JPH09209162A - 無電解めっき層付きシートの製造方法、感光性シート及び金属パターンの形成方法 - Google Patents

無電解めっき層付きシートの製造方法、感光性シート及び金属パターンの形成方法

Info

Publication number
JPH09209162A
JPH09209162A JP4066896A JP4066896A JPH09209162A JP H09209162 A JPH09209162 A JP H09209162A JP 4066896 A JP4066896 A JP 4066896A JP 4066896 A JP4066896 A JP 4066896A JP H09209162 A JPH09209162 A JP H09209162A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electroless plating
layer
metal
plating layer
sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP4066896A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Takayanagi
丘 高柳
Makoto Tanaka
田中  誠
Toshihiro Oda
年弘 尾田
Yasunori Kobayashi
靖典 小林
Masaji Shigyo
正路 執行
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP4066896A priority Critical patent/JPH09209162A/ja
Publication of JPH09209162A publication Critical patent/JPH09209162A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemically Coating (AREA)
  • Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)
  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 転写法を利用する金属パターンの形成方法を
改良した新規な金属パターンの形成方法を提供する。 【解決手段】 プラスチックフィルムの表面に、膨潤性
の水性樹脂に金属及び金属化合物の微粒子が分散されて
なる無電解めっき用下地層を形成し、そして該無電解め
っき用下地層を有するプラスチックフィルムを還元剤を
含む無電解めっき浴中に浸漬させて無電解めっきを行な
うことにより無電解めっき用下地層上に無電解めっき層
を形成させることからなる無電解めっき層付きシートの
製造方法;及び無電解めっき層付きシートにフォトレジ
スト層が形成された感光性シートのフォトレジスト層を
パターン状に露光、現像して、無電解めっき層の上にレ
ジストパターンを形成させる工程;レジスト不在領域に
電解めっき層を形成する工程;レジストパターンとめっ
き層とを同時に基板上に転写する工程;そしてプラスチ
ックフィルムを剥がし取る工程を順次行なう金属パター
ンを形成させる方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属パターンの形
成方法、そしてその金属パターンの形成方法に有利に用
いることができる感光性シート及びその感光性シート作
成に用いられる無電解めっき層付きシートの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化、軽量化が進
み、プリント配線基板などの金属配線の高密度化や多層
化への要求が高くなりつつある。例えば、プリント配線
基板の製法としては、パネルめっき法やパターンめっき
法に代表されるエッチングを利用するサブトラクティブ
法あるいはフルアディティブ法に代表されるアディテイ
ブ法が知られている。この内、サブトラクティブ法は、
銅等の金属の配線をエッチングにより形成する必要があ
るが、エッチング法では、サイドエッチ等が発生するた
め、配線の断面が台形になる傾向があり、高度に微細化
された金属配線の形成には適していないという問題があ
る。更に、エッチング法では金属の利用効率が悪く、ま
た生成する多量のエッチング廃液の処理が問題となる。
【0003】これに対して、アディティブ法は、基板上
にフォトレジストを用いて形成した配線ネガパターン
(配線パターンに対応するネガパターン)の領域に無電
解めっきにより、選択的に銅などの金属を析出させて配
線パターンを生成させる方法である。この方法は、サイ
ドエッチの問題があるサブトラクティブ法とは異なり、
配線幅の限界が緩和され、従って高密度の配線パターン
の形成が可能となるという利点がある。また、エッチン
グ処理を行なわないため、エッチング処理廃液の処理の
問題もなくなり、さらに金属の利用効率も高くなる。し
かしながら、無電解めっきによる配線パターンの形成は
時間が掛り、生産効率が良くないという問題が発生す
る。また、配線基板に無電解めっきを施すためには、脱
脂、酸処理、めっき用触媒付与、基板表面の活性化など
複雑な前処理が必要となる。このため、この無電解めっ
きを利用する方法に代る方法として、表面に導電性を有
する支持体を用い、その表面上にフォトレジストで、配
線ネガパターンを形成させ、次にレジスト不存在領域に
電解めっき法により銅などの金属の層を形成し、これを
絶縁基板に転写することによりプリント配線基板を製造
する転写法が開発されている。この転写法では、エッチ
ングに起因する前記の問題点がなく、また金属層の形成
に要する時間が短いため、従って、短い時間で高密度の
配線パターンを製造することができるとの利点がある。
【0004】上記の転写法は、たとえば、特開昭63−
187695号公報に記載されている。この公報に記載
の転写法は、ステンレススチールシート等の導電性基材
(支持体)の上にレジストパターンを形成し、次いでそ
の導電性基材の露出部に電気めっき層を形成し、最後に
レジストパターンと電気めっき層とを一緒に基板上に転
写する方法である。また、特開昭63−283886号
公報には、導電性膜(例、フィルム表面に離型層を介し
て真空蒸着やプラズマビームデポジッション法などで形
成した金属膜層)を有するフィルム表面にレジストパタ
ーンを形成し、次いでその導電性膜露出部に電解もしく
は電解めっき層を設け、最後にそのめっき層を絶縁性基
板に転写する方法が記載されている。
【0005】また、特開平2−122691号公報に
は、金属テープなどの銅めっきが可能な支持体上にフォ
トレジスト層を形成し、このフォトレジスト層をフォト
エッチングしてレジストパターン形成し、そのレジスト
除去領域に銅めっきを施し、銅めっき層表面を粗面化
し、次にレジストパターンを除去し、銅めっき層を下側
