JP2008188970A - 積層シートおよび積層シート被覆金属板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面側から順に下記A層、B層の2層を備え、総厚みが75μm以上300μm以下である精密エンボスの付与適性に優れた積層シート。
A層:芳香族ポリカーボネート系樹脂あるいはポリエステル系樹脂と芳香族ポリカーボネート系樹脂とのブレンド組成物を主体としてなる実質的に透明な層であり、所定の貯蔵弾性率を有し、厚み30μm以上の無配向の樹脂層。
B層:架橋弾性体成分を含むアクリロニトリル・スチレン系共重合樹脂および/または架橋弾性体成分を含むアクリル系樹脂を主体としてなり、所定の引張り破断伸びを有し、厚み45μm以上の着色樹脂層。
【選択図】図1
Description
(1)カレンダー法による薄物シートの製膜が容易であることから、各種色味を有するシートを小ロットで、かつ短納期で、高い歩留まりで得ることができる、
(2)エンボス付与適性に優れることから、意匠性に富んだ被覆材を得ることができる、
(3)一般的に背反要素である加工性と表面の傷入り性のバランスが比較的良好である、
(4)各種添加剤との相容性に優れること、および長年にわたり添加剤による物性向上検討が行われて来たことから、耐久性に優れた樹脂皮膜を得ることが容易である、
等の点を挙げることができる。
第1の本発明は、表面側から順に下記A層(10)、B層(20)の2層を備え、積層シートの総厚みが75μm以上で、300μm以下の範囲である精密エンボスの付与適性に優れた積層シート(100)である。
A層(10):芳香族ポリカーボネート系樹脂を主体としてなるか、ポリエステル系樹脂と芳香族ポリカーボネート系樹脂とのブレンド組成物を主体としてなる実質的に透明な層であり、動的粘弾性引っ張り法による、10hz、100℃での貯蔵弾性率(E’)が、6×108Pa以上、6×109Pa以下であり、厚みが30μm以上である無配向の樹脂層。
B層(20):架橋弾性体成分を含むアクリロニトリル・スチレン系共重合樹脂、および/または、架橋弾性体成分を含むアクリル系樹脂を主体としてなり、顔料成分が添加されることにより着色されており、23℃での引張り破断伸びが100%以上350%以下であり、厚みが45μm以上である樹脂層。
温度Ta(℃):動的粘弾性引っ張り法による、10hzでの、前記A層の貯蔵弾性率(E’)が、1×107Pa以下となる温度(℃)
この場合、エンボス機(300)のヒーター(330)で充分に弾性率が低下するまで加熱されたA層(10)は、エンボスロール(350)に接触することで、エンボス意匠が転写され、そして同時に充分に高い弾性率を得られる温度まで冷却を受け、エンボスの固定が達成される。従って、特許文献2の積層シートのように、ガラス転移温度を超える温度のままエンボスロール(350)を離れ、冷却ロール(360)まで送られる間にせっかく付与したエンボスの戻りが発生してしまうような問題が生じない。よって、第2の本発明の方法は、もともとの版深さが浅く、微細な凹凸により形成された柄の精密エンボスを転写する場合において、特に有効な方法である。
なお、本発明の積層「シート」、および積層シートを構成する各層「シート」は、一般的に「シート」と呼称される厚み範囲のものと、「フィルム」と呼称される厚み範囲のものを含んでいるが、本明細書では一般的には「フィルム」と呼称する範囲に関しても便宜上「シート」という単一呼称を用いた。
A層10は、積層シート100A、100Bを図2に示すエンボス付与機300に通した際、加熱軟化された後、エンボスロール350により押圧され、エンボス意匠が転写される層である(エンボス付与機については、後で詳しく説明する。)。従って、A層10は、エンボスロール350で押圧される時点で一般的なエンボス付与機300でのシート加熱温度の上限である190℃程度を超える融点(Tm)を示すような高い結晶性を有するような樹脂組成であってはならない。
本発明のA層10に用いられる芳香族ポリカーボネート系樹脂は、ホスゲン法やエステル交換法、ピリジン法等公知の方法により製造される。芳香族ジヒドロキシ化合物を用いて得られた重合体である。以下、一例として、エステル交換法による芳香族ポリカーボネート系樹脂の製造方法を記載する。
