JP5578891B2 - ポリエステル樹脂水性分散体、およびその製造方法、ならびにそれから得られる樹脂被膜 - Google Patents

ポリエステル樹脂水性分散体、およびその製造方法、ならびにそれから得られる樹脂被膜 Download PDF

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Description

本発明は、被膜性能、特に耐加水分解性に優れた樹脂被膜を形成し得ることが可能なポリエステル樹脂水性分散体、及びその製造方法、ならびにそれから得られる樹脂被膜に関するものである。
従来、ポリエステル樹脂は被膜形成用樹脂として用いられている。特に、被膜の造膜性、有機溶剤に対する耐性(耐溶剤性)、耐候性に優れ、同時にPET、PBT、塩化ビニル、各種金属等の成形品やフィルム等、さまざまな基材への密着性にも優れていることから、このような基材に対する塗料、インキ、接着剤、コーティング剤等に用いる樹脂として、有機溶剤に溶解したものが非常に多く使用されていた。
一方、近年、環境保護、消防法による危険物規制、職場環境の改善等の理由で、有機溶剤の使用が抑制される傾向にある。そのため、前記用途に使用できるポリエステル樹脂を、水性媒体に分散させた、ポリエステル樹脂水性分散体が求められるようになり、その開発が盛んにおこなわれている。
しかしながら、ポリエステル樹脂の構造は、エステル結合が多く含有するものであるため、加水分解反応が起こりやすいという問題がある。そのため、高温高湿条件下で使用する際には、耐加水分解性に劣る場合があった。
前記のような問題を解消すべく、特許文献1では、特定のグリコール成分を使用した有機溶剤溶解型のポリエステル樹脂を提案している。この場合は、耐加水分解性が付与されたポリエステル樹脂接着剤を得ることが可能である。しかしながら、主に、カルボキシル価が2mgKOH/g以下のポリエステル樹脂を用いているため、造膜性、密着性、接着性に優れたポリエステル樹脂水性分散体を得ることは困難であった。
特開2001−200041号公報
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、各種基材への密着性、接着性、造膜性、耐加水分解性等の性能に優れたポリエステル樹脂被膜を形成し得るポリエステル樹脂水性分散体を提供することを目的とする。および該ポリエステル樹脂水性分散体の製造方法、ならびに該ポリエステル樹脂水性分散体から得られる樹脂被膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、特定のアルコール成分と酸成分を、特定の比率で配合し、得られるポリエステル樹脂の酸価、および数平均分子量を制御することによって前記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)以下の(i)、(ii)、(iii)および(iv)を同時に満たすことを特徴とするポリエステル樹脂水性分散体。
(i)アルコール成分、酸成分を配合してなるポリエステル樹脂を水性媒体に分散してなるものである。
(ii)上記(i)におけるポリエステル樹脂を構成する全アルコール成分中に、下記式(I)で示される数平均分子量500〜4,500のポリアルキレングリコールを1〜15モル%含有する。
(iii)上記(i)におけるポリエステル樹脂を構成する全酸成分中に、芳香族ジカルボン酸を50〜100モル%含有する。
(iv)上記(i)におけるポリエステル樹脂が、酸価が5.5〜10mgKOH/g、数平均分子量が10,000〜25,000である。
Figure 0005578891
なお、式(I)中、n=2〜36、m=1〜100である整数をそれぞれ表す。
(2)ポリエステル樹脂を構成する全アルコール成分中、前記式(I)で示されるポリアルキレングリコールを3〜10モル%含有することを特徴とする、(1)のポリエステル樹脂水性分散体。
(3)ポリアルキレングリコールが、数平均分子量1,000〜3,000のポリテトラメチレングリコールであることを特徴とする、(1)または(2)のポリエステル樹脂水性分散体。
(4)ポリエステル樹脂のガラス転移温度が−50〜30℃であることを特徴とする、(1)〜(3)のポリエステル樹脂水性分散体。
(5)以下の(v)、(vi)および(vii)の工程を、この順で含むことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかのポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
(v)ポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解させ、ポリエステル樹脂の有機溶剤液を得る工程
(vi)40℃以下に保った状態で、前記ポリエステル樹脂の有機溶剤液を塩基性化合物とともに水性媒体に分散させる工程
(vii)ポリエステル樹脂の有機溶剤液と塩基性化合物を分散させた水性媒体から、有機溶剤および/または塩基性化合物を除去する工程
(6)(v)の工程において、沸点が150℃以下、20℃における水への溶解性が5g/L以上である有機溶剤に、ポリエステル樹脂を10質量%以上溶解させることを特徴とする(5)のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
(7)塩基性化合物の沸点が150℃以下であることを特徴とする、(5)または(6)のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
(8)(1)〜(4)のいずれかのポリエステル樹脂水性分散体から得られるポリエステル樹脂被膜。
本発明によれば、各種基材への密着性、接着性、造膜性、耐加水分解性の性能に優れた樹脂被膜を形成し得るポリエステル樹脂水性分散体を得ることができる。該ポリエステル樹脂水性分散体は、環境保護、職場環境の改善、操業性の改善の立場から非常に有能な素材であり、有機溶剤の使用を抑制することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体(以下、単に「水性分散体」と称する場合がある)は、ポリエステル樹脂を水性媒体に分散してなるものである。