にして絶縁性基板上に接着剤を用いて接着し、最後に支
持体を除去する方法により絶縁性基板上に金属パターン
を形成させる方法が記載されている。
【0006】上記の方法のうち、金属層を最初に形成す
るための支持体(基材)として金属シートや金属テープ
を用いる方法は、その金属シートや金属テープなどが高
価で重量もあるため、経済性および作業性に劣るという
問題がある上に、その金属シートなどの上に形成された
金属層を絶縁基板に転写する際に、その金属シートなど
と金属層との剥離が円滑に進みにくいという欠点もあ
る。また、蒸着法などを利用する金属層の形成は時間が
かかり、作業性や経済性に欠けるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の主な
目的は、転写法を利用する金属パターンの形成方法を改
良した新規な金属パターンの形成方法を提供することで
あり、特に、作業性や経済性に優れ、かつ表面の平滑性
の高い金属パターンを形成する方法を提供することにあ
る。また、本発明は、プリント配線基板の製造方法に適
した、転写法を利用する改良された金属パターンの形成
方法を提供することも、その目的とする。さらに、本発
明は、転写法を利用する金属パターンの形成方法の実施
に際して有利に用いることができる感光性シート、特に
感光性シートを作成するための無電解めっき層付きシー
トを容易に得ることができる製造方法を提供すること
を、その目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、プラスチック
フィルムの表面に、金属化合物とモル比で該金属化合物
の1/1000〜1/10の範囲の量の還元剤との反応
により得られた金属及び金属化合物の微粒子と膨潤性の
水性樹脂とを含む塗布液を塗布、乾燥することにより、
膨潤性の水性樹脂に金属及び金属化合物の微粒子が分散
されてなる無電解めっき用下地層を形成し、そして該無
電解めっき用下地層を有するプラスチックフィルムを還
元剤を含む無電解めっき浴中に浸漬させて無電解めっき
を行なうことにより無電解めっき用下地層上に無電解め
っき層を形成させることからなる無電解めっき層付きシ
ートの製造方法にある。
【0009】上記本発明の無電解めっき層付きシートの
製造方法の好ましい態様は、下記の通りである。 1)金属化合物に対する還元剤の量が、モル比で該金属
化合物の1/10〜1/100の範囲である。 2)金属化合物が、金属塩または金属錯体である。 3)塗布液が、さらに膨潤性の水性樹脂を架橋させるた
めの架橋剤を含む。 4)無電解めっき用下地層とプラスチックフィルム表面
との間に接着性樹脂からなる下塗層を形成する。
【0010】また本発明は、上記製造方法により得られ
た無電解めっき層付きシートの無電解めっき層上にフォ
トレジスト層が形成されてなる感光性シートにある。
【0011】さらに、本発明は、上記の感光性シートの
フォトレジスト層をパターン状に露光させ、次いで現像
することにより、無電解めっき層の上にレジストパター
ンを形成させる工程;レジスト不在領域の無電解めっき
層露出表面上に電解めっき層を形成する工程;レジスト
パターンとめっき層とを同時に基板上に転写する工程;
そしてプラスチックフィルムを剥がし取る工程を順次行
なうことにより基板の上に金属パターンを形成させる方
法にもある。上記本発明の金属パターンの形成方法の好
ましい態様は、下記の通りである。 1)基板の上に形成された金属パターンの表面をエッチ
ング処理して、めっき層の表面を平滑化する工程を更に
含む。 2)感光性シートの無電解めっき用下地層と無電解めっ
き層とが一体化されていて、それらの境界が明確でな
く、無電解めっき層部分の金属相が無電解めっき用下地
層部分にまで無電解めっき層部分よりも疎な状態で侵入
している。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明で用いる感光性シー
ト及び感光性シート作成に使用される無電解めっき層付
きシート、そしてその感光性シートを用いる本発明の金
属パターンの形成方法について、詳しく説明する。本発
明の金属パターンの形成方法に用いられる感光性シート
は、プラスチックフィルムの表面に設けられた膨潤性の
水性樹脂に金属及び金属化合物の微粒子が分散されてな
る無電解めっき用下地層の上に無電解めっき層そしてフ
ォトレジスト層がこの順に形成された構成を有する。こ
の感光性シートの製造に際しては、まず、プラスチック
フィルムの上に膨潤性の水性樹脂に金属及び該金属生成
のための出発原料である金属化合物の微粒子が分散され
てなる無電解めっき用下地層からなる無電解めっき層形
成用シートを用意する。
【0013】無電解めっき層形成用シートの構成を図1
に模式的に示す。図1において、無電解めっき層形成用
シート10は、プラスチックフィルム(支持体として機
能する)11、疎水性バインダからなる下塗層12、そ
して膨潤性の水性樹脂に金属および金属化合物の微粒子
が分散されてなる無電解めっき用下地層13からなる。
上記の無電解めっき層形成用シートで支持体として用い
るプラスチックフィルムの形成材料については特に限定
はない。例えば、セルロースエステル、ポリアミド、ポ
リカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレン
テレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシ
エタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリエチレン
−1,6−ナフタネート)、ポリスチレン、ポリオレフ
ィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホンなどのプ
ラスチック材料を挙げることができる。これらのプラス
チック材料は、二種以上混合して用いてもよく、またそ
れぞれのプラスチック材料からなるフィルムを積層して
用いてもよい。上記のプラスチックフィルム支持体材料
は、高い寸度安定性を有することが望ましい。すなわ
ち、本発明の無電解めっき層形成用シートのプラスチッ
クフィルム支持体は、熱膨張係数が1×10-4/℃以下
であることが望ましく、また湿度寸法変化率が1×10
-4%RH以下(特に1×10-5%RH以下)であること
が望ましい。従って、前記のプラスチック材料のなか
で、本発明の無電解めっき層形成用シートの支持体フィ
ルムの材料として用いるのに特に適しているのはポリエ
チレンテレフタレートであり、なかでも二軸延伸、熱固
定されたポリエチレンテレフタレートフィルムが、経済
性、寸度安定性、強度、平面性等を考慮すると特に好ま
しい。また、特開平6−25916号公報に記載されて
いるポリエチレン−2,6−ナフタレート、特開平6−
55615号公報に記載されているシンジオタクチック
ポリスチレン(SPS)も好ましい支持体材料である。
無電解めっき層形成用シートで支持体として用いるプラ