A層10のブレンド組成物を構成するポリエステル系樹脂としては、各種芳香族ポリエステル系樹脂や脂肪族ポリエステル系樹脂の中から選ぶことができる。しかし、ブレンド組成物が結晶性を有すると、積層シート被覆金属板200を平板の状態で長期間保管した後、折り曲げ等の二次加工に供した場合、経時結晶化の進行によりA層10の加工性が低下し、折り曲げ部に割れを生ずる恐れがあり、また、積層シート被覆金属板200を折り曲げ成形したパネル材としての使用中に、経時結晶化が進行しA層10に白濁を生ずる恐れがある。
また、A層10を上記した本発明において好ましい形態である芳香族ポリエステル系樹脂(ジオール成分の50モル%以上75モル%以下の1,4−シクロヘキサンジメタノールのもの)と芳香族ポリカーボネート系樹脂をブレンドした組成物で形成した場合のポリエステル系樹脂の割合は、A層10全体の質量を基準(100質量%)として、80質量%未満であることが好ましく、75質量%未満であることがより好ましい。このような割合のブレンド組成物を用いることにより、A層10の貯蔵弾性率を本発明の所定の範囲に設定し易くなる。また、A層10の芳香族ポリエステル系樹脂の割合を多くした場合は、高価な芳香族ポリカーボネート系樹脂の使用量を低減できるという効果がある。
A層10の下に印刷柄(C)30が存在しない場合は、A層10に意匠性付与や下地の視覚的隠蔽のために着色顔料を添加しても良い。しかし、芳香族ポリカーボネート系樹脂を含む樹脂組成物の熔融混練、および、押出し製膜には比較的高温を必要とするので、耐熱性の点から、使用可能な顔料や染料が制約される。このため、本発明においては、顔料等の添加による着色意匠の発現と、下地の視覚的隠蔽効果の発現は、主としてカレンダー法による製膜が可能なB層20が受け持つことにしている。
また、A層10には、その性質を損なわない範囲において、各種添加剤を適宜な量添加しても良い。一般的な添加剤としては、燐系、フェノール系その他の各種酸化防止剤、ラクトン系、フェノールアクリレート系その他のプロセス安定剤、熱安定剤、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系その他の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル補足剤、衝撃改良剤、加工助剤、滑剤、金属不活化剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料分散性改良剤、充填・増量剤、艶消し剤、ブルーイング剤(青味付与剤)等を挙げることができる。これらの添加量は、実質的に透明な熱可塑性樹脂製品を得る場合に通常添加される量とすることができる。
A層10の厚みは、下限が好ましくは30μm以上、より好ましくは40μm以上であり、上限が好ましくは250μm以下、より好ましくは100μm以下である。A層10の厚みが薄すぎると、いかにA層10の樹脂組成として硬度の高い、傷入り性の良好な樹脂を用いたとしても、積層シート100A〜100Cの構成とした場合は、柔軟なB層20の影響が表面硬度に現れてしまい、良好な耐傷入り性を得られなくなるおそれがある。また、また、A層10を押出し製膜する場合も、あまり厚みが薄いと安定した製膜が困難となりやすく、製膜シートの取り扱い性も悪くなる。さらに、A層10に前述の光輝性粒子を添加する場合は、A層10の厚みは40μm以上とすることが、製膜安定性の点から好ましい。また、A層10の厚みが厚すぎると、耐傷入り性向上の効果は飽和し、積層シート被覆金属板200用途に用いる場合は、積層シートの総厚みに制限があるため、B層20を薄くする必要があり、B層20の機能を発現できないおそれがある。
B層20は、本発明の積層シート100A〜100Cに色味の意匠を付与すると同時に、被覆する下地の色の違いの影響で、積層シート100A〜100Cの色味や意匠感が変化しないように下地を隠蔽するための層である。
