JP2014199363A - フィルムミラー - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐屈曲性を有するフィルムミラーを提供すること。【解決手段】樹脂基材と、金属反射層と、無機バリア層と、引張弾性率が2000MPa未満であり、且つ、膜厚が1μm〜50μmである第1の有機層と、をこの順に有するフィルムミラー。【選択図】図1

Description

本発明は、フィルムミラーに関する。
近年、石油、石炭、天然ガス等に代表される化石燃料に代わる代替エネルギーの研究がさかんに行なわれている。特に、太陽光、風力、地熱等の自然エネルギーは、資源の枯渇、地球温暖化等の懸念がなく、クリーンなエネルギーとして注目されている。これらの中でも、太陽光を利用する太陽エネルギーは、安定供給が可能なエネルギーとして更なる開発が期待されている。
その一方で、太陽エネルギーにはエネルギー密度が低いという問題がある。この問題を解決するため、近年では、巨大な反射鏡を用いて太陽光を集光しようという試みがなされている。
これまで、太陽光を集光するための反射鏡は、屋外に設置され、太陽光に起因する紫外線や熱、風雨、砂塵等に晒されるため、ガラス製のものが用いられてきた。しかしながら、ガラス製の反射鏡は、耐候性に優れるものの、重量があり、破損しやすく、かつ、柔軟性に欠けるため、取り扱い難い。そこで、最近では、ガラス製の反射鏡を、軽量で柔軟性のある樹脂製の反射シート(いわゆるフィルムミラー)に置き換えることが考えられている。
しかしながら、フィルムミラーは、太陽光、風雨、砂塵等に長期間晒されると、金属反射層が劣化し、反射率が低下するという問題があった。
この問題に対しては、金属反射層の光入射側に、高分子フィルム層と金属酸化物を有するガスバリア層とを設ける試みがなされている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたフィルムミラーによれば、高分子フィルム層で金属酸化物を有するガスバリア層を被覆することで、耐久性を向上させることができるとされている。
国際公開第2011/096151号パンフレット
ところで、フィルムミラーは、より効率良く太陽光を集光等するために、その使用には、柔軟な特性を生かし、屈曲させて用いることがある。
しかしながら、特許文献1に記載されたフィルムミラーが備えるガスバリア層は、金属酸化物の緻密な膜で構成されており、屈曲性に劣る。そのため、フィルムミラーを屈曲させて用いた場合、ガスバリア層に割れが生じ、バリア性が低下し得ることが懸念される。バリア性が低下すると、金属反射層が酸化することにより劣化し、フィルムミラーの反射効率が低下する。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、優れた耐屈曲性を有するフィルムミラーを提供することにある。
上記課題を達成するための具体的な手段は、以下の通りである。
<1> 樹脂基材と、金属反射層と、無機バリア層と、引張弾性率が2000MPa未満であり、且つ、膜厚が1μm〜50μmである第1の有機層と、をこの順に有するフィルムミラー。
<2> 第1の有機層の架橋点間分子量が200以上である<1>に記載のフィルムミラー。
<3> 第1の有機層が、下記一般式(1)で表される構造単位を有するポリマーを含む層である<1>又は<2>に記載のフィルムミラー。
式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又はメチル基であり、Lは、炭素数8以上であって、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含まない直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。
<4> 金属反射層と無機バリア層との間に、引張弾性率が2000MPa未満であり、且つ、膜厚が1μm〜50μmである第2の有機層を更に有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載のフィルムミラー。
<5> 第2の有機層の膜厚に対する第1の有機層の膜厚の比率(第1の有機層の膜厚/第2の有機層の膜厚)が、0.5〜2.0である<4>に記載のフィルムミラー。
<6> 無機バリア層の膜厚が、30nm〜1μmである<1>〜<5>のいずれか1つに記載のフィルムミラー。
<7> 金属反射層が、めっき法により形成されてなる<1>〜<6>のいずれか1つに記載のフィルムミラー。
<8> 太陽光集光用として用いられる<1>〜<7>のいずれか1つに記載のフィルムミラー。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、“(メタ)アクリレート”は、アクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、“(メタ)アクリル”は、アクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表す。
さらに、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明によれば、優れた耐屈曲性を有するフィルムミラーを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るフィルムミラーの断面図である。 本発明の第2実施形態に係るフィルムミラーの断面図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
[フィルムミラー]
本発明のフィルムミラーは、樹脂基材と、金属反射層と、無機バリア層と、引張弾性率が2000MPa未満であり、且つ、膜厚が1μm〜50μmである第1の有機層と、をこの順に有することを特徴とする。
本発明のフィルムミラーは、金属反射層の上に、無機バリア層を有するため、金属反射層の水蒸気等による劣化が防止され、耐湿熱性に優れる。ところが、無機バリア層は、緻密な膜で構成されており、屈曲性に劣る。本発明のフィルムミラーにおいては、無機バリア層の上に、引張弾性率が2000MPa未満であり、且つ、膜厚が1μm〜50μmである第1の有機層を有する層構成とすることで応力緩和性を付与し、耐屈曲性の向上を実現した。本発明における作用機構は明らかではないが、柔らかく、曲げに強い第1の有機層を、緻密な膜で構成され、屈曲性に劣る無機バリア層の上に設けることで、無機バリア層に作用する曲げ応力が第1の有機層によって緩和され、その結果として、優れた耐屈曲性を実現できたものと推測される。
本発明の第1実施形態に係るフィルムミラーの断面図を図1に示す。
なお、本明細書において、以下に示す各図(図1及び図2)は、模式的に示した図であり、各部の大きさや形状は、理解を容易にするために適宜誇張して示している。
図1に示すように、第1実施形態に係るフィルムミラー1は、樹脂基材10と、樹脂中間層20と、金属反射層30と、無機バリア層40と、第1の有機層50と、を順に備える。
第1実施形態に係るフィルムミラー1では、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである樹脂基材10上に、銀を含有する金属膜である金属反射層30が、樹脂中間層20を介して設けられており、この樹脂中間層20の介在によって、樹脂基材10と金属反射層30との密着性が優れたものとなる。
第1実施形態に係るフィルムミラー1では、金属反射層30上に、アルミニウムの酸化物からなる無機バリア層40が設けられている。金属反射層30を水蒸気バリア性の高い無機バリア層40で被覆することで、金属反射層30の水蒸気等による劣化が防止され、耐湿熱性に優れるフィルムミラーとなる。
無機バリア層40上には、引張弾性率が780MPaであり、且つ、膜厚が10μmの第1の有機層50が隣接して設けられている。アルミニウムの酸化物からなる無機バリア層40は、緻密な膜で構成されているため、屈曲性に劣るが、この無機バリア層40上に柔らかい第1の有機層50を設けることで、耐屈曲性が向上する。
第1実施形態に係るフィルムミラー1では、最表面に第1の有機層50を備えているので、第1の有機層50が砂塵等に対する保護層としての機能を発揮する。また、第1の有機層50は、膜が柔らかいため、砂塵等によって傷が付いても自己修復が可能である。
なお、第1実施形態に係るフィルムミラー1では、最表面に第1の有機層50を備えているが、第1の有機層50の上に、更に保護層を有する層構成であってもよい。
本発明の第2実施形態に係るフィルムミラーの断面図を図2に示す。
図2に示すように、第2実施形態に係るフィルムミラー2は、金属反射層30と無機バリア層40との間に、第2の有機層50Bを更に備える点において、第1実施形態に係るフィルムミラーと異なる。
本発明の第2実施形態に係るフィルムミラー2では、第2の有機層50Bは、第1の有機層50Aと同じ組成のポリマーを含んでおり、引張弾性率及び膜厚もそれぞれ780MPa及び10μmであり、第1の有機層50Aと同様である。
本発明の第2実施形態に係るフィルムミラー2では、金属反射層30と無機バリア層40との間に、クッション性を有する第2の有機層50Bを更に備えることで、耐屈曲性が更に向上する。
以下、本発明のフィルムミラーの構成について、詳細に説明する。
<樹脂基材>
本発明における樹脂基材を構成する樹脂は、特に限定されるものではないが、フレキシブル性及び軽量化の観点から、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン(BT)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等)、ポリアミド樹脂(アラミド樹脂を含む)、ポリエーテルスルホン、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアセチレン等が好適である。これらの中でも、ポリエステル樹脂及びポリイミド樹脂が特に好適である。本発明においては、これらの樹脂を単独で用いてもよいし、複数の樹脂を組み合わせて用いてもよい。その他、ガラスエポキシ、液晶ポリマー等をフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることもできる。
また、本発明における樹脂基材は、単層構造、又は複数の層からなる多層構造のいずれであってもよい。樹脂基材が多層構造である場合、この多層構造を構成する複数の樹脂基材は、同じ樹脂で構成されていてもよいし、異なる樹脂で構成されていてもよい。
樹脂基材が多層構造である場合、多層構造を構成する複数の基材の接着方法は、特に限定されず、例えば、加熱、加圧等によって熱融着する方法、接着剤を介して貼り合わせる方法、基材の表面に塗布法等により別の基材を形成する方法等が挙げられる。これらの中でも、接着容易性の観点から、接着剤を介して貼り合わせる方法が好ましい。
本発明において、樹脂基材は、その一方又は両方の面に設けられる層の形成を容易にするために、表面処理が施されていてもよい。
表面処理としては、例えば、UV照射、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理、火炎処理等により、樹脂基材の表面を分解活性化させる処理が挙げられる。その他の表面処理としては、ヒドラジン、N−メチルピロリドン、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等のアルカリ性溶液による処理、硫酸、塩酸、硝酸等の酸性溶液による処理等が挙げられる。また、樹脂基材には、その表面の汚れを落とすために、水や、メタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル、アセトン等の有機溶剤による洗浄処理が施されていてもよい。
本発明における樹脂基材は、フィルムミラーの反射性能をより良好なものとする観点から、表面粗さ(Ra)が50nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることが更に好ましい。ここでいう表面粗さ(Ra)は、JIS B0601(1994)に準拠して求められる算術平均粗さである。
