JP5106565B2 - 積層シートおよび積層シート被覆金属板 - Google Patents

積層シートおよび積層シート被覆金属板 Download PDF

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本発明は、ドア材、ユニットバス壁材、ユニットバス天井材、一般室内壁材、一般室内天井材、パーティション等の建築内装材の化粧シートとして好適に用いられる積層シート及び、該積層シートを被覆した積層シート被覆金属板に関する。
ドア材、ユニットバス壁材、ユニットバス天井材、一般室内壁材、一般室内天井材、パーティション等の建築内装材は、意匠性を付与するためにしばしば化粧シートで被覆される。従来、建築内装材の被覆に用いられる化粧シートとしては、顔料が添加された着色樹脂層の上に印刷層を設け、更にその上に透明樹脂層を積層した構成のものがよく用いられてきた。該構成に於ける着色樹脂層の樹脂組成としては軟質塩化ビニル系樹脂を用いるのが一般的であった。これは軟質塩化ビニル系樹脂が、可塑剤を添加すると柔軟性を任意に設定できる性質を有するために良好な加工性が得られることに加え、接着性、耐熱性、耐熱水性等の耐久性にも優れるためである。また、軟質塩化ビニル系樹脂は、エンボス付与適性にも優れていることから、エンボス意匠を付与したものが透明樹脂層としても用いられていた。透明樹脂層としては、表面の平滑性に優れた2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)系フィルムを積層した平滑外観を有するもの等も用いられてきた。
しかし、近年塩化ビニル系樹脂に添加される一部の安定剤に起因する重金属化合物の問題や、一部の可塑剤や安定剤に起因するVOC問題や内分泌撹乱作用の問題、燃焼時に塩化水素ガスその他の塩素含有ガスを発生する問題等から、塩化ビニル系樹脂は、その使用に制限を受けるようになってきており、これら製品のユーザーから塩化ビニル系樹脂を使用しないことが強く求められるようになっている。
そこで、性能的、価格的に軟質塩化ビニルを使用したシートに代替し得る材料として、ポリエステル系樹脂シート、ポリオレフィン系樹脂シートなどを用いることが検討されてきており、例えば特許文献1や特許文献2には、ポリエステル系樹脂を用いた化粧シートが開示されている。ポリエステル系樹脂シートは、加工性と表面の耐傷入り性のバランスに優れていることから軟質塩化ビニルの代替となりうるものである。
特開2000−246832号公報 特開2003−020386号公報
しかし、特許文献1のシートに用いられている結晶性のポリエステル系樹脂は押し出し製膜法によりシートを得る必要があり、小ロット対応性に劣っていた。これは、様々な色、模様が要求され、小ロットで生産されることの多い化粧シートとしては問題があった。
特許文献2で使用されているポリエステル系樹脂(PETG)は比較的小ロット対応性に優れるのであるが、そのガラス転移温度(Tg)が100℃より低いことに起因して、建築内装用の化粧シート被覆金属板の評価項目として一般的に含まれる耐沸騰水浸漬試験を満足できず、広汎に使用できるものとならない。また、ポリオレフィン系樹脂シートは、カレンダー製膜法でシートを得ることが可能で小ロット対応性に優れるが、難接着性の材料である為、表層との積層接着や金属板へのラミネートに関して軟質塩化ビニル系樹脂より多工程を必要とし、また接着界面の経時安定性に関しても不安が残るものであった。
そこで本発明は、塩化ビニル系化粧シート代替として、加工性、耐久性、耐傷入り性に優れた積層シートおよび積層シート被覆金属板を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。
第1の本発明は、アクリル系樹脂を主体としてなる着色された樹脂層(A層)上に、順に、接着剤層(B層)と、透明な延伸結晶性ポリエステル樹脂層(C層)とが積層され、前記A層の23℃に於ける引張り破断伸びが、シート製膜時の流れ方向(MD)及びそれに直交する方向(TD)の両方向について100%以上350%以下であることを特徴とする積層シートである。
この発明によれば、加工性、耐久性、耐傷入り性に優れた積層シートとすることができる。
第1の本発明において、前記A層あるいは前記層の、前記層と接する面に、印刷が施されていることが好ましい。
この発明によれば、意匠性に優れた積層シートとすることができる。
第1の本発明において、前記A層の前記アクリル系樹脂が、アクリル樹脂系架橋弾性体成分を核にして、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂をグラフト重合して得られるコア・シェル型の共重合組成物を含み、前記A層がカレンダー製膜法によって製膜されたものであることが好ましい。