スチックフィルムの厚さについても特に限定はないが、
通常は、6〜200μm(特に、50〜180μm)の
範囲で適宜決定される。また、このプラスチックフィル
ムは、透明であっても、不透明であってもよく、また所
望により、染料や顔料(例、二酸化チタン)、滑剤
(例、シリカ、炭酸カルシウム)などの添加剤、充填剤
を含んでいてもよい。
【0014】無電解めっき層形成用シートは、プラスチ
ックフィルム(支持体)の上に、膨潤性の水性樹脂に金
属及び該金属生成のための出発原料である金属化合物の
微粒子が分散されてなる無電解めっき用下地層が形成さ
れていることを主な特徴とするが、その無電解めっき用
下地層は、プラスチックフィルムの表面に、接着性樹脂
からなる下塗層を介して設けられていることが好まし
い。この下塗層は、主として、プラスチックフィルム支
持体の表面に、無電解めっき用下地層を均一、かつ確実
に固定させ、そして、その均一な固定状態を長期にわた
って維持する機能を有する。上記の下塗層の接着性樹脂
としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、メタクリル
酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸エ
ステル、イタコン酸、無水マレイン酸、酢酸ビニル、ブ
タジエン、そしてスチレンなどのモノマーから誘導され
る単独重合体もしくは共重合体などの疎水性バインダ、
そしてそれらを架橋剤(例、2,4−ジクロロ−6−オ
キシ−S−トリアジン)で架橋させた材料を挙げること
ができる。その例としては、ブタジエン/スチレン共重
合体ラテックスや塩化ビニリデンラテックスを挙げるこ
とができる。用いる重合体の分子量(重量平均分子量)
は、5000以上、特に2万以上、200万以下である
ことが望ましい。また、融点は120℃〜250℃にあ
ることが望ましい。
【0015】下塗層の厚みは通常0.01〜5.0μm
の範囲(好ましくは0.1〜1.0μm)から選ばれ
る。上記の下塗層は、プラスチックフィルム支持体の表
面に、バインダ樹脂を溶融塗布、もしくはバインダ樹脂
溶液を塗布乾燥するような一般的な方法で形成すること
ができる。なお、そのバインダ樹脂の塗布の前に、バイ
ンダ樹脂と支持体プラスチックフィルム表面との接着性
を向上させるために、プラスチックフィルム表面に公知
の表面処理(例、コロナ放電処理、グロー放電処理、プ
ラズマ処理、火炎処理、化学処理)を施すことが望まし
い。また、上記の下塗層形成後のプラスチックフィルム
支持体は、高温で保存した場合でも、その縦横の寸法変
化が少ないものであることが好ましい。
【0016】上記の下塗層が付設されたプラスチックフ
ィルム(支持体)の、その下塗層の上には、膨潤性の水
性樹脂に金属微粒子及び該金属生成のための出発原料で
ある金属化合物の微粒子が分散されてなる無電解めっき
用下地層が形成される。そして、無電解めっき用下地層
に含まれる金属生成のための出発原料である金属化合物
は、次の無電解めっきを行なう際に、無電解めっき浴中
の還元剤により還元され金属を析出することになる。無
電解めっき層形成用シートにおける本発明の無電解めっ
き用下地層は、表面が親水性で、かつ膨潤性があるた
め、無電解めっき層形成用シートを無電解めっき液に浸
漬した場合に、めっき液が無電解めっき用下地層の内部
深くまで浸透してくる。そして、その無電解めっき用下
地層の内部に分散している金属の微粒子を核として無電
解めっきがなされるため、その下地層の表面に形成され
る無電解めっき層は、その下地層と強固に接合した状態
となる。従って、プラスチックフィルム支持体上に、そ
の後の処理を進めるのに充分な強度を有する無電解めっ
き層が形成されることになる。
【0017】更に、本発明では、金属生成のための出発
原料である金属化合物が、無電解めっき用下地層中に存
在しており、無電解めっきの進行と共に無電解めっき浴
中の還元剤により上記金属化合物も還元される。一般
に、上記金属化合物も還元されたのちメッキの還元反応
が起こる。即ち、本発明の無電解めっき層付きシートの
製造方法においては、無電解めっきの実施の前と後で
は、無電解めっき用下地層の組成が異なっている。無電
解めっきの実施の前では、一般に、金属生成のための出
発原料である金属化合物が主成分であるが、後ではその
金属が主成分となる。即ち、金属化合物(通常金属塩又
は金属錯体)を還元して得られる金属は、その液中の濃
度が高くなるにつれて凝集し易くなり、金属の高濃度液
の作成は難しい。しかしながら、低濃度では安定である
ため作成が容易である(この場合、未反応の金属化合物
の金属イオンも凝集を阻害していると考えられる)。本
発明では、このような容易に作成できる低濃度で金属微
粒子を含む下地層形成用の液をまず作成し、これを用い
て下地層の形成ついで無電解メッキを行なうことによ
り、下地層と密着性に優れた無電解メッキ層を容易に形
成することに特徴を有するものである。
【0018】上記の膨潤性の水性樹脂に金属及び金属化
合物の微粒子が分散されてなる無電解めっき用下地層
は、例えば、予め膨潤性の水性樹脂、金属塩もしくは金
属錯体など、そして還元剤(また、さらに必要により保
護コロイド)を含む水溶液を調製し、その水溶液中の金
属塩もしくは金属錯体などの還元反応により金属の微粒
子を析出させて金属及び金属化合物の微粒子と水性樹脂
を含む塗布液とし、これを支持体表面(もしくは支持体
上の下塗層表面)に塗布乾燥させる方法により形成させ
ることができる。あるいは、予め膨潤性の水性樹脂、そ
して金属塩もしくは金属錯体などを含む水溶液を調製
し、その水溶液を支持体表面(もしくは支持体上の下塗
層表面)に塗布し、次いでその塗布層中に還元剤を浸透
させることにより金属塩もしくは金属錯体などを還元さ
せ金属の微粒子を析出させ、最後に乾燥させる方法によ
り形成することができる。また、最初から金属及び金属
化合物の微粒子と水性樹脂とを含む塗布液を調製し、こ
れを支持体表面(もしくは支持体上の下塗層表面)に塗
布乾燥させる方法によっても無電解めっき用下地層を形
成することも可能である。本発明では、還元剤は、金属
塩もしくは金属錯体のモル量に対して極く少ない量で使
用される。
【0019】用いる金属は、基本的には導電性を持つも
のであり、その例としては、Au、Pt、Pd、Ag、
Cu、Ni、Fe、Ro、Cr、Snなどの金属を挙げ
ることができる。また金属化合物としては、それらの金
属の塩、酸化物、硫化物などがある。金属化合物(出発
原料を含む)の具体例としては、PdS、SnS、Ag
2 S、PdCl2 、SnCl2 、AgCl、PdF2
AgF2 、SnF2 、PdO2 、SnO2 、Ag2 O、
HAuCl4 、H2 PtCl6 を挙げることができる。
また、この例示された金属塩や金属錯体以外にも、他の
金属の塩化物、硫化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物、
酸化物、各種の錯体などを用いることができる。市販さ
