JP2007331296A - 透明積層フィルムおよび透明積層体 - Google Patents

透明積層フィルムおよび透明積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】電波透過性を有し、耐熱割れ性が良好であり、従来よりも安価な透明積層フィルム、透明積層体を提供すること。
【解決手段】透明高分子フィルムの少なくとも一方面に、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されており、高屈折率層および低屈折率層は、ともにコーティング薄膜層であり、少なくとも高屈折率層は、有機分を含有している透明積層フィルムとする。また、透明基体の表面に、粘着剤層を介して、透明積層フィルムを貼り付けた透明積層体とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明積層フィルムおよび透明積層体に関するものである。
従来、家屋やビルなどの建築物の窓、ショーウインドウ、自動車、電車、航空機などの車両の窓、表示装置の表示画面などには、可視光などの必要な光は通過させるが、赤外光などの不必要な光は遮断する機能を有する薄膜層を透明基材上に積層した透明積層材料が使用されている。
この種の透明積層材料としては、例えば、特許文献1には、スパッタリング法を用いて、酸化錫層とAg層とをガラス基材上に交互に積層することにより、可視光は透過させるが赤外光は反射する透明積層材料が開示されている。
同様に、例えば、特許文献2には、スパッタリング法を用いて、酸化亜鉛層とAg層とをガラス基材上に交互に積層することにより、可視光は透過させるが赤外光は反射する透明積層材料が開示されている。
また、例えば、特許文献3には、樹脂中に赤外線吸収色素を含有させてなる赤外線吸収層を透明基材フィルム上に設けることにより、可視光は透過させるが赤外光は吸収する透明積層材料が開示されている。
特開平7−165442号公報 特公平5−70580号公報 特開2006−139311号公報
しかしながら、従来の透明積層材料は、以下の点で問題があった。
すなわち、特許文献1および2などに開示されるような、Ag層を用いた透明積層材料は、Ag層が有する赤外光反射性を利用することにより、赤外光反射機能が実現されるが、Ag層による導電性により、電波シールド機能も併せ持っている。
そのため、例えば、カーナビのGPS受信機、ETC車載器などの電波使用機器の利用が増加している自動車の窓などには、外部からの電波の受信を妨げるため使用できないといった問題があった。
また、薄膜形成手法としてスパッタリング法を使用すると、真空設備などの大型設備が必要になるし、電力消費量も多くなるため、製造コストが高くなるといった問題も発生する。
一方、特許文献3などに開示されるような、赤外線吸収色素を用いた透明積層材料は、赤外線吸収色素の赤外光吸収性を利用することにより、赤外光吸収機能が実現される。
そのため、この透明積層材料を、例えば、建築物や車両の窓ガラスなどに使用すると、ガラス温度が上昇し、ガラスの熱割れが発生しやすくなるといった問題があった。また、ガラスからの放射熱により、建築物や車両の内部が暑くなるなどの問題も発生する。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、電波透過性を有し、耐熱割れ性が良好であり、従来よりも安価な透明積層フィルム、透明積層体を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る透明積層フィルムは、透明高分子フィルムの少なくとも一方面に、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されており、高屈折率層および低屈折率層は、ともにコーティング薄膜層であり、少なくとも高屈折率層は、有機分を含有していることを要旨とする。
ここで、上記高屈折率層は、分割形成されていると良い。
また、上記高屈折率層の厚みは、100〜300nmの範囲内にあると良い。
また、上記高屈折率層中に含まれる有機分の含有量は、3〜30重量%の範囲内にあると良い。
一方、本発明に係る透明積層体は、透明基体の少なくとも一方面に、粘着剤層を介して、上記透明積層フィルムが積層されていることを要旨とする。
本発明に係る透明積層フィルムは、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されているので、可視光透過性、電波透過性を有する。また、これらに加えて、赤外光反射性を有するため、赤外光を吸収し難く、耐熱割れ性も良好である。
さらに、上記高屈折率層および低屈折率層は、ともにコーティング薄膜層であるので、スパッタ薄膜層などである場合に比較して、製造コストを安価にすることができる。
また、本発明に係る透明積層フィルムにおいて、少なくとも高屈折率層は、有機分を含有している。これは、高屈折率層の高屈折率化を図るために、高温による加熱処理がなされていないことを意味しており、薄膜層を形成する基材に高分子を使用することができる。
また、有機分を含有することで、本発明に係る透明積層フィルムの柔軟性を向上させることができる。
ここで、上記高屈折率層が分割形成されている場合には、高屈折率化を図りやすくなる、有機分の含有量も適量にしやすいなどの利点がある。
