JP2014191264A - フィルムミラー - Google Patents

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Abstract

【課題】防汚性が高く、かつ、砂塵に曝されても防汚性が低下し難い、太陽光集光用に好適に用いることができるフィルムミラーを提供する。
【解決手段】樹脂基材10と金属反射層12とを有する金属反射層付き樹脂基材20と、弾性回復率が60%以上である衝撃吸収層30と、光触媒層40とをこの順に備える。好ましくは、衝撃吸収層30の厚みが5μm以上、50μm以下であり、衝撃吸収層30の弾性回復率が90%以上である。さらに好ましくは、光触媒層40と衝撃吸収層30との間にプライマー層を備え、プライマー層の厚みが0.1〜1μmである。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽光集光用に好適に用いることができるフィルムミラーに関する。
太陽光の反射装置は、太陽光による紫外線や熱、風雨、砂塵等に晒されるため、従来、ガラス製ミラーが用いられてきた。
しかしながら、ガラス製ミラーを用いる場合、輸送時に破損する問題や、ミラーを設置する架台に高い強度が要求されるため建設費がかさむといった問題があった。
このような問題を解決するために、近年では、ガラス製ミラーを樹脂製反射シート(フィルムミラー)に置き換えることが提案されている。
一方、フィルムミラー(特に太陽光集光用フィルムミラー)には、屋外で長時間使用されても、特性(反射率など)が低下し難いことが求められる。例えば、有機物などの汚れがフィルムミラーの表面に付着すると反射率が低下してしまうため、そのような汚れが付着し難いことが求められる。
このようななか、特許文献1の請求項1には、「樹脂基材上に、銀反射層が設けられたフィルムミラーであって、最外層に光触媒を含有する層を有し、かつ、前記銀反射層の光反射側に隣接して、銀の腐食を防止するための腐食防止剤層を有することを特徴とするフィルムミラー。」が開示されている。特許文献1によると、光触媒の表面親水化作用や有機物分解作用により、フィルムミラーの防汚性が向上することが記載されている。
国際公開第2011/078024号
しかし、本発明者らが特許文献1を参照して、銀反射層と、腐食防止剤層と、光触媒を含有する層(最外層)とをこの順に備えるフィルムミラーを製造したところ、確かに初期は防汚性に優れるが、砂塵などに曝されると光触媒層が剥がれて、防汚性が低下してしまうことが明らかとなった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、防汚性が高く、かつ、砂塵に曝されても防汚性が低下し難い、フィルムミラーを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、光触媒層と金属反射層との間に特定の弾性回復率を有する衝撃吸収層を備えることで、砂塵に曝されても防汚性が低下し難くなることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 金属反射層付き樹脂基材と、弾性回復率が60%以上である衝撃吸収層と、光触媒層とをこの順に備える、フィルムミラー。
(2) 上記衝撃吸収層の厚みが5μm以上である、上記(1)に記載のフィルムミラー。
(3) 上記衝撃吸収層の厚みが50μm以下である、上記(1)または(2)に記載のフィルムミラー。
(4) 上記衝撃吸収層の弾性回復率が90%以上である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルムミラー。
(5) 上記光触媒層と上記衝撃吸収層との間にプライマー層を備える、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルムミラー。
(6) 上記プライマー層の厚みが0.1〜1μmである、上記(5)に記載のフィルムミラー。
(7) 太陽光集光用に用いられる上記(1)〜(6)のいずれかに記載のフィルムミラー。
本発明によれば、防汚性が高く、砂塵に曝されても防汚性が低下し難い、フィルムミラーを提供することができる。
本発明のフィルムミラーの一実施態様を示す断面図である。 本発明のフィルムミラーの別の実施態様を示す断面図である。 本発明のフィルムミラーの別の実施態様を示す断面図である。 本発明のフィルムミラーの別の実施態様を示す断面図である。
本発明のフィルムミラーは、金属反射層付き樹脂基材と、弾性回復率が60%以上である衝撃吸収層と、光触媒層とをこの順に備える。
本発明のフィルムミラーはこのような構成をとることにより、防汚性が高く、かつ、砂塵に曝されても防汚性が低下し難い(防汚耐久性に優れる)フィルムミラーとなる。
これは詳細には明らかではないが、光触媒層と金属反射層との間に特定の弾性回復率を有する衝撃吸収層を備えるため、砂塵に曝されても砂塵による衝撃が吸収されて、光触媒層の剥離が抑えられ、結果として、砂塵に曝されても光触媒層の表面親水化作用や有機物分解作用による防汚性向上効果が持続するものと考えられる。
特に、衝撃吸収層の弾性回復率が特定の値(60%)以上である点に本発明の特徴がある。このことは、後述する比較例が示すように、光触媒層と金属反射層との間に弾性回復率60%未満の層(比較衝撃吸収層)を備える場合には防汚耐久性に劣ることからも推測される。
図1は、本発明のフィルムミラーの一実施態様の断面図である。
フィルムミラー100は、樹脂基材10と金属反射層12とを有する金属反射層付き樹脂基材20と、衝撃吸収層30と、光触媒層40とをこの順に備える。なお、通常、太陽光などの光は、光触媒層40側から入射されて、金属反射層12表面上で反射する。
図1では、金属反射層付き樹脂基材20の金属反射層12上に衝撃吸収層30および光触媒層40を備えるが、図2に示すように、金属反射層付き樹脂基材20の樹脂基材10上に衝撃吸収層30および光触媒層40を備えてもよい。なお、図2に示すように、金属反射層付き樹脂基材20の樹脂基材10上に衝撃吸収層30および光触媒層40を備える場合、金属反射層12上(金属反射層12の樹脂基材10を有する主面とは反対の主面上)に別の樹脂基材を有するのが好ましい。
以下に、フィルムミラーを構成する各層(金属反射層付き樹脂基材、衝撃吸収層、光触媒層、任意で備えてもよいプライマー層など)について詳述する。
[金属反射層付き樹脂基材]
金属反射層付き樹脂基材は、樹脂基材の少なくとも一方の主面上に金属反射層が積層されたものであれば特に制限されない。
<樹脂基材>
樹脂基材は、金属反射層を積層できる樹脂基材であれば特に制限されない。
樹脂基材を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド系樹脂;ポリエーテルサルフォン系樹脂;ポリエチレンサルファイド系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;スチレン系樹脂;セルロースアセテートなどのセルロース系樹脂;等が挙げられる。
これらのうち、得られるフィルムミラーの耐候性の観点から、ポリエステル系樹脂またはアクリル系樹脂が好ましい。
樹脂基材の形状は平面状に制限されず、例えば、凹面状、凸面状などのいずれであってもよい。
樹脂基材の厚みはその形状によっても左右されるため特に限定されないが、樹脂基材が平面状である場合は、通常、25〜300μmであるのが好ましい。
<金属反射層>
金属反射層を構成する金属は特に制限されず、その具体例としては、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、In、Ga、Sn、Ge、Sb、Pb、Zn、Bi、Fe、Ni、Co、Mn、Tl、Cr、V、Ru、Rh、Ir、Al等が挙げられる。なかでも、得られるフィルムミラーの初期反射性の観点からから、Ag、NiまたはCuであることが好ましく、Agであることがより好ましい。
金属反射層を構成する金属がAg(銀)である場合、金属反射層中の銀の含有量は、金属反射層を構成する全金属に対して、30mol%以上であることが好ましく、50mol%以上であることがより好ましく、80mol%以上であることがさらに好ましく、95mol%以上であることが特に好ましく、100mol%であることが最も好ましい。
金属反射層の形状は特に制限されず、樹脂基材の主面の全てを覆う層であっても、一部を覆う層であってもよい。
金属反射層の厚みは特に制限されないが、フィルムミラーの初期反射性等の観点から、50〜500nmが好ましく、80〜300nmがより好ましい。
<金属反射層付き樹脂基材の製造方法>
金属反射層付き樹脂基材の製造方法は特に制限されないが、例えば、樹脂基材に対して公知の方法により金属反射層を形成する方法が挙げられる。
金属反射層を形成する方法としては、例えば、めっき法(無電解めっき、電気めっき)、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などが挙げられる。なかでも、樹脂基材と金属反射層との密着性の観点から、めっき法が好ましい。
金属反射層付き樹脂基材の製造方法の好適な態様としては、例えば、(i)樹脂基材に被めっき層を形成し、(ii)形成した被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与し、(iii)めっき触媒またはその前駆体が付与された被めっき層に対してめっきする方法、などが挙げられる。
上記方法により、例えば、樹脂基材と、金属反射層と、樹脂基材と金属反射層との間に配置される被めっき層とを有する、金属反射層付き樹脂基材が得られる。
以下、上記(i)〜(iii)の各工程について詳述する。
(工程(i):被めっき層形成工程)
工程(i)は、樹脂基材に被めっき層を形成する工程である。
ここで被めっき層は、金属反射層付き樹脂基材における樹脂基材と金属反射層との間に配置される層であり、両者の密着性を高める層である。
被めっき層は、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基および重合性基を有するポリマーを含む層に、加熱処理と光照射処理の少なくとも一方(以下、エネルギー付与ともいう)を施して得られる。
以下では、まず、使用されるポリマーについて詳述し、その後工程(i)の手順について詳述する。
被めっき層に使用されるポリマーには、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基(以後、相互作用性基とも称する)および重合性基が含まれる。相互作用性基は、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する基であり、金属反射層と被めっき層との密着性を高める役割を果たす。重合性基は、後述する加熱処理と光照射処理の少なくとも一方を施すことにより、架橋反応が進行し、被めっき層の強度を高めると共に、その一部が樹脂基材と反応して樹脂基材と被めっき層との密着性を高める役割を果たす。
重合性基は、エネルギー付与により、ポリマー同士、または、ポリマーと樹脂基材との間で化学結合を形成しうる官能基であればよい。重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基などが挙げられる。なかでも、反応性の観点から、ラジカル重合性基が好ましい。