本発明のB層20を構成する「アクリロニトリル・スチレン系共重合樹脂」とは、AS樹脂と略称される共重合樹脂の総称であり、シアン化ビニル単量体として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等を用い、芳香族ビニル単量体として、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレンなどの低級アルキル基、低級アルコキシ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子等で側鎖を置換したスチレン等を用いたランダム共重合体である。
B層20を構成する「アクリル系樹脂」とは、下記一般式(1)で示されるアクリル系単量体の単一組成、または複数組成を重合して得られる重合体、または、二種以上の該重合体の混合物である。
CH2=CR1−COOR2 (1)
上記のアクリロニトリル・スチレン系共重合樹脂、および、アクリル系樹脂に添加する架橋弾性体成分としては、架橋ゴム状重合体にマトリクス樹脂相との親和性を向上させる効果を有する樹脂成分をグラフト共重合させた、いわゆるコア・シェル型の架橋弾性体成分を用いることが好ましい。このような架橋弾性体成分を用いることで、折り曲げ部の白化を防止することができると共に、B層20に必要とされる所定の破断伸びが得やすくなる。
本発明の架橋弾性体成分のコア層およびシェル層の組み合わせとしては、上記ABS系ゴム以外にもMBS系ゴムなど各種のものを用いることができる。そして、これらの中でも、「アクリル系架橋弾性体成分」を用いることが、各種市販原料の各種グレードを容易に入手、使用可能な点から特に好ましい。また、その場合はB層20の樹脂成分としてもアクリル系樹脂を主体として用いることが好ましい。
ただし、本発明のB層20の樹脂組成としてアクリル系樹脂を用いた場合も、B層20に用いることができる架橋弾性体成分は、アクリル系架橋弾性体成分に限定される訳ではなく、樹脂組成物のヘイズの増大、折り曲げ白化や耐熱性等が問題にならない範囲において、上記のABS系ゴム、MBS系ゴム等の各種の架橋弾性体成分を併用してもよく、また、ABS系ゴムを含むABS系樹脂や、MBS系ゴムを含むMBS系樹脂が含まれていても良い。
B層20は、着色による意匠性を付与する機能を有する。B層20の隠蔽性としては、JIS K5600・4−1(塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第1節)に準拠して測定した隠蔽率が0.98以上であることが好ましい。隠蔽率がこれより低い場合は、金属板50表面の色味の違いにより、積層シート被覆金属板200の意匠感が異なってくるおそれがある。
本発明の積層シートにおいては、図1(b)に示したようにA層10とB層20との間に印刷柄(C)30が付与されている構成とすることができる。印刷柄は、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、オフセット印刷、平版スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、インクジェットプリンターによる印刷、静電スクリーン印刷その他の公知の各種印刷方法で施すことができる。
積層シート100A〜100C全体の好ましい厚みは、下限が好ましくは75μm以上、より好ましくは120μm以上であり、上限が好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。積層シート全体の厚みが薄すぎる場合は、各層に必要な機能を充分に付与することが難しい。例えば、B層20の厚みを薄くすることによる隠蔽性の不足や、A層10の厚みを薄くすることによる表面硬度の低下等をきたすおそれがある。一方、積層シート全体の厚みが厚すぎる場合は、軟質PVCシート被覆金属板の折り曲げ加工等の成形加工に従来から用いられてきた成形金型の使用が困難になる等、2次加工性に問題を生じるおそれがある。
A層10の押出しシートと、B層20との熱融着積層による一体化は、エンボス付与機300の加熱ロール310への導入部分で実施するのが工程上好ましい。また、積層方法はこれに限定されず、他工程で熱融着積層を行っても良い。また、ドライラミ接着剤等の加熱架橋型接着剤を用いてA層10およびB層20を積層することができる。A層10が実質的に透明である場合は、紫外線硬化型の接着剤を用いて積層することができる。
