JP2003103745A - 化粧シート - Google Patents

化粧シート

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JP2003103745A
JP2003103745A JP2001303863A JP2001303863A JP2003103745A JP 2003103745 A JP2003103745 A JP 2003103745A JP 2001303863 A JP2001303863 A JP 2001303863A JP 2001303863 A JP2001303863 A JP 2001303863A JP 2003103745 A JP2003103745 A JP 2003103745A
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Masayoshi Tanaka
正義 田中
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 環境安全性および層間密着性を向上させた化
粧シート。 【解決手段】 基材シート2と、ベタインキ層3及び/
又は絵柄インキ層4からなるインキ層11と、接着剤層
5と、透明樹脂層6とを少なくとも有し、それらの各層
を順次積層してなる化粧シート1において、そのベタイ
ンキ層3、絵柄インキ層4および接着剤層5の少なくと
も1以上の層が水系塗工剤で形成されてなり、その水系
塗工剤が水性ウレタン樹脂を含有することにより、上記
課題を解決する。このとき、その透明樹脂層が溶融押出
し塗工法で形成されていることが好ましく、その水性ウ
レタン樹脂の含有量が水系塗工剤で形成された層中のバ
インダー成分の25重量%以上であることが好ましく、
また、より具体的な態様としては、基材シート2がポリ
オレフィン系エラストマーからなる着色シートであり透
明樹脂層6がポリオレフィン系樹脂層であることが好ま
しい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の内装、建
具の表面化粧、車両の内装等に用いられる化粧シートに
関し、更に詳しくは、水性樹脂からなるインキ層及び/
又は接着剤層を有し、環境安全性および層間密着性を向
上させた化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】建築物の内装、建具の表面化粧、車両の
内装等に用いられる化粧シートとして、基材シート、ベ
タインキ層及び/又は絵柄インキ層からなるインキ層、
接着剤層および透明樹脂層を順次積層させた化粧シート
が一般に知られている。
【0003】こうした化粧シートにおいては、特開平1
1−198309号公報に記載のように、インキ層およ
び接着剤層を、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤およ
びメチルエチルケトンや酢酸エチル等の脂肪族溶剤を含
む溶剤系塗工剤により形成することが一般に行われてい
る。
【0004】ところで、上述したトルエン、キシレン等
の芳香族溶剤およびメチルエチルケトンや酢酸エチル等
の脂肪族溶剤は有機性揮発物質(以下、VOCとい
う。)であり、特にトルエン、キシレン等の芳香族溶剤
はPRTR法の指定化学物質や室内空気中化学物質の指
針値策定物質として挙げられており、「芳香族溶剤は使
用しない、その他の溶剤も使用を減少しよう。」という
動きがある。化粧シートの製造においても、溶剤系塗工
剤に含まれるVOCの揮発による化粧シート製造時の作
業環境の問題や、化粧シートに残存したVOCが一般の
生活空間に供給される環境安全性の問題があり、VOC
の使用を減少させて前記の問題を解決しようとする手段
が種々提案されている。例えば、特開2000−629
70公報には、インキ層や接着剤層を、VOCの含有を
極力減少した水性塗工剤で形成することにより、上記の
環境問題を解決することが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、水系塗
工剤でインキ層や接着剤層を形成した化粧シートは、V
OCの揮発量や残存量を少なくすることができるので、
上述した環境問題を解決するのに有効であるものの、化
粧シートを構成する基材シートと透明樹脂層との層間密
着性に劣るものが多く、必ずしも十分な密着性を有して
いるとは言い得ないものであった。
【0006】本発明は、上述の問題を解決すべくなされ
たものであって、その目的は、作業環境および住居環境
等の環境安全性および層間密着性を向上させた化粧シー
トを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の化粧シートは、基材シートと、ベタインキ層及び/
又は絵柄インキ層からなるインキ層と、接着剤層と、透
明樹脂層とを少なくとも有し、当該各層を順次積層して
なる化粧シートにおいて、前記ベタインキ層、前記絵柄
インキ層および前記接着剤層の少なくとも1以上の層が
水系塗工剤で形成されてなり、該水系塗工剤は水性ウレ
タン樹脂を含有することに特徴を有するものである。
【0008】この発明によれば、ベタインキ層、絵柄イ
ンキ層および接着剤層の少なくとも1以上の層が水系塗
工剤で形成されるので、作業環境におけるVOCの揮発
量および化粧シート中のVOC残存量を減少させること
ができる。その結果、化粧シート製造時における作業環
境の安全性や生活空間での環境安全性をより向上させる
ことができる。また、水系塗工剤で形成されたウレタン
樹脂の作用により、基材シートと透明樹脂層との層間密
着性を向上させることができる。
【0009】本発明においては、前記透明樹脂層が、溶
融押出し塗工法で形成されてなることが好ましく、ま
た、前記水性ウレタン樹脂の含有量が、前記水系塗工剤
で形成された層中のバインダー成分の25重量%以上で
あることが好ましい。この発明によれば、基材シートと
透明樹脂層との密着性をより向上させることができる。
【0010】また、本発明の具体的な態様としては、前
記基材シートがポリオレフィン系エラストマーからな
り、前記透明樹脂層がポリオレフィン系樹脂からなるこ
と、前記透明樹脂層の表面側に凹凸模様が形成されてい
ること、前記凹凸模様の凹陥部に着色層が形成されてい
ること、前記透明樹脂層の最表面に表面保護層が形成さ
れていること、前記基材シートの裏面に裏面プライマー
層が形成されていること、が好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づき詳細
に説明する。
【0012】図1は、本発明の化粧シート1の層構成の
一例を示す断面図である。図1に示す本発明の化粧シー
ト1は、基材シート2、ベタインキ層3、絵柄インキ層
4、接着剤層5、透明樹脂層6、凹凸模様7、着色層
8、表面保護層9が順次積層された形態であり、基材シ
ート2の裏面には裏面プライマー層10を更に備えてい
る。
【0013】(基材シート)基材シート2は、化粧シー
ト1における必須の構成であり、オレフィン系樹脂を好
ましく適用できるがその種類は限定されない。例えば、
(イ)主原料がハードセグメントとしての高密度ポリエ
チレン又はポリプロピレンのいずれかからなり、これに
ソフトセグメントとしてのエラストマー及び無機充填剤
を添加してなる混合物を基材シート2に用いることがで
きる。また、(ロ)特開平9−111055号公報、特
開平5−77371号公報、特開平7−316358号
公報等に記載されるエチレン−プロピレン−ブテン共重
合体を基材シート2に用いることもできる。また、
(ハ)特公平6−23278号公報記載のハードセグメ
ントであるアイソタクチックポリプロピレンとソフトセ
グメントとしてのアタクチックポリプロピレンとの混合
物を基材シート2に用いることもできる。
【0014】前記(イ)のオレフィン系樹脂におけるハ
ードセグメントとしての高密度ポリエチレンとしては、
好ましくは、比重が0.94〜0.96のポリエチレン
であって、低圧法で得られる結晶化度が高く、分子に枝
分かれ構造の少ない高分子である高密度ポリエチレンが
用いられる。また、ハードセグメントとしてのポリプロ
ピレンとしては、好ましくは、アイソタクチックポリプ
ロピレンが用いられる。
【0015】前記(イ)のソフトセグメントとしてのエ
ラストマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系
ゴム、オレフィンエラストマー等が用いられる。水素添
加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少な
くとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、ポリ
オレフィン系樹脂の結晶化を抑えて、その柔軟性を向上
させる。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタ
ジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴ
ム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニト
リル・イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等があ
る。オレフィンエラストマーとしては、2種類又は3種
類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくと
も1種類加えた弾性共重合体であり、オレフィンとして
はエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用さ
れ、ポリエンとしては、1,4ヘキサジエン、環状ジエ
ン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィン
エラストマーとしては、例えばエチレン−プロピレン共
重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴ
ム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム等のオレフィン
を主成分とする弾性共重合体が挙げられる。なお、これ
らのエラストマーは、必要に応じて有機過酸化物、硫黄
等の架橋剤を用いて、過重架橋させてもよい。
【0016】これらエラストマーの添加量としては、1
0〜60重量%、好ましくは30重量%程度である。1
0重量%より低いと一定荷重伸度の変化が急峻になり過
ぎ、また、破断時伸度、耐衝撃性、易接着性の低下が生
じ、60重量%より高いと透明性、耐候性および耐クリ
ープ性の低下が生ずる。
【0017】前記(イ)の無機充填剤としては、炭酸カ
ルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の平均粒径
0.1〜10ミクロン程度の粉末が用いられる。添加量
としては、1〜60重量%程度、好ましくは5〜30重
