JP2007268830A - 化粧シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】作業環境の安全性及び室内環境の安全性に優れた化粧シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基材と、ベタ層及び/又は柄層を有する絵柄層と、接着剤層と、透明樹脂層とを少なくとも有し、当該各層を順次積層してなる化粧シートであって、前記絵柄層及び前記接着剤層が、下記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、下記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液で形成されている化粧シートにより、上記課題を解決する。

Description

本発明は、建築物の内装、建具の表面化粧又は車両の内装等に用いられる化粧シート及びその製造方法に関し、更に詳しくは、環境安全性及び化粧シートの安全性に優れた化粧シート及びその製造方法に関するものである。
建築物の内装、建具の表面化粧又は車両の内装等に用いられる化粧シートとして、基材、ベタ層及び/又は柄層を有する絵柄層、接着剤層、透明樹脂層及び表面保護層を順次積層させた化粧シートが一般に知られている。こうした化粧シートは、従来より、塗工剤の溶剤としてトルエン、キシレン等の芳香族溶剤又はメチルエチルケトンや酢酸エチル等の脂肪族溶剤等の有機溶剤を有する溶剤系塗工剤で製造されている(例えば、特許文献1を参照)。
ところで、近年、建材等から放散される揮発性有機物質(以下、VOCということもある。)が原因とされるシックハウス症候群の発症件数が増えており、厚生労働省により特に危険性が高いとされる物質を指定物質として放散量の指針値化及び総揮発性有機物質(以下、TVOCということもある。)の放散量の指針値化が実施されている。上述したトルエン、キシレン等の芳香族溶剤及びメチルエチルケトンや酢酸エチル等の脂肪族溶剤はVOCであり、特にトルエン、キシレン等の芳香族溶剤はPRTR法(化学物質排出把握管理促進法)の指定化学物質や室内空気中化学物質の指針値策定物質として挙げられていることから、そうした芳香族溶剤やその他の溶剤の使用を減少させようという動きがある。
化粧シートにおいても、化粧シートの製造時に溶剤系塗工剤に含まれるVOCが揮発することにより作業環境が悪化するという問題や、VOCが残存した化粧シートが一般の生活空間に供給されて住宅等の室内環境の安全性が低くなるという問題があり、VOCの使用を減少させてこれらの問題を解決しようとする手段が種々提案されている。例えば、下記特許文献2には、絵柄層や接着剤層等を、VOCの含有を極力減少した水性塗工剤で形成することにより、上記の環境安全性の問題を解決することが記載されている。
このような水性塗工剤としては、例えばアニオン性樹脂成分を主剤とし、トリエチルアミンを中和剤として含有するものが用いられている。
このような化学物質を中和剤に用いた水性塗工剤で形成された化粧シートは、化粧シート製造の際の溶剤を乾燥させる工程等において揮発する溶剤は水もしくは水及びアルコール類のため、溶剤系の塗料に比べ、環境安全性がよく、化粧シートに残存するVOCも溶剤系塗工液で形成された化粧シートに比べ少ない。
特開平11−198309号公報 特開2001−62970号公報
しかしながら、前記の中和剤に使用されているトリエチルアミンは、沸点が89.6℃で、ラット経口LD50(ラットの死亡率が50%となる体重1kg当たりの投与量)が460mg/kgであり、揮発性を有し、トルエンと同等の毒性を有するVOCであり、化粧シート製造の際の溶剤を乾燥させる工程等で加熱されても、トリエチルアミンは化粧シート中に残存するため、室内環境の安全性が低いという問題があった。また、環境問題に対する消費者の意識が依然として高いことから、更に室内環境の安全性の高い化粧シートが求められている。
本発明は、上述の問題を解決すべくなされたものであって、その目的は、作業環境の安全性及び室内環境の安全性に優れた化粧シート及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の化粧シートは、基材と、ベタ層及び/又は柄層を有する絵柄層と、接着剤層と、透明樹脂層とを少なくとも有し、当該各層を順次積層してなる化粧シートであって、前記絵柄層及び前記接着剤層が、下記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、下記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液で形成されていることを特徴とする。
Figure 2007268830
(式中、nは0〜2の整数であり、l及びmは1〜4の整数であり、R及びR’は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。)
この発明によれば、化粧シートを構成する全ての塗工層である絵柄層と接着剤層が、上記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、上記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液を使用して形成されている。このため、中和剤として上記式1〜3で表される揮発性の少なく、かつ、安全性の高いアルカノールアミンが使用されているので、従来のようなトリエチルアミンに起因するVOCの発生がなく、化粧シートからのVOC揮発量及び化粧シート中のVOC残存量を著しく減少させることができる。その結果、化粧シート製造時における作業環境の安全性や化粧シート使用時における室内環境の安全性をより向上させることができる。
本発明の化粧シートにおいて、前記透明樹脂層の表面に設けられた表面保護層をさらに有し、当該表面保護層が、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液で形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、表面保護層がさらに設けられた場合であっても、表面保護層を上記水性塗工液で形成するので、トリエチルアミンに起因するVOCの発生がなく、化粧シート製造時における作業環境の安全性や化粧シート使用時における室内環境の安全性をより向上させることができる。
本発明の化粧シートにおいて、前記透明樹脂層の表面に表面保護層用プライマー層と表面保護層とをさらに有し、当該表面保護層用プライマー層が、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液で形成されており、前記表面保護層が、活性エネルギー硬化型の塗工液を塗工した後に活性エネルギー線を照射することにより硬化して形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、表面保護層用プライマー層及び表面保護層がさらに設けられた場合でも、表面保護層用プライマー層を上記水性塗工液で形成するので、トリエチルアミンに起因するVOCの発生がなく、かつ、表面保護層を活性エネルギー線硬化型塗工液を塗工した後に活性エネルギー線を照射して形成するので、その活性エネルギー線照射時に表層のVOCの揮発が促進される。その結果、化粧シート製造時における作業環境の安全性や化粧シート使用時における室内環境の安全性をより向上させることができる。
本発明の化粧シートにおいて、前記基材の裏面に裏面プライマー層をさらに有し、当該裏面プライマー層が、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液で形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、裏面プライマー層がさらに設けられた場合であっても、それらの層を上記水性塗工物で形成するので、トリエチルアミンに起因するVOCの発生がなく、化粧シート製造時における作業環境の安全性や化粧シート使用時における室内環境の安全性をより向上させることができる。
上記課題を解決するための本発明の化粧シートの製造方法は、基材と、ベタ層及び/又は柄層を有する絵柄層と、接着剤層と、透明樹脂層とを少なくとも有し、当該各層を順次積層してなる化粧シートの製造方法であって、前記絵柄層及び前記接着剤層を、下記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、下記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液で形成することを特徴とする。
Figure 2007268830
(式中、nは0〜2の整数であり、l及びmは1〜4の整数であり、R及びR’は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。)
本発明の化粧シート製造方法において、前記透明樹脂層の表面に表面保護層をさらに有し、当該表面保護層を、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液で形成することを特徴とする。
本発明の化粧シートの製造方法において、前記透明樹脂層の表面に表面保護層用プライマー層と表面保護層とをさらに有し、当該表面保護層用プライマー層を、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液で形成し、当該表面保護層用プライマー層上に、前記表面保護層を、活性エネルギー線硬化型塗工液を塗工した後に活性エネルギー線を照射して形成することを特徴とする。
本発明の化粧シートにおいて、前記基材の裏面に裏面プライマー層をさらに有し、当該裏面プライマー層を、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液で形成することを特徴とする。
これらの発明によれば、化粧シートを構成する全ての塗工層を上記の水性塗工剤で塗工する。又は、最表面層を活性エネルギー線硬化型塗工液を塗工した後に活性エネルギー線を照射して形成し、最表面層を除くすべての塗工層を上記の水性塗工剤で塗工するため、中和剤として上記式1〜3で表される揮発性の低く、かつ、安全性の高いアルカノールアミンを使用するので、VOC揮発量が著しく減少する。また、活性エネルギー線にて最表層を硬化する場合、照射時に、表層のVOCの揮発を促進するため、その結果、化粧シート製造時の作業環境の安全性が高くなる。また、化粧シート中のVOC残存量が著しく減少するので、住宅等の室内環境の安全性に優れる化粧シートを得ることができる。
