JP2013209230A - 遮熱性合わせ構造体、遮熱性合わせ構造体の製造方法、合わせ構造体用透明積層フィルム - Google Patents

遮熱性合わせ構造体、遮熱性合わせ構造体の製造方法、合わせ構造体用透明積層フィルム Download PDF

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Masataka Inuzuka
正隆 犬塚
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Abstract

【課題】日射遮蔽性に優れるとともに電波透過性にも優れる遮熱性合わせ構造体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】透明高分子フィルム12の少なくとも一方面に有機分を含有する金属酸化物層と金属層とが積層されてなる積層構造部を有し該積層構造部に幅30μm以下の溝部が形成された透明積層フィルム12を挟んで2枚の透明基材14が貼り合わされており、前記金属層が、322μm四方あたり5個以上に分断されている遮熱性合わせ構造体とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ビル・住宅等の建築物の窓ガラスや自動車等の車両の窓ガラスなどに好適に用いられる遮熱性合わせ構造体、遮熱性合わせ構造体の製造方法、合わせ構造体用透明積層フィルムに関するものである。
従来、日射を遮蔽するフィルムとして、熱線カットフィルムが知られている。熱線カットフィルムの構成としては、例えば特許文献1に、透明高分子フィルムの片面に、金属酸化物層と金属層とを交互に積層した、いわゆる多層膜タイプの透明積層フィルムが開示されている。
また、例えば特許文献2には、ガラス基板に、熱線反射率が高いフィルムが積層された熱線反射ガラスにおいて、フィルムの表面抵抗値が500Ω/□以下であって、フィルムに分割溝を形成し、日射透過率を50%以下とする技術が開示されている。なお、同文献には、50μm程度の溝幅で電波を透過させることができるが、溝幅を小さくし過ぎると、変位電流により、溝のギャップを電流が飛び越え、電気的に断熱膜は連続体となってしまう等の記載がある。
また、例えば特許文献3には、凹凸表面に導電性膜を形成した熱可塑性樹脂フィルムを、2枚の透明基材の間に配設して挟持し、透明機材と熱可塑性樹脂フィルムを接着することにより得られる合わせ構造体が開示されている。
特開2005−353656号公報 特公平8−28592号公報 特開2005−104793号公報
ビル・住宅等の建築物や自動車等の車両においては、日射を遮蔽する目的で、2枚のガラス基材の間に熱線カットフィルムを挟んで窓ガラスを構成することがある。この場合、熱線カットフィルムには、基本的な性能として、可視光透過性、日射遮蔽性が要求される。
また、ビル・住宅等の建築物においては、携帯電話やテレビジョン等の使用のために、数百MHz以上の高周波数の電波透過性が要求されることがある。また、自動車においては、ETCシステムの普及に伴い、ETC車載器の電波受信を妨げることがないように電波透過性が要求されることがある。
しかしながら、特許文献1に記載の透明積層フィルムは、金属層が連続するものであるため、電波透過性が悪い。また、特許文献2に記載の技術は、フィルムに形成する分割溝の幅が50μm以上と広い。そのため、分割溝が目立ち、視認性に影響を与えるおそれがある。また、特許文献3に記載の合わせ構造体は、熱可塑性樹脂フィルムを透明基材に接着する際に凹凸部が変形・平坦化するため、所望の電波透過性が得られにくいおそれがある。
本発明が解決しようとする課題は、日射遮蔽性に優れるとともに電波透過性にも優れる遮熱性合わせ構造体と遮熱性合わせ構造体の製造方法を提供することにある。また、このような合わせ構造体に好適に用いることができる合わせ構造体用透明積層フィルムを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る遮熱性合わせ構造体は、透明高分子フィルムの少なくとも一方面に有機分を含有する金属酸化物層と金属層とが積層されてなる積層構造部を有し該積層構造部に幅30μm以下の溝部が形成された透明積層フィルムを挟んで2枚の透明基材が貼り合わされており、前記金属層が322μm四方あたり5個以上に分断されていることを要旨とするものである。
この場合、透明高分子フィルムの少なくとも一方面に有機分を含有する金属酸化物層と金属層とが積層されてなる積層構造部を有し該積層構造部に幅30μm以下の溝部が形成された透明積層フィルムが2枚の透明基材で挟まれており、圧力が加えられて前記2枚の透明基材が前記透明積層フィルムを挟んで貼り合わされているとともに、前記圧力により前記透明積層フィルムの金属層の分断化を進行させたことにより前記金属層が322μm四方あたり5個以上に分断されていることが好ましい。
そして、本発明に係る遮熱性合わせ構造体の製造方法は、透明高分子フィルムの少なくとも一方面に有機分を含有する金属酸化物層と金属層とが積層されてなる積層構造部を有する透明積層フィルムの前記積層構造部に幅30μm以下の溝部を形成して前記金属層を分断し、該透明積層フィルムを、2枚の透明基材で挟み、圧力を加えて前記2枚の透明基材を前記透明積層フィルムを挟んで貼り合わせるとともに、前記圧力により前記透明積層フィルムの金属層の分断化を進行させて、前記金属層を322μm四方あたり5個以上に分断することを要旨とするものである。
ここで、上記溝部の形成は、上記有機分を含有する金属酸化物層を形成する出発原料を反応させ、その反応過程で上記積層構造部に生じた応力によって亀裂を発生させることにより行われることが好ましい。
また、上記有機分はゾル−ゲル法による出発原料の残存分であり、上記溝部の形成は、酸素、オゾンおよび水から選択される1種または2種以上を含む雰囲気下にて、上記積層構造に対してその表面からエネルギーを与える手順を含んでいることが好ましい。
また、上記溝部の形成は、上記積層構造の表面をレーザー加工することにより行われることが好ましい。
また、上記溝部の形成は、フィルムの延伸により行われることが好ましい。この場合、上記延伸は二軸延伸であると良い。
また、上記溝部の形成は、易接着層を介して前記透明高分子フィルムの少なくとも一方面に前記積層構造部を形成することにより行われることが好ましい。
そして、上記透明積層フィルムにおいて、上記有機分を含有する金属酸化物層は、ゾルゲル硬化時に光エネルギーを用いるゾル−ゲル法により形成されたものであることが好ましい。
また、上記金属層の少なくとも一方面に、金属酸化物より主に構成されるバリア層が形成されていることが好ましい。この際、上記バリア層は、チタン酸化物より主に構成されることが好ましい。また、上記バリア層は、金属Ti層が後酸化されて形成された層、または、部分酸化されたチタン酸化物層が後酸化されて形成された層であることが好ましい。
また、上記金属酸化物層は、チタン酸化物層であることが好ましい。また、上記金属層は、銀層または銀合金層であることが好ましい。
そして、本発明に係る遮熱性合わせ構造体は、上記いずれかの製造方法により得られることを要旨とするものである。
また、本発明に係る合わせ構造体用透明積層フィルムは、圧力を加えて貼り合わされる2枚の透明基材の間に配置される透明積層フィルムであって、透明高分子フィルムの少なくとも一方面に有機分を含有する金属酸化物層と金属層とが積層されてなる積層構造部を有し、該積層構造部に形成された幅30μm以下の溝部によって前記金属層が322μm四方あたり5個以上に分断されており、表面抵抗値が10Ω/□以上に設定されていることを要旨とするものである。
本発明に係る遮熱性合わせ構造体によれば、透明高分子フィルムの少なくとも一方面に有機分を含有する金属酸化物層と金属層とが積層されてなる積層構造部を有し該積層構造部に幅30μm以下の溝部が形成された透明積層フィルムを挟んで2枚の透明基材が貼り合わされており、前記金属層が322μm四方あたり5個以上に分断されていることから、日射遮蔽性に優れるとともに電波透過性にも優れる。そして、金属層が322μm四方あたり5個以上に分断されているので、全体の表面抵抗値を100Ω/□以上にすることができる。
本発明に係る遮熱性合わせ構造体の製造方法によれば、上記透明積層フィルムを2枚の透明基材で挟み、圧力を加えてこの2枚の透明基材を上記透明積層フィルムを挟んで貼り合わせるとともに、上記圧力により上記透明積層フィルムの金属層の分断化を進行させて金属層を322μm四方あたり5個以上に分断するので、日射遮蔽性に優れるとともに電波透過性にも優れる遮熱性合わせ構造体を製造することができる。また、得られた遮熱性合わせ構造体は、可視光透過性に優れるとともに、溝部も見え難く、視認性にも優れる。そして、金属層の分断化を進行させて金属層を322μm四方あたり5個以上に分断することで、全体の表面抵抗値を確実に100Ω/□以上に上げることができる。
ここで、上記溝部の形成が、上記有機分を含む金属酸化物層を形成する出発原料を反応させ、その反応過程で前記積層構造部中に生じた応力によって亀裂を発生させることにより行われる場合には、上記積層構造部に溝部として亀裂を無数に形成することができる。そのため、表面抵抗の方向性が出難く、表面抵抗の均一性に優れた透明積層フィルムが得られる。また、比較的短時間で亀裂を導入できるので、当該フィルムの量産性に優れる。
また、上記有機分はゾル−ゲル法による出発原料の残存分であり、上記溝部の形成が、酸素、オゾンおよび水から選択される1種または2種以上を含む雰囲気下にて、上記積層構造部に対してその表面からエネルギーを与える手順を含んでいる場合には、雰囲気中の酸素、オゾンおよび水から選択される1種または2種以上が上記出発原料のゾル−ゲル反応を進め、硬化収縮により金属酸化物層に亀裂を誘発し、その亀裂を基点に積層構造部中に亀裂を伝播させることができる。そのため、比較的簡単に、見え難い亀裂を積層構造部中に導入でき、所定の表面抵抗値を確保することができる。
