JP5198128B2 - 金属板被覆用積層シ−ト、および該積層シートで被覆した金属板 - Google Patents

金属板被覆用積層シ−ト、および該積層シートで被覆した金属板 Download PDF

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本発明は、ユニットバス壁材、同天井材、建築内装材等の用途に用いる事のできる樹脂被覆金属板用の意匠性積層シート、およびこの意匠性積層シートで被覆した意匠性積層シート被覆金属板に関する。
従来、建築内装材用途に用いられる意匠性樹脂被覆金属板としては、いわゆる鏡面意匠と呼ばれるタイプのものと、エンボス意匠と呼ばれるタイプのものとが用いられてきた。エンボス意匠と呼ばれるタイプのものとしては、顔料の添加により着色された軟質ポリビニルクロライド(以下、「軟質PVC」と省略する場合がある。)のカレンダー製膜法により得られた単層シート、あるいは、該着色軟質PVCシートの表面に印刷を施し、更に、カレンダー製膜法により得られた実質的に透明な軟質PVCシートを積層したもの等の表面に、エンボス加工を施したものが用いられてきた。
エンボス意匠としては、梨地等と呼ばれる細かい凹凸を有するエンボス版により形成される艶消しの意匠、石目調や皮目調などの自然の造形物を模した柄、あるいは抽象柄や幾何学柄等の人工的なテクスチャーの柄(これら艶消し以外の意匠を有する柄を以下「柄意匠」と呼ぶ)の意匠等がある。
内装建材用途においては、落ち着いた艶消し意匠が好まれるため、単純な梨地による艶消しのエンボス意匠が採用されることが多い。また、皮目調等の柄意匠のエンボスを形成する場合においても、梨地による艶消し意匠を併せ持つエンボスロールを使用して全体の光沢を低下させたものが多く用いられる。
軟質PVC系の長尺シートに連続的にエンボス意匠を付与する方法としては、製膜後のシートを再加熱により軟化させ、一方のロールが任意意匠のエンボス柄を彫刻したロール(エンボスロール)となっている一対のロール間に通すことででなされる。シートを加熱する手段と、エンボスロールとニップロールから成る一対のロール、および冷却手段を備えた、エンボス加工装置を用いるのが一般的である。このエンボス加工装置においては、エンボスロールの交換脱着を容易に行える設計が盛り込まれているのが一般的である。エンボス加工装置のエンボスロールの直径は、押出し製膜設備の引き取りロール(キャスティングロール)等と比較して小さい。多種のエンボスロールを用意しておくことでエンボス柄の変更を容易かつ経済的に行うことができることから、該エンボス加工装置を用いた方法は、小ロット対応に適した方法である。
また、エンボス意匠と共に印刷意匠を有する軟質PVCシートは、着色された軟質PVCシートの表面に印刷を施した後、透明な軟質PVCシートを積層し、この積層シートをエンボス加工装置に連続的に通すことで得られる。この場合、エンボス加工装置でのシート予熱を利用して、2層のシートを熱融着で積層一体化されており、積層のための工程を別途設ける必要がなく、生産性およびコスト面で優れたものであった。
このように、エンボス加工装置による軟質PVCシートの表面へのエンボス付与は、優れたものであったが、該方法により付与されたエンボス意匠は、熱復元性の歪みの性質を有しているため、後工程で加熱を受けた際に、歪み回復が起こり、エンボス戻りを生ずる恐れがある。そして、このような、エンボス戻りが懸念される工程として、樹脂シートを金属板へラミネートする工程がある。
該ラミネート工程は、接着剤を塗布・乾燥させた金属板を230℃程度まで加熱し、エンボス意匠シートの積層面側を、ラミネートロールを用いて金属板上の接着剤層に押圧し、その後直ちに冷却するものである。この冷却において、水噴射等の急冷法を用いた場合も、加熱された金属板からの熱伝達により、エンボスが付与されているシート表面近傍の温度がエンボスの歪み回復が起こる温度付近まで上昇してしまう場合があり、これがエンボス戻りを引き起こすことがあった。
梨地等の細かいエンボス凹凸を付与して艶消し意匠を付与した場合では、特に、凹凸が細かい分、該エンボス戻りに起因する外観変化は特に顕著なものとなる。折角付与した艶消しの意匠感が全面的あるいは部分的に失われてしまい、商品価値を損ねる問題があった。
金属板へのラミネート工程におけるエンボス戻りを改善する方法として、シートの厚みを厚くする方法がある。すなわち、シートの厚みが厚い分、シート表面近傍の温度上昇が抑制され、シート表面に付与されたエンボスの戻りが抑えられるというものである。しかし、この方法は、軟質PVCのような原料価格が比較的廉価であるシートにおいて可能な方法である。
上記のように、金属板被覆用として用いられてきた軟質PVC系シートであったが、近年、塩化ビニル系樹脂に添加される一部の安定剤に起因する重金属化合物の問題、燃焼時に塩化水素ガスその他の塩素含有ガスを発生する問題、さらに、内装建材用途においては特に、一部の可塑剤や安定剤に起因する揮発性有機化合物(VOC)や内分泌撹乱物質を有する問題等から、軟質PVCの使用は制限を受けるようになってきた。
このため、性能的に軟質PVCシートに代替し得る材料として、ポリエステル系樹脂シート等を用いることが検討されてきている。しかし、これらのシートに連続的にエンボス意匠を付与する場合も、軟質PVCシートの場合と同様に後工程での加熱を受けた際にエンボス戻りが発生する問題がある。しかも、ポリエステル系樹脂は原料価格が高いことから、厚みを厚くして問題を解決することはできなかった。
この問題を解決するために、特許文献1においては、特定の層構成を備えたポリエステル系樹脂の積層シートを用いることで、エンボス加工装置でのシートの加熱温度を高くした際も、シートの熔融破断や皺入り、幅縮み等の生じ難いものとして、エンボス耐熱性が良好な金属被覆用のエンボス意匠性シートとしている。
特許文献2においては、ポリエステル系樹脂を主体とする樹脂組成に、特定のアクリル系樹脂により形成されるグラフト型のゴム粒子を添加することによる良好な艶消し外観を有する壁紙用シートが提案されている。
特許文献3は、建材用シートに関するものでは無いが、該文献において、ポリエステル系樹脂の中でも、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主たる繰り返し単位とする結晶性ポリエステルは、エンボス加工による所望の凹凸形状付与が精度高く行える点、該エンボス加工で形成された凹凸の後工程での加熱の際に、形状保持性(エンボス戻りの少なさ)が優れる点が言及されている。そして、その理由として、PBT系樹脂の融点が高い事、および、結晶化速度が速いことが指摘されている。これより、このようなポリエステル系樹脂を用いれば、後工程での加熱においてエンボス戻りを生じ難いため、梨地等の細かいエンボス凹凸を付与された艶消し意匠を備えた樹脂被覆金属板が得られることが予測できる。なお、特許文献3の実施例におけるPBT系樹脂へのエンボス付与の方法は、熔融押出しした融点205℃の共重合PBT系樹脂を二軸配向ポリエステルフィルムのコロナ処理面に積層すると共に、冷却されたエンボスロールで押圧するという、押出し製膜設備の引き取りロール(キャスティングロール)をエンボスロールとする方法である。
特許文献4では、PBT系樹脂の融点よりも高い融点、軟化点、分解温度のいずれかを有する基材シートをPBT系樹脂と積層することにより、エンボス加工装置でのPBT系樹脂へのエンボス付与適性を向上させ、エンボス付与後に該基材シートを剥離する方法が提案されている。
特許文献5には、PBT系の樹脂を含む特定の熱特性を有する樹脂シートを金属板へラミネートした後、該樹脂被覆金属板を再加熱すると同時にエンボスロールと押圧ロールからなる一対のロール間に通すことによりエンボス意匠の付与を行う方法が提案されている。
特開WO03/045690号公報 特開2005−146049号公報 特開平7−159903号公報 特開2002−337291号公報 特開WO00/026283号公報
しかし、特許文献1に記載の積層樹脂シートにおいても、梨地等と呼ばれるような細かい凹凸を有するエンボス版による押圧で艶消し意匠を得ようとした場合、その艶消しの意匠感が軟質PVCシートに比べて良好とは言えず、改善が求められていた。このように、艶消し意匠の転写性が劣ってしまうのは、該構成の実質的に非晶性のポリエステル系樹脂を主成分とする層にエンボス意匠を付与する際に、エンボス意匠の耐熱性を確保するためにエンボスロールが比較的高温に設定されており、このエンボスロールの温度が、エンボス意匠を付与する層の非晶性ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)より高くなるため、若干のエンボス戻りが発生してしまうためである。
つまり、エンボスロールとの接触においてエンボス意匠が付与された後、このエンボス付与された樹脂がガラス転移温度以下に冷却され、エンボスの凹凸が固定されるのは、積層樹脂シートがエンボスロールの下流側に設置されている冷却ロールと接触した時点となる。よって、エンボス戻りが発生する時間的余裕が生じてしまっている。版自体の凹凸が比較的浅い梨地等の艶消し意匠付与が目的のエンボス版を用いた場合においては、わずかなエンボス戻りが生じたとしても、その表面光沢が著しく上昇し、艶消し感が不満足なものとなっていたのである。
特許文献2の方法は、架橋ゴム粒子をいわゆる有機艶消し剤として用いることにより、壁紙として必要な機械的物性等を保持しつつ良好な艶消し意匠感を付与しようとするものである。しかし、このようなアクリル系の架橋ゴム粒子とマトリクスとなるポリエステル系樹脂との親和性が必ずしも良好であるとは言えず、金属板にラミネートされた状態で、折り曲げ加工を施す場合等のように、大きな伸びがシートに付加される場合に、マトリクスとゴム粒子との間にボイドを生じて折り曲げ部分の白化現象が生じたり、さらには折り曲げ部分の樹脂層にクラックが生じたりすることがある。よって、折り曲げ加工等の2次加工性が要求される金属板被覆用のシートとしては、問題があった。
特許文献3は、PBT系樹脂の押出し製膜時に引き取りロールとしてエンボスロールを用いるものであるが、該引取りロールの直径は、通常のエンボス加工装置におけるエンボスロールと比較して相当に大きく、また交換脱着を容易に行えるものでも無いため、多種のエンボスロールを用意して小ロット生産に対応する必要のある建材用シートへ適用することは難しい。
特許文献4は、PBT系樹脂にエンボス加工装置によりエンボス意匠を付与するものであり、その目的は小ロット生産に対応するためだと思われる。すなわち、PBT系樹脂シートにエンボス意匠を付与するには、少なくともPBT系樹脂の融点以上の温度に加熱する必要がある。しかし、該融点を超える温度においては、PBT系樹脂の単層のシートでは張力を保持することができず、シートの破断が生じてエンボス加工装置での連続したエンボス転写が困難である。そこで、高温加熱時の張力を確保するために、該温度でも十分な張力を保持できる基材シートをキャリアーフィルムとして用いたものと考えられる。
しかし、特許文献3でエンボス転写性と耐熱性に優れるとされる、融点が200℃以上のPBT系樹脂を用いる場合、エンボス意匠付与のために必要な加熱温度は200℃を超えることとなる。さらに、原料価格の面でコストメリットを得られるホモPBT(ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分として1.4−ブタンジオールの各単一組成より成るPBT)樹脂を用いた場合、その融点は225℃程度であるため、必要な加熱温度は225℃を超える。一方、従来の軟質PVC系樹脂よりなるシートにエンボス意匠を付与するために用いられてきたエンボス加工装置におけるシート加熱温度の上限は190℃程度のものである。よって、PBT系樹脂にエンボス加工装置でエンボス意匠を付与するには設備改造を施す必要があった。また、張力付与の目的で積層された基材シートは、エンボス意匠の付与後に剥離されて不要物となるため、経済面から有利な方法ではなかった。
