JP4763514B2 - ポリエステル樹脂水分散体 - Google Patents

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Description

本発明は、接着剤、バインダー成分として特に有用な、感熱性、耐ブロッキング性に優れたポリエステル樹脂の水分散体に関するものである。
高分子量のポリエステル樹脂は、顔料分散性、加工性、耐薬品性、耐候性、各種基材への密着性等に優れていることから、塗料、インキ、接着剤、コーティング剤等の分野において、バインダー成分として大量に使用されている。
上記分野においては、高分子量ポリエステル樹脂を溶媒に溶解または分散して液状化したものを基材に塗工して塗膜が形成される。
特に、接着剤としては、その後の工程で塗膜を加熱して使用するのが一般的である。こうした用途では、塗膜が与えられた熱に感応してすばやく溶融するとともに、冷却によってすばやく再固化する、いわゆる「シャープメルト性」が求められる。また、このようなポリエステル樹脂を塗布した基材を巻き取ったり、また枚様に重ね取ったりする際には、ブロッキングを起こさないこと(耐ブロッキング性)が求められる。
一方で、高分子量ポリエステル樹脂を液状化するにあたって、近年の環境保護、省資源、消防法等による危険物規制、職場環境改善の立場から、従来の有機溶剤による液状化から、水性媒体による液状化(すなわち、「水性化」または「水分散化」)に代替する動きが活発である。
以上のような要求から、結晶性ポリエステル樹脂の水分散体として、樹脂を有機溶剤に膨潤させたものを水性媒体中に分散し、さらにその分散体から有機溶剤を除去することによって製造されたものが開示されている(特許文献1)。
また、特定酸価の非晶性のポリエステル樹脂を両親媒性の有機溶剤および塩基性化合物を用いて、水性化することが示されている(特許文献2)。さらに、高分子量の非晶性あるいは結晶化度が低いポリエステル樹脂を用い、両親媒性の有機溶剤からの転相後、水分散体中の有機溶剤を除去することで貯蔵安定性に優れた水分散体得られることが見いだされている(特許文献3)。
特開2005−281547号公報 特開平9−296100号公報 WO/2004/037924号公報
しかしながら、特許文献1においては、用いられているポリエステル樹脂の結晶性(結晶融解熱量)が十分でなく、溶融から固化にいたる時間が長いため、耐ブロッキング性において不十分である。また、特許文献2、3において具体的に用いられているポリエステル樹脂は、感熱性、耐ブロッキング性をバランスよく備えたものではない。
本発明は、上記課題を解決するものであり、感熱性と耐ブロッキング性を兼備したポリエステル樹脂水分散体を経済的、かつ、生産性よく提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、融点、融解熱量、降温結晶化温度が特定の範囲にある特定酸価のポリエステル樹脂の水分散体は、上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、第一に融点50〜110℃かつ結晶融解熱量60J/g以上かつ降温結晶化温度30℃以上で酸価20〜40mgKOH/gのポリエステル樹脂と塩基性化合物を含有するポリエステル樹脂水分散体であって、前記ポリエステル樹脂を構成する主成分が、「ドデカン二酸およびエチレングリコール」、「セバシン酸および1,4−ブタンジオール」、または「セバシン酸、コハク酸および1,4−ブタンジオール」のいずれかの組み合わせからなり、かつポリエステル樹脂を構成する酸成分として脂肪族多塩基酸を60モル%以上含有することを特徴とする、ポリエステル樹脂水分散体であり、第二に、ポリエステル樹脂の主成分が、ドデカン二酸とエチレングリコールである前記ポリエステル樹脂水分散体であり、第三に、結晶性ポリエステル樹脂を両親媒性有機溶剤の溶液とする工程、前記溶液と塩基性化合物および水とを混合して乳化液とする工程、前記乳化液から有機溶剤を留去する工程、とを含むことを特徴とする前記ポリエステル樹脂水分散体の製造方法である。
本発明の水分散体によれば、低融点で高結晶性のポリエステル樹脂が用いられているため、低温で速やかに溶融し、かつ冷却過程において融点に近い温度で速やかに結晶化するので、感熱媒体に用いた場合には低エネルギーで流動でき、速やかに固化して他の基材と接触してもブロッキングすることがない。このことは、融点までの耐熱性を有するとともに、加圧によるブロッキングも低減されることを意味する。また、結晶化することで耐水性や耐薬品性も備えているので、本発明の水分散体から得られた塗膜上に他のコート剤を上塗りした場合にも侵されにくい。さらに、本発明の水分散体は、媒体中の有機溶剤の量を低減することができるため、耐溶剤性の悪い基材上や耐溶剤性の悪いインク層上にコーティングしても、基材表面が損傷したり、インク滲みやインク剥がれが起こりにくい。このような本発明の水分散体は、受像層、インキ等のバインダー、トナーなどの感熱性の構成素材に好適である。
