JP5094063B2 - ポリエステル樹脂水性分散体 - Google Patents

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Description

本発明はポリエステル樹脂水性分散体に関し、特に、接着剤やインキのバインダー成分として有用であるとともに、フィルムコート剤、繊維処理剤、紙塗工剤等の各種コーティング剤のバインダー成分として有用な、希釈安定性に優れたポリエステル樹脂水性分散体に関する。
多塩基酸成分と多価アルコール成分より構成される高分子量のポリエステル樹脂(いわゆるオイルフリーアルキド樹脂)は、繊維、フィルム、各種成形材料として使用されている。また、塗料、インキ、接着剤、コーティング剤等の分野においても、良好な顔料分散性を示すこと及び形成される被膜が加工性、耐薬品性、耐候性、各種基材への密着性等に優れることから、各種のバインダー成分として大量に使用されている。
一方、近年の環境保護、省資源、消防法等による危険物規制、職場環境改善の立場から、各種の樹脂の有機溶剤による「液状化」を、水性媒体による「液状化」、すなわち水性化に代替する動きが活発である。そのような事情は、ポリエステル樹脂についても同様であり、酸成分として芳香族多塩基酸、特にテレフタル酸を多量に含有する高分子量ポリエステル樹脂は、優れた性能を有する被膜を形成するだけでなく、かかる樹脂骨格が耐加水分解性に優れることから、水性化した場合の貯蔵安定性にも優れることが期待される。
このような状況に対して、本出願人は、先に、ポリエステル樹脂が特定量の酸価を有していれば、これを液状化せずにペレット状〜粒状で水性化処理に供しても、ポリエステル樹脂に対して可塑化能力を有する両親媒性の有機溶剤及び分散安定性を付与する塩基性化合物を用いることで水性化できることを見いだした(特許文献1)。
しかしながら、樹脂の組成によっては樹脂中にオリゴマーが混在し、水性分散体として長期保存した際にそのオリゴマーが沈降するという問題が発生する場合がある。特に、希釈した際にその現象が顕著になるため、インキや各種コーティング剤のバインダー成分として使用される際に問題が生じる場合がある。
特開平9−296100号公報
本発明は、オリゴマーの混在が抑制されたポリエステル樹脂の水性分散体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、多塩基酸成分と、多価アルコール成分とから構成されたポリエステル樹脂を含有する水性分散体であって、前記ポリエステル樹脂の組成は、全アルコール成分にしめる1,2−プロパンジオール成分の割合70モル%以上とするものであり、前記水性分散体の全量に対して5〜50質量%の有機溶剤を含有することを特徴とするものである。
すなわち、本発明は、多塩基酸成分と、多価アルコール成分とから構成されたポリエステル樹脂を含有する水性分散体であって、前記ポリエステル樹脂の組成は、全アルコール成分にしめる1,2−プロパンジオール成分の割合が70モル%以上であることを特徴とするものである。
本発明のポリエステル樹脂の水性分散体は、オリゴマーの混在が抑制されるため、長期保存、過度の希釈によっても沈殿物が発生せず、このため、インキや各種コーティング剤のバインダー成分として、特に、低粘度、低固形分濃度のコーティング剤のバインダー成分として、好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と、多価アルコール成分とから構成されるが、全アルコール成分にしめる1,2−プロパンジオール成分の割合が70モル%以上であることが必要であり、75モル%以上であることがさらに好ましい。全アルコール成分にしめる1,2−プロパンジオール成分の割合が70モル%未満では、本発明の課題であるオリゴマーの発生を抑制することが困難になる。一方、全アルコール成分にしめる1,2−プロパンジオール成分の割合には特に上限はなく、アルコール成分が1,2−プロパンジオールのみであってもかまわない。
発生を抑制する対象としてのオリゴマーは、多価アルコール成分として頻繁に用いられるエチレングリコールやネオペンチルグリコール等と、多塩基酸成分として一般に用いられるテレフタル酸やイソフタル酸との環状化合物であることが分かっている。
1,2−プロパンジオール以外の、全アルコール成分にしめる割合が30モル%未満のアルコール成分として、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコール、エーテル結合含有グリコール等が含まれていても良い。具体的な化合物では、炭素数2〜10の脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等が挙げられる。炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、さらにはビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。しかし、エーテル構造は被膜形成物の耐水性、耐候性を低下させることから、ポリエステル樹脂を構成する多価アルコール成分としてのエーテル結合含有グリコールの使用量は、全多価アルコール成分の10質量%以下、更には5質量%以下にとどめることが好ましい。なお、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールも必要に応じて使用することができる。
