以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1は、本発明にかかる実施形態における浴室1の一例としての模式斜視図である。
浴室1は、4つの側壁2、3、4、5により画成されている。そして、4つの側壁2~5の上端には、浴室天井21が載置されている。側壁2または側壁3には、脱衣所(図示せず)から浴室1内に入るためのドア(図示せず)が設けられている。また、浴室1内には、浴槽6、洗い場床7、カウンタ8、鏡9、水栓装置10、およびハンドシャワー11等が適宜設けられている。
実施形態においては、図1に示すような浴槽6を備えた浴室1に配置された浴室天井21について説明する。しかし浴室はこれに限らず、浴槽6を備えていないシャワールームやサウナルーム等の、多湿環境が所定期間持続される空間も含む。すなわち、浴槽6を備えていないシャワールームやサウナルーム等の、多湿環境が所定期間持続される空間にも同様に本発明にかかる浴室天井21を適用することができる。
(第1実施形態)
次に、第1実施形態による浴室天井21について説明する。
図2~図4は、浴室天井21のうち、互いに隣り合う第1部材と第2部材とを概念的に示したものである。第1部材は、天井面の少なくとも一部を構成する板状部材であり、例えば天井板、点検口蓋、換気蓋等を一例として挙げることができる。第2部材は、天井面の少なくとも一部を構成するもので、例えば天井板、点検口蓋、換気蓋等を一例として挙げることができる。本発明において「板状部材」とは、天井面を構成するために主として板のように平面に延在する部材をいい、湾曲するものや部分的な屈曲、凹凸形状を備えたものも含む。
まず、図2に示すように、第1部材22の第1基体23と第2部材28の第2基体29とが1枚板により形成されている場合について説明する。
浴室天井21は、複数の部材が隣り合うことで浴室1の天井面を構成している。この場合、浴室天井21は、第1部材22と、第1部材22と隣り合う第2部材28とを備えている。
第1部材22は、板状部材でなる第1基体23と、水分に溶出する防カビ剤を含有する第1層25とを含んで構成されている。第1基体23としては、例えば樹脂成形体や鋼板を用いることができる。樹脂成形体としては、例えば塩ビ、SMC、PP、PE、PETなど熱可塑性樹脂を用いることができる。また、第1基体23を鋼板とした場合には、アルミニウム板やステンレス板、亜鉛メッキ鋼板、亜鉛‐アルミニウム‐マグネシウム合金メッキ鋼板等の金属板材を用いることができる。鋼板は、その表面に錆を防止するための表面処理加工が施されたものであってもよい。また、鋼板は、加工性、強度、施工性の観点から、厚さは特に0.25mm~0.4mmとするとよい。
第1基体23の裏面23aには、浴室1の外側に位置して、断熱層24が設けられているとよい。この断熱層24は、必要に応じて設置されるもので、例えば石膏ボード、発泡樹脂を用いることができ、また空気層により形成することができる。断熱層24は、第1部材22を補強する補強材の機能と、第1基体23の表面23bと裏面23aとの温度差を抑制する断熱材としての機能とを有している。これにより、断熱層24は、浴室1内で気化した湯水が第1基体23の表面23bで冷却されて結露するのを抑制することができる。また、図示しないが、断熱層24を石膏ボードとした場合には、その石膏ボードの上部にさらに発泡体を設置することで、より断熱性能を向上させることができる。
第1層25は、第1基体23の表面23bと第2部材28に対向する第1基体23の側面23cとに設けられている。第1基体23と第1層25との間には、接着層があってもよく、第1基体23と第1層25とが直接接していてもよい。また、第1基体23と第1層25との間に他の印刷層があってもよい。第1層25は、第1基体23の表面23bと側面23cとに固着される防カビ剤を含有したシート状のフィルムにより形成されていてもよいし、防カビ剤を含有したコーティング剤を第1基体23の表面23bと側面23cとに塗布して形成されていてもよい。
第1層25は、熱硬化性樹脂として、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂から選ばれる一種以上を用いることが可能である。また、第1層25は、熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリスチレン樹脂(PS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリテトラフルオロエチレン-4フッ化エチレン樹脂(PTFE)から選ばれる一種以上を用いることが可能である。第1層25は、樹脂として、熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。さらに好ましくは、樹脂として、PP、PE、POM、PBT、PVC、ABS、PPS、PET、PMMA、PA、PCから選ばれる一種以上を用いることがより好ましい。これらのうち更により好ましいのは、PP、POM、PEから選ばれる一種以上である。
第1層25には、水分に溶出する防カビ剤が含有されている。この防カビ剤が含有される第1層25の厚みは、好ましくは20μm以上300μm以下となっている。樹脂層(第1層25)の厚みをこの範囲とすることで、樹脂層に含まれる溶出系防カビ剤の防カビ性能を担保することができる。具体的には、樹脂層の厚みが20μm未満だと、防カビ剤が小さい水滴が付着する第1露出部26(露出面)でも早期失活してしまい、長期持続性が担保できない。一方、樹脂層の厚みが300μmを超えると、コスト面、製造面、材料の燃焼性の観点などから問題が生じる虞がある。
第1層25に含まれる防カビ剤は、水分に溶出するものであり、且つ第1層25の中では濃度勾配を均一化しようと濃度の高いところから低いところに濃度拡散するものである。この防カビ剤は、例えば有機系抗菌防カビ剤を用いることができる。有機系抗菌防カビ剤としては、例えばアルコール系抗菌防カビ剤、アルデヒド系抗菌防カビ剤、チアゾリン系抗菌防カビ剤、イミダゾール系抗菌防カビ剤、エステル系抗菌防カビ剤、塩素系抗菌防カビ剤、過酸化物系抗菌防カビ剤、カルボン酸系抗菌防カビ剤、カーバメイト系抗菌防カビ剤、スルファミド系抗菌防カビ剤、第四アンモニウム塩系抗菌防カビ剤、ビグアナイド系抗菌防カビ剤、ピリジン系抗菌防カビ剤、フェノール系抗菌防カビ剤、ヨウ素系抗菌防カビ剤、トリアゾール系抗菌防カビ剤から選ばれる一種以上を用いることが可能である。具体的には、以下のようなものを用いることができる。
アルコール系抗菌防カビ剤としては、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、トリスニトロ(トリスヒドロキシメチルニトロメタン)、クロロブタノール(1,1,1-トリクロロ-2-メチル-2-プロパノール)、ブロノポール(2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール)から選択される一種以上を用いることができる。
アルデヒド系抗菌防カビ剤としては、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、BCA(α-ブロモシンナムアルデヒド)から選択される一種以上を用いることができる。