本発明の製造方法によれば、スルフォン酸ナトリウムのような親水性の強い基を導入したり、乳化剤を使用することなしに、比較的分子量が高く、かつ結晶性が高いポリエステル樹脂を安定に水分散体とすることができるため、親水性基や乳化剤の導入による耐水性劣化の懸念がない。
本発明の水分散体は、低エネルギー活性を有し、同時に有機溶剤量を低減することができるため、総じて環境保護、職場環境の改善の立場から優れた素材であり、業務上の利用価値は極めて高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
<ポリエステル樹脂>
本発明におけるポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコール成分とから構成される。多塩基酸としては、脂肪族多塩基酸、芳香族多塩基酸、脂環族多塩基酸を挙げることができる。具体的な化合物では、脂肪族多塩基酸としては、シュウ酸、(無水)コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸等の飽和ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等の不飽和の脂肪族ジカルボン酸類が挙げられ、芳香族多塩基酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類が挙げられ、脂環族多塩基酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、無水2,5−ノルボルネンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸等の脂環族ジカルボン酸類が挙げられる。
前記した多塩基酸の中でも、低融点でかつ高結晶性とするためには、脂肪族多塩基酸を用いることが好ましく、ポリエステル樹脂を構成する全酸成分に占める脂肪族多塩基酸成分の割合としては、60モル%以上であることが、形成される被膜の結晶性、耐薬品性、耐水性を向上させるうえで必要であり、75モル%以上であることが、結晶化速度を向上させるうえで好ましい。





また、多価アルコールとしては、脂肪族グリコール、脂環族グリコール、エーテル結合含有グリコール等を挙げることができる。具体的な化合物では、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等が挙げられ、脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールさらにはビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
上記した多価アルコールの中でも、特にエチレングリコールや1,4−ブタンジオールを用いることが好ましく、結晶性、耐水性および耐薬品性を向上させるという点で好ましい。
多塩基酸または多価アルコールの一部として、3官能以上の多塩基酸または多価アルコールを使用してもよい。3官能以上の多塩基酸としては、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が挙げられ、3官能以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。ただし、3官能以上の多塩基酸又は多価アルコールの使用量としては、ポリエステル樹脂を構成する全酸成分または全アルコール成分に対し10モル%以下、さらには5モル%以下となる範囲にとどめることが、形成される被膜や粒子の高加工性を発現させるうえで好ましい。
ポリエステル樹脂を構成する酸成分としては、多塩基酸以外に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸やそのエステル形成性誘導体、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸等の高沸点のモノカルボン酸やそのエステル形成性誘導体を使用してもよい。また、アルコール成分としては、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等の高沸点のモノアルコールを使用してもよい。モノカルボン酸成分及びモノアルコール成分の使用量としては、ポリエステル樹脂を構成する全酸成分及び全アルコール成分に占める割合がそれぞれ5モル%以下となるような範囲にとどめることが好ましい。
