JP4395387B2 - 積層シートおよび積層シート被覆金属板 - Google Patents

積層シートおよび積層シート被覆金属板 Download PDF

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Description

本発明は、玄関ドア、玄関廻りの垂直面部材、エレベーター外装などの比較的人の手に触れる機会が多い内装建材に好適に用いる事ができる耐候性の積層シート及び、それを被覆した積層シート被覆金属板に関する。
玄関ドア、玄関廻りの垂直面部材、エレベーター外装などの建材は、耐候性や意匠性を付与するためにしばしば樹脂シート等で被覆される。従来、そのような用途にはエンボス意匠を付与した軟質塩化ビニル系樹脂シート(以下軟質PVCシ−トという)を合成樹脂成形品や合板、木質繊維板、金属板等に被覆したものや、塗装金属板などが用いられて来た。また、印刷意匠を有するものでは、紫外線吸収剤を添加した透明なアクリルフィルムを軟質PVCシートの印刷層の上に被覆した構成も用いられていた。軟質PVCシ−トの特徴としては、
(1)エンボス付与適性に優れる事から、意匠性に富んだ被覆材が得られる
(2)熱可塑性樹脂に於いては一般的に背反要素である加工性と表面の傷入り性のバランスが比較的良好である
(3)各種添加剤との相容性に優れる事、及び長年にわたり添加剤による物性向上検討が行われて来た事から、耐侯性、特に耐光安定性を向上させる事が容易である
等の点を挙げることができる。これらの優れた特徴を有する軟質PVC系シ−トではあるが、一部の安定剤に起因する重金属化合物の問題、一部の可塑剤や安定剤に起因するVOC問題や内分泌撹乱作用の問題、燃焼時に塩化水素ガスその他の塩素含有ガスを発生する問題等から、塩化ビニル系樹脂は、近年、その使用に制限を受けるようになって来た。そのため、これら製品のユーザーから塩化ビニル系樹脂を使用しない事が強く求められるようになって来ている。そこで、軟質PVCシートを用いずに、ポリエステル系樹脂シート、ポリオレフィン系樹脂シート、アクリル系樹脂シートなどを用いる事が検討されて来た。
しかし、ポリエステル系樹脂シートに関しては、加工性と表面の耐傷入り性のバランスに優れるものの、耐侯性、特に耐光黄変性が玄関ドア等の用途に用いるには充分でなく、また非結晶性のポリエステル系樹脂をカレンダー製膜してシート化する場合が多い事から、そのTgの低さに起因して、使用中にカレンダー適性付与の為に添加された滑剤等の吹き出しを生ずる虞がある。同様にカレンダー適性を付与する為に添加されるMBS系架橋弾性体は、耐光黄変性を更に悪くしてしまう。
また、ポリオレフィン系樹脂シートは、添加剤の工夫により玄関ドア用途に使える程度の耐侯性を付与する事が可能であるが、充分な加工性を確保する為には軟質成分の添加が必要であり、その場合、表面の耐傷入り性が悪くなってしまい、居住者の接触を受け易い玄関ドア等の用途には不適である。
ポリオレフィン系樹脂に関し、特許文献1には、ポリエチレン(PE)シートを基材として、表層にポリカーボネート(PC)系樹脂より成るシートを被覆する構成により耐傷入り性を付与する内容が示されている。
また、耐候性の良好なアクリル系樹脂を使用した例として、特許文献2には、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂シートを基材として、アクリルシートを積層する構成が示されている。
特開2003−145702号公報 特開2000−246833号公報
しかし、特許文献1においては、両樹脂組成は熱融着積層が困難であり、接着剤層を付与する工程が必須となる。またPE系樹脂の融点がPC系樹脂のガラス転移温度より低い事から、積層一体化後にPC層にエンボスを付与する事が難しい。更に、PC層の光黄変の防止、及び下層の光劣化からの保護の手段としてPC層に紫外線吸収剤を添加する事には触れられていない。また、アクリル系樹脂シートを使用した特許文献2の場合においても、加工性と耐傷入り性の両立が実現できていなかった。
そこで、本発明は、加工性、耐傷入り性、意匠性に優れた耐候性の積層シートおよび積層シート被覆金属板を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。
請求項1の発明は、少なくともアクリル系樹脂を主体としてなる着色された樹脂層(A層)と、ポリカーボネート系樹脂を主体としてなり、紫外線吸収剤を含み実質的に透明である樹脂層(B層)とを有する積層シートであって、前記B層の厚みが15μm〜120μmの範囲であり、かつ前記積層シートの総厚みが60μm〜300μmの範囲である積層シートを提供して前記課題を解決する。
この発明によれば、耐侯性の良好なアクリル系樹脂を主体としてなるA層と、表面硬度と加工性のバランスに優れるポリカーボネート系樹脂を主体としてなるB層を組み合わせることにより、アクリル系樹脂を基材としながらも、加工性と耐傷入り性の両立したシートを得ることが出来る。更にB層に紫外線吸収剤を添加する事で、B層の光黄変やA層の紫外線劣化を防止する効果を得ることができる。
請求項2の発明は、前記A層と前記B層との間に印刷層(C層)が付与されていることを特徴とする請求項1に記載の積層シートを提供して前記課題を解決する。