樹脂基材は、柔軟性を維持する観点から、可塑剤を含んでいてもよく、また、フィルム自体の劣化を防ぐ観点から、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤等を含んでいてもよい。
本発明における樹脂基材の厚みは、生産時のハンドリング、力学強度、コスト面等の観点から、10μm〜500μmであることが好ましく、25μm〜300μmであることがより好ましく、50μm〜250μmであることが更に好ましい。
<樹脂中間層>
本発明のフィルムミラーは、樹脂基材上に金属反射層を有するが、樹脂基材と金属反射層との密着性を向上させる目的で、両者の間に、樹脂中間層を有していてもよい。
樹脂中間層としては、金属を接着し易くするための易接着層、金属反射層をめっき法により形成する場合に有用なめっき下塗りポリマー層等が挙げられ、これらは単層で構成されても、2層以上の複数層で構成されるものであってもよい。
〔易接着層〕
本発明においては、樹脂基材と金属反射層との密着性を向上させるために、易接着層を設けてもよい。易接着層上に、めっき下塗りポリマー層を設ける場合には、易接着層が樹脂基材とめっき下塗りポリマー層との接着性を向上させるため、結果として、樹脂基材と金属反射層との密着性がより向上する。
易接着層は、隣接する樹脂基材との密着性の観点から、樹脂基材を構成する樹脂と同じ樹脂、又は樹脂基材を構成する樹脂と親和性を有する樹脂を含んでいることが好ましい。 樹脂基材を構成する樹脂と親和性を有する樹脂としては、例えば、ガラス転移点や弾性率、線膨張係数といった熱的物性が互いに近い樹脂が挙げられる。
易接着層に含まれる樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又はこれらの混合物が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレンアクリル酸共重合樹脂、エチレンアクリル酸エステル共重合樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
なお、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよいし、併用してもよい。2種以上の樹脂の併用は、それぞれの欠点が補うことでより優れた効果を発現させる目的で行なわれる。
熱可塑性樹脂を用いる場合には、必要に応じて、架橋剤を使用することが好ましい。架橋剤の種類としては、熱可塑性樹脂が有するカルボン酸基、水酸基、アミノ基、メルカプタン基等の官能基と反応する反応性基を複数有する架橋剤が好ましい。好ましい反応性基の種類としては、カルボジイミド基、オキサゾリン基、イソシアネート基、エポキシ基、メラミン等があげられる。これらの反応性基を複数有する化合物としては、例えば、カルノジライト(日清紡社製)、エポクロス(日本触媒社製)、デナコール(ナガセケムテックス社製)、ベッカミン(DIC北日本ポリマ社製)等の架橋剤が市販されている。
架橋剤の添加量は、熱可塑性樹脂が有する官能基と架橋剤の反応性基とが当量となるように調合することが好ましいが、適切な膜物性を得るために、架橋剤の添加量を適宜増減してもよい。
易接着層には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、有機又は無機微粒子からなるマット材、塗布助剤として界面活性剤、帯電防止剤、ワックス類等の各種添加剤を1種又は2種以上添加してもよい。
いずれの添加剤も、添加される場合には、主成分となる樹脂に対して、0質量%を超えて50質量%以下の範囲で添加されることが好ましく、0質量%を超えて20質量%以下の範囲で添加されることがより好ましい。添加剤を、樹脂に対して50質量%を超える範囲で用いると、樹脂自体が本来有する強度等の特性が低下する懸念がある。
〔易接着層の形成方法〕
易接着層は、上述の各成分を水に分散又は溶解させた塗布液、若しくは、各成分を溶解可能な有機溶媒に溶解させた塗布液を、塗布等の方法により樹脂基材に付与し、加熱及び/又は光照射により硬膜化させることにより形成することができる。
加熱の温度及び時間は、塗布溶剤が十分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適性の観点から、乾燥温度が190℃以下であり、且つ、乾燥時間が10分以内であることが好ましく、乾燥温度が40℃〜180℃であり、且つ、乾燥時間が5分以内であることがより好ましい。
塗布液を調製する際に用いられる溶媒は、上述の各成分を溶解又は分散し得るものであれば、特に限定されるものではない。乾燥の容易性及び作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。具体的には、特開2007−154306号公報の段落[0045]に記載されている、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、水等を用いることができる。これらの中でも、特にVOC(Volatile Organic Compounds、揮発性有機化合物)抑制の観点から水が好ましい。上記の例示溶媒は、単独、又は、混合して用いることができる。塗布溶液中の固形分の濃度は、1質量%〜50質量%が適当である。なお、水を溶媒として用いる場合には、上記易接着層に含まれる樹脂を水分散物又は水溶性化物とすることが好ましい。
本発明における易接着層の厚みは、一般に、0.05μm〜5μmであり、0.1μm〜3μmであることが好ましい。
〔めっき下塗りポリマー層〕
本発明におけるめっき下塗りポリマー層は、還元された金属粒子と後述のめっき下塗りポリマーとを少なくとも有する。
本発明においては、金属前駆体と後述のめっき下塗りポリマーとを含む組成物を用いて、樹脂基材上に塗布等の方法により金属前駆体を含むめっき下塗りポリマー層を形成する
ことが好ましい。また、本発明においては、後述のめっき下塗りポリマーを含む組成物を用いて樹脂基材上に層を形成した後、該層に、金属前駆体を含む組成物を浸漬等の方法によって接触させて、金属前駆体を含むポリマー層を形成し、然る後、該ポリマー層に含まれる金属前駆体を還元することにより、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層を形成することも好ましい。
(めっき下塗りポリマー)
めっき下塗りポリマー層を形成するために用いられるめっき下塗りポリマーについて説明する。
めっき下塗りポリマー層を形成するために用いられるめっき下塗りポリマーは、金属前駆体と相互作用する官能基(以下、適宜「相互作用性基」と称する。)を少なくとも有するとともに、耐水性及び耐薬品性の観点から、必要に応じて、重合性基を有することが好ましい。
めっき下塗りポリマーの主骨格としては、アクリルポリマー、ポリエーテル、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリイミド、メタクリルポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、エチレンアクリル酸共重合体等が好ましく、アクリルポリマーがより好ましい。
めっき下塗りポリマーは、分子内に上記重合性基と上記相互作用性基とを有することが好ましく、上記重合性基を有する場合には、この重合性基をポリマーの主鎖末端及び側鎖の少なくともいずれかに有していればよい。めっき下塗りポリマーとしては、例えば、上記重合性基を有する構成単位と、上記相互作用性基を有する構成単位とを含んで構成されるポリマー等が挙げられ、同一の構成単位に重合性基と相互作用性基とを含んで構成されるポリマーでもよい。また、めっき下塗りポリマーは、2種以上の重合性基を含んでいてもよく、2種以上の相互作用性基を含んでいてもよい。また、重合性基は、ポリマーの作製後に高分子反応により導入されてもよい。
また、めっき下塗りポリマーは、目的に応じて、重合性基を含む構成単位、及び相互作用性基を含む構成単位以外の構成単位を含んでいてもよい。重合性基を含む構成単位、及び相互作用性基を含む構成単位以外の構成単位を含むことで、めっき下塗り組成物としたときに、水又は有機溶剤への溶解性に優れたものとなり、均一な層を形成することができる。
めっき下塗りポリマーの好ましい態様としては、相互作用性基としての酸性基と重合性基とを側鎖に有するアクリルポリマーが挙げられる。
以下、めっき下塗りポリマーに含まれる重合性基、相互作用性基等について詳述する。
−重合性基−
めっき下塗りポリマーが有する重合性基は、エネルギー付与により、ポリマー同士、又は、ポリマーと下地層(樹脂基材又は支持基材上に設けられた下塗り層)との間で化学結合を形成し得る官能基であればよい。重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、ラジカル重合性基が好ましい。
ラジカル重合性基としては、例えば、メタクリロイル基、アクリロイル基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基、スチリル基、ビニル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基等が挙げられる。これらの中でも、メタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アクリルアミド基、及びメタクリルアミド基が好ましく、ラジカル重合反応性及び合成汎用性の観点から、メタクリロイル基、アクリロイル基、アクリルアミド基、及びメタクリルアミド基がより好ましく、耐アルカリ性の観点から、アクリルアミド基、及びメタクリルアミド基が更に好ましい。
アクリルポリマーに導入される重合性基としては、例えば、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基等の(メタ)アクリル基、カルボン酸のビニルエステル基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基等の各種重合性基が好ましい。
−相互作用性基−
めっき下塗りポリマーが有する相互作用性基は、金属前駆体と相互作用する官能基(例えば、配位性基、金属イオン吸着性基等)であり、金属前駆体と静電相互作用を形成し得る官能基、金属前駆体と配位形成し得る含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基等を使用することができる。
相互作用性基の具体例としては、アミノ基、アミド基、イミド基、ウレア基、トリアゾール環、イミダゾール基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アルキルアミン構造を含む基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)等の含窒素官能基;エーテル基、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、カーボネート基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基等の含酸素官能基;チオフェン基、チオール基、チオウレア基、スルホキシド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル構造を含む基等の含硫黄官能基;ホスフォート基、ホスフォロアミド基、ホスフィン基、リン酸エステル構造を含む基等の含リン官能基;塩素、臭素等のハロゲン原子を含む基等が挙げられ、塩構造をとり得る官能基においては、それらの塩も使用することができる。
相互作用性基としては、非解離性官能基であっても、イオン性極性基であってもよい。なお、めっき下塗りポリマーは、これらを同時に有していてもよいが、好ましくは、相互作用性基として、イオン性極性基を有し、非解離性官能基を有さない方がよい。
イオン性極性基としては、めっき下塗りポリマーの樹脂基材(樹脂基材上に上記易接着層が形成されている場合には、易接着層)に対する密着性の観点から、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びボロン酸基が挙げられ、これらの中でも適度な酸性(他の官能基を分解しない)を有する点、他の官能基に影響を与える懸念が少ない点、めっきの層との親和性に優れる点、及び原料が入手容易であるという点から、カルボン酸基が特に好ましい。
