JPH10193505A - 2層フレキシブル基板の製造方法 - Google Patents

2層フレキシブル基板の製造方法

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JPH10193505A
JPH10193505A JP1343297A JP1343297A JPH10193505A JP H10193505 A JPH10193505 A JP H10193505A JP 1343297 A JP1343297 A JP 1343297A JP 1343297 A JP1343297 A JP 1343297A JP H10193505 A JPH10193505 A JP H10193505A
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copper plating
layer flexible
copper
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Application number
JP1343297A
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English (en)
Inventor
Yukihiro Tamiya
幸広 田宮
Takehiko Sakurada
毅彦 桜田
Toshinobu Takahata
敏伸 高畠
Taku Sugiura
卓 杉浦
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板に乾式めっき法および無電解めっき法並
びに電気銅めっき法を使用した2層フレキシブル配線板
製造において、ピンホールによる配線部欠陥がなく、絶
縁体フィルムと下地金属層との密着性の優れた健全な2
層フレキシブル基板を提供する。 【解決手段】 絶縁体フィルムの片面または両面に、接
着剤を介さずに直接下地金属層を形成し、該下地金属層
上に所望の厚さの銅導体層を形成する2層フレキシブル
基板の製造方法において、下地金属層をニッケル、銅お
よび銅−ニッケル合金からなる群から選ばれた少なくと
も1種を用いて乾式めっき法によって形成し、次に、該
下地金属層上に一次電気銅めっき被膜層を形成した後、
さらに該一次電気銅めっき被膜層上に中間金属層として
無電解銅めっき被膜層を形成し、最後に、該中間金属層
上に二次電気銅めっき被膜層を形成することにより最終
的に絶縁体フィルム上に1〜18μm銅導体層を形成す
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は2層フレキシブル基
板の製造方法に関し、より具体的には、絶縁体フィルム
上に乾式めっき法、無電解めっき法および電気めっき法
を使用して銅導体層を形成するに際し、より健全で密着
性の銅導体層を容易に形成するようにした2層フレキシ
ブル基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フレキシブル配線板を作製するために用
いられる基板は、絶縁体フィルム上に接着剤を用いて導
体層となる銅箔を貼り合わせた3層フレキシブル基板
と、該絶縁体フィルム上に接着剤を用いることなしに直
接銅導体層を形成した2層フレキシブル基板とに大別さ
れる。
【0003】そして、3層フレキシブル基板を用いる場
合には、サブトラクティブ法によって基板上に所望の配
線パターンを形成することにより3層フレキシブル配線
板を製造することができ、2層フレキシブル基板を用い
る場合には、サブトラクティブ法またはアディティブ法
によって所望の配線パターンを形成することにより2層
フレキシブル配線板を製造することができるが、一般に
は製造方法が簡単で、低コストで製造することができる
3層フレキシブル基板の使用が主流を占めていた。
【0004】ところで、近年の電子機器の高密度化に伴
なって配線板における配線幅も狭ピッチのものが求めら
れるようになってきている。しかし、配線板の製造に際
して、基板の絶縁体フィルム上に形成した銅導体層を所
望の配線パターンに従ってエッチングして配線部の形成
を行う場合に、配線部の側面がエッチングされるいわゆ
るサイドエッチングを生ずるために配線部の断面形状が
裾広がりの台形になりやすく、従って配線部間の電気的
絶縁性を確保するまでエッチングを行うと配線ピッチ幅
が広くなり過ぎてしまうために、従来一般的に使用され
る35μm厚さの銅箔を貼り合わせた3層フレキシブル
基板を用いる限り配線板における配線部の狭ピッチ化を
行うには限界があった。
【0005】このため従来の35μm厚さの銅箔張り合
わせ基板に代えて18μm厚さ以下の薄い銅箔張り合わ
せ基板を使用し、サイドエッチングによる裾広がりの幅
を小さくして配線板における配線部の狭ピッチ化を図る
試みがなされた。しかし、このような薄肉の銅箔は剛性
が小さいためにハンドリング性が悪く、そのため銅箔に
アルミニウムキャリアなどの補強材を貼り合わせて剛性
を高くした後、該銅箔と絶縁体フィルムの貼り合わせを
行い、しかる後再びアルミニウムキャリアを除去しなけ
れらないので作業性が悪い上にコストがかかるという問
題があった。
【0006】またこのような薄い銅箔では、膜厚のばら
つきやピンホールや亀裂の発生などによる被膜欠陥が増
加するなどの製造技術上の問題もあるし、さらに、銅箔
が薄くなればなるほどその製造が困難となり、製造価格
が高くなって3層フレキシブル配線板のコストメリット
が失われてしまう結果となった。殊に最近においては、
厚さ10数μm以下、数μm程度の銅箔を使用しなくて
は製造できないような狭幅で、狭ピッチの配線部を有す
る配線板への要求が強まるに至り、3層フレキシブル基
板を用いる配線板は、上記したように技術的な問題もさ
ることながら、製造コスト上からも問題があった。
【0007】そこで、接着剤を施すことなく直接絶縁体
フィルム上に銅被覆を形成することができる2層フレキ
シブル基板を用いた2層フレキシブル配線板が注目され
るに至った。該2層フレキシブル基板は接着剤なしで直
接絶縁体フィルム上に銅導体層を形成するものであり、
従って基板自体の厚さを薄くすることができる上に、被
着させる銅導体被膜の厚さも任意の厚さに調整すること
ができるという利点を有する。このような2層フレキシ
ブル基板を製造する場合には、絶縁体フィルム上に廉価
に均一な厚さの銅導体層を形成するための手段として通