ラジカル重合性基としては、例えば、メタクリロイル基、アクリロイル基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基、スチリル基、ビニル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基などが挙げられる。なかでも、メタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基が好ましく、なかでも、ラジカル重合反応性、合成汎用性の観点から、メタクリロイル基、アクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基がより好ましく、耐アルカリ性の観点から、アクリルアミド基、メタクリルアミド基が更に好ましい。
相互作用性基は、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する基であればその種類は特に制限されず、例えば、アミノ基、アミド基、イミド基、ウレア基、3級のアミノ基、アンモニウム基、アミジノ基、トリアジン環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、キナゾリン基、キノキサリン基、プリン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アニリン基、アルキルアミン構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)などの含窒素官能基;エーテル基、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、カーボネート基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基;チオフェン基、チオール基、チオウレア基、チオシアヌール酸基、ベンズチアゾール基、メルカプトトリアジン基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホン酸塩構造を含む基、スルホン酸基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基;ホスフェート基、ホスフォロアミド基、ホスフィン基、リン酸エステル構造を含む基などの含リン官能基;塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基などが挙げられ、塩構造をとりうる官能基においてはそれらの塩も使用することができる。
なかでも、極性が高く、金属への吸着能が高いことから、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、およびボロン酸基などのイオン性極性基や、エーテル基またはシアノ基などの非解離性官能基がより好ましい。
ポリマー合成の容易性、および、樹脂基材と金属反射層との密着性の観点から、ポリマー中には下記式(1)で表されるユニット(繰り返し単位)、および、下記式(2)で表されるユニットが含まれることが好ましい。
式(1)中、R10は、水素原子またはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基など)を表す。
式(1)中、L2は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、置換若しくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基)、置換若しくは無置換の2価の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12。例えば、フェニレン基)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
式(1)中、R11は、相互作用性基を表す。相互作用性基の定義、具体例および好適な態様は、上述のとおりである。
なお、ポリマー中においては、R11で表される相互作用性基の種類が異なる2種以上の式(1)で表されるユニットが含まれていてもよい。例えば、R11がイオン性極性基である式(1)で表されるユニットと、R11が非解離性官能基である式(1)で表されるユニットとが、ポリマー中に含まれていてもよい。
式(2)中、R12〜R15は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。
12〜R15が、置換または無置換のアルキル基である場合、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。より具体的には、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、また、置換アルキル基としては、メトキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)などで置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、R12としては、水素原子、メチル基、または、ヒドロキシ基若しくは臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。R13としては、水素原子、メチル基、または、ヒドロキシ基若しくは臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。R14としては、水素原子が好ましい。R15としては、水素原子が好ましい。
式(2)中、L3は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基の具体例および好適な態様は、上記式(1)中のL2と同じである。
ポリマーの最好適範囲としては、下記式(A)で表されるユニットと、下記式(B)で表されるユニットと、下記式(C)で表されるユニットとを含む共重合体、下記式(A)で表されるユニットと下記式(B)で表されるユニットとを含む共重合体、下記式(A)で表されるユニットと下記式(C)で表されるユニットとを含む共重合体、などが挙げられる。
上記式(A)〜(C)中、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子、または、炭素数1〜4の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。X、Y、Z、およびUは、それぞれ独立して、単結合または2価の連結基を表す。L4、L5、およびL6は、それぞれ独立して、単結合または2価の連結基を表す。Wは、非解離性官能基からなる相互作用性基を表す。Vは、イオン性極性基からなる相互作用性基を表す。2価の連結基の具体例および好適な態様は、上記式(1)中のL2と同じである。
式(A)で表されるユニットにおいて、YおよびZは、それぞれ独立に、エステル基、アミド基、フェニレン基(−C64−)が好ましい。L4は、炭素数1〜10の置換または無置換の2価の有機基(特に、炭化水素基)であることが好ましい。
式(B)で表されるユニットにおいて、Wは、シアノ基またはエーテル基であることが好ましい。また、XおよびL5は、いずれも単結合であることが好ましい。
式(C)で表されるユニットにおいて、Vはカルボン酸基であることが好ましく、また、Vがカルボン酸基であり、且つ、L6がVと連結する部分において4員〜8員の環構造を含む態様が好ましく、更に、Vがカルボン酸基であり、且つ、L6の鎖長が6原子〜18原子である態様も好ましい。さらに、式(C)で表されるユニットにおいて、Vがカルボン酸基であり、且つ、UおよびL6が単結合であることも好ましい態様の1つである。なかでも、Vがカルボン酸基であり、且つ、UおよびL6のいずれも単結合である態様が最も好ましい。
式(A)〜式(C)で表されるユニットの含有量は、以下の範囲が好ましい。
すなわち、式(A)で表されるユニットと式(B)で表されるユニットと式(C)で表されるユニットとを含む共重合体の場合には、式(A)で表されるユニット:式(B)で表されるユニット:式(C)で表されるユニット=5〜50mol%:5〜40mol%:20〜70mol%であることが好ましく、10〜40mol%:10〜35mol%:20〜60mol%であることがより好ましい。
また、式(A)で表されるユニットと式(B)で表されるユニットとを含む共重合体の場合には、式(A)で表されるユニット:式(B)で表されるユニット=5〜50mol%:50〜95mol%であることが好ましく、10〜40mol%:60〜90mol%であることがより好ましい。
さらに、式(A)で表されるユニットと式(C)で表されるユニットとを含む共重合体の場合は、式(A)で表されるユニット:式(C)で表されるユニット=5〜50mol%:50〜95mol%であることが好ましく、10〜40mol%:60〜90mol%であることがより好ましい。
この範囲にて、加熱処理または光照射処理によるポリマーの重合性の向上、被めっき層の抵抗値の低下、また耐湿密着力の向上などが達成される。
上記ポリマーを含む層の形成方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、上記ポリマーを含む層形成用組成物を樹脂基材上に塗布して、必要に応じて乾燥処理を施して層を形成する方法が挙げられる。
上記ポリマーを含む層には、加熱処理と光照射処理の少なくとも一方が施される。上記ポリマーを含む層に実施される処理は、加熱処理および光照射処理の一方のみが実施されても、両者が実施されてもよい。また、両者の処理を実施する場合、別々の工程で実施してもよいし、同時に実施してもよい。
これらの処理を実施することにより、重合性基が活性化され、重合性基間および重合性基と樹脂基材との間で反応が進行し、樹脂基材上に密着した被めっき層が形成される。
加熱処理の条件は使用されるポリマーの種類に応じて最適な条件が選択されるが、なかでも被めっき層の架橋密度が高まり、フィルムミラーの耐侯性およびフレキシブル性が高まる点で、60〜150℃(好ましくは、80〜120℃)で0.1〜3時間(好ましくは、0.5〜2時間)処理することが好ましい。
光照射処理の条件は使用されるポリマーの種類に応じて最適な条件が選択されるが、なかでも被めっき層の架橋密度が高まり、フィルムミラーの耐侯性およびフレキシブル性がより高まる点で、露光量は10〜8000mJ/cm2が好ましく、100〜3000mJ/cm2がより好ましい。露光波長は200〜300nmが好ましい。
なお、露光に使用される光源は特に制限されず、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。
なお、加熱処理または光照射処理後に、適宜、加熱処理または光照射処理後の組成物から未反応のポリマーを除去してもよい。除去方法としては、溶媒を使用する方法が挙げられ、例えば、ポリマーを溶解する溶剤や、アルカリ可溶性のポリマーの場合はアルカリ系現像液(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液)などで除去することができる。
被めっき層の厚みは特に制限されないが、フィルムミラーの耐侯性およびフレキシブル性が優れる点で、0.05〜10μmが好ましく、0.3〜5μmがより好ましい。
(工程(ii):触媒付与工程)
触媒付与工程は、被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与する工程である。本工程においては、めっき触媒またはその前駆体が、被めっき層中の相互作用性基に吸着する。例えば、めっき触媒前駆体として金属イオンを使用した場合は、金属イオンが被めっき層に吸着する。
