定性を考慮すると、第一樹脂層10の厚みは、70μm以上であることがより好ましい。
また、第一樹脂層10の厚みは、280μm以下であることが好ましい。厚みが厚すぎると、意匠効果や視覚的隠蔽効果、金属板60に対する保護効果は飽和するのに対し、加工性が低下するおそれがある。また、本発明の積層シートの厚みを以下に示す好ましい範囲とするためにも、第一樹脂層10は、上記の範囲以下の厚みであることが好ましい。
<第二樹脂層20>
第二樹脂層20は、比較的柔軟な第一樹脂層10上に積層することによって、本発明の積層シートに対して耐傷入り性を付与することができ、また、ユニットバス壁材等として用いられる場合において、アルコール系洗浄剤等に対して耐性が低い第一樹脂層10に対して、かかる耐性を付与することができる。さらに、第一樹脂層10がアクリル樹脂系架橋弾性体成分を多量に含有している場合は、エンボス付与適性に劣ることから、第二樹脂層20を積層することによって、本発明の積層シートをエンボス付与適性に優れたものとすることができる。また、以下において説明する印刷層30を保護する効果もある。
上記の目的を達成する第二樹脂層20は、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体とするものである。
「実質的に非晶性である」とは、示差走査熱量計(DSC)により、昇温時に明確な結晶融解挙動を示さないポリエステル樹脂を意味するとともに、結晶性を有するものの結晶化速度が遅く、製膜工程、およびエンボス付与機でエンボス柄が転写されるまでの加熱工程において、エンボス転写が困難になるほど結晶化が進行しないポリエステル系樹脂をも含有することを意味する。
実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートのジオール成分の一部(約20〜80mol.%)を1.4−シクロヘキサンジメタノールで置換した組成を有するポリエステル樹脂を好ましく用いることができる。この場合、1.4−シクロヘキサンジメタノールの置換量が少なすぎると、結晶性樹脂としての特徴が顕著になり、エンボス付与機での加熱時に結晶化が進行してエンボス付与が困難になるおそれがある。また、置換量が多すぎる場合も結晶性が顕著になり、その融点も高温になる。
実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂として、例えば、原料の安定供給性や生産量が多いことから低コスト化が図られているいわゆるPET−Gを挙げることができる。PET−Gとして具体的には、イーストマンケミカル社の「イースターPET−G・6763」やそれに類する樹脂を用いることが好ましい。このイースターPET−G・6763は、ポリエチレンテレフタレートのジオール成分の約30mol.%を1.4−シクロヘキサンジメタノールで置換した構造を有するもので、DSC測定で結晶化挙動が認められない実質的に非結晶性のポリエステル樹脂である。
また、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂としては、上記以外に、ネオペンチルグリコール共重合PETで結晶性を示さないものや、結晶性が低いもの、イソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂で結晶性が低いもの等を用いることもできる。
第二樹脂層20は、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂と、芳香族ポリカーボネート系樹脂とのブレンド組成物を主体とするものであってもよい。芳香族ポリカーボネート系樹脂を混合することによって、ガラス転移温度が上昇し、沸騰水浸漬など高温の水と接触した後のエンボスの残存性をより良好なものとすることができる。
このブレンド組成物において、ブレンド組成物全体の質量を基準(100質量%)として、芳香族ポリカーボネート系樹脂は25〜100質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがさらに好ましい。
ブレンド組成物について、示差走査熱量計により加熱速度10℃/分で測定したガラス転移温度は、単一であり、かつ100℃以上150℃以下であることが好ましく、110℃以上130℃以下であることがさらに好ましい。このガラス転移温度が低すぎると、沸騰水浸漬後のエンボスの残存性が、芳香族ポリカーボネート系樹脂をブレンドしない場合と比べて大きな改善が見られない。また、市販原料として容易に比較的低コストで入手可能な芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度は通常150℃程度であることから、ガラス転移温度が高過ぎるものを得るのは難しい。
ここで、「ガラス転移温度が、単一」であるとは、ブレンド組成物をJIS K−7121に準じて、加熱温度10℃/分で示差走査熱量計を用いてガラス転移温度の測定を行った際に、ガラス転移温度が一点だけ観察されるという意味である。
第二樹脂層20において、上記のブレンド組成物を主体として用いる場合は、かかるブレンド組成物に含まれる実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートのジオール成分の約50mol.%以上を1.4−シクロヘキサンジメタノールで置換したものを用いることが、芳香族ポリカーボネート系樹脂との相溶性に優れることから好ましい。このような実質的に非晶性であるポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートのジオール成分の約65mol.%を1.4−シクロヘキサンジメタノールで置換したイーストマンケミカル社の「PCTG・5445」を挙げることができる。
ポリエチレンテレフタレートのジオール成分の約20mol.%以上50mol.%未満を1.4−シクロヘキサンジメタノールで置換したものは、芳香族ポリカーボネート系樹脂との相容性がやや劣り、熔融混練条件によっては、ガラス転移温度が単一とならない場合がある。この場合、第二樹脂層20のヘイズ(曇り度)が増大したり、沸騰水浸漬後のエンボスの残存性を良好にするためには多量の芳香族ポリカーボネート系樹脂を配合する必要が生じたりして、その結果、積層シート表面のシルクスクリーン印刷適性などが低下するおそれがある。ただし、このような問題が特に重要でない場合には、ポリエチレンテレフタレートのジオール成分の約20mol.%以上50mol.%未満を1.4−シクロヘキサンジメタノールで置換したものを用いてもよい。また、適宜相容化剤類を用いて、あるいは熔融混練条件により、準単一のガラス転移温度が現出するように改質して用いても良い。