量%程度である。1重量%未満では耐クリープ変形性及
び易接着性の低下が生じ、60重量%を超えると破断時
伸度及び耐衝撃性の低下が生じる。
【0018】前記(ロ)のオレフィン系樹脂としては、
エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂からなる熱
可塑性エラストマーが用いられる。ここで、ブテンとし
ては、1ブテン、2ブテン、イソブチレンの3種の構造
異性体のいずれも用いることができる。共重合体として
は、ランダム共重合体であって、非晶質の部分を一部含
む。
【0019】上記エチレン・プロピレン・ブテン共重合
体樹脂の好ましい具体例としては、次の(a)〜(c)
が挙げられる。
【0020】(a)特開平9−111055号公報に記
載されるエチレン、プロピレン及びブテンの3元共重合
体によるランダム共重合体。単量体成分の重量比率はプ
ロピレンが90重量%以上であり、メルトフローレート
は、230°C、2.16kgの条件下で1〜50g/
10分であることが好ましい。このような3元ランダム
共重合体100重量部に対して、上記ランダム共重合体
は、燐酸アリールエステル化合物を主成分とする透明造
核剤を0.01〜50重量部、炭素数を12〜22の脂
肪酸アミド0.003〜0.3重量部を溶融混練してな
るものである。 (b)特開平5−77371号公報に記載されるエチレ
ン、プロピレン及びブテンの3元共重合体であって、プ
ロピレン重量比率が50重量%以上の非晶質重合体20
〜100重量%に、結晶質ポリプロピレンを80〜0重
量%添加してなるエチレン・プロピレン・ブテン共重合
体。(c)特開平7−316358号公報に記載される
エチレン、プロピレン、1ブテンの3元共重合体であっ
て、プロピレン及び/又は1ブテン含有率が50重量%
以上の低結晶質重合体20〜100重量%に、アイソタ
クチックポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィン80
〜0重量%を混合した組成物に対して、Nアシルアミノ
酸アミン塩、Nアシルアミノ酸エステル等の油ゲル化剤
を0.5重量%添加したエチレン・プロピレン・ブテン
共重合体。
【0021】上記(a)〜(c)のエチレン・プロピレ
ン・ブテン共重合体樹脂は、単独で用いてもよいし、該
エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂に必要に応
じてさらに他のポリオレフィン樹脂を混合して用いても
よい。
【0022】前記(ハ)のオレフィン系樹脂としては、
特公平6−23278号公報記載の(A)ソフトセグメ
ントとして数平均分子量Mnが25000以上、且つ重
量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn
≦7の沸騰ヘプタンに可溶なアタクチックポリプロピレ
ン10〜90重量%と、(B)ハードセグメントとして
のメルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘ
プタン不溶性のアイソタクチックポリプロピレン90〜
10重量%との混合物からなる軟質ポリプロピレンが挙
げられる。
【0023】上記(ハ)のオレフィン系熱可塑性エラス
トマーの中でも、アイソタクチックポリプロピレンとア
タクチックポリプロピレンの混合物からなり、且つアタ
クチックポリプロピレンの重量比率が5〜50重量%の
ものが好ましく、アタクチックポリプロピレンの重量比
率が20〜40重量%のものが特に好ましい。アタクチ
ックポリプロピレンの重量比率が5重量%未満ではエン
ボス加工をしたり、3次元形状や凹凸形状の物品に成形
加工する際にネッキングによる不均一なシートの変形
や、その結果としての皺、絵柄の歪み等が生ずる。一
方、アタクチックポリプロピレンの重量比率が50重量
%を超えると、シート自体が変形し易くなり、シートを
印刷機に通した時にシートが変形し、インキ層11の絵
柄の歪み、多色刷の場合に見当が合わなくなる等の不良
が発生しやすくなり、成形時においてはシートが破れ易
くなる。
【0024】基材シート2を形成する上述のオレフィン
系樹脂中には、必要に応じて、着色剤、熱安定剤、難燃
剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤等が添加される。
【0025】着色剤としては、チタン白、亜鉛華、べん
がら、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カ
ーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハン
ザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4
R、フタロシアニンブルー等の有機顔料あるいは染料、
アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料、二酸化
チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠
光沢顔料等が用いられる。また、必要に応じて、無機充
填剤を添加してもよく、炭酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、クレー、タルク、シリカ(二酸化ケイ素)、アルミ
ナ(酸化アルミニウム)等の粉末等が挙げられ、その添
加量は、通常、5〜60重量%である。着色剤は、基材
シート2に化粧シート1として必要な色彩を持たせるた
めに添加され、透明着色と不透明(隠蔽)着色のいずれ
でも構わないが、一般的には被着体15を隠蔽するため
に不透明着色が好ましい。
【0026】熱安定剤としては、フェノール系、サルフ
ァイト系、フェニルアルカン系、フィスファイト系、ア
ミン系等公知のものが使用でき、熱加工時の熱変色等の
劣化の防止の向上を図る場合に用いられる。難燃剤は、
難燃性を付与する場合に添加され、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウムなどの粉末が用いられる。紫外
線吸収剤は、樹脂により良好な耐候性(耐光性)を付与
するためのものであり、ベンゾトリアソール、ベンゾフ
ェノン、サリチル酸エステル等の有機物、または、0.
2μm径以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸
化チタン等の無機物が用いられる。その他に、ベンゾト
リアゾール骨格にアクリロイル基又はメタクリロイル基
を導入した反応型紫外線吸収剤も用いられる。尚、これ
らの紫外線吸収剤の添加量は、通常0.5〜10重量%
程度である。ラジカル捕捉剤は、紫外線による劣化を更
に防止し、耐候性を向上させるためのものであり、ビス
−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジニ
ル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6
−テトラメチル−4−ビペリジニル)セバケート、その
他、例えば特公平4−82625号公報に開示されてい
る化合物等のヒンダード系ラジカル捕捉剤、ビペリジニ
ル系ラジカル捕捉剤等が使用される。
【0027】基材シート2は、上述した材料を任意に選
択してブレンドしたものをカレンダー加工等の常用の方
法により製膜して得ることができる。基材シート2の厚
みは50〜200μm、好ましくは100μm程度であ
る。
【0028】化粧シート1の表面側(透明樹脂層6側)
における基材シート2の表面には、易接着層の塗布、コ
ロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処
理を施すことが好ましい。易接着層(プライマー層また
はアンカー層ともいう。)としては、アクリル樹脂、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ウ
レタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ポリエチレン
を使用することができる。
【0029】なお、上述したポリオレフィン系樹脂から
なる基材シート2の他に、ポリエステルやビニロン等の
有機樹脂等を用いた織布または不織布、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコー
ル共重合体等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹
脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、
ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ポリスチレ
ン、アクリロニトリル・ブタジエン−スチレン共重合体
(ABS)、三酢酸セルロース、セロハン、ポリカーボ
ネート等の樹脂からなるシートまたはフィルムを用いる
ことも可能である。また、薄葉紙、クラフト紙、チタン
紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、上質紙、コート
紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、
パラフィン紙等の紙、あるいは、そうした紙にポリ塩化
ビニルをゾル塗工またはドライラミネートしたいわゆる
ビニル壁紙原反を用いることができる。また、硝子繊
維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリ
カ繊維、炭素繊維等の無機質繊維からなるシートまたは
フィルムを用いることも可能である。また、アルミニウ
ム、鉄、ステンレス鋼、銅等の金属箔等を用いることも
できる。さらに、こうした各基材材料を複数積層させた
ものを、基材シート2として用いることも可能である。
【0030】(インキ層)インキ層11は、化粧シート
1における必須の層であり、ベタインキ層3及び/又は
絵柄インキ層4から構成される。
【0031】ベタインキ層3は、図1に示すように、基
材シート2の地肌の隠蔽等の目的で設けられ、通常は模
様のない全ベタ状の着色層として形成される。絵柄イン
キ層4は、一般に、図形、文字、記号、色彩、それらの
組み合わせ等により、木目模様、石目模様、布目模様、
皮絞模様、幾何学図形等からなる模様ないし色彩を有
し、ベタインキ層3上に、平面状、凹凸状、凸状(図1
を参照。)の層として形成される。なお、絵柄インキ層
4がベタインキ層3の作用を兼ねる場合もあり、この場
合には絵柄インキ層4がベタインキ層3となる。こうし
て形成されたベタインキ層3及び/又は絵柄インキ層4
は、基材シート2表面の全面に設けても部分的に設けて
も何れでもよい。また、インキ層11は、図1に示すよ
うに、基材シート2の表面全面に設けたべタインキ層3
と、そのベタインキ層3の表面に部分的に設けた絵柄イ
