JP4979123B2 - 環境安全性および層間密着性の良好な建材用シート - Google Patents

環境安全性および層間密着性の良好な建材用シート Download PDF

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Description

本発明は、建築物の内装、建具の表面化粧、車両の内装等に用いられる建材用シートに関し、更に詳しくは、水系接着剤を用いて形成したインキ層及び/又は接着剤層を有し、環境安全性および層間密着性を向上させた建材用シートに関する。
建築物の内装、建具の表面化粧、車両の内装等に用いられる建材用シートとして、基材シート、ベタインキ層及び/又は絵柄インキ層等からなるインキ層、接着剤層および透明樹脂層を順次積層させた建材用シートが一般に知られている。
こうした建材用シートにおいては、特開平11−198309号公報(特許文献1)に記載のように、インキ層および接着剤層を、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤およびメチルエチルケトンや酢酸エチル等の脂肪族溶剤を含む溶剤系塗工剤により形成することが一般に行われている。
ところで、上述したトルエン、キシレン等の芳香族溶剤およびメチルエチルケトンや酢酸エチル等の脂肪族溶剤は揮発性有機化合物(以下、VOCという。)であり、特にトルエン、キシレン等の芳香族溶剤は危険物質としてPRTR法の指定化学物質や室内空気中化学物質の指針値策定物質として挙げられており、「芳香族溶剤は使用しない、その他の溶剤も使用を減少しよう。」という動きがある。建材用シートの製造においても、溶剤系塗工剤に含まれるVOCの揮発による建材用シート製造時の作業環境の問題や、建材用シートに残存したVOCが一般の生活空間に供給される環境安全性の問題があり、VOCの使用を減少させて前記の問題を解決しようとする手段が種々提案されている。
例えば、特開2001−62970号公報(特許文献2)には、インキ層や接着剤層を、VOCの含有を極力減少した水系接着剤で形成することにより、上記の環境問題を解決することが記載されている。しかしながら、水系接着剤を用いて接着剤層を形成した建材用シートは、VOCの揮発量や残存量を少なくすることができるので、上述した環境問題を解決するのに有効であるものの、建材用シートを構成する基材シートと透明樹脂層との層間密着性に劣るものが多く、密着性において問題があった。
特開2003−103745号公報(特許文献3)には、ポリウレタン樹脂を含む水系接着剤を用いて接着剤層とした建材用シートが環境安全性および層間密着性に優れていることが示されている。しかしながら、ポリウレタン樹脂を含む水系接着剤を用いて接着剤層を形成した建材用シートは、耐候性において満足のいくものではなかった。
特開平11−198309号公報 特開2001−62970号公報 特開2003−103745号公報
本発明は上記実情を鑑みてなし遂げられたものであり、その目的とするところは、前記した従来技術の不都合を解消することであり、具体的には、まず本発明は、ポリウレタン樹脂を含む水系接着剤を接着剤層に用いることにより、耐候性に優れ、且つ、環境安全性および層間密着性に優れた建材用シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、接着剤層を形成するため水系接着剤として特定の水性樹脂を含有する水系接着剤を用いる場合には、上記目的を達成できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の建材用シート及び該シートを形成するために用いられるヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂に関する。
1.基材シートと、インキ層と、接着剤層と、透明樹脂層とを少なくとも有し、当該各層を順次積層してなる建材用シートであって、該接着剤層が、
20℃において液状であるポリカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートを含む原料混合物を反応させることにより得られる、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂と、
架橋剤と、
を含む水系接着剤を用いて形成されることを特徴とする建材用シート。
2.基材シートと、インキ層と、接着剤層と、透明樹脂層とを少なくとも有し、当該各層を順次積層してなる建材用シートであって、該接着剤層が、
20℃において液状であるポリカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートとを含む原料混合物を反応させた後、ヒドロキシル基を含有する第一級アミン及び/又は第二級アミンを反応させることにより得られる、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ウレタン樹脂と、
架橋剤と、
を含む水系接着剤を用いて形成されることを特徴とする建材用シート
3.前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が、無機塩及びアルカノールアミンからなる群より選択される少なくとも1種を用いて酸性基を中和することによって得られる陰イオン性基を有することを特徴とする、前記1又は2に記載の建材用シート。
4.前記ポリイソシアネートが、無黄変性ポリイソシアネートである前記1又は2に記載の建材用シート。
5.前記架橋剤が、水性ポリイソシアネート化合物である前記1又は2に記載の建材用シート。
6.前記架橋剤が、イソシアヌレート骨格を有する水性ポリイソシアネート化合物である前記1又は2に記載の建材用シート。
7.前記水系接着剤中に、水性樹脂として前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂と該ポリウレタン樹脂以外の水性合成樹脂が含まれ、全水性樹脂中に占める該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の割合は25質量%以上である前記1又は2に記載の建材用シート。
8.前記透明樹脂層の上にさらに表面保護層が形成されてなる、前記1乃至7の何れか1項に記載の建材用シート。
9.前記、透明樹脂層または表面保護層の表面に凹凸模様が形成されてなる、前記1及至8の何れか1項に記載の建材フィルム。
10.前記基材シートの裏面に裏面プライマ層が形成されていることを特徴とする前記1乃至9の何れか1項に記載の建材用シート。
11.前記インキ層が水系塗工剤を用いて形成されていることを特徴とする前記1乃至10の何れか1項に記載の建材用シート。
12.前記表面保護層が水系塗工剤を用いて形成されていることを特徴とする前記8乃至11の何れか1項に記載の建材用シート。
13.前記表面保護層が活性エネルギー線硬化性樹脂を用いて形成されていることを特徴とする前記8乃至12の何れか1項に記載の建材用シート。
14.前記活性エネルギー線硬化性樹脂が電子線照射又は紫外線照射により硬化することを特徴とする前記13に記載の建材用シート。
15.前記透明樹脂層と表面保護層との間に表面プライマ層が形成され、当該表面プライマ層が水系塗工剤を用いて形成されていることを特徴とする前記8乃至14の何れか1項に記載の建材用シート。
16.前記裏面プライマ層が水系塗工剤を用いて形成されていることを特徴とする前記10乃至16の何れか1項に記載の建材用シート。
17.前記基材シートがポリオレフィン系樹脂を用いて形成されていることを特徴とする前記1乃至16の何れか1項に記載の建材用シート。
18. 前記透明樹脂層がポリオレフィン系樹脂を用いて形成されていることを特徴とする前記1乃至17の何れか1項に記載の建材用シート。
19.建材用フィルムの接着剤層を形成するために用いられる水系接着剤用の水性樹脂であり、20℃において液状であるポリカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートとを含む原料混合物を反応させることにより得られる、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂。
なお、本明細書において、「水性」とは水(又は、アルコール等の水混和性溶媒と水との混合溶媒)に溶解又は分散できる樹脂の性質をいい、樹脂に対して用い(例、「水性樹脂」)、「水系」とは該水性樹脂を前記の溶媒に溶解又は分散してなる剤に対して用いる(例、「水系塗工剤」、「水系接着剤」)。
本発明の建材用シートは、前記層構成において、接着剤層に特定のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂と架橋剤とを含む水系接着剤を使用するため、層間剥離が防止でき、光、熱、湿度、水に暴露されるような環境下においても耐久性、すなわち、耐候性に優れ、且つ、環境安全性および層間密着性に優れた建材用シートとなる。
図1は、本発明の建材用シートの最も単純な層構成の1例を示す断面図である。図1において、1は本発明の建材用シートの1例を示し、該建材用シート1は、基材シート2と、インキ層3と、接着剤層4と、透明樹脂層5がこの順序で積層されている。インキ層3は、ベタインキ層上に絵柄インキ層が積層されているのが一般的である。図1の建材用シートにおける基材シート1の裏面に、木質基材などの建材の表面への貼り付けを容易にするために、さらに裏面プライマ(図示していない)を設けてもよく、また、透明樹脂層5の表面にさらに表面保護層(図示していない)を設けてもよい。
図2は、本発明の建材用シートの一般的な層構成の1例を示す断面図である。図2において、11は本発明の建材用シートの別の1例を示す。建材用シート11は、図1に示す建材用シート1の透明樹脂層5の表面にエンボス加工等により凹凸模様8を付与し、さらに表面保護層7を設けたものである。
図3は、本発明の建材用シートの一般的な層構成の別の1例を示す断面図である。図3において、建材用シート21は、図2に示す建材用シート11の透明樹脂層5と表面保護層7の間に、層間密着性を付与するために表面プライマ層9を設けたものである。
接着剤層
本発明の建材用シートにおいて、接着剤層はインキ層と透明樹脂層とを接着させるための層であり、本発明においては特に耐候性にも優れた層である。接着剤層は、20℃において液状であるポリカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートとを含む原料混合物を反応させて得られる、ヒドロキシル基を有するポリイソシアネート系ポリウレタン樹脂と、架橋剤とを含有する水系接着剤を用いて形成されている。
(1)末端にヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は、その構造内にカーボネート基(−O−COO−)及びウレタン基(−NH−CO−O−)を有する。本発明においては、接着剤層に20℃において液状であるポリカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートとを含む原料混合物を反応させて得られる、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を用いることにより、光、湿度、水、熱に暴露されたあとであっても層間剥離強度が維持される(又は層間剥離強度の低下が少ない)建材用フィルムとなる。すなわち、耐候性において優れる建材用フィルムが得られる。このように耐候性に優れる理由は、ウレタン基により接着剤層に柔軟性と追従性が付与され、かつ、接着剤層中の内部凝集力が高くなるためと推察される。また、樹脂骨格に導入されたカーボネート基により耐候性、耐加水分解性(耐湿度性)に優れたものとなる。
前記ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は、20℃において液状であるポリカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートとを含む原料混合物を反応させることにより得られる。
上記「多官能性化合物」とは、イソシアネート基と反応し得る活性水素を2個以上有する化合物であり、20℃において液状であるポリカーボネートポリオールを必須成分として含む。多官能性化合物は、さらに「酸性基を導入し得る多官能性化合物」、「鎖伸長剤」などを含んでも良い。
20℃において液状であるポリカーボネートポリオールの多官能性化合物全量に占める割合は、特に制限はないが、30〜95質量%程度であることが好ましい。含有量が30質量%未満であると、ポリウレタン樹脂中に導入されるカーボネート基による耐候性、耐加水分解性(耐湿度性)が低下する傾向にある。なお、20℃において「液状」であるとは、20℃におけるB型粘度計(東京計器株式会社製)での測定値が300〜400000mPa・sの範囲をいう。
20℃において液状であるポリカーボネートポリオールは、例えば、ポリオールのホスゲン化、ジフェニルカーボネートによるエステル交換法、ジアルキルカーボネートとジオール類との縮合重合法によって合成できる。