また、上記溝部の形成が、上記積層構造部の表面をレーザー加工することにより行われる場合には、格子状、ストライプ状、スリット状等、任意の形態を有する溝部を形成することができる。
また、上記溝部の形成が、フィルムの延伸により行われる場合には、比較的簡単に、見え難い亀裂を積層構造部中に導入でき、所定の表面抵抗値を確保することができる。とりわけ、上記延伸が二軸延伸である場合には、方向性のない亀裂を形成しやすい。そのため、表面抵抗の方向性が出難く、表面抵抗の均一性に優れた透明積層フィルムが得られる。
また、上記溝部の形成が、易接着層を介して前記透明高分子フィルムの少なくとも一方面に前記積層構造部を形成することにより行われる場合には、上記積層構造部の形成と同時に、亀裂により金属層の連続性を分断することができ、積層工程後の溝部形成工程を省略することが可能となる。そのため、透明積層フィルムの生産性に優れ、低コスト化に寄与できる。
上記透明積層フィルムにおいて、上記有機分を含有する金属酸化物層がゾルゲル硬化時に光エネルギーを用いるゾル−ゲル法により形成されたものである場合には、その反応過程で積層構造中に生じた応力によって亀裂を発生させる等して溝部を形成しやすくなる。
また、上記金属層の少なくとも一方面に、金属酸化物より主に構成されるバリア層が形成されている場合には、各金属層を構成する金属元素の日射による拡散を抑制することができる。これにより、日射遮蔽性、電波透過性を長期にわたって維持しやすくなり、耐久性、信頼性の向上に寄与できる。
この際、上記バリア層がチタン酸化物より主に構成される場合には、銀等の金属層の構成元素の日射や熱による拡散を抑制しやすい。また、上記バリア層が、金属Ti層が後酸化されて形成された層、または、部分酸化されたチタン酸化物層が後酸化されて形成された層である場合には、後酸化時に積層構造中に含まれていた吸着水や酸素が消費される。そのため、太陽光が当たった場合でも、有機分を含む金属酸化物層の形状変化が抑制され、積層構造の剥離が生じ難くなり、日射に対する耐久性を向上させやすくなる。
また、上記金属酸化物層がチタン酸化物層である場合には、比較的高い屈折率が得やすくなるため、可視光透過性を向上させやすくなる。また、上記金属層が銀層または銀合金層である場合には、可視光透過性、日射遮蔽性のバランスに優れる。
そして、本発明に係る遮熱性合わせ構造体によれば、上記いずれかの製造方法により得られるため、日射遮蔽性に優れるとともに電波透過性にも優れる。
また、本発明に係る合わせ構造体用透明積層フィルムによれば、透明高分子フィルムの少なくとも一方面に、有機分を含有する金属酸化物層と金属層とが積層されてなる積層構造部を有し、前記積層構造部には、前記金属層を分断する幅30μm以下の溝部が形成されており、表面抵抗値が10Ω/□以上に設定されていることから、圧力を加えて貼り合わされる2枚の透明基材の間に配置して2枚の透明基材を圧力を加えて貼り合わせたときには、その圧力により金属層の分断化が進行し、作製される遮熱性合わせ構造体が実用的な電波透過性に至るまで全体の表面抵抗値を上げることができる。これにより、日射遮蔽性および電波透過性に優れる遮熱性合わせ構造体を得ることができる。
そして、金属層が溝部によって322μm四方あたり5個以上に分断されているので、圧力を加えて貼り合わされる2枚の透明基材の間に配置して2枚の透明基材を圧力を加えて貼り合わせ、その圧力により金属層の分断化が進行したときに、全体の表面抵抗値を確実に100Ω/□以上に上げることができる。これにより、作製される遮熱性合わせ構造体は実用的なレベルの電波透過性を備えることができる。
遮熱性合わせ構造体の一実施形態を示す断面図である。 透明積層フィルムの一実施形態を示す断面図である。 透明積層フィルムの一実施形態を示す断面図である。 実施例1〜3、参考例1の透明積層フィルムの表面をレーザー顕微鏡で撮影して得られた画像である。
以下に、本発明に係る遮熱性合わせ構造体と、遮熱性合わせ構造体の製造方法(以下、本製造方法ということがある。)について詳細に説明する。
本製造方法は、特定の構造を有する透明積層フィルム(以下、本フィルムということがある。)を介し、圧力を加えて2枚の透明基材を貼り合わせる工程を有する。本製造方法により、図1に示すように、透明積層フィルム12を挟んで貼り合わされた2枚の透明基材14,14と、2枚の透明基材14,14の間に挟まれた透明積層フィルム12とを備えた遮熱性合わせ構造体10が得られる。
本製造方法において、本フィルムは、少なくとも透明高分子フィルムと積層構造部とを有する。本フィルムの形態の一例としては、図2や図3に示すものを挙げることができる。
第一形態の本フィルムは、図2に示すように、透明高分子フィルム18上に直接、積層構造部20が形成されたもので構成されている。図2(a)に示すものは、透明高分子フィルム18の両面のうちの一方面に、積層構造部20を有する。図2(b)に示すものは、透明高分子フィルム18の両面に、積層構造部20を有する。
第二形態の本フィルムは、図3に示すように、透明高分子フィルム18上に易接着層22を介して、積層構造部20が形成されたもので構成されている。図3(a)に示すものは、透明高分子フィルム18の両面のうちの一方面に、易接着層22を介して積層構造部20を有する。図3(b)に示すものは、透明高分子フィルム18の両面に、易接着層22を介して積層構造部20を有する。
図2(a)や図3(a)に示すように、透明高分子フィルム18の両面のうちの一方面に積層構造部20を有する構成においては、さらに、積層構造部の形成面と反対側のフィルム面にも易接着層が存在すれば、フィルムの巻き取り・繰り出しが容易になる。
本フィルムにおいて、積層構造部は、有機分を含有する金属酸化物層(以下、「MO層」と略表記することがある。)と金属層(以下、「M層」と略表記することがある。)とを少なくとも含んでいる。積層構造部の基本構造としては、有機分を含有する金属酸化物層(MO層)と金属層(M層)とが交互に積層された積層構造部等を例示することができる。金属層(M層)の何れか一方面または両面には、さらに、バリア層(以下、「B層」と略表記することがある。)が形成されていても良い。
本フィルムにおいて、有機分を含有する金属酸化物層は、金属層とともに積層されることで透明性を高める(可視光領域で透過性に優れる)などの機能を発揮するものであり、主として高屈折率層として機能しうるものである。ここで高屈折率とは、633nmの光に対する屈折率が1.7以上ある場合をいう。また、本フィルムにおいて、金属層は、主として日射遮蔽層として機能しうる。本フィルムは、このような積層構造部を有するため、良好な可視光透明性、日射遮蔽性を有する。
積層構造部は、透明高分子フィルムの少なくとも一方面に、有機分を含有する金属酸化物層と金属層とを積層する積層工程により形成することができる。積層工程は、上述した積層構造部の構成に応じて異なるが、基本的には、各層の形成に最適な方法にて、各層を順次積み上げていくことにより形成することができる。積層構造部は、透明高分子フィルム上に直接、形成することもできるし、透明高分子フィルム上に形成した易接着層を介して、形成することもできる。
積層構造部には、溝部が形成されている。この溝部により、金属層が分断されている。すなわち、金属層は、層内に、不連続となる部分を有している。溝部の形状としては、例えば、格子状、スリット状等の規則的な形状、亀裂等の不規則な形状を例示することができる。溝部の幅は、溝部を見えにくくして視認性を確保するなどの観点から、30μm以下に設定する。好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。
一方、溝部の幅の下限は特に限定されるものではないが、電波透過性を確保するなどの観点から、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上である。なお、溝部の幅は、光学顕微鏡により積層構造部の表面を5枚撮影し、1枚ごとに溝部3箇所(計15箇所)について測定した幅の平均値である。
積層構造部に溝部を形成する方法としては、(1)積層工程にて形成された積層構造部中に応力を加えて亀裂を発生させる方法、(2)積層構造部の表面をレーザー加工する方法、(3)積層構造部を形成したフィルムを延伸し亀裂を発生させる方法(4)透明高分子フィルム上に形成した易接着層を介して積層構造部を形成することにより亀裂を発生させる方法、などを例示することができる。
(1)の方法の場合には、亀裂による不規則な形状の溝部を形成することができる。(1)の方法の場合、例えば、積層構造部中の金属酸化物層の出発原料をゾル−ゲル法により反応させ、その反応過程で積層構造部中に生じた応力により亀裂を発生させる方法等を採用することができる。
より具体的には、例えば、酸素(O)、オゾン(O)、水分等を含む雰囲気下にて、積層構造部の表面から、紫外線、電子線、熱等のエネルギーを与えることにより、当該出発原料を反応させ、その反応過程で積層構造部中に生じた応力により亀裂を発生させることができる。
(1)の方法にて亀裂により溝部を形成する場合には、上記積層構造部の最表面は、ゾル−ゲル法による出発原料を含む金属酸化物層であると良い。最表層に含まれる出発原料のゾル−ゲル反応が進行しやすく、硬化収縮により金属酸化物層に亀裂が誘発され、その亀裂を基点に積層構造部中に亀裂を伝播させやすくなるからである。
(2)の方法の場合には、格子状、スリット状等の規則的な形状を形成することができる。溝部がレーザー加工により形成されているか否かは、溝部のエッジ部を観察することにより確認可能なことが多い。(2)の方法におけるレーザー加工の加工条件は、30μm以下の溝部を形成することができれば、特に限定されるものではない。使用するレーザー波長としては、例えば、0.1〜10μmの範囲等を例示することができる。
