JP2011158752A - フィルムミラー、その製造方法及び太陽熱発電用反射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】反射層である銀層の劣化による正反射率の低下を防止するとともに、軽量で柔軟性があり、製造コストを抑え大面積化・大量生産することのできる耐候性に優れ、太陽熱に対して良好な正反射率を有するフィルムミラーの切断方法、それによって得られるフィルムミラー、及びそれを用いた太陽熱発電用反射装置を提供することである。
【解決手段】樹脂基材と、該樹脂基材上に少なくとも銀反射層及び保護層を有するフィルムミラーの製造方法であって、該フィルムミラーを切断する工程において工具のフィルムミラーに接する部分の温度が、該樹脂基材を構成する樹脂のガラス転移温度より高いことを特徴とするフィルムミラーの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】樹脂基材と、該樹脂基材上に少なくとも銀反射層及び保護層を有するフィルムミラーの製造方法であって、該フィルムミラーを切断する工程において工具のフィルムミラーに接する部分の温度が、該樹脂基材を構成する樹脂のガラス転移温度より高いことを特徴とするフィルムミラーの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐候性に優れ、太陽熱に対して良好な正反射率を有するフィルムミラー、その製造方法及びそのフィルムミラーを用いた太陽熱発電用反射装置に関する。
近年、石油、天然ガス等の化石燃料エネルギーに代わる代替エネルギーとしては現在、石炭エネルギー、バイオマスエネルギー、核エネルギー、並びに風力エネルギー及び太陽エネルギー等の自然エネルギーが検討されているが、化石燃料の代替エネルギーとして最も安定しており、かつ量の多い自然エネルギーは、太陽エネルギーであると考えられる。
しかしながら、太陽エネルギーは非常に有力な代替エネルギーであるものの、これを活用する観点からは、(1)太陽エネルギーのエネルギー密度が低いこと、並びに(2)太陽エネルギーの貯蔵及び移送が困難であることが、問題となると考えられる。
これに対して、太陽エネルギーのエネルギー密度が低いという問題は、巨大な反射装置で太陽エネルギーを集めることによって解決することが提案されている。
反射装置は、太陽熱による紫外線や熱、風雨、砂嵐等に晒されるため、従来、ガラス製ミラーが用いられてきた。ガラス製ミラーは環境に対する耐久性が高い反面、輸送時に破損したり、重いために、ミラーを設置する架台の強度を持たせるために、プラントの建設費がかさむといった問題があった。
上記問題を解決するために、ガラス製ミラーを樹脂製反射シートに置き換えることが考えられてきた(例えば、特許文献1参照)。
また、太陽熱を集光する目的において、高い反射率を得るという観点では、特許文献2に開示されているように、金属層を、一般的に用いられているアルミニウムの反射膜に比較して、可視光領域の反射率の高い銀で構成することが好ましい。しかしながら、銀を反射層に用いた場合は、初期の反射率を高めることは可能であるが、銀は耐候性に劣り、例えば酸素・水蒸気・硫黄等で劣化しやすいという問題があった。
銀の腐食防止技術については、銀層の光入射面側の隣接層として樹脂層等腐食防止層を設ける技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、太陽熱発電用のフィルムミラーのように、激しい温湿度変化や風雨や太陽光に直接晒されながら、反射率だけではなく、高い平面性(すなわち高い正反射率)を維持することが求められる用途においては、いかに腐食防止剤等の劣化防止技術を用いても、徐々に正反射率が低下する問題を十分に抑制することが困難であった。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、太陽熱発電用フィルムミラーとして過酷な環境下で長期間用いられた場合であっても、正反射率の低下を抑制することが可能であり、軽量で柔軟性があり、製造コストを抑え大面積化・大量生産することのできる、耐候性に優れ、太陽熱に対して良好な正反射率を有するフィルムミラー、その製造方法及びそのフィルムミラーを用いた太陽熱発電用反射装置を提供することにある。
本発明に係る上記課題は、下記の手段により解決される。
1.樹脂基材と、該樹脂基材上に少なくとも銀反射層及び保護層を有するフィルムミラーの製造方法であって、該フィルムミラーを切断する工程において工具のフィルムミラーに接する部分の温度が、該樹脂基材を構成する樹脂のガラス転移温度より高いことを特徴とするフィルムミラーの製造方法。
2.前記1に記載のフィルムミラーの製造方法により得られたことを特徴とするフィルムミラー。
3.前記2に記載のフィルムミラーを用いることを特徴とする太陽熱発電用反射装置。
本発明の上記手段により、太陽熱発電用フィルムミラーとして過酷な環境下で長期間用いられた場合であっても、正反射率の低下を抑制することが可能であり、軽量で柔軟性があり、製造コストを抑え大面積化・大量生産することのできる、耐候性に優れ、太陽熱に対して良好な正反射率を有するフィルムミラー、その製造方法及びそのフィルムミラーを用いた太陽熱発電用反射装置を提供することができる。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、フィルムミラーは太陽熱発電用反射装置に適用するために、フィルムミラーを所望の形状、大きさに切り出す切断が必要であるが、この切断面に銀反射層の銀が露出し、切断面から銀の腐食が進行することで、過酷な環境下に長時間晒された場合に、正反射率が低下することが分かった。すなわち、銀反射層を用いた場合には、いかに銀反射層の上下に設けられる保護層や機能層に劣化防止剤等を添加するような工夫をしても、端面からの劣化を抑制することが難しいということを見出した。このような方法への対処としては、フィルムミラー自体を何らかの手段によりパッケージングしたり、端面に何らかの後加工を施すことで対処することも考えられるが、そのような方法によればフィルムミラーとしての取扱性が低下したり、フィルムミラーを直接ロールから繰り出しながら、太陽熱発電用の反射装置の基材に貼り合わせることが困難となるという問題もあった。
