JP2002012821A - コーティング剤、およびそれを用いた紫外線吸収フィルム - Google Patents

コーティング剤、およびそれを用いた紫外線吸収フィルム

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JP2002012821A
JP2002012821A JP2000198863A JP2000198863A JP2002012821A JP 2002012821 A JP2002012821 A JP 2002012821A JP 2000198863 A JP2000198863 A JP 2000198863A JP 2000198863 A JP2000198863 A JP 2000198863A JP 2002012821 A JP2002012821 A JP 2002012821A
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acid
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water
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JP2000198863A
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Munenori Yamada
宗紀 山田
Masashi Okamoto
昌司 岡本
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化亜鉛超微粒子の分散性が良好なコーティ
ング剤を提供し、これをフィルムの表面にコーティング
し、乾燥することにより、透明性に優れた紫外線吸収フ
ィルムを提供する。 【解決手段】 水分散性ポリエステル樹脂100質量部
と、酸化亜鉛超微粒子1〜400質量部、および水から
なる混合物を主成分とするコーティング剤、および、そ
れを熱可塑性フィルムの少なくとも片面に塗布後乾燥し
て得られる層を有する紫外線吸収フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水分散性ポリエス
テル樹脂、酸化亜鉛超微粒子および水からなる混合物を
主成分とするコーティング剤、および、そのコーティン
グ剤から形成された被膜を少なくとも一層有する紫外線
吸収フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】紫外線吸収能を付与するためのコーティ
ング剤として、酸化亜鉛粒子を含有するコーティング剤
が知られているが、酸化亜鉛超微粒子の分散性は良好で
ないため、得られる被膜は紫外線吸収能が十分でなく、
また濁度も高くなるという問題があった。
【0003】酸化亜鉛超微粒子を水系樹脂溶液に分散さ
せるために、界面活性剤を混合したり、酸化亜鉛超微粒
子を表面処理する方法が知られているが、分散性は十分
ではなく、酸化亜鉛超微粒子や樹脂自体が凝集してしま
うことがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題を解決し、酸化亜鉛超微粒子の分散性が良好なコ
ーティング剤を提供し、そのコーティング剤を用いて形
成された被膜を少なくとも一層有する透明性に優れた紫
外線吸収フィルムを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、酸化亜鉛
超微粒子をポリエステル樹脂エマルジョン中に配合する
ことにより、酸化亜鉛超微粒子が均一に分散し、この水
分散液を熱可塑性フィルムに塗布し、乾燥することによ
り紫外線吸収性、透明性に優れたフィルムが得られるこ
とを見出し、本発明に到達した。
【0006】すなわち、本発明の要旨は、水分散性ポリ
エステル樹脂100質量部と、酸化亜鉛超微粒子1〜4
00質量部、および水からなる混合物を主成分とするコ
ーティング剤、および、この水分散液を熱可塑性フィル
ムに塗布し、乾燥することにより得られる紫外線吸収
性、透明性に優れたフィルムにある。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0008】本発明における水分散性ポリエステル樹脂
を構成する多塩基酸性成分としては、芳香族多塩基酸、
脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸が挙げられる。芳香族
多塩基酸のうちの芳香族ジカルボン酸としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジ
カルボン酸、ビフェニルジカルボン酸などが挙げられ、
必要に応じて被膜の耐熱水性を損なわない範囲で少量の
5−ナトリウムスルホイソフタル酸や5−ヒドロキシイ
ソフタル酸を用いることができる。脂肪族多塩基酸のう
ちの脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク
酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシ
ン酸、ドデカン二酸、水添ダイマー酸などの飽和ジカル
ボン酸、およびフマル酸、マレイン酸、無水マレイン
酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水