この発明によれば、印刷層であるC層と紫外線吸収剤を有するB層を有することから,積層シートに印刷による意匠性を付与することでき、さらにそれを紫外線劣化しにくいものとすることができる。
請求項3の発明は、前記B層の外表面がエンボス加工されていることを特徴とする請求項1または2に記載の積層シートを提供して前記課題を解決する。
この発明によれば、積層シートに立体意匠性を付与することできる。
請求項4の発明は、前記B層が、紫外線吸収剤を含有するB−1層と、紫外線吸収剤を実質的に含有しないB−2層の少なくとも2層よりなり、前記B−1層が最外面となるように積層されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層シートを提供して前記課題を解決する。
この発明によれば、紫外線吸収剤を添加したB−1層を最外面に配置することにより、紫外線を効果的に吸収し、B層自体の光黄変を抑制することができる。
請求項5の発明は、前記B層が、厚みが30μm〜100μmであり、かつ厚み30μmのB層に添加した場合における波長290nmの紫外線透過率が0.0001%未満となる量の紫外線吸収剤を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層シートを提供して前記課題を解決する。
この発明によれば、紫外線によるB層の光黄変も効果的に抑制可能な紫外線吸収剤の添加量とすることができる。
請求項6の発明は、前記A層の前記アクリル系樹脂の23℃における引張り破断伸びが、シート製膜時の流れ方向(MD)、及びそれに直交する方向(TD)の両方向について100%以上350%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層シートを提供して前記課題を解決する。
この発明によれば、さらに優れた加工性と耐傷入り性を有する積層シートとすることができる。
請求項7の発明は、前記A層の前記アクリル系樹脂が、アクリル樹脂系架橋ゴム弾性体成分を核にして、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂をグラフト重合して得られるコア・シェル型の共重合組成物を含むアクリル系樹脂であることを特徴とする、請求項6に記載の積層シートを提供して前記課題を解決する。
この発明によれば、さらに優れた加工性と耐傷入り性を有する積層シートとすることができる。
請求項8の発明は、前記A層がカレンダー製膜法によって製膜されたものであり、前記B層が押出し製膜法によって製膜されたものであることを特徴とする、請求項7に記載の積層シートを提供して前記課題を解決する。
この発明によれば、生産性に優れた積層シートとすることができる。
請求項9の発明は、前記A層と前記B層との積層、または前記A層が積層された前記C層と前記B層との積層、または前記B層が積層された前記C層と前記A層との積層が、熱融着積層によってなされていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層シートを提供して前記課題を解決する。
この発明によれば、接着層を設けず容易に積層できることから、積層シートの生産性の向上および、接着剤層の付与による耐候性の低下防止をはかることができる。
請求項10の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層シートを、前記A層の外表面を接着面として、接着剤を用いて金属板上にラミネートした事を特徴とする積層シート被覆金属板を提供して前記課題を解決する。
この発明によれば、加工性、耐傷入り性、耐候性に優れ、かつ意匠性にも優れた積層シート被覆金属板を得ることができる。
請求項11の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層シートが、前記A層の外表面を接着面として、接着剤を用いてラミネートされていることを特徴とするドアを提供して前記課題を解決する。
この発明によれば、加工性、耐傷入り性、耐候性に優れ、かつ意匠性にも優れた樹脂被覆ドアを得ることができる。
この発明によれば、A層はアクリル系樹脂を主体としてなる事から、耐侯性の良好な基材シートとして機能し、また顔料を含有する事によって着色意匠層としても機能する。一方で、アクリル系樹脂であるA層の弱点である耐傷入り性を、表面硬度と加工性のバランスに優れたポリカーボネート系樹脂を主体とするB層を表面とすることで補うことで、積層シート表面の耐傷入り性が良好なものとなり、アクリル系樹脂を基材としながらも、加工性と耐傷入り性の両立したシートとすることが出来る。更に、B層に紫外線吸収剤を添加する事でB層の光黄変が抑制されていると同時に、A層のアクリル系樹脂の着色に耐侯性のあまり良くない顔料を用いた場合でも、B層で紫外線の透過を減衰する事によりA層での紫外線劣化を防止する効果を得ることができる。さらに、着色層をカレンダー製膜性のある材料とする事によって、小ロットの生産に対しても柔軟に対応することが容易となる。
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1に、本発明の積層シートの模式図を示す。本発明の第一の態様の積層シート100は、アクリル系樹脂を主体とする樹脂層(A層)100aと、ポリカーボネート系樹脂層を主体とする樹脂層(B層)を有する100b。さらに、本発明の第二の態様の積層シート200においては、A層200aと、B層200bとの間に印刷層(C層)200cを有する。以下、各層とその積層について説明する。