特許文献5の方法では、金属板が言わばキャリアーフィルムとして機能することにより、融点の高いホモPBT樹脂からなる単層のシートをラミネートし、その融点以上に加熱された際も、安定してエンボス意匠の付与を行うことができる。しかし、この方法では片面に樹脂被覆が施されているとは言え、金属板をロール間に通すこととなり、金属板の端部の反り等に起因してロールに傷が入る虞がある。そして、ロールの傷は直ちに樹脂被覆金属板の表面外観の低下をもたらす。
また、金属板の厚み精度が相当良好なものを使用しないと、エンボスロールによる樹脂層への押圧が場所毎に不均等となる虞があり、結果として、エンボスの転写ムラを生ずる虞がある。凹凸が比較的浅い梨地等の艶消し意匠を付与するエンボス版を用いた場合は、わずかな転写ムラが生じたとしても、場所によって表面光沢の差が顕著なものとなり、商品価値が損なわれる虞があった。なお、解決策として、樹脂層の厚みを転写ムラが出にくいように厚くしておくことが考えられるが、コストの点で好ましくない。
以上の問題点を解決すべく、本発明は、良好な艶消し外観を有すると同時に、任意の柄意匠のエンボスによる凹凸意匠を併せ持つことが可能であり、加工性、意匠性に優れた樹脂被覆金属板を提供しうる積層シート、および該積層シートで被覆した積層シート被覆金属板を、過度の製造工数の増大を伴わずに提供することを目的とする。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、これにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
第1の本発明は、表面側から順に、以下のA層(10)、B層(20)、C層(30)およびD層(40)の少なくとも4層を備えた積層シートであって、
A層(10)が、A層における樹脂成分全体の質量を100質量%として、融点が210℃以上230℃以下のポリブチレンテレフタレート系樹脂を70質量%以上95質量%以下含有してなり、厚み5μm以上100μm以下の無配向の樹脂層であり、
B層(20)が、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体としてなる無配向の樹脂層であり、
C層(30)が、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体としてなり、着色剤が添加された厚み40μm以上200μm以下の無配向の樹脂層であり、
D層(40)が、D層における樹脂成分全体の質量を100質量%として、融点が210℃以上230℃以下のポリブチレンテレフタレート系樹脂を70質量%以上100質量%以下含有してなり、厚み5μm以上の無配向の樹脂層であり、
A層(10)側表面に、エンボス転写による艶消し意匠を備えてなり、該艶消し意匠が、A層(10)とB層(20)とを共押出製膜法により積層すると同時に、キャスティングロールとして艶消し加工が施されたエンボスロールを用いることにより形成されたものであり、
総厚みが80μm以上300μm以下である金属板被覆用積層シートである。
本発明の積層シートにおいて、A層(10)は、従来から軟質PVC樹脂シートのエンボス付与に用いられてきたエンボス加工装置を用いて、版自体の凹凸が比較的浅い梨地等の艶消し意匠エンボスを転写するには適さない層である。しかし、押出し製膜時のキャスティングロールとしてエンボスロールを用いることで、艶消し意匠のエンボス転写を得ることが可能な層である。これにより、本発明においては、押出し製膜時に耐熱性の高い艶消しのエンボス意匠が付与される。
B層(20)は、別途製膜されるC層(30)との熱融着性を良好にするための層である。また、すでに艶消しの意匠が付与されているA層(10)表面に、エンボス加工装置により更に艶消し以外の柄意匠のエンボスを付与する際に、エンボス加工装置での190℃程度を上限とする加熱によって柔軟性を発現する層である。これにより、A層(10)表面へ柄意匠を良好に転写できる。
C層(30)は、顔料を添加する事により着色の意匠と、下地となる金属板等の視覚的隠蔽機能を受け持つ層である。また、B層(20)との熱融着性を良好なものとする層でもあり、B層(20)と併せてエンボス加工装置で加熱柔軟化されることで、A層(10)表面への柄意匠の転写性を良好とする層でもある。
D層(40)は、エンボス加工装置で積層シートが加熱された際に、加熱金属ロール等への粘着を防止すると共に、積層シートの張力低下を防ぎシートの熔融破断を防止するための層である。
A層(10)とB層(20)とは、生産効率の点から共押出し製膜法により積層一体化される。
第1の本発明の積層シートにおいては、C層(30)およびD層(40)の2層も、共押出し製膜法により積層一体化されたものであることが好ましい。これにより生産効率を向上させることができる。
第1の本発明の積層シートにおいては、A層(10)およびB層(20)からなる共押出シートと、C層(30)およびD層(40)からなる共押出シートとが、B層(20)側表面およびC層(30)側表面を積層面として熱融着されてなるものであることが好ましい。これにより、接着剤の付与等が不要となり、特別な材料、工程や設備を必要とせず生産効率およびコストの点で有利である。
第1の本発明の積層シートにおいては、A層(10)およびB層(20)からなる共押出シートと、C層(30)およびD層(40)からなる共押出シートとの熱融着が、エンボス加工装置での加熱を利用して行われ、該熱融着と同時に、柄意匠が施されたエンボスロールにより、既に艶消し意匠を有するA層(10)側表面にさらに柄意匠が付与されてなるものであることが好ましい。
これにより、艶消しの外観に併せて、各種の柄意匠を有するエンボスが転写された積層シートを得ることができる。また、該柄意匠のエンボスは、エンボス加工装置を用いて付与されるので、各種の柄意匠および艶消しの意匠をも併せ持つ積層シートを小ロットで効率良く生産することができる。従って、比較的直径が大きい押出し製膜設備のキャスティングロールとしては、艶消し意匠を付与するものだけを用意すれば良く、柄意匠のエンボス付与に用いるエンボスロールとしては、比較的直径の小さいエンボス加工装置のものを用意すればよい。また、エンボス加工装置のエンボスロールは、軟質PVCシートにエンボス付与するために用いていたものをそのまま用いる事もできる。さらに、上記2種の積層シートの熱融着積層をエンボス加工装置でのシート加熱を利用して実施することで、工程を減らすことができる。
第1の本発明の積層シートにおいて、B層(20)およびC層(30)を構成する実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂は、テレフタル酸またはジメチルテレフタル酸をジカルボン酸成分の主体とし、20モル%以上80モル%以下の1.4−シクロヘキサンジメタノールと、20モル%以上80モル%以下のエチレングリコールをジオール成分の主体とする共重合ポリエステルであることが好ましい。
B層(20)およびC層(30)の実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂として商業的に入手しやすい材料を用いることで、原料供給の安定性とコスト面のメリットを得る事ができる。
第1の本発明の積層シートにおいて、B層(20)および/またはC層(30)に、これら層を構成する樹脂成分全体を100質量%として、融点が210以上230℃以下のポリブチレンテレフタレート系樹脂が15質量%以上45質量%以下配合されていることが好ましい。
本発明の積層シートで被覆した金属板をユニットバスの用途に用いる場合は、評価項目として沸騰水浸漬試験に合格することが求められる。実質的に非晶性のポリエステル系樹脂を主体としてなるB層(20)およびC層(30)の厚みが比較的厚い場合には、沸騰水浸漬時にこれらの層の弾性率が低下し、変形を生ずることにより外観不良を発生する虞がある。これに対し、結晶性ポリエステル樹脂であり、かつ結晶化速度の速いPBT系樹脂を所定量添加することにより、エンボス加工装置で加熱した際にはエンボス版が十分に転写される程度に柔軟化される層であるという機能を損なわずに、沸騰水浸漬時に変形を生ずる恐れがない層とすることができる。
第1の本発明の積層シートにおいて、A層(10)およびB層(20)は、実質的に透明であり、かつB層(20)およびC層(30)の間に印刷柄(E)(50)が付与された形態とすることもできる。これにより、エンボスによる凹凸意匠に加えて、印刷意匠を有する積層シートを得ることができる。
第2の本発明は、第1の本発明の金属板被覆用積層シートおよび金属板(70)を備え、金属板被覆用積層シートのD層(40)側の表面が金属板(70)に積層されてなる、積層シート被覆金属板である。
第2の本発明の積層シート被覆金属板は、良好な艶消し外観を有し、かつ、柄意匠のエンボス意匠や、場合によっては印刷柄の意匠を併せ持っている。
第2の本発明の積層シート被覆金属板は、ユニットバス部材、建築内装材、鋼製家具部材として、好適に用いることができる。ユニットバス部材としては、例えば、ユニットバス壁材、ユニットバス天井材が挙げられ、また、建築内装材としては、例えば、クロゼットドア材、パーティション材、一般壁材等が挙げられる。本発明の積層シート被覆金属板は、これらの材料として好適に使用できる。
第3の本発明は、第1の金属板被覆用積層シートの製造方法であって、
A層(10)とB層(20)とを共押出製膜法により積層すると同時に、キャスティングロールとして艶消し加工が施されたエンボスロールを用いることにより、A層(10)側表面に艶消し意匠を付与する工程、および
別途共押出製膜法により積層したC層(30)およびD層(40)からなる共押出シートと、形成したA層(10)およびB層(20)からなる共押出シートとを、B層(20)側表面とC層(30)側表面を積層面として熱融着する工程、
を備えてなる、金属板被覆用積層シートの製造方法である。
第3の本発明の製造法は、既に艶消し意匠が付与されているA層(10)側表面に、柄意匠が施されたエンボスロールによりさらに柄意匠を付与する工程を備えることができる。これにより、艶消し意匠とともに、柄意匠を備えた金属板被覆用積層シートが得られる。
また、エンボス加工装置での加熱を利用して、A層(10)およびB層(20)からなる共押出シートと、C層(30)およびD層(40)からなる共押出シートとの熱融着が行われ、該熱融着と同時に、柄意匠が施されたエンボスロールにより既に艶消し意匠が付与されているA層(10)側表面にさらに柄意匠が付与される構成とすることが好ましい。これにより、工程の簡略化による、生産効率の向上、コスト削減が図られる。
第1の本発明の積層シートは、所定のA層(10)を備えるとともに、該A層にキャスティングロールにより艶消し意匠が付与された構成であるため、良好な艶消し外観を有すると同時に、艶消しエンボスの耐熱性が良好であるため、後工程で艶戻り等の問題が発生する虞がない。従って、金属板(70)へのラミネート工程で外観不良となる虞がない。
また、所定のB層(20)およびC層(30)を備えており、これらが柔軟性を発現することにより、エンボス加工装置を用いて、すでに艶消し意匠を有するA層(10)側表面にさらに柄意匠を付与できる。この際、エンボス加工装置で任意の柄意匠を転写するために積層シートを再加熱しても艶消し外観を保持できる。これにより、エンボス加工装置により各種の柄意匠のエンボスを小ロットで付与することが可能となり、艶消し意匠および柄意匠を兼ね備えることができる。
さらに、D層(40)は、エンボス加工装置で積層シートが加熱された際に、加熱金属ロールへの粘着を防止し、また、積層シートの張力低下を防ぎ、シートの熔融破断を防止する。
以下、本発明を具体化した実施の形態を説明する。
なお、本発明の積層「シート」は、厚みが95〜300μmの範囲をとることから、「フィルムおよびシート」と記すのがより正しいが、ここでは一般的には「フィルム」と呼称する範囲に関しても便宜上「シート」という単一呼称を用いた。
また、「無配向」という表現は、積層シートに何らかの性能を付与するために意図して延伸操作等の配向処理を行ったものではないことであり、押出し製膜時にキャスティングロールによる引き取りで発生する配向等まで存在していないという意味ではない。同様に「実質的に透明である」という表現は、該実質的に透明である樹脂層を通して、その下側に付与された印刷柄や、下側に存在する着色意匠を有する層の視認が可能で、且つ、著しい意匠感の低下を与えない層であるという意味である。