また、上述した本発明の化粧シート及びその製造方法においては、(A)前記アルカノールアミンが、トリイソプロパノールアミンであること、(B)前記ノニオン性水性化合物が、一分子中に2個以上のイソシアネート基を有する水性化合物であること、(C)前記基材及び前記透明樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂で形成されていること、が好ましい。
本発明の化粧シートによれば、化粧シートを構成する各塗工層が有機溶媒を使用しない水性塗工剤で形成されており、且つ、中和剤に揮発性の低くかつ安全性の高いアルカノールアミンを使用するので、化粧シート製造時のVOC揮発量及び化粧シート中のVOC残存量を著しく減少させることができ、作業環境の安全性及び住宅等の室内環境の安全性に優れる化粧シートとなる。
本発明の化粧シートの製造方法によれば、化粧シート製造時のVOC揮発量が著しく減少するので、化粧シート製造時の作業環境の安全性が向上する。また、化粧シート中のVOC残存量が著しく減少するので、住宅等の室内環境の安全性に優れる化粧シートを得ることができる。
以下、本発明の化粧シート及びその製造方法について、図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の化粧シートの層構成の一例を示す断面図である。図1に例示した化粧シート1は、基材2の上に、ベタ層3と柄層4とからなる絵柄層11、接着剤層5、透明樹脂層6、凹凸模様7、着色層8及び表面保護層9が順次積層され、基材2の裏面に裏面プライマー層10が更に形成されている。
(基材)
基材2は、化粧シート1における必須の構成であり、オレフィン系樹脂を好ましく適用できるがその種類は限定されない。例えば、(イ)主原料がハードセグメントとしての高密度ポリエチレン又はポリプロピレンのいずれかからなり、これにソフトセグメントとしてのエラストマー及び無機充填剤を添加してなる混合物を基材2に用いることができる。また、(ロ)特開平9−111055号公報、特開平5−77371号公報、特開平7−316358号公報等に記載されているエチレン−プロピレン−ブテン共重合体を基材2に用いることもできる。また、(ハ)特公平6−23278号公報に記載されているハードセグメントとしてのアイソタクチックポリプロピレンとソフトセグメントとしてのアタクチックポリプロピレンとの混合物を基材2に用いることもできる。
前記(イ)のオレフィン系樹脂におけるハードセグメントとしての高密度ポリエチレンとしては、好ましくは、比重が0.94〜0.96のポリエチレンであって、低圧法で得られる結晶化度が高く、分子に枝分かれ構造の少ない高分子である高密度ポリエチレンが用いられる。また、ハードセグメントとしてのポリプロピレンとしては、好ましくはアイソタクチックポリプロピレンが用いられる。
前記(イ)のソフトセグメントとしてのエラストマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等が用いられる。水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、ポリオレフィン系樹脂の結晶化を抑えて、その柔軟性を向上させる。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等がある。オレフィンエラストマーとしては、2種類又は3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種類加えた弾性共重合体であり、オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィンエラストマーとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。なお、これらのエラストマーは、必要に応じて有機過酸化物、硫黄等の架橋剤を用いて、過重架橋させてもよい。
これらエラストマーの添加量としては、10〜60重量%(本願において、「重量%」は、「質量%」と同義である。)、好ましくは30重量%程度である。10重量%より低いと一定荷重伸度の変化が急峻になり過ぎ、また、破断時伸度、耐衝撃性、易接着性の低下が生じ、60重量%より高いと透明性、耐候性及び耐クリープ性の低下が生ずる。
前記(イ)の無機充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の平均粒径0.1〜10μm程度の粉末が用いられる。添加量としては、1〜60重量%程度、好ましくは5〜30重量%程度である。1重量%未満では耐クリープ変形性及び易接着性の低下が生じ、60重量%を超えると破断時伸度及び耐衝撃性の低下が生じる。
前記(ロ)のオレフィン系樹脂としては、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑性エラストマーが用いられる。ここで、ブテンとしては、1ブテン、2ブテン、イソブチレンの3種の構造異性体のいずれも用いることができる。共重合体としては、ランダム共重合体であって、非晶質の部分を一部含む。
上記エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂の好ましい具体例としては、次の(a)〜(c)が挙げられる。
(a)特開平9−111055号公報に記載されているエチレン、プロピレン及びブテンの3元共重合体によるランダム共重合体。単量体成分の重量比率はプロピレンが90重量%以上であり、メルトフローレートは、230℃、2.16kgの条件下で1〜50g/10分であることが好ましい。このような3元ランダム共重合体100重量部に対して、上記ランダム共重合体は、燐酸アリールエステル化合物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50重量部、炭素数12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3重量部を溶融混練してなるものである。(b)特開平5−77371号公報に記載されているエチレン、プロピレン及びブテンの3元共重合体であって、プロピレン重量比率が50重量%以上の非晶質重合体20〜100重量%に、結晶質ポリプロピレンを80〜0重量%添加してなるエチレン・プロピレン・ブテン共重合体。(c)特開平7−316358号公報に記載されているエチレン、プロピレン、1ブテンの3元共重合体であって、プロピレン及び/又は1ブテン含有率が50重量%以上の低結晶質重合体20〜100重量%に、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィン80〜0重量%を混合した組成物に対して、Nアシルアミノ酸アミン塩、Nアシルアミノ酸エステル等の油ゲル化剤を0.5重量%添加したエチレン・プロピレン・ブテン共重合体。
上記(a)〜(c)のエチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂は、単独で用いてもよいし、該エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂に必要に応じて更に他のポリオレフィン樹脂を混合して用いてもよい。
前記(ハ)のオレフィン系樹脂としては、特公平6−23278号公報に記載されている(A)ソフトセグメントとしての数平均分子量Mnが25000以上、且つ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶なアタクチックポリプロピレン10〜90重量%と、(B)ハードセグメントとしてのメルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタクチックポリプロピレン90〜10重量%との混合物からなる軟質ポリプロピレンが挙げられる。
上記(ハ)のオレフィン系樹脂の中でも、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合物からなり、且つアタクチックポリプロピレンの重量比率が5〜50重量%のものが好ましく、アタクチックポリプロピレンの重量比率が20〜40重量%のものが特に好ましい。アタクチックポリプロピレンの重量比率が5重量%未満ではエンボス加工をしたり、3次元形状や凹凸形状の物品に成形加工する際にネッキングによる不均一なシートの変形や、その結果としての皺、絵柄の歪み等が生ずることがある。一方、アタクチックポリプロピレンの重量比率が50重量%を超えると、シート自体が変形し易くなり、シートを印刷機に通した時にシートが変形し、絵柄層11の絵柄の歪み、多色刷の場合に見当が合わなくなる等の不良が発生し易くなり、成形時においてはシートが破れ易くなる。
基材2を形成する上述のオレフィン系樹脂中には、必要に応じて、着色剤、熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤等が添加される。
着色剤としては、チタン白、亜鉛華、べんがら、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛若しくはカーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R若しくはフタロシアニンブルー等の有機顔料や染料、アルミニウム若しくは真鍮等の箔粉からなる金属顔料、又は、二酸化チタン被覆雲母若しくは塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられる。また、必要に応じて、無機充填剤を添加してもよく、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、シリカ(二酸化ケイ素)、アルミナ(酸化アルミニウム)等の粉末等が挙げられ、その添加量は、通常、5〜60重量%である。着色剤は、基材2に化粧シート1として必要な色彩を持たせるために添加され、透明着色と不透明(隠蔽)着色のいずれでも構わないが、一般的には被着体を隠蔽するために不透明着色が好ましい。
