JP2004091521A - コーティング剤、およびそれを用いた被覆フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化亜鉛超微粒子の分散性が良好なコーティング剤を提供し,これをフィルムの表面にコーティングし,乾燥することにより,透明性に優れた紫外線遮蔽フィルムを提供すること。
【解決手段】ノニオン系水系樹脂100部と,酸化亜鉛超微粒子1〜400部,および水,アルコールからなる混合物を主成分とするコーティング剤,および,それを熱可塑性フィルムの少なくとも片面に塗布後乾燥して得られる層を有する紫外線遮蔽フィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】ノニオン系水系樹脂100部と,酸化亜鉛超微粒子1〜400部,および水,アルコールからなる混合物を主成分とするコーティング剤,および,それを熱可塑性フィルムの少なくとも片面に塗布後乾燥して得られる層を有する紫外線遮蔽フィルム。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水系樹脂、無機酸化物超微粒子および水、アルコールからなる混合物を主成分とするコーティング剤、および、そのコーティング剤から形成された被膜を熱可塑性プラスチックフィルム設けた主に紫外線吸収能を有するフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紫外線遮蔽能を付与するためのコーティング剤として、酸化亜鉛粒子を含有するコーティング剤が知られているが、酸化亜鉛超微粒子の分散性は良好でないため、得られる被膜は紫外線遮蔽能が十分でなく、また濁度も高くなるという問題があった。
【0003】
酸化亜鉛超微粒子を水系樹脂溶液に分散させるために、界面活性剤を混合したり、酸化亜鉛超微粒子を表面処理する方法が知られているが、分散性は十分ではなく、酸化亜鉛超微粒子や樹脂自体が凝集してしまうことがあった.また、特開2002−12821号にはアニオン系の水系ポリエステル樹脂をバインダーとして使用する方法が開示されているが、イオン性の樹脂を用いた場合、塩を生成するなどの理由で微粒子の凝集が起こりやすくフィルムのヘイズ値が高くなるという問題がある.また、コート液のpHをアルカリ性に調整するとポットライフが悪化し、塗膜強度、透明性に悪影響を及ぼすという問題も生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題を解決し、酸化亜鉛超微粒子の分散性が良好なコーティング剤を提供し、そのコーティング剤を用いて形成された被膜を少なくとも一層有する透明性に優れた紫外線遮蔽フィルムを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、酸化亜鉛超微粒子をノニオン系水系樹脂中に配合することにより、酸化亜鉛超微粒子が均一に分散し、この水分散液を熱可塑性フィルムに塗布し、乾燥することにより紫外線遮蔽性、透明性に優れたフィルムが得られることを見出し、本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、ノニオン系水系樹脂100部と、酸化亜鉛超微粒子1〜400部、および水、アルコールからなる混合物を主成分とするコーティング剤、および、この水分散液を熱可塑性フィルムに塗布し、乾燥することにより得られる紫外線遮蔽性、透明性に優れたフィルムにある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるノニオン系水系樹脂をとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、エチレンーポリビニルアルコール共重合体、ポリエステルーポリエチレングリコール共重合体などが挙げられる。
【0008】
本発明において、ノニオン系水系樹脂を構成するポリビニルアルコール樹脂の鹸化度と重合度は、目的とする微粒子分散性、コート液の粘度、製造時の延伸性を加味して定められる.ポリビニルアルコールの重合度(以下、いずれも「数平均分子量」を示す。)は好ましくは300以上、より好ましくは500以上であり、 また好ましくは2600以下、より好ましくは2000以下とすることが推奨される。重合度が300未満になると、結晶化速度が速すぎるため、十分な延伸性が得られないことがある。また重合度が2600を超えるとPVA水溶液粘度が高くなり過ぎて、ゲル化し易くなるためコーティングが困難となることがある。
本発明において、ノニオン系水系樹脂を構成するポリエチレングリコール樹脂としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどがあげられる。
【0009】