[金属板被覆用積層シート]
本発明の金属板被覆用積層シートは、表層側から順に、A層10、B層20、C層30およびD層40の少なくとも4層を備えて構成される。以下、各層について説明する。
<A層10>
A層10は、押出し機により溶融軟化状態としたA層10の組成物をTダイから流下させ、引き取りロール(キャスティングロール)と接触させて冷却固化させ、その後、巻取り工程等に導く一般的な押出し製膜法により製膜される層である。本発明においては、引取りロールとして、梨地等の艶消し加工を施されたエンボスロールを用いることで、A層10の、B層20と積層される側でない表面に艶消しのエンボス意匠が付与される。
(PBT系樹脂)
該艶消しのエンボス意匠は、後工程での加熱の際にエンボス戻りを生じることがあってはならない。そのために、本発明においては、A層10の樹脂組成として、A層10における樹脂成分全体の質量を基準(100質量%)として、融点が210℃以上230℃以下であるポリブチレンテレフタレート系樹脂を70質量%以上95質量%以下含有してなる。A層10はPBT系樹脂の結晶化によって、その表面に付与された艶消しエンボスの意匠感を確保・維持する層である。
PBT系樹脂の融点が低すぎる場合は、結晶化速度が遅くなること、結晶性自体が低下することにより、後工程で、後述するB層20とC層30とを熱融着積層する際や、エンボス加工装置により柄意匠のエンボスを付与するために積層シートを加熱する際に、更には金属板とのラミネートを実施する際に、エンボス耐熱の不足により、A層10の表面に付与した艶消し外観が消失し易くなる虞がある。また、そのような融点の低いPBT系樹脂は原料価格が高価なものとなる。
上記の融点範囲にあるPBT系樹脂の中でも、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、または、ジメチルテレフタル酸、ジオール成分として、1.4−ブタンジオールの各単一成分を用いた、いわゆるホモPBT樹脂(酸成分、ジオール成分の各全量を100モル%として、意図せざる共重合成分が数モル%程度含まれていても良い)を用いることが、コストや安定供給性の点から特に好ましい。該ホモPBT樹脂の融点は約225℃程度であり、市販原料として得られるPBT系樹脂の中で最も高い融点を有するものである。このため、測定値の振れ等を含める意味で、本発明のPBT系樹脂の融点の上限を230℃としている。
該ホモPBT樹脂としては、三菱エンジニアリングプラスチック社製の「ノバデュラン5020H」や、東レ社製の「トレコン1200S」、ウィンテックポリマー社製の「ジュラネックス600FP」等、各種の市販原料を用いることができる。
A層10における、PBT系樹脂の比率が低すぎる場合は、A層10を構成するブレンド樹脂組成物の結晶化速度が遅くなり、また、結晶性が低下するため、PBT系樹脂の融点が低い場合と同様に後工程での加熱を受けた際にエンボス戻りの問題を生じる虞がある。なお、A層10を本発明の所定の樹脂組成物で形成した場合は、引き取りロールとの密着によりシート状態に冷却固化され、引取りロールを離れる時点においては、PBT系樹脂の結晶化が十分に進行していない場合でも、後工程で加熱を受けた際等に直ちにPBT系樹脂の結晶化が進行する。これにより、エンボスの形状が保持され、A層10表面に付与された艶消しのエンボス意匠が戻りを生ずる虞は少ない。
一方、A層10における、PBT系樹脂の比率が高すぎる場合、たとえば、上記融点範囲を有するPBT系樹脂を100質量%とした場合は、艶消しエンボスの耐熱性自体は良好とできるが、PBT系樹脂のガラス転移温度が非晶状態では20℃程度と比較的低いことから、ロールの冷却に相当の配慮を行わないと、引き取りロールにA層10が粘着してしまう虞がある。このため、より高いガラス転移温度を有するポリエステル系樹脂を少量ブレンドすることにより、ブレンド組成物のガラス転移温度も上昇し、A層10が引き取りロールに粘着する虞は少なくなる。
また、生産効率の点から、A層10と後述するB層20とは、共押出し製膜法により積層一体化された状態で製膜されることが好ましいが、A層10の結晶性が高すぎると、A層10とB層20との共押出しシートの反りが著しいものとなり、後工程での取り扱いに支障を来たす虞がある。
後工程での加熱によるエンボス戻り防止の点からは、A層10におけるPBT系樹脂の比率は、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることが特に好ましい。また、製膜時の安定性確保や過度な反りの防止の点からは、A層10におけるPBT系樹脂の比率は、90質量%以下であることがより好ましい。
また、PBT系樹脂は、無配向で結晶化した状態でも、同様に結晶化した状態のポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂よりも良好な加工性を得られる。これは、無配向のPET系樹脂のように巨大な球晶を形成する事が無いことや、結晶弾性率がPET系樹脂のそれに比べて低く、結晶領域が柔軟であることによると考えられる。これより、PBT系樹脂を70質量%以上95質量%以下含む本発明のA層10の樹脂組成は、積層シートで被覆した金属板の態様で、折り曲げ加工等の二次加工に供された場合に、樹脂層の曲げ部分の白化、微細クラックの発生、割れ等の問題を生じない。
(PBT系樹脂以外の樹脂成分)
A層10のPBT系樹脂以外の樹脂成分としては、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂としては、後述のB層20やC層30の主体として用いる実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂と同一のものを用いることができる。これは、A層10におけるPBT系樹脂以外の樹脂成分として、ホモPET等の結晶性の高い樹脂を用いた場合は、経時的にPET系樹脂の結晶化が進行し、PET系樹脂の結晶相の加工性がPBT系樹脂の結晶相の加工性より劣ることから、A層10の加工性が劣化し、結果的に積層シートを被覆した金属板の加工性が低下する虞があるためである。
(添加剤等)
A層10には、その結晶化速度を速める為に、結晶核剤を添加しても良く、ソルビトール系や燐酸エステル系等の有機核剤や、微細シリカ粒子等の無機核剤等各種の市販核剤を適宜な量添加しても良い。一般的な添加量としては、A層の樹脂成分の全量を基準(100質量部)として、0.1質量部〜2質量部程度の範囲である。
また、A層10には、その性質を損なわない範囲において、あるいは本発明の目的以外の物性をさらに向上させるために、各種添加剤を適宜な量添加しても良い。添加剤としては、燐系・フェノール系他の各種酸化防止剤、熱安定剤、プロセス安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、艶消し剤、衝撃改良剤、加工助剤、金属不活化剤、残留重合触媒不活化剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、充填材等の広汎な樹脂材料に一般的に用いられているものや、カルボジイミド系やエポキシ系他の末端カルボン酸封止剤、あるいは加水分解防止剤等のポリエステル樹脂用として市販されているものを挙げることができる。これらに関しても使用される目的に応じて、通常使用される量を添加すれば良い。
A層10への着色顔料や染料類の添加は任意である。しかし、本発明においては、実質的に透明な表層を介して、着色された内層の色味の意匠を視認できる、深み感を有する色味意匠を付与したり、同じく表層を介して、内部に付与された印刷柄が視認できるような意匠を付与したりするのに好適な構成であるため、内層や印刷柄の視認性が低下するほどにはA層10に着色顔料等を添加しないで、A層10の視覚的隠蔽効果を高くしないことが好ましい。
A層10の好ましい厚みは、下限が好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、上限が好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。A層10の厚みが過度に薄いとB層20との共押出し製膜法で作成するとは言え、安定した製膜性を確保できない虞がある。逆に厚みが厚過ぎる場合は、引き取りロールによる艶消しエンボス意匠の付与には問題が無いものの、後工程でエンボス加工装置により柄意匠のエンボス意匠を付与する際に、柔軟性の高い層としてB層20、およびC層30があるにも関わらず転写が困難なる虞がある。また、共押出し製膜でB層20と一体で製膜した際のシートの反りが顕著となる虞がある。
<B層20>
B層20に求められる機能は、別途製膜されるC層30との熱融着性、および、エンボス加工装置において積層シートを加熱した際に、積層シートに柔軟性を発現させ、既に艶消し意匠を有しているA層10表面への柄意匠の転写性を良好なものとすることである。
押出し製膜時にA層10表面に付与された艶消し意匠を有するエンボスは、A層10のPBT系樹脂の結晶化により、該PBT系樹脂の融点(本発明においては210℃以上)を越える温度まで加熱されないと、エンボス戻りを生ずることが無い。このため、軟質PVCシートにエンボスを付与する目的で用いられて来たようなエンボス加工装置においては、その加熱温度である190℃程度迄であるため、A層10自体には良好なエンボス転写をすることができない。そこで、本発明においては、A層10の厚みを前述の範囲に留めておき、該A層10の下にエンボス加工装置での加熱で柔軟化する層を付与しておくことで、エンボス加工装置により柄意匠のエンボスを転写するものである。従って、B層20を構成する樹脂成分は、190℃程度迄の加熱で柔軟性を発現するものである必要があり、また、エンボス加工装置での加熱温度で急速に結晶化が進行し、190℃を越える融点を示すことがあってはならない。また、常温での長期間の保管中に結晶化が進行し、保管後にエンボス加工装置で柄意匠のエンボスを付与するのが困難となるものであってはならない。
(実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂)
上記理由から、B層20に用いる樹脂成分としては、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体とするものが好ましい。ここで、「主体」とは、B層20の樹脂成分全体の質量を基準(100質量%)として、55質量%以上、好ましくは70質量%以上含まれることを言う。
B層20を形成する実質的に非結晶性(低結晶性のものも含む。)のポリエステル系樹脂としては、示差走査熱量計(DSC)により、昇温時に明確な結晶融解ピークを示さないポリエステル樹脂、および、結晶性を有するものの結晶化速度が遅く、押出し製膜法によるシート作成時や、エンボス加工装置でエンボス柄が転写されるまでの加熱工程において結晶性が高い状態とならないポリエステル樹脂、結晶性を有するものの示差走査熱量計(DSC)により、昇温時観測される結晶融解熱量(△Hm)が10J/g以下と低い値であるものを使用することができる。
B層20の実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂としては、テレフタル酸またはジメチルテレフタル酸をジカルボン酸成分の主体とし、20モル%以上80モル%以下の1.4−シクロヘキサンジメタノール(1.4−CHDM)と、20モル%以上80モル%以下のエチレングリコールをジオール成分の主体とする共重合ポリエステルであることが、原料入手の容易さから好ましい。
ここで、ジカルボン酸成分における「主体」とは、ジカルボン酸成分全体を基準(100モル%)として、テレフタル酸またはジメチルフタル酸を70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは98モル%以上含むことをいう。また、ジオール成分における「主体」とは、ジオール成分の全体量を基準(100モル%)として、1.4−CHDMおよびエチレングリコールを好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上含むことをいう。