めっき触媒またはその前駆体としては、後述する「工程(iii):めっき工程」における、めっきの触媒や電極として機能するものが挙げられる。そのため、めっき触媒またはその前駆体は、めっき工程におけるめっきの種類により決定される。
以下に、使用されるめっき触媒(例えば、無電解めっき触媒)またはその前駆体について詳述する。
無電解めっき触媒としては、無電解めっき時の活性核となり得るものが好ましい。例えば、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられ、具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。なかでも、触媒能の高さから、PdまたはAgが好ましい。
無電解めっき触媒前駆体としては、化学反応により無電解めっき触媒となり得るものが好ましい。例えば、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンを被めっき層へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、金属塩を用いて被めっき層に付与されることが好ましい。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)Pd(OAc)n(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられる。なかでも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数および触媒能の点で、Agイオン、Cuイオン、Pdイオンが好ましい。
なお、無電解めっき触媒前駆体をめっき工程の前に還元させる場合、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。触媒活性化液は、無電解めっき触媒前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤と還元剤を活性化するためのpH調整剤が含有される場合が多い。
液全体に対する還元剤の濃度は、0.1〜10質量%が好ましい。
還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。
特に、ホルムアルデヒドを含有するアルカリ水溶液で還元することが好ましい。
なお、めっき触媒として、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒を使用してもよい。このような触媒としては、例えば、0価金属が挙げられ、より具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。なかでも、多座配位可能なものが好ましく、特に、相互作用性基に対する吸着(付着)性、触媒能の高さから、Pd、Ag、Cuが好ましい。
めっき触媒またはその前駆体を被めっき層に付与する方法としては、これらを含む溶液(例えば、金属を適当な分散媒に分散した分散液、または、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液)を調製し、その分散液若しくは溶液を被めっき層上に塗布するか、または、その分散液若しくは溶液中に被めっき層が形成された樹脂基材を浸漬すればよい。
(工程(iii):めっき工程)
めっき工程は、めっき触媒またはその前駆体が付与された被めっき層に対し、めっき処理を施すことで、金属反射層を形成する工程である。これにより、樹脂基材と被めっき層と金属反射層とを有する金属反射層付き樹脂基材が得られる。
本工程において行われるめっきの種類は、無電解めっき、電気めっきが挙げられ、上記触媒付与工程で被めっき層に付与されためっき触媒またはその前駆体の機能によって、適宜選択することができる。つまり、本工程では、めっき触媒またはその前駆体が付与された被めっき層に対し、電気めっきを行ってもよいし、無電解めっきを行ってもよい。
以下、本工程において好適に行われるめっき処理について説明する。
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与された被めっき層を備える樹脂基材を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行う。使用される無電解めっき浴としては、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与された被めっき層を備える樹脂基材を、無電解めっき触媒前駆体が被めっき層に吸着または含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基板を洗浄して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬することが好ましい。この場合には、無電解めっき浴中において、めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
本工程おいては、付与されためっき触媒またはその前駆体が電極としての機能を有する場合、めっき触媒またはその前駆体が付与された被めっき層に対して、電気めっきを行うことができる。
本発明における電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、フィルムミラーの初期反射性の観点から、銀が好ましい。
また、上述の無電解めっきの後、形成されためっき膜を電極とし、さらに、電気めっきを行ってもよい。
なお、めっきに用いる銀化合物としては、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、メタンスルホン酸銀、アンモニア銀、シアン化銀、チオシアン酸銀、塩化銀、臭化銀、クロム酸銀、クロラニル酸銀、サリチル酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、ジエチルジチオカルバミド酸銀、p−トルエンスルホン酸銀が挙げられる。なかでも、フィルムミラーの初期反射性の観点から、メタンスルホン酸銀が好ましい。
[衝撃吸収層]
衝撃吸収層は、弾性回復率が60%以上の層であり、上述のとおり、砂塵による光触媒層への衝撃を吸収する役割などを有する。
ここで、衝撃吸収層の弾性回復率は、衝撃吸収層の主面に対して垂直方向の弾性回復率である。
本願において、弾性回復率は、国際規格(ISO14577)に準拠したナノインデンテーション法により「最大押し込み深さ(hmax)」と「荷重除去後の押し込み深さ(hf)」とを測定し、(hmax−hf)/hmaxから求められる値である。
ここで、測定条件は以下のとおりである。
・圧子:ベルコビッチ三角錐圧子(対稜角115度)
・最大荷重:1mN
・最大荷重保持時間:1秒
・温度:23℃
荷重は10秒間かけて最大荷重とし、最大荷重で1秒間保持し、その後、10秒間かけて荷重を完全に除去する。
最大押し込み深さ(hmax)は最大荷重保持時の押し込み深さである。
荷重除去後の押し込み深さ(hf)は完全に荷重を除去してから10秒後の押し込み深さ(圧痕深さ)である。
例えば、超微小硬度計(DUH−201S、島津製作所社製)を用いて測定することができる。
衝撃吸収層の弾性回復率は、フィルムミラーの防汚耐久性がより優れる理由から、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
衝撃吸収層を形成する材料は、形成される衝撃吸収層の弾性回復率が60%以上となるものであれば特に制限されない。
衝撃吸収層を形成する材料としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、シリコーン(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂などの光硬化性樹脂;ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂(尿素樹脂)、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂などの熱硬化性樹脂;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本願における「(メタ)アクリレート」との表現は、アクリレートまたはメタクリレートを表す表現である。
これらのうち、ウレタン結合を有する樹脂であるのが好ましく、具体的には、光硬化性樹脂を用いるのがより好ましく、フィルムミラーの硬度を調整しやすい理由から、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂であるのが更に好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、ポリエステルポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを合成した後に、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(C)を反応させて得られる生成物などが好適に挙げられる。
ここで、上記ポリエステルポリオール(A)は、多塩基酸と多価アルコールとを反応させて得られるものであり、その具体例としては、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリオキシプロピレンジオール(PPG)、ポリオキシエチレンジオール等が挙げられる。
また、上記ポリイソシアネート(B)は、分子中にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されず、その具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等が挙げられる。
また、上記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(C)としては、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上述したポリエステルポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)および水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(C)を用いて合成されるウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、市販品を用いることができ、具体的には、日本合成社製の紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、例えば、UV1700B、UV6300B、UV7600B等を用いることができる。
衝撃吸収層の厚みは特に制限されないが、フィルムミラーの防汚耐久性がより優れる理由から、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。上限は特に制限されないが、初期反射性の観点から、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。
衝撃吸収層の形成方法は特に限定されないが、例えば、上述した光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を含有する衝撃吸収層形成用組成物を上述した金属反射層の表面に塗布した後、紫外線照射や加熱によって硬化させる方法などが挙げられる。
