JP6022852B2 - ポリエステル樹脂水性分散体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)ジカルボン酸成分、グリコール成分およびヒドロキシカルボン酸成分から構成されるポリエステル樹脂、塩基性化合物ならびに水を含有し、実質的に乳化剤を含有しないポリエステル樹脂水性分散体であって、該ポリエステル樹脂は、ヒドロキシカルボン酸成分として、下記化合物(I)をジカルボン酸成分100モル%に対し0.2〜5モル%含み、数平均分子量が5000〜50000、酸価が4mgKOH/g以上、水酸基価が4〜22mgKOH/gであり、ジカルボン酸成分において、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸が1モル%未満であることを特徴とするポリエステル樹脂水性分散体。
化合物(I):分子内に少なくともカルボキシル基とヒドロキシル基の両方を有する化合
物であって、カルボキシル基数とヒドロキシル基数の合計が3以上である化合物。
(2)ポリエステル樹脂の酸価が4〜20mgKOH/gであることを特徴とする(1)
に記載のポリエステル樹脂水性分散体。
(3)化合物(I)中のカルボキシル基の数が、ヒドロキシル基の数よりも多いことを特
徴する(1)または(2)に記載のポリエステル樹脂水性分散体。
(4)(1)〜(3)いずれかに記載のポリエステル樹脂水性分散体を塗布し乾燥して得
られる樹脂被膜。
(5)(1)〜(3)いずれかに記載のポリエステル樹脂水性分散体とアクリル樹脂水性
分散体とを混合したことを特徴とする水性分散体の混合物。
(6)(5)記載の水性分散体の混合物を塗布し乾燥して得られることを特徴とする樹脂
被膜。
(7)ジカルボン酸成分、グリコール成分およびヒドロキシカルボン酸成分から構成され、ヒドロキシカルボン酸成分として、下記化合物(I)をジカルボン酸成分100モル%に対し0.2〜5モル%含み、数平均分子量が5000〜50000、酸価が4mgKOH/g以上、水酸基価が4〜22mgKOH/gのポリエステル樹脂を、有機溶剤に溶解させ、このポリエステル樹脂溶液に塩基性化合物および水を添加して分散させることを特徴するポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
化合物(I):分子内に少なくともカルボキシル基とヒドロキシル基の両方を有する化合物であって、カルボキシル基数とヒドロキシル基数の合計が3以上である化合物。
(8)さらに有機溶剤および/または塩基性化合物を除去することを特徴とする(7)記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
(9)有機溶剤として、沸点が180℃以下であり、20℃における水への溶解性が5g/L以上であり、水との共沸点が60〜150℃のものを用いることを特徴とする(7)または(8)に記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体(以下、単に「水性分散体」と略称する場合がある。)は、ポリエステル樹脂を水性媒体に分散したものである。
なお、評価、測定方法は下記の通りである。
高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製、ECA500 NMR)を用いて、1H−NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク強度から樹脂組成を求めた(分解能:500MHz、溶媒:重水素化トリフルオロ酢酸、温度:25℃)。また、1H−NMRスペクトル上に帰属・定量可能なピークが認められない構成モノマーを含む樹脂については、封管中230℃で3時間メタノール分解をおこなった後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析をおこなった。
ポリエステル樹脂0.5gを精秤し、水/1,4-ジオキサン=1/9(体積比)50mLに室温で溶解し、クレゾールレッドを指示薬として0.1Nの水酸化カリウムメタノール溶液で滴定し、中和に消費されたポリエステル樹脂1gあたりの水酸化カリウムのmg数(mgKOH/g)を酸価とした。
ポリエステル樹脂3gを精秤し、無水酢酸0.6mLおよびピリジン50mLを加え、室温下で48時間攪拌して反応させ、続いて、蒸留水5mLを添加して、さらに6時間、室温下で攪拌を継続することにより、前記反応に使われなかった分の無水酢酸も全て酢酸に変えた。この液に1,4−ジオキサン50mLを加えて、クレゾールレッド・チモールブルーを指示薬として水酸化カリウムを用いて滴定をおこない、中和に消費された水酸化カリウムの量(W1)と、最初に仕込んだ量の無水酢酸がポリエステル樹脂と反応せずに全て酢酸になった場合に中和に必要とされる水酸化カリウムの量(計算値:W0)とから、その差(W0−W1)を水酸化カリウムのmg数で求め、これをポリエステル樹脂のg数で割った値を水酸基価とした。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量、重量平均分子量を測定した。