そこで、フィルムミラーを切断する工程において、工具のフィルムミラーに接する部分の温度を、樹脂基材を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)より高くするフィルムミラーの製造方法により、太陽熱発電用フィルムミラーとして過酷な環境下で長期間用いられた場合であっても、正反射率の低下を抑制することが可能であり、軽量で柔軟性があり、製造コストを抑え大面積化・大量生産することのできる、耐候性に優れ、太陽熱に対して良好な正反射率を有するフィルムミラーの製造方法が得られることを見出し、本発明に至った次第である。
このような効果が発現するのは、切断面の樹脂基材が溶融または軟化して、銀反射層の切断面をシールし、酸素・水蒸気・硫黄等の銀反射層へ滲入が防止できるためと考えている。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細に説明をする。
〔フィルムミラーの切断工程〕
(工具のフィルムミラーに接する部分の温度管理)
本発明のフィルムミラーの製造方法は、フィルムミラーを切断する工程において、工具のフィルムミラーに接する部分の温度が、樹脂基材を構成する樹脂のTgより高いことが特徴である。
(工具のフィルムミラーに接する部分の温度管理)
本発明のフィルムミラーの製造方法は、フィルムミラーを切断する工程において、工具のフィルムミラーに接する部分の温度が、樹脂基材を構成する樹脂のTgより高いことが特徴である。
フィルムミラーに接する工具、即ち切断刃の温度を、樹脂基材を構成する樹脂のTgより高くするには、ヒーターと切断刃を接触させる方法、切断刃にヒーターを内蔵する方法、熱風等により切断刃を加熱する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。切断刃の温度とTgの差は、切断面の樹脂基材が溶融または軟化し、かつ切断面から遠い樹脂基材は溶融または軟化しない温度差が好ましく、具体的には20〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。
フィルムを構成する樹脂材料が複数あり、そのTgが異なる場合は、本発明では最もTgの低い樹脂のTgを、樹脂基材を構成する樹脂のTgと定義する。最もTgの低い樹脂の比率が小さい場合は、切断刃の温度とTgの差は大きくすることが好ましい。
切断刃としては、カッターナイフのようにフィルムに刃を貫通させてから、刃を動かすことにより、刃の進行方向に応力をかけながら切断するタイプや、押切刃のようフィルムの片側あるいは両側から、厚み方向にせん断応力をかけながら切断するタイプ、あるいはロータリーダイカッターのように、回転しながら厚み方向にせん断応力をかけながら切断するタイプのもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
切断刃の進入方向は、樹脂基材側から進入させてもよいし、銀反射層側から侵入させてもよい。
切断刃の材質は、硬度、熱伝導性の観点から金属が好ましいが、これに限定されるものではない。本発明の効果発現の観点から、切断刃は金属性であることが好ましい。
また、切断刃の表面は、溶融した樹脂が付着するのを防止する目的で、フッ素処理等の表面処理が施されていることが好ましい。
〔フィルムミラーの構成〕
本発明のフィルムミラーは、樹脂基材と、該樹脂基材上に少なくとも銀反射層及び保護層を有する。銀反射層、及び保護層の他に、ガスバリア層、傷防止層等の特別な機能層を設けることも好ましい態様である。
本発明のフィルムミラーは、樹脂基材と、該樹脂基材上に少なくとも銀反射層及び保護層を有する。銀反射層、及び保護層の他に、ガスバリア層、傷防止層等の特別な機能層を設けることも好ましい態様である。
また、樹脂基材や保護層に、腐食防止剤や紫外線吸収剤が含有されていることが好ましい。
(樹脂基材)
本発明に係る樹脂基材(支持体)としては、従来公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリアクリルフィルム等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネートフィルム、ポリエステルフィルム、ノルボルネンフィルム、ポリアクリルフィルム及びセルロースエステルフィルムが好ましい。
本発明に係る樹脂基材(支持体)としては、従来公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリアクリルフィルム等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネートフィルム、ポリエステルフィルム、ノルボルネンフィルム、ポリアクリルフィルム及びセルロースエステルフィルムが好ましい。
特にポリエステルフィルム、ポリアクリルフィルム、セルロースエステルフィルムを用いることが好ましく、これらのフィルムは、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
樹脂基材の厚さは、樹脂の種類及び目的等に応じて適切な厚さにすることが好ましい。例えば、一般的には、10〜300μmの範囲内である。好ましくは20〜200μm、さらに好ましくは30〜100μmである。
また、樹脂基材には、その目的に応じて、後述のような腐食防止剤や紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。