ポリエステル樹脂の構成成分として、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸を使用してもよい。
本発明におけるポリエステル樹脂は、DSC(示差走査熱量)分析で測定される融点が50〜110℃の範囲とする必要がある。融点が50℃より低い場合には、水分散体を乾燥して得られる形成物の耐ブロッキング性発現に時間を要し、一方、融点が110℃より高い場合には、脂肪族成分を主とするポリエステル樹脂のときは安定な水分散体が得られず、また芳香族成分を主とするポリエステル樹脂のときは、安定な水分散体を得るための組成においては結晶性が低く、乾燥して得られる形成物の耐ブロッキング性発現に時間を要する。
本発明におけるポリエステル樹脂は、DSC(示差走査熱量)分析で測定される結晶融解熱量が60J/g以上かつ同分析により測定される降温結晶化温度が30℃以上であることが必要である。結晶融解熱量が60J/gより低い場合あるいは降温結晶化温度が30℃より低い場合は、いずれも水分散体を乾燥して得られる形成物の耐ブロッキング性発現に時間を要する傾向がある。
前記の熱特性を発現させるためには、ポリエステル樹脂の主たる組成として、「ドデカン二酸およびエチレングリコール」、「セバシン酸および1,4−ブタンジオール」または「セバシン酸、コハク酸および1,4−ブタンジオール」のいずれかの組み合わせからなるものとすることが必要であり、耐薬品性に優れることから、「ドデカン二酸およびエチレングリコール」の組み合わせが最も好ましい。
ポリエステル樹脂の酸価は、20〜40mgKOH/gであることが必要である。酸価が20mgKOH/gより低いと安定な水分散体が得られない場合がある。40mgKOH/gを超えると、ポリエステル樹脂水分散体から乾燥により形成させた形成物の強度が小さくなる場合がある。ポリエステル樹脂の酸価は22〜32mgKOH/gであることが好ましい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー,流出液:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)で測定した値で、5,000以上であることが好ましく、8,000以上であることがより好ましい。数平均分子量が5,000未満の場合には、乾燥形成物の加工性等強度が低下する場合がある。分子量分布については特に限定されない。
ポリエステル樹脂の製造方法には、公知の方法を用いればよい。例えば、(a)全モノマー成分を不活性雰囲気下で180〜250℃、2.5〜10時間程度反応させてエステル化反応を行い、引き続いてエステル交換反応触媒の存在下、133Pa以下の減圧下に220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進めてポリエステル樹脂を得る方法、(b)前記重縮合反応を、目標とする分子量に達する以前の段階で終了し、反応生成物を次工程でエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、ビスオキサゾリン系化合物等から選ばれる鎖長延長剤と混合し、短時間反応させることにより高分子量化を図る方法、(c)前記重縮合反応を目標とする分子量以上の段階まで進めておき、モノマー成分をさらに添加し、不活性雰囲気、常圧〜加圧系で解重合を行うことで目標とする分子量のポリエステル樹脂を得る方法等を用いることができる。
なお、形成される被膜の耐水性、耐薬品性等を向上させるために、ポリエステル樹脂のカルボキシル基が樹脂骨格中よりも樹脂分子鎖の末端に存在する傾向にあったほうが好ましい。副反応やゲル化等を伴わずに、そのようなポリエステル樹脂を製造する方法としては、前記した方法(a)において、重縮合反応開始時以降に3官能以上の多塩基酸またはそのエステル形成性誘導体を添加するか、あるいは、重縮合反応の終了直前に多塩基酸の酸無水物を添加する方法、前記した方法(b)において、大部分の分子鎖末端がカルボキシル基である低分子量ポリエステル樹脂を鎖長延長剤により高分子量化させる方法、前記した方法(c)において解重合剤として多塩基酸またはそのエステル形成性誘導体を使用する方法、あるいは上記の方法を併用する等を用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂水分散体中におけるポリエステル樹脂の含有率としては、その使用される用途、目的とする被膜の厚み、成形方法によって適宜選択されるが、通常0.5〜50質量%であり、1〜40質量%が好ましい。50質量%を超えるとポリエステル樹脂水分散体の貯蔵安定性が悪くなる場合がある。一方、0.5質量%未満では、均一な被膜を形成できない場合がある。
