JP2014191203A - フィルムミラー - Google Patents

フィルムミラー Download PDF

Info

Publication number
JP2014191203A
JP2014191203A JP2013066947A JP2013066947A JP2014191203A JP 2014191203 A JP2014191203 A JP 2014191203A JP 2013066947 A JP2013066947 A JP 2013066947A JP 2013066947 A JP2013066947 A JP 2013066947A JP 2014191203 A JP2014191203 A JP 2014191203A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
group
resin
film mirror
metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Abandoned
Application number
JP2013066947A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigehiko Aono
成彦 青野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2013066947A priority Critical patent/JP2014191203A/ja
Publication of JP2014191203A publication Critical patent/JP2014191203A/ja
Abandoned legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F24HEATING; RANGES; VENTILATING
    • F24SSOLAR HEAT COLLECTORS; SOLAR HEAT SYSTEMS
    • F24S23/00Arrangements for concentrating solar-rays for solar heat collectors
    • F24S23/70Arrangements for concentrating solar-rays for solar heat collectors with reflectors
    • F24S23/82Arrangements for concentrating solar-rays for solar heat collectors with reflectors characterised by the material or the construction of the reflector
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/40Solar thermal energy, e.g. solar towers

Abstract

【課題】耐光性に優れるフィルムミラーを提供することを目的とする。
【解決手段】樹脂基材と、金属反射層と、有機基を有していてもよい無機化合物を含むイオン伝導防止層と、酸化防止剤を含む樹脂層とをこの順で有する、フィルムミラー。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽光集光用に好適に用いることができるフィルムミラーに関する。
太陽光の反射装置には、太陽光による紫外線や熱、風雨、砂塵等に晒されるため、従来、ガラス製ミラーが用いられてきた。
しかしながら、ガラス製ミラーを用いる場合、輸送時に破損する問題や、ミラーを設置する架台に高い強度が要求されるため建設費がかさむといった問題があった。
このような問題を解決するために、近年では、ガラス製ミラーを樹脂製反射シート(フィルムミラー)に置き換えることが提案されている。
一方、フィルムミラー(特に太陽光集光用フィルムミラー)には、過酷な環境下で長時間使用されても、特性(反射率など)が変化し難いことが求められる。例えば、耐光性が求められる。
このようななか、特許文献1には、銀反射層に隣接して酸化防止剤を含む樹脂層を設けた太陽熱発電用フィルムミラーが開示されている。特許文献1によると、このような態様とすることで耐光性等に優れることが記載されている。
特開2011−150316号公報
本発明者らが特許文献1を参照して、金属反射層に隣接して酸化防止剤を含む樹脂層を設けたところ、得られたフィルムミラーの耐光性は不十分であり、特に太陽光集光用に要求されるレベルを満たすものではないことが明らかとなった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、耐光性に優れる(特に、太陽光集光用に要求される耐光性のレベルを満たす)フィルムミラーを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、酸化防止剤を含む樹脂層を有するフィルムミラーに光を照射した場合、酸化防止剤に由来する酸性物質のイオン伝導により金属反射層付近のpHが低下し、その結果、金属反射層が酸化して、反射率が低下することを見出した。上記知見に基づき検討を進め、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 樹脂基材と、金属反射層と、有機基を有していてもよい無機化合物を含むイオン伝導防止層と、酸化防止剤を含む樹脂層とをこの順で有する、フィルムミラー。
(2) 上記酸化防止剤が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤またはリン系酸化防止剤である、上記(1)に記載のフィルムミラー。
(3) 上記無機化合物が、酸化ケイ素類または酸化アルミニウム類である、上記(1)または(2)に記載のフィルムミラー。
(4) 上記樹脂基材と上記金属反射層との間にプライマー層をさらに有し、
上記プライマー層が、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基および重合性基を有するポリマーを含む層に加熱処理および/または光照射処理を施して得られる層である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルムミラー。
(5) 上記金属反射層が、銀を主成分とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルムミラー。
(6) 太陽光集光用に用いられる上記(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルムミラー。
本発明によれば、耐光性に優れるフィルムミラーを提供することができる。
本発明のフィルムミラーの第1の実施形態を示す断面図である。 本発明のフィルムミラーの第2の実施形態を示す断面図である。 本発明のフィルムミラーの第3の実施形態を示す断面図である。 本発明のフィルムミラーの第4の実施形態を示す断面図である。
本発明のフィルムミラーは、樹脂基材と、金属反射層と、有機基を有していてもよい無機化合物(以下、「有機基を有していてもよい無機化合物」を無機系化合物ともいう)を含むイオン伝導防止層と、酸化防止剤を含む樹脂層とをこの順で有する。
まず、本発明のフィルムミラーの特徴点について詳述する。
本発明のフィルムミラーの特徴は、(1)酸化防止剤を含む樹脂層を有する点、(2)酸化防止剤を含む樹脂層と金属反射層との間に無機系化合物を含むイオン伝導防止層を有する点にある。
樹脂層を有するフィルムミラーに光が入射すると、光の作用により樹脂層中にラジカルが発生する。発生したラジカルは、パーオキシラジカルを経て、樹脂層中の樹脂材料から水素を引き抜き過酸化物へと変化する。さらに、生成した過酸化物は分解して、新たなラジカルを生成し、結果として連鎖的な樹脂層の分解が進むと考えられる。このように樹脂層が分解すると、樹脂層に変形が生じ、結果としてフィルムミラーの平面性が低下して、反射率が低下するものと考えられる。
本発明のフィルムミラーは、上記のとおり、樹脂層が酸化防止剤を含むため、樹脂層中に含まれる酸化防止剤が、発生したラジカルや過酸化物を捕捉または分解する。結果として、樹脂層の分解が抑制され、反射率の低下が抑えられるものと考えられる。
上述した点は、後述する比較例1〜3および11に示されるように、樹脂層に酸化防止剤が含まれない場合には耐光性が不十分となることからも推測される。
一方、樹脂層が酸化防止剤を含む場合、樹脂層に含まれる酸化防止剤が上記捕捉または分解の作用に伴って酸性物質に変化することがある。このようにして生じた酸性物質はイオン伝導により金属反射層付近のpHを低下させ、金属反射層の酸化を引き起こすものと考えられる。結果として、フィルムミラーの反射率が低下するものと考えられる。
本発明のフィルムミラーは、上記のとおり、酸化防止剤を含む樹脂層と金属反射層との間に特定のイオン伝導防止層を有するため、酸化防止剤に由来する酸性物質のイオン伝導が防止され、金属反射層付近のpHの低下が抑えられる。結果として、金属反射層の酸化が防止されるものと考えられる。
上述した点は、後述する比較例4、12および13に示されるように、たとえ樹脂層に酸化防止剤が含まれていたとしても、酸化防止剤を含む樹脂層と金属反射層との間に特定のイオン伝導防止層を有さない場合や、後述する比較例5に示されるように特定のイオン伝導防止層以外のイオン伝導防止層(無機化合物を含まないイオン伝導防止層)を使用した場合には耐光性が不十分となることからも推測される。
[第1の実施形態]
本発明のフィルムミラーの第1の実施態様としては、樹脂基材と、金属反射層と、無機系化合物を含むイオン伝導防止層と、酸化防止剤を含む接着層と、表面保護層とをこの順で有する、フィルムミラーが挙げられる。ここで、上記酸化防止剤を含む接着層は、上述した酸化防止剤を含む樹脂層に該当する。
以下に、本発明のフィルムミラーの第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1に、本発明のフィルムミラーの第1の実施形態の断面図を示す。
フィルムミラー100は、樹脂基材10と、金属反射層12と、イオン伝導防止層14と、接着層(樹脂層)16と、表面保護層18とをこの順で有する。なお、太陽光などの光が入射される側は特に制限されず、表面保護層18側から入射されるのでも、樹脂基材10側から入射されるのでも構わないが、通常、表面保護層18側から入射されて金属反射層12表面上で反射する。
以下に、フィルムミラー100を構成する各層について詳述する。
<樹脂基材>
樹脂基材10は、フィルムミラー100にフレキシブル性を付与する基材であり、金属反射層12などを積層できる樹脂基材であればその種類は特に制限されない。
樹脂基材10を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド系樹脂;ポリエーテルサルフォン系樹脂;ポリエチレンサルファイド系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;スチレン系樹脂;セルロースアセテートなどのセルロース系樹脂;等が挙げられる。
これらのうち、フィルムミラーの耐光性がより優れる理由から、ポリエステル系樹脂またはアクリル系樹脂が好ましい。
樹脂基材10の形状は平面状であるが、その形状は図1の形態に特に限定されず、例えば、凹面、凸面等のいずれであってもよい。