(3)の方法の場合には、亀裂による不規則な形状の溝部を形成することができる。(3)の方法におけるフィルムの延伸は、一軸延伸、二軸延伸の何れであっても良い。溝部の形成が、フィルムの延伸により行われる場合には、比較的簡単に、見え難い亀裂を積層構造部中に導入できる。とりわけ、上記延伸が二軸延伸である場合には、方向性のない亀裂を形成しやすい。
(4)の方法の場合、易接着層上に積層構造部を形成すると、積層構造部の形成時に積層構造部を構成する層に亀裂が入りやすくなる現象が見られる。これにより、不規則な形状の溝部を形成することができる。詳細なメカニズムまでは不明であるが、積層構造部の形成に起因する易接着層の収縮により生じた応力や、易接着層中に含まれることが多いシリカ粒子等の分散粒子による突起部への応力集中、易接着層の表面粗さ等により、亀裂発生が促進されるためではないかと推察される。何れのメカニズムにせよ、積層構造部形成時に発生した亀裂を溝部として用いれば、積層構造部を構成する金属層の連続性を積層工程にて分断することができるため、溝部形成工程を省略することが可能となる。
本製造方法において、透明基材は、可視光を十分に透過する板状の透明体であれば、特に限定されるものではないが、好ましいものとしては、ガラス板、樹脂板などを挙げることができる。ガラスとしては、通常のフロートガラス、半強化ガラス、強化ガラスを挙げることができる。樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などを挙げることができる。透明基材の厚みは、用途等に応じて適宜定めれば良い。
本製造方法において、2枚の透明基材の貼り合わせには、接着剤を用いることができる。接着剤の主材料としては、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレンビニルアセテート(EVA)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などを挙げることができる。接着剤は、液状のものを用いても良いし、固体状のものを用いても良い。固体状のものとしては、フィルム状のものなどを挙げることができる。本製造方法において、接着剤を用いる場合には、図1に示すように、透明積層フィルム12は、接着層16を介して透明基材14に接着される。
本製造方法において、本フィルムを介し、圧力を加えて2枚の透明基材を貼り合わせると、その圧力により、溝部を起点として、積層構造部にはさらに亀裂が生じ、溝部により分断されている金属層の分断化がさらに進行する。これにより、製造される遮熱性合わせ構造体全体の表面抵抗値を上げる。表面抵抗値と電波の透過減衰量とは密接な関係にあり、表面抵抗値の上昇に伴い、電波の透過減衰量が低下し、電波透過性が向上する。このため、本製造方法によれば、電波透過性を向上できる。
本製造方法では、2枚の透明基材を貼り合わせる際に本フィルムの積層構造部に亀裂を発生させ、これにより表面抵抗値を上昇させることで、実用上、問題ないとされる電波透過性を確保する。
本製造方法は、例えば、2枚の透明基材を貼り合わせる前において本フィルムの積層構造部に予め形成する溝部では、実用上、問題ないとされる電波透過性を確保するのに十分な表面抵抗値が得られにくい、あるいは、その表面抵抗値にする調整が難しいなどの場合に、特に有効で意義のある方法である。
例えば、上記する溝部の形成方法のうち、(1)、(3)、(4)などの方法は、亀裂を形成する因子が、金属酸化物層の硬化収縮、易接着層の収縮、延伸時の力の加減などであるため、(2)の方法と比べて、比較的、実用上、問題ないとされる電波透過性を確保するのに十分な表面抵抗値が得られにくい、あるいは、その表面抵抗値にする調整が難しい場合がある。
本製造方法では、2枚の透明基材を貼り合わせる際の圧力や温度の条件を調整することにより、所望の表面抵抗値に設定しやすい。また、表面抵抗値を微調整することもできる。
遮熱性合わせ構造体全体の表面抵抗値としては、実用上、電波透過性を有するとされる範囲として、100Ω/□以上であることが好ましい。より好ましくは500Ω/□以上、さらに好ましくは1000Ω/□以上、特に好ましくは2000Ω/□以上である。一方、遮熱性合わせ構造体全体の表面抵抗値の上限としては、特に限定されるものではない。なお、表面抵抗値は、渦電流計等を用いて測定することができる。
そして、遮熱性合わせ構造体全体の表面抵抗値を好ましい範囲に設定しやすいなどの観点から、本フィルムは、溝部を有することにより、表面抵抗値が10Ω/□以上であることが好ましい。より好ましくは20Ω/□以上、さらに好ましくは50Ω/□以上である。一方、本フィルムの表面抵抗値の上限としては、特に限定されるものではない。本フィルムの表面抵抗値は、例えば金属酸化物層の製造条件などを調整し、表面積に占める溝部の割合や溝部の深さなどを操作することにより、調整することができる。
遮熱性合わせ構造体における積層構造部の金属層は、322μm四方あたり5個以上に分断されている。これにより、全体の表面抵抗値を確実に100Ω/□以上にすることができ、電波透過性を満足させることができる。このような構成は、例えば、幅30μm以下の溝部が形成された積層構造部を有する透明積層フィルムを挟んで2枚の透明基材が貼り合わされたときの圧力で金属層の分断化が進行することにより得られる。
金属層が分断されると、金属層内には金属層の島が形成される。遮熱性合わせ構造体における積層構造部の金属層の島の数(分断数)は、322μm四方あたり、より好ましくは10個以上、さらに好ましくは20個以上であると良い。10個以上においては、全体の表面抵抗値を確実に150Ω/□以上にすることができる。また、20個以上においては、全体の表面抵抗値を確実に2000Ω/□以上にすることができる。
積層構造部に形成される複数の溝部は、方向性のない溝部(ランダムスリット)であることが好ましい。これにより、表面抵抗の方向性が出難く、面内方向に均一な表面抵抗が得られやすい。この観点から、溝部によって形成される金属層内の金属層の島の形状は、アスペクト比(長辺/短辺)の小さいものであることが好ましい。金属層の島のアスペクト比としては、3.0以下であることが好ましい。より好ましくは2.0以下である。
金属層の分断数(金属層の島の数)は、遮熱性合わせ構造体の表面を所定の視野でレーザー顕微鏡を用いて観察することにより計測することができる。計測の際には、溝部の輪郭をより鮮明に表すために、画像処理によって画像を2値化処理することができる。
積層構造部に予め溝部を形成する際、あるいは、2枚の透明基材14を貼り合わせる際には、亀裂を無数に発生させることが好ましい。均一に亀裂が形成されることで、表面抵抗の方向性が出難く、表面抵抗の均一化に寄与できる。
積層構造部に溝部を形成する方法のうち(3)の方法において、延伸が二軸延伸である場合には、方向性のない亀裂を形成しやすい。そのため、表面抵抗の方向性が出難く、表面抵抗の均一性に優れた透明積層フィルムが得られる。
(3)の方法において、延伸時の引張率の下限は、表面抵抗の確保等の観点から、好ましくは、0.5%以上、より好ましくは、1%以上、さらに好ましくは、2%以上であると良い。一方、延伸時の引張率の上限は、フィルムの平面度、耐熱性、光学特性確保等の観点から、好ましくは、50%以下、より好ましくは、40%以下、さらに好ましくは、30%以下であると良い。
本フィルムは、可視光線透過率が60%以上であることが好ましい。ビルや住宅等の建築物の窓ガラス、自動車等の車両の窓ガラス等に貼り付けるフィルム等として有用だからである。上記可視光線透過率は、好ましくは、65%以上、より好ましくは、70%以上であると良い。
本フィルムは、周波数100MHz以上の電波の透過のために好適に用いることができる。具体的な電波としては、ETCの電波(5.8GHz)、携帯電話の電波(800MHz〜2.2GHz)等を例示することができる。
本フィルムにおいて、透明高分子フィルムは、積層構造部を形成するためのベース基材となるものである。透明高分子フィルムの材料としては、可視光領域において透明性を有し、その表面に薄膜を支障なく形成できるものであれば、何れのものでも用いることができる。
透明高分子フィルムの材料としては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、トリアセチルセルロース、ポリウレタン、シクロオレフィンポリマー等の高分子材料を例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。また、2種以上の透明高分子を積層して用いることもできる。
これらのうち、とりわけ、透明性、耐久性、加工性等に優れるなどの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、シクロオレフィンポリマー等を好適なものとして例示することができる。
透明高分子フィルムの厚みは、本フィルムの用途、フィルム材料、光学特性、耐久性などを考慮して種々調節することができる。透明高分子フィルムの厚みの下限値は、加工時にしわが入り難い、破断し難いなどの観点から、好ましくは、25μm以上、より好ましくは、50μm以上であると良い。一方、透明高分子フィルムの厚みの上限値は、巻回容易性、経済性などの観点から、好ましくは、500μm以下、より好ましくは、250μm以下であると良い。
本フィルムにおいて、易接着層は、主に、透明高分子フィルムの巻き取り性やハンドリング性などを向上させる目的を有している。このような易接着層は、特に、シリカ粒子などをフィルム中に配合したり、フィルム表面に付着させたりすることで上記目的を達成することが困難な光学用途向けの透明高分子フィルム表面に形成されていることが多い。