また、上記高屈折率層の厚みが、100〜300nmの範囲内にある場合には、可視光透過性、電波透過性および赤外光反射性のバランスに優れる。
一方、本発明に係る透明積層体は、上記透明積層フィルムを用いているので、電波透過性を有し、耐熱割れ性が良好であり、従来よりも安価であるなどの利点がある。
本実施形態に係る透明積層フィルム(以下、「本フィルム」という。)、本実施形態に係る透明積層体(以下、「本積層体」という。)について詳細に説明する。
1.本フィルム
1.1 本フィルムの概略形態など
本フィルムは、透明高分子フィルムと、高屈折率層と、低屈折率層とを備えている。
本フィルムにおいて、高屈折率層および低屈折率層は、透明高分子フィルムの何れか一方面に積層されていても良いし、透明高分子フィルムの両面に積層されていても良い。
本フィルムにおいて、高屈折率層と低屈折率層とは、交互に積層されている。具体的には、例えば、透明高分子フィルム側から順に、高屈折率層、低屈折率層、高屈折率層…という順番で交互に積層された積層構造を有していても良いし、あるいは、透明高分子フィルム側から順に、低屈折率層、高屈折率層、低屈折率層…という順番で交互に積層された積層構造を有していても良い。好ましくは、最表面での反射を低減しやすいなどの観点から、透明高分子フィルムに接する層は、低屈折率層であると良い。
また、上記高屈折率層および低屈折率層の合計の積層数は、可視光透過性、赤外光遮断性、電波透過性、各層の厚みなどを考慮して適宜異ならせることができる。上記積層構造の積層数としては、具体的には、例えば、2〜10層などを例示することができる。好ましくは、積層構造中の中央の層を挟んで、透明高分子フィルム側とその反対側とが対称になるように、積層数は、3、5、7、9などの奇数とすると良い。
本フィルムにおいて、高屈折率層、低屈折率層は、一度に形成されたものであっても良いし、分割形成されたものであっても良い。また、上記分割形成は、高屈折率層または低屈折率層の何れか一方だけであっても良いし、双方であっても良い。また、本フィルムに含まれる高屈折率層および/または低屈折率層の全てが分割形成されていても良いし、本フィルムに含まれる高屈折率層および/または低屈折率層のうち、一部が分割形成されていても良い。また、その分割数は、各層ごとに同じであっても良いし、異なっていても良い。
好ましくは、高屈折率層の高屈折率化が図りやすいなどの観点から、少なくとも高屈折率層は分割形成されていると良い。より好ましくは、高屈折率層の高屈折率化が図りやすいうえ、生産性も損なわれ難いなどの観点から、高屈折率層は分割形成されており、低屈折率層は一度に形成されていると良い。
なお、上記積層数は、高屈折率層および/または低屈折率層が、複数の分割層よりなる場合には、複数の分割層よりなる高屈折率層および/または低屈折率層を、それぞれ1層として数える。
また、上記積層構造中、高屈折率層、低屈折率層の組成または材料は、それぞれ同一の組成または材料から形成されていても良いし、異なる組成または材料から形成されていても良い。
また、上記積層構造中、高屈折率層、低屈折率層の厚みは、各層の厚みが、ほぼ同一であっても良いし、各層ごとに異なっていても良い。
本フィルムは、概略、上述した積層構造を有している。以下、本フィルムが備える透明高分子フィルム、高屈折率層、低屈折率層についてより詳細に説明する。
1.2 透明高分子フィルム
本フィルムにおいて、透明高分子フィルムは、上記積層構造を形成するためのベースとなるものである。その材料としては、可視光領域において透明性を有し、その表面に薄膜層を支障なく形成できるものであれば、何れのものでも用いることができる。
透明高分子フィルムの材料としては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、トリアセチルセルロース、ポリウレタン、シクロオレフィンポリマーなどの高分子材料を例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
これらのうち、とりわけ、透明性、耐久性、加工性などに優れるなどの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、シクロオレフィンポリマーなどを好適なものとして例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
また、上記透明高分子フィルムの厚みは、用いる材料などを考慮して種々調節することができる。その好ましい下限値として、具体的には、例えば、10μm、25μmなどを例示することができる。一方、これら好ましい下限値と組み合わせ可能な好ましい上限値として、具体的には、例えば、500μm、250μmなどを例示することができる。
1.3 高屈折率層
本フィルムにおいて、高屈折率層にいう「高屈折率」とは、633nmの光に対する屈折率が1.70以上ある場合をいう。
上記高屈折率層の主成分としては、具体的には、例えば、チタンの酸化物、亜鉛の酸化物、インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウムとスズとの酸化物、マグネシウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、ジルコニウムの酸化物、ニオブの酸化物、セリウムの酸化物などの金属酸化物を例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。また、これら金属酸化物は、2種以上の金属酸化物が複合した複酸化物であっても良い。