樹脂基材10の厚さはその形状によっても左右されるため特に限定されないが、図1に示すように樹脂基材10が平面形状である場合は、通常、25〜300μmであるのが好ましい。
<金属反射層>
金属反射層12は、上記樹脂基材10上に設けられる層であり、表面保護層18から入射される光を反射する機能を有する。
金属反射層12の形成材料は、可視光および赤外光を反射する金属材料であれば特に限定されず、その具体例としては、銀、アルミニウム等が挙げられる。
なお、上述した銀、アルミニウムを用いる場合、その反射特性に影響がない程度の他の金属(例えば、金、銅、ニッケル、鉄、パラジウム等)を含有していてもよい。
なかでも、反射率が優れる点から、金属反射層12の主成分が銀であることが好ましい。なお、主成分とは、金属反射層12を構成する金属成分のうち最も含有量が多い成分を意図する。より具体的には、主成分とは、金属反射層12を構成する金属成分中、90質量%以上である態様が好ましい。
金属反射層12の厚さは特に限定されないが、反射率等の観点から、50〜500nmが好ましく、80〜300nmがより好ましい。
金属反射層12の形成方法は特に限定されず、湿式法および乾式法のいずれも採用することができる。
湿式法としては、例えば、いわゆる金属めっき法(無電解めっき、または、電気めっき)として公知の方法が挙げられる。
また、乾式法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などが挙げられる。
<イオン伝導防止層>
イオン伝導防止層14は、「有機基を有していてもよい無機化合物」(無機系化合物)を含む層であり、後述する接着層(樹脂層)16中の酸化防止剤に由来する酸性物質が金属反射層12へイオン伝導するのを防止する層である。
無機系化合物は、有機基を有さない無機化合物(以下、単に無機化合物ともいう)と、有機基を有する無機化合物(以下、有機基含有無機化合物ともいう)に分けられる。
無機系化合物は、フィルムミラーの耐光性およびフレキシブル性がより優れる理由から、有機基を有する無機化合物であることが好ましい。有機基を有する無機化合物は、主骨格が無機であることが好ましい。すなわち、主骨格以外の部分に有機基を有するのが好ましい。
(無機化合物)
有機基を有さない無機化合物としては、例えば、無機酸化物、無機窒化物などが挙げられる。なかでも、フィルムミラーの耐光性がより優れる理由から、無機酸化物であることが好ましい。
無機酸化物としては、例えば、酸化ケイ素類(特に酸化ケイ素)、酸化アルミニウム類(特に酸化アルミニウム)、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキシサイドイットリウムなどが挙げられる。なかでも、フィルムミラーの耐光性がより優れる理由から、酸化ケイ素または酸化アルミニウムであることが好ましく、酸化ケイ素であることがより好ましい。
無機窒化物としては、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどが挙げられる。
上記無機酸化物を製造する方法は特に制限されないが、例えば、従来公知のゾル−ゲル法やポリシラザン法により製造することができる。
無機化合物が酸化ケイ素類である場合、フィルムミラーの耐光性がより優れる理由から、ポリシラザン法によることが好ましい。ポリシラザン法としては例えば特開2012−47861号公報に記載の方法が挙げられ、より具体的には、ポリシラザンの溶液または分散液(必要に応じて触媒を含む)を金属反射層12に塗布して、金属反射層12上にポリシラザンの塗膜を作製し、これを、水蒸気を含む雰囲気中でエネルギーを付与(例えば、加熱、光照射など)して酸化ケイ素類の層に転化する方法などが挙げられる。
(有機基含有無機化合物)
有機基を有する無機化合物としては、例えば、シリコーン(オルガノポリシロキサン)などが挙げられる。
上記シリコーンとしては、ケイ素原子と酸素原子が結合したシロキサン結合の繰り返し構造(−Si−O−)を有する高分子(ポリシロキサン)であって、アルキル基やアリール基などの有機基を有するものが挙げられる。より具体的には、低重合度で流動性を示すもの(シリコーンオイル)、高重合度のものを架橋することによりゴム状弾性を示すようにしたもの(シリコーンゴム)、三次元網目構造を高度に有する固体状のもの(シリコーン樹脂)などが挙げられる。なかでも、フィルムミラーの耐光性がより優れる理由から、シリコーンゴムまたはシリコーン樹脂であることが好ましい。
シリコーンゴムの具体例としては、例えば、ジメチルシリコーンゴム、ビニルメチルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、変性シリコーンゴム(エポキシ変性シリコーンゴム、アミン変性シリコーンゴムなど)などが挙げられる。
シリコーン樹脂の具体例としては、ジメチルシリコーン樹脂、メチルフェニルシリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂(エポキシ変性シリコーン樹脂、アミン変性シリコーン樹脂など)などが挙げられる。なかでも、耐光性がより優れる理由から、(RSiO1.5)の繰り返し単位を有するネットワーク型ポリマー(シルセスキオキサン)を含む化合物が好ましい。
上記シリコーンを製造する方法は特に制限されないが、例えば、前駆体であるシラノール同士の脱水縮合反応(例えば、ゾル−ゲル反応)や前駆体であるシラノールとアルコキシシロキサンとの脱水縮合反応(例えば、ゾル−ゲル反応)、前駆体であるビニル基含有オルガノポリシロキサンとハイドロジェンオルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により製造することができる。
(イオン伝導防止層の形成方法)
金属反射層12上にイオン伝導防止層14を形成する方法は特に制限されず、例えば、金属反射層12上に上記無機系化合物を真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などで積層する方法、上記無機系化合物(または無機系化合物の前駆体)を含むイオン伝導防止層形成用組成物を塗布して、無機系化合物の前駆体については前駆体を反応(ゾルゲル法などによる脱水縮合反応、ポリシラザン法による反応、ヒドロシリル化反応など)させて、必要に応じて乾燥処理を施す方法などが挙げられる。
イオン伝導防止層14中の無機系化合物の含有量は特に制限されないが、フィルムミラーの耐光性がより優れる理由から、イオン伝導防止層に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることがよりさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
(イオン伝導防止層の好適な態様)
また、イオン伝導防止層14の好適な態様として、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有する金属アルコキシドおよび/またはその加水分解縮合物を用いて形成される前駆体層に、加熱処理および/または光照射処理を施して得られる層が挙げられる。上記層は、有機基を有する無機化合物を含むイオン伝導防止層に該当する。
上記金属アルコキシドは、アクリロイルオキシ基(−OCO−CH=CH2)またはメタクリロイルオキシ基(−OCO−C(CH3)=CH2)を有する。なお、金属アルコキシドとは、アルコキシ基を有する加水分解性の有機金属化合物である。
金属アルコキシドに含まれるアクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基の数は特に制限されないが、通常、1〜3個の場合が多い。
金属アルコキシドには、アルコキシ基が含まれている。アルコキシ基に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、取り扱い性に優れる点で、1〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
なお、金属アルコキシドに含まれるアルコキシ基は一部が加水分解して、水酸基になっていてもよい。
また、金属アルコキシドには、アルコキシ基以外の他の加水分解性基(例えば、イソシアネート基、塩素原子などのハロゲン原子、オキシハロゲン基、アセチルアセトネート基)や、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基以外の他の非加水分解性基が含まれていてもよい。
金属アルコキシドに含まれる金属原子の種類は特に制限されず、例えば、ケイ素原子(Si)、アルミニウム原子(Al)、リチウム原子(Li)、ジルコニウム原子(Zr)、チタン原子(Ti)、タンタル原子(Ta)、亜鉛原子(Zn)、バリウム原子(Ba)、インジウム原子(In)、スズ原子(Sn)、ランタン原子(La)、イットリウム原子(Y)、ニオブ原子(Nb)などが挙げられる。
上記金属アルコキシドの加水分解縮合物とは、金属アルコキシドの加水分解反応および縮合反応により得られるオリゴマー(ゾル)を意図する。なお、加水分解縮合物としては、加水分解反応および縮合反応が完全に進行する前の部分加水分解縮合物も含まれる。
なお、加水分解縮合物を製造する方法は特に制限されず、公知の加水分解反応・縮合反応の方法が挙げられる。例えば、溶媒中に金属アルコキシドに加えて、必要に応じて酸触媒(例えば、塩酸、硫酸など)または塩基触媒(例えば、水酸化ナトリウムなど)を混合し、加水分解反応・縮合反応を進行させる方法が挙げられる。
なお、その際に使用される溶媒としては、金属アルコキシドが溶解すれば特に制限なく、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶媒、酢酸などの酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、この他にも、エーテル系溶媒、グリコール系溶媒、アミン系溶媒、チオール系溶媒、ハロゲン系溶媒などが挙げられる。
金属アルコキシドは、フィルムミラーの耐光性またはフレキシブル性がより優れる理由から、下記式(1)で表される金属アルコキシドであることが好ましい。
式(1) (R11−L1−)nM(−OR12m-n
式(1)中、R11は、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を表す。
1は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、置換若しくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基)、置換若しくは無置換の2価の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12。例えば、フェニレン基)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
1が単結合の場合、R11が直接Mと結合する。
12は、アルキル基を表す。
アルキル基中に含まれる炭素原子の数は特に制限されないが、取り扱い性に優れる点で、1〜4個が好ましく、1〜3個がより好ましい。
12としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
Mは、ケイ素原子、アルミニウム原子、ゲルマニウム原子、チタン原子、および、ジルコニウム原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属原子を表す。なかでも、フィルムミラーの耐光性がより優れる理由から、ケイ素原子が好ましい。
mは、Mの原子価を表す。例えば、Mがアルミニウム原子などの3価の金属原子の場合、mは3である。また、Mがケイ素原子などの4価の金属原子の場合、mは4である。
