JP2015121806A - フィルムミラー、その製造方法、及び太陽光集光用フィルムミラー - Google Patents

フィルムミラー、その製造方法、及び太陽光集光用フィルムミラー Download PDF

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Abstract

【課題】反射率が高く、かつ耐久性・防汚性が高いフィルムミラーおよびその製造方法を提供する。フィルムミラーを太陽熱発電用反射装置に用いた場合、熱発電効率を長期に維持できる太陽光集光用フィルムミラーを提供する。
【解決手段】樹脂基材3上にアンカー層4、金属反射層5、腐食防止層6、紫外線吸収層7、無機ガスバリア層8、防汚ハードコート層9の順で積層されており、樹脂基材の光入射側と反対側の面に粘着層2を設けたフィルムミラーの製造方法であって、金属反射層の光入射側に、樹脂フィルムを貼り合わせることで設けられた層を有さず、無機ガスバリア層の光入射側の最外層の防汚ハードコート層が、樹脂膜で構成されており、無機ガスバリア層を、無機酸化物の前駆体を塗布した後に、塗布膜を加熱及び/又は紫外線照射により無機酸化物膜として形成する工程を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、フィルムミラー、その製造方法、及びそれを用いた太陽光集光用フィルムミラーに関する。
近年、石油、天然ガス等の化石燃料エネルギーの代替エネルギーとして、自然エネルギーの利用が検討されている。その中でも、化石燃料の代替エネルギーとして最も安定しており、エネルギー量の多い太陽エネルギーが注目されている。
しかしながら、太陽エネルギーは非常に有力な代替エネルギーであるものの、これを活用する観点からは、(1)太陽エネルギーのエネルギー密度が低いこと、並びに(2)太陽エネルギーの貯蔵及び移送が困難であることが、問題となると考えられる。
現在では、太陽電池の研究・開発が盛んに行われており、太陽光の利用効率も上昇してきているが、未だ十分な回収効率に達していない。
太陽光をエネルギーに変換する別方式として、太陽光を集めて得られた熱を媒体として発電する、太陽熱発電が注目されている。この方式を用いれば、昼夜を問わず、発電が可能である上、長期視野でみれば、発電効率は太陽電池より高いと考えられるため、太陽光を有効に利用できる。
現在、太陽熱発電に用いられている反射鏡として、ガラス基材を利用したガラスミラーが用いられている。ガラスミラーは環境に対する耐久性が高い反面、重量がある、体積が大きい、輸送コストがかかる、設置が難しい、割れやすい等の問題がある。
そこで、上記問題を解決するために、反射層を銀とし、ガラス製であった表面封止層を樹脂製である高分子フィルムに置き換えたフィルムミラーが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
高分子フィルムは、太陽光、特に380nm以下の紫外線によって劣化することが知られており、その対策として特許文献1及び特許文献2に記載の高分子フィルムには紫外線吸収剤が配合されている。これらのフィルムミラーの正反射率を分光光度計にて2500nmから250nmの範囲で測定してみると、紫外域反射率とともに1600nmより長い波長の赤外域の反射率においても銀そのものの反射率より低下がみられた(図2参照。)。例えば、図2に示されている2.125μmPET/Agの場合、赤外域の吸収は高分子の振動吸収によるもので。樹脂材料固有の吸収である。
図1に見られるように、太陽光の照射スペクトルは2500nmから観測される。熱発電用に太陽光エネルギーを使用する場合、表面封止層に1600nmから2500nmの赤外域の吸収があると熱発電効率低下につながり好ましくない。
さらに、この高分子フィルムは、酸素、水蒸気といった気体に対してはガラスよりも透過性が高く、雨、露にさらされる環境では経年とともに金属反射層へ浸透してしまう。
高分子フィルムそれぞれの気体拡散係数Dは異なるが、拡散時間は高分子フィルムの厚さに比例しており、厚いフィルムであればあるほど金属反射層を劣化させる気体の浸透は遅くなるため耐用年数は長くなる。しかし、高分子フィルムの厚さが厚くなると上述した赤外域の吸収断面積が多くなるため、熱発電効率は低下する。耐久性向上と熱発電効率維持はトレードオフであった。
そこで、樹脂基板の表面に、金属酸化物で金属反射層を被覆するという射出成形プラスチックミラーが開発された(例えば特許文献3参照。)。この射出成形プラスチックミラーは、紫外域から赤外域まで平均90%以上の高い反射率を持っていた。
そこで、大面積ミラーに対応させるために、特許文献2において、高分子フィルム表面に銀鏡を形成しその表面を金属酸化物で被覆する構成のフィルムミラーを作製した。
しかし、金属酸化物を最表面に配置する構成をフィルムに適用すると、フィルム屈曲時に金属酸化物にクラックが生じるということが分かった。
特許文献3に開示されている技術は、射出成形プラスチックミラーでは問題は無かったが、大面積のフィルムを生産するためのロールtoロール方式には適応不可能であった。発生したクラックから酸素、水蒸気が入り込むことが分かり金属反射層は腐食変色する。また、一旦クラックの入った金属酸化物被覆フィルムミラーは耐久性が無いことが分かった。
特許第3447175号明細書 特表2009−520174号公報 特許第3206957号明細書
本発明は、上記問題・状況にかんがみてなされたものであり、その解決課題は、従来のフィルムミラーよりも反射率が高く、かつ耐久性・防汚性が高いフィルムミラー、その製造方法を提供することである。さらに、当該フィルムミラーを太陽熱発電用反射装置に用いた場合、熱発電効率を長期に維持できる太陽光集光用フィルムミラーを提供することである。
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.樹脂基材上に、アンカー層、金属反射層、腐食防止層、紫外線吸収層、無機ガスバリア層、防汚ハードコート層の順で積層されており、前記樹脂基材の光入射側と反対側の面に粘着層を設けたフィルムミラーの製造方法であって、
当該金属反射層の光入射側に、樹脂フィルムを貼り合わせることで設けられた層を有さず、前記無機ガスバリア層の光入射側の最外層の防汚ハードコート層が、樹脂膜で構成されており、
前記無機ガスバリア層を、無機酸化物の前駆体を塗布した後に、塗布膜を加熱及び/又は紫外線照射により無機酸化物膜として形成する工程を有することを特徴とするフィルムミラーの製造方法。
2.前記無機ガスバリア層が、酸化珪素、酸化アルミニウム、及び酸化珪素と酸化アルミニウムの二種混合体、から選ばれる金属酸化物を含有することを特徴とする前記第1項に記載のフィルムミラーの製造方法。
3.前記金属反射層が、銀を主成分とする金属薄膜からなることを特徴とする前記第1項又は第2項に記載のフィルムミラーの製造方法。
4.前記腐食防止層が、チオエーテル系、チオール系、ベンゾトリアゾール系、イミダゾール系、オキサゾール系、テトラザインデン系、ピリミジン系、及び、チアジアゾール系化合物から選ばれる化合物を含有することを特徴とする前記第1項から第3項までのいずれか一項に記載のフィルムミラーの製造方法。
5.前記金属反射層を銀蒸着によって形成する工程を有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のフィルムミラーの製造方法。
6.前記第1項から第5項までのいずれか一項に記載の製造方法により得られたフィルムミラーが、支持体上に具備されていることを特徴とする太陽光集光用フィルムミラー。
本発明の上記手段により、従来のフィルムミラーよりも反射率が高く、かつ耐久性・防汚性が高いフィルムミラー、その製造方法を提供することができる。さらに、当該フィルムミラーを太陽熱発電用反射装置に用いた場合、熱発電効率を長期に維持できる太陽光集光用フィルムミラーを提供することができる。
従来は、耐候性を維持するため、ミラー表面に樹脂フィルムを貼り合わせることで、保護フィルムを設けていた。しかし、本発明では、太陽光入射側に樹脂フィルムを貼り合わせず、代わりに最外層と金属反射層の間に無機ガスバリア層を設け、無機ガスバリア層の保護のために、最外層(「最表層」ともいう。)を設けることで耐久性と透過率の両方を維持することができる。この最外層としては、数μm程の厚さの防汚ハードコート層が好ましく用いられる。
すなわち、これまでに提案されているフィルムミラーは、数十μmの厚い樹脂フィルムを、金属反射層の太陽光入射側面側に貼りつけることで、酸素や水蒸気等のガス分子の透過を抑えて、銀の腐食を抑えていた。しかし、厚い樹脂フィルム層を設けると光線透過率が低下し、特に1600nmから2500nmの波長の透過率が低下する。この領域の波長は、太陽熱発電の熱媒体の蓄熱量に大きく影響を与えるため、この領域の反射率が上昇することで、発電量が大きく上昇する。