チアゾリン系抗菌防カビ剤としては、OIT(2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン)、MIT(2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン)、CMI(5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン)、BIT(1,2-ベンゾイソチアゾロン)、n-ブチルBIT(N-n-ブチル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン)から選択される一種以上を用いることができる。
イミダゾール系抗菌防カビ剤としては、TBZ(2-(4-チアゾリル)-ベンツイミダゾール)、BCM(メチル-2-ベンツイミダゾールカルバメート)から選択される一種以上を用いることができる。
エステル系抗菌防カビ剤としては、ラウリシジン(グリセロールラウレート)などを用いることができる。
塩素系抗菌防カビ剤としては、トリクロカルバン(3,4,4’-トリクロロカルバニリド)、ハロカルバン(4,4-ジクロロ-3-(3-フルオロメチル)-カルバニリド)、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、次亜塩素酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸から選択される一種以上を用いることができる。
過酸化物系抗菌防カビ剤としては、過酸化水素、二酸化塩素、過酢酸から選択される一種以上を用いることができる。
カルボン酸系抗菌防カビ剤としては、安息香酸、ソルビン酸、カプリル酸、プロピオン酸、10-ウンデシレン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、マグネシウム2水素ビスモノペルオキシフタラート、ウンデシレン酸亜鉛から選択される一種以上を用いることができる。
カーバメイト系抗菌防カビ剤としては、N-メチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどを用いることができる。
スルファミド系抗菌防カビ剤としては、ジクロフルアニド、トリフルアニドから選択される一種以上を用いることができる。
第四アンモニウム塩系抗菌防カビ剤としては、4,4’-(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1-デシルピリジニウムボロミド)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾトニウム、臭化アセチルアンモニウム、N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルボニル-1-デシルピリジニウムブロミド)、セチルピリジニウムクロライドから選択される一種以上を用いることができる。
ビグアナイド系抗菌防カビ剤としては、グルコン酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジン塩酸塩、ポリピグアナイド塩酸塩、ポリヘキサメチレンピグアナイドから選択される一種以上を用いることができる。
ピリジン系抗菌防カビ剤としては、ピリチオンナトリウム、ジンクピリチオン(ZPT:ビス(2-ピリジチオ-1-オキシド)亜鉛)、デンシル(2,3,5,6,-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジン)、カッパーピリチオン(ビス(2-ピリジチオ-1-オキシド)銅)から選択される一種以上を用いることができる。
フェノール系抗菌防カビ剤としては、チモール(2-イソプロピル-5-メチルフェノール)、ビオゾール(3-メチル-4-イソプロピルフェノール)、OPP(オルトフェニルフェノール)、フェノール、ブチルパラベン(ブチル-p-ヒドロキシベンゾエート)、エチルパラベン(エチル-p-ヒドロキシベンゾエート)、メチルパラベン(メチル-p-ヒドロキシベンゾエート)、プロピルパラベン(プロピル-p-ヒドロキシベンゾエート)、メタクレゾール、オルトクレゾール、パラクレゾール、オルトフェニルフェノールナトリウム、クロロフェン(2-ベンジル-4-クロロフェノール)、クロロクレゾール(2-メチル-3-クロロフェノール)から選択される一種以上を用いることができる。
ヨウ素系抗菌防カビ剤としては、アミカル48ヨウ素(ジヨードメチル-p-トリル-スルフォン)、ポリビニルピロリドンヨード、p-クロロフェニル-3-ヨードプロパギルフォーマル、3-ブロモ-2,3-ジヨード-プロペニルエチルカーボネート、3-ヨード-2-プロピニルブチルーカーボネートから選択される一種以上を用いることができる。
トリアゾール系抗菌防カビ剤としては、テブコナゾール((±)-α-[2-(4-クロロフェニル)エチル]-α-(1,1-ジメチルエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール)などを用いることができる。
なお、第1層25は、防カビ剤と共に、抗菌剤を含んでいてもよい。抗菌剤としては、無機系抗菌剤を含んでいてもよい。無機系抗菌剤とは、防菌防黴剤辞典-原体編-(日本防菌防黴学会誌,1998,Vol.26)に記載されている、少なくとも細菌に対してMIC(最小発育阻止濃度)を有している無機系薬剤を意味する。
このような無機系抗菌剤として、銀系抗菌剤、亜鉛系抗菌剤、銅系抗菌剤から選ばれる一種以上を用いることが可能である。これにより、天井部材または壁部材に、幅広い種類の細菌類に対する抗菌効果を付与することができ、細菌類の増殖により産生されるバイオフィルムの生成を抑制することが可能になる。したがって、バイオフィルムを足場として天井部材または壁部材に付着するカビの増殖も抑制することができる。例えば、銀系抗菌剤は、銀イオンが細菌の細胞膜タンパク中の-SH基やジスルフィド結合と結合し、膜タンパクを変性させることで細胞膜を破壊することができる。
無機系抗菌剤として、銀イオン、亜鉛イオンおよび銅イオンから選択される一種以上が無機化合物に担持されたものを用いることが可能である。無機化合物としては、ゼオライト、ガラス、タルク、シリカゲル、ケイ酸塩、マイカ、セピオライトから選ばれる一種以上を用いることが可能である。複数のイオン種を用いる場合は、各イオンが同じ無機化合物に担持されていても良い。具体的には、銀イオンと亜鉛イオンがガラスに担持された無機系抗菌剤を用いることが可能である。また、複数のイオン種を用いる場合、各イオンが異なる無機化合物に担持されていても良い。具体的には、銀イオンがガラスに担持された無機系抗菌剤と、亜鉛イオンがゼオライトに担持された無機系抗菌剤とを用いることが可能である。
銀系抗菌剤として、銀と銀以外の無機酸化物との複合体を用いることができる。具体的には、銀-リン酸ジルコニウム(AgxHyNazZr2(PO)4)3)(x+y+z=1)、塩化銀-酸化チタン(AgCl/TiO2)、銀-リン酸亜鉛カルシウム(Ag-CaxZnyAlz(PO)4)6(x+y+z=10)、銀亜鉛アルミのケイ酸塩(混合物)M2/n・Na2O・2SiO2・xH2O(M:Ag,Zn,NH4))から選ばれる一種以上を用いることが可能である。
本発明において、亜鉛系抗菌剤として、酸化亜鉛・銀/リン酸ジルコニウム(ZnO,AgxHyNazZr2(PO)4)3)などを用いることが可能である。
本発明において、銅系抗菌剤として、N-ステアロリル-L-グラタミ酸AgCu塩などを用いることが可能である。
無機系抗菌剤として銀系抗菌剤を用いることが好ましい。さらに好ましくは、銀と銀以外の無機酸化物との複合体を用いることが好ましい。これにより、樹脂成形体の表面に銀の過剰な溶出を抑制することができるため、長期にわたり菌の増殖を抑制することが可能となる。