本発明の積層シート100A、100Bは、A層10側表面にエンボス版により凹凸形状を付与して、エンボス意匠を有する積層シート100Cとすることができる。図1(c)は、積層シート100Aにエンボスを付与して形成した積層シート100Cの模式図である。エンボス版としては、エンボス意匠が形成された版であれば、その形状は特に限定されず、枚葉でエンボス処理するための平板状のものであっても、連続でエンボス処理することができるロール状のものであってもよい。なお、以下において説明する従来の軟質PVCシートに使用されていたエンボス付与機300においては、エンボス版として、ロール状のエンボスロール350を使用している。
図2に、従来、軟質PVCシートにエンボス意匠を付与するために一般的に用いられてきたエンボス付与機300の一例を示す。図示したエンボス付与機300は、加熱ロール310、テイクオフロール320、赤外線ヒーター330、ニップロール340、エンボスロール350および冷却ロール360により構成されている。図2に示す形態では、押出し製膜法で製膜したA層10と、カレンダー製膜法で製膜したB層20の各単層シートを供給し、上記のようにエンボス付与機300の加熱ロール310で熱融着積層を行っている様子を示している。
また、芳香族ポリカーボネート系樹脂、または、ポリエステル系樹脂と芳香族ポリカーボネート系樹脂とのブレンド組成物を主体としてなるA層10は、特に精密エンボスの転写に対して良好なエンボス付与適性を有している。これにより、良好な外観のエンボス意匠が付与されたエンボス意匠シート100Cを得ることができる。
また、エンボスロール350の温度をA層10の樹脂混合物が充分高い弾性率を発現する温度域に適宜調整することで、積層シート100がエンボスロール350と接触した際、エンボス意匠の付与と同時に冷却によるエンボス意匠の固定がなされる。これにより、エンボス付与工程でのエンボス戻り防ぎ、精密エンボス意匠であっても、良好に転写することができる。
図1(d)に層構成を模式的に示したように、本発明の積層シート被覆金属板200は、上記により作製した積層シート100および金属板50を備え、積層シート100A〜100CのB層20側が接着剤40を介して金属板50上にラミネートされた構成を有している。
実施例1〜25、および、比較例1〜11
(A層10の原料コンパウンドの作製と押出製膜)
各実施例および比較例について表3に示したA層10のサンプル番号に対応する、表1に記載の樹脂組成に従って、口径35mmの同方向2軸混練機により熔融混練を行い、ストランドダイから直径約3mm程度の線状に押出した後、水冷し、ペレタイザーで連続的にカットして長さ約5mm程度のブレンド組成物のペレットを得た。口径35mmの同方向二軸混練機のシリンダー設定温度は270℃であった。なお、A層10が芳香族ポリカーボネート系樹脂あるいはポリエステル系樹脂のみからなる場合は、コンパウンドの作製は実施していない。
各実施例および比較例について表3に示したB層20のサンプル番号に対応する、表2に記載の架橋ゴム弾性体成分を含むアクリルニトリル・スチレン系共重合樹脂、または、架橋ゴム弾性体成分を含むアクリル系樹脂を用い、該樹脂成分の合計を100質量部として、滑剤である「メタブレンL−1000」(三菱レイヨン社製)を0.5質量部、および、顔料酸化チタンと有機系青色顔料が混合された淡青色系顔料を20質量部添加して樹脂混合物を得た。
(A層10樹脂成分)
「ノバレックス(登録商標)7025A」は、三菱エンジニアリングプラスチックス社製のビスフェノールA型ポリカーボネート系樹脂である。粘度平均分子量:25000、融点:観察されず、ガラス転移温度:149.5℃。
「メタシャイン(登録商標)MC2040PS」は、日本板硝子社製のガラスフレークの表面に金属箔膜がコーティングされた光輝性粒子であり、平均粒径は40μm、平均厚み2μm、コーティングされている金属種は銀である。表1中では「ガラス」と表示している。
「クララスチックSXG−358」は、日本エイアンドエル社製のAAS系樹脂であり、アクリロニトリル・スチレン系共重合樹脂にアクリル系架橋弾性体成分を含むものである。