ンキ層4とから構成することもできる。
【0032】本発明においては、ベタインキ層3および
絵柄インキ層4の一方又は両方が、水性ウレタン樹脂を
必須の樹脂成分(以下、樹脂成分ともいう。)として含
有する水系塗工剤で形成されたものであることが好まし
い。すなわち、本発明においては、水性ウレタン樹脂を
樹脂成分として含有する水系塗工剤を使用し、その水系
塗工剤を塗布・乾燥してベタインキ層3および絵柄イン
キ層4の一方又は両方を形成する。こうした水系塗工剤
は、VOCの使用を減少させるので、作業環境中または
生活空間中へのVOCの発生を抑制することができ、作
業環境の安全性や生活空間の安全性をより向上させるこ
とができる。さらに、その水系塗工剤で形成されたを構
成する樹脂成分が水性ウレタン樹脂であるので、基材シ
ート2と透明樹脂層6との層間密着性を向上させること
ができる。
【0033】ウレタン樹脂でベタインキ層3及び/又は
絵柄インキ層4を形成することにより層間密着性が向上
する理由は、柔軟性と追従性を併せもち、かつ、層中の
内部凝集力が高いことであると推察される。この理由
は、後述の接着剤層5をウレタン樹脂で形成した場合も
同じである。
【0034】ベタインキ層用水系塗工剤や絵柄インキ用
水系塗工剤に含有させる水性ウレタン樹脂としては、1
液性のものであっても2液性のものであってもよく、特
に限定されない。1液性の水性ウレタン樹脂を含有する
水系塗工剤は、分子末端にイソシアネート基を有したプ
レポリマーを必須成分とし、水または水とアルコール等
とからなる混合溶媒に溶解または均一に分散させて調製
した1液型湿気硬化ウレタン樹脂等を好ましく挙げるこ
とができる。また、2液性の水性ウレタン樹脂を含有す
る水系塗工剤は、水性ウレタン樹脂の主剤となるポリオ
ールと、1分子中に少なくとも2個以上のイソシアネー
ト基を持つ水性化合物からなる架橋剤とを、水または水
とアルコール等とからなる混合溶媒に溶解または均一に
分散させて調製した2液性の水性ウレタン樹脂等を挙げ
ることができる。これらのうち、架橋剤を含有する2液
性の水性ウレタン樹脂は、層間密着性をより一層向上さ
せることができるのでより好ましく使用される。
【0035】これらの各水性ウレタン樹脂において、ポ
リイソシアネート化合物とイソシアネート基と反応し得
る活性水素を分子中に2個以上含有する含有化合物、ま
た、必要に応じて、親水性原子団又は中和により親水性
となりうる原子団を有する化合物から製造される。ポリ
イソシアネート化合物としては、例えば2,4−トリレ
ンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネー
ト、m−フェニレンジイソシアネート、p−フエニレン
ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソ
シアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシ
アネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフエニ
レンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’
−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレン
ジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジ
イソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチ
レンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイ
ソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネ
ート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キ
シリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジ
イソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネー
ト、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシ
ルメタンジイソシアネート等が挙げられる。イソシアネ
ート基と反応し得る活性水素を分子中に2個以上含有す
る化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,
3−ブチレングリコール、ブテンジオール、メチル −
1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロ
ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビス
フェノールA、ビスフェノールF、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコールなどの低分子量ジオール、
グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリ
トール、ジペンタエリスリトールなどの他官能ポリオー
ル、ポリエチレン−ポリプロピレングリコール、ポリエ
ステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカー
ボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリ
アクリルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、
ポリチオエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポ
リオール、ポリオレフィンポリオール、動植物系ポリオ
ール等が挙げられる。親水性原子団又は中和により親水
性となりうる原子団としては、例えば、カルボキシル
基、スルホン酸基、スルホネート基、第3級アミノ基、
第4級アミノ基あるいはエチレンオキサイドの繰り返し
単位等が挙げられ、各水性ウレタン樹脂の製造時に共重
合することができる。また、中和剤としては中和あるい
はイオン化できるものであれば特に制限はないが、例え
ば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の不揮発性塩
基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノ
ールアミン等の三級アミン類、アンモニア等の揮発性塩
基;塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸;蟻酸、酢酸、乳酸、
クエン酸、酒石酸等の有機酸;塩化メチル、臭化メチ
ル、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、塩化ベンジル、p−
ニトロベンジルクロライド、臭化ベンジル、エチレンク
ロルヒドリン、エチレンブロムヒドリン、エピクロルヒ
ドリン、ブロムブタン等の4級化剤が挙げられる。
【0036】また、架橋剤であるイソシアネート基含有
化合物としては、水または水とアルコール等とからなる
混合溶媒に溶解または均一に分散する水分散性のもので
あれば特に限定されないが、実用上効果的な水性化合物
としては、多価イソシアネートを親水性処理したものが
好ましく用いられる。親水性処理される多価イソシアネ
ートとしては、例えば、ジイソシアネート化合物と活性
水素基含有化合物との反応による末端イソシアネート基
含有化合物、あるいはジイソシアネート化合物の反応に
よる末端イソシアネート基含有化合物等にさらに親水性
基を導入した化合物を挙げることができる。ジイソシア
ネート化合物と活性水素基含有化合物との反応による末
端イソシアネート基含有化合物、あるいはジイソシアネ
ート化合物の反応による末端イソシアネート基含有化合
物等の例としては、ウレタン構造をもつ末端イソシアネ
ート基含有化合物、ウレア構造をもつ末端イソシアネー
ト基含有化合物、ウレトジオン構造をもつ末端イソシア
ネート基含有化合物、イソシアヌレート構造をもつ末端
イソシアネート基含有化合物、カルボジイミド構造をも
つ末端イソシアネート基含有化合物、ウレトンイミン構
造をもつ末端イソシアネート基含有化合物、ビウレット
構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物、アロファ
ネート構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物およ
びこれらの混合物等が挙げることができ、特に、イソシ
アヌレート構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物
およびビウレット構造をもつ末端イソシアネート基含有
化合物が好ましい。上記ジイソシアネート化合物の例と
しては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソ
シアネート、キシレンジイソシアネート、テトラメチル
キシレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネー
ト、ジフェニルメタンジイソシアネート等およびこれら
の異性体からなる芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘ
キサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジ
イソシアネート等の脂肪族イソシアネート、シクロヘキ
サンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシ
アネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレン
ジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートシクロヘ
キサン等の脂環式ジイソシアネートおよびこれらの混合
物等が挙げることができ、特に脂肪族、脂環式およびこ
れらの混合物が好ましい。
【0037】2液性の水性ウレタン樹脂を用いた場合に
おける樹脂成分と架橋剤成分との比は、樹脂成分:架橋
剤成分=100:2〜100:200であり、特に10
0:10〜100:50が好ましい。
【0038】上記の水系塗工剤を構成する水性ウレタン
樹脂は、ウレタン樹脂成分を、溶解、エマルジョン化、
マイクロカプセル化またはその他の方法で水性化するこ
とにより得ることができる。なお、本発明において「水
性の樹脂」というときは、本来的に水溶性の樹脂、水溶
性処理された樹脂、本来的に水分散性の樹脂、水分散性
処理された樹脂等をいう。
【0039】また、水系塗工剤として、水性ウレタン樹