(銀反射層)
本発明に係る銀反射層の形成法としては、湿式法及び乾式法のどちらも使用することができる。
本発明に係る銀反射層の形成法としては、湿式法及び乾式法のどちらも使用することができる。
湿式法とは、めっき法の総称であり、溶液から金属を析出させ膜を形成する方法である。具体例をあげるとすれば、銀鏡反応等がある。
一方、乾式法とは、真空成膜法の総称であり、具体的に例示すると抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法等がある。とりわけ、本発明には連続的に成膜するロールツーロール方式が可能な蒸着法が好ましく用いられる。すなわち、本発明のフィルムミラーを製造するフィルムミラーの製造方法としては、銀反射層を銀蒸着によって形成する製造方法が好ましい。
銀反射層の厚さは、反射率等の観点から、10〜200nmが好ましく、より好ましくは30〜150nmである。
本発明において、銀反射層は支持体に対して光線入射側にあっても、その反対側にあってもよいが、支持体が樹脂であることから、光線による樹脂劣化を防止する目的から、光線入射側に位置する方が好ましい。
(保護層)
本発明のフィルムミラーに用いられる保護層は、銀反射層の樹脂基材(支持体)から遠い側に隣接し、好ましくは腐食防止剤を含み、銀の腐食劣化を防ぐとともに、銀反射層の傷防止及び、保護層の外側に形成されるバリア層や傷防止層との接着力向上に寄与するものである。
本発明のフィルムミラーに用いられる保護層は、銀反射層の樹脂基材(支持体)から遠い側に隣接し、好ましくは腐食防止剤を含み、銀の腐食劣化を防ぐとともに、銀反射層の傷防止及び、保護層の外側に形成されるバリア層や傷防止層との接着力向上に寄与するものである。
保護層に使用するバインダーとしての樹脂は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂等の単独またはこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。
イソシアネートは、TDI(トリレンジイソシアネート)系、XDI(キシレンジイソシアネート)系、MDI(メチレンジイソシアネート)系、HMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系等の従来から使用されてきた各種イソシアネートが使用可能であるが、耐候性の点から、XDI系、MDI系、HMDI系のイソシアネートを使用するのが好ましい。
保護層の厚さは、密着性、耐候性等の観点から、0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。
保護層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
また、保護層には、目的に応じて、後述のような腐食防止剤や紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。
(接着層)
本発明のフィルムミラーは、接着層を有していてもよい。接着層は、銀反射層と樹脂基材(樹脂フィルム)との接着性を高める機能があるものであれば特に限定はないが、樹脂からなることが好ましい。従って、接着層は、樹脂基材(樹脂フィルム)と金属反射層とを密着する密着性、金属反射層を真空蒸着法等で形成する時の熱にも耐え得る耐熱性、及び金属反射層が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性が必要である。
本発明のフィルムミラーは、接着層を有していてもよい。接着層は、銀反射層と樹脂基材(樹脂フィルム)との接着性を高める機能があるものであれば特に限定はないが、樹脂からなることが好ましい。従って、接着層は、樹脂基材(樹脂フィルム)と金属反射層とを密着する密着性、金属反射層を真空蒸着法等で形成する時の熱にも耐え得る耐熱性、及び金属反射層が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性が必要である。
接着層に使用するバインダーとしての樹脂は、上記の密着性、耐熱性、及び平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂等の単独またはこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の混合樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。
接着層の厚さは、密着性、平滑性、反射材の反射率等の観点から、0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。
接着層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
また、接着層には、その目的に応じて、後述のような腐食防止剤や紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。
(腐食防止剤)
本発明のフィルムミラーに用いられる銀反射層の腐食防止剤には、銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤と酸化防止剤が好ましく用いられる。
本発明のフィルムミラーに用いられる銀反射層の腐食防止剤には、銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤と酸化防止剤が好ましく用いられる。
ここで、「腐食」とは、金属(銀)がそれをとり囲む環境物質によって、化学的または電気化学的に浸食されるか若しくは材質的に劣化する現象をいう(JIS Z0103−2004参照)。