20℃において液状であるポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリ〔(1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール)カーボネート〕(1、5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=75/25〜25/75(モル比))、ポリ〔(3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール)カーボネート〕(3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=90/10〜50/50(モル比))、ポリ〔(1,9−ノナンジオール/2−メチル−1,8−オクタンジオール)カーボネート〕(1,9−ノナンジオール/2−メチル−1,8−オクタンジオール)カーボネート=90/10〜10/90(モル比))、ポリ〔(1,4−シクロヘキサンジメタノール/1,6−ヘキサンジオール)カーボネート〕(1,4−シクロヘキサンジメタノール/1,5−ペンタンジオール=40/60〜60/40(モル比))、等が挙げられる。上記では、ジオールを例示しているが、ポリオールには、トリオール又はそれ以上のOH基数を有するものも含まれる。これらのポリカーボネートポリオールは、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
なお、20℃において液状であるポリカーボネートポリオールの数平均分子量は500〜10,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜3,000である。数平均分子量が500未満の場合には接着剤層の層間剥離強度が低下しやすい傾向にあり、また、数平均分子量が10,000を超えると耐候性が低下する可能性がある。
また、多官能性化合物としては、前記20℃において液状であるポリカーボネートポリオールの他に、その他のポリオール成分として、従来公知のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、20℃において液状でないポリカーボネートポリオールを併用しても良い。
上記多官能性化合物と反応させるポリイソシアネートとしては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であれば特に制限はないが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネート(LDI)等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1−クロロ−2,4−フェニレンジシソシアネート等のフェニレンジイソシアネート(PDI)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルジイソシアネート等のジフェニルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンジイソシアネート(NDI)などが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、その他、上記ポリイソシアネートと多価アルコール(トリメチロールプロパン等)又はポリアミン類との付加体、ビューレット反応生成物、イソシアヌレート環等を有するポリメリックポリイソシアネートなどが挙げられる。
ポリイソシアネートは、単独又は2種以上で使用できる。ポリイソシアネートには、ジイソシアネート(脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート)が含まれる。上記ポリイソシアネートの中でも、無黄変性ポリイソシアネートが特に好ましい。具体的には、上記脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネート、が無黄変性ポリイソシアネートに該当し、これらの中でも、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボランジイソシアネートを特に好適に用いることができる。
本発明におけるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は水性であること、すなわち水(又はアルコール等の水混和性溶媒と水との混合溶媒)に溶解又は分散できることが好ましい。そのためには、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂に親水の陰イオン性基(例えば、カルボキシレート基(−COO- )、スルホネート基(−SO3-)等)を含有することが望ましい。ポリウレタン樹脂が非イオン性であると耐加水分解性において劣る傾向があり、陽イオン性基(例えばアンモニウム基)を有している場合は密着性が不十分となる傾向があるが、前述のように陰イオン性基を有する場合は密着性に優れ、且つ、前記溶媒に対する溶解又は分散性が優れている。
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂に親水の陰イオン性基を導入するためには、前記多官能性化合物として酸性基を導入し得る多官能性化合物を併用し、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の合成段階あるいは合成後に該酸性基を塩基により中和するとよい。
酸性基を導入し得る多官能性化合物としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸などのカルボキシル基含有ジオール;リジン、アルギニン、オルニチン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ジアミノプロピオン酸、ジアミノ安息香酸、ジアミノベンゼンスルホン酸などのカルボキシル基又はスルホン酸基含有ジアミン、ジヒドロキシエチルホスフォン酸、ジメチロールホスフィン酸などのカルボキシル基又はスルホン酸基含有ジオール;前記カルボキシル基含有ジオールとラクトンとの付加開環重合により生成するカルボキシル基含有ポリエーテルジオール;前記ジオールと、3個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸又はその誘導体(例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、ピロメリット酸など)と、必要に応じて脂肪族又は芳香族ジカルボン酸もしくはその誘導体との反応により生成するカルボキシル基含有ポリエーテルジオール;スルホイソフタル酸を多価カルボン酸成分として用いたスルホイソフタル酸単位を含有するポリエーテルジオールなどが挙げられる。
また、酸性基を中和する塩基としては、特に制限はないが、例えば、無機塩基(アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化合物等)、有機塩基(ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミンなどの脂肪族アミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジイソプロピルエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、イソプロピルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン、モルホリンなどの環状アミンなど)が使用できる。このなかでも、環境安全性(建材用フィルム製造時の作業環境の点や一般の生活空間に供給されるVOCや安全性)の観点から、特に好ましくは、アルカリ金属水酸化物又はアルカノールアミンが好ましい。
本発明のヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は、酸性基及びその酸性基を中和することによって得られる陰イオン性基の含有量(酸性基と陰イオン性基の合計量)がポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の0.8〜5質量%程度(好ましくは1.0〜4質量%)であれば水中に良好に分散させることができる。
さらに、本発明においては、多官能性化合物として鎖伸長剤を併用しても良い。鎖伸長剤は、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、トリメチロールプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトール、ソルビトール、エチレングリコールジグリシジルエーテルとメタクリル酸との反応物(例えば、(エチレン−ビス〔オキシ(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)〕ジメタクリレート))等の低分子量多価アルコール、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の低分子量ポリアミンなどを挙げることができる。これらの中でも、耐候性が向上するという観点から、環骨格や不飽和結合を含有する鎖伸長剤、すなわち、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、(エチレン−ビス〔オキシ(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)〕ジメタクリレート)を特に好適に用いることができる。なお、鎖伸長剤を併用する場合の使用量は、多官能性化合物中1〜10質量%であることが好ましい。これを併用することにより、層間剥離強度の耐候性を向上させることができる。
また、ヒドロキシル基を有する第一級アミン又は第二級アミン化合物を使用することができる。20℃において液状であるポリカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートとを含む原料混合物を反応さて、さらにヒドロキシル基を有する第一級アミン及び/又は第二級アミン化合物を反応させることによっても、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂にヒドロキシル基を導入することができる。
ヒドロキシル基を有する第一級アミン化合物としては、例えば、ヒドロキシルアミン、モノエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチルプロパン−1,3−ジオール、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、N,N−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N−ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、N,N−ジ−2−ヒドロキシプロピルプロピレンジアミンなどが挙げられる。ヒドロキシル基を有する第二級アミン化合物としては、例えば、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N,N' −ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N' −ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、N,N' −ジ−2−ヒドロキシプロピルプロピレンジアミンなどが挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、モノエタノールアミン及びジエタノールアミンを特に好適に用いることができる。
本発明において、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、ヒドロキシル基含有量は、該樹脂の質量に基づき0.1〜5.0質量%であることが好ましく、0.3〜3.0質量%であることがより好ましい。ヒドロキシル基の含有量が0.1質量%未満であると、接着剤層において、架橋密度が不足して層間剥離強度の耐候性が不十分となる恐れがある。ヒドロキシル基の含有量が5.0質量%を超えると、層間剥離強度が低下する恐れがある。
ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は、例えば、ポリイソシアネート、20℃において液状であるポリカーボネートポリオール、その他のポリオール成分、酸性基を導入し得る多官能性化合物、及び必要に応じて鎖伸長剤を反応させてイソシアネート基末端プレポリマー中和物を調製し、次いで、水中で、水溶性ポリアミン、ヒドラジン又はその誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いて鎖延長反応したのち、あるいは鎖延長反応と同時に、ヒドロキシル基を有する第一級アミン又は第二級アミン化合物を反応させることによって得られる。プレポリマー調整の反応温度は40〜150℃とするのが好ましく、公知の反応触媒やイソシアネート基と反応しない有機溶剤を適宜併用しても良い。
(2)架橋剤