易接着層を構成する高分子材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル−ウレタン系樹脂などを例示することができる。また、易接着層中には、シリカ粒子、ポリエチレン粒子などが分散されていても良い。
易接着層の厚みは、特に限定されるものではない。易接着層の厚みの上限は、密着性、透明性、コスト等の観点から、好ましくは、20μm以下、より好ましくは、10μm以下、さらに好ましくは、5μm以下であると良い。一方、易接着層の厚みの下限は、効果発現性等の観点から、好ましくは、0.01μm以上、より好ましくは、0.02μm以上、さらに好ましくは、0.03μm以上であると良い。
本フィルムは、積層構造部の上に、さらに本フィルムを擦過傷などから保護するための保護層を備えていても良い。保護層を構成する高分子材料としては、例えば、アクリル系樹脂などを例示することができる。保護層の厚みは、保護機能と、密着性、透明性、コスト等のバランスの観点から、1〜2μmの範囲内であれば良い。
積層構造部の基本単位としては、具体的には、例えば、透明高分子フィルム側から、MO層│B層/M層/B層、MO層│M層/B層、MO層│B層/M層といった第1基本単位、または、透明高分子フィルム側から、B層/M層/B層│MO層、M層/B層│MO層、B層/M層│MO層といった第2基本単位などを例示することができる。なお、「│」が層の区切りを意味する。また、「/」はM層にB層が付随していることを意味する。
積層構造部は、第1基本単位から選択される1または2以上の基本単位が単数または複数繰り返し積層されていても良いし、第2基本単位から選択される1または2以上の基本単位が単数または複数繰り返し積層されていても良い。
これらのうち、M層を構成する元素がMO層中に拡散するのを抑制しやすいなどの観点から、第1基本単位であれば、MO層│B層/M層/B層の単位を、第2基本単位であれば、B層/M層/B層│MO層の単位を好適に選択することができる。
積層構造部を構成する薄膜層のうち、透明高分子フィルムに接して配置される薄膜層は、有機分を含有する金属酸化物層(MO層)であると良い。高可視光透過、低可視光反射等の光学特性に優れる等の利点がある。また、積層構造部を構成する薄膜層のうち、最外層に配置される薄膜層は、有機分を含有する金属酸化物層(MO層)であると良い。上述するように、溝部の形成(特に亀裂の場合)が容易になる等の利点がある。
積層構造部の積層数は、可視光透過性、日射遮蔽性等の光学特性、フィルム全体の表面抵抗値、各薄膜層の材料や膜厚、製造コストなどを考慮して異ならせることができる。上記積層数としては、2〜10層などが好ましく、3層、5層、7層、9層などの奇数層がより好ましい。さらに好ましくは、製造コストなどの観点から、3層、5層、7層であると良い。
積層構造部は、より具体的には、透明性と日射遮蔽性とのバランスを取りやすい、製造コストの抑制などの観点から、透明高分子フィルム側から、MO層(1層目)│B層/M層/B層(2層目)│MO層(3層目)、MO層(1層目)│B層/M層(2層目)│MO層(3層目)、MO層(1層目)│M層/B層(2層目)│MO層(3層目)、MO層(1層目)│M層(2層目)│MO層(3層目)などの3層積層構造部、MO層(1層目)│B層/M層/B層(2層目)│MO層(3層目)│B層/M層/B層(4層目)│MO層(5層目)、MO層(1層目)│B層/M層(2層目)│MO層(3層目)│B層/M層(4層目)│MO層(5層目)、MO層(1層目)│M層/B層(2層目)│MO層(3層目)│M層/B層(4層目)│MO層(5層目)、MO層(1層目)│M層(2層目)│MO層(3層目)│M層(4層目)│MO層(5層目)などの5層積層構造部、MO層(1層目)│B層/M層/B層(2層目)│MO層(3層目)│B層/M層/B層(4層目)│MO層(5層目)│B層/M層/B層(6層目)│MO層(7層目)、MO層(1層目)│B層/M層(2層目)│MO層(3層目)│B層/M層(4層目)│MO層(5層目)│B層/M層(6層目)│MO層(7層目)、MO層(1層目)│M層/B層(2層目)│MO層(3層目)│M層/B層(4層目)│MO層(5層目)│M層/B層(6層目)│MO層(7層目)、MO層(1層目)│M層(2層目)│MO層(3層目)│M層(4層目)│MO層(5層目)│M層(6層目)│MO層(7層目)などの7層積層構造部を好適な構造として例示することができる。
なお、本願における積層数は、B層がM層に付随する薄膜層であるため、B層を含めたM層を1層、MO層を1層として数えている。
本フィルムにおいて、各薄膜層は、一度に形成されたものであっても良いし、分割形成されたものであっても良い。また、積層構造部中に含まれる各薄膜層のうち、一部または全部が分割形成されていても良い。各薄膜層が、複数の分割層よりなる場合、その分割数は、各薄膜層ごとに同じであっても良いし、異なっていても良い。なお、分割層は積層数として数えず、複数の分割層が集合して形成された1つの薄膜層を1層として数える。
本フィルムにおいて、各薄膜層の組成または材料は、それぞれ同一の組成または材料から形成されていても良いし、異なる組成または材料から形成されていても良い。なお、この点は、各薄膜層が複数の分割層よりなる場合も同様である。また、各薄膜層の膜厚は、ほぼ同一であっても良いし、各膜ごとに異なっていても良い。
以下、本フィルムの積層構造部を構成する金属酸化物層(MO層)および金属層(M層)、本フィルムの積層構造部を任意に構成することがあるバリア層(B層)についてより詳細に説明する。
<金属酸化物層>
上記金属酸化物としては、具体的には、例えば、チタンの酸化物、亜鉛の酸化物、インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウムとスズとの酸化物、マグネシウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、ジルコニウムの酸化物、ニオブの酸化物、セリウムの酸化物などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。また、これら金属酸化物は、2種以上の金属酸化物が複合した複酸化物であっても良い。
上記金属酸化物としては、とりわけ、可視光に対する屈折率が比較的大きいなどの観点から、酸化チタン(TiO)、ITO、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)などを好適なものとして例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
ここで、金属酸化物層は、主として上述した金属酸化物より構成されているが、金属酸化物以外にも、有機分を含有していても良い。有機分を含有することで、本フィルムの柔軟性をより向上させることができるためである。この種の有機分としては、具体的には、例えば、ゾル−ゲル法の出発原料に由来する成分等、金属酸化物層の形成材料に由来する成分などを例示することができる。
上記有機分としては、より具体的には、例えば、上述した金属酸化物を構成する金属の金属アルコキシド、金属アシレート、金属キレートなどといった有機金属化合物(その分解物なども含む)や、上記有機金属化合物と反応して紫外線吸収性のキレートを形成する有機化合物(後述する)等の各種添加剤などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
金属酸化物層中に含まれる有機分の含有量の下限値は、柔軟性を付与しやすいなどの観点から、好ましくは、3質量%以上、より好ましくは、5質量%以上、さらに好ましくは、7質量%以上であると良い。一方、金属酸化物層中に含まれる有機分の含有量の上限値は、高屈折率を確保しやくなる、耐溶剤性を確保しやすくなるなどの観点から、好ましくは、30質量%以下、より好ましくは、25質量%以下、さらに好ましくは、20質量%以下であると良い。
なお、上記有機分の含有量は、X線光電子分光法(XPS)などを用いて調べることができる。また、上記有機分の種類は、赤外分光法(IR)(赤外吸収分析)などを用いて調べることができる。
金属酸化物層の膜厚は、日射遮蔽性、視認性、反射色などを考慮して調節することができる。
金属酸化物層の膜厚の下限値は、反射色の赤色や黄色の着色を抑制しやすくなる、高透明性が得られやすくなるなどの観点から、好ましくは、10nm以上、より好ましくは、15nm以上、さらに好ましくは、20nm以上であると良い。一方、金属酸化物層の膜厚の上限値は、反射色の緑色の着色を抑制しやすくなる、高透明性が得られやすくなるなどの観点から、好ましくは、90nm以下、より好ましくは、85nm以下、さらに好ましくは、80nm以下であると良い。
以上のような構成を有する金属酸化物層は、気相法、液相法の何れでも形成することができる。液相法は、気相法と比較して、真空引きしたり、大電力を使用したりする必要がない。そのため、その分、コスト的に有利であり、生産性にも優れているので好適である。
上記液相法としては、有機分を残存させやすいなどの観点から、ゾル−ゲル法を好適に利用することができる。
上記ゾル−ゲル法としては、より具体的には、例えば、金属酸化物を構成する金属の有機金属化合物を含有するコーティング液を薄膜状にコーティングし、これを必要に応じて乾燥させ、金属酸化物層の前駆体層を形成した後、この前駆体層中の有機金属化合物を加水分解・縮合反応させ、有機金属化合物を構成する金属の酸化物を合成するなどの方法を例示することができる。これによれば、金属酸化物を主成分として含み、有機分を含有する金属酸化物層を形成することができる。以下、上記方法について詳細に説明する。