多塩基酸としては、芳香族多塩基酸、脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸を挙げることができる。具体的な化合物では、芳香族多塩基酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類が挙げられ、脂肪族多塩基酸としては、シュウ酸、(無水)コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸等の飽和ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等の不飽和の脂肪族ジカルボン酸類が挙げられ、脂環族多塩基酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、無水2,5−ノルボルネンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸等の脂環族ジカルボン酸類が挙げられる。また、樹脂の耐水性を損なわない範囲で、必要に応じて少量の5−ナトリウムスルホイソフタル酸や5−ヒドロキシイソフタル酸を用いることができる。
上記した多塩基酸の中でも、芳香族多塩基酸を用いることが好ましく、ポリエステル樹脂を構成する全酸成分に占める芳香族多塩基酸成分の割合としては、50モル%以上であることが、被膜形成物の硬度、耐薬品性、耐水性を向上させるうえで好ましく、70モル%以上であることが、樹脂の耐加水分解性を高めて水性分散体の貯蔵安定性を向上させるうえでより好ましい。さらに言えば、被膜形成物の他の性能とバランスをとりながらその加工性、耐水性、耐薬品性、耐候性等を向上させることができる点において、ポリエステル樹脂を構成する全酸成分のうちの65モル%以上がテレフタル酸成分であることが特に好ましい。
また、多塩基酸又は多価アルコールとしては、3官能以上の多塩基酸又は多価アルコールを使用してもよい。そのような3官能以上の多塩基酸としては、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が挙げられ、3官能以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。但し、3官能以上の多塩基酸又は多価アルコールの使用量としては、ポリエステル樹脂を構成する全酸成分又は全アルコール成分に対し10モル%以下、更には5モル%以下となる範囲にとどめることが、水性分散体を用いた被膜形成物の高加工性を発現させるうえで好ましい。
なお、本発明におけるポリエステル樹脂を構成する酸成分としては、多塩基酸以外に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸やそのエステル形成性誘導体、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸等の高沸点のモノカルボン酸、ε−カプロラクトン、乳酸、グリコール酸、ベータ−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やそのエステル形成性誘導体を使用してもよい。また、ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分としては、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等の高沸点のモノアルコールを使用してもよい。ただし、上記したモノカルボン酸成分及びモノアルコール成分の使用量としては、ポリエステル樹脂を構成する全酸成分及び全アルコール成分に占める割合がそれぞれ5mol%以下となるような範囲にとどめることが好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂は、酸価の範囲が8〜40mgKOH/gであることが好ましく、10〜36mgKOH/gがより好ましく、10〜28mgKOH/gがさらに好ましい。本発明におけるポリエステル樹脂は、本来それ自身で水に分散又は溶解しないものである。そのため酸価が8mgKOH/g未満の場合には、水性化に寄与するカルボキシル基の量が十分でなく、良好な水性分散体を得ることが困難である。一方、この酸価が40mgKOH/gを超えると、ポリエステル樹脂水性分散体から被膜を形成させて乾燥する際に、被膜形成物から水及び有機溶剤が揮発し難く、被膜形成物の耐水性及び耐薬品性が低下しやすくなる。