このような第1層25は、浴室空間に露出するように、浴室天井21の最表面に形成されるとよい。この第1層25に湯水の飛散や蒸気の凝集による結露水の生成等により水滴が付着すると、その水滴に防カビ剤(抗菌剤)の成分が溶出する。水滴に溶出した防カビ剤の成分がカビに作用することにより、浴室1の天井面でのカビの発生、発育を抑制することができる。
特に、第1層25の表面にエンボス加工等による微細な凹凸形状を設けると、表面積が増大することで防カビ剤の溶出が促進されるため好ましい。ここで凹凸形状は、表面粗さRaが1μm~から7μmの範囲、より好ましくは4μm~6μmの範囲とするとよい。
第1層25は、水平方向に延在する第1露出部26と、第1露出部26と連続し、上方に向けて延在する第1対向部27とを含んで構成されている。第1露出部26は、第1基体23の表面23bに固着されることにより、浴室1の内部に露出している。一方、第1対向部27は、第1基体23の側面23cに固着されることにより、第2部材28の第2対向部33と対向(当接)している。なお、第1対向部27は、第1露出部26から鉛直方向に延在する場合の他、第1露出部26から上方に向けて傾斜して延在するものも含まれる。
なお、第1層25を第1基体23に固着させるために、第1層25と第1基体23との間に接着層(図示せず)を設けることができる。接着層は、公知の材料を用いて形成することができる。
第2部材28は、第1部材22と同様に構成されたもので、第2基体29と第2層31とを有している。第2基体29は、第1基体23と同様の材料を用いることができる。第2基体29の裏面29aには、断熱層30が設けられていてもよい。すなわち、断熱層30は、必要に応じて設けられるものである。一方、第2層31は、水分に溶出する防カビ剤を含有するもので、第2露出部32が第2基体29の表面29bに固着され、第2対向部33が第2基体29の側面29cに固着されている。第2層31は、防カビ剤と共に、抗菌剤を含んでいてもよく、第1層25と同様の材料を用いることができる。また、第2層31は、第2基体29の表面29bと側面29cとに固着される防カビ剤を含有したシート状のフィルムにより形成されていてもよいし、防カビ剤を含有したコーティング剤を第2基体29の表面29bと側面29cとに塗布して形成されていてもよい。
第1実施形態による浴室天井21は、上述の如き構成を有するもので、次に浴室天井21の防カビ機能について説明する。第1部材22と第2部材28とは、同様の構成となっているので、第1部材22について説明し、第2部材28についてはその説明を省略する。
図2に示すように、断熱層24を設けた場合には、断熱層24の下側に位置する第1基体23の表面23bは浴室1の内部との温度差が抑制されている。これにより、断熱層24の下側の第1露出部26には、結露水が付着するのが低減される。また、結露水が付着したとしても小さな水滴W1であり、矢示A1に示すように、この小さな水滴W1に防カビ剤が溶出することで、カビの発生、発育が抑制される。従って、断熱層24の下側に位置する第1露出部26の防カビ剤の溶出量は少なくなっている。なお、断熱層24は、第1基体23の裏面23aに必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設けられるものである。
一方、第1部材22と第2部材28との連結部は、断熱層24,30を配設するのが困難であったり、気密性が低くなったりするので、結露がしやすい部分となっている。従って、第1部材22の第1露出部26と第1対向部27との接続部には、第1露出部26に付着する水滴W1に比べて大きな水滴W2ができやすく、矢示B1に示すように、防カビ剤の溶出量が多くなる。
本実施形態において、第1層25の第1対向部27は、第1露出部26から連続して上方に延びている。一方、第2層31の第2対向部33は、第2露出部32から連続して上方に延びている。そして、第1対向部27と第2対向部33とは、当接しているので湿気が浸入しにくく、例え温度差があったとしても結露水が生成されない部分となっている。すなわち、本実施形態では、水滴が付着しにくく、カビが発生しにくい部分である第1基体23の側面23cにも、防カビ剤が含有された第1対向部27を設けている。
これにより、第1部材22の第1露出部26と第1対向部27との接続部には、矢示C1に示すように、第1対向部27から防カビ剤が第1層25中を濃度拡散することにより補填される。また、第1基体23の裏面23aに断熱層24が設けられている場合には、第1部材22の第1露出部26と第1対向部27との接続部には、矢示D1に示すように、断熱層24の下側に位置する第1露出部26から防カビ剤が第1層25中を濃度拡散することにより補填される。なお、断熱層24が設けられていなくても、部材同士の気密性が低い場合には、第1部材22の第1露出部26と第1対向部27との接続部にはその接続部から離れた第1露出部26から防カビ剤が第1層25中を濃度拡散することにより補填される。従って、本実施形態では、第1部材22と第2部材28との接続部で、水滴に防カビ剤の溶出が促進されたとしても、その防カビ剤の溶出が促進された部分に第1層25の第1対向部27に含有された防カビ剤が濃度拡散することによって補填される。これにより、第1部材22と第2部材28との間の防カビ機能を持続させることができ、天井面全体のカビの発生を長期にわたり抑制することができる。
ここで、防カビ剤が濃度拡散する際には、第1基体23および第2基体29として金属板材を用いることで、防カビ剤の裏面(天井裏側)への溶出を遮断することができ、防カビ剤の不必要な喪失を防止することができる。また、浴室1内の蒸気は、第1層25および第2層31の厚みや材質および使用環境等によっては微量ながら透過する場合がある。しかし、第1基体23および第2基体29として金属板材を用いることで、天井板裏面への水分の透過を遮断すると共に、防カビ剤の機能によって、第1層25および第2層31中でのカビの繁殖を抑制することができる。この場合、第1基体23および第2基体29の表面にメッキ等の表面加工が施されていると、蒸気の浸入により第1基体23、第2基体29が腐食することに伴う、第1基体23と第1層25および第2基体29と第2層31との固着界面の劣化を抑制することができる。
また、第1基体23と第1層25および第2基体29と第2層31とは、接着層(図示せず)によって固着されていてもよい。接着層は第1層25および第2層31よりも防カビの濃度拡散が劣るため、第1基体23と第1層25および第2基体29と第2層31との固着性を高めるとともに、防カビ剤の裏面側への溶出を抑制し、露出面への拡散を効果的に促進させることができる。
かくして、第1実施形態では、第1部材22と第2部材28との間で、水滴に防カビ剤の溶出が促進されたとしても、その防カビ剤の溶出が促進された部分に第1層25の第1対向部27に含有された防カビ剤が濃度拡散によって補填される。これにより、温度差が大きくなることからカビの繁殖が顕著となる第1部材22と第2部材28との間に効果的に防カビ剤を溶出させることができると共に防カビ機能を持続させることができる。このため、天井面全体のカビの発生を長期にわたり抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図3を用いて説明する。図3は、第1部材と第2部材との隣接部分で第1基体および第2基体が直角に屈曲して形成された場合を示す断面図である。