<A層>
本発明のA層100a、200aは、アクリル系樹脂を主体としてなる着色された樹脂層である。ここで、「アクリル系樹脂を主体として成る」とは樹脂成分の少なくとも60質量%以上がアクリル系樹脂である事を指す。A層100a、200aに用いられるアクリル系樹脂は、アクリル酸エステル系樹脂、或いはメタアクリル酸エステル系樹脂と総称される樹脂種の中から選ぶことができるが、積層シートとしての、あるいは積層シート被覆金属板としての加工性を確保する為に、23℃での引張り破断伸びが、シート製膜時の流れ方向(MD)、及びそれに直交する方向(TD)の両方向について100%以上で350%以下である事が好ましい。23℃での引張り破断伸びが100%以上とすることで、積層シートの構成に於いてより加工性に優れたものとすることができ、また、350%以下とすることで、より耐傷入り性を得ることができるからである。また、小ロット対応性の点からカレンダー製膜性を有する事が好ましい。
これらの要求を満たすアクリル系樹脂としては、架橋アクリルゴム弾性体を核として、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂をグラフト重合した所謂コア・シェル型の共重合体組成物を含有する(メタ)アクリル酸エステル系樹脂を好ましく用いる事ができる。これらは、ソフトアクリル、軟質アクリル、柔軟性アクリル等の呼称で市販されており、また、最近カレンダーアクリルなどの呼称でも市販されているものである。これらは、架橋弾性体成分を含有する事でシートに熔融張力が付与されており、カレンダー製膜時に熔融張力の不足からドローダウンで製膜困難となる虞が少ない。また、架橋弾性体成分は金属ロールからの離型性を付与する機能も有し、滑剤等に特別な工夫をしなくとも容易にカレンダー製膜が可能となっている。この熔融張力が高いという特徴は、本発明の積層シートに対してエンボス付与機でエンボス意匠を付与する際も、加熱されたシートの幅縮み、皺入り、破断等を防止出来る点から好ましいものである。更に、該カレンダーアクリルは、架橋弾性体成分を多量に含む事から、充分な加工性を得る事が出来る柔軟性のあるシートを得る事が容易である点も本発明のA層100a、200aに用いるに好ましい理由である。ただし、A層100a、200aに用いる事の出来るアクリル系樹脂はこれに限定されるものでは無く、通常のアクリル系樹脂の耐侯性の概念から著しく逸脱しないものであれば用いる事ができる。
A層100a、200aには意匠性の付与、金属板など積層シートが被覆される材料の視覚的隠蔽効果の付与や、印刷層の発色向上等の目的で顔料が添加される。使用される顔料は上記目的の為に一般的に用いられているもので良く、その添加量に関しても上記目的の為に一般的に添加される量で良い。一例としては白系の着色では隠蔽効果が高く、且つ粒径が微細である事から積層シートの加工性に与える影響の少ない酸化チタン顔料をベースとして、色味の調整を有彩色の有機、無機の顔料を少量添加する事で行うことができる。下地の視覚的隠蔽効果に関しては、用途によって重要度が異なり、一つの目安としては内装建材用途の樹脂被覆金属板に於いてはJIS K5400 7.2「塗料一般試験方法・隠蔽率」に準拠して測定した隠蔽率が0.98以上ある事を求められる場合が多い。逆に下地の有する色彩や模様の意匠を反映させる為、敢えてA層100a、200aの着色隠蔽性を低下させる事も考えられる。
また、A層100a、200aには、その性質を損なわない範囲に於いて、各種添加剤を適宜な量添加しても良い。一般的な添加剤としては、燐系、フェノール系他の各種酸化防止剤、ラクトン系他のプロセス安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル補足剤、衝撃改良剤、加工助剤、金属不活化剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料分散性改良剤、充填・増量剤等を挙げる事が出来る。
A層100a、200aの製膜方法に関しても特に制限は無く、Tダイ製膜法、インフレーション法その他の押出し製膜法や、或いはA層とB層との間に印刷層を含まない場合は、B層との共押出し製膜を行っても良いが、小ロット対応性に優れるカレンダー製膜法によって製膜する事が特に好ましい。
A層100a、200aの厚みは、45μm以上である事が好ましい。これより薄い場合は、下地の視覚的隠蔽確保の為に多量の顔料添加を必要とし、その結果加工性の低下を来す虞が有る。或いは複合酸化物系の焼成顔料等の特殊な顔料を添加する必要が生じ、コストの上昇を招く為好ましくない。
更にA層100a、200aをカレンダー法で製膜する場合の製膜安定性や、エンボス付与機で加熱された積層シートにエンボス意匠を付与する際にA層100a、200aが張力付与層として作用する事等を考慮すると、80μm以上の厚みがある事が更に好ましい。
逆にA層100a、200aの厚みは270μm以下である事が好ましく、200μm以下である事が更に好ましい。これ以上厚みを増やしても、エンボス付与機でのA層100a、200aの張力付与層としての機能は飽和するのに対し、厚みのあるシートを過熱する為にエネルギー負荷が余分に掛かる事に加えて、積層シートの総厚みを300μm以下とするのが好ましい事から、A層100a、200aの厚みをあまり厚くするとB層100b、200bの厚みを薄くする必要が生じ、その結果B層100b、200bに必要な機能を充分に付与出来なくなる事による。