常は電気銅めっき法が採用されるが、そのためには、電
気銅めっき被膜を施す絶縁体フィルムの上に薄膜の下地
金属層を形成して表面全面に導電性を付与し、その上に
電気銅めっき処理を行なうのが一般的である。
【0008】ところで、絶縁体フィルム上に薄膜の下地
金属層を得るためには、真空蒸着法、イオンプレーティ
ング法などの乾式めっき法を使用するのが一般的である
が、このような乾式めっき法で得られる被膜層には、通
常数十μm〜数百μmに及ぶ大きさのピンホールが多数
発生するので、下地金属層には往々にしてピンホールに
よる絶縁体フィルム露出部分を生ずることになる。
【0009】従来、一般にこの種のフレキシブル配線板
においては、配線に必要な銅の導電性被膜の厚さは20
〜35μmが適当であるとされていたが、このようなか
なりの厚さの銅被膜を従来一般に行われているような電
気銅めっき法によって得ようとする場合には、電気銅め
っき法による銅被膜は基板に対して垂直方向のみならず
水平方向にも成長するので、上記した絶縁体フィルム面
におけるピンホールの露出に基づく欠陥はめっき被膜中
に埋没し、ピンホールの存在による配線部の欠陥を生ず
ることは少なかった。
【0010】しかしながら、本発明において指向するよ
うな狭ピッチの配線部を持ったフレキシブル配線板を得
ようとする場合には、前述したように配線部形成のため
の銅被膜の厚さは18μm以下、理想的には5μm程度
の極めて薄い厚さとしなければならないので、基板の製
造に際して電気銅めっき法によってこのような薄い銅配
線部が得られるような銅被膜導体層を得ようとすると被
膜の水平方向への成長量が不足し、上記したピンホール
による欠陥を埋めることができず、これにより得られた
配線板は配線部にこれによる欠陥を生ずる恐れが多々あ
った。
【0011】この状況を、下地金属層を形成した絶縁体
フィルム上に所望の厚さの銅導体層を形成した2層フレ
キシブル基板を用いて、例えばサブトラクティブ法によ
って2層フレキシブル配線板の製造を行う場合を例にと
って説明すると、配線部パターンの形成は次の工程で行
われる。 (1)該銅導体層上に、配線部のみがマスキングされ非
配線部の銅導体層が露出するような所望の配線部パター
ンを有するレジスト層を設ける、(2)露出している銅
導体層を化学エッチング処理により除去する、(3)最
後にレジスト層を剥離除去する。従って、銅導体層の厚
さを例えば5μmというように極めて薄く形成した基板
を使用して、例えば配線幅40μm、配線ピッチ80μ
mというような狭配線幅、狭配線ピッチの配線板を製造
する場合には、乾式めっき処理によって基板の下地金属
層に生じているピンホールのうち、粗大なものは大きさ
が数十μm乃至数百μmのオーダーに達するために、5
μm程度の厚さの電気銅めっき被膜を形成したのでは、
ピンホールによる絶縁体フィルム露出部分を殆ど埋める
ことができず、この露出部分、つまり導体層の欠落部分
が配線部にかかり、配線部は該ピンホールの位置で欠落
して配線欠陥となるか、そうでなくても配線部の密着不
良を招く原因となるのである。
【0012】上記した問題を解決する方法として、絶縁
体フィルム上に乾式めっき法で下地金属層を形成した上
に、さらに中間金属層として無電解めっきによる銅被覆
層を施してピンホールによる絶縁体フィルムの露出部分
を被覆する方法が提案されている。しかし、この方法に
よるときは、確かにある程度ピンホールによる絶縁体フ
ィルムの露出部分をなくすことはできるが、一方におい
て無電解銅めっき処理に用いられるめっき液やその前処
理液などが、既に形成されている大小さまざまなピンホ
ール部分から絶縁体フィルムと下地金属層との間に浸透
し、これが下地金属層の密着性、ひいてはその後に形成
される電気銅めっきによる導体層の密着性を阻害する原
因となるので十分な解決策にはならなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、乾式めっき
法と無電解めっき法を併用したフレキシブル配線板の製
造における上記した問題点を解決し、絶縁体フィルム上
に乾式めっき処理によって下地金属層を形成するに際し
て生ずるピンホールに起因する銅導体部の欠落がなく、
かつ絶縁体フィルムと下地金属層との密着性の優れたフ
レキシブル配線板の製造方法を提供することを目的とす
るものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、絶縁体フィルムの片面または両面に、接着
剤を介さずに直接下地金属層を形成し、該下地金属層上
に所望の厚さの銅導体層を形成する2層フレキシブル基
板の製造方法において、下地金属層をニッケル、銅およ
び銅−ニッケル合金からなる群から選ばれた少なくとも
1種を用いて乾式めっき法によって形成し、次に、該下
地金属層上に一次電気銅めっき被膜層を形成した後、無
機アルカリ溶液、または有機アルカリ溶液、またはこれ
らの混合溶液で処理し、しかる後、該一次電気銅めっき
被膜層上に中間金属層として無電解銅めっき被膜を形成
し、最後に、該中間金属層上に二次電気銅めっき被膜層
を形成することにより最終的に絶縁体フィルム上に1〜
18μm銅導体層を形成する2層フレキシブル基板の製
造方法を特徴とするものである。
【0015】本発明において下地金属層上に施される一
次電気銅めっき被膜層の厚さは0.3〜10μmの範囲
であることが好ましく、0.5〜2μmの範囲のである
ことがより好ましい。また、一次電気めっき被膜層形成
後に施されるアルカリ溶液処理に無機アルカリ溶液を用
いる場合は、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムま
たはこれらの混合水溶液によて行うことが好ましく、そ
の濃度は0.05〜3.00モル/リットルであること
が好ましい。また有機アルカリ溶液を用いる場合は、ヒ
ドラジンとエチレンジアミンとの混合溶液を用いること
が好ましく、その場合におけるヒドラジンおよびエチレ
ンジアミンの濃度は、それぞれ0.5〜4.0モル/リ
ットルおよび0.5〜2.0モル/リットルであること
が好ましい。またさらに、無機アルカリ溶液と有機アル
カリ溶液との混合溶液を用いる場合は、水酸化カリウム
水溶液および/または水酸化ナトリウム水溶液とヒドラ
ジンとの混合溶液を用いることが好ましく、その場合に
おける無機アルカリ水溶液およびヒドラジンの濃度は、
それぞれ0.05〜3.00モル/リットルおよび0.