nは、1から(m−1)の正整数を表す。
なお、nが2以上のとき、複数あるR11およびL1は同一でも異なっていてもよい。
また、(m−n)が2以上のとき、複数あるR12は同一でも異なっていてもよい。
上記式(1)中のMがケイ素原子であり、nが1である場合、その金属アルコキシドの加水分解縮合物は、いわゆるシルセスキオキサンに該当する。なお、シルセスキオキサンとは、3官能性シラン化合物のゾル−ゲル反応により得られる(RSiO1.5)(R:炭化水素基)の繰り返し単位を有するネットワーク型ポリマーである。
上記の場合、その金属アルコキシドの加水分解縮合物は、(R11−L1−SiO1.5)の繰り返し単位を有するシルセスキオキサンに相当する。ここで、R11およびL1の定義、具体例および好適な態様は上述のとおりである。なお、使用されるシルセスキオキサンの形状は特に制限されず、例えば、ランダム状、カゴ状、ラダー状などが挙げられる。
フィルムミラーの耐光性およびフレキシブル性がより優れる理由から、金属アルコキシドの加水分解縮合物を使用することが好ましく、特に、上記式(1)中のMがケイ素原子であり、nが1である金属アルコキシドの加水分解縮合物を使用することがより好ましい。
前駆体層は、後述する加熱処理および/または光照射処理が施される層であり、上記の金属アルコキシドおよび/またはその加水分解縮合物を用いて形成される。より具体的には、上記の金属アルコキシドおよび/またはその加水分解縮合物を金属反射層12上に配置して、必要に応じて、加水分解・縮合反応(いわゆる、ゾル−ゲル反応)を進行させて、前駆体層(金属酸化物を含む層)が形成される。
前駆体層の形成方法は特に制限されず、例えば、上記の金属アルコキシドおよび/またはその加水分解縮合物を含む前駆体層形成用組成物を上記金属反射層12上に塗布して、必要に応じて、乾燥処理を施す方法が挙げられる。
前駆体層形成用組成物中には、必要に応じて、溶媒が含まれていてもよい。使用される溶媒は特に制限されず、上述した金属アルコキシドの加水分解反応・縮合反応で使用される溶媒などが挙げられる。なかでも、前駆体層の厚みの調整がより容易であり、金属反射層12上での濡れ拡がりがより優れる点で、有機溶媒が好ましく、なかでもアルコール系溶媒(なかでも、脂肪族の低級アルコールが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなど)がより好ましい。
金属反射層12上に前駆体層形成用組成物を塗布する方法は特に制限されず、具体的な方法としては、スピンコーター、ダブルロールコーター、スリットコーター、エアナイフコーター、ワイヤーバーコーター、スライドホッパー、スプレーコーティング、ブレードコーター、ドクターコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、エクストロージョンコーター、カーテンコーター、ディップコーター、ダイコーター、グラビアロールによる塗工法、押し出し塗布法、ロール塗布法等の公知の方法を用いることができる。
前駆体層を形成する際には、前駆体層形成用組成物を塗布後、必要に応じて、溶媒を除去するために乾燥処理を実施してもよい。
乾燥処理の条件は特に制限されないが、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基の重合反応が進行しない程度の温度条件で加熱処理を実施することが好ましい。より具体的には、50〜120℃(好ましくは、60〜100℃)で0.5〜30時間(好ましくは、1〜10時間)処理することが好ましい。
なお、前駆体層の厚みは特に制限されず、イオン伝導防止層14の所望の厚みに合わせて調整される。通常、500nm〜10μmの場合が多い。
前駆体層には、加熱処理および/または光照射処理が施される。前駆体層に施される処理としては、加熱処理および光照射処理の一方のみが実施されても、両者が実施されてもよい。また、両者の処理を実施する場合、別々の工程で実施してもよいし、同時に実施してもよい。
これらの処理を実施することにより、アクリロイルオキシ基間またはメタクリロイルオキシ基間で重合反応が進行し、炭素−炭素結合が形成され、イオン伝導防止層14にフレキシブル性が付与される。
加熱処理の条件は使用される金属アルコキシドの種類に応じて最適な条件が選択されるが、なかでもイオン伝導防止層14の架橋密度が高まり、フィルムミラーの耐光性およびフレキシブル性がより優れる理由から、60〜150℃(好ましくは、80〜120℃)で0.1〜3時間(好ましくは、0.5〜2時間)処理することが好ましい。
また、加熱処理の際には、熱重合開始剤を用いてもよい。例えば、前駆体層中に熱重合開始剤を含有させてもよい。熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、アゾイソブチロニトリルなどのような過酸化物開始剤、または、アゾ系開始剤などを使用することができる。
光照射処理の条件は使用される金属アルコキシドの種類に応じて最適な条件が選択されるが、なかでもイオン伝導防止層14の架橋密度が高まり、フィルムミラーの耐光性およびフレキシブル性がより優れる理由から、露光量は10〜8000mJ/cm2が好ましく、100〜3000mJ/cm2がより好ましい。
また、光照射処理の際には、光重合開始剤を用いてもよい。例えば、前駆体層中に光重合開始剤を含有させてもよい。光重合開始剤としては、低分子化合物でもよく、高分子化合物でもよく、一般に公知のものが使用される。
低分子の光重合開始剤としては、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド類;ベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのベンジルケタール類;ミヒラーのケトン;ベンゾイルベンゾエート;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾイン類;α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、トリクロロメチルトリアジン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントンなどの公知の光重合開始剤を使用できる。また通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども光照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを用いてもよい。高分子の光重合開始剤としては、特開平9−77891号、特開平10−45927号各公報に記載の活性カルボニル基を側鎖に有する高分子化合物、特開2004−161995号公報に記載の重合開始基が側鎖にペンダントしてなるポリマーも使用することができる。このポリマーは、具体的には、側鎖に重合開始能を有する官能基(重合開始基)および架橋性基を有するポリマーであり、そのポリマー鎖が架橋反応により固定化された形態を形成することができる。具体的な例としては、特開2004−161995号公報の段落番号〔0011〕〜〔0158〕に記載にものが挙げられる。また既述の低分子の光重合開始剤をその骨格中に有する高分子化合物も用いることができる。
なお、露光に使用される光源は特に制限されず、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。
イオン伝導防止層14の層みは特に制限されないが、フィルムミラーの耐光性がより優れる理由から、500nm〜10μmが好ましい。
<接着層(樹脂層)>
接着層(樹脂層)16は、接着剤と酸化防止剤とを含む層である。接着層16は上述した酸化防止剤を含む樹脂層に該当する。
接着剤は、イオン伝導防止層14と後述する表面保護層18との密着層を高める。また、酸化防止剤は、上述のとおり、接着層16中に発生したラジカルや過酸化物を捕捉または分解して、接着層16の分解を抑制するものと考えられる。
(接着剤)
接着層16に使用される接着剤の種類は、密着性や平滑性を満足するものであれば特に限定されず、その具体例としては、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、耐候性の観点から、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、または、シリコーン系樹脂が好ましい。
接着剤の酸価は、フィルムミラーの耐光性がより優れる理由から、100mgKOH/g以下であることが好ましく、50mgKOH/g以下であることがより好ましく、10mgKOH/g以下であることがさらに好ましく、0であることが特に好ましい。
上記酸価は、JIS K0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」に従い、中和滴定法を用いて測定したものである。
(酸化防止剤)
接着層16に使用される酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられる。酸化防止剤は適宜組み合わせて用いることができる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−オクチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールなどが挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジドデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジオクタデシル−3,3’−チオジプロピオネートなどが挙げられる。
酸化防止剤は、フィルムミラーの耐光性がより優れる理由から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤またはリン系酸化防止剤であることが好ましく、リン系酸化防止剤であることがより好ましく、下記式(2)で表される化合物であることがさらに好ましい。
上記式(2)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。複数あるR1およびR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
1およびR2は、水素原子であることが好ましい。
接着層16中の酸化防止剤の含有量は特に制限されないが、フィルムミラーの耐光性がより優れ、また、反射率が高くなる理由から、接着層16に対して0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
接着層16の厚みは、密着性、平滑性、反射率等の観点から、3〜10μmであるのが好ましい。
接着層16をイオン伝導防止層14上に形成する方法は特に制限されないが、例えば、接着剤と酸化防止剤とを含む接着層形成用組成物をイオン伝導防止層14上に塗布する方法などが挙げられる。
上記接着層形成用組成物をイオン伝導防止層14上に塗布する方法としては、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、スクリーンコーター、バーコーター、カーテンコーターなど、従来公知の方法を使用できる。
<表面保護層>
表面保護層18は、接着層16上に形成される層であり、通常、図1に示すようにフィルムミラーの最表層に配置され、フィルムミラーの表面の耐傷性、防汚性を高める。