この発明によれば、小ロット適性に優れた積層シートとすることができる。
第1の本発明において、前記C層が厚み15μm〜90μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂であることが好ましい。
この発明によれば、コストと耐薬品性に優れた積層シートとすることができる。
第2の本発明は、第1の本発明の積層シートを、前記A層の外表面を接着面として、接着剤を用いて金属板の上に積層したことを特徴とする積層シート被覆金属板である。
この発明によれば、加工性、耐久性、耐傷入り性に優れた積層シート被覆金属板とすることができる。
第3の本発明は、第2の本発明の積層シート被覆金属板を用いた建築内装材である。
この発明によれば、ユニットバス壁材、ユニットバス天井材、一般室内壁材、同天井材、パーティション材等に好適な建築内装材とすることができる。
本発明の積層シートの基材への被覆面となる着色層は、アクリル系樹脂を主体としてなることから、各種顔料による着色性に優れ、接着剤による接着性にも優れている。また、引張り破断伸びが特定の値に規定されていることで、加工性にも優れたものとなっている。更に、経時的な耐久性にも優れていることから、ユニットバス部材等の被覆用途にも適した積層シートとすることができる。
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
本発明の積層シート被覆金属板10の模式図である。
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1に、本発明の積層シート10および積層シート被覆金属板100の模式図を示す。
本発明の積層シート10は、アクリル系樹脂を主体としてなる着色された樹脂層であるA層1と、接着剤層であるB層2と、透明な延伸結晶性ポリエステル樹脂層であるC層3の少なくとも3層を有する。印刷柄による意匠性を付与するために、A層1のB層2と接する面、あるいはC層3のB層2と接する面に印刷がされていてもよい。
印刷は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷他公知の印刷の方法で施される。印刷される絵柄は石目調、木目調、或いは幾何学模様、抽象模様等任意である。部分印刷でも全面ベタ印刷でも良く、部分印刷とベタ印刷の両方が施されていても良い。C層3のB層2と接する面に印刷する場合には、印刷柄は鏡面印刷、所謂バックプリントがなされ、表面となるC層3の逆の面から見ると、元の印刷柄として映るように印刷される。
積層シート10の総厚みは、60μm以上300μm以下とするのが好ましい。厚みが薄すぎると被覆する基材に対する保護効果が不十分になり、また、厚すぎると従来から軟質ポリ塩化ビニル樹脂被覆金属板の折り曲げ加工などの成形加工に用いてきた成形金型の使用が困難になるなど、積層シート10の2次加工設備適応性が低下するからである。なお、本発明の積層シート10は、その厚みに関して一般的には「フィルム」と呼称する範囲と「シート」と呼称する範囲を含むものである。本発明に於いては便宜上これらに対してシートという単一呼称を用いている。
本発明の積層シ−ト10を、接着剤4を用いてA層1側で金属板5にラミネートすることにより積層シート被覆金属板100が作成される。積層シート10を基材金属板5にラミネートする際に用いる接着剤4としては、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤等一般的に使用される熱硬化型接着剤を挙げることができる。A層1がアクリル系樹脂であることから、アクリル系接着剤を用いることが良好な密着性を得る点から好ましいが、特にこれに限定されるものではない。
積層シート被覆金属板100を得る方法としては、まず、前述の各種金属板5にリバースコーター、キスコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、積層シート10を貼り合せる金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜10μm程度になるように、先出のアクリル系、エポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系等の熱硬化型接着剤4を塗布する。そして、赤外線ヒーター及び、又は熱風加熱炉により塗布面の乾燥および加熱を行い、金属板5の表面温度を、190℃〜250℃程度の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネータを用いて積層シ−ト10のA層1側が接着面となるように被覆、冷却することにより樹脂被覆金属板100を得るのが一般的である。