第1部材41は、第2部材48との隣接部分でL字状に屈曲した板状部材でなる第1基体42と、水分に溶出する防カビ剤を含有する第1層45とを有している。第1基体42は、第1実施形態の第1基体23と同様に、例えば樹脂成形体や金属材料(鋼板)を用いることができる。第1基体42は、水平方向に延びる水平板部43と、水平板部43から上方に向けて延びる立上り板部44とを含んで構成されている。立上り板部44は、例えば水平板部43の左端から上方に向けて直角状に立上がっており、第2部材48の立上り板部51に対向している。また、水平板部43の裏面43aには、必要に応じて断熱層24が設けられていてもよい。
第1層45は、第1基体42の表面に固着されたもので、水分に溶出する(抗菌)防カビ剤が含有されている。第1基体42と第1層45との間には、第1実施形態と同様に接着層があってもよい。また、第1層45は、第1実施形態の第1層25と同様の材料を用いることができる。第1層45は、第1露出部46と、第1露出部46に連続して立上がる第1対向部47とを含んで構成されている。第1露出部46は、第1基体42を構成する水平板部43の表面43bに固着され、浴室1の内部に露出している。一方、第1対向部47は、第1基体42の立上り板部44の表面44aに固着されている。この第1対向部47は、第1露出部46から連続して直角状に立上り、第2部材48の第2対向部54と対向(当接)している。なお、第1対向部47は、第1露出部46から鉛直方向に延在する場合の他、第1露出部46から上方に向けて傾斜して延在するものも含まれる。
第2部材48は、第1部材41と同様に構成されたもので、第2基体49と第2層52とを有している。第2基体49の裏面には、必要に応じて断熱層30が設けられていてもよい。一方、第2層52は、水分に溶出する(抗菌)防カビ剤を含有するもので、第1層45と同様に構成されている。第2層52は、第2露出部53が第2基体49を構成する水平板部50の表面50bに固着され、第2対向部54が第2基体49を構成する立上り板部51の表面51aに固着されている。
かくして、このように構成された第2実施形態についても第1実施形態と同様に、第1部材41と第2部材48との連結部は、断熱層24,30を配設するのが困難であったり、気密性が低くなったりするので、結露がしやすい部分となっている。従って、第1部材41の第1露出部46と第1対向部47との接続部には、大きな水滴W2ができやすい。その結果、防カビ剤は、矢示A2に示す水滴W1への溶出量よりも、矢示B2に示す水滴W2への溶出量が多くなる。
本実施形態において、第1層45の第1対向部47は、第1露出部46から連続して上方に延びている。一方、第2層52の第2対向部54は、第2露出部53から連続して上方に延びている。そして、第1対向部47と第2対向部54とは、当接しているので湿気が浸入しにくく、例え温度差があったとしても結露水が生成されない部分となっている。すなわち、本実施形態では、水滴が付着しにくく、カビが発生しにくい部分である第1基体42の立上り板部44にも、防カビ剤が含有された第1対向部47を設けている。
これにより、第1部材41の第1露出部46と第1対向部47との接続部には、矢示C2に示すように、第1対向部47から防カビ剤が第1層45中を濃度拡散することにより補填される。また、第1基体42の裏面43aに断熱層24が設けられている場合には、第1部材41の第1露出部46と第1対向部47との接続部には、矢示D2に示すように、断熱層24の下側に位置する第1露出部46から防カビ剤が第1層45中を濃度拡散することにより補填される。なお、断熱層24が設けられていなくても、部材同士の気密性が低い場合には、第1部材41の第1露出部46と第1対向部47との接続部にはその接続部から離れた第1露出部46から防カビ剤が第1層45中を濃度拡散することにより補填される。従って、本実施形態では、第1部材41と第2部材48との接続部で、水滴に防カビ剤の溶出が促進されたとしても、その防カビ剤の溶出が促進された部分に第1層45の第1対向部47に含有された防カビ剤が濃度拡散することによって補填される。これにより、第1部材41と第2部材48との間の防カビ機能を持続させることができ、天井面全体のカビの発生を長期にわたり抑制することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、図4を用いて説明する。図4は、第1部材と第2部材との隣接部分で第1基体および第2基体が湾曲状に屈曲して形成された場合を示す断面図である。
第1部材61は、第2部材72との隣接部分で湾曲状に屈曲した板状部材でなる第1基体62と、水分に溶出する防カビ剤を含有する第1層67とを有している。第1基体62は、第1実施形態の第1基体23と同様に、例えば樹脂成形体や金属材料(鋼板)を用いることができる。第1基体62は、水平方向に延びる水平板部63と、上方に向けて延びる立上り板部64と、水平板部63と立上り板部64との間で弧状に湾曲して延びる湾曲部66とを含んで構成されている。水平板部63と立上り板部64とは、湾曲部66を介して連続している。湾曲部66は、水平板部63と立上り板部64との間に丸みを設けるように凸状に湾曲している。水平板部63の裏面63aには、必要に応じて断熱層24が設けられていてもよい。
第1層67は、第1基体62の表面に固着されたもので、水分に溶出する(抗菌)防カビ剤が含有されている。第1基体62と第1層67との間には、第1実施形態と同様に接着層があってもよい。また、第1層67は、第1実施形態の第1層25と同様の材料を用いることができる。
第1層67は、第1露出部68と、上方に向けて延在する第1対向部69と、第1露出部68と第1対向部69との間で弧状に湾曲する第1湾曲部71とを含んで構成されている。すなわち、第1層67は、第1露出部68と第1対向部69とが弧状に湾曲する第1湾曲部71を介して連続している。第1露出部68は、第1基体62を構成する水平板部63の表面63bに固着され、浴室1の内部に露出している。第1対向部69は、第1基体62を構成する立上り板部64の表面64aに固着され、第2層78の第2対向部80と対向(当接)している。
第1湾曲部71は、第1基体62の湾曲部66の表面66aに固着され、一端側が第1露出部68に接続され、他端側が第1対向部69に接続されている。すなわち、第1湾曲部71は、湾曲部66に沿うように第1露出部68と第1対向部69との間に丸みを設けるように凸状に湾曲して延びている。
第2部材72は、第1部材61と同様に構成されたもので、第2基体73と第2層78とを有している。第2基体73は、水平板部74と、立上り板部75と、湾曲部77とを有している。水平板部74の裏面74aには、必要に応じて断熱層30が設けられていてもよい。一方、第2層78は、水分に溶出する(抗菌)防カビ剤を含有するもので、第1層67と同様に構成されている。第2層78は、第2露出部79が第2基体73を構成する水平板部74の表面74bに固着されている。そして、第2対向部80は、第2基体73を構成する立上り板部75の表面75aに固着されている。第2湾曲部82は、第2基体73を構成する湾曲部77の表面77aに固着されている。
かくして、このように構成された第3実施形態についても第1実施形態と同様に、第1部材61と第2部材72との連結部は、断熱層24,30を配設するのが困難であったり、気密性が低くなったりするので、結露がしやすい部分となっている。従って、第1部材61の第1湾曲部71には、第1露出部68に付着する水滴W1に比べて大きな水滴W2ができやすい。その結果、防カビ剤は、矢示A3に示す水滴W1への溶出量よりも、矢示B3に示す水滴W2への溶出量が多くなる。
本実施形態において、第1層67の第1対向部69と第2層78の第2対向部80とは、当接しているので湿気が浸入しにくく、例え温度差があったとしても結露水が生成されない部分となっている。すなわち、本実施形態では、水滴が付着しにくく、カビが発生しにくい部分である第1基体62の立上り板部64にも、防カビ剤が含有された第1対向部69を設けている。