本発明のフィルムミラーは、前記接着層が酸化防止剤を含有し、かつ前記保護層が銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤を含有していることが好ましい。
なお、腐食防止剤の含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、一般的には、0.1〜1.0/m2の範囲内であることが好ましい。
〈銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤〉
銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤としては、アミン類及びその誘導体、ピロール環を有する化合物、トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物類、チオ尿素類、メルカプト基を有する化合物、ナフタレン系の少なくとも一種またはこれらの混合物から選ばれることが望ましい。
銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤としては、アミン類及びその誘導体、ピロール環を有する化合物、トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物類、チオ尿素類、メルカプト基を有する化合物、ナフタレン系の少なくとも一種またはこれらの混合物から選ばれることが望ましい。
アミン類及びその誘導体としては、エチルアミン、ラウリルアミン、トリ−n−ブチルアミン、O−トルイジン、ジフェニルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、アセトアミド、アクリルアミド、ベンズアミド、p−エトキシクリソイジン、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムサリシレート、モノエタノールアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンカーバメイト、ニトロナフタレンアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレート、シクロヘキシルアミンシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロヘキシルアンモニウムアクリレート、シクロヘキシルアミンアクリレート等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピロール環を有する物としては、N−ブチル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−3−ホルミル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−3,4−ジホルミル−2,5−ジメチルピロール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
トリアゾール環を有する化合物としては、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−メチル−1,2,3−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4,5,6,7−テトラハイドロトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピラゾール環を有する化合物としては、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリジン、ピラゾリドン、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、4−アミノピラゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チアゾール環を有する化合物としては、チアゾール、チアゾリン、チアゾロン、チアゾリジン、チアゾリドン、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、P−ジメチルアミノベンザルロダニン、2−メルカプトベンゾチアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
イミダゾール環を有する化合物としては、イミダゾール、ヒスチジン、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、4−フォルミルイミダゾール、2−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−フォルミルイミダゾール、4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
インダゾール環を有する化合物としては、4−クロロインダゾール、4−ニトロインダゾール、5−ニトロインダゾール、4−クロロ−5−ニトロインダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
銅キレート化合物類としては、アセチルアセトン銅、エチレンジアミン銅、フタロシアニン銅、エチレンジアミンテトラアセテート銅、ヒドロキシキノリン銅等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チオ尿素類としては、チオ尿素、グアニルチオ尿素等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
メルカプト基を有する化合物としては、すでに上記に記載した材料も加えれば、メルカプト酢酸、チオフェノール、1,2−エタンジオール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、グリコールジメルカプトアセテート、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ナフタレン系としては、チオナリド等が挙げられる。