そこで、本発明では、太陽光入射側面の最外層と金属(例えば、銀)反射層の間に無機ガスバリア層を設けることで、金属層(銀層)を外部因子からの腐食から保護した。
無機ガスバリア層は、屈曲や衝撃などに弱いため、保護のために、無機ガスバリア層の上層には、最外層が設けられるため、本発明によるフィルムミラーは、長期間において、高い反射率を保持できることが分かった。
太陽光の照射スペクトル範囲を示す図面である。 ミラーの分光反射率を示す図面である。 本発明の代表的なフィルムミラーの一例を示す断面図である。
本発明のフィルムミラーの製造方法は、樹脂基材上に、アンカー層、金属反射層、腐食防止層、紫外線吸収層、無機ガスバリア層、防汚ハードコート層の順で積層されており、前記樹脂基材の光入射側と反対側の面に粘着層を設けたフィルムミラーの製造方法であって、当該金属反射層の光入射側に、樹脂フィルムを貼り合わせることで設けられた層を有さず、前記無機ガスバリア層の光入射側の最外層の防汚ハードコート層が、樹脂膜で構成されており、前記無機ガスバリア層を、無機酸化物の前駆体を塗布した後に、塗布膜を加熱及び/又は紫外線照射により無機酸化物膜として形成する工程を有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項6までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記無機ガスバリア層が、酸化珪素、酸化アルミニウム、及び酸化珪素と酸化アルミニウムの二種混合体、から選ばれる金属酸化物を含有することが好ましい。さらに、前記無機ガスバリア層の光入射側に積層された最外層として、防汚ハードコート層を有することが好ましい。
本発明においては、前記金属反射層が、銀を主成分とする金属薄膜からなることが好ましい。また、前記樹脂基材の光入射側に積層して設けられたフィルムミラー構成層の内、いずれか一層に紫外線吸収剤を含有することが好ましい。さらに、前記金属反射層と隣接する腐食防止剤層を有し、かつ当該腐食防止剤層が、チオエーテル系、チオール系、Ni配位型有機化合物、ベンゾトリアゾール系、イミダゾール系、オキサゾール系、テトラザインデン系、ピリミジン系、及び、チアジアゾール系化合物から選ばれる化合物を含有することが好ましい。
本発明においては、前記樹脂基材の光入射側と反対側の面に粘着層を有する態様であることが好ましい。
本発明のフィルムミラーを製造するフィルムミラーの製造方法としては、前記光反射層を銀蒸着によって形成する工程を有する態様の製造方法であることが好ましい。
本発明のフィルムミラーは、太陽光集光用フィルムミラーに好適に用いることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
(本発明のフィルムミラーと太陽光集光用フィルムミラーの構成概要)
本発明のフィルムミラーと太陽光集光用フィルムミラーの構成概要を、図3を用いて説明する。
本発明のフィルムミラーの典型的構成態様は、樹脂基材3上に、構成層として少なくとも、金属(例えば、銀)反射層5を有し、その上層にガスバリア層8、最外層に防汚ハードコート層9を有した態様である。
また、本発明のフィルムミラーないし太陽光集光用フィルムミラーの構成態様層としては、金属反射層5、ガスバリア層8の他に、紫外線吸収層7、腐蝕防止層6、金属層4、粘着層2、支持体1を設けることも好ましい態様である。
(無機ガスバリア層)
本発明のフィルムミラーは、樹脂基材上に金属反射射層を有するフィルムミラーであって、当該金属反射層の光入射側に、樹脂フィルムを貼り合わせた層を有さず、前記金属反射層の光入射側の最外層と前記金属反射層との間に、無機ガスバリア層を有することを特徴とする。
本発明に係る無機ガスバリア層(単に「ガスバリア層」ともいう。)は、湿度の変動、特に高湿度による樹脂基材及び当該樹脂基材で保護される各種機能素子等の劣化を防止するためのものであるが、特別の機能・用途を持たせたものであっても良く、上記特徴を維持する限りにおいて、種々の態様のガスバリア層を設けることができる。
当該ガスバリア層の防湿性としては、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が、100g/m・day/μm以下、好ましくは50g/m・day/μm以下、更に好ましくは20g/m・day/μm以下となるように当該ガスバリア層の防湿性を調整することが好ましい。
また。酸素透過度としては、測定温度23℃、湿度90%RHの条件下で、0.6ml/m/day/atm以下であることが好ましい。
本発明に係るガスバリア層に関しては、その形成方法において特に制約は無いが、無機酸化物の前駆体を塗布した後に、塗布膜を加熱及び/又は紫外線照射により、無機酸化物膜を形成する方法が好ましく用いられる。
〈無機酸化物〉
前記無機酸化物は、前記有機金属化合物を原料とするゾルから局所的加熱により形成されたものであることが好ましい。したがって、有機金属化合物に含有されているケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ニオブ(Nb)等の元素の酸化物であることを特徴とする。
例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等である。これらのうち、好ましくは、酸化ケイ素である。
本発明において、無機酸化物を形成する方法としては、いわゆるゾル−ゲル法又はポリシラザン法を用いることが好ましい。当該ゾルゲル法は無機酸化物の前駆体である有機金属化合物から無機酸化物を形成する方法であり、ポリシラザン法は無機酸化物の前駆体であるポリシラザンから無機酸化物を形成する方法である。
〈無機酸化物の前駆体〉
前記ガスバリア層は、加熱により無機酸化物を形成する前駆体を塗布した後に、一般的な加熱方法が適用して形成することできるが、局所的加熱により形成することが好ましい。当該前駆体は、ゾル状の有機金属化合物又はポリシラザンが好ましい。
〈有機金属化合物〉
前記有機金属化合物は、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、リチウム(Li)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、及びニオブ(Nb)のうちの少なくとも一つの元素を含有することが好ましい。特に、当該有機金属化合物が、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、リチウム(Li)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、及びバリウム(Ba)のうちの少なくとも一つの元素を含有することが好ましい。さらに、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、及びリチウム(Li)のうちの少なくとも一つの元素を含有することが好ましい。
当該有機金属化合物としては、加水分解が可能なものであればよく、特に限定されるものではないが、好ましい有機金属化合物としては、金属アルコキシドが挙げられる。
前記金属アルコキシドは、下記一般式(I)で表される。
一般式(I):MR (ORn−m
前記一般式(I)において、Mは、酸化数nの金属を表す。R及びRは、各々独立に、アルキル基を表す。mは、0〜(n−1)の整数を表す。R及びRは、同一でもよく、異なっていてもよい。R及びRとしては、炭素原子4個以下のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基CH(以下、Meで表す。)、エチル基C(以下、Etで表す)、プロピル基C(以下、Prで表す。)、イソプロピル基i−C(以下、i−Prで表す。)、ブチル基C(以下、Buで表す)、イソブチル基i−C(以下、i−Buで表す)等の低級アルキル基がより好ましい。
前記一般式(I)で表される金属アルコキシドとしては、例えば、リチウムエトキシドLiOEt、ニオブエトキシドNb(OEt)、マグネシウムイソプロポキシドMg(OPr−i)、アルミニウムイソプロポキシドAl(OPr−i)、亜鉛プロポキシドZn(OPr)、テトラエトキシシランSi(OEt)、チタンイソプロポキシドTi(OPr−i)、バリウムエトキシドBa(OEt)、バリウムイソプロポキシドBa(OPr−i)、トリエトキシボランB(OEt)、ジルコニウムプロポキシドZn(OPr)、ランタンプロポキシドLa(OPr)、イットリウムプロポキシドY(OPr)、鉛イソプロポキシドPb(OPr−i)等が好適に挙げられる。これらの金属アルコキシドは何れも市販品があり、容易に入手することができる。また、金属アルコキシドは、部分的に加水分解して得られる低縮合物も市販されており、これを原料として使用することも可能である。
〈ゾル−ゲル法〉