熱安定剤としては、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フィスファイト系、アミン系等を使用でき、熱加工時の熱変色等の劣化の防止の向上を図る場合に用いられる。難燃剤は、難燃性を付与する場合に添加され、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の粉末が用いられる。紫外線吸収剤は、樹脂により良好な耐候性(耐光性)を付与するためのものであり、ベンゾトリアソール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等の有機物、又は、0.2μm径以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物が用いられる。その他に、ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入した反応型紫外線吸収剤も用いられる。尚、これらの紫外線吸収剤の添加量は、通常0.5〜10重量%程度である。ラジカル捕捉剤は、紫外線による劣化を更に防止し、耐候性を向上させるためのものであり、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジニル)セバケート、その他、例えば特公平4−82625号公報に記載されている化合物等のヒンダード系ラジカル捕捉剤、ビペリジニル系ラジカル捕捉剤等が使用される。
基材2は、上述した材料を任意に選択してブレンドしたものをカレンダー加工等の常用の方法により製膜して得ることができる。基材2の厚さは50〜200μm、好ましくは100μm程度である。
基材2の片面又は両面には、易接着層の塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施すことが好ましい。易接着層(プライマー層又はアンカー層ともいう。)としては、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ポリエチレンを使用することができる。
なお、上述したポリオレフィン系樹脂からなる基材2の他に、ポリエステルやビニロン等の有機樹脂等を用いた織布又は不織布、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体若しくはエチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート若しくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル若しくはポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、又は、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、三酢酸セルロース、セロハン若しくはポリカーボネート等の樹脂からなるシート又はフィルムを用いることも可能である。また、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、上質紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙若しくはパラフィン紙等の紙、又は、そうした紙にポリ塩化ビニルをゾル塗工又はドライラミネートしたいわゆるビニル壁紙原反を用いることができる。また、ガラス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維又は炭素繊維等の無機質繊維からなるシートやフィルムを用いることも可能である。また、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼又は銅等の金属箔等を用いることもできる。更に、こうした各材料を複数積層させたものを、基材2として用いることも可能である。
(絵柄層)
絵柄層11は、化粧シート1における必須の層であり、ベタ層3及び/又は柄層4から構成される。
ベタ層3は、基材2の地肌の隠蔽等の目的で設けられ、通常は模様のない全ベタ状の着色層として形成される。柄層4は、一般に、図形、文字、記号、色彩、それらの組み合わせ等により、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形等からなる模様ないし色彩を有し、ベタ層3上に、平面状、凹凸状、凸状(図1を参照。)の層として形成される。なお、柄層4がベタ層3の作用を兼ねる場合もあり、この場合には、柄層4がベタ層3となる。
ベタ層3及び/又は柄層4を有する絵柄層11は、基材2表面の全面に設けられてもよく、部分的に設けられてもよい。また、絵柄層11は、図1に示すように、基材2の表面全面に設けたベタ層3と、そのベタ層3の表面に部分的に設けた柄層4とから構成することもできる。
本発明においては、絵柄層11を、アルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工剤、又は、アルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工剤で形成する。このような水性塗工剤で絵柄層を形成すると、VOCの発生量を減少させることができるので、作業環境の安全性や室内環境の安全性をより向上させることができる。
アニオン系水性化合物は、樹脂基体中に水和性官能基としてアニオン性基(酸基)が導入された樹脂である。樹脂基体としては、ウレタン樹脂、エステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アミノ系樹脂、フェノール系樹脂等、上記樹脂の共重合物、及び又は、混合物等が挙げられる。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸エステル基等が挙げられる。
アニオン性基を有する樹脂成分は、例えば、上記に例示したアニオン性基を含有する化合物と樹脂基材の材料とを共重合することにより得られる。アニオン性基を含有する化合物としては、例えば、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸等のカルボキシル基を含有する化合物、イソフタル酸−5−スルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基を含有する化合物、リン酸等のリン酸基を含有する化合物が挙げられる。
アニオン性基を有する樹脂成分は、酸価(樹脂1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数)が10〜60であることが好ましい。酸価が10以下であると樹脂成分の水等に対する溶解性が悪くなり、酸価が60以上であると形成される絵柄層11の耐水性が悪くなる。
中和剤は、アニオン性基を有する樹脂成分を中和又はイオン化して、樹脂成分を水等の溶媒に溶解又は分散させるためのものである。本発明において、中和剤としては、下記式1〜3に示すアルカノールアミンが用いられる。
Figure 2007268830
(式中、nは0〜2の整数であり、l及びmは1〜4の整数であり、R及びR’は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。)
アルカノールアミンとしては、上記式中のl及びmが2〜3であるものが好ましく、例えば、N,N−ジメチルエタノールアミン(ラット経口LD50;2000mg/kg、沸点;134.6℃)、N−メチルN,N−ジエタノールアミン(ラット経口LD50;4780mg/kg、沸点;247.2℃)、トリイソプロパノールアミン(ラット経口LD50;6500mg/kg、沸点;306.5℃)、又は、トリエタノールアミン(ラット経口LD50;8000mg/kg、沸点;360.0℃)等を用いることができる。
アルカノールアミンは、従来広く中和剤として用いられていたアンモニア(ラット経口LD50;350mg/kg、沸点;37.7℃)やトリエチルアミン(ラット経口LD50;460mg/kg、沸点;89.6℃)と比較して毒性が非常に低い。また、アルカノールアミンは沸点が高いので、化粧シートからほとんど揮発しない。特に、世界保健機構(WHO)の分類によると、沸点が50〜260℃の有機物質をVOCとして定義し、また、沸点が260〜400℃の有機物質を準揮発性有機物質(以下、SVOCということもある。)として定義している。したがって、沸点が260℃以上であるトリイソプロパノールアミンやトリエタノールアミン等は、WHOの分類によるとVOCとして定義されず、より安全なSVOCとして定義される。これらの点から、アルカノールアミンを中和剤として用いた水性塗工液により絵柄層11を形成すると、作業環境の安全性及び室内環境の安全性の高い化粧シート1を製造することができる。
アルカノールアミンは、式1中のnが小さいほど(R’の数が多いほど)毒性が低くなり、また、沸点が高くなるので安全性が向上する。また、アルカノールアミンは、式1中のnが大きいほど(R’の数が少ないほど)親水性が低くなるので形成される絵柄層11の耐水性が向上する。水性塗工剤に含有する具体的なアルカノールアミンは、そのような特性を考慮し、化粧シートの用途等に応じて選択される。
水性塗工剤中のアルカノールアミンの含有量は、樹脂成分の酸に対して当量であることが好ましいが、樹脂成分を溶媒である水に分散・溶解させることができる範囲内で当量より少ない量であってもよい。
ノニオン系水性化合物は、樹脂基体中に水和性官能基としてノニオン性基が導入された樹脂である。樹脂基体としては、ウレタン樹脂、エステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アミノ系樹脂、フェノール系樹脂等、上記樹脂の共重合物、及び又は、混合物等が挙げられる。また、多価イソシアネート化合物、多価エポキシ化合物、多価カルボジイミド゛化合物等の架橋剤も挙げることができる。
ノニオン性基としては、水酸基、アミド基、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のエーテル結合が挙げられる。
本発明において、メインバインダーとして、上記1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物を用い、架橋剤として、ノニオン系水性化合物を用いことが好ましい。
中でもイソシアネート基含有水性化合物を用いると、中和剤のアルカノールアミン中の水酸基とイソシアネート基との高い反応性により層内に中和剤が固着されて層外に揮発しないので好ましい。
イソシアネート基含有水性化合物としては、水又は水等の溶媒に溶解又は分散するものであれば特に限定されないが、多価イソシアネート化合物を親水性処理したものが実用上好ましく用いられる。
多価イソシアネート化合物としては、例えば、ジイソシアネート化合物と活性水素基含有化合物との反応による末端イソシアネート基含有化合物又はジイソシアネート化合物の反応による末端イソシアネート基含有化合物等を用いることができる。上記ジイソシアネート化合物としては、フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、又は、これらの混合物等が挙げられる。