れている製品の例としては、石原産業株式会社製のSN
−100A及びSN−100N、三菱マテリアル株式会
社製のT1を挙げることができる。
【0020】還元剤の例としては、次亜リン酸ナトリウ
ム、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、
水素化ホウ素カリウム、ホルムアルデヒド、ヒドラジ
ン、アスコルビン酸などの無機もしくは有機の還元剤を
挙げることができる。
【0021】無電解めっき用下地層を形成する樹脂は、
一般に水溶性樹脂もしくはポリマーラテックスから選ば
れ、その例としては、ゼラチンおよびその誘導体(例、
フタル化ゼラチン、マレイン化ゼラチンなどのアシル化
ゼラチン、アクリル酸、メタクリル酸もしくはアミドな
どでゼラチンにグラフトさせたグラフト化ゼラチン)、
ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリビニルピ
ロリドンおよびその誘導体、ポリアクリル酸、ポリアク
リル酸−ジアクリレート共重合体のようなポリマーを挙
げることができる。これらのポリマーは単独でも、また
組合せて用いることもできる。また、これらのポリマー
に、塗膜の粘着性を低減し、ブロッキング性を向上させ
るためにメチルセルロースなどのセルロース誘導体を併
用することもできる。また、膨潤性を向上させるフェノ
ールやレゾルシン、異物付着防止のためのイオン系ポリ
マー、アニオンまたはカチオン界面活性剤、特開昭49
−3972号公報記載のマレイン酸系共重合体、コロイ
ダルシリカ、食塩などの電解質をなどを添加してもよ
い。
【0022】無電解めっき用下地層を形成するための塗
布液は、金属塩あるいは金属錯体等の金属化合物を含む
液と、モル比で該金属化合物の1/1000〜1/10
の重量の還元剤を含む液とを混合、反応させ、さらに膨
潤性の水性樹脂を含む液を混合することにより得られ
る。上記無電解めっき用下地層を形成するための塗布液
を調製するに際して、得られる塗布液全量に対して、金
属塩あるいは金属錯体等の金属化合物は一般に0.00
1〜1重量%、好ましくは0.01〜1重量%となるよ
うに添加され、膨潤性の水性樹脂は0.1〜10重量%
となるように混合される。上記塗布液をプラスチックフ
ィルム上又は下塗り層上に塗布・乾燥することにより無
電解めっき用下地層を形成することができる。無電解め
っき用下地層における水性樹脂と金属及び金属化合物
(該金属の出発原料)の微粒子との重量比率は、通常は
0.01〜10000、好ましくは0.1〜1000
(水性樹脂/金属及び金属化合物の微粒子)の範囲にあ
るように調整される。上記の金属及び金属化合物の微粒
子の大きさは、通常0.0003〜10μm(好ましく
は0.001〜1.0μm)の範囲にはいるものである
ことが好ましい。なお、上記の無電解めっき用下地層の
厚さは通常、0.005〜5μm(好ましくは0.01
〜1μm)である。
【0023】無電解めっき用下地層は、架橋されている
ことが望ましい。すなわち、水溶性架橋剤などの架橋剤
を無電解めっき用下地層形成用塗布液に添加し、その塗
布液を支持体表面に塗布したのち、加熱して、塗布層を
架橋させることによって、その下地層の強度を高めるこ
とができる。そのような水溶性架橋剤の例は、特開平3
−141347号公報、特開平3−137637号公報
に記載されている。具体的な化合物の例としては、下記
のものを挙げることができる。水性樹脂がポリビニルア
ルコールである場合には、ブチルアルデヒドのようなア
ルデヒド化合物やホウ酸などが利用できる。水性樹脂が
アクリル酸誘導体の場合には、アルミニウム、亜鉛等の
多価金属イオンやカルボキシル基と反応するN−メチロ
ール尿素、ポリ−N−メチロールアクリルアミドが利用
できる。ゼラチンまたはゼラチン誘導体の場合には、米
国特許第3325287号明細書、同第3288775
号明細書、同3549377号明細書、ベルギー特許第
6602226号明細書などに記載されているトリアジ
ン系化合物、米国特許第3291624号明細書、同第
3232764号明細書、フランス特許第154369
4号明細書、英国特許第1270578号などに記載さ
れているジアルデヒド系化合物、米国特許第30915
37号明細書、特公昭49−26580号公報などに記
載されているエポキシ系化合物、米国特許第36424
86号明細書などに記載されているビニル化合物、そし
て米国特許第3392024号明細書などに記載されて
いるエチレンイミン系化合物あるいはメチロール系化合
物が利用できる。特に好ましい架橋剤は2,4−ジクロ
ロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジン・ナトリウム塩な
どのジクロロ−S−トリアジン誘導体である。なお、無
電解めっき用下地層を、プラスチックフィルム支持体の
上に下塗層を介して設ける場合には、架橋剤を、その下
塗層に導入することもできる。
【0024】無電解めっき用下地層の上には公知の方法
もしくはそれに準じる方法によって前述した無電解めっ
き層が形成される。利用できる無電解めっき液に特に制
限は無く、市販の各種の処理液を用いることができる。
一般的には、銅めっきの場合には、硫酸銅のEDTA浴
やロッシェル塩浴などが用いられる。ニッケルめっきの
場合には、硫酸ニッケルあるいは塩化ニッケルなどを用
いた酸性浴、または30〜60℃の液温の低温中性浴、
アンモニアアルカリ性浴、苛性アルカリ浴などが用いら
れる。また、コバルトめっきの場合には、硫酸コバルト
あるいは塩化コバルトなどのコバルト塩を用いた中性乃
至アルカリ条件のクレン酸浴、酒石酸浴などが用いられ
る。無電解めっき層の層厚みは、通常0.1〜1.0μ
m(好ましくは、0.2〜0.5μm)が選ばれる。
【0025】本発明では、前述のように金属生成のため
の出発原料である金属化合物が、無電解めっき用下地層
中に存在しており、無電解めっきの進行と共に無電解め
っき浴中の還元剤により上記金属化合物も還元される。
一般に、上記金属化合物も還元されたのちメッキの還元
反応が起こる。例えば、金属化合物としてPdCl2
用いて、還元により析出したPdの金属微粒子と還元さ
れていないPdCl2を含む無電解めっき用下地層中を
形成し、これを硫酸銅のEDTA浴に浸漬した場合、P
dの金属微粒子を核として銅メッキが施されると共に、
浴中にホルマリンによりPdCl2 も還元されてPdの
金属微粒子が生成し、これが銅メッキの核となるため、
メッキ層の形成は拡大する。しかしながら、Pdの金属
微粒子を無電解めっき用下地層中に、高濃度で存在させ
ようとした場合、PdCl2 の還元時に発生する水素ガ
スのため、生成したPdの金属微粒子が凝集し易くなる
ことから、高濃度の金属微粒子を含む液の作成は極めて
困難である。本発明の上記方法により、即ち凝集し難い
条件である、低濃度でPdの金属微粒子(及びPdCl
2 )を含む下地層形成用の液を作成し、これを用いて下