このようにして得られた積層シート被覆金属板100は、ドア材、ユニットバス壁材、ユニットバス天井材、一般室内壁材、一般室内天井材、パーティション等の建築内装材に好ましく用いることができる。
以下、本発明の積層シート10の各層について詳しく説明する。
<A層>
A層1は、アクリル系樹脂を主体としてなる着色された樹脂層である。ここで、「アクリル系樹脂を主体としてなる」とは、アクリル系樹脂が、A層1全体の60質量部以上含有されていることをいう。A層1に用いられるアクリル系樹脂は、アクリル酸エステル系樹脂、或いはメタアクリル酸エステル系樹脂と総称される樹脂種の中から選ぶことができるが、積層シート10としての、或いは積層シート被覆金属板100としての2次加工性を確保する為に、23℃での引張り破断伸びが、シート製膜時の流れ方向(MD)、及びそれに直交する方向(TD)の両方向について100%以上350%以下であることが必要である。23℃での引張り破断伸びがこれより小さいアクリル系樹脂を用いた場合は、積層シート10として金属板5に被覆した後折り曲げ加工等を施した際に、樹脂層の割れ等の加工性不良を生じ易くなり好ましくない。逆にこれより破断伸びが大きいアクリル系樹脂シートを用いた場合は、柔軟性が高すぎてA層1単体としての取り扱い性に問題がでると共に、積層シート10とした構成においても、充分な耐傷入り性を付与することが難しくなり好ましくない。23℃での引張り破断伸びの特に好ましい値は、150%以上300%以下である。また、小ロット対応性の点からA層1に用いられるアクリル系樹脂は、カレンダー製膜性を有する事が好ましい。
これらの要求を満たすアクリル系樹脂としては、架橋アクリルゴム弾性体を核として、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂をグラフト重合した所謂コア・シェル型の共重合体組成物を含有する(メタ)アクリル酸エステル系樹脂を特に好ましく用いることができる。
これらは、ソフトアクリル、軟質アクリル、柔軟性アクリル等の呼称で市販されており、また、最近カレンダーアクリルなどの呼称でも市販されているものである。これらのアクリル系樹脂は、架橋弾性体成分を比較的多量に含有していることから加熱成形時の熔融張力が高く、カレンダー製膜時に熔融張力の不足からドローダウンで製膜困難となる虞が少ない。また、架橋弾性体成分は金属ロールからの離型性を付与する機能も有し、滑剤等に特別な工夫をしなくともカレンダーロールへの粘着の虞が少なくカレンダー適性に優れるのも本発明のA層1として用いるのに特に好ましい理由である。
A層1に用いることのできるアクリル系樹脂は上記のものに限定されるものではなく、前述の引っ張り破断伸びが得られるものであれば好ましく用いることができる。例えば、ブチルアクリレート等をランダム共重合させてガラス転移温度を低下させたアクリル樹脂や、可塑剤と総称されるアクリル系樹脂との相容性に優れ該樹脂のガラス転移温度を低下させる作用を有する液状あるいは固体成分を添加したもの、更にはアクリル系樹脂とある程度の相容性を有するポリマー成分を添加したもの等、必要な破断伸びに調節したアクリル樹脂を用いることができる。
A層1には意匠性の付与、金属板5など積層シートが被覆される下地材の視覚的隠蔽効果の付与、A層1やC層3に印刷される印刷柄の発色性向上等の目的で顔料が添加される。使用される顔料は上記目的の為に一般的に用いられているもので良く、その添加量に関しても上記目的の為に一般的に添加される量で良い。一例としては白系の着色では隠蔽効果が高く、かつ粒径が微細である事から積層シートの加工性に与える影響の少ない酸化チタン顔料をベースとして、色味の調整を有彩色の有機、無機の顔料を少量添加することで行うことができる。この場合もA層1が、顔料の分散性に優れ、かつ発色性が良好なアクリル系樹脂よりなっていることが、積層シート10の意匠性に対して有利な点として作用する。
下地の視覚的隠蔽効果に関しては、用途によってその重要度が異なり一概に規定できるものではないが、一つの目安としては内装建材用途の樹脂被覆金属板100においてはJIS K5400 7.2「塗料一般試験方法・隠蔽率」に準拠して測定した隠蔽率が0.98以上ある事を求められる場合が多い。逆に下地の有する色彩や模様の意匠を反映させる為、敢えてA層1の着色隠蔽性を低下させることも考えられる。
また、A層1には、その性質を損なわない範囲に於いて、各種添加剤を適宜な量添加しても良い。一般的な添加剤としては、燐系、フェノール系他の各種酸化防止剤、ラクトン系、フェノールアクリレート系他のプロセス安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル補足剤、衝撃改良剤、各種加工助剤、金属不活化剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料分散性改良剤、充填・増量剤等を挙げることができる。