本発明におけるノニオン系水系樹脂を構成するポリエステルーポリエチレングリコール共重合体の多塩基酸性成分としては、芳香族多塩基酸、脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸が挙げられる。芳香族多塩基酸のうちの芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸などが挙げられ、必要に応じて被膜の耐熱水性を損なわない範囲で少量の5−ナトリウムスルホイソフタル酸や5−ヒドロキシイソフタル酸を用いることができる。脂肪族多塩基酸のうちの脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、水添ダイマー酸などの飽和ジカルボン酸、およびフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸などの不飽和ジカルボン酸などが挙げられる。また、脂環族多塩基酸のうちの脂環族ジカルボン酸としては、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、1、3−シクロヘキサンジカルボン酸、1、2−シクロヘキサンジカルボン酸、2、5−ノルボルネンジカルボン酸及びその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物などが挙げられる。ポリエーテルーポリエステル共重合体を構成する多塩基酸成分として、芳香族多塩基酸成分が50モル%以上が好ましく、65モル%以上がより好ましい。芳香族多塩基酸の比率が50モル%未満では、塗布被膜の耐熱水性や耐アルカリ性および被膜の硬度が低下し、また、コーティング剤の貯蔵安定性が低下する。
【0010】
本発明におけるノニオン系水系樹脂を構成するポリエーテルーポリエステル共重合体の多価アルコール成分としては、必須成分として上述のポリエーテル群のうち1種或いは2種以上を含む他、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコール、エーテル結合含有グリコールを含んでも良い。炭素数2〜10の脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1、2−プロピレングリコール、1、3−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、2−メチル−1、3−プロパンジオール、1、5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1、6−ヘキサンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、1、9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールなどが挙げられる。炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、1、4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、さらには、ビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコール類、例えば2、2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。
【0011】
本発明におけるノニオン系水系樹脂を構成するポリエーテルーポリエステル共重合体は、必要に応じて3官能以上の多塩基酸または多価アルコールを共重合することができる。3官能以上の多塩基酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1、2、3、4−ブタンテトラカルボン酸などが挙げられる。3官能以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。ただし、3官能以上の多塩基酸及び多価アルコールを共重合する場合には、全酸成分及び全アルコール成分に対しそれぞれ10モル%以下、好ましくは5モル%以下にとどめることが望ましい。10モル%を超えると被膜が硬くなりすぎて加工性が低下する。
【0012】
また、本発明におけるノニオン系水系樹脂を構成するポリエーテルーポリエステル共重合体の酸成分として、必要に応じて、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの脂肪族やそのエステル形成性誘導体、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸などの高沸点のモノカルボン酸を使用してもよい。また、アルコール成分として必要に応じて、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノールなどの高沸点のモノアルコールを使用してもよい。
【0013】
上記ノニオン性水系樹脂は、常法により、水、または水/アルコール系に溶解あるいは分散することができる.水に溶解あるいは分散した場合、後から加えることが出来る。
【0014】
本発明のコーティング剤におけるアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体、さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、ジアセトンアルコール、などが挙げられ、これらのうち1種類でも、2種類以上を混合してもよい。有機溶剤の沸点としては、被膜形成時の乾燥工程などで揮散しやすい沸点250℃以下が好ましく、沸点が100℃以下もしくは水と共沸可能であれば、その一部もしくは全てを系外に除去することができる。