上記ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂に、架橋剤を併用することにより、これらの成分を含む水系接着剤を用いて形成した接着剤層は、層間密着性、層間剥離強度、耐候性をより一層向上させることができる。
このような架橋剤としては、水性ポリイソシアネート化合物が適している。水性ポリイソシアネート化合物としては、水又は水とアルコール等の水混和性溶媒との混合溶媒などの水性溶媒に、溶解又は分解するものであれば特に限定はされないが、実用上効果的なものとしては、疎水性ポリイソシアネートに親水性鎖を導入したものが挙げられる。また、水性ポリイソシアネート化合物には、親水性鎖に加え、必要に応じて親油性鎖をさらに導入しても良い。
このような水性ポリイソシアネート化合物の原料となる疎水性ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネートの反応から得られるイソシアネート変性体を挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートとしては、前述と同様のものを挙げることができる。
イソシアネート変性体としては、多価アルコール(トリメチロールプロパン等)又はポリアミン類等の活性水素を有する化合物と上記ポリイソシアネートとの付加体や、上記ポリイソシアネートの反応から得られる、アロファネート構造を有するポリイソシアネート、ビウレット構造を有するポリイソシアネート、ウレトジオン構造を有するポリイソシアネート、イソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート、ウレトイミン構造を有するポリイソシアネート、カルボジイミド構造を有するポリイソシアネート等が挙げられる。
そして上記の疎水性ポリイソシアネートの中でも、特に耐候性向上の観点からイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートが好ましい。
これらの疎水性ポリイソシアネートに親水性鎖を導入するには、例えば、アルコールや脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物と疎水性ポリイソシアネートとを反応させる。該アルキレンオキサイド付加物において、アルキレンオキサイドの付加形態は、1種の単独付加であってもよく、2種以上のアルキレンオキサイドのランダム又はブロック付加であってもよい。アルキレンオキサイドの付加モル数は3〜90であることが好ましく、5〜50であることがより好ましい。また、全アルキレンオキサイド単位中、エチレンオキサイド70%以上であることが好ましい。
疎水性ポリイソシアネートに親油性鎖を導入する化合物としては、例えば、炭素数8以上の高級アルコールを挙げることができる。また、原料となる脂肪酸とアルコールの炭素数の和が8以上の脂肪酸エステルを用いることができる。
前記水性ポリイソシアネート化合物は、親水性基(エチレンオキシ基)の含有量が化合物中2〜50質量%であることが好ましい。親水性基の量が2質量%未満であると、水性ポリイソシアネート化合物の分散性が不十分となる恐れがあり、他方、50質量%を超えると水性ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の水に対する反応性が大きくなり過ぎる恐れがある。
水性ポリイソシアネート化合物の製造は、一般に50〜130℃で行うことが可能であり、必要に応じて、不活性溶剤、触媒等を使用することも可能である。
本発明において、水性ポリイソシアネート化合物とヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂との使用比率は、水性ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基(NCO)とヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂のヒドロキシル基(OH)との比(NCO/OH比)が1:5〜5:1となる範囲が好ましく、1:3〜3:1となる範囲がより好ましい。
なお、架橋剤としては、上記水性ポリイソシアネート化合物のほかに、カルボジイミド系、ベンゾグアナミン系、オキサゾリン系、エポキシ系等の架橋剤を適宜併用することもできる。
(3)水系接着剤の任意成分
i)他の水性樹脂:
前記水系接着剤においては、水性樹脂としてヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂だけではなく、該ポリウレタン樹脂と他の水性樹脂とを混合したものも用いることもできる。他の水性樹脂としては、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。より具体的には、例えば、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水性ポリエステル系樹脂、水性ポリアミド系樹脂、水性アミノ系樹脂、水性フェノール系樹脂、その他の水性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等も使用することができる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂変性ないし混合樹脂、その他の樹脂を使用することもできる。上記のような樹脂は一種または二種以上使用される。また、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のニトリル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド系モノマー;それらのアミド系モノマーのN−アルコキシ置換体やN−メチロール置換体;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;ジアリルフタレート、アリルグリジジルエーテル、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系モノマー;酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン等の重合性二重結合を有するモノマー;等の一種又は二種以上と、カルボキシル基を有するアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、その他等の不飽和カルボン酸の一種ないしそれ以上との共重合体からなるアルカリ溶液可溶性(メタ)アクリル系共重合体を使用することもできる。
水系接着剤において、水性樹脂としてヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂とそれ以外の水性合成樹脂とを併用した場合は、全水性樹脂中に占める該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の割合は25質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましい。この割合が25質量%未満であると、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂による層間密着性の向上効果が不十分となり、基材シートと透明樹脂層との密着性を改善することができない場合がある。一方、全水性樹脂中に占める該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の上限は特に限定されないが、すべて該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂からなる場合を含めて100質量%である。
特にヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂と水性アクリル樹脂とを併用する場合においては、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の占める割合が25質量%以上100質量%以下(より好ましくは50質量%〜95質量%)となるように両者を混合することが好ましい。
水系接着剤の溶媒である水は、従来より水系接着剤に使用されているグレードの工業用水が使用される。また、水とアルコール等の水混和性溶媒とからなる混合溶媒を、水系接着剤の溶媒として使用することもできる。そうした混合溶媒を構成する水混和性溶媒アルコール等としては、エタノール、イソプロピルアルコール、N−プロピルアルコール等の低級アルコール、グリコール類およびそのエステル類等を挙げることができる。なお、これら低級アルコール、グリコール類およびそのエステル類等の溶媒は、水系接着剤の流動性改良、被塗工体である基材シートへの濡れの向上、乾燥性の調整等の目的で使用されるものであり、その目的に応じてその種類、使用量等が決定される。本発明で使用される水系接着剤には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の危険性の高い芳香族炭化水素系の有機性揮発物質が用いられておらず、また、その他の有機溶剤の使用も抑えられているので、VOCの発生を減少させることができる。
水とアルコール等とからなる混合溶媒においては、それらの配合割合を、水:アルコール等(例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、nプロピルアルコール等が挙げられる。)=20:80〜100:0の範囲で調整できる。
ii)添加剤
水系接着剤には、添加剤を添加したものを用いることもできる。添加剤としては、ワックス類、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、その他等が挙げられる。
基材シート
基材シートは、建材用シートにおける必須の構成であり、オレフィン系樹脂を好ましく適用できるがその種類は限定されない。例えば、(イ)主原料がハードセグメントとしての高密度ポリエチレン又はポリプロピレンのいずれかからなり、これにソフトセグメントとしてのエラストマー及び無機充填剤を添加してなる混合物を基材シートに用いることができる。また、(ロ)特開平9−111055号公報、特開平5−77371号公報、特開平7−316358号公報等に記載されるエチレン−プロピレン−ブテン共重合体を基材シートに用いることもできる。また、(ハ)特公平6−23278号公報記載のハードセグメントであるアイソタクチックポリプロピレンとソフトセグメントとしてのアタクチックポリプロピレンとの混合物を基材シートに用いることもできる。
前記(イ)のオレフィン系樹脂におけるハードセグメントとしての高密度ポリエチレンとしては、好ましくは、比重が0.94〜0.96のポリエチレンであって、低圧法で得られる結晶化度が高く、分子に枝分かれ構造の少ない高分子である高密度ポリエチレンが用いられる。また、ハードセグメントとしてのポリプロピレンとしては、好ましくは、アイソタクチックポリプロピレンが用いられる。
前記(イ)のソフトセグメントとしてのエラストマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等が用いられる。水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、ポリオレフィン系樹脂の結晶化を抑えて、その柔軟性を向上させる。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等がある。オレフィンエラストマーとしては、2種類又は3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種類加えた弾性共重合体であり、オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィンエラストマーとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。なお、これらのエラストマーは、必要に応じて有機過酸化物、硫黄等の架橋剤を用いて、過重架橋させてもよい。
これらエラストマーの添加量としては、10〜60質量%、好ましくは30質量%程度である。10質量%より低いと一定荷重伸度の変化が急峻になり過ぎ、また、破断時伸度、耐衝撃性、易接着性の低下が生じ、60質量%より高いと透明性、耐候性および耐クリープ性の低下が生ずる。
前記(イ)の無機充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の平均粒径0.1〜10ミクロン程度の粉末が用いられる。添加量としては、1〜60質量%程度、好ましくは5〜30質量%程度である。1質量%未満では耐クリープ変形性及び易接着性の低下が生じ、60質量%を超えると破断時伸度及び耐衝撃性の低下が生じる。
前記(ロ)のオレフィン系樹脂としては、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑性エラストマーが用いられる。ここで、ブテンとしては、1ブテン、2ブテン、イソブチレンの3種の構造異性体のいずれも用いることができる。共重合体としては、ランダム共重合体であって、非晶質の部分を一部含む。