上記衝撃吸収層形成用組成物の塗布方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、スクリーンコーター、バーコーター、カーテンコーター等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
ここで、上記衝撃吸収層形成用組成物は、上述した成分以外に、溶媒や各種添加剤を含有していてもよい。
衝撃吸収層形成用組成物に使用される溶媒は特に限定されず、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶媒、酢酸などの酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、この他にも、エーテル系溶媒、グリコール系溶媒、アミン系溶媒、チオール系溶媒、ハロゲン系溶媒などが挙げられる。
この中でも、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、カーボネート系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒が好ましく、具体的には、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネート、トルエンが好ましい。
また、衝撃吸収層形成用組成物に使用される添加剤としては、例えば、光重合開始剤、帯電防止剤、表面調整剤(例えばレベリング剤)、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料、分散剤、シランカップリングなどが挙げられる。
〔衝撃吸収層の好適な態様〕
衝撃吸収層の好適な態様としては、ポリロタキサンを含有する層が挙げられる。衝撃吸収層がポリロタキサンを含有する場合、光触媒層に砂塵が衝突して光触媒層が変形したとしても変形が元に戻り、光触媒層の剥離がより抑えられ、結果として、フィルムミラーの防汚耐久性がより優れる。
<ポリロタキサン>
上記ポリロタキサンは、環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に貫かれ、複数の環状分子が直鎖状分子を包接してなる擬ポリロタキサンの両末端(直鎖状分子の両末端)に、環状分子が遊離しないようにブロック基を配置した分子複合体である。
なお、本願において、ポリロタキサンとは、上記分子複合体に加えて、上記分子複合体同士が環状分子部分で架橋された架橋体、および、上記分子複合体と他のモノマーやポリマーとが重合した重合体を含む概念である。
(直鎖状分子)
ポリロタキサンを構成する直鎖状分子は、環状分子に包接され、非共有結合的に一体化することができる分子または物質であって、直鎖状のものであれば、特に制限されない。なお、本願において、「直鎖状分子」とは、高分子を含めた分子、およびその他上記の要件を満たす全ての物質をいう。
また、本願において、「直鎖状分子」の「直鎖」は、実質的に「直鎖」であることを意味する。すなわち、回転子である環状分子が回転可能、もしくは直鎖状分子上で環状分子が摺動移動可能であれば、直鎖状分子は分岐鎖を有していてもよい。また、「直鎖」の長さは、直鎖状分子上で環状分子が摺動または移動可能であれば、その長さに特に制限はない。
上記直鎖状分子としては、親水性ポリマー、例えばポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、セルロース系樹脂(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリアクリルアミド、ポリアルキレンオキサイド(例えば、ポリエチレングリコール)、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、でんぷん等および/またはこれらの共重合体など;疎水性ポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、およびその他オレフィン系単量体との共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレートや(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合樹脂などのアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂など;およびこれらの誘導体または変性体などを挙げることができる。
これらのうち、フィルムミラーの防汚耐久性がより優れる理由から、親水性ポリマーであることが好ましく、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、またはポリプロピレンであることがより好ましく、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体であることがさらに好ましく、ポリエチレングリコールであることが特に好ましい。
上記直鎖状分子は、それ自体が高い破壊強度を有するのがよい。ポリロタキサンを含有する層の破壊強度は、ブロック基と直鎖状分子との結合強度、環状分子と衝撃吸収層の他の成分との結合強度、環状分子同士の結合強度など、その他の因子にも依るが、直鎖状分子自体が高い破壊強度を有すれば、より高い破壊強度を提供することができる。
上記直鎖状分子は、その分子量が1,000以上、例えば1,000〜1,000,000、好ましくは5,000以上、例えば5,000〜1,000,000または5,000〜500,000、より好ましくは10,000以上、例えば10,000〜1,000,000、10,000〜500,000または10,000〜300,000であることが好ましい。
また、上記直鎖状分子は、環境への影響の観点から、生分解性分子であることが好ましい。
上記直鎖状分子は、その両末端に反応性基を有するのが好ましい。この反応性基を有することにより、ブロック基と容易に反応することができる。反応性基は、用いるブロック基に依存するが、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、アルデヒド基などを挙げることができる。
(環状分子)
ポリロタキサンを構成する環状分子は、上記直鎖状分子と包接可能な環状分子であれば、いずれの環状分子であっても用いることができる。
なお、本願において、「環状分子」とは、環状分子を含めた種々の環状物質をいう。また、本願において、「環状分子」とは、実質的に環状である分子または物質をいう。すなわち、「実質的に環状である」とは、英字の「C」のように、完全に閉環ではないものを含む意であり、英字の「C」の一端と多端とが結合しておらず重なった螺旋構造を有するものも含む意である。
上記環状分子として、例えば、種々のシクロデキストリン類(例えばα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ジメチルシクロデキストリンおよびグルコシルシクロデキストリン、これらの誘導体又は変性体など)、クラウンエーテル類、ベンゾクラウン類、ジベンゾクラウン類、およびジシクロヘキサノクラウン類、並びにこれらの誘導体または変性体などを挙げることができる。
上記シクロデキストリン類およびクラウンエーテル類などは、その種類により環状分子の開口部の大きさが異なる。したがって、用いる直鎖状分子の種類、具体的には用いる直鎖状分子を円柱状と見立てた場合、その円柱の断面の直径、直鎖状分子の疎水性または親水性などにより、用いる環状分子を選択することができる。また、開口部が相対的に大きな環状分子と、相対的に直径が小さな円柱状の直鎖状分子を用いた場合、環状分子の開口部に2以上の直鎖状分子を包接することもできる。なかでも、環境への影響等の観点から、シクロデキストリン類(特にα−シクロデキストリン)であることが好ましい。
上記直鎖状分子に包接される環状分子の個数(包接量)は、環状分子がシクロデキストリンの場合、その最大包接量を1とすると、0.05〜0.60が好ましく、0.10〜0.50がさらに好ましく、0.20〜0.40がさらに好ましい。
上記環状分子がα−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン類である場合、フィルムミラーの防汚性が優れる理由から、シクロデキストリン類は水酸基の少なくとも1つが疎水性基によって置換(修飾)されたものであることが好ましい。
疎水性基の具体例として、例えば、アルキル基、ベンジル基、ベンゼン誘導体含有基、アシル基、シリル基、トリチル基、硝酸エステル基、トシル基、フッ素原子含有有機基、不飽和二重結合基などが挙げられる。なかでも、フィルムミラーの防汚性がより優れる理由から、アシル基(特にアセチル基)またはフッ素原子含有有機基であることが好ましい。不飽和二重結合基の具体例は後述する不飽和二重結合基と同様である。
上記フッ素原子含有有機基は、フッ素原子を含有する1価の有機基であれば特に制限されない。なお、フッ素原子含有有機基は、フッ素原子以外のヘテロ原子(例えば、酸素原子)を含んでいてもよい。
1価の有機基としては特に制限されず、その具体例としては、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基など)、芳香族炭化水素基(例えば、アリール基)、複素環基(例えば、アゾール基、ピリジル基)などが挙げられる。
上記フッ素原子含有有機基は、フィルムミラーの防汚性がさらに優れる理由から、下記式(3)で表される基であることが好ましい。
上記式(3)中、R31は、フッ素原子を有するアルキル基を表し、その具体例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
上記式(3)中、R32は、分岐していてもよい1価の炭化水素基を表し、その具体例としては、炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられ、なかでも、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。
上記式(3)中、L31およびL32の定義および具体例は、上述したL2と同じである。L31は、アルキレン基であることが好ましい。L32は、下記式(4)で表される基であることが好ましい。
上記式(3)中、*は結合位置を表す。
上記式(4)中、XaおよびXbは、それぞれ独立して、酸素原子または硫黄原子を表す。
上記式(4)中、*は結合位置を表す。
上記疎水性基による修飾度は、シクロデキストリンの水酸基が修飾され得る最大数を1とすると、0.02以上(1以下)であることが好ましく、0.04以上であることがより好ましく、0.06以上であることがさらに好ましい。
ここで、シクロデキストリンの水酸基が修飾され得る最大数とは、換言すれば、修飾する前にシクロデキストリンが有していた全水酸基数のことである。修飾度とは、換言すれば、修飾された水酸基数の全水酸基数に対する比のことである。
(ブロック基)
ポリロタキサンを構成するブロック基は、環状分子が直鎖状分子により串刺し状になった形態を保持する基であれば、いかなる基を用いてもよい。このような基として、例えば「嵩高さ」を有する基および/または「イオン性」を有する基などを挙げることができる。ここで、「基」というのは、分子基および高分子基を含めた種々の基を意味する。また、「イオン性」を有する基の「イオン性」と、環状分子の有する「イオン性」とが影響しあうことにより、例えば反発しあうことにより、環状分子が直鎖状分子により串刺し状になった形態を保持することができる。