<B層>
B層100b、200bはポリカーボネート系樹脂を主体とする層であり、紫外線吸収剤を必須成分として含み実質的に透明である。ここで言う「実質的に透明」とは、必ずしも光学的定義に従って透明性を規定したものではなく、B層100b、200bを通してA層100a、200aの着色意匠、或いはC層200cの印刷意匠が視認できると言う意味である。また、「ポリカーボネート系樹脂を主体とする」とは、ポリカーボネート系樹脂が、B層全体の60質量%以上含有されていることをいう。B層100b、200bは紫外線吸収剤添加により光黄変が抑制されていると同時に、A層100a、200aに添加されている着色顔料や印刷層であるC層200cの光劣化を防止する役割も有する。更に、エンボス付与機でエンボス意匠が付与される層でもある。
B層100b、200bの主成分となるポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールAとホスゲンを原料とする、或いはホスゲンは使用しないものの同一の分子構造を有する最も汎用的なポリカーボネート樹脂を用いる事が出来る。該ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂の原料の好ましい粘度平均分子量としては、低温衝撃強度、加工性の点から20000以上のものを用いる事が好ましく、入手性、コストの点から30000以下のものを用いる事が好ましい。
このようなオーバーレイ用途には従来透明なアクリルシートを用いる事が一般的であり、A層100a、200aに用いる事が出来るアクリル系樹脂として前述したものに比べてやや硬質の組成のものが用いられて来た。樹脂自体の耐候性はポリカーボネート系樹脂よりもアクリル系樹脂のほうが優れるのであるが、該アクリルシートをA層100a、200aに積層して用いた場合は加工性に問題が生じる。即ち、積層シートを金属板等に接着積層して、密着曲げ等の加工を行うと割れを生じてしまうものである。これに対して、ポリカーボネート樹脂を用いた場合は加工性が良好な積層シートを得る事が出来、また、表面硬度も高く、更に適宜な量の紫外線吸収剤を添加する事により、玄関ドア等の垂直面材の用途に於いて必要な耐候性は充分に満たす事が出来るものである。
アクリルシートもアクリルゴムの量を増やす事で加工性を確保する事は可能で、B層100b、200bに対しても、A層100a、200aが備えるべき引張り破断伸びを有する透明アクリルシートを適用する事が考えられるが、その場合、耐傷入り性として問題となる表面硬度が著しく低下し、実用に耐えなくなる。
B層100b、200bには、ポリカーボネート系樹脂以外の樹脂をブレンドすることもできる。その場合は、該ポリカーボネート系樹脂と相容性を有し、且つ耐侯性を顕著に低下させる事の無い樹脂種を用いる事が出来る。例えば、エンボス付与機での設備能力上の問題(ヒーターの過熱能力不足)から、ガラス転移温度が約150℃であるポリカーボネート系樹脂に対して良好なエンボス転写を得られない場合は、非結晶性・低結晶性のポリエステル樹脂をブレンドしてガラス転移温度を下げ、より低温で良好なエンボス転写が得られるようにしても良い。この場合ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂のジオール成分であるエチレングリコールの一部を1、4−シクロヘキサンジメタノールで置換した構造の共重合ポリエステル樹脂を用いる事が出来、中でもポリカーボネート系樹脂との相容性に優れるイーストマンケミカル社のPCTG・5445(ジオール成分の約65%が1、4−シクロヘキサンジメタノールである)を好ましく用いる事が出来る。また、他の組成範囲の共重合ポリエステル樹脂を用いても良く、イーストマンケミカル社のイースターPETG・6763等も用いる事が出来る。また、ポリカーボネート系樹脂の光黄変性を低減する目的で、相容性を有する脂肪族ポリエステル系樹脂をブレンドしても良い。これらポリカーボネート系以外の樹脂をB層にブレンドする場合、その好ましい添加量は、B層全体の5質量%〜40質量%である。
B層100b、200bは必須成分として紫外線吸収剤を含む。紫外線吸収剤添加の主目的はB層100b、200b自体の光黄変を抑制する事であるが、同時にA層100a、200aに添加された着色顔料の光劣化防止や、印刷層であるC層200cの褪色・変色防止効果も有する事になる。
B層100b、200bに添加する紫外線吸収剤としては各種市販のものを使用出来るが、ポリカーボネート系樹脂への添加用としてメーカーが推奨するものを用いる事が好ましい。一例としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)の「チヌビン1577FF」を挙げる事が出来る。紫外線吸収剤の添加量は、B層100b、200bの30μmの厚みでの波長290nmの紫外線透過率が0.0001%を超えない量を下限として、樹脂成分100質量部に対して、10質量部を超えない量とするのが好ましい。添加量がこれより少ない場合はB層100b、200b自体の光黄変抑制効果が充分では無く、また、下地に対しての紫外線遮蔽効果も不充分であり、これより多いとシート外表面からの吹き出しによる外観の悪化を生じ易く好ましくない。