ここで、「ゾル−ゲル法」とは、有機金属化合物を加水分解すること等により、水酸化物のゾルを得て、脱水処理してゲルとし、さらにこのゲルを加熱処理することで、ある一定の形状(フィルム状、粒子状、繊維状等)の金属酸化物ガラスを調製する方法をいう。異なる複数のゾル溶液を混合する方法、他の金属イオンを添加する方法等により、多成分系の金属酸化物ガラスを得ることも可能である。
具体的には、下記工程を有するゾル−ゲル法で、無機酸化物を製造することが好ましい。
すなわち、少なくとも水及び有機溶媒を含有する反応液中で、ホウ素イオン存在下にてハロゲンイオンを触媒として、pHを4.5〜5.0に調整しながら、有機金属化合物を加水分解及び脱水縮合して反応生成物を得る工程、及び当該反応生成物を200℃以下の温度で加熱してガラス化する工程、を有するゾル−ゲル法により製造されてなることが、高温熱処理による微細孔の発生や膜の劣化等が発生しないという観点から、特に好ましい。
前記ゾル−ゲル法において、原料として用いられる有機金属化合物としては、加水分解が可能なものであればよく、特に限定されるものではないが、好ましい有機金属化合物としては、前記金属アルコキシドが挙げられる。
上記ゾル−ゲル法において、前記有機金属化合物は、そのまま反応に用いてもよいが、反応の制御を容易にするため溶媒で希釈して用いることが好ましい。希釈用溶媒は、前記有機金属化合物を溶解することができ、かつ水と均一に混合することができるものであればよい。そのような希釈用溶媒としては、脂肪族の低級アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びそれらの混合物が好適に挙げられる。また、ブタノールとセロソルブとブチルセロソルブの混合溶媒、あるいはキシロールとセロソルブアセテートとメチルイソブチルケトンとシクロヘキサンの混合溶媒などを使用することもできる。
前記有機金属化合物において、金属がCa、Mg、Al等である場合には、反応液中の水と反応して水酸化物を生成したり、炭酸イオンCO 2−が存在すると炭酸塩を生成して沈殿を生ずるため、反応液に隠蔽剤としてトリエタノールアミンのアルコール溶液を添加することが好ましい。溶媒に混合溶解するときの前記有機金属化合物の濃度としては、70質量%以下が好ましく、5〜70質量%の範囲に希釈して使用することがより好ましい。
前記ゾル−ゲル法において用いられる反応液は、少なくとも水及び有機溶媒を含有する。前記有機溶媒としては、水及び酸、アルカリと均一な溶液をつくるものであればよく、通常、前記有機金属化合物の希釈に用いる脂肪族の低級アルコール類と同様のものが好適に挙げられる。前記脂肪族の低級アルコール類の中でも、メタノール、エタノールより、炭素数の多いプロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及びイソブタノールが好ましい。これは、生成する金属酸化物ガラスの膜の成長が安定であるためである。前記反応液において、水の割合としては、水の濃度として0.2〜50mol/Lの範囲が好ましい。
前記ゾル−ゲル法においては、前記反応液中において、ホウ素イオンの存在下にて、ハロゲンイオンを触媒として、有機金属化合物を加水分解する。前記ホウ素イオンB3+を与える化合物としては、トリアルコキシボランB(OR)が好適に挙げられる。その中でも、トリエトキシボランB(OEt)がより好ましい。また、前記反応液中のB3+イオン濃度としては、1.0〜10.0mol/Lの範囲が好ましい。
前記ハロゲンイオンとしては、フッ素イオン及び/又は塩素イオンが好適に挙げられる。即ち、フッ素イオン単独、塩素イオン単独でもよく、これらの混合物でもよい。用いる化合物としては、上記反応液中でフッ素イオン及び/又は塩素イオンを生ずるものであればよく、例えば、フッ素イオン源として、フッ化水素アンモニウムNHHF・HF、フッ化ナトリウムNaF等が好適に挙げられ、塩素イオン源として、塩化アンモニウムNHCl等が好適に挙げられる。
前記反応液中の前記ハロゲンイオンの濃度としては、製造しようとする無機マトリックスを有する無機組成物からなるフィルムの膜厚や、その他の条件によって異なるが、一般的には、触媒を含む前記反応液の合計質量に対して、0.001〜2mol/kg、特に0.002〜0.3mol/kgの範囲が好ましい。ハロゲンイオンの濃度が0.001mol/kgより低いと、有機金属化合物の加水分解が十分に進行し難くなり、膜の形成が困難となる。又はハロゲンイオンの濃度が2mol/kgを超えると、生成する無機マトリックス(金属酸化物ガラス)が不均一になり易いため、いずれも好ましくない。
なお、反応時に使用したホウ素に関しては、得られる無機マトリックスの設計組成中にB成分として含有させる場合は、その含有量に応じた有機ホウ素化合物の計算量を添加したまま生成物とすればよく、またホウ素を除去したいときは、成膜後、溶媒としてのメタノールの存在下、又はメタノールに浸漬して加熱すればホウ素はホウ素メチルエステルとして蒸発させて除去することができる。
前記有機金属化合物を、加水分解及び脱水縮合して反応生成物を得る工程においては、通常所定量の前記有機金属化合物を所定量の水及び有機溶媒を含有する混合溶媒に混合溶解した主剤溶液、ならびに所定量の前記ハロゲンイオンを含有する所定量の反応液を、所定の比で混合し十分に攪拌して均一な反応溶液とした後、酸又はアルカリで反応溶液のpHを希望の値に調整し、数時間熟成することにより進行させて反応生成物を得る。前記ホウ素化合物は、主剤溶液又は反応液に予め所定量を混合溶解しておく。また、アルコキシボランを用いる場合は、他の有機金属化合物と共に主剤溶液に溶解するのが有利である。
前記反応溶液のpHは、目的によって選択され、無機マトリックス(金属酸化物ガラス)を有する無機組成物からなる膜(フィルム)の形成を目的とするときは、例えば、塩酸等の酸を用いてpHを4.5〜5の範囲に調整して熟成するのが好ましい。この場合は、例えば、指示薬としてメチルレッドとブロモクレゾールグリーンとを混合したもの等を用いると便利である。
なお、前記ゾル−ゲル法においては、同一成分の同一濃度の主剤溶液、及び反応液(B3+及びハロゲンイオンを含む。)を所定のpHに調性しながら、逐次同一割合で追加添加することにより簡単に継続して、反応生成物を製造することもできる。なお、前記反応溶液の濃度は±50質量%の範囲で、水(酸又はアルカリを含む。)の濃度は、±30質量%の範囲で、及びハロゲンイオンの濃度は±30質量%の範囲で変化させることができる。
次に、前工程で得られた反応生成物(熟成後の反応溶液)を、200℃以下の温度に加熱して乾燥しガラス化させる。加熱にあたって、特に50〜70℃の温度区間を注意して徐々に昇温して、予備乾燥(溶媒揮散)工程を経た後さらに昇温することが好ましい。この乾燥は、膜形成の場合、無孔化膜とするために重要である。予備乾燥工程後、加熱し乾燥する温度としては、70〜150℃が好ましく、80〜130℃がより好ましい。
〈ポリシラザン法〉
前記前駆体が、ポリシラザンを含有する場合は、下記一般式(II)で表されるポリシラザン及び有機溶剤中に必要に応じて触媒を含む溶液を塗布し、この溶剤を蒸発させて除去し、それによって樹脂基材上に0.05〜3.0μmの層厚を有するポリシラザン層を残し、そして、水蒸気を含む雰囲気中で酸素、活性酸素、場合によっては、及び窒素の存在下に、上記のポリシラザン層を、局所的加熱することによって、当該樹脂基材上にガラス様の透明な被膜を形成する方法を採用することが好ましい。
一般式(II):−(SiR−NR
[式中、R、R、及びRは、同一か又は異なり、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基、好ましくは水素、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、フェニル、ビニル又は3−(トリエトキシシリル)プロピル、3−(トリメトキシシリルプロピル)からなる群から選択される基を表し、この際、nは整数であり、そしてnは、当該ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。]
触媒としては、好ましくは、塩基性触媒、特にN,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン又はN−複素環式化合物が使用される。触媒濃度は、ポリシラザンを基準にして通常0.1〜10モル%、好ましくは0.5〜7モル%の範囲である。
好ましい態様の一つでは、R、R及びRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザンを含む溶液が使用される。
さらに別の好ましい態様の一つでは、本発明によるコーティングは、下記一般式(III)の少なくとも一種のポリシラザンを含む。
一般式(III):−(SiR−NR−(SiR−NR
[式中、R、R、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、この際、n及びpは整数であり、そしてnは、当該ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。]