これにより、第1部材61の第1湾曲部71には、矢示C3、C4に示すように、第1対向部69から防カビ剤が第1層67中を濃度拡散することにより補填される。また、第1基体62の裏面63aに断熱層24が設けられている場合には、第1部材61の第1湾曲部71には、矢示D3、D4に示すように、断熱層24の下側に位置する第1露出部68から防カビ剤が第1層67中を濃度拡散することにより補填される。なお、断熱層24が設けられていなくても、部材同士の気密性が低い場合には、第1部材61の第1湾曲部71には、第1露出部68から防カビ剤が第1層67中を濃度拡散することにより補填される。従って、本実施形態では、第1部材61と第2部材72との接続部で、水滴に防カビ剤の溶出が促進されたとしても、その防カビ剤の溶出が促進された部分に第1層67の第1対向部69に含有された防カビ剤が濃度拡散することによって補填される。これにより、第1部材61と第2部材72との間の防カビ機能を持続させることができ、天井面全体のカビの発生を長期にわたり抑制することができる。
この場合、第1湾曲部71は、第1露出部68から第1対向部69に向けて丸みを設けるように凸状に湾曲しているので、第1露出部68と第1対向部69との接続部が直角に折曲がっている場合よりも上方に位置する。これにより、第1対向部69から第1湾曲部71に向けて行われる防カビ剤の濃度拡散の距離を短くすることができる。また、第1露出部68から第1湾曲部71に向けて行われる防カビ剤の濃度拡散の距離を短くすることができる。従って、防カビ剤が溶出した部分に早期に防カビ剤の補填をすることができるので、カビの発生を長期にわたり抑制することができる。
すなわち、図4に示すように、第1対向部69の地点O1から第1湾曲部71の地点O2までの距離C3+C4は、地点O1から図4中に点線で示す第1露出部68と第1対向部69とが直角の場合の接続部の地点O3までの距離C3+C5よりも短くなる(C3+C4<C3+C5)。また、断熱層24の下側に位置する第1露出部68の地点O4から地点O2までの距離D3+D4は、地点O4から地点O3までの距離D5よりも短くなる(D3+D4<D5)。従って、第1層67に第1湾曲部71を形成した場合には、早期に防カビ剤の補填をすることができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を、図5~図7を用いて説明する。第4実施形態の特徴は、第1部材が浴室1の天井板であり、第2部材が天井板に設けられた点検口蓋である。なお、第4実施形態では、上述の第3実施形態の第1部材61と第2部材72と同様の構成となっているので、第3実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図5は、浴室天井21を拡大して示す斜視図である。
図6は、天井板と点検口蓋とを図5中の矢示E-E方向からみた断面図である。
図7は、図6中の天井板と点検口蓋との隣接部分を拡大して示す断面図である。
浴室天井21は、水平方向に延びる板状体からなる天井板91と、天井板91に形成された点検口91aを覆う点検口蓋92とを含んで構成されている。また、天井板91には、換気口93、暖房・乾燥装置、照明装置、音響装置、およびオーバーヘッドシャワー(いずれも図示せず)等がそれぞれ配設される開口94が形成されている。すなわち、浴室天井21の天井面は、天井板91、点検口蓋92、暖房・乾燥装置、照明装置、音響装置、およびオーバーヘッドシャワー等の複数の部材が隣り合うことで構成されている。
天井板91は、本発明の第1部材を構成している。この天井板91は、浴室1の内部と外部とを連通する点検口91aを有し、側壁2~5の上端を覆っている。そして、天井板91は、第1基体62と第1層67とを含んで構成されている。
第1基体62は、各側壁2~5の上端側を接続している。第1基体62は、水平方向に延びる水平板部63と、上方に向けて延びる立上り板部64と、水平板部63と立上り板部64との間で弧状に湾曲して延びる湾曲部66とを含んで構成されている。立上り板部64は、上面視(平面視)で矩形状に形成されており、立上り板部64で囲まれた開口が点検口91aとなっている。この点検口91aは、点検口蓋92により開閉可能に塞がれている。
湾曲部66は、水平板部63と立上り板部64との間に丸みを設けるように凸状に湾曲している。水平板部63の裏面63aには、必要に応じて断熱層24が設けられていてもよい。この断熱層24は、浴室1内で気化した湯水が第1基体62の水平板部63で冷却されて結露するのを抑制することができる。
第1層67は、第1基体62の表面(浴室1の内側の面)に固着されている。この第1層67は、水分に溶出する(抗菌)防カビ剤が含有され、第1露出部68と、上方に向けて延在する第1対向部69と、第1露出部68と第1対向部69との間で弧状に湾曲する第1湾曲部71とを含んで構成されている。第1露出部68は、第1基体62を構成する水平板部63の表面63bに固着され、浴室1の内部に露出している。第1対向部69は、第1基体62を構成する立上り板部64の表面64aに固着され、第2層78の第2対向部80と対向(当接)している。
第1湾曲部71は、第1基体62を構成する湾曲部66の表面66aに固着されている。すなわち、第1湾曲部71は、第1露出部68と第1対向部69との間に丸みを設けるように凸状に湾曲している。換言すると、第1湾曲部71は、第1露出部68と第1対向部69との間で弧形状(弓形状、R形状)に形成されている。
点検口蓋92は、天井板91に形成された点検口91aを開閉可能に塞ぐもので、本発明の第2部材を構成している。この点検口蓋92は、第2基体73を折曲加工することにより皿状に形成され、天井板91の裏側(浴室1の外側)から点検口91aを覆っている。そして、点検口蓋92は、第2基体73と、第2層78とを含んで構成されている。
第2基体73は、点検口蓋92のベース部材となっている。第2基体73は、水平方向に延びる水平板部74と、天井板91の立上り板部64と横方向(水平方向)で対向し、水平板部74から上方に向けて延びる立上り板部75とを有している。また、第2基体73は、立上り板部75の上端から天井板91側に向けて延び、後述のパッキン97が第2層78の延在部96を介して当接する当接板部95を有している。
水平板部74は、天井板91の水平板部63とほぼ同一面上に形成され、浴室1の天井面の一部を構成している。立上り板部75は、水平板部74の端部から弧状に湾曲して延びる湾曲部77を介して水平板部63に接続されている。位立上り板部75は、天井板91の立上り板部64および断熱層24よりも上方に延びている。当接板部95は、立上り板部75の上端から天井板91側に向けて延び、先端側が下方に向けて屈曲している。
水平板部74の裏面74a(浴室1の外側)には、必要に応じて断熱層30が設けられていてもよい。この断熱層30は、点検口蓋92を補強する補強材の機能と、水平板部74の裏面74aと表面74bとの温度差を抑制する断熱材としての機能とを有している。これにより、断熱層30は、浴室1内で気化した湯水が第2基体73の水平板部74で冷却されて結露するのを抑制することができる。
第2層78は、第2基体73の表面(浴室1の内側の面)に固着されている。この第2層78は、水分に溶出する(抗菌)防カビ剤が含有され、第2露出部79と、第2露出部79から第2湾曲部82を介して連続して上方に延びる第2対向部80とを含んで構成されている。さらに、第2層78は、第2対向部80の上端から天井板91に向けて連続して延びる延在部96を含んで構成されている。第2露出部79は、第2基体73を構成する水平板部74の表面74bに設けられ、浴室1の内部に露出している。