5〜4.0モル/リットルとすることが好ましい。
【0016】また、本発明において一次電気銅めっき被
膜層上に形成する無電解銅めっき被膜層の厚さは、0.
01〜1.0μmの範囲であることが好ましく、該無電
解銅めっき被膜層を形成するに際しては、前処理として
触媒付与処理を施すことが好ましい。
【0017】また、本発明において、絶縁体フィルム上
に直接形成される下地金属層の金属種は、ニッケル、
銅、または銅−ニッケル合金であることが好ましい。ま
た、下地金属層の厚さは200〜2,000オングスト
ロームであることが好ましく、さらに下地金属層がニッ
ケルまたは銅−ニッケル合金の乾式めっき被膜層である
ときは、その厚さが200〜2,000オングストロー
ムであることが好ましく、下地金属層が銅の乾式めっき
被膜層であるときは、その厚さが200〜5,000オ
ングストロームであることが好ましい。また該下地金属
層を形成するための乾式めっき法は、真空蒸着法、スパ
ッタリング法、またはイオンプレ−ティング法のうちの
いずれかを採用することが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明は、上記したように絶縁体
フィルム上に下地金属層として乾式めっき法によりニッ
ケル、銅、銅−ニッケル合金などによる乾式めっき被膜
層を形成した上に、所定の厚さの一次電気銅めっき被膜
層を形成した後、無機アルカリ溶液および/または有機
アルカリ溶液による処理を行い、しかる後無電解銅めっ
き被膜層を被着させ、最後に二次電気銅めっき被膜層を
形成することによって所望の厚さの銅導体層を形成する
2層フレキシブル基板の製造方法であり、乾式めっき
法、無電解めっき法および電気めっき法を用いてフレキ
シブル配線板の製造を行うに際して、本発明の製造方法
を採用することにより乾式めっき処理に際して発生する
ピンホールに基づく導体部の欠陥が少なく、かつ導体層
と絶縁体フィルム間の密着性の高い2層フレキシブル基
板を得ることに成功したものである。
【0019】本発明において、基板上に電気銅めっき被
膜層を一次、二次に分けて形成させる理由について説明
すると次のごとくである。即ち、通常乾式めっき法によ
って絶縁体フィルム上に形成されるめっき被膜層には、
大小無数のピンホールが存在するが、そのうちの殆どは
光学顕微鏡では観察困難な1μm以下の微小なピンホー
ルであり、残部が数μm乃至数百μmの粗大なピンホー
ルである。そして、前者の微小ピンホールは配線板を作
製する際の配線部の欠陥発生に殆ど影響しないが、後者
の粗大ピンホールは絶縁体フィルム上に顕著な大きさの
露出部を形成するために、無電解銅めっき処理によって
この露出部を被覆しなければ、その後の電気銅めっき処
理工程において形成される導体層に部分的欠落部を生
じ、配線板作製に際して配線欠陥を生ずる原因となる。
なお、本発明者の行った実験によれば、配線板における
配線部の欠落の許容限界の目安は、配線幅の1/4から
1/3程度であるので、例えば配線幅40μmの配線板
においては、基板に形成した導体層に10μmの大きさ
を超えるピンホールよる部分欠落部が多数存在すると、
該基板により作製される配線板は不良品となり易いこと
が実証されている。
【0020】そしてまた、上記したピンホールのうち微
小ピンホールの存在も、その後に行われる無電解銅めっ
き処理に際し、無電解めっき液やその前処理液などがこ
の微小ピンホールの穴から下地金属層と絶縁体フィルム
の間に浸透し、下地金属層の密着性を阻害する原因とな
り、ひいては作製される配線板における配線部の密着強
度が通常この種の配線板において実用的基準とされる1
kgf/cmの値を下回るようになるので好ましくな
い。そこで本発明においては、下地金属層上に一次電解
銅めっき処理を施すことによって、形成された銅めっき
被膜層によって下地金属層の微小ピンホールの穴を埋め
てやり、次工程の無電解銅めっき工程での無電解めっき
液や前処理液の微小ピンホールから絶縁体フィルムへの
浸透を抑制し、これによって下地金属層の絶縁体フィル
ムに対する密着性を確保するようにしたものである。
【0021】この場合において、一次電気銅めっき被膜
層の厚みを0.3〜10μmの範囲に限定した理由は次
のごとくである。粗大ピンホール部分は絶縁体フィルム
面が大きく露出しているために電気銅めっき処理を行っ
ても通電性のない絶縁体フィルム上には銅めっき被膜は
形成されない。その結果一次電気銅めっき被膜が形成さ
れた部分の厚さは下地金属層の厚さに一次電気銅めっき
被膜層の厚さが加わり、粗大ピンホールによる絶縁体フ
ィルムの露出部分と一次電気銅めっき被膜層の形成部分
とに段差が生ずることになる。この段差は最終工程の二
次電気銅めっき被膜形成後も変わることがないので、一
次電気銅めっき被膜層を10μmを超える厚さにする
と、得られた2層フレキシブル基板の表面における段差
が著しく大きくなりすぎてその後の配線部形成工程にお
ける配線部の加工に支障をきたすようになる。また、一
次電気銅めっき被膜層の厚さが0.3μm未満となると
微小ピンホールの穴を十分に埋めきれないので、無電解
銅めっき処理に際してのめっき液等の浸透が起こり易く
なり、下地金属層の密着性の低下を招く恐れが生ずるの
で、いずれの場合も好ましくない。
【0022】なお、この一次電気銅めっき被膜層の厚さ
は、もとより微小ピンホールの穴を埋めてめっき液の浸
透を防止できる程度の厚さにすればよいのであるが、ま