〈酸化防止剤〉
本発明のフィルムミラーに用いられる銀反射層の腐食防止剤としては、酸化防止剤を用いることもできる。
本発明のフィルムミラーに用いられる銀反射層の腐食防止剤としては、酸化防止剤を用いることもできる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤及びホスファイト系酸化防止剤を使用することが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー〕、3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−2,4,8,10−テトラオキオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。特に、フェノール系酸化防止剤としては、分子量が550以上のものが好ましい。
チオール系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)等を挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4′−ビフェニレン−ジホスホナイト、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
なお、本発明においては、上記酸化防止剤と下記の光安定剤を併用することもできる。
ヒンダードアミン系の光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1−メチル−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2、6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、トリエチレンジアミン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン等が挙げられる。
その他ニッケル系紫外線安定剤として、〔2,2′−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)〕−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチル−ジチオカーバメート等も使用することが可能である。
特にヒンダードアミン系の光安定剤としては、3級のアミンのみを含有するヒンダードアミン系の光安定剤が好ましく、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、または1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール/トリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物が好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明においては、太陽熱や紫外線による劣化防止の目的で、紫外線吸収剤を添加することができる。前記樹脂基材上に設けられた構成層のうちいずれか一層に、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
本発明においては、太陽熱や紫外線による劣化防止の目的で、紫外線吸収剤を添加することができる。前記樹脂基材上に設けられた構成層のうちいずれか一層に、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤としては、フェニルサルチレート、2−4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。ヒンダードアミン系紫外線吸収剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、上記以外に紫外線の保有するエネルギーを、分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを、熱エネルギー等として放出する機能を有する化合物が含まれる。さらに、酸化防止剤あるいは着色剤等との併用で効果を発現するもの、あるいはクエンチャーと呼ばれる、光エネルギー変換剤的に作用する光安定剤等も併用することができる。但し、上記の紫外線吸収剤を使用する場合は、紫外線吸収剤の光吸収波長が、光重合開始剤の有効波長と重ならないものを選択する必要がある。
通常の紫外線防止剤を使用する場合は、可視光でラジカルを発生する光重合開始剤を使用することが有効である。
紫外線吸収剤の使用量は、0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。20質量%よりも多いと密着性が悪くなり、0.1質量%より少ないと耐候性改良効果が小さい。
(フィルムミラー全体の厚さ)
本発明のフィルムミラー全体の厚さは、ミラーがたわみ防止、正反射率、取り扱い性等の観点から、75〜250μmが好ましく、さらに好ましくは90〜230μm、さらに好ましくは100〜220μmである。
本発明のフィルムミラー全体の厚さは、ミラーがたわみ防止、正反射率、取り扱い性等の観点から、75〜250μmが好ましく、さらに好ましくは90〜230μm、さらに好ましくは100〜220μmである。
〔太陽熱発電用反射装置〕
本発明のフィルムミラーは、太陽熱を集光する目的に好ましく使用できる。フィルムミラー単体で太陽熱集光ミラーとして用いることもできるが、より好ましくは、樹脂基材を挟んで銀反射層を有する側と反対側の樹脂基材面に塗設された粘着層を介して、他の基材上に、特に金属基材上にフィルムミラーを貼り付けて太陽熱発電用反射装置として用いることである。