本発明におけるポリエステル樹脂の構成成分について説明する。本発明のポリエステル樹脂は、アルコール成分、および酸成分より構成されるものである。
ポリエステル樹脂は、その全アルコール成分中に、下記式(I)で示されるポリアルキレングリコール(以下、ポリアルキレングリコール成分と称する場合がある)を1〜15モル%含有する必要があり、3〜10モル%含有することが好ましい。全アルコール成分中のポリアルキレングリコール成分の含有量が、1モル%未満である場合には、得られるポリエステル樹脂被膜の耐加水分解性に劣るものとなる。一方で、ポリアルキレングリコール成分が15モル%を超えて含有される場合には、後述するポリエステル樹脂の重縮合時に重合性が低くなってしまい、得られるポリエステル樹脂被膜の密着性、接着性に劣るものとなる。また、ガラス転移温度が過度に低いものとなり、ポリエステル樹脂の取り扱いが困難となる。
Figure 0005578891
上記式(I)中、ポリエステル樹脂の原料の相溶性、反応性および重合性、また得られるポリエステル樹脂の耐加水分解性、密着性、接着性を向上させる観点から、nは2〜36である整数であることが必要であり、2〜10である整数であることが好ましい。さらに、上記と同様の観点から、mは1〜100である整数であることが必要であり、2〜50である整数であることが好ましい。
nが36を超える場合や、mが100を超える場合は、ポリアルキレングリコール成分の数平均分子量が4,500を大きく超えてしまい、ポリエステル樹脂の重縮合時に、ポリアルキレングリコール成分と、ポリエステル樹脂を構成する他成分との相溶性に劣るものとなる。
nが36以下であり、mが100を越える場合、もしくは、nが36を超え、mが100以下である場合は、ポリエステル樹脂の重縮合時に、ポリアルキレングリコール成分と、ポリエステル樹脂を構成する他成分との相溶性が低下し、反応性に劣るものとなる。
前記のポリアルキレングリコール成分の数平均分子量は、500〜4,500であることが必要であり、1,000〜3,000であることが好ましい。数平均分子量が500未満である場合は、得られるポリエステル樹脂被膜の耐加水分解性に劣るものとなる。一方、数平均分子量が4,500を超える場合には後述するポリエステル樹脂の重縮合時に原料同士の相溶性や反応性に劣るものとなる。
このようなポリアルキレングリコール成分としては、直鎖状でも、分岐を有する形でもよく、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリへキシレングリコール、ポリノナンジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンタン)ジオール等が挙げられる。
前記のポリアルキレングリコール成分のなかでも、比較的容易に入手ができる観点から、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールがより好ましく、耐加水分解性をより向上できる観点から、ポリテトラメチレングリコールが特に好ましい。
本発明においては、前記のポリアルキレングリコール成分の他に、他のアルコール成分を用いることができる。他のアルコール成分としては、脂肪族グリコール、脂環族グリコール、3官能以上のアルコール等、末端に2個以上のヒドロキシル基を有するポリアルコール等が挙げられる。脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等が挙げられる。脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール等が挙げられる。3官能以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。さらに、2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのようなビスフェノール類(ビスフェノールA)のアルキレンオキシド付加体やビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンのようなビスフェノール類(ビスフェノールS)のアルキレンオキシド付加体等も使用することができる。
前記の他のアルコール成分としては、工業的に量産されており安価であることから、エチレングリコールとネオペンチルグリコールが特に好ましい。エチレングリコールは、得られるポリエステル樹脂被膜の耐薬品性を向上させるという利点があり、ネオペンチルグリコールは、得られるポリエステル樹脂被膜の耐候性を向上させるという利点があるため、特に好ましい。
本発明において、ポリエステル樹脂は、その全酸成分中に芳香族ジカルボン酸を50〜100モル%含有する必要があり、好ましくは75〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%、特に好ましくは100モル%含有するものである。芳香族ジカルボン酸は、本発明のポリエステル樹脂水性分散体より得られる樹脂被膜の、密着性、接着性、造膜性、耐熱性を向上させる役割を担う。芳香族ジカルボン酸の含有量が50モル%未満である場合は、得られる樹脂被膜は密着性、接着性、造膜性、耐熱性に劣るものとなる。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−tert−ブチルイソフタル酸、ジフェン酸等が挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸は、単独で用いることもできるし、2種類以上で併用することも可能である。
前記芳香族ジカルボン酸としては、工業的に多量に生産されており、安価であること等から、テレフタル酸とイソフタル酸がより好ましい。テレフタル酸は、得られるポリエステル樹脂被膜の耐熱性を向上させる利点があり、イソフタル酸は、得られるポリエステル樹脂被膜の耐薬品性を向上させる利点がある。よって、得られるポリエステル樹脂、さらには該ポリエステル樹脂を用いてなるポリエステル樹脂水性分散体に必要とされる特性に応じて、テレフタル酸とイソフタル酸を、適宜配合して用いることができる。