カルボン酸基等のイオン性極性基は、酸性基を有するラジカル重合性化合物を共重合させることにより、めっき下塗りポリマーに導入することができる。
ラジカル重合性基と非解離性官能基からなる相互作用性基とを有するポリマーとしては、特開2009−007540号公報の段落[0106]〜[0112]に記載のポリマー等を好適に使用することができる。
また、ラジカル重合性基とイオン性極性基からなる相互作用性基とを有するポリマーとしては、特開2006−135271号公報の段落[0065]〜[0070]に記載のポリマー等を好適に使用することができる。
さらに、ラジカル重合性基と、非解離性官能基からなる相互作用性基と、イオン性極性基からなる相互作用性基とを有するポリマーとしては、特開2010−248464号公報の段落[0010]〜[0128]、特開2010−84196号公報、及び米国特許出願公開2010−080964号明細書の段落[0030]〜[0108]に記載のポリマー等を好適に使用することができる。
めっき下塗りポリマー層は、エネルギー付与に対する感度を高めるために、光重合開始剤、熱重合開始剤等のラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、一般に公知のものが使用される。
但し、エネルギー付与により、めっき下塗りポリマーが、樹脂基材や易接着層と相互作用する活性点を生成し得る場合、すなわち、めっき下塗りポリマーとして、ポリマー骨格中に重合開始部位を有するポリマーを用いるような場合には、これらのラジカル重合開始剤を添加しなくてもよい。
めっき下塗りポリマー層を形成するための組成物(以下、適宜、「めっき下塗りポリマー層形成用組成物」と称する。)に含有させるラジカル重合開始剤の量は、めっき下塗りポリマー層形成用組成物の構成に応じて選択されるが、一般的には、めっき下塗りポリマー層形成用組成物中に、0.05質量%〜30質量%程度であることが好ましく、0.1質量%〜10.0質量%程度であることがより好ましい。
〔めっき下塗りポリマー層の形成方法〕
−めっき下塗りポリマー層形成用組成物の塗布−
めっき下塗りポリマー層は、例えば、上記樹脂基材、又は、上記樹脂基材上に設けられた易接着層の面上に、めっき下塗りポリマー層形成用組成物を塗布し、エネルギーを付与することにより形成することができる。
上記樹脂基材上に、めっき下塗りポリマー層を直接設ける場合には、予め樹脂基材の表面にエネルギーを付与する等の易接着処理(例えば、コロナ処理、プラズマ処理等)を施しておくことが好ましい。
樹脂基材上に、めっき下塗りポリマーを含むポリマー層を設ける方法は、特に限定されるものではなく、例えば、めっき下塗りポリマー層形成用組成物中に樹脂基材を浸漬する方法や、めっき下塗りポリマー層形成用組成物を樹脂基材上に塗布する方法等が挙げられる。得られる層の厚みを制御し易い点において、めっき下塗りポリマー層形成用組成物を樹脂基材上に塗布する方法が好ましい。
めっき下塗りポリマー層形成用組成物の塗布量は、後述する金属前駆体との十分な相互作用を形成させる観点から、固形分換算で0.05g/m〜10g/mであることが好ましく、0.3g/m〜5g/mであることが特に好ましい。
樹脂基材等へ塗布しためっき下塗りポリマー層形成用組成物は、20℃〜60℃で1秒間から2時間乾燥させた後、60℃を超える温度で1秒間〜2時間乾燥させることが好ましく、20℃〜60℃で1秒間〜20分間乾燥させた後、60℃を超える温度で1秒間〜20分間乾燥させることがより好ましい。
上記樹脂基材、又は、上記樹脂基材上に設けられた易接着層の面上に、めっき下塗りポリマー層形成用組成物を塗布した後、エネルギーを付与すると、エネルギー付与領域において、ポリマーが有する重合性基同士、又は、ポリマーが有する重合性基と、上記樹脂基材、若しくは、上記樹脂基材上に設けられた易接着層との間に相互作用が形成され、樹脂基材上に(又は、易接着層を介して樹脂基材上に)固定化されためっき下塗りポリマー層が形成される。このようにして、樹脂基材とめっき下塗りポリマー層とが強固に密着することとなる。
−エネルギーの付与−
エネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光が挙げられる。
露光によるエネルギー付与方法としては、具体的には、UVランプ、可視光線等による光照射が可能である。露光で使用する光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線等がある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
露光パワーは、重合を容易に進行させるため、ポリマーの分解を抑制するため、及びポリマーが良好な相互作用を形成するためといった観点から10mJ/cm〜8000mJ/cmの範囲であることが好ましく、100mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲であることがより好ましい。
なお、露光は、窒素、ヘリウム、二酸化炭素等の不活性ガスによる置換を行ない、酸素濃度を600ppm以下、好ましくは400ppm以下に抑制した雰囲気中で行なってもよい。
加熱によるエネルギー付与は、例えば、一般の熱ヒートローラー、ラミネーター、ホットスタンプ、電熱板、サーマルヘッド、レーザー、送風乾燥機、オーブン、ホットプレート、赤外線乾燥機、加熱ドラム等により行なうことができる。
また、加熱によりエネルギー付与を行なう場合、その温度は、重合を容易に進行させるため、また、樹脂基材の熱変性を抑制するため、20℃〜200℃であることが好ましく、40℃〜120℃であることがより好ましい。
−未反応めっき下塗りポリマーの除去−
エネルギー付与後は、更に適宜、未反応のポリマーを除去する工程を設けてもよい。未反応のポリマーの除去方法としては、例えば、ポリマーを溶解する溶剤や、アルカリ可溶性のポリマーの場合はアルカリ系現像液(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液)等を、めっき下塗りポリマー層が形成された樹脂基材に接触させる方法が挙げられる。
めっき下塗りポリマー層の厚みは、特に限定されるものではないが、上記樹脂基材等との密着性の観点から、0.05μm〜10μmであることが好ましく、0.3μm〜5μmであることがより好ましい。
めっき下塗りポリマー層の表面粗さ(Ra)は、反射性能の観点から、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。ここでいう表面粗さ(Ra)は、JIS B0601(1994)に準拠して求められる算術平均粗さである。
−還元された金属粒子−
本発明におけるめっき下塗りポリマー層は、還元された金属粒子を含む。めっき下塗りポリマー層に含まれる還元された金属粒子は、めっき下塗りポリマー層に、金属前駆体を付与し、この金属前駆体を還元して、金属前駆体を還元された金属粒子とすることによって得られる。金属前駆体をめっき下塗りポリマー層に付与すると、上記相互作用性基に、金属前駆体が相互作用により付着する。
−金属前駆体−
本発明において用いられる金属前駆体は、還元反応により金属に変化させることで電極として機能するものであれば、特に限定されないが、金属反射層の形成において、めっきの電極として機能するものが好ましく挙げられる。
具体的には、Au、Pt、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Co等の金属イオンが用いられる。これらの金属イオンは、還元反応によって0価の金属粒子となる。
金属前駆体である金属イオンは、金属塩としてめっき下塗りポリマー層形成用組成物に含まれることが好ましい。
使用される金属塩としては、適切な溶剤に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば、特に限定されるものではなく、M(NO、MCl、M2/n(SO)、M3/n(PO)(Mは、n価の金属原子を表す)等が挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオン等が挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類、数、及び触媒能の点で、Agイオン、Cuイオン、及びPdイオンが好ましい。
Agイオンとしては、以下に示すような銀化合物が解離したものを好適に用いることができる。銀化合物の具体例としては、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、シアン化銀、チオシアン酸銀、塩化銀、臭化銀、クロム酸銀、クロラニル酸銀、サリチル酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、ジエチルジチオカルバミド酸銀、及びp−トルエンスルホン酸銀が挙げられる。これらの中でも、水溶性の観点から硝酸銀が好ましい。
Cuイオンとしては、以下に示すような銅化合物が解離したものを好適に用いることができる。銅化合物の具体例としては、硝酸銅、酢酸銅、硫酸銅、シアン化銅、チオシアン酸銅、塩化銅、臭化銅、クロム酸銅、クロラニル酸銅、サリチル酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミド酸銅、及びp−トルエンスルホン酸銅が挙げられる。これらの中でも、水溶性の観点から硫酸銅が好ましい。
金属前駆体は、分散液又は溶液(金属前駆体液)として、形成されためっき下塗りポリマー層に付与されることが好ましい。
付与の方法としては、例えば、めっき下塗りポリマー層形成用組成物を用いて樹脂基材上にめっき下塗りポリマー層を形成した後、このめっき下塗りポリマー層の面上に金属前駆体を含む組成物(分散液又は溶液)を塗布する方法が挙げられる。また、めっき下塗りポリマー層が形成された樹脂基材を、金属前駆体を含む組成物(分散液又は溶液)に浸漬する方法が挙げられる。
金属前駆体は、めっき下塗りポリマー層に、金属前駆体を含む分散液又は溶液を接触させ、ファンデルワールス力のような分子間力による相互作用、又は、孤立電子対による配位結合による相互作用を利用することで、めっき下塗りポリマー中の相互作用基に吸着させることができる。
金属前駆体の吸着を十分に行なわせるという観点から、金属前駆体を含む分散液又は溶液中の金属前駆体の濃度は、0.001質量%〜50質量%であることが好ましく、0.005質量%〜30質量%であることがより好ましい。
金属前駆体の分散液及び溶液に用いる溶媒には、水や有機溶媒が用いられる。水や有機溶剤を含有することで、ポリマー層に対する金属前駆体の浸透性が向上し、相互作用性基に効率よく金属前駆体を吸着させることができる。
金属前駆体のめっき下塗りポリマー層への付与に、分散液を用いる場合、金属前駆体の粒子径は、1nm〜200nmであることが好ましく、1nm〜100nmであることがより好ましく、1nm〜60nmであることが更に好ましい。金属前駆体の粒子径を上記範囲内とすることで、還元された金属粒子の粒子径を所望の大きさに制御することができる。
なお、ここでいう粒子径とは、平均1次粒子径(体積換算)のことであり、SEM(S−5200、日立ハイテクマニファクチャ&サービス社製)の画像から読み取ったものである。
なお、金属前駆体は、予め、めっき下塗りポリマー層用組成物に含有させてもよく、その場合、めっき下塗りポリマー層用組成物における金属前駆体の含有量は、組成物全量に対して、0.5質量%〜100質量%であることが好ましく、1質量%〜50質量%であることがより好ましい。
めっき下塗りポリマー層に付与した金属前駆体である金属イオンは、金属活性化液(還元液)により還元する。金属活性化液は、金属前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤と、該還元剤を活性化するためのpH調整剤を含む。
金属活性化液全体に対する還元剤の濃度は、0.05質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜30質量%であることがより好ましい。
