JP4742123B2 - 樹脂被覆金属板、及び樹脂被覆金属板用の意匠シート - Google Patents

樹脂被覆金属板、及び樹脂被覆金属板用の意匠シート Download PDF

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Description

本発明は、AV機器や、エアコンカバー等の家電製品外装、合板製家具、鋼製家具、エレベータ内装、及びドア材、ユニットバス壁材、ユニットバス天井材、パーティションなどの建物内装材用途に用いられる耐久性に優れた樹脂被覆金属板、樹脂被覆金属板用の意匠シート及び樹脂被覆金属板の製造方法に関する。更に詳しくは、耐傷入り性、加工性に優れ、湿熱環境での耐久性にも優れたユニットバス等の用途に好適に用いることのでき、パーティション等のエンボス意匠を有する被覆用途に好適に用いることができる、ハロゲン含有樹脂を使用しない樹脂被覆金属板、樹脂被覆金属板用の意匠シート及び樹脂被覆金属板の製造方法に関するものである。
従来、上記用途に用いられる樹脂被覆金属板として、顔料により着色された軟質塩化ビニル系シート(以下において「軟質PVCシート」という。)をラミネートしたもの、及び、エンボス意匠を付与した軟質PVCシートを合成樹脂成形品や合板、木質繊維板、金属板等に被覆したものが用いられてきた。
軟質PVCシートの特長としては、
1.エンボス付与適性に優れることから、意匠性に富んだ被覆材を得ることができる。
2.熱可塑性樹脂においては一般的に二律背反要素である加工性と表面の傷入り性のバランスが比較的良好である。
3.各種添加剤との相容性に優れること、及び長年にわたり添加剤による物性向上検討が行われてきたことから、耐侯性、特に耐光安定性を向上させることが容易である。
等の点を挙げることができる。またカレンダー製膜で容易にシート化できることから、色柄の展開に対しても、色替えパージに時間を要する押し出しでの製膜が必要な場合に比べ遥かに有利な利点を有していた。
該軟質PVCの長尺シートに連続的にエンボスを付与する方法としては、製膜後のシートを再加熱により軟化させ、エンボス柄を彫刻したロール(以下において「エンボス版ロール」という。)で抑えて柄を連続的に転写させる方法が一般的に用いられている。シートを加熱する方法として、加熱した金属ロールに接触させて加熱するような接触型や、赤外線ヒーターや、熱風ヒーターなどによって、ロールなどに接触させることなく加熱する非接触型などが考えられる。実際の製造ラインでは、どちらか一方だけの場合もあるが、一般的には併用されることが多く、これら一連の工程を有する設備をエンボス付与機と称している。
該エンボス付与機においてはエンボス版ロールの交換脱着が非常に容易に行える設計が盛り込まれているのが一般的であり、多種のエンボス版ロールを用意しておくことでエンボス柄の変更を容易且つ経済的に行うことができ、小ロット対応に適したエンボス付与方法といえる。軟質PVCシートは該エンボス付与機でのエンボス意匠の付与に対しても優れた適性を有していた。
これらの、特徴を有する軟質PVC系シートであるが、近年塩化ビニル系樹脂の一部の安定剤に起因する重金属化合物の問題、一部の可塑剤や安定剤に起因するVOC問題や内分泌撹乱作用の問題、燃焼時に塩化水素ガスその他の塩素含有ガスを発生する問題等から塩化ビニル系樹脂は、その使用に制限を受けるようになってきた。塩化ビニル系樹脂を使用する場合と使用しない場合での、総合的な環境負荷の観点からの優劣は依然明確ではないが、これら製品のユーザーにおいては塩化ビニル系樹脂を使用しないことが強く求められるようになってきている。
そこで、該構成の着色された樹脂層の軟質塩化ビニル系樹脂に替えて、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を主体としたスチレン系や共重合オレフィン系等の軟質成分を配合することで、軟質塩化ビニル系樹脂に近い物性を得たものを用いることが実施された。この構成においても、ポリオレフィン樹脂が基本的に耐薬品性に優れ、また、耐湿熱性も比較的良好であることからユニットバス等の用途に好適に用いることができた。更に、ポリプロピレン系シートはやはりカレンダー製膜が可能であり、小ロット生産や色対応の点では軟質PVCに引けをとらない。また、ポリプロピレン系シートはエンボス付与可能な温度範囲がPVCシートに比べて狭く、より正確な温度制御が必要ではあるが、従来PVCシートに連続的にエンボスを付与するために用いられてきたエンボス付与機を、基本的にそのまま適応することができるメリットがある。しかし、必要な加工性を付与するために軟質成分を多量に配合した場合は、軟質塩化ビニル系樹脂を用いた場合よりも表面の耐傷入り性に劣るものとなった。そして、逆に耐傷入り性を軟質塩化ビニル系樹脂被覆金属板と同等にした場合は満足な加工性が得られないという問題があったため、広汎に使用できるものとはならなかった。また、ポリオレフィンは本質的に接着性に劣る材料であることから、印刷意匠の付与や、金属板との接着積層に対しては軟質PVCの場合よりも何らかの工夫、又は多くの工程を追加する必要があった。また、耐久性の面からも金属板との界面の経時的な剥離に関して不安が残るものであった。
(1)耐湿熱性を付与する必要性
加工性と表面の耐傷入り性の両立という点においては、近年、ポリエステル系樹脂を被覆した金属板が市販されたことにより解決された。しかし、一般的にポリエステル系樹脂は湿熱環境下で加水分解を受け、次第に脆化していく材料であるため、ユニットバス等の湿熱環境下で使用された場合、経時的な外観変化や金属板との剥離を生ずるおそれがある。
ポリエステル系樹脂の中でも延伸結晶化処理を施されたシートは耐湿熱性が大幅に向上することが知られている。また基材金属板との接着積層の際に非接着面側の結晶配向を喪失させずに、積層面側の表面近傍のみを溶融させることにより、強固な接着力と良好な耐湿熱性を両立させる技術も開発されている。
しかし、ユニットバス等の用途においては、意匠性を付与するためのエンボス付与機による表面への凹凸模様の付与が求められている。しかし、延伸配向されたシートでは困難であり、エンボス模様の付与が可能になる温度のポリエステル樹脂の融点以上にまで加熱した場合は、延伸配向が消失する。
また、樹脂被覆金属板に被覆されるシートには意匠性の付与と下地の隠蔽の目的で顔料が添加されるが、ユニットバスの用途では明るい色が好まれることや、樹脂被覆金属板の加工性等の制約条件から積層シートの厚みが制約を受けることで、白系の隠蔽性の高い顔料として酸化チタン顔料をベースに用いる場合が多い。これに併せての色味の調整のため、有彩色の無機顔料や有機顔料を使用することが必要になる。酸化チタン顔料などの無機顔料においては、それ自体がポリエステル樹脂の劣化触媒として作用する場合があり、顔料中の不純物によっても同様にポリエステルの劣化が促進される。また、顔料粒子が平板状の形態をしている等の特殊な場合を別とすれば、一般的には顔料粒子と樹脂マトリクスとの間に形成される空隙が、シートの厚み方向に対する水分の透過性を増大させることとなる。このこともポリエステル樹脂自体の劣化を促進する要因になっており、同時に樹脂被覆金属板の構成では透過した水分が金属板表面を腐食させ、シート層と金属板間の剥離が生ずる危険を増大させている。
このような理由から、同一組成のポリエステル樹脂を用いて、顔料無添加と酸化チタン系顔料添加のシートを作製し、樹脂被覆金属板と成した場合、後者の耐湿熱性は前者に比べて著しく劣るものとなるのが現状である。
然るに、如何に耐久性を確保し易いとはいえ、顔料無添加では内装建材用途の樹脂被覆金属板としての商品価値はないに等しい。それゆえ、白色顔料添加系での耐久性の向上が各種試みられており、これらの一例としては顔料粒子の表面処理による触媒活性の封止等や各種触媒不活剤の添加等がある。しかし、その効果は充分であるとはいえず、顔料粒子に特殊な表面処理を施すことは一般的に著しいコストの上昇をきたし、また分散性とのバランスを両立させることも困難な課題となっている。
一方で、軟質PVCシートを用いた樹脂被覆金属板の頃より「高鏡面品」と呼ばれるものがあり、この構成では軟質PVCシートの表面に印刷が施され、更にその表面に良好な平滑性を有する二軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを積層したものになっている。
この場合は、軟質PVCシートを無延伸で白色系顔料により着色されたポリエステル系樹脂よりなるシートに置き換えても、その表層に二軸延伸されたPETフィルムが存在するため、水分の透過が該層で抑制され、比較的良好な耐湿熱性を得ることが可能である。また、優れた鏡面反射性を有することからユニットバスに好適に用いられているが、該構成では、やはりエンボス模様が付与されたものを得ることができない。
(2)エンボス耐熱性を付与する必要性
いわゆるPETGに代表される非結晶性のポリエステル系樹脂のように滑剤等に工夫を凝らすことによりカレンダー製膜適性を持たせることができるものもある。しかし、該樹脂からなるシートに対して従来の軟質PVC系やポリオレフィン系シートと同様にエンボス付与機を用いてエンボスを付与(カレンダー製膜法)した場合、エンボス耐熱性に問題が出る結果となる。エンボスの耐熱性とは、エンボス意匠シート、或いはエンボス意匠シート被覆金属板が使用状態において高熱にさらされた際に、エンボスの戻りが大きいか小さいかを示すもので、戻りが小さい場合をエンボス耐熱がよいとする。
即ち、エンボス付与は加熱された粘弾性体に歪みを付与した後、冷却することで歪みを凍結させる作業と捉えることができるが、凍結された歪みを、再度歪みを付与した温度まで加熱すると歪みの回復現象が起こる。従ってエンボス耐熱性を高くするには歪みを付与する温度を高くする必要がある。その一方で、滑剤の工夫によりカレンダー製膜性が付与された非結晶性ポリエステル系樹脂とはいえ、エンボス耐熱を上げるために歪みの付与温度(シートの温度とエンボス版ロールの温度で決まる)を高めようとすると、シート自体の溶融張力の低下が著しく、シートの幅縮み、皺入り、更にはシート破断を生ずる結果となり、満足なエンボス耐熱性を付与することができなかった。
その結果、実使用環境においても、例えば、テーブルなどの表層材として用いて熱いコーヒーをこぼした場合や、内部の発熱量が比較的大きい家電機器の筐体として用いた場合などにエンボス耐熱が不足し、部分的にエンボスが浅くなる、或いは消失する等の外観不良を引き起こし易いものであった。
一方、押し出し成形によりポリエステル系樹脂を製膜する際、キャスティングロールを通常の鏡面ロールではなく、エンボス柄ロールとしておき、Tダイから流出した溶融状態の樹脂にエンボスを付与する方法(押出製膜法)も考えられる。この方法では比較的高いエンボス耐熱性を得易く、またポリエステル系樹脂の結晶性の有無に関わらずエンボス柄を転写できる。しかし、カレンダー製膜法では小ロットで各種色味のシートを効率よく製膜できるのに対し、押し出し製膜法では色替え時の時間と原料のロスが大きく小ロット生産には不向きである。
