JP2005281421A - 接着層用水系塗工液、積層体および積層体の製造方法 - Google Patents

接着層用水系塗工液、積層体および積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 十分な接着力を有する接着層を形成でき且つポットライフが長い接着層用水系塗工液、この塗工液で形成された十分な接着力を有し且つ良好な意匠性を有する積層体、および、そうした積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】 二つの異なる温度領域で架橋反応を起こし、その架橋反応に対応した二種類の架橋剤および当該架橋剤に対応する樹脂を含有する接着層用水系塗工液により、上記課題を解決する。また、基材2、接着層3、樹脂層4をこの順で積層し、その接着層3を上記の接着層用水系塗工液で形成した積層体1、および、基材2上に上記の接着層用水系塗工液を塗布して接着層3を形成し、その接着層3上に樹脂層用樹脂を溶融押出しして樹脂層4を形成し、その後所定の低温領域で養生処理することにより、接着層3が溶融押出し時の高温領域で架橋反応を起こし、養生処理時の低温領域で架橋反応を起こして形成される積層体1の製造方法により、上記課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、接着層用水系塗工液、この接着層用水系塗工液で形成した接着層を有する積層体および積層体の製造方法に関し、更に詳しくは、十分な接着力を有する接着層を形成でき且つポットライフが長く環境安全性に優れた接着層用水系塗工液、この塗工液で形成された十分な接着力を有し且つ良好な意匠性を有する積層体、および、そうした積層体の製造方法に関するものである。
接着層用水系塗工液は、通常、樹脂、架橋剤および溶媒を主要成分として含むが、こうした接着層用水系塗工液から形成される接着層は、接着層用水系塗工液を塗布・乾燥した後、架橋反応を進める養生処理を施すことにより、所定の接着特性となるように調整される。
接着層用水系塗工液に含まれる樹脂と架橋剤の組合せは、大別して、低温領域で架橋反応が進む組合せと、高温領域で架橋反応が進む組合せとがある。このうち、主に低温領域で架橋反応が進む接着層用水系塗工液で形成された接着層は、低温領域(約5〜40℃)での養生処理(エージングともいう。)により架橋反応が進行し、十分な接着特性を示すという利点がある。また、低温領域(約5〜40℃)でほとんど架橋反応が進まず主に高温領域(約70〜180℃)で架橋反応が進む接着層用水系塗工液は、ポットライフが長く、塗工液の安定性に優れるという利点がある。
ところで、こうした接着塗工液から形成される接着層を一部に有する積層体としては、基材、接着層、樹脂層(基材)を順次積層させたものが知られている。
しかしながら、上述した低温領域で架橋反応が進む接着層用水系塗工液は、主剤および/または溶媒と反応しやすく、接着層用水系塗工液自体の安定性に劣る(ポットライフが短くなる)という問題があり、こうした接着層用水系塗工液を積層体の製造に用いた場合には、安定且つ十分な接着強度を有する層を形成することが困難であるという問題があった。
一方、上述の高温領域で架橋反応が進む接着層用水系塗工液を用いて形成した接着層上に、樹脂層を溶融押出し塗工して積層体を製造する場合において、その架橋反応を溶融押出し時の熱で進めるようにする場合には、積層体の意匠性の低下はほとんど起こらないが、溶融押出し塗工が短時間で行われるために、溶融押出し塗工の際の熱のみによっては十分に架橋反応を進めることができず、基材と樹脂層との間の層間密着性に劣る積層体が形成されるという問題があった。
また、低温領域でほとんど架橋反応が進まず高温領域で架橋反応が進む接着層用水系塗工液を用いて形成した接着層を一部に有する積層体(図1を参照。)は、上述した高温領域に曝されることにより、基材が収縮して寸法安定性が低下したり、意匠性が低下するという問題があった。また、基材と接着層との間に絵柄着色層を設けた積層体(図2を参照。)においても、上述の高温領域に曝されることにより、絵柄にゆがみが生じて意匠性が低下するという問題があった。
本発明は、上述の問題を解決すべくなされたものであって、その目的は、十分な接着力を有する接着層を形成でき且つポットライフが長い接着層用水系塗工液を提供すること、および、この塗工液で形成された十分な接着力を有し且つ良好な意匠性を有する積層体を提供すること、および、そうした積層体の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決する本発明の接着層用水系塗工液は、二つの異なる温度領域で架橋反応を起こす接着層用水系塗工液であって、その架橋反応に対応した二種類の架橋剤および当該架橋剤に対応する樹脂を含有することに特徴を有する。より具体的には、本発明の接着層用水系塗工液は、少なくとも低温領域で架橋反応を起こす架橋剤aと、少なくとも前記架橋剤aと反応する官能基を有する樹脂Aと、当該低温領域でほとんど架橋反応を起こさず高温領域で架橋反応を起こす架橋剤bと、少なくとも前記架橋剤bと反応する官能基を有する樹脂Bと、を含有することに特徴を有する。
この発明によれば、架橋反応を二つの異なる温度領域で起こすことができるので、異なる温度が付与される工程を経る場合においては、段階的に架橋反応を起こすことができる。例えば、塗工された接着層が高温雰囲気と低温雰囲気を経ることにより、高温雰囲気では架橋剤bと樹脂Bが架橋反応を起こし(また、場合によっては架橋剤aと樹脂Aも架橋反応を起こし)、低温雰囲気では架橋剤aと樹脂Aが架橋反応を起こし、十分な接着力を有する接着層が形成される。さらに、この接着層用水系塗工液は、十分な接着力を有するのに必要な架橋反応を、安定性に優れた架橋剤bと樹脂Bを配合することにより、架橋剤aと樹脂Aとの割合を減らすことができ、接着層用水系塗工液の安定性がより向上する。
本発明の接着層用水系塗工液において、前記樹脂Aと前記樹脂Bが同一の化合物であり、当該化合物が、架橋剤aと反応する官能基および架橋剤bと反応する官能基を有することが好ましい。また、本発明の接着層用水系塗工液において、前記架橋剤aが、イソシアネート基含有化合物であり、前記樹脂Aが、水酸基を有する樹脂であることが好ましく、また、前記架橋剤bが、エポキシ基含有化合物であり、前記樹脂Bが、カルボキシル基を有する樹脂であることが好ましい。さらに、本発明の接着層用水系塗工液において、前記低温領域は、5℃〜40℃の範囲であり、前記高温領域は、70℃〜180℃の範囲であることが好ましい。
上記課題を解決する本発明の積層体は、基材、接着層、樹脂層をこの順で積層した積層体であって、前記接着層が、少なくとも低温領域で架橋反応を起こす架橋剤aと、少なくとも前記架橋剤aと反応する官能基を有する樹脂Aと、当該低温領域でほとんど架橋反応を起こさず高温領域で架橋反応を起こす架橋剤bと、少なくとも前記架橋剤bと反応する官能基を有する樹脂Bと、を含有する接着層用水系塗工液で形成されたことに特徴を有する。
この発明によれば、接着層が、少なくとも低温領域で架橋反応を起こす架橋剤aと樹脂Aおよび当該低温領域でほとんど架橋反応を起こさず高温領域で架橋反応を起こす架橋剤bと樹脂Bを含有する接着層用水系塗工液で形成されるので、その接着層が高温雰囲気と低温雰囲気を経ることにより、高温雰囲気では架橋剤bと樹脂Bが架橋反応を起こし(また、場合によっては架橋剤aと樹脂Aも架橋反応を起こし)、低温雰囲気では架橋剤aと樹脂Aが架橋反応を起こす。こうした接着層は、二つの異なる温度領域で架橋反応を起こすので、十分な接着力を有し、その結果、基材と樹脂層の間の層間密着性が高い積層体となる。さらに、高温領域と低温領域の二つの温度領域で架橋反応を起こすので、高温雰囲気に曝される時間を調整することにより、積層体の意匠性の低下を抑制することができるという効果がある。