親水性処理は、上述した多価イソシアネート化合物と活性水素基を1個以上有する親水性極性基含有化合物と必要に応じて添加される中和剤とを反応させることにより行われる。この親水性極性基含有化合物に含有されている親水性極性基としては、ノニオン性基、アニオン性基が挙げられる。この中でも、得られるイソシアネート基を持つ水性化合物の安定性の観点から、ノニオン性基が好ましい。これらの親水性極性基は、それぞれ単独で含有されていてもよいし、異なる種類が組み合わされて含有されていてもよい。
ノニオン性極性基含有化合物としては、エチレンオキサイドユニットが50モル%以上、繰り返し数は3〜90、特に好ましくは繰り返し数が5〜50であるポリ(オキシアルキレン)エーテルモノオール等を挙げることができる。アニオン性極性基を含有する化合物としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩等が挙げられる。このようなアニオン性極性基を含有する化合物を用いた場合の中和剤としては、上述のアルカノール等を用いることができる。
水性塗工剤に架橋剤を含有する場合には、樹脂成分と架橋剤成分との比を、樹脂成分:架橋剤成分=100:50〜100:2とすることが好ましい。
絵柄層用の水性塗工剤には、着色顔料や染料等の着色剤が配合される。また、ワックス類、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤その他等の添加剤が任意に添加されてもよい。
着色顔料としては、通常使用される有機又は無機系の顔料を使用することができる。こうした着色顔料のうち、黄色顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キノクサリンジオン、イソインドリノン等の有機顔料、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン黄等の無機顔料を使用することができる。また、赤色顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドン等の有機顔料、弁柄、朱、カドミウムレッド、クロムバーミリオン等の無機顔料を使用することができる。また、青色顔料としては、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等の有機顔料、紺青、群青、コバルトブルー等の無機顔料を使用することができる。また、黒色顔料としては、アニリンブラック等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料を使用することができる。また、白色顔料としては、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の無機顔料を使用することができる。また、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体積顔料、界面活性剤等を任意に含有させることができる。
水性塗工剤の溶媒である水は、従来より水性塗工剤に使用されているグレードの工業用水が使用される。また、水とアルコール等とからなる混合溶媒を、水性塗工剤の溶媒として使用することもできる。そうした混合溶媒を構成するアルコール等としては、エタノール、イソプロピルアルコール若しくはN−プロピルアルコール等の低級アルコール、グリコール類、又は、そのエステル類等を挙げることができる。なお、これら低級アルコール、グリコール類及びそのエステル類等の溶媒は、水性塗工剤の流動性改良、被塗工体である基材2への濡れの向上及び乾燥性の調整等の目的で使用されるものであり、その目的に応じてその種類、使用量等が決定される。しかしながら、これらの溶媒はVOCとなるため、化粧シート使用環境での安全性を第一に考えると、製造工程でほとんどが飛散し、化粧シートにほとんど残存しない低級アルコール類が好ましく。その中でも安全性及び揮発性の点でエタノールが好ましく、基材との濡れ性向上の点でイソプルピルアルコールやN−プロピルアルコールが好ましい。
本発明で使用される水性塗工剤は、ベンゼン、トルエン又はキシレン等の危険性の高い芳香族炭化水素系の有機性揮発物質が用いられておらず、また、その他の有機溶剤の使用も抑えているので、VOCの発生を減少させることができる。
水とアルコール等とからなる混合溶媒においては、それらの配合割合を、水:アルコール等(例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、nプロピルアルコール等が挙げられる。)=20:80〜100:0の範囲で調整できる。
上記の水性塗工剤は、上記のアニオン性基を有する樹脂成分を、水等の溶媒に溶解させることにより、又は、水等の溶媒に乳化若しくはマイクロカプセル化等させて均一に分散させることにより、得られる。なお、本発明において「水性の樹脂」というときは、本来的に水溶性の樹脂、水溶性処理された樹脂、本来的に水分散性の樹脂、水分散性処理された樹脂等をいう。
水性塗工剤は、例えば、水又は水とアルコール等とからなる水性の混合溶媒とアニオン性基を有する樹脂成分、中和剤、架橋剤、着色剤及び各種添加剤とをミキサー等で十分に混合することにより調製される。ベタ層3は、ベタ層用の水性塗工剤を基材2上に塗工又は印刷した後に乾燥硬化させて形成され、柄層4は、柄層用の水性塗工剤をベタ層3上に印刷した後、乾燥硬化させて形成される。塗工方法としては、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート、スプレーコート、かけ流しコート、又は、刷毛塗り等の方法を用いることができる。また、印刷方法としては、グラビア、活版、フレキソ等の凸版印刷、平版オフセット、ダイリソ印刷等の平版印刷、シルクスクリーン等の孔版印刷、静電印刷、インキジェットプリント等の各種方法を用いることができる。水性塗工剤の塗工・印刷は、乾燥後のベタ層と柄層合計の膜厚が1.0〜10.0μm程度になるように行われる。
(接着剤層)
接着剤層5は、図1に示すように、絵柄層11と透明樹脂層6との間に設けられて、絵柄層11が形成された基材2と透明樹脂層6との層間密着性を向上させるプライマー層ないしアンカー層としての役割を有するものであり、耐久性や長期に亘る外観維持性を向上させる作用がある。こうした作用は、形成された絵柄を長期間保持することができ、極めて有効である。
本発明において、接着剤層5は、絵柄層11と同様にアニオン性基を有する樹脂成分と中和剤であるアルカノールアミンとを含有する水性塗工剤で形成される。また、接着剤層5は、無溶剤型塗工剤で形成されてもよい。
このような水性塗工剤又は無溶剤型塗工剤で接着剤層5を形成すると、絵柄層11の場合と同様に、VOCの使用量を減少させることができるので、作業環境の安全性や室内環境の安全性をより向上させることができる。
接着剤層用の水性塗工剤に含有されるアニオン性基を有する樹脂成分及び中和剤については、絵柄層用の水性塗工剤に含有されるものと同様であるので、ここでの説明を省略する。
また、接着剤層用の水性塗工剤には架橋剤が含有されていてもよく、そのような架橋剤としては絵柄層用の水性塗工剤に含有される架橋剤と同様のものを用いることができる。水性塗工剤に架橋剤を含有する場合には、樹脂成分と架橋剤成分との比を、樹脂成分:架橋剤成分=100:50〜100:2とすることが好ましい。
接着剤層用の水性塗工剤には、着色剤、ワックス類、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、その他等の添加剤が任意に添加されてもよい。
接着剤層5は、水又は水とアルコール等とからなる水性の混合溶媒とアニオン性基を有する樹脂成分、中和剤、架橋剤成分及び添加剤とをミキサー等で十分に混合することにより接着剤層用の水性塗工剤を調製し、この水性塗工剤を絵柄層11上に塗工した後に乾燥硬化させて形成される。塗工方法としては、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート、スプレーコート、かけ流しコート、又は、刷毛塗り等の方法を用いることができ、乾燥後の膜厚が0.3〜30μm程度になるように塗工される。
また、接着剤層用の無溶剤型塗工剤は、熱硬化型のものでも、活性エネルギー線硬化型のものでもよく、熱硬化型のものはポリオールとイソシアネート化合物からなるものが好ましく用いられる。また、活性エネルギー線硬化型のものは、活性エネルギー線硬化型無溶剤塗工液に含有される活性エネルギー線硬化性樹脂とは、活性エネルギー線を照射することにより架橋重合反応を起こし3次元の高分子構造に変化する樹脂である。このような活性エネルギー線硬化性樹脂は、分子中に、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、又はエポキシ基等のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマー又はポリマーからなる。これら単量体、プレポリマー及びポリマーは、単体で用いられてもよく、又は、複数種混合して用いられてもよい。
この無溶剤型塗工剤には、上述した接着剤層用の水性塗工剤に含有される添加剤が添加されていてもよい。また、上記の活性エネルギー線硬化性樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、増感剤として光重合開始剤が添加される。光重合開始剤の添加量は一般に、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。
接着剤層5は、上記の無溶剤型塗工剤を絵柄層11上に塗布し、その塗布膜に活性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化することにより形成されるたり、透明樹脂層を形成後に活性エネルギー線を照射して硬化することによって形成される。活性エネルギー線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合又は架橋できるエネルギー量子を有するものを意味し、そのような活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等を含む。)、X線、電子線、イオン線等が挙げられ、通常は紫外線や電子線が用いられる。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常1900〜3800Å(Å=10−1nmに同じ。)の波長域が主として用いられ、また、電子線源としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、又は、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するものを使用できる。