また、上記ブロック基は、上述のように、串刺し状になった形態を保持するものであれば、高分子の主鎖であっても側鎖であってもよい。ブロック基が高分子Aである場合、マトリクスとして高分子Aがありその一部にポリロタキサンが含まれる形態であっても、逆にマトリクスとしてポリロタキサンがありその一部に高分子Aが含まれる形態であってもよい。このように、種々の特性を有する高分子Aと組み合わせることにより、ポリロタキサンの特性と高分子Aの特性とを組み合わせて有する複合材料を形成することができる。
ブロック基の具体例としては、2,4−ジニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基などのジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類及びピレン類、並びにこれらの誘導体または変性体を挙げることができる。
ブロック基は上記疎水性基によって置換(修飾)されたものでもよい。
(ポリロタキサンの合成方法)
ポリロタキサンの合成方法は特に制限されないが、例えば、特許第2810264号公報や特許第3475252号公報に記載の方法などにより合成することができる。
具体的には、環状分子としてα−シクロデキストリン、直鎖状分子としてポリエチレングリコール、ブロック基として2,4−ジニトロフェニル基、疎水性基としてアセチル基、不飽和二重結合基としてアクリロイル基を用いた場合、例えば、以下のようにして合成することができる。
まず、後に行うブロック基の導入のために、ポリエチレングリコールの両末端をアミノ基に変性してポリエチレングリコール誘導体を得る。α−シクロデキストリンおよびポリエチレングリコール誘導体を混合して擬ポリロタキサンを調製する。調製に際して、最大包接量を1とした場合、包接量が1に対して、0.001〜0.6となるように、例えば混合時間を1〜48時間とし、混合温度を0℃〜100℃とすることができる。
一般に、ポリエチレングリコールの平均分子量20,000に対して、α−シクロデキストリンは、最大230個包装することができる。したがって、この値が最大包接量である。上記条件は、ポリエチレングリコールの平均分子量20,000を用いて、α−シクロデキストリンが平均60〜65個(63個)、すなわち最大包接量の0.26〜0.29(0.28)の値で包接するための条件である。α−シクロデキストリンの包接量は、NMR、光吸収、元素分析などにより確認することができる。
得られた擬ポリロタキサンを、DMFに溶解した2,4−ジニトロフルオロベンゼンと反応させることにより、ブロック基を導入したポリロタキサンを得る。
上述したシクロデキストリン類の疎水性基による修飾は、合成したポリロタキサンに対して行っても、ポリロタキサンを合成する前に予めシクロデキストリン類に対して行ってもよい。
疎水性基としてアセチル基による修飾を行う方法としては、例えば、無水酢酸を用いてシクロデキストリンの水酸基を修飾する方法などが挙げられる。
(ポリロタキサンの好適な態様)
ポリロタキサンは、フィルムミラーの防汚性が優れる理由から、環状分子に、アシル基(特にアセチル基)およびフッ素原子含有有機基からなる群より選択される少なくとも一種の基を有するものであることが好ましく、フッ素原子含有有機基を有するものであることがより好ましく、アシル基(特にアセチル基)およびフッ素原子含有有機基を有するものであることがさらに好ましい。
衝撃吸収層中のポリロタキサンの含有量は、フィルムミラーの防汚耐久性がより優れる理由から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることがよりさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
ポリロタキサンの含有量は、NMR法(溶液NMR法、固体NMR法)や特開2010−261134号公報に記載のX線回折法などにより求めることができる。
なお、後述する環状分子に反応性基と重合性基の少なくとも一方を有するポリロタキサンを含む衝撃吸収層形成用組成物を用いて、これを硬化させて衝撃吸収層を形成する場合、衝撃吸収層中のポリロタキサンの含有量とは、使用した衝撃吸収層形成用組成物中の全固形分に対するポリロタキサンの含有量(質量%)を指す。
同様に、後述する環状分子に反応性基と重合性基の少なくとも一方を有するポリロタキサンを含む衝撃吸収層形成用組成物を用いて、これを硬化させて衝撃吸収層を形成する場合、衝撃吸収層中のフッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量とは、使用した衝撃吸収層層形成用組成物中の全固形分に対するフッ素原子含有有機基を有するポリロタキサンの含有量(質量%)を指す。
<ポリロタキサンを含有する衝撃吸収層の形成方法>
上記ポリロタキサンを含有する衝撃吸収層を形成する方法は特に制限されないが、例えば、環状分子に反応性基を有するポリロタキサンと溶媒とを含む衝撃吸収層形成用組成物を、上記金属反射層上に塗布し、塗布した衝撃吸収層形成用組成物に加熱処理と光照射処理の少なくとも一方を施すことにより硬化させて、衝撃吸収層を形成する方法などが挙げられる。なお、加熱処理または光照射処理後に、適宜、加熱処理または光照射処理後の組成物から溶媒を使用して未反応の成分を除去してもよい。
衝撃吸収層形成用組成物に使用される溶媒は上述のとおりである。また、衝撃吸収層形成用組成物の塗布方法も上述のとおりである。加熱処理方法および光照射処理方法については、上述した被めっき層と同様である。
上記反応性基の具体例は、上述した直鎖状分子の反応性基と同様である。なかでも、水酸基(特にポリカプロラクトン基)または重合性基であることが好ましく、重合性基であることがより好ましい。ここで、ポリカプロラクトン基は、*−(CO−C510O)n−H(*:結合位置、n:整数)で表される基である。重合性基の具体例は、上述した被めっき層と同様である。なかでも、不飽和二重結合基であることが好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基であることがより好ましい。
上述のとおり、衝撃吸収層形成用組成物に含まれるポリロタキサンは環状分子に不飽和二重結合基を有するポリロタキサンであることが好ましい。
環状分子に不飽和二重結合基を導入する方法としては、例えば、次に挙げる方法を用いることができる。すなわち、イソシアネート化合物などによるカルバメート結合形成による方法;カルボン酸化合物、酸クロリド化合物又は酸無水物などによるエステル結合形成による方法;シラン化合物などによるシリルエーテル結合形成による方法;クロロ炭酸化合物などによるカーボネート結合形成による方法などを挙げることができる。
カルバモイル結合を介して、不飽和二重結合基として(メタ)アクリロイル基を導入する場合、ポリロタキサンをDMSO、DMFなどの脱水溶媒に溶解し、イソシアネート基を有する(メタ)アクリロイル化剤を加えることで行う。その他、エーテル結合やエステル結合を介して導入する場合、グリシジル基や酸クロライドなどの活性基を有する(メタ)アクリル化剤を用いることもできる。
環状分子が有する水酸基を不飽和二重結合基に置換する工程は、擬ポリロタキサンを調製する工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。また、擬ポリロタキサンにブロック基を導入してポリロタキサンを調製する工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。さらには、ポリロタキサンが環状分子に反応性基を有するポリロタキサンである場合、ポリロタキサン同士を反応させる工程の前でも、工程間でも、工程の後でもよい。これらの2以上の時期に設けることもできる。置換工程は、擬ポリロタキサンにブロック基を導入してポリロタキサンを調製した後であって、ポリロタキサン同士を反応させる前に設けるのが好ましい。置換工程において用いられる条件は、置換する不飽和二重結合基に依存するが、特に制限されず、種々の反応方法、反応条件を用いることができる。
衝撃吸収層形成用組成物には重合性基を有するモノマーを添加してもよい。衝撃吸収層形成用組成物が重合性基を有するモノマーを含む場合、上記加熱処理または光照射処理により、衝撃吸収層形成用組成物に含まれるポリロタキサンとともに硬化して衝撃吸収層を形成する。
上記重合性基の具体例は、上述した被めっき層と同様である。
上記重合性基を有するモノマーとしては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、上記エステルのエチレンオキサイド変性体、ポリエチレンオキサイド変性体やカプロラクトン変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体〔例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドなどが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。
衝撃吸収層形成用組成物を硬化させる際には、ポリイソシアネート化合物などの硬化剤を使用してもよい。
上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、およびこれらに水添した化合物、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1−メチル−2,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、1−メチル−2,6−ジイソシアネートシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。
衝撃吸収層形成用組成物を硬化させる際には、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤などの重合開始剤を使用してもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類(1−ヒドロキシ−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロベンゾフェノンなど)、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾまたはジアゾ化合物などを用いることができる。
衝撃吸収層形成用組成物中の全固形分に対するポリロタキサンの含有量は、フィルムミラーの防汚耐久性がより優れる理由から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることがよりさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
[光触媒層]
光触媒層は、光触媒を含有する層であれば特に制限されない。
上記光触媒は、結晶伝導帯と価電子帯とのエネルギーギャップよりも大きなエネルギーの光を照射したときに、価電子帯中の電子が励起し、伝導電子と正孔を生成する物質であり、表面親水化作用や有機物分解作用を有する。
光触媒としては、例えば、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ニオブ、三酸化タンダステン、チタン酸ストロンチウムなどが挙げられる。
