以下、本発明の化粧シート及びその製造方法について、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の化粧シート1の層構成の一例を示す断面図である。図1に示す本発明の化粧シート1は、基材シート2、ベタインキ層3と絵柄インキ層4とからなるインキ層11、接着剤層5、透明樹脂層6、凹凸模様7、着色層8、表面保護層9が順次積層された形態であり、基材シート2の裏面には裏面プライマー層10を更に備えている。
(基材シート)
基材シート2は、化粧シート1における必須の構成であり、オレフィン系樹脂を好ましく適用できるがその種類は限定されない。例えば、(イ)主原料がハードセグメントとしての高密度ポリエチレン又はポリプロピレンのいずれかからなり、これにソフトセグメントとしてのエラストマー及び無機充填剤を添加してなる混合物を基材シート2に用いることができる。また、(ロ)特開平9−111055号公報、特開平5−77371号公報、特開平7−316358号公報等に記載されるエチレン−プロピレン−ブテン共重合体を基材シート2に用いることもできる。また、(ハ)特公平6−23278号公報に記載されているハードセグメントとしてのアイソタクチックポリプロピレンとソフトセグメントとしてのアタクチックポリプロピレンとの混合物を基材シート2に用いることもできる。
前記(イ)のオレフィン系樹脂におけるハードセグメントとしての高密度ポリエチレンとしては、好ましくは、比重が0.94〜0.96のポリエチレンであって、低圧法で得られる結晶化度が高く、分子に枝分かれ構造の少ない高分子である高密度ポリエチレンが用いられる。また、ハードセグメントとしてのポリプロピレンとしては、好ましくはアイソタクチックポリプロピレンが用いられる。
前記(イ)のソフトセグメントとしてのエラストマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等が用いられる。水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、ポリオレフィン系樹脂の結晶化を抑えて、その柔軟性を向上させる。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等が挙げられる。オレフィンエラストマーとしては、2種類又は3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種類加えた弾性共重合体であり、オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィンエラストマーとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。なお、これらのエラストマーは、必要に応じて有機過酸化物、硫黄等の架橋剤を用いて、過重架橋させてもよい。
これらエラストマーの添加量としては、10〜60重量%(本願において、「重量%」は「質量%と同義である。)、好ましくは30重量%程度である。添加量が10重量%未満では、一定荷重伸度の変化が急峻になり過ぎ、また、破断時伸度、耐衝撃性、易接着性の低下が生じ、一方、添加量が60重量%を超えると、透明性、耐候性及び耐クリープ性の低下が生ずる。
前記(イ)の無機充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の平均粒径0.1〜10μm程度の粉末が用いられる。添加量としては、1〜60重量%程度、好ましくは5〜30重量%程度である。添加量が1重量%未満では、耐クリープ変形性及び易接着性の低下が生じ、添加量が60重量%を超えると、破断時伸度及び耐衝撃性の低下が生じる。
前記(ロ)のオレフィン系樹脂としては、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑性エラストマーが用いられる。ここで、ブテンとしては、1ブテン、2ブテン、イソブチレンの3種の構造異性体のいずれも用いることができる。共重合体としては、ランダム共重合体であって、非晶質の部分を一部含む。
上記エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂の好ましい具体例としては、次の(a)〜(c)が挙げられる。
(a)特開平9−111055号公報に記載されているエチレン、プロピレン及びブテンの3元共重合体によるランダム共重合体。単量体成分の重量比率はプロピレンが90重量%以上であり、メルトフローレートは、230℃、2.16kgの条件下で1〜50g/10分であることが好ましい。このような3元ランダム共重合体100重量部に対して、上記ランダム共重合体は、燐酸アリールエステル化合物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50重量部、炭素数12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3重量部を溶融混練してなるものである。(b)特開平5−77371号公報に記載されているエチレン、プロピレン及びブテンの3元共重合体であって、プロピレン重量比率が50重量%以上の非晶質重合体20〜100重量%に、結晶質ポリプロピレンを80〜0重量%添加してなるエチレン・プロピレン・ブテン共重合体。(c)特開平7−316358号公報に記載されているエチレン、プロピレン、1ブテンの3元共重合体であって、プロピレン及び/又は1ブテン含有率が50重量%以上の低結晶質重合体20〜100重量%に、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィン80〜0重量%を混合した組成物に対して、Nアシルアミノ酸アミン塩、Nアシルアミノ酸エステル等の油ゲル化剤を0.5重量%添加したエチレン・プロピレン・ブテン共重合体。
上記(a)〜(c)のエチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂は、単独で用いてもよいし、該エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂に必要に応じてさらに他のポリオレフィン樹脂を混合して用いてもよい。
前記(ハ)のオレフィン系樹脂としては、特公平6−23278号公報に記載されていおる(A)ソフトセグメントとして数平均分子量Mnが25000以上、且つ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶なアタクチックポリプロピレン10〜90重量%と、(B)ハードセグメントとしてのメルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタクチックポリプロピレン90〜10重量%との混合物からなる軟質ポリプロピレンが挙げられる。
上記(ハ)のオレフィン系熱可塑性エラストマーの中でも、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合物からなり、且つアタクチックポリプロピレンの重量比率が5〜50重量%のものが好ましく、アタクチックポリプロピレンの重量比率が20〜40重量%のものが特に好ましい。アタクチックポリプロピレンの重量比率が5重量%未満では、エンボス加工をしたり、3次元形状や凹凸形状の物品に成形加工したりする際にネッキングによる不均一なシートの変形や、その結果としての皺、絵柄の歪み等が生ずる。一方、アタクチックポリプロピレンの重量比率が50重量%を超えると、シート自体が変形し易くなり、シートを印刷機に通した時にシートが変形し、インキ層11の絵柄の歪み、多色刷の場合に見当が合わなくなる等の不良が発生し易くなり、成形時においてはシートが破れ易くなる。
基材シート2を形成する上述のオレフィン系樹脂中には、必要に応じて、着色剤、熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤等が添加される。
着色剤としては、チタン白、亜鉛華、べんがら、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛若しくはカーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R若しくはフタロシアニンブルー等の有機顔料、染料、アルミニウム若しくは真鍮等の箔粉からなる金属顔料、又は、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられる。また、必要に応じて、無機充填剤を添加してもよく、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、シリカ(二酸化ケイ素)、アルミナ(酸化アルミニウム)等の粉末等が挙げられ、その添加量は、通常、5〜60重量%である。着色剤は、基材シート2に化粧シート1として必要な色彩を持たせるために添加され、透明着色と不透明(隠蔽)着色のいずれでも構わないが、一般的には被着体を隠蔽するために不透明着色が好ましい。
熱安定剤としては、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フィスファイト系、アミン系等を使用でき、熱加工時の熱変色等の劣化の防止の向上を図る場合に用いられる。難燃剤は、難燃性を付与する場合に添加され、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の粉末が用いられる。紫外線吸収剤は、樹脂により良好な耐候性(耐光性)を付与するためのものであり、ベンゾトリアソール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等の有機物、又は、0.2μm径以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物が用いられる。その他に、ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入した反応型紫外線吸収剤も用いられる。尚、これらの紫外線吸収剤の添加量は、通常0.5〜10重量%程度である。ラジカル捕捉剤は、紫外線による劣化を更に防止し、耐候性を向上させるためのものであり、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジニル)セバケート、その他、例えば特公平4−82625号公報に開示されている化合物等のヒンダード系ラジカル捕捉剤、ビペリジニル系ラジカル捕捉剤等が使用される。
