JP2007326314A - 金属被覆用耐候性積層シートおよび耐候性積層シート被覆金属板 - Google Patents

金属被覆用耐候性積層シートおよび耐候性積層シート被覆金属板 Download PDF

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Abstract

【課題】光輝性粒子が強い輝度感を有する点の意匠として認識することができるような高い意匠性を有し、かつ、金属板上に積層した場合に、耐候性、耐傷入り性、および二次加工性に優れた積層シート被覆金属板とすることができる、金属被覆用耐候性積層シートを提供する。
【解決手段】表面側から順に、A層、B層、C層の3層を備えた積層シートにおいて、積層シートの層厚みを所定の範囲とし、A層を芳香族ポリカーボネート系樹脂を所定量以上含有し、所定量の紫外線吸収剤を含有し、透明で所定の厚みの層とし、B層を実質的に透明な熱可塑性樹脂からなり、所定の粒径および厚みを有するガラスフレークの表面に金属薄膜をコーティングした平板状の光輝性粒子を所定量含有し、所定の厚みの層とし、C層をカレンダー製膜法により製膜可能な熱可塑性樹脂からなり、顔料により着色された、所定の厚みの層とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般的な屋外用途に比べると、要求される耐候性はある程度穏やかではあるが、それでも一定の耐候性が必要とされるような用途、例えば、人の手に触れる機会が多い、玄関ドア、玄関ドア周りの垂直面部材等の建材として好適に用いることができ、さらに、人目に触れる部材として特有の意匠性を有することが必要とされるような用途に好適に用いることができる、金属被覆用耐候性積層シートおよび耐候性積層シート被覆金属板に関する。
玄関ドア、玄関廻りの垂直面部材、エレベーター外装等の建材は、耐候性や意匠性を付与するためにしばしば樹脂シート等で被覆される。従来、このような用途の建材としては、エンボス意匠を付与した軟質塩化ビニル系樹脂シート(以下、「軟質PVCシ−ト」という。)を合成樹脂成形品、合板、木質繊維板、金属板等に被覆したものや、塗装金属板等が用いられてきた。また、印刷意匠を有するものとしては、紫外線吸収剤を添加した透明なアクリルフィルムに印刷を施し、これを軟質PVCシート上に被覆した構成のものが用いられていた。
このように従来用いられてきた軟質PVCシ−トは、
(1)エンボス付与適性が優れていることから、意匠性に富んだ建材が得られる、
(2)熱可塑性樹脂において一般的に背反要素とされている、加工性と表面の傷入り性のバランスが比較的良好である、
(3)各種添加剤との相容性が優れている、および、長年にわたり添加剤により物性を向上させる検討が行われてきたため、耐侯性、特に耐光劣化性を向上させることが容易である、等の利点を有している。
軟質PVCシートは、このような利点を有するものであるが、反面、一部の安定剤に起因する重金属化合物の問題、一部の可塑剤や安定剤に起因するVOC問題や内分泌撹乱作用の問題、燃焼時に塩化水素ガスその他の塩素含有ガスを発生する問題等を有している。このため、軟質PVCシートは、近年、使用が制限されるようになった。
軟質PVCシートの代替材料として、ポリエステル系樹脂シート、ポリオレフィン系樹脂シート、アクリル系樹脂シート等を用いることが、これまで検討されてきた。
しかし、ポリエステル系樹脂シートは、加工性と表面の耐傷入り性のバランスが優れているものの、玄関ドア等の用途に用いるためには、耐侯性、特に耐光劣化性(特に、耐光黄変性)が充分ではないという問題があった。また、ポリエステル系樹脂シートは、非結晶性のポリエステル系樹脂をカレンダー製膜してシート化する場合が多い。その場合、非結晶性のポリエステル系樹脂のTgは低く、カレンダー適性が十分ではないため、滑剤等を添加する必要がある。そして、該ポリエステル系樹脂シートで被覆した樹脂被覆金属の使用中において、この添加した滑剤等が吹き出すおそれがあった。また、カレンダー適性を付与するという同様の目的で非結晶性のポリエステル系樹脂に添加されるMBS系架橋弾性体が、ポリエステル系樹脂シートの耐光黄変性をさらに悪化させるという問題があった。
ポリオレフィン系樹脂シートは、添加剤を工夫することより玄関ドア等の建材の用途に使える程度の耐侯性を備えることは可能である。しかし、ポリオレフィン樹脂シートが、充分な加工性を確保するためには軟質成分を添加することが必要である。そして、軟質成分を添加した場合、ポリオレフィン系樹脂シート表面の耐傷入り性が悪くなり、居住者の接触を受け易い玄関ドア等の建材の用途として使用するのが難しくなるという問題があった。
ポリオレフィン系樹脂シートとしては、特許文献1には、ポリエチレン(PE)シートを基材として、表層にポリカーボネート(PC)系樹脂シートを備えることで、耐傷入り性を付与した化粧シートが記載されている。
アクリル系樹脂シートは、架橋ゴム弾性体成分を添加することより柔軟性を付与することが可能であり、それによって樹脂被覆金属板に要求される折り曲げ加工性を確保することが可能である。しかし、このように架橋ゴム弾性体成分を添加した場合は耐傷入り性が悪化するため、樹脂被覆金属板用途の中でも人の触れる機会が多い玄関ドア等の建材としての用途に用いるには適していなかった。
アクリル系樹脂シートを使用した例として、特許文献2には、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂シートを基材として、アクリルシートを表面層として積層する構成が記載されている。
一方、化粧板や化粧シートの意匠表現の一つとして、光輝性意匠があり、該光輝性意匠を発現させる方法としては、以下の各種の方法が提案されている。
特許文献3には、熱硬化性樹脂化粧板であって、光輝性顔料を含有する光輝性インキ層を有するものが記載されている。特許文献4には、透明または半透明なメチルメタアクリレート系樹脂層を最表層として有し、該層の下に金属光沢を呈する粒子を含む共重合ポリエステル樹脂などからなる樹脂基材層を有する金属光沢調化粧シートが記載されている。また、特許文献5には、木質基材や鋼板に被覆する目的の化粧シートであって、表面側から順に二軸延伸ポリエステルフィルム、接着剤層、所定の紫外線透過性を有するポリメチルメタアクリル酸を主成分とする透明フィルム、透明樹脂にチタンマイカを分散した光輝シート、および、着色シートの5層で構成される複合化粧シートが記載されている。特許文献6には、化粧板に用いる樹脂含浸オーバーレイ紙として、ガラスフレークの表面に金属を被覆した光輝性顔料を抄き込んだものを用いることが記載されている。特許文献7には、ガラスフレークに金属をコーティングしたフレークを配合した射出成形用の樹脂組成物が記載されている。
特開2003−145702号公報 特開2000−246833号公報 特開2005−088220号公報 特開2004−306491号公報 特開平05−147183号公報 特開2004−106463号公報 特許第2651058号公報
特許文献1に記載の化粧シートにおいては、ポリカーボネート系樹脂シート自体の光劣化(特に、光黄変)の防止、および、下層の基材の光劣化の防止については、何ら対策がとられていない。
また、アクリルシートを表面層として積層した特許文献2の場合については、上記したように、加工性と耐傷入り性を両立させることは難しいと考えられる。
また、特許文献3に記載の熱硬化性樹脂化粧版においては、光輝性粒子を印刷インキに添加し、グラビア印刷法により化粧シートに光輝層を付与する方法であるため、使用できる光輝粒子のサイズには自ずと制約があった。その結果、全体、若しくは一部分が一様な金属光沢を有する意匠等は実現可能であるが、粒子が輝度感を有する光る点として認識できるような意匠を得ることはできなかった。また、金属被覆用シートとして金属板に積層して折り曲げ加工等に供することは考慮されてなく、さらに、耐候性についても何ら対策がとられていない。
特許文献4に関しては、特許文献3に比較すると、より大径の光輝性粒子を添加できるので、意匠感については、良好なものが得られると思われる。しかし、真空成形やインモールド成形等の加熱成形用途に供することを目的とした化粧シートであるため、金属被覆用として用いた場合には常温での折り曲げ加工性がなく、メチルメタアクリレート系樹脂層に割れを生ずる可能性があった。なお、特許文献4には、折り曲げ加工等の立体加工ができる旨が記載されているが、実際に評価されているのは、真空成形およびインモールド成形における加工性評価だけである。よって、化粧シートを基材に貼った後、基材を常温にて折り曲げ加工することについては、何ら考慮されていない。また、本発明の評価における「加工性試験」のように、金属板にシートを被覆した状態で、樹脂被覆面を外側にして折り曲げ加工を行う場合は、金属板の厚みの分、樹脂層の変形が大きくなって樹脂被覆面に大きな伸びが付加される。このような厳しい条件の加工性試験を行った場合、特許文献4に記載の化粧シートは、シート破断すると考えられる。
特許文献5に記載の複合化粧シートにおいては、ポリメチルメタアクリル酸系樹脂層中へ紫外線吸収剤を添加することが記載されている。これにより該層、および、該層より下方に位置する層の耐候性に関し、一定の配慮がなされていると言える。しかし、最表面の二軸延伸ポリエステルフィルムおよび接着剤層についての耐候性については、なんら配慮がされていない。そのため、この複合化粧シートは、サンシャインウェザーメーターによる耐候性促進試験で2000時間以上曝露した後の外観変化や剥離の有無が問題とされる、玄関ドア等の用途に適用するのは難しかった。また、光輝性顔料として記載されている酸化チタン被覆マイカは、光線透過率が比較的高く、反射率がそれほど高くないため、粒子が強い輝度感を有する光る点として認識できるような意匠は得ることが難しかった。
特許文献6に記載のオーバーレイ紙は、オーバーレイ原紙に熱硬化性樹脂を含浸してオーバーレイ紙とすることを特徴としており、折り曲げ加工等の2次加工性が要求される金属被覆用シートとして用いることができなかった。また、特許文献6には、オーバーレイ紙を用いて作製した化粧板に耐候性を付与することについては、何も考慮されていない。
また、特許文献7に記載の樹脂組成物は、射出成形用樹脂組成物であり、金属被覆用のシートとすることについては記載されていない。よって、シートにした場合の耐候性、耐傷入り性については、何ら考慮されていない。
そこで、本発明は、光輝性粒子が強い輝度感を有する点の意匠として認識することができるような高い意匠性を有し、かつ、金属板上に積層した場合に、耐候性、耐傷入り性、および二次加工性に優れた積層シート被覆金属板とすることができる、金属被覆用耐候性積層シートを提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。
第1の本発明は、表面側から順に以下に示すA層(10)、B層(20)、C層(30)の3層を備え、積層シートの総厚みが75μm以上、300μm以下の範囲である金属被覆用耐候性積層シート(100)である。
A層(10):A層の樹脂成分全体を100質量%として、芳香族ポリカーボネート系樹脂を70質量%以上含有する層であって、樹脂成分全体を100質量部として、紫外線吸収剤を3質量部以上、18質量部以下含有し、実質的に透明であり、厚みが10μm以上である樹脂層、
B層(20):実質的に透明な熱可塑性樹脂からなる層であって、B層の樹脂成分全体を100質量部として、平均粒径が20μmより大きく、100μm以下であり、平均厚みが1μm以上、10μm以下であるガラスフレークの表面に金属薄膜をコーティングした平板状の光輝性粒子を、0.5質量部以上、5.0質量部以下含有し、厚みが30μm以上である樹脂層、
C層(30):カレンダー製膜法により製膜することが可能である熱可塑性樹脂からなる層であって、顔料成分が添加されることにより着色された、厚みが45μm以上、260μm以下である樹脂層。
第1の本発明において、芳香族ポリカーボネート系樹脂を主体としてなるA層(10)が積層シートの最表面に位置している。このため、本発明の金属被覆用耐候性積層シート(100)(以下、「本発明の積層シート」と省略する場合がある。)を表面硬度に優れ、耐傷入り性の良好なものとすることができる。また、A層(10)中に所定量の紫外線吸収剤が添加されている。これにより、ポリカーボネート系樹脂自体の光黄変を防止すると同時に、A層(10)の下方に位置するB層(20)およびC層(30)への紫外線の透過を十分に減衰することができ、積層シート全体の耐候性の良好なものとすることができる。
また、B層(20)は、実質的に透明な熱可塑性樹脂に、比較的粒子径が大きい平板状の光輝性粒子を少量添加させたものである。そして、該光輝性粒子として、表面平滑性が良好なことから高い輝度感が得られるガラスフレークの表面に金属薄膜をコーティングしたものを使用している。これにより、本発明の積層シートを、光輝性粒子が強い輝度感を有する点の意匠として認識することができるような高い意匠性をする積層シートとすることができる。