第2対向部80は、第2基体73の立上り板部75の表面に固着されている。この第2対向部80は、第2湾曲部82を介して第2露出部79から連続して立上り、天井板91の第1対向部69と対向(対面)し、第1対向部69よりも上方に延びている。
第2湾曲部82は、第2基体73を構成する湾曲部77の表面77aに固着されている。すなわち、第2湾曲部82は、第2露出部79と第2対向部80との間に丸みを設けるように凸状に湾曲している。換言すると、第2湾曲部82は、第2露出部79と第2対向部80との間で弧形状(弓形状、R形状)に形成されている。
延在部96は、当接板部95の表面に設けられている。すなわち、延在部96は、第2基体73と共に第2対向部80の上端から天井板91に向かって延び、天井板91の上に重なっている。そして、天井板91の断熱層24と延在部96との間には、天井板91と延在部96との間で水分の移動を抑制するシール性を高めるシール部材としてのパッキン97が設けられている。すなわち、天井板91と延在部96との間は、水密構造となっている。
このパッキン97は、例えばウレタン、ゴム、シリコーン等の合成樹脂材料からなり、断熱層24の上側に位置して延在部96に当接している。このパッキン97は、空気の通過は許容し、水分の通過は阻止している。そして、延在部96は、パッキン97により覆われているので、結露水が生成されない部分となっている。従って、延在部96は、第2対向部80へ防カビ剤を補充するための補充領域とすることができる。
かくして、第4実施形態による浴室天井21についても、上述の第1~第3実施形態と同様の作用、効果を有することができる。すなわち、図6に示すように、天井板91の第1基体62の水平板部63の裏面63aに断熱層24が設けられた場合には、浴室1の内部と天井面の裏側との温度差が抑制されている。これにより、第1層67の第1露出部68には、結露水が付着するのが低減される。また、第1露出部68に結露水が付着したとしても小さな水滴であり、この小さな水滴に防カビ剤が溶出することで、カビの発生、発育が抑制される。
同様に、点検口蓋92についても、点検口蓋92に断熱層30が設けられた場合には、第2層78の第2露出部79に結露水が付着するのが低減される。また、第2露出部79に結露水が付着したとしても小さな水滴であり、この小さな水滴に防カビ剤が溶出することで、カビの発生、発育が抑制される。
ところで、点検口91aと点検口蓋92との間は、設備点検時に点検口蓋92を開け閉めできるように隙間が設けられており、気密性が低くなっている。また、点検口91aの周囲である第1基体62の立上り板部64の裏面側は、湾曲した湾曲部66により、断熱層24を設けることが困難な箇所となっている。
従って、点検口91aの周囲には、結露により第1露出部68よりも大きな水滴が付着しやすい。また、点検口91aの周囲は、点検口91aと点検口蓋92との間から湯気等が浸入して水滴が付着しやすい。その結果、点検口91aの周囲は、他の部分よりもカビの発生、発育がしやすい箇所となっている。
そこで、本実施形態では、第2基体62の水平板部63から上方に向けて立上がる立上り板部64に、第1露出部68から第1湾曲部71を介して連続して延びる第1対向部69を設けている。これにより、第1対向部69に付着した水滴に防カビ剤が溶出するので、浴室天井21のカビの発生、発育を抑制することができる。
また、第1対向部69の第1湾曲部71は、第1露出部68よりも大きな水滴が付着しやすいので防カビ剤が溶出しやすく、防カビ機能が長続きしにくい部分となっている。そこで、第2基体62の湾曲部66から上方に延びる立上り板部64にも防カビ剤である第1対向部69を設けている。これにより、第1湾曲部71から防カビ剤が溶出しても、第1対向部69から第1湾曲部71に向けて第1層67中を防カビ剤が濃度拡散することにより、第1湾曲部71に防カビ剤が補填される。その結果、浴室1の天井板91における防カビ機能の持続性を向上している。
また、第1湾曲部71は、第1露出部68から第1対向部69に向けて丸みを設けるように凸状に湾曲しているので、第1露出部68と第1対向部69との接続部が直角に折曲がっている場合よりも上方に位置する。これにより、第1対向部69から第1湾曲部71に向けて行われる防カビ剤の濃度拡散の距離を短くすることができるので、早期に防カビ剤の補充を行うことができる。
一方、点検口蓋92についても同様に、第2対向部80の裏面側は、第2湾曲部82が湾曲しているので、断熱層30を設けることが困難な箇所となっている。従って、第2湾曲部82には、結露により第2露出部79よりも大きな水滴が発生しやすい。その結果、第2湾曲部82は、第2露出部79よりも防カビ剤が溶出しやすく、防カビ機能が長続きしにくい部分となっている。そこで、第2基体73の湾曲部77から上方に延びる立上り板部75にも防カビ剤である第2対向部80を設けている。これにより、第2対向部80から第2湾曲部82に向けて第2層78中を防カビ剤が濃度拡散することにより、第2湾曲部82に防カビ剤が補填される。その結果、浴室1の天井面における防カビ機能の持続性を向上している。また、図7に示すように、点検口蓋92は、設備点検時に開閉できるように、天井板91との間に隙間が形成されている。従って、この隙間から湯気等が浸入すると、点検口91aの周囲に水滴Wがつきやすい。
そこで、本実施形態では、第2基体73の立上り板部75に第2層78を構成する第2対向部80を設けている。これにより、第2対向部80に付着した水滴Wに防カビ剤が溶出するので、浴室天井21のカビの発生、発育が抑制される。
さらに、第2層78は、第2基体73と共に第2対向部80の上端から天井板91に向かって延びる延在部96を備えている。この延在部96は、パッキン97により覆われているので、結露等により水滴が付着するのが抑制される部分となっている。従って、図7の矢示Fに示すように、パッキン97が当接する延在部96から第2対向部80に向けて防カビ剤の濃度拡散を行わせることができる。その結果、延在部96を防カビ剤の補充領域とすることができ、第2層78の寿命をより向上させることができる。
また、天井板91の第1湾曲部71と点検口蓋92の第2湾曲部82とにわたって水滴が付着した場合には、より大きな水滴が垂れ落ちずに長く留まる虞がある。この場合、第1湾曲部71と第2湾曲部82との両方から防カビ剤の溶出がなされるので、効果的に防カビ機能を発揮させることができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を、図8、図9を用いて説明する。第5実施形態の特徴は、第1部材と第2部材とがそれぞれ天井板である。なお、第5実施形態では、上述の第2実施形態の第1部材41と第2部材48と同様の構成となっているので、第2実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図8は、浴室天井21を示す図5と同様の斜視図である。
図9は、図8中の第1天井板101と第2天井板102とを矢示G-G方向から拡大してみた断面図である。
浴室天井21は、複数の部材が隣り合うことで浴室1の天井面を構成している。具体的には、浴室天井21は、水平方向に延びる板状体からなる第1天井板101と、第1天井板101と隣り合う第2天井板102とを含んで構成されている。浴室天井21は、第1天井板101と第2天井板102とに複数枚に分割することにより、浴室天井21の組立性を容易にしている。