基材シート2は、上述した材料を任意に選択してブレンドしたものをカレンダー加工等の常用の方法により製膜して得ることができる。基材シート2の厚さは50〜200μm、好ましくは100μm程度である。
基材シート2の片面又は両面には、易接着層の塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、火炎処理等の易接着処理を施すことが好ましい。易接着層(プライマー層又はアンカー層ともいう。)としては、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ポリエチレンを使用することができる。
なお、上述したポリオレフィン系樹脂からなる基材シート2の他に、ポリエステルやビニロン等の有機樹脂等を用いた織布又は不織布、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体若しくはエチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート若しくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル若しくはポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、又は、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、三酢酸セルロース、セロハン若しくはポリカーボネート等の樹脂からなるシート又はフィルムを用いることも可能である。また、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、上質紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙若しくはパラフィン紙等の紙、又は、そうした紙にポリ塩化ビニルをゾル塗工又はドライラミネートしたいわゆるビニル壁紙原反を用いることができる。また、ガラス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維又は炭素繊維等の無機質繊維からなるシートやフィルムを用いることも可能である。また、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼又は銅等の金属箔等を用いることもできる。さらに、こうした各基材材料を複数積層させたものを、基材シート2として用いることも可能である。
(インキ層)
インキ層11は、化粧シート1における必須の層であり、ベタインキ層3及び/又は絵柄インキ層4から構成される。
ベタインキ層3は、図1に示すように、基材シート2の地肌の隠蔽等の目的で設けられ、通常は模様のない全ベタ状の着色層として形成される。絵柄インキ層4は、一般に、図形、文字、記号、色彩又はそれらの組み合わせ等により、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様又は幾何学図形等からなる模様ないし色彩を有し、ベタインキ層3上に、平面状、凹凸状又は凸状(図1を参照。)の層として形成される。なお、絵柄インキ層4がベタインキ層3の作用を兼ねる場合もあり、この場合には、絵柄インキ層4がベタインキ層3となる。
ベタインキ層3及び/又は絵柄インキ層4からなるインキ層11は、基材シート2表面の全面に設けられていても部分的に設けられていてもよい。また、インキ層11は、図1に示すように、基材シート2の表面全面に設けたべタインキ層3と、そのベタインキ層3の表面に部分的に設けた絵柄インキ層4とから構成することもできる。
本発明においては、ベタインキ層3及び絵柄インキ層4のいずれか一方又は両方が、塗工剤配合作業の温度及び/又は塗工工程の温度では解離し難いブロック剤としての化合物を遊離イソシアネート基に結合させたブロックイソシアネート基を1分子中に2個以上持つ水性化合物(以下、ブロックイソシアネート化合物ともいう。)と、1分子中に2個以上のカルボジイミド基を持つ水性化合物(以下、カルボジイミド化合物ともいう。)とを含有する水性塗工剤で形成されることが好ましい。すなわち、本発明は、前記のブロックイソシアネート基を持つ水性化合物及び前記のカルボジイミド基を持つ水性化合物を含有する水性塗工剤を好ましく使用し、その水性塗工剤を塗布・乾燥してインキ層11を形成することが好ましい。こうした水性塗工剤は、VOCの使用を減少させるので、作業環境中又は生活空間中へのVOCの発生を抑制することができ、作業環境の安全性や生活空間の安全性をより向上させることができる。
こうした水性塗工剤でベタインキ層3及び絵柄インキ層4からなるインキ層11を形成すると、インキ層11に隣接する層(基材シート2又は接着剤層5)との間の界面の密着性が向上し、また、本発明の所期の目的である化粧シート1の層間密着性の向上を達成することができる。
架橋剤として使用されるブロックイソシアネート化合物は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を持つ水性化合物であって、当該水性化合物の持つ遊離イソシアネート基に、ブロック剤として化合物を結合させたものであることに特徴があり、そのブロック剤としての化合物は、水性塗工剤の配合作業及び/又は塗工工程の温度では遊離イソシアネート基から解離し難い化合物であることに特徴がある。また、そのブロック剤としての化合物は、透明樹脂層の形成時及び/又は形成後に加わる熱で遊離イソシアネート基から解離し易いことが好ましい。
1分子中に2個以上のイソシアネート基を持つ水性化合物としては、水又は水とアルコール等とからなる混合溶媒に溶解又は均一に分散する水分散性のものであれば特に限定されないが、実用上効果的な水性化合物としては、多価イソシアネートを親水性処理したものが好ましく用いられる。親水性処理される多価イソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート化合物と活性水素基含有化合物との反応による末端イソシアネート基含有化合物、あるいはジイソシアネート化合物の反応による末端イソシアネート基含有化合物等にさらに親水性基を導入した化合物を挙げることができる。ジイソシアネート化合物と活性水素基含有化合物との反応による末端イソシアネート基含有化合物、あるいはジイソシアネート化合物の反応による末端イソシアネート基含有化合物等の例としては、ウレタン構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物、ウレア構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物、ウレトジオン構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物、イソシアヌレート構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物、カルボジイミド構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物、ウレトンイミン構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物、ビウレット構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物、アロファネート構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物及びこれらの混合物等が挙げることができる。特に、イソシアヌレート構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物が好ましい。
上記ジイソシアネート化合物の例としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等及びこれらの異性体からなる芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート及びこれらの混合物等が挙げることができ、特に脂肪族、脂環式及びこれらの混合物が好ましい。
本発明において、上記の水性化合物の分子中のイソシアネート基の数としては、2個以上存在することが必要である。一方、分子中のイソシアネート基の数が多すぎる場合には、それによって決定的な弊害が生じるわけではないが、一般に、形成された層の可とう性が劣り、層間密着性が低下することがある。従って、分子中のイソシアネート基の数の範囲については、必ずしも厳密には定義し難いが、通常、2〜10程度、好ましくは2〜6程度である。
ブロック剤としての化合物としては、例えば、ピラゾール系、フェノール系、アルコール系、活性エステル系、活性メチレン系、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、ラクタム系、イミダゾール系、尿素系、オキシム系、アミン系及びイミド系の化合物の群から選択される1の化合物が挙げられる。特に、ピラゾール系、活性エステル系、活性メチレン系、アミン系の化合物が好ましい。具体例としては、1,2−ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、2−ヒドロキシピリジン、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、2−エチルヘキサノール、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、アセトアニリド、酢酸アミド、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ジフェニルアミン、ジイソプロピルアミン、アニリン、カルバゾール、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