ブレンド組成物に用いることができる芳香族ポリカーボネート系樹脂としては、特に制限はないが、ビスフェノールAとホスゲンを原料とする、あるいはホスゲンを用いないものの同一の分子構造を有する最も汎用的なビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂を用いることができる。本発明に用いられる芳香族ポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量は、20000〜40000の範囲のものが好ましく、22000〜30000の範囲のものがより好ましい。粘度平均分子量が小さすぎるものは、力学的強度、特に低温衝撃強度が低下することが知られている。一方、粘度平均分子量が大きすぎるものは、熔融粘度が非常に高くなり成形加工性が低下し、また、重合に長時間を要することから生産サイクルやコストの点から好ましくない。
第二樹脂層20に付与されたエンボス柄について、沸騰水浸漬など高温の水と接触した場合の残存性をより良好なものとする別の方法として、第二樹脂層20を実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂60〜80質量%と、結晶性ポリエステル樹脂であるポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂20〜40質量%とのブレンド組成物を主体とするものを用いてもよい。
このブレンド組成物に用いるPBT系樹脂としては、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、若しくはジメチルテレフタル酸、ジオール成分として、1.4−ブタンジオールの各単一成分(意図せざる共重合成分が入っていてもよい。)を用いた、いわゆるホモPBT系樹脂を用いることがコストや入手の容易さの点から好ましい。
このようなPBT系樹脂の代わりに、結晶性のポリエチレンテレフタレート(PET)系の樹脂を用いた場合は、結晶性のPET系樹脂の結晶化速度が遅く、これによる積層シートで被覆した金属板60を沸騰水に浸漬した際、結晶化が進行するより速く弾性率が低下しエンボス柄が戻りを生じてしまう。また、結晶化が進行した場合においては、無配向のPET系樹脂は加工性が著しく低下してしまう。これらのことから、結晶性のPET系樹脂を用いることは好ましくない。
また、PBT系樹脂と同様に結晶化速度が速く、かつ結晶化した状態でも良好な加工性を有する結晶性ポリエステル系樹脂としてポリトリメチレンテレフタレート(PTT)系樹脂を、PBTの代替材料として、挙げることができる。なお、各種グレード原料の入手の容易さやコストの面を考慮すると、PBT系樹脂を用いることがより好ましいといえる。
ブレンド組成物におけるPBT系樹脂の比率は、ブレンド組成物全体の質量を基準(100質量%)として、40〜20質量%であり、35〜25質量%であることがより好ましい。PBT系樹脂の比率が多すぎると、第二樹脂層20の結晶性が顕著になり、エンボス付与機でのエンボス柄の転写が困難になる。また、PBT系樹脂の比率が少なすぎると、第二樹脂層20が実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂のみから成る場合と沸騰水浸漬性に大差はなくなり、あえてPBT系樹脂をブレンドする理由がなくなる。
第二樹脂層20の厚みは、15μm〜150μmの範囲であることが好ましく、20μm〜100μmの範囲であることがさらに好ましく、30μm〜75μmの範囲であることが特に好ましい。第二樹脂層20の厚みが薄すぎると、第一樹脂層20が比較的柔軟なアクリル系樹脂を主体とする層であることから、積層シートの表面硬度が低くなり、耐傷入り性を確保することが難しくなる。また、厚みが厚すぎると、第一樹脂層10として、特定の破断伸びを有する加工性の良好なアクリル系樹脂を主体とする層を用いたにも関わらず、第二樹脂層20との積層シートとした場合の加工性が劣ってしまう。また、第二樹脂層20は基本的に光黄変性を有するポリエステル系樹脂を主体としているので、経時的な光黄変が目立つ程度とならないためにも第二樹脂層20の厚みはあまり厚くしないことが好ましい。
第二樹脂層20には、本発明の効果を損なわない程度に、各種の樹脂用添加剤が適宜な量添加されていても良い。樹脂用添加剤としては、著しく透明性を低下させたり、積層シート被覆金属板として折り曲げ等の加工を施した際にボイドを生じて物性低下を来すおそれがあるような添加剤以外は、第一樹脂層10に用いることができる添加剤と同様なものを用いることができる。また、ポリエステル系樹脂において特に効果が期待されるカルボジイミド系化合物やオキサゾリン系化合物などの加水分解防止剤を添加しても良く、このような加水分解防止剤としては、各社から市販されているものを用いることができる。また、用途によっては、第二樹脂層20の経時的な光黄変を抑制する目的で紫外線吸収剤を添加することもできる。
第二樹脂層20は、透明である。着色に関しては、以下において説明する印刷層30が存在しない場合においても、カレンダー製膜性が良好で小ロット対応性に優れた第一樹脂層10を着色層として、第二樹脂層20は隠蔽性の高い顔料を含まないことが好ましい。また、第二樹脂層20には、意匠性付与の目的で染料系などの透明着色剤、蛍光剤、青み付与剤等を添加して、透明性を確保しつつ着色を行っても良く、また、メタリックパウダー、表面修飾マイカ粉、ホログラム箔等を添加して、透明性を確保しつつ着色を行っても良い。これにより、第一樹脂層10における顔料等の着色剤による着色意匠、さらに以下において説明する印刷層30の印刷意匠に加えて第二樹脂層20に付与した意匠を併せて全体の意匠を形成することができる。
第二樹脂層20の製膜は、押出し製膜法として公知の方法、例えばインフレーション法やTダイ法等により実施することができる。また、第二樹脂層20が実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体とし、PBT系樹脂などの結晶性ポリエステル系樹脂を含まない場合は、従来より軟質PVCのシート製膜に用いて来たカレンダー製膜装置の温度条件で製膜することが可能である。ただし、このように製膜する場合は、カレンダー製膜適性を付与するためにMBS系衝撃改良剤または比較的多量の滑剤を添加する必用があり、これらの添加剤が湿熱試験時、あるいは実使用時にMBSの熱劣化による変色や滑剤成分の吹きだし等の外観不良に繋がるおそれがある。よって、このような点を考慮すると、第二樹脂層20は、これらの添加剤を基本的に必要としない押出し製膜法によって製膜するのがより好ましい。