また、エンボス柄に関しても離型性や空気の抱き込みの点から、深いエンボスや複雑な柄のエンボスは付与できない等、柄の制約が多い。更に、キャスティングロールは一般的にエンボス付与機のエンボスロールに比べて大直径であり、柄に対応した数のキャスティングロールを揃えることは設備コストや交換工数の点から問題となる。
他の方法として、樹脂被覆金属板の製法において、鋼板上に溶融樹脂を押し出し、樹脂が冷却される前にエンボス柄ロールで押さえて柄を転写する方法や、樹脂シートを被覆した金属板を再加熱してエンボス柄ロールで転写する方法がある。
これらの方法においても溶融状態の樹脂にエンボスが転写されることから、結晶性ポリエステル、非結晶性ポリエステルに拘わらずエンボス意匠を付与することが可能である。しかし、押出製膜時の引き取りロールで柄を転写する場合と同様に柄の制約を受けることと、エンボス版ロールが金属板の端部の反りなどと接触することで版を損傷する危険があることから、予備ロールを複数本在庫しておくことが必要となり、やはり設備コストの点から問題となる。
前記の課題を解決するため、請求の範囲の第1の発明では、無延伸のポリエステル系樹脂層は顔料を多く含み着色意匠の付与と下地の視覚的隠蔽効果の付与を主として担う層(以下において「A層」という。)と、顔料を10重量部以下しか含まない層(以下において「B層」という。)との2層をなしている。即ち顔料を充分な量添加する必要性から、層自体の耐湿熱性の低下はやむを得ない層(A層)を、顔料の添加量が少なく比較的耐湿熱性の良好な層(B層)と強固に積層一体化することで、積層シート全体としての耐湿熱性を確保し、ひいては樹脂被覆金属板の耐湿熱性を確保する。更に、顔料添加量の少ない層の存在により、金属板表面への水分の透過量を抑制し、金属板表面が腐食することによるシートと金属板の経時的剥離に対する安全性をも向上させることができる。本発明の構成を用いて、エンボス付与が可能である無延伸のポリエステルシートを積層した構成の樹脂被覆金属板においても充分な着色意匠を付与しつつ、耐久性、特に耐湿熱性を良好なものとすることができる。
請求の範囲の第2の発明によれば、B層に顔料成分を実質的に含まないことにより更に耐久性の良好なものとすることができる。
請求の範囲の第3の発明では、B層の製膜後の樹脂成分の分子量を特定の範囲とすることで経時的な劣化の進行後も物性の維持が図れる。
請求の範囲の第4の発明では、B層に樹脂分100重量部に対し、カルボジイミド化合物が0.1重量部以上、5重量部以下の比率で添加されることにより、押し出し製膜時や樹脂被覆金属板として、使用時の水分の影響による分子量の低下を抑制することができるため、耐久性、特に耐湿熱性を良好なものとすることができる。
請求の範囲の第5の発明では、B層が樹脂成分の20重量%以上のポリブチレンテレフタレート(以下において「PBT」という。)樹脂を含むことから、B層の押し出し製膜時の結晶性の如何に関わらず、耐沸騰水浸漬性を付与することができる。
請求の範囲の第6の発明では、B層が55重量%以上のPBT樹脂を含み、押し出し製膜時のキャスティング条件によっては結晶性の高い状態のB層を得ることができ、後工程での結晶化処理等を行わなくても、エンボス付与機の加熱された金属部に粘着しない特性が得られる。更にA層が非結晶性又は低結晶性のポリエステル系樹脂を主体としてなることから、該樹脂のガラス転移温度(Tga)以上の温度にシートを加熱することでエンボス付与機によるエンボス模様の付与が可能である。
請求の範囲の第7の発明によれば、A層の樹脂組成を商業的に入手し易い材料とすることでコストのメリットがあり、また、経時的に結晶化が進行する虞が少なく、シートを長期保存した後にエンボスを付与するような場合も問題が起こり難い。
請求の範囲の第8の発明によれば、エンボス意匠と同時に印刷意匠も付与できる。
請求の範囲の第9の発明によれば、一般的に軟質PVCシートにエンボスを付与するために用いられてきたエンボス付与機でのシート加熱温度を該範囲とすることで、良好なエンボス付与適性を得られる。
請求の範囲の第10の発明ではエンボス意匠と同時に印刷意匠も付与でき、印刷層の上に特定の厚みで顔料が添加されていないポリエステル系樹脂層(以下において「E層」という。)が被覆されることにより、印刷層の耐久性も良好なものとすることができる。更に、E層が非結晶性又は低結晶性のポリエステル系樹脂を主体としてなることから該樹脂のガラス転移温度(Tga)以上の温度にシートを加熱することでエンボス付与機によるエンボス模様の付与が可能である。
請求の範囲の第11の発明ではE層の樹脂組成を商業的に入手し易い材料とすることでコストのメリットがあり、また、経時的に結晶化が進行する虞が少なく、シートを長期保存した後にエンボスを付与するような場合も問題が起こり難い。
請求の範囲の第12の発明では、一般的に軟質PVCシートにエンボスを付与するために用いられてきたエンボス付与機でのシート加熱温度を該範囲とすることで、良好なエンボス付与適性を得られる。
請求の範囲の第13の発明によれば、A層とB層を共押し出し法で製膜することにより、経時的な界面剥離の虞が少なくなり、また生産性も向上する。
(第一の本発明)
以下、第一の本発明を具体化した実施の形態を説明する。
図1(a)は第一の本発明の樹脂被覆金属板の基本構成を示す模式断面図である。表面側から順に、A層、B層、接着剤層を介して金属板の構成になっている。
図1(b)では、図1(a)の構成に加えて、印刷インキ層(C層)と透明なコーティング層(D層)とが付与されている。
図1(c)では、図1(a)の構成に加えて、印刷インキ層(C層)と透明なポリエステル樹脂層(E層)が付与されている。
図1(d)では、図1(c)の構成において、印刷層が(c−1層)、及び(c−2層)の2層より構成されており、模様印刷層とベタ印刷層が付与されている場合等に対応している。
なお、本発明の積層シートは厚みが65μm〜300μmの範囲を採ることから「フィルム及びシート」と記すことがより正しいが、ここでは一般的にはフィルムと呼ばれる厚み範囲のものに関しても便宜上シートという呼称を用いた。
〈1〉着色と隠蔽のための顔料が主として添加される層(A層)
以下、着色と隠蔽のための顔料が主として添加されたポリエステル系樹脂を主成分とする無延伸層(A層)を単に、A層と呼ぶことがある。また、A層を構成する樹脂成分を樹脂Aと呼ぶことがある。
A層は無延伸のポリエステル系樹脂層であるが、無延伸とは意図して延伸操作を付与していないことであり、押し出し製膜時にキャスティングロールによる引き取りで発生する配向等迄存在していないという意味ではない。これらはB層に関しても同様である。
A層は着色による意匠の付与と、下地の視覚的隠蔽効果を付与する目的で顔料が添加される。使用される顔料は従来から樹脂着色用に一般的に用いられているものでよいが、樹脂被覆金属板に一般的に用いられるシートの厚みで充分な下地隠蔽効果を得るには白色系顔料として酸化チタン顔料を主体としたものを用いる必要がある。
酸化チタン顔料とは、樹脂練り込み用途として一般的な種類・処理量の表面処理を施したルチル晶型のものをいうのであり、表面処理無しの酸化チタンや表面処理の効果が乏しいアナターゼ型のチタンを指すものではない。無論、耐久性を向上させる観点から特殊な表面処理を施した酸化チタン顔料等を用いてもよいが、コストの上昇の割に、それに見合った効果が得られていないのが現状である。
上記酸化チタン顔料を主体として、無機、及び有機の各種有彩色の顔料を併用して白色系の希望する色味を調色する。
A層の好ましい厚みは50μm〜250μmの範囲であり、これより薄いと下地の隠蔽効果を確保するためには酸化チタン顔料を用いても極めて高濃度で顔料を添加する必要があり、これに起因して製膜性の悪化や樹脂被覆金属板の加工性の低下を来す虞があり好ましくない。更に後で述べるエンボス付与機により各種パターンのエンボス模様の転写を可能にする点からは70μm以上の厚みがあることが好ましい。また、厚みが250μmを越えても下地の隠蔽効果は飽和し、コストのみ上昇することとなり好ましくない。
A層の主成分となるポリエステル系樹脂としては、無配向で結晶性を有するポリエステル系樹脂を用いた場合でも、押し出し製膜時のキャスティングロールに鏡面ロールの替わりにエンボス版を彫刻したロールを用いる方法や、金属板にラミネートした後、再加熱や追加加熱によりA層の結晶融点以上の温度に加熱し溶融させてエンボス版ロールで押圧してエンボス模様を転写する方法等でエンボス模様の付与が可能であるが、両方法とも付与可能なエンボス模様に制約があり、また設備費用も大きくなる。
これらの方法に対し、従来から軟質PVCシートへのオフラインでのエンボス付与に用いられてきたエンボス付与機はエンボス版ロールの交換が容易であり、小ロット生産に適することから、本発明の樹脂被覆金属板に用いる積層シートにエンボス模様を付与するに際しても、該エンボス付与機を使用できることが好ましい。この場合A層が実質的に非結晶性又は低結晶性のポリエステル系樹脂を主体として成れば、該樹脂のガラス転移温度(Tga)以上の温度に加熱することで該層の弾性率はエンボスの転写が可能な程度に低下させることができる。更に本発明においては、A層は単層で用いられるのではなく、B層との積層構成で用いられるものであるので、B層の組成を特定することにより、A層がガラス転移温度(Tga)以上の温度に加熱された場合もシートの張力低下による破断を防止する等の機能をB層に分担させることができ、エンボス付与機に対する適性を付与することが容易なものである。
A層の主体を成す非結晶性のポリエステル樹脂としては、テレフタル酸、又はジメチルテレフタル酸を酸成分の主体とし、アルコール成分の約20〜約80 mol.%が1,4−シクロヘキサンジメタノールで、残りの約80〜20 mol.%がエチレングリコールである共重合ポリエステル系樹脂を好ましく用いることができる。中でもアルコール成分の約30%が1,4−シクロヘキサンジメタノールで、残りの約70 mol.%がエチレングリコールである樹脂組成のものが、広汎に使用されており安定供給性の面や、量産効果によるコストメリットなどの点から好ましい。該組成の非結晶性ポリエステル樹脂としてはイーストマンケミカル社の「イースターPETG6763」を一例として挙げることができる。
ただしこれに限定されるものではなく本発明でいう非結晶性又は低結晶性のポリエステル樹脂とは、少なくともエンボス付与機での加熱工程において、A層の温度がガラス転移温度(Tga)以上に加熱されても結晶化が進行することによりエンボス付与が困難になることのない樹脂組成を含むものである。
この点からはアルコール成分としてエチレングリコールや、プロパンジオール、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等、酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、等の各単独成分の重合体、又は共重合体の中から任意に選定された樹脂の、単体もしくはブレンド体で上記特性を有する結晶化度の絶対値が低いもの、結晶化速度が遅いもの等を適宜選択して用いることができる。