なお、積層体の具体的な構成としては、基材をポリオレフィン系樹脂からなる熱可塑性樹脂としたり、基材と接着層との間に着色層を形成して装飾処理を施したり、樹脂層の表面側に凹凸模様を形成したり、その凹凸模様の凹陥部に部分着色層を形成したり、樹脂層の最表面に保護層を形成したり、基材の裏面にプライマー層を形成したりすることができる。
上記課題を解決する本発明の積層体の製造方法は、基材上に接着層用水系塗工液を塗布して接着層を形成し、当該接着層上に樹脂層用樹脂を溶融押出しして樹脂層を形成し、その後所定の低温領域で養生処理する積層体の製造方法であって、前記接着層用水系塗工液は、少なくとも低温領域で架橋反応を起こす架橋剤aと、少なくとも前記架橋剤aと反応する官能基を有する樹脂Aと、当該低温領域でほとんど架橋反応を起こさず高温領域で架橋反応を起こす架橋剤bと、少なくとも前記架橋剤bと反応する官能基を有する樹脂Bと、を含有するものであり、前記接着層は、前記溶融押出し時の高温領域で架橋反応を起こし、前記養生処理時の低温領域で架橋反応を起こして形成されることに特徴を有する。
この発明によれば、基材上に形成された接着層は、樹脂層を溶融押出しする時の高温雰囲気に曝されることにより、接着層中の架橋剤bと樹脂Bが架橋反応を起こし(また、場合によっては架橋剤aと樹脂Aも架橋反応を起こし)、その後、養生処理時の低温雰囲気に曝されることにより、接着層中の架橋剤aと樹脂Aが架橋反応を起こす。こうした積層体には、二つの異なる温度領域で架橋反応を起こす接着層用水系塗工液により十分な接着力を有する接着層が形成されるので、基材と樹脂層の間の層間密着性が高い積層体が製造される。さらに、高温領域と低温領域の二つの温度領域で架橋反応を起こするので、高温雰囲気に曝される時間が短時間となるように調整することにより、ゆがみの発生や収縮が起き難く、積層体の意匠性の低下を抑制することができるという効果がある。
本発明の積層体の製造方法において、前記養生処理は、オーブンを用いて前記低温領域に保持することが好ましい。このように、オーブンを用いることにより、一定の温度に保持して養生処理を行うことができる。
本発明の接着層用水系塗工液によれば、樹脂と架橋剤との架橋反応が低温および高温において十分に進むので、十分な接着力を有する接着層を形成することができる。また、長時間高温で養生処理する必要がないので、養生温度に起因するゆがみの発生等の問題が起こらない。また、樹脂成分と架橋剤成分のうち、溶媒と反応する成分を少なくすることができるので、接着層用水系塗工液の安定性が低下せず、安定した接着特性を有する接着層を形成することができる。
本発明の積層体およびその製造方法においては、本発明の接着層用水系塗工液を用いて形成した接着層上に、溶融押出し塗工法で樹脂層を形成するので、溶融押出し塗工時に接着層に加わる熱によって、架橋剤bに基づく架橋反応Qが起こり、その後、室温(25℃程度)で養生処理することにより架橋剤aに基づく架橋反応Pが起こる。こうして製造された本発明の積層体は、形成された接着層の作用により、基材と樹脂層の間の層間密着性を向上させることができる。さらに、本発明の積層体には、高い温度で長時間の養生処理が施されないので、ゆがみの発生や収縮の問題が起こらず、意匠性に優れた積層体を製造することができる。
以下、本発明の接着層用水系塗工液、積層体および積層体の製造方法について図面を参照しつつ説明する。
(1)接着層用水系塗工液
本発明の接着層用水系塗工液は、二つの異なる温度領域で架橋反応を起こす塗工液であり、その架橋反応に対応した二種類の架橋剤および当該架橋剤に対応する樹脂を含有する。ここでいう、二つの異なる温度領域で起こる架橋反応とは、少なくとも低温領域で起きる架橋反応P、および、低温領域ではほとんど起こらず高温領域で起きる架橋反応Qである。
なお、本発明の接着層用水系塗工液には、水系の樹脂および水系の架橋剤が含有されている。すなわち、本発明において、水系の樹脂および/または水系の架橋剤とは、本来的に水溶性の樹脂および/または架橋剤、水溶性処理された樹脂および/または架橋剤、本来的に水分散性の樹脂および/または架橋剤、水分散性処理された樹脂および/または架橋剤を示す。
架橋反応P;架橋反応Pは、少なくとも5〜40℃の低温の温度領域で進行するが、その温度領域を含むものであればそれを超える温度領域で進行するものであってもよい。こうした温度領域で架橋反応Pを起こす架橋剤aとその架橋剤aに対応する樹脂Aは、例えば少なくとも5〜40℃の低温の温度領域で進行する架橋剤aと樹脂Aとの組合せであれば、後述する高温領域で架橋反応が進行するものであってもよい。
そうした架橋剤aと樹脂Aとの反応性を有する基の組合せとしては、例えば、イソシアネート基と水酸基、イソシアネート基とアミノ基、アミノ基とシクロカーボネート基、アジリジン基とカルボキシル基、カルボジイミド基とカルボキシル基、アミノ基とエポキシ基、シラノール基と水酸基の組合せ等が挙げられる。このような架橋剤aと樹脂Aとの組合せでは、上述のように5〜40℃の温度範囲で架橋反応Pを起こすことができる。
特に、架橋剤aと樹脂Aとの組合せとしては、イソシアネート基含有化合物である架橋剤aと、水酸基を反応基として有する樹脂Aとの組合せが好ましい。具体的には、この組合せとして、イソシアヌレート結合を含有するイソシアネート架橋剤aと、水酸基を有するポリウレタン樹脂A、水酸基を有するポリエステル樹脂A、および/または、水酸基を有するアクリル樹脂Aとの組合せ等が好ましく挙げられる。
架橋反応Q;架橋反応Qは、5〜40℃の低温領域ではほとんど起こらず、70〜180℃の高温領域で進行する反応である。こうした高温領域で架橋反応Qを起こす架橋剤bとその架橋剤bに対応する樹脂Bは、例えば70〜180℃の高温領域で架橋反応Qが専ら進行する架橋剤bと樹脂Bとの組合せであればよい。
そうした架橋剤bと樹脂Bとの組合せが、エポキシ基とカルボキシル基、オキサゾリン基とカルボキシル基、カルボキシル基と水酸基等が挙げられる。
特に、架橋剤bと樹脂Bとの組合せとしては、エポキシ基を有する化合物である架橋剤bと、カルボキシル基を有する化合物である樹脂Bとの組合せが好ましい。具体的には、この組合せとして、ソルビトール骨格を有するグリシジルエーテル型エポキシ架橋剤および/またはグリセロール骨格を有するグリシジルエーテル型エポキシ架橋剤である架橋剤bと、カルボキシル基を有するウレタン樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂、および/または、カルボキシル基を有するアクリル樹脂である樹脂Bとの組合せ等が好ましく挙げられる。
なお、上述した樹脂(A、B)は、それぞれの架橋剤(a、b)に対応したものであれば、三種類以上の樹脂(A、B)を混合したものであってもよい。
一方、それぞれの架橋剤(a、b)に対応し且つ上述した二つの異なる温度領域で架橋反応を起こすことができるものであれば、樹脂Aと樹脂Bが同一の化合物とすることができる。この場合においては、その化合物が、架橋剤aと反応する官能基および架橋剤bと反応する官能基の両方を有することが必要となる。例えば、少なくとも5〜40℃の低温領域で架橋反応Pを起こす架橋剤aとしてイソシアネート基含有化合物を含有させ、5〜40℃の低温領域ではほとんど起こらず、70〜180℃の高温領域で架橋反応Qを起こす架橋剤bとしてエポキシ基含有化合物を含有させ、これらの二種類の架橋剤(a、b)によりそれぞれの温度で架橋反応する樹脂(A、B)としては、水酸基とカルボキシル基を含有する一種類の樹脂を含有させた接着層用水系塗工液を用いることができる。