還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸等の還元剤を用いることが可能である。特に、ホルムアルデヒドを含有するアルカリ水溶液で還元することが好ましい。
金属活性化液全体に対するpH調整剤の濃度は、0.05質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。
pH調整剤としては、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することが可能である。
還元時の温度は、10℃〜100℃であることが好ましく、20℃〜70℃であることが更に好ましい。
これら濃度や温度は、還元の際の、金属前駆体の粒子径、ポリマー層の表面粗さ(Ra)、導電性(表面抵抗値)、及び還元液の劣化の観点から、上記範囲内であることが好ましい。
めっき下塗りポリマー層に含まれる還元された金属粒子の粒子径は、反射性能の観点から、1nm〜200nmであることが好ましく、1nm〜100nmであることがより好ましく、1nm〜60nmであることが更に好ましい。この範囲内にあることで、めっき後の反射率が良好となる。
なお、ここでいう粒子径は、SEM(S−5200、日立ハイテクマニファクチャ&サービス社製)画像から読み取ったものである。
還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層の表面抵抗値は、0.001Ω/□以上100Ω/□以下であることが好ましく、0.03Ω/□以上50Ω/□以下であることがより好ましい。この範囲内であると、均一及び平滑にめっき面が形成され、反射率が良好となる。
また、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層の表面粗さ(Ra)は、反射性能の観点から、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。ここでいう表面粗さ(Ra)は、JIS B0601(1994)に準拠して求められる算術平均粗さである。
このようにして得られた金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層は、以下に詳述する金属反射層を湿式法であるめっき法により形成する際に好適に用いられ、めっき下塗りポリマー層を用いてめっき法により形成された金属反射層は、樹脂基材との密着性と表面平滑性とに優れる。
<金属反射層>
本発明における金属反射層は、樹脂基材上に、直接設けられるか、又は、所望により設けられる既述の樹脂中間層を介して設けられる。
金属反射層は、金属を含有する金属膜で構成される反射層である。金属反射層を形成する金属としては、光を反射する金属であれば、特に限定されるものではないが、可視光及び赤外光の両方を反射する金属が好ましい。可視光及び赤外光の両方を反射する金属としては、例えば、銀、アルミニウム等が挙げられる。
本発明における金属反射層を形成する金属は、光の反射性能の観点から、銀、又は銀を含む合金が好ましい。銀、又は銀を含む合金によれば、フィルムミラーの可視光領域での反射率を高め、入射角による反射率の依存性を低減できる。ここでいう可視光領域とは、400nm〜700nmの波長領域を意味する。また、入射角とは、膜面に対して垂直な線に対する角度を意味する。
銀合金としては、銀含有金属層の耐久性が向上する点において、銀と、金、パラジウム、スズ、ガリウム、インジウム、銅、チタン、及びビスマスからなる群の金属から選ばれる1種以上の金属とからなる合金が好ましい。銀合金としては、銀と金との合金が、耐湿熱性、反射率等の観点から特に好ましい。
例えば、金属反射層が銀合金からなる膜である場合、銀の含有量は、金属反射層における銀と他の金属との合計(100原子%)中、90原子%〜99.8原子%であることが好ましい。また、他の金属の含有量は、耐久性の点から0.2原子%〜10原子%であることが好ましい。
金属反射層の表面粗さ(Ra)は、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることが更に好ましい。金属反射層の表面粗さ(Ra)を、上記範囲内とすると、得られたフィルムミラーの反射率が向上するので、太陽光を効率良く集光することが可能となる。ここでいう表面粗さ(Ra)は、JIS B0601(1994)に準拠して求められる算術平均粗さである。
〔金属反射層の形成方法〕
本発明における金属反射層は、湿式法又は乾式法のいずれの方法でも形成することができる。湿式法としては、例えば、電気めっき法、無電解めっき法、銀錯体塗布焼成法等が挙げられる。乾式法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が挙げられる。
本発明においては、還元された金属粒子を含むめっき下塗りポリマー層に対して、めっきする金属が溶解した水溶液中等で表面処理を行なう湿式めっきにて、金属反射層を形成することが好ましい。この方法によれば、めっき下塗りポリマー層の表面が金属で覆われているため、通常の蒸着等よりも密着性が良く、且つ、熱に対しても強い金属反射層を形成することができる。
以下、金属反射層を電気めっき法により形成する場合について、説明する。
電気めっき法としては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明においては、樹脂中間層が電極としての機能を有する場合には、樹脂中間層に対して電気めっきを行なうことにより、金属反射層を形成することができる。
めっきに用いられる金属化合物としては、例えば、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、メタンスルホン酸銀、アンモニア銀、シアン化銀、チオシアン酸銀、塩化銀、臭化銀、クロム酸銀、クロラニル酸銀、サリチル酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、ジエチルジチオカルバミド酸銀、p−トルエンスルホン酸銀等の銀化合物が挙げられる。これらの中でも、環境影響や平滑性の観点から、メタンスルホン酸銀が好ましい。
また、本発明においては、樹脂中間層と金属反射層との間に、例えば、銅、ニッケル、クロム、鉄等の他の金属を含有する金属層を下地金属層として設けてもよい。適切な厚みの下地金属層を入れることで、表面平滑化による反射率の向上、及びピンホールの低減が可能となる。
金属反射層の厚みは、金属反射層の表面に、ピンホールや光を散乱させるような凹凸を作らないという観点から、0.05μm〜2.0μmであることが好ましく、0.08μm〜0.5μmであることがより好ましい。
なお、電気めっき法により金属反射層を形成する場合には、金属反射層の厚みは、めっき浴中に含まれる金属濃度、又は、電流密度を調整することで制御することができる。
本発明においては、電気めっきの後、金属反射層の反射性能や耐久性を向上させるために、金属反射層の表面を強酸、強アルカリ等で処理したり、金属反射層の表面に無機皮膜や金属酸化皮膜を形成したりしてもよい。また、金属反射層の表面に、変色防止剤を含む変色防止剤層を更に設けてもよい。
変色防止剤としては、金属を吸着する吸着基を有するものと、酸化を防止するものとに大別される。変色防止剤の例としては、チオエーテル系、チオール系、Ni系有機化合物系、ベンゾトリアゾール系、イミダゾール系、オキサゾール系、テトラザインデン系、ピリミジン系、チアジアゾール系等の変色防止剤が挙げられる。
<無機バリア層>
無機バリア層は、金属反射層の水分等による劣化を防止するために設けられる。本発明においては、金属反射層の上に、水蒸気バリア性の高い無機バリア層を有するので、金属反射層が水分等によって劣化し難く、耐湿熱性に優れる。金属反射層の劣化が抑制されると、その鏡面性が維持されるため、反射率の低下が生じ難い。
無機バリア層を構成する材料は、大気中の水分等の透過を抑制するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、銅(Cu)、セリウム(Ce)、及びタンタル(Ta)から選ばれる1種以上の金属を含む酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物、酸炭化物等が好ましく用いられる。これらの中でも、ケイ素、アルミニウム、インジウム、スズ、亜鉛、及びチタンから選ばれる金属の酸化物、窒化物、又は酸窒化物がより好ましく、ケイ素及びアルミニウムから選ばれる金属の酸化物、窒化物、又は酸窒化物が特に好ましい。なお、無機バリア層は、副次的な成分として他の元素を含有していてもよい。
〔無機バリア層の形成方法〕
本発明における無機バリア層の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition、PVD)、プラズマ化学気相成長法(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition、PECVD)等の化学気相成長法(CVD)、めっき法、ゾル−ゲル法等の液相成長法、塗布法等の形成方法が適しており、具体的には、特許第3400324号、特開2002−322561号、特開2002−361774号の各公報に記載の形成方法を採用することができる。
無機バリア層は、単層であっても、又は複数の層からなる多層構造であってもよい。無機バリア層が多層構造である場合、多層構造を構成する各層は、同じ組成を有していても、異なる組成を有していてもよい。
無機バリア層の膜厚は、大気中の水分等の透過を抑制することができれば、特に限定されるものではないが、耐湿熱性により優れたフィルムミラーを実現できる点において、30nm〜3μmであることが好ましく、より優れた反射性と耐湿熱性と耐屈曲性とを兼ね備えたフィルムミラーを実現できる点において、30nm〜1μmであることがより好ましい。
<有機層>
(第1の有機層)
本発明のフィルムミラーは、無機バリア層の上に、引張弾性率が2000MPa未満であり、且つ、膜厚が1μm〜50μmである第1の有機層を有する。
本発明においては、上述したように、金属反射層の上に水蒸気バリア性の高い無機バリア層を設けることで、金属反射層の水分等によって劣化を抑制している。無機バリア層は、主として金属の酸化物等からなる緻密な膜で構成されており、耐屈曲性に劣るため、フィルムミラーを屈曲させると、無機バリア層に割れが生じ、水蒸気バリア性が低下する恐れがある。本発明のフィルムミラーでは、耐屈曲性に劣る無機バリア層の上に、特定の引張弾性率と特定の膜厚を有する第1の有機層を備えることで、柔らかく、屈曲に強い第1の有機層が曲げによる応力を緩和させ、無機バリア層、ひいては、フィルムミラーの耐屈曲性を向上させるものと考えられる。耐屈曲性が向上すると、無機バリア層に割れが生じ難くなるので、無機バリア層の高い水蒸気バリア性能が損なわれ難くなる。そして、無機バリア層の高い水蒸気バリア性能が維持される結果、耐湿熱性に優れたフィルムミラーを実現することができ、優れた反射率を長期間にわたり保つこともできる。
本発明における第1の有機層は、引張弾性率が2000MPa未満であり、1500MPa未満であることが好ましく、1000MPa未満であることがより好ましい。第1の有機層の引張弾性率が2000MPa以上であると、耐屈曲性を得ることができない。
ここでいう引張弾性率は、JIS K7127に準拠した方法により測定される値であり、本明細書に記載の数値は、以下の方法により測定したものである。
・測定装置:テンシロン引張試験機(テンシロンRTM−25、東洋ボールドウィン社製)
・測定温度:25℃
・引張速度:3mm/分
・チャック間距離:3cm
本発明における第1の有機層は、膜厚が1μm〜50μmであり、5μm〜30μmであることが好ましく、10μm〜20μmであることがより好ましい。
第1の有機層の膜厚が1μm未満であると、無機バリア層との密着性が悪く、所望の耐屈曲性を得ることができない。第1の有機層の膜厚が50μmを超えると、有機層の成膜時にカールが生じたり、透明性が損なわれるため、所望の反射率を得ることができない。