A層には顔料成分以外にも、その性質を損なわない程度において各種添加剤を適宜な量添加してもよい。添加剤としては燐系・フェノール系他の各種酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、金属不活化剤、残留重合触媒不活化剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、充填材などの広汎な樹脂材料に一般的に用いられているものを挙げることができる。
A層の製膜方法は、A層の樹脂組成が非結晶性ポリエステルである場合はカレンダー製膜法に依ることもできるが、積層シート全体としての耐久性を確保するという点では、共押し出し製膜法に依りB層と強固にダイス内で積層させた方が、経時的界面剥離の虞が少なく好ましい。
〈2〉耐久性を確保するための層(B層)
B層は樹脂被覆金属板の耐久性を確保するために付与される層であり、耐久性の発現機構は「課題を解決するための手段」に記した如くである。
従って、B層は先ず顔料添加濃度が少ないことが必要であり、顔料が無添加であることが特に好ましい。A層への顔料添加のみでは下地の隠蔽効果が不充分な場合は、B層にも樹脂成分100重量部に対して10重量部以下で顔料を添加してもよいが、B層の本来的な存在意義である積層シート構成での耐久性の確保、及びそれを被覆した樹脂被覆金属板での耐久性の確保という観点からは、顔料を全く含まない方が特に好ましいものである。
更にB層は押し出し製膜後の状態において、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるスチレン換算の重量平均分子量が75000〜140000の範囲であることが好ましい。
ポリエステル系樹脂の湿熱環境での使用に於ける主要な劣化因子は加水分解であると考えられるが、これにより機械的物性の劣化としては脆化が進行し、フィルムなどでは折り曲げると割れる状態になる。樹脂被覆金属板の状態においても、フィルム層の脆化によるクラックの発生や、金属板との接着強度の低下とも相まってフィルム層の部分的な剥落等を生ずるもので、外観上著しく意匠性を損なうと同時に、金属板に樹脂層を被覆することの目的でもある金属表面の防蝕効果や意匠性付与効果も得られなくなる。一方、加水分解による劣化はポリエステル鎖中のエステル結合部分で発生するものであり、分子量の低下をもたらす。湿熱環境に於かれる以前の製膜シートの状態で既に分子量が低いものは、短期間の湿熱環境での使用で上記の如き機械的物性の劣化を生じ、製膜時に比較的高い分子量が得られているものでは湿熱環境の使用でも機械的物性の低下を来すまでに比較的長期間の耐久性を示すことは、湿熱環境での使用でいずれも同様に分子量の低下を来すものの、初期の分子量が高いものほど、同一期間が経過した後の分子量も高いこと、及び、フィルムの割れ等の物理的劣化の現出は、分子量の絶対値がある一定の値を下回った所で顕著に起こり始めることを示唆している。
従って、B層を耐湿熱性のよい層とするには、
1.使用樹脂原料の面からは、ある程度分子量の高いものを選定する。
2.製膜設備の面からは、分子量低下を抑制するため、スクリューデザインを最適化する。
3.適正な位置へのベント装置の取り付けにより成形時の加水分解を低減する。
4.滞留時間が必要以上に長くならないようにする。
5.原料の乾燥工程に工夫し吸湿水分の影響を低減する。
等の処置を行う必要がある。また本発明のB層は、少量の顔料しか含まないか、或いは顔料を全く含まないため、顔料を多量添加した場合に比べて成型加工時の分子量低下も抑制されるものであり、製膜後の分子量が高いものを得やすい点も耐久性に有利に作用する。
本発明にかかるB層の、製膜シートの時点での重量平均分子量が75000以上であれば、上記の如く樹脂被覆金属板として湿熱環境中で使用された場合に比較的早期に脆化を来す分子量まで加水分解されることを防ぐことができ、耐久性を充分なものとすることができる。また、分子量が140000以下であれば、コストを充分に削減することができる。なぜならば、使用するポリエステル樹脂原料自体の分子量としては更に高いものを使う必要があり、これは一般的・継続的に得られるものではないためコストの高いものとなってしまうからである。また、このような樹脂原料が得られたとしても、製膜時に成形機内での分子鎖の機械的切断の影響が顕著になることでシートに製膜した時点では期待したほど高い分子量が得られない場合が多く、耐久性向上効果は飽和するのみでなく、製膜時の所要エネルギーが多くなるという事態になるからである。
本発明のB層の樹脂組成としては、上記分子量範囲を得やすい組成を選ぶことが好ましく、その点では原料として固相重合品などの分子量の高いものを入手可能なPET樹脂や、PBT樹脂を好ましく用いることができ、該樹脂の単独組成や他のポリエステル系樹脂とのブレンド等で用いることができる。
中でも、ホモPBT樹脂を用いることが特に好ましく、これは、
1.押し出しグレードとして初期分子量の比較的高いグレードが揃っていること、
2.ポリエチレンテレフタレート系樹脂よりも加水分解反応速度が小さいこと(「ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)の熱及び加水分解特性」・繊維学会誌、vol.43、No.7(1987)・東レ株式会社繊維研究所 田中三千彦氏参照)、
3.結晶性樹脂であるが結晶領域の弾性率がポリエチレンテレフタレート系樹脂より低く、結晶部のフレキシビリティーが高いため、比較的結晶性が高い状態で金属板に被覆されても、良好な加工性を示すこと、
4.融点(Tm)が従来の軟質PVCシートラミネート時の金属板表面温度と同程度か、やや低い温度である点から軟質PVCシート被覆金属板の製造に用いてきた設備をそのまま適用できること、
等による。ラミネート温度を更に下げられるという点ではイソフタル酸共重合により融点を低下させたPBT樹脂が好ましいのであるが、該PBT樹脂は、同一分子量のホモPBTよりも耐湿熱性に劣る傾向にあり、従来設備でホモPBTの融点以上の温度でのラミネートが可能であれば、ホモPBT樹脂を用いることが耐湿熱性の点からは好ましい。
また、PBT樹脂は、PET樹脂に比べて結晶化速度が速いため、B層の樹脂組成として20重量%を越える量のPBT樹脂を用いた場合は、樹脂被覆金属板に、耐沸騰水性を付与することが可能であり、これは、樹脂被覆金属板のB層が非結晶性、或いは低結晶性の状態であった場合も、沸騰水に浸漬した場合直ちにPBT樹脂が結晶化し、その結果沸騰水中でもシートの変形や金属板からの脱離を生じない程度の弾性率が得られるからである。
B層に55重量%を越える量のPBT樹脂を用いた場合は、押し出し製膜時のキャスティング条件によっては結晶性の高い状態のB層を得ることができ、押し出し製膜の後工程での結晶化処理等を行わなくても、A層を前述の実質的に非晶性、或いは低結晶性のポリエステル層として、積層シートをA層のガラス転移温度以上に加熱した際にも破断しないだけの張力をB層により確保でき、またエンボス付与機の予熱用金属ドラム等への粘着を生じない、エンボス付与機によるエンボス模様の付与に好適な積層シートとすることができる。
B層にPBT樹脂とブレンドして用いる樹脂成分としては、前記A層に好ましい樹脂成分と同じもの等を用いることができるが、PBT以外の樹脂成分では、原料分子量の高いものを得にくく、その点からはPBTリッチの組成とすることが、本発明の範囲の重量平均分子量を有するシートを得やすく、かつ上記のエンボス付与機に対する適性の点からも好ましい。
PBT樹脂とブレンドする非結晶性、或いは低結晶性ポリエステルの耐湿熱性に関しては、その分子量のみでなく当然分子構造にも依存し、同一重量中でのエステル結合の数、酸成分、アルコール成分の構造と水分子に対する立体障害作用の有無等が異なり、一概に初期分子量のみでは議論できない部分もあるが、工業的に入手可能なこれら原料をPBT樹脂とブレンドした系においては、ほぼ初期のシートの分子量と耐湿熱性を関係付けることができる。
B層にはその性質を損なわない程度に、各種の添加剤を適宜な量添加してもよい。添加剤としては、燐系・フェノール系他の各種酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤(常温作用型ラジカル捕捉剤)、核剤、金属不活化剤、残留重合触媒不活化剤、造核剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、充填材などの広汎な樹脂材料に一般的に用いられているものを挙げることができる。ただしB層の厚み方向の透過水分量を増加させるような添加剤は配合しないことが好ましい。
更に、添加剤によりB層の押し出し製膜時の分子量低下を抑制し、本発明の範囲の分子量の着色シートを得る方法として、或いは、樹脂被覆金属板となしてからの湿熱環境下での加水分解劣化を抑制する方法として、カルボジイミド化合物を添加してもよい。該カルボジイミド化合物は押し出し製膜時に成型機内において加水分解を抑制し、結果として本発明の請求の範囲の分子量を有する着色シートを得易くなる効果を表し、また成型機内で消費されずにシート中に残存したカルボジイミド化合物は、湿熱環境下での使用中の加水分解を抑制する効果を有する。
カルボジイミド化合物は、下記一般式の基本構造を有するものが挙げられる。
−(N=C=N−R−)n−
(上記式において、nは1以上の整数を示す。Rはその他の有機系結合単位を示す。)これらのカルボジイミド化合物は、Rの部分が、脂肪族、脂環族、芳香族のいずれかでもよい。具体的には、例えば、ポリ(4,4'−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等、及び、これらの単量体が挙げられる。該カルボジイミド化合物は、単独、又は、2種以上組み合わせて用いてもよい。
カルボジイミド化合物の好ましい添加量は、樹脂分量を100として、0.1重量部以上、5重量部以下、更に好ましくは0.5重量部以上、5重量部以下である。0.1重量部以上、更に好ましくは0.5重量部以上であれば、耐加水分解性改良効果を充分に得ることができる。また、5重量部以下であれば、分子量低下を抑制する効果が飽和したり、押し出し製膜性に各種問題が生じたりするという事態が避けられ、製膜後のシートに関してもカルボジイミド化合物のブリードアウトによる外観不良や機械物性の低下を起こす事態も避けられる。また、B層の配合コストが高価なものとなる事態も避けられる。
加水分解防止作用を有する添加剤としては、多官能のエポキシ基を有するブロック共重合体やグラフト共重合体等もあり、これに関しても、B層が必要とする耐湿熱性以外の性能(耐折り曲げ加工性等)を悪化させない範囲で適宜量添加することができる。これらの添加剤によりポリエステル系樹脂の加水分解性が改善されること自体は公知である。