A層1の製膜方法に関しても特に制限はなく、Tダイ製膜法、インフレーション法その他の押し出し製膜法や、溶剤キャスト法等を用いても良いが、前述のように、小ロット対応性に優れるカレンダー製膜法によって製膜することが特に好ましい。
A層1の好ましい厚みは、40μm以上である。薄すぎる場合は下地の視覚的隠蔽確保の為に多量の顔料添加を必要とし、その結果加工性の低下を来す虞がある。或いは薄い層で高隠蔽を確保する為に、複合酸化物系の焼成顔料等の特殊な顔料を添加する必要が生じ、コストの上昇を招く為好ましくない。更にA層1をカレンダー法で製膜する場合の製膜安定性を考慮すると、70μm以上の厚みがあることが好ましい。
逆にA層1の厚みは280μm以下程度である事が好ましい。これは、積層シート10としての総厚みを一定以下にするためと、これ以上A層1の厚みを厚くしても意匠効果や視覚的隠蔽効果は飽和するのに対し、加工性が低下する虞がでてくるためである。
<B層>
B層2は、A層1とC層3の層間の接着剤としての役割を果たす層である。B層2としては、ポリエステル系樹脂やポリエーテル系樹脂等を主剤としてイソシアネート系架橋剤で硬化する、一般的にドライラミネート用接着剤と呼ばれるものを用いるのが作業性の点から好ましく、この種接着剤の中でも紫外線による黄変の問題が少ない点から、脂肪族系のものを用いることが更に好ましい。この場合のB層2の厚みは、乾燥膜厚で1μm〜20μm程度とするのが好ましい。薄すぎる場合は塗布ムラによる接着不良を生じ易く、逆に厚すぎる場合は積層シート10の加工性が低下する虞がある為好ましくない。
B層2にも意匠性付与の為に、染料系などの透明着色剤、蛍光剤、青み付与剤などで着色を行っても良く、また、表面修飾マイカ粉、アルミ微粉、ホログラム箔等を添加してもよい。更に一般的に硬化型接着剤に添加される各種添加剤を適宜な量含んでいてもよい。
ただし、B層2の付与方法は特にこれに限定されず、紫外線硬化型の接着剤や電子線・放射線硬化型接着剤等を用いてもよく、或いは、C層3の延伸ポリエステル樹脂シートとして、ホットメルト接着性の樹脂層を共押出しその他の方法で付与した所謂易接着性延伸ポリエステルシートを用いても良い。また、A層1を押し出し製膜で作成する場合に限定されるが、接着性を有する樹脂層をA層1と共押出しで形成してもよい。
<C層>
C層3が付与される目的は、印刷柄の保護、深みのある意匠性の付与、及び鏡面外観と呼ばれる平滑性の高い意匠性外観の付与に加え、A層1が最表面に露出して用いられる場合に劣る耐傷入り性や耐薬品性の改善である。
これらの目的を達成可能な透明な樹脂シートとしては、延伸結晶性ポリエステルが使用でき、着色樹脂層として軟質塩化ビニル系樹脂シートを用いていた時代から実績のある2軸延伸されたホモ・ポリエチレンテレフタレート(PET)の透明シートを好ましく用いることができる。これは市販品として入手可能なものであり、ホモ・ポリエチレンテレフタレート樹脂やイソフタル酸等の共重合成分を含むポリエチレンテレフタレート樹脂等から成り、2軸各方向に3.5倍〜5倍程度の延伸処理が施され、熱固定温度が210℃〜240℃程度、面配向度(△P値)が1.130〜1.171程度のものである。
C層3の厚みとしては、15μm〜90μmが好ましく、20μm〜75μmが更に好ましい。厚みが薄すぎると、下地となるA層1が比較的柔軟なアクリル系樹脂シートであることから積層シート10の表面硬度が低くなり、耐傷入り性を確保することが難しくなる為好ましくない。逆に厚すぎると折角A層1として加工性の良好な特定の破断伸びを有するアクリル系樹脂を用いたにも関わらず、積層シート10としての加工性が悪くなってしまうため好ましくない。
鏡面外観と呼ばれる平滑意匠では無く、エンボス意匠が求められる場合は、易加工性2軸延伸PETなどと呼ばれるものを用いても良い。これは延伸倍率をやや低めに設定したり、イソフタル酸等を共重合したPETを用いて結晶性を適度に低下させたりすることで、耐薬品性などの2軸延伸PETシートとしての基本的性質を損なうことなく下層として柔軟性を有する樹脂層を積層した状態でもエンボス付与適性を得られるようにしたものであり、このような易加工性2軸延伸PETの例としては、テイジンデュポンフィルム(株)の「テフレックス」、東レの「ニューコンセプトルミラー」などを挙げることができる。
また、C層3にも各種樹脂用添加剤を適宜な量添加することができる。著しく透明性を低下させたり、延伸時にボイドを生じて物性低下を来したりする虞があるような添加剤以外は、A層1に用いることができる添加剤と同様なものを用いることができる。また、C層3にも意匠性付与の目的で染料系などの透明着色剤、蛍光剤、青み付与剤などで着色を行ってもよく、A層1の顔料による着色意匠、先に述べた印刷意匠に加えて全体の意匠を形成してもよい。