ただし、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の、カルボキシル基や水酸基以外の親水基を有する酸成分を用いた場合は、得られるポリエステル樹脂の被膜において耐水性が悪化する場合があるため、芳香族ジカルボン酸としては好ましくない。
本発明において、芳香族ジカルボン酸の他に用いることのできる酸成分としては、飽和脂肪族ジカルボン酸、不飽和脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のカルボン酸等、末端に2個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸等が挙げられる。飽和脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸等が挙げられる。不飽和脂肪族ジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等が挙げられる。脂環式ジカルボン酸としては、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物等が挙げられる。また、3官能以上のカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が挙げられる。
また、ポリエステル樹脂には、上記の成分以外にも、ヒドロキシカルボン酸が共重合されていてもよく、たとえば、ε−カプロラクトン、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸のエチレンオキシド付加体等が共重合されていてもよい。また、3官能以上のポリオキシカルボン酸が共重合されていてもよく、たとえば、リンゴ酸、グリセリン酸、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
ポリエステル樹脂には、モノカルボン酸、モノアルコールが共重合されていてもよい。モノカルボン酸、モノアルコールは酸成分、もしくはアルコール成分はポリエステル樹脂中、各々1モル%未満であることが好ましく、0.1モル%未満であることがより好ましく、0モル%であることが特に好ましい。上記の共重合割合が1モル%以上である場合、ポリエステル樹脂の製造時に分子鎖の延長を阻害し、重縮合が進まずに、結果として必要な分子量が得られなくなる場合がある。
モノカルボン酸、モノアルコールとしては、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等が挙げられる。
本発明における、ポリエステル樹脂の酸価は5.5〜10mgKOH/gである必要があ。酸価が2mgKOH/g未満であると、水性媒体への分散が困難となる。また、たとえ水性分散体が得られたとしても、体積平均粒径が大きいものとなって、保存安定性が悪くなる。また、酸価が10mgKOH/gを超えると、ポリエステル樹脂の分子量が低くなり、得られたポリエステル樹脂水性分散体を用いたポリエステル樹脂被膜は、密着性や接着性に劣るものとなる。
本発明における、ポリエステル樹脂の数平均分子量は、10,000〜25,000であることが必要であり、10,000〜20,000がより好ましい。数平均分子量が10,000未満である場合は、得られるポリエステル樹脂被膜の造膜性が不足し、また、密着性、接着性、造膜性に劣るものとなる。一方、ポリエステル樹脂の数平均分子量が25,000を超えると、ポリエステル樹脂に必要な酸価を付与させることが困難となる。
本発明における、ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、−50〜30℃であることが好ましく、−40〜25℃であることがより好ましく、−30〜20℃であることがさらに好ましい。ガラス転移温度が30℃を超える場合には、低温での熱圧着処理や、短時間での熱圧着処理で、十分な接着強度を得ることができない場合があるため好ましくない。一方で、ガラス転移温度が−50℃未満である場合は、ポリエステル樹脂の取り扱いが困難となる場合があるため好ましくない。
また、本発明において、ポリエステル樹脂の数平均分子量保持率は、97%以上であることが好ましく、99%以上であることがより好ましい。数平均分子量保持率が高いほど、耐加水分解性に優れたポリエステル樹脂であり、保存安定性に優れたポリエステル樹脂であるといえる。数平均分子量保持率が97%未満であると、ポリエステル樹脂が加水分解して分子量の低下が起こり、保存安定性に劣るポリエステル樹脂水性分散体となる。なお、数平均分子量保持率の測定方法については、実施例において詳述する。
次に、本発明における、ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
ポリエステル樹脂を製造する方法としては、前記の酸成分の1種類以上と、アルコール成分の1種類以上とを、公知の方法により、重縮合反応に付する方法が挙げられる。例えば、全モノマー成分および/またはその低重合体を不活性雰囲気下で180〜260℃、2.5〜10時間反応させてエステル化反応をおこない、引き続いて重縮合触媒の存在下、130Pa以下の減圧下に220〜280℃の温度で、所望の分子量に達するまで重縮合反応を進めて、ポリエステル樹脂を得る方法等を挙げることができる。
ポリエステル樹脂を重縮合させる重縮合触媒は、特に限定されず、酢酸亜鉛や三酸化アンチモン等の公知の化合物を用いることができる。
さらに、前記の重縮合反応に引き続き、酸成分をさらに添加し、不活性雰囲気下、解重合反応を行うことにより、ポリエステル樹脂に所望の酸価を付与することができる。
なお、ポリエステル樹脂に所望の酸価を付与する方法として、前記の重縮合反応に引き続き、無水物の酸成分をさらに添加し、不活性雰囲気下、ポリエステル樹脂のヒドロキシル基と付加反応する方法も公知であるが、この場合は、製造途中の溶融粘度が非常に高くなり、ポリエステル樹脂を払い出せなくなる場合があるため好ましくない。
解重合反応で用いる酸成分としては、前記した3官能以上のカルボン酸が好ましい。3官能以上のカルボン酸を使用することにより、特に、解重合によるポリエステル樹脂の分子量低下を抑制しながら、所望の酸価を付与することができる。その中でも、耐熱性やハンドリング性等の特性を維持する観点から、芳香族のカルボン酸成分であるトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸が特に好ましい。用いる酸成分の使用量は特に限定されないが、前記の理由で全酸成分の1モル%以下となることが好ましい。