地層の形成そして無電解メッキを行なうことにより、下
地層と密着性に優れた無電解メッキ層を簡便に形成する
ことができる。
【0026】上記無電解めっき層は、前述のように無電
解めっき用下地層の内部にまでアンカー効果によって浸
透するため、その下地層から容易に離脱しないように形
成される。すなわち、公知の一般的な方法でプラスチッ
クフィルムの表面に無電解めっき(化学めっき)を施す
場合には、ブラストのような物理的粗面化処理あるいは
クロム混酸を用いるエッチングのような化学的な方法を
利用して、表面処理を予め行なう必要がある。このよう
な一般的な方法でプラスチックフィルムの表面処理を行
なって、その上に無電解めっき行なった場合、その無電
解めっき層は、通常の取り扱いでは問題がないが、その
後、本発明の金属パターンの形成方法のようなフォトレ
ジスト層形成、未硬化フォトレジスト層の溶出処理、電
解めっき処理、そしてめっき層の基板への転写などの所
定の各種処理を行なう場合に、それらの途中でプラスチ
ッキフィルムの表面からの剥離が発生しやすいことが問
題となる。これに対して、本発明における無電解めっき
用下地層の上に形成される無電解めっき層は、そのめっ
き金属相が無電解めっき層用下地層の内部から生成する
ようになり、このため、形成される無電解めっき層と無
電解めっき下地層とは、前者の脚部が後者の内部に食い
込んでアンカリング効果を示すような複合構造を形成し
ながら一体化する。そして、無電解めっき下地層は、下
塗層などの効果により、プラスチックフィルムにしっか
りと固着している。従って、本発明の無電解めっき層付
きシートにおける無電解めっき層は、そののちの各種処
理の間でも、プラスチックフィルムから剥離することな
く、転写工程においてプラスチックフィルムを基板から
剥ぎ取る時に初めてプラスチックフルムと分離されるよ
うになる。
【0027】無電解めっき層の上にはフォトレジスト層
が形成される。フォトレジストとしては通常はネガ型が
用いられる。また、現像廃液の処理の簡便さを考慮する
とアルカリ水溶液で現像可能なフォトレジストであるこ
とが好ましい。フォトレジスト層は、フォトレジスト溶
液をウエブ塗布などの塗布法により無電解めっき層の表
面に形成してもよく、またドライフィルム化されたレジ
ストフィルムなどを無電解めっき層の表面にラミネート
法などによって積層してもよい。なお、アディティブ法
用として市販されているめっきレジスト、感光性ソルダ
ーレジストなどを用いることもできる。本発明で用いる
感光性シートは、上記のようにして調製される感光性レ
ジストが表面に形成された感光性シートをその代表例と
するものである。
【0028】次に、本発明の感光性シートを用いる金属
パターンの形成方法について、図面を参照しながら説明
する。図2は、本発明の金属パターンの形成方法に従っ
て、基板上に金属パターンを形成させる工程を模式的に
示す図である。すなわち、まず、図1に示した本発明の
無電解めっき層形成用シート10(プラスチックフィル
ム支持体11、疎水性バインダからなる下塗層12、そ
して膨潤性の水性樹脂に金属及び金属化合物の微粒子が
分散されてなる無電解めっき用下地層13)の上に、上
記の方法により無電解めっき層14、そしてフォトレジ
スト層(感光性レジスト層)15を積層することによ
り、本発明の感光性シート21を製造する(イ)。
【0029】次いで、この感光性シート21のフォトレ
ジスト層15を、配線パターン状などの形状のフォトマ
スク22を用いてパターン状に露光させ(ロ)、次いで
現像することによって、無電解めっき層14の上にレジ
ストパターン15aを形成させる(ハ)。上記の露光現
像により形成されたレジストパターン15aにより、部
分的に露出面とされた無電解金属めっき層の露出表面上
には、次に公知の方法もしくはそれに準じる方法によっ
て電解めっき層23が形成される(ニ)。本発明で用い
る電解めっき液には特に制限はなく、市販の処理液もし
くはそれに類似する処理液を用いることができる。具体
的には、銅めっきの場合には、ほう弗化銅の低濃度浴や
高濃度浴、硫酸銅の電鋳浴、光沢浴、一般浴、そしてピ
ロリン酸銅の光沢浴などを用いることができる。ニッケ
ルめっきの場合には、硫酸ニッケルあるいは塩化ニッケ
ルを用いるトリニッケル浴、光沢浴ワイズベルグ浴など
が用いられる。勿論、電解めっきは単独の金属のめっき
に限られるものではなく、合金メッキを利用することも
できる。本発明の金属パターンの形成方法で形成される
電解めっき層は通常10〜50μmの範囲の厚さを持つ
ようにされる。ただし、所望により、それよりも厚く、
あるいは薄くすることもできる。なお、次の工程で行な
われるレジストパターンと電解金属めっき層の基板への
転写を考慮すると、電解めっき層の厚さは、レジストパ
ターンの厚さとほぼ同等とすることが好ましい。
【0030】次に、上記のようにして形成したレジスト
パターンと電解めっき層とを同時に基板24の上に転写
する(ホ)。基板としては、公知のもの、もしくはそれ
に準じるものが利用される。その例としては、ポリイミ
ドフィルムなどのプラスチックフィルム基板、ガラスエ
ポキシ基板などの複合材料基板を挙げることができる。
なお、基板は、必ずしもフィルムもしくはシート状であ
る必要はない。レジストパターンと電解めっき層との基
板への転写は、通常、基板の表面に接着剤層25を設け
た上で、その接着剤層の表面にレジストパターンと電解
めっき層とが接するようにして積層し、加熱加圧して、
接着する方法が利用される。この場合の接着剤として
は、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポ
キシ樹脂などの材料からなるもので、ホットメルト接着
剤あるいは熱硬化型接着剤が用いられる。また、光硬化
型ソルダーレジストとして市販されているものも利用す
ることができる。接着剤は、ドライフィルム化された接
着剤シートであってもよい。
【0031】そして、上記の転写が終了後に、感光性シ
ートのプラスチックフィルムを積層体から手を用いて、
あるいは機械的に、剥がし取る(ヘ)ことによって、目
的の金属パターンが得られる(ト)。なお、所望によ
り、基板上に残留しているレジストパターンを溶解など
の方法により除去することもできる。なお、基板上に形
成された金属パターンの表面の平滑性もしくは光沢性を
更に向上させるためには、その表面をソフトエッチング
処理することもできる。このソフトエッチング処理は、
公知の方法であり、たとえば、酸化剤である過硫酸アン
モニウムあるいは過硫酸ナトリウムの5〜10%程度の
水溶液で、目的の金属表面を数十秒〜数分処理すること
によって実施することができる。
【0032】上記金属パターンの形成方法において、電
解めっき層23が形成された(ニ)後、レジストパター
ン15aを先に除去してから、(ホ)及び(へ)と同様
の操作を行なってレジストパターンを持たない金属パタ
ーンを作成することもできる。また基板24の裏側に同