無論、A層にも同様な加水分解防止効果を有する添加剤を配合してもよいが、
これら反応性を有する添加剤は、顔料として添加されている酸化チタンの表面の水酸基等とも反応を生じてしまうため、添加しただけの効果が得難く、また顔料粒子の凝集の原因にもなり易いため、B層に添加した場合より効果が乏しいものとなってしまう。
B層の厚みは15μm〜80μmの範囲であることが好ましい。15μm以上とすることで、積層シート全体としての耐久性維持効果を充分なものとすることができ、また、金属板表面への透過水分を充分に抑制することができる。また、80μm以下とすることで、これら耐久性維持効果が飽和したり、樹脂被覆金属板に用いる積層シートとしての総厚みの制約があることからA層の厚みを相対的に薄くする必要を生じ、顔料による充分な隠蔽効果を得難くなったりすることが避けられる。
A層とB層とを積層したシートの総厚みは、65μm〜300μmの範囲であることが好ましい。65μm以上とすれば、前述のA層の機能とB層の機能を両立させることが容易となる。また、300μm以下とすれば、従来の軟質PVC被覆金属板の打ち抜き、折り曲げ、絞りなどの2次成形に用いてきた加工型を、そのまま使用することができ、コストの点から有利である。
〈3〉印刷層(C層)
A層の表面にはC層を設けて、印刷意匠を付与してもよい。印刷層は、グラビア、オフセット、スクリーン他公知の方法で付与される。石目調、木目調或いは幾何学模様、抽象模様等の印刷意匠性の付与が目的である。部分印刷でも全面ベタ印刷でもよく、部分印刷層とベタ印刷層の両方が施されていてもよい。印刷層の耐久性(印刷層の脱落、変色、褪色)を確保する点から、印刷層の上には透明なコーティング層、或いは、透明な樹脂層が付与されることが好ましい。
〈4〉透明なコーティング層(D層)
コーティング層の付与は積層シートがエンボス付与機に通される以前に行っても、以後に行ってもよいが、コーティングラインでの取り扱い性はエンボス付与前の平滑な状態のシートの方が良好であり、事前にA層に印刷とコーティングを施しておくことが好ましい。
コーティング層の付与は各種通常の手法により実施することができ、コーティング層Dの樹脂組成としては、例としてシリコーン系、アクリルシリコーン系などのシラノール縮合型や、フロロエチレンビニルエーテル共重合体、アクリルポリオール、ウレタンポリオール、ポリエステルポリオールなどのシアネート架橋型のものなどを挙げることができるが、これに制限されるものではなく、A層との密着性を得られ、エンボス付与工程での加熱金属との非粘着性を有するものであれば、特に制限なく使用できる。またコーティング層Dを2層以上から構成し、最表面の層は金属非粘着性を有する層とし、該層と印刷層C、或いはA層との接着剤層の機能を有する層を介在させてもよい。該コーティング層には目的に応じて紫外線吸収剤や、シリカ粒子、耐電防止剤、半透明顔料、染料等が添加される。
D層の好ましい厚みは1〜10μmの範囲であり、これより薄いと均一塗布が難しくなる等の問題が発生するおそれがあり好ましくない。また、これより厚いとエンボス付与適性や樹脂被覆金属板の2次加工性が悪化しやすくなり好ましくない。
〈5〉透明な樹脂層(E層)
C層の上には、更に厚み25μm〜100μmの範囲の実質的に非結晶性、又は低結晶性のポリエステル樹脂を主体としてなるE層を付与してもよい。この場合、印刷層が深みのある意匠を発現することができると同時に、顔料を含まない以外はA層に好ましい樹脂組成と同一の組成の無延伸層と成すことで、エンボス付与機によるエンボス模様の付与も可能である。A層とE層は必ずしも同一の樹脂組成である必要はない。
E層は、A層の上に印刷を付与した後に積層される必要があることから、厚みがこれより薄い場合は、積層する前の単層シートの時点での取り扱い性が非常に悪くなり好ましくない。逆にこれより厚みが厚いと使用時に受ける光照射による黄変が顕著になり、また樹脂被覆金属板の加工性が悪化する点からも好ましくない。
E層にもA層やB層と同様に各種の添加剤を添加してもよく、特に印刷層の光劣化による変色、褪色を防止する目的から紫外線吸収剤を添加するのが好ましい。またマイカ粉やホログラム箔等を印刷層の透視が困難にならない程度に添加して意匠性を付与してもよい。
E層を印刷層C層の上に積層する方法としては、各種接着剤に依ってもよく、該接着剤としては、ポリエステル系樹脂や、ポリエーテル系樹脂等を主剤とし、イソシアネート系架橋剤等で硬化する、一般的にドライラミネート用接着剤と呼ばれるものが使用できる。また熱融着性を有する印刷インクによりC層を形成する、或いは印刷工程で最表層に熱融着性を有する塗布層を付与しておく等して、エンボス付与機でのシート加熱工程を利用して熱融着積層する等してもよい。
E層が付与される場合も、積層シートの総厚みは300μmを越えないことが好ましい。
〈6〉金属板
本発明の対象になる金属板としては熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、スズメッキ鋼板、ステンレス鋼板等の各種鋼板やアルミニウム板が使用でき、通常の化成処理を施した後に使用してもよい。基材金属板の厚さは、樹脂被覆金属板の用途等により異なるが、0.1mm〜10mmの範囲で選ぶことができる。
A層とB層の少なくとも2層からなる積層シートを基材金属板にラミネートすることで本発明の樹脂被覆金属板が得られる。ラミネートに用いる熱硬化型接着剤層(以下において「F層」という。)は、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、等各種公知のものを挙げることができる。
金属板にリバースコーター、キスコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、積層一体化されたシートを貼り合せる金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜10μm程度になるように接着剤を塗布する。
次いで、赤外線ヒーター及び、又は熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、金属板の表面温度を任意の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネーターを用いて積層シートを被覆、冷却することにより樹脂被覆金属板を得るものである。
(第二の本発明)
以下、第二の本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
図2(1a)は第二の本発明の基本構成の樹脂被覆金属板用の意匠シートの模式図である。樹脂被覆金属板用の意匠シートは、エンボス付与層Aと基材樹脂層Bよりなる構成を基本とする。
図2(1b)では、図2(1a)の構成に加えて、エンボス付与層Aと基材樹脂層Bとの間に実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂よりなる層Cが設けられている。
図2(1c)では、図2(1a)の構成に加えて、エンボス付与層Aの表面に加熱金属との非粘着性を有するコーティング層Dが設けられている。
図2(1d)は、樹脂被覆金属板の一例を示し、図2(1a)に示す構成の樹脂被覆金属板用の意匠シートが熱硬化性の接着剤Eを介して金属板F上に積層されている。また、図2(1b)及び図2(1c)に示す構成の樹脂被覆金属板用の意匠シートが同様に金属板F上に積層されていてもよい。
図3は、従来、軟質PVCのシートにエンボス模様を付与するために一般的に用いられてきたエンボス付与機の一例を示す。
エンボス付与層A及び基材樹脂層Bは、それぞれ物性の異なるポリエステル系樹脂で形成されている。以下エンボス付与層を形成するポリエステル系樹脂を「ポリエステル系樹脂A」(又は単に「樹脂A」)と呼び、基材樹脂層を形成するポリエステル系樹脂を「ポリエステル系樹脂B」(又は単に「樹脂B」)と呼ぶことがある。
<1> エンボス付与層Aを形成する樹脂
エンボス付与層の樹脂成分としては、一般的にカレンダー製膜が可能である実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂であれば、特に制限なく使用できる。ここでいう非結晶性ポリエステル系樹脂とは、示差走査熱量計(DSC)による測定で明確な結晶化挙動が認められないポリエステル系樹脂に加えて、結晶性は示すが結晶化速度が極めて遅いため、実質的には非結晶性ポリエステル系樹脂として取り扱えるものも含む。これらの中でもカレンダー製膜の実績が多くあり、原料の安定供給性にも不安が少なく、原料価格の点でも有利なイーストマンケミカル社の「イースターPETG6763」を好ましい一例として挙げることができる。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、イーストマンケミカル社のカレンダー用PETGグレードである「TSUNAMI」シリーズや、特定の条件では結晶性を示すが通常の条件では非結晶性樹脂として取り扱うことが可能なイーストマンケミカル社の「PCTG・5445」などを含めた、酸成分がテレフタル酸、又はジメチルテレフタル酸を主体とし、アルコール成分の約20〜80mol.%が1・4-シクロヘキサンジメタノールで、残りの約80〜20mol.%がエチレングリコールである組成範囲のポリエステル系樹脂を使用することができる。アルコール成分の組成比がこの範囲を外れると結晶性が顕著となり好ましくない。
更には、ネオペンチルグリコール共重合PETで実質的に非結晶性である組成のもの等も使用することができる。
エンボス付与層には、意匠性の付与、下地の視覚的隠蔽効果の付与、などの目的で顔料が添加される。使用される顔料は、従来から樹脂着色用に一般的に用いられているものでよく、その添加量に関しても上記目的のために一般的に添加される量でよい。例えば、白系の着色では隠蔽効果の高い酸化チタン顔料をベースとして、色味の調整を有彩色の無機、有機の顔料で行うことができる。
或いは、基材樹脂層にも顔料を添加して着色する場合は、エンボス付与層の顔料濃度を下げる、半透明顔料や染料など有機系の隠蔽効果の低い着色剤を添加する等により、基材樹脂層の色味と併せて色意匠を形成してもよい。更にこの場合はエンボス付与層にホログラム箔や着色マイカ等を添加して意匠性を付与してもよい。
またカレンダー製膜性を向上させるために必要な添加剤を適宜添加してもよい。これら添加剤の例として、例えば、カレンダーロールからの離型性を向上させる、或いは製膜時の負荷を軽減するための各種滑剤、溶融張力を向上させるための線状超高分子量アクリル系樹脂や、フィブリル状に展開する易分散処理を施したポリテトラフルオロエチレン等の加工助剤、ゲル化促進剤、バンク形状改善、フローマーク改善の目的で添加される添加剤等を挙げることができる。