ジオール成分における、1.4−CHDMの量が少なすぎると、結晶性樹脂としての特徴が顕著になり、エンボス加工装置での加熱時に結晶化が進行してエンボス付与が困難になる虞がある。逆に、1.4−CHDMの量が多すぎると、やはり結晶性が顕著になり、さらに非常に高い融点を示すようになることから好ましくない。
該組成範囲にある共重合ポリエステル樹脂の中でも、1.4−CHDMがジオール成分の約30モル%付近の組成では、DSC(示差走査熱量計)測定においても結晶化挙動が認められない、完全に非晶性を示す事が知られている。該完全に非晶性のポリエステル系樹脂としては、PETG樹脂を挙げられる。PETG樹脂としては、例えば、イーストマンケミカル社製の「イースターPETG・6763」等が挙げられる。PETG樹脂は、多くの用途に用いられていることから原料の安定供給体制が確立されており、また、低コスト化が図られている点から、本発明のB層20の主体となる樹脂成分として特に好ましい。
ただし、これに限定されるものではなく、特定の条件では結晶性を示すが通常の押出し製膜条件やエンボス付与条件では非晶性樹脂として取り扱うことが可能なイーストマンケミカル社の「PCTG・5445」(ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、ジオール成分の約60モル%が1.4−CHDMで、約40モル%がエチレングリコールである共重合ポリエステル樹脂)等を用いることもできる。また、これ以外に、ネオペンチルグリコール共重合PET系樹脂で結晶性を示さないもの(一例として、東洋紡社製の「コスモスター・SI−173」等)や、結晶性の低いもの、イソフタル酸を共重合したPET系樹脂やPBT系樹脂で結晶性の低いもの等、各種共重合成分の導入により結晶化を阻害した構造を有する共重合ポリエステル樹脂もB層20の主体となる実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂として用いることができる。
(PBT系樹脂の添加)
B層20における樹脂成分全体の質量(100質量%)を基準として、B層20には、15質量%以上45質量%以下の融点(Tm)が210℃以上230℃以下のポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂が配合されていることが好ましい。また、B層20におけるPBT系樹脂の配合割合は、下限がより好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上であり、上限がより好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。PBT系樹脂を配合することにより、沸騰水浸漬試験時等の高温の水と接触した場合の積層シート被覆金属板の樹脂層の形状保持性をより良好にすることができる。よって、特に、ユニットバス用途等に本発明の積層シートを被覆した金属板が供される場合等に、このような配合が好適に採用される。
PBT系樹脂としては、前述したA層10に用いることができるPBT系樹脂と同様のものを用いることがでる。また、中でも、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸またはジメチルテレフタル酸、ジオール成分として1.4−ブタンジオールの各単一成分を用いた、いわゆるホモPBT樹脂(意図せざる共重合成分が入っていてもよい)を用いることが、コストや入手の容易さの点から好ましい。該B層20に配合されるPBT系樹脂と、A層10に配合するPBT系樹脂は、組成、融点等が異なるものであっても構わないが、それによって何らかの特徴が得られるものではなく、原料購入の簡易化の点からは、いずれの層にも、ホモPBT樹脂を用いることが特に好ましい。
B層20に配合するPBT系樹脂の量が多すぎると、B層20の結晶性が顕著になりエンボスの付与が困難になる。また、配合するPBT系樹脂の量が少なすぎると、実質的に非晶性のポリエステル系樹脂のみからB層20を構成した場合と沸騰水浸漬試験後の形状保持効果に大差がなくなり、あえてブレンドする理由がなくなる。
本発明の積層シート被覆金属板に沸騰水浸漬試験時等における形状保持性に懸念の出る可能性があるのは、B層20、およびC層30が樹脂成分の主体として実質的に非晶性のポリエステル系樹脂を用いており、上記好ましく用いることのできる実質的に非晶性のポリエステル系樹脂のガラス転移温度が100℃に満たないことに起因する。そこで、上記においては、PBT系樹脂をブレンドし、その結晶性により沸騰水浸漬時の樹脂層の流動変形を防止するものである。
(Tgが100℃を超える非晶性ポリエステル系樹脂)
また、その他の方法として、実質的に非晶性のポリエステル系樹脂として、ガラス転移温度が100℃を超えるものを用いることで樹脂層の流動変形を防止しても良い。このような高いガラス転移温度を有する実質的に非晶性のポリエステル系樹脂としては、特開2002−069165号公報に記載されるポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂のジオール成分の一部を環状アセタール骨格を有するスピログリコールで置換した構造を有するものや、特開2006−193575号公報に記載のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂のジオール成分の一部を9、9’−ジヒドロキシメチルフルオレンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物で置換した構造を有するもの、特許第3413640号公報のポリエチレンナフタレート(PEN)のジオール成分の一部をイソソルビドで置換した構造を有するもので、融点の観察されないものなど、分子鎖中に剛直な骨格を導入した共重合ポリエステルの構造等が挙げられる。また、これらのガラス転移温度が100℃を越えるような実質的に非晶性のポリエステルは、A層10のPBT系樹脂以外の樹脂成分としても用いることができる。
しかし、これらの高いガラス転移温度を有する実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂は、本発明の出願の時点では一般的に流通される状況には至っておらず、原料確保の点やコストの面に問題が残っている。
(芳香族PCのブレンド)
他の耐沸騰水性改善の方法としては、B層20および/またはC層30の主体となる樹脂成分を、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂と芳香族ポリカーホネート系樹脂のブレンド組成物とすることで耐熱性を向上させ、沸騰水浸漬時の樹脂層の流動変形を防いでも良い。
この場合は、芳香族ポリカーボネート系樹脂として最も広汎に使用されるビスフェノールA型ポリカーボネート系樹脂との相容性に優れる点から、テレフタル酸またはジメチルテレフタル酸をジカルボン酸成分の主体とし、50モル%以上80モル%以下の1.4−シクロヘキサンジメタノール(1.4−CHDM)と、20モル%以上50モル%以下のエチレングリコールをジオール成分の主体としてなる共重合ポリエステルを好ましく用いる事ができる。該組成範囲にあるものとして、イーストマンケミカル社の「PCTG・5445」(ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、ジオール成分の約60モル%が、1.4−CHDMで、約40モル%がエチレングリコールである共重合ポリエステル樹脂)を挙げることができる。
ただし、これよりはポリカーボネート樹脂との相容性が劣ることから、耐沸騰水性の改善効果に関して多少劣る傾向があり、また、ブレンド組成物の透明性も劣る傾向にあるものとしては、テレフタル酸またはジメチルテレフタル酸をジカルボン酸成分の主体とし、20モル%以上50モル%未満の1.4−シクロヘキサンジメタノール(1.4−CHDM)と、50モル%を超え80モル%以下のエチレングリコールをジオール成分の主体としてなる共重合ポリエステルを用いてもよい。該組成範囲にあるものとして、イーストマンケミカル社の「イースターPETG・6763」(ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、ジオール成分の約30モル%が1.4−CHDMで、約70モル%がエチレングリコールよりなる共重合ポリエステル樹脂)が挙げられる。
ただし、原料供給の安定性や、原料コストの面を含めて考えると、上記した、特定量のPBT系樹脂を、汎用的に用いられている実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂に添加する方法が特に好ましい。
(添加剤)
B層20にも、A層10に用いることのできる各種添加剤を適宜な量添加しても良い。また、B層20に関しても着色顔料や染料類の添加は任意であるが、A層10の場合と同様に内層や印刷柄の視認性が低下するほど視覚的隠蔽効果を高くしないことが好ましい。
B層20の好ましい厚みは、下限が好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上であり、上限が好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。B層20の機能として、別途製膜されるC層30との熱融着性のみを求め、エンボス加工装置でのエンボスの転写性の確保を専らC層30に依存する場合は、B層20の厚みは3μm未満でも十分にその機能を果たすことができるが、共押出し製膜での安定生産に支障を来たす虞がある。
B層20の厚みが厚すぎる場合は、積層シートとしての総厚みに加工性の面からの制約があることから、他の層を薄くする必要が生じ、他の層が受け持つべき機能の発現不全をもたらす虞がある。
(A層およびB層からなる共押出シート)
共押出し法で製膜されるA層10とB層20が積層された共押出シートの厚みとしては、下限が好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上であり、上限が好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。該共押出シートの厚みが薄すぎる場合は、シートとしての取り扱い性に問題を生じる虞があり、また、厚みが厚すぎる場合は、必要な機能が飽和すると同時に、後述するC層30とD層40の合計厚みに対する制約からこれらの層の機能発現不全をもたらす虞がある。
本発明のA層10とB層20が共押出し製膜法で積層された共押出シートを作製するには、ベント装置等ポリエステル系樹脂の押出し成形に必要な設備を備えた二台の熔融混練押出機と、ギアーポンプ、フィードブロック、それに所要の接続導管類、単層Tダイを用いて、フィードブロック方式による共押出し製膜を実施しても良いし、フィードブロック法に代えてマルチマニフォールド型のTダイを用いて共押出し製膜しても良い。
本発明においては、上記の製膜の際に、引き取りロールとして、通常の表面が鏡面仕上げされた金属ロールを用いる代わりに、梨地等の艶消し意匠を付与するためのエンボス柄が表面に彫刻されたエンボスロールが用いられる。Tダイから熔融流下した2層の樹脂のA層10側が該引取りロールとの接触面となるようにして引き取りが行われると同時に、A層10表面に艶消し意匠のエンボスが転写され、巻取り装置等の後工程へ導かれる。
<C層30>
C層30は、着色剤を添加することにより着色の意匠と、下地となる金属板等の視覚的隠蔽機能を受け持つ層である。また、B層20との熱融着性を良好なものとする機能、および、B層20と同様にエンボス加工装置で加熱柔軟化される事で、A層10表面への柄意匠のエンボス版の転写性を良好なものとするための層でもある。