送液ユニット:島津製作所社製LC−10ADvp
紫外−可視分光光度計:島津製作所社製SPD−6AV、検出波長:254nm
カラム:Shodex社製KF−803 1本、Shodex社製KF−804 2本を直列に接続して使用
溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
上記の数平均分子量(Mn)、および重量平均分子量(Mw)より、分散度、および数 平均重合度を以下の式により求めた。
分散度=Mw/Mn
ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、Diamond DSC、検出範囲:−50〜200℃)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定をおこない、得られた昇温曲線中の、低温側ベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度を求め、ガラス転移温度とした。
ポリエステル樹脂水性分散体を約1g秤量(X1gとする。)し、これを150℃で2時間乾燥した後の残存物の質量を秤量(Y1gとする。)し、以下の式により固形分濃度を求めた。
固形分濃度(質量%)=(Y1/X1)×100
pHメーター(堀場製作所社製F−21)を用いて、pH7およびpH9の標準緩衝液(ナカライテスク社製)により校正した後、測定温度25℃でポリエステル樹脂水性分散体のpHを測定した。
ポリエステル樹脂水性分散体中のポリエステル樹脂の濃度が0.1質量%になるように水で希釈し、レーザー回折式粒径測定装置(日機装社製、MICROTRAC UPA(モデル9340−UPA))を用いて、体積平均粒径、および数平均粒径を測定した。ポリエステル樹脂の屈折率は1.57、ポリエステル樹脂の密度は1.21g/cm3と設定した。
ポリエステル樹脂水性分散体30gを50mLのガラス製サンプル瓶に密封し、25℃で180日保存した。保存後、サンプル瓶から上澄み液を採取し、固形分濃度を測定し、以下の式により、沈殿したポリエステル樹脂の割合を計算し、以下の基準で評価した。
沈殿したポリエステル樹脂の割合(質量%)={保存前の固形分濃度(質量%)−保存後の固形分濃度(質量%)}/{保存前の固形分濃度(質量%)}
◎:0.1質量%未満
○:0.1質量%以上0.5質量%未満
△:0.5質量%以上1.0質量%未満
×:1.0質量%以上
ポリエステル樹脂水性分散体を、二軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、厚さ50μm)の非処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータ「No.542−AB型」、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、100℃に設定された熱風乾燥機中で2分間乾燥させることにより、膜厚が3μmの樹脂被膜を形成した。この樹脂被膜を目視にて観察し、外観を評価した。
また、上記記載の通り形成した樹脂被膜を、JIS Z1522に規定された粘着テープ(幅:18mm)を、一方の端部を残して樹脂被膜に貼りつけ、その上から消しゴムでこすって、粘着テープと樹脂被膜とを十分に接着させた後に、粘着テープの端部をフィルムに対して直角としてから瞬間的に引き剥がした。この引き剥がした粘着テープ面を表面赤外分光装置(パーキンエルマー社製、「SYSTEM2000」、Ge60°50×20×2mmプリズムを使用)で分析することにより、粘着テープ面に樹脂被膜が付着しているか否か、すなわち樹脂被膜が粘着テープにより剥離されているかにより分類し、密着性を評価した。
上記の2種類の評価より、総合的な樹脂被膜の造膜性を以下の基準で評価した。
なお、樹脂被膜の厚みは、厚み計(ユニオンツール社製、「MICROFINE」)を用いて、フィルムの厚みを予め測定しておき、水性分散体を用いてフィルム上に樹脂被膜を形成した後、この樹脂被膜を有する基材の厚みを同様の方法で測定し、その差により求めた。
◎:クラック、微細な凹凸、白化等の外観不良、および粘着テープによる樹脂被膜の剥離のいずれもが認められない。
○:クラック、微細な凹凸、白化等の外観不良、あるいは粘着テープによる樹脂被膜の剥離のうち、いずれかが認められる。
×:クラック、微細な凹凸、白化等の外観不良、および粘着テープによる樹脂被膜の剥離のいずれもが認められる。
前記(10)と同様の操作をおこなって、PETフィルム上に膜厚が3μmの樹脂被膜を形成した。
得られた樹脂被膜を形成したPETフィルムを、25℃の蒸留水に浸漬させ、30分後に静かに引き上げ、風乾させた後、樹脂被膜の外観を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:外観変化がなかった。
○:表面状態は変化したが(表面が白く曇る等)、樹脂被膜は溶解もしくは膨潤しなかった。
×:樹脂被膜が溶解もしくは膨潤した。
(11)で得られた樹脂被膜を形成したPETフィルムを、25℃のイソプロピルアルコールに浸漬させ、30分後に静かに引き上げ、風乾させた後、樹脂被膜の外観を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:外観変化がなかった。