更に、エンボス付与層にはその性質を損なわない程度に、上記以外の添加剤を適宜添加してもよい。このような添加剤としては、例えば、燐系・フェノール系等の各種酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、衝撃改良剤、金属不活化剤、残留重合触媒不活化剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、難燃剤、充填材など、樹脂材料に一般的に用いられているものや、カルボジイミド系やエポキシ系等の末端カルボン酸封止剤、或いは加水分解防止剤等のポリエステル樹脂に特に好適に用いられているものを挙げることができる。
エンボス付与層の好ましい厚みは50μm〜300μmの範囲である。50μm以上とすれば、カレンダー製膜性を良好にし、均質なシートを得ることが容易となる。また下地の隠蔽効果を出すのに高濃度で顔料を添加する必要がなく、高濃度の顔料添加に起因する加工性等の低下を避けることが容易となる。また、300μm以下とすれば、エンボス付与時の加熱において、十分な温度に加熱するのに余計なエネルギーが必要となるなど、コスト、効率面から好ましくない事態が避けられる。また、意匠シートに要求される各種性能における効果が飽和することが避けられる。上記厚み範囲内において付与したいエンボス版の版深さを勘案してエンボス付与層の必要な厚みを決定する。上記の如く本発明のエンボス付与層は50μm〜300μmの厚み範囲を採ることから、「フィルム及びシート」と表記するのがより正しいが、ここでは一般的にフィルムと呼ばれる厚みのものに関しても便宜上シートと呼ぶ。基材樹脂層に関しても同様である。
エンボス付与層はカレンダー製膜法によりシート化されることにより、各種色味のものを小ロットで効率よく生産することができる。
<2> 基材樹脂層Bを形成する樹脂
エンボス付与機でエンボス柄を付与するためにシートを加熱した際、エンボス付与層のみでは溶融破断、皺入り、幅縮み等を生ずるのに対し、基材樹脂層が存在することで、これを防止するいわば支持層として機能する。従って基材樹脂層に必要な性能は、加熱された金属ロール等と接触しても粘着を生じないこと、エンボス付与層単体で上記問題点が現出せずにエンボス付与可能な温度より更に高い温度で、溶融破断、皺入り、幅縮みを生じないことである。更に、エンボス付与層と熱融着積層が可能であれば、エンボス付与機でのシート加熱の際に積層一体化を同時工程で行うことが可能となる。また、樹脂被覆金属板用途として用いる場合、従来の軟質PVC系樹脂被覆金属板をラミネートする際の温度条件で強固な接着力を得られることが好ましい。
支持層としての機能の点からは、ある程度以上結晶化した状態のポリエステル系樹脂である必要があり、より具体的には示差走査熱量計(DSC)による一次昇温時の測定値が「0.5<(ΔHm−ΔHc)/ΔHm」の関係式を満たすシートであることが必要である。樹脂Bが結晶性の組成からなっていても、その結晶性が低い場合は、エンボス付与機の加熱金属ロ一ルヘの粘着を生ずるからである。
また、意匠シートを金属板に被覆して用いる場合、基材樹脂層の融点(Tmb)は180℃〜240℃の範囲にあり、基材樹脂層が無延伸のシートであることが好ましい。これは、従来の軟質PVCシートを金属板にラミネートするために用いられてきたラミネート設備で、従来と同じラミネート温度条件をそのまま適応できることによる。基材樹脂層が上記融点範囲を採ることで、ラミネート時の金属板表面温度を基材樹脂層の融点より高く設定でき、基材樹脂層の接着界面近傍が溶融し強固な接着力を得ることができる。基材樹脂層の融点を240℃以下とすることで、従来のラミネート条件でも強固な接着力が得られ、また金属板裏面の塗装処理の劣化等を容易に避けることができる。また、180℃以上とすることで、金属板にラミネートする際において、より低いラミネート温度で接着力を確保できるという利点はなくなるが、エンボス付与機での支持層としての機能が優れたものとなり、エンボス付与層を単体でエンボス付与機に通す場合に比べて、エンボス付与時のシート温度を上げることができる。基材樹脂層に延伸フィルムを用いることは、ラミネートの際に基材樹脂層の融点に達する前に著しい収縮を生じ、樹脂被覆金属板の樹脂層に皺入り等を生ずるおそれがあり好ましくない。
樹脂Bを形成するポリエステル系樹脂としては、各種結晶性ポリエステル系樹脂を使用することができる。ポリエチレンテレフタレート(以下において「PET」という。)系の樹脂等は結晶化速度が遅く、本発明の好ましい結晶性を得るには、押し出し製膜後に別途結晶化処理を施す必要があり、工程増となる。更に、PET系樹脂においては、結晶化させた場合、その融点が高いことから従来条件での金属板とのラミネートでは充分な接着強度が得られず好ましくない。
これに対して、ポリブチレンテレフタレート(以下において「PBT」という。)系樹脂やポリトリメチレンテレフタレート(以下において「PTT」という。)系樹脂は、結晶化速度が速い。従って、押し出し製膜時のキャスティングロール温度を適切に設定することにより、押し出し製膜した時点で基材樹脂層に必要な結晶性を付与できる点から特に好ましく使用することができる。
更に、これら樹脂の融点は、酸成分及びアルコール成分のそれぞれが単一組成からなる、いわゆるホモ・PBTやホモ・PTTで約225℃であり、上記従来条件での金属板とのラミネートで強固な接着力を得られる点でも好ましい。鋼板との接着強度の点からは、PET系樹脂においても、イソフタル酸共重合PETなど、共重合組成により、上記好ましい温度範囲に融点を有するものを得ることができる。しかし、その場合には結晶化速度がホモ・PETよりも更に遅くなり、結晶化処理工程の所要時間が長くなるため好ましくない。
ラミネート設備の条件によって、ホモ・PBT樹脂やホモ・PTT樹脂の融点よりももう少し低温で強固な接着力を得たいような場合は、イソフタル酸共重合等で融点を低下させたPBT系樹脂等を用いてもよい。その場合もシート製膜工程で(ΔHm−ΔHc)/ΔHmの値として0.5以上を得られる範囲の共重合比率とすることが好ましい。
また、基材樹脂層は、ホモ・PBT樹脂又は、ホモ・PTT樹脂を主体として、非結晶性の樹脂をブレンドして用いてもよいが、この場合も押し出し製膜時に加熱金属ロールに粘着しない程度に結晶化が進行している樹脂Bを得るためには、樹脂Bのブレンド組成として、ホモ・PBT樹脂、又は、ホモ・PTT樹脂が60重量%以上含まれていることが好ましい。
結晶性樹脂の比率を60重量%以上とすることで、押し出し製膜工程で好ましい結晶性を付与することが容易となる。40重量%未満の非結晶性樹脂をブレンドすることで、示差走査熱量計(DSC)の結晶融解熱量(ΔHm)で示されるその組成が、最大限結晶化した場合の結晶化度を低下させることが可能である。このようにすれば、金属板にラミネートする際に結晶融解に消費される熱量を低減することができ、更に非晶部体積が増加することにより、強固な接着力を得やすくなる。
基材樹脂層に対しても、樹脂Aと同様に必要な各種添加剤を適宜添加してもよい。基材樹脂層は押し出し製膜により作製されるものであり、顔料無添加の透明シートとするか、特定の単一色の着色とすることで、色替えに伴う原料と時間の損失を防止することが可能である。
基材樹脂層の好ましい厚みは、20μm〜300μmの範囲である。20μm以上とすることで、エンボス付与機で積層シートが加熱された際の支持層としての効果を充分に確保することができる。また、300μm以下とすることで、エンボス付与時の支持層としての効果が飽和して、コストのみが上昇することが避けられる。
基材樹脂層の製膜は、押し出し製膜として公知の方法、例えばインフレーション法やTダイ法で行うものである。エンボス付与層との熱融着性を確実なものとする目的で、実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂よりなる層を共押し出しした構成でもよい。
実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂よりなる層の樹脂組成としては、エンボス付与層の樹脂組成に用いることができる非結晶性ポリステル系樹脂と同様のものを用いることができる。これは、エンボス付与層と同一組成であっても、異なる組成であってもよい。エンボス付与機のシート加熱工程で、エンボス付与層と基材樹脂層とを熱融着積層する場合、エンボス付与層は加熱軟化した状態となる。基材樹脂層は、その役割上高い弾性率を維持している必要がある。設備によっては、エンボス付与層と基材樹脂層の密着力に不足を生ずる可能性がある。共押し出しにより実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂よりなる層を付与した基材樹脂層を用いた場合は、基材樹脂層側の表面(実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂よりなる層)も加熱により軟化する。このようにすれば、強固なエンボス付与層との密着力を得やすい。
実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂よりなる層は接着剤層的機能を有する層であることから、その好ましい厚みは3μm〜30μm程度の範囲である。
積層シート(A+B、またはA+C+B)の総厚みとしては、500μm以下とすることが好ましく、300μm以下とすることが更に好ましい。500μm以下、更に好ましくは300μm以下とすることで、樹脂被覆金属板としての打ち抜き加工等の二次加工適性が充分に良好なものとなる。また、従来の軟質塩化ビニル樹脂被覆金属板に用いてきた成形型を使用することが可能であり、新規に成形型を作成する必要がない点からも好ましい。
<3> シートの積層一体化とエンボス付与
図3に、従来から軟質PVCシートにエンボス模様を付与するために一般的に用いられてきたエンボス付与機10の一例を示す。加熱された金属ロール1によりシート2を余熱した後、非接触式のヒーター3により更にシート温度を上げ、しかる後、エンボス版ロール4と押圧ロール5間に通すことによりエンボス柄がシートに転写される構造になっている。
該設備に対し、カレンダー法により製膜したエンボス付与層と押し出し法により製膜した基材樹脂層(もしくは実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂よりなる層を共押し出しとした基材樹脂層)とを同時に供給し、一例として、加熱金属ロールヘの供給部でこれらシートが積層され加熱金属ロールの熱によりこれら2種のシートが積層一体化される方法を示すことができる。
エンボス柄の付与に関しては、従来の軟質PVCと同様に実施することが可能である。この場合、エンボス付与層単体の場合と異なり、エンボス付与機でのシート加熱温度を160℃以上、(Tmb−20)℃以下に設定しても加熱金属ロールヘの粘着や、シート溶融破断を生ずることがない。従って、エンボス付与層単体では得られなかった高いエンボス耐熱性を得ることができる。
<4> 金属非粘着性コーティング層Dの付与