上記コーティング液は、上記有機金属化合物を適当な溶媒に溶解して調製することができる。この際、有機金属化合物としては、具体的には、例えば、チタン、亜鉛、インジウム、スズ、マグネシウム、アルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、セリウム、シリコン、ハフニウム、鉛などの金属の有機化合物などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
上記有機金属化合物としては、具体的には、例えば、上記金属の金属アルコキシド、金属アシレート、金属キレートなどを例示することができる。好ましくは、空気中での安定性などの観点から、金属キレートであると良い。
上記有機金属化合物としては、とりわけ、高屈折率を有する金属酸化物になり得る金属の有機化合物を好適に用いることができる。このような有機金属化合物としては、例えば、有機チタン化合物などを例示することができる。
上記有機チタン化合物としては、具体的には、例えば、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラメトキシチタンなどのM−O−R結合(Rはアルキル基を示し、Mはチタン原子を示す)を有するチタンのアルコキシドや、イソプロポキシチタンステアレートなどのM−O−CO−R結合(Rはアルキル基を示し、Mはチタン原子を示す)を有するチタンのアシレートや、ジイソプロポキシチタンビスアセチルアセトナート、ジヒドロキシビスラクタトチタン、ジイソプロポキシビストリエタノールアミナトチタン、ジイソプロポキシビスエチルアセトアセタトチタンなどのチタンのキレートなどを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。また、これらは単量体、多量体の何れであっても良い。
上記コーティング液中に占める有機金属化合物の含有量は、塗膜の膜厚均一性や一回に塗工できる膜厚などの観点から、好ましくは、1〜20質量%、より好ましくは、3〜15質量%、さらに好ましくは、5〜10質量%の範囲内にあると良い。
また、上記有機金属化合物を溶解させる溶媒としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘプタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、酢酸エチルなどの有機酸エステル、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのシクロエーテル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの酸アミド類、ヘキサンなどの炭化水素類、トルエンなどの芳香族類などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
この際、上記溶媒量は、上記有機金属化合物の固形分重量に対して、塗膜の膜厚均一性や一回に塗工できる膜厚などの観点から、好ましくは、5〜100倍量、より好ましくは、7〜30倍量、さらに好ましくは、10〜20倍量の範囲内であると良い。
上記溶媒量が100倍量より多くなると、一回のコーティングで形成できる膜厚が薄くなり、所望の膜厚を得るために多数回のコーティングが必要となる傾向が見られる。一方、5倍量より少なくなると、膜厚が厚くなり過ぎ、有機金属化合物の加水分解・縮合反応が十分に進行し難くなる傾向が見られる。したがって、上記溶媒量は、これらを考慮して選択すると良い。
また、上記コーティング液中には、ゾル−ゲル法による加水分解が促進され、高屈折率化が図りやすくなるなどの観点から、必要に応じて水が含まれていても良い。
上記コーティング液の調製は、例えば、所定割合となるように秤量した有機金属化合物と、適当な量の溶媒と、必要に応じて添加される他の成分とを、攪拌機などの撹拌手段により所定時間撹拌・混合するなどの方法により調製することができる。この場合、各成分の混合は、1度に混合しても良いし、複数回に分けて混合しても良い。
また、上記コーティング液のコーティング法としては、均一なコーティングが行いやすいなどの観点から、マイクログラビア法、グラビア法、リバースロールコート法、ダイコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スピンコート法、バーコート法など、各種のウェットコーティング法を好適なものとして例示することができる。これらは適宜選択して用いることができ、1種または2種以上併用しても良い。
また、コーティングされたコーティング液を乾燥する場合、公知の乾燥装置などを用いて乾燥させれば良く、この際、乾燥条件としては、具体的には、例えば、80℃〜120℃の温度範囲、0.5分〜5分の乾燥時間などを例示することができる。
また、前駆体層中の有機金属化合物を加水分解・縮合反応させる手段としては、具体的には、例えば、紫外線、電子線、X線等の光エネルギーの照射、加熱など、各種の手段を例示することができる。これらは1種または2種以上組み合わせて用いても良い。これらのうち、好ましくは、光エネルギーの照射、とりわけ、紫外線照射を好適に用いることができる。他の手段と比較した場合、低温、短時間で金属酸化物を生成できるし、熱劣化など、熱による負荷を透明高分子フィルムに与え難いからである(とりわけ、紫外線照射の場合は、比較的簡易な設備で済む利点がある。)。また、有機分として、有機金属化合物(その分解物なども含む)などを残存させやすい利点もあるからである。
この際、用いる紫外線照射機としては、具体的には、例えば、水銀ランプ、キセノンランプ、重水素ランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプなどを例示することができる。これらは1種または2種以上組み合わせて用いても良い。
また、照射する光エネルギーの光量は、前駆体層を主に形成している有機金属化合物の種類、コーティング層の厚みなどを考慮して種々調節することができる。もっとも、照射する光エネルギーの光量が過度に小さすぎると、金属酸化物層の高屈折率化を図り難くなる。一方、照射する光エネルギーの光量が過度に大きすぎると、光エネルギーの照射の際に生じる熱により透明高分子フィルムが変形することがある。したがって、これらに留意すると良い。
照射する光エネルギーが紫外線である場合、その光量は、金属酸化物層の屈折率、透明高分子フィルムが受けるダメージなどの観点から、測定波長300〜390nmのとき、好ましくは、300〜8000mJ/cm、より好ましくは、500〜5000mJ/cmの範囲内であると良い。
なお、前駆体層中の有機金属化合物を加水分解・縮合反応させる手段として、光エネルギーの照射を用いる場合、上述したコーティング液中に、有機金属化合物と反応して光吸収性(例えば、紫外線吸収性)のキレートを形成する有機化合物等の添加剤を添加しておくと良い。出発溶液であるコーティング液中に上記添加剤が添加されている場合には、予め光吸収性キレートが形成されたところに光エネルギーの照射がなされるので、比較的低温下において金属酸化物層の高屈折率化を図り得やすくなるからである。
上記添加剤としては、具体的には、例えば、βジケトン類、アルコキシアルコール類、アルカノールアミン類などの添加剤を例示することができる。より具体的には、上記βジケトン類としては、例えば、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、マロン酸ジエチルなどを例示することができる。上記アルコキシアルコール類としては、例えば、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−メトキシ−2−プロパノールなどを例示することができる。上記アルカノールアミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
これらのうち、とりわけ、βジケトン類が好ましく、中でもアセチルアセトンを最も好適に用いることができる。
また、上記添加剤の配合割合としては、屈折率の上がりやすさ、塗膜状態での安定性などの観点から、上記有機金属化合物における金属原子1モルに対して、好ましくは、0.1〜2倍モル、より好ましくは、0.5〜1.5倍モルの範囲内にあると良い。
<金属層>
金属層の金属としては、具体的には、例えば、銀、金、白金、銅、アルミニウム、クロム、チタン、亜鉛、スズ、ニッケル、コバルト、ニオブ、タンタル、タングステン、ジルコニウム、鉛、パラジウム、インジウムなどの金属や、これら金属の合金などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
上記金属としては、積層時の可視光透過性、熱線反射性、導電性などに優れるなどの観点から、銀または銀合金が好ましい。より好ましくは、熱、光、水蒸気などの環境に対する耐久性が向上するなどの観点から、銀を主成分とし、銅、ビスマス、金、パラジウム、白金、チタンなどの金属元素を少なくとも1種以上含んだ銀合金であると良い。さらに好ましくは、銅を含む銀合金(Ag−Cu系合金)、ビスマスを含む銀合金(Ag−Bi系合金)、チタンを含む銀合金(Ag−Ti系合金)等であると良い。銀の拡散抑制効果が大きい、コスト的に有利であるなどの利点があるからである。
銅を含む銀合金を用いる場合、銀、銅以外にも、例えば、銀の凝集・拡散抑制効果に悪影響を与えない範囲内であれば、他の元素、不可避不純物を含有していても良い。
