JP4979123B2 - 環境安全性および層間密着性の良好な建材用シート - Google Patents
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Description
20℃において液状であるポリカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートを含む原料混合物を反応させることにより得られる、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂と、
架橋剤と、
を含む水系接着剤を用いて形成されることを特徴とする建材用シート。
20℃において液状であるポリカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートとを含む原料混合物を反応させた後、ヒドロキシル基を含有する第一級アミン及び/又は第二級アミンを反応させることにより得られる、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ウレタン樹脂と、
架橋剤と、
を含む水系接着剤を用いて形成されることを特徴とする建材用シート
3.前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が、無機塩及びアルカノールアミンからなる群より選択される少なくとも1種を用いて酸性基を中和することによって得られる陰イオン性基を有することを特徴とする、前記1又は2に記載の建材用シート。
本発明の建材用シートにおいて、接着剤層はインキ層と透明樹脂層とを接着させるための層であり、本発明においては特に耐候性にも優れた層である。接着剤層は、20℃において液状であるポリカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートとを含む原料混合物を反応させて得られる、ヒドロキシル基を有するポリイソシアネート系ポリウレタン樹脂と、架橋剤とを含有する水系接着剤を用いて形成されている。
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は、その構造内にカーボネート基(−O−COO−)及びウレタン基(−NH−CO−O−)を有する。本発明においては、接着剤層に20℃において液状であるポリカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートとを含む原料混合物を反応させて得られる、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を用いることにより、光、湿度、水、熱に暴露されたあとであっても層間剥離強度が維持される(又は層間剥離強度の低下が少ない)建材用フィルムとなる。すなわち、耐候性において優れる建材用フィルムが得られる。このように耐候性に優れる理由は、ウレタン基により接着剤層に柔軟性と追従性が付与され、かつ、接着剤層中の内部凝集力が高くなるためと推察される。また、樹脂骨格に導入されたカーボネート基により耐候性、耐加水分解性(耐湿度性)に優れたものとなる。
上記ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂に、架橋剤を併用することにより、これらの成分を含む水系接着剤を用いて形成した接着剤層は、層間密着性、層間剥離強度、耐候性をより一層向上させることができる。
そして上記の疎水性ポリイソシアネートの中でも、特に耐候性向上の観点からイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートが好ましい。
i)他の水性樹脂:
前記水系接着剤においては、水性樹脂としてヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂だけではなく、該ポリウレタン樹脂と他の水性樹脂とを混合したものも用いることもできる。他の水性樹脂としては、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。より具体的には、例えば、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水性ポリエステル系樹脂、水性ポリアミド系樹脂、水性アミノ系樹脂、水性フェノール系樹脂、その他の水性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等も使用することができる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂変性ないし混合樹脂、その他の樹脂を使用することもできる。上記のような樹脂は一種または二種以上使用される。また、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のニトリル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド系モノマー;それらのアミド系モノマーのN−アルコキシ置換体やN−メチロール置換体;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;ジアリルフタレート、アリルグリジジルエーテル、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系モノマー;酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン等の重合性二重結合を有するモノマー;等の一種又は二種以上と、カルボキシル基を有するアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、その他等の不飽和カルボン酸の一種ないしそれ以上との共重合体からなるアルカリ溶液可溶性(メタ)アクリル系共重合体を使用することもできる。
水系接着剤には、添加剤を添加したものを用いることもできる。添加剤としては、ワックス類、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、その他等が挙げられる。