脂と他の水性樹脂とを混合したものを用いることもでき
る。他の水性樹脂としては、ポリエステル、ポリアクリ
レート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ
塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポ
リスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロ
ジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアル
コール付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。よ
り具体的には、例えば、ポリアクリルアミド系樹脂、ポ
リ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系
樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエ
ステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ
系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成
樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水
溶性天然高分子;等も使用することができる。また、例
えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、
(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ
ウレタン−ポリアクリル系樹脂変性ないし混合樹脂、そ
の他の樹脂を使用することもできる。上記のような樹脂
は一種または二種以上使用される。また、アクリル酸エ
ステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシエチルアク
リレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メ
タ)アクリル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリ
ルニトリル等のニトリル系モノマー;アクリルアミド、
メタクリルアミド等のアミド系モノマー;それらのアミ
ド系モノマーのN−アルコキシ置換体やN−メチロール
置換体;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレ
ン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;ジアリ
ルフタレート、アリルグリジジルエーテル、トリアリル
イソシアヌレート等のアリル系モノマー;酢酸ビニル、
N−ビニルピロリドン等の重合性二重結合を有するモノ
マー;等の一種又は二種以上と、カルボキシル基を有す
るアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイ
ン酸、フマール酸、イタコン酸、その他等の不飽和カル
ボン酸の一種ないしそれ以上との共重合体からなるアル
カリ溶液可溶性(メタ)アクリル系共重合体を使用する
こともできる。
【0040】水性ウレタン樹脂とそれ以外の種類の樹脂
とを混合した水系塗工剤においては、その水系塗工剤を
塗布・乾燥して得られた層中のバインダー成分中のウレ
タン樹脂が25重量%以上含有するように、水性ウレタ
ン樹脂とそれ以外の種類の樹脂とを混合しておくことが
好ましく、50重量%以上であることがより好ましい。
層中のバインダー成分中のウレタン樹脂の含有量が25
重量%未満では、ウレタン樹脂による層間密着性の向上
作用が不十分となり、基材シート2と透明樹脂層6との
密着性を改善することができない場合がある。一方、層
中のウレタン樹脂の含有量の上限は特に限定されない
が、全てウレタン樹脂からなる場合を含めて、その上限
は100重量%である。
【0041】特に、水性ウレタン樹脂と水性アクリル樹
脂との混合樹脂でインキ層11を形成する場合において
は、その水系塗工剤を塗布・乾燥して得られた層中のバ
インダー成分中のウレタン樹脂が25重量%以上100
重量%未満含有するように、ウレタン樹脂とアクリル樹
脂とを混合しておくことが望ましく、50重量%〜95
重量%であることがより好ましい。
【0042】水系塗工剤の溶媒である水は、従来より水
系塗工剤に使用されているグレードの工業用水が使用さ
れる。また、水とアルコール等とからなる混合溶媒を、
水系塗工剤の溶媒として使用することもできる。そうし
た混合溶媒を構成するアルコール等としては、エタノー
ル、イソプロピルアルコール、N−プロピルアルコール
等の低級アルコール、グリコール類およびそのエステル
類等を挙げることができる。なお、これら低級アルコー
ル、グリコール類およびそのエステル類等の溶媒は、水
系塗工剤の流動性改良、被塗工体である基材シート2へ
の濡れの向上、乾燥性の調整等の目的で使用されるもの
であり、その目的に応じてその種類、使用量等が決定さ
れる。本発明で使用される水系塗工剤は、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の危険性の高い芳香族炭化水素系の
有機性揮発物質が用いられておらず、また、その他の有
機溶剤の使用も抑えているので、VOCの発生を減少さ
せることができる。
【0043】水とアルコール等とからなる混合溶媒にお
いては、それらの配合割合を、水:アルコール等(例え
ば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノー
ル、nプロピルアルコール等が挙げられる。)=20:
80〜100:0の範囲で調整できる。
【0044】ベタインキ層3や絵柄インキ層4に使用さ
れる水系塗工剤には、着色顔料や染料等の着色剤が配合
される。また、ワックス類、分散剤、消泡剤、レベリン
グ剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、その他等の添加
剤を任意に添加し、水または水とアルコール等とからな
る水系の混合溶媒を使用し、ミキサー等で十分に混合し
て、水系塗工剤が調製される。
【0045】着色顔料としては、通常使用される有機ま
たは無機系の顔料を使用することができる。こうした着
色顔料のうち、黄色顔料としては、モノアゾ、ジスア
ゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン等の有
機顔料、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタ
ンイエロー、アンチモン黄等の無機顔料を使用すること
ができる。また、赤色顔料としては、モノアゾ、ジスア
ゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドン等の有機顔
料、弁柄、朱、カドミウムレッド、クロムバーミリオン
等の無機顔料を使用することができる。また、青色顔料
としては、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー
等の有機顔料、紺青、群青、コバルトブルー等の無機顔
料を使用することができる。また、黒色顔料としては、
アニリンブラック等の有機顔料、カーボンブラック等の
無機顔料を使用することができる。また、白色顔料とし
ては、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の無
機顔料を使用することができる。また、シリカ等のフィ
ラー、有機ビーズ等の体積顔料、中和剤、界面活性剤等
を任意に含有させることができる。
【0046】ベタインキ層3や絵柄インキ層4は、上述
した水系塗工剤を塗工または印刷等によって設けた後、
乾燥させて形成される。更に詳しく説明すれば、通常、
ベタインキ層3は、ベタインキ層用の水系塗工剤を塗工
または印刷した後、乾燥硬化させて形成され、絵柄イン
キ層4は、絵柄インキ層用の水系塗工剤を印刷した後、
乾燥硬化させて形成される。塗工方法としては、公知の
各種方法、例えばロールコート、カーテンフローコー
ト、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコ
ート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、
キスコート、ブレードコート、スムーズコート、コンマ
コート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等
の方法を用いることができ、乾燥後の膜厚が1.0〜1
0μm程度になるように塗工される。また、印刷方法と
しては、グラビア、活版、フレキソ等の凸版印刷、平版
オフセット、ダイリソ印刷等の平版印刷、シルクスクリ
ーン等の孔版印刷、静電印刷、インキジェットプリント
等の公知の各種方法を用いることができる。
【0047】こうした水系塗工剤でベタインキ層3及び
/又は絵柄インキ層4からなるインキ層11を形成する
ことにより、本発明の所期の目的である化粧シート1の
環境安全性の向上と層間密着性の向上を達成することが
できる。
【0048】なお、本発明の化粧シート1は、ベタイン
キ層3、絵柄インキ層4および後述する接着剤層5の少
なくとも1以上の層が水系塗工剤で形成され、その水系
塗工剤が水性ウレタン樹脂を含有することに特徴があ
る。従って、後述する接着剤層5が水性ウレタン樹脂を
含有する水系塗工剤で形成される場合においては、ベタ
インキ層3及び/又は絵柄インキ層4を水性ウレタン樹
脂を含有する水系塗工剤で形成する必要は必ずしもな
い。しかし、それらの層の全てが水系塗工剤で形成され
ること、または、ベタインキ層3および/または絵柄イ
ンキ層4を水性ウレタン樹脂を含有する水系塗工剤で形
成し、接着剤層5を無溶剤型塗工剤で形成することがも
っとも好ましい。
【0049】次に、水系塗工剤以外の塗工剤でベタイン
キ層3及び/又は絵柄インキ層4を形成する場合につい
て説明する。この場合における各インキ層用の塗工剤
は、従来より一般的に使用されている溶剤系塗工剤を使
用できる。溶剤系塗工剤に含有される樹脂成分として
は、油性アクリル樹脂と油性ウレタン樹脂との混合物を
好ましく用いることができる。但し、アクリル樹脂とウ
レタン樹脂は相互に混ざりにくい性質を有するので、相
互に混合可能なアクリル樹脂、ウレタン樹脂を選択、配
合、重合等により製造する必要がある。具体的には、本
発明において使用できるウレタン樹脂と混合可能なアク
リル樹脂としては、メタクリル酸メチル(MMA)、メ
タクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、ジメチルア
ミノエチルメタクリレートの混合物が挙げられる。ま
た、上記アクリル樹脂とよく混ざるウレタン樹脂として
は、多価アルコールとしてのブタンジオール、イソシア