上記他の元素としては、具体的には、例えば、Mg、Pd、Pt、Au、Zn、Al、Ga、In、Sn、Sb、Li、Cd、Hg、AsなどのAgに固溶可能な元素;Be、Ru、Rh、Os、Ir、Bi、Ge、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Si、Tl、Pbなど、Ag−Cu系合金中に単相として析出可能な元素;Y、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ti、Zr、Hf、Na、Ca、Sr、Ba、Sc、Pr、Eu、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、S、Se、TeなどのAgとの金属間化合物を析出可能な元素などを例示することができる。これらは1種または2種以上含有されていても良い。
銅を含む銀合金を用いる場合、銅の含有量の下限値は、添加効果を得る観点から、好ましくは、1原子%以上、より好ましくは、2原子%以上、さらに好ましくは、3原子%以上であると良い。一方、銅の含有量の上限値は、高透明性を確保しやすくなる、スパッタターゲットが作製しやすい等の製造性などの観点から、好ましくは、20原子%以下、より好ましくは、10原子%以下、さらに好ましくは、5原子%以下であると良い。
また、ビスマスを含む銀合金を用いる場合、銀、ビスマス以外にも、例えば、銀の凝集・拡散抑制効果に悪影響を与えない範囲内であれば、他の元素、不可避不純物を含有していても良い。
上記他の元素としては、具体的には、例えば、Mg、Pd、Pt、Au、Zn、Al、Ga、In、Sn、Sb、Li、Cd、Hg、AsなどのAgに固溶可能な元素;Be、Ru、Rh、Os、Ir、Cu、Ge、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Si、Tl、Pbなど、Ag−Bi系合金中に単相として析出可能な元素;Y、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ti、Zr、Hf、Na、Ca、Sr、Ba、Sc、Pr、Eu、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、S、Se、TeなどのAgとの金属間化合物を析出可能な元素などを例示することができる。これらは1種または2種以上含有されていても良い。
ビスマスを含む銀合金を用いる場合、ビスマスの含有量の下限値は、添加効果を得る観点から、好ましくは、0.01原子%以上、より好ましくは、0.05原子%以上、さらに好ましくは、0.1原子%以上であると良い。一方、ビスマスの含有量の上限値は、スパッタターゲットが作製しやすい等の製造性などの観点から、好ましくは、5原子%以下、より好ましくは、2原子%以下、さらに好ましくは、1原子%以下であると良い。
また、チタンを含む銀合金を用いる場合、銀、チタン以外にも、例えば、銀の凝集・拡散抑制効果に悪影響を与えない範囲内であれば、他の元素、不可避不純物を含有していても良い。
上記他の元素としては、具体的には、例えば、Mg、Pd、Pt、Au、Zn、Al、Ga、In、Sn、Sb、Li、Cd、Hg、AsなどのAgに固溶可能な元素;Be、Ru、Rh、Os、Ir、Cu、Ge、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Si、Tl、Pb、Biなど、Ag−Ti系合金中に単相として析出可能な元素;Y、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Zr、Hf、Na、Ca、Sr、Ba、Sc、Pr、Eu、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、S、Se、TeなどのAgとの金属間化合物を析出可能な元素などを例示することができる。これらは1種または2種以上含有されていても良い。
チタンを含む銀合金を用いる場合、チタンの含有量の下限値は、添加効果を得る観点から、好ましくは、0.01原子%以上、より好ましくは、0.05原子%以上、さらに好ましくは、0.1原子%以上であると良い。一方、チタンの含有量の上限値は、膜にした場合、完全な固溶体が得られやすくなるなどの観点から、好ましくは、2原子%以下、より好ましくは、1.75原子%以下、さらに好ましくは、1.5原子%以下であると良い。
なお、上記銅、ビスマス、チタン等の副元素割合は、ICP分析法を用いて測定することができる。また、上記金属層を構成する金属(合金含む)は、部分的に酸化されていても良い。
金属層の膜厚の下限値は、安定性、熱線反射性などの観点から、好ましくは、3nm以上、より好ましくは、5nm以上、さらに好ましくは、7nm以上であると良い。一方、金属層の膜厚の上限値は、可視光の透明性、経済性などの観点から、好ましくは、30nm以下、より好ましくは、20nm以下、さらに好ましくは、15nm以下であると良い。
ここで、金属層を形成する方法としては、具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザーアブレーションなどといった物理的気相成長法(PVD)、熱CVD法、プラズマCVD法などといった化学的気相成長法(CVD)などの気相法などを例示することができる。金属層は、これらのうち何れか1つの方法を用いて形成されていても良いし、あるいは、2つ以上の方法を用いて形成されていても良い。
これら方法のうち、緻密な膜質が得られる、膜厚制御が比較的容易であるなどの観点から、好ましくは、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法などのスパッタリング法を好適に用いることができる。
なお、金属層は、後述する後酸化等を受けて、金属層の機能を損なわない範囲内で酸化されていても良い。
<バリア層>
本フィルムにおいて、バリア層は、主として、金属層を構成する元素が、金属酸化物層中へ拡散するのを抑制するバリア的な機能を有している。また、金属酸化物層と金属層との間に介在することで、両者の密着性の向上にも寄与しうる。
なお、バリア層は、上記拡散を抑制できれば、浮島状など、不連続な部分があっても良い。
バリア層を構成する金属酸化物としては、具体的には、例えば、チタンの酸化物、亜鉛の酸化物、インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウムとスズとの酸化物、マグネシウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、ジルコニウムの酸化物、ニオブの酸化物、セリウムの酸化物などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。また、これら金属酸化物は、2種以上の金属酸化物が複合した複酸化物であっても良い。なお、バリア層は、上記金属酸化物以外に不可避不純物などを含んでいても良い。
ここで、バリア層としては、金属層を構成する金属の拡散抑制効果に優れる、密着性に優れるなどの観点から、金属酸化物層中に含まれる金属の酸化物より主に構成されていると良い。
より具体的には、例えば、金属酸化物層としてTiO層を選択した場合、バリア層は、TiO層中に含まれる金属であるTiの酸化物より主に構成されるチタン酸化物層であると良い。
また、バリア層がチタン酸化物層である場合、当該バリア層は、当初からチタン酸化物として形成された薄膜層であっても良いし、金属Ti層が後酸化されて形成された薄膜層、または、部分酸化されたチタン酸化物層が後酸化されて形成された薄膜層等であっても良い。
バリア層は、金属酸化物層と同じように主に金属酸化物から構成されるが、金属酸化物層よりも膜厚が薄く設定される。これは、金属層を構成する金属の拡散は、原子レベルで生じるので、屈折率を十分確保するのに必要な膜厚まで厚くする必要性が低いからである。また、薄く形成することで、その分、成膜コストが安価になり、本フィルムの製造コストの低減にも寄与することができる。
バリア層の膜厚の下限値は、バリア性を確保しやすくなるなどの観点から、好ましくは、1nm以上、より好ましくは、1.5nm以上、さらに好ましくは、2nm以上であると良い。一方、バリア層の膜厚の上限値は、経済性などの観点から、好ましくは、15nm以下、より好ましくは、10nm以下、さらに好ましくは、8nm以下であると良い。
バリア層が主にチタン酸化物より構成される場合、チタン酸化物における酸素に対するチタンの原子モル比Ti/Oの下限値は、バリア性などの観点から、1.0/4.0以上、より好ましくは、1.0/3.8以上、さらに好ましくは、1.0/3.5以上、さらにより好ましくは、1.0/3.0以上、最も好ましくは、1.0/2.8以上であると良い。
バリア層が主にチタン酸化物より構成される場合、チタン酸化物における酸素に対するチタンの原子モル比Ti/Oの上限値は、可視光の透明性などの観点から、好ましくは、1.0/0.5以下、より好ましくは、1.0/0.7以下、さらに好ましくは、1.0/1.0以下、さらにより好ましくは、1.0/1.2以下、最も好ましくは、1.0/1.5以下であると良い。
上記Ti/O比は、当該層の組成から算出することができる。当該層の組成分析方法としては、極めて薄い薄膜層の組成を比較的正確に分析することが可能な観点から、エネルギー分散型蛍光X線分析(EDX)を好適に用いることができる。
具体的な組成分析方法について説明すると、先ず、超薄切片法(ミクロトーム)などを用いて、分析対象となる当該層を含む積層構造部の断面方向の厚みが100nm以下の試験片を作製する。次いで、断面方向から積層構造部と当該層の位置を、透過型電子顕微鏡(TEM)により確認する。次いで、EDX装置の電子銃から電子線を放出させ、分析対象となる当該層の膜厚中央部近傍に入射させる。試験片表面から入射した電子は、ある深さまで入り込み、各種の電子線やX線を発生させる。この際の特性X線を検出して分析することで、当該層の構成元素分析を行うことができる。
本フィルムにおいて、バリア層は、緻密な膜を形成できる、数nm〜数十nm程度の薄膜層を均一な膜厚で形成できるなどの観点から、気相法を好適に利用することができる。