第二樹脂層20には基本的に隠蔽性のある着色顔料は、添加しない。よって、押出し製膜により単一のグレードを連続的に製膜し、これを各種色味でカレンダー製膜した第一樹脂層10に積層することで、本発明の積層シートを、小ロットに対応できるものとすることができる。
<印刷層30>
本発明の積層シートは、第一樹脂層10と第二樹脂層20との間に、印刷層30を有していてもよい。印刷層30は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷方法で施される。印刷層30の絵柄は、石目調、木目調、幾何学模様、または抽象模様等の任意である。また、部分印刷でも全面ベタ印刷でも良く、部分印刷層とベタ印刷層の両方が施されていても良い。
印刷層30は、第一樹脂層10における第二樹脂層20と積層する側の表面に形成し、その後、第二樹脂層20と積層して積層シートとしてもよいし、あるいは、第二樹脂層20における第一樹脂層10と積層する側の表面に、いわゆるバックプリントタイプの印刷層30を形成し、その後、第一樹脂層10と積層して積層シートとしてもよい。
<意匠性被覆用積層シートの製造方法(第一樹脂層10と第二樹脂層20との積層一体化、およびエンボス柄の付与)>
図2は、従来より軟質PVCシートへのエンボス柄の付与に用いられて来たエンボス付与機100である。本発明の第一樹脂層10と第二樹脂層20との積層一体化は、基本的にはこのエンボス付与機での加熱ロール1部分等を用いて熱融着積層により一体化することが可能である。このように、第一樹脂層10と第二樹脂層20とを積層することが、工程増や使用原料の増加を伴わないため、コスト的にも好ましい。第二樹脂層20に芳香族ポリカーボネート系樹脂が含まれる場合、第一樹脂層10と第二樹脂層20との間の熱融着界面の接着強度をより強固なものとすることができる。
第一樹脂層10と第二樹脂層20との積層一体化方法は、上記の熱融着積層に限定されるものではなく、ポリエステル系樹脂やポリエーテル系樹脂等を主剤としてイソシアネート系架橋剤で硬化するような接着剤を用いるいわゆるドライラミ法、紫外線硬化型の接着剤や電子線・放射線硬化型接着剤等を用いる方法、ホットメルト接着剤を介在させる方法、第二樹脂層20の押出し製膜時に易接着性の樹脂層を共押出ししておく方法等、二枚のシートの接着積層のために一般的に用いる方法であれば制限なく適用することができる。
具体的には、ドライラミ法による場合の接着剤層40の厚みは、乾燥膜厚で1μm〜20μm程度とするのが好ましい。接着剤層40が、これより薄い場合は塗布ムラによる接着不良を生じ易く、これより厚い場合は、積層シートの加工性が低下するおそれがある。接着剤層40には、意匠性付与のために、染料系などの透明着色剤、蛍光剤、青み付与剤などで着色を行っても良く、また、表面修飾マイカ粉、アルミ微粉、ホログラム箔等を添加しても良い。さらに、接着剤層40には、一般的に硬化型接着剤に添加される各種添加剤を適宜な量含んでいても良い。
また、第一樹脂層10のアクリル系樹脂が、アクリル樹脂系架橋弾性体成分を核にして、アクリル系樹脂をグラフト重合して得られるコア・シェル型の共重合組成物を含むアクリル系樹脂であれば、100℃〜140℃程度に加熱された加熱ロール1に対して非粘着性を有しており、加熱ロール1への粘着防止のために特別な措置をとる必要はない。
第一樹脂層10と第二樹脂層20との間に印刷層30が付与されている場合に関しても、印刷インクのバインダー樹脂を適宜選択することにより、あるいは印刷ラインで印刷意匠層を付与した後に連続的に接着プライマー層をベタの版ロールを用いて塗布すること等によっても各層を熱融着積層することができる。印刷層30において用いる印刷インクとしては、アクリル系の熱可塑性インクやポリエステル系の架橋型インクを用いることができ、これらの中でも架橋度を適宜調整したもの等を、好ましく用いることができる。
図2は、従来より軟質PVCのシ−トにエンボス模様を付与するために一般的に用いられてきた、第一樹脂層10と第二樹脂層20との熱融着積層一体化と、積層シートの第二樹脂層20側表面へのエンボス付与を同時に行うことができる、エンボス付与機100の模式図である。
加熱ロール1上に第一樹脂層10、第二樹脂層20の順に巻き取られて積層加熱されたシート材料7は、テイクオフロール2を経て、赤外ヒーター3により所定の処理をされ、さらに、ニップロール4、エンボスロール5、冷却ロール6へと送られる。
上記のように加熱ロール1により積層一体化されたシート材料7は、引き続きエンボスロール5により従来の軟質PVCシートと同様にエンボス柄を付与することができる。すなわち、加熱ロール1により積層一体化されたシート材料7は、テイクオフロール2により安定的に加熱ロールから引き剥がされ、その後、赤外ヒーター3により160〜190℃に加熱され、エンボスロール5により第二樹脂層20にエンボス柄が付与される。その後、積層シートは、冷却ロール6により冷却される。
赤外ヒーター3によるシート加熱温度である160℃〜190℃においても、第一樹脂層10は比較的熔融張力を有する層であることから積層シートの幅縮み、皺入り、破断等を生ずることはない。また、第二樹脂層20は良好なエンボス付与適性を有していることで良好な外観のエンボス付与された積層シートを得ることができる。
<積層シート>
積層シートの総厚みは、300μm以下であることが好ましい。その理由は、積層シートの総厚みが厚すぎると、従来より軟質PVC樹脂被覆金属板の折り曲げ加工などの成形加工に用いて来た成形金型の使用が困難になるなど、積層シートの2次加工設備適応性が低下するためである。
<金属板60>
本発明の積層シート被覆金属板における金属板60としては、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、スズメッキ鋼板、ステンレス鋼板等の各種鋼板、アルミニウム板、アルミニウム系合金板等を使用することができ、これらは通常の化成処理を施した後に使用することもできる。金属板60の厚さは、積層シート被覆金属板の用途等により異なるが、0.1mm〜10mmの範囲で選ぶことができる。
<積層シート被覆金属板の製造方法>
本発明の積層シート被覆金属板は、上記の積層シートを金属板60にラミネートすることによって製造することができる。ラミネートする際に用いる接着剤50としては、例えば、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤等の一般的に使用される熱硬化型接着剤を挙げることができる。第一樹脂層10がアクリル系樹脂を主体とする層であることから、上記の接着剤の中でも、アクリル系接着剤を用いることが良好な密着性を得る点から好ましい。
