JP6280758B2 - 光透過性積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、ビル・住宅等の建築物の窓ガラスや自動車等の車両の窓ガラスなどに好適に用いられる光透過性積層体に関するものである。
ビル・住宅等の建築物の窓ガラスや自動車等の車両の窓ガラスなどには日射を遮蔽する目的で遮熱性を有する光透過性積層体が施工されることがある。この種の光透過性積層体としては、赤外線反射層と赤外線反射層の表面に設けられたポリシクロオレフィン層からなる保護層と赤外線反射層を裏面側から支持する透明基板とを有する赤外線反射基板(特許文献1)、透明高分子フィルムの面に金属酸化物層と金属層とが交互に積層された透明積層部と硬化物よりなる保護層とを有する透明積層フィルム(特許文献2)、基材の面に反射層とオレフィン系樹脂層およびハードコート層で構成される保護層とを有する赤外線反射フィルム(特許文献3)などが知られている。
特開2011−104887号公報 特開2012−030577号公報 特開2013−010341号公報
しかし、ポリシクロオレフィン層は赤外線反射層の面上に形成する際に熱収縮するため、赤外線反射層が複数の薄膜で構成されると、ポリシクロオレフィン層の収縮応力が赤外線反射層のポリシクロオレフィン層に接する最外の薄膜に伝えられ、最外の薄膜とその内側の薄膜の間で剥離が生じることがある。この場合、光透過性積層体の周縁(端部)から塩水が浸入し、赤外線反射層の金属の腐食が進行して、赤外線反射層の特性低下や外観悪化が生じる。
また、硬化物よりなる保護層は透明積層部の面上に形成する際に硬化収縮するため、ポリシクロオレフィン層の場合と同様、透明積層部の硬化物よりなる保護層に接する最外の薄膜とその内側の薄膜との間で剥離が生じ、光透過性積層体の周縁(端部)から腐食が進行することがある。硬化物よりなる保護層では、硬化収縮する結果、さらに面の外側から塩水が浸入して腐食が進行することがある。
また、保護層がオレフィン系樹脂層およびハードコート層で構成される場合も同様で、反射層が複数の薄膜で構成されると、オレフィン系樹脂層やハードコート層の収縮応力が反射層のオレフィン系樹脂層に接する最外の薄膜に伝えられ、最外の薄膜とその内側の薄膜との間で剥離が生じることがある。なお、特許文献3では、保護層が接着層を介して反射層に積層される場合についても示されているが、接着層には固化により剥離抵抗力を発揮するとされている接着剤が用いられ、接着剤は保護層と反射層を接着する観点から用いられているため、ヤング率が高く、オレフィン系樹脂層やハードコート層の収縮応力を十分に緩和することができない。
本発明が解決しようとする課題は、薄膜層中に含まれる金属薄膜の塩水腐食を抑えることができる光透過性積層体を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る光透過性積層体は、光透過性基板の面上に、金属薄膜と前記光透過性基板よりも屈折率の高い高屈折率薄膜とが含まれる複数の薄膜が積層されてなる薄膜層と、粘着剤層および/または接着剤層と、ポリオレフィン層と、をこの順で有し、前記粘着剤層および/または接着剤層のヤング率が1200MPa以下であることを要旨とするものである。
そして、前記粘着剤層および/または接着剤層の厚みは0.3〜22μmであることが好ましい。
本発明に係る光透過性積層体によれば、複数の薄膜が積層されてなる薄膜層とポリオレフィン層との間に、ヤング率の低い粘着剤層および/または接着剤層を有しているため、薄膜層がポリオレフィン層の収縮応力の影響を受けにくくなり、薄膜層の複数の薄膜間で剥離が抑えられる。これにより、薄膜層の端部(周縁)からの塩水の浸入が抑えられ、薄膜層の端部(周縁)を起点とする、薄膜層中に含まれる金属薄膜の塩水腐食が抑えられる。また、薄膜層はポリオレフィン層に覆われるため、薄膜層の面からの塩水の浸入も抑えられ、薄膜層の面を起点とする、薄膜層中に含まれる金属薄膜の塩水腐食も抑えられる。
そして、粘着剤層および/または接着剤層の厚みが0.3〜22μmであると、ポリオレフィン層との密着性と断熱性を高度に両立することができる。
本発明の一実施形態に係る光透過性積層体の断面図である。 光透過性積層体を窓ガラスなどの被着体に施工した状態を示す断面図である。 粘着剤層および/または接着剤層のヤング率と光透過性積層体の周縁(端部)からの腐食深度の関係を示すグラフである。
本発明に係る光透過性積層体について詳細に説明する。
本発明に係る光透過性積層体は、光透過性基板の面上に、金属薄膜と高屈折率薄膜とが含まれる複数の薄膜が積層されてなる薄膜層と、粘着剤層および/または接着剤層と、ポリオレフィン層と、をこの順で有している。
図1には、本発明に係る光透過性積層体の一実施形態を示す。図1に示す光透過性積層体10は、光透過性基板12の面上に、金属薄膜と高屈折率薄膜とが含まれる複数の薄膜が積層されてなる薄膜層14と、粘着剤層16と、ポリオレフィン層18と、をこの順で有している。
薄膜層14は、光透過性基板12の一方の面上に直接形成されている。薄膜層14とポリオレフィン層18の間には粘着剤層16が設けられており、粘着剤層16は薄膜層14とポリオレフィン層18の両方に接している。つまり、ポリオレフィン層18は、粘着剤層16を介して薄膜層14の面上に設けられている。よって、光透過性積層体10は、光透過性基板12と、光透過性基板12に接する薄膜層14と、薄膜層14に接する粘着剤層16と、粘着剤層16に接するポリオレフィン層18と、をこの順で有している。
光透過性積層体10において、薄膜層14は光透過性基板12の一方の面上にのみ形成されており、薄膜層14が形成されている面とは反対の面である他方の面上には、粘着剤層22と、セパレータ24とがこの順で設けられている。粘着剤層22は光透過性積層体10を窓ガラスなどの被着体に貼着するためのものであり、セパレータ24を剥がして粘着剤層22を介して光透過性積層体10は窓ガラスなどの被着体に貼着することができる。ポリオレフィン層18の面上には、必要に応じて、硬化樹脂層20を形成してもよい。
光透過性基板12は、薄膜層14を形成するためのベースとなる基材である。光透過性基板12の材料としては、光透過性を有し、その表面に薄膜を支障なく形成でき、柔軟性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、光透過性高分子フィルムやフレキシブルガラスなどが挙げられる。光透過性とは、波長領域360〜830nmにおける透過率の値が50%以上であることをいう。
光透過性高分子フィルムの材料としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、トリアセチルセルロース、ポリウレタン、シクロオレフィンポリマーなどの高分子材料が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、透明性、耐久性、加工性に優れるなどの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマーがより好ましい材料として挙げられる。
光透過性高分子フィルムの厚みは、用途、光学特性、材料種、耐久性などを考慮して適宜調整すればよい。例えば加工時にしわが入りにくい、破断しにくいなどの観点から、25μm以上が好ましい。より好ましくは50μm以上である。また、柔軟性、取り扱い性、経済性などの観点から、500μm以下が好ましい。より好ましくは250μm以下である。フレキシブルガラスの厚みは、用途、光学特性、耐久性などを考慮して適宜調整すればよい。
薄膜層14は、金属薄膜と高屈折率薄膜とが含まれる複数の薄膜が積層されてなるものである。薄膜層14に含まれる金属薄膜および高屈折率薄膜の数やその位置は特に限定されるものではない。より好ましい薄膜層14の構成としては、金属薄膜と高屈折率薄膜とが交互に配置される構成、高屈折率薄膜が薄膜層14の両側にそれぞれ配置される構成、これらの組み合わせなどが挙げられる。
薄膜層14の層数は、光透過性、日射遮蔽性などの光学特性の要求などに応じて適宜設定すればよい。薄膜層14の層数としては、各薄膜の材料や膜厚、製造コストなどを考慮すると、2〜10層の範囲内であることが好ましい。また、光学特性を考慮すると、奇数層がより好ましく、特に3層、5層、7層、9層が好ましい。また、コストの面から3層がより好ましい。
薄膜層14の特に好ましい構成を具体的に示すと、光透過性基板12側から順に、高屈折率薄膜/金属薄膜(2層)、金属薄膜/高屈折率薄膜(2層)、高屈折率薄膜/金属薄膜/高屈折率薄膜(3層)、金属薄膜/高屈折率薄膜/金属薄膜(3層)、高屈折率薄膜/金属薄膜/高屈折率薄膜/金属薄膜/高屈折率薄膜(5層)、金属薄膜/高屈折率薄膜/金属薄膜/高屈折率薄膜/金属薄膜(5層)、高屈折率薄膜/金属薄膜/高屈折率薄膜/金属薄膜/高屈折率薄膜/金属薄膜/高屈折率薄膜(7層)、金属薄膜/高屈折率薄膜/金属薄膜/高屈折率薄膜/金属薄膜/高屈折率薄膜/金属薄膜(7層)などが挙げられる。