上記金属酸化物としては、とりわけ、高屈折率が得られやすいなどの観点から、酸化チタン(IV)(TiO)、チタン酸塩、ITO、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)などを好適なものとして例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
ここで、上記高屈折率層は、高屈折率層形成材料を含有するコーティング液(詳しくは後述する)を用いて形成された、コーティング薄膜層である。
また、上記高屈折率層は、有機分を含有している。この有機分としては、具体的には、例えば、上記コーティング液中に含まれる高屈折率層形成材料に由来する成分などを例示することができる。
このような有機分としては、より具体的には、例えば、上述した金属酸化物を構成する金属の金属アルコキシド、金属アシレート、金属キレートなどといった有機金属化合物(分解物なども含む)などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
上記高屈折率層中に含まれる有機分の含有量としては、その好ましい下限値として、具体的には、例えば、3、5、10重量%などを例示することができる。
一方、これら好ましい下限値と組み合わせ可能な上限値として、具体的には、例えば、30、20、15重量%などを例示することができる。
なお、高屈折率層中に含まれる有機分の種類は、赤外分光法(IR)(赤外吸収分析)などを用いて調べることができる。また、高屈折率層中に含まれる有機分の含有量は、X線光電子分光法(XPS)などを用いて調べることができる。
上記高屈折率層は、必要な屈折率を確保でき、可視光透過性、電波透過性、赤外光反射性などに悪影響を及ぼさない範囲内であれば、上記主成分や上記有機分以外にも、他の成分を含んでいても良い。
例えば、高屈折率層の形成時に使用した各種の添加剤、不可避不純物などの物質を1種または2種以上含んでいても良い。上記添加剤としては、上記有機金属化合物と反応して紫外線吸収性のキレートを形成する化合物(後述する)などを例示することができる。
上記高屈折率層の厚みは、可視光透過性、電波透過性、赤外光反射性などを考慮して種々調節することができる。上記高屈折率層の厚みとしては、具体的には、例えば、その好ましい下限値として、100、130、140nmなどを例示することができる。一方、これら好ましい下限値と組み合わせ可能な好ましい上限値として、具体的には、例えば、300、290、270、250nmなどを例示することができる。
以上のような構成を有する上記高屈折率層は、上述した通り、高屈折率形成材料を含有するコーティング液を用いて形成される。
ここで、コーティング液から高屈折率層を形成する方法としては、ゾル−ゲル法を好適に利用することができる。
より具体的には、例えば、金属酸化物を構成する金属の有機金属化合物を含有するコーティング液を、透明高分子フィルムまたは低屈折率層上に、層状にコーティングし、これを必要に応じて乾燥させ、高屈折率層の前駆体層を形成した後、この前駆体層中の有機金属化合物を加水分解・縮合反応させ、有機金属化合物を構成する金属の酸化物を合成するなどすれば、金属酸化物を主成分として含む高屈折率層を形成することができる。以下、詳細に説明する。
上記コーティング液は、上記有機金属化合物を適当な溶媒に溶解して調製することができる。この際、有機金属化合物としては、具体的には、例えば、チタン、亜鉛、インジウム、スズ、マグネシウム、アルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、セリウム、シリコン、ハフニウム、鉛などの金属の有機化合物などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
上記有機金属化合物としては、具体的には、例えば、上記金属の金属アルコキシド、金属アシレート、金属キレートなどを例示することができる。好ましくは、空気中での安定性などの観点から、金属キレートであると良い。
上記有機金属化合物としては、とりわけ、高屈折率を有する金属酸化物になり得る金属の有機化合物を好適に用いることができる。このような有機金属化合物としては、例えば、有機チタン化合物などを例示することができる。
上記有機チタン化合物としては、具体的には、例えば、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラメトキシチタンなどのM−O−R結合(Rはアルキル基を示し、Mはチタン原子を示す)を有するチタンのアルコキシドや、イソプロポキシチタンステアレートなどのM−O−CO−R結合(Rはアルキル基を示し、Mはチタン原子を示す)を有するチタンのアシレートや、ジイソプロポキシチタンビスアセチルアセトナート、ジヒドロキシビスラクタトチタン、ジイソプロポキシビストリエタノールアミナトチタン、ジイソプロポキシビスエチルアセトアセタトチタンなどのチタンのキレートなどを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