また、本発明におけるポリエステル樹脂は、DSC(示差走査熱量)分析で測定されるガラス転移温度が40℃以上であるか、またはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、流出液:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)で測定される数平均分子量が5000以上であるかの、少なくともいずれかの条件を満たすことが好ましい。このいずれの条件をも満たさない場合、すなわち数平均分子量が5000未満でかつガラス転移温度が40℃未満の場合には、被膜形成物の耐水性や耐薬品性が低下するばかりでなく、加工性にも劣る場合がある。ガラス転移温度は、43℃以上がより好ましく、47℃以上が特に好ましい。数平均分子量は、5000〜25000であることが好ましく、6000〜20000であることが特に好ましい。ただし、分子量分布については何ら制限されない。なお、ポリエステル樹脂がテトラヒドロフランに溶解せず、上記の数平均分子量を測定できない場合には、相対粘度で代用できる。
本発明におけるポリエステル樹脂を合成するための方法は、公知の方法を応用すればよい。例えば、(a)全モノマー成分及び/又はその低重合体を不活性雰囲気下で180〜250℃、2.5〜10時間程度反応させてエステル化反応を行い、引き続いてエステル交換反応触媒の存在下、133Pa(1Torr)以下の減圧下に220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進めてポリエステル樹脂を得る方法、(b)前記重縮合反応を、目標とする分子量に達する以前の段階で終了し、反応生成物を次工程でエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、ビスオキサゾリン系化合物等から選ばれる鎖長延長剤と混合し、短時間反応させることにより高分子量化を図る方法、(c)前記重縮合反応を目標とする分子量以上の段階まで進めておき、モノマー成分を更に添加し、不活性雰囲気、常圧〜加圧系で解重合を行うことで目標とする分子量のポリエステル樹脂を得る方法等を用いることができる。
なお、ポリエステル樹脂において、水性化に必要なカルボキシル基は、樹脂骨格中に存在するよりも樹脂分子鎖の末端に偏在していることが、水性分散体により形成される被膜の耐水性、耐薬品性等の面から好ましい。副反応やゲル化等を伴わずに、そのようなポリエステル樹脂を得る方法としては、上記した方法(a)において、重縮合反応開始時以降に3官能以上の多塩基酸またはそのエステル形成性誘導体を添加するか、あるいは、重縮合反応の終了直前に多塩基酸の酸無水物を添加する方法、上記した方法(b)において、大部分の分子鎖末端がカルボキシル基である低分子量ポリエステル樹脂を鎖長延長剤により高分子量化させる方法、上記した方法(c)において、解重合剤として多塩基酸またはそのエステル形成性誘導体を使用する方法等を用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体中におけるポリエステル樹脂粒子の含有率は、その使用される用途、目的とする被膜の厚みやその成形方法によって適宜選択されるが、0.5〜50質量%とすることが好ましく、1〜40質量%とすることがより好ましい。ポリエステル樹脂の含有率が50質量%を超えるとポリエステル樹脂水性分散体の粘度が著しく高くなり、使用に供せない場合がある。一方、0.5質量%未満では、均一な被膜を形成できない場合がある。本発明のポリエステル樹脂はオリゴマーの混在が抑制されているので、特に低固形分濃度範囲、すなわち0.5〜20質量%の範囲でその特徴を発揮する。
本発明の水性分散体は、上記のポリエステル樹脂が水性媒体に分散もしくは溶解されている。ここで、水性媒体とは、水を主成分とする液体からなる媒体であり、後述する水溶性の有機溶剤を含有するものである。また、後述する塩基性化合物を含有していてもよい。
本発明の水性分散体中に分散しているポリエステル樹脂粒子の数平均粒子径は、水性分散体の保存安定性が向上するという点から、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.3μm以下であることがさらに好ましく、0.1μm未満であることが特に好ましい。なお、粒度分布については、特に限定されない。
本発明の水性分散体において、ポリエステル樹脂のカルボキシル基は、塩基性化合物によって中和されていることが好ましい。中和によって生成したカルボキシルアニオン間の電気反発力によって微粒子間の凝集が防がれ、水性分散体に安定性が付与される。
水性化の際に用いる塩基性化合物は、カルボキシル基を中和できるものであれば良い。そのような塩基性化合物としては、LiOH、KOH、NaOH等の金属水酸化物のほか、被膜形成時に揮発する化合物であることが、被膜の耐水性の面から好ましく、中でも沸点が30〜250℃、好ましくは30〜150℃の有機アミン化合物が好ましい。沸点が30℃未満の場合は、後述する樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化が完全に進行しない場合がある。沸点が250℃を超えると、樹脂被膜から乾燥によって有機アミン化合物を飛散させることが困難になり、被膜の耐水性が悪化する場合がある。