表面保護層を構成する材料は特に制限されず、光を透過する透明性を有していればよい。例えば、樹脂、ガラス、セラミックなどが挙げられ、なかでも、フレキシブル性に優れる点で樹脂が好ましい。
樹脂としては、熱硬化性樹脂(例えば、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、シリコーン(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂などの光硬化性樹脂;フェノール樹脂、ユリア樹脂(尿素樹脂)、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂などの熱硬化性樹脂)または、熱可塑性樹脂(例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォンなど)が挙げられる。
表面保護層18を形成する樹脂フィルムとしては、例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムなどを挙げることができる。
なかでも、フィルムミラーの耐光性がより優れる理由から、ポリカーボネート系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム、オレフィン系樹脂フィルムなどが好ましく、より具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルムが好ましく、PMMAフィルムがより好ましい。
表面保護層18の厚みは特に制限されないが、フィルムミラーの耐光性およびフレキシブル性がより優れる点で、10〜200μmが好ましく、25〜100μmがより好ましい。
また、表面保護層18の形成方法は特に限定されないが、例えば、上記樹脂フィルムを接着層16上に貼り合わせる方法や、上記樹脂を含む表面保護層形成用組成物を接着層16上に塗布した後、紫外線照射による光硬化や加熱による加熱硬化する方法などが挙げられる。
[第2の実施形態]
本発明のフィルムミラーの第2の実施態様としては、樹脂基材と、プライマー層と、金属反射層と、無機系化合物を含むイオン伝導防止層と、酸化防止剤を含む接着層と、表面保護層とをこの順で有する、フィルムミラーが挙げられる。ここで、上記酸化防止剤を含む接着層は、上述した酸化防止剤を含む樹脂層に該当する。
以下に、本発明のフィルムミラーの第2の実施形態について図面を参照して説明する。図2に、本発明のフィルムミラーの第2の実施形態の断面図を示す。
フィルムミラー200は、樹脂基材10と、プライマー層20と、金属反射層12と、イオン伝導防止層14と、接着層(樹脂層)16と、表面保護層18とをこの順で有する。
図2に示すフィルムミラー200は、プライマー層20を備える点を除いて、図1に示すフィルムミラー100と同様の構成を有するものであるので、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略し、以下ではプライマー層20について詳述する。
<プライマー層>
プライマー層20は、樹脂基材10と金属反射層12との間に配置される層であり、両者の密着性を高める層である。
プライマー層20は、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基および重合性基を有するポリマーを含む層に、加熱処理および/または光照射処理を施して得られる層である。
以下では、まず、使用されるポリマーについて詳述し、その後層形成の手順について詳述する。
(めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基および重合性基を有するポリマー)
ポリマーには、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基(以後、相互作用性基とも称する)および重合性基が含まれる。相互作用性基は、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する基であり、金属反射層12とプライマー層20との密着性を高める役割を果たす。重合性基は、後述する加熱処理および/または光照射処理を施すことにより、架橋反応が進行し、プライマー層20の強度を高めると共に、その一部が樹脂基材10と反応して樹脂基材10とプライマー層20との密着性を高める役割を果たす。
重合性基は、エネルギー付与により、ポリマー同士、または、ポリマーと樹脂基材10との間で化学結合を形成しうる官能基であればよい。重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基などが挙げられる。なかでも、反応性の観点から、ラジカル重合性基が好ましい。
ラジカル重合性基としては、例えば、メタクリロイル基、アクリロイル基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基、スチリル基、ビニル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基などが挙げられる。なかでも、メタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基が好ましく、なかでも、ラジカル重合反応性、合成汎用性の観点から、メタクリロイル基、アクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基がより好ましく、耐アルカリ性の観点から、アクリルアミド基、メタクリルアミド基が更に好ましい。
相互作用性基は、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する基であればその種類は特に制限されず、例えば、アミノ基、アミド基、イミド基、ウレア基、3級のアミノ基、アンモニウム基、アミジノ基、トリアジン環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、キナゾリン基、キノキサリン基、プリン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アニリン基、アルキルアミン構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)などの含窒素官能基;エーテル基、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、カーボネート基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基;チオフェン基、チオール基、チオウレア基、チオシアヌール酸基、ベンズチアゾール基、メルカプトトリアジン基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホン酸塩構造を含む基、スルホン酸基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基;ホスフェート基、ホスフォロアミド基、ホスフィン基、リン酸エステル構造を含む基などの含リン官能基;塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基などが挙げられ、塩構造をとりうる官能基においてはそれらの塩も使用することができる。
なかでも、極性が高く、金属への吸着能が高いことから、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、およびボロン酸基などのイオン性極性基や、エーテル基またはシアノ基などの非解離性官能基がより好ましい。
ポリマー合成の容易性、および、樹脂基材と金属層との密着性の観点から、ポリマー中には下記式(3)で表されるユニット(繰り返し単位)、および、下記式(4)で表されるユニットが含まれることが好ましい。
式(3)中、R30は、水素原子またはアルキル基(例えば、メチル基、エチル基など)を表す。
式(3)中、L2は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、置換若しくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基)、置換若しくは無置換の2価の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12。例えば、フェニレン基)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
式(3)中、R31は、相互作用性基を表す。相互作用性基の定義、具体例および好適な態様は、上述のとおりである。
なお、ポリマー中においては、R31で表される相互作用性基の種類が異なる2種以上の式(3)で表されるユニットが含まれていてもよい。例えば、R31がイオン性極性基である式(3)で表されるユニットと、R31が非解離性官能基である式(3)で表されるユニットとが、ポリマー中に含まれていてもよい。
式(4)中、R32〜R35は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。
32〜R35が、置換または無置換のアルキル基である場合、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。より具体的には、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、また、置換アルキル基としては、メトキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)などで置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、R32としては、水素原子、メチル基、または、ヒドロキシ基若しくは臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。R33としては、水素原子、メチル基、または、ヒドロキシ基若しくは臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。R34としては、水素原子が好ましい。R35としては、水素原子が好ましい。
式(4)中、L3は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基の具体例および好適な態様は、上記式(3)中のL2と同じである。
ポリマーの最好適範囲としては、下記式(A)で表されるユニットと、下記式(B)で表されるユニットと、下記式(C)で表されるユニットとを含む共重合体、下記式(A)で表されるユニットと下記式(B)で表されるユニットとを含む共重合体、下記式(A)で表されるユニットと下記式(C)で表されるユニットとを含む共重合体、などが挙げられる。
上記式(A)〜(C)中、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子、または、炭素数1〜4の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。X、Y、Z、およびUは、それぞれ独立して、単結合または2価の連結基を表す。L4、L5、およびL6は、それぞれ独立して、単結合または2価の連結基を表す。Wは、非解離性の相互作用性基(非解離性官能基)を表す。Vは、イオン性極性基を表す。2価の連結基の具体例および好適な態様は、上記式(3)中のL2と同じである。
式(A)で表されるユニットにおいて、YおよびZは、それぞれ独立に、エステル基、アミド基、フェニレン基(−C64−)が好ましい。L4は、炭素数1〜10の置換または無置換の2価の有機基(特に、炭化水素基)であることが好ましい。