従って、C層30を構成する樹脂成分は、190℃程度迄の加熱で柔軟性を発現するものである必要がある。また、エンボス加工装置での加熱温度で急速に結晶化が進行し、190℃を越える融点を示すことがあってはならない。また、常温での長期間の保管中に結晶化が進行し、保管後のエンボス加工装置での柄意匠のエンボスの転写が困難になってもいけない。
即ち、C層30に関しても、B層20と同様に実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体としてなることが好ましい。ここで、「主体」とは、C層30の樹脂成分全体の質量を基準(100質量%)として、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を55質量%以上、好ましくは70質量%以上含むことを言う。C層30に用いることのできる実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂は、B層20に用いることができるものと同様であり、耐沸騰水浸漬性をより良好なものとする為にPBT樹脂を一定量添加することが好ましい点もB層20の場合と同様である。また、ガラス転移温度が100℃を超える実質的に非晶性のポリエステル系樹脂を用いても良いし、更には、芳香族ポリカーボネート系樹脂と、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂とのブレンド組成物を用いることで耐熱性の向上を図っても良い。
C層30の樹脂組成は、これら組成範囲内で前述したB層20の樹脂組成と異なるものであっても構わないが、原料購入の簡易化の点からは、B層20とC層30の樹脂組成は同一であることが好ましい。
更に、C層30の表面に印刷柄(E)50を付与する場合には、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂のみからなるC層30の場合、印刷インクに使用する溶剤に対する耐溶剤性等の点から印刷適性に問題を生じることが予想される。この場合も、C層30にPBT系樹脂を15質量%以上45質量%以下の範囲で添加しておくことが好ましい。これは、B層20の裏面に印刷柄を形成する場合の、B層20の樹脂組成に関しても同様である。
(着色剤)
C層30は着色剤を添加することが必須の層である。使用される着色剤としては、上記目的のために樹脂着色用として一般的に用いられているもので良く、その添加量に関しても上記目的のために一般的に添加される量で良い。一例としては、白系の着色では、隠蔽効果の高い酸化チタン顔料をベースとして、色味の調整を無機系および/または有機系の各種有彩色顔料で行うことができる。黒系の着色では、カーボンブラック等の黒色顔料をベースとして、上記酸化チタン等の白色顔料により明度を適宜調整すると同時に、色味の調整を無機系および/または有機系の各種有彩色顔料で行うことができる。
前述のPETG樹脂をベースとしたカラーマスターバッチ等の、予備混練を施すことで分散性を向上させた顔料練り込みペレット類が豊富に市販されている。これらを利用することが色味の安定性の点等から好ましい。
着色剤を添加する目的としては、色味の意匠を付与することの他に、下地の視覚的隠蔽効果を付与することがある。視覚的隠蔽効果は、用途によって重要度が異なってくるが、内装建材用途のエンボス意匠シート被覆金属板等においては、JIS K5600 4−1「塗料一般試験方法・隠蔽率」に準拠して測定した隠蔽率が積層シートの構成で0.95以上であることが好ましい。
隠蔽率がこれより低すぎると金属板等、下地となる基材の色味が、積層シートの色味に反映されて、金属板表面の処理の違い等により下地の色味が変化した際、積層シートの表面から観察される積層シート被覆金属板の色味も変化して見えるため好ましくない。ただし、この理由による色味の変化が特に問題とならない用途においては、隠蔽率は0.95以上にこだわらなくてもよい。
C層30にも、A層10やB層20に用いることができるものと同様の各種添加剤を適宜の量添加しても良い。
C層30の厚みは、下限が好ましくは40μm以上、より好ましくは60μm以上であり、上限が好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下である。C層30の厚みが薄すぎると、十分な着色意匠や下地の隠蔽機能を付与するために、多量の着色剤を添加する必要が生じ、押出し製膜性が悪化したり、加工性の低下を来たし、積層シート被覆金属板を折り曲げ加工等の二次加工に供した場合に、樹脂層に割れや、クラック、白化等の不具合を生じやすくなる。また、厚みをこれより厚くしても、必要な機能は飽和すると同時に、後述するように、積層シート全体としての厚みに制約がある事から、相対的に他の層を薄くする必要を生じ、これらの層の機能発現不全をもたらす虞がある。
<D層40>
D層40は、積層シートをエンボス加工装置に通した際に、加熱された金属ロールへの粘着防止層として機能する。また、従来の軟質PVCと同様の温度まで加熱された積層シートの張力低下を防ぎ、幅縮み、皺入り、熔融破断等を防ぐ機能を付与する。
従って、D層40を構成する樹脂組成は、エンボス加工装置での加熱でこれらの機能を喪失するものであってはならない。
D層40は、D層40における樹脂成分全体の質量を基準(100質量%)として、融点が210℃以上230℃以下のPBT系樹脂を70質量%以上100質量%以下含有してなる。融点が210℃以上必要なのは、従来の軟質PVCシートにエンボス付与機でエンボス柄を転写する場合にシートが支持体無しでヒーターによって加熱される温度が160℃〜190℃程度であることから、この温度で十分な張力を得るためである。また融点の上限を230℃としたのは、市販原料として得られるPBT系樹脂の中ではもっとも融点の高いホモPBTで225℃前後であることによる。
結晶化により融点に至るまで高い弾性率が維持され、それによって張力が保持される観点のみに着目すれば、D層40に用いることのできるポリエステル系樹脂は、高い結晶性を有するものであれば良く、例えば、ホモPET樹脂等でも良いことになる。しかしながら、上記融点範囲にあるPBT系樹脂は、比較的結晶化速度が速いため、70質量%以上のPBT系樹脂を含むブレンド組成物では、特別な工程を設けなくても、上記目的に十分な程度に結晶化した状態のシートを押出し製膜法により得ることが可能となる。このため、D層40にエンボス加工装置で求められる機能を付与することが容易であることから、本発明においては上記の融点を有するPBT系樹脂を用いている。
また、従来の軟質PVCシートを金属板にラミネートする際の、金属板の加熱温度が235℃程度であったことから、上記融点範囲のPBT樹脂をD層40の樹脂組成として用いた場合は、エンボス加工装置で問題を生じないような結晶化したD層40であっても、従来のラミネート温度を変更することなく金属板へのラミネートが可能である。
PBT系樹脂を用いる他の理由としては、結晶化した状態でもPET系樹脂に比べて良好な加工性を得られること、および、近年、押出し製膜グレード等の用途展開が活発になり、各種グレードのPBT樹脂原料を入手しやすくなったことが挙げられる。
D層40は、D層40における樹脂成分全体の質量を基準(100質量%)として、上記のPBT系樹脂を70質量%以上100質量%以下の割合で含有している。この割合が小さすぎる場合は、結晶化した状態でシートを得ても、積層シートが加熱された際の熔融張力を十分なものとすることが難しく、エンボス加工装置での、積層シートへの皺入り、幅縮み、熔融破断等を生ずる虞がある。その点からはPBT系樹脂が75質量%以上である事がさらに好ましい。
一方、D層40の厚みを比較的厚くした場合で、且つD層40を前述したC層30との共押出し製膜で作製する場合、D層40の結晶性により、C層30とD層40との共押出しシートの反りが顕著になり取り扱い性が悪化する虞がある。その点からはD層40のPBT系樹脂は95質量%以下であることが好ましい。
融点が210℃以上230℃以下の範囲のPBT系樹脂としては、前記A層10に用いることのできるPBT系樹脂と同様のものを用いることができ、中でも、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、または、ジメチルテレフタル酸、ジオール成分として1.4−ブタンジオールの各単一成分を用いた、いわゆるホモPBT樹脂(意図せざる共重合成分が入っていてもよい。)を用いることが特に好ましい。
D層40のPBT系樹脂以外の樹脂成分としても、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を用いることが好ましく、その理由はA層10の場合と同様である。従って、D層40に用いることのできる実質的に非晶性のポリエステル系樹脂も、A層10と同様のもの、従って、B層20やC層30に用いることができるものと同様のものである。
本発明においては、A層10がPBT系樹脂を70質量%以上95質量%以下で含む層となっていることから、エンボス加工装置でシートが加熱された際の張力保持層はD層40のみでなく、A層10もまたその機能を分担することとなる。しかし、D層40を省いた構成では、エンボス加工装置の加熱された金属ロールにC層30が粘着し、エンボス付与操作が困難となる。
また、D層40の厚みは、下限が好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、上限が好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。D層40の厚みが薄すぎると、C層30との共押出し製膜法で作製する場合も、安定した製膜性を確保できない虞があり、D層40を単層で製膜する場合は、シートの取り扱いが困難となる。また、厚みがこれ以上厚くなっても、D層40に必要な機能は飽和し、後述する如く積層シートの総厚みに制約があることから、他の層の機能発現不全をもたらす虞がある。
(添加剤)
D層40にも、他の層と同様の各種添加剤を適宜な量添加しても良く、A層10と同様に結晶化速度の向上を目的に結晶核剤を添加しても良い。また、D層40が付与される目的の一つである加熱金属との非粘着性をより強固にするため、適宜な量の滑剤を添加しても良い。滑剤としては、ポリエステル樹脂への添加用として一般的に用いられるものを用いることができ、一例としては、モンタン酸系の滑剤である「リコワックスOP」(クラリアント・ジャパン社製)を挙げることができる。滑剤の添加量は、D層40の全樹脂量を基準(100質量部)として、0.2〜3質量部の一般的な量で良い。
或いは、エンボス加工装置での積層シートの張力をより強力なものとするため、線状超高分子量アクリル樹脂系加工助剤(例えば、三菱レイヨン社製の「メタブレンP−531」等がある)や、フィブリル状に展開する易分散処理を施したポリテトラフルオロエチレン等の加工助剤(例えば、三菱レイヨン社製の「メタブレンA−3000」等がある)を添加しても良く、この場合も0.2〜3質量部程度の一般的な添加量で良い。
C層30とD層40の製膜に関しても、A層10とB層20の場合と同様に、共押出し製膜法により、2層が積層された状態で製膜することが生産効率の点から好ましい。
<印刷柄(E)50>
本発明の積層シートにおいては、A層10、およびB層20を実質的に透明な層としておき、着色層であるC層30の色味の意匠を透明層を通して視認できるようにしておくことが意匠性の点で好ましい。また、この場合、B層20とC層30との間に印刷柄(E)50を付与して、印刷意匠を併せ持った構成とすることもできる。印刷柄(E)50は、グラビア印刷、オフセット印刷、平版スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、インクジェットプリンターによる印刷等の公知の方法で施される。絵柄は任意であり、例えば石目調、木目調等の天然材を模した柄、或いは、幾何学模様、抽象模様等を挙げることができる。印刷は部分印刷でも全面印刷でも良く、部分印刷と全面印刷の両方が施されていても良い。該印刷インクのバインダー樹脂として、熱融着性を有するものを適宜選択するか、あるいは、印刷ラインで熱融着性のコーティング層を同時に塗工する等により、印刷柄(E)50を有する構成においても、B層20とC層30間の印刷柄(E)50を介しての熱融着適性を確保できる。