本発明のフィルムミラーは、太陽熱を集光する目的に好ましく使用できる。フィルムミラー単体で太陽熱集光ミラーとして用いることもできるが、より好ましくは、樹脂基材を挟んで銀反射層を有する側と反対側の樹脂基材面に塗設された粘着層を介して、他の基材上に、特に金属基材上にフィルムミラーを貼り付けて太陽熱発電用反射装置として用いることである。
太陽熱発電用反射装置として用いる場合、反射装置の形状を樋状(半円筒状)として、半円の中心部分に内部に流体を有する筒状部材を設け、筒状部材に太陽熱を集光させることで内部の流体を加熱し、その熱エネルギーを変換して発電する形態が一形態として挙げられる。また、平板状の反射装置を複数個所に設置し、それぞれの反射装置で反射された太陽熱を一枚の反射鏡(中央反射鏡)に集光させて、反射鏡により反射して得られた熱エネルギーを発電部で変換することで発電する形態も一形態として挙げられる。特に後者の形態においては、用いられる反射装置に高い正反射率が求められるため、本発明のフィルムミラーが特に好適に用いられる。
〈粘着層〉
粘着層としては、特に制限されず、例えばドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤等のいずれもが用いられる。
粘着層としては、特に制限されず、例えばドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤等のいずれもが用いられる。
例えばポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトリルゴム等が用いられる。
ラミネート方法は特に制限されず、例えばロール式で連続的に行うのが経済性及び生産性の点から好ましい。
粘着層の厚さは、粘着効果、乾燥速度等の観点から、通常1〜50μm程度の範囲であることが好ましい。
本発明に適宜採用される本発明のフィルムミラーと貼り合せられる他基材としては、銀反射層層の保護性を付与できるものであればよく、例えば、アクリルフィルムまたはシート、ポリカーボネートフィルムまたはシート、ポリアリレートフィルムまたはシート、ポリエチレンナフタレートフィルムまたはシート、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはシート、フッ素フィルム等のプラスチックフィルムまたはシート、または酸化チタン、シリカ、アルミニウム粉、銅粉等を練り込んだ樹脂フィルムまたはシート、これらを練り込んだ樹脂をコーティングしたり、金属蒸着等の表面加工を施した樹脂フィルムまたはシートが用いられる。
貼り合わせフィルムまたはシートの厚さは、特に制限はないが通常12〜250μmの範囲であることが好ましい。
また、これらの他基材は本発明のフィルムミラーと貼り合わせる前に凹部や凸部を設けてから貼り合せてもよく、貼り合せた後で凹部や凸部を有するように成形してもよく、貼り合わせと凹部や凸部を有するように成形することを同時にしてもよいものである。
〈金属基材〉
本発明に係る太陽熱集光ミラーの金属基材としては、鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム系合金めっき鋼板、銅めっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめっき鋼板、ステンレス鋼板等熱伝導率の高い金属材料を用いることができる。
本発明に係る太陽熱集光ミラーの金属基材としては、鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム系合金めっき鋼板、銅めっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめっき鋼板、ステンレス鋼板等熱伝導率の高い金属材料を用いることができる。
本発明においては、特に耐食性の良好なめっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板等にすることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔フィルムミラーの作製〕
(フィルムミラー1の作製)
樹脂基材として、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)を用いた。このポリエチレンテレフタレートフィルムのTgをDSC(示差走査熱分析)法により、昇温速度10℃/minで測定したところ80℃であった。上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、ポリエステル樹脂(ポリエスター SP−181、日本合成化学社製)、メラミン樹脂(スーパーベッカミンJ−820、DIC社製)、TDI系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)、HMDI系イソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率で20:1:1:2に混合した樹脂中に、さらに腐食防止剤としてグリコールジメルカプトアセテートを塗布後に0.2g/m2となるよう調整した量を添加し、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ0.1μmの接着層を形成した。さらに接着層上に、銀反射層として、真空蒸着法により厚さ80nmの銀反射層を形成し、銀反射層上に、ポリエステル樹脂(ポリエスター SP−181、日本合成化学社製)とTDI系イソシアネートを樹脂固形分比率で10:2に混合した樹脂中に、さらにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、Tinuvin 928(チバ・ジャパン社)を塗布後に0.3g/m2となるよう調整した量を添加し、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ0.1μmの保護層を形成し、フィルムミラー1を得た。