基材シートは、建材用シートにおける必須の構成であり、オレフィン系樹脂を好ましく適用できるがその種類は限定されない。例えば、(イ)主原料がハードセグメントとしての高密度ポリエチレン又はポリプロピレンのいずれかからなり、これにソフトセグメントとしてのエラストマー及び無機充填剤を添加してなる混合物を基材シートに用いることができる。また、(ロ)特開平9−111055号公報、特開平5−77371号公報、特開平7−316358号公報等に記載されるエチレン−プロピレン−ブテン共重合体を基材シートに用いることもできる。また、(ハ)特公平6−23278号公報記載のハードセグメントであるアイソタクチックポリプロピレンとソフトセグメントとしてのアタクチックポリプロピレンとの混合物を基材シートに用いることもできる。
インキ層は、建材用シートにおける必須の層であり、ベタインキ層及び/又は絵柄インキ層から構成される。ベタインキ層は、基材シートの地肌の隠蔽等の目的で設けられ、通常は模様のない全ベタ状の着色層として形成される。絵柄インキ層は、一般に、図形、文字、記号、色彩、それらの組み合わせ等により、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形等からなる模様ないし色彩を有し、ベタインキ層上に、平面状、凹凸状、凸状の層として形成される。なお、絵柄インキ層がベタインキ層の作用を兼ねる場合もあり、この場合には絵柄インキ層がベタインキ層となる。こうして形成されたベタインキ層及び/又は絵柄インキ層は、基材シート表面の全面に設けても部分的に設けても何れでもよい。また、インキ層は、基材シートの表面全面に設けたべタインキ層と、そのベタインキ層の表面に部分的に設けた絵柄インキ層とから構成することもできる。その形成材料としては、従来より建材用シートのインキ層の形成に用いられてきた適宜の材料を特に制限無く使用できる。このインキ層の形成材料としては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂、これらの樹脂を混合したものなどを用いた水系または溶剤系塗工剤が挙げられる。
透明樹脂層は、トップ樹脂層ともいわれ、インキ層を擦り傷等から保護したり、建材用シートの表面強度を向上させたり、塗装感を付与すること等を目的として、接着剤層を介してインキ層上に積層される。
表面保護層は、トップコート層またはオーバープリント層(OP層)ともいわれ、凹凸模様の表面を被って、建材用シートを保護することを目的として設けられるものである。
本発明の建材用シートにおいては、透明樹脂層と表面保護層との間にプライマ層(表面プライマ層と称す)が設けられていることが好ましい。表面プライマ層は、透明樹脂層と表面保護層との密着性を向上させる役割を有するものである。特に、表面保護層が無溶剤活性エネルギー線硬化性樹脂で形成される場合に好ましく適用され、表面保護層が活性エネルギー線で硬化する際の収縮を吸収する効果(追従性)がある。その結果、表面保護層の硬化時に発生する歪みに基づく層間剥離の問題を解決することができ、透明樹脂層と表面保護層との密着性を向上させることができる。
裏面プライマ層は、本発明の建材用シートを各種の被着体に接着させ易くすることを目的として、基材シートの裏面側に形成される。裏面プライマ層の形成には、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が使用されるが、上述したインキ層や接着剤層を形成するのに好ましく採用される水系塗工剤を用いることが環境安全性の観点から好ましい。
上述の構成を有する本発明の建材用シートは、他の被着体(裏打材)に積層して用いられる。
実施例1で製造される建材用シートの層構成を図2に示す。図2において、11は実施例1の建材用シートを示す。該建材用シート11は、基材シート2の一方の面上にインキ層3と、接着剤層4と、透明樹脂層5と表面保護層がこの順序で積層されており、さらに、基材シート2のもう一方の面上に裏面プライマ6が積層されている。
基材シート2として厚み60μmのポリプロピレン系エラストマー着色シートを用い、その上にコロナ放電処理を施した後、一方の面に裏面プライマ層用水系塗工液(ウレタン樹脂―イソシアネート硬化系2液)を線数54線/インチ、版深40μmのグラビア版を用いてグラビア印刷法にて塗布、乾燥し、約2g/m2の裏面プライマ層6を形成した。
前記工程で得られた裏面プライマ層6が形成された基材シート2の裏面プライマ層6側とは反対のもう一方の片面に対してコロナ放電処理を施した後、線数54線/インチ、版深40μmのグラビア版を用いて下記配合のベタインキ層用水系塗工剤A、絵柄インキ層用水系塗工剤Bを順次グラビア印刷法にて塗布・乾燥することにより、ベタインキ層および絵柄インキ層を形成してインキ層3とした。
水性ウレタン系白色インキ(オーデWKE(商品名)、ザ・インクテック株式会社製) 100質量部
水分散性イソシアヌレート結合含有イソシアヌレート架橋剤(AQ100(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製) 10質量部
水 20質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
水性ウレタン系黄色インキ(オーデWKE黄(商品名)、ザ・インクテック株式会社製) 100質量部
水 20質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
前記工程で形成されたインキ層3上に、線数54線/インチ、版深40μmのグラビア版を用いて、下記のヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aと、水性イソシアネート系化合物とを混合した水系接着剤を、グラビア印刷法にて塗布・乾燥し、3g/m2の接着剤層4を形成した。
撹拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹込み管を備えた4ツ口フラスコに、下記の成分A−1、成分B−1、成分C−1、成分D−1と反応触媒および溶剤を加え、80℃で約4時間反応させ、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量1.3質量%のプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。