上記酸化チタンは通常、球状の粒子だが、特定の配合で焼成すると、シート状酸化チタン粒子(チタニアナノシート)を作成することができる。この場合、より薄い層で、より高い光触媒活性と親水効果が得られるだけでなく、下層(例えば、上述した衝撃吸収層、後述するプライマー層)との密着性が高<なる。そのため、光触媒層の好ましい態様として、チタニアナノシートが挙げられる。
光触媒層は、フィルムミラー反射性の観点から、400nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましい。
また、光触媒層は、フィルムミラーの防汚性がより優れる理由から、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。
上記光触媒層と下層との相対屈折率は特に制限されないが、フィルムミラーの反射性の観点から、上記相対屈性率は小さいものであることが好ましく、3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。
上記相対屈折率を小さくする方法としては、例えば、小さい屈折率(例えば、2以下)を有する光触媒を使用する方法、粒子サイズ(粒子径)の小さい光触媒を使用する方法などが挙げられる。2以下の屈折率を有する光触媒としては、例えば、屈折率が1.9である酸化錫などが挙げられる。
上記光触媒層に、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Osのような白金族金属を少量添加すると、光触媒活性が上昇し、有機物分解作用が向上する。結果として、フィルムミラーの防汚耐久性がより優れる。
光触媒層は光触媒以外の成分(例えば、二酸化ケイ素)を含んでいてもよい。
光触媒層中の光触媒の含有量は、フィルムミラーの防汚耐久性がより優れる理由から、5〜100質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましい。
<光触媒層の形成方法>
光触媒層を形成する方法は特に制限されないが、例えば、アナターゼ型酸化チタン粒子の分散液を上述した衝撃吸収層や後述するプライマー層の表面に、グラビアコート法、リバースコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法で塗布し、その後乾燥する方法などが挙げられる。分散液の溶媒としては、有機溶媒(例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール)や水などが挙げられる。酸化チタン粒子の分散液の場合、分散液中の酸化チタン粒子の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
他には後述する、ゾル塗布焼成法、有機チタネート法、真空製膜法、4官能シラン法、スプレーコーティング法などが挙げられる。
(ゾル塗布焼成法)
ゾル塗布焼成法で光触媒層を形成する方法としては、例えば、アナターゼ型酸化チタンゾルを、上述した衝撃吸収層や後述するプライマー層の表面に塗布し、焼成する方法などが挙げられる。塗布方法は上述のとおりである。
(有機チタネート法)
有機チタネート法で光触媒層を形成する方法としては、例えば、チタンアルコキシド(テトラエトキシチタン、テトラメトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等)、チタンアセテート、チタンキレート等の有機チタネートに加水分解抑制剤(例えば、塩酸、エチルアミン等)を添加し、アルコール(例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール等)等の非水溶媒で希釈した後、部分的に加水分解を進行させながら、または、完全に加水分解を進行させた後、混合物を、上述した衝撃吸収層や後述するプライマー層の表面に塗布し、乾燥させてから、アナターゼの結晶化温度以上の温度で焼成する(これにより、無定型酸化チタンがアナターゼ型酸化チタンに相転移する)方法などが挙げられる。塗布方法は上述のとおりである。
(真空製膜法)
真空製膜法で光触媒層を形成する方法としては、例えば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などにより、上述した衝撃吸収層や後述するプライマー層の表面に無定型酸化チタンの層を形成し、その後、アナターゼの結晶化温度以上の温度で焼成する方法などが挙げられる。なお、化学気相成長法を使用する場合は、焼成することなく、アナターゼ型酸化チタンの層を形成することができる。塗布方法は上述のとおりである。
(4官能性シラン法)
4官能性シラン法で光触媒層を形成する方法としては、例えば、テトラアルコキシシラン(テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等)とアナターゼ型酸化チタンゾルとの混合物を、上述した衝撃吸収層や後述するプライマー層の表面に塗布し、加水分解によりシラノールを形成した後に、加熱等によりシラノールを脱水重縮合させる方法などが挙げられる。
(スプレーコーティング法)
スプレーコーティング法で光触媒層を形成する方法としては、例えば、アナターゼ型酸化チタンに加工した酸化チタンと無機または有機のバインダーとを混合して、混合物をスプレーにより上述した衝撃吸収層や後述するプライマー層の表面に均一に塗布する方法などが挙げられる。
[プライマー層]
本発明のフィルムミラーは、光触媒層の密着性の観点などから、上述した光触媒層と衝撃吸収層との間にプライマー層を備えるのが好ましい。なお、上述のとおり、光触媒は有機物分解作用を有するため、上記プライマー層は他の層(例えば、上述した衝撃吸収層など)の分解を抑制する役割を有する場合がある。
図3は、本発明のフィルムミラーが上記プライマー層を有する場合の一実施態様の断面図である。
フィルムミラー300は、樹脂基材10と金属反射層12とを有する金属反射層付き樹脂基材20と、衝撃吸収層30と、プライマー層50と、光触媒層40とをこの順に備える。なお、通常、太陽光などの光は、光触媒層40側から入射されて、金属反射層12表面上で反射する。
図3では、金属反射層付き樹脂基材20の金属反射層12上に衝撃吸収層30、プライマー層50および光触媒層40を備えるが、図4に示すように、金属反射層付き樹脂基材20の樹脂基材10上に衝撃吸収層30、プライマー層50および光触媒層40を備えてもよい。なお、図4に示すように、金属反射層付き樹脂基材20の樹脂基材10上に衝撃吸収層30、プライマー層50および光触媒層40を備える場合、金属反射層12上(金属反射層12の樹脂基材10を有する主面とは反対の主面上)に別の樹脂基材を有するのが好ましい。
プライマー層の材料としては、特に制限されないが、例えば、無機酸化物(例えば、酸化ケイ素)、シリコーン系樹脂などが挙げられる。
プライマー層の厚みは、特に制限されないが、通常、0.1〜10μmであり、フィルムミラーの耐傷性の観点から、0.1〜1μmであることが好ましい。
プライマー層の形成方法は特に制限されないが、無機酸化物の分散液やシリコーン系樹脂の溶液を上述した衝撃吸収層の表面に塗布して乾燥する方法、アルコキシシランの溶液を衝撃吸収層の表面に塗布してから、加水分解によりシラノールを形成し、その後加熱等によりシラノールを脱水重縮合させる方法などが挙げられる。プライマー層の塗布方法の具体例は、上述した衝撃吸収層と同様である。なかでも、ロールコート、バーコート、スプレーコート、スピンコートが好ましい。
[その他の層]
本発明のフィルムミラーは、本発明の効果を損なわない範囲で、紫外線反射層、変色防止層、接着層などを有してもよい。
紫外線反射層としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)のような屈折率の異なる材料を2種類組み合わせて多層化した層などが挙げられる。
変色防止層に使用される材料としては、例えば、アミン、ピロール環を有する化合物、トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物、チオ尿素、メルカプト基を有する化合物、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤などが挙げられる。
接着層に使用される接着剤の種類は、密着性を満足するものであれば特に限定されず、その具体例としては、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、耐候性の観点から、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、または、シリコーン系樹脂が好ましい。
接着層の厚みは、密着性、反射率等の観点から、0.01〜50μmであるのが好ましく、0.1〜20μmであるのがより好ましい。
[用途]
本発明のフィルムミラーは、種々の用途(例えば、ディスプレイの反射板や、照明用反射部材、太陽電池や太陽熱発電などの太陽光用部材)に使用することができる。なかでも、太陽光を集光する目的(太陽光集光用)において、好ましく使用できる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1:架橋性ポリロタキサンA)
100mlの三角フラスコにポリエチレングリコール(平均分子量20,000)4gおよび乾燥塩化メチレン20mlを入れてポリエチレングリコールを溶解した。この溶液をアルゴン雰囲気下におき、1,1’−カルボニルジイミダゾール0.8gを加え、引き続きアルゴン雰囲気下、室温(20℃)で6時間、攪拌、反応させた。
上記で得られた反応物を、高速攪拌したジエチルエーテル300mlに注いだ。10分間静置後、沈殿物を有する液を10,000rpmで5分間、遠心分離した。沈殿物を取り出し、40℃で3時間真空乾燥した。
得られた生成物を塩化メチレン20mlに溶解した。この液をエチレンジアミン10mlに3時間かけて滴下し、滴下後40分間攪拌した。得られた反応物をロータリーエバポレーターにかけ塩化メチレンを除去し、その後、水50mlに溶解し、透析チューブ(分画分子量8,000)に入れ、水中で3日間透析した。得られた透析物をロータリーエバポレーターで乾燥し、さらにこの乾燥物を塩化メチレン20mlに溶解し、ジエチルエーテル180mlで再沈させた。沈殿物を有する液を100,000rpmで5分間、遠心分離し、40℃で2時間真空乾燥して、ポリエチレングリコールビスアミン(数平均分子量2万)2.83gを得た。
上記ポリエチレングリコールビスアミン4.5gとα−シクロデキストリン18.0gとを水150mLに加え、80℃に加熱して溶解させた。その溶液を冷却し5℃で16時間静置した。生成した白いペースト状の沈殿を分取、乾燥した。
乾燥物を、2,4−ジニトロフルオロベンゼン12.0gとジメチルホルムアミド50gとの混合溶液に加えて室温で5時間攪拌した。その反応混合物にジメチルスルホキシド(DMSO)200mLを加えて溶解した後、水3750mLに注いで析出物を分取した。析出物を250mLのDMSOに再溶解した後、再び3500mLの0.1%食塩水へ注いで析出物を分取した。その析出物を水とメタノールで各3回ずつ洗浄後、50℃で12時間真空乾燥することで、ポリエチレングリコールビスアミンがα−シクロデキストリンに串刺し状に包接され、かつ両末端アミノ基に2,4−ジニトロフェニル基が結合したポリロタキサン2.0gを得た。得られたポリロタキサンをポリロタキサンa1とする。