○:表面状態は変化したが(表面が白く曇る等)、樹脂被膜は溶解、もしくは膨潤しなかった。
×:樹脂被膜が溶解、もしくは膨潤した。
(11)で得られた樹脂被膜を形成したPETフィルムを2枚準備し、ポリエステル樹脂被膜面同士が接触するように重ねて、ヒートプレス機(シール圧0.2MPaで10秒間)を用いて100℃でプレスし積層体を作製した。
その後、積層体を20℃、60%RHの雰囲気下で1日放置した後、25mm巾に切断し、引張試験機(インテスコ社製インテスコ精密万能試験機2020型)を用いて、20℃で引張速度50mm/分で180度剥離試験をおこない、剥離強度を測定した。
実用的には、プレスした積層体の剥離強度が、8N/25mm以上であることを必要とし、10N/25mm以上であることが好ましく、15N/25mm以上であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂水性分散体を100gと、アクリル樹脂水性分散体(NeoCryl A−6015、ネオレジンズ・ディー・エス・エム社製)100gとを、攪拌機(東京理科器械社製、MAZELA NZ−1200)を用いて、室温(25℃)、回転速度30rpmで1時間攪拌混合した。得られた混合物を用いて、前記(10)と同様の操作をおこなって、膜厚が3μmの樹脂被膜を形成した。この樹脂被膜を目視にて観察し、外観を評価した。
また、アクリル樹脂水性分散体を、ポリオレフィン樹脂水性分散体(SB−1200、ユニチカ社製)、水性メラミン樹脂(サイメル325、三井サイテックインダストリーズ社製)、ポリウレタン樹脂水性分散体(スーパーフレックス300、第一工業製薬社製)、エポキシ樹脂水性分散体(デコナールEX−711、ナガセケムテックス社製)、水性イソシアネート樹脂(エラストロンBN69、第一工業製薬社製)に変更して、同様の評価をおこなった。
◎:混合液を1日静置しても1層で均一である。また、樹脂被膜も白化していない。
○:混合液を1日静置しても1層で均一であるが、樹脂被膜は白化している。
×:混合液を1日静置すると2層に分離する。
ポリエステル水性分散体の代わりに、前記(14)で得られたアクリル樹脂水性分散体とポリエステル樹脂水性分散体の混合物を用いる以外は、前記(10)と同様の操作をおこなって、PETフィルム上に膜厚が3μmの樹脂被膜を形成した。
得られた樹脂被膜を形成したPETフィルムを、25℃の蒸留水に浸漬させ、30分後に静かに引き上げ、風乾させた後、樹脂被膜の外観を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:外観変化がなかった。
○:表面状態は変化したが(表面が白く曇る等)、樹脂被膜は溶解もしくは膨潤しなかった。
×:樹脂被膜が溶解もしくは膨潤した。
ポリエステル樹脂A
テレフタル酸(TPA)2492g、イソフタル酸(IPA)623g、セバシン酸(SEA)1263g、ネオペンチルグリコール(NPG)1354g、エチレングリコール(EG)1040gからなる混合物をオートクレーブ中で、235℃で6時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込樹脂組成はTPA/IPA/SEA/NPG/EG=60/15/25/52/67(モル比)であった。次いで、触媒として酢酸亜鉛二水和物3.3g(ジカルボン酸成分1モルあたり6.0×10−4モル)を添加し、系の温度を245℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、4時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、180℃になったところでクエン酸38g(ジカルボン酸成分とグリコール成分の合計200モル部に対して0.4モル部)を添加し、180℃で2時間撹拌して、解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、ポリエステル樹脂Aを得た。
TPA 2077g、IPA 2077g、NPG 1666、EG 853gからなる混合物をオートクレーブ中で、240℃で5時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込樹脂組成を、モル比で、TPA/IPA/NPG/EG=50/50/64/55とした。次いで、触媒として酢酸亜鉛二水和物3.3g(ジカルボン酸成分1モルあたり6.0×10−4モル)を添加し、系の温度を260℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、6時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、200℃になったところでリンゴ酸20g(ジカルボン酸成分とグリコール成分の合計200モル部に対して0.3モル部)を添加し、200℃で2時間撹拌して、解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にして該ポリエステル樹脂をストランド状に払出し、水冷後、カッティングしてペレット状(直径約3mm、長さ約3mm)のポリエステル樹脂Bを得た。