なお、第1の有機層がフィルムミラーの最表層である場合には、砂塵をはじくクッション性を確保する観点から、第1の有機層の膜厚は、下限値が5μm以上であることが好ましい。
本発明における第1の有機層は、耐屈曲性をより向上させる観点から、架橋点間分子量が200以上であることが好ましく、300〜2000であることがより好ましく、300〜1000であることが更に好ましい。また、架橋点間分子量が200以上であると、硬化の際に、硬化収縮が大きくなりすぎず、無機バリア層との間で剥離し難い。
ここでいう架橋点間分子量は、「塗料の研究」、No.110,p.76(1985)に記載された方法に基づいて測定したものである。具体的には、動的粘弾性測定装置(バイブロン DVA−225、アイティー計測制御社製)を用いて、つかみ間距離:30mm、昇温速度:2℃/分、測定温度範囲:30℃〜150℃、周波数:1Hzの条件下で、貯蔵弾性率E’(単位:Pa)を測定する。そして、貯蔵弾性率E’の極小値(E’min)、試料の密度(p)、気体定数(R)、及びE’minの絶対温度(T)から、下記式により、架橋点間分子量(Mc)を求める。
E’min=3pRT/Mc
第1の有機層を構成する材料には、透明性、耐久性、平滑性、及び塗工性を有していれば、特に限定されるものではなく、公知のポリマーを用いることができる。このようなポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられ、これらを単独で、又は混合して用いることができる。
本発明における第1の有機層を構成するポリマーは、塗工性及び上記の引張弾性率のような物性値の調整の容易さの観点から、少なくとも(メタ)アクリレートに由来する構造単位を含む(メタ)アクリル系共重合体が好ましい。ここでいう(メタ)アクリル系共重合体は、モノマー成分として、少なくとも1種の(メタ)アクリレート単量体を含む2種以上の単量体を共重合させて得られる共重合体である。
(メタ)アクリレート単量体は、単官能の単量体であっても、多官能の単量体であってもよいが、架橋点間分子量を調整し易いという観点から、単量体の少なくとも1つは、下記一般式(2)で表される2官能モノマーであることが好ましい。
Ac1−O−L−O−Ac2 一般式(2)
一般式(2)中、Ac及びAcは、各々独立に、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
一般式(2)中、Lは、炭素数8以上であって、且つ、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子のいずれも含まない直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。
Lの炭素数は、8〜12であることが好ましく、8〜10であることがより好ましく、8又は9であることが更に好ましい。
Lを構成するアルキレン基は、無置換でも置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基を例示することができ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。アルキル基の炭素数は、1〜6であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。
以下、一般式(2)で表される2官能モノマーの具体例を示す。但し、本発明において用いることができる一般式(2)で表される2官能モノマーは、これらに限定されない。
一般式(2)で表される2官能モノマーを含んで得られる共重合体は、表面エネルギーが低く、塗布時にぬれ広がり易い硬化膜を形成しうる。表面エネルギーは、2官能モノマーを硬化した後の第1の有機層の表面における水又はジヨードメタンに対する接触角を測定することにより評価する。
本発明において用いることができる一般式(2)で表される2官能モノマーとしては、2官能モノマーの単独重合体を得て、該単独重合体を製膜したときの硬化後における水に対する接触角が70度以上であるものを用いるが好ましく、75度以上であるものがより好ましく、水に対する接触角が75度以上であり、且つ、ジヨードメタンとの接触角が40度以上である単量体を選択して用いることが特に好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体の合成に際しては、一般式(2)で表される2官能モノマーは、1種のみを用いてもよく、複数種のモノマーを用いてもよい。本発明において、(メタ)アクリル系共重合体の合成に用いられる全モノマーに対する一般式(2)で表される2官能モノマーの含有量は、50質量%〜100質量%であることが好ましい。
本発明において(メタ)アクリル系共重合体の合成に用いられるモノマーは、一般式(2)で表される2官能モノマーを含むことが好ましいが、それ以外のモノマーを含んでいてもよく、併用可能なモノマーとしては、例えば、その他の2官能(メタ)アクリレートモノマー、単官能(メタ)アクリレートモノマー、3官能(メタ)アクリレートモノマー、4官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。
本発明に用いることができる(メタ)アクリレートモノマーの好ましい例としては、例えば、米国特許第6,083,628号、及び米国特許第6,214,422号の各明細書に記載された化合物が挙げられる。これらの一部を以下に例示する。
この他の例として、日本国内で市販されている下記の化合物も挙げられる。
また、(メタ)アクリル系共重合体の合成には、必要に応じて、上記以外の他のモノマーを用いることができる。他のモノマーとは、(メタ)アクリレート単量体と共重合可能な単量体である。他のモノマーは、本発明の優れた効果を損なわない範囲において含有させることができる。
第1の有機層を構成するポリマーには、無機バリア層との密着性を向上させる観点から、下記一般式(1)で表される構造単位が含まれることが好ましい。
一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又はメチル基である。RとRは、同一であることが好ましい。
一般式(1)中、Lは、炭素数8以上であって、且つ、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子のいずれも含まない直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。
Lで表されるアルキレン基の炭素数は、8〜12であることが好ましく、8〜10であることがより好ましく、8又は9であることが更に好ましい。
Lを構成するアルキレン基は、無置換でも置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基を例示することができ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。アルキル基の炭素数は、1〜6であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。
一般式(1)で表される構造は、第1の有機層を構成するポリマー中に複数種含まれていてもよいし、一種のみ含まれていてもよい。一般式(1)で表される構造は、第1の有機層を構成するポリマー中に、10質量%〜90質量%存在することが好ましく、10質量%〜80質量%存在することがより好ましく、20質量%〜70質量%存在することが更に好ましい。
重合法は、特に限定されるものではなく、例えば、加熱重合、光(紫外線、可視光線)重合、電子ビーム重合、プラズマ重合、又はこれらの組み合わせが好ましく用いられる。これらの中でも、光重合が特に好ましい。光重合を行なう場合は、光重合開始剤を併用する。光重合開始剤としては、例えば、BASFジャパン社から販売されているイルガキュア(IRGACURE)シリーズ(例えば、イルガキュア 127、イルガキュア 651、イルガキュア 754、イルガキュア 184、イルガキュア 2959、イルガキュア 907、イルガキュア 369、イルガキュア 379、イルガキュア 819等)、ダロキュア(DAROCURE)シリーズ(例えば、ダロキュア TPO、ダロキュア 1173等)、インターナショナル バイオ−シンセティクス(International Bio−Synthetics)社から販売されているクオンタキュア(Quantacure)PDO、サートマー(Sartomer)社から販売されているエザキュア(Esacure)シリーズ(例えば、エザキュア TZM、エザキュア TZT等)等が挙げられる。
照射する光は、通常、高圧水銀灯又は低圧水銀灯による紫外線である。照射エネルギーは、0.5J/cm以上であることが好ましく、2J/cm以上であることがより好ましい。(メタ)アクリレート単量体は、空気中の酸素によって重合阻害を受けるため、重合時の酸素濃度又は酸素分圧を低くすることが好ましい。窒素置換法によって重合時の酸素濃度を低下させる場合、酸素濃度は2%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。減圧法により重合時の酸素分圧を低下させる場合、全圧が1000Pa以下であることが好ましく、100Pa以下であることがより好ましい。また、100Pa以下の減圧条件下で2J/cm以上のエネルギーを照射して紫外線重合を行なうことが特に好ましい。
〔第1の有機層の形成方法〕
本発明における第1の有機層の形成方法としては、例えば、通常の溶液塗布法や真空成膜法等を挙げることができる。
溶液塗布法としては、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法、米国特許第2,681,294号明細書に記載のホッパ−を使用するエクストルージョンコート法等が挙げられる。
真空成膜法としては、特に限定されるものではないが、例えば、米国特許第4,842,893号、米国特許第4,954,371号、米国特許第5,032,461号等の各明細書に記載のフラッシュ蒸着法が好ましい。
(第2の有機層)
本発明のフィルムミラーは、金属反射層と無機バリア層との間に、引張弾性率が2000MPa未満であり、且つ、膜厚が1μm〜50μmである第2の有機層を更に有していてもよい。
本発明のフィルムミラーでは、金属反射層と無機バリア層との間に、クッション性を有する第2の有機層を有することで、耐屈曲性が更に向上させることができる。
本発明における第2の有機層は、引張弾性率が2000MPa未満であり、1500MPa未満であることが好ましく、1000MPa未満であることがより好ましい。第1の有機層の引張弾性率が2000MPa以上であると、耐屈曲性を得ることができない。
本発明においては、第1の有機層及び第2の有機層の引張弾性率は、曲げの応力が集中することを抑制する観点から、同じであるか、できるだけ近い値であることが好ましい。
本発明における第2の有機層は、膜厚が1μm〜50μmであり、5μm〜30μmであることが好ましく、10μm〜20μmであることがより好ましい。
第2の有機層の膜厚が1μm未満であると、無機バリア層との密着性が悪く、所望の耐屈曲性を得ることができない。第2の有機層の膜厚が50μmを超えると、所望の反射率を得ることができない。
本発明においては、第2の有機層の膜厚に対する第1の有機層の膜厚の比率(第1の有機層の膜厚/第2の有機層の膜厚)は、曲げの応力が集中することを抑制する観点から、0.5〜2.0であることが好ましく、0.7〜1.5であることがより好ましく、0.8〜1.0であることが更に好ましい。
本発明における第2の有機層は、耐屈曲性をより向上させる観点から、架橋点間分子量が200以上であることが好ましく、300〜2000であることがより好ましく、300〜1000であることが更に好ましい。
第2の有機層を構成する樹脂は、上述の第1の有機層を構成する樹脂と同様であり、好ましい態様も同様である。
本発明においては、第1の有機層を構成する樹脂と、第2の有機層を構成する樹脂とは同じものであることが好ましい。
〔第2の有機層の形成方法〕
本発明における第2の有機層の形成方法は、上述の第1の有機層の形成方法と同様であり、好ましい態様も同様である。
<保護層>
