JP5106565B2 - 積層シートおよび積層シート被覆金属板 - Google Patents
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特許文献2で使用されているポリエステル系樹脂(PETG)は比較的小ロット対応性に優れるのであるが、そのガラス転移温度(Tg)が100℃より低いことに起因して、建築内装用の化粧シート被覆金属板の評価項目として一般的に含まれる耐沸騰水浸漬試験を満足できず、広汎に使用できるものとならない。また、ポリオレフィン系樹脂シートは、カレンダー製膜法でシートを得ることが可能で小ロット対応性に優れるが、難接着性の材料である為、表層との積層接着や金属板へのラミネートに関して軟質塩化ビニル系樹脂より多工程を必要とし、また接着界面の経時安定性に関しても不安が残るものであった。
第1の本発明は、アクリル系樹脂を主体としてなる着色された樹脂層(A層)上に、順に、接着剤層(B層)と、透明な延伸結晶性ポリエステル樹脂層(C層)とが積層され、前記A層の23℃に於ける引張り破断伸びが、シート製膜時の流れ方向(MD)及びそれに直交する方向(TD)の両方向について100%以上350%以下であることを特徴とする積層シートである。
図1に、本発明の積層シート10および積層シート被覆金属板100の模式図を示す。
本発明の積層シート10は、アクリル系樹脂を主体としてなる着色された樹脂層であるA層1と、接着剤層であるB層2と、透明な延伸結晶性ポリエステル樹脂層であるC層3の少なくとも3層を有する。印刷柄による意匠性を付与するために、A層1のB層2と接する面、あるいはC層3のB層2と接する面に印刷がされていてもよい。
<A層>
A層1は、アクリル系樹脂を主体としてなる着色された樹脂層である。ここで、「アクリル系樹脂を主体としてなる」とは、アクリル系樹脂が、A層1全体の60質量部以上含有されていることをいう。A層1に用いられるアクリル系樹脂は、アクリル酸エステル系樹脂、或いはメタアクリル酸エステル系樹脂と総称される樹脂種の中から選ぶことができるが、積層シート10としての、或いは積層シート被覆金属板100としての2次加工性を確保する為に、23℃での引張り破断伸びが、シート製膜時の流れ方向(MD)、及びそれに直交する方向(TD)の両方向について100%以上350%以下であることが必要である。23℃での引張り破断伸びがこれより小さいアクリル系樹脂を用いた場合は、積層シート10として金属板5に被覆した後折り曲げ加工等を施した際に、樹脂層の割れ等の加工性不良を生じ易くなり好ましくない。逆にこれより破断伸びが大きいアクリル系樹脂シートを用いた場合は、柔軟性が高すぎてA層1単体としての取り扱い性に問題がでると共に、積層シート10とした構成においても、充分な耐傷入り性を付与することが難しくなり好ましくない。23℃での引張り破断伸びの特に好ましい値は、150%以上300%以下である。また、小ロット対応性の点からA層1に用いられるアクリル系樹脂は、カレンダー製膜性を有する事が好ましい。
これらは、ソフトアクリル、軟質アクリル、柔軟性アクリル等の呼称で市販されており、また、最近カレンダーアクリルなどの呼称でも市販されているものである。これらのアクリル系樹脂は、架橋弾性体成分を比較的多量に含有していることから加熱成形時の熔融張力が高く、カレンダー製膜時に熔融張力の不足からドローダウンで製膜困難となる虞が少ない。また、架橋弾性体成分は金属ロールからの離型性を付与する機能も有し、滑剤等に特別な工夫をしなくともカレンダーロールへの粘着の虞が少なくカレンダー適性に優れるのも本発明のA層1として用いるのに特に好ましい理由である。
B層2は、A層1とC層3の層間の接着剤としての役割を果たす層である。B層2としては、ポリエステル系樹脂やポリエーテル系樹脂等を主剤としてイソシアネート系架橋剤で硬化する、一般的にドライラミネート用接着剤と呼ばれるものを用いるのが作業性の点から好ましく、この種接着剤の中でも紫外線による黄変の問題が少ない点から、脂肪族系のものを用いることが更に好ましい。この場合のB層2の厚みは、乾燥膜厚で1μm〜20μm程度とするのが好ましい。薄すぎる場合は塗布ムラによる接着不良を生じ易く、逆に厚すぎる場合は積層シート10の加工性が低下する虞がある為好ましくない。
C層3が付与される目的は、印刷柄の保護、深みのある意匠性の付与、及び鏡面外観と呼ばれる平滑性の高い意匠性外観の付与に加え、A層1が最表面に露出して用いられる場合に劣る耐傷入り性や耐薬品性の改善である。
「A層の作成」
A層としては、表1に記載の各種市販アクリル原料と緑色着色顔料を配合し、表中のa−5、a−6に関しては、前工程に予備混練ロールを有する、金属ロール4本から成るカレンダー製膜装置を用いて、ロール温度170℃〜185℃の条件下でシート圧延を行い、厚み150μm、幅1200mmの淡緑色シートを製膜した。a−1〜a−4、及びa−7〜a−9は、同様のアクリル原料を用いて8インチの2本ロールを用い、ロール温度185℃で原料配合物を直接投下して圧延を行い、厚み150μm、幅220mmのシートとした。更に、a−6に関しては、グラビアーコーターによりアクリル・ウレタン系のインクを用いてA層表面に抽象柄の模様印刷を施した。
表2に記載のC層として用いる2軸延伸PETフィルムの片面(印刷柄があるものは印刷柄付与面)にシアネート硬化型ポリエステル系接着剤(B層)を塗布し、溶剤を揮発させる為の予備乾燥を行った後、上記得たA層となるシートと重ね合わせて、一対のロール間を通過させる事により加圧一体化し、積層シートとした。シアネート硬化型ポリエステル系接着剤の種類、塗布厚み等は全ての実施例、及び比較例で同一となるようにした。