有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体における塩基性化合物の含有率は、ポリエステル樹脂中に含まれるカルボキシル基の量に応じて、少なくともこれを部分中和し得る量、すなわち、カルボキシル基に対して0.2〜1.5倍当量であることが好ましく、0.4〜1.3倍当量であることがより好ましい。0.2倍当量未満では塩基性化合物の添加の効果が認められない場合があり、一方1.5倍当量を超えると、ポリエステル樹脂水性分散体が著しく増粘する場合がある。なお、ここで言う塩基性化合物の含有率は、上記の中和反応によってカルボン酸塩を生成するのに消費された分も含めて計算された値とする。すなわち、コーティング組成物を得る際に添加された塩基性化合物の添加量から計算された値とする。
本発明においては、ポリエステル樹脂の水性化を促進させる成分として、有機溶剤を添加することが必要である。有機溶剤としては、ポーリング(Pauling)の電気陰性度が3.0以上の原子(具体的には酸素、窒素、フッ素、塩素)を分子内に1個以上有しているものを用いることが、良好な水性分散体を得るという点から好ましい。さらに、それ自身が被膜形成物から揮発し易く、しかも水と共沸して水の揮発を促進させる作用を有するものが好ましい。具体的には、ケトン、アルコール、グリコール誘導体等が挙げられる。さらにその中でも、沸点が30〜250℃の有機溶剤であることが好ましい。有機溶剤の沸点としては、40〜200℃であることがより好ましく、50〜150℃であることがいっそう好ましい。沸点が250℃以上のものを用いた場合は、水性分散体をコーティングする際にハジキや泡が発生したり、水性分散体の安定性が損なわれたりする場合がある。一方、沸点が30℃未満のものを用いた場合は、樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化が完全に進行しない場合がある。
上記の有機溶剤の含有率は、ポリエステル樹脂水性分散体に対して〜50質量%であることが必要であり、5〜45質量%であることがより好ましく、10〜40質量%であることが特に好ましい。有機溶剤の含有率が0.5質量%未満では、ポリエステル樹脂の水性化が困難であり、また、水性化できた場合でもコーティング時にハジキや泡が発生し易い傾向にある。一方、含有率が50質量%を超えると、分散体の安定性を損なう場合があるだけでなく、水性化という本来の目的に適合しない。

本発明に用いることのできる有機溶剤をより具体的に例示すれば、アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール等が挙げられる。ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等が挙げられる。グリコール誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。なお、有機溶剤は、単一で用いてもよいし、複数の種類のものを混合して用いてもよい。
次に、上記の各成分を水性媒体中に配合して本発明のポリエステル樹脂水性分散体を得る方法について説明する。ポリエステル樹脂水性分散体を得る方法は、特に限定されず、広く知られた方法を応用することができる。例えば、ポリエステル樹脂を汎用の有機溶剤に溶解させた溶液あるいは溶融体を、界面活性剤が添加され、しかも高速で撹拌されている水性媒体中に少量ずつ添加してゆく方法(強制乳化法)や、撹拌下の上記溶液あるいは溶融体中に水性媒体を少量ずつ添加して転相させて安定な水性分散体を得る方法(転相乳化法)等を応用して行うことができる。転相乳化法においても界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれを用いてもかまわない。具体的には、カチオン性界面活性剤としては、4級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やソルビタン誘導体等が挙げられる。両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。その添加量は、樹脂成分に対して5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、ゼロがもっとも好ましい。界面活性剤は一般的に不揮発性であるので、被膜形成後にもポリエステル樹脂中に残存し、被膜を可塑化する作用を有し、耐水性を悪化させる等の悪影響を及ぼす場合が多い。
しかしながら、本発明のポリエステル樹脂水性分散体を製造する方法としては、上記した特許文献1に記載された方法が特に推奨される。すなわち、特定組成のポリエステル樹脂、塩基性化合物、有機溶剤、及び水を好ましくは密閉可能な容器中で加熱、撹拌する方法である。この方法は、界面活性剤を必要とせず、また樹脂を一旦有機溶剤に溶解する必要もない。しかも特殊な設備を使用せず、比較的単純な工程で安定した品質で生産できる方法であるため、本発明のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法として適している。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体は、様々な添加剤との混合安定性に優れる。そのために様々な添加剤を添加することが可能である。例えば、他の重合体の水性分散体、無機粒子、あるいは架橋剤等を添加することができる。