波長290nmの紫外線透過率を特定値以下と規定したのは、ポリカーボネート系樹脂の光劣化が太陽光に含まれる紫外線の波長分布のうち特に290nm付近の紫外線で顕著に発生する事による。
従って、A層100a、200aに添加された顔料の光劣化の防止や、C層200cの光変色、光褪色をも防止する観点からは、該波長だけでなく波長290nm〜350nmの範囲の紫外線もある程度吸収する紫外線吸収剤の種類・量とする事が好ましく、厚み30μmで測定した、波長290nm〜350nmの範囲の紫外線透過率が0.1%を超えない量である事が更に好ましい。
30μmより厚いB層100b、200bを用いる場合も、上記厚み30μmで測定した紫外線透過率を0.0001%以下にする為に必要な紫外線吸収剤の添加濃度をそのままに、厚みのみを増大させて用いる事が好ましい。
逆に30μmより薄い場合は紫外線吸収剤の添加量を更に増量して、実際のB層100b、200bの厚みで、波長290nmの紫外線透過率が0.0001%を超えない量とする事が好ましく、これに加えて、波長290nm〜350nmの範囲の紫外線透過率が0.1%を超えない量である事が更に好ましい。
これは厚みが薄くても紫外線吸収剤の添加濃度が同一であれば、B層100b、200bの光黄変防止効果は同一であるが、厚み減少分A層100a、200aおよびC層200cに対する紫外線透過率が増加し、保護効果が弱くなる事による。ただし、B層100b、200bの厚みを薄くするに従い、B層100b、200bに添加すべき紫外線吸収剤の量が多くなり、これは曝露中の表面からの吹き出し物の発生(ブルーミング)による外観の悪化に繋がりやすく、B層100b、200bの厚みは30μmより厚くして用いるのが好ましい。
B層100b、200bには紫外線吸収剤以外の添加成分として、各種添加剤を適宜な量添加しても良く、A層100a、200aに用いる事が出来る添加剤と同様なものを用いる事が出来る。また、B層100b、200bにも意匠性付与の目的で染料系などの透明着色剤、蛍光剤、青み付与剤などで着色を行っても良く、また、ホログラム箔、表面修飾処理を施した光輝性マイカ、光輝性ガラスフレーク等を添加しても良いが、印刷層であるC層200cの透視性が悪くならない程度、更に、これらの添加によって耐候性が顕著に低下しない程度の量に留める事が好ましい。
B層100b、200bの厚みは、表面硬度を確保する点から15μm以上が好ましく、さらに表面硬度を確実に確保する点からは、30μm以上ある事が更に好ましい。また、比較的深いエンボス意匠を付与したい場合などは50μm以上ある事が好ましい。さらに、B層100b、200b自体の樹脂や紫外線吸収剤のコストの点から、120μm以下であるのが好ましく、耐侯性確保、即ちB層100b、200bの耐黄変性の確保の点からは厚みを100μm以下とする事が更に好ましい。
B層100b、200bの製膜方法は特に制限を受ける事が無く、各種製膜方法を用いる事が可能だが、押出し製膜法を用いる事が好ましい。
本発明の積層シート100、200は、図1の積層シート110や220のように、B層110b、220bが、紫外線吸収剤を添加したB−1層111b、221bと、紫外線吸収剤を実質的に添加していないB−2層112b、222bの少なくとも2層より成る構成としても良い。この場合、B−2層112b、222b側をA層110a、220aと積層する側に配置することになる。比較的厚みのあるB層を用いる場合に、この多層構成を好ましく用いる事が出来る。一例として、B層110b、220b全体で100μmの厚みが有る場合、B−1層111b、221bを30μmとして、残り70μmをB−2層112b、222bとする事で、光黄変防止効果を維持しつつコストカットを図る事が出来る。
尚、紫外線吸収剤を実質的に添加していないとは、意図してB−2層112b、222bに紫外線吸収剤を添加しない意味であり、B−1層111b、221bからの拡散・移行による紫外線吸収剤の存在をも否定するものでは無い。
<C層>
印刷層であるC層200cは、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷他公知の印刷方法で印刷される。印刷層の絵柄は石目調、木目調、或いは幾何学模様、抽象模様等任意である。部分印刷でも全面ベタ印刷でも良く、部分印刷層とベタ印刷層の両方が施されていても良い。
A層200aのB層200bと積層する側の表面に印刷を付与した後、B層200bと積層しても良く、或いはB層200bのA層200aと積層する側の表面に印刷を施してからA層200aと積層しても良い。
C層200cとして使用する樹脂としては印刷可能な樹脂なら特に制限はないが、本来的にA層100aとB層100bとをC層を介さずに積層する場合は熱融着積層が可能である事から、C層200cを付与した場合に関しても熱融着積層が可能である事が好ましく、その場合は、アクリル系のものを用いる事が好ましい。
<シートの積層一体化とエンボス付与>