<塩基性化合物>
本発明のポリエステル樹脂水分散体において、塩基性化合物は、ポリエステル樹脂を水性化させる際に、ポリエステル樹脂を中和させるための成分として必要である。本発明においては前記の中和反応、すなわち、塩基性化合物とポリエステル樹脂中の親水基であるカルボキシル基との中和反応が水性化の推進力であり、しかも、中和反応で生成したカルボキシルアニオン間の電気反発力によって、ポリエステル樹脂微粒子間の凝集を防ぐことができる。
塩基性化合物が被膜形成物中に残存するとその性能を低下させる傾向があるため、本発明における塩基性化合物としては、乾燥によって揮散させ易い化合物が好ましい。そのような塩基性化合物としては、アンモニアや有機アミン化合物が挙げられ、有機アミン化合物の沸点としては、160℃以下であることが好ましい。また、水と共沸可能なものが特に好ましい。
本発明に好ましく用いられる塩基性化合物を具体的に例示すれば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−N−エタノールアミン、プロピレンジアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピペリジン等が挙げられる。塩基性化合物は、単一でも、また複数類の混合としても使用できる。
塩基性化合物は、ポリエステル樹脂中に含まれるカルボキシル基の量に応じて使用され、少なくともこれを部分中和し得る量であればよく、カルボキシル基に対して0.9〜15倍当量であることが好ましく、1〜6倍当量であることがより好ましい。0.9倍当量未満では塩基性化合物添加の効果が認められない場合があり、一方15倍当量を超えると、ポリエステル樹脂水分散体が増粘する場合がある。
<水分散体の製造方法>
本発明のポリエステル樹脂水分散体を製造する方法としては、ポリエステル樹脂を両親媒性有機溶剤の溶液とする工程(工程1)、前記溶液と塩基性化合物および水とを混合して乳化液とする工程(工程2)、前記乳化液から有機溶剤を留去する工程(工程3)の3工程を含む方法が挙げられる。
(工程1)
ポリエステル樹脂を両親媒性有機溶剤に溶解させて溶液を得る。両親媒性有機溶剤は、親水性であり、かつ、それ自身が水と共沸する作用を有するものであり、好ましくは、ケトン、アルコール、グリコール誘導体から選択される150℃以下の沸点を有するものであり、特に沸点110℃以下のものが好ましい。
本発明に用いることのできる両親媒性有機溶剤としては、アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール等が挙げられ、ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等が挙げられ、グリコール誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられ、環状エーテルとしてテトラハイドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、混合して使用してもよい。
ポリエステル樹脂を上記の両親媒性有機溶剤に溶解する方法は特に限定されず、適宜加熱や攪拌をおこなうなど、通常の方法を用いればよい。
(工程2)
次に、ポリエステル樹脂の両親媒性有機溶剤溶液と、水および前述の塩基性化合物とを混合することにより転相乳化をおこなう。このとき、混合の順序は特に限定されず、例えば、前記溶液を攪拌しておき、ここに水と塩基性化合物との混合液を少量ずつ添加してもよいし、塩基性化合物を加えた後、水を加えてもよい。
(工程3)
乳化の後、水分散体の保存安定性の観点から、有機溶剤を留去する。有機溶剤は、水とともに共沸させることによって、系外へ留去することができる。留去の程度は所望の性能や安定性の観点から適宜決定すればよいが、ポリエステル樹脂水分散体全体の0.5質量%以下にまで留去することができる。有機溶剤の含有率はガスクロマトグラフィで定量することができる。