様な金属パターンを形成してもよい。
【0033】上記のようにして得られた表面に金属パタ
ーンを有する基板は、そのまま単独で用いることもでき
るが、所望により、二枚以上積層して多層化することも
できる。その多層化は、例えば、公知のプレプリグなど
を用いることによって容易に実施することができる。
【0034】
【実施例】
[実施例1] (1)無電解めっき層形成用シートの作成 1)ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム
(厚さ100μm)の表面にコロナ放電処理を施し、そ
の処理表面に下記組成からなる塗布液を、塗布量が約6
mL/m2 となるようにワイヤーバーを利用して塗布
し、170℃で1分間乾燥して、下塗層を形成した。
【0035】 [下塗層組成] ブタジエン/スチレン共重合体ラテックス(固形分43%、 ブタジエン/スチレン重量比=32/68) 13mL 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンの ナトリウム塩(架橋剤)の1.6%水溶液 9mL ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム1%水溶液 1.6mL 蒸留水 78mL 2)上記のポリエチレンテレフタレートフィルム上の下
塗層の表面にコロナ放電処理を施したのち、その処理表
面に下記のようにして調製した塗布液を塗布量が約9m
L/m2 となるようにワイヤーバーを利用して塗布し、
150℃で2分間乾燥して、無電解めっき下地層を形成
した。下塗層及び無電解めっき下地層が形成されたフィ
ルムを、30℃、80%RHの雰囲気に3日間放置し
た。
【0036】[無電解めっき下地層形成用塗布液の調
製]塩化パラジウム(和光純薬(株)製)0.1g(5.
6 ×10-4モル)を、5N塩酸0.5gと純水11.3g
との混合物に完全に溶解させてA液を作成する。次に、
ゼラチン(681−Gel;新田ゼラチン(株)製)
0.15gを、1Nの水酸化ナトリウム水溶液5gと純
水8.75gとの混合物に溶解してB液を作成する。水
素化ホウ素ナトリウム(和光純薬(株)製)0.006
5g(1.7 ×10-4モル)を純水12.5gに溶解させた
C液を作成する。上記のB液をスターラーを用いて撹拌
(150rpm)しながら、これにA液とC液とを同時
にゆっくりと添加する。添加に伴い水溶液の色が変化
し、褐色透明なパラジウムイオン・パラジウム混合溶液
(コロイド水溶液)が得られる。次に、上記混合溶液を
撹拌しつつ、これに、ゼラチン(810−Gel;新田
ゼラチン(株)製)0.5gを純水12.5gに加熱溶
解させた水溶液と塩化シアヌル酸の2%水溶液0.32
8gを添加する。
【0037】(2)無電解めっき層付きシートの作成 上記(1)で作成した無電解めっき層形成用シートを2
0cm×20cmの正方形に切断して試験片を調製し
た。この試験片を下記の組成の無電解銅めっき液(メル
プレートCU390、メルテックス社製)に浸漬し、約
20℃で20分間無電解めっき操作を行なった。試験片
の上に析出した銅層(銅めっき層)は金属光沢を有し、
その層厚は約0.3μmでほぼ均一であった。またこの
めっき操作において、めっき層形成用下地層からの金属
微粒子の脱落は観察されなかった。
【0038】この析出した銅層(銅めっき層)の表面に
接着テープを貼り付けたのち、そのテープを剥ぎ取る試
験を行なったが、銅層の剥離は発生しなかった。また、
この銅めっき層の表面抵抗を低抵抗表面抵抗計(三菱油
化株式会社製のMCP−TESTER LOREST
A)を用いて測定したところ約0.4〜0.6Ω/sq
の値が得られた。なお、銅めっき層は、表面側から見る
と、強い赤銅色が観察され、一方、裏面側(PETフィ
ルム側)から見ると、同じく赤銅色が観察されるが、そ
の金属光沢は表面側より弱く、また金属光沢がまばらな
状態となっていることが確認された。すなわち、上記の
銅めっき層と無電解めっき用下地層とは、一体化されて
おり、無電解めっき層部分の金属相が無電解めっき用下
地層部分にまで無電解めっき層部分よりも疎な状態で侵
入した構造をとっていることが確認された。
【0039】(3)感光性シートの作成 無電解めっき層付きシートの無電解銅めっき層の上に、
アルカリ現像型のフォトレジストフィルム(富士写真フ
ィルム株式会社製A640)を2kg/cm、105
℃、1.0m/分の条件で貼り付けて感光性シートを作
成した。 (4)配線ネガパターンの形成 感光性シートのフォトレジストフィルムの表面に配線パ
ターンのマスクを用いて、パターン状の露光を施し、ア
ルカリ現像液で現像処理し、配線パターン状に無電解銅
めっき層を露出させ、レジストの配線ネガパターンを形
成した。 (5)電解めっき処理 上記の(4)で処理したシートを電解めっき液(リーロ
ナール社製の光沢剤カパーグリームPを5mL/Lの濃
度で添加した硫酸銅浴)に浸漬し、約20℃の温度で、
1.2A/dm2 の条件で電流を20分間流して、上記
(4)で露出させた無電解銅めっき層の表面に電解銅め
っき層を形成させた。
【0040】(6)金属パターンの基板への転写 別に用意したガラスエポキシ基板の上にソルダーレジス
トフィルム(デュポン社製:バクレル8030)を重ね
合せ、2kg/cm、105℃、1.0m/分の条件で
貼り付けた。上記のガラシエポキシ基板上のソルダーレ
ジストフィルムの上に、前記(5)で得た無電解めっき
層を有するシートを、その無電解めっき層がレジストフ
ィルム表面に接触するように重ね合せ、4kg/cm、
120℃、0.5m/分の条件でラミネートし、積層一
体化させた。次いで、その積層物からPETフィルムを
剥がし取ったところ、配線パターン状の銅めっき層とレ
ジスト配線ネガパターンとが、ガラスエポキシ基板上の
ソルダーレジストフィルムの上に転写されており、その
解像力は約50μmであった。続いて、転写された銅め
っき層の表面を、過硫酸アンモンの12%水溶液を用い
30℃で、2分間処理した(ソフトエッチング)とこ
ろ、銅の光沢面が現われて、優れた配線基板が得られ
た。
【0041】[実施例2]実施例1において、無電解め
っき下地層形成用塗布液の調製を下記のように行なった
以外は実施例1と同様にして、無電解めっき層形成用シ
ートを作成し、実施例1と同様にして、無電解めっき層
の形成して、無電解めっき層付きシートの作成した。得
られたシートは実施例1と同様な特性を持つシートであ
った。さらに、無電解めっき層付きシートを用いて、実
施例1と同様にしてレジストフィルムの積層、配線ネガ
パターンの形成、電解めっき操作、そして転写操作を行
なって、最後にソフトエッチング操作を行なったとこ
ろ、表面に光沢面を有する配線パターン状の銅めっき層
(解像力:約50μm)とレジストネガパターンとを表
面に有するガラスエポキシ基板(配線基板)が得られ
た。
【0042】[無電解めっき下地層形成用塗布液の調
製]塩化パラジウム(和光純薬(株)製)0.1g(5.