上記気相法としては、具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザーアブレーションなどといった物理的気相成長法(PVD)、熱CVD法、プラズマCVD法などといった化学的気相成長法(CVD)などを例示することができる。上記気相法としては、真空蒸着法などと比較して膜界面の密着性に優れる、膜厚制御が容易であるなどの観点から、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法などのスパッタリング法を好適に用いることができる。
なお、上記積層構造部中に含まれうる各バリア層は、これら気相法のうち何れか1つの方法を利用して形成されていても良いし、あるいは、2つ以上の方法を利用して形成されていても良い。
また、上記バリア層は、上述した気相法を利用し、当初から金属酸化物層として成膜しても良いし、あるいは、一旦、金属層や部分酸化された金属酸化物層を成膜した後、これを事後的に酸化して形成することも可能である。なお、部分酸化された金属酸化物層とは、さらに酸化される余地がある金属酸化物層を指す。
当初から金属酸化物層として成膜する場合、具体的には、例えば、スパッタリングガスとしてのアルゴン、ネオンなどの不活性ガスに、さらに反応性ガスとして酸素を含むガスを混合し、金属と酸素とを反応させながら薄膜を形成すれば良い(反応性スパッタリング法)。反応性スパッタリング法を用いて、例えば、上記Ti/O比を有するチタン酸化物層を得る場合、雰囲気中の酸素濃度(不活性ガスに対する酸素を含むガスの体積割合)は、上述した膜厚範囲を考慮して最適な割合を適宜選択すれば良い。
一方、金属層や部分酸化された金属酸化物層を成膜した後、これを事後的に後酸化する場合、具体的には、透明高分子フィルム上に上述した積層構造部を形成した後、積層構造部中の金属層や部分酸化された金属酸化物層を後酸化させる等すれば良い。なお、金属層の成膜には、スパッタリング法等を、部分酸化された金属酸化物層の成膜には、上述した反応性スパッタリング法等を用いれば良い。なお、後酸化は、上記溝部形成前、溝部形成後の何れに行っても良い。
また、後酸化手法としては、加熱処理、加圧処理、化学処理、自然酸化等を例示することができる。これら後酸化手法のうち、比較的簡単かつ確実に後酸化を行うことができるなどの観点から、加熱処理が好ましい。上記加熱処理としては、例えば、上述した積層構造部を有する透明高分子フィルムを加熱炉等の加熱雰囲気中に存在させる方法、温水中に浸漬する方法、マイクロ波加熱する方法や、積層構造部中の金属層や部分酸化された金属酸化物層等を通電加熱する方法などを例示することができる。これらは1または2以上組み合わせて行っても良い。
上記加熱処理時の加熱条件としては、具体的には、例えば、好ましくは、30℃〜60℃、より好ましくは、32℃〜57℃、さらに好ましくは、35℃〜55℃の加熱温度、加熱雰囲気中に存在させる場合、好ましくは、5日間以上、より好ましくは、10日間以上、さらに好ましくは、15日間以上の加熱時間から選択すると良い。上記加熱条件の範囲内であれば、後酸化効果、透明高分子フィルムの熱変形・融着抑制等が良好だからである。
また、上記加熱処理時の加熱雰囲気は、大気中、高酸素雰囲気中、高湿度雰囲気中など酸素や水分の存在する雰囲気が好ましい。特に好ましくは、製造性、低コスト化等の観点から、大気中であると良い。
積層構造部中に上述した後酸化薄膜を含んでいる場合には、後酸化時に、金属酸化物層中に含まれていた水分や酸素が消費されているため、太陽光が当たっても金属酸化物層が化学反応し難くなる。具体的には、例えば、金属酸化物層がゾル−ゲル法により形成されている場合、後酸化時に、金属酸化物層中に含まれていた水分や酸素が消費されているため、金属酸化物層中に残存していたゾル−ゲル法による出発原料(金属アルコキシド等)と水分(吸着水等)・酸素等とが、太陽光によってゾルゲル硬化反応し難くなる。そのため、硬化収縮等の体積変化によって生じる内部応力を緩和することが可能となり、積層構造部の界面剥離等を抑制しやすくなる等、太陽光に対する耐久性を向上させやすくなる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
1.透明積層フィルム(溝部有り)の構成
実施例に用いた透明積層フィルムは、以下の7層積層構造部を有する透明積層フィルムとした。すなわち、ゾル−ゲル法及びUV照射によるTiO層(1層目)│金属Ti層/Ag−Cu合金層/金属Ti層が、後酸化されて形成された層(2層目)│ゾル−ゲル法及びUV照射によるTiO層(3層目)│金属Ti層/Ag−Cu合金層/金属Ti層が、後酸化されて形成された層(4層目)│ゾル−ゲル法及びUV照射によるTiO層(5層目)│金属Ti層/Ag−Cu合金層/金属Ti層が、後酸化されて形成された層(6層目)│ゾル−ゲル法及びUV照射によるTiO層(7層目)が、両面に易接着層が形成されたPETフィルムの一方の易接着層上に順に積層された積層構造部を有している。なお、上記金属Ti層が後酸化されて形成されたものが、バリア層に該当する。バリア層は、合金層に付随する薄膜層として、合金層に含めて積層数を数えている。また、上記後酸化は、具体的には、熱酸化である。7層積層構造部の表面には、保護層を備えている。
PETフィルムの易接着層上に積層構造を形成すると、積層構造形成時に積層構造の金属層に亀裂が入る。これにより、金属層に溝部が形成され、金属層の連続性を分断することができ、表面抵抗値を増大させることができる。
2.透明積層フィルム(溝部有り)の作製方法
以下、上記透明積層フィルム(溝部有り)の具体的な作製手順を示す。
(コーティング液の調製)
先ず、ゾル−ゲル法によるTiO層の形成に使用するコーティング液を調製した。すなわち、チタンアルコキシドとして、テトラ−n−ブトキシチタン4量体(日本曹達(株)製、「B4」)と、紫外線吸収性のキレートを形成する添加剤として、アセチルアセトンとを、n−ブタノールとイソプロピルアルコールとの混合溶媒に配合し、これを攪拌機を用いて10分間混合することにより、コーティング液を調製した。この際、テトラ−n−ブトキシチタン4量体/アセチルアセトン/n−ブタノール/イソプロピルアルコールの配合は、それぞれ6.75質量%/3.38質量%/59.87質量%/30.00質量%とした。
(各層の積層)
透明高分子フィルムとして、易接着層が両面に形成された厚み125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、「コスモシャイン(登録商標)A4300」)(以下、「PETフィルム」という。)を用い、この両面に易接着層が形成されたPETフィルムの一方の易接着層上に、1層目として、TiO層を以下の手順により成膜した。
すなわち、PETフィルムのPET面側に、マイクログラビアコーターを用いて、それぞれ所定の溝容積のグラビアロールで上記コーティング液を連続的に塗工した。次いで、インラインの乾燥炉を用いて、塗工膜を100℃で80秒間乾燥させ、TiO層の前駆体層を形成した。次いで、インラインの紫外線照射機〔高圧水銀ランプ(160W/cm)〕を用いて、上記塗工時と同線速で、上記前駆体層に対して連続的に紫外線を1.5秒間照射した。これによりPETフィルム上に、ゾルゲル硬化時に紫外線エネルギーを用いるゾル−ゲル法(以下「(ゾルゲル+UV)」と省略することがある。)によるTiO層(1層目)を成膜した。
次に、1層目の上に、2層目を構成する各薄膜を成膜した。すなわち、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、1層目のTiO層上に、下側の金属Ti層をスパッタリングにより成膜した。次いで、この下側の金属Ti層上に、Ag−Cu合金層をスパッタリングにより成膜した。次いで、このAg−Cu合金層上に、上側の金属Ti層をスパッタリングにより成膜した。
この際、上側および下側の金属Ti層の成膜条件は、Tiターゲット(純度4N)、真空到達圧:5×10−6(Torr)、不活性ガス:Ar、ガス圧:2.5×10−3(Torr)、投入電力:1.5(kW)、成膜時間:1.1秒とした。
また、Ag−Cu合金薄膜の成膜条件は、Ag−Cu合金ターゲット(Cu含有量:4原子%)、真空到達圧:5×10−6(Torr)、不活性ガス:Ar、ガス圧:2.5×10−3(Torr)、投入電力:1.5(kW)、成膜時間:1.1秒とした。
次に、3層目として、2層目の上に、(ゾルゲル+UV)によるTiO層を成膜した。ここでは、1層目に準じた成膜手順を2回行うことにより、所定の膜厚とした。
次に、4層目として、3層目の上に、4層目を構成する各薄膜を成膜した。ここでは、2層目に準じた成膜手順を行った。
但し、Ag−Cu合金薄膜の成膜時に、上述した成膜条件を、Ag−Cu合金ターゲット(Cu含有量:4原子%)、真空到達圧:5×10−6(Torr)、不活性ガス:Ar、ガス圧:2.5×10−3(Torr)、投入電力:1.8(kW)、成膜時間:1.1秒と変更することで、膜厚を変化させた。
次に、5層目として、4層目の上に、3層目と同じ構成の(ゾルゲル+UV)によるTiO層を成膜した。
次に、6層目として、5層目の上に、2層目と同じ構成の各薄膜を成膜した。
次に、7層目として、6層目の上に、(ゾルゲル+UV)によるTiO層を成膜した。ここでは、1層目に準じた成膜手順を1回行うことにより、所定の膜厚とした。
その後、上記積層工程を経て得られた透明積層フィルムを、加熱炉内にて、40℃で300時間加熱処理することにより、積層構造部中に含まれる金属Ti層/Ag−Cu合金層/金属Ti層(2、4、6層目)を後酸化させた。
以上により、7層積層構造部を有する透明積層フィルム(溝部有り)を作製した。