金属薄膜は、遠赤外線を反射しやすい金属から構成され、日射遮蔽層として機能することができる。高屈折率薄膜は、金属薄膜とともに積層されることで光透過性を高めるなどの機能を発揮することができる。高屈折率薄膜は、光透過性基板よりも高い屈折率を持つ。屈折率は、633nmの光に対する屈折率をいう。高屈折率薄膜としては、金属酸化物薄膜や有機薄膜などが挙げられる。
高屈折率薄膜を2層以上有する場合、高屈折率薄膜は、金属酸化物薄膜のみで構成されていてもよいし、有機薄膜のみで構成されていてもよいし、金属酸化物薄膜と有機薄膜の両方が含まれる構成であってもよい。また、高屈折率薄膜を2層以上有する場合、すべての高屈折率薄膜が同一の材料からなるものであってもよいし、一部の高屈折率薄膜が他とは異なる材料からなるものであってもよいし、すべての高屈折率薄膜が互いに異なる材料からなるものであってもよい。
高屈折率薄膜が金属酸化物薄膜の場合、薄膜層14にはバリア薄膜がさらに含まれていてもよい。バリア薄膜は、金属薄膜の一方面または両面に形成される。バリア薄膜は金属薄膜に付随する薄膜であり、金属薄膜とともに1層として数える。バリア薄膜は、金属薄膜を構成する元素が金属酸化物薄膜中に拡散するのを抑制する。
ポリオレフィン層18は、ポリオレフィンが含まれる材料で構成される。ポリオレフィン層18は、薄膜層14の面を覆っており、薄膜層14の面から金属薄膜に塩水が浸入するのを抑えることができる。薄膜層14の面からの塩水腐食を抑える効果に優れるなどの理由で、ポリオレフィン層18はポリオレフィンフィルムから形成されることが好ましい。また、ポリオレフィンは比較的柔軟な材料であることから、ポリオレフィン層18は、柔軟性に優れ、光透過性積層体10を窓ガラスなどの被着体に施工するときのスキージ応力を緩和することができる。ポリオレフィン層18の材料としては、ポリオレフィンであれば特に限定されるものではない。ポリオレフィン層18の材料としては、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィンなどが挙げられる。ポリオレフィン層18の材料としては、光透過性に優れるなどの観点から、ポリプロピレンが好ましい。特に、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)が好ましい。
ポリオレフィン層18の厚みとしては、断熱性に優れる(熱貫流率を低く抑える)などの観点から、30μm以下であることが好ましい。より好ましくは24μm以下である。また、施工時のスキージ応力を緩和する効果に優れるなどの観点から、10μm以上であることが好ましい。より好ましくは13μm以上である。
粘着剤層16は、ポリオレフィン層18を薄膜層14の面上に接着することができる。薄膜層14とポリオレフィン層18の間に粘着剤層16を有していることで、薄膜層14とポリオレフィン層18の層間密着性を良好にできる。粘着剤は、表面の粘着性を利用して圧力をかけて接着するものであり、感圧接着剤として、固化により剥離抵抗力を発揮する接着剤とは区別される。粘着剤としては、アクリル樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤、ウレタン系粘着剤などが挙げられる。
なお、ここでは、粘着剤層16と示しているが、粘着剤層16に代えて接着剤層としてもよい。また、粘着剤層16に加えて接着剤層を粘着剤層16よりも薄膜層14側あるいはポリオレフィン層18のいずれかに配置してもよい。接着剤層の接着剤としては、ヤング率の観点から、ゴム系接着剤が挙げられる。ゴム系接着剤としては、クロロプレンゴム系接着剤、スチレンブタジエンゴム系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、シリコーンゴム系接着剤、フッ素ゴム系接着剤などが挙げられる。
粘着剤層や接着剤層は、ヤング率の低いものからなる。具体的には、ヤング率が1200MPa以下のものからなる。ヤング率の低い粘着剤層や接着剤層により、薄膜層がポリオレフィン層の収縮応力の影響を受けにくくなり、薄膜層の複数の薄膜間で剥離が抑えられる。これにより、薄膜層14の端部(周縁)から塩水腐食が進行するのを抑えることができる。また、ヤング率の低い粘着剤層や接着剤層は、これ自体の収縮が小さいため、自身の収縮による薄膜層14の複数の薄膜間での剥離も抑えられる。
粘着剤層や接着剤層のヤング率は、応力緩和などによる薄膜層14の端部(周縁)からの塩水腐食を抑える観点から、900MPa以下であることが好ましい。より好ましくは300MPa以下である。一方、遮熱目的で用いられる光透過性積層体10は日射により高温にさらされることから、この場合には高温クリープ特性も重要である。高温クリープ特性に優れるなどの観点から、粘着剤層や接着剤層のヤング率は、28.5MPa以上であることが好ましい。より好ましくは67.3MPa以上である。なお、高温クリープ特性を測る温度は、日射による高温にさらされることを想定し、40℃程度である。粘着剤層や接着剤層のヤング率は、例えば、主剤および硬化剤の種類、配合比率、添加剤の配合などにより調整することが可能である。なお、添加剤としては、可塑剤などが挙げられる。
また、粘着剤層や接着剤層は、応力緩和などによる薄膜層14の端部(周縁)からの塩水腐食を抑える観点から、ゲル分率が99%以下であることが好ましい。より好ましくは90%以下、さらに好ましくは80%以下である。ゲル分率は、粘着剤層や接着剤層のヤング率に相関する。ゲル分率が高いほどヤング率は高くなり、ゲル分率が低いほどヤング率は低くなる。ゲル分率は、ヤング率を図る指標として用いることができる。
粘着剤層や接着剤層の厚みとしては、断熱性に優れる(熱貫流率を低く抑える)などの観点から、22.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは5.0μm以下、さらに好ましくは2.0μm以下である。また、ポリオレフィン層18との密着性に優れるなどの観点から、0.3μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1.0μm以上である。また、高温クリープ特性に優れるなどの観点から、0.3μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1.0μm以上である。
硬化樹脂層20は、薄膜層14やポリオレフィン層18の面上を覆っており、これらの表面に傷が付くのを抑えることができる。硬化樹脂層20の材料としては、シリコーン樹脂やアクリル樹脂などが挙げられる。シリコーン樹脂やアクリル樹脂は、熱硬化性であっても良いし、光硬化性であっても良いし、水硬化性であっても良い。アクリル樹脂としては、アクリル・ウレタン樹脂、シリコンアクリル樹脂、アクリル・メラミン樹脂などが挙げられる。
硬化樹脂層20の厚みは、断熱性に優れる(熱貫流率を低く抑える)などの観点から、2.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは1.6μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下である。また、耐擦傷性に優れるなどの観点から、0.4μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.6μm以上、さらに好ましくは0.8μm以上である。
ポリオレフィン層18の粘着剤層16に接する面や硬化樹脂層20に接する面には、必要に応じて、層間密着性を向上させるなどの目的で、表面処理が施されていてもよい。このような表面処理としては、コロナ処理などが挙げられる。また、ポリオレフィン層18の粘着剤層16に接する面や硬化樹脂層20に接する面には、層間密着性を向上させるなどの目的で、易接着層が設けられていてもよい。易接着層としては、極性基を有する変性ポリオレフィン層、アクリル樹脂層などが挙げられる。極性基としては、N、O、Sなどのヘテロ原子を有するものなどが挙げられる。変性ポリオレフィンとしては、極性基を有するポリプロピレンコポリマー、極性基を有するポリエチレン、極性基を有するポリイソプレン、極性基を有するポリイソブチレンなどが挙げられる。
光透過性積層体10は、例えば、以下のようにして製造することができる。光透過性基板12上に、所定の積層構造となるように各薄膜を所定の薄膜形成手法によって順次積み上げて薄膜層14を形成する。その後、必要に応じて、後酸化等の熱処理を行う。その後、薄膜層14の表面に、粘着剤を塗工して粘着剤層16を形成する。その後、粘着剤層16の表面に、ポリオレフィンフィルムを配置して圧力を加えてポリオレフィン層18を形成する。以上により光透過性積層体10を得ることができる。硬化樹脂層20は、ポリオレフィン層18の面上に硬化性樹脂を塗工して塗工膜を形成するとともに、形成した塗工膜に対して硬化処理を行うことにより形成することができる。なお、粘着剤に代えて接着剤を用いる場合には、薄膜層14の表面に接着剤を塗工し、その塗工膜上にポリオレフィンフィルムを配置した後、接着剤を硬化させればよい。