次いで、本発明におけるポリエステル樹脂水性分散体について説明する。
本発明における、ポリエステル樹脂水性分散体とは、前記したポリエステル樹脂が、水性媒体中に分散されてなる乳液状物である。ここで、水性媒体とは、水を含む液体からなる媒体であり、有機溶剤や塩基性化合物を含んでいてもよい。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体中のポリエステル樹脂の含有率は、5〜50質量%が好ましく、15〜40質量%であることがより好ましい。ポリエステル樹脂の含有率が50質量%を超えると、分散していたポリエステル樹脂が凝集しやすくなり、安定性が乏しくなる傾向にある。ポリエステル樹脂の含有率が5質量%未満では、ポリエステル樹脂被膜を形成した場合に、被膜の膜厚を十分に得るために、多量のポリエステル樹脂水性分散体を消費してしまう場合があるため実用的ではない。
本発明におけるポリエステル樹脂水性分散体のpHは、特に限定されないが、6以上であることが好ましい。pHが6未満であるものは、分散していたポリエステル樹脂が凝集してしまい、均一な水性分散体を得られなくなる場合がある。
本発明における、水性分散体中のポリエステル樹脂微粒子の粒子径は、特に限定されないが、保存安定性を良好に保つ点から、体積平均粒子径が500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが特に好ましい。
水性媒体中の水については特に制限されず、蒸留水、イオン交換水、市水、工業用水等が挙げられるが、不純物の混入を防止する観点から、蒸留水やイオン交換水を使用することが好ましい。
次に、ポリエステル樹脂水性分散体の製造方法について説明する。
本発明におけるポリエステル樹脂水性分散体は、前記ポリエステル樹脂の末端にあるカルボキシル基を、塩基性化合物を用いて、少なくとも一部、または、全部中和することで、水性媒体に分散させる方法により製造される。カルボキシル基を中和することで、カルボキシルアニオンが生成され、このアニオン間の電気反発力によって、ポリエステル樹脂が凝集することなく、安定に分散することができる。
前記のような製造方法以外にも、例えば、ポリエステル樹脂としてスルホン酸塩基を有するものを用いたり、分散剤として界面活性剤を用いたりすることで、塩基性化合物を用いずに、水性分散体を製造する方法が知られている。しかしながら、塩基性化合物を用いずに得られた水性分散体からなるポリエステル樹脂被膜は、耐水性に劣る場合があるため、本発明においては塩基性化合物を用いることを必須とする。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体は、数平均分子量10000以上のポリエステル樹脂を用いるため、転相乳化工法で製造することが好ましい。なお、転相乳化法については、後述する。
本発明において「転相乳化」とは、ポリエステル樹脂の有機溶剤液に、この溶液に含まれる有機溶剤量を超える量の水を添加して、該有機溶剤液の系を、有機溶剤相からO/Wエマルション分散系に変化させることを意味する。
ポリエステル樹脂水性分散体を、転相乳化法を用いて製造することについて以下に詳述する。転相乳化法は、以下の工程を含むものである。
すなわち、転相乳化法は、第一に、ポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解させ、ポリエステル樹脂の有機溶剤液を得る工程(溶解工程)、第二に、40℃以下に保った状態で、前記ポリエステル樹脂の有機溶剤液を、塩基性化合物とともに水性媒体に分散させる工程(転相乳化工程)、第三に、ポリエステル樹脂の有機溶剤液と塩基性化合物を分散させた水性媒体から、有機溶剤および/または塩基性化合物を除去する工程(脱溶剤工程)の3工程を含むものである。さらに上述の3工程の他に、必要に応じて、未分散物や凝集物をろ過して取り除く工程等を加えて、沈殿物や相分離等の見られない均一な状態の水性分散体が得ることができる。
上記の溶解工程において、ポリエステル樹脂を溶解させる場合の有機溶剤の温度は、適宜選択することが可能である。なかでも、沸点が150℃以下、20℃における水への溶解性が5g/L以上であり、ポリエステル樹脂を10質量%以上溶解することができる有機溶剤が好ましい。
前記の有機溶剤が、前記ポリエステル樹脂を10質量%未満しか溶解することができない場合は、得られるポリエステル樹脂水性分散体の固形分濃度を上げることが困難となる場合がある。また、沸点が150℃を超えると、脱溶剤工程の際に、有機溶剤の完全な除去が非常に困難になり、ポリエステル樹脂水性分散体の安定性が乏しくなる場合がある。さらにまた、有機溶剤の20℃における水への溶解性が5g/L未満であると、均一なポリエステル樹脂水性分散体を得られなくなる場合がある。
前記の条件を満たす有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン(以下、MEKと表記する場合がある)や、テトラヒドロフラン(以下、THFと表記する場合がある)、1,4−ジオキサン等が好ましい。これらは、単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。なお、MEKの沸点は80℃、THFの沸点は65℃、1,4−ジオキサンの沸点は101℃である。
本発明におけるポリエステル樹脂水性分散体を製造する際に用いる塩基性化合物は、カルボキシル基を中和することができるものであれば特に限定されない。塩基性化合物としては、例えば、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)等の金属水酸化物や、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の有機アミン等が挙げられる。
本発明における塩基性化合物は、ポリエステル樹脂被膜から揮散させやすいという理由から、沸点が150℃以下のものであることが好ましく、たとえば、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン等が挙げられる。