また、一般に光輝性粒子は、可視光線のみならず、紫外線に対しても反射する特性を有している。このため、光輝性粒子を添加した層に紫外線が入射した場合、複数の光輝性粒子間で紫外線が多重反射を受ける。そして、光輝性粒子が添加されていない場合に比べて、光輝性粒子を添加した層の耐候性が、著しく悪化する場合が多い。これに対して、本発明の積層シートにおいては、所定量の紫外線吸収剤をA層(10)に添加し、B層(20)への紫外線の透過を充分に減衰させている。これにより、上記のような光輝性粒子の添加に起因する耐候性の悪化を防止している。
また、本発明の積層シートにおいては、B層(20)の下に着色顔料が添加されたC層(30)が付与されている。これにより、光輝性粒子による意匠に加えて、色味の意匠も付与することができる。そして、B層の光輝性粒子の光輝感を一層強調することができる。さらに、C層がカレンダー製膜可能な熱可塑性樹脂より形成されているので、小ロットで、多種の色味を有するC層を容易に得ることができる。
第1の本発明において、B層(20)の熱可塑性樹脂を、B層の樹脂成分全体を100質量%として、芳香族ポリカーボネート系樹脂を50質量%以上含有する実質的に透明な熱可塑性樹脂とすることが好ましい。また、C層(30)の熱可塑性樹脂を、カレンダー製膜法により製膜することが可能であり、芳香族ポリカーボネート系樹脂と熱融着性を有し、23℃での引張り破断伸びが100%以上、350%以下であるものとすることが好ましい。これにより、A層(10)とB層(20)の両方が芳香族ポリカーボネート系樹脂を主体としてなることから、A層とB層とを共押出し製膜法で一度に製膜することが容易となる。また、共押出し法で作成したA層およびB層からなる積層シートにC層(30)を積層するのを熱融着積層とすることができる。これにより、特別な接着剤層を設けることが不要となり、本発明の積層シート(100)を効率的に生産することができる。
さらに、A層(10)およびB層(20)に用いられる芳香族ポリカーボネート系樹脂は、常温域において、100%から150%の破断伸びを有する。そして、C層(30)の樹脂成分にも100%以上の破断伸びを有する材料を用いることで、本発明の積層シート(100)をラミネートした積層シート被覆金属板(200)に良好な加工性を付与することができる。
第1の本発明において、A層(10)に添加される紫外線吸収剤はトリアジン系のものであることが好ましい。該トリアジン系の紫外線吸収剤は、芳香族ポリカーボネート系樹脂との親和性に優れ、熱安定性が良好である。そして、押出し製膜時にベント吸引による昇華や、キャスティングロールへの吹き出しによるロスが少なく、同様にエンボス付与機での加熱の際に加熱ドラムやエンボス版ロールへの吹き出し等によるロスが少ない。また、シートを実際に使用した際の分解や散逸が少ない。また、トリアジン系の紫外線吸収剤は、芳香族ポリカーボネート系樹脂の光劣化感度が大きい290nm〜320nm域に最大吸収ピークを有している。これにより、A層(10)を構成する芳香族ポリカーボネート系樹脂の光劣化を効果的に防止することができる。
また、上記のトリアジン系紫外線吸収剤の添加量は、A層(10)の樹脂成分全体を100質量部して、以下の式(1)により定められるQ質量部であることが好ましい。
(105/A層の厚み(μm))<Q<18 (1)
添加量をこのように調整することによって、A層(10)を透過し、B層(20)やC層(30)に到達する紫外線を十分に減衰することができる。
第1の本発明において、C層(30)を構成する熱可塑性樹脂は、架橋ゴム弾性体成分を含むアクリル系樹脂を主体とするものであることが好ましい。これによって、C層の樹脂組成として23℃で100%以上の破断伸びを有する柔軟性を付与することが容易となり、本発明の積層シート(100)で被覆した積層シート被覆金属板(200)に良好な加工性を付与することができる。また、C層(30)のカレンダー製膜法による製膜性が良好となる。また、B層(20)が芳香族ポリカーボネート系樹脂より構成される場合は、アクリル系樹脂が芳香族ポリカーボネート系樹脂との熱融着性を有することから、C層を熱融着による積層一体化が可能な層とすることができる。
また、上記の架橋ゴム弾性体成分は、アクリル樹脂系架橋ゴム弾性体成分を核にして、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂をグラフト重合して得られるコア・シェル型の共重合組成物であることが好ましい。該コア・シェル型の共重合組成物は、熱劣化を受けた場合でも黄変するおそれが少ない。よって、積層シートで被覆した積層シート被覆金属板(200)を長期間使用した場合に、C層(30)のゴム成分が熱劣化することで変色を来たす恐れを防止することができる。
前記B層(20)とC層(30)との間には、印刷柄(D)(40)が付与されていても良い。これによって、光輝性粒子による意匠と、C層の着色意匠に併せて、印刷意匠も有する積層シートを得ることができる。
また、A層(10)の外表面には、エンボスによる凹凸意匠が付与されていても良い。これによって、光輝性粒子による意匠と、C層(30)の着色による意匠に併せて、エンボス意匠も有する積層シートを得ることができる。
また、本発明の積層シート(100)は、A層(10)とB層(20)とを共押出製膜法によって一体で製膜することにより効率的に製造することができる。また、A層(10)とB層(20)とが共押出製膜法によって一体で製膜されたシートと、C層(30)とを熱融着によって積層することにより効率的に製造することができる。
第2の本発明は、第1の本発明の金属被覆用耐候性積層シート(100)、および、該シートのC層(30)側に接着剤を介してラミネートされた金属板(80)を備えて構成される耐候性積層シート被覆金属板(200)(以下、「積層シート被覆金属板」と省略する場合がある。)である。本発明の積層シート被覆金属板(200)は、上記した本発明の積層シート(100)の特徴を備え、光輝性粒子が強い輝度感を有する光る点の意匠として認識することができる高い意匠性を有し、表面硬度が高く、玄関ドア等の用途に用いることができる耐候性を有する金属板である。また、本発明の積層シート被覆金属板(200)は、効率的に生産できるものであり、各種色味に対応する小ロット生産に好適に対応することができる。また、本発明の積層シート被覆金属板は、折り曲げ等の二次加工性が優れている。また、点の意匠および着色意匠に加えて、印刷意匠や、エンボス意匠を併せ持つ構成とすることもできる。
第3の本発明は、上記の積層シート被覆金属板(200)を用いた玄関ドア部材である。第4の本発明は、上記の積層シート被覆金属板(200)を用いたカーテンレールである。第5の本発明は、上記の積層シート被覆金属板(200)を用いた自動車内装部材である。第6の本発明は、上記の積層シート被覆金属板(200)を用いたエレベーター部材である。なお、玄関ドア部材とは、例えば、玄関ドアパネル、玄関ドア周りの垂直面部材等をいう。玄関ドア周りの垂直面部材とは、例えば、玄関ドアに隣接する(例えば、玄関ドアの左右部分、または、上部分)非可動部分の部材をいう。また、自動車内装部材とは、例えば、インスツルメントパネル、オーディオパネル等のダッシュボード周辺の意匠材、シフトレバーやハンドブレーキレバー取り付け部カバー周辺の意匠材等をいう。また、エレベーター部材とは、例えば、エレベーター内・外装材、エレベータードア材等をいう。
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
なお、本発明の積層シート、および積層シートを構成する各層シートは、一般的に「シート」と呼称される厚み範囲のものと、「フィルム」と呼称される厚み範囲のものを含んでいるが、ここでは一般的には「フィルム」と呼称する範囲に関しても便宜上「シート」という単一呼称を用いた。
<金属被覆用耐候性積層シート100>
図1は、本発明の金属被覆用耐候性積層シート100の層構成を示す模式図である。図1(a)では、A層10、B層20、C層30を備えた基本的な構成である本発明の積層シート100を示した。図1(b)では、さらにB層20とC層30との間に印刷柄(D)40を付与した形態を示した。図1(c)では、A層10の表面にエンボスによる凹凸意匠を付与した形態を示した。図1(d)では、図1(c)に示した形態の積層シート100を、接着剤70を介して金属板80にラミネートして形成した本発明の耐候性積層シート被覆金属板200を示した。以下、各層について説明する。
<A層10>
A層10は、芳香族ポリカーボネート系樹脂を主体としてなる層であって、実質的に透明であり、紫外線吸収剤を必須成分として含有する樹脂層である。芳香族ポリカーボネート系樹脂を主体としてなるとは、A層10の全樹脂成分全体を100質量%として、芳香族ポリカーボネート系樹脂を70質量%以上含有すること、好ましくは90質量%以上含有すること、より好ましくは99質量%以上含有することをいう。
(芳香族ポリカーボネート系樹脂)
芳香族ポリカーボネート系樹脂は、屋外で使用した場合に顕著な光黄変性を示す樹脂であることが知られている。また、同時に、紫外線吸収剤を添加することにより、その欠点を解決可能であることも知られている。しかし、A層10に占める芳香族ポリカーボネート系樹脂以外の樹脂成分が増えた場合は、紫外線吸収剤を添加した場合も、光黄変の抑制効果が充分に得られなかったり、表面の光劣化に起因するヘイズの増大等に起因して内部の光輝性粒子の視認性が低下したりするおそれがある。このため、本発明の積層シート100においては、上記のようにA層10の樹脂成分を少なくとも70質量%以上の芳香族ポリカーボネート系樹脂を含有するものとした。
本発明に用いられる芳香族ポリカーボネート系樹脂は、ホスゲン法やエステル交換法、ピリジン法等公知の方法により製造される。以下、一例として、エステル交換法による芳香族ポリカーボネート系樹脂の製造方法を記載する。
エステル交換法は、2価フェノールと炭酸ジエステルとを塩基性触媒、さらにはこの塩基性触媒を中和する酸性物質を添加して、溶融エステル交換縮重合を行う製造方法である。2価フェノールの代表例としては、ビスフェノール類が挙げられ、特に2.2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールAが最も汎用的に用いられており、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂に用いる原料としても好ましい。また、ビスフェノールAの一部または全部を他の2価フェノールで置換した構造のものを用いても良い。他の2価フェノールとしては、ハイドロキノン、4.4−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンや、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類、1.1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルなどの化合物、2.2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンのようなアルキル化ビスフェノール類、2.2−ビス(3.5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンのようなハロゲン化ビスフェノール類を挙げることができる。
炭酸ジエステルの代表例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニルカーボネート)、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ビフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどを挙げることができ、中でもジフェニルカーボネートが最も汎用的に用いられており、本発明の芳香族ポリカーボネート系樹脂に用いる原料としても好ましい。
本発明に用いられる芳香族ポリカーボネート系樹脂の分子量としては、溶剤としてメチレンクロライドを用い20℃で測定された溶液粘度より換算された粘度平均分子量で、下限は好ましくは20000以上であり、より好ましくは22000以上である。また、上限は好ましくは40000以下であり、より好ましくは30000以下である。粘度平均分子量が小さすぎると、特に低温衝撃強度が低下することが知られており、一方、粘度平均分子量が大きすぎると、溶融粘度が非常に高くなり成形加工性が低下し、また、重合に長時間を要することから生産サイクルやコストの点から好ましくない。なお、本発明においては、一種類の芳香族ポリカーボネート系樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