本発明においては、工程1〜2を通じて、40℃〜(両親媒性有機溶剤の沸点)の温度範囲で行うことが好ましく、特に好ましい温度範囲は、50℃〜150℃である。40℃未満であると、ポリエステル樹脂を溶解した状態に保つことが困難となり、溶液の粘度が著しく高くなる場合がある。また、両親媒性有機溶剤の沸点を超えるとこの両親媒性有機溶剤の飛散が顕著となり好ましくない。
工程3における温度条件は、特に限定されないが、両親媒性有機溶剤と水が共沸する温度以上とすることが好ましい。両親媒性有機溶剤の留去が進行すれば、最終的には系内は水の沸点となる。このときポリエステル樹脂にとって高温が好ましくない場合には、減圧下でおこない、沸点を低下させてもよい。工程3の終了後には、速やかに40℃以下にまで冷却することが好ましい。
また、工程2において、両親媒性有機溶剤の溶液へ塩基性化合物および水を添加して転相乳化を行った後、直ちに工程3を実施して有機溶剤を留去することが好ましい。これは、転相後に有機溶剤を含む系では水分散体が安定しないこと、および特殊な設備を使用せず、しかも比較的単純な工程で安定した品質で生産できることなどの理由による。さらに、工程1,2を前記のように40℃〜(両親媒性有機溶剤の沸点)の条件で行えば、工程2に続けて直ちに工程3を行ううえで、工程の所要時間を短縮することができ、省エネルギーの点から有利である。
上記各工程を行うためには、特殊な装置は必要としない。液体を投入できる槽を備え、槽内に投入された水性媒体と樹脂粉末ないしは粒状物の混合物を適度に撹拌でき、かつ留出する溶剤を凝集できるコンデンサがあればよく、好ましくは槽内を40℃〜(両親媒性有機溶剤の沸点または水の沸点のいずれか高い方の温度)に加熱できる装置がよい。
製造工程においては、水性分散体への粗大な粒子の混入を防ぐ目的で、適宜、濾過等を行ってもよい。例えば、300〜600メッシュ程度のステンレス製フィルターを用いればよい。また、必要に応じて空気圧0.2MPa程度で加圧濾過してもよい。
本発明のポリエステル樹脂水分散体における両親媒性有機溶剤の量は、ポリエステル樹脂水分散体が安定化する範囲であれば特に限定されないが、工程3による留去などを行って、0.5質量%以下とすることが好ましい。
なお、コーティング時のハジキや泡の発生を抑える目的で、性能に差し支えない範囲で有機溶剤を加えてもよい。また、所望の固形分濃度以上に水性媒体を留去した後で、水により希釈して固形分濃度を調整してもよい。
本発明においては、ポリエステル樹脂水分散体のpHは6.6以上であることが好ましい。pHの調整は、前記製造方法の工程3の後、ポリエステル樹脂水分散体に塩基性化合物を添加しておこなうことが好ましい。pHは8.5以上であると、菌や黴の発生が抑制されるためさらに好ましい。水分散体のpHが6.6より小さい場合は水分散体が固化しやすい傾向があり、また抗菌の効果が小さい。一方、pHの上限は、特に限定されないが、12.0より大きい場合は経時的にポリエステル樹脂の分子量を低下させるおそれがあるため12.0以下であることが好ましい。pHを調整するための塩基性化合物としては、前記工程2で使用されるアンモニアやアミンが用いられる。
<水分散体の特性>
本発明の水分散体の溶液粘度は、特に限定されないが、例えば、基材への塗布等を目的とする場合には、1〜1000mPa・sの範囲にあれば良好である。また、水分散体の体積平均粒径も特に限定されないが、400nm以下であれば安定となるため好ましく、300nm以下であることがより好ましい。
<水分散体の使用方法>
本発明の水分散体は、被膜形成能に優れているので、公知の成膜方法、例えばディッピング法、はけ塗り法、スプレーコート法、カーテンフローコート法等により各種基材表面に均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥又は乾燥と焼き付けのための加熱処理に供することにより、均一な樹脂被膜を各種基材表面に密着させて形成することができる。このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用すればよい。また、加熱温度や加熱時間としては、被コーティング物である基材の特性等により適宜選択されるものであるが、経済性を考慮した場合、加熱温度としては、30〜250℃が好ましく、90〜160℃が特に好ましく、加熱時間としては、1秒〜20分間が好ましく、10秒〜5分が特に好ましい。
また、本発明の水性分散体を用いて樹脂被膜を形成する場合、その厚さは、その用途によって適宜選択されるものであるが、通常0.01〜100μm、好ましくは0.1〜50μm、最適は0.5〜25μmである。樹脂被膜の厚さが上記範囲となるように成膜すれば、均一性に優れた樹脂被膜が得られる。