溶媒;溶媒は、架橋剤や樹脂を溶解または分散させるために、接着層用水系塗工液中に含まれる。溶媒としては、水、または、水とアルコール類等とからなる混合溶媒が用いられる。溶媒である水は、従来より水系塗工液に使用されているグレードの工業用水が使用される。また、水とアルコール等とからなる混合溶媒を用いる場合に、混合溶媒を構成するアルコール等としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等の低級アルコール、グリコール類およびそのエステル類等を挙げることができる。なお、これら低級アルコール、グリコール類およびそのエステル類等の溶媒は、水系塗工液の流動性改良、被塗工体への濡れの向上、乾燥性の調整等の目的で使用されるものであり、その目的に応じてその種類、使用量等が決定される。
水とアルコール等とからなる混合溶媒においては、それらの配合割合を、水:アルコール等=100:0〜30:70の範囲で調整できる。
配合比;本発明の接着層用水系塗工液における架橋剤A:架橋剤Bの好ましい配合比は、20:80〜80:20、好ましくは、40:60〜80:20である。架橋剤(A、B)の配合比をこうした範囲内とすることにより、上述した二つの異なる温度領域で架橋反応(P、Q)を適切に起こすことができる。
また、樹脂(A+B):架橋剤(a+b)の配合比は、25:75〜90:10、好ましくは、50:50〜80:20である。樹脂と架橋剤の配合比をこうした範囲内とすることにより、上述した二つの異なる温度領域で架橋反応(P、Q)を適切に起こすことができる。
また、樹脂と架橋剤との和:溶媒の配合比は、80:20〜5:95、好ましくは60:40〜10:90である。こうした範囲内とすることにより、上述した二つの異なる温度領域で架橋反応(P、Q)を適切に起こすことができる。
接着層用水系塗工液の調整および接着層の形成;接着層用水系塗工液には、着色剤、ワックス類、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防カビ剤、殺菌剤、粘着付与剤および造膜助剤等の添加剤を任意に添加してもよい。本発明の接着層用水系塗工液は、各種の化合物等の所定量を配合し、ミキサー等で十分に混合することにより調製される。
こうして調製された接着層用水系塗工液を塗工または印刷等した後、乾燥させて接着層が形成される。塗工方法としては、公知の各種方法、例えばロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等の方法を用いることがでる。また、印刷方法としては、グラビア、活版、フレキソ等の凸版印刷、平版オフセット、ダイリソ印刷等の平版印刷、シルクスクリーン等の孔版印刷、静電印刷、インキジェットプリント等の公知の各種方法を用いることができる。このとき、接着層の膜厚が、0.5〜10μm程度になるように塗工される。
塗工・乾燥後の接着層は、70〜180℃の高温領域の範囲内の所定の温度、例えば、140〜160℃の温度に1〜30秒間曝されることにより、架橋剤bと樹脂Bとの間で架橋反応Qを起こし、その後、5〜40℃の低温領域の範囲内の所定の温度、例えば、20〜40℃の温度に3〜7日間曝されることにより、架橋剤aと樹脂Aとの間で架橋反応Pを起こす。この低温領域における架橋反応Pは、例えば、オーブンを用いて一定温度に保持されることにより、進行する。また、高温領域における架橋反応Qは、上述の温度に曝されることにより進行するため、さらに高温の環境下に曝されることになってもよい。
以上説明したように、本発明の接着層用水系塗工液は、架橋反応を二つの異なる温度領域で起こるので、異なる温度が付与される工程を経る場合においては、段階的に架橋反応を起こすことができる。例えば、塗工された接着層が高温雰囲気と低温雰囲気を経ることにより、高温雰囲気では架橋剤bと樹脂Bが架橋反応を起こし(また、場合によっては架橋剤aと樹脂Aも架橋反応を起こし)、低温雰囲気では架橋剤aと樹脂Aが架橋反応を起こし、十分な接着力を有する接着層が形成される。さらに、この接着層用水系塗工液は、安定性に優れた架橋剤bと樹脂Bを配合しているので、接着層用水系塗工液全体の安定性がより向上する。
(2)積層体およびその製造方法
本発明の積層体は、図1〜図3に示すように、基材2、接着層3、樹脂層4をこの順で積層した積層体1、101、111(以下、特に断らない限り「積層体1」と略す。)であって、その接着層3を、少なくとも低温領域で架橋反応を起こす架橋剤aと樹脂A、および、当該低温領域でほとんど架橋反応を起こさず高温領域で架橋反応を起こす架橋剤bと樹脂B、を含有する接着層用水系塗工液で形成したものである。
こうした本発明の積層体1の具体的な構成としては、基材2をポリオレフィン系樹脂からなる熱可塑性樹脂としたり、基材2と接着層3との間に着色層11を形成して装飾処理を施したり、樹脂層4の表面側に凹凸模様7を形成したり、その凹凸模様7の凹陥部に部分着色層8を形成したり、樹脂層4の最表面に保護層9を形成したり、基材2の裏面にプライマー層10を形成したりすることができる。
(基材)
基材2は、積層体1における必須の構成であり、下記に示す各種のオレフィン系樹脂を好ましく適用できる。例えば、(イ)ハードセグメントとしての高密度ポリエチレンまたはポリプロピレンと、ソフトセグメントとしてのエラストマーまたは無機充填剤とを有する混合物、(ロ)特開平9−111055号公報、特開平5−77371号公報、特開平7−316358号公報等に記載されているエチレン−プロピレン−ブテン共重合体、(ハ)特公平6−23278号公報に記載されているハードセグメントとしてのアイソタクチックポリプロピレンとソフトセグメントとしてのアタクチックポリプロピレンとの混合物、等を用いることができる。
前記(イ)のハードセグメントとしての高密度ポリエチレンとしては、好ましくは、比重が0.94〜0.96のポリエチレンであって、低圧法で得られる結晶化度が高く、分子に枝分かれ構造の少ない高分子である高密度ポリエチレンが用いられる。また、ハードセグメントとしてのポリプロピレンとしては、好ましくは、アイソタクチックポリプロピレンが用いられる。
前記(イ)のソフトセグメントとしてのエラストマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等が用いられる。水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるものであり、ポリオレフィン系樹脂の結晶化を抑えて、その柔軟性を向上させたものである。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等が挙げられる。オレフィンエラストマーとしては、2種類または3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種類加えた弾性共重合体であり、オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィンエラストマーとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。なお、これらのエラストマーは、必要に応じて有機過酸化物、硫黄等の架橋剤を用いて、過重架橋させてもよい。
これらエラストマーの添加量としては、10〜60重量%、好ましくは30重量%程度である。エラストマーの添加量が10重量%未満では、一定荷重伸度の変化が急峻になり過ぎ、また、破断時伸度、耐衝撃性、易接着性の低下が生じる。エラストマーの添加量が60重量%より高いと、透明性、耐候性および耐クリープ性の低下が生ずる。
前記(イ)の無機充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の平均粒径0.1〜10μm程度の粉末が用いられる。添加量としては、1〜60重量%、好ましくは5〜30重量%である。無機充填剤の添加量が1重量%未満では、耐クリープ変形性および易接着性の低下が生じる。また、無機充填剤の添加量が60重量%を超えると、破断時伸度および耐衝撃性の低下が生じる。