特に好ましいものは、R、R及びRが水素を表し、そしてR、R及びRがメチルを表す化合物、R、R及びRが水素を表し、そしてR、Rがメチルを表し、そしてRがビニルを表す化合物、R、R、R及びRが水素を表し、そしてR及びRがメチルを表す化合物である。
また、下記一般式(IV)の少なくとも一種のポリシラザンを含む溶液も同様に好ましい。
一般式(IV):−(SiR−NR−(SiR−NR−(SiR−NR
[上記式中、R、R、R、R、R、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、あるいは場合によっては置換されたアルキル基、アリール基、ビニル基又は(トリアルコキシシリル)アルキル基を表し、この際、n、p及びqは整数であり、そしてnは、当該ポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められる。]
特に好ましいものは、R、R及びRが水素を表し、そしてR、R、R及びRがメチルを表し、Rが(トリエトキシシリル)プロピルを表し、そしてRがアルキル又は水素を表す化合物である。
溶剤中のポリシラザンの割合は、一般的には、ポリシラザン1〜80質量%、好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。
溶剤としては、特に、水及び反応性基(例えばヒドロキシル基又はアミン基)を含まずそしてポリシラザンに対して不活性の有機系で好ましくは非プロトン性の溶剤が好適である。これは、例えば、脂肪族又は芳香族炭化水素、ハロゲン炭化水素、エステル、例えば酢酸エチル又は酢酸ブチル、ケトン、例えばアセトン又はメチルエチルケトン、エーテル、例えばテトラヒドロフラン又はジブチルエーテル、並びにモノ−及びポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)又はこれらの溶剤からなる混合物である。
上記ポリシラザン溶液の追加の成分は、塗料の製造に慣用されているもののような更に別のバインダーであることができる。これは、例えば、セルロースエーテル及びセルロースエステル、例えばエチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート又はセルロースアセトブチレート、天然樹脂、例えばゴム若しくはロジン樹脂、又は合成樹脂、例えば重合樹脂若しくは縮合樹脂、例えばアミノプラスト、特に尿素樹脂及びメラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル若しくは変性ポリエステル、エポキシド、ポリイソシアネート若しくはブロック化ポリイソシアネート、又はポリシロキサンである。
当該ポリシラザン調合物の更に別の成分は、例えば、調合物の粘度、下地の濡れ、成膜性、潤滑作用又は排気性に影響を与える添加剤、あるいは無機ナノ粒子、例えばSiO、TiO、ZnO、ZrO又はAlであることができる。
本発明の方法を用いることによって、亀裂及び孔が無いためにガスに対する高いバリア作用に優れる緻密なガスバリア層を形成することができ、金属反射層の劣化を防止することができる。
形成される被膜の厚さは、10nm〜2μmの範囲内にすることが好ましい。
(防汚ハードコート層)
本発明においては、フィルムミラーの防汚ハードコート層は、防汚性とハードコート性の両方を有する。「防汚性」とは、フィルムミラーを屋外環境に放置した場合に、汚れが付着しにくい、若しくは付着しても洗い落しやすい表面であることが好まれる。そのため、防汚ハードコート層の物性値として、対水接触角が0〜40°若しくは90〜180°であることが好ましく、より好ましくは0〜10°若しくは120〜180°であることが好ましい。
転落角(滑落角)においては、30°以下であることが好ましく、より好ましくは10°以下であることが好ましい。硬度において、鉛筆硬度(荷重500g)として2H以上、スチールウール試験(500g/cm)により傷が付かないことが好ましい。
硬度の高い層の作製方法として、無機膜を用いる方法、熱や紫外線によって樹脂の架橋を促進させて、架橋密度・硬度の高い樹脂を作製する方法、樹脂にアルキル基が修飾された無機粒子を含有させて、熱や紫外線によって架橋・硬化させる方法等がある。
親水性を示す層として、表面にヒドロキシル基(水酸基)を配向させる方法や、表面に微細形状を形成する方法がある。ヒドロキシル基を配向させる方法として、膜中にヒドロキシル基を側鎖にもつ化合物を添加する方法、ヒドロキシル基が修飾された無機粒子を添加する方法、膜表面に存在する官能基をヒドロキシル基に置換するような溶液を塗布する方法、表面処理や微細加工を施す等の方法がある。
撥水性を示す層として、表面にフッ素若しくはシリコンを配向させる方法がある。好ましくは、高い撥水性と撥油性が得られるため、フッ素を用いることが好ましい。しかし、フッ素は表面硬度が低いことが問題であるため、フッ素樹脂そのものを利用することはできない。そのため、前記ハードコート層にフッ素樹脂を添加すれば、フッ素の表面配向性により、表面に偏在し、樹脂表面の撥水性が得られる。又はドコート層の上層にフッ素の非常に薄い層を形成することでハードコート性を発現させることができる。
また、当該フィルムミラーは屋外で用いるものであるため、耐候性が必要になるため、当該防汚ハードコート層の中に、本明細書で後述する紫外線吸収剤、酸化防止剤を混入する方が好ましい。
具体的に、当該防汚ハードコート層に用いることができる材料として、光硬化親水性アクリル系樹脂膜(特開平7−48148号公報)、アクリレート系樹脂組成物、ポリシロキサン系樹脂(動研社)、シリコン系ハードコート(野田スクリーン社)ポリシラザン、水性コロイダルシリカ含有アクリル樹脂(特開2005−66824号公報)、ポリウレタン系樹脂組成物(特開2005−110918号公報)、水性シリコン化合物をバインダーとして用いた樹脂膜(特開2004−142161号公報)、酸化チタン等の光触媒性酸化物含有シリカ膜若しくはアルミナ、アスペクト比の高い酸化チタン若しくは酸化ニオブなどの光触媒膜(特開2009−62216)、光触媒含有フッ素樹脂コーティング(ピアレックス・テクノロジーズ社)、有機/無機ポリシラザン膜、有機/無機ポリシラザンに親水化促進剤(AZエレクトロニクス社)を用いた膜、等が挙げられる。
また、親水性の場合、表面処理に促すこともできる。例えば、コロナ処理(特開平11−172028)、プラズマ表面処理、紫外線・オゾン処理、表面突起物形成(2009−226613)、表面微細加工処理などを挙げることができる。
作製方法としては、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、ディップコート等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
当該最表層が無機物からなる場合、例えば酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化ランタン、窒化ランタン等の場合は、真空製膜法により製膜することができる。当該真空製膜法としては、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。
前記最表層は、屈曲性があり、反りが生じないことが好ましい。上記最表層は、密な架橋構造を形成する場合があり、その場合フィルムが反り曲がる場合や屈曲性がなく、クラックが入りやすいような場合があり、取り扱いが困難になる。このような場合、組成中の無機物の量を調整するなどで、柔軟性があり、平面性が得られるように設計することが好ましい。
(金属反射層)
本発明に係る金属反射層とは、可視光及び赤外光を反射する金属から構成された層のことをいう。
本発明に係る金属反射層としては、特に限定されないが、銀やアルミニウムを用いることができ、特に銀を好ましく用いることができる。銀を用いることにより、380nm以上の波長の光に対して、アルミニウムよりも高い反射率を得ることができる。
金属反射層に銀又はアルミニウムを用いる場合、基本的には、銀単体又はアルミニウム単体であることが望ましいが、その性質に害を及ぼさない程度の金、銅、ニッケル、鉄、コバルト、タングステン、モリブデン、タンタル、クロム、インジウム、マンガン、チタン、パラジウムなどの金属不純物が含まれても良い。
金属反射層に銀又はアルミニウムを用いる場合、金属反射層の厚さは、反射率及び資源の有効利用等の観点から、70〜400nmが好ましく、より好ましくは100〜300nm、さらに好ましくは150〜250nmである。
本発明に係る金属反射層の形成法としては、湿式法及び乾式法のどちらも使用することができる。湿式法とは、メッキ法の総称であり、溶液から金属を析出させ膜を形成する方法である。具体例をあげるとすれば、銀鏡反応などがある。一方、乾式法とは、真空成膜法の総称であり、具体的に例示するとすれば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。とりわけ、本発明には連続的に成膜するロールツーロール方式が可能な蒸着方(真空成膜法)が好ましく用いられる。