TPA 2907g、IPA 1246g、NPG 1666、EG 853gからなる混合物をオートクレーブ中で、240℃で5時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込樹脂組成を、モル比で、TPA/IPA/NPG/EG=70/30/64/55とした。次いで、触媒として酢酸亜鉛二水和物3.3g(ジカルボン酸成分1モルあたり6.0×10−4モル)を添加し、系の温度を260℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、5時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、270℃になったところで5−ヒドロキシイソフタル酸68g(ジカルボン酸成分とグリコール成分の合計200モル部に対して0.75モル部)を添加し、270℃で3時間撹拌して、解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしてシート状に樹脂を払いだした。これを室温まで十分に冷却した後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂Cを得た。
仕込組成を、表1のように変更した以外は、ポリエステル樹脂Aと同様にして、ポリエステル樹脂D,H〜Kをそれぞれ得た。
仕込組成を、表1のように変更した以外は、ポリエステル樹脂Bと同様にして、ポリエステル樹脂E,G,M〜Oをそれぞれ得た。
仕込組成を、表1のように変更した以外は、ポリエステル樹脂Cと同様にして、ポリエステル樹脂F,Lをそれぞれ得た。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
SIPA−Na:5−ナトリウムスルホイソフタル酸
ADA:アジピン酸
SEA:セバシン酸
EG:エチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
BAEO:2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン(ビスフェノールA)のエチレンオキサイド付加体
PTMG:ポリテトラメチレングリコール(分子量:1000)
CIA:クエン酸
MAA:リンゴ酸
5−HIA:5−ヒドロキシイソフタル酸
THADA:テトラヒドロキシアジピン酸
TMA:トリメリット酸
TMP:トリメチロールプロパン
TEA:トリエチルアミン
BA:ジブチルアミン
MEK:メチルエチルケトン
NP:N−メチルピロリドン
[溶解工程]
2Lのポリエチレン製容器にポリエステル樹脂Aを400gとメチルエチルケトンを600g投入し、系内温度が50℃になるように加熱攪拌し、ポリエステル樹脂をメチルエチルケトンに完全に溶解させ、固形分濃度40質量%のポリエステル樹脂の有機溶剤溶液を得た。
[転相乳化工程]
ガラス容器(内容量2L)に、ポリエステル樹脂の有機溶剤溶液を500g仕込み、系内温度を17℃に保ちながら攪拌し、塩基性化合物としてトリエチルアミン15.1g(ポリエステル樹脂の酸価に対して、6倍当量に相当)を添加した。続いて40g/分の速度で17℃の蒸留水550gを添加し、その後、攪拌を30分間続けポリエステル樹脂水性分散体を得た。蒸留水を全量添加する間の系内温度は17±1℃であった。
[脱溶剤工程]
得られたポリエステル樹脂水性分散体800gを丸底フラスコに仕込み、メカニカルスターラーとリービッヒ冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱し、常圧で水性媒体を315g留去した。その後、室温まで冷却し、攪拌しながら、28質量%アンモニア水0.6gを添加し、続いて固形分濃度が30質量%となるように蒸留水を加えて、フラスコ内の液状物を600メッシュのステンレスフィルターでろ過し、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
溶解工程においてポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂Bを用いること、転相乳化工程において仕込むトリエチルアミンを6.5g(ポリエステル樹脂の酸価に対して、3倍当量のアミンに相当)に変更すること、脱溶剤工程において蒸留水を559gに変更すること以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
溶解工程においてポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂Cを用いること、転相乳化工程において仕込むトリエチルアミンを6.1g(ポリエステル樹脂の酸価に対して、1.2倍当量のアミンに相当)に変更すること、脱溶剤工程において蒸留水を559gに変更すること以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