光透過性積層体10は、ビル・住宅等の建築物の窓ガラスや自動車等の車両の窓ガラスなどに好適に施工される。図2には、光透過性積層体10を窓ガラスなどの被着体30に施工した状態を示す。図2に示すように、光透過性積層体10は、室内側に配置され、薄膜層14が形成されている面を室内側に、薄膜層14が形成されていない面を屋外側にして、被着体30に貼り付けられる。この際、粘着剤層22により光透過性積層体10を被着体30に貼り付けることができる。
こうして光透過性積層体10は、屋外から差し込む日射を薄膜層14で反射するので、良好な日射遮蔽性を有する。また、薄膜層14によって室内における冷暖房効果が向上するので、優れた断熱性を備える。そして、ハードコート層20によって良好な耐擦傷性が発揮され、ハードコート層20と薄膜層14の間に配置されたポリオレフィン層18よって施工時のスキージ応力が緩和され、粘着剤層16によってポリオレフィン層18の密着性が確保される。また、粘着剤層16により薄膜層14の端部からの塩水腐食が抑えられ、ポリオレフィン層18により薄膜層14の面からの塩水腐食が抑えられるので、塩水腐食による劣化が抑えられる。
なお、光透過性積層体10では、薄膜層14は光透過性基板12の一方の面上にのみ設けられているが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、薄膜層は光透過性基板12の両面上にそれぞれ設けられていてもよい。この場合、光透過性基板12の他方の面上に設けられた薄膜層の面上に、窓ガラスなどの被着体に貼着する粘着剤層を設けることができる。また、粘着剤層の面上に、セパレータを設けることができる。
また、光透過性積層体10では、薄膜層14とポリオレフィン層18の両方に接して粘着剤層16が設けられているが、薄膜層14とポリオレフィン層18の間で密着性が確保されるのであれば、薄膜層14と粘着剤層16の間や粘着剤層16とポリオレフィン層18の間に、粘着剤層以外の層が設けられていてもよい。このような層としては、接着剤よりなる接着剤層やバリア層などが挙げられる。バリア層は、一方の層の成分が他方の層に移行するのを抑えるものである。このようなバリア層としては、金属または金属酸化物などが挙げられる。
また、硬化樹脂層20はポリオレフィン層18に接して設けられているが、密着性が確保されるのであれば、ポリオレフィン層18と硬化樹脂層20の間に層が1層以上設けられていてもよい。このような層としては、上述する易接着層や、接着剤層、バリア層などが挙げられる。
また、光透過性積層体10では、薄膜層14は光透過性基板12に接して設けられているが、密着性が確保されるのであれば、光透過性基板12と薄膜層14の間に層が1層以上設けられていてもよい。このような層としては、上述する易接着層や、接着剤層、バリア層などが挙げられる。
本発明においては、薄膜層に溝部が形成されていてもよい。溝部は、薄膜層に含まれる金属薄膜を分断することで表面抵抗を高めて電波透過性を発現するものとなる。電波透過性を有する光透過性積層体は、室内あるいは車内での携帯電話やテレビジョン、ETC車載器等の使用に際し、電波受信を妨げないものとなる。溝部は、金属薄膜を分断するものであれば、薄膜層の厚さ方向の一部に形成されていてもよいが、表面抵抗値を高くしやすいなどの観点からいうと、薄膜層の厚さ方向の全体にわたって形成されているほうが好ましい。
薄膜層に形成する溝部の幅は、特に限定されるものではないが、電波透過性の面から0.05μm以上、視認性の面から30μm以下であることが好ましい。溝部の幅は、光学顕微鏡により薄膜層の表面を5枚撮影し、1枚ごとに溝部3箇所(計15箇所)について測定した幅の平均値で表すことができる。また、溝部を有する光透過性積層体の表面抵抗値は、電波透過性の観点から100Ω/□以上、日射遮蔽性、光透過性、外観等の観点から1000Ω/□以下が好ましい。表面抵抗値は渦電流計等を用いて測定することができる。
薄膜層に溝部を形成する方法としては、薄膜層にレーザー加工を施して溝部を形成する方法、光透過性基板に薄膜層が形成されたものに延伸加工を施して薄膜層に亀裂を発生させる方法、薄膜層に応力を加えて薄膜層に亀裂を発生させる方法などが挙げられる。亀裂はランダムに形成されることから、亀裂よりなる溝部は方向性のない溝部となりやすい。このため、表面抵抗の方向性が出にくく、表面抵抗が均一化されやすい。薄膜層に亀裂を発生させる応力を加える方法としては、例えば、薄膜層の高屈折率薄膜をゾル−ゲル法により形成する金属酸化物薄膜で構成する方法などがある。
この場合、金属酸化物薄膜は、金属酸化物前駆体の有機金属化合物に紫外線、電子線、熱等のエネルギーを与えてこれを加水分解・縮合反応させる(ゾル−ゲル硬化させる)ことにより形成することができる。金属酸化物薄膜の形成時には前駆体薄膜の硬化収縮応力が薄膜に蓄積される。この応力を解放することにより、薄膜層に亀裂を発生させることができる。この応力を解放しやすくするためには、薄膜層と光透過性基板の間に軟化温度の低い高分子材料が含まれる高分子層を設けることが好ましい。高分子層は、高分子フィルムから形成してもよいし、塗膜としてもよい。
高分子層が、金属酸化物薄膜の形成時の温度よりも低い軟化温度を有する場合には、金属酸化物薄膜の形成時に高分子層が軟化することによって薄膜層に蓄積された硬化収縮応力が解放されて薄膜層に亀裂が形成される。また、金属酸化物薄膜の形成時に高分子層が軟化しなくても、その後の加熱処理によって高分子層を軟化させることにより、薄膜層に蓄積された硬化収縮応力が解放されて薄膜層に亀裂が形成される。高分子層の軟化温度は、特に限定されるものではないが、ゾルゲル硬化時の温度によって、あるいは、加熱時の温度によって、柔軟性が増して亀裂を発生させやすいなどの観点から、140℃以下であることが好ましい。より好ましくは120℃以下である。一方、硬化収縮応力をある程度薄膜に蓄積してその後解放し、これにより亀裂を発生しやすくするなどの観点から、高分子層の軟化温度は40℃以上であることが好ましい。より好ましくは50℃以上である。なお、軟化温度は、非晶性高分子の場合はガラス転移温度(Tg)であり、結晶性高分子の場合は融点(Tm)であり、示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。
高分子層の高分子材料としては、具体的には、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂などが挙げられる。これらのうちでは、光学特性(透明性)に優れる、塗工性に優れるなどの観点から、アクリル樹脂、ブチラール樹脂が好ましい。また、軟化時における弾性率の変化(低下)が大きく溝部を形成しやすいなどの観点から、熱可塑性アクリル樹脂が好ましい。高分子層の厚みとしては、特に限定されるものではないが、製造上の観点などから0.05μm以上、溝部の端部の沈み込みによる溝部での乱反射を抑えるなどの観点から1.0μm以下が好ましい。
以下、薄膜層の金属酸化物薄膜、有機薄膜、金属薄膜、バリア薄膜について詳細に説明する。
薄膜層の金属酸化物薄膜の金属酸化物としては、チタンの酸化物、亜鉛の酸化物、インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウムとスズとの酸化物、マグネシウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、ジルコニウムの酸化物、ニオブの酸化物、セリウムの酸化物などが挙げられる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。また、これら金属酸化物は、2種以上の金属酸化物が複合した複合酸化物であっても良い。これらのうちでは、可視光に対する屈折率が比較的大きいなどの観点から、チタンの酸化物、インジウムとスズとの酸化物、亜鉛の酸化物、スズの酸化物などが好ましい。
金属酸化物薄膜は、気相法、液相法の何れでも形成することができる。液相法は、気相法と比較して、真空引きしたり、大電力を使用したりする必要がない。そのため、その分、コスト的に有利であり、生産性にも優れているので好適である。液相法としては、有機分を残存させやすいなどの観点から、ゾル−ゲル法を好適に利用することができる。
金属酸化物薄膜は、主として上述した金属酸化物より構成されているが、金属酸化物以外にも、有機分を含有していても良い。有機分を含有することで、光透過性積層体の柔軟性をより向上させることができるためである。この種の有機分としては、具体的には、例えば、ゾル−ゲル法の出発原料に由来する成分等、金属酸化物薄膜の形成材料に由来する成分などを例示することができる。
上記有機分としては、より具体的には、例えば、金属酸化物を構成する金属の金属アルコキシド、金属アシレート、金属キレートなどといった有機金属化合物(その分解物なども含む)や、上記有機金属化合物と反応して紫外線吸収性のキレートを形成する有機化合物(後述する)等の各種添加剤などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