たこの厚さは二次電気銅めっき処理を施すことによって
得られる最終的な導体層の厚さおよび配線板に形成され
る配線部の配線幅および配線ピッチの大きさを考慮して
定められる。例えば、基板に最終的に形成される銅導体
層の厚さが5μm程度であり、これにより形成される配
線板における配線部の配線幅が40μm、配線ピッチが
80μm程度であるときに、下地金属層の密着性をほぼ
確保しつつ実質的段差の解消を図るためには、該一次電
気銅めっき被膜層の厚さは0.5〜2μmの範囲とする
のが理想的である。
【0023】一次電気めっき処理を施した後に、アルカ
リ溶液による処理を行うが、これは、一次電気銅めっき
被膜層を形成しても、なお粗大ピンホールに基づく絶縁
体フィルム露出部分が残留し、この絶縁体フィルム露出
部分上には、次工程の無電解めっき処理の前処理として
行われる触媒付与処理を効果的に行なうことが困難であ
るので、該絶縁体フィルム露出部分を親水化することに
より触媒付与処理が容易に行い得ようにし、これによっ
て無電解銅めっきが円滑、確実に行われるようにするた
めである。この際に使用するアルカリ溶液は、無機アル
カリ溶液、または有機アルカリ溶液、または無機アルカ
リ溶液と有機アルカリ溶液との混合溶液のいずれでもよ
い。
【0024】無機アルカリ溶液を使用する場合には、水
酸化カリウム、または水酸化ナトリウムあるいはこれら
の混合溶液を用いることが好ましく、その濃度は0.0
5〜3.00モル/リットルの範囲とすることが望まし
い。また、有機アルカリ溶液を使用する場合には、ヒド
ラジンとエチレンジアミンとの混合溶液を用いることが
好ましく、その場合におけるヒドラジンおよびエチレン
ジアミンの濃度は、それぞれ0.5〜4.0モル/リッ
トルおよび0.5〜2.0モル/リットルであることが
望ましい。またさらに、無機アルカリ溶液と有機アルカ
リ溶液との混合溶液を使用する場合には、水酸化カリウ
ム水溶液および/または水酸化ナトリウム水溶液とヒド
ラジンとの混合溶液を用いることが好ましく、その場合
における無機アルカリ水溶液およびヒドラジンの濃度
は、それぞれ0.05〜3.00モル/リットルおよび
0.5〜4.0モル/リットルとすることが望ましい。
【0025】次に、無電解銅めっき処理を行うが、これ
は基板全面に無電解銅めっき被膜層を形成させることに
よって、粗大ピンホールによる絶縁体フィルムの露出面
を覆って基板面全面を良導体化し、これによってピンホ
ールの影響を受けることなく次工程での二次電気銅めっ
き処理を基板全面に亘って行わせることを可能とするた
めに行われるものである。該無電解銅めっき処理を施す
に当たっては、公知の触媒付与剤を使用して事前に基板
上に触媒付与処理を施すことが好ましい。以後、二次電
気銅めっき処理を施すことによって、容易に厚さ1〜1
8μm程度の導体層を有する薄肉の健全な2層フレキシ
ブル基板を得ることができる。
【0026】本発明において、無電解銅めっき処理に際
して行われる触媒付与処理に用いられる触媒金属種は、
無電解めっき液に含まれる錯体化された金属イオン種よ
りも電位的に貴なものであればよく、例えば金、白金、
銀、パラジウム等が使用できる。しかし、簡便さを考慮
すれば、触媒付与剤として広く市販されているパラジウ
ム系の触媒付与剤、例えば、パラジウム−錫の酸性溶液
や、アルカリ性のパラジウム錯体溶液、あるいは錫を含
まない酸性パラジウム溶液などが適当である。触媒金属
種の付与方法は特に限定されず、通常行われるセンシタ
イジング・アクチベーション法やキャタリスト・アクセ
レーター法などを状況に応じて適宜選択すればよい。ま
た、触媒付与処理に際しての前処理は、特に限定されな
いが下地金属層と無電解めっき被膜の密着性を高めるた
めに脱脂等の清浄化処理を施しておくことが望ましい。
しかしながら、この前処理によって下地金属層の銅層が
溶解するような条件で処理することは厳に避けなければ
ならない。
【0027】また、本発明において使用する無電解めっ
き液は、含まれる金属イオンが自己触媒性を有し、かつ
ヒドラジン、ホスフィン酸ナトリウム、ホルマリン等の
還元剤によって還元されて金属析出する還元析出型のも
のであればいずれでもよいが、本発明の主旨からいっ
て、下地金属層に生じているピンホールにより露出した
絶縁体フィルム露出部分の良導体化を図ることが主たる
目的であるから、導電性が良好で比較的作業性のよい無
電解銅めっき液の使用が最適である。なお、この無電解
銅めっき液によるめっき被膜の厚さは、基板面における
ピンホールによる欠陥修復が可能でかつ電気銅めっき処
理を施す際に、電気銅めっき液によって溶解されない程
度の厚さであればよく、具体的には、0.01〜1.0
μmの範囲であることが好ましい。
【0028】このようにして無電解銅めっき被膜を形成
させた基板は、最終的に所望の厚さの導体層が形成され
るように二次電気銅めっき処理を施すことにより、下地
金属層形成時に発生した大小様々なピンホールによる影
響を受けない健全で導体層の密着度の高い2層フレキシ
ブル基板を得ることができる。なお、本発明において行
われる電気銅めっき処理は、一次、二次ともに常法によ
る電気銅めっき法における諸条件を採用すればよい。
【0029】また本発明において、絶縁体フィルム上に
直接形成される下地金属層の金属種は、ニッケル、銅、
または銅−ニッケル合金であることが好ましく、形成さ
れる下地金属層の厚さは、下地金属上に一次銅電解処理
が可能な程度の厚さがあれば十分であり、具体的には2