積層シートを積層する方法としては、上記の各種金属板60にリバースコーター、キスコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、一体化された積層シートを貼り合せる金属面に、乾燥後の接着剤膜厚が2〜10μm程度になるように、上記の接着剤50を塗布する。次いで、赤外線ヒーターおよび、または熱風加熱炉により塗布面の乾燥および加熱を行い、金属板60の表面温度を、180℃〜250℃程度の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネータを用いて積層シ−トの第一樹脂層10側が接着面となるようにして、積層シートを接着して、冷却することにより本発明の積層シート被覆金属板を得ることができる。
本発明をより具体的かつ詳細に説明するために、次に実施例を示すが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
<第一樹脂層10、第二樹脂層20の製膜>
第一樹脂層10(a−1〜a−10)としては、表1に種類および配合量を記載した各種市販アクリル原料を配合し、樹脂組成の合計を100質量部として、滑剤である「メタブレンL−1000」(三菱レイヨン社製)を0.5質量部、および酸化チタンと有機系緑色顔料が混合された淡緑色系顔料を18質量部添加した。これらの樹脂混合物に対して、前工程に予備混練ロールを有する、金属ロール4本から成るカレンダー製膜装置を用いて、ロール温度170℃〜185℃の条件下でシート圧延を行い、厚み150μm、幅1200mmの淡緑色シートを製膜した。いずれの配合に関しても、カレンダー製膜性には特別な問題はなかった。
また、第一樹脂層10(a−6)に関しては、グラビアーコーターによりアクリル・ウレタン系のインクを用いて第一樹脂層10における第二樹脂層20と積層する側の表面に抽象柄の模様印刷を施した。
表1中、「メタブレンW−377」は、三菱レイヨン社製の、アクリル樹脂系架橋弾性体成分を多く含むアクリル系樹脂である。「メタブレンH−660」は、三菱レイヨン社製のアクリル樹脂系架橋弾性体成分を含まないポリメチルメタクリレート樹脂である。「パラペットSA」は、クラレ社製のアクリル樹脂系架橋弾性体成分を含む軟質アクリル原料である。「パラペットGR−F」は、クラレ社製のオーバーレィ用途に適した柔軟性を有するアクリル樹脂系架橋弾性体成分を含むアクリル系樹脂である。「アルフォンUP−1020」は、東亜合成社製のアクリル系高分子可塑剤である。
また、第一樹脂層10(a−11)は市販の樹脂被覆金属板用のポリプロピレン(PP)系の着色カレンダーシートであり、厚みが150μmで、表裏両面に易接着性のプライマー層が塗布されている。第一樹脂層10(a−12)は、市販の非晶性ポリエステルをベースとする着色カレンダー製膜シートであり、推定配合としては、イーストマンケミカル社製の非結晶性ポリエステル樹脂「イースターPETG6763」またはこれに準ずる非晶性ポリエステルを主成分とし、樹脂組成を100質量部として、カレンダー適性を改良するためにMBS系衝撃改良剤を10〜20質量部、および、滑剤を1.0〜3.0質量部程度含んでいるものと考えられる。シートの厚みは150μmであり、幅は1200mmである。
第二樹脂層20(b−1〜b−14)としては、表2に記載の各種市販ポリエステル系樹脂原料とポリカーボネート系樹脂原料を用いて、口径65mmのベント付き単軸押出機にTダイを接続し、キャスティングロールによる引き取りで厚み50μm、幅1100mmのシートを得た。
これら第二樹脂層20に用いた樹脂組成は以下のものである。
・PETG6763(イーストマンケミカル社製):ポリエチレンテレフタレートのジオール成分であるエチレングリコールの約31mol.%を1.4−シクロヘキサンジメタノールで置換した構造の非晶性ポリエステル樹脂(イースターPETG 6763)。ガラス転移温度:78.9℃、融点:観察されず。
・PCTG5445(イーストマンケミカル社製):ポリエチレンテレフタレートのジオール成分であるエチレングリコールの約65mol.%を1.4−シクロヘキサンジメタノールで置換した構造の低晶性で、押出し製膜の工程では実質的に非晶性として取り扱うことのできるポリエステル樹脂。ガラス転移温度:86.5℃、融点:観察されず。
・ノバレックス7025A(三菱エンジニアリングプラスチック社製):ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂
ガラス転移温度:149.5℃、融点:観察されず。
・ノバデュラン5020S(三菱エンジニアリングプラスチック社製):ホモPBT樹脂。ガラス転移点:45℃、融点:224℃。
<第一樹脂層10と第二樹脂層20との積層一体化、およびエンボス付与>
実施例1〜21、比較例1〜5、比較例8および比較例11
表3に示した第一樹脂層10および第二樹脂層20の組み合わせにおいて、図2に示す軟質PVC系シートへのエンボス付与に一般的に使用されている連続法によるエンボス付与機100にて第一樹脂層10と第二樹脂層20(あるいは、印刷柄30が施された第一樹脂層10と第二樹脂層20)との熱融着積層一体化、およびエンボス柄の転写を行った。加熱ロール1は140℃に設定し、第一樹脂層10、および第二樹脂層20を図2に示すように2本の巻き出し軸から供給し、加熱ロール1への接触部分で熱融着積層により一体化した。引き続き、積層一体化されたシートを非接触式の赤外ヒーター3でシート表面温度が180℃になるまで加熱し、エンボスロール5により梨地のエンボス柄を付与した。エンボスロールは、その温度が温水循環機により100℃に保持されており、梨地柄でRmax=50μmのものである。得られた積層シートについて、以下に示す方法によってエンボス付与適性(耐粘着性、耐溶断性および転写性)を評価した。結果を表3に示す。
比較例6、比較例7および比較例9
なお、比較例6、比較例7および比較例9においては、これらの積層一体化、およびエンボス付与というエンボス付与機での一連の操作に問題を生じ、良好なエンボス意匠の積層シートを得られなかった。よって、別途、蒸気加熱式のプレス機を用いて第一樹脂層10と第二樹脂層20との積層一体化を行い、以降の評価に供している。なお、これらのサンプルに関しては表面にエンボス柄は付与されていない。
比較例10
第二樹脂層20は積層せずに、表3に示した第一樹脂層10のみを用いて、以下に示す方法によってエンボス付与適性(耐粘着性、耐溶断性および転写性)を評価した。また、次工程の金属板への被覆に付した。
<積層シート被覆金属板の作成>