A層100a、200aとB層100b、200bの積層一体化は、熱融着積層による場合は、図2に示すエンボス付与機10でシートを余熱するエリアを利用して行う事が出来る。これは、A層100aとB層100bをC層無しで積層する場合、C層200cにポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂との熱融着性を有する樹脂バインダーを用いた場合、或いは、A層200aとC層200cとの間や、B層200bとC層200cとの間に別途熱融着性の樹脂層を設けた場合などに適用出来る。
一例として図2では、エンボス付与機10によりB層100bとA層100aが積層一体化されると同時にエンボス付与される方法が示されている。B層樹脂シート1bとA層樹脂シート1aは、それぞれ上層余熱ロール2と下層余熱ロール3を通り、加熱ドラム4への供給部で積層され、加熱ドラム4の熱によりこれら2種のシートが積層一体化される。積層されたシートはテイクオフロール5を通り、非接触式の赤外ヒーター6により更にシート温度が上げられ、しかる後、エンボスロール7とニップロール8の間に通される事によりエンボス柄がシートに転写される。その後、冷却ロール9を通されることによりシートが冷却され、付与されたエンボス柄が固定される構造になっている。
エンボス柄の付与に関しては、B層100b、200bのガラス転移温度より15℃以上高い温度にシートを加熱して実施する。B層100b、200b単体であれば、該温度域ではシートの弾性率が温度に対して鋭敏に変化する事で、シートの伸び・皺入り等の問題を生じ易いが、本発明においては、積層されるA層100a、200aが基材シートとして機能することで、安定してエンボス付与を実施する事が出来る。
ただし、積層一体化の方法はこれに限定されるものでは無く、ドライラミネート接着剤等を用いて湿式のラミネートを行うなどしても良い。
本発明の積層シートの総厚みは、60μm以上で300μm以下である。厚みがこれより薄いと被覆する基材に対する保護効果が不十分になり、これより厚いと従来より軟質PVC樹脂被覆金属板の折り曲げ加工などの成形加工に用いて来た成形金型の使用が困難になるなど、積層シートの加工設備適応性が低下する事による。
尚、本発明の範囲である60μm〜300μmの厚みをとる樹脂は、一般的には「フィルム」と呼称する範囲と「シート」と呼称する範囲を含むものである。本発明においては便宜上これらに対してシートという単一呼称を用いている。
<積層シート被覆金属板>
本発明の積層シートを金属板に接着剤によりラミネートすることにより、耐候性に優れた積層シート被覆金属板を作成することができる。積層シ−トを基材金属板にラミネートする際に用いる接着剤としては、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤等一般的に使用される熱硬化型接着剤を挙げる事が出来る。A層100a、200aがアクリル系樹脂である事から、アクリル系接着剤を用いる事が良好な密着性を得る点から好ましいが、これに限定されるものでは無い。
積層シート被覆金属板を得る方法としては、まず、金属板にリバースコーター、キスコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、積層一体化されたシートを貼り合せる金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜10μm程度になるように、先出のアクリル系、エポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系等の熱硬化型接着剤を塗布する。
次いで、赤外線ヒーター及び、又は熱風加熱炉により塗布面の乾燥および加熱を行い、金属板の表面温度を、190℃〜250℃程度の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネータを用いて積層シ−トのA層100a、200a側が接着面となるように被覆、冷却することにより積層シート被覆金属板を得る。
積層シートをラミネートする金属板としては、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、スズメッキ鋼板、ステンレス鋼板等の各種鋼板やアルミニウム板、アルミニウム系合金板が使用でき、通常の化成処理を施した後に使用しても良い。基材金属板の厚さは、積層シート被覆金属板の用途等により異なるが、0.1mm〜10mmの範囲で選ぶ事ができる。
本発明をより具体的かつ詳細に説明するために、次に実施例を示すが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
<サンプルの作成>
[A層の作成]
表1に記載の各種市販アクリル原料と着色顔料とを用い、A層を作成した。a−6、a−7、a−8に関しては、前工程に予備混練ロールを有する、金属ロール4本から成るカレンダー製膜装置を用いて、ロール温度170℃〜185℃の条件下でシート圧延を行い、厚み150μm、幅1200mmの淡緑色(L、a、b色座標でL値=75、a値=−37、b値=8)シート、及び濃緑色(L、a、b色座標でL値=32、a値=−3、b値=2)シートを製膜した。A層に用いた他の樹脂シートは、同様の原料を用いて8インチの2本ロールを用い、原料を直接投下して圧延を行い、厚み150μm、幅220mmのシートとした。更に、a−8に関しては、グラビアーコーターによりアクリル・ウレタン系のインクを用いてA層表面に抽象柄の模様印刷を施した。