00〜5,000オングストロームの範囲の厚さ、より
具体的には、下地金属層がニッケルまたは銅−ニッケル
合金の乾式めっき被膜層であるときは、その厚さが20
0〜2,000オングストロームであることが好まし
く、下地金属層が銅の乾式めっき被膜層であるときは、
その厚さが200〜5,000オングストロームである
ことが好ましい。それぞれの下限値未満の厚さでは満足
に一次電気銅めっき処理を行うことが困難であり、また
上限値を超える厚さになると被膜層に応力によるクラッ
クやそりを生じ、かえって密着強度の低下をきたすよう
になるのでいずれも好ましくない。また、乾式めっき法
としては、一般的に行われている真空蒸着法、スパッタ
リング法、またはイオンプレ−ティング法のいずれかを
適宜採用すればよい。
【0030】
【実施例】以下に本発明の実施例を比較例とともに掲げ
る。 実施例1:厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レ・
デュポン社製、製品名「カプトン200V」)を12c
m×12cmの大きさに切り出し、その片面に下地金属
層として真空蒸着法によってニッケル被膜層を300オ
ングストロームの厚さに形成した。
【0031】次に、これを弱アルカリ性の脱脂剤に1分
間浸漬し、引き続き2分間水洗して表面洗浄処理を行っ
た。次に表1に示す組成の電気銅めっき液を用いて厚さ
1μmの一次電気銅被膜を形成した。このときのめっき
条件は、めっき液温度を室温とし、空気撹拌を行い、電
流密度を0.5A/dmとした。
【0032】
【表1】 硫酸銅5水塩 :80g/リットル 硫酸 :200g/リットル 光沢剤 :適宜 塩素イオン :50mg/リットル
【0033】一次電気銅めっき被膜形成後水洗し、次い
で濃度0.05モル/リットルの水酸化カリウム溶液に
1分間浸漬して乾式めっき処理に際して発生したピンホ
ールによるポリイミド露出面に親水化し、水洗後キャタ
ライジング液、アクセレーティング液(共に奥野製薬社
製)に3分間浸漬して基板表面に触媒を付与した。引き
続き基板を表2に示す組成の無電解銅めっき液に3分間
浸漬して表面に0.1μmの厚さの無電解銅めっき被膜
を成膜した。このときのめっき条件は、めっき液の温度
は60℃、pHは12.5であり、空気撹拌を行った。
【0034】
【表2】 硫酸銅 :10g/リットル EDTA :30g/リットル HCHO(36%溶液) :5ミリリットル/リットル PEG1000 :0.5g/リットル ジピリジル :10mg/リットル
【0035】無電解めっき処理後、引き続いて表1に示
す組成の電気銅めっき液を用いて銅導体層の厚さが最終
的に5μmになるように二次電気銅めっき被膜を形成し
た。このときのめっき条件は、めっき液の温度は室温と
し、空気撹拌を行い、通電時の電流密度を3A/dm
とした。
【0036】得られた基板に対し、銅被膜側から光を当
ててピンホールの有無を確認したところ12cm×12
cmの領域内では光の透過は認められず、ピンホールが
存在しないことが分かった。この基板を用いて配線幅4
0μm、配線ピッチ80μmのフレキシブル配線板を常
法によるサブトラクティブ法に基づいて作製したとこ
ろ、配線部分にピンホールに起因する欠陥のない2層フ
レキシブル配線板が得られた。
【0037】また、該2層フレキシブル配線板の配線部
を垂直に引き剥がして配線部の密着強度を測定したとこ
ろ、その強度は1kgf/cm以上であり、ポリイミド
フィルムに下地金属層を真空蒸着した後、一次電気銅め
っき被膜層を施さずに直ちに無電解めっき処理を施し次
いで電気銅めっき被膜を形成した基板によるものに比べ
て高い密着強度を有し、十分に実用に供することができ
る密着強度を有するものであることが分かった。
【0038】なお、本実施例においては、サブトラクテ
ィブ法によってポリイミドフィルムの片面に配線パター
ンを有する基板から得られた片面フレキシブル配線板に
ついての作製例を示したが、絶縁体フィルムの両面に配
線部を有する両面フレキシブル配線板、あるいはセミア
ディティブ法により作製された片面または両面フレキシ
ブル配線板についても同様の優れた結果が得られること
が確認されている。
【0039】実施例2:下地金属層におけるニッケル被
膜層を真空蒸着法により500オングストロームの厚さ
に形成した以外は実施例1と同様の手順で2層フレキシ
ブル基板を作製し、この基板を使用して実施例1と同様
の手順で2層フレキシブル配線板を作製したところ、配
線部分にピンホールに起因する欠陥のない2層フレキシ
ブル配線板が得られた。また、得られた2層フレキシブ
ル配線板の配線部を垂直に引き剥がして配線部の密着強
度を測定したところ、その強度は1kgf/cm以上で
あり、十分に実用に供することができる密着強度を有す
るものであることが分かった。
【0040】実施例3:下地金属層におけるニッケル被
膜層の代わりに銅被膜層を真空蒸着法により1,000
オングストロームの厚さに形成した以外は実施例2と同
様の手順で2層フレキシブル基板を作製し、この基板を
使用して実施例1と同様の手順で2層フレキシブル配線
板を作製したところ、配線部分にピンホールに起因する
欠陥のない2層フレキシブル配線板が得られた。また、
得られた2層フレキシブル配線板の配線部を垂直に引き
剥がして配線部の密着強度を測定したところ、その強度
は1kgf/cm以上であり、十分に実用に供すること