ネートとしてのイソホロンジイソシアネート(IPD
I)、アジピン酸を原料として製造したものが挙げられ
る。但し、本発明において用いることができるアクリル
樹脂とウレタン樹脂は、上記のものに限定されず、相互
に混合可能なものであれば、適宜に選択、配合、合成又
は重合等して用いることができる。油性ウレタン樹脂と
油性アクリル樹脂との混合樹脂でインキ層11を形成す
る場合においては、その溶剤系塗工剤を塗布・乾燥して
得られた層中のウレタン樹脂がバインダー成分中の10
〜100重量%含有するように、アクリル樹脂とウレタ
ン樹脂とを混合しておくことが好ましく、20〜80重
量%であることがより好ましい。層中のウレタン樹脂の
含有量が10重量%未満では、基材シート2と透明樹脂
層6との密着性を改善することができない場合がある。
なお、溶剤としては、通常は、酢酸メチル、酢酸ブチル
等のエステル系の有機溶剤や、アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、
イソホロン等のケトン系の有機溶剤等が用いられる。
【0050】(接着剤層)接着剤層5は、図1に示すよ
うに、インキ層11と透明樹脂層6との間に設けられ
て、インキ層11が形成された基材シート2と透明樹脂
層6との密着性を向上させるプライマー層ないしアンカ
ー層としての役割を有するものであり、耐久性や長期に
亘る外観維持性を向上させる作用がある。こうした作用
は、形成された絵柄を長期間保持することができ、極め
て有効である。
【0051】本発明においては、接着剤層5を、水性ウ
レタン樹脂を樹脂成分として含有する水系塗工剤で形成
することが最も好ましい。すなわち、本発明において
は、水性ウレタン樹脂を含有する水系塗工剤を用い、そ
の水系塗工剤を塗布・乾燥して接着剤層5を形成するこ
とにより、化粧シート製造時のVOC発生量および化粧
シート中のVOC残存量を減少させることができ、その
結果、作業環境の安全性や生活空間の安全性をより向上
させることができる。さらに、層中のウレタン樹脂の作
用により、基材シート2と透明樹脂層6との層間密着性
をより向上させることができる。
【0052】接着剤層用の水系塗工剤に含有させる水性
ウレタン樹脂としては、上述のインキ層の段落で説明し
たように、架橋剤を含有する2液性の水性ウレタン樹脂
が使用される。水性ウレタン樹脂は、ウレタン樹脂を、
溶解、エマルジョン化、マイクロカプセル化またはその
他の方法で水性化することにより得ることができる。架
橋剤としては、水分散性のイソシアネート架橋剤を好ま
しく使用できる。2液性の水性ウレタン樹脂を用いた場
合における樹脂成分と架橋剤成分との比は、樹脂成分:
架橋剤成分=100:2〜100:200であり、特に
100:10〜100:30が好ましい。
【0053】また、インキ層用の水系塗工剤と同様に、
接着剤層用の水系塗工剤として、水性ウレタン樹脂と他
の水性樹脂とを混合したものを用いることもできる。他
の水性樹脂としては、ポリエステル、ポリアクリレー
ト、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化
ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリス
チレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン
誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコー
ル付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。より具
体的な樹脂は、上述のインキ層用の水系塗工剤において
列記したものと同じであるので、この段落においては省
略する。水性ウレタン樹脂とそれ以外の種類の樹脂とを
混合した水系塗工剤においても、上述のインキ層11の
場合と同様に、その水系塗工剤を塗布・乾燥して得られ
た接着剤層のバインダー成分中のウレタン樹脂が25重
量%以上含有するように、水性ウレタン樹脂それ以外の
種類の樹脂とを混合しておくことが好ましく、50重量
%以上であることがより好ましい。接着剤層のバインダ
ー成分中のウレタン樹脂の含有量が25重量%未満で
は、基材シート2と透明樹脂層6との密着性を改善する
ことができない場合がある。一方、接着剤層のバインダ
ー成分中のウレタン樹脂の含有量の上限は特に限定され
ないが、全てウレタン樹脂からなる場合を含めて、その
上限は100重量%である。
【0054】水系塗工剤を構成する水および水とアルコ
ール等とからなる混合溶媒の種類、配合割合、作用効果
についても、上述したインキ層用の水系塗工剤の場合と
同じであり、VOCの発生を好ましく抑制することがで
きる。特に、ベタインキ層3、絵柄インキ層4、接着剤
層5の全ての層を水系塗工剤を用いて形成することによ
り、環境安全性および層間密着性を顕著に向上させるこ
とができる。
【0055】接着剤層用の水系塗工剤には、着色剤、ワ
ックス類、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充
填剤、潤滑剤、滑剤、その他等の添加剤を任意に添加さ
れ、水または水とアルコール等とからなる水系の混合溶
媒を使用し、ミキサー等で十分に混合して、水系塗工剤
が調製される。
【0056】接着剤層5は、上述した水系塗工剤を、イ
ンキ層11上に塗工または印刷等によって設けた後、乾
燥させて形成される。塗工方法としては、公知の各種方
法、例えばロールコート、カーテンフローコート、ワイ
ヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グ
ラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコー
ト、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート、
スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等の方法を
用いることができ、乾燥後の膜厚が0.3〜30μm程
度になるように塗工される。
【0057】なお、本発明の化粧シート1においては、
ベタインキ層3、絵柄インキ層4および接着剤層5の少
なくとも1以上の層が水性ウレタン樹脂を含有する水系
塗工剤で形成されるので、前述したベタインキ層3及び
/又は絵柄インキ層4がそうした水系塗工剤で形成され
ている場合には、接着剤層5を、溶剤系塗工剤または無
溶剤系塗工剤で形成してもよい。
【0058】溶剤系塗工剤または無溶剤系塗工剤で接着
剤層5を形成する場合においては、従来より一般的に使
用されている溶剤系または無溶剤系の塗工剤を使用でき
る。
【0059】溶剤系塗工剤としては、2液性の油性ウレ
タン樹脂、油性アクリル樹脂と油性ウレタン樹脂との混
合物等を挙げることができる。2液性の油性ウレタン樹
脂は、油性ウレタン樹脂と架橋剤であるイソシアネート
とを、樹脂成分:架橋剤成分=10:1〜10:60の
範囲で含有する。また、油性アクリル樹脂と油性ウレタ
ン樹脂との混合物は、例えば、油性ウレタン樹脂と、メ
タクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸ヒドロキシ
エチル(HEMA)、ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート等との混合物が挙げられる。この場合において、溶
剤系の塗工剤を塗布・乾燥して得られた接着剤層中のウ
レタン樹脂が10〜100重量%含有するように、油性
アクリル樹脂と油性ウレタン樹脂とを混合しておくこと
が好ましい。
【0060】一方、無溶剤系(ノンソル系)の塗工剤と
しては、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物
からなるものが挙げられる。ポリオール化合物として
は、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポ
リオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセター
ルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリエステル
アミドポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリ
エーテルエステルポリオール、ポリウレタンポリオー
ル、ポリオレフィンポリオール、ポリシロキサンポリオ
ール等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物として
は、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,
6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソ
シアネート、p−フエニレンジイソシアネート、4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−
4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−
ジメトキシ−4,4’−ビフエニレンジイソシアネー
ト、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイ
ソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、
1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テ
トラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレ
ンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネー
ト、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,
3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シク
ロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシア
ネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水
素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシ
クロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメ
チル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ート等のポリイソシアネート単量体から誘導されたイソ
シアヌレート、ビューレット、アロファネート等の多官