成分B−1: ポリ[(1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール)カーボネート](平均分子量2,000、1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=50/50(モル比):粘度86000mPa・s) 282.4g
成分C−1: 1,6−ヘキサンジオール 5.2g
成分D−1: 2,2−ジメチロールブタン酸 17.8g
反応触媒:トリエチレンジアミン 0.05g
溶剤: メチルエチルケトン 100g
成分E−1: 水酸化ナトリウム 4.8g
成分F: 水 710g
成分G: エチレンジアミン 2.7g
成分H: ジエタノールアミン 6.4g
下記の成分を配合して水系接着剤を作製した。
前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物a 100g
水性ポリイソシアネート化合物(NKアシストIS−100N(商品名)、日華化学株式会社製、イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネートに親水性基を導入した化合物、固形分100質量%) 6g
前記工程で形成された接着剤層4上に、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂からなる1層目の膜厚が10μmとなるように、且つ、ランダム共重合ポリプロピレンに、フェノール系酸化防止剤0.2質量%、ヒンダードアミン系安定剤0.3質量%、ブロッキング防止剤0.2質量%をそれぞれ添加した樹脂からなる2層目の膜厚が70μmとなるように、且つ接着剤層4側がマレイン酸変性ポリプロピレンの層と接するようにTダイにて220℃で、オゾン照射下で共押出して約80μmの透明樹脂層5を積層した。
前記工程で形成された透明樹脂層5の表面に、約160℃で熱エンボス加工により凹凸模様8を形成し、さらにその上に、線数54線/インチ、版深40μmのグラビア版を用いて、表面保護層用の水系塗工剤(ウレタン樹脂―イソシアネート硬化系2液)をグラビア印刷法にて塗布・乾燥し、約5g/m2 の表面保護層7を形成した。
実施例2で製造される建材用シートの層構成を図3に示す。実施例2の建材用シート21は、実施例1の建材用シートの製造において、透明樹脂層5と表面保護層7の間に、表面プライマ層9を設けたものである。
実施例3で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例2と同様に図3に示される。実施例3は、実施例2の建材用シートの製造において、基材シート2をポリプロピレン系エラストマー着色シートに代えて、厚み60μmポリエチレン系着色シートE9(商品名、大倉工業株式会社製)を用いた以外は、実施例2同様にして、建材用シートを得た。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
実施例4で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例4は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いる水分散物aに代えて、下記組成の水分散物bを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、成分E−1に代えて成分E−2(トリイソプロパノールアミン23.0g)を用い、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物bを得た。この分散物bにおいて、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。この水分散物bを調製するための原料組成を下記表2に示す。
実施例5で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例5は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いる水分散物aに代えて、下記組成の水分散物cを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリオール成分として成分B−1の他に下記に示す成分B−3を加えて、固形分37質量%の、ヒドロキシ基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物cを得た。この水分散物cにおいて、該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の、2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基(−COOH)及びカルボキシレート基(−COO- )の合計量は1.3質量%であり、ヒドロキシル基の含有量は0.5質量%であった。成分B−1と成分B−3の配合を下記に示す。
成分B−3: ポリブチレンアジペートジオール[ニッポラン4010(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、平均分子量2,000] 141.2g
この水分散物cを調製するための原料組成を下記の表2に示す。
実施例6で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例6は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物dを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリイソシアネート成分として成分A−1の他に成分A−2(ヘキサメチレンジイソシアネート)を加えて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物dを得た。この水分散物dを調製するための原料組成を下記の表2に示す。