次にポリ塩化ビニル被覆金属板用として一般的に用いられているアクリル系熱硬化型接着剤(三菱レイヨン社製)を、金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度になるように塗布し、次いで熱風加熱炉および赤外線ヒーターにより塗布面の乾燥および加熱を行い、厚み0.45mmの亜鉛めっき鋼板の表面温度を225℃に設定し、直ちにロ−ルラミネ−タ−を用いて、上記で作製した積層シート(一部、単層シート)を被覆し、水冷にて冷却することにより積層シート被覆鋼板を作製した。すべての実施例、および比較例について同一の条件にてラミネートした。得られた積層シート被覆金属板について、以下に示す方法によって評価した。結果を表3および表4に示す。
<測定規格、試験法>
実施例および比較例に示した積層シートおよび積層シート被覆金属板の物性の測定規格、試験法は以下の通りである。
(1)ガラス転移温度(Tg)
パーキンエルマー社製DSC−7を用いて、試料10mgをJIS K7121「プラスチックの転移温度測定方法」に準じて、加熱速度10℃/分で−40℃から250℃まで昇温し、250℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温、同温度で1分間保持した後、再度10℃/分で昇温した際のサーモグラムからガラス転移温度(Tg)を求めた。なお、アクリル樹脂系架橋弾性体成分を核にして、アクリル系樹脂をグラフト重合して得られるコア・シェル型の共重合組成物を含むアクリル系樹脂では、架橋ゴム成分とマトリクスを形成する非架橋のアクリル系樹脂の双方のガラス転移温度が観察されるが、50℃〜150℃の温度範囲にあるものをマトリクスのガラス転移温度とした。また、比較例の第一樹脂層に用いた市販のPP(ポリプロピレン)系カレンダーシートに関しては、その結晶性によって耐熱性(耐沸騰水性)を維持している性質のものであり、ガラス転移温度が耐沸騰水性に対して重要な因子とならないため、測定は省略している。
(2)23℃での引張り破断伸び
23℃の恒温室内に設置した万能材料試験機(インテスコ社製)を用いて、旧JIS K 7127−2に準拠した試験片形状により引張り試験を行い、破断伸びを測定した。試験速度(引張り速度200mm/分)で、積層一体化シートを作成する前の第一樹脂層10単体に対して実施した。測定方向は、製膜時の流れ方向(MD)、およびそれに直交する方向(TD)である。それぞれの方向において、各5回測定を行い、その平均値により評価した。
(3)エンボス付与適性:耐粘着性
図2に示すエンボス付与機100でエンボスを付与した際に、加熱ロールにシートが粘着したものは「×」、粘着しなかったものは「○」で示した。
(4)エンボス付与適性:耐溶断性
図2に示すエンボス付与機100でエンボスを付与した際に、ヒーターによるシート加熱中にシートが溶断したものは「×」、溶断には至らなかったもののシートの顕著な伸びや皺入り等を発生したものは「△」、これらの問題を生じなかったものは「○」で示した。この評価で「×」となったものに関しては、転写性、エンボス耐熱性の評価を実施していない。
(5)エンボス付与適性:転写性
図2に示すエンボス付与機100でエンボスを付与したシートを、目視で観察し、綺麗にエンボス柄が転写しているものを「○」、これに比べてやや転写が浅い場合を「△」、転写が悪く、浅いエンボス柄になっているもの、あるいはエンボス柄に無関係に単に表面が荒れているものを「×」で示した。この評価で「×」となったものに関しては、エンボス耐熱性の評価を実施していない。
(6)沸騰水浸漬試験
樹脂シートを金属板60にラミネートした樹脂被覆金属板について実施した。60mm×60mmの積層シート被覆金属板を沸騰水中に3時間浸漬した後、取り出し、その状態を目視で観察、樹脂層の金属板からの剥離、膨れ等の異常が認められたものを「×」、これらが認められなかったものを「○」とした。この評価で「×」となったものに関しては、エンボス耐熱性の評価は実施していない。
(7)エンボス耐熱性:高温気中耐熱性
図2に示すエンボス付与機100でエンボスを付与したシートをラミネートした金属板60を105℃の熱風循環式オーブン中に3時間静置した後目視で観察し、オーブンに投入する前と比較してエンボスの形状がほとんど変化していないものを「○」、これに比べてややエンボス戻りが発生している場合を「△」、エンボス戻りが顕著な場合、あるいはエンボス柄が完全に消失し単に表面が荒れているものを「×」で示した。
(8)エンボス耐熱性:耐沸騰水浸漬性
図2に示すエンボス付与機100でエンボスを付与したシートをラミネートした金属板を沸騰水中に3時間浸漬した後目視で観察し、沸騰水に投入する前と比較してエンボスの形状がほとんど変化していないものを「○」、これに比べてややエンボス戻りが発生している場合を「△」、エンボス戻りが顕著な場合、あるいはエンボス柄が完全に消失し単に表面が荒れているものを「×」で示した。
(9)耐久性(耐湿熱性)試験
積層シートを金属板60にラミネートした積層シート被覆金属板について実施した。積層シート被覆金属板を60mm×60mmに切り出し、「JIS K−6744」で規定されるエリクセン試験装置を用いて、積層シート被覆側が凸になるように6mmの張り出し加工を行った後、65℃×98%RHの恒温恒湿槽中に2ヶ月間静置した。樹脂層の状態を目視で観察、外観変化のなかったものを「○」、面状態の荒れ、樹脂層の金属板からの剥離、第一樹脂層10と第二樹脂層20との界面剥離、膨れ等の異常が認められたものを「×」とした。
(10)加工性試験
積層シート被覆金属板に衝撃密着曲げ試験を行い、曲げ加工部の積層シートの面状態を目視で判定し、ほとんど変化がないものを「○」、若干クラックが発生したものを「△」、割れが発生したものを「×」として評価した。なお、衝撃密着曲げ試験は次のようにして行った。積層シート被覆金属板の長さ方向および幅方向からそれぞれ50mm×150mmの試料を作製し、23℃で1時間以上保った後、折り曲げ試験機を用いて180°(内曲げ半径2mm)に折り曲げ、その試料に直径75mm、質量5Kgの円柱形の錘を50cmの高さから落下させた。なお、金属板60の加熱温度225℃でラミネートしたものに関して加工性の評価を行った。
(11)表面硬度試験
積層シートを金属板60にラミネートした積層シート被覆金属板について、JIS S1005 9.8(2)鉛筆引っ掻き試験に従い実施した。23℃の恒温室内で、80mm×60mmに切り出した樹脂被覆金属板の樹脂シート面に対し45°の角度を保ちつつ9.8Nの荷重を掛けた状態で線引きをできる治具を使用して線引きを行い、該部分の樹脂シートの面状態を目視で判定し、2Bの鉛筆で全く傷が付かなかったものを「○」、2Bでは傷が入るが、3Bの鉛筆では全く傷が付かなかったものを「△」、3Bの鉛筆でも傷が付いたものを「×」として表示した。