こうした化合物は、水性塗工剤の工程温度では遊離イソシアネート基から解離し難いので、水との反応を抑制することができ、さらに、こうした化合物は、透明樹脂層の形成時及び/又は形成後に加わる熱では遊離イソシアネート基から解離し易いので、反応性の高い遊離イソシアネート基が現れ、架橋反応が促進してウレタン結合化が効率的に進行する。
すなわち、イソシアネート基を持つ化合物を架橋剤として用いた場合には、塗工剤配合後から塗工工程中にも水との反応が促進し、時間の経過とともに塗工剤中のイソシアネート基が溶媒である水と反応して消失し、架橋剤としての三次元架橋の作用が減退するため、又は、塗工剤自体がゲル化して塗工できなくなることから、得られる水性塗工剤のポットライフが短くなるという問題が生じていたが、遊離イソシアネート基にブロック剤を結合させておけば、水との反応を抑制することができる一方、かかるブロック剤を外部からの熱で解離させ、架橋反応を開始させることができるので、ポットライフを自在に変化させることができる。したがって、上記水性塗工剤は、架橋剤としての作用が阻害され難く安定であるので、調製直後に使用しなくとも十分な架橋反応が可能となる。その結果、安定した塗工作業を可能とし、基材シート2と透明樹脂層6との層間密着性、及びインキ層11に隣接する層(基材シート2及び接着剤層5)との間の界面の密着性を安定させることができる。また、特に、インキ層11においては、従来、ポットライフが短いことにより塗工剤を作り置きすることができず、順次作り直す必要があり、それぞれの色を合わせることが難しいという問題があった。また、溶剤である水との反応により、減少するイソシアネート基の量を考慮に入れて、あらかじめイソシアネート基を持つ化合物の添加量を増量すると、塗工液の固形分中の顔料/バインダー比が減少するため、色濃度が減少し、ベタインキ層3では隠蔽性が低下し、絵柄インキ層4では色再現能が低下するという問題があった。このことは化粧シート1の意匠性を著しく低下させる要因となるものであるが、本発明によってポットライフが長くなることにより、このような問題を解消することができる。
ブロック剤としての化合物の解離が起こり易くなる温度は、遊離イソシアネートに結合したブロック剤としての化合物の種類によって任意に調節される。このとき、ブロック剤としての化合物の解離が起こり易くなる温度が高すぎると、透明樹脂層の形成時及び/又は形成後に加わる熱によっても十分に解離が起こらないので、反応性の高いイソシアネート基が現れず、架橋反応の進行が妨げられる。その結果、形成されたインキ層11及び/又は接着剤層5に十分な密着強度を付与することができないことがある。一方、ブロック剤としての化合物の解離が起こり易くなる温度が低すぎると、その水性塗工剤の配合作業や塗工工程等のような水性塗工液を通常取り扱う温度(以下、工程温度とも言う。)でも容易に解離することとなるので、現れた遊離イソシアネート基が水性塗工剤中の水成分と反応して、ポットライフが短くなり、また、耐熱性の低下をもたらすウレア結合が生成され易くなる。その結果、密着性、意匠性及び耐熱性に乏しいベタインキ層3や接着剤層5が形成されることがある。
ブロック剤としての化合物の解離が起こり易くなる好ましい温度は、水性塗工剤の工程温度よりも高い温度であればよい。そして、水性塗工剤の工程温度に対応して、所定の温度で解離が起こり易くなる化合物が選定され、その所定の温度に対応して、透明樹脂層の形成時及び/又は形成後に加える熱及びその熱量が選択され所定の温度が印加される。
例えば、水性塗工剤の工程温度の上限が40℃である場合には、選定されたブロック剤としての化合物の解離が起こり易くなる温度は、最低でも40℃を超える温度、より好ましくは、工程温度よりも約20℃以上高い温度である。透明樹脂層6の形成時及び/又は形成後に加える熱及びその熱量は、そうした温度に到達するように印加される。一般的には、水性塗工剤の工程温度において40℃を超える熱のかかる工程はほとんどないので、40℃以上で解離するように設定しておけばよい。
透明樹脂層6の形成時及び/又は形成後に加わる熱としては、透明樹脂層6の溶融押出し時の熱、透明樹脂層6のドライラミネーション時の熱及び表面保護層9の表面への凹凸模様形成時の熱から選択される1又は2以上の熱であることが好ましいが、これらのうち特に好ましいのは、その熱量の点から、透明樹脂層6の溶融押出し時の熱である。
透明樹脂層6の溶融押出し時の熱は、通常、200℃を超える温度で樹脂が溶融押出しされ、張り合わせの際には150〜170℃程度に加熱された状態となる。そのため、透明樹脂層6の溶融押出し時の熱が加わる場合には、例えば、化合物の解離が起こり易くなる温度を約40〜170℃という広い範囲で設定することができ、それに対応して反応させる化合物が選定される。
透明樹脂層6のドライラミネーション時の熱は、通常、70〜80℃程度に加熱された状態となる。そのため、透明樹脂層6のドライラミネーション時の熱が加わる場合には、例えば、ブロック剤としての化合物の解離が起こり易くなる温度を約40〜70℃という範囲で設定することができ、それに対応して反応させるブロック剤としての化合物が選定される。
表面保護層9の表面への凹凸模様形成時の熱は、通常、化粧シート表面の温度で140〜250℃程度に加熱された状態となる。そのため、表面保護層9の表面への凹凸模様形成時の熱が加わる場合には、例えば、ブロック剤としての化合物の解離が起こり易くなる温度を約40〜250℃という範囲で設定することができ、それに対応して反応させるブロック剤としての化合物が選定される。
なお、透明樹脂層6の溶融押出し時の熱を単独で用いてもよく、表面保護層9の表面に凹凸模様を形成する場合にはその際の熱と併用して用いてもよい。また、透明樹脂層6のドライラミネーション時の熱を用いる場合には、熱量がやや不足するので、表面保護層9の表面に凹凸模様を形成する際の熱と併用することが望ましい。
1分子中に2個以上のカルボジイミド基を持つ水性化合物としては、水又は水とアルコール等とからなる混合溶媒に溶解又は均一に分散する水分散性のものであれば特に限定されないが、「1分子中に2個以上のイソシアネート化合物」(A)を脱二酸化炭素縮合反応させて得られた化合物の末端イソシアネート基に、「1官能の水溶性又は水分散性化合物」(B)を結合させて生成されるカルボジイミド化合物を主成分とするものが挙げられる。
(A)のイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、1,12−ジイソシアネートドデカン(DDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、及び2,4−ビス−(8−イソシアネートオクチル)−1,3−ジオクチルシクロブタン(OCDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)から選ばれる化合物を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このうち脂肪族イソシアネート化合物及び脂環式イソシアネート化合物を単独で又は2種以上を組み合わせで使用することが好ましい。
(B)の一官能の水溶性又は水分散性有機化合物としては、カルボジイミド化合物に水溶性及び水分散性を付与するためのものであり、上記イソシアネートから誘導されたカルボジイミド化合物の末端イソシアネート基と反応し、封鎖する一官能性のものである。このような水溶性又は水分散性有機化合物としては、イソシアネート基と反応し得る基(官能基)、例えばOH基、COOH基、NH2基、SO3H基等を1個有し、水に溶解乃至は分散し得るものであればいずれのものでもよい。具体的には、ノニオン系の官能基(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の好ましくは末端にそれぞれのOH基を持つ二官能の水溶性又は水分散性有機化合物のモノアルキルエステル、モノアルキルエーテル)、カチオン系の官能基(例えば窒素を含む基)、又はアニオン系の官能基(例えばスルホニル基を含む基)、を持つ一官能の有機化合物等が挙げられる。特に、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のノニオン系のものが好ましい。
上記1分子中に2個以上カルボジイミド基を持つ化合物の平均官能基数は2〜15であることが好ましく、3〜12がより好ましい。平均官能基数が2未満の場合は、親水性が増すため、耐水性や耐湿熱性が悪くなったり、層中への水の呼び込みにより耐候性の向上をし難くする。また、平均官能基数が15を超えると、水に溶解又は分散し難くなるため、塗工液としての安定性が悪くなる。
層中のカルボジイミド基の定性は、主に赤外分光法にて行なわれ、カルボジイミド基は2130cm−1付近の吸収を特徴的に示す。具体的には、化粧シートをメスで切削し、所望の層の部分を取り出して顕微IRにより測定する方法、又は、化粧シートサンプルを斜めに切削し、顕微IRで所望の層を測定する方法等で確認できる。なお、測定には、例えば、Spectra-Tech社製の走査型顕微赤外分光装置(IRμs/SIRM)等を使用することができる。同様にして、イソシアネート基の定性は、主に赤外分光法にて行なわれ、イソシアネート基は2270cm−1付近の吸収を特徴的に示す。工程温度にて解離したイソシアネート基は解離温度での反応性が高いため、加熱工程投入後の直後に測定する等の工夫が必要となる。