(芳香族ポリカーボネート系樹脂以外の樹脂成分)
A層10の樹脂成分に、芳香族ポリカーホネート系樹脂以外の樹脂をブレンドする場合は、該芳香族ポリカーボネート系樹脂と相容性を有する樹脂を用いることができる。図2に本発明の積層シートにエンボスを付与するためのエンボス付与機300の概念図を示す。このエンボス付与機の設備能力上の問題(例えば、ヒーターの加熱能力の不足)から、A層10の樹脂成分を芳香族ポリカーポネート系樹脂のみから構成した場合に、充分なエンボス転写が得られない場合は、A層10の樹脂成分として、非結晶性・低結晶性のポリエステル系樹脂をブレンドして、ブレンド組成物のガラス転移温度(Tg)を下げ、より低温で良好なエンボス転写が得られるようにしても良い。ただし、A層10の樹脂成分に、芳香族ポリカーホネート系樹脂以外の樹脂をブレンドする場合は、耐候性上の見地からA層10の樹脂成分の全量を100質量%として、30質量%未満の添加とすることが必要である。
ブレンドする非結晶性・低結晶性のポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂のジオール成分であるエチレングリコールの約50〜75モル%を1・4−シクロヘキサンジメタノールで置換した構造のものを用いることが好ましい。この構造のポリエステル系樹脂は、芳香族ポリカーボネート系樹脂との相容性に優れ、効果的にブレンド組成物のガラス転移温度を下げることができるため好ましく用いることができる。このような構造の低結晶性ポリエステル樹脂として、具体的には、イーストマン・ケミカル・カンパニー社の「PCTG・24635」を用いることができる。
また、非結晶性・低結晶性のポリエステル系樹脂として、ジオール成分に占める1.4−シクロヘキサンジメタノールの比率が50モル%より少ない場合でも、特定のポリアルキレングリコールセグメントを構成成分として含むポリエステル系樹脂は、芳香族ポリカーボネート系樹脂との比較的良好な相容性を示すことが知られている。該ポリエステル系樹脂も本発明のA層10の芳香族ポリカーボネート系樹脂にブレンドする樹脂成分として用いることができる。該特徴を有するポリエステル系樹脂としては、三菱レイヨン社製の「ダイヤナイトDN−124」を挙げることができる。
また、A層10における、芳香族ポリカーホネート系樹脂以外の樹脂成分として、ポリカプロラクトン樹脂や、脂肪族・脂環族ポリエステル樹脂等を用いることができる。脂肪・脂環族ポリエステル樹脂は、光黄変が少ないことから芳香族ポリカーボネート系樹脂とのブレンドによりA層10自体の光黄変を低減する効果が期待できる。しかし、光黄変以外の耐候劣化に関しては、充分な耐性を有しているとは言えない。よって、A層10の樹脂成分全体を100質量%として、30質量%未満の添加とする必要がある。
(実質的に透明な層)
A層10は、実質的に透明な層であるが、この実質的に透明であるとは、A層10を通して、B層20に添加された光輝性粒子による光輝性意匠が充分に発現される、または、C層30の着色意匠や印刷柄(D)40が視認されるという意味である。
(紫外線吸収剤)
A層10には必須成分として、紫外線吸収剤が添加されている。本発明のA層10に紫外線吸収剤が添加される目的は、(1)A層10それ自体を耐候性が良好な層として、A層10の光劣化に起因する黄変や透明性の低下、表面の劣化に伴う外観意匠の変化、A層10自体の脆化に伴う脱落等を防止するため、そして、(2)A層10の下に位置するB層20およびC層30(印刷柄(D)40を有する場合は、該印刷柄(D)40も)を紫外線から保護するためである。
もし、A層10が存在せず、その代わりに光輝性粒子を含むB層20が芳香族ポリカーボネート系樹脂より形成され、A層10に添加されるべき量と同等の紫外線吸収剤を含んでいたとしても、本発明の積層シート100と同等の耐候性は得られない。このような構成ではB層20が表面層となる。そして、B層20の表面からある程度の深さまでは、紫外線が透過してしまう。前述の通り、光輝性粒子は、可視光線の強い反射を示すのみでなく、紫外線をも反射する。このため、B層20中の光輝性粒子間で紫外線が多重反射し、B層20を構成する芳香族ポリカーボネート樹脂が、顕著な紫外線劣化を受ける。このため、本発明の積層シート100では、紫外線吸収剤を必須成分として含有し、かつ、光輝性粒子を含まないA層10を表面層として有しており、これにより積層シート100に耐候性を付与しているのである。
A層10に添加する紫外線吸収剤としては、芳香族ポリカーボネート系樹脂との親和性に優れ、熱安定性が良好であり、押出し製膜時にベント吸引による昇華や、キャスティングロールへの吹き出しによるロスが少なく、また、エンボス付与機での加熱の際に加熱ドラムやエンボス版ロールへの吹き出し等によるロスも少なく、そして、実使用中の分解や散逸が少なく、さらに、紫外線吸収剤を添加することそれ自体によりA層10が著しい着色を生じないものであれば、特に制限なく使用できる。現状においては、これらの要求を最も好適に満たす紫外線吸収剤としては、トリアジン系の紫外線吸収剤がある。このため、本発明の積層シート100でラミネートした金属板200を玄関ドア等の用途に供する場合においては、トリアジン系の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
トリアジン系の紫外線吸収剤としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「チヌビン1577FF」を挙げることができる。このように、トリアジン系の紫外線吸収剤を用いることが最も好適なのであるが、それ以外にも、積層シート被覆金属板200が使用される用途における耐候性レベルに応じて、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤を適宜用いることができる。
A層10への紫外線吸収剤の添加量は、3質量部以上18質量部以下であることが好ましい。また、比較的厳しい耐候性が要求される玄関ドア用途等においては、A層10自体の黄変防止の目的のために、トリアジン系の紫外線吸収剤を5質量部以上添加することが好ましい。また、A層10を透過し、B層20やC層30に到達する紫外線を充分に減衰する目的から、トリアジン系の紫外線吸収剤の添加量Q(質量部)を以下の式(1)に従って定めることが好ましい。
(105/A層10の厚み(μm))<Q<18 (1)
ここで、添加量Q(質量部)は、A層10の樹脂成分全体を100質量部とした場合の、紫外線吸収剤の添加量である。
(添加剤)
また、A層10には、その性質を損なわない範囲において、各種添加剤を適宜な量添加しても良い。一般的な添加剤としては、燐系、フェノール系他の各種酸化防止剤、ラクトン系、フェノールアクリレート系他のプロセス安定剤、熱安定剤、ヒンダードアミン系ラジカル補足剤、衝撃改良剤、加工助剤、金属不活化剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、難燃剤、艶消し剤、充填・増量剤、ブルーイング剤等を挙げることができる。これらの添加剤の添加量は、実質的に透明な熱可塑性樹脂製品を得る場合に通常添加される量で良い。
(A層の厚み)
A層10の厚みは、10μm以上である。また、40μm以下であることが好ましい。厚みがこれより薄い場合は、B層20、およびC層30へ透過する紫外線を効果的に減衰させるために、多量の紫外線吸収剤を添加する必要が生じる。そして、製膜時やエンボス付与時、あるいは実際の使用時に紫外線吸収剤が吹き出す恐れがある。また、B層20との共押出し法による一体化製膜の場合に、口金内での幅方向の厚み分布の不良や、内部界面の不安定現象に伴う内部ヘイズの増大を生じやすくなる。また、厚みをこれより厚くしたとしても、紫外線透過を減衰する効果は飽和している。そして、積層シート被覆金属板200として用いる場合は、積層シート100の総厚みに制限があるため、A層10の厚みを過度に厚くすると、他のB層20およびC層30を薄くする必要が生じ、他の層が受け持つべき機能の発現不全をもたらすおそれがある。
<B層20>
本発明のB層20は、実質的に透明な熱可塑性樹脂からなる層であって、B層20の樹脂成分全体を100質量部として、平均粒径が20μmより大きく、100μm以下であり、平均厚みが1μm以上、10μm以下であるガラスフレークの表面に金属薄膜をコーティングした平板状の光輝性粒子を、0.5質量部以上、5.0質量部以下含有し、厚みが30μm以上である樹脂層である。
(実質的に透明な熱可塑性樹脂)
実質的に透明な熱可塑性樹脂という点からは、ポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合系樹脂(AS樹脂)、メチルメタアクリレート・スチレン共重合系樹脂(MS樹脂)等も、その範囲に含まれることとなる。しかし、これらの破断伸びがない材料をB層20として用いた場合は、積層シート100をラミネートした積層シート被覆金属板200に満足な加工性を付与することができない。その点からは、実質的に透明で、かつ、23℃での引張り破断伸びとして100%以上を有する材料を用いることが好ましい。この点から、B層20の樹脂成分としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂、ポリトレメチレンテレフタレート(PTT)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂等の結晶性ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレートのジオール成分の一部、および/または、ジカルボン酸成分の一部を置換した構造の非晶性・低晶性のポリエステル樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、および、それらのブレンド組成物、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)などのアクリル系樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合系樹脂(AS樹脂)、メチルメタアクリレート・スチレン共重合系樹脂(MS樹脂)等の透明性を維持したまま、ゴム成分の添加により柔軟性を付与した樹脂組成物、ポリ4メチル1ペンテン等や各種低晶性、非晶性の比較的透明性の良好なポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。
これらの中でも、芳香族ポリカーホネート系樹脂を用いることが、A層10との共押出し製膜法により一度に製膜と積層を容易に達成可能な点から最も好ましい。使用可能な芳香族ポリカーボネート系樹脂は、A層10に用いるものと同様である。
また、B層20に関しても、非晶性または低晶性のポリエステル樹脂と芳香族ポリカーボネート系樹脂とのブレンド組成としても良いが、この場合、B層20はA層10の存在により紫外線から保護されているため、耐候性の見地からは30質量%以下のブレンド比率と限定する必要はない。しかし、A層10との共押出し製膜法による一体製膜のメリットを考えると、押出し製膜の過程で、両層の熔融粘度に著しい差異がないことが好ましいため、非晶性または低晶性のポリエステル樹脂のB層20へのブレンド比率は、その点からは50質量%未満であることが好ましい。
B層20の組成として、C層30に用いることのできるアクリル系架橋ゴム弾性体成分を含むアクリル系樹脂を用いてカレンダー製膜法によってB層20を作成しても良いが、この場合、積層シートを得るのに、C層30とB層20の2層のカレンダー製膜によるシートが必要となる。よって、生産性の点では、B層20に芳香族ポリカーボネート系樹脂を用い、A層10と共押出し製膜した場合に及ばない。また、該アクリル系架橋ゴム弾性体成分を含むアクリル系樹脂は、透明な樹脂組成物を得ることが出来るものではあるが、充分な加工性を有する積層シート被覆金属板200を得ようとした場合、架橋ゴム弾性体成分を比較的多量に添加することが必要となる。そして、その場合はヘイズ(曇り度)が大きくなってしまう。よって、得られる積層シート100の光輝感の点では、B層20の熱可塑性樹脂として、芳香族ポリカーボネート系樹脂を主体として用いた場合に及ばない。
なお、本発明の積層シート100を折り曲げ加工を要しない木質板や熱硬化性樹脂板等への意匠性付与に用いる場合は、前述の破断伸びを有しない透明樹脂材料をB層20の樹脂成分として用いることができる。
(光輝性粒子)
B層20に添加される光輝性粒子としては、平均粒径が20μmより大きく、100μm以下であり、平均厚みが1μm以上、10μm以下の平板状のガラスフレークの表面に金属薄膜をコーティングしたものを用いることができる。粒径がこれより小さい場合は、光輝性粒子が強い輝度感を有する点の意匠として認識される効果が乏しくなり、全体が一様にメタリックな反射を示すような意匠となりやすい。本発明の光輝性粒子のように、平均粒径を20μm以上とすることによって、全体として星がちりばめられたような光輝性意匠を現出させることができる。