他の重合体の水性分散体は、特に限定されない。例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、変性ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の水性分散体を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用しても良い。
無機粒子としては、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物;炭酸カルシウム、シリカなどの無機粒子;バーミキュライト、モンモリロナイト、ヘクトライト、合成雲母等の水膨潤性の層状無機化合物などを添加することができる。これらの無機粒子の平均粒子径は、0.005〜10μm、より好ましくは0.005〜5μmであることが、水性分散体の安定性の面から好ましい。なお、これらは、2種以上を混合して使用しても良い。本発明のポリエステル樹脂水性分散体は希釈安定性に優れているので、低固形分濃度の無機粒子水性分散体(シリカゾル等)を添加してもポリエステル樹脂に由来する沈殿物が発生しない。
耐水性などの各種の塗膜性能をさらに向上させるために、架橋剤を、水性分散体中のポリエステル樹脂100質量部に対して0.01〜100質量部添加することができる。架橋剤の添加量が0.01質量部未満の場合は、塗膜性能の向上の程度が小さく、100質量部を超える場合は、加工性等の性能が低下してしまう。架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤でも良く、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物または多価の配位座を持つ金属錯体等でも良い。このうち、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が好ましい。また、これらの架橋剤を組み合わせて使用しても良い。
さらに、本発明の水性分散体に、必要に応じて、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤等の各種薬剤や、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック等の顔料あるいは染料などを添加して、本発明の水性分散体をコーティング剤や塗料として使用することができる。また、水性分散体の安定性を損なわない範囲で上記以外の有機もしくは無機の化合物を水性分散体に添加することも可能である。
本発明の水性分散体から得られる樹脂組成物は、様々な基材との密着性に優れる。そのため、接着剤として使用することができる。例えば、金属、ガラス、プラスチックの成型体、フィルム、紙等に使用することができる。
本発明の水性分散体は、被膜形成能に優れているので、公知の成膜方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等により各種基材表面に均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥又は乾燥と焼き付けのための加熱処理に供することにより、均一な樹脂被膜を各種基材表面に密着させて形成することができる。このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用すればよい。そのときの加熱温度や加熱時間は、被コーティング物である基材の特性や後述する硬化剤の種類、配合量等により適宜選択されるものであるが、経済性を考慮した場合、加熱温度としては、30〜250℃が好ましく、60〜230℃がより好ましく、80〜210℃が特に好ましい。加熱時間としては、1秒〜20分が好ましく、5秒〜15分がより好ましく、10秒〜10分が特に好ましい。なお、架橋剤を添加した場合は、ポリエステル中のカルボキシル基と架橋剤との反応を十分進行させるために、加熱温度および時間は架橋剤の種類によって適宜選定することが望ましい。
本発明の水性分散体を用いて形成される樹脂被膜の厚さは、その用途によって適宜選択されるものであるが、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜50μmがより好ましく、0.2〜30μmが特に好ましい。樹脂被膜の厚さが上記範囲となるように成膜すれば、均一性に優れた樹脂被膜が得られる。
樹脂被膜の厚さを調節するためには、コーティングに用いる装置やその使用条件を適宜選択することに加えて、目的とする樹脂被膜の厚さに適した濃度の水性分散体を使用することが好ましい。このときの濃度は、調製時の仕込み組成により調節することができる。また、一旦調製した水性分散体を適宜希釈、あるいは濃縮して調節してもよい。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、ポリエステル樹脂及びポリエステル樹脂水性分散体の特性については、下記の方法によって評価した。
(1)ポリエステル樹脂の組成