シトラコン酸、ダイマー酸などの不飽和ジカルボン酸な
どが挙げられる。また、脂環族多塩基酸のうちの脂環族
ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2
−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネン
ジカルボン酸及びその無水物、テトラヒドロフタル酸お
よびその無水物などが挙げられる。
【0009】本発明において、ポリエステル樹脂を構成
する多塩基酸成分として、芳香族多塩基酸成分が50モ
ル%以上が好ましく、65モル%以上がより好ましい。
芳香族多塩基酸の比率が50モル%未満では、塗布被膜
の耐熱水性や耐アルカリ性および被膜の硬度が低下し、
また、水性分散体の貯蔵安定性が低下する。
【0010】本発明における水分散性ポリエステル樹脂
を構成する多価アルコール成分としては、炭素数2〜1
0の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコ
ール、エーテル結合含有グリコールが挙げられる。炭素
数2〜10の脂肪族グリコールとしては、エチレングリ
コール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロ
パンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−
1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオー
ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−
ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオ
ールなどが挙げられる。炭素数6〜12の脂環族グリコ
ールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノールな
どが挙げられる。エーテル結合含有グリコールとして
は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、さらには、ビスフェノール類
の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイドまた
はプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して
得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4−ヒド
ロキシエトキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。
また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコールなども必要により
使用することができる。ただし、エーテル構造はポリエ
ステル樹脂被膜の耐水性、耐熱性を低下させることか
ら、その使用量は全多価アルコール成分の10重量%以
下、好ましくは5重量%以下とすることが好ましい。
【0011】本発明におけるポリエステル樹脂は、必要
に応じて3官能以上の多塩基酸または多価アルコールを
共重合することができる。3官能以上の多塩基酸として
は、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノン
テトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリ
ット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメ
シン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリ
テート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテ
ート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸など
が挙げられる。3官能以上の多価アルコールとしては、
グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。ただ
し、3官能以上の多塩基酸及び多価アルコールを共重合
する場合には、全酸成分及び全アルコール成分に対しそ
れぞれ10モル%以下、好ましくは5モル%以下にとど
めることが望ましい。10モル%を超えると被膜が硬く
なりすぎて加工性が低下する。
【0012】また、ポリエステル樹脂の酸成分として、
必要に応じて、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン
酸などの脂肪族やそのエステル形成性誘導体、安息香
酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン
酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸などの高沸点
のモノカルボン酸を使用してもよい。また、アルコール
成分として必要に応じて、ステアリルアルコール、2−
フェノキシエタノールなどの高沸点のモノアルコールを
使用してもよい。