上記コーティング液中に占める有機金属化合物の含有量としては、その好ましい上限値として、具体的には、例えば、20、15、10重量%などを例示することができる。これら好ましい上限値と組み合わせ可能な好ましい下限値として、具体的には、例えば、1、3、5重量%などを例示することができる。
一方、上記有機金属化合物を溶解させる溶媒としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘプタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、酢酸エチルなどの有機酸エステル、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのシクロエーテル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの酸アミド類、ヘキサンなどの炭化水素類、トルエンなどの芳香族類などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
この際、上記溶媒量としては、その好ましい下限値として、具体的には、例えば、上記有機金属化合物の固形分重量に対して、5、10倍量などを例示することができる。一方、これら好ましい下限値と組み合わせ可能な好ましい上限値として、具体的には、例えば、上記有機金属化合物の固形分重量に対して、50、30、20倍量などを例示することができる。
上記溶媒量が50倍量より多くなると、一回のコーティングで形成できる層厚が薄くなり、所望の厚みを得るために多数回のコーティングが必要となる傾向が見られる。一方、5倍量より少なくなると、層厚が厚くなり過ぎ、有機金属化合物の加水分解・縮合反応が十分に進行し難くなる傾向が見られる。したがって、上記溶媒量は、これらを考慮して選択すると良い。
また、上記コーティング液中には、ゾル−ゲル法による加水分解が促進され、高屈折率層の高屈折率化が図りやすくなるなどの観点から、必要に応じて水が含まれていても良い。
この場合、上記コーティング液中に占める水分含有量は、好ましくは1重量%以上あると良い。
もっとも、上記水分含有量を過度に多くしても、屈折率の向上効果も頭打ちになるし、コーティングもやり難くなるなどの傾向が見られる。そのため、上記水分含有量の好ましい上限値として、具体的には、例えば、50、40、30、20、10重量%などを例示することができる。
なお、上記水分含有量は、カールフィッシャー水分計(容量滴定方式)により測定される値である。すなわち、カールフィッシャー水分計を用い、被測定対象であるコーティング液を脱水溶剤中に溶解または分散した後、カールフィッシャー試薬(滴定剤)にて滴定すれば、コーティング液中に占める水分含有量を求めることができる。
上記カールフィッシャー水分計は、例えば、京都電子工業(株)などにより上市されている。また、脱水溶剤、カールフィッシャー試薬についても、例えば、三菱化学(株)などにより、アクアミクロン(登録商標、以下省略)脱水溶剤GEX、アクアミクロン滴定剤SS−Zなどとして上市されている。
上記コーティング液の調製は、例えば、所定割合となるように秤量した有機金属化合物と、適当な量の溶媒と、必要に応じて添加される他の成分とを、攪拌機などの撹拌手段により所定時間撹拌・混合するなどの方法により調製することができる。この場合、各成分の混合は、1度に混合しても良いし、複数回に分けて混合しても良い。
また、上記コーティング液のコーティング法としては、均一なコーティングが行いやすいなどの観点から、マイクログラビア法、グラビア法、リバースロールコート法、ダイコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スピンコート法、バーコート法など、各種のウェットコーティング法を好適なものとして例示することができる。これらは適宜選択して用いることができ、1種または2種以上併用しても良い。
また、コーティングされたコーティング液を乾燥する場合、公知の乾燥装置などを用いて乾燥させれば良く、この際、乾燥条件としては、具体的には、例えば、80℃〜120℃の温度範囲、0.5分〜5分の乾燥時間などを例示することができる。
また、前駆体層中の有機金属化合物を加水分解・縮合反応させる手段としては、具体的には、例えば、紫外線照射、電子線照射、加熱など、各種の手段を例示することができる。これらは1種または2種以上組み合わせて用いても良い。これらのうち、とりわけ、紫外線照射を好適に用いることができる。他の手段と比較した場合、低温、短時間で金属酸化物を生成できるし、熱劣化など、熱による負荷を透明高分子フィルムに与え難いからである。また、高屈折率層中に、有機分として、有機金属化合物(その分解物なども含む)などを残存させやすい利点もある。
この際、用いる紫外線照射機としては、具体的には、例えば、水銀ランプ、キセノンランプ、重水素ランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプなどを例示することができる。これらは1種または2種以上組み合わせて用いても良い。