また、粒径がこれより大きい場合は、個々の光輝性粒子の視認度は良好となる筈であるが、実際には、B層20の組成物のマスターバッチの作成時や押出し製膜時等の剪断が加えられるプロセスにおいて、光輝性粒子の破砕が顕著に発生し、期待したほどの意匠効果は得られない。また、逆に、これらプロセスでの破砕を最低限に抑え、大粒径の光輝性粒子を分散し得たとした場合であっても、積層シート被覆属板200を折り曲げ加工等の2次加工に供した場合に、大径粒子を起点とした樹脂層のクラックが発生して加工性不良を招くおそれがある。
また、光輝性粒子の平均厚みがこれより薄いと、やはり剪断が加えられるプロセスにおいて、光輝性粒子の破砕や変形が顕著に発生する恐れがある。また、光輝性粒子の平均厚みが、これより厚いとB層20を押出し製膜で作成する際に、B層20の流動性の不良を生起し、スジ入りや穴開き等の不良を生起したり、製膜自体が困難となる恐れがある。平均厚みに関しては、6μm以下であることがさらに好ましい。B層20に添加するガラスフレークを基材とする光輝性粒子は、粒径に関しては、平均粒径を中心にある程度の幅の分布を有しているが、厚みに関しては、超薄膜ガラスを破砕してフレークを得るという製法上の特長から極めて良好な均一性を有しており、平均厚みに対し極端に厚みのある粒子が混在することに起因する押出し製膜時の不良が発生しにくい特徴を有している。
光輝性粒子の好ましい添加量は、B層20の樹脂成分全体を100質量部として、下限が好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上であり、上限が好ましくは5質量部以下、より好ましくは2.5質量部以下である。これより添加量が少ないと、強い輝度感を有する点として認識される粒子の数が少なく、充分な意匠感を得ることができない。また、これより添加料が多い場合は、全体が一様な輝度感を示すようになり、やはり良好な意匠感を得ることができない。なお、平均粒径、および、平均厚みの大きい粒子ほど、同一添加部数での粒子の数は少ないことになるので、希望する意匠に応じて、上記範囲の添加量内で、平均粒径や平均厚みを考慮して適宜添加量を決定する。
上記で説明した平板状のガラスフレークの表面に金属箔膜をコーティングした光輝性粒子は、一般的に光輝性粒子として用いられることの多い酸化チタン被覆のマイカやアルミ粉に比べて、表面の平滑度が高いことから、非常に高い輝度感を得ることができ、本発明のような、星がちりばめられたような光輝性意匠を得るには好適に用いることができる。
また、本発明の最も好ましい形態である、B層20として、芳香族ポリカーボネート系樹脂を主体とする熱可塑性樹脂を用いた場合、従来一般的にこのような用途に用いられて来た、酸化チタン被覆のマイカでは、酸化チタンの熱劣化触媒作用により芳香族ポリカーボネート系樹脂を劣化させるおそれがあった。また、金属箔をラミネートした熱可塑性樹脂シートの破砕片、金属蒸着を施した熱可塑性樹脂シートの破砕片等熱可塑性樹脂を基材とした光輝性粒子では、芳香族ポリカーボネート系樹脂の熔融成形温度に耐える耐熱性がなく、成形時に熔融してしまう。これに対し、金属箔膜をコーティングしたガラスフレークを用いた場合は、これらの問題が発生するおそれが少ない。
さらに、平均粒径に比較して、厚みが相当薄く、アスペクト比(平均粒径(μm)/平均厚み(μm))が15〜40程度であるという特徴を有しているため、押出し製膜時の流動配向で、光輝性粒子の平板状の面が製膜シートの表面と平行に配向しやすく、効率的に高い輝度感が得られると同時に、比較的厚みの薄いB層20にも大きな平均粒径の光輝性粒子を添加することが可能となるものである。
このガラスフレークの表面に金属箔膜をコーティングした光輝性粒子としては、日本板硝子社製の「メタシャイン」を挙げることができ、各種粒径・厚みのものを入手することができる。また、この「メタシャイン」の中でも、金属箔膜として、銀およびニッケルの薄膜を用いたものが、強い輝度感が得られるため好ましく用いることができる。
(B層20の厚み)
B層20の厚みは30μm以上であり、これより薄いと、上記好ましい厚み範囲の光輝性粒子の添加が困難となり充分な意匠性が得られない。光輝性粒子の厚みが5μm以上である場合は、B層20の厚みは40μm以上であることが好ましい。また、B層20の厚みは150μm以下であることが好ましい。これより厚くしても意匠性向上効果は飽和するか、過剰となる。加えて、積層シート被覆金属板200として用いる場合は、積層シート100の総厚みに制限があるため、B層20の厚みを過度に厚くすると、他の層が薄くなってしまい、他の層が受け持つべき機能の発現不全をもたらすおそれがある。
B層20の製膜方法に関しては特に制限はなく、Tダイ製膜法、カレンダー製膜法等の通常の薄いシートを製膜する手法を制限なく用いることができる。その中でも、前記したように、B層20の樹脂組成を芳香族ポリカーボネート系樹脂を主体とするものとし、マルチマニホールドや、フィードブロックを用いた共押出し製膜法によりA層10と積層一体化された状態で製膜することが、生産効率の点で特に好ましい。
(添加剤)
B層20にもA層10に用いることができる各種の添加剤成分を適宜な量用いてもよい。また、B層20にも紫外線吸収剤を添加しても良い。ただし、紫外線はA層10の表面から入射するものであるため、A層10側に高濃度で添加しておくほうが効率的な紫外線カットができる。
<C層30>
C層30は、本発明の積層シート100に色味の意匠を付与すると同時に、被覆する金属等の下地の色の違いの影響で、積層シート100の色味や意匠感が変化しないような隠蔽性を有する層である。
C層30は、カレンダー製膜法により製膜することが可能である熱可塑性樹脂からなる層であって、顔料成分が添加されることにより着色された、厚みが45μm以上、260μm以下である樹脂層である。また、B層20の樹脂組成を芳香族ポリカーボネート系樹脂とした場合に、B層20と熱融着積層が可能であるものが好ましい。
(C層30の熱可塑性樹脂)
基本的に熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度以上、あるいは融点以上で、弾性率が充分に低下する温度まで加熱することで、オープンロールによる成形は可能となる。その中でも、ここでいう、カレンダー製膜が可能というのは、軟質PVCシートの製膜に用いられてきたようなカレンダー設備や、それに温度条件や剪断トルクに関し多少の能力向上を施した程度のカレンダー設備で、容易に製膜が可能であることを意味する。さらに具体的にいうと、C層30を構成する熱可塑性樹脂は、ロール加熱温度の上限が200℃〜220℃程度のカレンダー設備で熔融混練が可能で、かつ、カレンダーロールからの良好な離型性を示し、圧延工程では充分な熔融張力を示し、均一な厚みの薄物シートを得やすい樹脂をいう。色味を付与する層であるC層30が、カレンダー製膜可能であることが好ましい理由は、積層シート被覆金属板200は小ロットで極めて多種類の色味に対応する必要があり、押出し製膜では色替えロスが多量に発生し、コスト面や環境問題の点で問題を生じるおそれがあるためである。
カレンダー製膜可能な樹脂としては、軟質PVCを除いて、ポリオレフィン系樹脂、ABS系樹脂、MBS系樹脂、架橋ゴム弾性体成分を含むアクリル系樹脂、非晶性のポリエステル樹脂等を挙げることができる。
これらの中で、芳香族ポリカーボネート系樹脂との熱融着性を有するものとしては、ABS系樹脂、MBS系樹脂、架橋ゴム弾性体を含むアクリル系樹脂、非晶性のポリエステル樹脂が該当する。また、本発明の積層シート100を積層シート被覆金属板200の用途に供する場合、加工性を確保する目的から、23℃での引張り破断伸びが100%以上、350%以下であることが好ましい。それに対して、ABS系樹脂やMBS系樹脂は、該範囲の破断伸びを確保することは難しく、また、破断伸びとして該範囲のものを得られた場合も、これら樹脂種の特徴として折り曲げ白化を生じやすい。また、非晶性のポリエステル樹脂では、自動車内装用途などの比較的高温に晒される可能性がある用途での耐熱性や耐久性に問題を生ずるおそれがある。
以上より、本発明のC層30を構成する熱可塑性樹脂としては、架橋ゴム弾性体成分を含むアクリル系樹脂を主体としてなるものであることが最も好ましい。架橋ゴム弾性体成分を含むアクリル系樹脂を用いた場合は、上記範囲の破断伸びを得やすく、かつ折り曲げ白化を生じにくくなる。
(アクリル系樹脂)
以下、C層30を構成する熱可塑性樹脂として好ましい形態である、上記の架橋弾性体成分を含むアクリル系樹脂について説明する。ここでのアクリル系樹脂とは、下記一般式(2)で示されるアクリル系単量体の単一組成、または、複数組成を重合して得られる重合体および/または重合体の混合物を主成分として含むものをいう。
CH=CR−COOR (2)
なお、ここでの主成分として含むとは、C層30を構成する熱可塑性樹脂全体から架橋ゴム弾性体成分を差し引いた質量を100質量%として、上記の重合体および/または重合体の混合物を70質量%以上、好ましくは90質量%以上含むことをいう。
一般式(1)において、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基またはシクロアルキル基を表す。
C層30における、アクリル系樹脂としては、例えば、ブチルアクリレート等とメチルメタクリレート等とをランダム共重合させて破断伸びを向上させたアクリル系樹脂、アクリル系樹脂との相容性に優れ、アクリル系樹脂のガラス転移温度Tgを低下させる作用を有する可塑剤を添加したアクリル系樹脂、あるいは、アクリル系樹脂とある程度の相溶性を有するポリマー成分を添加等することにより破断伸びを向上させたアクリル系樹脂等を用いることができる。
これらの中でも、C層30におけるアクリル系樹脂としては、ガラス転移温度(Tg)が85℃以上であるメチルメタクリレートを主成分とするアクリル系樹脂を好ましく用いることが好ましい。ガラス転移温度(Tg)がこれ以下である場合は、カレンダー製膜での製膜性等に問題を生じ易く、また、積層シート被覆金属板200の用途の一つであるユニットバスの規格試験項目として一般的に含まれる沸騰水浸漬試験に対して耐性が得られない。
また、ブチルアクリレート等をソフトセグメントとし、メチルメタクリレート等をハードセグメントとしたブロック共重合タイプの柔軟性アクリル系樹脂で、ハードセグメントに由来するガラス転移温度が85℃以上であるものを好ましく用いることができる。
上記のアクリル系樹脂のガラス転移温度を低下させる作用を有する可塑剤としては、フタル酸系の可塑剤(例えば、ジオクチルフタレート(DOP))、連続塊状重合により得られた分子量1000〜20000のアクリル系高分子可塑剤(例えば、東亜合成社製「アルフォンUP」)等を用いることができる。
また、上記のアクリル系樹脂とある程度の相溶性を有するポリマー成分としては、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂等を用いることができる。
(架橋ゴム弾性体成分)
上記のアクリル系樹脂に添加する架橋ゴム弾性体成分としては、ABS系、MBS系、等の衝撃改良剤として一般的に用いられているものを使用することができる。その中でも、本発明においては、C層30の好ましい引張り破断伸びを得るためには、架橋弾性体成分を比較的多量に添加することが必要であり、マトリクス樹脂となるアクリル系樹脂との相容性に優れ、また、折り曲げ白化を生じ難い、アクリル系架橋ゴム弾性体成分を用いることが好ましい。
アクリル系架橋ゴム弾性体成分は、ABS系、MBS系などのブタジエン系の架橋ゴム成分を含むものに比べて、本来の透明性が高いことから、着色剤の発色が良好である。また、耐熱性が良好であり熱劣化による黄変が生じない点からも好ましい。
アクリル系架橋ゴム弾性体成分とは、架橋されたアクリル系ゴム相に多段重合で、マトリクスとの相容性を得るためのアクリル系組成物をグラフト重合して、アクリル系ゴム相上にグラフト相を形成したものである。
架橋されたアクリル系ゴム相に用いるアクリル系樹脂としては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜8のアクリル酸エステルを単量体とする重合体が挙げられる。これらの中でも、低温での加工性を良好なものとするため、ガラス転移温度が0℃より低いアクリル酸エステル単量体を主成分とすることが好ましく、アクリル酸ブチルやアクリル酸2−エチルヘキシルのような炭素数4〜8のものを単量体とする重合体が好ましい。また、上記の単量体に共重合可能な他のビニル単量体成分として、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル、スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル等のビニルシアン化合物等と共重合した共重合体を用いることもできる。