本発明における、ポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解させるための装置としては、液体を投入できる槽を備え、適度な攪拌ができるものであれば、特に限定されない。そのような装置としては、固/液撹拌装置や乳化機(たとえば、ホモミキサーなど)として知られている装置が挙げられる。また、ポリエステル樹脂が溶解しにくい場合には、加熱を行ってもよい。
本発明におけるポリエステル樹脂水性分散体製造の転相乳化工程は、ポリエステル樹脂の有機溶剤液を塩基性化合物とともに水性媒体に分散させる工程である。ポリエステル樹脂の有機溶剤液を、塩基性化合物とともに水性媒体に分散させる方法は、例えば、以下のようなものである。
すなわち、予めポリエステル樹脂の有機溶剤溶液中に塩基性化合物を添加しておき、これに水性媒体を徐々に投入する方法、また、水性媒体中に塩基性化合物を添加しておき、これをポリエステル樹脂の有機溶剤液に徐々に投入する方法等が挙げられる。中でも、ポリエステル樹脂の有機溶剤液と塩基性化合物の混合が不均一になることを防止する観点から、予めポリエステル樹脂の有機溶剤液に塩基性化合物を添加しておき、これに水性媒体を徐々に投入して転相乳化を行う方法が好ましい。
また、水の投入速度については、ポリエステル樹脂溶液と塩基性化合物との合計1000gに対して、25g〜100g/minで水を投入することが好ましい。水の投入速度が100g/minより速い場合には、ポリエステル樹脂の塊が形成され、この塊は水性媒体に分散しなくなる傾向にあり、最終的に得られる水性分散体の収率が下がる場合がある。また、水の投入速度が25g/minより遅い場合には、必要量の水性媒体を添加し終えるのに、多くの時間を費やしてしまうため、非効率的となる場合がある。
転相乳化を行う装置としては、液体を投入できる槽を備え、適度な攪拌ができるものであれば特に限定されない。また、転相乳化は常圧、減圧、加圧下のいずれの条件でおこなってもよい。
転相乳化を行う反応温度は、40℃以下で行うことが好ましく、30℃以下がより好ましく、20℃以下がさらに好ましい。40℃を超える反応温度で転相乳化を行うと、得られるポリエステル樹脂水性分散体の体積平均粒径が大きくなり、安定性に乏しいものとなる場合がある。
上記の脱溶剤工程については、常圧、減圧下いずれでおこなってもよく、脱溶剤を行う装置としては、液体を投入できる槽を備え、適度な攪拌ができるものであれば特に限定されない。
また、脱溶剤工程後の水性分散体に、さらに、前記の塩基性化合物を添加してもよい。脱溶剤工程後に再度塩基性化合物を添加することで、水性分散体のpHを6以上に容易に上げることができる。
本発明におけるポリエステル樹脂水性分散体には、必要に応じて硬化剤、各種添加剤、保護コロイド作用を有する化合物、水、有機溶剤、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック等の顔料、染料、他の水性ポリエステル樹脂、水性ウレタン樹脂、水性オレフィン樹脂、水性アクリル樹脂等の水性樹脂等を配合して使用することができる。
次に、本発明における、ポリエステル樹脂被膜について説明する。
本発明におけるポリエステル樹脂被膜の形成方法は、特に限定されるものではなく、たとえば、グラビアコート法、マイヤーバーコート法、ディッピング法、はけ塗り法、スプレーコート法、カーテンフローコート法等が挙げられる。これらの方法により各種基材表面に、ポリエステル樹脂水性分散体を均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥および焼き付けのための加熱処理に供することにより、均一なポリエステル樹脂被膜を各種基材表面に密着させて形成することができる。加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや、赤外線ヒータ等を使用すればよい。また、加熱温度や加熱時間としては、基材の種類等により適宜選択されるものであるが、経済性を考慮した場合、加熱温度としては、通常60〜250℃であり、70〜230℃が好ましく、80〜200℃が最も好ましい。加熱時間としては、通常1秒〜30分間であり、5秒〜20分が好ましく、10秒〜10分が最も好ましい。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体を用いて形成されるポリエステル樹脂被膜の厚さは、その目的や用途によって適宜選択されるものであるが、上記のような通常の方法を用いて容易にポリエステル樹脂被膜を形成できる観点から、通常0.01〜40μmであり、0.1〜30μmが好ましく、0.5〜20μmが最も好ましい。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体は、被膜形成能に優れており、また、密着性、接着性、耐加水分解性に非常に優れている。したがって、前記のようにして得られたポリエステル樹脂被膜は、例えば、液体の包装やボイル処理を行う包装等の、高湿条件化で使用する包装フィルムのヒートシール剤やプライマー層として非常に有用である。
以下、実施例によって、本発明を具体的に説明する。
なお、評価、測定方法は下記の通りである。
(1)ポリエステル樹脂の組成分析
H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)より求めた。また、H−NMRスペクトル上に帰属・定量可能なピークが認められない構成モノマーを含むポリエステル樹脂については、封管中230℃で3時間メタノール分解をおこなった後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析をおこなった。
(2)ポリエステル樹脂の酸価
ポリエステル樹脂0.5gを精秤し、(50mlの水)/(1,4−ジオキサン)=1/9(体積比)である水溶液に溶解して、クレゾールレッドを指示薬として0.1モル/Lの水酸化カリウムメタノール溶液で滴定をおこない、中和に消費されたKOHのmg数を、ポリエステル樹脂のg数で割った値を酸価とした。
(3)ポリエステル樹脂の数平均分子量