金属酸化物薄膜中に含まれる有機分の含有量の下限値は、柔軟性を付与しやすいなどの観点から、好ましくは、3質量%以上、より好ましくは、5質量%以上、さらに好ましくは、7質量%以上であると良い。一方、金属酸化物薄膜中に含まれる有機分の含有量の上限値は、高屈折率を確保しやくなる、耐溶剤性を確保しやすくなるなどの観点から、好ましくは、30質量%以下、より好ましくは、25質量%以下、さらに好ましくは、20質量%以下であると良い。有機分の含有量は、X線光電子分光法(XPS)などを用いて調べることができる。また、上記有機分の種類は、赤外分光法(IR)(赤外吸収分析)などを用いて調べることができる。
上記ゾル−ゲル法としては、より具体的には、例えば、金属酸化物を構成する金属の有機金属化合物を含有するコーティング液を薄膜状にコーティングし、これを必要に応じて乾燥させ、金属酸化物薄膜の前駆体薄膜を形成した後、この前駆体薄膜中の有機金属化合物を加水分解・縮合反応させ、有機金属化合物を構成する金属の酸化物を合成するなどの方法を例示することができる。これによれば、金属酸化物を主成分として含み、有機分を含有する金属酸化物薄膜を形成することができる。以下、上記方法について詳細に説明する。
上記コーティング液は、上記有機金属化合物を適当な溶媒に溶解して調製することができる。この際、有機金属化合物としては、具体的には、例えば、チタン、亜鉛、インジウム、スズ、マグネシウム、アルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、セリウム、シリコン、ハフニウム、鉛などの金属の有機化合物などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
上記有機金属化合物としては、具体的には、例えば、上記金属の金属アルコキシド、金属アシレート、金属キレートなどを例示することができる。好ましくは、空気中での安定性などの観点から、金属キレートであると良い。
上記有機金属化合物としては、とりわけ、高屈折率を有する金属酸化物になり得る金属の有機化合物を好適に用いることができる。このような有機金属化合物としては、例えば、有機チタン化合物などを例示することができる。
上記有機チタン化合物としては、具体的には、例えば、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラメトキシチタンなどのM−O−R結合(Rはアルキル基を示し、Mはチタン原子を示す)を有するチタンのアルコキシドや、イソプロポキシチタンステアレートなどのM−O−CO−R結合(Rはアルキル基を示し、Mはチタン原子を示す)を有するチタンのアシレートや、ジイソプロポキシチタンビスアセチルアセトナート、ジヒドロキシビスラクタトチタン、ジイソプロポキシビストリエタノールアミナトチタン、ジイソプロポキシビスエチルアセトアセタトチタンなどのチタンのキレートなどを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。また、これらは単量体、多量体の何れであっても良い。
上記コーティング液中に占める有機金属化合物の含有量は、塗膜の膜厚均一性や一回に塗工できる膜厚などの観点から、好ましくは、1〜20質量%、より好ましくは、3〜15質量%、さらに好ましくは、5〜10質量%の範囲内にあると良い。
また、上記有機金属化合物を溶解させる溶媒としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘプタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、酢酸エチルなどの有機酸エステル、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのシクロエーテル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの酸アミド類、ヘキサンなどの炭化水素類、トルエンなどの芳香族類などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
この際、上記溶媒量は、上記有機金属化合物の固形分質量に対して、塗膜の膜厚均一性や一回に塗工できる膜厚などの観点から、好ましくは、5〜100倍量、より好ましくは、7〜30倍量、さらに好ましくは、10〜20倍量の範囲内であると良い。
上記溶媒量が100倍量より多くなると、一回のコーティングで形成できる膜厚が薄くなり、所望の膜厚を得るために多数回のコーティングが必要となる傾向が見られる。一方、5倍量より少なくなると、膜厚が厚くなり過ぎ、有機金属化合物の加水分解・縮合反応が十分に進行し難くなる傾向が見られる。したがって、上記溶媒量は、これらを考慮して選択すると良い。
上記コーティング液の調製は、例えば、所定割合となるように秤量した有機金属化合物と、適当な量の溶媒と、必要に応じて添加される他の成分とを、攪拌機などの撹拌手段により所定時間撹拌・混合するなどの方法により調製することができる。この場合、各成分の混合は、1度に混合しても良いし、複数回に分けて混合しても良い。
また、上記コーティング液のコーティング法としては、均一なコーティングが行いやすいなどの観点から、マイクログラビア法、グラビア法、リバースロールコート法、ダイコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スピンコート法、バーコート法など、各種のウェットコーティング法を好適なものとして例示することができる。これらは適宜選択して用いることができ、1種または2種以上併用しても良い。
また、コーティングされたコーティング液を乾燥する場合、公知の乾燥装置などを用いて乾燥させれば良く、この際、乾燥条件としては、具体的には、例えば、80℃〜120℃の温度範囲、0.5分〜5分の乾燥時間などを例示することができる。
また、前駆体薄膜中の有機金属化合物を加水分解・縮合反応させる手段としては、具体的には、例えば、紫外線、電子線、X線等の光エネルギーの照射、加熱など、各種の手段を例示することができる。これらは1種または2種以上組み合わせて用いても良い。これらのうち、好ましくは、光エネルギーの照射、とりわけ、紫外線照射を好適に用いることができる。他の手段と比較した場合、低温、短時間で金属酸化物を生成できるし、熱劣化など、熱による負荷を光透過性高分子フィルムに与え難いからである(とりわけ、紫外線照射の場合は、比較的簡易な設備で済む利点がある。)。また、有機分として、有機金属化合物(その分解物なども含む)などを残存させやすい利点もあるからである。
さらには、ゾルゲル硬化時に光エネルギーを用いるゾル−ゲル法を採用した場合には、スパッタ等により形成した金属酸化物薄膜に比べ、粗な金属酸化物薄膜とすることができる。そのため、建築物の窓ガラスなどに光透過性積層体を水貼り施工した場合に、窓ガラスとの間に水が残ったときでも、良好な水抜け性が得られ、水貼り施工性を向上させることができるなどの利点があるからである。
この際、用いる紫外線照射機としては、具体的には、例えば、水銀ランプ、キセノンランプ、重水素ランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプなどを例示することができる。これらは1種または2種以上組み合わせて用いても良い。
また、照射する光エネルギーの光量は、前駆体薄膜を主に形成している有機金属化合物の種類、前駆体薄膜の厚みなどを考慮して種々調節することができる。もっとも、照射する光エネルギーの光量が過度に小さすぎると、金属酸化物薄膜の高屈折率化を図り難くなる。一方、照射する光エネルギーの光量が過度に大きすぎると、光エネルギーの照射の際に生じる熱により光透過性高分子フィルムが変形することがある。したがって、これらに留意すると良い。
照射する光エネルギーが紫外線である場合、その光量は、金属酸化物薄膜の屈折率、光透過性高分子フィルムが受けるダメージなどの観点から、測定波長300〜390nmのとき、好ましくは、300〜8000mJ/cm、より好ましくは、500〜5000mJ/cmの範囲内であると良い。
なお、前駆体薄膜中の有機金属化合物を加水分解・縮合反応させる手段として、光エネルギーの照射を用いる場合、上述したコーティング液中に、有機金属化合物と反応して光吸収性(例えば、紫外線吸収性)のキレートを形成する有機化合物等の添加剤を添加しておくと良い。出発溶液であるコーティング液中に上記添加剤が添加されている場合には、予め光吸収性キレートが形成されたところに光エネルギーの照射がなされるので、比較的低温下において金属酸化物薄膜の高屈折率化を図り得やすくなるからである。
上記添加剤としては、具体的には、例えば、βジケトン類、アルコキシアルコール類、アルカノールアミン類などの添加剤を例示することができる。より具体的には、上記βジケトン類としては、例えば、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、マロン酸ジエチルなどを例示することができる。上記アルコキシアルコール類としては、例えば、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−メトキシ−2−プロパノールなどを例示することができる。上記アルカノールアミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