カルボジイミド基の一部はベタインキ層3、絵柄インキ層4、及び/又は後述の接着剤層5中で残存していることが好ましく、ベタインキ層3、絵柄インキ層4、接着剤層5のすべての層に残存していることがより好ましい。
本発明において、イソシアネート基を持つ水性化合物は架橋剤として作用しており、イソシアネート基は活性水素基との反応性が高く、ベタインキ層3及び絵柄インキ層4等の樹脂成分が充分架橋される。また、基材シート2が表面に活性水素基等の反応性基を有する場合は、界面とイソシアネート基が反応し、基材シート2との密着性が向上する。その結果、得られる化粧シート1は、ベタインキ層3等を介して形成されている基材シート2との密着性、及び、隣接する層(基材シート2や接着剤層5)との界面の密着性が向上する。
更に、カルボジイミド基を持つ水性化合物は、ベタインキ層3、絵柄インキ層4、接着剤層5中でカルボジイミド基が残存していることがより好ましい。また、反応性は乏しいが、第1級アミン及び第2級アミンやカルボキシル基及びスルホン酸基等のアニオン系親水性基と反応し、層中で親水性基が減少することにより層中への水の吸収を減少する効果も期待できる。
その結果、得られる化粧シート1は、耐候試験後の基材シート2と透明樹脂層6との層間密着性が向上する。
すなわち、本発明において、ブロックイソシアネート基をもつ化合物はブロック剤が解離し、遊離イソシアネートが発生することにより、架橋剤として作用しており、初期の凝集力を向上する役割がある。劣化により強度は低減するが、初期の凝集力が高いほど、耐候試験後の層間密着強度等の耐久性が向上する。
カルボジイミド基を持つ水性化合物は耐候試験後の層間密着強度を維持する効果があり、特にカルボジイミド基が層中に残存すると、上記強度を維持する効果は顕著である。また、カルボジイミド基は水酸基と反応し難いため、上記カルボジイミド基を持つ水性化合物を用いた水性塗工剤は水とは反応し難くポットライフが長くなるという効果がある。さらに、本発明のカルボジイミド基を持つ水性化合物は、皮膚刺激性がなく、また、変異原性が陰性であるので、未反応のカルボジイミド基含有化合物が化粧シートに残留したとしても、人体への安全性の高い化合物である。
なお、接着剤層5が、塗工剤配合作業の温度及び/又は塗工工程の温度では解離し難いブロック剤としての化合物を遊離イソシアネート基に結合させたブロックイソシアネート基を1分子中に2個以上持つ水性化合物と、1分子中に2個以上のカルボジイミド基を持つ水性化合物とを含有する水性塗工剤で形成されていれば、インキ層11を他の架橋剤を含有する水性塗工剤で形成してもよい。
この場合における他の架橋剤としては、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を持つ水性化合物が挙げられる。こうした水性化合物を用いる場合には、ポットライフの点から、配合後3時間程度までに使い切る等の配慮が必要となる。また、こうした水性化合物としては、水又は水とアルコール等とからなる混合溶媒に溶解又は均一に分散する水分散性のものであれば特に限定されないが、実用上効果的な水性化合物としては、多価イソシアネートを親水性処理したものが好ましく用いられる。親水性処理される多価イソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート化合物と活性水素基含有化合物との反応による末端イソシアネート基含有化合物、あるいはジイソシアネート化合物の反応による末端イソシアネート基含有化合物等にさらに親水性基を導入した化合物を挙げることができる。ジイソシアネート化合物と活性水素基含有化合物との反応による末端イソシアネート基含有化合物、あるいはジイソシアネート化合物の反応による末端イソシアネート基含有化合物等の例としては、ウレタン構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物、ウレア構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物、ウレトジオン構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物、イソシアヌレート構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物、カルボジイミド構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物、ウレトンイミン構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物、ビウレット構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物、アロファネート構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物及びこれらの混合物等が挙げることができる。特に、イソシアヌレート構造をもつ末端イソシアネート基含有化合物が好ましい。
ベタインキ層3や絵柄インキ層4に使用される水性塗工剤には、水性樹脂、着色顔料や染料等の着色剤が配合される。また、ワックス類、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、その他等の添加剤を任意に添加し、水又は水とアルコール等とからなる水性の混合溶媒を使用し、ミキサー等で十分に混合して、水性塗工剤が調製される。
水性の樹脂成分としては、従来公知の水性樹脂を用いることができ、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性ウレタンアクリル樹脂、水性アクリル樹脂等が好ましい。また、水性樹脂には、乳化剤を用いて水に溶解・分散する強制乳化型の水性樹脂と、親水性基を樹脂中に導入して水に溶解・分散する自己乳化型の水性樹脂とがあり、好ましくは自己乳化型の水性樹脂である。分子中に導入する親水性基としては、カルボン酸、スルホン酸、リン酸等の酸性基を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の不揮発性塩基や、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン類、アンモニア等の揮発性塩基を用いて中和するアニオン型の水性樹脂が好ましい。
また、樹脂成分は、単独で用いられてもよく、また、2種以上が混合されて用いられてもよい。なお、本明細書における「水性樹脂」は、本来的に水溶性の樹脂、水溶性処理された樹脂、本来的に水分散性の樹脂、又は、水分散性処理された樹脂等をいうものとする。
本発明において、水性樹脂及び顔料、ブロックイソシアネート化合物、カルボジイミド化合物を使用した場合における水性樹脂及び顔料、ブロックイソシアネート化合物、カルボジイミド化合物の成分比(固形分比)は、ベタインキ層3では、水性樹脂及び顔料:ブロックイソシアネート化合物:カルボジイミド化合物=100:0:0〜100:30:15であり、特に、100:0:0〜100:10:5であることが好ましい。また、絵柄インキ層4では、水性樹脂及び顔料:ブロックイソシアネート化合物:カルボジイミド化合物=100:0:0〜100:30:30であり、特に、100:0:0〜100:10:8であることが好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は水性樹脂や顔料表面との架橋剤として挙動し、成分比が増加するほど架橋が増し、層の凝集力が向上する。一方、成分比が増加しすぎると、ラミネートやエンボス時の工程中の熱では完全にブロック剤が解離して遊離イソシアネート基が発生するわけではなく、一部はブロック剤が解離せず、架橋反応に寄与しないブロックイソシアネート化合物量もまた増加するため、耐候試験後の層間密着性を低下させる。また、カルボジイミド化合物の大部分は可塑的な挙動を示すため、ラミネート層間、すなわち、インキ層11及び接着剤層5中で、カルボジイミド化合物の成分比が増加すると、インキ層11及び接着剤層5中での凝集力が不十分となり、常態の層間密着性が低下する。また、カルボジイミド化合物は耐候試験後の層間の密着強度を維持する効果を示すため、成分比が減少すると耐候試験後の層間密着強度が低下する。さらに、ベタインキ層3ではカルボジイミド化合物の成分比が増加すると基材シート2とベタインキ層3との密着性が低下するため、絵柄インキ層4や接着剤層5に比べて、含有量に制限がある。また、絵柄インキ層4では、隣接するベタインキ層3や接着剤層5にブロックイソシアネート化合物やカルボジイミド化合物を含有する水性塗工液を用いると、イソシアネート化合物やカルボジイミド化合物の成分比が低く、及び/又は、イソシアネート化合物やカルボジイミド化合物を含有しなくても耐候試験後の層間密着強度が向上する傾向がある。これは、層界面近傍でのブロックイソシアネート化合物のブロック剤解離後の架橋反応や、カルボジイミド化合物の耐候試験後の層間密着性を維持する効果が得られると考えられる。
着色顔料としては、通常使用される有機又は無機系の顔料を使用することができる。こうした着色顔料のうち、黄色顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン等の有機顔料、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン黄等の無機顔料を使用することができる。また、赤色顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドン等の有機顔料、弁柄、朱、カドミウムレッド、クロムバーミリオン等の無機顔料を使用することができる。また、青色顔料としては、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等の有機顔料、紺青、群青、コバルトブルー等の無機顔料を使用することができる。また、黒色顔料としては、アニリンブラック等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料を使用することができる。また、白色顔料としては、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の無機顔料を使用することができる。また、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体積顔料、中和剤、界面活性剤等を任意に含有させることができる。