また、可視光領域のみならず、赤外光領域においても高反射率が得られることから、銀が最も好ましく用いられる。また、銀により金属反射層を形成した場合は、より耐候劣化が顕著となる為、本発明の構成が効果的である。
(樹脂基材)
本発明に係る樹脂基材としては、従来公地の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、及びセルロースエステル系フィルム、アクリルフィルムが好ましい。
特にポリエステル系フィルム、アクリルフィルムを用いることが好ましく、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
当該樹脂基材の厚さは、樹脂の種類及び目的等に応じて適切な厚さにすることが好ましい。例えば、一般的には、10〜300μmの範囲内である。好ましくは20〜200μm、更に好ましくは30〜100μmである。
(アンカー層)
本発明に係るアンカー層は、前記金属反射層又は前記金属層と前記樹脂基材との接着性を高める機能があるものであれば特に限定はない。従って、当該アンカー層は、樹脂基材と金属反射層又は金属層とを密着する密着性、銀反射層又は金属層を真空蒸着法等で形成する時の熱にも耐え得る耐熱性、及び銀反射層が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性が必要である。
当該アンカー層の厚さは、密着性、平滑性、反射材の反射率等の観点から、0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。
当該アンカー層が樹脂である場合、前記樹脂として、上記の密着性、耐熱性、及び平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂等の単独又はこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の混合樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。当該接着層の形成方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
当該アンカー層が金属酸化物である場合、例えば酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸化ランタン、窒化ランタン等、各種真空製膜法により製膜することができる。例えば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。
(腐蝕防止層)
本発明に係る腐蝕防止層は前記金属反射層に隣接して設けられることが好ましく、銀に対する腐蝕防止剤を含有する。当該腐蝕防止剤としては、大別して、銀に対する吸着性基を有する腐蝕防止剤と酸化防止能を有する腐蝕防止剤(「酸化防止剤」ともいう。)が好ましく用いられる。
ここで、「腐蝕」とは、金属(銀)がそれをとり囲む環境物質によって、化学的又は電気化学的に浸食されるか若しくは材質的に劣化する現象をいう(JIS Z0103−2004参照)。
前記太陽熱発電用フィルムミラーは、前記腐蝕防止層が銀に対する吸着性基を有する腐蝕防止剤又は酸化防止剤を含有している態様であることが好ましい。
なお、腐蝕防止剤の含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、一般的には、0.1〜1.0/mの範囲内であることが好ましい。
〈銀に対する吸着性基を有する腐蝕防止剤〉
銀に対する吸着性基を有する腐蝕防止剤としては、アミン類及びその誘導体、ピロール環を有する化合物、トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物類、チオ尿素類、メルカプト基を有する化合物、ナフタレン系の少なくとも一種又はこれらの混合物から選ばれることが望ましい。
アミン類及びその誘導体としては、エチルアミン、ラウリルアミン、トリ−n−ブチルアミン、O−トルイジン、ジフェニルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、アセトアミド、アクリルアミド、ベンズアミド、p−エトキシクリソイジン、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムサリシレート、モノエタノールアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンカーバメイト、ニトロナフタレンアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレート、シクロヘキシルアミンシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロヘキシルアンモニウムアクリレート、シクロヘキシルアミンアクリレート等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピロール環を有する物としては、N−ブチル−2,5−ジメチルピロール,N−フェニル−2,5ジメチルピロール、N−フェニル−3−ホルミル−2,5−ジメチルピロール,N−フェニル−3,4−ジホルミル−2,5−ジメチルピロール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
トリアゾール環を有する化合物としては、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−メチル−1,2,3−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4,5,6,7−テトラハイドロトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ3’5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピラゾール環を有する化合物としては、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリジン、ピラゾリドン、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、4−アミノピラゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チアゾール環を有する化合物としては、チアゾール、チアゾリン、チアゾロン、チアゾリジン、チアゾリドン、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、P−ジメチルアミノベンザルロダニン、2−メルカプトベンゾチアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
イミダゾール環を有する化合物としては、イミダゾール、ヒスチジン、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5ジヒドロキシメチルイミダゾール、4−フォルミルイミダゾール、2−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−フォルミルイミダゾール、4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
インダゾール環を有する化合物としては、4−クロロインダゾール、4−ニトロインダゾール、5−ニトロインダゾール、4−クロロ−5−ニトロインダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
銅キレート化合物類としては、アセチルアセトン銅、エチレンジアミン銅、フタロシアニン銅、エチレンジアミンテトラアセテート銅、ヒドロキシキノリン銅等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チオ尿素類としては、チオ尿素、グアニルチオ尿素等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
メルカプト基を有する化合物としては、すでに上記に記載した材料も加えれば、メルカプト酢酸、チオフェノール、1,2−エタンジオール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、グリコールジメルカプトアセテート、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ナフタレン系としては、チオナリド等が挙げられる。
〈酸化防止剤〉