能ポリイソシアネート化合物、あるいはトリメチロール
プロパン、グリセリン等の3官能以上のポリオール化合
物との反応により得られる末端イソシアネート基含有の
多官能ポリイソシアネート化合物等を挙げることができ
る。
【0061】(透明樹脂層)透明樹脂層6は、トップ樹
脂層ともいわれ、絵柄インキ層4を擦り傷等から保護し
たり、化粧シート1の表面強度を向上させたり、塗装感
を付与すること等を目的として、接着剤層5を介して絵
柄インキ層4上に積層される。
【0062】透明樹脂層6を構成する樹脂としては、上
述した接着剤層5を介して絵柄インキ層4上に密着よく
形成される透明な樹脂であれば特に限定されるものでは
ないが、例えば、透明ポリプロピレン等のオレフィン系
樹脂を好ましく挙げることができる。透明樹脂層用の樹
脂として使用できるオレフィン樹脂以外の樹脂として
は、上述の基材シート2の構成材料と同じものを使用す
ることができ、こうした透明樹脂層6を形成する樹脂に
は、必要に応じて、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光
安定剤、マット剤等の公知の添加剤を添加して形成する
ことができ、着色された透明樹脂層としたり、紫外線吸
収特性を有する透明樹脂層とすることができる。
【0063】透明樹脂層6の形成方法としては、接着剤
層5上に、別個に形成された透明樹脂シートを積層した
り、溶融押出し塗工法によって成膜したり、その他公知
の方法で積層することができる。
【0064】また、図2に示すように、透明樹脂層6を
2層以上の複層構造にしてもよい。2層以上積層させて
なる透明樹脂層16は、基材シート2側の透明樹脂層
6’と表面保護層側の透明樹脂層6”とに異なる作用効
果を持たせることができる点で有利である。具体的に
は、表面保護層側の透明樹脂層6”をフッ化ビニリデン
等のフッ素系樹脂を主成分とした樹脂で形成することに
より、優れた耐汚染性等の表面機能を付与することがで
き、基材シート側の透明樹脂層6’を熱可塑性アクリル
樹脂等で形成することにより、接着剤層5との間の密着
性等を向上させることができるように積層可能である。
また、表面保護層側の透明樹脂層6”を耐候剤を添加し
たポリプロピレン系樹脂で形成することにより、優れた
耐候性を付与することができ、基材シート側の透明樹脂
層6’をエラストマーを含有したポリプロピレン系樹脂
で形成することにより、耐候性と密着性の向上を図るこ
とができるように積層可能である。
【0065】2層以上の透明樹脂層16は、複数の樹脂
組成物を溶融共押出しして形成したり、ドライラミネー
ションや熱ラミネーション等の各種のラミネート法で形
成することができる。このとき、図3に示すように、プ
ライマー層またはアンカー層として作用する接着剤層1
2を介して2以上の層からなる透明樹脂層16を形成す
ることもできる。なお、この場合における接着剤層12
は、透明樹脂層6’、6”と共に溶融共押出しして形成
したり、上述した水性ウレタン樹脂を含有する水系塗工
剤で塗布形成することもでき、その場合には、VOCの
発生をより一層抑制することができる。
【0066】透明樹脂層6の厚さは、20〜300μm
程度となるように、15〜400g/m2 程度の塗布量
で塗工する。
【0067】(凹凸模様)凹凸模様7は、エンボス模様
ともいわれ、図1に示すように、必要に応じて上述の透
明樹脂層6の表面に形成される。また、図2および図3
に示すように2層以上の透明樹脂層16を形成した場合
には、凹凸模様7を最表面の透明樹脂層に形成したり、
最表面以外の透明樹脂層に形成したりすることができ、
それぞれ任意に行うことができる。
【0068】凹凸模様7は、特に限定されず、化粧シー
ト1の用途に応じた模様であればよい。例えば、木目導
管溝、木目年輪凹凸、浮造年輪凹凸、木肌凹凸、砂目、
梨地、ヘアライン、万線状溝、花崗岩の劈開面等の石材
表面凹凸、布目の表面テクスチュア、皮絞、文字、幾何
学模様等の模様を挙げることができる。
【0069】凹凸模様7を形成する手段としては、例え
ば、加熱加圧によるエンボス加工法やTダイ溶融押し出
し法が挙げられる。加熱加圧によるエンボス加工法は、
透明樹脂層6の表面を加熱軟化させ、その表面をエンボ
ス版で加圧してエンボス版の凹凸模様7を賦形し、冷却
して固定化する方法であり、公知の枚葉式または輪転式
のエンボス機を用いることができる。エンボス加工法で
形成する場合には、ラミネート加工により積層する前の
透明樹脂層6とする樹脂シートに予めエンボス加工した
り、透明樹脂層6とする樹脂シートを積層すると同時に
(いわゆるダブリングエンボス法)行ったりすることが
できる。また、Tダイ溶融押出し法で透明樹脂層6を積
層する場合には、賦形ローラを兼用させた冷却ローラを
使用して、透明樹脂層6の成膜・積層と同時に凹凸模様
7を形成することもできる。また、ヘアライン加工、サ
ンドブラスト加工等によってもエンボス模様を形成する
ことができる。
【0070】(着色層)着色層8は、凹凸模様7の凹陥
部17にワイピング法により形成される。ワイピング法
は、ドクターブレードコート法またはナイフコート法で
凹陥部17を含む表面全面に着色層用の塗工剤を塗布し
た後、凹陥部17以外の表面から着色層用の塗工剤を除
去することにより、凹陥部17のみに着色層8を形成す
る方法である。着色層用の塗工剤としては、有機顔料、
無機顔料、光輝性顔料等の着色顔料と、熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂等のバインダー樹
脂とからなるインキや、エマルジョン型の水系タイプイ
ンキ等を使用できる。
【0071】また、上述のベタインキ層3及び/又は絵
柄インキ層4を形成する水系塗工剤を好ましく用いるこ
ともでき、そうした場合には、環境安全性の点でより好
ましい。
【0072】(表面保護層)表面保護層9は、トップコ
ート層またはオーバープリント層(OP層)ともいわ
れ、凹凸模様7を形成する凹陥部17やその凹陥部17
に形成された着色層8の表面を被って、化粧シート1を
保護することを目的として設けられるものである。
【0073】表面保護層9は、耐擦傷性や耐汚染性等の
物性向上を目的として用いられるため、熱硬化樹脂およ
び/または電離放射線硬化型樹脂を用いることが好まし
い。また、溶剤系塗工液で形成してもよいが、VOCの
発生を抑制する環境安全性を考慮すると、上述したイン
キ層11や接着剤層5と同じ水系塗工剤、および無溶剤
型塗工剤で形成するのが望ましい。無溶剤型の塗工剤を
用いた場合には、電離放射線硬化型の塗工剤が好まし
い。したがって、上述した水系塗工剤と同様に、水性ウ
レタン樹脂等の水性樹脂を用い、さらに、着色剤、分散
剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、
滑剤、その他等の添加剤を任意に添加し、水溶媒または
水とアルコール等とからなる混合溶媒を使用し、ミキサ
ー等で十分に混合して調製した水系塗工剤を使用するこ
とができる。
【0074】また、反応型の水性樹脂組成物で表面保護
層9を形成することもでき、耐擦傷性や、透明樹脂層6
との密着性を向上させることができる。特に、エマルジ
ョン型の樹脂を用いた場合には、樹脂組成物中にで硬化
剤等の反応開始剤が保護され、塗膜化の後に反応を開始
させることが可能となる。そのため、塗工し易い樹脂組
成物で塗工し、その後反応させて表面保護層9を形成す
ることもできる。このような反応型の樹脂組成物として
は、例えば、感熱反応型の樹脂として、活性水素基を有
する樹脂からなる主剤とイソシアネート基と溶媒の水や
アルコール系化合物との反応を抑制するように、親水性
処理されたイソシアネート系硬化剤、もしくはブロック
剤で処理したイソシアネート系硬化剤をエマルジョン化
した樹脂組成物、またはアミノ基やカルボン酸基を有す
る樹脂からなる主剤とエポキシ基を持つ水溶性または水
分散性硬化剤からなる樹脂組成物等を挙げることができ
る。
【0075】なお、電離放射線硬化型樹脂とは、電離放
射線を照射することにより架橋重合反応を起こし3次元
の高分子構造に変化する樹脂である。電離放射線は、電
磁波または荷電粒子線のうち分子を重合、架橋し得るエ
ネルギー量子を有するものを意味し、可視光線、紫外線
(近紫外線、真空紫外線等を含む。)、X線、電子線、
イオン線等がある。通常は紫外線や電子線が用いられ
る。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低
圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、
メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の
波長としては、通常1900〜3800Å(10-1nm
に同じ。)の波長域が主として用いられ、また、電子線
源としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフト
型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線
型、ダイナミトロン型、高周波型灯の各種電子線加速器
を用い、100〜1000keV、好ましくは100〜
300keVのエネルギーをもつ電子を照射するものを
使用できる。
【0076】電離放射線硬化型樹脂としては、分子中
に、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオ
キシ基等のラジカル重合性不飽和基、又はエポキシ基等
のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマー
又はポリマー(以下、これらを総称して化合物と呼称す
る)からなる。これら単量体、プレポリマー、及びポリ
マーは、単体で用いるか、或いは複数種混合して用い
る。
【0077】上記の電離放射線硬化型樹脂は電子線を照
射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させ
る場合には、増感剤として光重合開始剤を添加する。光
重合開始剤の添加量は一般に、電離放射線硬化型樹脂1
00重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。
【0078】なお、表面保護層9は、耐擦傷性等の表面
物性の向上のほか、シリカ等の公知の艶消し剤を添加し
て艶調整したり、塗装感等の意匠性を付与させたりする
こともできる。また、表面保護層9には、より良好な耐
候性または耐光性を付与するために、必要に応じて紫外
線吸収剤、光安定剤を添加して形成することができる。
そうした紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール、
ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等の有機物、また