6 ×10-4モル)を、5N塩酸0.5gと純水11.3g
との混合物に完全に溶解させてD液を作成する。次に、
ポリビニルピロリドン(K90;東京化成工業(株)
製)0.15gを、1Nの水酸化ナトリウム水溶液5g
と純水8.75gとの混合物に溶解してE液を作成す
る。ホルムアルデヒド(和光純薬(株)製)0.01g
(3.3 ×10-4モル)を純水12.5gに溶解させたF液
を作成する。上記のE液をスターラーを用いて撹拌(1
50rpm)しながら、これにD液とF液とを同時にゆ
っくりと添加する。添加に伴い水溶液の色が変化し、褐
色透明なパラジウムイオン・パラジウム混合溶液(コロ
イド水溶液)が得られる。次に、上記混合溶液を撹拌し
つつ、これに、ゼラチン(681−Gel;新田ゼラチ
ン(株)製)0.5gを純水12.5gに加熱溶解させ
た水溶液と塩化シアヌル酸の2%水溶液0.328gを
添加する。
【0043】
【発明の効果】本発明の感光性シートにおける無電解め
っき層は、その下の膨潤性を有する親水性樹脂層によっ
てプラスチックフィルム支持体に適度な強度(電解めっ
きなどの操作では剥離することなく、一方、転写後のプ
ラスチックフィルム支持体の剥ぎ取りを円滑に実現す
る)を有する。上記感光性シートは、本発明の製造方法
により得られる無電解めっき層付きシートにフォトレジ
スト層を形成することにより得られる。本発明の無電解
めっき層付きシートは、本発明の無電解めっき層付きシ
ートの製造方法により容易に、安定して作成することが
できる。また、この本発明の感光性シートを用いて転写
法を利用する金属パターンの形成方法を実施した場合
に、作業性や経済性に優れ、かつ表面の平滑性の高い金
属パターンを形成することができる。従って、本発明の
金属パターンの形成方法は、高精細なプリント配線基板
の製造に特に有利に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属パターンの形成方法で用いる無電
解めっき層形成用シートの構成の例を示す模式図であ
る。
【図2】本発明の金属パターンの形成方法の各工程を模
式的に示す図である。
【符号の説明】
10 無電解めっき層形成用シート 11 プラスチックフィルム 12 下塗層 13 無電解めっき用下地層 14 無電解めっき層 15 フォトレジスト層 15a レジストパターン 21 感光性シート 22 フォトマスク 23 電解めっき層 24 基板 25 接着剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 靖典 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 執行 正路 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックフィルムの表面に、金属化
    合物とモル比で該金属化合物の1/1000〜1/10
    の範囲の量の還元剤との反応により得られた金属及び金
    属化合物の微粒子と膨潤性の水性樹脂とを含む塗布液を
    塗布、乾燥することにより、膨潤性の水性樹脂に金属及
    び金属化合物の微粒子が分散されてなる無電解めっき用
    下地層を形成し、そして該無電解めっき用下地層を有す
    るプラスチックフィルムを還元剤を含む無電解めっき浴
    中に浸漬させて無電解めっきを行なうことにより無電解
    めっき用下地層上に無電解めっき層を形成させることか
    らなる無電解めっき層付きシートの製造方法。
  2. 【請求項2】 該塗布液が、さらに膨潤性の水性樹脂を
    架橋させるための架橋剤を含む請求項1に記載の無電解
    めっき層付きシートの製造方法。
  3. 【請求項3】 無電解めっき用下地層とプラスチックフ
    ィルム表面との間に接着性樹脂からなる下塗層を形成す
    る請求項1に記載の無電解めっき層付きシートの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の方法により得られた無
    電解めっき層付きシートの無電解めっき層上にフォトレ
    ジスト層が形成されてなる感光性シート。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の感光性シートのフォト
    レジスト層をパターン状に露光させ、次いで現像するこ
    とにより、無電解めっき層の上にレジストパターンを形
    成させる工程;レジスト不在領域の無電解めっき層露出
    表面上に電解めっき層を形成する工程;レジストパター
    ンとめっき層とを同時に基板上に転写する工程;そして
    プラスチックフィルムを剥がし取る工程を順次行なうこ
    とにより基板の上に金属パターンを形成させる方法。
  6. 【請求項6】 基板の上に形成された金属パターンの表
    面をエッチング処理して、めっき層の表面を平滑化する
    工程を更に含む請求項5に記載の金属パターンの形成方
    法。
  7. 【請求項7】 感光性シートの無電解めっき用下地層と
    無電解めっき層とが一体化されていて、それらの境界が
    明確でなく、無電解めっき層部分の金属相が無電解めっ
    き用下地層部分にまで無電解めっき層部分よりも疎な状
    態で侵入している請求項5に記載の金属パターンの形成
    方法。
JP4066896A 1996-02-01 1996-02-01 無電解めっき層付きシートの製造方法、感光性シート及び金属パターンの形成方法 Withdrawn JPH09209162A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4066896A JPH09209162A (ja) 1996-02-01 1996-02-01 無電解めっき層付きシートの製造方法、感光性シート及び金属パターンの形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4066896A JPH09209162A (ja) 1996-02-01 1996-02-01 無電解めっき層付きシートの製造方法、感光性シート及び金属パターンの形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09209162A true JPH09209162A (ja) 1997-08-12

Family

ID=12586916

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4066896A Withdrawn JPH09209162A (ja) 1996-02-01 1996-02-01 無電解めっき層付きシートの製造方法、感光性シート及び金属パターンの形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09209162A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000239852A (ja) * 1999-02-22 2000-09-05 Hideo Honma 銅パターンの選択的活性化方法およびこれに用いる活性化剤