(12)耐薬品性試験
各種洗浄剤の溶剤成分として用いられるエタノールに対して評価を行った。積層シート被覆金属板を60mm×60mmに切り出し、切断端部をアクリルシリコーン系接着剤「セメダイン・スーパーX」(セメダイン社製)で封止処理した後、23℃の雰囲気温度下で、エタノールの50%水溶液中に5時間浸漬して取り出し、その樹脂層の面状態を目視で観察、外観変化のなかったものを「○」、変色、面状態の荒れ、樹脂層の金属板60からの剥離、膨れ等の異常が認められたものを「×」とした。
Figure 2006224650
Figure 2006224650
Figure 2006224650
Figure 2006224650
<評価結果>
比較例1および比較例2は、第一樹脂層に本発明の好ましい範囲より大きい引張り破断伸びを有するアクリル系樹脂を用いた例である。これらの例においては、第一樹脂層の柔軟性が高過ぎることにより、樹脂層を被覆した場合も充分な表面硬度が得られない結果となった。さらに第二樹脂層の厚みを増せば表面硬度は改善するはずであるが、第一樹脂層に本発明の好ましい破断伸びを有するアクリル樹脂を用いることのほうがより効率的に、表面硬度を改善することができる。
比較例3〜5は、本発明の好ましい範囲より小さい引張り破断伸びを有するアクリル系樹脂を用い、第二樹脂層として本発明の好ましい樹脂組成のものを用いた例である。これらの例においても、加工性に問題があった。
比較例6および比較例7は、第一樹脂層のアクリル系樹脂のガラス転移温度が、85℃より低く、引張り破断伸びが、本発明の好ましい範囲より大きい場合であり、第二樹脂層として本発明の好ましい樹脂組成のものを用いた例である。これらの例においては、表面硬度が不足しており、また沸騰水浸漬試験で積層シートが著しい変形を生じた。
比較例8は、市販のPP系のカレンダーシートを第一樹脂層に用いた例である。この例においては、エンボス付与機の120℃の加熱ロールには粘着しなかったが、ヒーターによる180℃の加熱でシートの著しい伸びと皺入りを生じた。また、該積層シートを被覆した積層シート被覆金属板は、耐湿熱性試験においてエリクセン凸部のふもとの付近を中心として第一樹脂層と第二樹脂層との間に剥離が発生した。この結果は、難接着性のポリオレフィン樹脂を第一樹脂層として用いた場合は、界面接着力の耐久性に不安が残ることを示している。
比較例9は、市販の非晶性ポリエステル系カレンダーシートを第一樹脂層に用いた例である。この例においては、エンボス付与適性(耐溶断性)が劣っており、またエンボス付与機において、やはり比較例8と同様の問題を発生している。また、非晶性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度が低いことに起因して、沸騰水浸漬試験で、積層シートが著しい変形を生じた。
比較例10は、本発明の好ましい範囲にあるアクリル系樹脂を用いたものであるが、第二樹脂層を有しない構成となっている例である。この例においては、エンボス付与機での加熱ロールへの粘着や、ヒーター加熱時の顕著な伸び等は生じなかったが、肝心のエンボス柄の転写が非常に浅くなってしまった。該シートは、アクリル系架橋弾性体成分を多量に含有していることでカレンダー適性が付与されているのであるが、それがエンボス付与後に顕著な弾性回復を示す特徴となって現れ、いわゆるエンボス戻りによって転写が浅くなったと考えられる。
また、該シートを被覆した金属板は、表面硬度が低く、耐薬品性試験においても表面が白濁する結果となり、人が触れる機会が多く、アルコール系の洗浄剤が用いられる可能性の高い内装建材用途には不適と判断される。
比較例11は、第一樹脂層として本発明の好ましい範囲にあるアクリル系樹脂を用いて、第二樹脂層に添加されるPBT樹脂の量が本発明の範囲より多い例である。この例においては、エンボス付与機でのエンボス柄の転写が困難であった。シートが加熱される段階で結晶性が高くなり、その結果PBT樹脂の融点より低い180℃の温度ではエンボスが転写できなくなったものと考えられる。
これらに対して、本発明の実施例1〜21においては、得られた積層シートおよび積層シート被覆金属板は、おおむね良好な性能を示した。
各実施例を個別に評価していくと、実施例1および実施例2は、第二樹脂層に実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂のみを用いた例であり、沸騰水浸漬後のエンボスの残存性がやや劣る結果となっていた。
また、実施例3は、第二樹脂層にポリカーボネート系樹脂を含むがガラス転移温度が100℃にわずかに満たない例であり、同様の結果となった。また、実施例8は、第二樹脂層にPBT樹脂を含むがその添加量が20質量%に満たない例であり、同様の結果となった。
また、実施例7は、第二樹脂層として、ポリカーボネート系樹脂との相容性が、PCTGに比べてやや劣るPETGを用いたブレンド組成の例であり、同量のPCTGを用いている実施例4に比べて、ポリカーボネート系樹脂の添加によるガラス転移温度の上昇効果が劣っており、これによってエンボスの残存性がやや劣る結果となった。
実施例12は、比較例11よりも第二樹脂層に添加されるPBT樹脂の量が少ないが、本発明の請求項4の範囲より多い場合であり、エンボス付与機でのエンボス柄の転写がやや浅い結果となった。
以上、現時点において、最も、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う意匠性被覆用積層シートおよび積層シート被覆金属板もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の基本構成の積層シートの断面を示す模式図である。 図1(a)の構成に加えて、第一樹脂層と第二樹脂層との間に印刷柄が設けられている構成の積層シート断面を示す模式図である。 図1(b)の積層シートの第二樹脂層側表面にエンボス柄が付与されている積層シートの断面を示す模式図である。 図1(a)の構成において、第一樹脂層と第二樹脂層との間に接着剤層、若しくは接着性樹脂層を設けた積層シートの断面を示す模式図である。 図1(c)に示す構成の積層シートが接着剤を介して金属板上に積層されている、積層シート被覆金属板の断面を示す模式図である。 エンボス付与機の模式図である。
符号の説明
1 加熱ロール
2 テイクオフロール
3 赤外ヒーター
4 ニップロール
5 エンボスロール
6 冷却ロール
7 シート材料
10 第一樹脂層
20 第二樹脂層
30 印刷柄
40 接着剤層
50 接着剤層
60 金属板
100 エンボス付与機
110、120、130、140 積層シート
150 積層シート被覆金属板