溶解工程においてポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂Dを用いること、転相乳化工程において仕込むトリエチルアミンを13.0g(ポリエステル樹脂の酸価に対して、6倍当量のアミンに相当)に変更すること、脱溶剤工程において蒸留水を552gに変更すること以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
溶解工程においてポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂Eを用いること、転相乳化工程において仕込むトリエチルアミンを8.7g(ポリエステル樹脂の酸価に対して、3倍当量のアミンに相当)に変更すること、脱溶剤工程において蒸留水を557gに変更すること以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
溶解工程においてポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂Fを用いること、転相乳化工程において仕込むトリエチルアミンを13.0g(ポリエステル樹脂の酸価に対して、1.2倍当量のアミンに相当)、脱溶剤工程において蒸留水を552gに変更すること以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
溶解工程においてポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂Gを用いること、転相乳化工程において仕込むトリエチルアミンを5.4g(ポリエステル樹脂の酸価に対して、3倍当量のアミンに相当)、脱溶剤工程において蒸留水を560gに変更すること以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
溶解工程においてポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂Hを用いること、転相乳化工程において仕込むトリエチルアミンを8.7g(ポリエステル樹脂の酸価に対して、6倍当量のアミンに相当)に変更すること、脱溶剤工程において蒸留水を557gに変更すること以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
溶解工程においてポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂Iを用いること、転相乳化工程において仕込むトリエチルアミンを17.3g(ポリエステル樹脂の酸価に対して、6倍当量のアミンに相当)に変更すること、脱溶剤工程において蒸留水を548gに変更すること以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
溶解工程においてメチルエチルケトンに代えてN−メチルピロリドン(溶解性:無限大、沸点:202℃、共沸点:なし)を用いた以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
転相乳化工程においてトリエチルアミンに代えて19.3gのジブチルアミン(沸点:159.6℃)(ポリエステル樹脂の酸価に対して6倍当量)を用いること、脱溶剤工程において蒸留水の量を546gに変更すること以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
脱溶剤工程において、添加する28%アンモニア水を加えないこと以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
溶解工程においてポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂Jを用いること、転相乳化工程において仕込むトリエチルアミンを13.0g(ポリエステル樹脂の酸価に対して、6倍当量のアミンに相当)に変更すること、脱溶剤工程において蒸留水を552gに変更すること以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
溶解工程においてポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂Kを用いること、転相乳化工程において仕込むトリエチルアミンを4.3g(ポリエステル樹脂の酸価に対して、6倍当量のアミンに相当)に変更すること、脱溶剤工程において蒸留水を561gに変更すること以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
溶解工程においてポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂Lを用いること、転相乳化工程において仕込むトリエチルアミンを19.0g(ポリエステル樹脂の酸価に対して、1.2倍当量のアミンに相当)に変更すること、脱溶剤工程において蒸留水を546gに変更すること以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