GPC分析装置(島津製作所社製、送液ユニットLC−10ADvp型、紫外−可視分光光度計「SPD−6AV型」、検出波長:254nm、溶剤:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)を用いて求めた。
(4)ポリエステル樹脂のガラス転移温度
ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製、「Diamond DSC」、検出範囲:−50℃〜200℃)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値を求め、これをガラス転移温度(Tg)とした。
(5)ポリエステル樹脂水性分散体の固形分濃度
ポリエステル樹脂水性分散体を約1g秤量(Xgとする)し、これを150℃で2時間乾燥した後の残存物(固形分)の質量を秤量し(Ygとする)、次式により固形分濃度を求めた。
固形分濃度(質量%)=(Y/X)×100
(6)ポリエステル樹脂水性分散体のpH
pHメーター(堀場製作所社製F−21)を用いて、pH7及びpH9の標準緩衝液(ナカライテスク社製)により校正した後、測定温度25℃でポリエステル樹脂水性分散体のpHを測定した。
(7)ポリエステル樹脂水性分散体の体積平均粒径
ポリエステル樹脂水性分散体を、水で0.1質量%に希釈し、粒径測定装置(日機装社製「MICROTRAC UPA(モデル9340−UPA)」)を用いて測定した。
(8)ポリエステル樹脂の耐加水分解性
50mlのガラス製サンプル瓶に30mlのポリエステル樹脂水性分散体を入れ、密閉状態、40℃の条件下で6か月保存した。6か月経過後、該水性分散体を常温常圧状態で十分乾燥した後、さらに真空乾燥機で90℃、1日真空乾燥し、完全に水分を除去したポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂を前記(3)に従って、長期保存後のポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)を求めた。
一方で、ポリエステル樹脂水性分散体となる前のポリエステル樹脂を、同様に前記(3)に従って測定し、初期のポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)として求め、次式により数平均分子量の保持率を求めた。数平均分子量保持率が100に近いほど長期保存による分子量低下が少なく、耐加水分解性に優れたものであることを示す。
数平均分子量保持率(%)=(Mn/Mn)×100
(9)ポリエステル樹脂被膜の造膜性
二軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、厚さ38μm)のコロナ処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、150℃に設定された熱風乾燥機中で1分間乾燥させ、膜厚が1μmのポリエステル樹脂被膜を形成した。ポリエステル樹脂被膜を目視にて観察し、以下のように造膜性を評価した。なお、ポリエステル被膜の膜厚は、厚み計(ユニオンツール社製、「MICROFINE」)を用いて、フィルムの厚みを予め測定しておき、水性分散体を用いてフィルム上にポリエステル樹脂被膜を形成した後、このポリエステル樹脂被膜を有するフィルムの厚みを同様の方法で測定し、その差をポリエステル樹脂被膜の膜厚とした。
○:クラック、白化がともに見られず、且つ透明で平滑な被膜である。
×:クラックが見られる、白化が見られる、不透明である、および凹凸があるという状況のうち、1以上の状況が確認される被膜である。
(10)ポリエステル樹脂被膜の密着性
前記(9)と同様にPETフィルムにポリエステル樹脂被膜を形成した。次いで、JIS Z 1522に規定された粘着テープ(幅18mm)を、端部を残してポリエステル樹脂被膜に貼りつけ、その上から消しゴムでこすって十分に接着させた後に、粘着テープの端部をPETフィルムに対して直角としてから、瞬間的に引き剥がした。この引き剥がした粘着テープ面を、表面赤外分光装置(パーキンエルマー社製、「SYSTEM2000」、Ge60°50×20×2mmプリズムを使用)で分析することにより、粘着テープ面にポリエステル樹脂被膜が付着しているか否かにより以下の基準で、密着性を評価した。
○:粘着テープ面にポリエステル樹脂被膜に由来するピークが認められない。
×:粘着テープ面にポリエステル樹脂被膜に由来するピークが認められる。
(11)ポリエステル樹脂被膜の接着性
前記(9)と同様にPETフィルムにポリエステル樹脂被膜を形成した。次いで、23℃の室温に取り出し、ポリエステル樹脂被膜が形成されたPETフィルムを2つ準備し、ポリエステル樹脂被膜面とポリエステル樹脂被膜面が接触するように重ねて、ヒートプレス機にて、150℃、シール圧0.1MPa、30秒間圧着した。このサンプルを引張試験機(インテスコ社製、「インテスコ精密万能材料試験機2020型」)を用い20℃の雰囲気で、剥離面の角度90度、剥離速度50mm/分、剥離幅25mmの条件における剥離強度を測定した。本発明においては、剥離強度が1.0N/25mm以上であるものが実用的な接着性であり、1.2N/25mm以上であるものがより好ましい接着性であると評価した。
(12)長期静置後のポリエステル樹脂被膜の造膜性、密着性、接着性(ポリエステル樹脂被膜の耐加水分解性)
前記(8)と同様に、密閉状態、40℃の条件下で6か月静置したポリエステル水性分散体を、前記(9)、(10)、および(11)と同様の方法で評価、測定し、長期静置後のポリエステル樹脂被膜の造膜性、密着性、接着性を評価、測定した。
さらに、長期静置後におけるポリエステル樹脂被膜の接着性保持率を下記式により求めた。
接着性保持率(%)=[(長期静置後の接着性)/(長期静置前の接着性)]×100
本発明においては、接着性保持率が85%以上であるものを、実用に耐えうるものとした。
実施例、および、比較例で用いたポリエステル樹脂は、以下のようにして得た。
[ポリエステル樹脂の調製例]
[ポリエステル樹脂(P−1)]