押出し製膜したA層10に関し、100℃の貯蔵弾性率(E’)および貯蔵弾性率(E’)が、1×107Pa以下となる温度Ta(℃)を以下の方法により測定した。
カレンダー製膜したB層20、および、市販のシートを用いたB層20に対して、引張り破断伸びを以下の方法により測定した。
23℃の恒温室内に設置した万能材料試験機(インテスコ社製)を用いて、JIS K7127−1999(プラスチック−引張り特性の試験方法−第3部:フィルム及びシートの試験条件)に準拠した試験片形状により引張り試験を行い破断伸びを測定した。測定方向は製膜時の流れ方向(MD)、および、それに直交する方向(TD)で、施行数(n=5)で実施し平均値により評価した。結果を表2に示した。
A層10とB層20との熱融着積層一体化、およびエンボス柄の転写は、図2に示すエンボス付与機300を用いて行った。各実施例および比較例のA層10とB層20の組み合わせを、表3に示す。加熱ロール310は140℃に設定し、A層10のシートおよびB層20のシートを図2に示すように2本の巻き出し軸から供給し、加熱ロール310への接触部分で重ね合わせ、熱融着積層により一体化した。引き続き、積層一体化されたシートを非接触式の赤外ヒーター330でシート表面温度が180℃になるまで加熱し、エンボスロール350によりエンボス柄を付与すると同時に、押圧によりA層10とB層20との間の熱融着積層をより確実なものとした。エンボスロール350は蒸気加熱で温調されており、A層10の樹脂組成物の動的粘弾性引っ張り法10hzでの貯蔵弾性率(E’)が、1×107Pa以下となる温度をTa(℃)として、Ta−45℃を基準に設定した。エンボスロールの設定温度を、表3中に示す。
図2に示すエンボス付与機300でエンボスを付与した際に、加熱ロール310にシートが粘着して作業が困難となったものを「×」、粘着しなかったものは「○」として評価した。
図2に示すエンボス付与機300でエンボスを付与した際に、ヒーター330による積層シートの加熱中にシートが熔融破断して作業が困難となったものや、著しいシートの伸びや皺入り、幅縮みを生じ、良好なエンボス付与シートを得られなかったものを「×」、全く問題を生じなかったものを「○」、作業の継続は可能で、シートの伸びや皺入り、幅縮みが発生したが、顕著なものでは無かった場合を「△」として評価した。
図2に示すエンボス付与機300でエンボスを付与したシートを、目視で観察し、綺麗にエンボス柄が転写されているものを「○」、これに比べてやや転写が浅い場合を「△」、転写が悪く、浅いエンボス柄になっているもの、あるいは、エンボス柄に無関係に単に表面が荒れているものを「×」として評価した。
次に軟質PVCシート被覆金属板用として一般的に用いられているアクリル系熱硬化型接着剤(三菱レイヨン社製)を、厚み0.45mmの亜鉛めっき鋼板の表面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度になるようにロールコーターで塗布した。次いで、熱風加熱炉および赤外線ヒーターにより塗布面の乾燥および加熱を行い、亜鉛めっき鋼板の表面温度が225℃になるように設定した。そして、直ちにロールラミネーターを用いて、上記で作製した積層シートを被覆し、水冷にて冷却することにより積層シート被覆金属板200を作製した。ラミネートの条件は、すべての実施例および比較例で同一である。
積層シートをラミネートした金属板を沸騰水中に1時間浸漬した後のエンボスの外観変化を目視で観察し、沸騰水中に浸漬する前と比較してエンボスの形状がほとんど変化していないものを「○」、これに比べてややエンボス戻りが発生している場合を「△」、エンボス戻りが顕著な場合、あるいはエンボス柄が完全に消失し単に表面が荒れているものを「×」として評価した。
まず、積層シート被覆金属板200の長さ方向および幅方向からそれぞれ50mm×150mmの試料を切り出し、手動による折り曲げ機を用いて、直径4mmの丸棒490を挟んで積層シート被覆面が外側になるように内半径2mmで180度に折り返したもの(図3(b)、図4)に示したような予備曲げ試験片450)を作製した。