実施例7で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例7は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物eを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリイソシアネート成分として成分A−1の他に成分A−3(イソホロンジイソシアネート)を加えて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物eを得た。この水分散物eを調製するための原料組成を下記の表2に示す。
実施例8で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例8は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物fを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリイソシアネート成分として成分A−1の代わりに成分A−3(イソホロンジイソシアネート)を用いて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物fを得た。この水分散物fを調製するための原料組成を下記表2に示す。
実施例9で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例9は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物gを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリイソシアネート成分として成分A−1の代わりに成分A−2(ヘキサメチレンジイソシアネート)及び成分A−3(イソホロンジイソシアネート)を用いて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物gを得た。この水分散物gを調製するための原料組成を下記表2に示す。
実施例10で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例10は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物hを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、プレポリマー鎖伸長剤としてC−1(1,6−ヘキサンジオール)の他に成分C−2(1,4−シクロヘキサンジメタノール[CHDM−D(商品名)、Eastman 社製])を加えて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物hを得た。この水分散物hを調製するための原料組成を下記表2に示す。
実施例11で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例11は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物iを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリオール成分として成分B−1の他に成分B−3(ポリブチレンアジペートジオール[ニッポラン4010(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、平均分子量2,000])を加え、鎖伸長剤として成分C−1(1,6−ヘキサンジオール)の他に成分C−2(1,4−シクロヘキサンジメタノール[CHDM−D(商品名)、Eastman 社製])を加えて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物iを得た。この水分散物iを調製するための原料組成を下記表2に示す。
実施例12で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例12は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物jを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、鎖伸長剤として成分C−1(1,6−ヘキサンジオール)の他に成分C−3(ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート[BHET(N):商品名、丸善ケミカル株式会社製])を加えて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物jを得た。この水分散物jを調製するための原料組成を下記表2に示す。
実施例13で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例13は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物kを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、鎖伸長剤として成分C−1(1,6−ヘキサンジオール)の他に成分C−4(トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート[タナックP(商品名)、日産化学株式会社製]を加えて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物kを得た。この水分散物kを調製するための原料組成を下記表2に示す。
実施例14で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例14は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物lを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、鎖伸長剤として成分C−1(1,6−ヘキサンジオール)の他に成分C−5(エチレン−ビス〔オキシ(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)〕ジメタクリレート[エポキシエステル40EM(商品名)、共栄社化学株式会社製]、を加えて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物lを得た。この水分散分lを調製するための原料組成を下記表2に示す。