得られたA層樹脂シートa−1〜a−13について、23℃の恒温室内に設置した万能材料試験機((株)インテスコ製)を用いて、旧JIS K 7127-2に準拠した試験片形状により引張り試験を行い破断伸びを測定した。測定方向は製膜時の流れ方向(MD)、及び、それに直交する方向(TD)で、施行数(n=5)で実施し平均値を示した。その結果も併せて表1に示す。
Figure 0004395387
[B層の製膜]
B層としては、表2に記載の各種市販原料、及び紫外線吸収剤を用い、Tダイを用いたキャスト法により表2に示す各種厚みの幅1000mmの透明シートを得た。尚、b−14は、共押出し製膜による2層構成のシートであり、積層シートでの最表面側となるB−1層にのみ紫外線吸収剤を添加している。
得られたB層樹脂シートb−1〜b−14について、紫外線透過率の測定を行った。透過率の検出限界が0.000001%(吸光係数で8.0)である分光光度計(分光計器(株)の超高感度分光光度計)により、B層の紫外線透過率を測定し、波長290nmで、紫外線透過率が0.0001%(吸光係数で6.0)を超えない場合を「○」、0.0001%以上の透過率がある場合を「×」とした。その結果も併せて表2に示す。
Figure 0004395387
「A層とB層の積層一体化とエンボス意匠の付与」
A層として、a−6、a−7、a−8を用いたものに関しては、図2に示す、軟質塩化ビニル系シートへのエンボス付与にも一般的に使用されているような連続法によるエンボス付与機にてA層とB層の熱融着積層一体化、及びエンボス意匠の付与を行った。加熱ドラムは150℃に設定し、A層、及びB層を図2に示すように2本の巻きだし軸から供給し、加熱ドラム4への接触部分で熱融着積層により一体化した。引き続き積層一体化されたシートを非接触式の赤外ヒーター6で、シート表面温度が180℃になる迄加熱し、エンボスロール7により梨地のエンボス意匠を付与している。エンボスロール7の温度は100℃で、表面平均粗さ5μmの梨地ロールである。
他の8インチロールにより製膜したA層を用いたものに関しては、誘導過熱により温度を調整可能な金属ロールと、エアシリンダーにより該ロールに接触するシリコーンゴム製のタッチロールの一対のロールから成るラボスケールのラミネート装置を用いて180℃の温度でA層とB層との熱融着による積層一体化を行った。エンボス付与は行っていない。この場合、B層は適当な大きさに切断して用いている。
「積層シート被覆金属板の作成」
次に、ポリ塩化ビニル被覆金属板用として一般的に用いられているアクリル系熱硬化型接着剤を、金属面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度になる様に塗布し、次いで熱風加熱炉および赤外線ヒーターにより塗布面の乾燥および加熱を行い、亜鉛めっき鋼板(厚み0.45mm)の表面温度を225℃に設定し、直ちにロ−ルラミネ−タ−を用いて上記得た積層シ−トを被覆、水冷にて冷却することにより、積層シート被覆金属板を作製した。
<積層シート及び積層シート被覆金属板の評価>
上記の方法に従って作成した実施例および比較例に示したシート及び積層シート被覆被覆金属板の評価を行った。結果を表3に示す。なお、物性の測定規格、試験法は以下の通りである。
(1)エンボス付与適性(転写性)試験
前述したエンボス付与機による積層シートへのエンボス付与によりエンボス意匠が積層シートに十分付与されているかどうかを目視で判断し、十分付与されているものを「○」、極めて浅くしか付与されなかったものを「×」とした。
(2)耐侯性促進試験
60mm×50mmに切り出した積層シート被覆金属板に、サンシャインウェザーメーター耐侯性促進試験機((株)スガ試験機製)を用いて耐侯性促進試験を実施した。条件はブラックパネル温度63℃で、照射102分、スプレー18分の120分サイクルである。
曝露3000時間後の試料と曝露前の試料との色差を色差計で測定し、色差が3以下のものを「○」、3を超えるが10以下であるものを「△」、10を超えるものを「×」とした。色差の測定はミノルタ(株)製、「色彩色差計CR−200」を用いて行った。
(3)加工性評価
積層シート被覆金属板に衝撃密着曲げ試験を行い、曲げ加工部の積層シートの面状態を目視で判定し、樹脂層に割れが発生し実用的な加工性を有しないと判断されたものを「×」、極く微細なクラックが発生したもの、目視ではクラックと確認出来ないが白化を生じたものを「△」、これらの異常が認められないものを「○」と判断した。
尚、衝撃密着曲げ試験は以下のようにして実施した。積層シート被覆金属板の長さ方向(MD)、及び、幅方向(TD)からそれぞれ50mm×150mmの試料を切り出し、23℃の恒温室内に1時間以上静置した後、手動式折り曲げ試験器を用いて180°(内半径2mm)に折り返したものを作成した。その試料に直径75mm、質量5kgの円柱形の重錘を50cmの高さから自由落下させた。
(4)表面硬度
HB、2Bの鉛筆を用いて、JIS S1005 9.8(2)鉛筆引っ掻き試験に従い、80mm×60mmに切り出した積層シート被覆金属板の樹脂シート面に対し45°の角度を保ちつつ1kgの加重を掛けた状態で線引きを出来る治具を使用して線引きを行い、該部分の樹脂シートの面状態を目視で判定し、HBの鉛筆で全く傷が付かなかったものを「○」、HBでは傷が入るが、2Bの鉛筆では全く傷が付かなかったものを「△」、2Bの鉛筆でも傷が付いたものを「×」として表示した。