バリアン社製の分析装置を用いて、1H−NMR分析(300MHz)より求めた。なお、1H−NMRスペクトル上に帰属・定量可能なピークが認められない構成モノマーを含む樹脂については、封管中において230℃で8時間メタノール分解を行った後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析を行った。
(2)ポリエステル樹脂のガラス転移温度
ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキン エルマー社製 DSC7)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点の温度の中間値を求め、これをガラス転移温度とした。
(3)ポリエステル樹脂の数平均分子量
GPC分析(島津製作所社製の送液ユニットLC−10ADvp型及び紫外−可視分光光度計SPD−6AV型を使用、検出波長:254nm、溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により求めた。
(4)ポリエステル樹脂の酸価
ポリエステル樹脂1gを50mlのジオキサン/水=9/1(容積比)混合溶媒に完全に溶解し、フェノールフタレインを指示薬としてKOHで滴定を行い、中和に消費されたKOHのmg数を酸価として求めた。
(5)水性分散体の有機溶剤含有率
島津製作所社製、ガスクロマトグラフGC−8A[FID検出器使用、キャリアーガス:窒素、カラム充填物質(ジーエルサイエンス社製):PEG−HT(5%)−Uniport HP(60/80メッシュ)、カラムサイズ:直径3mm×3m、試料投入温度(インジェクション温度):150℃、カラム温度:60℃、内部標準物質:n-ブタノール]を用い、水性分散体または水性分散体を水で希釈したものを直接装置内に投入して、有機溶剤の含有率を求めた。検出限界は0.01質量%であった。
(6)水性分散体の固形分濃度
水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
(7)水性分散体の平均粒子径
日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340、動的光散乱法)を用い、数平均粒子径を求めた。ここで、粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.57とした。
(8)水性分散体のポットライフ
水性分散体のポットライフを次の2つの条件下で観測して、それぞれの外観を以下の3段階で評価した。
ポットライフ1
調製した水性分散体を5℃の条件下で半年静置した。
ポットライフ2
調製した水性分散体を水で100倍希釈したものを5℃の条件下で半年静置した。
○:外観に変化なし。
△:かすかに凝集や沈殿物の発生が見られる。
×:凝集や沈殿物の発生が顕著に見られる。
[ポリエステル樹脂の製造−1]
ポリエステル樹脂を構成する酸成分としてテレフタル酸1661gを用意し、アルコール成分として1,2−プロパンジオール1026gとエチレングリコール155gとを用意し、これらの混合物をオートクレーブ中で240℃で3時間加熱してエステル化反応を行った。続いて230℃に降温後、テトラブチルチタネートを触媒として1.36g添加し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件で重縮合反応を行い、2時間後に無水トリメリット酸60gを投入し1時間撹拌して解重合反応を行った。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしてシート状に払い出した。そしてこれを室温まで十分に冷却した後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−1を得た。同様の方法で、アルコール成分の構成が下記表1に示される条件となるようにして、ポリエステル樹脂P−2〜P−6を得た。得られたポリエステル樹脂の物性を表1に示す。
[ポリエステル樹脂の製造−2]
ポリエステル樹脂を構成する酸成分としてテレフタル酸1163gとイソフタル酸498gとを用意し、アルコール成分としてエチレングリコール435gとネオペンチルグリコール625gとを用意し、これらの混合物をオートクレーブ中で260℃で4時間加熱してエステル化反応を行った。次いで触媒としての三酸化アンチモンを1質量%含有するエチレングリコール溶液を73g添加し、系の温度を280℃に昇温し、その後に系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、2時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、270℃になったところで無水トリメリット酸35gを加え、250℃で1時間撹拌して解重合反応を行った。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしてシート状に払い出した。そしてこれを室温まで十分に冷却した後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−7を得た。得られたポリエステル樹脂の物性を表1に示す。