式(B)で表されるユニットにおいて、Wは、シアノ基またはエーテル基であることが好ましい。また、XおよびL5は、いずれも単結合であることが好ましい。
式(C)で表されるユニットにおいて、Vはカルボン酸基であることが好ましく、また、Vがカルボン酸基であり、且つ、L6がVと連結する部分において4員〜8員の環構造を含む態様が好ましく、更に、Vがカルボン酸基であり、且つ、L6の鎖長が6原子〜18原子である態様も好ましい。さらに、式(C)で表されるユニットにおいて、Vがカルボン酸基であり、且つ、UおよびL6が単結合であることも好ましい態様の1つである。なかでも、Vがカルボン酸基であり、且つ、UおよびL6のいずれも単結合である態様が最も好ましい。
式(A)〜式(C)で表されるユニットの含有量は、以下の範囲が好ましい。
すなわち、式(A)で表されるユニットと式(B)で表されるユニットと式(C)で表されるユニットとを含む共重合体の場合には、式(A)で表されるユニット:式(B)で表されるユニット:式(C)で表されるユニット=5〜50mol%:5〜40mol%:20〜70mol%であることが好ましく、10〜40mol%:10〜35mol%:20〜60mol%であることがより好ましい。
また、式(A)で表されるユニットと式(B)で表されるユニットとを含む共重合体の場合には、式(A)で表されるユニット:式(B)で表されるユニット=5〜50mol%:50〜95mol%であることが好ましく、10〜40mol%:60〜90mol%であることがより好ましい。
さらに、式(A)で表されるユニットと式(C)で表されるユニットとを含む共重合体の場合は、式(A)で表されるユニット:式(C)で表されるユニット=5〜50mol%:50〜95mol%であることが好ましく、10〜40mol%:60〜90mol%であることがより好ましい。
この範囲にて、加熱処理または光照射処理によるポリマーの重合性の向上、プライマー層の抵抗値の低下、また耐湿密着力の向上などが達成される。
上記ポリマーを含む層の形成方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、上記ポリマーを含む層形成用組成物を樹脂基材10上に塗布して、必要に応じて乾燥処理を施して層を形成する方法が挙げられる。
上記ポリマーを含む層には、加熱処理および/または光照射処理が施される。上記ポリマーを含む層に実施される処理は、加熱処理および光照射処理の一方のみが実施されても、両者が実施されてもよい。また、両者の処理を実施する場合、別々の工程で実施してもよいし、同時に実施してもよい。
これらの処理を実施することにより、重合性基が活性化され、重合性基間および重合性基と樹脂基材10との間で反応が進行し、樹脂基材10上に密着したプライマー層20が形成される。
加熱処理の条件は使用されるポリマーの種類に応じて最適な条件が選択されるが、なかでもプライマー層20の架橋密度が高まり、フィルムミラーの耐光性およびフレキシブル性がより優れる理由から、60〜150℃(好ましくは、80〜120℃)で0.1〜3時間(好ましくは、0.5〜2時間)処理することが好ましい。
光照射処理の条件は使用されるポリマーの種類に応じて最適な条件が選択されるが、なかでもプライマー層20の架橋密度が高まり、フィルムミラーの耐光性およびフレキシブル性がより優れる理由から、露光量は10〜8000mJ/cm2が好ましく、100〜3000mJ/cm2がより好ましい。露光波長は200〜300nmが好ましい。
なお、露光に使用される光源は特に制限されず、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。
なお、加熱処理および/または光照射処理後に、適宜、加熱処理および/または光照射処理後の組成物から未反応のポリマーを除去してもよい。除去方法としては、溶媒を使用する方法が挙げられ、例えば、ポリマーを溶解する溶剤や、アルカリ可溶性のポリマーの場合はアルカリ系現像液(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液)などで除去することができる。
プライマー層20の厚みは特に制限されないが、フィルムミラーの耐侯性およびフレキシブル性が優れる点で、0.05〜10μmが好ましく、0.3〜5μmがより好ましい。
第2の実施形態において、プライマー層20上に金属反射層12を形成する際には、プライマー層20にめっき触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、めっき触媒またはその前駆体が付与されたプライマー層20に対してめっき処理を実施するめっき工程とを実施することが好ましい。これらの工程を実施することにより形成された金属反射層12はプライマー層20との密着性がより優れる。つまり、プライマー層20が、めっき下塗り層として機能する。
以下に、それぞれの工程の手順について詳述する。
(触媒付与工程)
触媒付与工程は、プライマー層20にめっき触媒またはその前駆体を付与する工程である。本工程においては、めっき触媒またはその前駆体が、プライマー層20中の相互作用性基に吸着する。例えば、めっき触媒前駆体として金属イオンを使用した場合は、金属イオンがプライマー層20に吸着する。
めっき触媒またはその前駆体としては、後述するめっき工程における、めっきの触媒や電極として機能するものが挙げられる。そのため、めっき触媒またはその前駆体は、めっき工程におけるめっきの種類により決定される。
以下に、使用されるめっき触媒(例えば、無電解めっき触媒)またはその前駆体について詳述する。
無電解めっき触媒としては、無電解めっき時の活性核となり得るものが好ましい。例えば、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられ、具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。なかでも、触媒能の高さから、PdまたはAgが好ましい。
無電解めっき触媒前駆体としては、化学反応により無電解めっき触媒となり得るものが好ましい。例えば、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンをプライマー層へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、金属塩を用いてプライマー層に付与されることが好ましい。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)Pd(OAc)n(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられる。なかでも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数および触媒能の点で、Agイオン、Cuイオン、Pdイオンが好ましい。
なお、無電解めっき触媒前駆体をめっき工程の前に還元させる場合、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。触媒活性化液は、無電解めっき触媒前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤と還元剤を活性化するためのpH調整剤が含有される場合が多い。
液全体に対する還元剤の濃度は、0.1〜10質量%が好ましい。
還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。
特に、ホルムアルデヒドを含有するアルカリ水溶液で還元することが好ましい。
なお、めっき触媒として、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒を使用してもよい。このような触媒としては、例えば、0価金属が挙げられ、より具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。なかでも、多座配位可能なものが好ましく、特に、相互作用性基に対する吸着(付着)性、触媒能の高さから、Pd、Ag、Cuが好ましい。
めっき触媒またはその前駆体をプライマー層に付与する方法としては、これらを含む溶液(例えば、金属を適当な分散媒に分散した分散液、または、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液)を調製し、その分散液若しくは溶液をプライマー層20上に塗布するか、または、その分散液若しくは溶液中にプライマー層20が形成された樹脂基材10を浸漬すればよい。
(めっき工程)
めっき工程は、めっき触媒またはその前駆体が付与されたプライマー層20に対し、めっき処理を施すことで金属反射層12を形成する工程である。
本工程において行われるめっきの種類は、無電解めっき、電気めっきが挙げられ、上記触媒付与工程でプライマー層20に付与されためっき触媒またはその前駆体の機能によって、適宜選択することができる。つまり、本工程では、めっき触媒またはその前駆体が付与されたプライマー層20に対し、電気めっきを行ってもよいし、無電解めっきを行ってもよい。
以下、本工程において好適に行われるめっき処理について説明する。
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与されたプライマー層20を備える樹脂基材10を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行う。使用される無電解めっき浴としては、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与されたプライマー層20を備える樹脂基材10を、無電解めっき触媒前駆体がプライマー層20に吸着または含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基板を洗浄して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬することが好ましい。この場合には、無電解めっき浴中において、めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
本工程おいては、付与されためっき触媒またはその前駆体が電極としての機能を有する場合、めっき触媒またはその前駆体が付与されたプライマー層20に対して、電気めっきを行うことができる。
本発明における電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、フィルムミラーの初期反射率が向上する理由から、銀が好ましい。
また、上述の無電解めっきの後、形成されためっき膜を電極とし、さらに、電気めっきを行ってもよい。
なお、めっきに用いる銀化合物としては、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、炭酸銀、メタンスルホン酸銀、アンモニア銀、シアン化銀、チオシアン酸銀、塩化銀、臭化銀、クロム酸銀、クロラニル酸銀、サリチル酸銀、ジエチルジチオカルバミン酸銀、ジエチルジチオカルバミド酸銀、p−トルエンスルホン酸銀が挙げられる。なかでも、フィルムミラーの初期反射率がより向上する理由から、メタンスルホン酸銀が好ましい。
[第3の実施形態]
本発明のフィルムミラーの第3の実施態様としては、樹脂基材と、金属反射層と、無機系化合物を含むイオン伝導防止層と、保護層と、耐傷層とをこの順で有し、上記保護層と上記耐傷層の少なくとも一方が酸化防止剤を含む、フィルムミラーが挙げられる。ここで、上記保護層と上記耐傷層の少なくとも一方は、上述した酸化防止剤を含む樹脂層に該当する。以下、保護層と耐傷層を合わせて表面被覆層ともいう。