印刷柄(E)50は、B層20と積層することとなるC層30の表面に印刷を施すことにより形成してもよいし、C層30と積層することとなるB層20の表面に印刷を施すことにより形成してもよい。
<金属板被覆用積層シート>
積層シート全体(A層10+B層20+C層30+D層40)での好ましい厚みは、80μm以上300μm以下の範囲である。積層シートの厚みが薄すぎる場合は、下地の視覚的隠蔽確保のためには多量の顔料を添加する必要があり、その結果加工性の低下を来す虞がある。一方、積層シートの厚みが厚すぎる場合は、軟質PVC樹脂被覆金属板の折り曲げ加工等の成形加工に従来から用いて来た成形金型の使用が困難になるなど、2次加工性に問題を生じる虞がある。
本発明の積層シートの製造方法について以下説明する。まず、A層10とB層20とを共押出し製膜法で一体化された状態で製膜し、かつ、該押出し製膜時に引き取りロール(キャスティングロール)として、艶消し加工を施されたエンボスロールを用いることにより、A層10側表面に艶消し意匠を付与する。別途共押出し製膜法により積層一体化されたC層30とD層40からなる共押出シートを製膜する。必要に応じて、C層30側表面、および/または、B層20側表面に印刷柄(E)50を付与する。
B層20側表面とC層30側表面を積層面として、図2に示すエンボス加工装置200の加熱ロール210へのシートの導入部に夫々のシートを導入し、適宜タッチロールで押圧する等して熱融着積層し、引き続きエンボス加工装置により、A層10側表面に既に付与されている艶消しの意匠以外の柄意匠を有するエンボスロール250とニップロール240間を通過させることにより、柄意匠のエンボスを更に付与する。
ただし、A層10とB層20からなるシートと、C層30とD層40からなるシートとの積層一体化は必ずしもエンボス加工装置での熱融着積層によらないで、他工程で熱融着積層を行っても良く、また、ドライラミ接着剤等による積層とすることもできる。
図2に、従来、軟質PVCシートにエンボス模様を付与するために一般的に用いられて来たエンボス加工装置200の一例を示す。図示した一実施形態のエンボス加工装置200は、加熱ロール210、テイクオフロール220、赤外線ヒーター230、ニップロール240、エンボスロール250および冷却ロール260により構成される。図2に示す形態では、あらかじめ艶消し意匠のエンボスが付与されたA層10+B層20の共押出シート、C層30+D層40の共押出シートを供給し、上記のようにエンボス加工装置の加熱ロール210で熱融着積層を行っている。
エンボス加工装置200により転写された柄意匠のエンボスは、冷却ロール260に到達するまでの間に若干のエンボス戻りを生ずる虞がある。また、柄意匠のエンボスは、金属板70へのラミネートを実施する際のエンボス耐熱性が、A層10に押出し製膜時に付与された艶消し意匠のエンボスに比べると劣る。しかし、柄意匠のエンボスは通常、艶消し意匠の目的で付与されるエンボスに比べて凹凸の程度(表面粗さ)が大きく、多少のエンボス戻りが発生した場合も意匠感を損なうことが少ない。よって、艶消し意匠のエンボスにエンボス戻りが生じた場合に比べて、エンボス戻りに起因して著しい外観変化をもたらすものではない。そこで、本発明においては、エンボス戻りの発生の少ない方法により艶消し意匠のエンボスを付与しておき、多少のエンボス戻りを生じた場合も支障のない柄意匠のエンボスをエンボス加工装置で付与するようにした。
また、エンボス付与されたA層10表面の凹部分には、いわゆるワイピング印刷による着色意匠を付与したり、光沢のあるワイピングインキを用いることで、凹部のみ光沢のある意匠感を付与しても良い。ワイピング印刷によりエンボス凹部に形成される着色インキ層および/または光沢のある透明インキ層は、2液硬化型のウレタン系樹脂等をビヒクルとして使用したインキにより形成することが耐久性の点から好ましい。また、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂等から成る1液インキを使用して形成しても良い。
ここでの、着色インキに使用する顔料としては、通常の印刷インキ用に用いられる顔料を用いることができる。金属板被覆用意匠シートのエンボス凹部へワイピング印刷を付与すること自体は、軟質PVCシートを用いたエンボス意匠シートの時代から実施されてきたものである。ドクターブレード法、ロールコート法等の各種公知の方法によって、着色層を付与することができる。
<積層シート被覆金属板>
本発明の積層シートのD層40側を接着剤を用いて金属板70にラミネートすることにより、積層シート被覆金属板が得られる。
本発明に用いる金属板70としては、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、スズメッキ鋼板、アルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウム・マグネシウム・亜鉛合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板等の各種鋼板やアルミニウム板、アルミニウム系合金板、チタン系合金板、ニッケル系合金板、マグネシウム系合金板等が使用でき、これらは通常の化成処理を施した後に使用しても良い。基材金属板の厚さは、積層シート被覆金属板の用途等により異なるが、0.1mm〜10mmの範囲で選ぶことができる。
積層シートを金属板70にラミネートする方法に特に制限はないが、接着剤によるラミネートが一般的である。接着剤としては、従来、軟質PVCシートを金属板にラミネートするために用いられてきた、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤等の加熱硬化型接着剤を用いることが好ましく、これらの中でも、シートがポリエステル系樹脂からなることから、ポリエステル系の接着剤を用いるのが好ましい。
ラミネート方法についても、従来法によることが、既存設備を利用できる点から好ましい。即ち、金属板70にリバースコーター、キスコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用して、エンボス意匠シートを貼り合せる金属面に、乾燥後の接着剤膜厚が1μm〜10μm程度になるように上記の加熱硬化型接着剤を塗布する。ついで、赤外線ヒーターおよび/または熱風加熱炉により塗布面の乾燥および加熱を行い、金属板70の表面温度を、225℃〜250℃程度の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネーターを用いてエンボス意匠シートのD層40側が接着面となるように被覆、水噴射等の冷却法により、エンボス加工装置で付与した柄意匠のエンボスが顕著な戻りを生じない内に冷却することにより、積層シート被覆金属板を得ることができる。
また、本発明の積層シート被覆金属板は、良好な加工性を有し、ユニットバス壁材、ユニットバス天井材等のユニットバス部材、クロゼットドア材やパーティション材およびパネル材等の建築内装材、ドア材、鋼製家具部材、AV機器、エアコンカバー等の家電製品筐体部材として、好適に用いることができる。
本発明をより具体的かつ詳細に説明するために、次に実施例を示すが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
<実施例1〜22、比較例1〜10>
(A層+B層の共押出シートの作製)
実施例1〜22、および比較例1〜10に用いるA層およびB層の共押出シートは、シリンダー直径φ65mmのベント装置を有する2台の同方向二軸混練押出機(JSW社製の「TEX−65」)を使用して、フィードブロック方式の共押出しによって、Tダイより流出した樹脂を引き取りロール(キャスティングロール)で引き取る一般的方法により得た。押出し機の設定温度は、フィード側200℃、口金側240℃で、両押出し機について同様である。Tダイの設定温度は240℃を基準とし、厚み分布等製膜の状況に応じて適宜幅方向の温度設定の微調整を行った。各種接続導管やフィードブロック部の設定温度も240℃とした。なお、A層として、表1中のa−21およびa−22を用いたシートのみ、原料の融点が高いため、Tダイや、フィードブロック部の温度設定を265℃を基準とし、A層側押出し機の口金側温度設定や、接続導管類も265℃とした。
なお、引き取りロールは、20℃の水を循環させることにより温度調整されており、表面に中心線平均粗さ(Ra)が6μm、最大高さ(Ry)が35μmの梨地の艶消し意匠を付与するためのエンボスが彫刻された直径500mmのロールである。Tダイから流下した熔融樹脂は、A層を形成する側を引き取りロール側となるように押し出され、B層を形成する側には、水を循環させることにより40℃程度の表面温度に調整されたシリコーンゴム製のタッチロールが当接されるようにした。A層の樹脂組成とA層の厚みを表1に、B層の樹脂組成とB層の厚みを表2に示した。また、実施例1〜22および比較例1〜10のA層とB層の組み合わせを表3に示した。なお、比較例9は、A層の無いB層単層からなるシートを用いた。
(C層+D層の共押出シートの作製)
C層とD層の共押出シートに関しても、A層とB層の共押出シートの場合と同様に共押出し製膜を行った。使用した押出し機や温度設定はA層とB層の場合と同一であるが、引き取りロールには、表面に中心線平均粗さ(Ra)が1μm、最大高さ(Ry)が6μmの梨地の凹凸を付与する為のエンボスが彫刻されたロールを用いた。該エンボスは艶消し意匠付与の目的のものではなく、印刷柄(E)を付与する際の印刷インクの定着性を良好にするため、および、シートに滑り性を与え、巻き重ね性を良好にするためのものである。なお、C層を形成する側が引き取りロール側となるように押し出されており、引き取りロールは、40℃の水を循環させることにより温度調整されており、該温度はC層の樹脂組成の変化に応じて微調整を行っている。D層を形成する側には、シリコーンゴム製のタッチロールが当接されるようにしている。C層の樹脂組成は、C層の全樹脂成分を基準(100質量%)として、イースターPETG・6763が75質量部、ノバテュラン5020Hが25質量%からなっており、酸化チタン系白色顔料28質量部(C層の樹脂成分の全量を100質量部とした値)の添加により白色に着色されている。C層の厚みは80μmである。
また、D層はイースターPETG・6763が15質量%、ノバデュラン5020Hが85質量%からなっており、顔料成分を有しない厚み20μmの層である。
<実施例23>
実施例23のみ、C層とD層の一体シートを製膜した後、C層側表面にグラビア印刷によりアクリル・ウレタン系の印刷インクを用いて抽象柄の印刷柄(E)を印刷した。グラビア印刷機での印刷適性に特に問題は発生しなかった。各層の樹脂組成自体は、実施例6の組み合わせと同一であり、印刷柄(E)の有無のみの相違となっている。
Figure 0005198128
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<各種原料>
上記の実施例および比較例で使用した原料は以下の通りである。
(イースターPETG・6763)
イーストマン・ケミカル・カンパニー社製の非結晶性ポリエステル樹脂である。ジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、ジオール成分の約30mol.%が1.4−シクロヘキサンジメタノール、約70mol.%がエチレングリコールである。融点は観察されず、ガラス転移温度は78℃である。
(PCTG・5445)
イーストマン・ケミカル・カンパニー社製の実質的に非結晶性ポリエステル樹脂として扱うことが可能なポリエステル樹脂である。ジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、ジオール成分の約65mol.%が1.4−シクロヘキサンジメタノール、約35mol.%がエチレングリコールである。融点は観察されず、ガラス転移温度は86℃である。
(ノバデュラン5020H)