前記(ロ)のオレフィン系樹脂としては、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑性エラストマーが用いられる。ここで、ブテンとしては、1ブテン、2ブテン、イソブチレンの3種の構造異性体のいずれも用いることができる。共重合体としては、ランダム共重合体であって、非晶質の部分を一部含む。
上記エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂の好ましい具体例としては、次の(a)〜(c)が挙げられる。
(a)特開平9−111055号公報に記載されるエチレン、プロピレンおよびブテンの3元共重合体によるランダム共重合体。このランダム共重合体においては、プロピレン成分の重量比率が90重量%以上であることが好ましく、メルトフローレートが、230°C、2.16kgの条件下で1〜50g/10分であることが好ましい。このようなランダム共重合体は、ランダム共重合体100重量部に対し、燐酸アリールエステル化合物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50重量部、炭素数12〜22の脂肪酸アミドを0.003〜0.3重量部、を溶融混練してなるものである。
(b)特開平5−77371号公報に記載されるエチレン、プロピレンおよびブテンの3元共重合体。この共重合体は、プロピレン成分の重量比率が50重量%以上の非晶質重合体20〜100重量%に、結晶質ポリプロピレンを80〜0重量%添加してなるものである。
(c)特開平7−316358号公報に記載されるエチレン、プロピレン、1ブテンの3元共重合体。この共重合体は、プロピレンおよび/または1ブテンの含有率が50重量%以上の低結晶質重合体20〜100重量%に、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィン80〜0重量%を混合した組成物に対して、Nアシルアミノ酸アミン塩、Nアシルアミノ酸エステル等の油ゲル化剤を0.5重量%添加したものである。
上記(a)〜(c)のエチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂は、単独で用いてもよいし、必要に応じてさらに他のポリオレフィン樹脂を混合して用いてもよい。
前記(ハ)のオレフィン系樹脂としては、特公平6−23278号公報に記載のように、(A)ソフトセグメントとして、数平均分子量Mnが25000以上で、且つ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶なアタクチックポリプロピレン10〜90重量%と、(B)ハードセグメントとして、メルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタクチックポリプロピレン90〜10重量%との混合物からなる軟質ポリプロピレンが挙げられる。
上記(ハ)のオレフィン系熱可塑性エラストマーの中でも、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合物からなり、且つアタクチックポリプロピレンの重量比率が5〜50重量%のものが好ましく用いられ、アタクチックポリプロピレンの重量比率が20〜40重量%のものが特に好ましく用いられる。アタクチックポリプロピレンの重量比率が5重量%未満では、エンボス加工をする際や3次元形状や凹凸形状の物品に成形加工する際に、ネッキングによる不均一なシート状基材の変形が生じたり、その結果としての皺、絵柄の歪み等が生ずる。一方、アタクチックポリプロピレンの重量比率が50重量%を超えると、シート状の基材自体が変形し易くなり、基材を印刷機に通した時に基材が変形し、着色層11の絵柄が歪んだり、多色刷の場合に見当が合わなくなる等の不良が発生しやすくなると共に、成形時においてはシートが破れ易くなる。
基材2を形成する上述のオレフィン系樹脂中には、必要に応じて、着色剤、熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤等が添加される。
着色剤としては、チタン白、亜鉛華、べんがら、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー等の有機顔料または染料、アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられる。また、必要に応じて、無機充填剤を5〜60重量%の割合で添加してもよい。無機充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、シリカ(二酸化ケイ素)、アルミナ(酸化アルミニウム)等の粉末等が挙げられる。着色剤は、基材2に積層体1として必要な色彩を持たせるために添加され、透明着色と不透明(隠蔽)着色のいずれでも構わないが、一般的には被着体を隠蔽するために不透明着色が好ましい。
熱安定剤としては、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フィスファイト系、アミン系等の公知のものが使用でき、熱加工時の熱変色等の劣化の防止の向上が図られる。難燃剤は、難燃性を付与する場合に添加され、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の粉末が用いられる。紫外線吸収剤は、樹脂により良好な耐候性(耐光性)を付与するためのものであり、ベンゾトリアソール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等の有機物、または、0.2μm径以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物が用いられる。その他に、ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基またはメタクリロイル基を導入した反応型紫外線吸収剤も用いられる。なお、これらの紫外線吸収剤の添加量は、通常0.5〜10重量%程度である。ラジカル捕捉剤は、紫外線による劣化を更に防止し、耐候性を向上させるためのものであり、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジニル)セバケート、その他、例えば特公平4−82625号公報に開示されている化合物等のヒンダード系ラジカル捕捉剤、ビペリジニル系ラジカル捕捉剤等が使用される。
基材2は、上述した材料を任意に選択してブレンドしたものをカレンダー加工等の常用の方法により製膜して得ることができる。基材2の厚みは50〜200μm、好ましくは100μm程度である。
積層体1の表面側(樹脂層4側)における基材2の表面には、易接着層の塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施すことが好ましい。易接着層(プライマー層またはアンカー層ともいう。)を構成する樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ポリエチレンが挙げられる。
なお、上述したポリオレフィン系樹脂からなる基材2の他に、ポリエステルやビニロン等の有機樹脂等を用いた織布または不織布、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、三酢酸セルロース、セロハン、ポリカーボネート等の樹脂からなるシートまたはフィルムを基材2として用いることも可能である。また、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、上質紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙等の紙、あるいは、そうした紙にポリ塩化ビニルをゾル塗工またはドライラミネートしたいわゆるビニル壁紙原反を用いることもできる。また、硝子繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無機質繊維からなるシートまたはフィルムを基材2として用いることも可能である。また、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、銅等の金属箔等を用いることもできる。さらに、こうした各基材材料を複数積層させたものを、基材2として用いることも可能である。