本発明のフィルムミラーでは、太陽光、雨水、砂塵等による金属反射層の劣化や破損をより防止し、更に鏡面性の安定化を図るために、上記金属反射層の光入射側に、保護層を有していてもよい。
本発明における保護層は、バインダーとして樹脂を含有する。保護層の形成に用いられる樹脂は、強度、熱や光に対する耐久性、空気や水分の遮断性、保護層と隣接する層(例えば、第1の有機層)との密着性に加え、透明性、特にフィルムミラーが必要とする波長の光に対する透過性に優れたフィルム又は層を形成し得るものが好ましい。
保護層の形成に用いられる樹脂としては、例えば、セルロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)系樹脂、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等)、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、セルロースジアセテート樹脂、セルローストリアセテート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレンビニルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、ノルボルネン系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂、ウレタン系樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂、アクリル樹脂、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂等が好ましく、光透過性の観点からアクリル樹脂がより好ましい。
本発明における保護層には、架橋剤が含有されていてもよい。架橋剤を含有することで、保護層中に架橋構造が形成され、強度がより向上する。
架橋剤としては、保護層を構成する樹脂との相関により選択することができ、例えば、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メラミン化合物、ビスビニルスルオン化合物などが挙げられ、効果の観点からは、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、及びエポキシ化合物からなる群より選ばれ少なくとも1種の架橋剤が好ましい。
保護層には、上記の各成分に加え、例えば、紫外線吸収剤、光重合開始剤、帯電防止剤、塗布助剤(レベリング剤)、酸化防止剤、消泡剤等の添加剤が含有されていてもよい。
〔保護層の形成方法〕
例えば、第1の有機層の面上に保護層を形成する方法としては、以下の方法が挙げられる。但し、本発明においては、これらの方法に限定されるものではない。
(1)上記樹脂及び所望により併用される成分を溶剤に溶解させ、保護層形成用塗布液を調製し、この保護層形成用塗布液を第1の有機層の面上に塗布し、乾燥させることにより、保護層を形成する方法。
(2)上記(1)の保護層形成用塗布液を第1の有機層の面上に塗布し、乾燥させて、第1の有機層の面上に膜を形成した後、この膜に対して、加熱、UV照射等を施すことにより、保護層を形成する方法。
(3)上記樹脂及び所望により併用される成分の混合物を、上記樹脂が溶融する温度まで加熱した後、得られた溶融物を第1の有機層の面上にキャストすることにより、保護層を形成する方法。
(4)上記樹脂及び所望により併用される各成分の混合物を予め成形してフィルムとし、このフィルムを、粘着剤を用いて第1の有機層に貼り合わせるか、又は、熱ラミネート等により第1の有機層に融着させることにより、保護層を形成する方法。
保護層の膜厚は、必要な保護機能と耐久性とを達成し、且つ、光反射能の低減を抑制するといった観点から、3μm〜30μmであることが好ましく、5μm〜20μmであることがより好ましい。
[太陽光集光用フィルムミラー]
本発明のフィルムミラーは、耐湿熱性に優れるので、屋外に設置され、太陽光に起因する紫外線や熱、風雨等に晒される太陽光集光用フィルムミラーとして好適に用いることができる。特に、本発明のフィルムミラーは、砂漠等の特に過酷な環境下に置かれる太陽熱発電に用いられる太陽光集光用フィルムミラーとして有用である。
また、本発明のフィルムミラーは、耐屈曲性を有しており、屈曲によって、効率の良い太陽光の集光を実現できることから、太陽光集光用フィルムミラーとして好適である。
[太陽光反射板]
本発明のフィルムミラーは、樹脂、金属、セラミック等の基板に、接着層を介して貼り合わせることで、太陽光反射板として用いることができる。
本発明のフィルムミラーは、単体でも太陽光の反射に用いることができるが、好ましくは、貼り付けにより樹脂等の基板上に保持させて、太陽光反射板として用いる。
本発明のフィルムミラーは、耐屈曲性及び耐湿熱性に優れるので、これを用いて作製された太陽光反射板は、砂漠等の過酷な環境下に置かれ、太陽光を効率良く集光することを要する太陽光発電用として、特に好適である。
本発明のフィルムミラーを保持させる基板としては、樹脂、金属、セラミック等が挙げられ、好ましくは金属である。金属基板としては、例えば、鋼板、銅板、アルミニウム板、銅めっき鋼板、錫めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、ステンレス鋼板、クロムめっき鋼板等の熱伝導率が高いものが挙げられ、これらの中でも、耐食性の観点から、めっき鋼板、ステンレス鋼板、及びアルミニウム板が好ましい。
本発明のフィルムミラーと上記基板とを貼り合わせる接着層の形成材料は、特に限定されず、例えば、接着剤、ラミネート剤、ヒートシール剤等が挙げられ、鏡面性の観点から、接着剤が好ましい。
接着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ニトリルゴム等を主成分とするものが好ましく、耐光性及び接着性の観点から、アクリル系樹脂又はウレタン系樹脂を主成分とする接着剤が特に好ましい。
アクリル系樹脂を主成分とするアクリル系接着剤は、特に、耐候性及び耐光性に優れている。また、ウレタン系樹脂を主成分とするウレタン系接着剤は、ポリイソシアネートとポリオールとからなる2液混合型の接着剤を用いることで、強固な接着強度を得ることが可能となる。
接着層の膜厚は、接着性、形成容易性等の観点から、1μm〜20μmの範囲であることが好ましい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[合成例1]
〔架橋性ポリロタキサンA〕
100mlの三角フラスコに、ポリエチレングリコール(平均分子量:20,000)4g及び乾燥塩化メチレン20mlを入れて、ポリエチレングリコールを溶解させた。この溶液をアルゴン雰囲気下に置き、1,1’−カルボニルジイミダゾール0.8gを加え、引き続きアルゴン雰囲気下で、室温(20℃)で6時間、攪拌し、反応させた。
上記にて得られた反応物を、高速攪拌したジエチルエーテル300mlに注ぎ、10分間静置後、沈殿物を有する液を10,000rpmで5分間、遠心分離した。次いで、沈殿物を取り出し、40℃で3時間真空乾燥させた。
得られた生成物を塩化メチレン20mlに溶解させ、得られた液をエチレンジアミン10mlに3時間かけて滴下し、滴下後40分間攪拌した。得られた反応物をロータリーエバポレーターにかけて塩化メチレンを除去した後、水50mlに溶解させ、透析チューブ(分画分子量:8,000)に入れ、水中で3日間透析した。得られた透析物をロータリーエバポレーターで乾燥し、さらに得られた乾燥物を塩化メチレン20mlに溶解させ、ジエチルエーテル180mlで再沈させた。沈殿物を有する液を100,000rpmで5分間、遠心分離し、40℃で2時間真空乾燥させ、ポリエチレングリコールビスアミン(数平均分子量:2万)2.83gを得た。
上記ポリエチレングリコールビスアミン4.5gとα−シクロデキストリン18.0gとを水150mLに加え、80℃に加熱して溶解させた。得られた溶液を冷却し、5℃で16時間静置した。そして、生成した白いペースト状の沈殿を分取し、乾燥させた。
乾燥物を、2,4−ジニトロフルオロベンゼン12.0gとジメチルホルムアミド50gとの混合溶液に加えて室温で5時間攪拌した。その反応混合物にジメチルスルホキシド(DMSO)200mLを加えて溶解させた後、水3.75Lに注いで析出物を分取した。析出物を250mLのDMSOに再溶解させた後、再び3.5Lの0.1%食塩水に注いで、析出物を分取した。その析出物を水とメタノールとで各3回ずつ洗浄後、50℃で12時間真空乾燥させることで、ポリエチレングリコールビスアミンがα−シクロデキストリンに串刺し状に包接され、且つ、両末端アミノ基に2,4−ジニトロフェニル基が結合したポリロタキサン2.0gを得た。得られたポリロタキサンをポリロタキサンa1とする。
得られたポリロタキサンa1について、紫外光吸収測定及びH−NMR測定を行ない、α−シクロデキストリンの包接量を算出したところ、包接量は72個であった。
具体的には、紫外光吸収測定では、合成した包接化合物及び2,4−ジニトロアニリンそれぞれの360nmにおけるモル吸光係数を測定することで、シクロデキストリンの包接量を算出した。また、H−NMR測定では、ポリエチレングリコール部分の水素原子とシクロデキストリン部分の水素原子との積分比から算出した。
上記ポリロタキサンa1(1g)を塩化リチウム/N,N−ジメチルアセトアミド8%溶液50gに溶解させた。そこに、無水酢酸6.7g、ピリジン5.2g、及びN,N−ジメチルアミノピリジン100mgを加え、室温にて一晩攪拌した。得られた反応溶液をメタノールに流し込み、析出した固体を遠心分離にて分離した。分離した固体を乾燥させた後、アセトンに溶解させた。得られた溶液を水に流し込み、析出した固体を遠心分離にて分離し、乾燥させることで、シクロデキストリンの水酸基の一部がアセチル基で修飾されたポリロタキサン(1.2g)を得た。得られたポリロタキサンをポリロタキサンa2とする。
ポリロタキサンa2のH−NMR測定を行い、アセチル基の導入量を算出したところ、75%であった。
上記ポリロタキサンa2(1g)を塩化リチウム/N,N−ジメチルアセトアミド8%溶液50gに溶解させた。そこに、アクリル酸クロライド5.9g、ピリジン5.2g、及びN,N−ジメチルアミノピリジン100mgを加え、室温にて二晩攪拌した。得られた反応溶液をメタノールに流し込み、析出した固体を遠心分離にて分離した。分離した固体を乾燥させた後、アセトンに溶解させた。得られた溶液を水に流し込み、析出した固体を遠心分離にて分離し、乾燥させることで、シクロデキストリンの水酸基がアクリロイル基及びアセチル基で修飾されたポリロタキサン(架橋性ポリロタキサンA)(0.8g)を得た。
架橋性ポリロタキサンAのH−NMR測定を行ない、アクリロイル基及びアセチル基の導入量を算出したところ、87%であった。すなわち、アクリロイル基の導入量は12%であった。
[実施例1]
〔フィルムミラーの作製〕
1.樹脂中間層の形成
(易接着層の形成)
樹脂基材であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(コスモシャインA4300、TOYOBO社製)の面上に、730J/mの条件でコロナ放電処理を施した後、下記の易接着層形成用塗布液を、乾燥重量が124mg/mとなるようにバーコート法により塗布した。そして、これを180℃で1分間乾燥することにより、厚さ0.11μmの易接着層を形成した。
−易接着層形成用塗布液の組成−
・バイロナール1245 48質量部〔ポリエステル樹脂水分散物、固形分:30質量%、東洋紡社製〕(バインダー)
・MP−1000 0.5質量部〔PMMA樹脂微粒子、固形分:100質量%、綜研化学社製〕(マット材)
・エポクロスWS−700 3質量部〔オキサゾリン化合物、固形分:25質量%、日本触媒社製〕(架橋剤)
・カルボジライトV−02−L2 17質量部〔カルボジイミド化合物、固形分:40質量%、日清紡社製〕(架橋剤)
・ナロアクティーCL−95 0.15質量部〔ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、固形分:100質量%、三洋化成工業社製〕(界面活性剤)