は、0.2μm径以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリ
ウム、酸化チタン等の無機物、を用いることができる。
光安定剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードア
ミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等
のラジカル捕捉剤等を用いることができる。これらの紫
外線吸収剤、光安定剤とも、通常、0.5〜10重量%
程度となるように添加するが、一般的には紫外線吸収剤
と光安定剤とを併用するのが好ましい。難燃剤として
は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の粉末
が用いられる。難燃剤の添加量は、高密度ポリエチレン
と熱可塑性エラストマーとの合計量を100重量部に対
し、10〜150重量部程度が好ましい。
【0079】表面保護層9は、そのような各種の塗工剤
を、グラビアコート法、リバースロールコート法、ナイ
フコート法、キスコート法、その他塗工法等の公知の塗
工法で塗工形成して形成される。また、グラビア印刷、
シルクスクリーン印刷等の公知の印刷法で形成される。
形成された表面保護層9の厚みは3〜40μm程度が好
ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0080】(裏面プライマー層)裏面プライマー層1
0は、本発明の化粧シート1を各種の被着体15に接着
させ易くすることを目的として、基材シート2の裏面側
に形成される。裏面プライマー層10の形成には、アク
リル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエ
ステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化
ポリエチレン等が使用されるが、上述したインキ層11
や接着剤層5を形成するのに好ましく採用される水系塗
工剤を用いることが環境安全性の観点から好ましい。
【0081】(化粧シート)上述の構成を有する本発明
の化粧シート1は、他の被着体15(裏打材)に積層し
て用いられる。
【0082】被着体15としては、図4に示すような立
体形状物品41や、図5に示すような平板状、曲面状等
の板材51、シート(或いはフィルム)等の各種形状の
物品が対象となる。こうした被着体15は、木材単板、
木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MD
F)等の木材板、木質繊維板等の木質板、鉄、アルミニ
ウム等の金属、アクリル、ポリエステル、ポリスチレ
ン、ポリオレフィン、ABS樹脂、フェノール樹脂、ポ
リ塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂、
硝子、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯
業系材料、上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、チタン酸
カリウム、硝子、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は
織布、等々を挙げることができる。
【0083】化粧シート1と被着体15との関係におい
て、化粧シート1の基材シート2または裏面プライマー
層10の種類により、被着体15にそのまま熱融着等で
接着できる場合には、化粧シート1と被着体15とを接
着剤を用いずに積層させることができるが、化粧シート
1の基材シート2または裏面プライマー層10の種類に
より、被着体15にそのまま熱融着等で接着できない場
合には、適当な接着剤を用いて積層させる。なお、接着
剤としては、酢ビ系、尿素系等の接着剤を挙げることが
できる。
【0084】また、一般的な積層方法としては、例え
ば、(a)接着剤を介して被着体15に加圧ローラーで
加圧して積層する方法、(b)特公昭50−19132
号公報、特公昭43−27488号公報等に記載のよう
に、化粧シート1を射出成形の雌雄両金型間に挿入し
て、両金型を閉じ、雄型のゲートから溶融樹脂を射出充
填した後、冷却して樹脂成型品の成形と同時にその表面
に化粧シート1を接着積層する射出成形同時ラミネート
方法、(c)特公昭56−45768号公報、特公昭6
0−58014号公報等に記載のように、接着剤を介し
て成形品の表面に化粧シート1を対向させ、成形品側か
らの真空吸引による圧力差により化粧シート1を成形品
表面に積層する真空プレス積層方法、(d)特公昭61
−5895号公報、特公平3−2666号公報等に記載
のように、円柱、多角柱等の柱状被着体の長軸方向に、
接着剤を介して化粧シート1を供給しつつ、複数の向き
の異なるローラーにより、柱状被着体を構成する複数の
側面に順次化粧シート1を加圧接着して積層してゆくラ
ッピング加工方法等が挙げられる。
【0085】本発明の化粧シート1を積層した各種の被
着体15は、所定の成形加工等を施して、各種装飾用素
材等として用いることができる。例えば、壁、天井、床
等建築物の内装、窓枠、扉、手摺等の建具の表面化粧、
家具または弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、
自動車、電車等の車輌内装、航空機内装、窓硝子の化粧
用等の用途が挙げられる。
【0086】
【実施例】以下に、実施例と比較例を挙げて、本発明に
ついて更に詳しく説明する。以下において、部とは重量
部のことである。
【0087】(実施例1)基材シート2として三菱化学
MKV株式会社製のポリプロピレン系エラストマー着色
シートPB013(厚み60μm)を用い、その上にコ
ロナ放電処理を施した後、線数54線/インチ、版深4
0μmのグラビア版を用いて下記配合のベタインキ層用
塗工剤A、絵柄インキ層用塗工剤Bを順次グラビア印刷
法にて塗布・乾燥し、ベタインキ層3および絵柄インキ
層4を順次形成した。
【0088】さらにその上に、線数54線/インチ、版
深40μmのグラビア版を用いて下記配合の接着剤層用
塗工剤aをグラビア印刷法にて塗布・乾燥し、約3g/
2の接着剤層5を形成した。
【0089】さらにその接着剤層5上に、三菱化学MK
V株式会社製の透明ポリプロピレンフィルム「PE00
2C」(厚さ80μm)をドライラミネート方式で積層
して透明樹脂層6を形成した。次に、その積層シートの
表面にエンボス加工により凹凸模様7を形成し、さらに
その上に、線数54線/インチ、版深40μmのグラビ
ア版を用いて、表面保護層用の水系塗工剤をグラビア印
刷法にて塗布・乾燥し、約5g/m2 の表面保護層9を
形成した。こうして実施例1の化粧シートを得た。
【0090】ベタインキ層用の水系塗工剤A; 水性ウレタン系白色インキ(ザ・インクテック製、オー
デWKE):100部、水:20部、イソプロピルアル
コール:20部絵柄インキ層用の水系塗工剤B ; 水性ウレタン系黄色インキ(ザ・インクテック製、オー
デWKE):100部、水:20部、イソプロピルアル
コール:20部接着剤層用の水系塗工剤a ; 水性ウレタン樹脂含有接着剤(日華化学株式会社製、H
O14):100部、水分散性イソシアネート架橋剤
(日華化学株式会社製、X9003):10部、水:2
0部、イソプロピルアルコール:20部
【0091】(実施例2)実施例1の接着剤層用の水系
塗工剤aに代えて、下記配合の接着剤層用の溶剤系塗工
剤bを用いた。その他は実施例1と同様にして実施例2
の化粧シートを得た。
【0092】接着剤層用の溶剤系塗工剤b; 油性ウレタン樹脂含有接着剤(大日精化工業株式会社
製、E295L):100部、イソシアネート架橋剤
(大日精化工業株式会社製、C55):10部、酢酸エ
チル:80部
【0093】(実施例3)実施例1の接着剤層用の水系
塗工剤aに代えて、下記配合の接着剤層用の無溶剤系塗
工剤cを用いた。その無溶剤系塗工剤cを80℃に加温
し、ロールコート印刷法により接着剤層を形成した。そ
の他は実施例1と同様にして実施例3の化粧シートを得
た。
【0094】接着剤層用の無溶剤系塗工剤c; ポリエステル系ポリオール(三井武田ケミカル株式会社
製、A665):100部、イソシアネート架橋剤(三
井武田ケミカル株式会社製、A65):40部
【0095】(実施例4)実施例1のベタインキ層用の
水系塗工剤Aおよび絵柄インキ層用の水系塗工剤Bに代
えて、下記配合のベタインキ層用の水系塗工剤Cおよび
絵柄インキ層用の水系塗工剤Dを用いた。その他は実施
例1と同様にして実施例2の化粧シートを得た。
【0096】ベタインキ層用の水系塗工剤C; 水性ウレタン樹脂(第一工業製薬製、F8582D):
100部、酸化チタン:40部、水:20部、イソプロ
ピルアルコール:20部絵柄インキ層用の水系塗工剤D ; 水性ウレタン樹脂(第一工業製薬製・F8582D):
100部、弁柄:10部、水:20部、イソプロピルア
ルコール:20部
【0097】(実施例5)実施例4の接着剤層用の水系
塗工剤aに代えて、上記配合の接着剤層用の溶剤系塗工
剤b(実施例2を参照。)を用いた。その他は実施例4
と同様にして実施例5の化粧シートを得た。
【0098】(実施例6)実施例4の接着剤層用の水系
塗工剤aに代えて、上記配合の接着剤層用の無溶剤系塗
工剤c(実施例3を参照。)を用いた。その無溶剤系塗
工剤cを80℃に加温しロールコート印刷法により接着
剤層を形成した。その他は実施例4と同様にして実施例
6の化粧シートを得た。
【0099】(実施例7)実施例1のベタインキ層用の
水系塗工剤Aに代えて、下記配合のベタインキ層用の水
系塗工液Eを用いた。その他は実施例1と同様にして実
施例7の化粧シートを得た。
【0100】ベタインキ層用の水系塗工液E; 水性ウレタン系白色インキ(ザ・インクテック製、オー
デWKE):100部、水分散性イソシアネート架橋剤
(日華化学株式会社製、X9003):10部、水:2
0部、イソプロピルアルコール:20部
【0101】(実施例8)実施例7の接着剤層用の水系
塗工剤aに代えて、上記配合の接着剤層用の溶剤系塗工
剤b(実施例2を参照。)を用いた。その他は実施例7
と同様にして実施例8の化粧シートを得た。
【0102】(実施例9)実施例7の接着剤層用の水系
塗工剤aに代えて、上記配合の接着剤層用の無溶剤系塗
工剤c(実施例3を参照。)を用いた。その無溶剤系塗
工剤cを80℃に加温しロールコート印刷法により接着
剤層を形成した。その他は実施例7と同様にして実施例
9の化粧シートを得た。
【0103】(実施例10)実施例1のベタインキ層用
の水系塗工剤Aおよび絵柄インキ層用の水系塗工剤Bに
代えて、ベタインキ層用の水系塗工剤Fおよび絵柄イン
キ層用の水系塗工剤Gを用いた。その他は実施例1と同
様にして実施例10の化粧シートを得た。
【0104】ベタインキ層用の水系塗工剤F; 水性ウレタン系白色インキ(ザ・インクテック製、オー
デWKE):100部、水性アクリル樹脂(サイデン化
学株式会社製、サイピノールEK72):30部、水分