本発明をより具体的かつ詳細に説明するために、次に実施例を示すが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
<サンプルの作成>
「A層の作成」
A層としては、表1に記載の各種市販アクリル原料と緑色着色顔料を配合し、表中のa−5、a−6に関しては、前工程に予備混練ロールを有する、金属ロール4本から成るカレンダー製膜装置を用いて、ロール温度170℃〜185℃の条件下でシート圧延を行い、厚み150μm、幅1200mmの淡緑色シートを製膜した。a−1〜a−4、及びa−7〜a−9は、同様のアクリル原料を用いて8インチの2本ロールを用い、ロール温度185℃で原料配合物を直接投下して圧延を行い、厚み150μm、幅220mmのシートとした。更に、a−6に関しては、グラビアーコーターによりアクリル・ウレタン系のインクを用いてA層表面に抽象柄の模様印刷を施した。
得られたA層となるシートについて、23℃の恒温室内に設置した万能材料試験機((株)インテスコ製)を用いて、旧JIS K 7127-2に準拠した試験片形状により引張り試験を行い破断伸びの測定を行った。試験速度(引張り速度200mm/分)で、測定方向は製膜時の流れ方向(MD)、及び、それに直交する方向(TD)で、施行数(n=5)で実施し平均値を示した。その結果も併せて表1に示す。
Figure 0005106565
「積層シートの作成」
表2に記載のC層として用いる2軸延伸PETフィルムの片面(印刷柄があるものは印刷柄付与面)にシアネート硬化型ポリエステル系接着剤(B層)を塗布し、溶剤を揮発させる為の予備乾燥を行った後、上記得たA層となるシートと重ね合わせて、一対のロール間を通過させる事により加圧一体化し、積層シートとした。シアネート硬化型ポリエステル系接着剤の種類、塗布厚み等は全ての実施例、及び比較例で同一となるようにした。
Figure 0005106565
「積層シート被覆金属板の作成」
次に、ポリ塩化ビニル被覆金属板用として一般的に用いられているアクリル系熱硬化型接着剤を、金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度になる様に塗布し、次いで熱風加熱炉および赤外線ヒーターにより塗布面の乾燥および加熱を行い、亜鉛めっき鋼板(厚み0.45mm)の表面温度を225℃に設定し、直ちにロ−ルラミネ−タ−を用いて上記得た積層シートを被覆、水冷にて冷却することにより、積層シート被覆金属板を作成した。全ての実施例、及び比較例について同一のラミネート条件となるようにした。
<サンプルの評価>
上記の方法に従って作成した積層シート被覆金属板の評価を行った。作成した積層シートのA層とC層の組み合わせおよびその評価結果を表3に示す。なお、物性の測定規格、試験法は以下の通りである。
(1)加工性試験
積層シート被覆金属板について衝撃密着曲げ試験を行い、曲げ加工部の積層シートの面状態を目視で判定し、樹脂層に割れが発生し実用的な加工性を有しないと判断されたものを「×」、極く微細なクラックが発生したもの、目視ではクラックと確認出来ないが白化を生じたものを「△」、これらの異常が認められないものを「○」と判断した。
なお、衝撃密着曲げ試験は以下のようにして実施した。積層シート被覆金属板の長さ方向(MD)、及び、幅方向(TD)からそれぞれ50mm×150mmの試料を切り出し、23℃の恒温室内に1時間以上静置した後、手動式折り曲げ試験器を用いて180°(内半径2mm)に折り返したものを作成した。その試料に直径75mm、質量5kgの円柱形の重錘を50cmの高さから自由落下させた。
(2)表面硬度試験
積層シート被覆金属板について、JIS S1005 9.8(2)鉛筆引っ掻き試験に従い実施した。23℃の恒温室内で、80mm×60mmに切り出した樹脂被覆金属板の積層シート面に対し45°の角度を保ちつつ1kgの加重を掛けた状態で線引きを出来る治具を使用して線引きを行い、該部分の積層シートの面状態を目視で判定し、2Bの鉛筆で全く傷が付かなかったものを「○」、2Bでは傷が入るが、3Bの鉛筆では全く傷が付かなかったものを「△」、3Bの鉛筆でも傷が付いたものを「×」として表示した。
(3)沸騰水浸漬試験
60mm×60mmの積層シート被覆金属板を沸騰水中に3時間浸漬した後、取り出し、その積層シートの面状態を目視で観察、外観変化の無かったものを「○」、面状態の荒れ、積層シートの金属板からの剥離、膨れ等の異常が認められたものを「×」とした。
(4)耐湿熱性試験