また、照射する紫外線の光量は、前駆体層を主に形成している有機金属化合物の種類、コーティング層の厚みなどを考慮して種々調節することができる。もっとも、照射する紫外線の光量が過度に小さすぎると、高屈折率層の高屈折率化を図り難くなる。一方、照射する紫外線の光量が過度に大きすぎると、紫外線照射の際に生じる熱により透明高分子フィルムが変形することがある。したがって、これらに留意すると良い。
照射する紫外線の光量としては、具体的には、例えば、測定波長300〜390nmのとき、その好ましい下限値として、具体的には、例えば、300mJ/cm、500mJ/cmなどを例示することができる。一方、これら好ましい下限値と組み合わせ可能な好ましい上限値として、具体的には、例えば、8000mJ/cm、5000mJ/cmなどを例示することができる。
なお、前駆体層中の有機金属化合物を加水分解・縮合反応させる手段として、紫外線照射を用いる場合、上述したコーティング液中に、有機金属化合物と反応して紫外線吸収性のキレートを形成する添加剤を添加しておくと良い。出発溶液であるコーティング液中に上記添加剤が添加されている場合には、予め紫外線吸収性キレートが形成されたところに紫外線照射がなされるので、比較的低温下において高屈折率層の高屈折率化を図り得やすくなるからである。
上記添加剤としては、具体的には、例えば、βジケトン類、アルコキシアルコール類、アルカノールアミン類などの添加剤を例示することができる。より具体的には、上記βジケトン類としては、例えば、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、マロン酸ジエチルなどを例示することができる。上記アルコキシアルコール類としては、例えば、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−メトキシ−2−プロパノールなどを例示することができる。上記アルカノールアミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
これらのうち、とりわけ、βジケトン類が好ましく、中でもアセチルアセトンを最も好適に用いることができる。
また、上記添加剤の配合割合としては、上記有機金属化合物における金属原子1モルに対して、例えば、0.1〜2倍モルの範囲などを例示することができる。
1.4 低屈折率層
本フィルムにおいて、低屈折率層にいう「低屈折率」とは、633nmの光に対する屈折率が1.45以下である場合をいう。
上記低屈折率層の主成分としては、具体的には、例えば、フッ素含有(メタ)アクリレート系樹脂、シリコーンレジン、SiOなどのケイ素の酸化物などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
ここで、上記低屈折率層は、低屈折率層形成材料を含有するコーティング液(詳しくは後述する)を用いて形成された、コーティング薄膜層である。
また、上記低屈折率層は、有機分を含有していても良いし、含有していなくても良い。有機分を含有している場合には、本フィルムの柔軟性が一層向上させることができる。この場合、有機分としては、具体的には、例えば、上記コーティング液中に含まれる低屈折率層形成材料に由来する成分などを例示することができる。
このような有機分としては、より具体的には、例えば、低屈折率層の主成分としては、具体的には、例えば、フッ素含有(メタ)アクリレート系樹脂、シリコーンレジン、ケイ素の有機化合物(分解物なども含む)などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
上記低屈折率層中に含まれる有機分の含有量としては、その好ましい下限値として、具体的には、例えば、1、3、5重量%などを例示することができる。
一方、これら好ましい下限値と組み合わせ可能な上限値として、具体的には、例えば、60、50、40重量%などを例示することができる。
なお、低屈折率層中に含まれる有機分の種類や含有量は、高屈折率層と同様にして調べることができる。
上記低屈折率層は、必要な屈折率を確保でき、可視光透過性、電波透過性、赤外光反射性などに悪影響を及ぼさない範囲内であれば、上記主成分や上記有機分以外にも、他の成分を含んでいても良い。
例えば、低屈折率層の形成時に使用した各種の添加剤、不可避不純物などの物質を1種または2種以上含んでいても良い。
上記低屈折率層の厚みは、可視光透過性、電波透過性、赤外光反射性などを考慮して種々調節することができる。上記低屈折率層の厚みとしては、具体的には、例えば、その好ましい下限値として、150、160、170nmなどを例示することができる。一方、これら好ましい下限値と組み合わせ可能な好ましい上限値として、具体的には、例えば、270、260、250nmなどを例示することができる。
以上のような構成を有する上記低屈折率層は、上述した通り、低屈折率形成材料を含有するコーティング液を用いて形成される。
ここで、コーティング液から低屈折率層を形成する方法は、層を形成する主成分の種類によっても異なるが、例えば、主成分が、フッ素含有(メタ)アクリレート系樹脂などである場合には、次のような方法を例示することができる。
すなわち、より具体的には、例えば、フッ素含有(メタ)アクリレート系樹脂などを含有するコーティング液を、透明高分子フィルムまたは高屈折率層上に、層状にコーティングし、これを必要に応じて乾燥させ、低屈折率層の前駆体層を形成した後、この前駆体層に対して、紫外線や電子線を照射したり、加熱したりするなどすれば、低屈折率層を形成することができる。