水性塗工剤の溶媒である水は、従来、水性塗工剤に使用されているグレードの工業用水が使用される。また、水とアルコール等とからなる混合溶媒を、水性塗工剤の溶媒として使用することもできる。そうした混合溶媒を構成するアルコール等としては、エタノール、イソプロピルアルコール、N−プロピルアルコール等の低級アルコール、グリコール類及びそのエステル類等を挙げることができる。なお、これら低級アルコール、グリコール類及びそのエステル類等の溶媒は、水性塗工剤の流動性改良、被塗工体である基材シート2への濡れの向上、乾燥性の調整等の目的で使用されるものであり、その目的に応じてその種類、使用量等が決定される。本発明で使用される水性塗工剤は、ベンゼン、トルエン、キシレン等の危険性の高い芳香族炭化水素系の有機性揮発物質が用いられておらず、また、その他の有機溶剤の使用も抑えているので、VOCの発生を減少させることができる。
水とアルコール等とからなる混合溶媒においては、それらの配合割合を、水:アルコール等(例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール等が挙げられる。)=20:80〜100:0の範囲で調整できる。
ベタインキ層3や絵柄インキ層4は、塗工又は印刷等によって設けた後、乾燥させて形成される。更に詳しく説明すれば、通常、ベタインキ層3は、ベタインキ層用の水性塗工剤を塗工又は印刷した後、乾燥硬化させて形成され、絵柄インキ層4は、絵柄インキ層用の水性塗工剤を印刷した後、乾燥硬化させて形成される。塗工方法としては、公知の各種方法、例えばロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等の方法を用いることができ、乾燥後の厚さが1.0〜10μm程度になるように塗工される。また、印刷方法としては、グラビア、活版、フレキソ等の凸版印刷、平版オフセット、ダイリソ印刷等の平版印刷、シルクスクリーン等の孔版印刷、静電印刷、インキジェットプリント等の公知の各種方法を用いることができる。
(接着剤層)
接着剤層5は、図1に示すように、インキ層11と透明樹脂層6との間に設けられて、インキ層11が形成された基材シート2と透明樹脂層6との層間密着性を向上させるプライマー層ないしアンカー層としての役割を有するものであり、耐久性や長期に亘る外観維持性を向上させる作用がある。こうした作用は、形成された絵柄を長期間保持することができ、極めて有効である。
本発明において、接着剤層5は、インキ層11の段落で説明したものと同様の水性化合物を有する水性塗工剤、すなわち、塗工剤配合作業の温度及び/又は塗工工程の温度では解離し難いブロック剤としての化合物を遊離イソシアネート基に結合させたブロックイソシアネート基を1分子中に2個以上持つ水性化合物(ブロックイソシアネート化合物)と、1分子中に2個以上のカルボジイミド基を持つ水性化合物(カルボジイミド化合物)とを含有する水性塗工剤で形成されることが好ましい。なお、インキ層11、表面保護層9及び裏面プライマー層10のうち、いずれか一つ以上の層がブロックイソシアネート化合物とカルボジイミド化合物とを含有する水性塗工剤で形成されていれば、接着剤層5は他の架橋剤を含有する水性塗工剤で形成されていてもよい。他の架橋剤については、インキ層11の段落で説明したものと同様であるのでその詳細な説明は省略する。
接着剤層用の水性塗工剤に含有させる樹脂成分としては、上記のベタインキ層3の段落において説明した水性樹脂成分が好ましく挙げられる。
本発明において、接着剤層5に水性樹脂及び顔料、ブロックイソシアネート化合物、カルボジイミド化合物を使用した場合における水性樹脂及び顔料、ブロックイソシアネート化合物、カルボジイミド化合物の成分比(固形分)は、水性樹脂及び顔料:ブロックイソシアネート化合物:カルボジイミド化合物=100:1:1〜100:40:30であり、特に、100:5:5〜100:20:20であることが好ましい。
インキ層11と比較して、ブロックイソシアネート化合物及びカルボジイミド化合物の成分比が高いところで層間密着性が発現するのは、インキ層11と比較して顔料分が少なく、接着剤層5の凝集力があらかじめ高いことによると考えられる。
水性塗工剤を構成する水及び水とアルコール等とからなる混合溶媒の種類、配合割合、作用効果についても、上述したベタインキ層用の水性塗工剤の場合と同じであり、VOCの発生を好ましく抑制することができる。
接着剤層用の水性塗工剤には、着色剤、ワックス類、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、その他等の添加剤を任意に添加され、水又は水とアルコール等とからなる水性の混合溶媒を使用し、ミキサー等で十分に混合して、水性塗工剤が調製される。
接着剤層5は、上述した水性塗工剤を、インキ層11上に塗工又は印刷等によって設けた後、乾燥させて形成される。塗工方法としては、公知の各種方法、例えばロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等の方法を用いることができ、乾燥後の厚さが0.3〜30μm程度になるように塗工される。
こうした水性塗工剤で接着剤層5を形成すると、ブロックイソシアネート化合物の架橋剤としての作用とカルボジイミド化合物の耐候試験後の層間密着強度維持の作用とにより、本発明の所期の目的である化粧シート1の層間密着性の向上を達成することができる。
さらに、インキ層11の段落で説明したように、水性塗工剤にブロックイソシアネート化合物とカルボジイミド化合物を用いると、上記水性塗工剤のポットライフが長くなることにより、架橋剤としての作用が阻害され難く、調製直後に上記水性塗工剤を使用しなくとも、十分に架橋反応が進むため安定した塗工作業が可能となる。特に、接着剤層5は、インキ層11が形成された基材シート2と透明樹脂層6との層間密着性を向上させるプライマー層ないしアンカー層としての役割を有するものなので、本発明によれば、上記層間密着性をさらに向上させることができ、その結果、化粧シート1の耐久性や長期に亘る外観維持性を向上させることができる。
また、上記水性塗工剤で接着剤層を形成したことにより奏される効果は、上述したインキ層11における効果と同様であり、共通する効果の言及についてはここでは省略する。
(透明樹脂層)
透明樹脂層6は、トップ樹脂層ともいわれ、絵柄インキ層4等からなるインキ層11を擦り傷等から保護したり、化粧シート1の表面強度を向上させたり、塗装感を付与すること等を目的として、接着剤層5を介してインキ層11上に積層される。
透明樹脂層6を構成する樹脂としては、上述した接着剤層5を介してインキ層11上に密着よく形成される透明な樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えば、透明ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂を好ましく挙げることができる。透明樹脂層用の樹脂として使用できるオレフィン樹脂以外の樹脂としては、上述の基材シート2の構成材料と同じものを使用することができる。
こうした透明樹脂層6を形成する樹脂には、必要に応じて、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、マット剤等の公知の添加剤を添加して形成することができ、着色された透明樹脂層としたり、紫外線吸収特性を有する透明樹脂層としたりすることができる。
透明樹脂層6の形成方法としては、接着剤層5上に、別個に形成された透明樹脂シートを積層したり、溶融押出し塗工法によって成膜したり、その他公知の方法で積層することができる。
また、図2に示すように、透明樹脂層6を2層以上の複層構造にしてもよい。2層以上積層させてなる透明樹脂層16は、基材シート2側の透明樹脂層6’と表面保護層側の透明樹脂層6”とに異なる作用効果を持たせることができる点で有利である。具体的には、表面保護層側の透明樹脂層6”をフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂を主成分とした樹脂で形成することにより、優れた耐汚染性等の表面機能を付与することができ、基材シート側の透明樹脂層6’を熱可塑性アクリル樹脂等で形成することにより、接着剤層5との間の界面の密着性等を向上させることができるように積層可能である。また、表面保護層側の透明樹脂層6”を耐候剤を添加したポリプロピレン系樹脂で形成することにより、優れた耐候性を付与することができ、基材シート側の透明樹脂層6’をエラストマーを含有したポリプロピレン系樹脂で形成することにより、耐候性と界面の密着性の向上を図ることができるように積層可能である。
2層以上の透明樹脂層16は、複数の樹脂組成物を溶融共押出しして形成したり、ドライラミネーションや熱ラミネーション等の各種のラミネート法で形成したりすることができる。このとき、図3に示すように、プライマー層又はアンカー層として作用する接着剤層12を介して2以上の層からなる透明樹脂層16を形成することもできる。なお、この場合における接着剤層12は、透明樹脂層6’、6”と共に溶融共押出しして形成したり、水性塗工剤で塗布形成したりすることもでき、その場合には、VOCの発生をより一層抑制することができる。
透明樹脂層6の厚さは、20〜300μm程度となるように、15〜400g/m2程度の塗布量で塗工する。