アクリル系ゴム相に架橋構造を付与するための架橋性・共重合性単量体としては、1分子内に重合性二重結合を少なくとも2個有するものであれば良く、エチレングリコールジメタクリレート、1.3−ブチレングリコールジメタクリレート、1.4−ブチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレートのようなグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステル類や、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のポリビニルベンゼン等を用いることができる。
架橋されたアクリル系ゴム相には、マトリクス樹脂との相容性を良好なものとする目的で、アクリル系組成物がグラフト重合され、グラフト相が形成される。アクリル系組成物とは、メタクリル酸エステルを主体とする単量体からなる組成物である。ここで、「主体とする」とは、アクリル系組成物全体を基準(100質量%)として、メタクリル酸エステルを50モル%以上、好ましくは、60モル%以上含有することをいう。
グラフト重合してグラフト相を形成する単量体の主体であるメタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。また、アクリル系組成物に含まれる上記メタクリル酸のアルキルエステルと共重合する共重合成分としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル成分や、スチレン等の芳香族ビニル化合物、あるいは、アクリロニトリル等のビニルシアン化合物等が挙げられる。
上記基本構造を有するアクリル系架橋ゴム弾性体成分は、「コア・シェル型アクリル系架橋弾性体成分」と呼称され、アクリル系衝撃改良剤として、あるいは加工助剤として、各種のものが市販されている。
また、上記コア・シェル型のアクリル系架橋弾性体成分を含むアクリル系樹脂は、「ソフトアクリル」、「軟質アクリル」、「柔軟性アクリル」等の呼称で各種グレードのものが市販されており、本発明においても、これらを好適に用いることができる。ただし、本発明に用いることができる架橋ゴム弾性体成分は、アクリル系架橋ゴム弾性体成分に限定される訳ではなく、折り曲げ白化や耐侯性、耐熱性等が問題にならない範囲において、MBS系等のアクリル樹脂系以外の架橋弾性体成分等を併用してもよい。
上記した架橋ゴム弾性体成分を比較的多量に含むアクリル系樹脂を本発明のC層30に用いた場合は、積層シート被覆金属板200の加工性の点から、本発明のC層30が有することが好ましい100%以上の引張り破断伸びを得ることが容易である。また、架橋ゴム弾性体成分が加熱された金属に対し非粘着性を有すること、および、マトリクス樹脂であるアクリル系樹脂のガラス転移温度を超える温度に加熱されても、弾性率が急激に低下することがなく、適度な熔融張力を得られることからカレンダー製膜性が良好なものとなる。
また、積層シート被覆金属板として用いる軟質PVCシートにエンボスを付与するために用いられてきた、図2に示したエンボス付与機300を用いて、本発明の積層シート100にエンボスを付与する場合も、加熱金属への非粘着性や適度な熔融張力により、容易に作業を行える利点がある。
C層30の引張り破断伸びが350%を越える場合は、C層30のカレンダー製膜性が悪化し、また、C層30単体での取り扱い性も悪化するため好ましくない。
一般的に、アクリル系樹脂に架橋ゴム弾性体成分を添加することにより、上記した範囲の破断伸びを付与した場合は、そのシートの表面硬度は、鉛筆硬度で3B〜6B程度となり、非常に耐傷入り性の悪いものとなってしまう。しかし、本発明においては、最表層となるA層10が、表面硬度が高く、耐傷入り性に優れる芳香族ポリカーボネート系樹脂よりなることから、C層30としてこのような柔軟なシートを用いても、積層シート100としては良好な耐傷入り性を得ることができる。
C層30の隠蔽性は、JIS K5600−4−1(塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第1節)に準拠して測定した隠蔽率が0.98以上であることが好ましい。隠蔽率がこれより低い場合は、異なった種類の金属板80に同一の積層シート100を被覆した場合、金属板80表面の色味の違いにより、積層シート被覆金属板200の意匠感が異なってくるおそれがあるためである。
C層30に着色意匠と隠蔽性を付与する方法としては、通常の着色顔料の添加によるもので良く、一例としては、淡色の場合は、白系の顔料の中では比較的隠蔽性の高い酸化チタン顔料をベースとして、色味の意匠を得るための有彩色の有機・無機の顔料を併用する等の方法を挙げることができる。また、有機染料を用いてもよいが、これのみでは隠蔽性が得られないため、やはり隠蔽性の高い顔料との併用で用いることになる。
これらの添加量に関しても、上記目的に一般的に添加される量で良く、例えば顔料の添加量は、C層30の樹脂成分の量を100質量部として、0.2〜60質量部である。一般的に濃色の場合のほうが必要な隠蔽性の確保は容易である。また、C層30の厚みが薄くなるほど、隠蔽性確保のために必要な顔料添加量は多くなる。
C層30の厚みは、下限が好ましくは45μm以上、より好ましくは65μm以上、さらに好ましくは75μm以上であり、上限が好ましくは260μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは125μm以下である。C層30の厚みが薄すぎると、C層30に必要な隠蔽性を得ることが困難となる。また、逆に、C層30の厚みが厚すぎると、C層30に必要な機能が飽和してしまう。そして、積層シート被覆金属板200として用いる場合、積層シート100の総厚みに制限があるため、他の層を薄くする必要があり、他の層が受け持つべき機能の発現不全をもたらすおそれがある。
(添加剤)
また、C層30に関しても、その性質を損なわない範囲において、A層10に用いることができる各種添加剤を適宜な量添加しても良い。C層30をカレンダー製膜法で得る場合は、カレンダー製膜性を良好なものとする目的で、各種滑剤を添加しても良い。添加する滑剤としては、従来用いられているもので良く、ステアリン酸、モンダン酸等の脂肪酸系滑剤、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、ポリオレフィン系ワックス・酸変性ポリオレフィン系ワックス・パラフィンワックス等の炭化水素系滑剤、アクリル系滑剤等各種のものを挙げることができる。中でも、熱安定性が高く持続滑性効果を有するアクリル系高分子滑剤が好ましく、三菱レイヨン社製の「メタブレンL−1000」等を用いることができる。あるいは、アクリル系高分子滑剤と他の滑剤とを併用しても良い。
滑剤の添加量は、C層30を形成する全樹脂成分を基準(100質量部)として、0.2〜3質量部程度の一般的な量でよい。また、従来から行われているように、カレンダー装置での製膜時の樹脂温度や、C層30の設定厚み等により適宜添加量を調整することができる。
さらに、C層30には、カレンダー製膜時の熔融張力を向上させるための線状超高分子量アクリル系樹脂(一例として、三菱レイヨン社製の「メタブレンP−531」等がある。)や、フィブリル状に展開する易分散処理を施したポリテトラフルオロエチレン等の加工助剤(一例として、三菱レイヨン社製の「メタブレンA−3000」等がある。)、ゲル化促進剤、バンク形状改善、フローマーク改善の目的で添加される添加剤等を添加しても良い。
C層30は前述の通り、カレンダー製膜法により製膜することが特に好ましいが、Tダイ製膜法、インフレーション法等の押出し製膜法により製膜しても良い。
<印刷柄(D)40>
本発明の積層シート100においては、B層20とC層30の間に印刷柄(D)40が付与されている構成とすることもできる。印刷柄(D)40は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェットプリンターによる印刷、その他の公知の印刷方法で施される。印刷柄(D)40の絵柄は石目調、タイル調、あるいは幾何学模様、抽象模様等任意である。部分印刷でも全面ベタ印刷でも良く、部分印刷層とベタ印刷層の両方が施されていても良い。本発明の星がちりばめられたような光輝感を発現する光輝性粒子との組み合わせが必ずしも良好とは言えないが、木目柄の印刷柄であっても構わない。
印刷柄(D)40は、B層20と積層することになるC層30の表面に印刷を施すことにより形成しても良いし、C層30と積層することになるB層20の表面に印刷を施すことにより形成しても良い。
本発明においては、B層20とC層30とを熱融着積層で一体化できることが、生産コストの点から特に好ましいのであるが、両層の間に印刷柄(D)40が存在する場合についても、印刷インクのバインダーを適宜選定することにより、熱融着性を保持することができる。
また、印刷柄(D)40は、A層10とB層20との間にあっても良いし、さらに、B層20とC層30との間の両方にあっても良い。A層10とB層20との間に印刷柄(D)40を付与する場合は、部分印刷であることが必要であり、また、本発明の光輝性意匠感を充分に発現させるためには、印刷柄(D)40が付与される部分は、あまり大面積とならないことが好ましい。また、A層10とB層20との間にも印刷柄(D)40を設ける場合は、A層10、B層20、C層30を各単独のシートとして製膜しておく必要があり、生産性が低下する。
<積層シート100の厚み>
積層シート100全体の厚みは、下限が好ましくは75μm以上、より好ましくは120μm以上であり、上限が好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。積層シート100の厚みが薄すぎる場合は、各層に必要な機能を充分に付与することが難しく、耐候性の不足、光輝性粒子の輝度感の不足、隠蔽性の不足等を来たす恐れがある。一方、積層シート100の厚みが厚すぎる場合は、軟質PVC樹脂被覆金属板を折り曲げ加工等の成形加工するのに従来から用いてきた成形金型の使用が困難になるなど、2次加工性に問題を生じるおそれがある。
<積層シート100の製造方法>
本発明の積層シート100の製造方法には、特に制限はなく、各層を単独で製膜した後に後工程で積層一体化しても良いが、前述の通り、A層10とB層20とを2台の押出機とマルチマニホールドダイ、若しくはフィードブロックを用いた共押出し製膜法により一体化した状態で作製し、カレンダー製膜法により作成したC層30と熱融着積層することが、最も効率的なため好ましい。このA層10およびB層20の2層共押出しシートと、C層30との熱融着積層による一体化は、エンボス付与機の加熱ロールへの導入部分で実施するのが工程上好ましい。ただし、この積層一体化は必ずしもエンボス付与機での熱融着積層によらないで、他工程で熱融着積層を行っても良い。また、ドライラミ接着剤等による積層とすることもできる。
<積層シート100へのエンボス付与>
上記の方法により製造した積層シート100は、A層10側表面にエンボス版により凹凸形状を付与し、エンボス意匠シートとすることができる。図1(c)に、本発明の積層シート100にエンボス意匠を施した場合の層構成を示した。エンボス版としては、エンボス意匠が形成された版であれば、その形状は特に限定されず、枚葉でエンボス処理するための板状のものであっても、連続でエンボス処理することのできるロール状のものであってもよい。
なお、以下において説明する従来の軟質PVCシートに使用されていたエンボス付与機300においては、エンボス版として、ロール状のエンボスロールを使用している。また、エンボス柄の意匠に関しては特に制限はない。A層10の表面が平滑な部分においては、内部の光輝性粒子の視認性が高くなり、逆に精細な梨地や線状のエンボスを付与した部分においては視認性が相対的に低下する。この観点から、平滑な部分と精細な凹凸を有する部分を併せ持つようなエンボス柄を用いることで、より高い意匠感を得ることができる。
図2に、従来、軟質PVCシートにエンボス意匠を付与するために一般的に用いられてきたエンボス付与機300の一例を示す。図示した一実施形態のエンボス付与機300は、加熱ロール310、テイクオフロール320、赤外線ヒーター330、ニップロール340、エンボスロール350および冷却ロール360により構成されている。図2に示す形態では、共押出し製膜法で一体で製膜したA層10およびB層20の積層シートと、印刷柄D40を施したC層30の単層シートを供給し、上記のようにエンボス付与機300の加熱ロール310で熱融着積層を行っている様子を示している。