積層シート(A+B、またはA+C+B)の表面には、紫外線吸収性の付与による耐侯性の向上や、耐傷入り性の向上、耐汚染性の向上、耐溶剤性の向上、深みのある意匠の付与等の各種目的でコーティング層Dが付与されていてもよい。コーティング層のDの付与は、積層シートがエンボス付与機に通される以前に行っても、以後に行ってもよい。コーティングラインでの取り扱い性は、エンボス付与前の平滑な状態のシートの方が良好であり、事前にエンボス付与層にコーティングを施しておくことが好ましい。この場合コーティング層には上記目的以外に加熱金属との非粘着性を有することが必要である。
コーティング層の付与は公知の手法により実施することができる。コーティング層Dの樹脂組成としては、例えば、シリコーン系、アクリルシリコーン系などのシラノール縮合型や、フロロエチレンビニルエーテル共重合体、アクリルポリオールなどのシアネート架橋型などを挙げることができる。本発明は、これらに限定されるものではなく、エンボス付与層との密着性が得られ、加熱金属との非粘着性を有するものであれば、特に制限なく使用できる。またコーティング層Dを2層以上から構成し、最表面の層を、金属非粘着性を有する層とし、該層と樹脂Aとの接着剤層の機能を有する層を介在させてもよい。該コーティング層には目的に応じて紫外線吸収剤や、シリカ粒子、耐電防止剤、半透明顔料、染料等を添加することができる。
コーティング層Dの好ましい厚みは1〜10μmの範囲である。1μm以上とすることで、均一に塗布することが容易となる。また、10μm以下とすることで、エンボス付与適性が充分に良好なものとなる。
<5> 金属板F
本発明の対象になる金属板としては熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、
電気亜鉛メッキ鋼板、スズメッキ鋼板、ステンレス鋼板等の各種鋼板や、アルミニウム板、アルミニウム系合金板を使用することができ、通常の化成処理を施した後に使用してもよい。基材金属板の厚さは、樹脂被覆金属板の用途等により異なるが、0.1mm〜10mmの範囲で選ぶことができる。
<6> 樹脂被覆金属板の製造方法
樹脂被覆金属板の製造方法について説明する。エンボス付与装置によりエンボス柄が付与された積層シート(A+B、またはA+B+C)を基材金属板にラミネートする際に用いる接着剤としては、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤等、一般的に使用される熱硬化型接着剤を挙げることができる。樹脂被覆金属板を得る方法としては、金属板にリバースコーター、キスコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、積層一体化されたシートを貼り合せる金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜10μm程度になるように、上記エポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系等の熱硬化型接着剤を塗布する。
次いで、赤外線ヒーター及び、又は熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、金属板の表面温度を、任意の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネーターを用いて積層シートの基材樹脂層側が接着面となるように被覆、冷却することにより樹脂被覆金属板を得る。本発明においては、金属板との接着面側に位置する基材樹脂層の融点(Tm)が180〜240℃の範囲にあることが好ましい。その場合、金属板の表面温度は、従来の軟質PVCシートラミネート被覆金属板の場合と同等とすることで、強固な接着力を得ることが可能である。
本発明によれば比較的エンボス耐熱性の良好な樹脂被覆金属板を得ることができる。ラミネート後は、直ちに例えば水冷却等の急速冷却を行うことにより、ラミネート時にシートが加熱されることによるエンボスの戻りを軽減することが好ましい。
(第一の本発明)
第一の本発明をより具体的かつ詳細に説明するために、次に実施例を示すが、第一の本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例に示した樹脂被覆金属板の物性の測定規格、試験法は以下の通りである。
(1)ポリエステル系樹脂の重量平均分子量
東ソー(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーHLC−8120GPCに、(株)島津製作所製クロマトカラムShim−PackシリーズのGPC−800CPを装着し、試料調製にヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム=1/20(vol/vol)混合溶媒を用い、試料溶液濃度0.476wt/vol%、溶液注入量10μlで、移動相溶媒にクロロホルムを用い、溶媒流速1.2ml/分、溶媒温度40℃で測定を行い、ポリスチレン換算で、ポリエステル系樹脂の重量平均分子量を算出した。用いた標準ポリスチレンの重量平均分子量は、2000000、430000、110000、35000、10000、4000、600である。押し出し製膜後のB層に関し測定を行った。
(2)耐久性(耐湿熱性)試験
60mm×60mmの樹脂被覆金属板を80℃×98%RHの恒温恒湿槽中に2ヶ月間静置した後、目視による外観変化の観察を行った。全く変化のなかったものを(○)、樹脂層に僅かなクラックが認められた場合や、僅かな膨れが認められたものを(△)、樹脂層に著しいクラックが認められるもの、著しい膨れが認められるもの、及び積層シートと金属板の間に剥離が発生したものを(×)として表示した。
(3)エンボス付与適性:耐粘着性
図3に示すエンボス付与機でエンボスを付与した際に、加熱ドラム(加熱ロール)にシートが粘着したものは「×」、粘着しなかったものは「○」で示した。
(4)エンボス付与適性:耐溶断性
図3に示すエンボス付与機でエンボスを付与した際に、ヒーターによるシート加熱中にシートが溶断したものは「×」溶断しなかったものは「○」で示した。
(5)エンボス付与適性:転写性
図3に示すエンボス付与機でエンボスを付与したシートを、目視で観察し、綺麗にエンボス柄が転写しているものを「○」、これに比べてやや転写が浅い場合を「△」、転写が悪く、浅いエンボス柄になっているもの、或いはエンボス柄に無関係に単に表面が荒れているものを「×」で示した。
(6)耐沸騰水性試験
60mm×60mmの樹脂被覆金属板を、沸騰水中に3時間浸漬し、その樹脂シートの面状態を目視で判定し、全く変化のなかったものを(○)、若干表面に荒れが出たものを(△)、樹脂層に著しい膨れ等の変形が生じたものを(×)として表示した。
(7)加工性
樹脂被覆金属板に衝撃密着曲げ試験を行い、曲げ加工部の化粧シートの面状態を目視で判定し、ほとんど変化がないものを(○)、若干クラックが発生したものを(△)、割れが発生したものを(×)として表示した。なお、衝撃密着曲げ試験は次のようにして行った。被覆金属板の長さ方向及び幅方向からそれぞれ50mm×150mmの試料を作製し、23℃で1時間以上保った後、折り曲げ試験機を用いて180°(内曲げ半径2mm)に折り曲げ、その試料に直径75mm、質量5Kgの円柱形の錘を50cmの高さから落下させた。
〈A〉積層フィルムの作製
表1に実施例a1〜a7、及び比較例a1〜a6の「B層」組成を示す。
Figure 0004742123
表1に示す、実施例a1〜a7、及び比較例a1〜a6に関しては、φ65mmの二軸混練押し出し機を二台使用して、フイードブロック方式の共押し出しにより、表1に示す樹脂組成のB層を有する2層積層シートを得た。積層シートの総厚みは120μmでB層の厚みは表1中に示した。また製膜後のB層の重量平均分子量も表1中に示した。A層の組成はPBT樹脂(ノバデュラン5020S:20重量部)とPETG樹脂(イースター6763:80重量部)のブレンド組成で、酸化チタン顔料24重量部(樹脂成分量を100として)である。これは単層のシートである比較例a7〜a13以外は同一である。
表2に比較例a7〜a13の単層シートの組成を示す。
Figure 0004742123
表2に示す、比較例a7〜a13は顔料添加量の多い層のみからなる単層のフィルムであり、φ65mmの二軸混練押し出し機を一台のみ用いて製膜している。厚みは全て120μmである。製膜は、いずれの場合もTダイを用いたキャスト製膜法である。
〈B〉コーティング層(D層)の付与
表3に実施例a8、a9、比較例a14〜a19の組成を示す。
Figure 0004742123
表4に実施例a10〜a15、比較例a20、a21の組成を示す。
Figure 0004742123
表3に示す、実施例a8、a9、比較例a14〜a19、及び表4に示す実施例a13〜a15に関しては、積層シートのA層側表面に、印刷層及びコーティング層が付与されている。印刷法は通常のクラビアコート法であり、A層の表面に白系のインクでベタ印刷が施された後、抽象柄の部分印刷を施してある。更に、その上にシアネート架橋型のアクリルポリオールによる透明なコーティング層が表4に示す厚みで塗布されている。
なお、これらコーティング層付与品のB層組成は表3及び表4中に示す通りで、表3中のものは本発明の請求の範囲6を満たさないため、エンボス付与機によるエンボス適性はない。B層の厚みはいずれも30μmである。またA層の組成はいずれも実施例a1〜a7、比較例a1〜a13と同一であり、厚み90μm。コーティング層の厚みは表3、表4中に記した。
〈C〉透明フィルム層(E層)の付与
表3に示す、実施例a8、a9及び比較例a14〜a19に関しては、積層シートのA層側表面に印刷層及び透明フィルム層が付与されている。印刷法は通常のクラビアコート法であり、A層の表面に白系のインクでベタ印刷が施された後、抽象柄の部分印刷を施してある。更にその上にポリエステル系の接着性樹脂層が印刷ラインで付与され、透明フィルム層が熱融着積層により設けられている。透明フィルム層の組成はPBT樹脂(ノバデュラン5020S:20重量部)とPETG樹脂(イースター6763:80重量部)のブレンド組成で、酸化チタン顔料等の無機顔料は実質的に含んでおらず、厚みは50μmである。表4中に記載のものはB層が請求の範囲6を満たす組成となっていることから、エンボス付与機への適応性を有している。
これら各層の樹脂組成としては具体的に以下のものを用いた。
PBT: ノバデュラン 5008 (三菱エンジニアリングプラスチックス社製) 原料のMW=68000
PBT:ノバデュラン 5020S (三菱エンジニアリングプラスチックス社製) 原料のMW=113000
PETG: イースター6763 (イーストマンケミカル社製) アルコール成分の約31mol.%が1,4−シクロヘキサンジメタノールで置換された非結晶性PET 原料のMW=75600
co−PET: BK−2180 (三菱化学ポリエステル社製) 酸成分の7%がイソフタル酸である共重合PET 原料のMW=65800