本発明におけるコーティング剤中におけるアルコールの含有量は、コート剤の25%以下であることが好ましく、0.5〜25%がより好ましく、0.5〜18%がさらに好ましい.アルコールの含有量を上記範囲とすることにより、被膜形成能、粘性および貯蔵安定性を良好に保つことができる。
【0015】
本発明のコーティング剤中におけるノニオン系水系樹脂の濃度は特に限定されないが、適度の粘性を保つうえで10〜50%が好ましく、貯蔵安定性も良好である。濃度が10%未満であると種々の添加剤を混合する場合混和性が劣ることがある.50%を超えるとコーティング剤の粘度が著しく上昇し,塗工性が不良となる。
【0016】
次に、本発明における酸化亜鉛超微粒子について説明する.酸化亜鉛超微粒子の粒径としては、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい.酸化亜鉛超微粒子の粒径が100nmを超えると、紫外線遮蔽能が低下し、また被膜が形成されたフィルムの透明性が低下して濁度の高いものとなる。
【0017】
本発明におけるコーティング剤は、ノニオン系水系樹脂100部に対して酸化亜鉛超微粒子を1〜400部、好ましくは3〜200部、より好ましくは5〜100部配合される.酸化亜鉛超微粒子の割合が1部未満では得られるコーティング剤を用いた被膜の紫外線遮蔽能が不十分であり、400部を超えると酸化亜鉛超微粒子の分散性が悪化したり、被膜形成能が悪化したりすることがある。
本発明のコーティング剤には、架橋剤を混合することにより被膜の硬度を上げることができる.架橋剤としては、本発明におけるノニオン系水系樹脂が有する官能基、主には水酸基と反応性を有するものであり、フェノール樹脂、アミノ樹脂、多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物及びその各種ブロックイソシアネート化合物、多官能アジリジン化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有重合体などが挙げられる.架橋剤は1種類のみを使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0018】
また、本発明のコーティング剤には、本発明の効果が損なわれない範囲で、酸化防止剤、滑剤、着色剤などを添加することがでる。
【0019】
本発明のコーティング剤を製造する方法としては、(A)ノニオン系水系樹脂溶液に対し、酸化亜鉛超微粒子分散液を添加し混合する方法、(B)酸化亜鉛超微粒子の分散液にノニオン系水系樹脂溶液を添加し混合する方法、(C)ノニオン系水系樹脂溶液に酸化亜鉛超微粒子を添加し混合する方法、(D)酸化亜鉛超微粒子にノニオン系水系樹脂溶液を添加し混合する方法などが挙げられるが、良好な分散性を得るには、(A)、(B)の方法が好ましく、さらには(A)の方法がより好ましい.なお、混合の際、酸化亜鉛微粒子の分散安定性を維持するために、混合液のpHが8〜12となるようpH調節を行うことが好ましい。pHが8未満だと凝集が生じやすくなる.12を超えると,塗工装置の腐蝕が起こりやすくなるため好ましくない。
【0020】
本発明のコーティング剤を基材フィルムにコーティングする方法としては、公知の被膜形成方法、例えば、ディップコート法、はけ塗り法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法などを用いることができる.また、コーティング被膜の乾燥方法としては、通常、熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーターなどにより、60〜160℃で数秒〜数十秒乾燥される.なお、コーティング被膜の厚さとしては、強度および耐傷付き性に優れた均一な厚さの被膜が得られる0.01〜100μmが好ましく、0.3〜50μmがより好ましく、0.5〜10μmがさらに好ましい。
【0021】
塗布する段階としては、熱可塑性フィルム表面にあらかじめ塗布する方法、1軸方向に配向させたフィルム表面に塗布し、それを更に直角方向に配向させる方法、2軸配向処理後のフイルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可能であるが、特に1軸配向したフイルム表面に塗布した後直角方向に延伸配向し、結晶化を完了させる方法が、接着性、経済性、クリーン度等の点で、最も好ましい方法である。
【0022】
本発明のコーティング剤を塗布する基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロンなど各種の熱可塑性樹脂フィルムが挙げられる。
【0023】
本発明のコーティング剤は、貯蔵安定性に優れており、また分散性にも優れているため、ノニオン系水系樹脂および超微粒子酸化亜鉛の優れた特性を発現することができる.また、有機溶剤の含有量が少ないため環境問題を生じず、職場の環境改善にも寄与することが可能である。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではない。また,実施例中,単に「部」とあるのは,重量部を意味し,「%」とあるのは重量%を意味する.なお、下記実施例で採用した各種物性、性能の測定・評価法は次の通りである。
【0025】
(A)原料
実施例1〜7で使用したノニオン系水系樹脂の主成分のポリビニルアルコール樹脂は、重合度が11700、鹸化度98%である。