以下に、本発明のフィルムミラーの第3の実施形態について図面を参照して説明する。図3に、本発明のフィルムミラーの第3の実施形態の断面図を示す。
フィルムミラー300は、樹脂基材10と、金属反射層12と、イオン伝導防止層14と、保護層(樹脂層)30と耐傷層(樹脂層)40からなる表面被覆層50とをこの順で有する。
図3に示すフィルムミラー300は、接着層16および表面保護層18の代わりに、保護層30および耐傷層40からなる表面被覆層50を備える点を除いて、図1に示すフィルムミラー100と同様の構成を有するものであるので、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略し、以下では表面被覆層50、保護層30および耐傷層40について詳述する。
<表面被覆層>
表面被覆層50(保護層30+耐傷層40)は、厚みが10μm以上100μm未満であり、波長2000〜2500nmの光の透過率(本願において、上記波長領域における光の透過率を単に「透過率」とも略す。)が90%以上となる層であることが好ましい。
ここで、透過率とは、分光光度計を用いて、2000〜2500nmの波長領域において少なくとも5nm毎に測定して求めた各透過率を積算し、その平均値を算出した値をいう。
表面被覆層50の厚みは、表面被覆層50の透過率を90%以上に調整しやすくなる理由から、15μm以上70μm以下であるのが好ましく、15μm以上50μm以下であるのがより好ましい。
<保護層>
保護層30は、上述した金属反射層12を保護することを主目的として設けられる層であり、その構成材料は、表面被覆層50の透過率を90%以上に調整しやすくなる理由から、カルボニル基を有さない材料であるのが好ましい。
このような材料としては、具体的には、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、ポリビニルアセタール樹脂(例えば、ポリビニルブチラール樹脂など)であるのが好ましい。
なお、本発明においては、保護層30の厚みが薄い場合(例えば、30μm程度以下である場合)は、カルボニル基を有する材料(例えば、アクリル樹脂等)を用いることができる。
本発明においては、保護層30の厚みは、紫外線(UV)吸収剤を添加することができる等の理由から、5μm以上であるのが好ましく、10μm以上であるのがより好ましく、また、表面被覆層50の透過率を90%以上に調整しやすくなる理由から、50μm以下であるのが好ましく、30μm以下であるのがより好ましい。
上記UV吸収剤は、従来公知のUV吸収剤を用いることができ、その具体例としては、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。
また、保護層30の厚みと後述する耐傷層40の厚みとの比率(保護層30の厚み/耐傷層40の厚み)は、表面被覆層50の透過率を90%以上に調整しやすくなる理由から、5/5〜9/1であるのが好ましい。
同様の理由から、表面被覆層50の厚みと保護層30の厚みとの比率(保護層30の厚み/表面被覆層50の厚み)は、5/10〜9/10であるのが好ましい。
このような保護層30の形成方法は特に限定されないが、例えば、上述したポリビニルアセタール樹脂やUV吸収剤等を含有する保護層形成用組成物を上述したイオン伝導防止層上に塗布した後、保護層形成用組成物に含まれる溶媒を乾燥させる方法や、さらに紫外線照射によって硬化させる方法などが挙げられる。
上記保護層形成用組成物の塗布方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、スクリーンコーター、バーコーター、カーテンコーター等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
<耐傷層>
耐傷層40は、砂塵等により生じうるフィルムミラー300の表面の傷付きを防止することを主目的として設けられる層であり、その構成材料としては、具体的には、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、シリコーン(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂などの光硬化性樹脂;ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂(尿素樹脂)、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂などの熱硬化性樹脂;ポリロタキサン等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、フィルムミラー300の硬度を調整しやすい理由から、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂であるのが更に好ましい。
なお、上記光硬化性樹脂における「(メタ)アクリレート」との表現は、アクリレートまたはメタクリレートを表す表現である。
本発明においては、上記耐傷層40の厚みは、フィルムミラー300に十分な耐傷性を付与し、かつ、表面被覆層50の透過率を90%以上に調整しやすくなる理由から、20μm以下であるのが好ましく、10〜15μmであるのがより好ましい。
また、上記耐傷層40は、フィルムミラー300の耐傷性がより良好となる理由から、その弾性回復率が80%以上であるのが好ましい。
ここで、弾性回復率は、国際規格(ISO14577)に準拠したナノインデンテーション法により「最大押し込み深さ(hmax)」と「荷重除去後の押し込み深さ(hf)」とを測定し、(hmax−hf)/hmaxから求められる値である。
ここで、測定条件は以下のとおりである。
・圧子:ベルコビッチ三角錐圧子(対稜角115度)
・最大荷重:1mN
・最大荷重保持時間:1秒
・温度:23℃
荷重は10秒間かけて最大荷重とし、最大荷重で1秒間保持し、その後、10秒間かけて荷重を完全に除去する。
最大押し込み深さ(hmax)は最大荷重保持時の押し込み深さである。
荷重除去後の押し込み深さ(hf)は完全に荷重を除去してから10秒後の押し込み深さ(圧痕深さ)である。
例えば、超微小硬度計(DUH−201S、島津製作所社製)を用いて測定することができる。
このような耐傷層40の形成方法は特に限定されないが、例えば、上述した光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を含有する耐傷層形成用組成物を上述した保護層の表面に塗布した後、保護層形成用組成物に含まれる溶媒を乾燥させる方法や、さらに紫外線照射によって硬化させる方法などが挙げられる。
上記耐傷層形成用組成物の塗布方法の具体例は、上述した保護層形成用組成物と同じである。
上述のとおり、上記保護層30と上記耐傷層40の少なくとも一方は酸化防止剤を含む。
酸化防止剤の具体例および好適な態様は、上述した接着層16に含まれる酸化防止剤と同じである。また、酸化防止剤の含有量の好適な範囲は上述した接着層16と同じである。
[第4の実施形態]
本発明のフィルムミラーの第4の実施態様としては、樹脂基材と、プライマー層と、金属反射層と、無機系化合物を含むイオン伝導防止層と、保護層と、耐傷層とをこの順で有し、上記保護層と上記耐傷層の少なくとも一方が酸化防止剤を含む、フィルムミラーが挙げられる。ここで、上記保護層と上記耐傷層の少なくとも一方は、上述した酸化防止剤を含む樹脂層に該当する。
以下に、本発明のフィルムミラーの第4の実施形態について図面を参照して説明する。図4に、本発明のフィルムミラーの第4の実施形態の断面図を示す。
フィルムミラー400は、樹脂基材10と、プライマー層20と、金属反射層12と、イオン伝導防止層14と、保護層(樹脂層)30と耐傷層(樹脂層)40からなる表面被覆層50とをこの順で有する。
図4に示すフィルムミラー400は、プライマー層20を備える点を除いて、図3に示すフィルムミラー300と同様の構成を有するものである。また、上記プライマー層20は上述した第2の実施態様におけるプライマー層20と同じである。
[その他の態様]
なお、本発明のフィルムミラーは、本発明の効果を損なわない範囲で、紫外線反射層、上述した接着層以外の接着層、粘着層などの層を有するものであってもよい。本発明のフィルムミラーは、フィルムミラーの耐光性がより優れる理由から、金属反射層とイオン伝導防止層の間に酸化防止剤を含む層を有さない態様であるのが好ましい。
[用途]
本発明のフィルムミラーは、種々の用途(例えば、ディスプレイの反射板や、照明用反射部材、太陽電池や太陽熱発電などの太陽光用部材)に使用することができる。なかでも、太陽光を集光する目的(太陽光集光用)において、好ましく使用できる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
PET支持体(A4300、東洋紡社製)上に、式(5)で表されるアクリルポリマーを含む溶液を、厚さ500nmになるようにスピンコート法により塗布し、80℃にて5分乾燥して塗膜を得た。
ここで、式(5)中の数値は各ユニットの割合(mol%)を表す。
式(5)で表されるアクリルポリマーの合成方法は以下のとおりである。
2Lの三口フラスコに酢酸エチル1L、2−アミノエタノール159gを入れ、氷浴にて冷却をした。そこへ、2−ブロモイソ酪酸ブロミド150gを内温20℃以下になるように調節して滴下した。その後、内温を室温(25℃)まで上昇させて2時間反応させた。反応終了後、蒸留水300mLを追加して反応を停止させた。その後、酢酸エチル層を蒸留水300mLで4回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに酢酸エチルを留去することで原料Aを80g得た。
次に、500mLの三口フラスコに、原料A47.4g、ピリジン22g、酢酸エチル150mLを入れて氷浴にて冷却した。そこへ、アクリル酸クロライド25gを内温20℃以下になるように調節して滴下した。その後、室温に上げて3時間反応させた。反応終了後、蒸留水300mLを追加し、反応を停止させた。その後、酢酸エチル層を蒸留水300mLで4回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに酢酸エチルを留去した。その後、カラムクロマトグラフィーにて、以下のモノマーM1を精製し20g得た。
500mLの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド8gを入れ、窒素気流下65℃まで加熱した。そこへ、上記で得たモノマーM1:14.3g、アクリロニトリル(東京化成工業(株)製)3.0g、アクリル酸(東京化成製)6.5g、V−65(和光純薬製)0.4gのN,N−ジメチルアセトアミド8g溶液を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。その後、N,N−ジメチルアセトアミド41gを足し、室温まで反応溶液を冷却した。上記の反応溶液に、4−ヒドロキシTEMPO(東京化成製)0.09g、DBU54.8gを加え、室温で12時間反応を行った。その後、反応溶液に70質量%メタンスルホン酸水溶液54gを加えた。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、式(5)で表されるアクリルポリマー(重量平均分子量5.3万)を12g得た。
また、式(5)で表されるアクリルポリマーを含む溶液の調製法は以下のとおりである。