また、層を形成する主成分が、例えば、ケイ素の有機化合物などである場合には、高屈折率層の形成方法と同様に、ゾル−ゲル法を利用した、次のような方法を例示することができる。
すなわち、より具体的には、例えば、ケイ素の有機化合物などを含有するコーティング液を、透明高分子フィルムまたは高屈折率層上に、層状にコーティングし、これを必要に応じて乾燥させ、低屈折率層の前駆体層を形成した後、この前駆体層中の有機化合物を加水分解・縮合反応させ、ケイ素の酸化物などを合成するなどすれば、低屈折率層を形成することができる。
上記コーティング液は、上記低屈折率形成材料を、高屈折率層の説明で上述した適当な溶媒に所定量溶解して調製するなどすれば良い。なお、上記コーティング液のコーティング法、乾燥条件、加水分解・縮合反応の手段、紫外線照射条件などは、高屈折率層と同様である。
1.5 高屈折率層、低屈折率層の積層方法
上記積層構造を有する本フィルムを製造するにあたり、上記高屈折率層の形成方法と、上記低屈折率層の形成方法とを適宜組み合わせ、透明高分子フィルムの表面に、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層していく方法としては、具体的には、例えば、次のような方法を例示することができる。以下、透明高分子フィルムの表面に、低屈折率層│高屈折率層│低屈折率層・・・を形成する場合について説明する。
先ず、透明高分子フィルムの表面上に、低屈折率層を形成した後、これをロールに巻き取る。次いで、このロールをロールを繰り出しながら、低屈折率層の表面上に高屈折率層を形成し、これをロールに巻き取る。なお、低屈折率層にフッ素含有物を用いた場合には、密着性を向上させるなどの観点から、低屈折率層表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、UV照射など行っても良い。
基本的には、このような操作を所望回数繰り返し行えば、本フィルムを製造することができる。なお、高屈折率層および/または低屈折率層を複数の分割層より形成する場合には、上記操作を分割数だけ繰り返し行えば良い。
2.本積層体
本積層体は、本フィルムを用いている。すなわち、本積層体は、透明基体の少なくとも一方面に、粘着剤層を介して、本フィルムを積層した構成を有している。この際、本積層体において、本フィルムは、その積層構造面側が透明基体側となるように積層されていても良いし、透明高分子フィルム面側が透明基体側となるように積層されていても良い。好ましくは、耐久性などに優れるなどの観点から、前者が好ましい。
ここで、透明基体の材料は、透明性に優れ、十分な機械的強度を有するものであれば、特に限定されることなく使用することができる。具体的には、例えば、ガラスや、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などの高分子材料などを例示することができる。
また、透明基体の形状は、板状(湾曲したものも含む)などの平面状が好ましい。また、透明基体の厚みは、機械的強度や剛性などを考慮して、種々調節することができる。一般的には、1.0〜5.0mmの範囲などを例示することができる。
また、粘着剤層を形成する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルブチラール系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル系粘着剤などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。このうち、透明性および耐熱性に優れるなどの観点から、アクリル系粘着剤などを好適に用いることができる。また、粘着剤の形態としては、シート状、液状などを例示することができる。
また、粘着剤の厚みは、特に限定されるものではなく、一般的には、5〜100μmの範囲などを例示することができる。
そして、例えば、シート状の粘着剤を用いて本積層体を製造する場合には、透明基板および/または本フィルムにシート状の粘着剤を貼り付けた後、両者をラミネートするなどして貼り合わせれば良い。また、液状の粘着剤を用いて本積層体を製造する場合には、例えば、透明基板および/または本フィルムに粘着剤を塗布して両者を貼り合わせた後、室温に放置したり、加熱したりするなどして粘着剤を硬化させれば良い。
なお、液状の粘着剤を塗布する塗布方法としては、刷毛塗り法、スプレー法、グラビアコーティング法などの塗布方法が挙げられ、粘着剤の種類、粘度、塗布量などを考慮して適宜選択することができる。
また、光学特性を著しく損なわない限度内で、必要に応じて、反射防止機能、防眩機能、衝撃吸収機能、耐環境機能、調色機能などの各種の機能を有する機能性フィルムを、本積層体の片面または両面に、上述した粘着剤層を介して1つまたは2つ以上さらに貼り合わせても良い。
また、本フィルム、本積層体は、家屋やビルなどの建築物の窓ガラスやショーウインドウ、自動車、電車、航空機などの車両の窓ガラス、表示装置の表示画面など、各種の用途に使用することができる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明する。
1.透明積層フィルム
(実施例1F)