(透明樹脂層)
透明樹脂層6は、トップ樹脂層ともいわれ、柄層4等からなる絵柄層11を擦り傷等から保護したり、化粧シート1の表面強度を向上させたり、塗装感を付与すること等を目的として、接着剤層5を介して絵柄層11上に積層される。
透明樹脂層6を構成する樹脂としては、上述した接着剤層5を介して絵柄層11上に密着よく形成される透明な樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えば、透明ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂を好ましく挙げることができる。透明樹脂層用の樹脂として使用できるオレフィン樹脂以外の樹脂としては、上述の基材2の構成材料と同じものを使用することができる。
こうした透明樹脂層6を形成する樹脂は、必要に応じて、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤又はマット剤等の添加剤が添加されていてもよく、着色された透明樹脂層や紫外線吸収特性を有する透明樹脂層とすることができる。
透明樹脂層6は、上記の絵柄層や接着剤層のような塗工により形成される層ではなく、接着剤層5上に、別個に形成された透明樹脂シートを積層する方法、又は、溶融押出し塗工法によって成膜する方法等の方法で形成される。
また、図2に示すように、透明樹脂層6を2層以上の複層構造にしてもよい。2層以上の積層構造を有する透明樹脂層16は、基材2側の透明樹脂層6’と表面保護層側の透明樹脂層6”とに異なる作用効果を持たせることができる点で有利である。具体的には、表面保護層側の透明樹脂層6”をフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂を主成分とした樹脂で形成することにより、優れた耐汚染性等の表面機能を付与することができる。また、表面保護層側の透明樹脂層6”を耐候剤を添加したポリプロピレン系樹脂で形成することにより、優れた耐候性を付与することができる。一方、基材側の透明樹脂層6’を熱可塑性アクリル樹脂等で形成することにより、接着剤層5との間の密着性等を向上させることができる。また、基材側の透明樹脂層6’をエラストマーを含有したポリプロピレン系樹脂で形成することにより、接着剤層5との間の密着性及び耐候性を向上させることができる。
2層以上の積層構造を有する透明樹脂層16は、複数の樹脂組成物を溶融共押出しする方法、又は、ドライラミネーションや熱ラミネーション等の各種のラミネート法等により形成される。このとき、図3に示すように、プライマー層又はアンカー層として作用する接着剤層12を介して2以上の層からなる透明樹脂層16を形成することもできる。なお、この場合において、接着剤層12を、透明樹脂層6’,6”と共に溶融共押出しして形成することができる。また、上述の接着剤層5と同様に2液性の水性ウレタン樹脂を含有する水性塗工剤を用いて形成することもでき、その場合には、VOCの発生をより一層抑制することができる。
透明樹脂層6の厚さは、20〜300μm程度であり、透明樹脂層6を溶融押出し塗工法によって成膜する場合には15〜400g/m程度の塗布量で塗工する。
(凹凸模様)
凹凸模様7は、エンボス模様ともいわれ、図1に示すように、必要に応じて上述の透明樹脂層6の表面に形成される。また、図2及び図3に示すように2層以上の透明樹脂層16を形成した場合には、凹凸模様7を最表面の透明樹脂層に形成したり、最表面以外の透明樹脂層に形成したりすることができ、それぞれ任意に行うことができる。
凹凸模様7は、特に限定されず、化粧シート1の用途に応じた模様であればよい。例えば、木目導管溝、木目年輪凹凸、浮造年輪凹凸、木肌凹凸、砂目、梨地、ヘアライン、万線状溝、花崗岩の劈開面等の石材表面凹凸、布目の表面テクスチュア、皮絞、文字、幾何学模様等の模様を挙げることができる。
凹凸模様7を形成する手段としては、例えば、加熱加圧によるエンボス加工法やTダイ溶融押し出し法が挙げられる。加熱加圧によるエンボス加工法は、透明樹脂層6の表面を加熱軟化させ、その表面をエンボス版で加圧してエンボス版の凹凸模様7を賦形し、冷却して固定化する方法であり、枚葉式又は輪転式のエンボス機を用いることができる。エンボス加工法で形成する場合には、ラミネート加工により積層する前の透明樹脂層6とする樹脂シートに予めエンボス加工したり、透明樹脂層6とする樹脂シートを積層すると同時に(いわゆるダブリングエンボス法)行ったりすることができる。また、Tダイ溶融押出し法で透明樹脂層6を積層する場合には、賦形ローラを兼用させた冷却ローラを使用して、透明樹脂層6の成膜・積層と同時に凹凸模様7を形成することもできる。また、ヘアライン加工、サンドブラスト加工等によってもエンボス模様を形成することができる。
(着色層)
着色層8は、凹凸模様7の凹陥部17にワイピング法により形成される。ワイピング法は、ドクターブレードコート法又はナイフコート法で凹陥部17を含む表面全面に着色層用の塗工剤を塗布した後、凹陥部17以外の表面から着色層用の塗工剤を除去することにより、凹陥部17のみに着色層8を形成する方法である。着色層用の塗工剤としては、有機顔料、無機顔料、光輝性顔料等の着色顔料と、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂等のバインダー樹脂とからなるインキや、エマルジョン型の水性タイプインキ等を使用できる。また、上述のベタ層等用の水性塗工剤を用いると、環境安全性の点でより好ましい。
(表面保護層)
表面保護層9は、トップコート層又はオーバープリント層(OP層)ともいわれ、凹凸模様7を形成する凹陥部17やその凹陥部17に形成された着色層8の表面を被って、化粧シート1を保護することを目的として設けられるものである。
本発明において、表面保護層9は、絵柄層11と同様にアニオン性基を有する樹脂成分と中和剤であるアルカノールアミンとを含有する水性塗工剤で形成される。このような水性塗工剤で表面保護層9を形成すると、絵柄層11の場合と同様に、VOCの使用量を減少させることができるので、作業環境の安全性や室内環境の安全性をより向上させることができる。特に、表面保護層9は化粧シート1の最表面を構成しているので、生活空間へのVOCの放散を著しく低減することができる。
表面保護層用の水性塗工剤に含有されるアニオン性基を有する樹脂成分及び中和剤については、絵柄層用の水性塗工剤に含有されるものと同様であるので、ここでの説明を省略する。
また、表面保護層用の水性塗工剤には架橋剤が含有されていてもよく、そのような架橋剤としては絵柄層用の水性塗工剤に含有される架橋剤と同様のものを用いることができる。水性塗工剤に架橋剤を含有する場合には、樹脂成分と架橋剤成分との比を、樹脂成分:架橋剤成分=100:50〜100:2とすることが好ましい。
表面保護層用の水性塗工剤には、表面保護層としての機能を考慮して必要に応じて各種添加剤が添加されていてもよく、そのような添加剤として、着色剤、ワックス類、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、又は、滑剤等の添加剤が挙げられる。また、耐擦傷性等の表面物性を向上させる目的でシリコーンオイル等の滑剤を添加したり、表面保護層9の艶を調整する目的で上記の水性塗工剤にシリカ等の艶消し剤を添加したりすることもできる。また、表面保護層用の水性塗工剤には、より良好な耐候性又は耐光性を付与する目的で、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤及び又は光安定剤を添加することができ、一般的には酸化防止剤、紫外線吸収剤及び光安定剤とを併用するのが好ましい。紫外線吸収剤としては、トリアジン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物若しくはサリチル酸エステル等の有機物、又は、0.2μm径以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム若しくは酸化チタン等の無機物を用いることができる。光安定剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、フェノール系ラジカル捕捉剤又はピペリジン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤等を用いることができる。これらの紫外線吸収剤及び光安定剤は、通常、0.1〜10重量%程度となるように添加される。また、表面保護層用の水性塗工剤には、必要に応じて難燃剤を添加することができ、そのような難燃剤としては、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム等の粉末が用いられる。難燃剤の添加量は、高密度ポリエチレンと熱可塑性エラストマーとの合計量を100重量部に対し、10〜150重量部程度が好ましい。
表面保護層9は、水又は水とアルコール等とからなる水性の混合溶媒とアニオン性基を有する樹脂成分、中和剤及び架橋剤等の各種添加剤とをミキサー等で十分に混合することにより表面保護層用の水性塗工剤を調製し、この水性塗工剤を透明樹脂層6上に塗工した後に乾燥硬化させて形成される。溶媒として用いられる水やアルコールとしては、絵柄層用の水性塗工液の場合と同様のものを使用でき、水とアルコールとの混合溶媒を用いる場合の混合割合についても絵柄層用の水性塗工液と同様である。塗工方法としては、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等の方法を用いることができ、乾燥後の膜厚が例えば3〜40μm、好ましくは10〜30μm程度になるように塗工される。
また、表面保護層9は、活性エネルギー線硬化性樹脂を含有する塗工剤で形成されてもよい。活性エネルギー線硬化型の塗料は活性エネルギー線照射時に塗膜中のVOCを減少する効果があるため、このような塗工剤で表面保護層9を形成すると、安全性をより向上させることができる。作業環境の安全性を考えると無溶剤型の活性エネルギー線硬化型塗工液を用いるのが好ましい。また、表面保護層9の形成に活性エネルギー線硬化性樹脂を用いると、耐擦傷性や耐汚染性等の物性が向上するので好ましい。なお、表面保護層用の活性エネルギー硬化型塗工剤に含有される活性エネルギー線硬化性樹脂は、上述した接着剤層用の無溶剤型塗工剤用の活性エネルギー線硬化型塗工液と同様であるので、ここではその説明を省略する。また、この活性エネルギー線硬化型塗工剤には、上述した表面保護層用の水性塗工剤に含有される添加剤が添加されていてもよい。