本発明の積層シート100は、C層30を構成する熱可塑性樹脂として、架橋ゴム弾性体成分を含むアクリル系樹脂を主体としてなるものを用いることで、エンボス付与機300により従来の軟質PVCシートと同様にエンボス意匠を付与することができる。すなわち、C層30が、100℃〜140℃程度に加熱された加熱ロール310に対して非粘着性を有しており、またヒーター330によるシート加熱温度である160℃〜190℃でも、積層シート100の幅縮み、皺入り、破断等を生ずることなく、また芳香族ポリカーボネート系樹脂を樹脂成分の主体としてなるA層10が良好なエンボス付与適性を有していることで良好な外観のエンボス意匠が付与された積層シート100を得ることができる。かつ、エンボスロール350の温度をA層10の樹脂混合物のガラス転移温度(Tg)よりやや低い温度に適宜調整することで、積層シート100がエンボスロール350と接触した際、エンボス意匠の付与と同時に冷却によるエンボス意匠の固定がなされることから、エンボス付与工程でのエンボス戻りを生じ難く、精密エンボス意匠に対しても良好な転写性を得ることができる。
<耐候性積層シート被覆金属板200>
図1(d)に層構成を模式的に示したように、本発明の金属板200は、上記により作製した積層シート100および金属板80を備え、積層シート100におけるC層30側表面が接着剤70を介して金属板80上にラミネートされた構成を有している。図1(d)に示した構成では、一実施例として、A層10表面にエンボスを有している積層シート100により被覆された構成を示した。本発明の耐候性積層シート被覆金属板200は、この構成に限定されず、表面にエンボスを有さない積層シート100や、印刷柄(D)40を有する積層シート100により被覆された構成も含む。
本発明の耐候性積層シート被覆金属板200に用いる金属板80としては、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、スズメッキ鋼板、アルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼鈑、アルミニウム・マグネシウム・亜鉛合金メッキ鋼鈑、ステンレス鋼板等の各種鋼板やアルミニウム板、アルミニウム系合金板、チタン系合金板等が使用できる。これらの金属板は、通常の化成処理を施した後に使用してもよい。金属板80の厚さは、積層シート被覆金属板200の用途等により異なるが、0.1mm以上、3mm以下の範囲で選ぶことができる。
積層シート100を金属板80にラミネートする方法としては、接着剤によるラミネートが一般的である。接着剤としては、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤等の一般的に使用される熱硬化型接着剤を挙げることができる。この中でも、C層30がアクリル系樹脂よりなる場合においては、接着剤としてアクリル系接着剤を用いることが好ましい。
耐候性積層シート被覆金属板200を得る方法としては、金属板80にリバースコーター、キスコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用して、積層シート100を貼り合せる金属面に、乾燥後の接着剤膜厚が2μm以上、10μm以下程度になるように上記の熱硬化型接着剤を塗布する。ついで、赤外線ヒーターおよび、または熱風加熱炉により塗布面の乾燥および加熱を行い、金属板80の表面温度を、220℃以上、250℃以下程度の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネーターを用いて積層シート100のC層30側が接着面となるように被覆、冷却することにより耐候性積層シート被覆金属板200を得ることができる。ただし、本発明の金属板200の製造方法は、これに限定されるものではなく、樹脂被覆金属板の用途によっては、熱可塑性の接着性樹脂や、あるいは粘着剤等を用いても構わない。
本発明の積層シート100は、光輝性粒子が強い輝度感を有する点の意匠として認識することができ、それによって、全体として星がちりばめられたような光輝性意匠を現出可能な高い意匠性を有し、かつ、耐候性に優れた積層シート100である。また、良好な耐傷入り性を示す表面硬度を有している。さらには、B層20、およびC層30の樹脂組成を限定することにより、生産性に優れ、エンボス付与機でのエンボス付与適性にも優れた積層シートとすることが可能であり、積層シート被覆金属板200として用いるのに好適な、加工性を有する積層シート100とすることができる。
よって、本発明の積層シート100を被覆した積層シート被覆金属板200は、種々の用途に広範に対応することができ、玄関ドア材、玄関ドア周りの部材、ユニットバス壁材、ユニットバス天井材等のユニットバス部材、クローゼットドア材、バーティション材、パネル材等の建築内装材、鋼製家具部材、AV機器、エアコンカバー等の家電製品筐体部材、自動車内装用途の意匠性パネル材等として好適に用いることができる。
本発明をより具体的かつ詳細に説明するために、次に実施例および比較例を示すが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
<実施例1〜15、および、比較例1〜15>
(B層20の原料コンパウンドの作製)
光輝性粒子として、表1に記載のものを表1に記載の量用いて、口径35mmの同方向2軸混練機により、ビスフェノールA型の芳香族ポリカーボネート樹脂「ノバレックス7025A」(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)との熔融混練を行い、ストランドダイから直径約3mm程度の線状に押出した後、水冷し、ペレタイザーで連続的にカットすることにより長さ約5mm程度の光輝性粒子練り込みペレットを得た。35mm混練機のシリンダー設定温度は、270℃であり、芳香族ポリカーボネート樹脂の原料フレークと、光輝性粒子とは、それぞれ別の定量供給フィーダーを用い、混練機のフィード部に投入している。
表1中の、「メタシャイン」は、日本板硝子社製のガラスフレークの表面に金属箔膜がコーティングされた光輝性粒子であり、平均粒径、平均厚み、およびコーティングされている金属種は表1中に示した。比較例11、12に用いた「メタシャインMC1080RS」のみは、金属ではなく、金属酸化物である酸化チタンがコートされている。また、比較例13、14の鱗片状アルミニウムは、メタリック塗料等に用いられるもので、ノンリーフタイプと呼ばれる表面処理のないものから、比較的粒径の大きなものを選択したものである。比較例15のパールマイカ顔料は、真珠光沢顔料として最も一般的に用いられているものであり、天然マイカ、合成マイカ等の表面に酸化チタン薄膜がコーティングされているものである。平均粒径としては30μmのものを用いた。
(A層10の原料コンパウンドの作製)
上記と同様に口径35mmの同方向2軸混練機を用い、B層20に用いたのと同一の芳香族ポリカーボネート樹脂を用い、紫外線吸収剤としてトリアジン系のチヌビン1577FF(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を8質量部練り込んだペレットを作成した。温度条件やその他手順等もB層20の原料のコンパウンドを作成する際と基本的に同様である。
(A層10とB層20との共押出し製膜)
2台のφ65mmのベント付き単軸押出機、マルチマニホールド機構を有するTダイ、および必要な各種導管類を用いて、上記で得られた、A層10およびB層20の原料コンパウンドから、2層の共押出し積層シートを作成した。A層10の樹脂組成、紫外線吸収剤の添加量は、実施例1〜15および比較例1〜15について全て同一である。A層10の設定厚みも20μmで同一であり、一方のφ65mm単軸押出機の吐出量を変化させることで、B層20の設定厚みのみを表1に記載のように変化させた。
押出機のシリンダー設定温度は、フィード側260℃、口金側280℃の設定とし、A層10側、B層20側で同一である。マルチマニホールドダイは設定温度を270℃とし、製膜の情況に応じて適宜微調整を行った。オイル循環機構を有するキャスティングロールを設定温度120℃として、Tダイから熔融流下する樹脂を引き取り、冷却固化し、幅1000mmのA層10とB層20の積層シートを得た。
Figure 2007326314
Figure 2007326314
(C層30のカレンダー製膜)
C層30としては、後に示す表7の実施例28と同一のアクリル系架橋ゴム弾性体成分を含むアクリル系樹脂を用い、該樹脂成分の合計を100質量部として、滑剤である「メタブレンL−1000」(三菱レイヨン社製)を0.5質量部、および顔料酸化チタンと有機系青色顔料が混合された淡青色系顔料を20質量部添加して樹脂混合物を得た。そして、この樹脂混合物に対して、前工程に予備混練ロールを有し、金属ロール4本からなるカレンダー製膜装置を用いて、ロール温度180℃〜195℃の条件下でシート圧延を行い、厚み120μm、幅1200mmの淡青色シートを得た。これを実施例1〜15、および比較例1〜15の全てに共通するC層30として用いた。
(A層10およびB層20の共押出積層シートとC層30との積層一体化ならびにエンボス付与)
表1に記載の各種光輝性粒子を添加したB層20およびA層10の共押出積層シートと、C層30との熱融着積層一体化、およびエンボス柄の転写を図2に示すエンボス付与機を用いて行った。加熱ロールは140℃に設定し、A層10とB層20の積層シート、およびC層30を図2に示すように2本の巻き出し軸から供給し、加熱ロールへの接触部分で重ね合わせ、熱融着積層により一体化した。引き続き、積層一体化されたシートを非接触式の赤外ヒーターでシート表面温度が180℃になるまで加熱し、エンボスロールによりエンボス柄を付与すると同時に、押圧によりB層20とC層30との間の熱融着積層をより確実なものとした。エンボスロールは蒸気循環で120℃に保持されており、芳香族ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度が約150℃であることから、積層シートが、エンボスロールと接触、押圧を受けエンボスを付与されると同時に、ガラス転移温度以下に冷却を受け、エンボス柄が固定・保持されることとなり、良好なエンボス転写が得られる。
エンボス柄は、約4cm×4cmの正方形を基本としたチェック柄であり、特に彫刻が施されていない鏡面性を有する長方形の4周を、Ry(最大高さ)=14μm、Ra(中心線平均粗さ)=2.2μmのプリズム状の微細な突起が彫刻されている正方形が囲む形態が連続するパターンとなっている。
得られた積層シート100について、意匠性を目視で評価した。評価結果を表3および表4に示す。光輝性粒子が強い輝度感を有する点の意匠として認識することができる良好な意匠感を有するものを「○」、光輝性粒子が点の意匠として認識されず、全体に一様な金属光沢感を示すもの、光輝性粒子を点の意匠として認識できるものの、その輝度感に幅方向で偏りのあるもの、製膜時の問題に起因した欠陥の存在するもの等、良好な意匠感が得られなかったものを「×」、実使用に供し得る意匠感を有するが「○」に比べるとやや劣るものを「△」とした。
Figure 2007326314
Figure 2007326314
<実施例16〜25、および、比較例16〜21>
(積層シート100の作製)
実施例16〜25、および、比較例16〜21においては、A層10の樹脂組成、および、紫外線吸収剤の種類、添加量、A層10の厚みを変化させたものであり、B層20、およびC層30は組成、厚み等に関し全て同一である。ただし、比較例20、21は、A層10を有しない構成であり、比較例21では、B層20に光輝性粒子に加えて、トリアジン系の紫外線吸収剤であるチヌビン1577FFを6.0質量部添加した組成のものを別途製膜して用いている。A層10の樹脂組成、紫外線吸収剤の種類および添加量、A層10の厚みについて、表5に示す。表中の「PCTG」は、イーストマン・ケミカル・カンパニー社製の「PCTG・5445」を用いており、ポリエチレンテレフタレートのジオール成分であるエチレングリコールの約65モル%を1.4−シクロヘキサンジメタノールで置換した構造で、芳香族ポリカーボネート系樹脂との相容性に優れる低結晶性のポリエステル系樹脂であり、単体のガラス転移温度は約87℃である。
B層20の樹脂組成は、芳香族ポリカーボネート系樹脂100%であり、光輝性粒子としては、メタシャインMC5090PSを1.25質量部添加しており、厚みは80μmである。C層30は、実施例1〜15、および、比較例1〜15に用いたのと同一のカレンダーシートを用いた。
各層の製膜方法、積層一体化の方法、エンボス付与の方法、および条件は、実施例1〜15および比較例1〜15と同一であり、実施例25と、比較例17のみ、エンボスロールの温度をA層10の樹脂組成物のガラス転移温度の低下に合わせて適宜低下させている。実施例16〜25、および、比較例17〜21の全てにおいて、光輝性粒子が強い輝度感を有する点の意匠として認識することができる星がちりばめられたような良好な意匠感を有する積層シートが得られた。