上記エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂の好ましい具体例としては、次の(a)〜(c)が挙げられる。
(a)特開平9−111055号公報に記載されるエチレン、プロピレン及びブテンの3元共重合体によるランダム共重合体。単量体成分の質量比率はプロピレンが90質量%以上であり、メルトフローレートは、230°C、2.16kgの条件下で1〜50g/10分であることが好ましい。このような3元ランダム共重合体100質量部に対して、上記ランダム共重合体は、燐酸アリールエステル化合物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50質量部、炭素数を12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3質量部を溶融混練してなるものである。(b)特開平5−77371号公報に記載されるエチレン、プロピレン及びブテンの3元共重合体であって、プロピレン質量比率が50質量%以上の非晶質重合体20〜100質量%に、結晶質ポリプロピレンを80〜0質量%添加してなるエチレン・プロピレン・ブテン共重合体。(c)特開平7−316358号公報に記載されるエチレン、プロピレン、1ブテンの3元共重合体であって、プロピレン及び/又は1ブテン含有率が50質量%以上の低結晶質重合体20〜100質量%に、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィン80〜0質量%を混合した組成物に対して、Nアシルアミノ酸アミン塩、Nアシルアミノ酸エステル等の油ゲル化剤を0.5質量%添加したエチレン・プロピレン・ブテン共重合体。
上記(a)〜(c)のエチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂は、単独で用いてもよいし、該エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂に必要に応じてさらに他のポリオレフィン樹脂を混合して用いてもよい。
前記(ハ)のオレフィン系樹脂としては、特公平6−23278号公報記載の(A)ソフトセグメントとして数平均分子量Mnが25000以上、且つ質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶なアタクチックポリプロピレン10〜90質量%と、(B)ハードセグメントとしてのメルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタクチックポリプロピレン90〜10質量%との混合物からなる軟質ポリプロピレンが挙げられる。
上記(ハ)のオレフィン系熱可塑性エラストマーの中でも、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合物からなり、且つアタクチックポリプロピレンの質量比率が5〜50質量%のものが好ましく、アタクチックポリプロピレンの質量比率が20〜40質量%のものが特に好ましい。アタクチックポリプロピレンの質量比率が5質量%未満ではエンボス加工をしたり、3次元形状や凹凸形状の物品に成形加工する際にネッキングによる不均一なシートの変形や、その結果としての皺、絵柄の歪み等が生ずる。一方、アタクチックポリプロピレンの質量比率が50質量%を超えると、シート自体が変形し易くなり、シートを印刷機に通した時にシートが変形し、インキ層の絵柄の歪み、多色刷の場合に見当が合わなくなる等の不良が発生しやすくなり、成形時においてはシートが破れ易くなる。
基材シートを形成する上述のオレフィン系樹脂中には、必要に応じて、着色剤、熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤等が添加される。
着色剤としては、チタン白、亜鉛華、べんがら、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー等の有機顔料あるいは染料、アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられる。また、必要に応じて、無機充填剤を添加してもよく、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、シリカ(二酸化ケイ素)、アルミナ(酸化アルミニウム)等の粉末等が挙げられ、その添加量は、通常、5〜60質量%である。着色剤は、基材シートに建材用シートとして必要な色彩を持たせるために添加され、透明着色と不透明(隠蔽)着色のいずれでも構わないが、一般的には、建材用シートが添着される被着体を隠蔽するために不透明着色が好ましい。
熱安定剤としては、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フィスファイト系、アミン系等公知のものが使用でき、熱加工時の熱変色等の劣化の防止の向上を図る場合に用いられる。難燃剤は、難燃性を付与する場合に添加され、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの粉末が用いられる。紫外線吸収剤は、樹脂により良好な耐候性(耐光性)を付与するためのものであり、ベンゾトリアソール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等の有機物、または、0.2μm径以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物が用いられる。その他に、ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入した反応型紫外線吸収剤も用いられる。尚、これらの紫外線吸収剤の添加量は、通常0.5〜10質量%程度である。ラジカル捕捉剤は、紫外線による劣化を更に防止し、耐候性を向上させるためのものであり、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジニル)セバケート、その他、例えば特公平4−82625号公報に開示されている化合物等のヒンダード系ラジカル捕捉剤、ビペリジニル系ラジカル捕捉剤等が使用される。
基材シートは、上述した材料を任意に選択してブレンドしたものをカレンダー加工等の常用の方法により製膜して得ることができる。基材シートの厚みは50〜200μm、好ましくは100μm程度である。
建材用シートの表面側(透明樹脂層側)における基材シートの表面には、プライマ層(易接着層又はアンカー層ともいう)の塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施すことが好ましい。プライマ層としては、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ポリエチレンを使用することができる。
なお、上述したポリオレフィン系樹脂からなる基材シートの他に、ポリエステルやビニロン等の有機樹脂等を用いた織布または不織布、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、三酢酸セルロース、セロハン、ポリカーボネート等の樹脂からなるシートまたはフィルムを用いることも可能である。また、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、上質紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙等の紙、あるいは、そうした紙にポリ塩化ビニルをゾル塗工またはドライラミネートしたいわゆるビニル壁紙原反を用いることができる。また、硝子繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無機質繊維からなるシートまたはフィルムを用いることも可能である。また、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、銅等の金属箔等を用いることもできる。さらに、こうした各基材材料を複数積層させたものを、基材シートとして用いることも可能である。
インキ層
インキ層は、建材用シートにおける必須の層であり、ベタインキ層及び/又は絵柄インキ層から構成される。ベタインキ層は、基材シートの地肌の隠蔽等の目的で設けられ、通常は模様のない全ベタ状の着色層として形成される。絵柄インキ層は、一般に、図形、文字、記号、色彩、それらの組み合わせ等により、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形等からなる模様ないし色彩を有し、ベタインキ層上に、平面状、凹凸状、凸状の層として形成される。なお、絵柄インキ層がベタインキ層の作用を兼ねる場合もあり、この場合には絵柄インキ層がベタインキ層となる。こうして形成されたベタインキ層及び/又は絵柄インキ層は、基材シート表面の全面に設けても部分的に設けても何れでもよい。また、インキ層は、基材シートの表面全面に設けたべタインキ層と、そのベタインキ層の表面に部分的に設けた絵柄インキ層とから構成することもできる。その形成材料としては、従来より建材用シートのインキ層の形成に用いられてきた適宜の材料を特に制限無く使用できる。このインキ層の形成材料としては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂、これらの樹脂を混合したものなどを用いた水系または溶剤系塗工剤が挙げられる。
本発明においては、ベタインキ層および絵柄インキ層の一方又は両方が、水系塗工剤で形成されたものが好ましく、さらに好ましくは、水性ポリウレタン樹脂を必須の樹脂成分(以下、樹脂成分ともいう。)として含有する水系塗工剤で形成されたものであることが望ましい。例えば、水性ポリウレタン樹脂を樹脂成分として含有する水系塗工剤を使用し、その水系塗工剤を塗布・乾燥してベタインキ層および絵柄インキ層の一方又は両方を形成することが好ましい。こうした水系塗工剤は、VOCの使用を減少させるので、作業環境中または生活空間中へのVOCの発生を抑制することができ、作業環境の安全性や生活空間の安全性をより向上させることができる。さらに、その水系塗工剤で形成されたインキ層を構成する樹脂成分が水性ポリウレタン樹脂であるので、接着剤層の層間密着性に加えて本発明のインキ層は基材シートと透明樹脂層との層間密着性を向上させることができる。
ポリウレタン樹脂でベタインキ層及び/又は絵柄インキ層を形成することにより層間密着性が向上する理由は、柔軟性と追従性を併せもち、かつ、層中の内部凝集力が高いことであると推察される。この理由は、前述の接着剤層をヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂で形成した場合も同じである。
ベタインキ層や絵柄インキ層に使用される水系塗工剤には、着色顔料や染料等の着色剤が配合される。また、ワックス類、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、その他等の添加剤を任意に添加し、水または水とアルコール等とからなる水系の混合溶媒を使用し、ミキサー等で十分に混合して、水系塗工剤が調製される。
着色顔料としては、通常使用される有機または無機系の顔料を使用することができる。こうした着色顔料のうち、黄色顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン等の有機顔料、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン黄、キノフタロン、キノクサリンジオン等の無機顔料を使用することができる。また、赤色顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドン等の有機顔料、弁柄、朱、カドミウムレッド、クロムバーミリオン等の無機顔料を使用することができる。また、青色顔料としては、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等の有機顔料、紺青、群青、コバルトブルー等の無機顔料を使用することができる。また、黒色顔料としては、アニリンブラック等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料を使用することができる。また、白色顔料としては、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の無機顔料を使用することができる。また、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体積顔料、中和剤、界面活性剤等を任意に含有させることができる。
ベタインキ層や絵柄インキ層は、上述した水系塗工剤を塗工または印刷等によって設けた後、乾燥させて形成される。更に詳しく説明すれば、通常、ベタインキ層は、ベタインキ層用の水系塗工剤を塗工または印刷した後、乾燥硬化させて形成され、絵柄インキ層は、絵柄インキ層用の水系塗工剤を印刷した後、乾燥硬化させて形成される。塗工方法としては、公知の各種方法、例えばロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等の方法を用いることができ、乾燥後の膜厚が1.0〜10μm程度になるように塗工される。また、印刷方法としては、グラビア、活版、フレキソ等の凸版印刷、平版オフセット、ダイリソ印刷等の平版印刷、シルクスクリーン等の孔版印刷、静電印刷、インキジェットプリント等の公知の各種方法を用いることができる。