(着色層)
着色層11は、積層体1における任意の層であり、ベタ着色層5および/または絵柄着色層6から構成される。
ベタ着色層5は、図2に示すように、基材2の地肌の隠蔽等の目的で設けられ、通常は模様のない全ベタ状の着色層として形成される。一方、絵柄着色層6は、図形、文字、記号、色彩、それらの組合せ等により、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形等からなる模様ないし色彩を有し、ベタ着色層5上に、平面状、凹凸状、凸状(図2を参照。)の層として形成される。なお、絵柄着色層6がベタ着色層5の作用を兼ねる場合もあり、この場合には絵柄着色層6がベタ着色層5となる。こうして形成されたベタ着色層5および/または絵柄着色層6は、基材2表面の全面に設けても部分的に設けても何れでもよい。また、着色層11は、図2に示すように、基材2の表面全面に設けたベタ着色層5と、そのベタ着色層5の表面に部分的に設けた絵柄着色層6とから構成することもできる。
着色層用の塗工液は、その主成分として、接着層3に用いる上述した接着層用水系塗工液の主成分を用いることもできる。
着色層用塗工液としては、例えば、ウレタン樹脂系の水系着色塗工液、ポリエステル樹脂系の水系着色塗工液、アクリル樹脂系の水系着色塗工液、アクリル硝化綿系の水系着色塗工液、ポリビニルアルコール系の水系着色塗工液、カゼイン系の水系着色塗工液、セルロース系の水系着色塗工液およびデンプン系の水系着色塗工液等が挙げられる。
本発明の接着層用水系塗工液で着色層11を形成した場合には、接着特性、意匠性の向上をより一層図ることができるので、好ましい態様となる。なお、本発明の接着層用水系塗工液で着色層11を形成した場合、その作用効果は、後述の接着層用水系塗工液で形成された接着層3が奏する作用効果と同様である。
上述した各種の着色層用塗工液に含有させる着色顔料としては、有機または無機系の顔料を使用することができる。例えば、黄色顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン等の有機顔料、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン黄等の無機顔料を使用することができる。また、赤色顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドン等の有機顔料、弁柄、朱、カドミウムレッド、クロムバーミリオン等の無機顔料を使用することができる。また、青色顔料としては、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等の有機顔料、紺青、群青、コバルトブルー等の無機顔料を使用することができる。また、黒色顔料としては、アニリンブラック等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料を使用することができる。また、白色顔料としては、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の無機顔料を使用することができる。また、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体積顔料、中和剤、界面活性剤等を任意に含有させることができる。
ベタ着色層5や絵柄着色層6に使用される着色層用塗工液は、その塗工液の種類に応じて、ワックス類、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、その他の添加剤を任意に添加し、ミキサー等で十分に混合することにより調製される。
ベタ着色層5や絵柄着色層6は、上述した各種の着色層用塗工液を塗工または印刷等によって設けた後、乾燥して形成される。更に詳しく説明すれば、通常、ベタ着色層5は、ベタ着色層用塗工液を塗工または印刷した後、乾燥硬化させて形成される。また、絵柄着色層6も、絵柄着色層用塗工液を塗工または印刷した後、乾燥硬化させて形成される。塗工方法としては、公知の各種方法、例えばロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等の方法を用いることがでる。また、印刷方法としては、グラビア、活版、フレキソ等の凸版印刷、平版オフセット、ダイリソ印刷等の平版印刷、シルクスクリーン等の孔版印刷、静電印刷、インキジェットプリント等の公知の各種方法を用いることができる。ベタ着色層5は、乾燥後の膜厚が、0.5〜5μm程度になるように塗工または印刷され、絵柄着色層6は、乾燥後の膜厚が、0〜5μm程度になるように塗工または印刷される。
(接着層)
接着層3は、上述した本発明の接着層用水系塗工液で形成される層であり、本発明の積層体1には必須の構成である。この接着層3は、図1〜図3に示すように、基材2と樹脂層4との間に設けられて、基材2と樹脂層4との密着性を向上させるプライマー層ないしアンカー層としての役割を有するものであり、耐久性や長期にわたる外観維持性を向上させる作用がある。また、基材上に、ベタ着色層5および/または絵柄着色層6からなる着色層11が形成された場合には、その着色層11上に接着層3を形成することにより、基材2/着色層11と樹脂層4との密着性を向上させることができ、その絵柄を長期間保持することができる。
接着層3は、上述した接着層用水系塗工液のところで詳しく説明した通りであり、少なくとも低温領域で架橋反応を起こす架橋剤aと、少なくとも前記架橋剤aと反応する官能基を有する樹脂Aと、当該低温領域でほとんど架橋反応を起こさず高温領域で架橋反応を起こす架橋剤bと、少なくとも前記架橋剤bと反応する官能基を有する樹脂Bと、を含有する接着層用水系塗工液で形成される。
接着層3は、上述した本発明の接着層用水系塗工液を塗工または印刷等した後、乾燥させて接着層が形成される。塗工方法としては、公知の各種方法、例えばロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等の方法を用いることがでる。また、印刷方法としては、グラビア、活版、フレキソ等の凸版印刷、平版オフセット、ダイリソ印刷等の平版印刷、シルクスクリーン等の孔版印刷、静電印刷、インキジェットプリント等の公知の各種方法を用いることができる。このとき、接着層の膜厚が、0.5〜10μm程度になるように塗工される。
一例を挙げれば、塗工・乾燥後の接着層は、70〜180℃の高温領域の範囲内の所定の温度、例えば、140〜160℃の温度に1〜30秒間曝されることにより、架橋剤bと樹脂Bとの間で架橋反応Qを起こし、その後、5〜40℃の低温領域の範囲内の所定の温度、例えば、20〜40℃の温度に3〜7日間曝されることにより、架橋剤aと樹脂Aとの間で架橋反応Pを起こす。
なお、この低温領域における架橋反応Pは、例えば、オーブンを用いて一定温度に保持されることにより進行する。また、高温領域における架橋反応Qは、上述の温度に曝されることにより進行するため、後述する溶融状態の樹脂材料を接着層3上に押出し塗工する際に、さらに高温の環境下に曝されることになってもよい。