本発明に係る腐蝕防止層に含有される腐蝕防止剤としては、酸化防止剤を用いることもできる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤及びホスファイト系酸化防止剤を使用することが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー〕、3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−2,4,8,10−テトラオキオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。特に、フェノール系酸化防止剤としては、分子量が550以上のものが好ましい。
チオール系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)等を挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
なお、本発明においては、前記酸化防止剤と下記の光安定剤を併用することもできる。
ヒンダードアミン系の光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1−メチル−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2、6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、トリエチレンジアミン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン等が挙げられる。
特にヒンダードアミン系の光安定剤としては、3級のアミンのみを含有するヒンダードアミン系の光安定剤が好ましく、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、又は1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール/トリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物が好ましい。
その他、前記光安定剤としてニッケル系紫外線安定剤も使用可能であり、当該ニッケル系紫外線安定剤として、〔2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)〕−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチル−ジチオカーバメート等が挙げられる。
(金属層)
本発明における金属層は、銀の犠牲防食機能を有するものであるため、銀に隣接した形態で、銀よりもイオン化傾向が高い金属を使用する必要がある。例えば、リチウム、セシウム、ルビジウム、カリウム、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、タンタル、亜鉛、クロム、鉄、カドミウム、コバルト、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、銅、水銀等を挙げることができる。特にアルミニウム、亜鉛、鉄、スズ、銅であることが好ましい。
当該金属層の製造方法はめっき法で総称される湿式法で形成してもよく、前述の真空製膜法を用いてもが、真空製膜法を用いることが好ましい。
当該金属層の膜厚は、銀の犠牲防食機能を有することを考慮して、10μm〜500μmで範囲内である。好ましくは50〜300μm、更に好ましくは100〜200μmである。
(紫外線吸収剤)
本発明においては、太陽光や紫外線による劣化防止の目的で、紫外線吸収剤を添加することができる。前記樹脂基材上に設けられた構成層のうちいずれか一層に、紫外線吸収剤を含有するか、前記腐蝕防止層の表面側に紫外線吸収剤層を設けることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、有機系として、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系等が挙げられ、また無機系として酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2ー(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2ー(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤としては、フェニルサルチレート、2−4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。ヒンダードアミン系紫外線吸収剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、上記以外に紫外線の保有するエネルギーを、分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを、熱エネルギー等として放出する機能を有する化合物が含まれる。さらに、酸化防止剤あるいは着色剤等との併用で効果を発現するもの、あるいはクエンチャーと呼ばれる、光エネルギー変換剤的に作用する光安定剤等も併用することができる。但し、上記の紫外線吸収剤を使用する場合は、紫外線吸収剤の光吸収波長が、光重合開始剤の有効波長と重ならないものを選択する必要がある。
通常の紫外線防止剤を使用する場合は、可視光でラジカルを発生する光重合開始剤を使用することが有効である。
紫外線吸収剤の使用量は、0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。20質量%よりも多いと密着性が悪くなり、0.1質量%より少ないと耐候性改良効果が小さい。
(フィルムミラー全体の厚さ)
本発明に係るフィルムミラー全体の厚さは、ミラーがたわみ防止、正反射率、取り扱い性等の観点から、75〜250μmが好ましく、更に好ましくは90〜230μm、更に好ましくは100〜220μmである。
(太陽光集光ミラー、太陽光発電用反射装置)
本発明のフィルムミラーは、太陽光を集光する目的において、好ましく使用できる。フィルムミラー単体で太陽光集光ミラーとして用いることもできるが、より好ましくは、樹脂基材を挟んで金属(銀)反射層を有する側と反対側の樹脂基材面に塗設された粘着層を介して、他基材上に、特に金属基材上に、当該フィルムミラーを貼り付けて太陽熱発電用反射装置として用いることである。
〈粘着層〉
金属基材と本発明のフィルムミラーを貼り合わせる粘着層としては、特に制限されず、例えばドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤などのいずれもが用いられる。
例えばポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ニトリルゴムなどが用いられる。
ラミネート方法は特に制限されず、例えばロール式で連続的に行うのが経済性及び生産性の点から好ましい。
厚さは、粘着効果、乾燥速度等の観点から、通常1〜50μm程度の範囲であることが好ましい。
〈金属基材〉
本発明のフィルムミラーを貼り合わせ、太陽熱発電用反射装置とする金属基材としては、鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム系合金めっき鋼板、銅めっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめっき鋼板、ステンレス鋼板、樹脂発砲剤を薄い金属板で挟み込んだ板材(例えば、積水樹脂製プラメタル)など熱伝導率の高い金属材料を用いることができる。本発明においては、特に耐食性の良好なめっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、薄い金属板で挟み込んだ板材などを用いることが好ましい。
また、本発明のフィルムミラーは金属基材以外の他基材を用いて太陽熱発電用反射装置とすることもでき、当該他基材としては、金属反射層層の保護性を付与できるものであればよく、例えば、アクリルフィルム又はシート、ポリカーボネートフィルム又はシート、ポリアリレートフィルム又はシート、ポリエチレンナフタレートフィルム又はシート、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はシート、フッ素フィルムなどのプラスチックフィルム又はシート、又は酸化チタン、シリカ、アルミニウム粉、銅粉などを練り込んだ樹脂フィルム又はシート、これらを練り込んだ樹脂をコーティングしたり金属蒸着などの表面加工を施した樹脂フィルム又はシートが用いられる。貼り合わせるフィルム又はシートの厚さは、特に制限はないが通常12〜250μmの範囲であることが好ましい。
また、これらの他基材は本発明のフィルムミラーと貼り合わせる前に凹部や凸部を設けてから貼り合せてもよく、貼り合せた後で凹部や凸部を有するように成形してもよく、貼り合わせと凹部や凸部を有するように成形することを同時にしてもよいものである。