これらのうち、とりわけ、βジケトン類が好ましく、中でもアセチルアセトンを最も好適に用いることができる。
上記添加剤の配合割合は、屈折率の上がりやすさ、塗膜状態での安定性などの観点から、適宜調整すればよい。
金属酸化物薄膜の膜厚は、日射遮蔽性、視認性、反射色などを考慮して調節することができる。金属酸化物薄膜の膜厚の下限値は、反射色の赤色や黄色の着色を抑制しやすくなる、高透明性が得られやすくなるなどの観点から、好ましくは、10nm以上、より好ましくは、15nm以上、さらに好ましくは、20nm以上であると良い。一方、金属酸化物薄膜の膜厚の上限値は、反射色の緑色の着色を抑制しやすくなる、高透明性が得られやすくなるなどの観点から、好ましくは、90nm以下、より好ましくは、85nm以下、さらに好ましくは、80nm以下であると良い。
有機薄膜は、光透過性を有し、光透過性基板よりも高い屈折率を持つ。屈折率は、633nmの光に対する屈折率をいう。例えば、光透過性基板がポリエチレンテレフタレートフィルムからなる場合には、ポリエチレンテレフタレートフィルムの633nmの光に対する屈折率が1.58であるため、有機薄膜の633nmの光に対する屈折率は少なくとも1.59以上、好ましくは1.60以上である必要がある。より好ましくは1.65以上である。このようなポリマーであれば、特に限定されるものではない。
有機薄膜が金属薄膜に接して設けられる場合、層間密着性に優れるなどの面で、ポリマーとしては、さらに、N、S、Oから選択される少なくとも一種の元素を含む官能基を有することが好ましい。これらの元素は金属薄膜の金属と結びつきの強い元素であり、これらの元素を含む官能基により、有機薄膜を構成するポリマーは有機薄膜に接する金属薄膜と強く密着し、有機薄膜と金属薄膜の間の層間密着性が良好になる。N、S、Oの中でも特にN、Sが金属の中でもAgと結びつきの強い元素であり、NやSを含む官能基を有するポリマーからなる有機薄膜であれば、有機薄膜とAgを含む金属薄膜の間の層間密着性が特に良好になる。また、N、S、Oの中でも特にN、Sを含むポリマーは屈折率が比較的高い傾向にある点で、好ましい。
Nを含む官能基としては、カルバゾール基、イミド基、ニトリル基などが挙げられる。これらのうちでは、有機薄膜と金属薄膜の間の層間密着性により優れるなどの観点から、カルバゾール基、イミド基などがより好ましい。そして、Nを含む官能基を有するポリマーとしては、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリイミドなどが挙げられる。
Sを含む官能基としては、スルホニル基(−SO−)、チオール基、チオエステル基などが挙げられる。これらのうちでは、有機薄膜と金属薄膜の間の層間密着性により優れるなどの観点から、スルホニル基、チオール基などがより好ましい。そして、Sを含む官能基を有するポリマーとしては、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン、ポリフェニルスルホンなどが挙げられる。
Oを含む官能基としては、カルボキシル基、エステル基、ケトン基、ヒドロキシル基などが挙げられる。これらのうちでは、有機薄膜と金属薄膜の間の層間密着性により優れるなどの観点から、カルボキシル基、エステル基などがより好ましい。そして、Oを含む官能基を有するポリマーとしては、エポキシ樹脂などが挙げられる。
有機薄膜の膜厚は、日射遮蔽性、視認性、反射色などを考慮して調節することができる。有機薄膜の膜厚の下限値は、反射色の赤色や黄色の着色を抑制しやすくなる、高い光透過性が得られやすくなるなどの観点から、好ましくは、10nm以上、より好ましくは、15nm以上、さらに好ましくは、20nm以上であると良い。一方、有機薄膜の膜厚の上限値は、反射色の緑色の着色を抑制しやすくなる、高い光透過性が得られやすくなるなどの観点から、好ましくは、90nm以下、より好ましくは、85nm以下、さらに好ましくは、80nm以下であると良い。
有機薄膜は、ポリマーを含む塗工液を調製し、これを光透過性基板の面などに塗工した後、乾燥させて塗工膜とすることにより形成できる。塗工液の調製には、ポリマーを溶解させる溶剤を必要に応じて用いることができる。このような溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘプタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、酢酸エチルなどの有機酸エステル、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのシクロエーテル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの酸アミド類、ヘキサンなどの炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族類などが挙げられる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
金属薄膜の金属としては、銀、金、白金、銅、アルミニウム、クロム、チタン、亜鉛、スズ、ニッケル、コバルト、ニオブ、タンタル、タングステン、ジルコニウム、鉛、パラジウム、インジウムなどの金属や、これら金属の合金などが挙げられる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
金属薄膜の金属としては、積層時の可視光透過性、熱線反射性、導電性などに優れるなどの観点から、銀または銀合金が好ましい。より好ましくは、熱、光、水蒸気などの環境に対する耐久性が向上するなどの観点から、銀を主成分とし、銅、ビスマス、金、パラジウム、白金、チタンなどの金属元素を少なくとも1種以上含んだ銀合金であると良い。さらに好ましくは、銅を含む銀合金(Ag−Cu系合金)、ビスマスを含む銀合金(Ag−Bi系合金)、チタンを含む銀合金(Ag−Ti系合金)等であると良い。銀の拡散抑制効果が大きい、コスト的に有利であるなどの利点があるからである。
銅を含む銀合金を用いる場合、銀、銅以外にも、例えば、銀の凝集・拡散抑制効果に悪影響を与えない範囲内であれば、他の元素、不可避不純物を含有していても良い。
上記他の元素としては、具体的には、例えば、Mg、Pd、Pt、Au、Zn、Al、Ga、In、Sn、Sb、Li、Cd、Hg、AsなどのAgに固溶可能な元素;Be、Ru、Rh、Os、Ir、Bi、Ge、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Si、Tl、Pbなど、Ag−Cu系合金中に単相として析出可能な元素;Y、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ti、Zr、Hf、Na、Ca、Sr、Ba、Sc、Pr、Eu、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、S、Se、TeなどのAgとの金属間化合物を析出可能な元素などを例示することができる。これらは1種または2種以上含有されていても良い。
銅を含む銀合金を用いる場合、銅の含有量の下限値は、添加効果を得る観点から、好ましくは、1原子%以上、より好ましくは、2原子%以上、さらに好ましくは、3原子%以上であると良い。一方、銅の含有量の上限値は、高透明性を確保しやすくなる、スパッタターゲットが作製しやすい等の製造性などの観点から、好ましくは、20原子%以下、より好ましくは、10原子%以下、さらに好ましくは、5原子%以下であると良い。
また、ビスマスを含む銀合金を用いる場合、銀、ビスマス以外にも、例えば、銀の凝集・拡散抑制効果に悪影響を与えない範囲内であれば、他の元素、不可避不純物を含有していても良い。
上記他の元素としては、具体的には、例えば、Mg、Pd、Pt、Au、Zn、Al、Ga、In、Sn、Sb、Li、Cd、Hg、AsなどのAgに固溶可能な元素;Be、Ru、Rh、Os、Ir、Cu、Ge、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Si、Tl、Pbなど、Ag−Bi系合金中に単相として析出可能な元素;Y、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ti、Zr、Hf、Na、Ca、Sr、Ba、Sc、Pr、Eu、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、S、Se、TeなどのAgとの金属間化合物を析出可能な元素などを例示することができる。これらは1種または2種以上含有されていても良い。
ビスマスを含む銀合金を用いる場合、ビスマスの含有量の下限値は、添加効果を得る観点から、好ましくは、0.01原子%以上、より好ましくは、0.05原子%以上、さらに好ましくは、0.1原子%以上であると良い。一方、ビスマスの含有量の上限値は、スパッタターゲットが作製しやすい等の製造性などの観点から、好ましくは、5原子%以下、より好ましくは、2原子%以下、さらに好ましくは、1原子%以下であると良い。