ができる密着強度を有するものであることが分かった。
【0041】実施例4:下地金属層におけるニッケル被
膜層の代わりにニッケル40重量%を含む銅−ニッケル
合金被膜層をスパッタリング法により300オングスト
ロームの厚さに形成した以外は実施例1と同様の手順で
2層フレキシブル基板を作製し、この基板を使用して実
施例1と同様の手順で2層フレキシブル配線板を作製し
たところ、配線部分にピンホールに起因する欠陥のない
2層フレキシブル配線板が得られた。また、得られた2
層フレキシブル配線板の配線部を垂直に引き剥がして配
線部の密着強度を測定したところ、その強度は1kgf
/cm以上であり、十分に実用に供することができる密
着強度を有するものであることが分かった。
【0042】実施例5:一次電気銅めっき被膜層の厚さ
を0.5μmとしたこと以外は実施例1と同様の手順で
2層フレキシブル基板を作製し、この基板を使用して実
施例1と同様の手順で2層フレキシブル配線板を作製し
たところ、配線部分にピンホールに起因する欠陥のない
2層フレキシブル配線板が得られた。また、得られた2
層フレキシブル配線板の配線部を垂直に引き剥がして配
線部の密着強度を測定したところ、その強度は1kgf
/cm以上であり、十分に実用に供することができる密
着強度を有するものであることが分かった。
【0043】実施例6:ポリイミドフィルムの親水化処
理に濃度0.05モル/リットルの水酸化カリウムと濃
度0.05モル/リットルのヒドラジンとの無機/有機
アルカリ混合溶液を用いたこと以外は実施例2と同様の
手順で2層フレキシブル基板を作製し、この基板を使用
して実施例1と同様の手順で2層フレキシブル配線板を
作製したところ、配線部分にピンホールに起因する欠陥
のない2層フレキシブル配線板が得られた。また得られ
た2層フレキシブル配線板の配線部を垂直に引き剥がし
て配線部の密着強度を測定したところ、その強度は1k
gf/cm以上であり、十分に実用に供することができ
る密着強度を有するものであることが分かった。
【0044】実施例7:ポリイミドフィルムの親水化処
理に濃度3.0モル/リットルの水酸化カリウムと濃度
4.0モル/リットルのヒドラジンとの無機/有機アル
カリ混合溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の手順
で2層フレキシブル基板を作製し、この基板を使用して
実施例1と同様の手順で2層フレキシブル配線板を作製
したところ、配線部分にピンホールに起因する欠陥のな
い2層フレキシブル配線板が得られた。また、得られた
2層フレキシブル配線板の配線部を垂直に引き剥がして
配線部の密着強度を測定したところ、その強度は1kg
f/cm以上であり、十分に実用に供することができる
密着強度を有するものであることが分かった。
【0045】実施例8:ポリイミドフィルムの親水化処
理に濃度0.5モル/リットルのヒドラジン溶液と濃度
0.5モル/リットルのエチレンジアミン溶液との混合
溶液からなる有機アルカリ溶液を用いたこと以外は実施
例1と同様の手順で2層フレキシブル基板を作製し、こ
の基板を使用して実施例1と同様の手順で2層フレキシ
ブル配線板を作製したところ、配線部分にピンホールに
起因する欠陥のない2層フレキシブル配線板が得られ
た。また、得られた2層フレキシブル配線板の配線部を
垂直に引き剥がして配線部の密着強度を測定したとこ
ろ、その強度は1kgf/cm以上であり、十分に実用
に供することができる密着強度を有するものであること
が分かった。
【0046】実施例9:ポリイミドフィルムの親水化処
理に濃度4.0モル/リットルのヒドラジン溶液と濃度
2.0モル/リットルのエチレンジアミン溶液との混合
溶液からなる有機アルカリ溶液を用いたこと以外は実施
例1と同様の手順で2層フレキシブル基板を作製し、こ
の基板を使用して実施例1と同様の手順で2層フレキシ
ブル配線板を作製したところ、配線部分にピンホールに
起因する欠陥のない2層フレキシブル配線板が得られ
た。また、得られた2層フレキシブル配線板の配線部を
垂直に引き剥がして配線部の密着強度を測定したとこ
ろ、その強度は1kgf/cm以上であり、十分に実用
に供することができる密着強度を有するものであること
が分かった。
【0047】実施例10:一次電気銅めっき被膜層を
0.5μmの厚さに形成した以外は実施例4と同様の手
順で2層フレキシブル基板を作製し、この基板を使用し
て実施例1と同様の手順で2層フレキシブル配線板を作
製したところ、配線部分にピンホールに起因する欠陥の
ない2層フレキシブル配線板が得られた。また、得られ
た2層フレキシブル配線板の配線部を垂直に引き剥がし
て配線部の密着強度を測定したところ、その強度は1k
gf/cm以上であり、十分に実用に供することができ
る密着強度を有するものであることが分かった。
【0048】実施例11:一次電気銅めっき被膜層を5
μmの厚さに形成した以外は実施例5と同様の手順で2
層フレキシブル基板を作製し、この基板を使用して実施
例1と同様の手順で2層フレキシブル配線板を作製した
ところ、配線部分にピンホールに起因する欠陥のない2
層フレキシブル配線板が得られた。また、得られた2層
フレキシブル配線板の配線部を垂直に引き剥がして配線
部の密着強度を測定したところ、その強度は1kgf/
cm以上であり、十分に実用に供することができる密着
強度を有するものであることが分かった。
【0049】比較例1:下地金属層のニッケル被膜層の