下記に示すコーティング液A(低屈折率層形成用)、コーティング液B(高屈折率層形成用)を用いて、PETフィルム上に、低屈折率層と高屈折率層とが交互に多層積層された透明積層フィルムを作製した。
<コーティング液A>
コーティング液Aとして、市販のフッ化アクリレート樹脂を含む溶液(JSR(株)製、「オプスターTU2085」、MIBKにより希釈されている)を用いた。
<コーティング液B>
コーティング液Bは、次の手順により調製した。すなわち、チタンアルコキシドとして、テトラブトキシチタン4量体(日本曹達(株)製、「B4」、平均重合度4)9.4gに対し、紫外線吸収性のキレートを形成する添加剤として、アセチルアセトン4.7gを添加し、攪拌機にて1分間撹拌した。その後、これを1−ブタノール(和光純薬(株)製、試薬1級)30.0gと2−プロパノール(和光純薬(株)製、試薬1級)30.0gとの混合溶媒により希釈し、さらに10分間撹拌してコーティング液Bを調製した。
<高屈折率層および低屈折率層の積層>
(1層目)
厚み100μmのPETフィルム(東洋紡績(株)製、コスモシャイン(登録商標)A4100」のPET面側に、グラビアコーターを用いて、上記コーティング液Aを塗工し、これを80℃で1分間乾燥させ、低屈折率層の前駆体層を形成した。
次いで、この前駆体層に対して、窒素雰囲気中にて、UVランプ〔高圧水銀ランプ(80W/cm)〕により、線速4m/minで紫外線を1回照射(光量:300mJ/cm)し、低屈折率層(厚み190nm)を形成した。なお、低屈折率層の屈折率を、FilmTek3000(Scientific Computing International社製)により測定したところ、測定波長633nmにおいて屈折率1.40であった。
(2層目)
次に、上記作製した1層目上に、グラビアコーターを用いて、上記コーティング液Bを塗工し、これを80℃で1分間乾燥させ、2層目の高屈折率層の厚み1/3部分を形成することになる前駆体層を形成した。
次いで、この前駆体層に対して、UVランプ〔高圧水銀ランプ(240W/cm)〕により、線速4m/minで紫外線を1回照射(光量:1000mJ/cm)し、高屈折率膜の分割層(厚み47nm)を形成した。
その後、さらに、上記と同じ工程を2回繰り返し行った。これにより、上記1層目上に、3つの分割層が積層されて1つの層とされた高屈折率層(厚み141nm)を形成した。
なお、この高屈折率層の屈折率を、FilmTek3000(Scientific Computing International社製)により測定したところ、測定波長633nmにおいて屈折率1.90であった。
また、この高屈折率層中に含まれる有機分の含有量を、X線光電子分光法(XPS)により測定したところ、5wt%であった。
(3、5、7、9層目)
2、4、6、8層目上に、1層目と同様にして、それぞれ3、5、7、9層目となる各低屈折率層(厚み190nm)を形成した。
(4、6、8層目)
3、5、7層目上に、2層目と同様にして、それぞれ4、6、8層目となる各高屈折率層(厚み141nm)を形成した。
これにより、PETフィルム(厚み100μm)の表面に、低屈折率層(厚み190nm)│高屈折率層(厚み141nm、但し、3回成膜による)│低屈折率層(厚み190nm)│高屈折率層(厚み141nm、但し、3回成膜による)低屈折率層(厚み190nm)│高屈折率層(厚み141nm、但し、3回成膜による)│低屈折率層(厚み190nm)│高屈折率層(厚み141nm、但し、3回成膜による)│低屈折率層(厚み190nm)の順で各薄膜層が積層された9層積層構造を有する、実施例1Fに係る透明積層フィルムを作製した。
(比較例1F)
下記に示す溶液Cを用いて、PETフィルム上に、高屈折率層と金属層とが交互に多層積層された透明積層フィルムを作製した。
<コーティング液C>
コーティング液Cは、次の手順により調製した。すなわち、チタンアルコキシドとして、テトラブトキシチタン4量体(日本曹達(株)製、「B4」、平均重合度4)6.0gに対し、紫外線吸収性のキレートを形成する添加剤として、アセチルアセトン3.0gを添加し、攪拌機にて1分間撹拌した。その後、これを1−ブタノール(和光純薬(株)製、試薬1級)30.0gと2−プロパノール(和光純薬(株)製、試薬1級)30.0gとの混合溶媒により希釈し、さらに10分間撹拌して溶液C1を調製した。
次いで、C38ダイマー酸とジアミンとの重縮合により形成されたポリアミド(ハリマ化成(株)製、「ニューマイド825」)0.3gを、1−ブタノール30.7gに添加後、攪拌機にて30分間撹拌し、溶液C2を調製した。
その後、これら2溶液を混合し、攪拌機にて10分間撹拌することにより、コーティング液Cを調製した。
<高屈折率層および金属層の積層>
厚み100μmのPETフィルム(東洋紡績(株)製、コスモシャイン(登録商標)A4100」のPET面側に、グラビアコーターを用いて、上記コーティング液Cを塗工し、これを80℃で1分間乾燥させ、高屈折率層の前駆体層を形成した。
次いで、この前駆体層に対して、UVランプ〔高圧水銀ランプ(240W/cm)〕により、線速4m/minで紫外線を1回照射(光量:1000mJ/cm)し、高屈折率層(厚み30nm)を形成した。なお、高屈折率層の屈折率を、FilmTek3000(Scientific Computing International社製)により測定したところ、測定波長633nmにおいて屈折率1.90であった。