表面保護層9は、上記の活性エネルギー線硬化型塗工剤を透明樹脂層6(プライマー層13が形成されているときはプライマー層13)上に塗布し、その塗布膜に活性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化することにより形成される。具体的な形成方法については、上述した表面保護層用の水性塗工液で表面保護層9を形成する場合、又は、接着剤層用の無溶剤型塗工剤で接着剤層5を形成する場合と同様であるので、ここではその説明を省略する。
(プライマー層)
プライマー層13は、図4に示すように、透明樹脂層6と表面保護層9との間に設けられて、透明樹脂層6と表面保護層9との密着性を向上させる役割を有するものである。特に、表面保護層9が活性エネルギー線硬化性の無溶剤型塗工剤で形成される場合に好ましく適用され、表面保護層9が活性エネルギー線で硬化する際の収縮を吸収する効果(追従性)がある。その結果、表面保護層9の硬化時に発生する歪みに基づく層間剥離の問題を解決することができ、透明樹脂層6と表面保護層9との密着性を向上させることができる。
本発明において、プライマー層13は、絵柄層11と同様にアニオン性基を有する樹脂成分と中和剤であるアルカノールアミンとを含有する水性塗工剤で形成される。このような水性塗工剤でプライマー層13を形成すると、絵柄層11の場合と同様に、VOCの使用量を減少させることができるので、作業環境の安全性や室内環境の安全性をより向上させることができる。
プライマー層用の水性塗工剤は、2液性であってもよいし1液性であってもよく、絵柄層11と同様のアニオン性基を有する樹脂成分が含有されている。プライマー層用の水性塗工剤が2液性の水性塗工剤である場合には、架橋剤としては絵柄層用の水性塗工剤に含有される架橋剤と同様のものを用いることができる。水性塗工剤に架橋剤を含有する場合には、樹脂成分と架橋剤成分との比を、樹脂成分:架橋剤成分=100:0.5〜100:50とすることが好ましい。
プライマー層用の水性塗工剤に含有される中和剤については、絵柄層用の水性塗工剤に含有されるものと同様であるので、ここでの説明を省略する。
プライマー層用の水性塗工剤には、着色剤、ワックス類、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤その他等の添加剤が任意に添加されてもよい。
プライマー層13は、水又は水とアルコール等とからなる水性の混合溶媒と樹脂成分、架橋剤成分や添加剤とをミキサー等で十分に混合することによりプライマー層用の水性塗工剤を調製し、この水性塗工剤を、透明樹脂層6上に塗工又は印刷等によって設けた後、乾燥させて形成される。溶媒として用いられる水やアルコールとしては、絵柄層用の水性塗工液の場合と同様のものを使用でき、水とアルコールとの混合溶媒を用いる場合の混合割合についても絵柄層用の水性塗工液と同様である。塗工方法としては、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等の方法を用いることができ、乾燥後の膜厚が例えば0.1〜10μm程度になるように塗工される。
(裏面プライマー層)
裏面プライマー層10は、本発明の化粧シート1を各種の被着体に接着させ易くすることを目的として、基材2の裏面側に任意に形成される。
本発明において、裏面プライマー層10は、絵柄層11と同様にアニオン性基を有する樹脂成分と中和剤であるアルカノールアミンとを含有する水性塗工剤で形成される。このような水性塗工剤で裏面プライマー層10を形成すると、絵柄層11の場合と同様に、VOCの使用量を減少させることができるので、作業環境の安全性や室内環境の安全性をより向上させることができる。
裏面プライマー層用の水性塗工剤は、2液性であってもよいし1液性であってもよく、絵柄層11と同様のアニオン性基を有する樹脂成分が含有されている。裏面プライマー層用の水性塗工剤が2液性の水性塗工剤である場合には、架橋剤としては絵柄層用の水性塗工剤に含有される架橋剤と同様のものを用いることができる。水性塗工剤に架橋剤を含有する場合には、樹脂成分と架橋剤成分との比を、樹脂成分:架橋剤成分=100:50〜100:2とすることが好ましい。
裏面プライマー層用の水性塗工剤に含有される中和剤については、絵柄層用の水性塗工剤に含有されるものと同様であるので、ここでの説明を省略する。
裏面プライマー層用の水性塗工剤には、着色剤、ワックス類、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、その他等の添加剤が任意に添加されてもよい。
裏面プライマー層10は、水又は水とアルコール等とからなる水性の混合溶媒と樹脂成分、架橋剤成分や添加剤とをミキサー等で十分に混合することによりプライマー層用の水性塗工剤を調製し、この水性塗工剤を、基材2の裏面側に塗工又は印刷等によって設けた後、乾燥させて形成される。溶媒として用いられる水やアルコールとしては、絵柄層用の水性塗工液の場合と同様のものを使用でき、水とアルコールとの混合溶媒を用いる場合の混合割合についても絵柄層用の水性塗工液と同様である。塗工方法としては、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等の方法を用いることができ、乾燥後の膜厚が例えば0.5〜10μm程度になるように塗工される。
(化粧シート)
本発明の化粧シート1は、上記した各層により構成されており、これらの各層がVOCをほとんど含まない水性塗工剤や無溶剤型塗工剤により形成されている。このような本発明の化粧シート1は、実施例の欄に示すTVOCの測定試験により測定された室内空気質のTVOCが、11mg/m以下であり、特に中和剤由来のピークを含むB値では2mg/m以下となる。室内空気質のTVOCとは、複数のVOCの混合物の濃度レベルを意味し、個別のVOCによる汚染を全体として低減させ、より快適な室内環境を実現するために、厚生労働省により導入された概念である。室内空気質のTVOCの測定法は、JIS A1901に定められており、また、厚生労働省により指針値化されている。本実施例では、TVOC測定の簡便のため、ガスクロマトグラフィー法で測定した。比較例に挙げた化粧シート1のTVOCが32mg/mであり、B値では25mg/mとなるので、室内環境の安全性が高い。
化粧シート1は、他の被着体(裏打材)に積層して用いられる。
被着体としては、図5に示すような立体形状物品41や、図6に示すような平板状、曲面状等の板材51、シート(又はフィルム)等の各種形状の物品が対象となる。こうした被着体は、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材板、木質繊維板等の木質板、鉄、アルミニウム等の金属、アクリル、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ABS樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂、ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、チタン酸カリウム、ガラス、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は織布、等々を挙げることができる。
化粧シート1と被着体との関係において、化粧シート1の基材2や裏面プライマー層10の種類により、被着体にそのまま熱融着等で接着できる場合には、化粧シート1と被着体とを接着剤を用いずに積層させることができるが、化粧シート1の基材2や裏面プライマー層10の種類により、被着体にそのまま熱融着等で接着できない場合には、適当な接着剤を用いて積層させる。なお、接着剤としては、酢ビ系、尿素系等の接着剤を挙げることができる。
また、一般的な積層方法としては、例えば、(a)接着剤を介して被着体に加圧ローラで加圧して積層する方法、(b)特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載のように、化粧シート1を射出成形の雌雄両金型間に挿入して、両金型を閉じ、雄型のゲートから溶融樹脂を射出充填した後、冷却して樹脂成型品の成形と同時にその表面に化粧シート1を接着積層する射出成形同時ラミネート方法、(c)特公昭56−45768号公報、特公昭60−58014号公報等に記載されているように、接着剤を介して成形品の表面に化粧シート1を対向させ、成形品側からの真空吸引による圧力差により化粧シート1を成形品表面に積層する真空プレス積層方法、(d)特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に記載されているように、円柱、多角柱等の柱状被着体の長軸方向に、接着剤を介して化粧シート1を供給しつつ、複数の向きの異なるローラにより、柱状被着体を構成する複数の側面に順次化粧シート1を加圧接着して積層してゆくラッピング加工方法等が挙げられる。
本発明の化粧シート1を積層した各種の被着体は、所定の成形加工等を施して、各種装飾用素材等として用いることができる。例えば、壁、天井、床等建築物の内装、窓枠、扉、手摺等の建具の表面化粧、家具又は弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車輌内装、航空機内装、窓ガラスの化粧用等の用途が挙げられる。
以下に、実施例と比較例を挙げて、本発明について更に詳しく説明する。以下において、部とは重量部のことである。
(製造例1)
温度計、攪拌機、冷却器、滴下ロートを備えた四ツ口フラスコにインプロピルアルコール180部を入れ、窒素置換の後、フラスコ内の温度を約85℃に調整し、メチルメタクリレート188部、エチルアクリレート45部、n−ブチルアクリレート30部、ヒドロキシエチルメタクリレート30部及びアクリル酸10部よりなる単量体混合物を、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルワレロニトリル)6部よりなる触媒とともに約2時間を要して滴下し、滴下終了後同温度でさらに5時間反応を続けて、樹脂溶液を得た。
この樹脂溶液500部に対してトリイソプロパノールアミン116部を混合し、加水後充分に攪拌して転相して、ロータリーエバポレーターにてイソプロピルアルコールを除去して、固形分約40%のアクリル共重合系水分散樹脂液を得た。
(製造例2)