Figure 0005094063
(実施例1)
ジャケット付きの密閉できる2リットル容ガラス容器を備えた撹拌機(特殊機化工業社製、T.K.ロボミックス)を用いて、300gのポリエステル樹脂P−1と、水性化を促進させるための成分としての220gのイソプロピルアルコールと、水性化の際に用いる塩基性化合物としての11.4gのトリエチルアミンと、468.6gの蒸留水とをガラス容器内に仕込み、撹拌翼(ホモディスパー)の回転速度を7000rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、完全浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にジャケットに熱水を通して加熱した。そして系内温度を73〜75℃に保ってさらに1時間撹拌した。その後、ジャケット内に冷水を流し、回転速度を4000rpmに下げて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。さらに、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧 196kPa(2kg/cm))し、均一なポリエステル樹脂水性分散体Z−1を得た。濾過後のフィルター上には樹脂はほとんど残存していなかった。得られた水性分散体の各種特性を表2に示す。
(実施例2)
ポリエステル樹脂P−2を用いるとともに、水性化の際に用いる塩基性化合物としての11.9gのトリエチルアミンと、468.1gの蒸留水とを用いた。そして、それ以外は実施例1と同様にして、均一なポリエステル樹脂水性分散体Z−2を得た。濾過後のフィルター上には樹脂はほとんど残存していなかった。得られた水性分散体の各種特性を表2に示す。
(実施例3)
ポリエステル樹脂P−3を用いるとともに、水性化の際に用いる塩基性化合物としての12.4gのトリエチルアミン及び467.6gの蒸留水を用いた。そして、それ以外は実施例1と同様にして、均一なポリエステル樹脂水性分散体Z−3を得た。濾過後のフィルター上には樹脂はほとんど残存していなかった。得られた水性分散体の各種特性を表2に示す。
参考例1
ポリエステル樹脂P−4を用いるとともに、水性化の際に用いる塩基性化合物としての11.4gのトリエチルアミンと、468.6gの蒸留水とを用いた。そして、それ以外は実施例1と同様にして、均一なポリエステル樹脂水性分散体Z−4を得た。濾過後のフィルター上には樹脂はほとんど残存していなかった。得られた水性分散体の各種特性を表2に示す。
(比較例1)
ポリエステル樹脂P−5を用いるとともに、水性化の際に用いる塩基性化合物としての11.4gのトリエチルアミンと、468.6gの蒸留水とを用いた。そして、それ以外は実施例1と同様にして、均一なポリエステル樹脂水性分散体H−1を得た。濾過後のフィルター上には樹脂はほとんど残存していなかった。得られた水性分散体の各種特性を表2に示す。
(比較例2)
ポリエステル樹脂P−6を用いるとともに、水性化の際に用いる塩基性化合物としての10.8gのトリエチルアミン及び469.2gの蒸留水を用いた。そして、それ以外は実施例1と同様にして、均一なポリエステル樹脂水性分散体H−2を得た。濾過後のフィルター上には樹脂はほとんど残存していなかった。得られた水性分散体の各種特性を表2に示す。
(比較例3)
ポリエステル樹脂P−7を用いるとともに、水性化を促進させるための成分としての180gのイソプロピルアルコールと、水性化の際に用いる塩基性化合物としての11.0gのトリエチルアミンと、509.0gの蒸留水とを用いた。そして、それ以外は実施例1と同様にして、均一なポリエステル樹脂水性分散体H−3を得た。濾過後のフィルター上には樹脂はほとんど残存していなかった。得られた水性分散体の各種特性を表2に示す。
Figure 0005094063
実施例1〜3の水性分散体Z−1〜Z−3は、保存安定性に優れ、オリゴマーの沈殿は確認されなかった。また、水で100倍に希釈しても変化は見られず、希釈安定性に優れていることも確認できた。
参考例1の水性分散体Z−4は、希釈していないものについてはオリゴマーの沈殿は確認されなかった。これに対し、水で100倍に希釈したものからは、ごくわずかな浮遊を確認できた
比較例1〜3の水性分散体H−1〜H−3は、全アルコール成分にしめる1,2−プロパンジオール成分の割合が本発明の範囲外であったため、長期保存安定性に乏しく、水で100倍に希釈するとオリゴマーの沈降が顕著に確認された。

Claims (1)

  1. 多塩基酸成分と多価アルコール成分とから構成されたポリエステル樹脂を含有する水性分散体であって、前記ポリエステル樹脂の組成は、全アルコール成分にしめる1,2−プロパンジオール成分の割合70モル%以上とするものであり、前記水性分散体の全量に対して5〜50質量%の有機溶剤を含有することを特徴とするポリエステル樹脂水性分散体。
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