なお、樹脂被膜の厚さを調節するためには、コーティングに用いる装置やその使用条件を適宜選択することに加えて、目的とする樹脂被膜の厚さに適した濃度の水性分散体を使用することが好ましい。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明する。
なお、各種の特性については、以下の方法によって測定または評価した。
(1)ポリエステル樹脂の酸価
ポリエステル樹脂0.5gを50mlの水/ジオキサン=1/10(体積比)に溶解し、クレゾールレッドを指示薬としてKOHで滴定を行い、中和に消費されたKOHのmg数をポリエステル樹脂1gあたりに換算した値を酸価として求めた。
(2)ポリエステル樹脂の数平均分子量
数平均分子量は、GPC分析(島津製作所製の送液ユニットLC−10ADvp型及び紫外−可視分光光度計SPD−6AV型を使用、溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により求めた。
(3)ポリエステル樹脂の融点、融解熱量、結晶化温度
ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7)を用いて、−40℃から速度20℃/分で200℃まで昇温測定を行い、200℃で3分間保ったのち、速度20℃/分で−40℃まで降温測定を行った。このとき得られた結晶に由来するピークのうち、昇温測定時のピークトップ温度を融点とし、このときの吸熱量を融解熱量とし、降温測定時のピークトップ温度を結晶化温度とした。
(4)ポリエステル樹脂水分散体の固形分濃度
ポリエステル分散体を1g秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、ポリエステル樹脂固形分濃度を求めた。
(5)ポリエステル樹脂水分散体の粘度
株式会社トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計(B型粘度計)を用い、温度30℃における水分散体の回転粘度を測定した。
(6)ポリエステル樹脂水性分散体中の有機溶剤の含有率
島津製作所社製、ガスクロマトグラフGC−8A[FID検出器使用、キャリアーガス:窒素、カラム充填物質(ジーエルサイエンス社製):PEG-HT(5%)-Uniport HP(60/80メッシュ)、カラムサイズ:直径3mm×3m、試料投入温度(インジェクション温度):150℃、カラム温度:60℃、内部標準物質:n-ブタノール]を用い、水性分散体または水性分散体Aを水で希釈したものを直接装置内に投入して、有機溶剤の含有率を求めた。検出限界は0.01質量%であった。
(7)ポリエステル樹脂水分散体のpH
株式会社堀場製作所製、ガラス電極式水素濃度計、pH METER F−21を用いて25℃で測定した。
(8)ポリエステル樹脂粒子の平均粒径
日機装株式会社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340)を用い、体積平均粒子径を求めた。
(9)樹脂被膜の厚さ
厚み計(ユニオンツール社製、MICROFINE Σ)を用いて、基材(実施例ではポリエステル(PET)フィルム(ユニチカ株式会社製、厚さ38μm))の厚みを予め測定しておき、水分散体を用いて基材上に樹脂被膜を形成した後、この樹脂被膜を有する基材の厚みを同様の方法で測定し、その差を樹脂被膜の厚さとした。
(10)耐ブロッキング性の評価
PETフィルム(ユニチカ株式会社製、厚さ38μm)に水分散体を卓上型コーティング装置(安田精機製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、マイヤーバー装着)を用いてコートし、120℃の熱風オーブン中で1分乾燥して厚さ6μmの樹脂被膜を形成した後、23℃の室温に取り出しPETフィルムを重ね合わせてタックが消滅するまでの時間(秒)を測定した。
(11)ラビング試験
(10)と同様にして樹脂被膜を形成した後、この被膜面を溶剤を浸み込ませた綿棒で10回ラビングした。溶剤が乾いたあとの状態を観察し、変化のない場合を○、溶解やクラックの発生が観察された場合を×とした。
実施例及び比較例で用いたポリエステル樹脂は、次のようにして合成した。
[製造例1]
(ポリエステル樹脂「P−1」の製造例)