こうした水系塗工剤でベタインキ層及び/又は絵柄インキ層からなるインキ層を形成することにより、本発明の初期の目的である建材用シートの環境安全性の向上と層間密着性の向上を達成することができる。
透明樹脂層
透明樹脂層は、トップ樹脂層ともいわれ、インキ層を擦り傷等から保護したり、建材用シートの表面強度を向上させたり、塗装感を付与すること等を目的として、接着剤層を介してインキ層上に積層される。
透明樹脂層を構成する樹脂としては、上述した接着剤層を介してインキ層上に密着よく形成される透明な樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えば、透明ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂を好ましく挙げることができる。透明樹脂層用の樹脂として使用できるオレフィン樹脂以外の樹脂としては、上述の基材シートの構成材料と同じものを使用することができ、こうした透明樹脂層を形成する樹脂には、必要に応じて、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、マット剤等の公知の添加剤を添加して形成することができ、着色された透明樹脂層としたり、紫外線吸収特性を有する透明樹脂層とすることができる。
透明樹脂層の形成方法としては、接着剤層上に、別個に形成された透明樹脂シートを積層したり、溶融押出し塗工法によって成膜したり、その他公知の方法で積層することができる。
また、透明樹脂層を2層以上の複層構造にしてもよい。2層以上積層させてなる透明樹脂層は、基材シート側の透明樹脂層と表面保護層側の透明樹脂層とに異なる作用効果を持たせることができる点で有利である。例えば、具体的には、表面保護層側の透明樹脂層をフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂を主成分とした樹脂で形成することにより、優れた耐汚染性等の表面機能を付与することができ、基材シート側の透明樹脂層を熱可塑性アクリル樹脂等で形成することにより、接着剤層との間の密着性等を向上させることができるように積層可能である。また、表面保護層側の透明樹脂層を耐候剤を添加したポリプロピレン系樹脂で形成することにより、優れた耐候性を付与することができ、基材シート側の透明樹脂層をエラストマーを含有したポリプロピレン系樹脂で形成することにより、耐候性と密着性の向上を図ることができるように積層可能である。
2層以上の透明樹脂層は、複数の樹脂組成物を溶融共押出しして形成したり、ドライラミネーションや熱ラミネーション等の各種のラミネート法で形成することができる。このとき、プライマ層またはアンカー層として作用する易接着層を介して2以上の層からなる透明樹脂層を形成することもできる。なお、この場合における易接着層は、透明樹脂層と共に溶融共押出しして形成することができる。
透明樹脂層の厚さは、20〜300μm程度となるように、15〜400g/m2程度の塗布量で塗工することが望ましい。
透明樹脂層の表面に必要に応じて、図3に示すような凹凸模様8を形成してもよい。凹凸模様は、エンボス模様とも呼ばれる。また、2層以上の透明樹脂層を形成した場合には、凹凸模様を最表面の透明樹脂層に形成したり、最表面以外の透明樹脂層に形成したりすることができ、それぞれ任意に行うことができる。
凹凸模様は、特に限定されず、建材用シートの用途に応じた模様であればよい。例えば、木目導管溝、木目年輪凹凸、浮造年輪凹凸、木肌凹凸、砂目、梨地、ヘアライン、万線状溝、花崗岩の劈開面等の石材表面凹凸、布目の表面テクスチュア、皮絞、文字、幾何学模様等の模様を挙げることができる。
凹凸模様を形成する手段としては、例えば、加熱加圧によるエンボス加工法やTダイ溶融押し出し法が挙げられる。加熱加圧によるエンボス加工法は、透明樹脂層の表面を加熱軟化させ、その表面をエンボス版で加圧してエンボス版の凹凸模様を賦形し、冷却して固定化する方法であり、公知の枚葉式または輪転式のエンボス機を用いることができる。エンボス加工法で形成する場合には、ラミネート加工により積層する前の透明樹脂層とする樹脂シートに予めエンボス加工したり、透明樹脂層とする樹脂シートを積層すると同時に(いわゆるダブリングエンボス法)行ったりすることができる。また、Tダイ溶融押出し法で透明樹脂層を積層する場合には、賦形ローラを兼用させた冷却ローラを使用して、透明樹脂層の成膜・積層と同時に凹凸模様を形成することもできる。また、ヘアライン加工、サンドブラスト加工等によってもエンボス模様を形成することができる。
表面保護層
表面保護層は、トップコート層またはオーバープリント層(OP層)ともいわれ、凹凸模様の表面を被って、建材用シートを保護することを目的として設けられるものである。
表面保護層は、耐擦傷性や耐汚染性等の物性向上を目的として用いられるため、熱硬化樹脂および/または電離放射線硬化型樹脂を用いることが好ましい。また、溶剤系塗工剤で形成してもよいが、VOCの発生を抑制する環境安全性を考慮すると、上述したインキ層や接着剤層と同じ水系塗工剤、および無溶剤型塗工剤で形成するのが望ましい。無溶剤型の塗工剤を用いた場合には、電離放射線硬化型の塗工剤が好ましい。したがって、上述した水系接着剤と同様に、水性ポリウレタン樹脂等の水性樹脂を用い、さらに、着色剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、その他等の添加剤を任意に添加し、水溶媒または水とアルコール等とからなる混合溶媒を使用し、ミキサー等で十分に混合して調製した水系塗工剤を使用することができる。
また、反応型の水性樹脂組成物で表面保護層を形成することもでき、耐擦傷性や、透明樹脂層との密着性を向上させることができる。特に、エマルジョン型の樹脂を用いた場合には、樹脂組成物中にで硬化剤等の反応開始剤が保護され、塗膜化の後に反応を開始させることが可能となる。そのため、塗工し易い樹脂組成物で塗工し、その後反応させて表面保護層を形成することもできる。このような反応型の樹脂組成物としては、例えば、感熱反応型の樹脂として、活性水素基を有するポリウレタン、ポリアクリレート、ポリウレタンアクリレート等の樹脂からなる主剤とイソシアネート基と溶媒の水やアルコール系化合物との反応を抑制するように、親水性処理されたイソシアネート系硬化剤、もしくはブロック剤で処理したイソシアネート系硬化剤をエマルジョン化した樹脂組成物、またはアミノ基やカルボン酸基を有する樹脂からなる主剤とエポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基を持つ水溶性または水分散性硬化剤からなる樹脂組成物等を挙げることができる。
なお、電離放射線硬化型樹脂とは、電離放射線を照射することにより架橋重合反応を起こし3次元の高分子構造に変化する樹脂である。電離放射線は、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合、架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等を含む。)、X線、電子線、イオン線等がある。通常は紫外線や電子線が用いられる。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常1900〜3800Å(10-1nmに同じ。)の波長域が主として用いられ、また、電子線源としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型灯の各種電子線加速器を用い、50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するものを使用できる。
電離放射線硬化型樹脂としては、分子中に、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、又はエポキシ基等のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマー又はポリマー(以下、これらを総称して化合物と呼称する)からなる。これら単量体、プレポリマー、及びポリマーは、単体で用いるか、或いは複数種混合して用いる。
上記の電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には増感剤として光重合開始剤を添加する。光重合開始剤の添加量は一般に、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部程度である。
なお、表面保護層は、耐擦傷性等の表面物性の向上のほか、シリカ等の公知の艶消し剤を添加して艶調整したり、塗装感等の意匠性を付与させたりすることもできる。また、表面保護層には、より良好な耐候性または耐光性を付与するために、必要に応じて紫外線吸収剤、光安定剤を添加して形成することができる。そうした紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等の有機物、または、0.2μm径以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物、を用いることができる。光安定剤としては、ビス−( 2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤等を用いることができる。これらの紫外線吸収剤、光安定剤とも、通常、0.5〜10質量%程度となるように添加するが、一般的には紫外線吸収剤と光安定剤とを併用するのが好ましい。難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の粉末が用いられる。難燃剤の添加量は、高密度ポリエチレンと熱可塑性エラストマーとの合計量を100質量部に対し、10〜150質量部程度が好ましい。
表面保護層は、そのような各種の塗工剤を、グラビアコート法、リバースロールコート法、ナイフコート法、キスコート法、その他塗工法等の公知の塗工法で塗工形成して形成される。また、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷等の公知の印刷法で形成される。形成された表面保護層の厚みは3〜40μm程度が好ましく、10〜30μmがより好ましい。
表面プライマ層
本発明の建材用シートにおいては、透明樹脂層と表面保護層との間にプライマ層(表面プライマ層と称す)が設けられていることが好ましい。表面プライマ層は、透明樹脂層と表面保護層との密着性を向上させる役割を有するものである。特に、表面保護層が無溶剤活性エネルギー線硬化性樹脂で形成される場合に好ましく適用され、表面保護層が活性エネルギー線で硬化する際の収縮を吸収する効果(追従性)がある。その結果、表面保護層の硬化時に発生する歪みに基づく層間剥離の問題を解決することができ、透明樹脂層と表面保護層との密着性を向上させることができる。
また、表面プライマ層は、有機性揮発物質の発生を抑制し、製造現場における作業環境、生活空間における安全性を向上させるという理由から、水系塗工剤を用いて塗布等により形成されるのが好ましい。表面プライマ層を形成する水系塗工剤としては、上述したインキ層の形成に好適に用いられる水系塗工剤と同様に、水性のポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アミン系樹脂、フェノール系樹脂などを用い、さらに着色剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、その他などの添加剤を任意に添加し、水溶媒または水とアルコールなどとからなる混合溶媒を使用し、ミキサーなどで十分に混合して調製することができる。
裏面プライマ層
裏面プライマ層は、本発明の建材用シートを各種の被着体に接着させ易くすることを目的として、基材シートの裏面側に形成される。裏面プライマ層の形成には、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が使用されるが、上述したインキ層や接着剤層を形成するのに好ましく採用される水系塗工剤を用いることが環境安全性の観点から好ましい。
建材用シート
上述の構成を有する本発明の建材用シートは、他の被着体(裏打材)に積層して用いられる。
被着体としては、図4に示すような立体形状物品41や、図5に示すような平板状、曲面状等の板材51、シート(或いはフィルム)等の各種形状の物品が対象となる。こうした被着体は、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材板、木質繊維板等の木質板、鉄、アルミニウム等の金属、アクリル、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ABS樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂、硝子、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、チタン酸カリウム、硝子、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は織布、等々を挙げることができる。