実施例15で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例15は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物mを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリオール成分として成分B−1の代わりに成分B−2(ポリ[(3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール)カーボネート]、平均分子量3,000、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=90/10(モル比)、粘度210000mPa・s)を用いて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物mを得た。この水分散物mを調製するための原料組成を下記表2に示す。
実施例16で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。実施例16は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物nを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、酸性基を導入しえる多官能生化合物として成分D−1の代わりに成分D−2(2,2−ジメチロールプロピオン酸)を用いて、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物nを得た。この水分散物nを調製するための原料組成を下記表2に示す。
比較例1で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。比較例1は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物oを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリオール成分として成分B−1の代わりに成分B−3(ポリブチレンアジペートジオール[ニッポラン4010(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、平均分子量2,000])を用いて調製を行い、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリウレタン樹脂の水分散物nを得た。この水分散物oを調製するための原料組成を下記表2に示す。
比較例2で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。比較例2は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物pを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリオール成分として成分B−1の代わりに成分B−4(ポリプロピレングリコール[平均分子量2,000])を用いて調製を行い、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリウレタン樹脂の水分散物pを得た。この水分散物pを調製するための原料組成を下記表2に示す。
比較例3で製造される建材用シートの層構成は、前記実施例1と同様に図2に示される。比較例3は、実施例1の建材用シートの製造において、接着剤層を形成するために用いるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散物aに代えて、下記組成の水分散物qを用いた以外は同様にして建材用シートを製造した。得られた建材用シートの性質を下記の表1に示す。
前記実施例1の接着剤層4の形成に用いる水分散物aの調製において、ポリオール成分として成分B−1の代わりに成分B−5(ポリ(1,6−ヘキサメチレンジオールカーボネート)、平均分子量2,000、20℃で固体)を用いて調製を行い、固形分37質量%の、ヒドロキシル基を有するポリウレタン樹脂の水分散物qを得た。この水分散物qを調製するための原料組成を下記表2に示す。
引張試験機(INSTRON5500:商品名、INSTRON社製)を用い、25℃引張速度100mm/分の条件下で引張試験を行った。引張強度は、建材用シートの基材シートと、透明樹脂層との間の開き角180°の条件下で引張試験したときの強度で評価した。
上記(1)の剥離試験において、剥離強度が19.6N以上のものを合格として◎で表し、19.6未満のものを不合格として×で表した。
アイスーパーUVテスター(商品名、岩崎電気株式会社製)を用い、照度60mW/cm2 、光源からの距離240mm、照射スペクトル帯域295〜450mmからなる紫外線を、建材用シートの表面保護層側に20時間照射(ブラックパネル温度63℃、湿度50%)し、暗所下4時間(ブラックパネル温度30℃、湿度98%)のサイクル条件で4サイクル(96時間)で試験した(以下、耐候性促進試験という)。試験後、建材用シートサンプルを取り出し、室温25℃/湿度50%にて試験後2時間放置した後、引張試験機(INSTRON5500:商品名、INSTRON社製)を用い、25℃、引張速度100mm/分の条件下で引張試験を行い、剥離強度を評価した。剥離強度が10N以上を合格として◎、8N以上10N未満を合格として○で表し、5N以上8N未満を不合格として△、5N未満を不合格として×で表した。
建材用シートを水道中に4週間浸漬させた。試験後、建材フィルムサンプルを取り出し、室温25℃、引張速度100mm/分の条件下で引張試験を行い、剥離強度で評価した。剥離強度が15.0N以上のものを合格として◎で表し、15.0未満のものを不合格として×で表した。
建材用シートを60℃/90℃の恒温・恒湿槽に入れ、1カ月放置した。試験後、建材用シートサンプルを取り出し、室温25℃/湿度50%にて試験後、2日間放置した後、引張試験機(INSTRON5500:商品名、INSTRON社製)を用い、25℃、引張速度100mm/分の条件下で引張試験を行い、剥離強度を評価した。剥離強度が10N以上を合格として◎、8N以上10N未満を合格として○で表し、5N以上8N未満を不合格として△、5N未満を不合格として×で表した。