JP2006111889A (ja) * 2004-10-12 2006-04-27 Mitsubishi Paper Mills Ltd 金属メッシュおよび配線パタン転写シート
KR100859008B1 (ko) * 2007-08-21 2008-09-18 삼성전기주식회사 배선기판 제조방법
JP2009293085A (ja) * 2008-06-05 2009-12-17 Achilles Corp ポリオレフィン系樹脂又はポリアセタール系樹脂を基材とするめっき物
JP2010018842A (ja) * 2008-07-10 2010-01-28 Achilles Corp 熱負荷後においても高い密着性を有するめっき物及びその製造方法
JP2010031318A (ja) * 2008-07-28 2010-02-12 Achilles Corp めっき物
JP2013544972A (ja) * 2010-11-26 2013-12-19 シー・アール・バード・インコーポレーテッド 非導電性基板上への銀層の沈着
WO2014122845A1 (ja) * 2013-02-07 2014-08-14 富士フイルム株式会社 フィルムミラー及びそれを用いて作製された太陽光反射板
WO2014155847A1 (ja) * 2013-03-29 2014-10-02 富士フイルム株式会社 フィルムミラー及び太陽光反射装置
JP2014194469A (ja) * 2013-03-28 2014-10-09 Fujifilm Corp 太陽光集光用フィルムミラー及びその製造方法、並びに太陽光反射板

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000239852A (ja) * 1999-02-22 2000-09-05 Hideo Honma 銅パターンの選択的活性化方法およびこれに用いる活性化剤
JP2006111889A (ja) * 2004-10-12 2006-04-27 Mitsubishi Paper Mills Ltd 金属メッシュおよび配線パタン転写シート
JP4570436B2 (ja) * 2004-10-12 2010-10-27 三菱製紙株式会社 金属メッシュおよび配線パタン転写シート
KR100859008B1 (ko) * 2007-08-21 2008-09-18 삼성전기주식회사 배선기판 제조방법
JP2009293085A (ja) * 2008-06-05 2009-12-17 Achilles Corp ポリオレフィン系樹脂又はポリアセタール系樹脂を基材とするめっき物
JP2010018842A (ja) * 2008-07-10 2010-01-28 Achilles Corp 熱負荷後においても高い密着性を有するめっき物及びその製造方法
JP2010031318A (ja) * 2008-07-28 2010-02-12 Achilles Corp めっき物
JP2013544972A (ja) * 2010-11-26 2013-12-19 シー・アール・バード・インコーポレーテッド 非導電性基板上への銀層の沈着
WO2014122845A1 (ja) * 2013-02-07 2014-08-14 富士フイルム株式会社 フィルムミラー及びそれを用いて作製された太陽光反射板
JP2014153496A (ja) * 2013-02-07 2014-08-25 Fujifilm Corp フィルムミラー及びそれを用いて作製された太陽光反射板
JP2014194469A (ja) * 2013-03-28 2014-10-09 Fujifilm Corp 太陽光集光用フィルムミラー及びその製造方法、並びに太陽光反射板
WO2014155847A1 (ja) * 2013-03-29 2014-10-02 富士フイルム株式会社 フィルムミラー及び太陽光反射装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5382447A (en) Process for fabricating improved multilayer interconnect systems
JPS63286580A (ja) 表面模様付きのポリイミドフィルムから作製された金属被覆積層製品
JPWO2002024444A1 (ja) 高密度超微細配線板用銅箔
JPH01501402A (ja) 選択的金属化法及びプリント回路基板の加層的製造方法
JP2000269637A (ja) 高密度超微細配線板用銅箔
JPS63259083A (ja) 表面模様付きのポリイミドフィルム
JPH01503101A (ja) 水性アルカリで現像及び剥離し得るフォトレジストを用いる、印刷配線板のアディテイブ製造方法
JPH09209162A (ja) 無電解めっき層付きシートの製造方法、感光性シート及び金属パターンの形成方法
JPS63103075A (ja) マイクロ樹枝状体配列を介して結合された金属層で被覆可能とされる表面を有する樹脂製品並びに該金属層被覆樹脂製品
JPH10256700A (ja) 2層フレキシブル基板の製造方法
JPH08239773A (ja) 金属パターンの形成方法、感光性シート、無電解めっき層付きシート、及び無電解めっき層形成用シート
JPH02188992A (ja) 多層プリント配線板およびその製造方法
TWI232711B (en) Method for the manufacture of printed circuit boards with integral plated resistors
JPH104254A (ja) プリント配線板の製造方法
JPH10193505A (ja) 2層フレキシブル基板の製造方法
JPH1018044A (ja) 無電解めっき層形成用シート、無電解めっき層付きシート、感光性シート及び金属パターンの形成方法
JPH033297A (ja) 多層プリント配線板およびその製造方法
EP0837623B1 (en) Method for the manufacture of printed circuit boards with plated resistors
JP2005193400A (ja) 金属箔付き樹脂フィルム、金属箔付き樹脂シート、金属張り積層板
JPH1070354A (ja) 金属パターンの形成方法
JPH09209161A (ja) 無電解めっき層形成用シートの製造方法、感光性シート及び金属パターンの形成方法
JP2915644B2 (ja) プリント配線板の製造方法
JPH09205270A (ja) 金属パターンの形成方法
JPH0745948A (ja) 多層配線板及びその製造方法
JP2002290012A (ja) 金属回路パターン形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20030401