Figure 2007326314
(積層シート被覆金属板200の作製)
厚み0.55mmの亜鉛・アルミニウムメッキ鋼板をコイルから連続的に巻き出しながら、軟質PVCシート被覆金属板用として一般的に用いられているアクリル系熱硬化型接着剤(三菱レイヨン社製)を金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度となるように塗布した。ついで、熱風加熱炉および赤外線ヒーターにより塗布面の加熱、および乾燥を行い、鋼板の表面温度がラミネートロール部分で225℃となるように炉の温度条件、および鋼板の送り速度を調整し、ロールラミネーターを用いて、上記で作成した積層シートのC層30側が接着面となるように鋼板にラミネートして、水冷にて冷却することにより積層シート被覆金属板200を作成した。実施例16〜25、比較例16〜21の全てに関して、ラミネート条件は同一である。
(耐候性促進試験)
得られた積層シート被覆金属板200について、耐候性促進試験を実施した。耐候性促進試験は、積層シート被覆金属板を60mm×50mmに切り出して、サンシャインウェザーメーター・耐候性促進試験機(スガ試験機社製)を用いた試験に供した。条件は、ブラックパネル温度63℃で、照射102分、スプレー18分の120分を1サイクルとして行った。
玄関ドア等の比較的厳しい耐候性が要求される用途以外の使用では、曝露2000時間後で異常が認められなかった場合は、ほぼ問題なく使用できる。よって、曝露2000時間後の外観評価と、玄関ドアを想定した曝露4000時間後の外観評価を実施した。
評価は、曝露後の試料と曝露前の試料との色差を色差計で測定し、色差が3以下で、変色以外にも特別な外観変化を生じていないものを「○」、色差が3を越えるが10以下であるものを「△」、10を越える著しい色差変化を生じたもの、および、変色以外の著しい外観の悪化を生じたものを「×」とした。色差の測定は、ミノルタ社製、「色彩色差計CR−200」を用いて行った。評価結果を表6に示した。
Figure 2007326314
<実施例26〜36>
実施例26〜36は、C層30の樹脂組成を変化させたものであり、A層10、およびB層20は組成、厚み等に関し全て同一である。A層10の樹脂組成、紫外線吸収剤量、厚みは、実施例1〜15、および比較例1〜15に用いたものと同様であり、樹脂成分は芳香族ポリカーボネート系樹脂100%であり、紫外線吸収剤としてトリアジン系のチヌビン1577FF(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を8質量部添加している。B層20の樹脂組成、光輝性粒子の種類、添加量は、実施例16〜25、および比較例16〜21に用いたものと同様であり、樹脂組成は芳香族ポリカーボネート系樹脂100%であり、光輝性粒子としては、メタシャインMC5090PSを1.25質量部添加しており、厚みは80μmである。
A層10、B層20、C層30の各製膜方法、および積層一体化の方法、エンボス付与の方法、金属板へのラミネート方法等に関しても、上記実施例、および比較例と同様である。
C層30の樹脂組成を表7に示す。これら樹脂成分の合計を100質量部として、滑剤である「メタブレンL−1000」(三菱レイヨン社製)を0.5質量部、および顔料酸化チタンと有機系青色顔料が混合された淡青色系顔料を20質量部添加し、カレンダー製膜により厚み120μmで、幅1200mmの淡青色シートを得た。カレンダー製膜条件等は基本的に実施例1〜15、および比較例1〜15に同様であり、樹脂配合の違いにより、適宜温度条件等を微調整している。
カレンダー製膜したC層30、および市販のシートを用いたC層30に対して、引張り破断伸びを以下の方法により測定した。
23℃の恒温室内に設置した万能材料試験機(インテスコ社製)を用いて、JIS K7127−1999(プラスチック−引張り特性の試験方法−第3部:フィルムおよびシートの試験条件)に準拠した試験片形状により引張り試験を行い破断伸びを測定した。測定方向は製膜時の流れ方向(MD)、および、それに直交する方向(TD)で、施行数(n=5)で実施し平均値により評価した。その結果を併せて表7に示す。
Figure 2007326314
表7中、「メタブレンW−377」は、三菱レイヨン社製の、アクリル樹脂系架橋ゴム弾性体成分を多量に含むアクリル系樹脂であり、カレンダー製膜用の軟質アクリル樹脂として市販されているものである。
「メタブレンH−660」は、三菱レイヨン社製の、架橋ゴム弾性体成分を含まないポリメチルメタアクリレート(PMMA)樹脂である。
「パラペットSA」は、クラレ社製のアクリル樹脂系架橋ゴム弾性体成分を多量に含み、高い柔軟性を有しつつ、良好な流動性を兼ね備えていることを特徴とする軟質アクリル原料で、射出成形品での軟質PVC代替用途に特に好適な特徴を有するものである。
「パラペットGR−F」は、クラレ社製のオーバーレイ用シートの用途に適した柔軟性を有するアクリル樹脂系架橋弾性体成分を含むアクリル系樹脂である。
「クララスチックSXG−358」は、日本エイアンドエル社製のABS系樹脂であり、ABS系樹脂としては、比較的引張り破断伸びが大きく、低剛性、低白化性を特徴としたものである。
実施例35では、C層30として、市販の樹脂被覆金属板用途のPP系のカレンダーシートを用いた。該PP系のカレンダーシートは、色味は淡青色で、金属板とのラミネート側に易接着性プライマーが付与されている。A層10およびB層20の共押出シートとの熱融着積層時には、該易接着性プライマーが付与されている面を熱融着側の表面として用いた。なお、このC層30を用いた積層シート100を金属板80にラミネートする際は、事前に、積層シートのC層30側表面に易接着性プライマーを再度塗布・乾燥して易接着層を形成している。
また、実施例36では、C層30として、市販の非晶性ポリエステルから成るカレンダーシートを用いた。該カレンダーシートは、色味は淡青色である。また、A層10およびB層20の共押出シートとの積層一体化は、実施例26〜34同様にエンボス付与機での熱融着積層によって行った。
実施例26〜36の全てにおいて、光輝性粒子が強い輝度感を有する点の意匠として認識することができる星がちりばめられたような良好な意匠感を有する積層シート被覆金属板200が得られた。
(エンボス付与適性の評価)
エンボス付与機でのエンボス付与適性に関し、以下の評価を実施した。
(1)エンボス付与適性:耐粘着性
図2に示すエンボス付与機でエンボスを付与した際に、加熱ロールにシートが粘着して作業が困難となったものを「×」、粘着しなかったものは「○」で示した。
(2)エンボス付与適性:耐溶断性
図2に示すエンボス付与機でエンボスを付与した際に、ヒーターによる積層シートの加熱中にシートが熔融破断して作業が困難となったものや、著しいシートの伸びや皺入り、幅縮みを生じ、良好なエンボス付与シートを得られなかったものを「×」、全く問題を生じなかったものを「○」、作業の継続は可能で、シートの伸びや皺入り、幅縮みが発生したが、顕著なものではなかった場合を「△」とした。
(3)エンボス付与適性:転写性
図2に示すエンボス付与機でエンボスを付与したシートを、目視で観察し、綺麗にエンボス柄が転写されているものを「○」、これに比べてやや転写が浅い場合を「△」、転写が悪く、浅いエンボス柄になっているもの、あるいは、エンボス柄に無関係に単に表面が荒れているものを「×」で示した。
(積層シート被覆金属板200の評価)
得られた積層シート被覆金属板については、以下の評価を実施した。
(1)耐候性促進試験
実施例16〜25、および比較例17〜21と同様の方法により実施した。評価は曝露2000時間後と4000時間後の外観評価である。
(2)鉛筆硬度試験
B、2Bの鉛筆を用いて、JIS S1005 9.8(2)鉛筆引っ掻き試験に従い、80mm×60mmに切り出した積層シート被覆金属板の樹脂シート面に対し45°の角度を保ちつつ1kgの加重を掛けた状態で線引きをできる治具を使用して線引きを行い、該部分の樹脂シートの面状態を目視で判定し、Bの鉛筆で全く傷が付かなかったものを「○」、Bでは傷が入るが、2Bの鉛筆では全く傷が付かなかったものを「△」、2Bの鉛筆でも傷が付いたものを「×」として表示した。
(3)加工性試験:V曲げ法(R=2mm、およびR=0mm)
積層シート被覆金属板の長さ方向、および幅方向からそれぞれ、40mm×60mmの試料を切り出し、「JIS Z−2248」で規定されるV曲げ法の評価を行った。V曲げ法では、図3(a)に全体図を示したスクリュー曲げ試験装置400を使用した。スクリュー曲げ試験装置400は、上型昇降用ハンドル410、上型昇降スクリュー420、上型設置部分430および下型設置部分440を備えている。上型昇降スクリュー420上部に設けられた上型昇降用ハンドル410を手動で回すことによって、上型昇降スクリュー420が上下方向に移動し、それに伴って、上型昇降スクリュー420の下端に設けられた上型設置部分430が上下方向に移動する。また、図3(b)にV曲げ部分の拡大図を示したように、上型設置部分430には、V曲げ用上型450が設けられ、下型設置部分440には、V曲げ用下型460が設けられている。そして、上型昇降用ハンドル410を操作することによって、上型設置部分430に設けたV曲げ用上型450を下方向に移動し、試験片480をV曲げ用下型460との間で挟み込むことによって、試験片480をV型に変形させる。図3(c)に示したように、このV曲げ用上型450としては、R=2mmの試験では、上型のV字頂部が、半径2mmの角まるめ処理されたもの452を用いた。また、R=0mmの試験では、上型のV字頂部に角まるめ処理が施されていないもの454を用いた。
試験片は樹脂被覆面が折り曲げ後に外表面となるように設置され、該試験装置は23℃に保たれた恒温室内に置かれており、測定試験片は23℃で1時間以上保った後にV曲げ試験に供した。曲げ加工部の積層シートの面状態を目視で判定し、樹脂層に割れが発生し実用的な加工性を有しないと判断されたもの、および割れは発生しなかったが、著しい白化を生じたものを「×」、極く微細なクラックが発生したもの、わずかな白化を生じたものを「△」、これらの異常が認められないものを「○」と判断した。
(4)加工性試験:180度曲げ(2T曲げ)
まず、積層シート被覆金属板の長さ方向および幅方向からそれぞれ50mm×150mmの試料を切り出し、手動による折り曲げ機を用いて、直径4mmの丸棒515を用いて、積層シート被覆面が外側になるように内半径2mmで180度に折り返した予備曲げ試験片510を作製した。図4(a)に、予備曲げの概要を示した。
この予備曲げ試験片510に、V曲げ試験に用いたのと同じスクリュー曲げ試験装置を用いて、上型、下型を180度曲げ試験用の型530、540に交換し、180度曲げ(2T曲げ)を実施した。
ここで、2Tとは、折り曲げの内直径が金属板の厚みの2倍であることを指し、従って、2T曲げを実施するために、上記で作成した予備曲げ試験片510に、厚み0.55mmの金属板より切り出した保持板520を2枚重ねて挟み込んだ状態で上型を降下させ、所要の曲げを施した。図3(b)に、2T曲げを施す前の試験片510搭載位置の拡大図を示した。また、図3(c)に、2T曲げを施した後の試験片510の搭載位置の拡大図を示した。なお、図3(b)および図3(c)の530が、密着曲げ用の上型を、540が同下型を夫々示している。
試験片は樹脂被覆面が折り曲げ後に外表面となるように設置され、該試験装置は23℃に保たれた恒温室内に置かれており、測定試験片は23℃で1時間以上保った後にV曲げ試験に供した。
曲げ加工部の積層シートの面状態を目視で判定し、樹脂層に割れが発生し実用的な加工性を有しないと判断されたもの、および割れは発生しなかったが、著しい白化を生じたものを「×」、極く微細なクラックが発生したもの、わずかな白化を生じたものを「△」、これらの異常が認められないものを「○」と判断した。
以上の評価結果を表8に示す。
Figure 2007326314
<積層シートおよび積層シート被覆金属板の評価結果のまとめ>
(実施例1〜15、比較例1〜15)
比較例1〜比較例10は、光輝性粒子としてガラスフレークの表面に金属箔膜(銀)をコーティングしたものを用いて積層シートを得たものである。比較例1および比較例2は、該光輝性粒子の粒径が本発明の範囲より小さい場合であり、光輝性粒子を輝度感を有する点の意匠として認識することはできず、全体が一様な金属光沢を示す外観となっていた。これも一つの意匠感ではあるが、このような意匠は、光輝性顔料による印刷等によって類似意匠が得られるものである。