積層シート被覆金属板を60mm×60mmに切り出し、「JIS K−6744」で規定されるエリクセン試験装置を用いて、樹脂被覆側が凸になるように6mmの張り出し加工を行った後、65℃×98%RHの恒温恒湿槽中に2ヶ月間静置した。樹脂層の状態を目視で観察、外観変化の無かったものを「○」、面状態の荒れ、樹脂層の金属板からの剥離、C層とA層との剥離、膨れ等の異常が認められたものを「×」とした。
(5)耐薬品性試験
各種洗浄剤の溶剤成分として用いられるエタノールに対して評価を行った。積層シート被覆金属板を60mm×60mmに切り出し、切断端部をセメダイン(株)社製アクリルシリコーン系接着剤「セメダイン・スーパーX」で封止処理した後、23℃の雰囲気温度下で、エタノールの50%水溶液中に5時間浸漬して取り出し、その積層シートの面状態を目視で観察、外観変化の無かったものを「○」、変色、面状態の荒れ、積層シートの金属板からの剥離、膨れ等の異常が認められたものを「×」とした。
Figure 0005106565
表3から分かるように、本発明で規定する引張り破断伸びより小さい値のA層を有する比較例1では加工性を満足することができず、逆に大きい値のA層を有する比較例2では表面硬度が不足する結果となった。ポリプロピレン系のシートをA層に用いた比較例3では、表面硬度が不足した上、耐湿熱性試験後のサンプルは、C層がA層から剥離していた。また、非結晶性のポリエステル樹脂から成るシートをA層に用いた比較例4では、加工性や表面硬度は良好であるものの、沸騰水浸漬試験でA層が金属板から部分的に剥離して著しい外観不良を示し、耐湿熱性試験後もA層が金属板から剥離したような外観変化を示した。更に、A層を単層で金属板にラミネートした比較例5は、表面硬度が不足していると同時に、耐薬品性試験で白化を生ずる結果となった。
一方、本発明の実施例1〜12の積層シート被覆金属板は、2次加工性に優れ、表面硬度も良好であった。また、沸騰水浸漬試験、耐湿熱試験、耐薬品性試験の結果から明らかなように、耐久性にも非常に優れていた。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う積層シートおよび積層シート被覆金属板もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
1 A層
2 B層
3 C層
4 接着剤
5 金属板
10 積層シート
100 積層シート被覆金属板

Claims (7)

  1. アクリル樹脂系架橋弾性体成分を核にして、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂をグラフト重合して得られるコア・シェル型の共重合組成物を含むアクリル系樹脂を主体としてなる着色された樹脂層(A層)上に、順に、接着剤層(B層)と、透明な延伸結晶性ポリエステル樹脂層(C層)とが積層され、前記A層の23℃に於ける引張り破断伸びが、シート製膜時の流れ方向(MD)及びそれに直交する方向(TD)の両方向について100%以上350%以下である積層シートを、当該A層の外表面を接着面として、接着剤を用いて金属板の上に積層したことを特徴とする積層シート被覆金属板。
  2. 下記測定方法における鉛筆硬度が3B以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層シート被覆金属板。
    (表面硬度試験)積層シート被覆金属板について、JIS S1005 9.8(2)鉛筆引っ掻き試験に従い、23℃の恒温室内で、80mm×60mmに切り出した樹脂被覆金属板の積層シート面に対し45°の角度を保ちつつ1kgの加重を掛けた状態で線引きを出来る治具を使用して線引きを行い、該部分の積層シートの面状態を目視で判定する。
  3. 前記A層あるいは前記C層の、前記B層と接する面に、印刷が施されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層シート被覆金属板。
  4. 前記C層が厚み15μm〜90μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層シート被覆金属板。
  5. ユニットバス部材として用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層シート被覆金属板。
  6. 前記A層が、アクリル系架橋弾性体成分を含まないポリメチルメタクリレート樹脂を含んでいない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層シート被覆金属板。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の積層シート被覆金属板を用いた建築内装材。
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