式(5)で表されるアクリルポリマー(7質量部)、1−メトキシ−2−プロパノール(74質量部)、水(19質量部)の割合で混合し、さらにこの混合溶液に対して、光重合開始剤(エサキュアKTO−46、ランベルディー社製)(0.35質量部)を添加して、攪拌混合し、式(5)で表されるアクリルポリマーを含む溶液を得た。
上記塗膜に対して、三永電機製のUV露光機(型番:UVF−502S、ランプ:UXM−501MD)を用いて、254nmの波長で1000mJ/cm2の積算露光量にて照射を行い、プライマー層(厚み:500nm)を形成した。
なお、プライマー層から未反応のポリマーを除去するために現像を行った。具体的には、上記プライマー層付きPET支持体を1wt%炭酸水素ナトリウム水溶液中に5分間浸漬した。その後純水で洗浄した。
次に、プライマー層付きPET支持体を1wt%硝酸銀水溶液中に5分間浸漬し、その後純水で洗浄して、無電解めっき触媒前駆体(銀イオン)が付与されたプライマー層付きPET支持体を得た。
さらに、得られたプライマー層付き樹脂基材を、0.14wt%のNaOHと0.25wt%のホルマリンとを含むアルカリ水溶液(pH12.5)(還元剤に該当)に1分間浸漬し、その後純水で洗浄して、還元金属(銀)が付与されたプライマー層付きPET支持体を得た。
次に、還元金属(銀)が付与されたプライマー層に対して、以下の電気めっき処理を行い、プライマー層上に厚み100nmの金属(銀)反射層を形成した。
電気めっき液として、ダインシルバーブライトPL50(大和化成社製)を用い、8M水酸化カリウムによりpH9.0に調整した。還元金属を表面にもつプライマー層付きPET支持体を、電気めっき液に浸漬し、0.5A/dm2にて15秒間めっきし、その後、純水で1分間掛け流しにより洗浄した。
次に、メタクリロイルオキシ基を有する、ランダム状およびカゴ状のシルセスキオキサン(MAC−SI−20、東亞合成社製)、並びに、光開始剤(Irgacure184)(含有量:シルセスキオキサンに対して1wt%)をイソプロピルアルコールに溶解させ、イオン伝導防止層形成用組成物を得た。得られたイオン伝導防止層形成用組成物をイオン伝導防止層形成用組成物1とする。
イオン伝導防止層形成用組成物1を上記金属反射層上に塗布して、80℃で5分間乾燥処理を行い、塗膜(前駆体層)を得た。その後、UV照射装置(GSユアサ社製、メタルハライドランプ)を用いて、塗膜に対してUV露光(露光量:800mJ/cm2)を行い、イオン伝導防止層(厚み:500nm)を形成した。形成されたイオン伝導防止層をイオン伝導防止層1とする。
次に、ウレタン接着剤(東洋インキ製造社製、商品名:LIS825、LCR901)に酸化防止剤としてトリフェニルホスファイトを添加し、溶解させて、接着層形成用組成物を得た。得られた接着層形成用組成物を接着層形成用組成物1とする。
上記接着層形成用組成物1を上記イオン伝導防止層1上に塗布して、80℃で5分間乾燥処理を行い、接着層(厚み:10μm)を形成した。形成された接着層を接着層A1とする。なお、上記接着層A1中のトリフェニルホスファイトの含有量は、接着層に対して1質量%である。
さらに、表面保護層としてPMMA基板(三菱レイヨン社製、HBS002、厚み:75μm)を上記接着層A1上に貼り合わせて、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーは、「表面保護層/接着層A1/イオン伝導防止層1/金属反射層/プライマー層/樹脂基材」の層構成を有する。上記接着層A1は上述した酸化防止剤を含む樹脂層に該当する。
(耐光性評価)
得られたフィルムミラーについて、キセノンランプ耐光性試験機(ATLAS社製、Ci5000、パワー:180W、Black Panel Temperature:83℃)内に配置して、温度55℃、湿度50%RHの条件下で500時間放置し、その際のフィルムミラーの450nmにおける反射率の低下率(反射率の低下率[%]=(Ra−Rb)/Ra×100。ここで、Ra[%]:試験前反射率(450nm)、Rb[%]:試験後反射率(450nm)。)を評価した。なお、反射率は、紫外可視近赤外分光光度計UV−3100(島津製作所社製)を用いて測定した。
以下の基準に従って耐光性を評価した。耐光性の評価結果を第1表に示す。実用上、Aであることが好ましい。
「A」:反射率の低下率が5%未満
「B」:反射率の低下率が5%以上10%未満
「C」:反射率の低下率が10%以上15%未満
「D」:反射率の低下率が15%以上
<実施例2>
実施例1と同様の手順に従って、プライマー層付きPET支持体上に金属(銀)反射層を形成した。
次に、ポリシラザン分散液(AZ Electronic Materials社製、商品名:NN320、ジブチルエーテル中にポリシラザンを20質量%分散させた分散液)(イオン伝導防止層形成用組成物2とする)を金属反射層上に塗布して、100℃で5分間乾燥処理を行い、塗膜(前駆体層)を得た。得られた塗膜に対して、Xeエキシマ放射線(30mW/cm)を1分間照射して、イオン伝導防止層(酸化ケイ素層、厚み:500nm)を形成した。形成されたイオン伝導防止層をイオン伝導防止層2とする。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上記イオン伝導防止層上に接着層(接着層A1)を形成し、さらに、表面保護層としてPMMA基板(三菱レイヨン社製、HBS002、厚み:75μm)を上記接着層A1上に貼り合わせて、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーは、「表面保護層/接着層A1/イオン伝導防止層2/金属反射層/プライマー層/樹脂基材」の層構成を有する。上記接着層A1は上述した酸化防止剤を含む樹脂層に該当する。
得られたフィルムミラーについて耐光性を評価した。耐光性の評価結果を第1表に示す。
<比較例1>
実施例1と同様の手順に従って、プライマー層付きPET支持体上に金属(銀)反射層を形成した。
次に、ウレタン接着剤(東洋インキ製造社製、商品名:LIS825、LCR901)(接着層形成用組成物2とする)を上記金属反射層上に塗布して、80℃で5分間乾燥処理を行い、接着層(厚み:10μm)を形成した。形成された接着層を接着層A2とする。
さらに、表面保護層としてPMMA基板(三菱レイヨン社製、HBS002、厚み:75μm)を上記接着層A2上に貼り合わせて、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーは、「表面保護層/接着層A2/金属反射層/プライマー層/樹脂基材」の層構成を有する。なお、接着層A2は酸化防止剤を含まない。
得られたフィルムミラーについて耐光性を評価した。耐光性の評価結果を第1表に示す。
<比較例2>
接着層形成用組成物1の代わりに、接着層形成用組成物2を使用して接着層(接着層A2)を形成した以外は、実施例1と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造し、耐光性を評価した。耐光性の評価結果を第1表に示す。
<比較例3>
接着層形成用組成物1の代わりに、接着層形成用組成物2を使用して接着層(接着層A2)を形成した以外は、実施例2と同様の手順に従って、フィルムミラーを製造し、耐光性を評価した。耐光性の評価結果を第1表に示す。
<比較例4>
実施例1と同様の手順に従って、プライマー層付きPET支持体上に金属(銀)反射層を形成した。
次に、接着層形成用組成物1を上記金属反射層上に塗布して、80℃で5分間乾燥処理を行い、接着層(厚み:10μm)を形成した。形成された接着層を接着層B1とする。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上記接着層B1上にイオン伝導防止層(イオン伝導防止層1)を形成した。
次に、比較例1と同様の手順に従って、上記イオン伝導防止層1上に接着層(接着層A2)を形成し、さらに、表面保護層としてPMMA基板(三菱レイヨン社製、HBS002、厚み:75μm)を上記接着層A2上に貼り合わせて、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーは、「表面保護層/接着層A2/イオン伝導防止層1/接着層B1/金属反射層/プライマー層/樹脂基材」の層構成を有する。
得られたフィルムミラーについて耐光性を評価した。耐光性の評価結果を第1表に示す。
<比較例5>
実施例1と同様の手順に従って、プライマー層付きPET支持体上に金属(銀)反射層を形成した。
次に、ZEONEX350R(シクロオレフィンフィルム、厚み100μm、日本ゼオン社製)を金属反射層上に接着させて、無機化合物を含まないイオン伝導防止層を形成した。形成されたイオン伝導防止層をイオン伝導防止層Xとする。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上記イオン伝導防止層X上に接着層(接着層A1)を形成し、さらに、表面保護層としてPMMA基板(三菱レイヨン社製、HBS002、厚み:75μm)を上記接着層A1上に貼り合わせて、フィルムミラーを製造した。
得られたフィルムミラーについて耐光性を評価した。耐光性の評価結果を第1表に示す。
<実施例11>
実施例1と同様の手順に従って、プライマー層付きPET支持体上に金属(銀)反射層を形成し、さらに金属反射層上にイオン伝導防止層1を形成した。
次に、ポリビニルアセタール樹脂(BL−1、積水化学工業社製)および酸化防止剤(トリフェニルホスファイト)を混合溶媒(MEK:75質量%、MFG:20質量%、シクロヘキサノン:5質量%)に溶解させ、保護層形成用組成物を得た。得られた保護層形成用組成物を保護層形成用組成物1とする。
保護層形成用組成物1を上記イオン伝導防止層1上に塗布して、80℃で5分間乾燥処理を行い、保護層(厚み:30μm)を形成した。形成された接着層を保護層1とする。なお、上記保護層1中のトリフェニルホスファイトの含有量は、保護層に対して1質量%である。
次に、ウレタンアクリレート樹脂塗料(UV自己治癒、ナトコ社製)(耐傷層形成用組成物2とする)を上記保護層1上に塗布して、80℃で5分間乾燥させ、その後、UV露光(300mJ/cm2)により硬化させて、耐傷層(厚み:15μm)を形成した。形成された耐傷層を耐傷層2とする。なお、耐傷層2の弾性回復率は91%であった。弾性回復率の評価方法は上述のとおりである。
このようにしてフィルムミラーを製造した。得られたフィルムミラーは「耐傷層2/保護層1/イオン伝導防止層1/金属反射層/プライマー層/樹脂基材」の層構成を有する。上記保護層1は上述した酸化防止剤を含む樹脂層に該当する。
また、表面被覆層(保護層1+耐傷層2)の透過率を測定したところ、93%であった。ここで、透過率は、保護層と耐傷層からなるモデル膜を作製し、分光光度計で測定した2000〜2500nmの波長領域における透過率(5nm毎)を算術平均することで求めた。
<実施例12>
実施例1と同様の手順に従って、プライマー層付きPET支持体上に金属(銀)反射層を形成し、さらに金属反射層上にイオン伝導防止層1を形成した。
次に、実施例11と同様の手順に従って、上記イオン伝導防止層1上に保護層1を形成した。
次に、ウレタンアクリレート樹脂塗料(UV自己治癒、ナトコ社製)に酸化防止剤(トリフェニルホスファイト)を添加し、溶解させて、耐傷層形成用組成物を得た。得られた耐傷層形成用組成物を耐傷層形成用組成物1とする。
上記耐傷層形成用組成物1を上記保護層1上に塗布して、80℃で5分間乾燥させ、その後、UV露光(300mJ/cm2)により硬化させて、耐傷層(厚み:15μm)を形成した。形成された耐傷層を耐傷層1とする。なお、上記耐傷層1中のトリフェニルホスファイトの含有量は、耐傷層に対して1質量%である。また、耐傷層1の弾性回復率は91%であった。弾性回復率の評価方法は上述のとおりである。