建材用シート1と被着体との関係において、建材用シート1の基材シート2または裏面プライマ層6の種類により、被着体にそのまま熱融着等で接着できる場合には、建材用シート1と被着体とを接着剤を用いずに積層させることができるが、建材用シート1の基材シート2または裏面プライマ層6の種類により、被着体15にそのまま熱融着等で接着できない場合には、適当な接着剤を用いて積層させる。なお、接着剤としては、酢ビ系、尿素系等の接着剤を挙げることができる。
また、一般的な積層方法としては、例えば、(a)接着剤を介して被着体に加圧ローラーで加圧して積層する方法、(b)特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載のように、建材用シート1を射出成形の雌雄両金型間に挿入して、両金型を閉じ、雄型のゲートから溶融樹脂を射出充填した後、冷却して樹脂成型品の成形と同時にその表面に建材用シート1を接着積層する射出成形同時ラミネート方法、(c)特公昭56−45768号公報、特公昭60−58014号公報等に記載のように、接着剤を介して成形品の表面に建材用シート1を対向させ、成形品側からの真空吸引による圧力差により建材用シート1を成形品表面に積層する真空プレス積層方法、(d)特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に記載のように、円柱、多角柱等の柱状被着体の長軸方向に、接着剤を介して建材用シート1を供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、柱状被着体を構成する複数の側面に順次建材用シート1を加圧接着して積層してゆくラッピング加工方法等が挙げられる。
本発明の建材用シート1を積層した各種の被着体は、所定の成形加工等を施して、各種装飾用素材等として用いることができる。例えば、壁、天井、床等建築物の内装、窓枠、扉、手摺等の建具の表面化粧、家具または家電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車輌内装、航空機内装、窓硝子の化粧用等の用途が挙げられる。
以下に、実施例と比較例を挙げて、本発明について更に詳しく説明する。
[実施例1]
実施例1で製造される建材用シートの層構成を図2に示す。図2において、11は実施例1の建材用シートを示す。該建材用シート11は、基材シート2の一方の面上にインキ層3と、接着剤層4と、透明樹脂層5と表面保護層がこの順序で積層されており、さらに、基材シート2のもう一方の面上に裏面プライマ6が積層されている。
(1)裏面プライマ層6の形成
基材シート2として厚み60μmのポリプロピレン系エラストマー着色シートを用い、その上にコロナ放電処理を施した後、一方の面に裏面プライマ層用水系塗工液(ウレタン樹脂―イソシアネート硬化系2液)を線数54線/インチ、版深40μmのグラビア版を用いてグラビア印刷法にて塗布、乾燥し、約2g/m2の裏面プライマ層6を形成した。
(2)インキ層3の形成
前記工程で得られた裏面プライマ層6が形成された基材シート2の裏面プライマ層6側とは反対のもう一方の片面に対してコロナ放電処理を施した後、線数54線/インチ、版深40μmのグラビア版を用いて下記配合のベタインキ層用水系塗工剤A、絵柄インキ層用水系塗工剤Bを順次グラビア印刷法にて塗布・乾燥することにより、ベタインキ層および絵柄インキ層を形成してインキ層3とした。
ベタインキ層用の水系塗工剤A:
水性ウレタン系白色インキ(オーデWKE(商品名)、ザ・インクテック株式会社製) 100質量部
水分散性イソシアヌレート結合含有イソシアヌレート架橋剤(AQ100(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製) 10質量部
水 20質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
絵柄インキ層用の水系塗工剤B:
水性ウレタン系黄色インキ(オーデWKE黄(商品名)、ザ・インクテック株式会社製) 100質量部
水 20質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
(3)接着剤層4の形成
前記工程で形成されたインキ層3上に、線数54線/インチ、版深40μmのグラビア版を用いて、下記のヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aと、水性イソシアネート系化合物とを混合した水系接着剤を、グラビア印刷法にて塗布・乾燥し、3g/m2の接着剤層4を形成した。
水分散物aの調製:
撹拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹込み管を備えた4ツ口フラスコに、下記の成分A−1、成分B−1、成分C−1、成分D−1と反応触媒および溶剤を加え、80℃で約4時間反応させ、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量1.3質量%のプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。
成分A−1: ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート 100.0g
成分B−1: ポリ[(1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール)カーボネート](平均分子量2,000、1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=50/50(モル比):粘度86000mPa・s) 282.4g
成分C−1: 1,6−ヘキサンジオール 5.2g
成分D−1: 2,2−ジメチロールブタン酸 17.8g
反応触媒:トリエチレンジアミン 0.05g
溶剤: メチルエチルケトン 100g
次に、得られたメチルエチルケトン溶液を30℃まで冷却し、下記の成分E−1を下記の成分Fに溶解したものを、該メチルエチルケトン溶液に徐々に加えて中和・乳化分散を行い乳化分散液を得た。
成分E−1: 水酸化ナトリウム 4.8g
成分F: 水 710g
得られた乳化分散液に下記の成分Gおよび成分Hを添加して2時間撹拌した。次いで、減圧下に2時間かけて50℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分37質量%のヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の、水分散物aを得た。
成分G: エチレンジアミン 2.7g
成分H: ジエタノールアミン 6.4g
得られた水分散物aにおいて、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量が0.5質量%であった。この水分散物aを調製するための原料組成を下記の表2に示す。
水系接着剤:
下記の成分を配合して水系接着剤を作製した。
前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物a 100g
水性ポリイソシアネート化合物(NKアシストIS−100N(商品名)、日華化学株式会社製、イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネートに親水性基を導入した化合物、固形分100質量%) 6g
水性ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基と、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂のヒドロキシル基との比(NCO/OH比)は2.25:1であった。
(4)透明樹脂層5の形成
前記工程で形成された接着剤層4上に、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂からなる1層目の膜厚が10μmとなるように、且つ、ランダム共重合ポリプロピレンに、フェノール系酸化防止剤0.2質量%、ヒンダードアミン系安定剤0.3質量%、ブロッキング防止剤0.2質量%をそれぞれ添加した樹脂からなる2層目の膜厚が70μmとなるように、且つ接着剤層4側がマレイン酸変性ポリプロピレンの層と接するようにTダイにて220℃で、オゾン照射下で共押出して約80μmの透明樹脂層5を積層した。
(5)表面保護層7の形成
前記工程で形成された透明樹脂層5の表面に、約160℃で熱エンボス加工により凹凸模様8を形成し、さらにその上に、線数54線/インチ、版深40μmのグラビア版を用いて、表面保護層用の水系塗工剤(ウレタン樹脂―イソシアネート硬化系2液)をグラビア印刷法にて塗布・乾燥し、約5g/m2 の表面保護層7を形成した。
上記各工程を経て実施例1の建材用シートを得た。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
[実施例2]
実施例2で製造される建材用シートの層構成を図3に示す。実施例2の建材用シート21は、実施例1の建材用シートの製造において、透明樹脂層5と表面保護層7の間に、表面プライマ層9を設けたものである。
即ち、実施例2の建材用シートの製造は、実施例1の建材用シートの製造工程において、透明樹脂層5の表面に凹凸模様8を形成後に透明樹脂層5の表面にコロナ放電処理を施した後、線数70線/インチ、版深30μmのグラビア版を用いて表面プライマ層用の水系塗工剤(ウレタン樹脂―イソシアネート硬化系2液)をグラビア印刷法にて塗布・乾燥し、乾燥後約0.5g/m2 の表面プライマ層9を形成し、さらに該表面プライマ層9上に、表面保護層用の電離放射線硬化型樹脂組成物(ウレタンアクリレート系無溶剤塗工液)を用い、塗工した後、電子線照射により硬化させて表面保護層7を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、建材用シートを得た。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
[実施例3]
実施例3で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例2と同様に図3に示される。実施例3は、実施例2の建材用シートの製造において、基材シート2をポリプロピレン系エラストマー着色シートに代えて、厚み60μmポリエチレン系着色シートE9(商品名、大倉工業株式会社製)を用いた以外は、実施例2同様にして、建材用シートを得た。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
[実施例4]
実施例4で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例4は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いる水分散物aに代えて、下記組成の水分散物bを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
水分散物bの調製:
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、成分E−1に代えて成分E−2(トリイソプロパノールアミン23.0g)を用い、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物bを得た。この分散物bにおいて、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。この水分散物bを調製するための原料組成を下記表2に示す。
[実施例5]
実施例5で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例5は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いる水分散物aに代えて、下記組成の水分散物cを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
水分散物cの調製:
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリオール成分として成分B−1の他に下記に示す成分B−3を加えて、固形分37質量%の、ヒドロキシ基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物cを得た。この水分散物cにおいて、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。成分B−1と成分B−3の配合を下記に示す。
成分B−1: ポリ[(1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール)カーボネート](平均分子量2,000、1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=50/50(モル比):粘度86000mPa・s) 141.2g