次いで、ターゲットに銀銅合金(銅4wt%含有、126mm×506mmサイズ)、スパッタガスにアルゴンガスを用いて、直流マグネトロンスパッタリング法[電力:1kW(1.56W/cm)、真空度:0.3Pa、成膜温度:40℃、成膜部開口長:5cm、ターゲット/PETフィルム間距離:7cm]により、ライン線速2m/分にて、銀銅合金層(厚み10nm)を形成した。
その後も、上記と同様の高屈折率層の形成と、銀銅合金層の形成とを交互に行った。これにより、PETフィルム(厚み100μm)の表面に、高屈折率層(厚み30nm)│銀銅合金層(厚み10nm)│高屈折率層(厚み60nm、但し、2回成膜による)│銀銅合金層(厚み10nm)│高屈折率層(厚み60nm、但し、2回成膜による)│銀銅合金層(厚み10nm)│高屈折率層(厚み30nm)の順で各薄膜層が積層された7層積層構造を有する、比較例1Fに係る透明積層フィルムを作製した。
2.透明積層体
(実施例1B)
次に、透明基体としてガラス板(厚み3mm)を用い、このガラス板の一方面に、粘着剤層(アクリル系接着テープ、日東電工(株)製、「CS9621」)(厚み25μm)を介して、必要な大きさに形成した実施例1Fに係る透明積層フィルムの積層構造面側を貼り合わせた。これにより、実施例1Bに係る透明積層体を作製した。
(比較例1B)
上記実施例1Bにおいて、比較例1F係る透明積層フィルムを用いた以外は同様にして、比較例1Bに係る透明積層体を作製した。
3.各透明積層体(各透明積層フィルム)の評価
次に、上記作製した透明積層体につき、JIS A5759に準拠し、可視光反射率、可視光透過率、日射透過率を測定するとともに、うず電流計(コペル電子(株)製、「非接触抵抗率計モデル717」)を用いて表面抵抗値を測定した。
表1に、各透明積層体(各透明積層フィルム)の評価結果を示す。この表1では、実施例と比較例との比較を行いやすいように、ガラス単体について測定したデータも合わせて記載している。また、図1に、各透明積層体(各透明積層フィルム)の透過スペクトルを示す。また、図2に、参考として、太陽光のスペクトルを示す。
Figure 2007331296
上記表1、図1および図2によれば、次のことが分かる。
比較例は、ガラスに比較して、可視光透過率が低いことが分かる。これは、銀銅合金層により可視光が吸収されたためである。
また、ガラスよりも日射透過率が低いが、その一方で、日射吸収率が極めて高い。これは、銀銅合金層による赤外光が吸収されたためである。したがって、比較例に係る透明積層フィルムをガラスに貼ると、日射を吸収して熱割れを生じたり、放射熱により、建物や車両の内部などの温度が上昇しやすいことが分かる。
また、表面抵抗が8Ωほどあり、導電性であるため、電波シールド性を有していることが分かる。
また、スパッタリング法により銀銅合金層を形成する必要があることから、ウェットコーティングにより層を形成する場合に比較して、製造コストが高くなりやすいと言える。
これに対し、実施例は、ガラスとほぼ同等の可視光透過率、可視光反射率を有していることが分かる。
また、ガラスよりも日射透過率が低いことから、太陽光の中でも可視光に次いでエネルギーの高い赤外光を良くカットできていることが分かる。また、ガラスと同等の日射吸収率を有していることから、本発明に係る透明積層フィルムをガラスに貼っても、日射を吸収して熱割れを生じ難く、耐熱割れ性に優れていることが分かる。
また、表面抵抗が測定不可能なほど高く、非導電性であることから、電波透過性を有していることが分かる。
また、比較例のように、スパッタリング法を用いることなく、ウェットコーティングにより各層を形成することができることから、製造コストも安価にすることができると言える。
これらの結果から、実施例に係る透明積層フィルム、透明積層体は、可視光は十分に通過させ、赤外光をほとんど吸収することなくカットでき、さらに、電波透過性も有していることが確認できた。
実施例および比較例に係る透明積層体(透明積層フィルム)の透過スペクトルを示したグラフである。 太陽光のスペクトルを示した図である。

Claims (5)

  1. 透明高分子フィルムの少なくとも一方面に、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されており、
    前記高屈折率層および低屈折率層は、ともにコーティング薄膜層であり、
    少なくとも前記高屈折率層は、有機分を含有していることを特徴とする透明積層フィルム。
  2. 前記高屈折率層は、分割形成されていることを特徴とする請求項1に記載の透明積層フィルム。
  3. 前記高屈折率層の厚みは、100〜300nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の透明積層フィルム。
  4. 前記高屈折率層中に含まれる有機分の含有量は、3〜30重量%の範囲内にあることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の透明積層フィルム。
  5. 透明基体の少なくとも一方面に、粘着剤層を介して、請求項1から4の何れかに記載の透明積層フィルムが積層されていることを特徴とする透明積層体。
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