溶解工程においてポリエステル樹脂Aに代えて、それぞれ、ポリエステル樹脂M、Oを用いること、転相乳化工程において仕込むトリエチルアミンを8.7g(ポリエステル樹脂の酸価に対して、3倍当量のアミンに相当)に変更すること、脱溶剤工程において蒸留水を557gに変更すること以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
溶解工程においてポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂Nを用いること、転相乳化工程において仕込むトリエチルアミンを2.2g(ポリエステル樹脂の酸価に対して、3倍当量のアミンに相当)に変更すること、脱溶剤工程において蒸留水を563gに変更すること以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂の分散を試みたが、分散中にポリエステル樹脂が凝集、沈降してしまい、ポリエステル樹脂水性分散体を得ることはできなかった。
溶解工程においてポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂Pを用いること、転相乳化工程において仕込むトリエチルアミンを17.3g(ポリエステル樹脂の酸価に対して、3倍当量のアミンに相当)に変更すること、脱溶剤工程において蒸留水を548gに変更すること以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
溶解工程においてポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂Qを用いること以外は、実施例1の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
転相乳化工程において仕込み原料として25gの界面活性剤(Aldrich社製、「IgepalCO720」)の10質量%水溶液を加えること以外は、比較例6の製造方法と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂を溶解し、それを用いて転相乳化し、脱溶剤することにより、ポリエステル樹脂水性分散体を得た。
Claims (9)
- ジカルボン酸成分、グリコール成分およびヒドロキシカルボン酸成分から構成されるポリエステル樹脂、塩基性化合物ならびに水を含有し、実質的に乳化剤を含有しないポリエステル樹脂水性分散体であって、該ポリエステル樹脂は、ヒドロキシカルボン酸成分として、下記化合物(I)をジカルボン酸成分100モル%に対し0.2〜5モル%含み、数平均分子量が5000〜50000、酸価が4mgKOH/g以上、水酸基価が4〜22mgKOH/gであり、ジカルボン酸成分において、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸が1モル%未満であることを特徴とするポリエステル樹脂水性分散体。
化合物(I):分子内に少なくともカルボキシル基とヒドロキシル基の両方を有する化合
物であって、カルボキシル基数とヒドロキシル基数の合計が3以上である化合物。 - ポリエステル樹脂の酸価が4〜20mgKOH/gであることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂水性分散体。
- 化合物(I)中のカルボキシル基の数が、ヒドロキシル基の数よりも多いことを特徴する請求項1または2に記載のポリエステル樹脂水性分散体。
- 請求項1〜3いずれかに記載のポリエステル樹脂水性分散体を塗布し乾燥して得られることを特徴する樹脂被膜。
- 請求項1〜3いずれかに記載のポリエステル樹脂水性分散体とアクリル樹脂水性分散体とを混合したことを特徴とする水性分散体の混合物。
- 請求項5記載の水性分散体の混合物を塗布し乾燥して得られることを特徴とする樹脂被膜。
- ジカルボン酸成分、グリコール成分およびヒドロキシカルボン酸成分から構成され、ヒドロキシカルボン酸成分として、下記化合物(I)をジカルボン酸成分100モル%に対し0.2〜5モル%含み、数平均分子量が5000〜50000、酸価が4mgKOH/g以上、水酸基価が4〜22mgKOH/gのポリエステル樹脂を、有機溶剤に溶解させ、このポリエステル樹脂溶液に塩基性化合物および水を添加して分散させることを特徴するポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
化合物(I):分子内に少なくともカルボキシル基とヒドロキシル基の両方を有する化合
物であって、カルボキシル基数とヒドロキシル基数の合計が3以上である化合物。 - さらに有機溶剤および/または塩基性化合物を除去することを特徴とする請求項7記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
- 有機溶剤として、沸点が180℃以下であり、20℃における水への溶解性が5g/L以上であり、水との共沸点が60〜150℃のものを用いることを特徴とする請求項7または8に記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
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