PET: RT−580 (日本ユニペット社製) 原料のMW=134000
カルボジライトHCM−8V: (日清紡社製) カルボジイミド系加水分解防止剤
〈D〉エンボス模様の付与
図3に示す軟質PVCシートでも一般的に使用されている、連続法によるエンボス付与機10にてエンボス模様の付与を行った。該装置の概略としては、先ず金属加熱ロール1を用いた接触型加熱によりシート2の予備加熱を行い、続いて赤外線ヒーター3を用いた非接触型加熱により任意の温度までシートを加熱し、エンボス版ロール4によりシートにエンボス模様を転写させるものである。
エンボスを付与した全てのシートに関して、シートの加熱温度は180℃で、エンボス版ロールの温度は60℃でエンボス付与を実施した。
〈E〉樹脂被覆金属板の作製
次にポリ塩化ビニル被覆金属板用として一般的に用いられているポリエステル系接着剤を、金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度になるように塗布し、次いで熱風加熱炉及び赤外線ヒーターにより塗布面の乾燥及び加熱を行い、ラミネート直前の亜鉛めっき鋼板(厚み0.45mm)の表面温度を235℃に設定し、直ちにロールラミネーターを用いて積層シートを被覆、自然空冷冷却することにより樹脂被覆鋼板を作製し、上記した各項目を評価した。接着剤の種類、塗布条件は全ての実施例及び比較例において同一である。
〈F〉印刷意匠性樹脂被覆金属板の評価
得られた印刷意匠性樹脂被覆金属板に対し、上記評価を行った。表5に実施例a1〜a7、比較例a1〜a13の評価結果を示す。
Figure 0004742123
表6に実施例a8、a9、比較例a14〜a19の評価結果を示す。
Figure 0004742123
表7に実施例a10〜a15、比較例a20、a21の評価結果を示す。
Figure 0004742123
この結果より以下のことがわかる。
実施例a1〜a7、及び比較例a1〜a13(表5)
比較例a7〜a13は、酸化チタン顔料によって着色された単層のポリエステルフィルムを金属板にラミネートしたものであるが、いずれも耐久性の結果が悪い。
比較例a7〜a9は本発明の請求項3のB層が備えるべき重量平均分子量を有しているが、耐湿熱試験後のサンプルには多数の水泡状の膨れが認められた。酸化チタン顔料の添加によるシート厚み方向の透過水分量の上昇が、金属板表面の腐食を促進し、シートと金属板の間に部分的な剥離を生じたものと推定される。
比較例a10〜a13では、樹脂層に多数クラックが認められ、金属板との接着力も低下しているようである。比較例a7〜a9ではフィルム層は比較的強度を維持しているために、接着力低下部分で水泡が発生したのに対し、比較例a10〜a13では樹脂層自体の劣化も著しいため、クラックが発生する違いになったと思われる。
また、比較例a7〜a9では、樹脂組成が本発明の請求項6のB層の組成範囲と成っているため、エンボス付与機に通した際、粘着や溶断は生じなかったが、結晶性が高いことに起因しエンボスの転写ができなかった。一方、比較例a10〜a13では、単層からなる樹脂層が低結晶性の組成のため、エンボス付与機の加熱ドラムへの粘着を生じ、エンボス版ロールまでシートを通すことが困難であった。
比較例a1〜a6は、シートがA層とB層の2層から成っているが、比較例a3〜a6ではB層の重量平均分子量が本発明の範囲より低く、やはり良好な耐湿熱性が得られていない。比較例a1では本発明のB層が備えるべき厚みより薄く、比較例a2はB層への顔料添加量が多い。これらも耐湿熱性は悪い結果となっている。
これらに対し、樹脂層を2層として金属板との接着面側の層の顔料添加を制限した本発明の実施例a1〜a7ではいずれも良好な耐久性(耐湿熱性)が得られている。また、B層の樹脂組成が本発明の請求項6に合致する実施例a1〜a4では、エンボス付与機によるシートへのエンボス付与により、良好なエンボス外観を有する樹脂被覆金属板を得られている。実施例a7では耐湿熱性は良好であったが、B層を結晶化速度の遅いPET樹脂としたため、押し出し製膜時に結晶化させることができず、エンボス付与機への適性は付与できなかった。
実施例a8、a9及び、比較例a14〜a19(表6)
B層の組成としてエンボス付与機への適性を有さない組成を用い、印刷とコーティングによる意匠を付与したものであるが、比較例a15では、樹脂組成は実施例a6のB層と同一ながら、酸化チタン顔料を添加したことにより押し出し製膜後の重量平均分子量が実施例a6より低下している。その結果樹脂層自体の劣化により耐湿熱試験後はクラックが入る結果となった。カルボジイミド系加水分解防止剤を添加した比較例a14に関しても、添加量が少なく効果が得られていない。
比較例a16〜a19はB層に本発明の範囲を越える酸化チタン顔料が添加されている場合で、これらではシートを2層構成とした効果が得られていない。
比較例a17、及びa19は、本発明の請求の範囲4に示す範囲のカルボジイミド系加水分解防止剤を添加したものであるが、酸化チタン顔料と同じ層に添加した場合は添加効果が減縮されるようで、押し出し製膜時の充分な分子量低下抑制効果を得られなかった。
これに対して、実施例a8及びa9では、B層の顔料添加量を本発明の範囲として、カルボジイミド系の加水分解防止剤を用いた場合で、製膜時の分子量低下が抑制されていると同時に、良好な耐湿熱性が得られている。
実施例a10〜a15、及び比較例a20、a21(表7)
積層シートが印刷層と、コーティング層、或いは印刷層と透明樹脂層の被覆を備える場合であり、いずれの場合もA層、B層は本発明の範囲のものを用いているため、耐湿熱性に問題は出ていない。
(第二の本発明)
第二の本発明をより具体的かつ詳細に説明するために、以下に実施例を示すが、第二の本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例に示したシート及び樹脂被覆金属板の物性の測定規格、試験法は以下の通りである。
(1)結晶融解ピーク温度(Tm)
パーキンエルマー製DSC−7を用いて、試料10mgをJIS−K7121「プラスチックの転移温度測定方法−融解温度の求め方」に準じて、加熱速度を10℃/分で測定し求めた。1次昇温時の結晶融解ピークトップ温度をTmとした。また同時に、結晶融解熱量ΔHmを求めた。また、押し出し製膜で作製した基材樹脂層に関しエンボス付与機に通す前に測定した。
(2)結晶化ピーク温度(Tc)
パーキンエルマー製DSC−7を用いて、試料10mgをJIS−K7121「プラスチックの転移温度測定方法−結晶化温度の求め方」に準じて、加熱速度を10℃/分で測定し求めた。1次昇温時の結晶化ピークトップ温度をTcとした。
また、同時に一次昇温時結晶化熱量ΔHcを求めた。供試体は上記Tmの測定の場合と同一である。
(3)エンボス付与適性:耐粘着性
図3に示すエンボス付与機10でエンボスを付与した際に、加熱ドラム(金属ロール1)にシートが粘着し引き剥がしができなかったものは「×」、粘着により安定した生産ができなかったものは「△」、粘着しなかったものは「〇」で示した。
(4)エンボス付与適性:耐溶断性
図3に示すエンボス付与機10でエンボスを付与した際に、ヒーター3によるシート加熱中にシートが溶融破断したものは「×」、しなかったものは「〇」で示した。破断には至らなかったものの皺入りや幅縮みが顕著であった場合は「△」で示した。
(5)エンボス付与適性:転写性
図3に示すエンボス付与機10でエンボスを付与したシートを、目視で観察し、綺麗にエンボス柄が転写しているものを「〇」、これに比べてやや転写が浅い場合を「△」、転写が悪く、浅いエンボス柄になっているもの、或いはエンボス柄に無関係に単に表面が荒れているものを「×」で示した。
(6)エンボス耐熱性:高温耐熱性
図3に示すエンボス付与機10でエンボスを付与したシートをラミネートした金属板を105℃の熱風循環式オーブン中に3時間静置した後、目視で観察し、オーブンに投入する前と比較してエンボスの形状がほとんど変化していないものを「〇」、これに比べてややエンボス戻りが発生している場合を「△」、エンボス戻りが顕著な場合、或いはエンボス柄が完全に消失し単に表面が荒れているものを「×」で示した。
<A> 樹脂被覆金属板用の意匠シート(A+B、またはA+C+B)の作成
エンボス付与層の樹脂組成として、イーストマンケミカル社の「イースターPETG6763」を用い、大協化成の脂肪酸エステル系滑剤「PO−8」を0.75重量部(樹脂成分の量を100として)、三菱レイヨンのアクリル系滑剤「メタブレンL−1000」を0.5重量部、顔料として東京インキのPETGベースの緑系マスターバッチを顔料濃度で16重量部となるように配合し、カレンダー製膜により厚み120μmのエンボス付与層を製膜した。
基材樹脂層(基材樹脂層、またはC+基材樹脂層)としては、表8に示す樹脂組成と厚みで、積層シート(A+B、またはA+B+C)を作成した。Tダイを用いたキャスト法による押し出し製膜シートで、実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂よりなる層を伴う場合はフイードブロック方式による共押し出しであり、実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂よりなる層の厚みは10μmとした。
なお、実施例b9のシートに関しては、キャスティングロールでの引き取り後に、赤外ヒーターを有する加熱炉内に導入し、非接触加熱で160℃×30秒間の後加熱処理を行った。後加熱処理後の基材樹脂層の(ΔHm−ΔHc)/ΔHmは、0.76であった。
Figure 0004742123
また、表8で使用した各原料は以下の通りである。
ノバデュラン 5020S:ホモPBT樹脂 三菱エンジニアリングプラスチック社製(ガラス転移点;45℃結晶融解ピーク温度;223℃)、
co−PET BK−2180:イソフタル酸共重合PET樹脂 三菱化学社製(ガラス転移点;76℃結晶融解ピーク温度:246℃)、
コルテラ CP509200:ホモ樹脂 シェル社製(ガラス転移点:49℃結晶融解ピーク混度:225℃)、
イースター 6763:ポリエチレンテレフタレートのエチレングリコール部分の約31%を1、4−シクロヘキサンジメタノールで置換した非晶性ポリエステル系樹脂、イーストマンケミカル社製(ガラス転移点:81℃結晶融解ピーク温度:観測されず)、
PCTG 5445:ポリエチレンテレフタレートのエチレングリコール部分の約70%を1、4一シクロヘキサンジメタノールで置換した非晶性ポリエステル系樹脂、イーストマンケミカル(株)製(ガラス転移点:88℃結晶融解ピーク温度;観測されず)
Figure 0004742123
<B> エンボス模様の付与
軟質塩化ビニル系シートでも一般的に使用されている、連続法によるエンボス付与機10(図3参照)にてエンボス模様の付与を行った。加熱ドラムは100℃に設定し、実施例b1〜b9、及び比較例b1〜b8に関しては、ヒーターにより、エンボス柄ロ一ルと接する前のシートが165℃に加熱される。またエンボス版ロールの温度は70℃であり、表面平均粗さRa=10μmの梨地ロールである。