接着層3は、高温雰囲気では架橋剤bと樹脂Bが架橋反応を起こし(また、場合によっては架橋剤aと樹脂Aも架橋反応を起こし)、低温雰囲気では架橋剤aと樹脂Aが架橋反応を起こすので、十分な接着力を有する接着層が形成される。これは、後述する樹脂層4を溶融押出し塗工により形成する際の熱により架橋剤Bが架橋反応を進行させ、さらに、養生温度を室温(25℃程度)にして行うことにより架橋剤Aが架橋反応を進行させることによる。しかも、架橋反応のほとんどは低温領域で行われるので、絵柄着色層6を設けた場合に、その絵柄にゆがみが生ぜず、基材の収縮も起こらず、その結果、積層体の意匠性が起こらないという利点がある。なお、この低温領域における養生処理は、オーブンを用いて行ってもよい。
(樹脂層)
樹脂層4は、トップ樹脂層ともいわれ、基材2や着色層11を擦り傷等から保護したり、積層体1の表面強度を向上させたり、塗装感を付与すること等を目的として、接着層3を介して基材2または着色層11上に積層される。樹脂層4も、本発明の積層体1に必須の構成である。
樹脂層4は、接着層3上に溶融押出し塗工法で成膜される。溶融押出し塗工法で形成される樹脂としては、熱可塑性樹脂が用いられ、特に、接着層3を介して基材2や着色層11上に密着よく形成される熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、等が挙げられる。このうち、ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、エチレン・ブテン共重合体、低密度ポリエチレン、環状ポリオレフィン系樹脂等の一種または二種以上の混合樹脂が用いられる。なお、樹脂層4を形成する樹脂材料には、必要に応じて、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、艶消し剤等の公知の添加剤が添加される。
溶融押出し塗工法は、上述の樹脂材料を加熱して溶融状態とし、その溶融状態の樹脂を押出し機のTダイから被塗工基材(本発明においては、接着層。)上に押出し塗工し、その後、塗工層と被塗工基材をローラ間で加圧冷却することにより、被塗工基材上に樹脂層を形成する方法である。この溶融押出し塗工法における押出し方法や冷却方法については、他の公知の方法を用いることができ、ダイや冷却機についても、他の公知のものを用いることができる。このとき、樹脂層4の層厚は、3〜200μm程度になるように塗工される。
本発明においては、溶融状態の樹脂材料を接着層3上に押出し塗工する直前には、ある程度空冷され、70〜180℃の間の所定の温度(例えば140〜160℃)になった樹脂材料と接着層3とをローラ間で加圧冷却し、接着層3と樹脂層4とを積層させる。
こうした温度で樹脂層4を溶融押出し塗工することにより、被塗工基材である接着層3の架橋反応Qを起こすことができる。上述したように、塗工・乾燥後の接着層は、70〜180℃の高温領域の範囲内の所定の温度に1〜30秒間曝されることにより、架橋剤bと樹脂Bとの間で架橋反応Qを起こすので、この溶融押出し塗工において、140〜160℃の温度に数秒間曝されることにより、その架橋反応Qを起こすことができる。
なお、樹脂層を、図3に示すように、溶融共押出し塗工法により、2層以上の複層構造にしてもよい。このとき、プライマー層またはアンカー層として作用する接着層を介して2以上の層からなる樹脂層14を溶融押出し塗工してもよい。
2層以上積層させてなる樹脂層14は、基材2側の樹脂層4’と保護層9側の樹脂層4”とに異なる作用効果を持たせることができる点で有利である。一の具体例として、保護層9側の樹脂層4”については、フッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂を主成分とした樹脂で形成して優れた耐汚染性等の表面機能を付与し、基材2側の樹脂層4’については、熱可塑性アクリル樹脂等で形成し、接着層3との間の密着性等を向上させることができる。
(凹凸模様)
凹凸模様7は、エンボス模様ともいわれ、図2に示すように、必要に応じて上述の樹脂層4の表面に形成される。また、図3に示すように2層以上の樹脂層14を形成した場合には、凹凸模様7を最表面の樹脂層4”に形成したり、最表面以外の樹脂層4’に形成したりすることができる。
凹凸模様7は、特に限定されず、積層体1の用途に応じた模様であればよい。例えば、木目導管溝、木目年輪凹凸、浮造年輪凹凸、木肌凹凸、砂目、梨地、ヘアライン、万線状溝、花崗岩の劈開面等の石材表面凹凸、布目の表面テクスチュア、皮絞、文字、幾何学模様等の模様が挙げられる。
凹凸模様7を形成する手段としては、例えば、加熱加圧によるエンボス加工法やTダイ溶融押出し法が挙げられる。加熱加圧によるエンボス加工法は、樹脂層4の表面を加熱軟化させ、その表面をエンボス版で加圧してエンボス版の凹凸模様7を賦形し、冷却して固定化する方法であり、公知の枚葉式または輪転式のエンボス機が用いられる。また、Tダイ溶融押出し法で樹脂層4を積層する場合には、賦形ローラを兼用させた冷却ローラを使用し、樹脂層4の成膜・積層と同時に凹凸模様7を形成する。また、ヘアライン加工、サンドブラスト加工等によってもエンボス模様を形成することができる。
なお、エンボス加工時の熱が架橋反応を起こすことができる場合には、エンボス加工時の熱により架橋反応Qを進行させることもできる。
(部分着色層)
部分着色層8は、凹凸模様7の凹陥部17にワイピング法により形成される。ワイピング法は、ドクターブレードコート法またはナイフコート法で凹陥部17を含む表面全面に部分着色層用の塗工液を塗布した後、凹陥部17以外の表面から部分着色層用の塗工液を除去することにより、凹陥部17のみに部分着色層8を形成する方法である。部分着色層用の塗工液としては、有機顔料、無機顔料、光輝性顔料等の着色顔料と、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂等のバインダー樹脂とからなる塗工液や、エマルジョン型の水系塗工液等を使用できる。
(保護層)
保護層9は、トップコート層またはオーバープリント層(OP層)ともいわれ、凹凸模様7を形成する凹陥部17やその凹陥部17に形成された部分着色層8の表面を被って、積層体1を保護することを目的として設けられるものである。
保護層9は、耐擦傷性や耐汚染性等の物性向上を目的として用いられるため、熱硬化樹脂および/または電離放射線硬化型樹脂を用いることが好ましい。また、溶剤系塗工液で形成してもよいが、VOCの発生を抑制する環境安全性を考慮すると、水系塗工液や無溶剤型塗工液で形成するのが望ましい。無溶剤系の塗工液を用いた場合には、電離放射線硬化型の塗工液が好ましい。水系塗工液としては、水性樹脂を用い、さらに、着色剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、その他の添加剤を任意に添加し、水溶媒または水とアルコール等とからなる混合溶媒を使用し、ミキサー等で十分に混合して調製した水系塗工液が好ましく使用される。
電離放射線硬化型樹脂としては、分子中に、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、またはエポキシ基等のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマーまたはポリマー(以下、これらを総称して化合物と呼称する)からなる。これら単量体、プレポリマー、およびポリマーは、単体で用いるか、或いは複数種混合して用いる。こうした電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、増感剤として光重合開始剤を添加する。光重合開始剤の添加量は一般に、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。