厚さを40オングストロームとしたこと以外は実施例1
と同様の手順で一次電気銅めっき処理を施したところ、
電解電圧が10v以上となって電流が流れなくなり、電
気銅めっき処理を継続することができなかった。
【0050】比較例2:下地金属層の銅被膜層の厚さを
6000オングストロームとしたこと以外は実施例1と
同様の手順で2層フレキシブル基板を作製し、この基板
を使用して実施例1と同様の手順で2層フレキシブル配
線板を作製したところ、配線部分にピンホールに起因す
る欠陥のない2層フレキシブル配線板が得られた。しか
し、得られた2層フレキシブル配線板の配線部を垂直に
引き剥がして、その密着強度を測定したところ、その強
度は1kgf/cm以下であり、実用に供することがで
きる密着強度とはならなかった。
【0051】比較例3:下地金属層の上に一次銅めっき
処理を施さなかった以外は実施例1と同様の手順で2層
フレキシブル基板を作製し、この基板を使用して実施例
1と同様の手順で2層フレキシブル配線板を作製したと
ころ、配線部分にピンホールに起因する欠陥のない2層
フレキシブル配線板が得られた。しかし、得られた2層
フレキシブル配線板の配線部を垂直に引き剥がして、そ
の密着強度を測定したところ、その強度は1kgf/c
m以下であり、実用に供することができる密着強度とは
ならなかった。
【0052】比較例4:下地金属層の上に施す一次銅め
っき被膜層の厚さを0.1μmとした以外は実施例1と
同様の手順で2層フレキシブル基板を作製し、この基板
を使用して実施例1と同様の手順で2層フレキシブル配
線板を作製したところ、配線部分にピンホールに起因す
る欠陥のない2層フレキシブル配線板が得られた。しか
し、得られた2層フレキシブル配線板の配線部を垂直に
引き剥がして、その密着強度を測定したところ、その強
度は1kgf/cm以下であり、実用に供することがで
きる密着強度とはならなかった。
【0053】比較例5:一次電気銅めっき処理と無電解
銅めっき処理を省略し、下地金属層の上に直接電気銅め
っき処理を施した以外は実施例1と同様の手順で2層フ
レキシブル基板を作製した。得られた基板に対し、銅被
膜側から光を当ててピンホールの有無を確認したとこ
ろ、12cm×12cmの領域内で部分的に光の透過が
認められ、ピンホールが存在することが分かった。ま
た、この基板を使用して実施例1と同様の手順で2層フ
レキシブル配線板を作製したところ、配線部にピンホー
ルに起因すると思われる欠落部による不良箇所があるこ
とが確認され、この基板は狭ピッチ幅の配線部を有する
2層フレキシブル配線板の作製には適さないことが分か
った。
【0054】比較例6:一次電解銅めっき被膜層を12
μmの厚さで形成し、二次電気銅めっき被膜処理を施し
て得られる最終的な導体層の厚さを15μmとした以外
は実施例1と同様の手順で2層フレキシブル基板を作製
し、この基板を使用して実施例1と同様の手順で2層フ
レキシブル配線板を作製したところ、配線部分にピンホ
ールに起因する欠陥のない2層フレキシブル配線板が得
られた。しかし、得られた2層フレキシブル配線板は、
下地金属層形成に際しての粗大ピンホールに基づくポリ
イミドフィルムの露出部分と思われる箇所の銅導体層の
厚さが薄く、他の部分との段差が12μmもあることか
らフレキシブル配線板には適さないことが分かった。
【0055】比較例7:下地金属層の上に施す一次銅め
っき被膜層の厚さを0.1μmとした以外は実施例4と
同様の手順で2層フレキシブル基板を作製し、この基板
を使用して実施例1と同様の手順で2層フレキシブル配
線板を作製したところ、配線部分にピンホールに起因す
る欠陥のない2層フレキシブル配線板が得られた。しか
し、得られた2層フレキシブル配線板の配線部を垂直に
引き剥がして、その密着強度を測定したところ、その強
度は1kgf/cm以下であり、実用に供することがで
きる密着強度とはならなかった。
【0056】比較例8:ポリイミドフィルムの親水化処
理に濃度0.01モル/リットルの水酸化カリウを用い
たこと以外は実施例1と同様の手順で2層フレキシブル
基板を作製し、得られた基板に対し、銅被膜側から光を
当ててピンホールの有無を確認したところ12cm×1
2cmの領域内で部分的に光の透過が認められ、ピンホ
ールが存在することが分かった。また、この基板を使用
して実施例1と同様の手順で2層フレキシブル配線板を
作製したところ、配線部にピンホールに起因すると思わ
れる欠落部による不良箇所があることが確認され、この
基板は狭ピッチ幅の配線部を有する2層フレキシブル配
線板の作製には適さないことが分かった。
【0057】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の2層フレキ
シブル基板の製造方法によるときは、絶縁体フィルム上
に施す乾式めっき法により生ずる下地金属層のピンホー
ルのうちの微小ピンホールに基づく下地金属層の密着性
の低下を一次電気銅めっき処理を行うことによって抑制
し、しかる後アルカリ溶液処理を施して、粗大ピンホー
ルに基づく絶縁体フィルムの露出部を親水化することに
より触媒付与処理を容易化した後無電解めっき処理を施
すことにより、粗大ピンホールによる絶縁体フィルムの
露出部分を無電解銅めっき被膜層によって覆い、これに
よって粗大ピンホールに基づく導体部欠落の発生を抑制
するようにしたので、その結果1〜18μmというよう
な極めて薄い銅導体層を有する2層フレキシブル基板を