Figure 0004395387
エンボス付与適性に関しては、表3に記載の本発明の実施例1〜14、及びB層を有する比較例1〜5に関しては、エンボス付与機によるエンボス意匠の付与が支障なく行う事ができた。しかし、B層に紫外線吸収剤を全く含まない比較例1、2、およびB層の厚みが厚すぎる比較例4においては、耐侯性促進試験の結果著しい黄変を示し、加えて比較例4においては、若干の加工性の低下も認められた。また、B層の厚みが薄すぎる比較例3、およびB層を被覆せずにカレンダー製膜した着色アクリルシートを単層で金属板にラミネートした比較例6においては、耐侯性促進試験による黄変は目立たないが、表面硬度が不足する結果となった。さらに、B層にオーバーレイ用途の透明アクリルシートを用いた比較例5においては、加工性評価で樹脂層に割れが発生し、表面硬度も充分では無く、曲げなどの加工性を必要とする積層シート被覆金属板の用途には適さないことが明らかとなった。これらに対して、本発明の実施例1〜25については、耐侯性促進試験での耐黄変性が良好であり、加えて加工性や表面硬度も良好な積層シート被覆金属板を得ることができた。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う積層シートおよび該積層シート被覆金属板もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の積層シートを示す模式図である。 本発明に好ましく用いられるエンボス付与機の一例である。
符号の説明
1a :A層樹脂シート
1b :B層樹脂シート
2 :上層余熱ロール
3 :下層余熱ロール
4 :加熱ドラム
5 :テイクオフロール
6 :赤外ヒーター
7 :エンボスロール
8 :ニップロール
9 :冷却ロール
10 :エンボス付与機
100、110、200、220 :積層シート
100a、110a、200a、220a:A層
100b、110b、200b、220b:B層
111b、221b :B−1層
112b、222b :B−2層
200c、220c :C層

Claims (9)

  1. 樹脂成分の全量を基準として、アクリル樹脂系架橋ゴム弾性体成分を核にして、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂をグラフト重合して得られるコア・シェル型の共重合組成物を含むアクリル系樹脂を60質量%以上含んでなる着色された樹脂層(A層)と、
    B層の全体を基準として、ポリカーボネート系樹脂を60質量%以上含み、紫外線吸収剤を含み実質的に透明である樹脂層(B層)とを有する積層シートであって、前記B層の厚みが15μm〜120μmの範囲であり、かつ前記積層シートの総厚みが60μm〜300μmの範囲であり、
    前記A層と前記B層とが熱融着積層により積層一体化されたものであり、
    金属板上にラミネートする際には、前記A層側を金属板上にラミネートして、前記B層側が表面となる、積層シート。
  2. 前記A層と前記B層との間に印刷層(C層)が付与されており、且つ、前記C層を介在させて、A層とB層とが熱融着積層により積層一体化されたものである、請求項1に記載の積層シート。
  3. 前記B層の外表面がエンボス加工されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層シート。
  4. 前記B層が、紫外線吸収剤を含有するB−1層と、紫外線吸収剤を実質的に含有しないB−2層の少なくとも2層よりなり、前記B−1層が最外面となるように積層されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層シート。
  5. 前記B層が、厚みが30μm〜100μmであり、かつ厚み30μmのB層に添加した場合における波長290nmの紫外線透過率が0.0001%以下とする為に必要な添加濃度の紫外線吸収剤を含有していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層シート。
  6. 前記B層が、厚みが15μm以上30μm未満であり、かつ、実際のB層の厚みで測定した波長290nmでの紫外線透過率が0.0001%を超えない量の紫外線吸収剤を含有していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層シート。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の積層シートを、前記A層の外表面を接着面として、接着剤を用いて金属板上にラミネートした事を特徴とする積層シート被覆金属板。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の積層シートが、前記A層の外表面を接着面として、接着剤を用いてラミネートされていることを特徴とするドア。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層シートの製造方法であって、
    前記A層をカレンダー製膜法によって製膜し、前記B層を押出し製膜法によって製膜することを特徴とする、積層シートの製造方法。
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