B、2Bの鉛筆を用いて、JIS S1005 9.8(2)鉛筆引っ掻き試験に従い、80mm×60mmに切り出した積層シート被覆金属板200の樹脂シート面に対し45°の角度を保ちつつ1kgの加重を掛けた状態で線引きをできる治具を使用して線引きを行い、該部分の樹脂シートの面状態を目視で判定し、Bの鉛筆で全く傷が付かなかったものを「○」、Bでは傷が入るが、2Bの鉛筆では全く傷が付かなかったものを「△」、2Bの鉛筆でも傷が付いたものを「×」として評価した。
20 B層
30 印刷柄(C)
40 接着剤
50 金属板
100A〜100C 積層シート
200 積層シート被覆金属板
300 エンボス付与機
400 スクリュー曲げ試験装置
Claims (12)
- 表面側から順に下記A層、B層の2層を備え、積層シートの総厚みが75μm以上で、300μm以下の範囲である精密エンボスの付与適性に優れた積層シート。
A層:芳香族ポリカーボネート系樹脂を主体としてなるか、ポリエステル系樹脂と芳香族ポリカーボネート系樹脂とのブレンド組成物を主体としてなる実質的に透明な層であり、動的粘弾性引っ張り法による、10hz、100℃での貯蔵弾性率(E’)が、6×108Pa以上、6×109Pa以下であり、厚みが30μm以上である無配向の樹脂層。
B層:架橋弾性体成分を含むアクリロニトリル・スチレン系共重合樹脂、および/または、架橋弾性体成分を含むアクリル系樹脂を主体としてなり、顔料成分が添加されることにより着色されており、23℃での引張り破断伸びが100%以上350%以下であり、厚みが45μm以上である樹脂層。 - 前記A層が、テレフタル酸またはジメチルテレフタル酸をジカルボン酸成分の主体とし、50モル%以上75モル%以下の1,4−シクロヘキサンジルタノールおよび25モル%以上50モル%以下のエチレングリコールをジオール成分とする芳香族ポリエステル系樹脂と、芳香族ポリカーボネート系樹脂とのブレンド組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の積層シート。
- 前記B層の前記架橋弾性体成分が、架橋されたアクリル系ゴム相に、マトリクスとの相容性を得るためのアクリル系組成物をグラフト重合したコア・シェル型アクリル系架橋弾性体成分であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層シート。
- 前記A層と前記B層との間に印刷柄(C)が付与されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
- 前記A層に、鱗片状または平板状の形状をした光輝性粒子が、A層の樹脂成分全質量を100質量部として、0.5質量部以上5質量部以下添加されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の積層シート。
- 積層シートの表面である前記A層の表面にエンボスによる凹凸意匠が付与されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の積層シート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の積層シートを下記温度Ta(℃)以上に加熱する工程、
Ta−70(℃)以上、Ta−25(℃)以下に温調されたエンボスロールにより、前記A層表面にエンボス付与を連続的に行う工程、を備えた、エンボス意匠を有する積層シートの製造方法。
温度Ta(℃):動的粘弾性引っ張り法による、10hzでの、前記A層の貯蔵弾性率(E’)が、1×107Pa以下となる温度(℃) - 請求項1〜6のいずれかに記載の積層シートおよび金属板を備え、該積層シートの前記B層側が接着剤により金属板上にラミネートされている、積層シート被覆金属板。
- 請求項8に記載の積層シート被覆金属板を用いた建築内装材。
- 請求項8に記載の積層シート被覆金属板を用いたユニットバス部材。
- 請求項8に記載の積層シート被覆金属板を用いた鋼製家具部材。
- 請求項8に記載の積層シート被覆金属板を用いた家電製品部材。
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