健全かつ容易に得ることができる。従って、この基板を
使用することによって密着性が高く、欠陥のない配線部
を有する信頼性の高い2層フレキシブル配線板を効率よ
く得ることができるのでその効果は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H05K 3/38 H05K 3/38 C (72)発明者 杉浦 卓 愛媛県新居浜市磯浦町17−5 住友金属鉱 山株式会社新居浜研究所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁体フィルムの片面または両面に、接
    着剤を介さずに直接下地金属層を形成し、該下地金属層
    上に所望の厚さの銅導体層を形成する2層フレキシブル
    基板の製造方法において、絶縁体フィルム上に下地金属
    層をニッケル、銅および銅−ニッケル合金からなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種の金属種を用いて乾式めっき
    法によって形成し、次に、該下地金属層上に一次電気銅
    めっき被膜層を形成した後、無機アルカリ溶液、または
    有機アルカリ溶液、またはこれらの混合溶液で処理し、
    しかる後該一次電気銅めっき被膜層上に中間金属層とし
    て無電解銅めっき被膜層を形成し、最後に該中間金属層
    上に二次電気銅めっき被膜層を形成することにより最終
    的に絶縁体フィルム上に1〜18μmの厚さの銅導体層
    を形成することを特徴とする2層フレキシブル基板の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 下地金属層の厚さが200〜5,000
    オングストロームであることを特徴とする請求項1記載
    の2層フレキシブル基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 下地金属層がニッケルまたは銅−ニッケ
    ル合金の被膜層であるときは、その厚さが200〜2,
    000オングストロームであることを特徴とする請求項
    2記載の2層フレキシブル基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 下地金属層が銅被膜層であるときは、そ
    の厚さが200〜5,000オングストロームであるこ
    とを特徴とする請求項2記載の2層フレキシブル基板の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 下地金属層を形成するための乾式めっき
    法は、真空蒸着法、スパッタリング法、またはイオンプ
    レーティング法のいずれかであることを特徴とする請求
    項1記載の2層フレキシブル基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 一次電気銅めっき被膜層の厚さは0.3
    〜10μmの範囲のであることを特徴とする請求項1記
    載の2層フレキシブル基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 無機アルカリ溶液が水酸化カリウム水溶
    液および/または水酸化ナトリウム水溶液であることを
    特徴とする請求項1記載の2層フレキシブル基板の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 無機アルカリ水溶液の濃度が0.05〜
    3.00モル/リットルである請求項7記載の2層フレ
    キシブル基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 有機アルカリ溶液がヒドラジンとエチレ
    ンジアミンとの混合溶液であることを特徴とする請求項
    1記載の2層フレキシブル基板の製造方法。
  10. 【請求項10】 ヒドラジンおよびエチレンジアミンの
    濃度がそれぞれ0.5〜4.0モル/リットルおよび
    0.5〜2.0モル/リットルである請求項9記載の2
    層フレキシブル基板の製造方法。
  11. 【請求項11】 無機アルカリ溶液と有機アルカリ溶液
    との混合溶液が水酸化カリウム水溶液および/または水
    酸化ナトリウム水溶液とヒドラジンとであることを特徴
    とする請求項1記載の2層フレキシブル基板の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 無機アルカリ水溶液およびヒドラジン
    の濃度がそれぞれ0.05〜3.00モル/リットルお
    よび0.5〜4.0モル/リットルであることを特徴と
    する請求項11記載の2層フレキシブル基板の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 無電解銅めっき被膜層の厚さは、0.
    01〜1.0μmの範囲であることを特徴とする請求項
    1記載の2層フレキシブル基板の製造方法。
  14. 【請求項14】 無電解銅めっき被膜層を形成するに際
    し、前処理として触媒付与処理を施すことを特徴とする
    請求項1記載の2層フレキシブル基板の製造方法。
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