【0026】
(B)測定法
(1)コーティング剤の分散性
コーティング剤の分散性を、目視により次の基準によって評価した。
◎ :均一分散
〇 :少量の粒子残留があるがほぼ均一分散
× :沈降粒子が確認される
××:沈降粒子および樹脂の凝集が確認される
【0027】
(2)コーティング剤をフィルムに塗布後、乾燥したフィルム(コートフィルム)のヘイズ値
JIS−K7105に準拠し、ヘイズメーター(東京電色工業社製、モデルTC−H3DP)を用いて測定した。ただし、評価値には基材フィルムのPET2軸延伸フィルムのヘイズ0.6を含んでいる。
【0028】
(3)コートフィルムの紫外線遮蔽特性
自記分光光度計(日立U−3500型)を用いて測定した.測定した波長は800〜200nmの範囲である。波長360nmでの紫外線透過度値を評価した。
【0029】
(実施例1)
1Lガラス容器中に、ポリビニルアルコール樹脂(クラレ株式会社製、RS−117、重合度117、けん化度98.5%)40部、イソプロパノール35部、グリセリン5部、および蒸留水420部を加え、撹拌機を用いて撹拌翼の回転速度を200rpmとして撹拌したまま、加熱した.系内温度を90℃に保った状態で30分間撹拌し、その後加熱を停止し、回転速度を50rpmまで下げて撹拌しつつ室温(約20℃)まで冷却し、固形分濃度が8%の透明で均一なポリビニルアルコール水溶液を得た.また、別途酸化亜鉛超微粒子(住友大阪セメント株式会社製、平均粒子径20nm)50部を蒸留水50部とホモジナイザーを用いて分散した溶液を、上記で得られたポリビニルアルコール溶液に樹脂固形分50重量部に対して酸化亜鉛超微粒子が50部となるように混合した後、ペイントシェーカー撹拌機を用いて30分間撹拌することにより、酸化亜鉛超微粒子含有ノニオン系水系樹脂コーティング剤を得た。
得られたコーティング剤を2軸延伸PETフィルム(東洋紡績株式会社製、E5100、厚み50μm)の片面にワイヤーバー#30を使用して塗布後、130℃で30秒間乾燥することにより、フィルム面に厚さ2μmの被膜を形成したコートフィルムを得た.なお、被膜の厚みは、接触式膜厚計により評価したコートフィルム全体の厚みから基材である2軸延伸PETフィルムの厚みを減じて求めた。
得られたコートフィルムの特性を評価した結果を表1に示した。
【0030】
(実施例2)
ノニオン系水系樹脂溶液に、ポリエチレンビニルアルコール水系溶液(日本合成化学工業株式会社製、ソアノール16D、水/イソプロパノール混合溶媒)を使用する以外は実施例1と同様の方法により、コーティング剤およびコートフィルムを得た.得られたコートフィルムの特性を評価した結果を表1に示した。
【0031】
(実施例3)
ノニオン系水系樹脂固形分66部に対して酸化亜鉛超微粒子を33部とした以外は実施例1と同様の方法により、コーティング剤およびコートフィルムを得た.得られたコートフィルムの特性を評価した結果を表1に示した。
【0032】
(実施例4)
ノニオン系水系樹脂固形分20部に対して酸化亜鉛超微粒子を80部とした以外は実施例1と同様の方法により、コーティング剤およびコートフィルムを得た.得られたコートフィルムの特性を評価した結果を表1に示した。
【0033】
(実施例5)
固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を285℃で溶融し、表面温度40℃のドラム上に押し出しし、次いで得られた未延伸シートを90℃で3.5倍縦方向に延伸し、ポリエステル系フィルムの一軸延伸フィルムを得た。
【0034】
実施例1と同様の方法で得られたコート液を、上記で得た一軸延伸フィルムの片面に、コンマコート法により延伸前の樹脂固形分厚みが11μmとなる様に塗布し、引き続き乾燥しつつ120℃で3.5倍横方向に延伸した後、230℃で4%緩和させながら熱処理し、厚さ50μmのポリエステル系フィルムの片面に被覆層が形成されたコートフィルムを得た。得られたコートフィルムの特性を評価した結果を表1に示した。
【0035】
(比較例1)
ノニオン系水系樹脂の代わりに、カチオン系アクリル樹脂エマルション(大日本インキ化学工業株式会社製、SFC−300)を使用する以外は実施例1と同様の方法により、コーティング剤およびコートフィルムを得た.得られたコートフィルムの特性を評価した結果を表1に示した。
【0036】
(比較例2、3)
ポリビニルアルコール水溶液の代わりにポリアクリル酸水溶液(和光純薬工業株式会社製、数平均分子量150、000)、および、アニオン系ポリエステル樹脂水分散体(東洋紡績株式会社製、MD−1200、分子量15000の30%水分散体)を使用する以外は実施例1と同様の方法によりコーティング剤を得たが、分散性が不良であった。
【0037】
【表1】
【0038】
以上の実施例から明らかなとおり、本発明のコーティング剤は、酸化亜鉛超微粒子の分散性が良好であるため、これを用いて得られるコートフィルムは紫外線遮蔽特性に優れ、高い透明性を有していた。
【0039】
【発明の効果】