【0013】多価アルコール成分としては、ネオペンチ
ルグリコールを全多価アルコール成分中に35モル%以
上、好ましくは50モル%以上用いることにより、ポリ
エステル樹脂の水分散性が向上し、また、被膜の耐候性
が向上する。
【0014】本発明におけるポリエステル樹脂の酸価と
しては、10〜40mgKOH/gが好ましく、10〜
35mgKOH/gがより好ましい。酸価が40mgK
OH/gを超えると、被膜の耐熱水性や耐アルカリ性が
低下し、また被膜が硬くなりすぎる。また、酸価が10
mgKOH/g未満では、ポリエステル樹脂の水分散化
が困難になる。
【0015】次に、本発明の水分散性ポリエステル樹脂
エマルジョンの製造方法について説明する。水分散性ポ
リエステル樹脂エマルジョンを製造する方法としては、
たとえば、塩基性化合物を添加した水及び有機溶剤中に
ポリエステル樹脂粉末もしくは粒状物を40℃以下の室
温付近で混合、撹拌した後(分散工程)、撹拌しながら
所定温度まで加熱し(加熱工程)、ポリエステル樹脂の
ガラス転移温度以上、90℃以下の温度で撹拌してポリ
エステル樹脂を微粒子化し(水性化工程)、冷却する
(冷却工程)ことによって水分散性ポリエステル樹脂エ
マルジョンを製造する方法(特開平9−296100号
公報)が好ましい。
【0016】上記の4工程中、ポリエステル樹脂は分散
工程が終了するまでにその全量が系に添加することが必
要である。また、塩基性化合物及び有機溶剤は、分散工
程〜水性化工程の任意の工程で添加すればよい。
【0017】ポリエステル樹脂エマルジョンを製造する
工程において添加される塩基性化合物は、ポリエステル
樹脂のカルボキシル基を中和するものであり、具体的に
は、被膜形成時の乾燥工程などで揮散しやすいアンモニ
アもしくは沸点250℃以下の有機アミンが好ましい。
有機アミンの具体例としては、トリエチルアミン、N,N
−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノー
ルアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリ
ン、N−エチルモルホリンなどが挙げられる。
【0018】塩基性化合物の添加量としては、ポリエス
テル樹脂中のカルボキシル基に対して、0.2〜1.5
倍当量が好ましく、さらには、0.4〜1.3倍当量が
より好ましい。0.2倍当量未満では中和が不十分で分
散安定性が良好なエマルジョンが得られない場合があ
り、1.5倍当量を超えるとエマルジョンが著しく増粘
する場合がある。
【0019】ポリエステル樹脂エマルジョンを製造する
工程において混合される有機溶剤としては、ポリエステ
ル樹脂の水性化能力およびポリエステル樹脂に対して可
塑化能力を有するもの、具体的には、エタノール、n−
プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イ
ソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノ
ール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、
sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコー
ル、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−
ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノールな
どのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、
イソホロンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオ
キサンなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロ
ピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソ
ブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブ
チル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸
ジエチル、炭酸ジメチルなどのエステル類、エチレング
リコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エ
チレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコ
ールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブ
チルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセ
テート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコール
モノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチル
エーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、
ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロ
ピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プ
ロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのグ
リコール誘導体、さらには、3−メトキシ−3−メチル
ブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリ
ル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジ
アセトンアルコール、アセト酢酸エチルなどが挙げら
れ、これらのうち1種類でも、2種類以上を混合しても
よい。有機溶剤の沸点としては、被膜形成時の乾燥工程
などで揮散しやすい沸点250℃以下が好ましく、沸点
が100℃以下もしくは水と共沸可能であれば、その一
部もしくは全てを系外に除去することができる。
【0020】ポリエステル樹脂水性分散体中における有
機溶剤の含有量は、水性分散体の25質量%以下である
ことが好ましく、0.5〜25質量%がより好ましく、
0.5〜18質量%がさらに好ましい。有機溶剤の含有
量を上記範囲とすることにより、水性分散体の被膜形成
能、粘性および貯蔵安定性を良好に保つことができる。
【0021】ポリエステル樹脂水性分散体中におけるポ
リエステル樹脂の濃度は特に限定されないが、適度の粘
性を保つうえで10〜50質量%が好ましく、貯蔵安定
性も良好である。
【0022】次に、本発明における酸化亜鉛超微粒子に
ついて説明する。酸化亜鉛超微粒子の粒径としては、1
00nm以下であることが好ましく、50nm以下であ
ることがより好ましい。酸化亜鉛超微粒子の粒径が10
0nmを超えると、被膜が形成されたフィルムの透明性
が低下して濁度の高いものとなる。
【0023】本発明におけるコーティング剤は、ポリエ
ステル樹脂100質量部に対して酸化亜鉛超微粒子を1
〜400質量部、好ましくは3〜200質量部、より好
ましくは5〜100質量部配合される。酸化亜鉛超微粒
子の割合が1質量部未満では得られるコーティング剤を
用いた被膜の紫外線吸収能が不十分であり、400質量
部を超えると酸化亜鉛超微粒子の分散性が悪化したり、
被膜形成能が悪化したりすることがある。
【0024】本発明のコーティング剤には、架橋剤を混
合することにより被膜の硬度を上げることができる。架
橋剤としては、本発明におけるポリエステル樹脂が有す
る官能基、例えばカルボキシル基や水酸基と反応性を有
するものであり、フェノール樹脂、アミノ樹脂、多官能
エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物及びその
各種ブロックイソシアネート化合物、多官能アジリジン
化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基
含有重合体などが挙げられる。架橋剤は1種類のみを使
用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0025】また、本発明のコーティング剤には、本発
明の効果が損なわれない範囲で、酸化防止剤、滑剤、着
色剤などを添加することがでる。
【0026】本発明のコーティング剤を熱可塑性フィル
ムの少なくとも片面に塗布後、乾燥して得られるフィル
ムは透明性に優れており、紫外線吸収係数が8以上であ
る。ここで紫外線吸収係数(k)とは、下式で定義され
るものである。 k=A/v・t ただし、Aは波長365nmでの吸光度、vはコーティ
ング層中の酸化亜鉛の体積分率、tはコーティング層の
厚さ(μm)を表す。すなわち、kの値はコーティング
層の紫外線を吸収する能力が高いほど高くなる。
【0027】本発明のコーティング剤を製造する方法と
しては、まず水分散性ポリエステル樹脂エマルジョンを
製造し、(A)得られたエマルジョンに酸化亜鉛超微粒
子分散液を添加し混合する方法、(B)酸化亜鉛超微粒
子の水分散液にポリエステル樹脂エマルジョンを添加し
混合する方法、(C)ポリエステル樹脂エマルジョンに
酸化亜鉛超微粒子を添加し混合する方法、(D)酸化亜
鉛超微粒子にポリエステル樹脂エマルジョンを添加し混
合する方法、および(E)ポリエステル樹脂エマルジョ
ンの製造過程において酸化亜鉛超微粒子の水分散液を添
加する方法、(F)ポリエステル樹脂エマルジョンの製
造過程において酸化亜鉛超微粒子を添加する方法などが
挙げられるが、良好な分散性を得るには、(A)、
(B)、(E)の方法が好ましく、さらには(A)、(B)
の方法がより好ましい。なお、混合の際、水分散性ポリ
エステル樹脂エマルジョンの分散安定性を維持するため
に、混合液のpHが8〜12となるようpH調節を行うこ
とが好ましい。
【0028】また、上記の(E)、(F)の方法におい
て、酸化亜鉛超微粒子の水分散液または酸化亜鉛超微粒
子を添加する場合は、エマルジョン製造過程の任意の工
程で添加することが可能であるが、良好な分散性を得る
には分散工程で添加するのが好ましい。混合液の撹拌装
置としては、固/液、液/液撹拌装置として広く知られ
ている装置を使用することができる。
【0029】また、本発明のコーティング剤を、必要に
応じてさらに高分散化を目的としたジェット粉砕処理を