以下、本発明について図3(a)及び(b)を参照し、実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。
[比較例1]
図3(a)は比較例1〜3の構成を示す。
樹脂基材3として、二軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ100μm)を用いた。前記ポリエステルフィルムの片面に、酸化ランタンと酸化アルミニウムを8:2で混合した混合物を真空蒸着法により60nmになるように蒸着してアンカー層4を得た。
続いて真空蒸着により銀反射層5を80nmになるように製膜した。次に金属(銀)反射層上に、ポリエステル系樹脂(ポリエスター SP−181、日本合成化学社製)とTDI(トリレンジイソシアネート)系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率で10:2に混合し、溶媒としてメチルエチルケトンを加え、更に腐蝕防止剤としてTinuvin234(チバ・ジャパン社製)10質量%となるよう調製した量を混合し、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ50nmの腐蝕防止層6を形成した。
次に、UV吸収ポリマー「ニューコートUVA−204W」(新中村化学製)を厚さ5μmになるようにグラビアコート法によりコーティングして、UV吸収層7を形成した。
次に、ジブチルエーテル中にポリシラザン20質量%を分散させたNN320(AZ Electronic Materials製)を7μmの厚さになるように押し出し塗布し、100℃で5分間乾燥させた。
Xeエキシマ放射線30mW/cmで1分間照射し酸化ケイ素膜を形成して、ガスバリア層8を形成した。
樹脂基材3の反対面に粘着剤としてアクリル系の粘着剤SZ7543(日本カーバイト製)を5μm厚に塗布後、ラミネート用PETフィルムを貼り合わせ、6日間40℃で養生することで、粘着層2を形成した。その後、支持体としてアルポリック(三菱樹脂製)にロール方式により、貼り合わせることで、支持体1を形成し、比較例1のサンプルを作製した。
[比較例2]
比較例1で得られたサンプルのガスバリア層8の代わりに、ポリシロキサン系樹脂「サーコート」(動研社製)に、撥水系レべリング剤ZX−017(富士化成工業製)を1質量%、UV吸収剤Tinuvin477(チバ・ジャパン社製)を1質量%添加した溶液をグラビアコート法によりコーティングして、120℃で30分熱処理することで、厚さ5μmの防汚ハードコート層9を形成し、比較例2のサンプルを作製した。
[比較例3]
比較例1で作製したサンプルのガスバリア層上に、接着剤TBS−730(大日本インキ社製)を厚さ5μmになるようにグラビアコート法によりコーティングして、そのうえからアクリル樹脂住友化学S001(75μm)をロール方式により貼り合わせ、その上から比較例2と同様に防汚ハードコート層「サーコート」を形成し、比較例3のサンプルを作製した。
図3(b)は実施例1〜32の構成を示す。
[実施例1]
樹脂基材3として、二軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ100μm)を用いた。前記ポリエステルフィルムの片面に、酸化ランタンと酸化アルミニウムを8:2で混合した混合物を真空蒸着法により60nmになるように蒸着してアンカー層4を得た。続いて真空蒸着により銀反射層5を80nmになるように製膜した。次に金属(銀)反射層上に、ポリエステル系樹脂(ポリエスター SP−181、日本合成化学社製)とTDI(トリレンジイソシアネート)系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率で10:2に混合し、溶媒としてメチルエチルケトンを加え、更に腐蝕防止剤としてTinuvin234(チバ・ジャパン社製)10質量%となるよう調製した量を混合し、グラビアコート法によりコーティングして、厚さ50nmの腐蝕防止層6を形成した。次にUV吸収ポリマー「ニューコートUVA−204W」(新中村化学製)を厚さ5μmになるようにグラビアコート法によりコーティングして、UV吸収層7を形成した。次にジブチルエーテル中にポリシラザン20質量%を分散させたNN320(AZ Electronic Materials製)を7μmの厚さになるように押し出し塗布し、100℃で5分間乾燥させた。Xeエキシマ放射線30mW/cmで1分間照射し酸化ケイ素膜を形成して、ガスバリア層8を形成した。次に、ポリシロキサン系樹脂「サーコート」(動研社製)に、撥水系レべリング剤ZX−017(富士化成工業製)を1質量%、UV吸収剤Tinuvin477(チバ・ジャパン社製)を1質量%添加した溶液をグラビアコート法によりコーティングして、120℃で30分熱処理することで、厚さ5μmの防汚ハードコート層9を形成した。樹脂基材3の反対面に粘着剤としてアクリル系の粘着剤SZ7543(日本カーバイト製)を5μm厚に塗布後、ラミネート用PETフィルムを貼り合わせ、6日間40℃で養生することで、粘着層2を形成した。その後、支持体としてアルポリック外装用(三菱樹脂製)にロール方式により、貼り合わせることで、支持体1を形成し、実施例1のサンプルを作製した。
[実施例2]
実施例1の防汚ハードコート層9のサーコートの代わりに、アロニクス−305(東亜合成社製)及びアロニクス−315(東亜合成社製)を7:3の割合で混合した樹脂をメチルエチルケトンに希釈した溶液を、グラビアコート法によりコーティングし、80℃で1分間乾燥後、高圧水銀ランプによりUVを照射させて、厚さ5μmの防汚ハードコート層9を形成した。それ以外は、実施例1と同様の方法で作製し、実施例2のサンプルを作製した。
[実施例3]
実施例1の防汚ハードコート層9の代わりに、XOPC−12H−25(野田スクリーン社製)を用いた以外は実施例1と同様の方法で作製し、実施例3のサンプルを作製した。
[実施例4]
実施例1の防汚ハードコート層9の代わりに、オプツールAES(ダイキン工業社製)を用い、膜厚10nmの防汚ハードコート層を形成した以外は実施例1と同様の方法で作製し、実施例4のサンプルを作製した。
[実施例5]
実施例1のガスバリア層の代わりに、アルミナを真空蒸着した層を形成した以外は実施例1と同様の方法で作製し、実施例5のサンプルを作製した。
[実施例6]
実施例2のガスバリア層の代わりに、アルミナを真空蒸着した層を形成した以外は実施例2と同様の方法で作製し、実施例6のサンプルを作製した。
[実施例7]
実施例3のガスバリア層の代わりに、アルミナを真空蒸着した層を形成した以外は実施例2と同様の方法で作製し、実施例7のサンプルを作製した。
[実施例8]
実施例4のガスバリア層の代わりに、アルミナを真空蒸着した層を形成した以外は実施例2と同様の方法で作製し、実施例8のサンプルを作製した。
[実施例9]
実施例6のUV吸収層の代わりに、ポリエステル系樹脂(ポリエスター SP−181、日本合成化学社製)とTDI(トリレンジイソシアネート)系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率で10:2に混合し、溶媒としてメチルエチルケトンを加え、更に酸化チタン(テイカ社製)、酸化亜鉛(テイカ社製)を3質量%となるよう調製した量を混合し、グラビアコート法によりコーティングし、厚さ50nmのUV吸収層7を形成した。それ以外は実施例6と同様の方法で作製し、実施例9のサンプルを作製した。
[実施例10]
実施例9の粘着剤SZ7543の代わりに、BPS−5296(東洋インキ社製)を用いた以外は実施例9と同様の方法で作製し、実施例10のサンプルを作製した。
[実施例11]
実施例10の支持体アルポリック外装用の代わりに、プラメタルAP883AK(積水樹脂社製)を用いた以外は実施例10と同様の方法で作製し、実施例11のサンプルを作製した。
[実施例12]
実施例6のUV吸収ポリマーの代わりに、ポリエステル系樹脂(ポリエスター SP−181、日本合成化学社製)とTDI(トリレンジイソシアネート)系イソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率で10:2に混合し、溶媒としてメチルエチルケトンを加え、更にTinuvin1577(チバ・ジャパン社製)を3質量%となるよう調製した量を混合し、グラビアコート法によりコーティングし、厚さ50nmのUV吸収層7を形成した。それ以外は実施例6と同様の方法で作製し、実施例12のサンプルを作製した。
[実施例13]
実施例12の粘着剤SZ7543の代わりに、BPS−5296を用いた以外は実施例12と同様の方法で作製し、実施例13のサンプルを作製した。
[実施例14]
実施例13の支持体アルポリック外装用の代わりに、前記プラメタルAP883AKを用いた以外は実施例13と同様の方法で作製し、実施例14のサンプルを作製した。