本発明において、ブロックイソシアネート化合物のブロック剤の解離を促進するため、透明樹脂層6の形成時の熱を加えることが好ましい、そうした熱としては、透明樹脂層6の溶融押出し時の熱や、透明樹脂層6のドライラミネーション時の熱が挙げられるが、特に好ましいのは、その熱量の点から、溶融押出し塗工法を用いた場合の溶融押出し時の熱である。この熱によって与えられる温度、すなわち本発明に係る水性塗工剤で形成した層に与えられる温度は、インキ層11の説明欄ですでに説明したのでここではその説明を省略する。
(凹凸模様)
凹凸模様7は、エンボス模様ともいわれ、図1に示すように、必要に応じて上述の透明樹脂層6の表面に形成される。また、図2及び図3に示すように2層以上の透明樹脂層16を形成した場合には、凹凸模様7を最表面の透明樹脂層に形成したり、最表面以外の透明樹脂層に形成したりすることができ、それぞれ任意に行うことができる。
凹凸模様7は、特に限定されず、化粧シート1の用途に応じた模様であればよい。例えば、木目導管溝、木目年輪凹凸、浮造年輪凹凸、木肌凹凸、砂目、梨地、ヘアライン、万線状溝、花崗岩の劈開面等の石材表面凹凸、布目の表面テクスチュア、皮絞、文字、幾何学模様等の模様を挙げることができる。
凹凸模様7を形成する手段としては、例えば、加熱加圧によるエンボス加工法やTダイ溶融押し出し法が挙げられる。加熱加圧によるエンボス加工法は、透明樹脂層6の表面を加熱軟化させ、その表面をエンボス版で加圧してエンボス版の凹凸模様7を賦形し、冷却して固定化する方法であり、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機を用いることができる。エンボス加工法で形成する場合には、ラミネート加工により積層する前の透明樹脂層6とする樹脂シートに予めエンボス加工したり、透明樹脂層6とする樹脂シートを積層すると同時に(いわゆるダブリングエンボス法)行ったりすることができる。また、Tダイ溶融押出し法で透明樹脂層6を積層する場合には、賦形ローラを兼用させた冷却ローラを使用して、透明樹脂層6の成膜・積層と同時に凹凸模様7を形成することもできる。また、ヘアライン加工、サンドブラスト加工等によってもエンボス模様を形成することができる。
本発明では、ブロックイソシアネート化合物のブロック剤の解離を促進するため、加熱加圧によるエンボス加工法が好ましい。
(着色層)
着色層8は、意匠性を高める目的で必要に応じて形成され、具体的には凹凸模様7の凹陥部17にワイピング法により形成される。ワイピング法は、ドクターブレードコート法又はナイフコート法で凹陥部17を含む表面全面に着色層用の塗工剤を塗布した後、凹陥部17以外の表面から着色層用の塗工剤を除去することにより、凹陥部17のみに着色層8を形成する方法である。着色層用の塗工剤としては、有機顔料、無機顔料、光輝性顔料等の着色顔料と、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂等のバインダー樹脂とからなるインキや、エマルジョン型の水性タイプインキ等を使用できる。また、上述のベタインキ層3及び/又は絵柄インキ層4を形成する水性塗工剤を好ましく用いることもでき、そうした場合には、環境安全性の点でより好ましい。
(表面保護層)
表面保護層9は、トップコート層又はオーバープリント層(OP層)ともいわれ、凹凸模様7を形成する凹陥部17やその凹陥部17に形成された着色層8の表面を被って、化粧シート1を保護することを目的として設けられるものである。
本発明の化粧シート1は、表面保護層9を熱硬化性の塗工液で形成する場合と、表面保護層9を活性エネルギー線硬化性の塗工液で形成する場合とに分けられる。熱硬化型の塗工液で形成する場合には、水性塗工液を用いると環境安全性の面で好ましく、活性エネルギー線硬化性の塗工液で形成する場合には、無用剤型の塗工液を用いると環境安全の面で好ましい。また、溶剤系の塗工液を用いた場合にも、活性エネルギー線照射時にVOCは飛散し、表面保護層中にVOCはほとんど残存しないため、生活空間での環境安全性をより向上させることができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂とは、活性エネルギー線を照射することにより架橋重合反応を起こし3次元の高分子構造に変化する樹脂である。活性エネルギー線は、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合、架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等を含む。)、X線、電子線、イオン線等がある。通常は紫外線や電子線が用いられる。
上記の活性エネルギー線硬化性樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、増感剤として光重合開始剤を添加する。光重合開始剤の添加量は一般に、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。しかし、紫外線照射後に表面保護層中に安全性の低い開始剤残渣が残存するため、本発明においては、活性エネルギー源として、電子線を用いるのが好ましい。
また、透明樹脂層6と表面保護層9の間にプライマー層を形成してもよく、特に表面保護層9が硬化収縮性高い活性エネルギー線硬化性の塗工液で形成される場合、プライマー層を形成することが好ましい。また、環境安全性の面から、プライマー層は水性塗工液で形成するのが好ましい。
上記水性塗工剤を用いて表面保護層9を形成することにより、化粧シート製造時のVOC発生量及び化粧シート中のVOC残存量を減少させることができ、その結果、作業環境の安全性や生活空間の安全性をより向上させることができる。特に、この表面保護層9は、化粧シートの最表面を構成しているので、生活空間への揮発性物質の放散を著しく低減することができる。
表面保護層用の水性塗工剤には、表面保護層としての機能を考慮して、着色剤、ワックス類、分散剤、消泡剤、レベリング剤、安定剤、充填剤、潤滑剤、滑剤、その他等の添加剤が任意に添加され、水又は水とアルコール等とからなる水性の混合溶媒を使用し、ミキサー等で十分に混合して、水性塗工剤が調整される。
表面保護層9は、上述した水性塗工剤を、透明樹脂層6上に塗工又は印刷等によって設けた後、乾燥させて形成される。塗工方法としては、公知の各種方法、例えばロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等の方法を用いることができ、乾燥後の厚さが例えば0.5〜40μm、好ましくは3〜20μm程度になるように塗工される。また、活性エネルギー線硬化型塗工液を用いる場合は上記水性塗工液の形成方法で塗膜を形成した後、活性エネルギー線を照射して塗膜を形成する。
上記の活性エネルギー線硬化性樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、増感剤として光重合開始剤を添加する。光重合開始剤の添加量は一般に、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。
(裏面プライマー層)
裏面プライマー層10は、本発明の化粧シート1を各種の被着体15に接着させ易くすることを目的として、基材シート2の裏面側に任意に形成される。
裏面プライマー層10は、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、硝化綿系樹脂等の樹脂単独又は混合物を主剤とし、イソシアネート系の硬化剤を用いて形成される。水性塗工剤で形成されることが更に好ましい。
上記水性塗工剤を用いて裏面プライマー層10を形成することにより、化粧シート製造時のVOC発生量及び化粧シート中のVOC残存量を減少させることができ、その結果、作業環境の安全性や生活空間の安全性をより向上させることができる。
裏面プライマー層10は、そうした水性塗工剤を、基材シート2の裏面側に塗工又は印刷等によって設けた後、乾燥させて形成される。塗工方法としては、公知の各種方法、例えばロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、コンマコート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等の方法を用いることができ、乾燥後の厚さが例えば0.5〜10μm程度になるように塗工される。
(化粧シート)
上述の構成を有する本発明の化粧シート1は、他の被着体15(裏打材)に積層して用いられる。被着体15としては、図5に示すような立体形状物品41や、図6に示すような平板状、曲面状等の板材51、シート(或いはフィルム)等の各種形状の物品が対象となる。こうした被着体15は、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材板、木質繊維板等の木質板、鉄、アルミニウム等の金属、アクリル、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ABS樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂、硝子、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、チタン酸カリウム、硝子、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は織布、等々を挙げることができる。
化粧シート1と被着体15との関係において、化粧シート1の基材シート2や裏面プライマー層10の種類により、被着体15にそのまま熱融着等で接着できる場合には、化粧シート1と被着体15とを接着剤を用いずに積層させることができるが、化粧シート1の基材シート2や裏面プライマー層10の種類により、被着体15にそのまま熱融着等で接着できない場合には、適当な接着剤を用いて積層させる。なお、接着剤としては、酢ビ系、尿素系等の接着剤を挙げることができる。