ドデカン二酸253.6g、エチレングリコール95.2g、トリメチロールプロパン0.7g、テトラ−n−ブチルチタネートを0.11gを、攪拌機を備えた耐熱圧ガラス容器中に採り、235℃で3時間加熱してエステル化反応を行った。次いで系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。3時間後に系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸10.4gを添加し、1.5時間撹拌して解重合反応をおこない、ポリエステル樹脂P−1を得た。この樹脂を分析したところ、酸価は25.0、相対粘度は1.55、数平均分子量は9300、融点は81℃、融解熱量は89J/g、降温時の結晶化温度は53℃であった。
ポリエステル樹脂「P−2」〜「P−6」
表1に示した仕込み組成を用い、ポリエステル樹脂「P−1」と同様の装置、温度条件を用いてポリエステル樹脂「P−2」〜「P−6」を得た。
ポリエステル「P−1」〜「P−6」の組成や特性を表2にまとめて示す。
実施例1
3リットルの3口丸底フラスコにポリエステル樹脂「P−1」200g、メチルエチルケトン467gを採り、60℃の湯浴に浸漬して攪拌機を用いて透明な液になるまで溶解した。加熱攪拌を持続しながらトリエチルアミン27gを加えた後、蒸留水653gを系の均一化に注意しながら少しずつ加えて転相乳化した。次にこれを85℃の油浴に移し、冷却管を取り付け攪拌しながらメチルエチルケトンを水と共沸させて留出した。留出状況に応じて油浴を昇温し、最終的に120℃とした。留出液の質量を測りながら680.3gに達した時点で加熱を止め、水浴で室温まで冷却した。さらに28%のアンモニア水2.6gを添加して攪拌した後、フラスコ内の液状成分を600メッシュ(あやたたみ織り)のフィルターで濾過を行い、ポリエステル樹脂水性分散体「S−1」を得た。この分散体を分析したところ、固形分濃度は30.0質量%、粘度は7.0mPa・s、メチルエチルケトンの含有率は0.1質量%、pHは9.1、体積平均粒径は228nmであった。
また、この水性分散体の外観を目視で観察したところ、沈殿や層分離の見られない均一なものであった。次いで、得られた水性分散体を、基材としての二軸延伸PETフィルム(ユニチカ株式会社製、厚さ38μm)上に、卓上型コーティング装置にマイヤーバー#14を装着してコーティングした後、120℃に設定されたオーブン中で1分間加熱することにより、PETフィルム上に樹脂被膜を形成させた。この時の厚さは6μmであった。
また120℃のオーブンから23℃の室温に取り出してから、同じ38μmのPETフィルムを重ね合わせて剥がした時、タック性がなくなるまでの時間は4秒であった。
実施例2
ポリエステル樹脂「P−2」を用い、トリエチルアミンを33gとし、最終段階で加える28%のアンモニア水を0.9gとした以外は実施例1と同様の操作を行って、ポリエステル樹脂水分散体「S−2」を得た。
実施例3
ポリエステル樹脂「P−3」を用い、トリエチルアミンに代えて28%のアンモニア水を19gとし、最終段階で加える28%のアンモニア水を0.9gとした以外は実施例1と同様の操作を行ってポリエステル樹脂水分散体「S−3」を得た。
実施例4
3リットルの3口丸底フラスコにポリエステル樹脂「P−1」200g、メチルエチルケトン467gを採り、60℃の湯浴に浸漬して攪拌機を用いて透明な液になるまで溶解した。加熱攪拌を持続しながらトリエチルアミン27gを加えた後、蒸留水653gを系の均一化に注意しながら少しずつ加えて転相乳化した。次にこれを85℃の油浴に移し、冷却管を取り付け攪拌しながらメチルエチルケトンを水と共沸させて留出した。留出状況に応じて油浴を昇温し、最終的に120℃とした。留出液の質量を測りながら700.3gに達した時点で加熱を止め、水浴で室温まで冷却した。ここでアンモニアを添加しないでフラスコ内の液状成分を600メッシュ(あやたたみ織り)のフィルターで濾過を行い、ポリエステル樹脂水分散体「S−4」を得た。この分散体を分析したところ固形分濃度は29.6質量%、粘度は8.0mPa・s、メチルエチルケトンの含有率は0.1質量%、pHは6.4、体積平均粒径は290nmであった。その後この水性分散体を室温で放置したところ約24時間後に固化し流動性がなくなった。
比較例1
3リットルの3口丸底フラスコにポリエステル樹脂「P−4」200g、メチルエチルケトン467gを採り、60℃の湯浴に浸漬して攪拌機を用いて透明な液になるまで溶解した。加熱攪拌を持続しながらトリエチルアミン35gを加えた後、蒸留水653gを系の均一化に注意しながら少しずつ加えて転相乳化した。次にこれを85℃の油浴に移し、冷却管を取り付け攪拌しながらメチルエチルケトンを水と共沸させて留出した。留出状況に応じて油浴を昇温し、最終的に120℃とした。留出液の質量を測りながら680.3gに達した時点で加熱を止め、水浴で室温まで冷却したところ固化した。