また、チタンを含む銀合金を用いる場合、銀、チタン以外にも、例えば、銀の凝集・拡散抑制効果に悪影響を与えない範囲内であれば、他の元素、不可避不純物を含有していても良い。
上記他の元素としては、具体的には、例えば、Mg、Pd、Pt、Au、Zn、Al、Ga、In、Sn、Sb、Li、Cd、Hg、AsなどのAgに固溶可能な元素;Be、Ru、Rh、Os、Ir、Cu、Ge、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Si、Tl、Pb、Biなど、Ag−Ti系合金中に単相として析出可能な元素;Y、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Zr、Hf、Na、Ca、Sr、Ba、Sc、Pr、Eu、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、S、Se、TeなどのAgとの金属間化合物を析出可能な元素などを例示することができる。これらは1種または2種以上含有されていても良い。
チタンを含む銀合金を用いる場合、チタンの含有量の下限値は、添加効果を得る観点から、好ましくは、0.01原子%以上、より好ましくは、0.05原子%以上、さらに好ましくは、0.1原子%以上であると良い。一方、チタンの含有量の上限値は、膜にした場合、完全な固溶体が得られやすくなるなどの観点から、好ましくは、2原子%以下、より好ましくは、1.75原子%以下、さらに好ましくは、1.5原子%以下であると良い。
なお、上記銅、ビスマス、チタン等の副元素割合は、ICP分析法を用いて測定することができる。また、上記金属薄膜を構成する金属(合金含む)は、部分的に酸化されていても良い。
金属薄膜の膜厚の下限値は、安定性、熱線反射性などの観点から、好ましくは、3nm以上、より好ましくは、5nm以上、さらに好ましくは、7nm以上であると良い。一方、金属薄膜の膜厚の上限値は、可視光の透明性、経済性などの観点から、好ましくは、30nm以下、より好ましくは、20nm以下、さらに好ましくは、15nm以下であると良い。
ここで、金属薄膜を形成する方法としては、具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザーアブレーションなどといった物理的気相成長法(PVD)、熱CVD法、プラズマCVD法などといった化学的気相成長法(CVD)などの気相法などを例示することができる。金属薄膜は、これらのうち何れか1つの方法を用いて形成されていても良いし、あるいは、2つ以上の方法を用いて形成されていても良い。
これら方法のうち、緻密な膜質が得られる、膜厚制御が比較的容易であるなどの観点から、好ましくは、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法などのスパッタリング法を好適に用いることができる。
なお、金属薄膜は、後述する後酸化等を受けて、金属薄膜の機能を損なわない範囲内で酸化されていても良い。
金属薄膜に付随するバリア薄膜は、主として、金属薄膜を構成する元素が、金属酸化物薄膜中へ拡散するのを抑制するバリア的な機能を有している。また、金属酸化物薄膜と金属薄膜との間に介在することで、両者の密着性の向上にも寄与しうる。バリア薄膜は、上記拡散を抑制できれば、浮島状など、不連続な部分があっても良い。
バリア薄膜を構成する金属酸化物としては、具体的には、例えば、チタンの酸化物、亜鉛の酸化物、インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウムとスズとの酸化物、マグネシウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、ジルコニウムの酸化物、ニオブの酸化物、セリウムの酸化物などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。また、これら金属酸化物は、2種以上の金属酸化物が複合した複酸化物であっても良い。なお、バリア薄膜は、上記金属酸化物以外に不可避不純物などを含んでいても良い。
ここで、バリア薄膜としては、金属薄膜を構成する金属の拡散抑制効果に優れる、密着性に優れるなどの観点から、金属酸化物薄膜中に含まれる金属の酸化物より主に構成されていると良い。
より具体的には、例えば、金属酸化物薄膜としてTiO薄膜を選択した場合、バリア薄膜は、TiO薄膜中に含まれる金属であるTiの酸化物より主に構成されるチタン酸化物薄膜であると良い。
また、バリア薄膜がチタン酸化物薄膜である場合、当該バリア薄膜は、当初からチタン酸化物として形成された薄膜であっても良いし、金属Ti薄膜が後酸化されて形成された薄膜、または、部分酸化されたチタン酸化物薄膜が後酸化されて形成された薄膜等であっても良い。
バリア薄膜は、金属酸化物薄膜と同じように主に金属酸化物から構成されるが、金属酸化物薄膜よりも膜厚が薄く設定される。これは、金属薄膜を構成する金属の拡散は、原子レベルで生じるので、屈折率を十分確保するのに必要な膜厚まで厚くする必要性が低いからである。また、薄く形成することで、その分、成膜コストが安価になり、光透過性積層体の製造コストの低減にも寄与することができる。
バリア薄膜の膜厚の下限値は、バリア性を確保しやすくなるなどの観点から、好ましくは、1nm以上、より好ましくは、1.5nm以上、さらに好ましくは、2nm以上であると良い。一方、バリア薄膜の膜厚の上限値は、経済性などの観点から、好ましくは、15nm以下、より好ましくは、10nm以下、さらに好ましくは、8nm以下であると良い。
バリア薄膜が主にチタン酸化物より構成される場合、チタン酸化物における酸素に対するチタンの原子モル比Ti/Oの下限値は、バリア性などの観点から、1.0/4.0以上、より好ましくは、1.0/3.8以上、さらに好ましくは、1.0/3.5以上、さらにより好ましくは、1.0/3.0以上、最も好ましくは、1.0/2.8以上であると良い。
バリア薄膜が主にチタン酸化物より構成される場合、チタン酸化物における酸素に対するチタンの原子モル比Ti/Oの上限値は、可視光の透明性などの観点から、好ましくは、1.0/0.5以下、より好ましくは、1.0/0.7以下、さらに好ましくは、1.0/1.0以下、さらにより好ましくは、1.0/1.2以下、最も好ましくは、1.0/1.5以下であると良い。
上記Ti/O比は、当該薄膜の組成から算出することができる。当該薄膜の組成分析方法としては、極めて薄い薄膜の組成を比較的正確に分析することが可能な観点から、エネルギー分散型蛍光X線分析(EDX)を好適に用いることができる。
具体的な組成分析方法について説明すると、先ず、超薄切片法(ミクロトーム)などを用いて、分析対象となる当該薄膜を含む薄膜層の断面方向の厚みが100nm以下の試験片を作製する。次いで、断面方向から薄膜層と当該薄膜の位置を、透過型電子顕微鏡(TEM)により確認する。次いで、EDX装置の電子銃から電子線を放出させ、分析対象となる当該薄膜の膜厚中央部近傍に入射させる。試験片表面から入射した電子は、ある深さまで入り込み、各種の電子線やX線を発生させる。この際の特性X線を検出して分析することで、当該薄膜の構成元素分析を行うことができる。
バリア薄膜は、緻密な膜を形成できる、数nm〜数十nm程度の薄膜を均一な膜厚で形成できるなどの観点から、気相法を好適に利用することができる。
上記気相法としては、具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザーアブレーションなどといった物理的気相成長法(PVD)、熱CVD法、プラズマCVD法などといった化学的気相成長法(CVD)などを例示することができる。上記気相法としては、真空蒸着法などと比較して膜界面の密着性に優れる、膜厚制御が容易であるなどの観点から、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法などのスパッタリング法を好適に用いることができる。
なお、上記薄膜層に含まれる各バリア薄膜は、これら気相法のうち何れか1つの方法を利用して形成されていても良いし、あるいは、2つ以上の方法を利用して形成されていても良い。
また、上記バリア薄膜は、上述した気相法を利用し、当初から金属酸化物薄膜として成膜しても良いし、あるいは、一旦、金属薄膜や部分酸化された金属酸化物薄膜を成膜した後、これを事後的に酸化して形成することも可能である。なお、部分酸化された金属酸化物薄膜とは、さらに酸化される余地がある金属酸化物薄膜を指す。
当初から金属酸化物薄膜として成膜する場合、具体的には、例えば、スパッタリングガスとしてのアルゴン、ネオンなどの不活性ガスに、さらに反応性ガスとして酸素を含むガスを混合し、金属と酸素とを反応させながら薄膜を形成すれば良い(反応性スパッタリング法)。反応性スパッタリング法を用いて、例えば、上記Ti/O比を有するチタン酸化物薄膜を得る場合、雰囲気中の酸素濃度(不活性ガスに対する酸素を含むガスの体積割合)は、上述した膜厚範囲を考慮して最適な割合を適宜選択すれば良い。