本発明の水分散性ポリエステル樹脂、酸化亜鉛超微粒子、および水からなるコーティング剤は、ポリエステル樹脂および酸化亜鉛超微粒子の分散性が良好であるため、貯蔵安定性にも優れ、このコーティング剤をフィルム表面に形成したコートフィルムは、紫外線遮蔽能に優れ、また、高い透明性を有するため、各種プラスチックフィルムへの紫外線遮蔽機能付与コーティング剤として好適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水系樹脂、無機酸化物超微粒子および水、アルコールからなる混合物を主成分とするコーティング剤、および、そのコーティング剤から形成された被膜を熱可塑性プラスチックフィルム設けた主に紫外線吸収能を有するフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紫外線遮蔽能を付与するためのコーティング剤として、酸化亜鉛粒子を含有するコーティング剤が知られているが、酸化亜鉛超微粒子の分散性は良好でないため、得られる被膜は紫外線遮蔽能が十分でなく、また濁度も高くなるという問題があった。
【0003】
酸化亜鉛超微粒子を水系樹脂溶液に分散させるために、界面活性剤を混合したり、酸化亜鉛超微粒子を表面処理する方法が知られているが、分散性は十分ではなく、酸化亜鉛超微粒子や樹脂自体が凝集してしまうことがあった.また、特開2002−12821号にはアニオン系の水系ポリエステル樹脂をバインダーとして使用する方法が開示されているが、イオン性の樹脂を用いた場合、塩を生成するなどの理由で微粒子の凝集が起こりやすくフィルムのヘイズ値が高くなるという問題がある.また、コート液のpHをアルカリ性に調整するとポットライフが悪化し、塗膜強度、透明性に悪影響を及ぼすという問題も生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題を解決し、酸化亜鉛超微粒子の分散性が良好なコーティング剤を提供し、そのコーティング剤を用いて形成された被膜を少なくとも一層有する透明性に優れた紫外線遮蔽フィルムを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、酸化亜鉛超微粒子をノニオン系水系樹脂中に配合することにより、酸化亜鉛超微粒子が均一に分散し、この水分散液を熱可塑性フィルムに塗布し、乾燥することにより紫外線遮蔽性、透明性に優れたフィルムが得られることを見出し、本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、ノニオン系水系樹脂100部と、酸化亜鉛超微粒子1〜400部、および水、アルコールからなる混合物を主成分とするコーティング剤、および、この水分散液を熱可塑性フィルムに塗布し、乾燥することにより得られる紫外線遮蔽性、透明性に優れたフィルムにある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるノニオン系水系樹脂をとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、エチレンーポリビニルアルコール共重合体、ポリエステルーポリエチレングリコール共重合体などが挙げられる。
【0008】
本発明において、ノニオン系水系樹脂を構成するポリビニルアルコール樹脂の鹸化度と重合度は、目的とする微粒子分散性、コート液の粘度、製造時の延伸性を加味して定められる.ポリビニルアルコールの重合度(以下、いずれも「数平均分子量」を示す。)は好ましくは300以上、より好ましくは500以上であり、 また好ましくは2600以下、より好ましくは2000以下とすることが推奨される。重合度が300未満になると、結晶化速度が速すぎるため、十分な延伸性が得られないことがある。また重合度が2600を超えるとPVA水溶液粘度が高くなり過ぎて、ゲル化し易くなるためコーティングが困難となることがある。
本発明において、ノニオン系水系樹脂を構成するポリエチレングリコール樹脂としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどがあげられる。
【0009】
本発明におけるノニオン系水系樹脂を構成するポリエステルーポリエチレングリコール共重合体の多塩基酸性成分としては、芳香族多塩基酸、脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸が挙げられる。芳香族多塩基酸のうちの芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸などが挙げられ、必要に応じて被膜の耐熱水性を損なわない範囲で少量の5−ナトリウムスルホイソフタル酸や5−ヒドロキシイソフタル酸を用いることができる。脂肪族多塩基酸のうちの脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、水添ダイマー酸などの飽和ジカルボン酸、およびフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸などの不飽和ジカルボン酸などが挙げられる。また、脂環族多塩基酸のうちの脂環族ジカルボン酸としては、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、1、3−シクロヘキサンジカルボン酸、1、2−シクロヘキサンジカルボン酸、2、5−ノルボルネンジカルボン酸及びその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物などが挙げられる。ポリエーテルーポリエステル共重合体を構成する多塩基酸成分として、芳香族多塩基酸成分が50モル%以上が好ましく、65モル%以上がより好ましい。芳香族多塩基酸の比率が50モル%未満では、塗布被膜の耐熱水性や耐アルカリ性および被膜の硬度が低下し、また、コーティング剤の貯蔵安定性が低下する。