第1天井板101は、例えば側壁2~5の上端側の右側(側壁2側)の半分を覆っている。この第1天井板101は、本発明の第1部材を構成している。そして、第1天井板101は、第1基体42と、第1基体42の表面に設けられた第1層45とを含んで構成されている。
第1基体42は、水平方向に延びる水平板部43と、水平板部43から上方に向けて延びる立上り板部44とを含んで構成されている。立上り板部44は、例えば水平板部43の左端から上方に向けて直角状に立上がっており、第2天井板102の立上り板部51に対向している。水平板部43の裏面43aには、断熱層24が設けられていてもよい。
第1層45は、第1基体42の表面(浴室1の内側の面)に固着されている。この第1層45は、水分に溶出する(抗菌)防カビ剤が含有され、第1露出部46と、第1露出部46に連続してつながる第1対向部47とを含んで構成されている。
第1露出部46は、第1基体42を構成する水平板部43の表面43bに固着され、浴室1の内部に露出している。一方、第1対向部47は、第1基体42の立上り板部44の表面44aに固着されている。この第1対向部47は、第1露出部46から連続して直角状に立上り、第2天井板102の第2対向部54と対向(当接)している。
第2天井板102は、例えば第1天井板101の左側に隣接して、側壁2~5の上端側の左側半分を覆っている。この第2天井板102は、本発明の第2部材を構成している。そして、第2天井板102は、第2基体49と、第2基体49の表面に設けられた第2層52とを含んで構成されている。
第2基体49は、水平方向に延びる水平板部50と、水平板部50から上方に向けて延びる立上り板部51とを含んで構成されている。立上り板部51は、例えば水平板部50の右端から上方に向けて直角状に立上がっており、第1天井板101の立上り板部44に対向している。水平板部50の裏面50aには、断熱層30が設けられていてもよい。
第2層52は、第2基体49の表面(浴室1の内側の面)に固着されている。この第2層52は、水分に溶出する(抗菌)防カビ剤が含有され、第2露出部53と、第2露出部53に連続してつながる第2対向部54とを含んで構成されている。
第2露出部53は、第2基体49を構成する水平板部50の表面50bに固着され、浴室1の内部に露出している。一方、第2対向部54は、第2基体49の立上り板部51の表面51aに固着されている。この第2対向部54は、第2露出部53から連続して直角状に立上り、第1天井板101の第1対向部47と対向(当接)している。
第1連結材103は、第1天井板101の立上り板部44と断熱層24との間に固着され、断熱層24の上方に延びている。第1連結材103は、立上り板部44の長さ方向に沿って延びている。一方、第2連結材104は、第2天井板102の立上り板部51と断熱層30との間に固着され、断熱層30の上方に延びている。第2連結材104は、立上り板部51の長さ方向に沿って延びている。図9に示すように、第1天井板101と第2天井板102とは、第1連結材103と第2連結材104とが係合することにより連結されている。
補強材105は、第2連結材104に並列して断熱層30上に設けられている。この補強材105は、第1天井板101および第2天井板102の曲げ、撓みに対する強度を高めている。なお、第2天井板102に補強材105を設けた場合を例に挙げて説明したが、補強材105は、第1天井板101および第2天井板102に複数本設けられていてもよい。
かくして、このように構成された第5実施形態においても、第2実施形態と同様の作用、効果を有することができる。すなわち、第5実施形態では、第1天井板101と第2天井板102との連結部は、断熱層24,30を配設するのが困難であったり、気密性が低くなったりするので、結露がしやすい部分となっている。従って、図9中に点線で示す第1天井板101の第1露出部46と第1対向部47との接続部Hおよび第2天井板102の第2露出部53と第2対向部54との接続部Hには、大きな水滴ができやすく、防カビ剤の溶出量が多くなる。
この場合、第1層45の第1対向部47は、第1露出部46から連続して上方に延びている。一方、第2層52の第2対向部54は、第2露出部53から連続して上方に延びている。そして、第1対向部47と第2対向部54とは、当接しているので湿気が浸入しにくく、例え温度差があったとしても結露水が生成されない部分となっている。これにより、接続部Hには、それぞれ第1対向部47、第2対向部54から防カビ剤が第1層45中および第2層52中を濃度拡散することにより補填される。従って、本実施形態では、浴室天井21を複数に分割して天井面の組立性を向上できると共に、水滴が付着しやすくカビが発生、発育しやすい各天井板の隣接部分においても防カビ機能の持続性を向上できる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図10、図11を用いて説明する。第6実施形態の特徴は、第5実施形態において、第1天井板101と第2天井板102との隣接部分(接続部H)を湾曲状に形成したことにある。なお、第6実施形態では、上述の第3、第5実施形態と同様の構成となっているので、第3、第5実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図10は、図9中の第1天井板101と第2天井板102とが湾曲状に屈曲して形成された場合の断面図である。
図11は、第1天井板101の第2天井板102との隣接部分と第1天井板101の点検口蓋113との隣接部分の曲率半径の違いを示す断面図である。
第1天井板111は、本発明の第1部材を構成している。そして、第1天井板111は、第1基体62と、第1層67とを含んで構成されている。第1基体62の立上り板部64は、湾曲部66を介して水平板部63に連続して接続されている。湾曲部66は、水平板部63と立上り板部64との間に丸みを設けるように凸状に湾曲している。
第1層67の第1対向部69は、第1湾曲部71を介して第1露出部68に連続している。第1湾曲部71は、第1露出部68と第1対向部69との間に丸みを設けるように凸状に湾曲している。換言すると、第1湾曲部71は、第1露出部68と第1対向部69との間で弧形状(弓形状、R形状)に形成されている。
第2天井板112は、本発明の第2部材を構成している。そして、第2天井板112は、第2基体73と、第2層78とを含んで構成されている。第2基体73の立上り板部75は、湾曲部77を介して水平板部74に連続して接続されている。湾曲部77は、水平板部74と立上り板部64との間に丸みを設けるように凸状に湾曲している。
第2層78の第2対向部80は、第2湾曲部82を介して第2露出部79に連続して接続されている。第2湾曲部82は、第2露出部79と第2対向部80との間に丸みを設けるように凸状に湾曲している。換言すると、第2湾曲部82は、第2露出部79と第2対向部80との間で弧形状(弓形状、R形状)に形成されている。
第1天井板111には、第1連結材103が立上り板部64の長さ方向に沿って設けられており、第2天井板112には、第2連結材104が立上り板部75の長さ方向に沿って設けられている。第1天井板111と第2天井板112とは、第1連結材103と第2連結材104とが係合することにより連結されている。
本実施形態では、第1天井板111と第2天井板112との連結部は、断熱層24,30を配設するのが困難であったり、気密性が低くなったりするので、結露がしやすい部分となっている。従って、第1天井板111の第1湾曲部71および第2天井板112の第2湾曲部82には、大きな水滴ができやすく、防カビ剤の溶出量が多くなる。