酸成分として、テレフタル酸(TPA)を1849g、イソフタル酸(IPA)を1976g、アルコール成分として、数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール(PTMG1000)を945g、エチレングリコール(EG)を1219g、ネオペンチルグリコール(NPG)を1137g、オートクレーブ中に仕込んで、245℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。ついで、テトラ−n−ブチルチタネート12.8gを添加した後、系の温度を250℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに4時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸16gを添加し、255℃で1時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状にポリエステル樹脂を払い出し、室温で放冷し、ポリエステル樹脂(P−1)を得た。
ポリエステル樹脂(P−1)の評価結果を表1に示す。
Figure 0005578891
なお、表1中の略称は以下のものを表す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
TMA:トリメリット酸
SEA:セバシン酸
PTMG1000:数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール
PTMG2000:数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール
PEG300:数平均分子量300のポリエチレングリコール
PEG500:数平均分子量500のポリエチレングリコール
PEG1000:数平均分子量1000のポリエチレングリコール
EG:エチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
[ポリエステル樹脂(P−2)〜(P−15)]
ポリエステル樹脂の構成成分と組成比率が、表1に示したものとなるように、原料となる酸成分、およびアルコール成分の種類と仕込み量を変更し、ポリエステル樹脂(P−1)と同様にして、ポリエステル樹脂(P−2)〜(P−15)を得た。
なお、(P−15)においては、用いたEGのうち、0.8モル%分は、解重合反応時に、無水トリメリット酸と共に添加した。
[ポリエステル樹脂(P−16)]
酸成分として、テレフタル酸(TPA)を2077g、イソフタル酸(IPA)を2077g、アルコール成分として、数平均分子量500のポリエチレングリコール(PEG500)を125g、エチレングリコール(EG)を1102g、ネオペンチルグリコール(NPG)を1666g、オートクレーブ中に仕込んで、250℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。ついで、酢酸亜鉛3.3gを添加した後、系の温度を265℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸29gを添加し、255℃で1時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしてストランド状にポリエステル樹脂を払い出し、水温が35℃のクエンチングバスを経由してペレタイザー(ナカタニ機械社製、型式ST)でカッティングすることで、ペレット状のポリエステル樹脂(P−16)を得た。
ポリエステル樹脂(P−2)〜(P−16)の評価結果を表1に示す。
[ポリエステル樹脂(P−17)〜(P−21)]
ポリエステル樹脂の構成成分と組成比率が、表1に示したものとなるように、原料となる酸成分、およびアルコール成分の種類と仕込み量を変更し、ポリエステル樹脂(P−1)と同様にして、ポリエステル樹脂(P−17)〜(P−21)を得た。
ポリエステル樹脂(P−17)〜(P−21)の評価結果を表1に示す。
[ポリエステル樹脂(P−22)]
ポリエステル樹脂の構成成分と組成比率が、表1に示したものとなるように、原料となる酸成分、およびアルコール成分の種類と仕込み量を変更し、ポリエステル樹脂(P−16)と同様にして、ポリエステル樹脂(P−22)を得た。
ポリエステル樹脂(P−22)の評価結果を表1に示す。
[ポリエステル樹脂水性分散体、およびポリエステル樹脂被膜の調製例]
参考例1]
ジャケット付きガラス容器(内容量2l)にポリエステル樹脂(P−1)を400gとMEKを600g投入し、ジャケットに60℃の温水を通して加熱しながら、攪拌機(東京理化器械社製、MAZELA1000)を用いて攪拌することにより、完全にポリエステル樹脂を溶解させ、固形分濃度40質量%のポリエステル樹脂溶液1000gを得た。次いで、ジャケットに冷水を通して系内温度を13℃に保ち、回転速度600rpmで攪拌しながら、塩基性化合物としてトリエチルアミン9.1gを添加し(イ)、続いて100g/minの速度で13℃の蒸留水を1121g添加して(ロ)、転相乳化をおこなった。ついで、得られた水性分散体のうち、1600gを2lのフラスコに入れ、常圧下で蒸留を行うことで有機溶剤を留去した。蒸留は留去量が631gになったところで終了し、室温まで冷却後、ポリエステル樹脂水性分散体を攪拌しながら、28質量%アンモニア水1.0gを添加し、さらに、蒸留水を添加して固形分濃度を30.0質量%に調整した。その後、1000メッシュのステンレス製フィルターで濾過し、ポリエステル樹脂水性分散体(E−1)を990g得た。また、得られた(E−1)を用いて、前記の形成方法で、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜(T−1)を得た。
参考例1で得られたポリエステル樹脂水性分散体、およびポリエステル樹脂被膜の評価結果を、表2に示す。
Figure 0005578891
[実施例〜実施例9、参考例2〜参考例5
使用したポリエステル樹脂、(イ)トリエチルアミン添加量、および(ロ)蒸留水添加量を表2のとおりに変更して、参考例1と同様の操作をおこなってポリエステル樹脂水性分散体(E−2)〜(E−9)、(E−16)〜(E−20)、ポリエステル樹脂被膜(T−2)〜(T−9)、(T−16)〜(T−20)をそれぞれ得た。