建材用シートを温度80℃の恒温槽に入れ、1カ月放置した。試験後、建材用シートのサンプルを取り出し、室温25℃/湿度50%にて試験後、2日間放置した後、引張試験機(INSTRON5500:商品名、INSTRON社製)を用い、25℃、引張速度100mm/分の条件下で引張試験を行い、剥離強度を評価した。剥離強度が15N以上を合格として◎で表し、15.0N未満を不合格として×で表した。◎と×の間に○と△の評価を段階的に設け、△までを合格とした。
20℃に調温したポリカーボネートポリオールを、東京計器製B型回転粘度計(形式:BH、7号ローター使用、回転数10rpmの条件)により測定した。
ポリカーボネートポリオールbは、「ポリ[(3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール)カーボネート](3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=90/10(モル比)、粘度21000mPa・s)」であり、
ポリカーボネートポリオールcは、「ポリ(1,6−ヘキサメチレンジオールカーボネート)(20℃で固体)」である。
2 基材シート
3 インキ層
4 接着剤層
5 透明樹脂層
6 裏面プライマ層
7 表面保護層
8 凹凸模様
9 表面プライマ層
41 立体形状物品
51 板材
Claims (19)
- 基材シートと、インキ層と、接着剤層と、透明樹脂層とを少なくとも有し、当該各層を順次積層してなる建材用シートであって、該接着剤層が、
20℃において液状であるポリカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートとを含む原料混合物を反応させることにより得られる、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂と、
架橋剤と、
を含む水系接着剤を用いて形成されることを特徴とする建材用シート。 - 基材シートと、インキ層と、接着剤層と、透明樹脂層とを少なくとも有し、当該各層を順次積層してなる建材用シートであって、該接着剤層が、
20℃において液状であるポリカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートとを含む原料混合物を反応させた後、ヒドロキシル基を含有する第一級アミン及び/又は第二級アミンを反応させることにより得られる、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ウレタン樹脂と、
架橋剤と、
を含む水系接着剤を用いて形成されることを特徴とする建材用シート。 - 前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が、無機塩及びアルカノールアミンからなる群より選択される少なくとも1種を用いて酸性基を中和することによって得られる陰イオン性基を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の建材用シート。
- 前記ポリイソシアネートが、無黄変性ポリイソシアネートである請求項1又は2に記載の建材用シート。
- 前記架橋剤が、水性ポリイソシアネート化合物である請求項1又は2に記載の建材用シート。
- 前記架橋剤が、イソシアヌレート骨格を有する水性ポリイソシアネート化合物である請求項1又は2に記載の建材用シート。
- 前記水系接着剤中に、水性樹脂として前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂と該ポリウレタン樹脂以外の水性合成樹脂が含まれ、全水性樹脂中に占める該ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の割合は25質量%以上である請求1又は2に記載の建材用シート。
- 前記透明樹脂層の上にさらに表面保護層が形成されてなる、請求項1乃至7の何れか1項に記載の建材用シート。
- 前記、透明樹脂層または表面保護層の表面に凹凸模様が形成されてなる、請求項1及至8の何れか1項に記載の建材フィルム。
- 前記基材シートの裏面に裏面プライマ層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の建材用シート。
- 前記インキ層が水系塗工剤を用いて形成されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の建材用シート。
- 前記表面保護層が水系塗工剤を用いて形成されていることを特徴とする請求項8乃至11の何れか1項に記載の建材用シート。
- 前記表面保護層が活性エネルギー線硬化性樹脂を用いて形成されていることを特徴とする請求項8乃至12の何れか1項に記載の建材用シート。
- 前記活性エネルギー線硬化性樹脂が電子線照射又は紫外線照射により硬化することを特徴とする請求項13に記載の建材用シート。
- 前記透明樹脂層と表面保護層との間に表面プライマ層が形成され、当該表面プライマ層が水系塗工剤を用いて形成されていることを特徴とする請求項8乃至14の何れか1項に記載の建材用シート。
- 前記裏面プライマ層が水系塗工剤を用いて形成されていることを特徴とする請求項10乃至16の何れか1項に記載の建材用シート。
- 前記基材シートがポリオレフィン系樹脂を用いて形成されていることを特徴とする請求項1乃至16の何れか1項に記載の建材用シート。
- 前記透明樹脂層がポリオレフィン系樹脂を用いて形成されていることを特徴とする請求項1乃至17の何れか1項に記載の建材用シート。
- 建材用フィルムの接着剤層を形成するために用いられる水系接着剤用の水性樹脂であり、20℃において液状であるカーボネートポリオールを含む多官能性化合物とポリイソシアネートとを含む原料混合物を反応させることにより得られる、ヒドロキシル基を有するポリカーボネート系ポリウレタン樹脂。
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