また、反応型の水性樹脂組成物で保護層9を形成することもでき、耐擦傷性や、樹脂層4との密着性を向上させることができる。特に、エマルション型の樹脂を用いた場合には、樹脂組成物中に硬化剤等の反応開始剤が保護され、塗膜化の後に反応を開始させることが可能となる。そのため、塗工し易い樹脂組成物で塗工し、その後反応させて保護層9を形成することもできる。このような反応型の樹脂組成物としては、例えば、感熱反応型の樹脂として、活性水素基を有する樹脂からなる樹脂とイソシアネート基と溶媒の水やアルコール系化合物との反応を抑制するように、親水性処理されたイソシアネート系硬化剤、もしくはブロック剤で処理したイソシアネート系硬化剤をエマルジョン化した樹脂組成物、またはアミノ基やカルボン酸基を有する樹脂からなる樹脂とエポキシ基を有する水溶性または水分散性硬化剤からなる樹脂組成物等を挙げることができる。
保護層9は、耐擦傷性等の表面物性の向上させるため設けられるほか、シリカ等の公知の艶消し剤を塗工液に添加することにより艶調整したものとしたり、塗装感等の意匠性を付与させたものとすることができる。また、保護層9に、より良好な耐候性または耐光性を付与するために、必要に応じて紫外線吸収剤、光安定剤を添加した塗工液を用いて、その層を形成することができる。
保護層9は、上述した各種の塗工液を、グラビアコート法、リバースロールコート法、ナイフコート法、キスコート法、その他塗工法等の公知の塗工法で塗工形成して形成される。また、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷等の公知の印刷法で形成される。形成された保護層9の厚みは0.5〜40μm程度が好ましく、3〜10μmがより好ましい。
(プライマー層)
プライマー層10は、本発明の積層体1を各種の被着体に接着させ易くすることを目的として、基材2の裏面側に形成される。プライマー層10の形成には、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が使用されるが、上述した着色層11や接着層3を形成するのに用いられる水系塗工液を用いることが環境安全性の観点から好ましい。
(積層体)
上述の構成を有する本発明の積層体1は、化粧シート、軟包装材、ボイル用包装材等に用いることができる。
積層体1を化粧シートとして用いる場合には、他の被着体(裏打材)に積層して用いられる。被着体としては、立体形状物品や、平板状、曲面状等の板材、シート(或いはフィルム)等の各種形状の物品が対象となる。こうした被着体としては、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材板、木質繊維板等の木質板、鉄、アルミニウム等の金属、(メタ)アクリル、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ABS樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂、硝子、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、チタン酸カリウム、硝子、合成樹脂等の繊維からなる不織布または織布、等々が挙げられる。
積層体1と被着体との関係において、積層体1の基材2またはプライマー層10の種類により、被着体にそのまま熱融着等で接着できる場合には、積層体1と被着体とを接着剤を用いずに積層させることができるが、積層体1の基材2またはプライマー層10の種類により、被着体にそのまま熱融着等で接着できない場合には、適当な接着剤を用いて積層させる。なお、接着剤としては、酢ビ系、尿素系等の接着剤が挙げられる。
また、一般的な積層方法としては、例えば、(a)接着剤を介して被着体に加圧ローラで加圧して積層する方法、(b)特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載のように、積層剤を射出成形の雌雄両金型間に挿入して、両金型を閉じ、雄型のゲートから溶融樹脂を射出充填した後、冷却して樹脂成型品の成形と同時にその表面に化粧シート1を接着積層する射出成形同時ラミネート方法、(c)特公昭56−45768号公報、特公昭60−58014号公報等に記載のように、接着剤を介して成形品の表面に積層体1を対向させ、成形品側からの真空吸引による圧力差により積層体1を成形品表面に積層する真空プレス積層方法、(d)特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に記載のように、円柱、多角柱等の柱状被着体の長軸方向に、接着剤を介して積層体1を供給しつつ、複数の向きの異なるローラにより、柱状被着体を構成する複数の側面に順次積層体1を加圧接着して積層してゆくラッピング加工方法等が挙げられる。
本発明の積層体1である化粧シートを積層した各種の被着体は、所定の成形加工等を施して、各種装飾用素材等として用いられる。例えば、壁、天井、床等建築物の内装、窓枠、扉、手摺等の建具の表面化粧、家具または弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車輌内装、航空機内装、窓硝子の化粧用等の用途が挙げられる。
以下に、実施例と比較例を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。ここで、この実施例においては、本発明の接着層用水系塗工液の用途として化粧シートについて説明するが、これは、本発明の接着層用水系塗工液の用途を限定するものではない。なお、以下において、部とは質量部のことである。
(実施例1)
基材2として三菱化学MKV株式会社製のポリプロピレン系エラストマー着色シートPB013(厚さ60μm)を用い、その上にコロナ放電処理を施した後、線数54線/インチ、版深40μmのグラビア版を用いて下記配合のベタ着色層用水系塗工液A、絵柄着色層用水系塗工液Bを順次グラビア印刷法で塗布・乾燥し、約2μmのベタ着色層5および約1μmの絵柄着色層6を順次形成した。
さらにその上に、線数54線/インチ、版深40μmのグラビア版を用いて下記配合の接着層用水系塗工液aをグラビア印刷法で、約3g/mとなるように塗布・乾燥し、乾燥後厚さ10μmの接着層3を形成した。
さらにその接着層3上に、エチレン・ブテン共重合体(日本合成ゴム株式会社製、EBM2021P)による易接着樹脂と、下記配合のポリオレフィン樹脂とをオゾン照射下にて共押出し塗工することにより接着層4を形成した。具体的には、易接着樹脂:ポリオレフィン樹脂の膜厚比を2:8、温度180℃にて共押出し機のTダイより溶融状態でシート上に共押出しし、冷却機構付の加圧ローラ間に導入し、加圧(線圧5〜10kgf/cm)することにより、約80μmの樹脂層4を形成した。このとき、接着層は、約140〜160℃の温度に約3秒間曝されることになった。
次に、その積層シートの表面に、約150℃・3秒間のエンボス加工処理によりで凹凸模様7を形成し、さらにその上に、線数54線/インチ、版深40μmのグラビア版を用いて、下記配合の保護層用水系塗工液Cをグラビア印刷法にて塗布・乾燥し、約4μmの保護層9を形成した。その後、温度25℃で7日間養生することにより、実施例1の化粧シートを得た。
ベタ着色層用水系塗工液A
水性ウレタン系白色インキ(ザ・インクテック製、オーデWKE):100部、水分散性イソシアヌレート結合含有イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、AQ100):10部、水:20部、イソプロピルアルコール:20部
絵柄着色層用水系塗工液B
水性ウレタン系黄色インキ(ザ・インクテック製、オーデWKE):100部、水:20部、イソプロピルアルコール:20部
接着層用水系塗工液a