比較例2
ポリエステル樹脂「P−5」を用い、トリエチルアミンに代えて28%のアンモニア水を15gとし、最終段階で加える28%のアンモニア水を0.9gとした以外は実施例1と同様の操作を行って、ポリエステル樹脂水分散体「S−5」を得た。
比較例3
3リットルの3口丸底フラスコにポリエステル樹脂「P−6」200g、メチルエチルケトン467gを採り、60℃の湯浴に浸漬して攪拌機を用いて透明な液になるまで溶解した。加熱攪拌を持続しながらトリエチルアミン35gを加えた後、蒸留水653gを系の均一化に注意しながら少しずつ加えて転相乳化した。次にこれを85℃の油浴に移し、冷却管を取り付け攪拌しながらメチルエチルケトンを水と共沸させて留出した。留出が進むにつれて樹脂が凝集し均一な分散体は得られなかった。
比較例4
3リットルの3口丸底フラスコにポリエステル樹脂「P−1」200g、メチルエチルケトン467gを採り、60℃の湯浴に浸漬して攪拌機を用いて透明な液になるまで溶解した。加熱攪拌を持続しながらトリエチルアミン27gを加えた後、蒸留水653gを系の均一化に注意しながら少しずつ加えて転相乳化した。これを脱溶剤しないで放置したところ、水分散体は固化し流動性がなくなった。
実施例1〜3および比較例1〜5の評価結果をまとめて表3に示す。
表3から明らかなように、実施例1〜4においては、適度な固形分を含有する水分散体が得られた。各水分散体から、耐ブロッキング性と耐水性に優れた塗膜が得られた。実施例1、4においては、さらにアセトンに対する耐性も有していた。また、実施例1と実施例4との対比でわかるように、pHを調整することにより長期にわたる安定性が発現した。
これに対して、各比較例では次のような問題があった。
比較例1は、ポリエステル樹脂の融点が本発明で規定する上限を超えていた場合であるが、製造時に固化し、水分散体が得られなかった。
比較例2は、ポリエステル樹脂の融解熱量が本発明で規定する下限に満たず、また、降温結晶化温度も本発明で規定する下限に満たなかったため、安定な水分散体は得られたものの、タック消滅時間が長く、耐ブロッキング性に劣るものであった。
比較例3は、ポリエステル樹脂の酸価が本発明で規定する下限に満たなかったため、水分散体が得られなかった。
比較例4は、ポリエステル樹脂の特性は本発明で規定する範囲内にあったが、製造時に脱溶剤工程を省略したところ、固化し、水分散体が得られなかった。

Claims (7)

  1. 融点50〜110℃かつ結晶融解熱量60J/g以上かつ降温結晶化温度30℃以上で酸価20〜40mgKOH/gのポリエステル樹脂と塩基性化合物を含有するポリエステル樹脂水分散体であって、前記ポリエステル樹脂を構成する主成分が、「ドデカン二酸およびエチレングリコール」、「セバシン酸および1,4−ブタンジオール」、または「セバシン酸、コハク酸および1,4−ブタンジオール」のいずれかの組み合わせからなり、かつポリエステル樹脂を構成する酸成分として脂肪族多塩基酸を60モル%以上含有することを特徴とする、ポリエステル樹脂水分散体。
  2. pHが6.6以上である請求項1記載のポリエステル樹脂水分散体。
  3. ポリエステル樹脂の主成分が、ドデカン二酸とエチレングリコールである請求項1または2に記載のポリエステル樹脂水分散体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂水分散体を用いたバインダー。
  5. ポリエステル樹脂を両親媒性有機溶剤の溶液とする工程(工程1)、前記溶液と塩基性化合物および水とを混合して乳化液とする工程(工程2)、前記乳化液から有機溶剤を留去する工程(工程3)、とを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
  6. 工程1〜工程2を40℃〜(両親媒性有機溶剤の沸点)の温度範囲でおこなうことを特徴とする請求項5記載のポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
  7. 工程3の後、塩基性化合物を添加して水分散体のpHを6.6以上に調整する工程を含むことを特徴とする請求項5または6に記載のポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
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