一方、金属薄膜や部分酸化された金属酸化物薄膜を成膜した後、これを事後的に後酸化する場合、具体的には、光透過性基板上に上述した薄膜層を形成した後、薄膜層中の金属薄膜や部分酸化された金属酸化物薄膜を後酸化させる等すれば良い。なお、金属薄膜の成膜には、スパッタリング法等を、部分酸化された金属酸化物薄膜の成膜には、上述した反応性スパッタリング法等を用いれば良い。
また、後酸化手法としては、加熱処理、加圧処理、化学処理、自然酸化等を例示することができる。これら後酸化手法のうち、比較的簡単かつ確実に後酸化を行うことができるなどの観点から、加熱処理が好ましい。上記加熱処理としては、例えば、上述した薄膜層を有する光透過性高分子フィルムを加熱炉等の加熱雰囲気中に存在させる方法、温水中に浸漬する方法、マイクロ波加熱する方法や、薄膜層中の金属薄膜や部分酸化された金属酸化物薄膜等を通電加熱する方法などを例示することができる。これらは1または2以上組み合わせて行っても良い。
上記加熱処理時の加熱条件としては、具体的には、例えば、好ましくは、30℃〜60℃、より好ましくは、32℃〜57℃、さらに好ましくは、35℃〜55℃の加熱温度、加熱雰囲気中に存在させる場合、好ましくは、5日間以上、より好ましくは、10日間以上、さらに好ましくは、15日間以上の加熱時間から選択すると良い。上記加熱条件の範囲内であれば、後酸化効果、光透過性高分子フィルム12の熱変形・融着抑制等が良好だからである。
また、上記加熱処理時の加熱雰囲気は、大気中、高酸素雰囲気中、高湿度雰囲気中など酸素や水分の存在する雰囲気が好ましい。特に好ましくは、製造性、低コスト化等の観点から、大気中であると良い。
薄膜層中に上述した後酸化薄膜を含んでいる場合には、後酸化時に、金属酸化物薄膜中に含まれていた水分や酸素が消費されているため、太陽光が当たっても金属酸化物薄膜が化学反応し難くなる。具体的には、例えば、金属酸化物薄膜がゾル−ゲル法により形成されている場合、後酸化時に、金属酸化物薄膜中に含まれていた水分や酸素が消費されているため、金属酸化物薄膜中に残存していたゾル−ゲル法による出発原料(金属アルコキシド等)と水分(吸着水等)・酸素等とが、太陽光によってゾルゲル硬化反応し難くなる。そのため、硬化収縮等の体積変化によって生じる内部応力を緩和することが可能となり、薄膜層の界面剥離等を抑制しやすくなる等、太陽光に対する耐久性を向上させやすくなる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1に係る光透過性積層体として、概略以下の3層薄膜からなる薄膜層と、この薄膜層に接して積層された粘着剤層と、この粘着剤層に接して積層されたポリオレフィン層と、を有する光透過性積層体を作製した。
実施例1に係る光透過性積層体は、光透過性高分子フィルムの一方面に、ゾル−ゲル法及びUV照射によるTiO薄膜(1層目)│チタン酸化物薄膜/Ag−Cu合金薄膜/チタン酸化物薄膜(2層目)│ゾル−ゲル法及びUV照射によるTiO薄膜(3層目)が順に積層されてなる薄膜層を有している。
なお、チタン酸化物薄膜は、金属Ti薄膜が熱酸化されて形成されたものであり、これがバリア薄膜に該当する。このチタン酸化物薄膜は、Ag−Cu合金薄膜に付随する薄膜として、Ag−Cu合金薄膜に含めて積層数を数えている。
以下、具体的な作製手順を示す。
(コーティング液の調製)
先ず、ゾル−ゲル法によるTiO薄膜の形成に使用するコーティング液を調製した。すなわち、チタンアルコキシドとして、テトラ−n−ブトキシチタン4量体(日本曹達(株)製、「B4」)と、紫外線吸収性のキレートを形成する添加剤として、アセチルアセトンとを、n−ブタノールとイソプロピルアルコールとの混合溶媒に配合し、これを攪拌機を用いて10分間混合することにより、コーティング液を調製した。
(薄膜層の形成)
光透過性高分子フィルムとして、一方面に易接着層を有する厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、「コスモシャイン(登録商標)A4100」)(以下、「PETフィルム」という。)を用い、このPETフィルムの易接着層面側とは反対側の面(PET面)側に、1層目として、TiO薄膜を以下の手順により成膜した。
すなわち、PETフィルムのPET面側に、マイクログラビアコーターを用いて、所定の溝容積のグラビアロールで上記コーティング液を連続的に塗工した。次いで、インラインの乾燥炉を用いて、塗工膜を乾燥させ、TiO薄膜の前駆体膜を形成した。次いで、インラインの紫外線照射機を用いて、上記塗工時と同線速で、上記前駆体膜に対して連続的に紫外線を照射した。これによりPETフィルム上に、ゾルゲル硬化時に紫外線エネルギーを用いるゾル−ゲル法(以下、「(ゾルゲル+UV)」と省略することがある。)によるTiO薄膜(1層目)を成膜した。
次に、1層目の上に、2層目を構成する各薄膜を成膜した。
すなわち、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、1層目のTiO薄膜上に、下側の金属Ti薄膜をスパッタリングにより成膜した。次いで、この下側の金属Ti薄膜上に、Ag−Cu合金薄膜をスパッタリングにより成膜した。次いで、このAg−Cu合金薄膜上に、上側の金属Ti薄膜をスパッタリングにより成膜した。
次に、3層目として、2層目の上に、(ゾルゲル+UV)によるTiO薄膜を成膜した。
次に、得られた薄膜層付きフィルムを、加熱炉内にて、大気中、40℃で300時間加熱処理することにより、薄膜層中に含まれる金属Ti薄膜を熱酸化させ、チタン酸化物薄膜とした。
なお、TiO薄膜の屈折率(測定波長は633nm)は、FilmTek3000(Scientific Computing International社製)により測定した。
また、金属Ti薄膜を熱酸化させて形成したチタン酸化物薄膜についてEDX分析を行い、Ti/O比を次のようにして求めた。
すなわち、薄膜層付きフィルムをミクロトーム(LKB(株)製、「ウルトロームV2088」)により切り出し、分析対象となるチタン酸化物薄膜(バリア薄膜)を含む薄膜層の断面方向の厚みが100nm以下の試験片を作製した。作製した試験片の断面を、電界放出型電子顕微鏡(HRTEM)(日本電子(株)製、「JEM2001F」)により確認した。そして、EDX装置(分解能133eV以下)(日本電子(株)製、「JED−2300T」)を用い、この装置の電子銃から電子線を放出させ、分析対象となるチタン酸化物薄膜(バリア薄膜)の膜厚中央部近傍に入射させ、発生した特性X線を検出して分析することにより、チタン酸化物薄膜(バリア薄膜)の構成元素分析を行った。
また、合金薄膜中の副元素(Cu)含有量を次のようにして求めた。すなわち、各成膜条件において、別途、ガラス基板上にAg−Cu合金薄膜を形成した試験片を作製し、この試験片を6%HNO溶液に浸漬し、20分間超音波による溶出を行った後、得られた試料液を用いて、ICP分析法の濃縮法により測定した。
また、各薄膜の膜厚を、上記電界放出型電子顕微鏡(HRTEM)(日本電子(株)製、「JEM2001F」)による試験片の断面観察から測定した。
表1に、薄膜層の詳細な層構成を示す。
Figure 0006280758
(粘着剤層の形成)
薄膜層の表面に、アクリル樹脂系粘着剤(東洋インキ社製「主剤:BPS5260、硬化剤:BHS8515」)を塗布して、粘着剤層(厚み1.5μm)を形成した。主剤:硬化剤の配合比率は、質量比で100:3.0とした。
(ポリオレフィン層の形成)
OPPフィルム(東洋紡社製「P2111」、厚み:20μm、片面:コロナ処理)のコロナ処理が施されていない面にコロナ処理を施し、粘着剤層の上にOPPフィルムを載せ、圧力をかけて密着させ、ポリオレフィン層(厚み20μm)を形成した。以上により、実施例1に係る光透過性積層体を作製した。
(実施例2〜7)
主剤:硬化剤の配合比率を変更して粘着剤層のヤング率・ゲル分率を変更した以外、実施例1と同様にして、実施例2〜7に係る光透過性積層体を作製した。なお、実施例7では、硬化剤を配合しなかった。
(実施例8〜14)
粘着剤層の厚みを変更した以外、実施例1と同様にして、実施例8〜14に係る光透過性積層体を作製した。
(比較例1)
主剤:硬化剤の配合比率を変更して粘着剤層のヤング率・ゲル分率を変更した以外、実施例1と同様にして、比較例1に係る光透過性積層体を作製した。
(実施例15〜16、比較例2)
粘着剤層に代えて接着剤層を形成した以外、実施例1と同様にして、実施例15〜16、比較例2に係る光透過性積層体を作製した。なお、接着剤層の接着剤としては、クロロプレンゴム系接着剤(コニシ社製「ボンドG17」、実施例15)、スチレンブタジエンゴム系接着剤(コニシ社製「ボンドGクリヤー」、実施例16)ポリエステル系接着剤(東洋紡社製「バイロン50AS」、比較例2)をそれぞれ用いた。
作製した各光透過性積層体について、以下の特性を測定した。
(ヤング率)