カルボキシル基および水酸基含有水性ウレタン樹脂(第一工業製薬株式会社製、F8583D):100部、水溶性エポキシ架橋剤(ナガセ化成株式会社製、デナコール614B):5部、水分散性イソシアヌレート結合含有イソシアネート架橋剤(日華化学株式会社製、X9003):5部、水:20部、イソプロピルアルコール:20部
樹脂層用ポリオレフィン樹脂
ランダム重合ポリプロピレン:84部、低密度ポリエチレン15部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:0.5部、ヒンダードアミン系光安定剤:0.3部、フェノール系酸化防止剤:0.2部
保護層用水系塗工液C
水性ウレタン樹脂含有インキ(株式会社昭和インク工業所製、135):100部、水分散性イソシアヌレート結合含有イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業株式会社製、AQ100):10部、水:20部、イソプロピルアルコール:20部
(実施例2)
実施例1の接着層用水系塗工液aに代えて以下の接着層用塗工液bを用いた。それ以外は実施例1と同様にして実施例2の化粧シートを得た。
接着層用水性塗工液b
アミノ基含有アクリル樹脂(株式会社日本触媒製ポリメントSK−1000):40部、カルボキシル基および水酸基含有水性ウレタン樹脂(第一工業製薬株式会社製、F8583D):60部、水溶性エポキシ樹脂(ナガセ化成株式会社製、デナコール313):10部、水:10部、イソプロピルアルコール:10部
(実施例3)
実施例1の養生条件を、オーブンを用いて温度40℃で3日間養生することに変更した。それ以外は実施例1と同様にして実施例3の化粧シートを得た。
(比較例1)
実施例1の接着層用水系塗工液aに代えて、下記配合の接着層用水系塗工液cを用いた。その他は実施例1と同様にして比較例1の化粧シートを得た。
接着層用水系塗工液c
カルボキシル基および水酸基含有水性ポリウレタン樹脂(第一工業製薬株式会社製、F8583D):100部、水溶性エポキシ架橋剤(ナガセ化成株式会社製、デナコール614B):10部、水:20部、イソプロピルアルコール:20部
(比較例2)
養生温度を25℃から80℃に代えた他は、比較例1と同様にして比較例2の化粧シートを得た。
(比較例3)
実施例1の接着層用水系塗工液aに代えて、下記配合の接着層用水系塗工液dを用いた。その他は実施例1と同様にして比較例3の化粧シートを得た。
接着層用の無溶剤系塗工液d
カルボキシル基および水酸基含有水性ウレタン樹脂(第一工業製薬株式会社製、F8583D):100部、水分散性イソシアヌレート結合含有イソシアネート架橋剤(日華化学株式会社製、X9003):10部、水:20部、イソプロピルアルコール:20部
(各特性の評価方法)
実施例1、2および比較例1〜3で得られた各積層体の層間密着性の評価、耐候性試験後の層間密着性の評価、意匠性の評価を、下記の方法により行った。また、実施例1、2および比較例1〜3で用いた接着層用水系塗工液の安定性の試験を下記の方法により行った。得られた結果を表1に示した。
(層間密着性の評価方法)
幅1インチにカットした積層体1を試験片とし、この試験片の基材2と樹脂層4とをINSTRON5500引張試験機を用い、25℃の雰囲気中において引張速度100mm/分、基材2と樹脂層4との間の開き角180°の条件にて引張り、剥離強度で評価した。剥離強度が10N以上のものを合格として○で表し、10N未満のものを不合格として×で表した。
(耐煮沸水性の評価方法)
耐煮沸水性は、耐煮沸水試験後に上述した層間密着性を評価し、剥離強度が10N以上のものを合格として○で表し、10N未満のものを不合格として×で表した。なお、耐煮沸水試験は、積層体1の試験片を、煮沸した水中に30分間浸漬した後、常温中で24時間乾かしたものの剥離強度を測定した。
(意匠性の評価方法)
意匠性は、養生の前後において、積層体1に形成された木目柄の変化を目視で判断し、変化の小さいものを合格として○で表し、変化の著しいものを不合格として×で表した。
(接着層用水系塗工液の安定性の評価方法)
接着層用の水系塗工液を、調製後に6時間経過してから用いて、作製した化粧シートの層間密着性、耐候性試験が合格値と判断したものを○で表し、合格値を達成していないものを×で表した。
Figure 2005281421
本発明の化粧シートの層構成の一例を示す断面図である。 本発明の化粧シートの層構成の他の一例を示す断面図である。 本発明の化粧シートの層構成の更に他の一例を示す断面図である。
符号の説明
1、101、111 積層体
2 基材
3 接着層
4、4’、4” 樹脂層
5 ベタ着色層
6 絵柄着色層
7 凹凸模様
8 部分着色層
9 保護層
10 プライマー層
11 着色層
14 多層からなる樹脂層
17 凹陥部

Claims (10)

  1. 二つの異なる温度領域で架橋反応を起こす接着層用水系塗工液であって、その架橋反応に対応した二種類の架橋剤および当該架橋剤に対応する樹脂を含有することを特徴とする接着層用水系塗工液。
  2. 少なくとも低温領域で架橋反応を起こす架橋剤aと、少なくとも前記架橋剤aと反応する官能基を有する樹脂Aと、当該低温領域でほとんど架橋反応を起こさず高温領域で架橋反応を起こす架橋剤bと、少なくとも前記架橋剤bと反応する官能基を有する樹脂Bと、を含有することを特徴とする請求項1に記載の接着層用水系塗工液。
  3. 前記樹脂Aと前記樹脂Bが同一の化合物であり、当該化合物が、架橋剤aと反応する官能基および架橋剤bと反応する官能基を有することを特徴とする請求項2に記載の接着層用水系塗工液。
  4. 前記架橋剤aが、イソシアネート基含有化合物であり、前記樹脂Aが、水酸基を有する樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の接着層用水系塗工液。
  5. 前記架橋剤bが、エポキシ基含有化合物であり、前記樹脂Bが、カルボキシル基を有する樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の接着層用水系塗工液。
  6. 前記低温領域は、5℃〜40℃の範囲であることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の接着層用水系塗工液。
  7. 前記高温領域は、70℃〜180℃の範囲であることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載の接着層用水系塗工液。
  8. 基材、接着層、樹脂層をこの順で積層した積層体であって、
    前記接着層が、少なくとも低温領域で架橋反応を起こす架橋剤aと、少なくとも前記架橋剤aと反応する官能基を有する樹脂Aと、当該低温領域でほとんど架橋反応を起こさず高温領域で架橋反応を起こす架橋剤bと、少なくとも前記架橋剤bと反応する官能基を有する樹脂Bと、を含有する接着層用水系塗工液で形成されたことを特徴とする積層体。
  9. 基材上に接着層用水系塗工液を塗布して接着層を形成し、当該接着層上に樹脂層用樹脂を溶融押出しして樹脂層を形成し、その後所定の低温領域で養生処理する積層体の製造方法であって、
    前記接着層用水系塗工液は、少なくとも低温領域で架橋反応を起こす架橋剤aと、少なくとも前記架橋剤aと反応する官能基を有する樹脂Aと、当該低温領域でほとんど架橋反応を起こさず高温領域で架橋反応を起こす架橋剤bと、少なくとも前記架橋剤bと反応する官能基を有する樹脂Bと、を含有するものであり、
    前記接着層は、前記溶融押出し時の高温領域で架橋反応を起こし、前記養生処理時の低温領域で架橋反応を起こして形成されることを特徴とする積層体の製造方法。
  10. 前記養生処理は、オーブンを用いて前記低温領域に保持することを特徴とする請求項9に記載の積層体の製造方法。
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