散性イソシアネート架橋剤(日華化学株式会社製、X9
003):10部、水:20部、イソプロピルアルコー
ル:20部絵柄インキ層用の水系塗工剤G ; 水性ウレタン系黄色インキ(ザ・インクテック製、オー
デWKE):100部、水性アクリル樹脂(サイデン化
学株式会社製、サイピノールEK72):30部、水:
20部、イソプロピルアルコール:20部
【0105】(実施例11)実施例10の接着剤層用の
水系塗工剤aに代えて、上記配合の接着剤層用の溶剤系
塗工剤b(実施例2を参照。)を用いた。その他は実施
例10と同様にして実施例11の化粧シートを得た。
【0106】(実施例12)実施例10の接着剤層用の
水系塗工剤aに代えて、上記配合の接着剤層用の無溶剤
系塗工剤c(実施例3を参照。)を用いた。その無溶剤
系塗工剤cを80℃に加温しロールコート印刷法により
接着層を形成した。その他は実施例10と同様にして実
施例12の化粧シートを得た。
【0107】(実施例13)実施例1のベタインキ層用
の水系塗工剤Aおよび絵柄インキ層用の水系塗工剤Bに
代えて、ベタインキ層用の溶剤系塗工剤Hおよび絵柄イ
ンキ層用の溶剤系塗工剤Iを用いた。その他は実施例1
と同様にして実施例13の化粧シートを得た。
【0108】ベタインキ層用の溶剤系塗工剤H; ウレタンアクリル系白色インキ(株式会社昭和インクエ
業所製、PER白):100部、イソシアネート化合物
(株式会社昭和インクエ業所製、PER硬化剤):8
部、メチルイソブチルケトン:40部絵柄インキ層用の溶剤系塗工剤I ; ウレタンアクリル系黄色インキ(株式会社昭和インクエ
業所製、PER黄):100部、メチルイソブチルケト
ン:40部
【0109】(比較例1)実施例1のベタインキ層用の
水系塗工剤Aおよび絵柄インキ層用の水系塗工剤Bに代
えて、ベタインキ層用の水系塗工剤Jおよび絵柄インキ
層用の水系塗工剤Kを用いた。その他は実施例1と同様
にして比較例1の化粧シートを得た。
【0110】ベタインキ層用の水系塗工剤J; 水性アクリル樹脂系白色インキ(サカタインクス株式会
社製、スーパーラミピュア白):100部、水分散性イ
ソシアネート架橋剤(日華化学株式会社製、X900
3):10部、水:20部、イソプロピルアルコール:
20部絵柄インキ層用の水系塗工剤K ; 水性アクリル樹脂系黄色インキ(サカタインクス株式会
社製、スーパーラミピユア黄):100部、水:20
部、イソプロピルアルコール:20部
【0111】(比較例2)比較例1の接着剤層用の水系
塗工剤aに代えて、上記配合の接着剤層用の溶剤系塗工
剤b(実施例2を参照。)を用いた。その他は比較例1
と同様にして比較例2の化粧シートを得た。
【0112】(比較例3)比較例1の接着剤層用の水系
塗工剤aに代えて、上記配合の接着剤層用の無溶剤系塗
工剤c(実施例3を参照。)を用いた。その無溶剤系塗
工剤cを80℃に加温しロールコート印刷法により接着
剤層を形成した。その他は比較例1と同様にして比較例
3の化粧シートを得た。
【0113】(比較例4)実施例7の接着剤層用の水系
塗工剤aに代えて、下記配合の接着剤層用の水系塗工剤
dを用いた。その他は実施例7と同様にして比較例4の
化粧シートを得た。
【0114】接着剤層用の水系塗工剤d; 水性アクリル樹脂系接着剤(主剤)(サカタインクス株
式会社製、XDW1301):100部、水性イソシア
ネート架橋剤(サカタインクス株式会社製・XDK20
00):15部、水:20部、イソプロピルアルコー
ル:20部
【0115】(比較例5)実施例10の接着剤層用の水
系塗工剤aに代えて、上記配合の接着剤層用の水系塗工
剤d(比較例4を参照。)を用いた。その他は実施例1
0と同様にして比較例5の化粧シートを得た。
【0116】(層間密着性の評価方法と結果)実施例1
〜13および比較例1〜5で得られた各化粧シートの層
間密着性を評価した。得られた結果を表1に示した。
【0117】層間密着性の評価方法;幅1インチにカッ
トした化粧シート1の基材シート2と透明樹脂層6とを
INSTRON5500引張試験機を用い、25℃の雰
囲気中において引張速度100mm/分、基材シート2
と透明樹脂層6との間の開き角180°の条件にて引張
り、剥離強度で評価した。剥離強度が19.6N以上の
ものを合格とし○で表し、19.6N未満のものを不合
格として×で表した。結果を表1に示した。
【0118】
【表1】
【0119】(評価結果)実施例1〜13の化粧シート
は、ベタインキ層3、絵柄インキ層4および接着剤層5
の何れか1層以上が水性ウレタン樹脂を含有する水系塗
工剤で形成されるので、その化粧シートから発生するV
OC発生量が抑制され、環境安全性が向上する。また、
ベタインキ層3、絵柄インキ層4および接着剤層5の何
れか1層以上がウレタン樹脂を含有するので、そのウレ
タン樹脂の作用により、基材シート2と透明樹脂層6と
の間に優れた密着性を付与することができる。
【0120】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の化粧シー
トによれば、ベタインキ層、絵柄インキ層および接着剤
層の少なくとも1以上の層が水系塗工剤で形成されるの
で、作業環境におけるVOCの揮発量および化粧シート
中の残存量を減少させることができ、その結果、化粧シ
ート製造時における作業環境の安全性や生活空間での環
境安全性をより向上させることができる。また、使用す
る水系塗工剤は水性ウレタン樹脂を含有しているので、
その水性ウレタン樹脂の作用により、基材シートと透明
樹脂層との層間密着性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの層構成の一例を示す断面
図である。
【図2】本発明の化粧シートの層構成の他の一例を示す
断面図である。
【図3】本発明の化粧シートの層構成の更に他の一例を
示す断面図である。
【図4】本発明の化粧シートの実施形態の一例を示す断
面図である。
【図5】本発明の化粧シートの実施形態の他の一例を示
す断面図である。
【符号の説明】
1、41、51 化粧シート 2 基材シート 3 ベタインキ層 4 絵柄インキ層 5 接着剤層 6、6’、6” 透明樹脂層 7 凹凸模様 8 着色層 9 表面保護層 10 裏面プライマー層 11 インキ層 12 接着剤層 15 被着体 16 多層からなる透明樹脂層 17 凹陥部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09J 175/04 C09J 175/04 Fターム(参考) 4F100 AK01C AK03A AK03C AK07 AK51B AL09A AR00D AS00B AT00A AT00E BA03 BA04 BA05 BA07 BA10A BA10C BA10D BA10E CC00B DD01C EH232 EJ55 EJ65E GB08 GB81 HB31B JB09B JK12D JL00 JL10C JL11 JN01C YY00B 4J038 BA021 BA022 BA231 BA232 CA011 CA012 CA021 CA022 CB021 CB022 CB091 CB092 CB171 CB172 CC021 CC022 CD041 CD042 CF021 CF022 CG141 CG142 CG171 CG172 DA031 DA032 DD001 DD002 DG051 DG052 DG111 DG112 DG121 DG122 DG131 DG132 DG191 DG192 DG261 DG262 DH001 DH002 GA03 GA06 GA09 GA13 HA176 JB01 KA06 KA08 MA08 MA10 NA01 NA12 NA27 PB05 PB07 PC08 4J039 AD01 AD03 AD05 AD08 AD10 AD15 AE04 AE06 AE08 AF02 AF07 BC16 BC18 BC21 BC23 BE01 CA06 FA02 GA01 GA02 GA03 GA04 GA10 GA24 4J040 BA011 BA022 BA201 BA202 CA041 CA042 DA031 DA032 DA111 DA112 DA181 DA182 DB041 DB042 DC031 DC032 DE021 DE022 DF021 DF022 ED001 ED002 EF031 EF032 EF051 EF052 EF121 EF122 EF131 EF132 EF171 EF172 EF181 EF182 JA13 JB02 KA23 KA42 NA12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材シートと、ベタインキ層及び/又は
    絵柄インキ層からなるインキ層と、接着剤層と、透明樹
    脂層とを少なくとも有し、当該各層を順次積層してなる
    化粧シートにおいて、 前記ベタインキ層、前記絵柄インキ層および前記接着剤
    層の少なくとも1以上の層が水系塗工剤で形成されてな
    り、該水系塗工剤は水性ウレタン樹脂を含有することを
    特徴とする化粧シート。
  2. 【請求項2】 前記透明樹脂層が、溶融押出し塗工法で
    形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の化粧
    シート。
  3. 【請求項3】 前記水性ウレタン樹脂の含有量は、前記
    水系塗工剤で形成された層中のバインダー成分の25重
    量%以上であることを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載の化粧シート。
  4. 【請求項4】 前記基材シートがポリオレフィン系エラ
    ストマーからなり、前記透明樹脂層がポリオレフィン系
    樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3の
    何れか1項に記載の化粧シート。
  5. 【請求項5】 前記透明樹脂層の表面側に凹凸模様が形
    成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の
    何れか1項に記載の化粧シート。
  6. 【請求項6】 前記凹凸模様の凹陥部に着色層が形成さ
    れていることを特徴とする請求項5に記載の化粧シー
    ト。
  7. 【請求項7】 前記透明樹脂層の最表面に表面保護層が
    形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6
    の何れか1項に記載の化粧シート。
  8. 【請求項8】 前記基材シートの裏面に裏面プライマー
    層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求
    項7の何れか1項に記載の化粧シート。
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