光透過性積層体からOPPフィルムを剥離し、粘着剤層が現れたタック性のあるフィルム試験片(10cm×10cm)または接着剤層が現れたフィルム試験片(10cm×10cm)を準備した。次いで、熱溶融性接着剤を用いて試料台にガラス板を固定し、このガラス板の上にエポキシ系接着剤を用いてフィルム試験片を固定した。表に現れる粘着剤層または接着剤層について、押し込みヤング率を測定した。測定条件は以下の通りである。なお、測定範囲は、押し込み深さ−ヤング率の平均化曲線においてヤング率が増加し始める押し込み深さより浅く、かつ、ヤング率が平坦となる押し込み深さの範囲(250〜300nm)に設定した。
測定装置:Agilent Technologies社製「Nano Indenter XP/DCM」
解析ソフト:Agilent Technologies社製「Test Works4」
インデンターヘッド:XP
圧子:ダイヤモンド製バーコビッチ型
測定モード:CMS(連続剛性測定)
励起振動周波数:45Hz
励起振動振幅:2mm
歪速度:0.05sec−1
押し込み深さ:2000nm
N数:15
測定点間隔:100μm
測定温度:常温(23℃)
標準試料:ヒューズドシリカ
(ゲル分率)
光透過性積層体からOPPフィルムを剥離し、粘着剤層が現れたタック性のあるフィルム試験片(3cm×10cm)または接着剤層が現れたフィルム試験片(3cm×10cm)を準備した。次いで、200メッシュのステンレススチール製金網(5cm×11cm、質量W0)にフィルム試験片を貼り付けたもの(質量W1)を小さく丸め、マヨネーズ瓶内の50ml以上の酢酸エチルに浸漬した。この状態で、50℃の恒温槽(オーブン)に20時間放置し、室温まで冷却した後、酢酸エチル液からステンレススチール製金網にフィルム試験片を貼り付けたものを取り出した。次いで、新しい酢酸エチル中でこれを洗浄した後、100℃で30分間乾燥させた。乾燥後のものの質量(W2)を測定した後、ステンレススチール製金網からフィルム試験片を剥がして新しい酢酸エチル中に浸漬し、ウエスで粘着剤層または接着剤層をふき取り、基材であるPETフィルムのみの質量(W3)を測定した。ゲル分率G(%)は、以下の計算式1から算出した。各光透過性積層体についてこれを3回繰り返し、その平均値をゲル分率の値とした。
(式1)
G=100×(W2−W0−W3)/(W1−W0−W3)
ただし、
W0:金網の質量(g)
W1:(金網+フィルム試験片)の質量(g)
W2:酢酸エチルで抽出した後の(金網+フィルム試験片)の質量(g)
W3:基材のみの質量(g)
(断熱性)
光透過性積層体の薄膜層側とは反対面に、厚さ25μmのアクリル粘着シート(積水化学工業社製「5402」)を貼り付け、この粘着シートの粘着層を、板ガラスの片面に貼り付けた。JIS R3106に準拠し、ガラス面およびフィルム面の垂直放射率を求め、JIS A5759に準拠して熱貫流率(W/mK)を求めた。測定光は、光透過性積層体側から入射させた。
(遮熱性)
JIS A5759に準拠して測定した。分光光度計(島津製作所製「UV3100」)を用い、波長300〜2500nmの透過スペクトル、反射スペクトルを測定することにより、日射透過率、日射反射率を計算し、日射透過率、日射反射率、修正放射率から日射遮蔽係数を計算により求めた。遮蔽係数が0.60以下の場合を良好「○」、0.60超の場合を不良「×」とした。
(施工時破壊)
施工時に薄膜層の破壊が生じるか否かを目視にて確認した。具体的には、施工時に発生する光透過性積層体の折れを想定し、光透過性積層体を折り曲げ、折れを加えた状態の光透過性積層体を恒温恒湿槽(60℃90%RH)に入れ、24時間静置した後、薄膜層に変色が生じるか否かを目視にて確認した。この場合、薄膜層に破壊が生じると変色が見られる。薄膜層の破壊が生じた場合を「×」、薄膜層の破壊が生じなかった場合を「○」とした。
(面腐食性)
ガラス上に光透過性積層体を水貼りした後、光透過性積層体の面上にNaCl濃度1000ppmに調整した塩水を滴下し、乾燥する前に恒温恒湿槽(50℃95%RH)へ投入した。経時変化で薄膜層内部の腐食の有無を目視にて観察した。恒温恒湿槽へ投入してからの経過時間が24時間において、薄膜層内部の腐食が確認されなかった場合を面での耐面腐食性に優れる「○」とし、薄膜層内部の腐食が確認された場合を面での耐面腐食性に劣る「×」とした。
(端部腐食性)
50mm角のガラス上に光透過性積層体を水貼りした直後、光透過性積層体が30mm角となるよう切り出した。切り出した光透過性積層体の端部にNaCl濃度1000ppmに調整した塩水を滴下し、乾燥する前に恒温恒湿槽(50℃95%RH)へ投入した。経時変化で光透過性積層体の端部から内部への腐食の進行を目視にて観察し、恒温恒湿槽へ投入してからの経過時間が105時間において腐食が進行した長さ(腐食幅)を定規で測定した。
(OPP層との密着性)
JIS A5759の粘着力試験に準拠して剥離に必要な力を測定した。
(高温クリープ特性)
光透過性積層体からOPPフィルムを剥離し、粘着剤層が現れたタック性のあるフィルム試験片(25cm×100cm)または接着剤層が現れたフィルム試験片(25cm×100cm)を準備した。次いで、貼り合わせ面積を25mm×25mmとし、粘着剤層または接着剤層を介してフィルム試験片をガラス板(30mm×110mm×2mm)に貼り合わせた。この際、自動圧着ローラーを用い、2kgの荷重でローラーを1往復させることによりフィルム試験片とガラス板を圧着した。次いで、これを40℃に調整したクリープテスター(試験機)内で20分間放置後、1kgの荷重をかけ、7万秒間放置した後の相対ズレの有無を、荷重落下時間(秒)により測定した。各光透過性積層体についてこれを3回繰り返し、その平均値を荷重落下時間(秒)とした。7万秒間放置した後でも荷重が落下しない場合を相対ズレなし「NC」とし、7万秒間放置する間に荷重が落下した場合には荷重が落下するまでの経過時間を表記した。
表2、3に、各光透過性積層体の評価結果を示す。また、表2、3の結果から導き出される、粘着剤層および接着剤層のヤング率と光透過性積層体の周縁(端部)からの腐食深度の関係を図3に示す。
Figure 0006280758
Figure 0006280758
図3から、粘着剤層および接着剤層のヤング率と光透過性積層体の周縁(端部)からの腐食深度には相関関係があることがわかる。すなわち、粘着剤層および接着剤層のヤング率が小さくなるにつれて光透過性積層体の周縁(端部)からの腐食深度が小さく抑えられ、耐端部腐食性が向上することがわかる。
そして、比較例1では、粘着剤層の硬化剤の配合量が多く、ヤング率が高すぎて、端部腐食深度が大きく、耐端部腐食性に劣っている。比較例2では、接着剤層のヤング率が高すぎて、端部腐食深度が大きく、耐端部腐食性に劣っている。これに対し、実施例では、粘着剤層および接着剤層のヤング率が高すぎないため、端部腐食深度が小さく抑えられ、耐端部腐食性に優れることが確認できた。
また、図3に示すように、粘着剤層および接着剤層のヤング率120MPa付近において、粘着剤層および接着剤層のヤング率と光透過性積層体の周縁(端部)からの腐食深度の関係に変曲点があり、粘着剤層および接着剤層のヤング率が特に小さい領域(120.3MPa以下)では、粘着剤層および接着剤層のヤング率を小さくすることにより端部腐食深度を小さく抑える効果が高く、耐端部腐食性を向上させる効果が特に大きくなる。
そして、実施例の光透過性積層体によれば、断熱性、遮熱性の基本的特性の他、施工時のスキージ応力による薄膜層の破壊も防止され、さらに面からの腐食も抑えられていることが確認できた。
そして、粘着剤層および接着剤層の厚みが少なくとも0.3μm以上ではOPP層との密着性が確保され、0.5μm以上でOPP層との密着性が良好である(密着性評価で1.0N/25mm以上である)ことが確認された。また、粘着剤層および接着剤層の厚みが少なくとも22μm以下では断熱性が確保され、5.0μm以下で断熱性が良好である(熱貫流率が5.0以下である)ことが確認された。
さらに、粘着剤層および接着剤層のヤング率が少なくとも28.5MPa以上では高温クリープ特性が確保され、67.3MPa以上で高温クリープ特性が良好である(相対ズレなし)ことが確認された。また、粘着剤層および接着剤層の厚みが少なくとも0.3μm以上では高温クリープ特性が確保され、0.5μm以上で高温クリープ特性が良好である(相対ズレなし)ことが確認された。
以上、本発明の実施形態・実施例について説明したが、本発明は上記実施形態・実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
10 光透過性積層体
12 光透過性基板
14 薄膜層
16 粘着剤層
18 ポリオレフィン層
20 硬化樹脂層

Claims (2)

  1. 光透過性基板の面上に、金属薄膜と前記光透過性基板よりも屈折率の高い高屈折率薄膜とが含まれる複数の薄膜が積層されてなる薄膜層と、粘着剤層および/または接着剤層と、ポリオレフィン層と、をこの順で有し、前記粘着剤層および/または接着剤層のヤング率が1200MPa以下であることを特徴とする光透過性積層体。
  2. 前記粘着剤層および/または接着剤層の厚みが0.3〜22μmであることを特徴とする請求項に記載の光透過性積層体。
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