成分B−3: ポリブチレンアジペートジオール[ニッポラン4010(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、平均分子量2,000] 141.2g
この水分散物cを調製するための原料組成を下記の表2に示す。
[実施例6]
実施例6で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例6は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物dを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
水分散物dの調製:
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリイソシアネート成分として成分A−1の他に成分A−2(ヘキサメチレンジイソシアネート)を加えて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物dを得た。この水分散物dを調製するための原料組成を下記の表2に示す。
水分散物dにおいて、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。
[実施例7]
実施例7で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例7は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物eを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
水分散物eの調製:
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリイソシアネート成分として成分A−1の他に成分A−3(イソホロンジイソシアネート)を加えて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物eを得た。この水分散物eを調製するための原料組成を下記の表2に示す。
水分散物eにおいて、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。
[実施例8]
実施例8で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例8は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物fを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
水分散物fの調製:
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリイソシアネート成分として成分A−1の代わりに成分A−3(イソホロンジイソシアネート)を用いて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物fを得た。この水分散物fを調製するための原料組成を下記表2に示す。
水分散物fにおいて、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。
[実施例9]
実施例9で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例9は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物gを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
水分散物gの調製:
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリイソシアネート成分として成分A−1の代わりに成分A−2(ヘキサメチレンジイソシアネート)及び成分A−3(イソホロンジイソシアネート)を用いて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物gを得た。この水分散物gを調製するための原料組成を下記表2に示す。
水分散物gにおいて、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。
[実施例10]
実施例10で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例10は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物hを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
水分散物hの調製:
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、プレポリマー鎖伸長剤としてC−1(1,6−ヘキサンジオール)の他に成分C−2(1,4−シクロヘキサンジメタノール[CHDM−D(商品名)、Eastman 社製])を加えて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物hを得た。この水分散物hを調製するための原料組成を下記表2に示す。
水分散物hにおいて、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。
[実施例11]
実施例11で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例11は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物iを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
水分散物iの調製:
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリオール成分として成分B−1の他に成分B−3(ポリブチレンアジペートジオール[ニッポラン4010(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、平均分子量2,000])を加え、鎖伸長剤として成分C−1(1,6−ヘキサンジオール)の他に成分C−2(1,4−シクロヘキサンジメタノール[CHDM−D(商品名)、Eastman 社製])を加えて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物iを得た。この水分散物iを調製するための原料組成を下記表2に示す。
水分散物iにおいて、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。
[実施例12]
実施例12で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例12は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物jを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
水分散物jの調製:
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、鎖伸長剤として成分C−1(1,6−ヘキサンジオール)の他に成分C−3(ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート[BHET(N):商品名、丸善ケミカル株式会社製])を加えて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物jを得た。この水分散物jを調製するための原料組成を下記表2に示す。
水分散物jにおいて、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。
[実施例13]
実施例13で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例13は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物kを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
水分散物kの調製:
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、鎖伸長剤として成分C−1(1,6−ヘキサンジオール)の他に成分C−4(トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート[タナックP(商品名)、日産化学株式会社製]を加えて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物kを得た。この水分散物kを調製するための原料組成を下記表2に示す。
水分散物kにおいて、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。
[実施例14]
実施例14で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例14は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物lを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
水分散物lの調製:
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、鎖伸長剤として成分C−1(1,6−ヘキサンジオール)の他に成分C−5(エチレン−ビス〔オキシ(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)〕ジメタクリレート[エポキシエステル40EM(商品名)、共栄社化学株式会社製]、を加えて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物lを得た。この水分散分lを調製するための原料組成を下記表2に示す。
水分散物lにおいて、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。
[実施例15]
実施例15で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例15は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物mを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
水分散物mの調製:
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリオール成分として成分B−1の代わりに成分B−2(ポリ[(3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール)カーボネート]、平均分子量3,000、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=90/10(モル比)、粘度210000mPa・s)を用いて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物mを得た。この水分散物mを調製するための原料組成を下記表2に示す。
水分散物mにおいて、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。
[実施例16]
実施例16で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例16は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物nを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
水分散物nの調製:
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、酸性基を導入しえる多官能生化合物として成分D−1の代わりに成分D−2(2,2−ジメチロールプロピオン酸)を用いて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物nを得た。この水分散物nを調製するための原料組成を下記表2に示す。
水分散物nにおいて、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールプロピオン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。
[比較例1]
比較例1で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。比較例1は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物oを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