実施例〜実施例9、参考例2〜参考例5で得られたポリエステル樹脂水性分散体の特性、およびポリエステル樹脂被膜の評価結果を、表2に示す。
[比較例1〜比較例
使用したポリエステル樹脂、(イ)トリエチルアミン添加量、および(ロ)蒸留水添加量を表3のとおりに変更して、参考例1と同様の操作をおこなってポリエステル樹脂水性分散体(E−10)〜(E−15)、(E−21)〜(E−22)、ポリエステル樹脂被膜(T−10)〜(T−15)、(T−21)〜(T−22)をそれぞれ得た。なお、比較例4では、ポリエステル樹脂水性分散体を得ることができなかった。
Figure 0005578891
実施例1〜実施例9、参考例1〜参考例5において得られたポリエステル樹脂水性分散体は、各種基材への密着性、接着性、造膜性、耐加水分解性に優れたポリエステル樹脂被膜を形成できるものであった。
一方、各比較例には次のような問題があった。
比較例1は、ポリエステル樹脂を構成しているアルコール成分として、ポリアルキレングリコール成分を用いていないために、得られたポリエステル樹脂被膜の耐加水分解性に劣るものであった。
比較例2は、ポリエステル樹脂を構成している全アルコール成分中に、ポリアルキレングリコール成分を、15モル%を超えて含有しているために、ポリエステル樹脂の重合度が上がらず、初期、長期静置後ともに、密着性や接着性が劣るものであった。また、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が−50℃未満であったため、ポリエステル樹脂被膜に粘着性が残った状態となり、ポリエステル樹脂の取扱性において改善の余地を残す結果となった。
比較例3は、ポリエステル樹脂を構成している全酸成分中、芳香族ジカルボン酸が50モル%未満であるため、初期、長期静置後ともに、得られるポリエステル樹脂被膜の密着性や接着性が劣るものであった。
比較例4は、ポリエステル樹脂の酸価が2mgKOH/g未満であるため、ポリエステル樹脂を水性媒体に分散させることが困難となり、ポリエステル樹脂水性分散体、およびポリエステル樹脂被膜を得ることができなかった。
比較例5は、ポリエステル樹脂の酸価が10mgKOH/gを超えたために、得られたポリエステル樹脂の数平均分子量が10,000未満となり、初期、長期静置後ともに、得られたポリエステル樹脂被膜の造膜性が不足し、また、密着性や接着性が劣るものであり、加えて耐加水分解性に劣っていた。
比較例6は、ポリエステル樹脂の数平均分子量が10,000未満であるために、初期、長期静置後ともに、得られたポリエステル樹脂被膜の造膜性が不足し、また、密着性や接着性が劣るものであった。
比較例7は、ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分として、数平均分子量は300であるポリアルキレングリコールを用いたため、得られたポリエステル樹脂被膜の耐加水分解性に劣るものであった。
比較例8は、ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分として、ポリアルキレングリコールを用いておらず、かつ、得られたポリエステル樹脂の数平均分子量が低いものであった。そのため、造膜性に劣り、ポリエステル樹脂被膜を得ることができなかった。

Claims (8)

  1. 以下の(i)、(ii)、(iii)および(iv)を同時に満たすことを特徴とするポリエステル樹脂水性分散体。
    (i)アルコール成分、酸成分を配合してなるポリエステル樹脂を水性媒体に分散してなるものである。
    (ii)上記(i)におけるポリエステル樹脂を構成する全アルコール成分中に、下記式(I)で示される数平均分子量500〜4,500のポリアルキレングリコールを1〜15モル%含有する。
    (iii)上記(i)におけるポリエステル樹脂を構成する全酸成分中に、芳香族ジカルボン酸を50〜100モル%含有する。
    (iv)上記(i)におけるポリエステル樹脂が、酸価が5.5〜10mgKOH/g、数平均分子量が10,000〜25,000である。
    Figure 0005578891
    なお、式(I)中、n=2〜36、m=1〜100である整数をそれぞれ表す。
  2. ポリエステル樹脂を構成する全アルコール成分中、前記式(I)で示されるポリアルキレングリコールを3〜10モル%含有することを特徴とする、請求項1記載のポリエステル樹脂水性分散体。
  3. ポリアルキレングリコールが、数平均分子量1,000〜3,000のポリテトラメチレングリコールであることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエステル樹脂水性分散体。
  4. ポリエステル樹脂のガラス転移温度が−50〜30℃であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂水性分散体。
  5. 以下の(v)、(vi)および(vii)の工程を、この順で含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
    (v)ポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解させ、ポリエステル樹脂の有機溶剤液を得る工程
    (vi)40℃以下に保った状態で、前記ポリエステル樹脂の有機溶剤液を塩基性化合物とともに水性媒体に分散させる工程
    (vii)ポリエステル樹脂の有機溶剤液と塩基性化合物を分散させた水性媒体から、有機溶剤および/または塩基性化合物を除去する工程
  6. (v)の工程において、沸点が150℃以下、20℃における水への溶解性が5g/L以上である有機溶剤に、ポリエステル樹脂を10質量%以上溶解させることを特徴とする請求項5に記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
  7. 塩基性化合物の沸点が150℃以下であることを特徴とする、請求項5または6に記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂水性分散体から得られるポリエステル樹脂被膜。
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