この場合、第1対向部69と第2対向部80とは、当接しているので湿気が浸入しにくく、例え温度差があったとしても結露水が生成されない部分となっている。これにより、第1湾曲部71および第2湾曲部82には、それぞれ第1対向部69、第2対向部80から防カビ剤が第1層67および第2層78中を濃度拡散することにより補填される。従って、本実施形態では、浴室天井21を複数に分割して天井面の組立性を向上できると共に、水滴が付着しやすくカビが発生、発育しやすい各天井板の隣接部分においても防カビ機能の持続性を向上できる。
次に、図11を参照して、点検口蓋113の第3湾曲部119の曲率半径R1と、第1天井板111の第1湾曲部71および第2湾曲部82の曲率半径R2、R3とについて説明する。
点検口蓋113は、本発明の第3部材を構成している。点検口蓋113は、第4実施形態による点検口蓋92と同様に形成されたものであるので、その説明を一部省略する。点検口蓋113は、第1天井板111と隣り合い、点検口111aを塞いでいる。点検口蓋113は、第3基体114と、第3基体114の表面114aに設けられた第3層115とを有している。
第3層115は、水分に溶出する(抗菌)防カビ剤を含有している。第3層115は、浴室1の内部に露出する第3露出部116と、上方に向けて延在して第1天井板111と対向する第3対向部117とが第3湾曲部119を介して連続している。第3湾曲部119は、第3露出部116と第3対向部117との間に丸みを設けるように凸状に湾曲している。第3層115は、第3基体114の表面114aに固着される防カビ剤を含有するシート状のフィルムにより形成されていてもよいし、防カビ剤を含有するコーティング剤を第3基体114の表面114aに塗布して形成されていてもよい。
第1天井板111の点検口111aは、第4実施形態による点検口91aと同様に形成されている。第1層67は、第1露出部68から連続して立上り第3対向部117と対向する第4対向部120をさらに有している。すなわち、第4対向部120は、点検口111aを形成している。第4対向部120は、第1露出部68と第4湾曲部122を介して連続している。第4湾曲部122は、第1露出部68と第4対向部120との間に丸みを設けるように凸状に湾曲している。換言すると、第4湾曲部122は、第1露出部68と第4対向部120との間で弧形状(弓形状、R形状)に形成されている。
そして、点検口蓋113の第3湾曲部119の曲率半径R1は、第1天井板111の第1湾曲部71の曲率半径R2よりも大きくなっている(R1>R2)。また、点検口蓋113の第3湾曲部119の曲率半径R1は、第2天井板112の第2湾曲部82の曲率半径R3よりも大きくなっている(R1>R3)。この場合、第1湾曲部71の曲率半径R2と第2湾曲部82の曲率半径R3とは、ほぼ同様の値となっている。また、点検口蓋113の第3湾曲部119の曲率半径R1は、第1天井板111の第4湾曲部122の曲率半径R4とほぼ同様の値となっている。すなわち、第1天井板111と第2天井板112との連結(隣接)部分の曲率半径R2、R3よりも、第1天井板111と点検口蓋113との連結(隣接)部分の曲率半径R1、R4の方が大きく形成されている。
かくして、このように構成された第6実施形態においても第3実施形態と同様の作用、効果を有することができる。また、第6実施形態では、第1天井板111と第2天井板112との連結(隣接)部分の曲率半径R2、R3を可及的に小さくして水滴が付着するのを低減することにより、カビの発生、発育を抑制している。一方、点検口蓋113は、開閉が可能であるので、天井裏等からカビの胞子が付着しやすい。そこで、第1天井板111と点検口蓋113との連結部分の曲率半径R1、R4を、第1天井板111と第2天井板112との連結部分の曲率半径R2、R3よりも大きく形成している。これにより、第3対向部117から第3湾曲部119に向けて防カビ剤が第3層115中を濃度拡散する距離を短くすることができる。従って、防カビ剤を第3湾曲部119に早く補填させて、防カビ機能の持続性を向上できる。このことは、第4湾曲部122についても同様である。
なお、上述した第4実施形態では、天井板91(第1部材)に第1層67を設け、点検口蓋92(第2部材)に第2層78を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図12に示す第1変形例のように、開口94に設けられ二点鎖線で示す照明131aを備えた照明装置131(ダウンライト)を第2部材としてもよい。すなわち、第1層67は、浴室1の内部に露出する第1露出部68と、第1露出部68から連続し、上方に向けて延在して照明装置131と対向する第1対向部69とを有していてもよい。これにより、照明装置131と第1対向部69との当接部分を防カビ剤の補充領域とすることができる。また、開口94に設けられるのは照明装置131に限らず、暖房・乾燥装置、音響装置、およびオーバーヘッドシャワー等でもよい。
また、上述した第3実施形態において、図13に示す第2変形例のように、第1層67と第2層78との間に、シリコーン等のシール材141が設けられていてもよい。このように構成されたものでは、シール材141により第1対向部69と第2対向部80との間の気密性が高くなっている。この場合、水平板部63の裏面63aに断熱層24が設けられた場合には、第1基体62と第2基体73との湾曲した連結部に断熱層24を設けるのが困難である。従って、第1基体62および第2基体73の連結部は、温度差により結露しやすい部分となる。その結果、第1基体62と第2基体73との連結部には、断熱層24の下方に生成される水滴W1よりも大きな結露水(水滴W2)が生成されやすい。
このように構成された第2変形例においても、上述した第3実施形態と同様に、第1部材61の第1湾曲部71には、矢示C6に示すように第1対向部69から防カビ剤が第1層67中を濃度拡散することにより補填される。このことは、第2部材72についても同様である。従って、第1部材61と第2部材72との連結部にシール材141が設けられて気密性が高くなっていても、防カビ剤が溶出した部分に早期に防カビ剤の補填をすることができるので、カビの発生を長期にわたり抑制することができる。
また、上述した第4実施形態では、天井板91と点検口蓋92との隣接部分について例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば天井板91と換気口93との隣接部分についても同様の構成を用いてもよい。このことは、他の実施例についても同様である。
また、上述した第4実施形態では、天井板91を第1部材とし、点検口蓋92を第2部材とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、天井板91を第2部材とし、点検口蓋92を第1部材としてもよい。すなわち、第1層が設けられる第1部材は、天井面の少なくとも一部を構成する板状部材であればよい。
また、上述した第1実施形態では、第1層25の第1対向部27と第2層31の第2対向部33とが当接している場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば第1対向部27と第2対向部33との間に緩衝材等の他の部材が設けられていてもよい。このことは、他の実施形態についても同様である。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴室天井21などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。