また、一般的な積層方法としては、例えば、(a)接着剤を介して被着体15に加圧ローラで加圧して積層する方法、(b)特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載のように、化粧シート1を射出成形の雌雄両金型間に挿入して、両金型を閉じ、雄型のゲートから溶融樹脂を射出充填した後、冷却して樹脂成型品の成形と同時にその表面に化粧シート1を接着積層する射出成形同時ラミネート方法、(c)特公昭56−45768号公報、特公昭60−58014号公報等に記載のように、接着剤を介して成形品の表面に化粧シート1を対向させ、成形品側からの真空吸引による圧力差により化粧シート1を成形品表面に積層する真空プレス積層方法、(d)特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に記載のように、円柱、多角柱等の柱状被着体の長軸方向に、接着剤を介して化粧シート1を供給しつつ、複数の向きの異なるローラにより、柱状被着体を構成する複数の側面に順次化粧シート1を加圧接着して積層してゆくラッピング加工方法等が挙げられる。
本発明の化粧シート1を積層した各種の被着体15は、所定の成形加工等を施して、各種装飾用素材等として用いることができる。例えば、壁、天井、床等建築物の内装、窓枠、扉、手摺等の建具の表面化粧、家具又は弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車輌内装、航空機内装、窓硝子の化粧用等の用途が挙げられる。
以下に、実施例と比較例を挙げて、本発明について更に詳しく説明する。以下において、部とは重量部のことである。
(ブロックイソシアネート化合物:製造例1)
攪拌器、窒素ガス導入器、冷却器及び温度計を備えた反応器に、水分散性ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業株式会社製、アクアネート120)100部、酢酸エチル100部を仕込み、反応器を油浴にて75℃に保ち、攪拌下に3,5−ジメチルピラゾール42部を滴下ロールに入れ、30分かけて滴下した。75℃で3時間反応させてブロック化反応を終了した。その後、室温まで自然冷却したのち、エバポレーターにより揮発分を除去し、水分散性ブロックイソシアネート化合物Aを得た。この水分散性ブロックイソシアネート化合物Aを40℃に保持したまま赤外分光法にて測定したが、イソシアネート基の吸収は見られず、ブロック剤の解離がないことが確認できた。
(ブロックイソシアネート化合物:製造例2)
製造例1と同様の反応器に、水分散性ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業株式会社製、アクアネート120)100部、酢酸エチル100部を仕込み、反応器を油浴にて75℃に保ち、攪拌下にアセト酢酸メチル51部を滴下ロールに入れ、30分かけて滴下した。75℃で3時間反応させてブロック化反応を終了した。その後、室温まで自然冷却したのち、エバポレーターにより揮発分を除去し、水分散性ブロックイソシアネート化合物Bを得た。この水分散性ブロックイソシアネート化合物Bを40℃に保持したまま赤外分光法にて測定したが、イソシアネート基の吸収は見られず、ブロック剤の解離がないことが確認できた。
(ブロックイソシアネート化合物:製造例3)
製造例1と同様の反応器に、水分散性ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業株式会社製、アクアネート120)100部、酢酸エチル100部を仕込み、反応器を油浴にて75℃に保ち、攪拌下にマロン酸ジメチル58部を滴下ロールに入れ、30分かけて滴下した。75℃で3時間反応させてブロック化反応を終了した。その後、室温まで自然冷却したのち、エバポレーターにより揮発分を除去し、水分散性ブロックイソシアネート化合物Cを得た。この水分散性ブロックイソシアネート化合物Cを40℃に保持したまま赤外分光法にて測定したが、イソシアネート基の吸収は見られず、ブロック剤の解離がないことが確認できた。
(ブロックイソシアネート化合物:製造例4)
製造例1と同様の反応器に、水分散性ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業株式会社製、アクアネート120)100部、酢酸エチル100部を仕込み、反応器を油浴にて75℃に保ち、攪拌下にジイソプロピルアミン44部を滴下ロールに入れ、30分かけて滴下した。75℃で3時間反応させてブロック化反応を終了した。その後、室温まで自然冷却したのち、エバポレーターにより揮発分を除去し、水分散性ブロックイソシアネート化合物Dを得た。この水分散性ブロックイソシアネート化合物Dを40℃に保持したまま赤外分光法にて測定したが、イソシアネート基の吸収は見られず、ブロック剤の解離がないことが確認できた。
(実施例1)
基材シート2としてポリプロピレン系着色シート(厚さ60μm)を用い、その表裏それぞれにコロナ放電処理を施した後、その片面に裏面プライマー層用水性塗工液(水性ウレタン樹脂−イソシアネート2液系)を線数54線/インチ、版深40μmのグラビア版を用いてグラビア印刷法にて塗布、乾燥し、約2g/m2の裏面プライマー層10を形成した。
さらにその反対の面に、下記配合のベタインキ層用水性塗工液A、絵柄インキ層用水性塗工液B、接着剤層用水性塗工液Cをそれぞれ液温30℃で配合し、配合直後、6時間後、12時間後に、線数54線/インチ、版深40μmのグラビア版を用いてグラビア印刷法にて塗布、乾燥し、約2g/m2のベタインキ層3、約1.5g/m2の絵柄インキ層4、約3g/m2の接着剤層5を順次形成した。このときの乾燥直後の各層の表面温度は約40℃であった。
さらにその接着剤層5上に、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(10μm)と、ランダム共重合ポリプロピレンに、フェノール系酸化防止剤0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤0.3重量%、ブロッキング防止剤0.2重量%をそれぞれ添加した樹脂(約70μm)を接着剤層側がマレイン酸変性ポリプロピレンになるようにTダイにて220℃の熱で、貼り合せ面をオゾン雰囲気で充満させて溶融共押出し塗工法にて約80μmの透明樹脂層6を積層した。この透明樹脂層6の表面側から赤外ヒーターにて、透明樹脂層6の表面温度が約160℃になるまで加熱し、熱エンボスにより凹凸7を施し、さらに、凹凸7が施された表面にコロナ放電処理を行なった後、表面保護層用水性塗工液(水性ウレタン樹脂−イソシアネート2液系)を線数48線/インチ、版深60μmのグラビア版を用いてグラビア印刷法にて塗布、乾燥し、約3g/m2の表面保護層9を形成した。その後、25℃の温度で7日間養生処理(エージング)して実施例1の化粧シートを得た。
ベタインキ層用水性塗工液A;
・水性ウレタン系白色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE白ベタ:固形分約40%):100部
・水分散性ブロックイソシアネート化合物A:2.5部
・水分散性カルボジイミド化合物(日清紡株式会社製、カルボジライトE04:固形分約40%):2.5部
・水:20部
・イソプロピルアルコール:20部
絵柄インキ層用水性塗工液B;
・水性ウレタン系黄色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE黄:固形分約40%):10部
・水性ウレタン系赤色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE赤:固形分約40%):10部
・水性ウレタン系墨色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE墨:固形分約40%):2部
・水性ウレタン系メジュームインキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKEメジューム:固形分約40%):78部
・水分散性ブロックイソシアネート化合物A:2.5部
・水分散性カルボジイミド化合物(日清紡株式会社製、カルボジライトE04:固形分約40%):2.5部
・水:20部
・イソプロピルアルコール:20部
接着剤層用水性塗工液C;
・水性ウレタン系接着剤(日華化学株式会社製、HO18:固形分約37%):100部
・水分散性ブロックイソシアネート化合物A:6部
・水分散性カルボジイミド化合物(日清紡株式会社製、カルボジライトE04:固形分約40%):10部
(実施例2)
実施例1の化粧シートの製造において、表面保護層9の形成方法に代えて、凹凸7が施された表面にコロナ放電処理を行なった透明樹脂層6上に、水性プライマー層用水性塗工液(水性アクリルウレタン樹脂−イソシアネート2液系)を線数70線/インチ、版深30μmのグラビア版を用いてグラビア印刷法にて塗布、乾燥し、約0.5g/m2のプライマー層13を形成し、その上に電子線硬化性樹脂溶剤系塗工液(溶剤系多官能ウレタンアクリレート系)を60℃に加温してバーコート法で塗工したのち、岩崎電気製電子線照射装置エレクトロカーテンEC250にて、窒素パージ下にて、150kVの加速電圧、5Mradの照射線量で電子線照射し約5g/m2の表面保護層9を形成した。その他は実施例1と同様にして、実施例2の化粧シートを得た。
(実施例3)
実施例1の化粧シートの製造において、ベタインキ層用水性塗工液A、絵柄インキ層用水性塗工液B、接着剤層用水性塗工液Cに代えて、それぞれ下記配合のベタインキ層用水性塗工液D、絵柄インキ層用水性塗工液E、接着剤層用水性塗工液Fを用いて、ベタインキ層3、絵柄インキ層4、接着剤層5を形成した。その他は実施例1と同様にして実施例3の化粧シートを得た。
ベタインキ層用水性塗工液D;
・水性ウレタン系白色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE白ベタ:固形分約40%):100部