得られたポリロタキサンa1について紫外光吸収測定及び1H−NMR測定を行い、α−シクロデキストリンの包接量を算出したところ、包接量は72個であった。
具体的には、紫外光吸収測定では、合成した包接化合物および2,4−ジニトロアニリンそれぞれの360nmにおけるモル吸光係数を測定することで、シクロデキストリンの包接量を算出した。また、1H−NMR測定では、ポリエチレングリコール部分の水素原子とシクロデキストリン部分の水素原子の積分比から算出した。
上記ポリロタキサンa1(1g)を塩化リチウム/N,N−ジメチルアセトアミド8%溶液50gに溶解させた。そこに無水酢酸6.7g、ピリジン5.2g、N,N−ジメチルアミノピリジン100mgを加え、室温にて一晩攪拌した。反応溶液をメタノールに流し込み、析出した固体を遠心分離にて分離した。分離した固体を乾燥した後、アセトンに溶解させた。溶液を水に流し込み、析出した固体を遠心分離にて分離し乾燥させることで、シクロデキストリンの水酸基の一部がアセチル基で修飾されたポリロタキサン(1.2g)を得た。得られたポリロタキサンをポリロタキサンa2とする。
ポリロタキサンa2の1H−NMR測定を行い、アセチル基の導入量(修飾度)を算出したところ、75%であった。
上記ポリロタキサンa2(1g)を塩化リチウム/N,N−ジメチルアセトアミド8%溶液50gに溶解させた。そこにアクリル酸クロライド5.9g、ピリジン5.2g、N,N−ジメチルアミノピリジン100mgを加え、室温にて二晩攪拌した。反応溶液をメタノールに流し込み、析出した固体を遠心分離にて分離した。分離した固体を乾燥した後、アセトンに溶解させた。溶液を水に流し込み、析出した固体を遠心分離にて分離し乾燥させることで、シクロデキストリンの水酸基がアクリロイル基およびアセチル基で修飾されたポリロタキサン(0.8g)を得た。得られたポリロタキサンを架橋性ポリロタキサンAとする。
架橋性ポリロタキサンAの1H−NMR測定を行い、アクリロイル基およびアセチル基の導入量(修飾度)を算出したところ、87%であった。すなわち、アクリロイル基の導入量(修飾度)は12%である。
(合成例2:架橋性ポリロタキサンB)
特開2005−306917号公報の段落[0025]に準ずる方法(α−シクロデキストリンとt−ブチルトリフルオロメタクリレートとのマイケル付加反応)でフッ素原子含有有機基(上記式(3)で表される基。ここで、L31:メチレン基、L32:−C(=O)O−基、R31:トリフルオロメチル基、R32:t−ブチル基である。)を導入したα−シクロデキストリン(フッ素原子含有有機基導入シクロデキストリン)を調製した。
合成例1と同様の手順でポリエチレングリコールビスアミン(数平均分子量2万)2.83gを得た。
上記ポリエチレングリコールビスアミン4.5gと上記フッ素原子含有有機基導入シクロデキストリン0.8gとα−シクロデキストリン10.0gとを水150mLに加え、80℃に加熱して溶解させた。その溶液を冷却し5℃で16時間静置した。生成した白いペースト状の沈殿を分取、乾燥した。
乾燥物を、2,4−ジニトロフルオロベンゼン12.0gとジメチルホルムアミド50gの混合溶液に加えて室温で5時間攪拌した。その反応混合物にジメチルスルホキシド(DMSO)200mLを加えて溶解した後、水3750mLに注いで析出物を分取した。析出物を250mLのDMSOに再溶解した後、再び3500mLの0.1%食塩水へ注いで析出物を分取した。その析出物を水とメタノールで各3回ずつ洗浄後、50℃で12時間真空乾燥することで、ポリエチレングリコールビスアミンがフッ素原子含有有機基導入シクロデキストリンに串刺し状に包接され、かつ両末端アミノ基に2,4−ジニトロフェニル基が結合したポリロタキサン2.0gを得た。得られたポリロタキサンをポリロタキサンb1とする。
得られたポリロタキサンb1について紫外光吸収測定及び1H−NMR測定を行い、α−シクロデキストリンの包接量を算出したところ、包接量は72個であった。算出の方法は上述のとおりである。
合成例1と同様の手順で、上記ポリロタキサンb1にアセチル基を導入して、シクロデキストリンの水酸基の一部がアセチル基で修飾されたポリロタキサンを得た。得られたポリロタキサンをポリロタキサンb2とする。
合成例1と同様の手順で、上記ポリロタキサンb2にアクリロイル基を導入して、アクリロイル基、フッ素原子含有有機基およびアセチル基で修飾されたポリロタキサンを得た。得られたポリロタキサンを架橋性ポリロタキサンBとする。
架橋性ポリロタキサンBの1H−NMR測定を行い、アクリロイル基の導入量(修飾度)を算出したところ、12%であった。
(衝撃吸収層形成用組成物:組成物1)
ウレタンアクリレート(紫光UV−7605B、日本合成化学社製)(98質量部)と、重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製)(2質量部)と、メチルエチルケトン(120質量部)とを混合し、衝撃吸収層形成用組成物を調製した。調製した衝撃吸収層形成用組成物を組成物1とする。
(衝撃吸収層形成用組成物:組成物2)
ウレタンアクリレート(紫光UV−7600B、日本合成化学社製)(98質量部)と、重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製)(2質量部)と、メチルエチルケトン(120質量部)とを混合し、衝撃吸収層形成用組成物を調製した。調製した衝撃吸収層形成用組成物を組成物2とする。
(衝撃吸収層形成用組成物:組成物A)
上述のとおり合成した架橋性ポリロタキサンA(98g)、重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製)(2g)、メチルエチルケトンを混合し、衝撃吸収層形成用組成物(固形分率:20質量%)を調製した。調製した衝撃吸収層形成用組成物を組成物Aとする。なお、組成物Aにおいて、全固形分に対するポリロタキサンの含有量は98質量%である。
(衝撃吸収層形成用組成物:組成物B)
上述のとおり合成した架橋性ポリロタキサンB(98g)、重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製)(2g)、メチルエチルケトンを混合し、衝撃吸収層形成用組成物(固形分率:20質量%)を調製した。調製した衝撃吸収層形成用組成物を組成物Bとする。なお、組成物Bにおいて、全固形分に対するポリロタキサンの含有量は98質量%である。
(比較衝撃吸収層形成用組成物:組成物X1)
ダイヤナールBR−80(PMMA、三菱レイヨン社製)を組成物X1とする。
(比較衝撃吸収層形成用組成物:組成物X2)
ポリエステル系樹脂(ポリエスター SP−181、日本合成化学社製)とTDI系イソシアネート(タケネート500、三井化学株式会社製)とをポリエステル系樹脂:TDI系イソシアネート=10:2(樹脂固形分比率)の比率で混合し、さらにグリコールジメルカプトアセテート(厚み1μmのときに0.3g/m2となる量)を混合して、比較衝撃吸収層形成用組成物を調製した。調製した比較衝撃吸収層形成用組成物を組成物X2とする。
<実施例1>
(被めっき層の形成)
PET支持体(A4300、東洋紡社製)上に、式(5)で表されるアクリルポリマーを含む溶液を、厚さ500nmになるようにスピンコート法により塗布し、80℃にて5分乾燥して塗膜を得た。
ここで、式(5)中の数値は各ユニットの割合(mol%)を表す。
式(5)で表されるアクリルポリマーの合成方法は以下のとおりである。
2Lの三口フラスコに酢酸エチル1L、2−アミノエタノール159gを入れ、氷浴にて冷却をした。そこへ、2−ブロモイソ酪酸ブロミド150gを内温20℃以下になるように調節して滴下した。その後、内温を室温(25℃)まで上昇させて2時間反応させた。反応終了後、蒸留水300mLを追加して反応を停止させた。その後、酢酸エチル層を蒸留水300mLで4回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに酢酸エチルを留去することで原料Aを80g得た。
次に、500mLの三口フラスコに、原料A47.4g、ピリジン22g、酢酸エチル150mLを入れて氷浴にて冷却した。そこへ、アクリル酸クロライド25gを内温20℃以下になるように調節して滴下した。その後、室温に上げて3時間反応させた。反応終了後、蒸留水300mLを追加し、反応を停止させた。その後、酢酸エチル層を蒸留水300mLで4回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに酢酸エチルを留去した。その後、カラムクロマトグラフィーにて、以下のモノマーM1を精製し20g得た。
500mLの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド8gを入れ、窒素気流下65℃まで加熱した。そこへ、上記で得たモノマーM1:14.3g、アクリロニトリル(東京化成工業(株)製)3.0g、アクリル酸(東京化成製)6.5g、V−65(和光純薬製)0.4gのN,N−ジメチルアセトアミド8g溶液を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。その後、N,N−ジメチルアセトアミド41gを足し、室温まで反応溶液を冷却した。上記の反応溶液に、4−ヒドロキシTEMPO(東京化成製)0.09g、DBU54.8gを加え、室温で12時間反応を行った。その後、反応溶液に70質量%メタンスルホン酸水溶液54gを加えた。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、式(5)で表されるアクリルポリマー(重量平均分子量5.3万)を12g得た。
また、式(5)で表されるアクリルポリマーを含む溶液の調製法は以下のとおりである。
式(5)で表されるアクリルポリマー(7質量部)、1−メトキシ−2−プロパノール(74質量部)、水(19質量部)の割合で混合し、さらにこの混合溶液に対して、光重合開始剤(エサキュアKTO−46、ランベルディー社製)(0.35質量部)を添加して、攪拌混合し、式(5)で表されるアクリルポリマーを含む溶液を得た。
上記塗膜に対して、三永電機製のUV露光機(型番:UVF−502S、ランプ:UXM−501MD)を用いて、254nmの波長で1000mJ/cm2の積算露光量にて照射を行い、被めっき層(厚み:500nm)を形成した。
なお、被めっき層から未反応のポリマーを除去するために現像を行った。具体的には、上記被めっき層付きPET支持体を1wt%炭酸水素ナトリウム水溶液中に5分間浸漬した。その後純水で洗浄した。
(金属反射層の形成)
次に、被めっき層付きPET支持体を1wt%硝酸銀水溶液中に5分間浸漬し、その後純水で洗浄して、無電解めっき触媒前駆体(銀イオン)が付与された被めっき層付きPET支持体を得た。
さらに、得られた被めっき層付き樹脂基材を、0.14wt%のNaOHと0.25wt%のホルマリンとを含むアルカリ水溶液(pH12.5)(還元剤に該当)に1分間浸漬し、その後純水で洗浄して、還元金属(銀)が付与された被めっき層付きPET支持体を得た。
次に、還元金属(銀)が付与された被めっき層に対して、以下の電気めっき処理を行い、被めっき層上に厚み100nmの金属(銀)反射層を形成した。
電気めっき液として、ダインシルバーブライトPL50(大和化成社製)を用い、8M水酸化カリウムによりpH9.0に調整した。還元金属を表面にもつ被めっき層付きPET支持体を、電気めっき液に浸漬し、0.5A/dm2にて15秒間めっきし、その後、純水で1分間掛け流しにより洗浄した。