このようにしてフィルムミラーを製造した。得られたフィルムミラーは「耐傷層1/保護層1/イオン伝導防止層1/金属反射層/プライマー層/樹脂基材」の層構成を有する。上記保護層1および耐傷層1は上述した酸化防止剤を含む樹脂層に該当する。
また、表面被覆層(保護層1+耐傷層1)の透過率を測定したところ、93%であった。透過率の評価方法は上述のとおりである。
<実施例13>
実施例1と同様の手順に従って、プライマー層付きPET支持体上に金属(銀)反射層を形成し、さらに金属反射層上にイオン伝導防止層1を形成した。
次に、ポリビニルブチラール樹脂(BL−1、積水化学工業社製)を混合溶媒(MEK:75質量%、MFG:20質量%、シクロヘキサノン:5質量%)に溶解させ、保護層形成用組成物を得た。得られた保護層形成用組成物を保護層形成用組成物2とする。
保護層形成用組成物2を上記イオン伝導防止層1上に塗布して、80℃で5分間乾燥処理を行い、保護層(厚み:30μm)を形成した。形成された接着層を保護層2とする。
次に、実施例12と同様の手順に従って、上記保護層2上に耐傷層1を形成した。
このようにしてフィルムミラーを製造した。得られたフィルムミラーは「耐傷層1/保護層2/イオン伝導防止層1/金属反射層/プライマー層/樹脂基材」の層構成を有する。上記耐傷層1は上述した酸化防止剤を含む樹脂層に該当する。
また、表面被覆層(保護層2+耐傷層1)の透過率を測定したところ、93%であった。透過率の評価方法は上述のとおりである。
<比較例11>
実施例1と同様の手順に従って、プライマー層付きPET支持体上に金属(銀)反射層を形成し、さらに金属反射層上にイオン伝導防止層1を形成した。
次に、実施例13と同様の手順に従って、上記イオン伝導防止層1上に保護層2を形成した。
次に、実施例11と同様の手順に従って、上記保護層2上に耐傷層2を形成した。
このようにしてフィルムミラーを製造した。得られたフィルムミラーは「耐傷層2/保護層2/イオン伝導防止層1/金属反射層/プライマー層/樹脂基材」の層構成を有する。
<比較例12>
実施例1と同様の手順に従って、プライマー層付きPET支持体上に金属(銀)反射層を形成した。
次に、実施例11と同様の手順に従って、上記金属反射層上に保護層1を形成し、さらに、上記保護層1上に耐傷層2を形成した。
このようにしてフィルムミラーを製造した。得られたフィルムミラーは「耐傷層2/保護層1/金属反射層/プライマー層/樹脂基材」の層構成を有する。
<比較例13>
実施例1と同様の手順に従って、プライマー層付きPET支持体上に金属(銀)反射層を形成した。
次に、実施例13と同様の手順に従って、上記金属反射層上に保護層2を形成し、さらに、上記保護層2上に耐傷層1を形成した。
このようにしてフィルムミラーを製造した。得られたフィルムミラーは「耐傷層1/保護層2/金属反射層/プライマー層/樹脂基材」の層構成を有する。
なお、第1表中の「○」は各実施例および比較例が有する層を表す。
第1表から分かるように、酸化防止剤を含む樹脂層を有するが特定のイオン伝導防止層を有さない5、12および13、並びに、特定のイオン伝導防止層を有するが酸化防止剤を含まない樹脂層を有さない比較例1〜3および11と比較して、酸化防止剤を含む樹脂層と特定のイオン伝導防止層とを有する本願実施例1、2および11〜13はいずれも優れた耐光性を示した。
比較例4から分かるように、イオン伝導防止層と酸化防止剤を含む接着層とを有するが、上記イオン伝導防止層が上記接着層よりも光入射側にあり、上記接着層と金属反射層との間に上記イオン伝導防止層を有さない態様では所望の効果が得られなかった。
また、比較例5から分かるように、特定のイオン伝導防止層以外のイオン伝導防止層(無機化合物を含まないイオン伝導防止層)を有する態様では所望の効果が得られなかった。
100、200、300、400 フィルムミラー
10 樹脂基材
12 金属反射層
14 イオン伝導防止層
16 接着層(樹脂層)
18 表面保護層
20 プライマー層
30 保護層(樹脂層)
40 耐傷層(樹脂層)
50 表面被覆層

Claims (6)

  1. 樹脂基材と、金属反射層と、有機基を有していてもよい無機化合物を含むイオン伝導防止層と、酸化防止剤を含む樹脂層とをこの順で有する、フィルムミラー。
  2. 前記酸化防止剤が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤またはリン系酸化防止剤である、請求項1に記載のフィルムミラー。
  3. 前記無機化合物が、酸化ケイ素類または酸化アルミニウム類である、請求項1または2に記載のフィルムミラー。
  4. 前記樹脂基材と前記金属反射層との間にプライマー層をさらに有し、
    前記プライマー層が、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基および重合性基を有するポリマーを含む層に加熱処理および/または光照射処理を施して得られる層である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
  5. 前記金属反射層が、銀を主成分とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
  6. 太陽光集光用に用いられる請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルムミラー。
JP2013066947A 2013-03-27 2013-03-27 フィルムミラー Abandoned JP2014191203A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013066947A JP2014191203A (ja) 2013-03-27 2013-03-27 フィルムミラー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013066947A JP2014191203A (ja) 2013-03-27 2013-03-27 フィルムミラー

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014191203A true JP2014191203A (ja) 2014-10-06

Family

ID=51837481

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013066947A Abandoned JP2014191203A (ja) 2013-03-27 2013-03-27 フィルムミラー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014191203A (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010084196A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Fujifilm Corp 金属膜形成方法
JP2011164552A (ja) * 2010-02-15 2011-08-25 Osaka Univ 電子部品、電子回路装置、および電子部品の製造方法
JP2012047861A (ja) * 2010-08-25 2012-03-08 Konica Minolta Opto Inc フィルムミラー、その製造方法、及び太陽光集光用フィルムミラー
WO2012057004A1 (ja) * 2010-10-27 2012-05-03 コニカミノルタオプト株式会社 フィルムミラー、フィルムミラーの製造方法及び太陽熱発電用反射装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010084196A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Fujifilm Corp 金属膜形成方法
JP2011164552A (ja) * 2010-02-15 2011-08-25 Osaka Univ 電子部品、電子回路装置、および電子部品の製造方法
JP2012047861A (ja) * 2010-08-25 2012-03-08 Konica Minolta Opto Inc フィルムミラー、その製造方法、及び太陽光集光用フィルムミラー
WO2012057004A1 (ja) * 2010-10-27 2012-05-03 コニカミノルタオプト株式会社 フィルムミラー、フィルムミラーの製造方法及び太陽熱発電用反射装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN103518239B (zh) 透明导电性层叠体和触摸面板
JP2015058595A (ja) 複合フィルムおよび太陽光反射用フィルムミラー
KR102035404B1 (ko) 피도금층 형성용 조성물, 피도금층 전구체층 부착 필름, 패턴 형상 피도금층 부착 필름, 도전성 필름, 터치 패널
CN107075898B (zh) 包括微结构化漫射体的隔热玻璃窗单元和微光学层以及方法
JP5960073B2 (ja) ミラーフィルム、その製造方法、および太陽熱発電装置用または太陽光発電装置用ミラーフィルム
CN106662939B (zh) 触控面板用导电性层积体、触控面板、透明导电性层积体
CN111499811B (zh) 一种耐磨防雾树脂及其制备方法以及一种防雾涂层
JP2007331296A (ja) 透明積層フィルムおよび透明積層体
WO2014050589A1 (ja) フィルムミラー
TW201615399A (zh) 層積體、導電性層積體及其製造方法、觸控面板傳感器、觸控面板和轉印膜
WO2014129297A1 (ja) フィルムミラーの製造方法およびフィルムミラー
JP2014191264A (ja) フィルムミラー
JP2014178670A (ja) フィルムミラー
JP2014191203A (ja) フィルムミラー
WO2014156401A1 (ja) フィルムミラー
JP5719684B2 (ja) 両面ハードコートフィルムの製造方法および透明導電性フィルムの製造方法
WO2014157355A1 (ja) フィルムミラー
JP2014133403A (ja) ミラーフィルム、その製造方法、及びそれを用いた反射鏡
JP2010253686A (ja) 無機薄膜転写材及びその製造方法並びに無機薄膜付き成形品及びその製造方法
JP2008201922A (ja) コーティング剤、硬化コート層および構造体
JP2014191230A (ja) 太陽光集光用フィルムミラー
WO2014129290A1 (ja) 太陽光集光用反射鏡
KR101864878B1 (ko) 투명 배리어 필름
JP2020026102A (ja) 防汚性フィルム、防汚性フィルムの製造方法、防汚性積層体及び表示装置
JP2012048006A (ja) フィルムミラーの製造方法及び太陽光反射用ミラー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150512

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160223

A762 Written abandonment of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762

Effective date: 20160413