実施例b10〜b13、及び比較例b9〜b14に関しては、加熱ドラム(金属ロール1)は100℃に設定し、ヒーター加熱によるシート温度を変更したものである。この場合もエンボス版ロール4の温度、及び、エンボス版のパターンは実施例b1〜b9、及び比較例b1〜b8に同一である。また基材樹脂層がある場合の基材樹脂層種類・厚みは同一としている。
<C> 樹脂被覆金属板の作成
次にポリ塩化ビニル被覆金属板用として一般的に用いられているポリエステル系熱硬化型接着剤を、金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度になるように塗布し(接着剤層(E))、次いで熱風加熱炉及び赤外線ヒーターにより塗布面の乾燥及び加熱を行い、亜鉛めっき鋼板(金属板(F):厚み0.45mm)の表面温度を235℃に設定し、直ちにロールラミネーターを用いてポリエステル系樹脂シートを被覆、水冷することにより樹脂被覆金属板を作製した。
<D> 樹脂被覆金属板用の意匠シート(A+B)、及び樹脂被覆金属板の評価
上記した各項目を評価した。結果を実施例b1〜b9、比較例b1〜b8に関して表10にまとめて示した。表10中、エンボス付与機の加熱ドラムに粘着を生じたものに関しては、以降の評価を行っていない。また、ヒーターによる加熱でシートに顕著な皺入り、幅縮み、溶融破断等を生じたものは、ラミネート後のエンボス耐熱性の評価を行っていない。
Figure 0004742123
比較例b3、b4、及びb5は基材樹脂層の「(ΔHm−ΔHc)/ΔHm」が本発明の請求の範囲より低い場合であり、エンボス付与機の加熱ドラムに積層シートが粘着を生じた。従ってシートにエンボス模様を付与することができなかった。これらの中では比較的該数値の大きい比較例b3で粘着が一番軽微であり、加熱ドラムからの引き剥がしが可能であった。しかし、ヒーター加熱によるシート弾性率の低下とドラムヘの粘着が相まってシートの破断を生じた。
比較例b6は基材樹脂層を用いずに、カレンダー製膜したエンボス付与層のみをエンボス付与機に通した場合であるが、滑剤が比較的多く添加されていることにより加熱ドラムヘの粘着は軽微なものの、ヒーターでシートが加熱された際の弾性率低下が顕著でやはり溶融破断を生じている。
比較例b1とb2は、本発明の範囲に適合する基材樹脂層のみをエンボス付与機に通した場合であるが、加熱ドラムヘの粘着やヒーター加熱によるシートの溶融破断は生じないが、結晶性が高いことにより肝心のエンボス付与ができていない。
比較例b7は本発明の基材樹脂層の範囲に適合する結晶性を有しているが、厚みが好ましい範囲より薄い場合であり、加熱ドラムへの粘着は防止されているが、ヒーター加熱でのシート強度が不足しており溶融破断を生じている。実質非結晶性の実質的に非結晶性のポリエステル系樹脂よりなる層を共押し出しすることで、押し出しシートの厚みとしては比較例b7より厚い比較例b8に関しても同様の結果であり、ヒーター加熱での破断を防止するには本発明の結晶性を有する基材樹脂層が特定の厚み以上必要であることがわかる。
実施例b9は、基材樹脂層の組成として比較例b4と同じ組成を用い、押し出し製膜後に熱処理を施した場合で、熱処理により基材樹脂層の結晶化が進行し加熱ドラムヘの粘着、ヒーター加熱でのシート破断とも生じておらず、良好なエンボス転写性を得た。実施例b9は、押し出し製膜時には基材樹脂層の結晶性が低い状態にあっても、エンボス付与前に熱処理を行えば本発明の基材樹脂層としての適性を付与できるものである。
実施例b1〜b8は基材樹脂層の組成、及び厚みが本発明の好ましい範囲にある場合で、押し出し製膜時点で本発明の好ましい結晶性を有しており、後工程で結晶化処理を行う必要なく良好なエンボス付与適性が得られており、エンボスの耐熱性も良好である。
Figure 0004742123
Figure 0004742123
上記表11及び表12に示す、実施例b10〜b13、及び、比較例b9〜b14は、基材樹脂層がある場合とない場合に関し、エンボス柄ロールを通る前のシート温度を変えたものであるが、基材樹脂層ありでエンボス付与前のシート温度が最も低い比較例b9ではエンボス耐熱性が不足している。これよりシート温度を高くした比較例b10ではエンボス耐熱性はやや改善されているが、まだ充分とはいえない。
これに対し、シート温度を更に上げた実施例b10〜b13では、エンボス耐熱性は充分なものが得られている。ただし、シート温度が請求項22に規定される上限温度である(Tmb−20)℃に漸近して来る実施例b13では、ヒーター加熱でややシートの幅縮みが見られた。
基材樹脂層ありで、シート温度を請求の範囲22に規定される条件より更に上げた比較例b11ではシートの溶融破断を生じている。
比較例b12〜b14の3層がない場合も、エンボス付与層がカレンダー法で製膜されたもので滑剤を比較的多量に含むことから、100℃の加熱ドラムヘの粘着は全く問題なかったが、ヒーター加熱でのシート温度を上げて行くに従い、シートの皺入り、溶融破断を生じ、実施例b10〜b13で得られた満足のいくエンボス耐熱性を得るために必要なシート温度でエンボスを付与することができなかった。
本発明の樹脂被覆金属板及び樹脂被覆金属板用の意匠シートは、ポリエステル系樹脂層を2層とし、金属板との接着面側の樹脂層の顔料添加量を特定の値以下となし、また、分子量を特定の範囲とすることで、耐久性(耐湿熱性)を良好なものとした樹脂被覆金属板であり、エンボス意匠をシートに付与する際に、溶融破断や皺入りの発生を低減し、安定した生産を低コストで実現することができる。更にA層の組成とB層の組成の特定により、従来、軟質PVCシートにエンボスを付与するために用いられて来たエンボス付与機を用い、良好なエンボス外観を有する樹脂被覆金属板を得ることができる。
第一の本発明の基本構成の樹脂被覆金属板を示す模式図である。 第二の本発明の基本構成の積層樹脂シートを示す模式図である。 一般的な軟質PVCシート用エンボス付与装置を示す概略図である。

Claims (13)

  1. 少なくとも2層のポリエステル系樹脂を主成分とする無延伸層(A層、及びB層)からなる積層シートのB層側を接着面として、接着剤を介して金属板に積層した構成の、樹脂被覆金属板において、
    前記積層シートは、総厚みが65μm〜300μmであるとともに、着色と隠蔽のための顔料が主としてA層に添加されており、
    前記A層は、50μm〜250μmの厚みを具備し、
    前記B層は、15μm〜80μmの厚みを具備するとともに、前記B層への顔料成分の添加量が樹脂成分100重量部に対して10重量部以下であり、
    前記B層が樹脂成分の55重量%を越えるポリブチレンテレフタレート樹脂を含み、前記A層が実質的に非結晶性又は低結晶性のポリエステル樹脂を主体としてなることを特徴とする樹脂被覆金属板。
  2. 前記B層が、顔料成分を実質的に含まないことを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆金属板。
  3. 製膜された前記B層のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算の重量平均分子量が75000〜140000の範囲である請求項1又は2に記載の樹脂被覆金属板。
  4. 前記B層の樹脂分を100重量部としたとき、前記B層に0.1重量部以上、5重量部以下のカルボジイミド化合物が添加されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂被覆金属板。
  5. 前記A層の実質的に非結晶性又は低結晶性のポリエステル樹脂が、テレフタル酸、又はジメチルテレフタル酸を酸成分の主体とするとともに、アルコール成分の20〜80mol.%が1,4−シクロヘキサンジメタノールで、残りの80〜20mol.%がエチレングリコールである請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂被覆金属板。
  6. 前記A層における前記B層と積層される側の反対の表面に、印刷層(C層)が付与され、更にその表面に厚み2μm〜20μmの範囲の透明なコーティング層(D層)が付与されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂被覆金属板。
  7. 前記B層が結晶化した状態で積層一体化されたシート(A層+B層)を、前記A層のガラス転移温度(Tga)以上、かつ前記B層の融点(Tmb)以下の温度に加熱した後、エンボス版ロールで前記A層側表面にエンボスを付与し、しかる後に接着剤を介して前記B層側を接着面として金属板に積層したものである請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂被覆金属板。
  8. 前記B層が結晶化した状態で積層一体化されたシート(D層+C層+A層+B層)を、前記A層のガラス転移温度(Tga)以上、かつ前記B層の融点(Tmb)以下の温度に加熱した後、エンボス版ロールで前記A層側表面にエンボスを付与し、しかる後に接着剤を介して前記B層側を接着面として金属板に積層したものである請求項6に記載の樹脂被覆金属板。
  9. 前記A層における前記B層と積層される側の反対の表面に、印刷層(C層が付与され、更にその表面に、実質的に非結晶性又は低結晶性のポリエステル樹脂を主体として、顔料が添加されていない、厚み25μm〜100μmの範囲の透明な樹脂層(E層)が付与されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の樹脂被覆金属板。
  10. 前記E層の実質的に非結晶性又は低結晶性のポリエステル樹脂が、テレフタル酸、又はジメチルテレフタル酸を酸成分の主体とし、アルコール成分の20〜80mol.%が1,4−シクロヘキサンジメタノールで、残りの80〜20mol.%がエチレングリコールである請求項に記載の樹脂被覆金属板。
  11. 前記B層が結晶化した状態で積層一体化されたシート(E層+C層+A層+B層)を、前記A層及び前記E層のガラス転移温度(Tga、及びTge)のいずれかのうち高い方の温度以上、かつ前記B層の融点(Tmb)以下の温度に加熱した後、エンボス版ロールで前記A層側表面にエンボスを付与し、しかる後に接着剤を介して前記B層側を接着面として金属板に積層したものである請求項9又は10に記載の樹脂被覆金属板。
  12. 前記A層と前記B層とが共押し出し製膜法によって一体化されたものであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂被覆金属板。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の樹脂被覆金属板を用いた建物内装材。
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