(フィルムミラー1の作製)
樹脂基材として、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)を用いた。このポリエチレンテレフタレートフィルムのTgをDSC(示差走査熱分析)法により、昇温速度10℃/minで測定したところ80℃であった。上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、ポリエステル樹脂(ポリエスター SP−181、日本合成化学社製)、メラミン樹脂(スーパーベッカミンJ−820、DIC社製)、TDI系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)、HMDI系イソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率で20:1:1:2に混合した樹脂中に、さらに腐食防止剤としてグリコールジメルカプトアセテートを塗布後に0.2g/m2となるよう調整した量を添加し、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ0.1μmの接着層を形成した。さらに接着層上に、銀反射層として、真空蒸着法により厚さ80nmの銀反射層を形成し、銀反射層上に、ポリエステル樹脂(ポリエスター SP−181、日本合成化学社製)とTDI系イソシアネートを樹脂固形分比率で10:2に混合した樹脂中に、さらにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、Tinuvin 928(チバ・ジャパン社)を塗布後に0.3g/m2となるよう調整した量を添加し、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ0.1μmの保護層を形成し、フィルムミラー1を得た。
(フィルムミラー2、3の作製)
フィルムミラー1の作製において、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)を、2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ100μm)、TINUVIN928(チバ・ジャパン社製)を9質量%含有するポリメチルメタクリレートフィルム(厚さ100μm)に代えた以外は同様にして、フィルムミラー2、3を得た。このポリエチレンナフタレートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムのTgはそれぞれ120℃、105℃であった。
フィルムミラー1の作製において、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)を、2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ100μm)、TINUVIN928(チバ・ジャパン社製)を9質量%含有するポリメチルメタクリレートフィルム(厚さ100μm)に代えた以外は同様にして、フィルムミラー2、3を得た。このポリエチレンナフタレートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムのTgはそれぞれ120℃、105℃であった。
〔太陽熱発電用反射装置の作製〕
(太陽熱発電用反射装置1〜3の作製)
上記作製したフィルムミラー1〜3を、市販のホットカッターを用い、カッター刃の温度を150℃に加熱した状態で、縦4cm×横4cmに切り出し、厚さ0.1mmで、縦4cm×横5cmのステンレス(SUS304)板上に、樹脂基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムまたはポリメチルメタクリレートフィルム)面を上面にして、厚さ3μmの粘着層を介して貼り付け、それぞれ太陽熱熱発電用反射装置1〜3を作製した。
(太陽熱発電用反射装置1〜3の作製)
上記作製したフィルムミラー1〜3を、市販のホットカッターを用い、カッター刃の温度を150℃に加熱した状態で、縦4cm×横4cmに切り出し、厚さ0.1mmで、縦4cm×横5cmのステンレス(SUS304)板上に、樹脂基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムまたはポリメチルメタクリレートフィルム)面を上面にして、厚さ3μmの粘着層を介して貼り付け、それぞれ太陽熱熱発電用反射装置1〜3を作製した。
(太陽熱発電用反射装置4〜6の作製)
上記作製したフィルムミラー1〜3を、市販のホットカッターを用い、カッター刃の温度を200℃に加熱した状態で、縦4cm×横4cmに切り出し、厚さ0.1mmで、縦4cm×横5cmのステンレス(SUS304)板上に、樹脂基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムまたはポリメチルメタクリレートフィルム)面を上面にして、厚さ3μmの粘着層を介して貼り付け、それぞれ太陽熱熱発電用反射装置4〜6を作製した。
上記作製したフィルムミラー1〜3を、市販のホットカッターを用い、カッター刃の温度を200℃に加熱した状態で、縦4cm×横4cmに切り出し、厚さ0.1mmで、縦4cm×横5cmのステンレス(SUS304)板上に、樹脂基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムまたはポリメチルメタクリレートフィルム)面を上面にして、厚さ3μmの粘着層を介して貼り付け、それぞれ太陽熱熱発電用反射装置4〜6を作製した。
(太陽熱発電用反射装置7〜9の作製)