三菱エンジニアリングプラスチックス社製の(ホモ)ポリブチレンテレフタレート樹脂である。融点は225℃である。
(ジュラネックス500JP)
ウィンテックポリマー社製のイソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂である。融点は204℃である。
(RT−553)
日本ユニペット社製の(ホモ)ポリエチレンテレフタレート樹脂である。融点は253℃である。
各原料のガラス転移温度、または融点は以下の方法により測定した。
(ガラス転移温度(Tg)の測定)
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計「DSC−7」を用いて、試料10mgをJIS K−7121「プラスチックの転移温度測定方法」に準じて、加熱速度を10℃/分で−40℃から250℃まで昇温し、250℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温、同温度で1分間保持した後、再度10℃/分で昇温した際のサーモグラムからガラス転移温度(Tg)を求めた。なお、RT−553のみ、同様の昇温速度で−40℃から270℃迄昇温し、270℃で1分間保持した後、同様に測定した。各原料のペレットをそのまま試料として用いた。
(融点(Tm)の測定)
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計「DSC−7」を用いて、試料10mgをJIS K−7121「プラスチックの転移温度測定方法・融解温度の求め方」に準じて、加熱速度を10℃/分で−40℃から250℃まで昇温し、250℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温、同温度で1分間保持した後、再度10℃/分で昇温した際のサーモグラムから融点(Tm)を求めた。なお、RT−553のみ、同様の昇温速度で−40℃から270℃迄昇温し、270℃で1分間保持した後、同様に測定した。各原料のペレットをそのまま試料として用いた。
<A層+B層シートと、C層+D層シートの熱融着積層と模様意匠エンボスの付与>
図2に示すような軟質PVCシートへのエンボス付与に一般的に使用されているエンボス加工装置を用いて、A層とB層の共押出シートと、C層とD層の共押出シートの熱融着による積層と、柄意匠のエンボスの転写を行った。
加熱ロールは120℃に設定されており、該加熱ロールへのシートの導入部でシリコーンゴム製のタッチロールで押圧する事により上記2種のシートを重ね合わせ、加熱ロールの熱により熱融着積層を行った。引き続き、積層一体化された状態のシートは、赤外線ヒーターで、エンボスロール250と接する直前の表面温度が180℃になるように加熱され、直径200mmのエンボスロールとニップロールの間で押圧されることにより柄意匠のエンボスを転写した。さらに該エンボスが転写されたシートは冷却ロールへと導かれ、シートが冷却されることにより柄意匠のエンボスを冷却固定した。
エンボスロールは、温水循環機により110℃に温度調整し、冷却ロールは同様に40℃に温度調整した。柄意匠のエンボスロールとしては、石目調を基調とした抽象柄の中心線平均粗さ(Ra)が20μm、最大高さ(Ry)が120μmのエンボスが彫刻されたロールを用いた。
<積層シート被覆金属板>
市販されている軟質PVC被覆金属板用の加熱硬化型ポリエステル系接着剤を、積層シートを貼り合わせる金属面に乾燥後の接着剤膜厚が1μm〜3μmの範囲になるよう塗布した。次いで、赤外線ヒーターおよび熱風加熱炉に、該金属板を導入し塗布面の溶剤乾燥、および加熱を行い、金属板の表面温度が235℃となるように保持しつつ、直ちにロールラミネーターを用いて積層シートのD層側表面を接着積層面として被覆した。その後、直ちに水噴射による冷却を行い、エンボス意匠性積層シート被覆金属板を得た。金属板としては、厚み0.45mmの電気亜鉛メッキ鋼板を用いた。
<積層シートおよびエンボス意匠積層シート被覆金属板の評価>
上記の実施例および比較例で得た、積層シートおよびエンボス意匠シート被覆金属板について、以下の各項目を評価した。結果を表4に示した。
(1)表面光沢値の測定
スガ試験機社製の携帯光沢計により、JIS K 7105に準拠して、60度光沢値を測定した。光沢値が10%未満である場合は、非常に良好な艶消し意匠が付与されているとして「○」、10%以上で13%未満である場合は「△」、13%以上ある場合は「×」とした。「△」の評価のものは、エンボス加工装置で、従来構成のポリエステル系樹脂シートに梨地等の艶消し意匠のエンボスを付与する方法では、得るのが容易ではない艶消しの程度であり、また、用途によっては、この程度の艶消し加減が好まれる。「×」の評価のものは、エンボス加工装置での従来法でも付与する事が容易な艶消しの程度である。
表面光沢値の評価は、共押出し製膜法により作製したA層およびB層の共押出シートのA層表面についてと、加熱・冷却の履歴を受けた後である金属板にラミネートされ樹脂被覆金属板の形態となった後のA層の表面について、実施した。なお、樹脂被覆金属板としての表面光沢値が「×」となったものに関しては、耐沸騰水浸漬性の評価を省いた。
(2)A層およびB層の共押出シートの取り扱い性:反りの強弱
A層およびB層の共押出シートを15cm(TD方向)×30cm(MD方向)に切り出して、定盤の上に置き、反りの程度を観察した。反りが強く完全に円筒状になってしまう場合や、定盤面から10cm以上の高さのアーチ状になる場合を取り扱い性が悪いとして「×」、10cm未満であるが5cm以上の反りが出る場合を「△」、それ未満の反りの場合、取り扱い性は良いとして「○」とした。なお、「TD方向」とは、シートの幅方向(Transverse direction)をいい、MD方向はこれに直交する方向をいう。なお、A層およびB層の共押出シートの反りが著しく、後工程での取り扱いに支障を生じたものに関しては、以降の評価を実施していない。
(3)エンボス付与適性:耐粘着性
図2に示すエンボス加工装置でエンボスを付与した際に、加熱ロールに積層シートが粘着して剥離困難になったもの、および剥離は可能であったがシートの伸び・変形が顕著であったものは「×」、軽度の粘着を示したが作業の継続が可能であり、シートの伸び・変形も実用上支障の無い範囲であったものを「△」、粘着しなかったものは「○」で評価した。また、加熱ロールに積層シートが粘着し剥離困難となったものに関しては、以降の評価を実施していない。
(4)エンボス付与適性:耐溶断性
図2に示すエンボス加工装置でエンボスを付与した際に、ヒーターによるシート加熱中にシートが溶断したもの、およびシートの顕著な伸びや皺入り等を発生したものは「×」、軽度なシートの伸び・幅縮み等を生じたが実用上支障のない範囲であったものを「△」、これらの問題を生じなかったものは「○」で示した。この評価で「×」となったものに関しては、以降の評価を実施していない。
(5)エンボス付与適性:転写性
既に艶消し表面となっているA層の表面に、図2に示すエンボス加工装置で柄意匠のエンボスを付与したシートを、目視で観察し、綺麗に柄意匠のエンボスが転写されているものを「○」、これに比べてやや転写が浅い場合を「△」、転写が悪く、浅いエンボス柄になっているもの、あるいは、エンボス柄に無関係に単に表面が荒れているものを「×」で示した。この評価で「×」となったものに関しては、以降の評価を実施していない。
(6)エンボス耐熱性:耐沸騰水浸漬性
図2に示すエンボス加工装置でエンボスを付与した積層シート(A+B+C+D)をラミネートした金属板を沸騰水中に3時間浸漬した後目視で観察し、沸騰水に投入する前と比較してエンボスの形状がほとんど変化していないものを「○」、これに比べてややエンボス戻りが発生し意匠感が低下している場合を「△」、エンボス戻りが顕著な場合、あるいはエンボス柄が完全に消失し単に表面が荒れているものを「×」で示した。
(7)樹脂被覆金属板の折り曲げ加工性
エンボス積層シートを被覆した金属板に衝撃密着曲げ試験を行い、曲げ加工部の積層シートの面状態を目視で判定し、ほとんど変化がないものを「○」、若干クラックが発生したものを「△」、割れが発生したものを「×」として評価した。なお、衝撃密着曲げ試験は次のようにして行った。エンボス意匠シート被覆金属板の長さ方向および幅方向からそれぞれ50mm×150mmの試料を作製し、23℃で1時間以上保った後、折り曲げ試験機を用いて180°(内曲げ半径2mm)に折り曲げ、その試料に直径75mm、質量5Kgの円柱形の錘を50cmの高さから落下させた。
(8)表面硬度(樹脂被覆金属板の鉛筆硬度試験)
積層シート被覆金属板について、JIS S1005 9.8(2)鉛筆引っ掻き試験に従い実施した。23℃の恒温室内で、80mm×60mmに切り出した樹脂被覆金属板の樹脂シート面に対し45°の角度を保ちつつ9.8Nの荷重を掛けた状態で線引きをできる治具を使用して線引きを行い、該部分の樹脂シートの面状態を目視で判定し、Bの鉛筆で全く傷が付かなかったものを「○」、Bでは傷が入るが、2Bの鉛筆では全く傷が付かなかったものを「△」、2Bの鉛筆でも傷が付いたものを「×」として表示した。
Figure 0005198128
<実施例24〜40、比較例11〜16>
実施例24〜40および比較例11〜16では、A層とB層の樹脂組成と厚みの組み合わせは固定して、C層およびD層の樹脂組成および厚みを変化させた。A層およびB層の共押出シートに関しては、実施例6と同じもの(A層:表1中のa−7、B層:表2中のb−5の組み合わせ)を用いた。上記した実施例1等におけるC層とD層の共押し出し製膜法と同様にして、C層とD層の一体シートを得た。エンボス加工装置での積層一体化と柄意匠のエンボスの付与に際する加熱、冷却の条件、および、金属板へのラミネート方法に関しても同様とした。
C層の樹脂組成とC層の厚みを表5に、D層の樹脂組成とD層の厚みを表6に示した。また、実施例24〜40および比較例11〜16におけるC層とD層の組み合わせを表7に示した。
評価についても、実施例1等と同様に行い、その結果を表8に示した。なお、A層とB層は、実施例6と同じものを用いているため、A層およびB層の共押出シートの光沢値、および取り扱い性についての評価は省略した。なお、比較例16では、D層の無いC層単層からなるシートを用いた。
Figure 0005198128
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<評価結果>
(実施例1〜23、比較例1〜10)
A層が無い構成である比較例9においては、製膜時の引取りロールによる艶消し意匠のエンボスの転写自体には問題がなく、良好な艶消し外観を有するB層のシートが得られた。さらに、エンボス加工装置での、C層+D層の共押出シートとの熱融着積層、模様意匠のエンボスの転写にも問題を生じなかった。しかし、同エンボス加工装置での加熱、および、金属板へのラミネートの際の加熱によって、艶消し意匠のエンボスに著しいエンボス戻りを生じ、ラミネート後の光沢値が著しく上昇した。
比較例5および6は、A層のPBT系樹脂として、本発明の範囲より融点が低いものを用いた場合であるが、比較例9と同様の傾向を示しており、やはり樹脂被覆金属板の形態での光沢値は著しく上昇した。これは、A層のPBT系樹脂の融点が低いことよりも、結晶化速度が遅いことから、押出機の引取りロールにより転写された艶消し意匠のエンボスを結晶化により固定することができなかったためと考えられる。これは、A層の結晶性ポリエステル系樹脂として、ホモPET樹脂を用いた比較例7および8についても同様である。
本発明の融点範囲にあるPBT系樹脂を用いているものの、そのブレンド比率が本発明の範囲より少ない比較例1についても、比較例9と同様の傾向を示した。A層のブレンド組成物に占めるPBT系樹脂の比率が少ない場合も、結晶化速度が遅くなることに起因して、押出機の引取りロールにより転写された艶消し意匠のエンボスを結晶化により固定することができなかったと考えられる。