[実施例15]
実施例9の支持体アルポリック外装用の代わりに、前記5mm厚のアルミ板を用いた以外は実施例9と同様の方法で作製し、実施例15のサンプルを作製した。
[実施例16]
実施例10の支持体アルポリック外装用の代わりに、前記5mm厚のアルミ板を用いた以外は実施例9と同様の方法で作製し、実施例16のサンプルを作製した。
[実施例17]
実施例16の粘着剤BPS−5296の代わりに、SZ7543を用いた以外は実施例16と同様の方法で作製し、実施例17のサンプルを作製した。
[実施例18]
実施例2のUV吸収ポリマーの代わりに、実施例9で用いた無機UV吸収剤入りUV吸収層を用いた以外は実施例2と同様の方法で作製し、実施例18のサンプルを作製した。
[実施例19]
実施例18の無機UV吸収剤入りUV吸収層の代わりに、実施例12で用いたTinuvin1577入りUV吸収層を用いた以外は実施例18と同様の方法で作製し、実施例19のサンプルを作製した。
[実施例20]
実施例4のUV吸収ポリマーの代わりに、実施例9で用いた無機UV吸収剤入りUV吸収層を用いた以外は実施例4と同様の方法で作製し、実施例20のサンプルを作製した。
[実施例21]
実施例8のUV吸収ポリマーの代わりに、実施例9で用いた無機UV吸収剤入りUV吸収層を用いた以外は実施例8と同様の方法で作製し、実施例21のサンプルを作製した。
[実施例22]
実施例9の防汚ハードコート層のアロニクス305、アロニクス315混合樹脂の代わりに、ポリシロキサン樹脂を用いた以外は実施例9と同様の方法で作製し、実施例22のサンプルを作製した。
[実施例23]
実施例10の防汚ハードコート層のアロニクス305、アロニクス315混合樹脂の代わりに、ポリシロキサン樹脂を用いた以外は実施例10と同様の方法で作製し、実施例23のサンプルを作製した。
[実施例24]
実施例11の防汚ハードコート層のアロニクス305、アロニクス315混合樹脂の代わりに、ポリシロキサン樹脂を用いた以外は実施例11と同様の方法で作製し、実施例24のサンプルを作製した。
[実施例25]
実施例12の防汚ハードコート層のアロニクス305、アロニクス315混合樹脂の代わりに、ポリシロキサン樹脂を用いた以外は実施例12と同様の方法で作製し、実施例25のサンプルを作製した。
[実施例26]
実施例13の防汚ハードコート層のアロニクス305、アロニクス315混合樹脂の代わりに、ポリシロキサン樹脂を用いた以外は実施例13と同様の方法で作製し、実施例26のサンプルを作製した。
[実施例27]
実施例14の防汚ハードコート層のアロニクス305、アロニクス315混合樹脂の代わりに、ポリシロキサン樹脂を用いた以外は実施例14と同様の方法で作製し、実施例27のサンプルを作製した。
[実施例28]
実施例15の防汚ハードコート層のアロニクス305、アロニクス315混合樹脂の代わりに、ポリシロキサン樹脂を用いた以外は実施例15と同様の方法で作製し、実施例28のサンプルを作製した。
[実施例29]
実施例16の防汚ハードコート層のアロニクス305、アロニクス315混合樹脂の代わりに、ポリシロキサン樹脂を用いた以外は実施例16と同様の方法で作製し、実施例29のサンプルを作製した。
[実施例30]
実施例17の防汚ハードコート層のアロニクス305、アロニクス315混合樹脂の代わりに、ポリシロキサン樹脂を用いた以外は実施例17と同様の方法で作製し、実施例30のサンプルを作製した。
[実施例31]
実施例18の防汚ハードコート層のアロニクス305、アロニクス315混合樹脂の代わりに、ポリシロキサン樹脂を用いた以外は実施例18と同様の方法で作製し、実施例31のサンプルを作製した。
[実施例32]
実施例1で作製したサンプルのUV吸収層7を形成しないような層構成を実施例32のサンプルとして作製した。
[評価]
上記で得たフィルムミラーについて、下記の方法により正反射率及び耐候性、紫外線耐性の測定をそれぞれ行った。
<正反射率の測定>
島津製作所社製の分光光度計「U−4100」に、反射面の法線に対して、入射光の入射角を5°となるように調整し、反射角5°の正反射率を測定した。評価は、250nmから2500nmまでの平均反射率として測定した。
<スチールウール試験>
試料の表面にスチールウール#0000を荷重500g/cmで10往復擦った際の、試料表面の傷の発生程度を目視で観察し、傷の本数を数えた。
<接触角試験>
JIS−R3257に基づいて、接触角計DM501(協和界面化学)を用いて、水3μl滴下してフィルムミラーの表面の接触角を測定した。
<転落角>
接触角計DM501(協和界面化学)に滑落法キットDM−SA01を取り付けて、水50μl滴下してフィルムミラーの表面の転落角を測定した。
<密着性>
試料の表面にJIS−K5400に従ってカッターで傷を入れて1mm角の碁盤目を100個作り、セロハン接着テープ(積水化学製、#252、25mm幅、SP粘着力:750gf/25mm幅)を付着させた。このテープの一端を試料の表面に直角に保ち、瞬間的に剥離して残った基盤目の数を表す。マス目の内剥がれたものの個数を示す。
<耐候性試験>
UVテスター(岩崎電気製)照度100mW、温度60℃、湿度63%RHの条件で10日間放置後のフィルムミラーの正反射率、スチールウール耐性、接触角、転落角、密着性を、それぞれ上記と同様の方法により測定した。
上記比較例及び実施例における防汚ハードコート層、無機バリア層、UV吸収剤層、粘着剤、及び支持体において用いた材料(候補部材)を表1にまとめて示す。表2と表3には、各比較例及び実施例において実際に用いた材料(候補部材)の番号をまとめて示す。表4には、各比較例及び実施例の評価結果を示す。
表4に示した評価結果から明らかなように、本発明に係る実施例の各種特性は、比較例に対して優れていることが分かる。特に比較例1は、表面にハードコート性がないため、スチールウール試験で傷付いてしまっている。比較例2に関しては、ガスバリア層がないため、強制劣化後の反射率が低下している。比較例3に関しては、従来のフィルムミラーの構成である裏面鏡の層構成である。強制劣化試験後の耐久性は高いが、他の構成と異なり、接着層とアクリル樹脂層が存在するため、初期反射率が低い。太陽熱発電プラントでは、反射率の小さな低下でも発電量が大きく低下するため、数%の初期反射率の違いは大きな影響を与える。すなわち、本発明の上記手段により、銀反射層の劣化による正反射率の低下を防止するとともに、軽量で柔軟性があり、製造コストを抑え大面積化・大量生産することのでき、耐候性及び防汚性に優れ、太陽光に対して長期間良好な正反射率を有するフィルムミラー、その製造方法を提供することができることが分かる。
1 支持体
2 粘着層
3 樹脂基材
4 アンカー層
5 金属反射層(銀反射層)
6 腐食防止層
7 紫外線吸収層
8 ガスバリア層
9 防汚ハードコート層
10 接着剤層
11 アクリル樹脂層

Claims (6)

  1. 樹脂基材上に、アンカー層、金属反射層、腐食防止層、紫外線吸収層、無機ガスバリア層、防汚ハードコート層の順で積層されており、前記樹脂基材の光入射側と反対側の面に粘着層を設けたフィルムミラーの製造方法であって、
    当該金属反射層の光入射側に、樹脂フィルムを貼り合わせることで設けられた層を有さず、前記無機ガスバリア層の光入射側の最外層の防汚ハードコート層が、樹脂膜で構成されており、
    前記無機ガスバリア層を、無機酸化物の前駆体を塗布した後に、塗布膜を加熱及び/又は紫外線照射により無機酸化物膜として形成する工程を有することを特徴とするフィルムミラーの製造方法。
  2. 前記無機ガスバリア層が、酸化珪素、酸化アルミニウム、及び酸化珪素と酸化アルミニウムの二種混合体、から選ばれる金属酸化物を含有することを特徴とする請求項1に記載のフィルムミラーの製造方法。
  3. 前記金属反射層が、銀を主成分とする金属薄膜からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィルムミラーの製造方法。
  4. 前記腐食防止層が、チオエーテル系、チオール系、ベンゾトリアゾール系、イミダゾール系、オキサゾール系、テトラザインデン系、ピリミジン系、及び、チアジアゾール系化合物から選ばれる化合物を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のフィルムミラーの製造方法。
  5. 前記金属反射層を銀蒸着によって形成する工程を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のフィルムミラーの製造方法。
  6. 前記第1項から第5項までのいずれか一項に記載の製造方法により得られたフィルムミラーが、支持体上に具備されていることを特徴とする太陽光集光用フィルムミラー。
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