なお、TiO層の屈折率(測定波長は633nm)を、FilmTek3000(Scientific Computing International社製)により測定した。
また、TiO層中に含まれる有機分の含有量を、X線光電子分光法(XPS)により測定した。
また、金属Ti層を後酸化させて形成したチタン酸化物薄膜についてEDX分析を行い、Ti/O比を次のようにして求めた。
すなわち、透明積層フィルムをミクロトーム(LKB(株)製、「ウルトロームV2088」)により切り出し、分析対象となるチタン酸化物層(バリア層)を含む積層構造部の断面方向の厚みが100nm以下の試験片を作製した。作製した試験片の断面を、電界放出型電子顕微鏡(HRTEM)(日本電子(株)製、「JEM2001F」)により確認した。そして、EDX装置(分解能133eV以下)(日本電子(株)製、「JED−2300T」)を用い、この装置の電子銃から電子線を放出させ、分析対象となるチタン酸化物層(バリア層)の膜厚中央部近傍に入射させ、発生した特性X線を検出して分析することにより、チタン酸化物層(バリア層)の構成元素分析を行った。
また、合金層中の副元素Cuの含有量を次のようにして求めた。すなわち、各成膜条件において、別途、ガラス基板上にAg−Cu合金層を形成した試験片を作製し、この試験片を6%HNO溶液に浸漬し、20分間超音波による溶出を行った後、得られた試料液を用いて、ICP分析法の濃縮法により測定した。
また、各層の膜厚を、上記電界放出型電子顕微鏡(HRTEM)(日本電子(株)製、「JEM2001F」)による試験片の断面観察から測定した。また、金属層に形成された溝部の幅を、上記電界放出型電子顕微鏡(HRTEM)(日本電子(株)製、「JEM2001F」)による試験片の表面観察から測定した。
表1に、7層積層構造部を有する透明積層フィルム(溝部有り)の詳細な層構成を示す。
3.合わせガラスの作製
作製した上記の溝部を有する透明積層フィルムを2枚のポリビニルブチラール膜(厚み380μm)で挟み、さらにポリビニルブチラール膜の外側から2枚のガラス板(厚み2mm)で挟んで得られる積層体をオートクレーブ内に入れ、135℃×13kgf/cm×20分の条件下で処理することにより、合わせガラス化を行った。これにより、実施例1〜3、参考例1の合わせガラスを作製した。合わせガラス化を行ったことにより、金属層の分断化を進行させた。なお、実施例1〜3、参考例1は、透明積層フィルムのゾルゲル硬化時の紫外線エネルギー(紫外線の照射光量)が互いに異なる条件で紫外線照射が行われて形成されたものである。紫外線の照射光量を表2に示す。
4.透明積層フィルムおよび合わせガラスの評価
<金属層の島の数>
合わせガラス内の透明積層フィルムの表面をレーザー顕微鏡(オリンパス社製「LEXT OLS4000(LEXTは登録商標)」)で各2視野(322μm四方)観察し、画像処理により2値化して、金属層が分断された数(金属層の島の数)を計測した。金属層の島の数は、2視野の平均で表した。
<表面抵抗値の測定>
DELCOM社製「非接触抵抗率計 Model 717H」を用いて、透明積層フィルムおよび合わせガラスのそれぞれについて、表面抵抗値を測定した。より具体的には、透明積層フィルムおよび合わせガラスのそれぞれについて、50mm角の合せガラスを用意し、測定した。
<可視光線透過率の測定>
JIS R3212に準拠して、合わせガラスの可視光線透過率を求めた。
<太陽光全透過率の測定>
日射遮蔽性の評価のため、ISO13837に準拠して、合わせガラスの太陽光全透過率を求めた。
表2に、これらの測定結果を示す。また、図4には、実施例1〜3、参考例1のそれぞれについて、透明積層フィルム単体の表面、および、合わせガラス内の透明積層フィルムの表面を、レーザー顕微鏡(オリンパス社製「LEXT OLS4000(LEXTは登録商標)」)で撮影して得られた画像を示す。
図4から、合わせガラス化したことにより、金属層の分断化が進行し、溝幅が広がっていることがわかる。また、表2から、合わせガラス化したことにより、表面抵抗値が上昇していることがわかる。そして合わせガラスの状態で、金属層が322μm四方あたり5個以上に分断されていれば、全体の表面抵抗値を100Ω/□以上にできることが確認された。したがって、このような構成とすることにより、電波透過性を満足できることが確認された。また、表2から、10個以上に分断されていれば全体の表面抵抗値を150Ω/□以上にでき、20個以上に分断されていれば全体の表面抵抗値を2000Ω/□以上にできることが確認された。
また、本発明の透明積層フィルムは、有機分を含有する金属酸化物層と金属層とを積層してなる積層構造部を有するものであり、溝部の幅が30μm以下に設定されていることから、日射遮蔽性、可視光透過性に優れるとともに、溝部も見え難く、視認性にも優れる。
以上、本発明の実施形態・実施例について説明したが、本発明は上記実施形態・実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
10 遮熱性合わせ構造体
12 透明積層フィルム
14 透明基材
16 接着層

Claims (17)

  1. 透明高分子フィルムの少なくとも一方面に有機分を含有する金属酸化物層と金属層とが積層されてなる積層構造部を有し該積層構造部に幅30μm以下の溝部が形成された透明積層フィルムを挟んで2枚の透明基材が貼り合わされており、前記金属層が322μm四方あたり5個以上に分断されていることを特徴とする遮熱性合わせ構造体。
  2. 透明高分子フィルムの少なくとも一方面に有機分を含有する金属酸化物層と金属層とが積層されてなる積層構造部を有し該積層構造部に幅30μm以下の溝部が形成された透明積層フィルムが2枚の透明基材で挟まれており、圧力が加えられて前記2枚の透明基材が前記透明積層フィルムを挟んで貼り合わされているとともに、前記圧力により前記透明積層フィルムの金属層の分断化を進行させたことにより前記金属層が322μm四方あたり5個以上に分断されていることを特徴とする請求項1に記載の遮熱性合わせ構造体。
  3. 透明高分子フィルムの少なくとも一方面に有機分を含有する金属酸化物層と金属層とが積層されてなる積層構造部を有する透明積層フィルムの前記積層構造部に幅30μm以下の溝部を形成して前記金属層を分断し、該透明積層フィルムを、2枚の透明基材で挟み、圧力を加えて前記2枚の透明基材を前記透明積層フィルムを挟んで貼り合わせるとともに、前記圧力により前記透明積層フィルムの金属層の分断化を進行させて、前記金属層を322μm四方あたり5個以上に分断することを特徴とする遮熱性合わせ構造体の製造方法。
  4. 前記溝部の形成は、前記有機分を含有する金属酸化物層を形成する出発原料を反応させ、その反応過程で前記積層構造部に生じた応力によって亀裂を発生させることにより行われることを特徴とする請求項3に記載の遮熱性合わせ構造体の製造方法。
  5. 前記有機分はゾル−ゲル法による出発原料の残存分であり、前記溝部の形成は、酸素、オゾンおよび水から選択される1種または2種以上を含む雰囲気下にて、前記積層構造部に対してその表面からエネルギーを与える手順を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の遮熱性合わせ構造体の製造方法。
  6. 前記溝部の形成は、前記積層構造部の表面をレーザー加工することにより行われることを特徴とする請求項3に記載の遮熱性合わせ構造体の製造方法。
  7. 前記溝部の形成は、フィルムの延伸により行われることを特徴とする請求項3に記載の遮熱性合わせ構造体の製造方法。
  8. 前記延伸は二軸延伸であることを特徴とする請求項7に記載の遮熱性合わせ構造体の製造方法。
  9. 前記溝部の形成は、易接着層を介して前記透明高分子フィルムの少なくとも一方面に前記積層構造部を形成することにより行われることを特徴とする請求項3または4に記載の遮熱性合わせ構造体の製造方法。
  10. 前記有機分を含有する金属酸化物層は、ゾルゲル硬化時に光エネルギーを用いるゾル−ゲル法により形成することを特徴とする請求項3から9のいずれか1項に記載の遮熱性合わせ構造体の製造方法。
  11. 前記金属層の少なくとも一方面に、金属酸化物より主に構成されるバリア層を形成することを特徴とする請求項3から10のいずれか1項に記載の遮熱性合わせ構造体の製造方法。
  12. 前記金属酸化物層は、チタン酸化物層であることを特徴とする請求項3から11のいずれか1項に記載の遮熱性合わせ構造体の製造方法。
  13. 前記金属層は、銀層または銀合金層であることを特徴とする請求項3から12のいずれか1項に記載の遮熱性合わせ構造体の製造方法。
  14. 前記バリア層は、チタン酸化物より主に構成されることを特徴とする請求項11から13のいずれか1項に記載の遮熱性合わせ構造体の製造方法。
  15. 前記バリア層の形成は、金属Ti層を後酸化することにより行われる、または、部分酸化されたチタン酸化物層を後酸化することにより行われることを特徴とする請求項11から14のいずれか1項に記載の遮熱性合わせ構造体の製造方法。
  16. 請求項3から15のいずれか1項に記載の製造方法により得られる遮熱性合わせ構造体。
  17. 圧力を加えて貼り合わされる2枚の透明基材の間に配置される透明積層フィルムであって、
    透明高分子フィルムの少なくとも一方面に有機分を含有する金属酸化物層と金属層とが積層されてなる積層構造部を有し、
    該積層構造部に形成された幅30μm以下の溝部によって前記金属層が322μm四方あたり5個以上に分断されており、
    表面抵抗値が10Ω/□以上に設定されていることを特徴とする合わせ構造体用透明積層フィルム。
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