【0010】
本発明におけるノニオン系水系樹脂を構成するポリエーテルーポリエステル共重合体の多価アルコール成分としては、必須成分として上述のポリエーテル群のうち1種或いは2種以上を含む他、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコール、エーテル結合含有グリコールを含んでも良い。炭素数2〜10の脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1、2−プロピレングリコール、1、3−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、2−メチル−1、3−プロパンジオール、1、5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1、6−ヘキサンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、1、9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールなどが挙げられる。炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、1、4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、さらには、ビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコール類、例えば2、2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。
【0011】
本発明におけるノニオン系水系樹脂を構成するポリエーテルーポリエステル共重合体は、必要に応じて3官能以上の多塩基酸または多価アルコールを共重合することができる。3官能以上の多塩基酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1、2、3、4−ブタンテトラカルボン酸などが挙げられる。3官能以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。ただし、3官能以上の多塩基酸及び多価アルコールを共重合する場合には、全酸成分及び全アルコール成分に対しそれぞれ10モル%以下、好ましくは5モル%以下にとどめることが望ましい。10モル%を超えると被膜が硬くなりすぎて加工性が低下する。
【0012】
また、本発明におけるノニオン系水系樹脂を構成するポリエーテルーポリエステル共重合体の酸成分として、必要に応じて、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの脂肪族やそのエステル形成性誘導体、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸などの高沸点のモノカルボン酸を使用してもよい。また、アルコール成分として必要に応じて、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノールなどの高沸点のモノアルコールを使用してもよい。
【0013】
上記ノニオン性水系樹脂は、常法により、水、または水/アルコール系に溶解あるいは分散することができる.水に溶解あるいは分散した場合、後から加えることが出来る。
【0014】
本発明のコーティング剤におけるアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体、さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、ジアセトンアルコール、などが挙げられ、これらのうち1種類でも、2種類以上を混合してもよい。有機溶剤の沸点としては、被膜形成時の乾燥工程などで揮散しやすい沸点250℃以下が好ましく、沸点が100℃以下もしくは水と共沸可能であれば、その一部もしくは全てを系外に除去することができる。
本発明におけるコーティング剤中におけるアルコールの含有量は、コート剤の25%以下であることが好ましく、0.5〜25%がより好ましく、0.5〜18%がさらに好ましい.アルコールの含有量を上記範囲とすることにより、被膜形成能、粘性および貯蔵安定性を良好に保つことができる。
【0015】
本発明のコーティング剤中におけるノニオン系水系樹脂の濃度は特に限定されないが、適度の粘性を保つうえで10〜50%が好ましく、貯蔵安定性も良好である。濃度が10%未満であると種々の添加剤を混合する場合混和性が劣ることがある.50%を超えるとコーティング剤の粘度が著しく上昇し,塗工性が不良となる。
【0016】
次に、本発明における酸化亜鉛超微粒子について説明する.酸化亜鉛超微粒子の粒径としては、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい.酸化亜鉛超微粒子の粒径が100nmを超えると、紫外線遮蔽能が低下し、また被膜が形成されたフィルムの透明性が低下して濁度の高いものとなる。