次に、ポリ塩化ビニル被覆金属板用として一般的に用いられているアクリル系熱硬化型接着剤を、金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度になる様に塗布し、次いで熱風加熱炉および赤外線ヒーターにより塗布面の乾燥および加熱を行い、亜鉛めっき鋼板(厚み0.45mm)の表面温度を225℃に設定し、直ちにロ−ルラミネ−タ−を用いて上記得た積層シートを被覆、水冷にて冷却することにより、積層シート被覆金属板を作成した。全ての実施例、及び比較例について同一のラミネート条件となるようにした。
上記の方法に従って作成した積層シート被覆金属板の評価を行った。作成した積層シートのA層とC層の組み合わせおよびその評価結果を表3に示す。なお、物性の測定規格、試験法は以下の通りである。
積層シート被覆金属板について衝撃密着曲げ試験を行い、曲げ加工部の積層シートの面状態を目視で判定し、樹脂層に割れが発生し実用的な加工性を有しないと判断されたものを「×」、極く微細なクラックが発生したもの、目視ではクラックと確認出来ないが白化を生じたものを「△」、これらの異常が認められないものを「○」と判断した。
なお、衝撃密着曲げ試験は以下のようにして実施した。積層シート被覆金属板の長さ方向(MD)、及び、幅方向(TD)からそれぞれ50mm×150mmの試料を切り出し、23℃の恒温室内に1時間以上静置した後、手動式折り曲げ試験器を用いて180°(内半径2mm)に折り返したものを作成した。その試料に直径75mm、質量5kgの円柱形の重錘を50cmの高さから自由落下させた。
積層シート被覆金属板について、JIS S1005 9.8(2)鉛筆引っ掻き試験に従い実施した。23℃の恒温室内で、80mm×60mmに切り出した樹脂被覆金属板の積層シート面に対し45°の角度を保ちつつ1kgの加重を掛けた状態で線引きを出来る治具を使用して線引きを行い、該部分の積層シートの面状態を目視で判定し、2Bの鉛筆で全く傷が付かなかったものを「○」、2Bでは傷が入るが、3Bの鉛筆では全く傷が付かなかったものを「△」、3Bの鉛筆でも傷が付いたものを「×」として表示した。
60mm×60mmの積層シート被覆金属板を沸騰水中に3時間浸漬した後、取り出し、その積層シートの面状態を目視で観察、外観変化の無かったものを「○」、面状態の荒れ、積層シートの金属板からの剥離、膨れ等の異常が認められたものを「×」とした。
積層シート被覆金属板を60mm×60mmに切り出し、「JIS K−6744」で規定されるエリクセン試験装置を用いて、樹脂被覆側が凸になるように6mmの張り出し加工を行った後、65℃×98%RHの恒温恒湿槽中に2ヶ月間静置した。樹脂層の状態を目視で観察、外観変化の無かったものを「○」、面状態の荒れ、樹脂層の金属板からの剥離、C層とA層との剥離、膨れ等の異常が認められたものを「×」とした。
各種洗浄剤の溶剤成分として用いられるエタノールに対して評価を行った。積層シート被覆金属板を60mm×60mmに切り出し、切断端部をセメダイン(株)社製アクリルシリコーン系接着剤「セメダイン・スーパーX」で封止処理した後、23℃の雰囲気温度下で、エタノールの50%水溶液中に5時間浸漬して取り出し、その積層シートの面状態を目視で観察、外観変化の無かったものを「○」、変色、面状態の荒れ、積層シートの金属板からの剥離、膨れ等の異常が認められたものを「×」とした。
2 B層
3 C層
4 接着剤
5 金属板
10 積層シート
100 積層シート被覆金属板
Claims (7)
- アクリル樹脂系架橋弾性体成分を核にして、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂をグラフト重合して得られるコア・シェル型の共重合組成物を含むアクリル系樹脂を主体としてなる着色された樹脂層(A層)上に、順に、接着剤層(B層)と、透明な延伸結晶性ポリエステル樹脂層(C層)とが積層され、前記A層の23℃に於ける引張り破断伸びが、シート製膜時の流れ方向(MD)及びそれに直交する方向(TD)の両方向について100%以上350%以下である積層シートを、当該A層の外表面を接着面として、接着剤を用いて金属板の上に積層したことを特徴とする積層シート被覆金属板。
- 下記測定方法における鉛筆硬度が3B以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層シート被覆金属板。
(表面硬度試験)積層シート被覆金属板について、JIS S1005 9.8(2)鉛筆引っ掻き試験に従い、23℃の恒温室内で、80mm×60mmに切り出した樹脂被覆金属板の積層シート面に対し45°の角度を保ちつつ1kgの加重を掛けた状態で線引きを出来る治具を使用して線引きを行い、該部分の積層シートの面状態を目視で判定する。 - 前記A層あるいは前記C層の、前記B層と接する面に、印刷が施されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層シート被覆金属板。
- 前記C層が厚み15μm〜90μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層シート被覆金属板。
- ユニットバス部材として用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層シート被覆金属板。
- 前記A層が、アクリル系架橋弾性体成分を含まないポリメチルメタクリレート樹脂を含んでいない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層シート被覆金属板。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層シート被覆金属板を用いた建築内装材。
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