比較例2は、A層の樹脂組成としてPBT系樹脂のみを用いた場合であるが、A層+B層の一体シートの反りが著しいものとなり、取り扱い性に問題を生じた。A層の結晶性が高過ぎることによると考えられる。また、PBT樹脂のみからなるA層は結晶化速度が速すぎることにより、Tダイから熔融押出しされたA層の樹脂が、引き取りロールに接触する以前から結晶化が始まったと考えられ、引取りロールによる艶消し意匠のエンボス転写が不十分となり、光沢値がやや高い結果となった。なお、これはTダイと引取りロールの間隙や、製膜速度等を適宜調整することで改善できると考えられる。
比較例3は、A層の設定厚みが薄すぎる場合であり、フィードブロック法式の共押出し法ではA層の樹脂組成物がA層+B層の共押出シート端部まで十分に展開しなかったと考えられる。金属板にラミネートした後の光沢値の測定では、樹脂被覆金属板幅方向の中央では良好な艶消し意匠が維持されていたのに対して、端部においては光沢値が著しく上昇していた。
比較例4は、A層の樹脂組成は本発明の範囲にあるものの、A層の厚みが本発明の範囲を超える場合であり、製膜時の艶消し意匠のエンボス転写や、エンボス加工装置での熱融着積層一体化に問題は生じなかったが、柄意匠のエンボスの転写が極めて浅いものとなった。
比較例10は、B層の樹脂組成が、本発明の範囲よりPBT系樹脂を多く含む場合であり、この場合もエンボス加工装置での柄意匠のエンボス転写が困難であった。
これらに対して、本発明の実施例1〜23はいずれも、製膜時の艶消しエンボスの転写が良好であり、それによって光沢値が低く抑えられていた。A層+B層の共押出シートの取り扱い性に関しても問題がなく、エンボス加工装置での耐粘着性や耐溶断性にも問題を生じさせずに柄意匠のエンボスを転写できた。エンボス加工装置での加熱や、金属板へのラミネート時の加熱によっても艶消し意匠のエンボスがエンボス戻りを生ずることがないため、低い光沢値が維持されていた。樹脂被覆金属板を沸騰水浸漬に供しても同様に低い光沢値は維持された。折り曲げ試験でも問題を生じない良好な加工性を有していた。表面硬度が高く、良好な耐傷入り性を有する樹脂被覆金属板が得られた。
(実施例24〜40、比較例11〜16)
比較例16は、D層が無いC層のみの単層シートを用いた場合であるが、エンボス加工装置の加熱ドラムにC層が粘着してしまい、柄意匠のエンボスを転写することができなかった。
比較例15は、D層が存在する構成であるが、D層の樹脂成分として、ホモPET樹脂のみを用いた場合であり、やはりエンボス加工装置の加熱ドラムへの粘着を生じ、柄意匠のエンボスを転写することができなかった。PET系樹脂は結晶化速度が遅いため、非晶の状態のまま加熱ドラムと接触することになったためと考えられる。
比較例13は、D層へのPBT系樹脂のブレンド比率が本発明の範囲より少ない場合であり、やはりエンボス加工装置の加熱ドラムへの粘着により以降の作業を実施することができなかった。
比較例14は、D層の厚みが薄過ぎる場合であり、フィードブロック法式の共押出し法ではD層の樹脂組成物がC層+D層の共押出シートの端部まで十分に展開しなかったようであり、積層シートの端部において加熱ドラムへの粘着を生じ、以降の作業を実施することができなかった。
比較例12は、C層の樹脂組成が本発明の範囲より多い量のPBT系樹脂を含む場合であり、エンボス加工装置での模様意匠のエンボス転写が不良であった。
また、比較例11はC層の厚みを厚くしたことにより、積層シート(A+B+C+D)の総厚みが本発明の範囲を超えてしまった場合であり、金属板にラミネートし加工性試験に供した場合、加工性不良となった。
これらに対し、本発明の実施例24〜40については、製膜時の艶消しエンボスの転写が良好であり、それによって光沢値が低く抑えられていた。A層+B層の共押出シートの取り扱い性に関しても問題がなく、エンボス加工装置での耐粘着性や耐溶断性にも問題を生じさせずに柄意匠のエンボスを転写できた。エンボス加工装置での加熱や、金属板へのラミネート時の加熱によっても艶消し意匠のエンボスがエンボス戻りを生ずることがなく、低い光沢値が維持されていた。折り曲げ試験でも問題を生じない良好な加工性を有しており、表面硬度が高く、良好な耐傷入り性を有する樹脂被覆金属板が得られた。
ただし、沸騰水浸漬後の表面状態に関しては、C層の樹脂層の厚みが厚く、かつC層の樹脂組成が実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂のみからなる、実施例26、27、28では悪い結果となった。これらの結果は、樹脂被覆金属板のA層表面の光沢値の上昇ではなく、樹脂層が流動変形したような皺が表面に発生したためである。C層が実質的に非晶性のポリエステル系樹脂のみからなる場合であっても、これらよりC層の厚みが薄い実施例25では、このような表面皺は発生しなかった。また、C層の厚みが実施例28と同じでありながら、C層の樹脂組成として25質量%のPBT樹脂を含む実施例31でも同様に沸騰水浸漬後の表面皺は生じなかった。
また、これらC層の厚みが厚い実施例に関しても、エンボス加工装置での柄意匠の転写程度は、それより薄いC層を用いたものと比較して特に良好と言うわけではない結果が得られており、これは、同様の樹脂組成を有するB層の樹脂組成と厚みに関しても同様の結果が得られると考えられる。従って、特に耐沸騰水浸漬後の表面状態が問題となるユニットバス用途等に樹脂被覆金属板を用いる場合には、B層およびC層の樹脂組成、あるいは、B層およびC層の厚みに関して、問題の無いものを選択して用いることが好ましい。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う金属板被覆用積層シート、該シートの製造方法、積層シート被覆金属板、該金属板を用いて構成される建築内装材等もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
(a)は、本発明のA層10とB層20とを共押出し製膜法により一体で作製した共押出シートの一実施形態を示す略断面図である。A層10の表面には、押出し製膜設備の引き取りロールにより付与された艶消し意匠のエンボスを備えている。 (b)は、本発明の積層シートの4層(A層10、B層20、C層30およびD層40)が積層一体化された状態の一実施形態を示す略断面図である。 (c)は、本発明の4層(A層10、B層20、C層30およびD層40)からなる積層シートにエンボス加工装置により柄意匠のエンボスが付与された状態の一実施形態を示す略断面図である。 (d)は、本発明の積層シートで、印刷柄(E)50を有する構成の一実施形態を示す略断面図である。 (e)は、(d)の構成にエンボス加工装置により柄意匠のエンボスが付与された状態の一実施形態を示す略断面図である。 (f)は、(e)の艶消し意匠のエンボスと柄意匠のエンボスを表面に有し、かつ、印刷柄(E)50を備えた本発明の金属板被覆用積層シートを、金属板にラミネートして形成した樹脂被覆金属板である。 従来、軟質PVCのシートにエンボス模様を付与するために一般的に用いられてきたエンボス付与機の模式図である。
符号の説明
10 A層
20 B層
30 C層
40 D層
50 印刷柄
60 接着剤層
70 金属板
200 エンボス加工装置の機能を示す略図
210 加熱ロール
220 テイクオフロール
230 赤外線ヒーター
240 ニップロール
250 エンボスロール
260 冷却ロール

Claims (14)

  1. 表面側から順に、以下のA層、B層、C層およびD層の少なくとも4層を備えた積層シートであって、
    該A層が、該A層における樹脂成分全体の質量を100質量%として、融点が210℃以上230℃以下のポリブチレンテレフタレート系樹脂を70質量%以上95質量%以下含有してなり、厚み5μm以上100μm以下の無配向の樹脂層であり、
    該B層が、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体としてなる無配向の樹脂層であり、
    該C層が、実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂を主体としてなり、着色剤が添加された厚み40μm以上200μm以下の無配向の樹脂層であり、
    該D層が、該D層における樹脂成分全体の質量を100質量%として、融点が210℃以上230℃以下のポリブチレンテレフタレート系樹脂を70質量%以上100質量%以下含有してなり、厚み5μm以上の無配向の樹脂層であり、
    該A層側表面に、エンボス転写による艶消し意匠を備えてなり、該艶消し意匠が、該A層と該B層とを共押出製膜法により積層すると同時に、キャスティングロールとして艶消し加工が施されたエンボスロールを用いることにより形成されたものであり、
    総厚みが80μm以上300μm以下である金属板被覆用積層シート。
  2. 前記C層と前記D層とが、共押出製膜法により積層されてなる、請求項1に記載の金属板被覆用積層シート。
  3. 前記A層およびB層からなる共押出シートと、前記C層およびD層からなる共押出シートとが、前記B層側表面および前記C層側表面を積層面として熱融着されてなる、請求項2に記載の金属板被覆用積層シート。
  4. 前記A層およびB層からなる共押出シートと、前記C層およびD層からなる共押出シートとの熱融着が、エンボス加工装置での加熱を利用して行われ、
    該熱融着と同時に、柄意匠が施されたエンボスロールにより、既に艶消し意匠を有するA層側表面にさらに柄意匠が付与されてなる、請求項3に記載の金属板被覆用積層シート。
  5. 前記B層および前記C層を構成する実質的に非晶性であるポリエステル系樹脂が、テレフタル酸またはジメチルテレフタル酸をジカルボン酸成分の主体とし、20モル%以上80モル%以下の1.4−シクロヘキサンジメタノールと、20モル%以上80モル%以下のエチレングリコールとをジオール成分の主体とする共重合ポリエステルである、請求項1〜4のいずれかに記載の金属板被覆用積層シート。
  6. 前記B層および/または前記C層に、これら層を構成する樹脂成分全体を100質量%として、融点が210以上230℃以下のポリブチレンテレフタレート系樹脂が15質量%以上45質量%以下配合されてなる、請求項1〜5のいずれかに記載の金属板被覆用積層シート。
  7. 前記A層および前記B層が実質的に透明であり、かつ前記B層および前記C層の間に印刷柄(E)が付与されてなる、請求項1〜6のいずれかに記載の金属板被覆用積層シート。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の金属板被覆用積層シートおよび金属板を備え、金属板被覆用積層シートのD層側の表面が金属板に積層されてなる、積層シート被覆金属板。
  9. 請求項8に記載の積層シート被覆金属板を用いた、ユニットバス部材。
  10. 請求項8に記載の積層シート被覆金属板を用いた、建築内装材。
  11. 請求項8に記載の積層シート被覆金属板を用いた、鋼製家具部材。
  12. 請求項3に記載の金属板被覆用積層シートの製造方法であって、
    前記A層と前記B層とを共押出製膜法により積層すると同時に、キャスティングロールとして艶消し加工が施されたエンボスロールを用いることにより、前記A層側表面に艶消し意匠を付与する工程、および
    別途共押出製膜法により積層した前記C層およびD層からなる共押出シートと、形成した前記A層およびB層からなる共押出シートとを、前記B層側表面と前記C層側表面とを積層面として熱融着する工程、
    を備えてなる、金属板被覆用積層シートの製造方法。
  13. に艶消し意匠が付与されている前記A層側表面に、柄意匠が施されたエンボスロールによりさらに柄意匠を付与する工程、
    を備えてなる、請求項12に記載の金属板被覆用積層シートの製造方法。
  14. エンボス加工装置での加熱を利用して、前記A層およびB層からなる共押出シートと、前記C層およびD層からなる共押出シートとの熱融着が行われ、該熱融着と同時に、既に艶消し意匠が付与されているA層側表面に、柄意匠が施されたエンボスロールによりさらに柄意匠が付与される、請求項13に記載の金属板被覆用積層シートの製造方法。
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