(めっき下塗りポリマー層の形成)
易接着層が形成されたPETフィルムの易接着層の面上に、下記の方法により調製しためっき下塗りポリマー層形成用塗布液を、乾燥後の膜厚が約0.55μmとなるように、バーコート法により塗布し、25℃で10分間、及び80℃で5分間乾燥した後、UV照射装置(UVランプ:メタルハライドランプ、GSユアサ社製)を用いて、UV露光(波長:254nm、UV露光量:1000mJ/cm)した。次いで、このUV露光後のPETフィルムを、1質量%の炭酸水素ナトリウム水溶液に5分間浸漬させた後、純水で1分間掛け流しにより洗浄し、未反応のポリマーを除去した。
−めっき下塗りポリマー層形成用塗布液の調製−
下記構造のアクリルポリマー1(下記構造における各繰り返し単位の数字は、質量換算の組成比を表す。)(7質量部)、1−メトキシ−2プロパノール(74質量部)、及び水(19質量部)の混合溶液に、光重合開始剤(エサキュアKTO−46、ランベルディー社製)(0.35質量部)を添加し、攪拌することにより、アクリルポリマー1を含むめっき下塗りポリマー層形成用塗布液を調製した。なお、アクリルポリマー1の重量平均分子量は、40000であり、アクリルポリマー1におけるカルボン酸基の含有量は、4.3meq/gであった。
<<重量平均分子量の測定>>
アクリルポリマー1の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。GPCによる測定条件を以下に示す。
〜条件〜
測定装置:高速GPC(HLC−8320GPC、東ソー社製)
ガードカラム:TSKguardcolum Super AW−H(東ソー社製)
分離カラム:TSKgelSuper AWM−H(サイズ6.0mm×15cm、東ソー社製)を3本連結
検出方法:RI
温度:カラム40℃、インレット40℃、RI40℃
溶離液:N−メチルピロリドン(LiBr10mM含有)
流速:0.35mL/min
サンプル濃度:0.1wt%
注入量:60μL
(金属前駆体の付与)
金属前駆体を含む溶液として、硝酸銀の1質量%水溶液を調製した。上記にて得られためっき下塗りポリマー層が形成されたPETフィルムを、25℃に温調した上記1質量%の硝酸銀水溶液に5分間浸漬させた後、純水で1分間掛け流しにより洗浄し、上記にて得られためっき下塗りポリマー層に、金属前駆体の付与を行なった。
(金属前駆体の還元)
還元液として、0.14質量%の水酸化ナトリウムを含有する0.25質量%のホルムアルデヒド水溶液を調製した。上記にて得られた金属前駆体が付与されたPETフィルムを、25℃に温調した上記還元液に1分間浸漬させた後、純水で1分間掛け流しにより洗浄し、金属前駆体を還元した。
還元後の表面抵抗値を、表面抵抗計を用いて測定したところ、約5Ω/□であった。また、表面粗さ(Ra)を、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定したところ、約7nmであった。さらに、還元後の金属の粒子径を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定したところ、約50nmであった。
2.金属反射層の形成
(電気めっき)
電気めっきの前処理として、上記にて得られた還元された金属の粒子を含むめっき下塗りポリマー層を面上に有するPETフィルムを、25℃に温調したダインクリーナーAC100(大和化成社製)の10質量%水溶液に30秒間浸漬させた後、数回洗浄した。続けて、同じく電気めっき前処理として、ダインシルバーACC(主成分:メタンスルホン酸、大和化成社製)の10質量%水溶液に10秒間浸漬させた後、数回洗浄した。
次に、電気めっき液として、ダインシルバーブライトPL50(主成分:メタンスルホン酸銀、大和化成社製)を、8M水酸化カリウムによりpH9.0に調整したものを調製した。そして、この電気めっき液に、上記前処理後のめっき下塗りポリマー層を表面に有するPETフィルムを浸漬させ、0.5A/dmにて20秒間めっきした。
電気めっきの後処理として、めっき後のPETフィルムを、ダインシルバーACC(主成分:メタンスルホン酸、大和化成社製)の10質量%水溶液に90秒間浸漬させた後、数回洗浄し、金属反射層を形成した。
めっき後処理後の金属反射層の表面粗さ(Ra)を、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定したところ、約4nmであった。
3.無機バリア層の形成
上記にて形成された金属反射層のめっき処理面上に、直流パルスによる反応性スパッタリング法(ターゲット:アルミニウム、反応ガス:酸素)によって、膜厚が0.05μmとなるように、無機バリア層(酸化アルミニウム)を形成した。
4.有機層の形成
重合性化合物として、A−DOD−N(1,10−デカンジオールジアクリレート、新中村化学工業社製)30質量部と、KAYARAD HX−220(ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン2モル付加物のジアクリレート、日本化薬社製)60質量部と、UV−7600B(UV硬化型ウレタンアクリレート/ペンタエリスリトールトリアクリレート=65/35、日本合成化学社製)10質量部と、重合開始剤として、Irgacure 127(BASFジャパン社製)と、を固形分が16質量%となるように、溶剤(メチルイソブチルケトン/シクロヘキサノン=95:5)で希釈し、有機層形成用塗布液OC−1を調製した。この有機層形成用塗布液OC−1を、金属反射層のめっき処理面上に形成された無機バリア層の面上に、乾燥後の膜厚が10μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗布した。そして、塗布膜を130℃で2分間乾燥した後、内圧30Paの真空チャンバー内で、高圧水銀ランプの紫外線照射(積算照射量:500mJ/cm)を行ない、硬化させた。
得られた有機層の引張弾性率を、下記の方法により測定したところ、780MPaであった。また、得られた有機層の架橋点間分子量を、下記の方法により測定したところ、310であった。
<<引張弾性率の測定>>
有機層の引張弾性率を、JIS K7127に準拠した方法により測定した。
剥離塗膜30μm厚(10mm×50mm片)を作製し、25℃、60%RHの条件下で一晩放置後、テンシロン引張試験機(テンシロンRTM−25、東洋ボールドウィン社製)を用いて、25℃、引張速度3mm/分の条件下で、引張弾性率を測定した。なお、チャック間距離は、3cmとした。測定は、3サンプルについて行ない、その平均値を求めた。
<<架橋点間分子量の測定>>
有機層の架橋点間分子量は、「塗料の研究」、No.110,p.76(1985)に記載された方法を参照して行なった。具体的には、以下の方法により測定した。
剥離塗膜30μm厚(10mm×50mm片)を作製し、25℃、60%RHの条件下で一晩放置後、動的粘弾性測定装置(バイブロン DVA−225、アイティー計測制御社製)を用いて、つかみ間距離:30mm、昇温速度:2℃/分、測定温度範囲:30℃〜150℃、周波数:1Hzの条件下で、貯蔵弾性率E’(単位:Pa)を測定した。得られた貯蔵弾性率E’の極小値(E’min)、試料の密度(p)、気体定数(R)、及びE’minの絶対温度(T)から、下記式により、架橋点間分子量(Mc)を求めた。
E’min=3pRT/Mc
このようにして、樹脂基材と、易接着層及びめっき下塗りポリマー層からなる樹脂中間層と、金属反射層と、無機バリア層と、有機層と、をこの順に有する実施例1のフィルムミラーを作製した。
[実施例2]
実施例1において、有機層形成用塗布液OC−1に代えて、表1に示す組成の有機層形成用塗布液OC−2を調製し、有機層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のフィルムミラーを作製した。
なお、実施例1と同様の方法により測定した、実施例2における有機層の引張弾性率は、1020MPaであり、また、架橋点間分子量は、210であった。
[実施例3]
実施例1において、有機層形成用塗布液OC−1に代えて、表1に示す組成の有機層形成用塗布液OC−3を調製し、有機層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のフィルムミラーを作製した。
なお、実施例1と同様の方法により測定した、実施例3における有機層の引張弾性率は、640MPaであり、また、架橋点間分子量は、360であった。
[実施例4]
実施例1において、有機層形成用塗布液OC−1に代えて、表1に示す組成の有機層形成用塗布液OC−4を調製し、有機層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4のフィルムミラーを作製した。
なお、実施例1と同様の方法により測定した、実施例4における有機層の引張弾性率は、860MPaであり、また、架橋点間分子量は、280であった。
[実施例5]
実施例1において、有機層形成用塗布液OC−1に代えて、表1に示す組成の有機層形成用塗布液OC−5を調製し、有機層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5のフィルムミラーを作製した。
なお、実施例1と同様の方法により測定した、実施例5における有機層の引張弾性率は、880MPaであり、また、架橋点間分子量は、240であった。
[実施例6]
実施例1において、有機層形成用塗布液OC−1に代えて、表1に示す組成の有機層形成用塗布液OC−6を調製し、有機層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6のフィルムミラーを作製した。
なお、実施例1と同様の方法により測定した、実施例6における有機層の引張弾性率は、950MPaであり、また、架橋点間分子量は、210であった。
[実施例7]
実施例1において、有機層形成用塗布液OC−1に代えて、表1に示す組成の有機層形成用塗布液OC−7を調製し、有機層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7のフィルムミラーを作製した。
なお、実施例1と同様の方法により測定した、実施例7における有機層の引張弾性率は、1010MPaであり、また、架橋点間分子量は、220であった。
[実施例8]
実施例1において、有機層形成用塗布液OC−1に代えて、表1に示す組成の有機層形成用塗布液OC−8を調製し、有機層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8のフィルムミラーを作製した。
なお、実施例1と同様の方法により測定した、実施例8における有機層の引張弾性率は、210MPaであり、また、架橋点間分子量は、1150であった。
[実施例9]
実施例1において、有機層形成用塗布液OC−1に代えて、表1に示す組成の有機層形成用塗布液OC−9を調製し、有機層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9のフィルムミラーを作製した。
なお、実施例1と同様の方法により測定した、実施例9における有機層の引張弾性率は、1350MPaであり、また、架橋点間分子量は、170であった。
[実施例10]
実施例1において、有機層形成用塗布液OC−1に代えて、表1に示す組成の有機層形成用塗布液OC−10を調製し、有機層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10のフィルムミラーを作製した。
なお、実施例1と同様の方法により測定した、実施例10における有機層の引張弾性率は、180MPaであり、また、架橋点間分子量は、820であった。
[実施例11]
実施例10において、無機バリア層を膜厚0.01μmとなるように形成したこと以外は、実施例10と同様にして、実施例11のフィルムミラーを作製した。
[実施例12]
実施例10において、無機バリア層を膜厚1.1μmとなるように形成したこと以外は、実施例10と同様にして、実施例12のフィルムミラーを作製した。
[比較例1]