比較例3および比較例4に関しては、比較例1、2よりやや粒径が大きいが、やはり本発明の好ましい粒径より小さい場合で、比較例1、2に比べると、粒子を輝度感を有する点の意匠として認識することはできるが、やはり一様な金属光沢感を示す外観となっていた。また、光輝性粒子の厚みに関しても、本発明の範囲より薄いものであり、それにより、押出し製膜時に破砕を受けて粒径が小さくなったものが存在することが、一様な金属光沢感を強くしていると思われる。
比較例5および比較例6は、本発明の好ましい粒径を有するものを本発明の好ましい添加量より少量添加した場合で、粒子のサイズは充分輝度感を有する点の意匠として認識できるサイズではあったが、点の数が少なく、意匠感に劣る結果となった。
比較例7は、粒径、添加量とも本発明の範囲であるが、B層20自体の厚みが本発明の範囲より薄い場合であり、押出し製膜時の粒子の流れ不良に起因すると推定されるダイスジが多数発生しており意匠感が悪かった。
比較例8は、光輝性粒子の添加量を本発明の範囲より多くした場合であり、本発明の範囲内の厚みのB層20に添加した場合も、比較例7同様著しいダイスジを発生した。また、光輝性粒子の多量添加により、押出し製膜過程での粒子の破砕も多く発生したようであり、輝度感を有する点がちりばめられた意匠に加えて、一様な金属光沢が発生した。
比較例9は、本発明の範囲より大きい粒径を有する光輝性粒子を添加した場合で、厚みは本発明の範囲内にあるのだが、押出し製膜時の粒子の流れ不良に起因するダイスジを多数発生した。また、積層シートの幅方向中央と端部とで、輝度感に差異を生じており、製膜時の流動性・Tダイ内での展開性に問題があった。
比較例10は、比較例9と同一粒子の添加量を増やした場合だが、比較例9で発生した問題が一層顕著になっていた。
比較例11および比較例12は、光輝性粒子としては、ガラスフレークをベースとしたものであるが、金属箔膜のコーティングではなく、金属酸化物である酸化チタンをコーティングしたものを用いている。この場合、B層20全体が一様に乳白色になっただけで、輝度感を有する点が存在する意匠は全く得られなかった。これは粒子自体の反射率が低いことに起因すると思われる。
比較例13および比較例14は、粒径に関しては本発明の範囲である鱗片状アルミを添加した場合である。これらの場合は、輝度感を有する点の意匠として認識することは可能であったが、その輝度感自体は本発明のものより低かった。鱗片状アルミは、粒子表面が平滑ではないことから、散乱反射を生じる分ガラスフレーク系の光輝性粒子より輝度感が低下すると考えられる。また、粒径に対し、厚みが薄いことから押出し製膜時に変形を受けやすいと思われる。
比較例15は、光輝性粒子としてパールマイカ顔料を用いた場合であるが、点の意匠としての輝度感を得られないだけではなく、B層20に著しい黄変とスジ引きを生じてしまった。これは、マイカ表面に被覆されている酸化チタンが、芳香族ポリカーボネート樹脂の熱劣化触媒作用を呈したものと考えられ。また、同じ酸化チタン被覆の比較例11、12では問題とならなかったものが、比較例15で顕著な問題となったのは、マイカ粒子のほうが、押出し製膜時の破砕を受け易く、その結果、酸化チタンと芳香族ポリカーボネート系樹脂との接触表面積が著しく増大したためと思われる。
上記の比較例1〜15に対して、本発明の実施例1〜15の積層シートでは、光輝性粒子が強い輝度感を有する点の意匠として認識され、それによって、全体として星がちりばめられたような光輝性意匠が現出された、良好な意匠感を得ることができた。
(実施例16〜23、比較例17〜21)
比較例17は、A層10の芳香族ポリカーボネート系樹脂の量が、本発明の範囲よりも少ない場合であり、本発明の範囲の量の紫外線吸収剤を添加しているものの、耐候性試験後の結果が良くなかった。光黄変に加えて、表面の荒れを生じる結果となっていた。
比較例18は、A層10の樹脂組成は、芳香族ポリカーボネート系樹脂のみからなるが、紫外線吸収剤の添加量が少ない場合であり、A層10の黄変が顕著に発生していた。
比較例19は、紫外線吸収剤の添加量は充分であるが、A層10の厚みが不足している場合であり、やはり顕著な黄変を生ずる結果となった。この場合は、A層10の黄変ではなく、A層10を透過した紫外線によりB層20の芳香族ポリカーボネート系樹脂が黄変を受けたものと推定される。
比較例20は、紫外線吸収剤を含むA層10を有しないで、光輝性粒子を含むB層20が最外表面となる場合であるが、この構成では著しい黄変を生じ、耐候性が必要とされる用途に用いる積層シート被覆金属板用途には適さないものであった。
比較例21は、光輝性粒子を含むB層20に充分な量の紫外線吸収剤を添加し、最外表面とした場合であり、比較例20に比べると良好な耐候性を示している。しかし、光黄変は依然として顕著であり、表面の荒れも生じていた。これは、B層20の表面近傍、あるいは、B層20から一部突出する形で光輝性粒子が存在し、該B層20表面近傍からある程度の深さまで紫外線が透過してしまうため、B層20表面近傍に添加された光輝性粒子間で紫外線が多重反射して、芳香族ポリカーボネート樹脂が、光輝性顔料を添加しない場合に比べてはるかに大きな紫外線劣化を受けたものと考えられる。
上記の比較例17〜21に対して、本発明の実施例16〜25では、サンシャイン促進曝露試験2000時間後においていずれも良好な耐候性を示した。また、実施例21〜23においては、曝露試験4000時間後においても良好な耐候性を示した。
(実施例26〜36)
実施例26〜32は、C層30として、引張り破断伸びが100%以上であるアクリル系架橋ゴム弾性体を含むアクリル系樹脂を用いた場合であり、積層シート被覆金属板200として良好な加工性が得られている。実施例26は、引張り破断伸びが350%を超える過度に柔軟なC層30を用いた場合で、本発明のようにA層10およびB層20を被覆した構成においても鉛筆硬度試験の結果が多少低くなっていた。また、実施例26および実施例27では、エンボス付与機での熔融張力がやや低下しており、ヒーター過熱の際、多少の積層シートの伸びを生じた。実施例33は、C層30としてやはりアクリル系架橋ゴム弾性体成分を含むアクリル系樹脂を用いているが、その破断伸びが100%に満たない場合であり、比較的穏やかな加工条件(V曲げ・R=2mmに相当)では問題なく使えるものの、より過酷な加工条件では微細なクラックが発生した。
実施例34は、C層30としてABS系の樹脂を用いた場合であり、折り曲げ加工において、白化を生じた。難白化性を特徴とするグレードのABSであるが、金属板80に被覆しての折り曲げ加工のように顕著な伸びが樹脂層に加わる場合の耐白化性までは確保し得ないものと考えられる。耐候性に関しては問題なく、ABSと言う名称ながら、架橋ゴム成分は、ブダジエン系ではなく、より耐候性の良いものを用いていると推定される。
実施例35は、C層30として市販のPP系カレンダーシートを用いた場合であるが、エンボス付与機での180℃のヒーター加熱で熔融破断してしまった。そこで、ヒーター加熱の温度を150℃まで低下させた所、破断は防止できたが依然シートの伸び、幅縮みが発生した。また、肝心のA層10へのエンボス転写が不良となった。該構成では、従来から用いられて来た形態のエンボス付与機でのエンボス付与には適さないと考えられる。なお、鉛筆硬度試験および折り曲げ加工試験には、該ヒーター温度150℃でエンボス付与したものを用いている。折り曲げ加工性は、穏やかな加工条件では問題なかったものの、より過酷な条件では折り曲げ白化が発生した。
実施例36に関しても、エンボス付与機での180℃のヒーター加熱で熔融破断を生じた。そこで、実施例35同様ヒーター加熱温度を150℃としたが、エンボス転写は不良であった。加工性評価は良好な結果となったが、耐候性試験後、B層20とC層30との間で部分的な剥離を生じると同時に、C層30に点状の褐変が発生した。剥離に関しては、エンボス付与機でA層10およびB層20の共押出積層シートと、C層30とを熱融着積層する際の温度が150℃では不足であったためと考えられる。また、点状の褐変は、カレンダー製膜法で非晶性ポリエステルをシート化する際、熔融張力を確保するためにMBS系の架橋ゴム成分を添加しているためと考えられる。耐候性試験中、紫外線に関してはA層10により透過を充分に減衰されているものの、試験槽内の温度でMBS粒子が熱劣化を来たして着色したものと推定される。
以上、現時点において、最も、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う金属被覆用耐候性積層シートおよび耐候性積層シート被覆金属板もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の金属被覆用耐候性積層シート100の層構成を示す模式図である。 本発明の積層シートにエンボスを付与するために好ましく用いられるエンボス付与機300の説明図である。 本発明の耐候性積層シート被覆金属板200に対して行う、加工性試験(V曲げ法)の方法の説明図である。 本発明の耐候性積層シート被覆金属板200に対して行う、加工性試験(2T曲げ)の方法の説明図である。
符号の説明
10 A層
20 B層
30 C層
40 印刷柄(D)
70 接着剤
80 金属板
100 金属被覆用耐候性積層シート
200 耐候性積層シート被覆金属板

Claims (14)

  1. 表面側から順に以下に示すA層、B層、C層の3層を備え、積層シートの総厚みが75μm以上、300μm以下の範囲である金属被覆用耐候性積層シート。
    A層:A層の樹脂成分全体を100質量%として、芳香族ポリカーボネート系樹脂を70質量%以上含有する層であって、A層の樹脂成分全体を100質量部として、紫外線吸収剤を3質量部以上、18質量部以下含有し、実質的に透明であり、厚みが10μm以上である樹脂層、
    B層:実質的に透明な熱可塑性樹脂からなる層であって、B層の樹脂成分全体を100質量部として、平均粒径が20μmより大きく、100μm以下であり、平均厚みが1μm以上、10μm以下であるガラスフレークの表面に金属薄膜をコーティングした平板状の光輝性粒子を、0.5質量部以上、5.0質量部以下含有し、厚みが30μm以上である樹脂層、
    C層:カレンダー製膜法により製膜することが可能である熱可塑性樹脂からなる層であって、顔料成分が添加されることにより着色された、厚みが45μm以上、260μm以下である樹脂層。
  2. 前記B層の熱可塑性樹脂が、前記B層の樹脂成分全体を100質量%として、芳香族ポリカーボネート系樹脂を50質量%以上含有する実質的に透明な熱可塑性樹脂であり、前記C層の熱可塑性樹脂が、カレンダー製膜法により製膜することが可能であり、芳香族ポリカーボネート系樹脂と熱融着性を有し、23℃での引張り破断伸びが100%以上、350%以下である、請求項1に記載の金属被覆用耐候性積層シート。
  3. 前記A層の紫外線吸収剤がトリアジン系である、請求項1または2に記載の金属被覆用耐候性積層シート。
  4. トリアジン系紫外線吸収剤の添加量が、前記A層の樹脂成分全体を100質量部して、以下の式(1)により定められるQ質量部である、請求項3に記載の金属被覆用耐候性積層シート。
    (105/前記A層の厚み(μm))<Q<18 (1)
  5. 前記C層を構成する熱可塑性樹脂が、架橋ゴム弾性体成分を含むアクリル系樹脂を主体としてなる請求項1〜4のいずれかに記載の金属被覆用耐候性積層シート。
  6. 前記架橋ゴム弾性体成分が、アクリル樹脂系架橋ゴム弾性体成分を核にして、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂をグラフト重合して得られるコア・シェル型の共重合組成物である、請求項5に記載の金属被覆用耐候性積層シート。
  7. 前記B層と前記C層との間に印刷柄(D)が付与されている、請求項1〜6のいずれかに記載の金属被覆用耐候性積層シート。
  8. 前記A層の外表面にエンボスによる凹凸意匠が付与されている、請求項1〜7のいずれかに記載の金属被覆用耐候性積層シート。
  9. 前記A層と前記B層とが共押出し製膜法によって一体で製膜されたものである、請求項1〜8のいずれかに記載の金属被覆用耐候性積層シート。
  10. 前記A層と前記B層とが共押出し製膜法によって一体で製膜されたシートと、前記C層とが熱融着によって積層されている、請求項9に記載の金属被覆用耐候性積層シート。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の金属被覆用耐候性積層シート、および、該シートの前記C層側に接着剤を介してラミネートされた金属板を備えて構成される耐候性積層シート被覆金属板。
  12. 請求項11の耐候性積層シート被覆金属板を用いた、玄関ドア部材。
  13. 請求項11の耐候性積層シート被覆金属板を用いた、カーテンレール。
  14. 請求項11の耐候性積層シート被覆金属板を用いた、自動車内装部材。
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