行ってもよい。すなわち、ジェット粉砕処理とは、上述
の流体を高圧下でノズルやスリットのような細孔から噴
出させ、流体同士や流体と衝突板とを衝突させて、機械
的なエネルギーによってさらに高分散化することであ
る。
【0030】本発明のコーティング剤は、水分散性ポリ
エステル樹脂エマルジョンを使用することにより、低粘
度の高濃度分散液が得られる、分散性に優れているた
め、短時間の分散処理で良好な分散状態の分散液を得る
ことができる。
【0031】本発明のコーティング剤を基材フィルムに
コーティングする方法としては、公知の被膜形成方法、
例えば、ディップコート法、はけ塗り法、ロールコート
法、スプレーコート法、グラビアコート法などを用いる
ことができる。また、コーティング被膜の乾燥方法とし
ては、通常、熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーターな
どにより、60〜160℃で数秒〜数十秒乾燥される。
なお、コーティング被膜の厚さとしては、強度および耐
傷付き性に優れた均一な厚さの被膜が得られる0.01
〜100μmが好ましく、0.3〜50μmがより好ま
しく、0.5〜10μmがさらに好ましい。
【0032】本発明のコーティング剤を塗布する基材フ
ィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロンなど各
種の熱可塑性樹脂フィルムが挙げられる。本発明の水分
散性ポリエステル樹脂エマルジョンは、貯蔵安定性に優
れており、また分散性にも優れているため、ポリエステ
ル樹脂および超微粒子酸化亜鉛の優れた特性を発現する
ことができる。また、有機溶剤の含有量が非常に少ない
ため環境問題を生じず、職場の環境改善にも寄与するこ
とが可能である。
【0033】
【実施例】次に、実施例により、本発明をより具体的に
説明する。実施例で用いた原料、および各種の特性は次
に示す方法によって測定した。
【0034】(A)原料 実施例1〜7で使用した水分散性ポリエステル樹脂エマ
ルジョンの主成分のポリエステル樹脂は、多塩基酸性成
分として、テレフタル酸/イソフタル酸のモル比が71
/29、多価アルコール成分として、エチレングリコー
ル/ネオペンチルグリコールのモル比が45/55から
なる酸価が15.3、数平均分子量が9,000であ
る。 (B)測定法 (1)コーティング剤の分散性 コーティング剤の分散性を、目視により次の基準によっ
て評価した。 ◎ :均一分散 〇 :少量の粒子残留があるがほぼ均一分散 × :沈降粒子が確認される ××:沈降粒子および樹脂の凝集が確認される (2)コーティング剤をフィルムに塗布後、乾燥したフ
ィルム(コートフィルム)の濁度 JIS K7361-1に基づき、濁度計(日本電色工業株式会社
製、NDH2000)を用いて、コートフィルムの濁度測
定を行った。ただし、評価値には基材フィルムのPET2
軸延伸フィルムの濁度2.7を含んでいる。 (3)コートフィルムの紫外線吸収特性 自記分光光度計(日立製作所社製、U-4000型)を用
いて、コートフィルムの紫外線吸光度測定を行った。波
長365nmでの紫外線吸光度値および前記の式から定
義される紫外線吸収係数を評価した。
【0035】実施例1 ジャケット付きの1Lガラス容器中に、ポリエステル樹
脂150g、イソプロパノール63g、トリエチルアミ
ン3.3g(ポリエステル樹脂中に含まれる全カルボキ
シル基量の1.2倍当量に相当する量)、および蒸留水
287gを加え、系を密閉した後、撹拌機(特殊機化工
業株式会社製、T.K.ロボミックス)を用いて撹拌翼
の回転速度を7,000rpmとして撹拌したまま、ジ
ャケットに熱水を通して加熱した。系内温度を73〜7
5℃に保った状態で30分間撹拌し、その後ジャケット
に冷水を通して、回転速度を5,000rpmまで下げ
て撹拌しつつ室温(約20℃)まで冷却し、固形分濃度
が30%の乳白色で均一な水分散性ポリエステル樹脂エ
マルジョンを得た。得られた水分散性ポリエステル樹脂
エマルジョンに、酸化亜鉛超微粒子水分散体(シーアイ
化成株式会社製、ナノテック、平均粒子径31nm、酸
化亜鉛濃度15質量%)を、ポリエステル樹脂固形分6
0質量部に対して酸化亜鉛超微粒子が40質量部となる
ように混合し、固形分濃度が20質量%となるように蒸
留水で調整した後、ペイントシェーカー撹拌機を用いて
30分間撹拌することにより、酸化亜鉛超微粒子含有水
分散性ポリエステル樹脂エマルジョンコーティング剤を
得た。得られたコーティング剤を2軸延伸PETフィルム
(ユニチカ株式会社製、厚み12μm)の片面にフィル
ムアプリケーター(安田精機株式会社製、542−A
B)を使用して塗布後、130℃で30秒間乾燥するこ
とにより、フィルム面に厚さ1.5μmの被膜を形成し
たコートフィルムを得た。なお、被膜の厚みは、接触式
膜厚計により評価したコートフィルム全体の厚みから基
材である2軸延伸PETフィルムの厚みを減じて求めた。
得られたコートフィルムの特性を評価した結果を表1に
示した。
【0036】実施例2 撹拌機としてペイントシェーカー撹拌機の代わりにマグ
ネチックスターラー撹拌機を使用する以外は実施例1と
同様の方法により、コーティング剤およびコートフィル
ムを得た。得られたコートフィルムの特性を評価した結
果を表1に示した。
【0037】実施例3 ポリエステル樹脂固形分70質量部に対して酸化亜鉛超