実施例1において、有機層形成用塗布液OC−1に代えて、表2に示す組成の有機層形成用塗布液OC−11を調製し、有機層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のフィルムミラーを作製した。
なお、実施例1と同様の方法により測定した、比較例1における有機層の引張弾性率は、2150MPaであり、また、架橋点間分子量は、130であった。
[比較例2]
実施例1において、有機層を膜厚0.5μmとなるように形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2のフィルムミラーを作製した。
なお、実施例1と同様の方法により測定した、比較例2における有機層の引張弾性率は、780MPaであり、また、架橋点間分子量は、260であった。
[比較例3]
実施例1において、有機層を膜厚70μmとなるように形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3のフィルムミラーを作製した。
なお、実施例1と同様の方法により測定した、比較例3における有機層の引張弾性率は、780MPaであり、また、架橋点間分子量は、260であった。
[比較例4]
実施例1において、有機層形成用塗布液OC−1に代えて、表2に示す組成の有機層形成用塗布液OC−12を調製し、有機層を膜厚3μmとなるように形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4のフィルムミラーを作製した。
なお、実施例1と同様の方法により測定した、比較例4における有機層の引張弾性率は、2500MPaであり、また、架橋点間分子量は、121であった。
[比較例5]
実施例1において、有機層形成用塗布液OC−1に代えて、表2に示す組成の有機層形成用塗布液OC−13を調製し、有機層を膜厚1μmとなるように形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5のフィルムミラーを作製した。
なお、実施例1と同様の方法により測定した、比較例5における有機層の引張弾性率は、2100MPaであった。
<評価>
上記にて作製した実施例1〜実施例12、及び比較例1〜比較例5のフィルムミラーについて、密着性、初期反射率、耐湿熱性、及び耐屈曲性の評価を行なった。これらの結果を表1及び表2に示す。
1.密着性
フィルムミラーを幅50mm×長さ120mmに裁断して、測定用の試料を準備した。そして、この試料を用いて、JIS K5600−5−6(ISO2409)に準拠したクロスカット剥離法により、無機バリア層と有機層との密着性を調べた。膜破壊が起きなかった面積の割合(%)を算出し、得られた値に基づいて、無機バリア層と有機層との密着性を評価した。評価基準を以下に示す。
なお、実用上許容できるものは、「A」、「B」、及び「C」に分類されるものである。
(評価基準)
A:膜破壊が起きなかった面積の割合が95%以上である。
B:膜破壊が起きなかった面積の割合が90%以上95%未満である。
C:膜破壊が起きなかった面積の割合が80%以上90%未満である。
D:膜破壊が起きなかった面積の割合が80%未満である。
2.初期反射率
フィルムミラーを幅50mm×長さ50mmに裁断して、測定用の試料を準備した。そして、この試料を用いて、フィルムミラーの波長375nmにおける反射率(%)を、分光光度計(UV−3100PC、島津製作所(株)製)を用いて測定した。なお、実用上許容できるものは、反射率80%以上のものである。
3.耐湿熱性
フィルムミラーを幅50mm×長さ50mmに裁断して、測定用の試料を準備した。この試料を恒温恒湿槽(85℃、85%RH)内に入れ、1週間放置した。そして、この放置後の試料について、波長375nmにおける反射率(%)を、分光光度計(UV−3100PC、島津製作所(株)製)を用いて測定し、放置前の反射率(上記の初期反射率)に対する低下率(%)を算出し、得られた値に基づいて、耐湿熱性を評価した。評価基準を以下に示す。
なお、実用上許容できるものは、「AA」、「A」、及び「B」に分類されるものである。
(評価基準)
AA:初期反射率に対する低下率が2%未満である。
A:初期反射率に対する低下率が2%以上5%未満である。
B:初期反射率に対する低下率が5%以上9%未満である。
C:初期反射率に対する低下率が9%以上である。
4.耐屈曲性
フィルムミラーを幅50mm×長さ120mmに裁断して、測定用の試料を準備した。この試料について、IPC規格TM−650に準拠した方法による屈曲試験を行なった。この屈曲試験は、試料となるフィルムミラーを、固定板と可動板との間に、フィルムミラーの面が凸状となるように曲げた状態で挟み、可動板を繰り返し移動させることで、フィルムミラーを繰り返し、屈曲させるものである。屈曲試験は、温度:25℃、フィルムミラーの屈曲半径(R):10mm、ストローク:60mm、及び繰り返し回数:30回の条件にて行なった。
そして、この屈曲試験後の試料を恒温恒湿槽(85℃、85%RH)内に入れ、1週間放置した。そして、この放置後の試料について、波長375nmにおける反射率(%)を、分光光度計(UV−3100PC、島津製作所(株)製)を用いて測定し、試験前の反射率(上記の初期反射率)に対する低下率(%)を算出し、得られた値に基づいて、耐屈曲性を評価した。評価基準を以下に示す。
なお、実用上許容できるものは、「AA」、「A」、及び「B」に分類されるものである。
(評価基準)
AA:初期反射率に対する低下率が2%未満である。
A:初期反射率に対する低下率が2%以上5%未満である。
B:初期反射率に対する低下率が5%以上9%未満である。
C:初期反射率に対する低下率が9%以上である。
表1及び表2における有機層に含まれる成分の詳細を以下に示す。
・A−DOD−N:1,10−デカンジオールジアクリレート、新中村化学工業社製
・A−HD−N:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、新中村化学工業社製
・KAYARAD DPCA−60:日本化薬社製
・KAYARAD HX−220:ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン2モル付加物のジアクリレート、日本化薬社製
・KAYARAD HX−620:日本化薬社製
・KAYARAD DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬社製
・UV−7600B:ウレタンアクリレート/ペンタエリスリトールトリアクリレート、日本合成化学社製
・ポリロタキサン化合物:架橋性ポリロタキサンA
・ARONIX M−305:ペンタエリスリトールトリアクリレート/ペンタエリスリトールテトラアクリレート、東亜合成社製
・ARONIX M−315:イソシアヌル酸エチレンオキシ変性ジアクリレート/トリアクリレート、東亜合成社製
・ZEONOR 1060R:シクロオレフィンポリマー、日本ゼオン社製
・Irgacure 127:BASFジャパン社製
表1及び表2に示すように、実施例のフィルムミラーは、有機層と無機バリア層とが良好に密着し、また、高い反射率と優れた耐湿熱性とを有していた。そして、実施例のフィルムミラーは、耐屈曲性に優れるので、その高い反射率と優れた耐湿熱性とが保持されていた。
これに対して、比較例のフィルムミラーは、実施例のフィルムミラーと比較して、耐屈曲性が劣り、屈曲試験後の耐湿熱性が低い傾向にあった。
[実施例13]
実施例1において、金属反射層のめっき処理面上に、表1に示す組成の有機層形成用塗布液OC−10を用いて、第2の有機層を膜厚5μmとなるように形成し、この第2の有機層の面上に、無機バリア層を形成し、この無機バリア層の面上に、表1に示す組成の有機層形成用塗布液OC−10を用いて、第1の有機層を膜厚5μmとなるように形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例13のフィルムミラーを作製した。
[実施例14]
実施例13において、第2の有機層を膜厚10μmとなるように形成したこと以外は、実施例13と同様にして、実施例14のフィルムミラーを作製した。
[実施例15]
実施例13において、第1の有機層を膜厚10μmとなるように形成したこと以外は、実施例13と同様にして、実施例15のフィルムミラーを作製した。
[実施例16]
実施例13において、第2の有機層を膜厚10μmとなるように形成し、且つ、第1の有機層を膜厚2μmとなるように形成したこと以外は、実施例13と同様にして、実施例16のフィルムミラーを作製した。
[実施例17]
実施例13において、第2の有機層を膜厚2μmとなるように形成し、且つ、第1の有機層を膜厚10μmとなるように形成したこと以外は、実施例13と同様にして、実施例17のフィルムミラーを作製した。
[実施例18]
実施例13において、第2の有機層を、有機層形成用塗布液OC−10に代えて、表1に示す組成の有機層形成用塗布液OC−5を用いて形成したこと以外は、実施例13と同様にして、実施例18のフィルムミラーを作製した。
[実施例19]
実施例13において、第1の有機層を、有機層形成用塗布液OC−10に代えて、表1に示す組成の有機層形成用塗布液OC−5を用いて形成したこと以外は、実施例13と同様にして、実施例19のフィルムミラーを作製した。
[実施例20]
実施例13において、無機バリア層を膜厚1.1μmとなるように形成したこと以外は、実施例13と同様にして、実施例20のフィルムミラーを作製した。
[評価]
上記にて作製した実施例13〜実施例20のフィルムミラーについて、初期反射率、耐湿熱性、及び耐屈曲性の評価を行なった。なお、評価試験及び評価基準は、上述したもの同様である。これらの結果を表3に示す。
表3に示すように、金属反射層上に、有機層/無機バリア層/有機層の構成を有するフィルムミラーは、金属反射層上に、無機バリア層/有機層の構成を有するフィルムミラーに比して、耐屈曲性がより優れることが明らかとなった。
1 フィルムミラー
2 フィルムミラー
10 樹脂基材
20 樹脂中間層
30 金属反射層
40 無機バリア層
50 有機層
50A 第1の有機層
50B 第2の有機層

Claims (8)

  1. 樹脂基材と、金属反射層と、無機バリア層と、引張弾性率が2000MPa未満であり、且つ、膜厚が1μm〜50μmである第1の有機層と、をこの順に有するフィルムミラー。
  2. 前記第1の有機層の架橋点間分子量が200以上である請求項1に記載のフィルムミラー。
  3. 前記第1の有機層が、下記一般式(1)で表される構造単位を有するポリマーを含む層である請求項1又は請求項2に記載のフィルムミラー。

    [式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又はメチル基であり、Lは、炭素数8以上であって、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含まない直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。]
  4. 前記金属反射層と前記無機バリア層との間に、引張弾性率が2000MPa未満であり、且つ、膜厚が1μm〜50μmである第2の有機層を更に有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
  5. 前記第2の有機層の膜厚に対する前記第1の有機層の膜厚の比率(第1の有機層の膜厚/第2の有機層の膜厚)が、0.5〜2.0である請求項4に記載のフィルムミラー。
  6. 前記無機バリア層の膜厚が、30nm〜1μmである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
  7. 前記金属反射層が、めっき法により形成されてなる請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
  8. 太陽光集光用として用いられる請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
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