(衝撃吸収層の形成)
上記金属反射層上に、上記組成物1を硬化後の厚みが1μmになるようにアプリケーターで塗工した。その後、80℃で2分乾燥し、さらに、窒素パージ下でUV照射することによって硬化させて、金属反射層上に衝撃吸収層を形成した。
(光触媒層の形成)
上記衝撃吸収層上に、酸化チタン粒子を分散した光触媒コーティング液(光触媒層形成用組成物)(ビストレイターNRC360C、分散液(酸化チタン:1〜3質量%、二酸化ケイ素:2〜7質量%、エタノール:40〜50質量%、n−プロパノール:3〜10質量%、イソプロパノール:1〜5質量%、残りは水)、日本曹達社製)を乾燥後の厚みが0.3μmになるようにバーコーターで塗布した。その後、130℃で乾燥し、衝撃吸収層上に光触媒層を形成した。
このようにしてフィルムミラーを製造した。
(防汚耐久性)
得られたフィルムミラーの表面(光触媒層側)にキセノンウェザオメーター(アトラス社製、Ci5000)を用いてキセノン光を150Wの出力で24時間照射してから、上記表面の接触角(初期接触角)を測定した。さらに、後述する砂塵試験を行い、その後上述した方法と同じ方法でキセノン光を照射してから、表面(光触媒層側)の接触角(砂塵試験後接触角)を測定した。なお、接触角が小さいほど、親水的であり、防汚性に優れる。防汚性の観点から、接触角は30度以下であることが好ましい。
砂塵試験による接触角増加量(=砂塵試験後接触角−初期接触角)を算出し、以下の基準にしたがって防汚耐久性を評価した。実用上、A〜Cであることが好ましい。
結果を第1表に示す。
A:接触角増加量が10度未満
B:接触角増加量が10度以上20度以下
C:接触角増加量が20度超30度未満
D:接触角増加量が30度以上
(砂塵試験)
砂塵試験は、JIS H 8503:1989に記載された「砂落とし磨耗試験方法」に準じて行った。
具体的には、得られたフィルムミラーを3cm角に切り出し、45度の角度からアルミナ粒子がフィルムミラーの表面に衝突するように固定した後、200gのアルミナ粒子を100cmの高さから自由落下させて衝突させた。その後、フィルムミラーの表面に付着したアルミナ粒子を除去した。
(密着性)
得られたフィルムミラーの表面(光触媒層側)にカッターを用いて2mm×2mm角の碁盤目を100個作成し、日東セロテープ(登録商標)を貼りつけ、その後剥離し、剥離しないでフィルムミラー上に残った碁盤目の個数を調べた。
その結果、残った碁盤目の個数が90個以上のものを密着性に優れるものとして「A」と評価し、80〜89個のものを密着性にやや優れるものとして「B」と評価し、70〜79個のものを密着性にやや劣るものとして「C」と評価し、70個未満のものを密着性に劣るものとして「D」と評価した。
結果を第1表に示す。
(耐傷性)
フィルムミラーの耐傷性は、上述した砂塵試験後の反射率(375nm)を測定し、砂塵試験による反射率低下量(=初期の反射率−砂塵試験後の反射率)を算出し、以下の基準にしたがって評価した。なお、反射率は、分光光度計(UV−3100PC、島津製作所製)を用いて測定した。
A:反射率低下量が2.0%未満
B:反射率低下量が2.0%以上5.0%未満
C:反射率低下量が5.0%以上
(初期反射性)
得られたフィルムミラーについて分光光度計(UV−3100PC、島津製作所製)を用いて反射率(375nm)を測定した。
その結果、反射率が80%以上のものを初期反射性に優れるものとして「A」と評価し、80%未満のものを初期反射性にやや劣るものとして「B」と評価した。
結果を第1表に示す。
<実施例2>
衝撃吸収層の硬化後の厚みを3μmとした以外は、実施例1と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第1表に示す。
<実施例3>
衝撃吸収層の硬化後の厚みを10μmとした以外は、実施例1と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第1表に示す。
<実施例4>
衝撃吸収層の硬化後の厚みを45μmとした以外は、実施例1と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第1表に示す。
<実施例5>
衝撃吸収層の硬化後の厚みを60μmとした以外は、実施例1と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第1表に示す。
<実施例6>
組成物1の代わりに上記組成物2を使用して衝撃吸収層を形成し、衝撃吸収層の硬化後の厚みを10μmとした以外は、実施例1と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第1表に示す。
<実施例7>
組成物1の代わりに上記組成物Aを使用して衝撃吸収層を形成し、衝撃吸収層の硬化後の厚みを3μmとした以外は、実施例1と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第1表に示す。
<実施例8>
衝撃吸収層の硬化後の厚みを5μmとした以外は、実施例7と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第1表に示す。
<実施例9>
衝撃吸収層の硬化後の厚みを10μmとした以外は、実施例7と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第1表に示す。
<実施例10>
組成物Aの代わりに上記組成物Bを使用して衝撃吸収層を形成し、衝撃吸収層の硬化後の厚みを10μmとした以外は、実施例7と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第1表に示す。
<実施例11>
実施例1と同様の手順に従って、金属(銀)反射層が形成されたPET支持体を得た。
次に、上記金属反射層上に、上記組成物Aを硬化後の厚みが10μmになるようにアプリケーターで塗工した。その後、80℃で2分乾燥し、さらに、窒素パージ下でUV照射することによって硬化させて、金属反射層上に衝撃吸収層を形成した。
(プライマー層の形成)
上記衝撃吸収層上に、プライマー層形成用組成物(ビストレイターNRC350A、日本曹達社製)を乾燥後の厚みが0.5μmになるようにバーコーターで塗布した。その後、130℃で乾燥し、衝撃吸収層上にプライマー層を形成した。
(光触媒層の形成)
上記プライマー層上に、酸化チタン粒子を分散した光触媒コーティング液(光触媒層形成用組成物)(商品名:ビストレイターNRC360C、日本曹達社製)を乾燥後の厚みが0.3μmになるようにバーコーターで塗布した。その後、130℃で乾燥し、プライマー層上に光触媒層を形成した。
このようにしてフィルムミラーを製造した。
<実施例12>
プライマー層の乾燥後の厚みを2μmとした以外は、実施例11と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第1表に示す。
<比較例1>
組成物1の代わりに上記組成物X1を使用して比較衝撃吸収層(硬化後の厚み:10μm)を形成し、上記比較衝撃吸収層の上に光触媒層を形成した以外は、実施例1と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第1表に示す。
<比較例2>
組成物1の代わりに上記組成物X2を使用して比較衝撃吸収層(硬化後の厚み:1μm)を形成し、上記比較衝撃吸収層の上に光触媒層を形成した以外は、実施例1と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて、実施例1と同様の手順に従って各種評価を行った。結果を第1表に示す。
(弾性回復率)
実施例の衝撃吸収層および比較例の比較衝撃吸収層についてモデル膜を作製し、作製したモデル膜について、超微小硬度計(DUH−201S、島津製作所社製)を用いて、国際規格(ISO14577)に準拠したナノインデンテーション法により弾性回復率を求めた。なお、モデル膜の厚みは各実施例および比較例に合わせた。結果を第1表に示す。
弾性回復率は、「最大押し込み深さ(hmax)」と「荷重除去後の押し込み深さ(hf)」とから下記式により求めた。
弾性回復率(%)=(hmax−hf)/hmax
ここで、測定条件は以下のとおりである。
・圧子:ベルコビッチ三角錐圧子(対稜角115度)
・最大荷重:1mN
・最大荷重保持時間:1秒
・温度:23℃
荷重は10秒間かけて最大荷重とし、最大荷重で1秒間保持し、その後、10秒間かけて荷重を完全に除去した。
最大押し込み深さ(hmax)としては、最大荷重保持時の押し込み深さを測定した。
荷重除去後の押し込み深さ(hf)としては、完全に荷重を除去してから10秒後の押し込み深さ(圧痕深さ)を測定した。
第1表から分かるように、光触媒層を備えるが、光触媒層と金属反射層との間に弾性回復率60%以上の衝撃吸収層を備えない(弾性回復率60%未満の比較衝撃吸収層を備える)比較例1および2は、防汚耐久性が不十分であった。
これに対して、光触媒層を備え、かつ、光触媒層と金属反射層との間に弾性回復率60%以上の衝撃吸収層を備える本願実施例は、いずれも優れた防汚耐久性を示した。なかでも、光触媒層と衝撃吸収層との間にプライマー層を備える実施例11および12は優れた密着性を示した。そのなかでも、プライマー層の厚みが0.1〜1μmである実施例11は優れた耐傷性を示した。
実施例1〜5の対比から、衝撃吸収層の厚みが5μm以上である実施例3〜5の方がより優れた防汚耐久性を示した。そのなかでも、衝撃吸収層の厚みが50μm以下である実施例3および4の方が優れた初期反射性を示した。
同様に、実施例7〜12の対比から、衝撃吸収層の厚みが5μm以上である実施例8〜12の方がより優れた防汚耐久性を示した。
実施例2および7の対比、並びに、実施例3、6、9および10の対比から、衝撃吸収層の弾性回復率が90%以上である実施例7、並びに、実施例9および10の方がより優れた防汚耐久性を示した。
100、200、300、400 フィルムミラー
10 樹脂基材
12 金属反射層
20 金属反射層付き樹脂基材
30 衝撃吸収層
40 光触媒層
50 プライマー層

Claims (7)

  1. 金属反射層付き樹脂基材と、弾性回復率が60%以上である衝撃吸収層と、光触媒層とをこの順に備える、フィルムミラー。
  2. 前記衝撃吸収層の厚みが5μm以上である、請求項1に記載のフィルムミラー。
  3. 前記衝撃吸収層の厚みが50μm以下である、請求項1または2に記載のフィルムミラー。
  4. 前記衝撃吸収層の弾性回復率が90%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
  5. 前記光触媒層と前記衝撃吸収層との間にプライマー層を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
  6. 前記プライマー層の厚みが0.1〜1μmである、請求項5に記載のフィルムミラー。
  7. 太陽光集光用に用いられる請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015093403A1 (ja) * 2013-12-18 2015-06-25 コニカミノルタ株式会社 太陽光反射ミラーユニット、太陽熱発電装置及び太陽光反射ミラーの清浄化方法
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