・水分散性ブロックイソシアネート化合物A:2.5部
・水:20部
・イソプロピルアルコール:20部
絵柄インキ層用水性塗工液E;
・水性ウレタン系黄色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE黄:固形分約40%):10部
・水性ウレタン系赤色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE赤:固形分約40%):10部
・水性ウレタン系墨色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE墨:固形分約40%):2部
・水性ウレタン系メジュームインキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKEメジューム:固形分約40%):78部
・水:20部
・イソプロピルアルコール:20部
接着剤層用水性塗工液F;
・水性ウレタン系接着剤(日華化学株式会社製、HO18:固形分約37%):100部
・水分散性ブロックイソシアネート化合物A:8部
・水分散性カルボジイミド化合物(日清紡株式会社製、カルボジライトE04:固形分約40%):20部
(実施例4)
実施例3の化粧シートの製造において、ベタインキ層用水性塗工液D、接着剤層用水性塗工液Fに代えて、それぞれ下記配合のベタインキ層用水性塗工液G、接着剤層用水性塗工液Hを用いて、ベタインキ層3、接着剤層5を形成した。その他は実施例3と同様にして実施例4の化粧シートを得た。
ベタインキ層用水性塗工液G;
・水性ウレタン系白色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE白ベタ:固形分約40%):100部
・水分散性ブロックイソシアネート化合物B:2.5部
・水:20部
・イソプロピルアルコール:20部
接着剤層用水性塗工液H;
・水性ウレタン系接着剤(日華化学株式会社製、HO18:固形分約37%):100部
・水分散性ブロックイソシアネート化合物B:8部
・水分散性カルボジイミド化合物(日清紡株式会社製、カルボジライトE04:固形分約40%):20部
(実施例5)
実施例3の化粧シートの製造において、ベタインキ層用水性塗工液D、接着剤層用水性塗工液Fに代えて、それぞれ下記配合のベタインキ層用水性塗工液I、接着剤層用水性塗工液Jを用いて、ベタインキ層3、接着剤層5を形成した。その他は実施例3と同様にして実施例5の化粧シートを得た。
ベタインキ層用水性塗工液I;
・水性ウレタン系白色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE白ベタ:固形分約40%):100部
・水分散性ブロックイソシアネート化合物C 2.5部
・水20部
・イソプロピルアルコール:20部
接着剤層用水性塗工液J;
・水性ウレタン系接着剤(日華化学株式会社製、HO18:固形分約37%):100部
・水分散性ブロックイソシアネート化合物C:8部
・水分散性カルボジイミド化合物(日清紡株式会社製、カルボジライトE04:固形分約40%):20部
(実施例6)
実施例3の化粧シートの製造において、ベタインキ層用水性塗工液D、接着剤層用水性塗工液Fに代えて、それぞれ下記配合のベタインキ層用水性塗工液K、接着剤層用水性塗工液Lを用いて、ベタインキ層3、接着剤層5を形成した。その他は実施例3と同様にして実施例6の化粧シートを得た。
ベタインキ層用水性塗工液K;
・水性ウレタン系白色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE白ベタ:固形分約40%):100部
・水分散性ブロックイソシアネート化合物D:2.5部
・水:20部
・イソプロピルアルコール:20部
接着剤層用水性塗工液L;
・水性ウレタン系接着剤(日華化学株式会社製、HO18:固形分約37%):100部
・水分散性ブロックイソシアネート化合物D:8部
・水分散性カルボジイミド化合物(日清紡株式会社製、カルボジライトE04:固形分約40%):20部
(比較例1)
実施例1の化粧シートの製造において、ベタインキ層用水性塗工液A、絵柄インキ層用水性塗工液B、接着剤層用水性塗工液Cに代えて、それぞれ下記配合のベタインキ層用水性塗工液M、絵柄インキ層用水性塗工液N、接着剤層用水性塗工液Oを用いてベタインキ層3、絵柄インキ層4、接着剤層5を形成した。その他は実施例1と同様にして比較例1の化粧シートを得た。
ベタインキ層用水性塗工液M;
・水性ウレタン系白色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE白ベタ:固形分約40%):100部
・水分散性イソシアネート化合物(日本ポリウレタン株式会社製、アクアネート120:固形分約100%):2.5部
・水分散性カルボジイミド化合物(日清紡株式会社製、カルボジライトE04:固形分約40%):2.5部
・水:20部
・イソプロピルアルコール:20部
絵柄インキ層用水性塗工液N;
・水性ウレタン系黄色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE黄:固形分約40%):10部
・水性ウレタン系赤色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE赤:固形分約40%):10部
・水性ウレタン系墨色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE墨:固形分約40%):2部
・水性ウレタン系メジュームインキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKEメジューム:固形分約40%):78部
・水分散性イソシアネート化合物(日本ポリウレタン株式会社製、アクアネート120:固形分100%):2.5部
・水分散性カルボジイミド化合物(日清紡株式会社製、カルボジライトE04:固形分約40%):2.5部
・水:20部
・イソプロピルアルコール:20部
接着剤層用水性塗工液O;
・水性ウレタン系接着剤(日華化学株式会社製、HO18:固形分約37%):100部
・水分散性イソシアネート化合物(日本ポリウレタン株式会社製、アクアネート120:固形分約100%):6部
・水分散性カルボジイミド化合物(日清紡株式会社製、カルボジライトE04:固形分約40%):10部
(比較例2)
比較例1の化粧シートの製造において、ベタインキ層用水性塗工液M、絵柄インキ層用水性塗工液N、接着剤層用水性塗工液Oに代えて、下記配合のベタインキ層用水性塗工液P、絵柄インキ層用水性塗工液Q、接着剤層用水性塗工液Rを用いてベタインキ層3、絵柄インキ層4及び接着剤層5を形成した。その他は比較例1と同様にして比較例2の化粧シートを得た。
ベタインキ層用水性塗工液P;
・水性ウレタン系白色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE白ベタ:固形分約40%):100部
・水分散性イソシアネート化合物(日本ポリウレタン株式会社製、アクアネート120:固形分約100%):2.5部
・水:20部
・イソプロピルアルコール:20部
絵柄インキ層用水性塗工液Q;
・水性ウレタン系黄色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE黄:固形分約40%):10部
・水性ウレタン系赤色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE赤:固形分約40%):10部
・水性ウレタン系墨色インキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKE墨:固形分約40%):2部
・水性ウレタン系メジュームインキ(ザ・インクテック株式会社製、オーデWKEメジューム:固形分約40%):78部
・水:20部
・イソプロピルアルコール:20部
接着剤層用水性塗工液R;
・水性ウレタン系接着剤(日華化学株式会社製、HO18:固形分約37%):100部
・水分散性イソシアネート化合物(日本ポリウレタン株式会社製、アクアネート120:固形分約100%):8部
・水分散性カルボジイミド化合物(日清紡株式会社製、カルボジライトE04:固形分約40%):20部
(層間剥離強度測定方法)
化粧シート1の基材シート2と透明樹脂層6との層間密着性を、INSTRON5500引っ張り試験機を用い、25℃の雰囲気中において引張速度100mm/分、基材シート2と透明樹脂層6との間の開き角180°の条件で引っ張り剥離強度で評価した。
(常態剥離強度測定方法)
化粧シート1の基材シート2と透明樹脂層6との層間剥離強度を上記方法で測定し、剥離強度が19.6N以上のものを合格として「○」で表し、19.6N未満のものを不合格として「×」で表した。
(耐候性促進試験)
アイスーパーUVテスター(岩崎電気株式会社製)を用い、ブラックパネル温度63℃にて、照度60mW/cm2、光源からの距離240mm、照射スペクトル帯域295〜450mmからなる紫外線を、化粧シート1の表面保護層側に20時間照射し、4時間結露の条件を1サイクルとし、2、4及び6サイクル試験した。その後、十分に化粧シート1を室内環境で放置した後、化粧シート1の基材シート2と透明樹脂層6との層間剥離強度を上記方法で測定し、剥離強度が9.8N以上のものを「○」で表し、9.8N未満4.9N以上のものを「△」で表し、4.9N未満のものを「×」で表した。
(評価結果)
結果を表1に示した。実施例1〜6の化粧シートは、25℃で養生処理しても、層間密着性(常態層間密着性及び耐候性試験後の層間密着性も含む。)に優れていた。
一方、比較例1,2で配合12h後に作製した化粧シートは、強固な三次元構造からなる層が形成されず、層間密着性(常態層間密着性及び耐候性試験後層間密着性を含む。)に劣る結果となった。