製造例1のトリイソプロパノールアミン116部をトリエタノールアミン90部に代えて、その他は製造例1と同様にして、製造例2のアクリル共重合系水分散樹脂液を得た。
(製造例3)
製造例1のトリイソプロパノールアミン116部をN,N−ジメチルエタノールアミン54部に代えて、その他は製造例1と同様にして、製造例3のアクリル共重合系水分散樹脂液を得た。
(製造例4)
製造例1のトリイソプロパノールアミン116部をN−メチルN,N−ジエタノールアミン72部に代えて、その他は製造例1と同様にして、製造例4のアクリル共重合系水分散樹脂液を得た。
(製造例5)
攪拌機、温度計、窒素シール管、冷却器を備えた四ツ口フラスコに、アセトンを271部、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸からなる分子量約2000のポリオールを400.0部、ネオペンチルグリコールを10.4部仕込み、40℃にて均一に混合した。その後、イソホロンジイソシアネートを58.4部仕込み、70℃で6時間反応させ、あらかじめアセトンが、322部、ジメチロールブタン酸が74.3部、トリイソプロパノールアミンが95.8部からなるカルボン酸塩溶液を仕込んで、更に60℃で4時間反応させて、イソシアネート基末端プレポリマー溶液を得た。このイソシアネート基末端プレポリマー溶液に、あらかじめイソプロピルアルコールが148部、イソホロンジアミンが38.3部、モノエタノールアミンが3.1部からなるアミン液を仕込み、2時間アミン延長反応させた。反応終了後、加水後十分に攪拌して転相させ、その後、ロータリーエバポレーターにてアセトンとIPAを除去して、固形分約40%のポリウレタン系水分散樹脂を得た。
(製造例6)
製造例1のトリイソプロパノールアミン95.8部をトリエタノールアミン74.7部に代えて、その他は製造例1と同様にして、製造例6のポリウレタン系水分散樹脂を得た。
(製造例7)
製造例1のトリイソプロパノールアミン95.8部をN,N−ジメチルエタノールアミン44.6部に代えて、その他は製造例1と同様にして、製造例7のポリウレタン系水分散樹脂を得た。
(製造例8)
製造例1のトリイソプロパノールアミン95.8部をN−メチルN,N−ジエタノールアミン59.7部に代えて、その他は製造例1と同様にして、製造例8のポリウレタン系水分散樹脂を得た。
(比較製造例1)
製造例1のトリイソプロパノールアミン116部をトリエチルアミン61部に代えて、その他は製造例1と同様にして、比較製造例1のアクリル共重合系水分散樹脂液を得た。
(比較製造例2)
製造例5のトリイソプロパノールアミン95.8部をトリエチルアミン50.6部に代えて、その他は製造例5と同様にして、比較製造例2のポリウレタン系水分散樹脂を得た。
(実施例1)
基材としてポリエチレン系着色シート(厚さ60μm)を用い、その表裏それぞれにコロナ放電処理を施した後、その片面に下記配合の裏面プライマー層用水性塗工液Aをグラビア印刷法にて塗布、乾燥し、約1g/mの裏面プライマー層を形成した。
更にその反対の面に、下記配合のベタ層用水性塗工液A、柄層用水性塗工液A、接着剤層水性塗工液Aをグラビア印刷法にて塗布、乾燥し、約2g/mのベタ層、約1.5g/mの柄層、約3g/mの接着剤層を順次形成した。
次に、その接着剤層上に透明樹脂層を形成した。透明樹脂層には、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、及び、フェノール系酸化防止剤0.2重量%及びヒンダードアミン系光安定剤0.3重量%、ブロッキング防止剤0.2重量%をそれぞれ添加したランダム共重合ポリプロピレン樹脂の2種類の樹脂を用い、接着剤層側にマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂が形成されるように、200℃においてオゾンの照射の下、Tダイにて共押し出して透明樹脂層を形成した。透明樹脂層の膜厚は約80μmであり、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂の膜厚を10μmとし、ランダム共重合ポリプロピレン樹脂の膜厚を70μmとして形成した。この透明樹脂層の表面に、約140℃で熱エンボスにより凹凸を施し、更に、凹凸が施された表面にコロナ放電処理を行なった後、表面保護層用水性塗工液Aをグラビア印刷法にて塗布、乾燥し、約3g/mの表面保護層を形成した。その後、25℃の温度で7日間養生処理(エージング)して実施例1の化粧シートを得た。
裏面プライマー層用水性塗工液A;
・製造例1の水分散樹脂:100部
・ノニオン系水分散性イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業株式会社製アクアネート100):10部
・シリカ粉末:2部
・水:20部
・イソプロピルアルコール:20部
ベタ層用水性塗工液A;
・製造例5の水分散樹脂:100部
・ノニオン系水分散性イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業株式会社製アクアネート100):7部
・酸化チタン:100部
・水:20部
・イソプロピルアルコール:20部
柄層用水性塗工液A;
・製造例5の水分散樹脂:100部
・黄色顔料:4部
・赤色顔料:6部
・黒色顔料:1部
・水:20部
・イソプロピルアルコール:20部
接着剤層水性塗工液A;
・製造例5の水分散樹脂:100部
・ノニオン系水分散性イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業株式会社製アクアネート100):15部
・水:10部
表面保護層用水性塗工液A;
・製造例1の水分散樹脂:100部
・ノニオン系水分散性イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業株式会社製アクアネート100):10部
・シリカ粉末:2部
・シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、KF353):1部
・水:20部
・イソプロピルアルコール:20部
(実施例2)
実施例1の裏面プライマー層用水性塗工液Aに使用の製造例1の水分散樹脂に代えて製造例2の水分散樹脂を用い、ベタ層用水性塗工液Aに使用の製造例5の水分散樹脂に代えて製造例6の水分散樹脂を用い、柄層用水性塗工液Aに使用の製造例5の水分散樹脂に代えて製造例6の水分散樹脂を用い、接着剤層用水性塗工液Aに使用の製造例5の水分散樹脂に代えて製造例6の水分散樹脂を用い、表面保護層用水性塗工液Aに使用の製造例1の水分散樹脂に代えて製造例2の水分散樹脂を用いた。その他は実施例1と同様にして、実施例2の化粧シートを得た。
(実施例3)
実施例1の裏面プライマー層用水性塗工液Aに使用の製造例1の水分散樹脂に代えて製造例3の水分散樹脂を用い、ベタ層用水性塗工液Aに使用の製造例5の水分散樹脂に代えて製造例7の水分散樹脂を用い、柄層用水性塗工液Aに使用の製造例5の水分散樹脂に代えて製造例7の水分散樹脂を用い、接着剤層用水性塗工液Aに使用の製造例5の水分散樹脂に代えて製造例7の水分散樹脂を用い、表面保護層用水性塗工液Aに使用の製造例1の水分散樹脂に代えて製造例3の水分散樹脂を用いた。その他は実施例1と同様にして、実施例3の化粧シートを得た。
(実施例4)
実施例1の裏面プライマー層用水性塗工液Aに使用の製造例1の水分散樹脂に代えて製造例4の水分散樹脂を用い、ベタ層用水性塗工液Aに使用の製造例5の水分散樹脂に代えて製造例8の水分散樹脂を用い、柄層用水性塗工液Aに使用の製造例5の水分散樹脂に代えて製造例8の水分散樹脂を用い、接着剤層用水性塗工液Aに使用の製造例5の水分散樹脂に代えて製造例8の水分散樹脂を用い、表面保護層用水性塗工液Aに使用の製造例1の水分散樹脂に代えて製造例4の水分散樹脂を用いた。その他は実施例1と同様にして、実施例4の化粧シートを得た。
(実施例5)
実施例1の表面保護層の形成方法に代えて、透明樹脂層を積層した表面にコロナ放電処理を行ない、下記配合の水性プライマー層用水性塗工液Aをグラビア印刷法にて塗布、乾燥し、約1g/mのプライマー層を形成し、その上に下記配合の表面保護層用電子線硬化性溶剤型塗工液Bをバーコート法で塗工したのち、岩崎電気製電子線照射装置エレクトロカーテンEC250にて、窒素パージ下にて、150kVの加速電圧、5Mradの照射線量で電子線照射し約5g/mの表面保護層を形成した。この表面保護層の表面に約140℃で熱エンボスにより凹凸を施した。その他は実施例1と同様にして、実施例5の化粧シートを得た。
水性プライマー層用水性塗工液A;
・製造例1の水分散樹脂:100部
・ノニオン系水分散性イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業株式会社製アクアネート100):10部
・シリカ粉末:2部
・水:30部
・イソプロピルアルコール:30部
表面保護層用電子線硬化性溶剤型塗工液B;
・多官能ウレタンアクリレート(新中村化学工業株式会社製、U−15HA):50部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−TMMA):20部
・ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート(サートマー製、SR399):5部
・トリメチロールプロパンアクリレート(日本化薬株式会社製、TMPTA):25部
・シリカ粉末(富士シリシア化学株式会社製、サイシリア380):2部
・シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、KF353):1部
・酢酸エチル:150部
・メチルイソブチルケトン:150部
(実施例6)
実施例5の電子線硬化性溶剤型塗工液Bに代えて、下記配合の電子線硬化性無溶剤型塗工液Cを用い、当該塗工液Cを60℃に加温してバーコート法で塗工した。その他は実施例5と同様にして、実施例6の化粧シートを得た。
表面保護層用電子線硬化性無溶剤型塗工液C;
・多官能ウレタンアクリレート(新中村化学工業株式会社製、U−15HA):10部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−TMMA):20部
・ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート(サートマー製、SR399):5部
・トリメチロールプロパンアクリレート(日本化薬株式会社製、TMPTA):65部
・シリカ粉末(富士シリシア化学株式会社製、サイシリア380):2部
・シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、KF353):1部
(実施例7)
実施例1の接着剤層用水性塗工液Aに代えて、接着剤層用無溶剤塗工液Bを用い、当該塗工液Hを60℃に加温してバーコート法で塗工し、約4g/mの接着剤層を形成した。その他は実施例1と同様にして、実施例7の化粧シートを得た。
接着剤層用無溶剤塗工液B;
・ポリエステル系ポリオール(三井武田ケミカル株式会社製:A665):100部
・イソシアネート架橋剤(三井武田ケミカル株式会社製:A65):40部
(比較例1)
実施例1の裏面プライマー層用水性塗工液Aに使用の製造例1の水分散樹脂に代えて比較製造例1の水分散樹脂を用い、ベタ層用水性塗工液Aに使用の製造例5の水分散樹脂に代えて比較製造例2の水分散樹脂を用い、柄層用水性塗工液Aに使用の製造例5の水分散樹脂に代えて比較製造例2の水分散樹脂を用い、接着剤層用水性塗工液Aに使用の製造例5の水分散樹脂に代えて比較製造例2の水分散樹脂を用い、表面保護層用水性塗工液Aに使用の製造例1の水分散樹脂に代えて比較製造例1の水分散樹脂を用いた。その他は実施例1と同様にして、実施例4の化粧シートを得た。
(TVOC値の測定試験)
化粧シートからVOCが放散しないように、表面保護層を形成した直後に、バイアル瓶に化粧シートサンプルを入れて密栓し、バイアル瓶中で養生した。養生後、ガスクロマトグラフィー法によりTVOCを測定した。測定条件は、バイアル瓶を120℃・7分間加熱し、カラム温度35℃・8分保持後、昇温速度9℃/minで135℃まで昇温し、135℃で10分保持した。キャピラリーカラムはJ&W社製DB−624を用いた。得られたクロマトグラムから、以下の手順でTVOC値を決定した。クロマトグラムの分析においては、メタノール、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸ブチル、エチルベンゼン、m−キシレン及びp−キシレン、o−キシレン、シクロへキサノンの検出ピークについては、各化合物ごとに濃度を変化させて測定し、そのピーク面積から作成した検量線から各化合物の濃度Aを求めた。また、検量線を作成していない化合物については、トルエンの検量線を用いてトルエン換算濃度として濃度Bを求め、それらの総和をTVOC値とした。
(ラミネート層間密着性試験)
化粧シートの基材と透明樹脂層との層間密着性を、INSTRON5500引っ張り試験機を用い、25℃の雰囲気中において引張速度100mm/分の条件の下、基材と透明樹脂層との間の開き角を180°として引っ張り試験を行うことにより評価した。剥離強度が19.6N以上のものを合格として「○」で表し、19.6N未満のものを不合格として「×」で表した。
(表面保護層密着性試験)
長さ50mmのセロハン粘着テープ(ニチバン株式会社、商品名「セロテープ(登録商標)」、産業用24mm幅)を化粧シート1の表面(表面保護層側)に貼り、室温(25℃)にて布でこすり圧着した。温度上昇したテープ表面を室温まで冷却し、手で一気にセロハン粘着テープを剥離した。塗膜のセロハン粘着テープへの付着の有無を目視で確認した。付着の無いものを合格として「○」で表し、付着のあるものを不合格として「×」とした。
(基材密着性試験)
化粧シートの裏面プライマー層10の側を、エチレン−酢酸ビニル系共重合体エマルジョン接着剤を用いて厚さ10mmのラワン合板に接着した。化粧シート1を積層した化粧板を幅1インチにカットして試験片を作製した。INSTRON5500引っ張り試験機を用い、25℃の雰囲気中において引張速度100mm/分の条件の下、基材と透明樹脂層との間の開き角を180°として引っ張り試験を行うことにより評価した。剥離強度が19.6N以上のものを合格として「○」で表し、19.6N未満のものを不合格として「×」で表した。
(評価結果)
結果を表1に示した。実施例1〜7の化粧シートは、TVOC値が小さく、環境安全性に優れていた。一方、比較例1の化粧シートは、実施例1〜7の化粧シートと比較して、TVOC値が大きく、環境安全性に劣っていた。
また、実施例1〜7の化粧シートは、中和剤としてトリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルN,N−ジエタノールアミンを用いていても、比較例1の化粧シートと比較して層間密着性や表面密着性に劣るものではなく、化粧シートとしての性能を十分に備えるものであった。
Figure 2007268830
本発明の化粧シートの層構成の一例を示す断面図である。 本発明の化粧シートの層構成の他の一例を示す断面図である。 本発明の化粧シートの層構成の他の一例を示す断面図である。 本発明の化粧シートの層構成の他の一例を示す断面図である。 本発明の化粧シートの実施形態の一例を示す断面図である。 本発明の化粧シートの実施形態の他の一例を示す断面図である。
符号の説明
1,41,51 化粧シート
2 基材
3 ベタ層
4 柄層
5 接着剤層
6,6’,6” 透明樹脂層
7 凹凸模様
8 着色層
9 表面保護層
10 裏面プライマー層
11 絵柄層
12 接着剤層
13 プライマー層
15 被着体
16 多層からなる透明樹脂層
17 凹陥部

Claims (15)

  1. 基材と、ベタ層及び/又は柄層を有する絵柄層と、接着剤層と、透明樹脂層とを少なくとも有し、当該各層を順次積層してなる化粧シートであって、
    前記絵柄層及び前記接着剤層が、下記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、下記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液で形成されていることを特徴とする化粧シート。
    Figure 2007268830
    (式中、nは0〜2の整数であり、l及びmは1〜4の整数であり、R及びR’は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。)
  2. 前記透明樹脂層の表面側に表面保護層をさらに有し、当該表面保護層が、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記透明樹脂層の表面側に表面保護層用プライマー層と表面保護層とをさらに有し、当該表面保護層用プライマー層が、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液で形成され、前記表面保護層が、活性エネルギー線硬化型塗工液を塗工した後に活性エネルギー線を照射することにより硬化して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  4. 前記基材の裏面に裏面用プライマー層をさらに有し、当該裏面用プライマー層が、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 前記アルカノールアミンが、トリイソプロパノールアミンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 前記ノニオン系水性化合物が、一分子中に2個以上のイソシアネート基を有する水性化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
  7. 前記基材及び前記透明樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
  8. 基材と、ベタ層及び/又は柄層を有する絵柄層と、接着剤層と、透明樹脂層とを少なくとも有し、当該各層を順次積層してなる化粧シートの製造方法であって、
    前記絵柄層及び前記接着剤層を、バインダー成分として下記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみを含有する水性塗工液、又は、バインダー成分として下記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性樹脂を含有する水性塗工液で形成することを特徴とする化粧シートの製造方法。
    Figure 2007268830
    (式中、nは0〜2の整数であり、l及びmは1〜4の整数であり、R及びR’は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。)
  9. 前記透明樹脂層の表面に表面保護層をさらに有し、当該表面保護層を、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液で形成することを特徴とする請求項8に記載の化粧シートの製造方法。
  10. 前記透明樹脂層の表面に表面保護層用プライマー層と表面保護層とをさらに有し、当該表面保護層用プライマー層を、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液で形成し、当該表面保護層用プライマー層上に、前記表面保護層を、活性エネルギー線硬化型塗工液を塗工した後に活性エネルギー線を照射して形成することを特徴とする請求項8に記載の化粧シートの製造方法。
  11. 前記活性エネルギー線が電子線であることを特徴とする請求項10に記載の化粧シートの製造方法。
  12. 前記基材の裏面に裏面プライマー層をさらに有し、当該裏面プライマー層を、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物のみをバインダー成分として含有する水性塗工液、又は、前記式1〜3で表されるアルカノールアミンで中和されたアニオン系水性化合物及びノニオン系水性化合物をバインダー成分として含有する水性塗工液で形成することを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の化粧シートの製造方法。
  13. 前記アルカノールアミンが、トリイソプロパノールアミンであることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の化粧シートの製造方法。
  14. 前記ノニオン系水性化合物が、一分子中に2個以上のイソシアネート基を有する水性化合物であることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の化粧シートの製造方法。
  15. 前記基材及び前記透明樹脂層をポリオレフィン系樹脂で形成することを特徴とする請求項8〜14のいずれかに記載の化粧シートの製造方法。
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