上記作製したフィルムミラー1〜3を、市販のホットカッターを用い、カッター刃の温度を加熱しないで(室温で)、縦4cm×横4cmに切り出し、厚さ0.1mmで、縦4cm×横5cmのステンレス(SUS304)板上に、樹脂基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムまたはポリメチルメタクリレートフィルム)面を上面にして、厚さ3μmの粘着層を介して貼り付け、それぞれ太陽熱熱発電用反射装置7〜9を作製した。
上記作製したフィルムミラー1〜3を、市販のホットカッターを用い、カッター刃の温度を加熱しないで(室温で)、縦4cm×横4cmに切り出し、厚さ0.1mmで、縦4cm×横5cmのステンレス(SUS304)板上に、樹脂基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムまたはポリメチルメタクリレートフィルム)面を上面にして、厚さ3μmの粘着層を介して貼り付け、それぞれ太陽熱熱発電用反射装置7〜9を作製した。
〔太陽熱発電用反射装置の評価〕
上記で得られた太陽熱発電用反射装置について、下記の方法により正反射率及び耐候性の評価を行った。
上記で得られた太陽熱発電用反射装置について、下記の方法により正反射率及び耐候性の評価を行った。
(正反射率)
島津製作所社製の分光光度計「UV265」に、積分球反射付属装置を取り付けたものを改造し、反射面の法線に対して、入射光の入射角を5°となるように調整し、反射角5°の正反射率を測定した。また測定エリアを1cmφとし、上記4cm×4cmのミラーを2cm×2cm×4面に4等分した各面の中心が測定エリアの中心と重なるようにして、1枚のミラーに対して計4点を測定し平均を求めた。また測定波長は、350nmから700nmまでとし、この範囲での平均反射率として測定を行った。
島津製作所社製の分光光度計「UV265」に、積分球反射付属装置を取り付けたものを改造し、反射面の法線に対して、入射光の入射角を5°となるように調整し、反射角5°の正反射率を測定した。また測定エリアを1cmφとし、上記4cm×4cmのミラーを2cm×2cm×4面に4等分した各面の中心が測定エリアの中心と重なるようにして、1枚のミラーに対して計4点を測定し平均を求めた。また測定波長は、350nmから700nmまでとし、この範囲での平均反射率として測定を行った。
(耐候性試験後の正反射率)
85℃、95%RHの条件で45日間放置後、フィルムミラーの正反射率を、上記正反射率と同様の方法で測定し、強制劣化前のフィルムミラーの正反射率と強制劣化後のフィルムミラーの正反射率から、強制劣化による正反射率の低下率を算出した。
85℃、95%RHの条件で45日間放置後、フィルムミラーの正反射率を、上記正反射率と同様の方法で測定し、強制劣化前のフィルムミラーの正反射率と強制劣化後のフィルムミラーの正反射率から、強制劣化による正反射率の低下率を算出した。
評価の結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の太陽熱発電用反射装置の耐候性は、比較例の太陽熱発電用反射装置の耐候性に対して優れていることが分かる。すなわち、本発明の上記手段により、構成層の劣化に伴う銀反射層の正反射率の低下を防止するとともに、軽量で柔軟性があり、製造コストを抑え、大面積化・大量生産することのできる耐候性に優れ、太陽熱に対して良好な正反射率を有するフィルムミラーを用いた太陽熱発電用反射装置が得られることが分かる。
Claims (3)
- 樹脂基材と、該樹脂基材上に少なくとも銀反射層及び保護層を有するフィルムミラーの製造方法であって、該フィルムミラーを切断する工程において工具のフィルムミラーに接する部分の温度が、該樹脂基材を構成する樹脂のガラス転移温度より高いことを特徴とするフィルムミラーの製造方法。
- 請求項1に記載のフィルムミラーの製造方法により得られたことを特徴とするフィルムミラー。
- 請求項2に記載のフィルムミラーを用いることを特徴とする太陽熱発電用反射装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010021058A JP2011158752A (ja) | 2010-02-02 | 2010-02-02 | フィルムミラー、その製造方法及び太陽熱発電用反射装置 |
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JP (1) | JP2011158752A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014051058A1 (ja) | 2012-09-28 | 2014-04-03 | 富士フイルム株式会社 | フィルムミラーおよびそれに用いる複合フィルム |
WO2014155860A1 (ja) * | 2013-03-25 | 2014-10-02 | 富士フイルム株式会社 | ミラーユニット及びそれを用いた太陽光反射板 |
WO2018207623A1 (ja) * | 2017-05-10 | 2018-11-15 | コニカミノルタ株式会社 | 反射フィルム、反射光学素子、反射光学素子の成形方法及び反射フィルムの製造方法 |
-
2010
- 2010-02-02 JP JP2010021058A patent/JP2011158752A/ja active Pending
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WO2018207623A1 (ja) * | 2017-05-10 | 2018-11-15 | コニカミノルタ株式会社 | 反射フィルム、反射光学素子、反射光学素子の成形方法及び反射フィルムの製造方法 |
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