水分散物oの調製:
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリオール成分として成分B−1の代わりに成分B−3(ポリブチレンアジペートジオール[ニッポラン4010(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、平均分子量2,000])を用いて調製を行い、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリウレタン樹脂の水分散物nを得た。この水分散物oを調製するための原料組成を下記表2に示す。
水分散物oにおいて、該ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。
[比較例2]
比較例2で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。比較例2は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物pを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
水分散物pの調製:
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリオール成分として成分B−1の代わりに成分B−4(ポリプロピレングリコール[平均分子量2,000])を用いて調製を行い、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリウレタン樹脂の水分散物pを得た。この水分散物pを調製するための原料組成を下記表2に示す。
水分散物pにおいて、該ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。
[比較例3]
比較例3で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。比較例3は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物qを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
水分散物qの調製:
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリオール成分として成分B−1の代わりに成分B−5(ポリ(1,6−ヘキサメチレンジオールカーボネート)、平均分子量2,000、20℃で固体)を用いて調製を行い、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリウレタン樹脂の水分散物qを得た。この水分散物qを調製するための原料組成を下記表2に示す。
水分散物qにおいて、該ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。
前記実施例1−15、比較例1−3で得られた建材用シートの性質の評価は、下記の(1)〜(6)の試験により行った。また、前記実施例及び比較例で用いたポリカーボネートポリオール(成分B−1,B−2及びB−5)の粘度は、下記の(7)の試験により測定した。
(1)剥離試験
引張試験機(INSTRON5500:商品名、INSTRON社製)を用い、25℃引張速度100mm/分の条件下で引張試験を行った。引張強度は、建材用シートの基材シートと、透明樹脂層との間の開き角180°の条件下で引張試験したときの強度で評価した。
(2)常態層間密着性試験
上記(1)の剥離試験において、剥離強度が19.6N以上のものを合格として◎で表し、19.6未満のものを不合格として×で表した。
(3)耐候性促進試験
アイスーパーUVテスター(商品名、岩崎電気株式会社製)を用い、照度60mW/cm2 、光源からの距離240mm、照射スペクトル帯域295〜450mmからなる紫外線を、建材用シートの表面保護層側に20時間照射(ブラックパネル温度63℃、湿度50%)し、暗所下4時間(ブラックパネル温度30℃、湿度98%)のサイクル条件で4サイクル(96時間)で試験した(以下、耐候性促進試験という)。試験後、建材用シートサンプルを取り出し、室温25℃/湿度50%にて試験後2時間放置した後、引張試験機(INSTRON5500:商品名、INSTRON社製)を用い、25℃、引張速度100mm/分の条件下で引張試験を行い、剥離強度を評価した。剥離強度が10N以上を合格として◎、8N以上10N未満を合格として○で表し、5N以上8N未満を不合格として△、5N未満を不合格として×で表した。
(4)耐水層間密着性試験
建材用シートを水道中に4週間浸漬させた。試験後、建材フィルムサンプルを取り出し、室温25℃、引張速度100mm/分の条件下で引張試験を行い、剥離強度で評価した。剥離強度が15.0N以上のものを合格として◎で表し、15.0未満のものを不合格として×で表した。
(5)耐湿度層間密着性試験
建材用シートを60℃/90℃の恒温・恒湿槽に入れ、1カ月放置した。試験後、建材用シートサンプルを取り出し、室温25℃/湿度50%にて試験後、2日間放置した後、引張試験機(INSTRON5500:商品名、INSTRON社製)を用い、25℃、引張速度100mm/分の条件下で引張試験を行い、剥離強度を評価した。剥離強度が10N以上を合格として◎、8N以上10N未満を合格として○で表し、5N以上8N未満を不合格として△、5N未満を不合格として×で表した。
(6)耐熱層間密着性試験
建材用シートを温度80℃の恒温槽に入れ、1カ月放置した。試験後、建材用シートのサンプルを取り出し、室温25℃/湿度50%にて試験後、2日間放置した後、引張試験機(INSTRON5500:商品名、INSTRON社製)を用い、25℃、引張速度100mm/分の条件下で引張試験を行い、剥離強度を評価した。剥離強度が15N以上を合格として◎で表し、15.0N未満を不合格として×で表した。◎と×の間に○と△の評価を段階的に設け、△までを合格とした。
(7)ポリカーボネートポリオールの粘度
20℃に調温したポリカーボネートポリオールを、東京計器製B型回転粘度計(形式:BH、7号ローター使用、回転数10rpmの条件)により測定した。
Figure 0004979123
Figure 0004979123
表2中、ポリカーボネートポリオールaは、「ポリ[(1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール)カーボネート](平均分子量2,000、1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=50/50(モル比)、粘度86000mPa・s)」であり、
ポリカーボネートポリオールbは、「ポリ[(3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール)カーボネート](3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=90/10(モル比)、粘度21000mPa・s)」であり、
ポリカーボネートポリオールcは、「ポリ(1,6−ヘキサメチレンジオールカーボネート)(20℃で固体)」である。
本発明の建材用シートは、水系接着剤を用いて形成した接着剤層を有するので環境安全性及び層間密着性に優れており、建築物の内装、建具の表面化粧、車両の内装等に用いられる。
本発明の建材用シートの最も単純な層構成の1例を示す断面図である。 本発明の建材用シートの一般的な層構成の1例を示す断面図である。 本発明の建材用シートの一般的な層構成の別の1例を示す断面図である。 本発明の建材用シートを、立体形状物品である被着体(裏打材)に積層した1例を示す断面図である。 本発明の建材用シートを、平板状、曲面状等の板材又はシート(或いはフィルム)に積層した1例を示す断面図である。
符号の説明
1、11、21 建材用シート
2 基材シート
3 インキ層
4 接着剤層
5 透明樹脂層
6 裏面プライマ層
7 表面保護層
8 凹凸模様
9 表面プライマ層
41 立体形状物品
51 板材

Claims (19)

  1. 基材シートと、インキ層と、接着剤層と、透明樹脂層とを少なくとも有し、当該各層を順次積層してなる建材用シートであって、該接着剤層が、
    20℃において液状であるポリカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートとを含む原料混合物を反応させることにより得られる、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂と、
    架橋剤と、
    を含む水系接着剤を用いて形成されることを特徴とする建材用シート。
  2. 基材シートと、インキ層と、接着剤層と、透明樹脂層とを少なくとも有し、当該各層を順次積層してなる建材用シートであって、該接着剤層が、
    20℃において液状であるポリカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートとを含む原料混合物を反応させた後、ヒドロキシル基を含有する第一級アミン及び/又は第二級アミンを反応させることにより得られる、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ウレタン樹脂と、
    架橋剤と、
    を含む水系接着剤を用いて形成されることを特徴とする建材用シート。
  3. 前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が、無機塩及びアルカノールアミンからなる群より選択される少なくとも1種を用いて酸性基を中和することによって得られる陰イオン性基を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の建材用シート。
  4. 前記ポリイソシアネートが、無黄変性ポリイソシアネートである請求項1又は2に記載の建材用シート。
  5. 前記架橋剤が、水性ポリイソシアネート化合物である請求項1又は2に記載の建材用シート。
  6. 前記架橋剤が、イソシアヌレート骨格を有する水性ポリイソシアネート化合物である請求項1又は2に記載の建材用シート。
  7. 前記水系接着剤中に、水性樹脂として前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂と該ポリウレタン樹脂以外の水性合成樹脂が含まれ、全水性樹脂中に占める該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の割合は25質量%以上である請求1又は2に記載の建材用シート。
  8. 前記透明樹脂層の上にさらに表面保護層が形成されてなる、請求項1乃至7の何れか1項に記載の建材用シート。
  9. 前記、透明樹脂層または表面保護層の表面に凹凸模様が形成されてなる、請求項1及至8の何れか1項に記載の建材フィルム。
  10. 前記基材シートの裏面に裏面プライマ層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の建材用シート。
  11. 前記インキ層が水系塗工剤を用いて形成されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の建材用シート。
  12. 前記表面保護層が水系塗工剤を用いて形成されていることを特徴とする請求項8乃至11の何れか1項に記載の建材用シート。
  13. 前記表面保護層が活性エネルギー線硬化性樹脂を用いて形成されていることを特徴とする請求項8乃至12の何れか1項に記載の建材用シート。
  14. 前記活性エネルギー線硬化性樹脂が電子線照射又は紫外線照射により硬化することを特徴とする請求項13に記載の建材用シート。
  15. 前記透明樹脂層と表面保護層との間に表面プライマ層が形成され、当該表面プライマ層が水系塗工剤を用いて形成されていることを特徴とする請求項8乃至14の何れか1項に記載の建材用シート。
  16. 前記裏面プライマ層が水系塗工剤を用いて形成されていることを特徴とする請求項10乃至16の何れか1項に記載の建材用シート。
  17. 前記基材シートがポリオレフィン系樹脂を用いて形成されていることを特徴とする請求項1乃至16の何れか1項に記載の建材用シート。
  18. 前記透明樹脂層がポリオレフィン系樹脂を用いて形成されていることを特徴とする請求項1乃至17の何れか1項に記載の建材用シート。
  19. 建材用フィルムの接着剤層を形成するために用いられる水系接着剤用の水性樹脂であり、20℃において液状であるカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートとを含む原料混合物を反応させることにより得られる、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂。
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