【0017】
本発明におけるコーティング剤は、ノニオン系水系樹脂100部に対して酸化亜鉛超微粒子を1〜400部、好ましくは3〜200部、より好ましくは5〜100部配合される.酸化亜鉛超微粒子の割合が1部未満では得られるコーティング剤を用いた被膜の紫外線遮蔽能が不十分であり、400部を超えると酸化亜鉛超微粒子の分散性が悪化したり、被膜形成能が悪化したりすることがある。
本発明のコーティング剤には、架橋剤を混合することにより被膜の硬度を上げることができる.架橋剤としては、本発明におけるノニオン系水系樹脂が有する官能基、主には水酸基と反応性を有するものであり、フェノール樹脂、アミノ樹脂、多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物及びその各種ブロックイソシアネート化合物、多官能アジリジン化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有重合体などが挙げられる.架橋剤は1種類のみを使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0018】
また、本発明のコーティング剤には、本発明の効果が損なわれない範囲で、酸化防止剤、滑剤、着色剤などを添加することがでる。
【0019】
本発明のコーティング剤を製造する方法としては、(A)ノニオン系水系樹脂溶液に対し、酸化亜鉛超微粒子分散液を添加し混合する方法、(B)酸化亜鉛超微粒子の分散液にノニオン系水系樹脂溶液を添加し混合する方法、(C)ノニオン系水系樹脂溶液に酸化亜鉛超微粒子を添加し混合する方法、(D)酸化亜鉛超微粒子にノニオン系水系樹脂溶液を添加し混合する方法などが挙げられるが、良好な分散性を得るには、(A)、(B)の方法が好ましく、さらには(A)の方法がより好ましい.なお、混合の際、酸化亜鉛微粒子の分散安定性を維持するために、混合液のpHが8〜12となるようpH調節を行うことが好ましい。pHが8未満だと凝集が生じやすくなる.12を超えると,塗工装置の腐蝕が起こりやすくなるため好ましくない。
【0020】
本発明のコーティング剤を基材フィルムにコーティングする方法としては、公知の被膜形成方法、例えば、ディップコート法、はけ塗り法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法などを用いることができる.また、コーティング被膜の乾燥方法としては、通常、熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーターなどにより、60〜160℃で数秒〜数十秒乾燥される.なお、コーティング被膜の厚さとしては、強度および耐傷付き性に優れた均一な厚さの被膜が得られる0.01〜100μmが好ましく、0.3〜50μmがより好ましく、0.5〜10μmがさらに好ましい。
【0021】
塗布する段階としては、熱可塑性フィルム表面にあらかじめ塗布する方法、1軸方向に配向させたフィルム表面に塗布し、それを更に直角方向に配向させる方法、2軸配向処理後のフイルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可能であるが、特に1軸配向したフイルム表面に塗布した後直角方向に延伸配向し、結晶化を完了させる方法が、接着性、経済性、クリーン度等の点で、最も好ましい方法である。
【0022】
本発明のコーティング剤を塗布する基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロンなど各種の熱可塑性樹脂フィルムが挙げられる。
【0023】
本発明のコーティング剤は、貯蔵安定性に優れており、また分散性にも優れているため、ノニオン系水系樹脂および超微粒子酸化亜鉛の優れた特性を発現することができる.また、有機溶剤の含有量が少ないため環境問題を生じず、職場の環境改善にも寄与することが可能である。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではない。また,実施例中,単に「部」とあるのは,重量部を意味し,「%」とあるのは重量%を意味する.なお、下記実施例で採用した各種物性、性能の測定・評価法は次の通りである。
【0025】
(A)原料
実施例1〜7で使用したノニオン系水系樹脂の主成分のポリビニルアルコール樹脂は、重合度が11700、鹸化度98%である。
【0026】
(B)測定法
(1)コーティング剤の分散性
コーティング剤の分散性を、目視により次の基準によって評価した。
◎ :均一分散
〇 :少量の粒子残留があるがほぼ均一分散
× :沈降粒子が確認される
××:沈降粒子および樹脂の凝集が確認される
【0027】
(2)コーティング剤をフィルムに塗布後、乾燥したフィルム(コートフィルム)のヘイズ値
JIS−K7105に準拠し、ヘイズメーター(東京電色工業社製、モデルTC−H3DP)を用いて測定した。ただし、評価値には基材フィルムのPET2軸延伸フィルムのヘイズ0.6を含んでいる。
【0028】
(3)コートフィルムの紫外線遮蔽特性
自記分光光度計(日立U−3500型)を用いて測定した.測定した波長は800〜200nmの範囲である。波長360nmでの紫外線透過度値を評価した。
【0029】
(実施例1)