Claims (13)

  1. ガラス転移温度(Tg)が85℃以上であるアクリル系樹脂を主体とし、シート製膜時の流れ方向(MD)およびそれに直交する方向(TD)の両方向についての23℃における引張り破断伸びが、100%以上350%以下であり、着色剤を有する第一樹脂層、および
    実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体とし、透明で、無配向である第二樹脂層からなる少なくとも2層を有する意匠性被覆用積層シート。
  2. ガラス転移温度(Tg)が85℃以上であるアクリル系樹脂を主体とし、シート製膜時の流れ方向(MD)、およびそれに直交する方向(TD)の両方向についての23℃における引張り破断伸びが、100%以上350%以下であり、着色剤を有する第一樹脂層、および
    実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂と、芳香族ポリカーボネート系樹脂とのブレンド組成物を主体とし、透明で無配向である第二樹脂層からなる少なくとも2層を有する意匠性被覆用積層シート。
  3. 前記ブレンド組成物について、示差走査熱量計により加熱速度10℃/分で測定したガラス転移温度(Tg)が、単一であり、かつ100℃以上150℃以下である請求項2に記載の意匠性被覆用積層シート。
  4. ガラス転移温度(Tg)が85℃以上であるアクリル系樹脂を主体とし、シート製膜時の流れ方向(MD)、およびそれに直交する方向(TD)の両方向についての23℃における引張り破断伸びが、100%以上350%以下であり、着色剤を有する第一樹脂層、および
    実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂60〜80質量%と、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂40〜20質量%とのブレンド組成物を主体とし、透明で無配向である第二樹脂層からなる少なくとも2層を有する意匠性被覆用積層シート。
  5. 前記第一樹脂層におけるアクリル系樹脂が、アクリル樹脂系架橋弾性体成分を核にして、アクリル系樹脂をグラフト重合して得られるコア・シェル型の共重合組成物を含み、前記第一樹脂層がカレンダー製膜法によって製膜されたものである、請求項1〜4のいずれかに記載の意匠性被覆用積層シート。
  6. 前記実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂が、テレフタル酸、またはジメチルテレフタル酸をジカルボン酸成分の主体とし、ジオール成分の20〜80mol.%が1.4−シクロヘキサンジメタノールで、残りの80〜20mol.%がエチレングリコールである共重合ポリエステル系樹脂である、請求項1〜5のいずれかに記載の意匠性被覆用積層シート。
  7. 前記第一樹脂層と前記第二樹脂層との間に印刷層を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の意匠性被覆用積層シート。
  8. 前記第二樹脂層側表面にエンボス版により形成された凹凸形状を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の意匠性被覆用積層シート。
  9. 請求項8に記載の意匠性被覆用積層シートの第一樹脂層側を接着面として、接着剤によって金属板の上に積層した積層シート被覆金属板。
  10. 請求項9に記載の積層シート被覆金属板を用いた建築内装材。
  11. 請求項9に記載の積層シート被覆金属板を用いた、鋼製家具部材。
  12. 請求項9に記載の積層シート被覆金属板を用いた、家電製品筐体部材。
  13. 請求項9に記載の積層シート被覆金属板を用いた、エレベーター壁面材。
JP2005138114A 2005-01-19 2005-05-11 意匠性被覆用積層シートおよび積層シート被覆金属板 Expired - Fee Related JP4907102B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005138114A JP4907102B2 (ja) 2005-01-19 2005-05-11 意匠性被覆用積層シートおよび積層シート被覆金属板