微粒子を30質量部とした以外は実施例1と同様の方法
により、コーティング剤およびコートフィルムを得た。
得られたコートフィルムの特性を評価した結果を表1に
示した。
【0038】実施例4 酸化亜鉛超微粒子水分散体の代わりに、酸化亜鉛超微粒
子粉体(シーアイ化成株式会社製、ナノテック、平均粒
子径31nm)を使用する以外は実施例1と同様の方法
により、コーティング剤およびコートフィルムを得た。
得られたコートフィルムの特性を評価した結果を表1に
示した。
【0039】比較例1 水分散性ポリエステル樹脂エマルジョンの代わりに、ポ
リビニルアルコール水溶液(ユニチカケミカル株式会社
製、重合度400、けん化度98.5%の10%水溶
液)を使用する以外は実施例3と同様の方法により、コ
ーティング剤およびコートフィルムを得た。得られたコ
ートフィルムの特性を評価した結果を表1に示した。
【0040】比較例2〜3 ポリビニルアルコール水溶液の代わりにポリアクリル酸
水溶液(和光純薬工業株式会社製、数平均分子量15
0,000)、および、ポリエチレンビニルアルコール
水系溶液(日本合成化学工業株式会社製、ソアノール1
6D、水/イソプロパノール混合溶媒)を使用する以外
は実施例3と同様の方法によりコーティング剤を得た
が、分散性が不良であった。
【0041】実施例5 ジャケット付きの1Lガラス容器中にポリエステル樹脂
100g、イソプロパノール72g、トリエチルアミン
3.3g(ポリエステル樹脂中に含まれる全カルボキシ
ル基量の1.2倍当量に相当する量)、および酸化亜鉛
超微粒子水分散体(シーアイ化成株式会社製、ナノテッ
ク、平均粒子径31nm、酸化亜鉛濃度15質量%)4
00gを加え、系を密閉した後、撹拌機(特殊機化工業
株式会社製、T.K.ロボミックス)を用いて撹拌翼の
回転速度を7,000rpmとして撹拌したまま、ジャ
ケットに熱水を通して加熱した。系内温度を73〜75
℃に保った状態で30分間撹拌し、その後ジャケットに
冷水を通して、回転速度を5,000rpmまで下げて
撹拌しつつ室温(約20℃)まで冷却し、固形分濃度が
30%の乳白色で均一な酸化亜鉛超微粒子含有水分散性
ポリエステル樹脂エマルジョンを得た。さらに、固形分
濃度が20質量%となるように蒸留水で調整し、酸化亜
鉛超微粒子含有水分散性ポリエステル樹脂エマルジョン
コーティング剤を得た。得られたコーティング剤を使用
して、実施例1と同様の方法により、コートフィルムを
得た。得られたコートフィルムの特性を評価した結果を
表1に示した。
【0042】実施例6 酸化亜鉛超微粒子水分散体の代わりに、酸化亜鉛超微粒
子粉体(シーアイ化成株式会社製、ナノテック、平均粒
子径31nm)60g、蒸留水340gを使用する以外
は実施例5と同様の方法により、コーティング剤および
コートフィルムを得た。得られたコートフィルムの特性
を評価した結果を表1に示した。
【0043】
【表1】
【0044】以上の実施例から明らかなとおり、本発明
のコーティング剤は、酸化亜鉛超微粒子の分散性が良好
であるため、これを用いて得られるコートフィルムは紫
外線吸収特性に優れ、高い透明性を有していた。
【0045】
【発明の効果】本発明の水分散性ポリエステル樹脂、酸
化亜鉛超微粒子、および水からなるコーティング剤は、
ポリエステル樹脂および酸化亜鉛超微粒子の分散性が良
好であるため、貯蔵安定性にも優れ、このコーティング
剤をフィルム表面に形成したコートフィルムは、紫外線
吸収能に優れ、また、高い透明性を有するため、各種プ
ラスチックフィルムへの紫外線吸収機能付与コーティン
グ剤として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA01B AA25B AK01A AK41B AK42 AL05B BA02 CC00B DE01B GB90 JA20 JB09B JD09 JM01B JM02B JN01 YY00 4J038 DD041 GA03 GA06 HA186 KA08 KA20 MA08 MA10 NA01 NA19 NA26 PC08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水分散性ポリエステル樹脂100質量部
    と、酸化亜鉛超微粒子1〜400質量部、および水から
    なる混合物を主成分とするコーティング剤。
  2. 【請求項2】 水分散性ポリエステル樹脂を構成する多
    塩基酸成分として、芳香族多塩基酸を50モル%以上含
    有し、多価アルコール成分としてネオペンチルグリコー
    ルを35モル%以上含有することを特徴とする請求項1
    記載のコーティング剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のコーティング剤
    から形成された被膜を少なくとも一層有する紫外線吸収
    フィルム。
  4. 【請求項4】 紫外線吸収係数が8以上である請求項3
    記載の紫外線吸収フィルム。
  5. 【請求項5】 紫外線吸光度が0.9以上である請求項
    3記載の紫外線吸収フィルム。
  6. 【請求項6】 濁度が8以下である請求項3〜5のいず
    れかに記載の紫外線吸収フィルム。
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