1Lガラス容器中に、ポリビニルアルコール樹脂(クラレ株式会社製、RS−117、重合度117、けん化度98.5%)40部、イソプロパノール35部、グリセリン5部、および蒸留水420部を加え、撹拌機を用いて撹拌翼の回転速度を200rpmとして撹拌したまま、加熱した.系内温度を90℃に保った状態で30分間撹拌し、その後加熱を停止し、回転速度を50rpmまで下げて撹拌しつつ室温(約20℃)まで冷却し、固形分濃度が8%の透明で均一なポリビニルアルコール水溶液を得た.また、別途酸化亜鉛超微粒子(住友大阪セメント株式会社製、平均粒子径20nm)50部を蒸留水50部とホモジナイザーを用いて分散した溶液を、上記で得られたポリビニルアルコール溶液に樹脂固形分50重量部に対して酸化亜鉛超微粒子が50部となるように混合した後、ペイントシェーカー撹拌機を用いて30分間撹拌することにより、酸化亜鉛超微粒子含有ノニオン系水系樹脂コーティング剤を得た。
得られたコーティング剤を2軸延伸PETフィルム(東洋紡績株式会社製、E5100、厚み50μm)の片面にワイヤーバー#30を使用して塗布後、130℃で30秒間乾燥することにより、フィルム面に厚さ2μmの被膜を形成したコートフィルムを得た.なお、被膜の厚みは、接触式膜厚計により評価したコートフィルム全体の厚みから基材である2軸延伸PETフィルムの厚みを減じて求めた。
得られたコートフィルムの特性を評価した結果を表1に示した。
【0030】
(実施例2)
ノニオン系水系樹脂溶液に、ポリエチレンビニルアルコール水系溶液(日本合成化学工業株式会社製、ソアノール16D、水/イソプロパノール混合溶媒)を使用する以外は実施例1と同様の方法により、コーティング剤およびコートフィルムを得た.得られたコートフィルムの特性を評価した結果を表1に示した。
【0031】
(実施例3)
ノニオン系水系樹脂固形分66部に対して酸化亜鉛超微粒子を33部とした以外は実施例1と同様の方法により、コーティング剤およびコートフィルムを得た.得られたコートフィルムの特性を評価した結果を表1に示した。
【0032】
(実施例4)
ノニオン系水系樹脂固形分20部に対して酸化亜鉛超微粒子を80部とした以外は実施例1と同様の方法により、コーティング剤およびコートフィルムを得た.得られたコートフィルムの特性を評価した結果を表1に示した。
【0033】
(実施例5)
固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を285℃で溶融し、表面温度40℃のドラム上に押し出しし、次いで得られた未延伸シートを90℃で3.5倍縦方向に延伸し、ポリエステル系フィルムの一軸延伸フィルムを得た。
【0034】
実施例1と同様の方法で得られたコート液を、上記で得た一軸延伸フィルムの片面に、コンマコート法により延伸前の樹脂固形分厚みが11μmとなる様に塗布し、引き続き乾燥しつつ120℃で3.5倍横方向に延伸した後、230℃で4%緩和させながら熱処理し、厚さ50μmのポリエステル系フィルムの片面に被覆層が形成されたコートフィルムを得た。得られたコートフィルムの特性を評価した結果を表1に示した。
【0035】
(比較例1)
ノニオン系水系樹脂の代わりに、カチオン系アクリル樹脂エマルション(大日本インキ化学工業株式会社製、SFC−300)を使用する以外は実施例1と同様の方法により、コーティング剤およびコートフィルムを得た.得られたコートフィルムの特性を評価した結果を表1に示した。
【0036】
(比較例2、3)
ポリビニルアルコール水溶液の代わりにポリアクリル酸水溶液(和光純薬工業株式会社製、数平均分子量150、000)、および、アニオン系ポリエステル樹脂水分散体(東洋紡績株式会社製、MD−1200、分子量15000の30%水分散体)を使用する以外は実施例1と同様の方法によりコーティング剤を得たが、分散性が不良であった。
【0037】
【表1】
【0038】
以上の実施例から明らかなとおり、本発明のコーティング剤は、酸化亜鉛超微粒子の分散性が良好であるため、これを用いて得られるコートフィルムは紫外線遮蔽特性に優れ、高い透明性を有していた。
【0039】
【発明の効果】
本発明の水分散性ポリエステル樹脂、酸化亜鉛超微粒子、および水からなるコーティング剤は、ポリエステル樹脂および酸化亜鉛超微粒子の分散性が良好であるため、貯蔵安定性にも優れ、このコーティング剤をフィルム表面に形成したコートフィルムは、紫外線遮蔽能に優れ、また、高い透明性を有するため、各種プラスチックフィルムへの紫外線遮蔽機能付与コーティング剤として好適である。
Claims (5)
- ノニオン系水系樹脂100部と、酸化亜鉛超微粒子1〜400部、および水、アルコールからなる混合物を主成分とすることを特徴とするコーティング剤。
- 請求項1記載のノニオン系水系樹脂がポリビニルアルコールを含有することを特徴とするコーティング剤。
- 請求項1または2記載のコーティング剤から形成された被膜を熱可塑性プラスチックフィルムに少なくとも一層設けたことを特徴とする被覆フィルム。
- 請求項3記載の被覆フィルムであって、波長360nmにおける紫外線透過度が3.0以下であることを特徴とする被覆フィルム。
- 請求項3あるいは4記載の被覆フィルムであって、ヘイズ値が3.0以下であることを特徴とする紫外線遮蔽フィルム。
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