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005011684 2005-01-19
JP2005011684 2005-01-19
JP2005138114A JP4907102B2 (ja) 2005-01-19 2005-05-11 意匠性被覆用積層シートおよび積層シート被覆金属板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006224650A true JP2006224650A (ja) 2006-08-31
JP4907102B2 JP4907102B2 (ja) 2012-03-28

Family

ID=36986395

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005138114A Expired - Fee Related JP4907102B2 (ja) 2005-01-19 2005-05-11 意匠性被覆用積層シートおよび積層シート被覆金属板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4907102B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008100383A (ja) * 2006-10-17 2008-05-01 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 積層シ−ト、エンボス意匠シートおよびエンボス意匠シート被覆金属板
JP2008188970A (ja) * 2007-02-08 2008-08-21 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 積層シートおよび積層シート被覆金属板
JP2008238529A (ja) * 2007-03-27 2008-10-09 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 賦型フィルム及びその製造方法
JP2008254348A (ja) * 2007-04-05 2008-10-23 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 金属板被覆用積層シートおよび積層シート被覆金属板
JPWO2012026311A1 (ja) * 2010-08-24 2013-10-28 コニカミノルタ株式会社 フィルムミラー、フィルムミラーの製造方法及び太陽熱発電用反射装置
WO2020199456A1 (zh) * 2019-04-04 2020-10-08 迅达(中国)电梯有限公司 电梯井道底坑进水监控装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000301681A (ja) * 1999-04-19 2000-10-31 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シート及びそれを用いた化粧材
JP2002225184A (ja) * 2001-02-06 2002-08-14 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 耐候性樹脂被覆金属板
JP2002337297A (ja) * 2001-05-17 2002-11-27 Toray Ind Inc 成形用積層ポリエステルフィルム
JP2004202971A (ja) * 2002-12-26 2004-07-22 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 印刷意匠シート、及び、印刷意匠シートを被覆した金属板

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000301681A (ja) * 1999-04-19 2000-10-31 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シート及びそれを用いた化粧材
JP2002225184A (ja) * 2001-02-06 2002-08-14 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 耐候性樹脂被覆金属板
JP2002337297A (ja) * 2001-05-17 2002-11-27 Toray Ind Inc 成形用積層ポリエステルフィルム
JP2004202971A (ja) * 2002-12-26 2004-07-22 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 印刷意匠シート、及び、印刷意匠シートを被覆した金属板

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008100383A (ja) * 2006-10-17 2008-05-01 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 積層シ−ト、エンボス意匠シートおよびエンボス意匠シート被覆金属板
JP2008188970A (ja) * 2007-02-08 2008-08-21 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 積層シートおよび積層シート被覆金属板
JP2008238529A (ja) * 2007-03-27 2008-10-09 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 賦型フィルム及びその製造方法
JP2008254348A (ja) * 2007-04-05 2008-10-23 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 金属板被覆用積層シートおよび積層シート被覆金属板
JPWO2012026311A1 (ja) * 2010-08-24 2013-10-28 コニカミノルタ株式会社 フィルムミラー、フィルムミラーの製造方法及び太陽熱発電用反射装置
WO2020199456A1 (zh) * 2019-04-04 2020-10-08 迅达(中国)电梯有限公司 电梯井道底坑进水监控装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4907102B2 (ja) 2012-03-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4742123B2 (ja) 樹脂被覆金属板、及び樹脂被覆金属板用の意匠シート
JP4907102B2 (ja) 意匠性被覆用積層シートおよび積層シート被覆金属板
JP4654084B2 (ja) 金属板被覆用積層シート、および積層シート被覆金属板
JP2008188970A (ja) 積層シートおよび積層シート被覆金属板
JP4719529B2 (ja) 意匠性被覆用積層シートおよび積層シート被覆金属板
JP4996831B2 (ja) 金属板被覆用積層シートおよび積層シート被覆金属板
KR100741240B1 (ko) 엠보싱 의장 시트 및 엠보싱 의장 시트 피복 금속판
KR100884177B1 (ko) 적층 수지시트, 엠보스 부여 시트 및 피복기재
JP5198128B2 (ja) 金属板被覆用積層シ−ト、および該積層シートで被覆した金属板
JP4160377B2 (ja) 印刷意匠シート、及び、印刷意匠シートを被覆した金属板
JP4227429B2 (ja) 積層シート及びこれを用いた樹脂被覆金属板
JP5116241B2 (ja) 積層シ−ト、エンボス意匠シートおよびエンボス意匠シート被覆金属板
JP4664111B2 (ja) 意匠性積層シート、および意匠性積層シート被覆金属板
JP4776905B2 (ja) 積層シ−ト、エンボス意匠シートおよびエンボス意匠シート被覆金属板
JP4885484B2 (ja) 意匠性被覆用積層シート及び積層シート被覆金属板
JP2008279686A (ja) 積層シ−ト、エンボス意匠シートおよびエンボス意匠シート被覆金属板
JP5586177B2 (ja) 積層シート、及び積層シートを被覆した金属板
JP5106565B2 (ja) 積層シートおよび積層シート被覆金属板
JP2005111923A (ja) 鋼板用化粧フィルム及び鋼板用積層化粧シート
JP5121665B2 (ja) 樹脂被覆金属板用積層シ−ト、該積層シートの製造方法、および、意匠性積層シート被覆金属板、ユニットバス部材、建築内装材、および、鋼製家具部材
JP2008254348A (ja) 金属板被覆用積層シートおよび積層シート被覆金属板
JP4516334B2 (ja) 積層シートおよび積層シート被覆金属板
JP2010006020A (ja) 積層シ−ト、エンボス意匠シート、エンボス意匠シート被覆金属板、ユニットバス部材、建築内装材、鋼製家具部材、および、家電製品筐体部材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080401

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100818

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100831

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101101

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20101101

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111004

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111220

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150120

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees