JP5415251B2 - ポリエステル樹脂水性分散体、およびその製造方法、ならびにそれから得られる樹脂被膜 - Google Patents
ポリエステル樹脂水性分散体、およびその製造方法、ならびにそれから得られる樹脂被膜 Download PDFInfo
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(2)ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分として、トリシクロデカンジメタノールを70〜95モル%含有することを特徴とする(1)のポリエステル樹脂水性分散体。
(3)(1)または(2)のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法であって、ポリエステル樹脂、塩基性化合物、水性媒体を混合させることを特徴とするポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
(4)水性媒体中に有機溶剤を含有することを特徴とする(3)のポリエステル樹脂水
性分散体の製造方法。
(5)有機溶剤が、20℃における水への溶解度が5g/L以上であり、かつ沸点が150℃以下であることを特徴とする(4)のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
(6)塩基性化合物の沸点が、150℃以下であることを特徴とする(3)〜(5)のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
(7)70℃以上の温度条件で混合することを特徴とする(3)〜(6)のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
(8)(1)または(2)のポリエステル樹脂水性分散体から得られるポリエステル樹脂被膜。
さらに、ポリアルコールとしては、2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのようなビスフェノール類(ビスフェノールA)のエチレンオキシド付加体やビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンのようなビスフェノール類(ビスフェノールS)のエチレンオキシド付加体等も使用することができる。
なお、測定方法は下記の通りである。
(1)ポリエステル樹脂の構成
1H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)より求めた。また、1H−NMRスペクトル上に帰属・定量可能なピークが認められない構成モノマーを含む樹脂については、封管中230℃で3時間メタノール分解をおこなった後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析をおこなった。
ポリエステル樹脂0.5gを精秤し、50mlの水/1,4−ジオキサン=1/9(体積比)に溶解して、クレゾールレッドを指示薬として0.1モル/Lの水酸化カリウムメタノール溶液で滴定をおこない、中和に消費されたKOHのmg数を、ポリエステル樹脂のg数で割った値を酸価とした。
ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7、検出範囲:−50℃〜200℃)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定をおこない、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値を求め、これをガラス転移温度(Tg)とした。
GPC分析(島津製作所製、送液ユニットLC−10ADvp型および紫外―可視分光光度計SPD−6AV型、検出波長:254nm、溶剤:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)より求めた。
水性分散体を約1g秤量(Xgとする)し、これを150℃で2時間乾燥した後の残存物(固形分)の質量を秤量し(Ygとする)、次式により固形分濃度を求めた。
固形分濃度(質量%)=(Y/X)×100
pHメーター(堀場製作所製F−21)を用いて、pH7及びpH9の標準緩衝液(ナカライテスク製)により校正した後、測定温度25℃で水性分散体のpHを測定した。
水性分散体を、水で0.1質量%に希釈し、日機装製 MICROTRAC UPA(モデル9340−UPA)を用いて測定した。
50mlのガラス製サンプル瓶に、水性分散体30mlを入れて、25℃で6か月間保存した後の外観変化を目視にて観察し、保存安定性を評価した。
○:外観に変化がなく、沈殿や堆積物が現れていない。
×:底部に多量の堆積物(沈殿含む)がある、または、外観に変化が見られる。
水性分散体を、二軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、厚さ38μm)のコロナ処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、150℃に設定された熱風乾燥機中で1分間乾燥させることにより膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した。樹脂被膜を目視にて観察し、クラック、白化等が見られない樹脂被膜を形成しているか否かにより以下のように分類し、造膜性を評価した。なお、被膜の膜厚は、厚み計(ユニオンツール社製、MICROFINE)を用いて、フィルムの厚みを予め測定しておき、水性分散体を用いてフィルム上に樹脂被膜を形成した後、この樹脂被膜を有する基材の厚みを同様の方法で測定し、その差を樹脂被膜の膜厚とした。
○:クラック、白化が見られない
×:クラック、および/または、白化が見られる
前記(9)と同様に樹脂被膜を形成した。次いで、JIS Z1522に規定された粘着テープ(幅18mm)を、端部を残して樹脂被膜に貼りつけ、その上から消しゴムでこすって十分に接着させた後に、粘着テープの端部をフィルムに対して直角としてから瞬間的に引き剥がした。この引き剥がした粘着テープ面を表面赤外分光装置(パーキンエルマー社製SYSTEM2000、Ge60°50×20×2mmプリズムを使用)で分析することにより、粘着テープ面に樹脂被膜が付着しているか否かにより以下のように分類し、密着性を評価した。
○:粘着テープ面に樹脂被膜に由来するピークが認められない。
×:粘着テープ面に樹脂被膜に由来するピークが認められる。
前記(9)と同様にして、PETフィルム上に膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した後、50mm×50mmの試験片に切り出し、90℃の熱水に全体を浸漬させた状態で、5分間または10分間熱水処理をおこなった。熱水処理後、試験片を取り出し、冷水に浸漬させて1分間冷却した後、水滴を拭き取り、樹脂被膜の外観を目視にて観察し、白化しているか否かにより以下のように分類し、耐水性を評価した。○または△を実用的に問題のない範囲とする。
○:10分間熱水処理を行ったが、外観変化が全く認められない。
△:10分間熱水処理では白化が認められ、5分間熱水処理では白化が認められない。
×:5分間熱水処理でも白化が認められる。
前記(9)と同様に樹脂被膜を形成した。次いで、この樹脂被膜を有機溶剤を含浸させた綿棒で擦り、1往復を1回として樹脂被膜が溶解し、基材面が露出するまでの回数を調べた。なお、有機溶剤としては、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン(MEK)を使用した。
なお、50回擦っても基材面が露出しない時は、「>50」と記載した。
また、耐溶剤性は10回以上であれば実用上問題ないと判定した。
前記(9)と同様にして、PETフィルム上に膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した後、被膜形成面に別のPETフィルムを重ねた状態で500Paの荷重をかけ、75℃の雰囲気下で24時間放置後、20℃まで冷却した後、2枚のPETフィルムを手で剥がし、容易に剥がすことができるか否かにより下記のように分類し、耐ブロッキング性を評価した。○または△を実用的に問題のない範囲とする。
○:容易に剥がすことができ、全く融着跡が認められない。
△:少し剥離音はするが、はがす際に抵抗はなく、融着跡もほとんど認められない。
×:剥がす際にかなりの抵抗があり、融着跡が認められる。
はじめに、水性分散体を、SUS304(0.5mm厚)表面に、前記の卓上型コーティング装置を用いてコーティングした後、150℃に設定された熱風乾燥機中で1分間乾燥させることにより膜厚が3μmの樹脂被膜を形成した。次に、試験板を幅30mm、長さ100mmの大きさに切り出し、320℃に設定されたオーブン中で、試験板の表面が250℃になるまで加熱し、ただちに、それぞれの被膜面どうしを、接着面積が30mm×30mmになるようにロールラミネーターを用いて圧着した。JIS Z1541の6.3.3に準拠し、72時間、標準状態に放置した後、80℃の熱風循環式恒温装置内に10分間放置して、同温中で500g、または1kgのおもりを掛け、3日間または
7日間経過後の落下の有無により、耐熱保持力を評価した。○または△を実用的に問題のない範囲とする。
○:1kgのおもりを用いた評価で、7日間経過後も、落下しない。
△:1kgのおもりでは、7日間経過後、おもりが落下したが、500kgのおもりでは、7日間経過後も、おもりが落下しない。
×:500gのおもりであっても、3日間経過で、おもりが落下する。
酸成分として、テレフタル酸(TPA)1661g、アルコール成分として、3,8−トリシクロデカンジメタノールを(TCD)1471g、エチレングリコール(EG)701g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/TCD/EG=100/75/113(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸94gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−1を得た。
酸成分として、TPAを1661g、アルコール成分として、TCDを1569g、EGを621g、ネオペンチルグリコール(NPG)を125gオートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/TCD/EG/NPG=100/80/100/12(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸75gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−2を得た。
酸成分として、TPAを1661g、アルコール成分として、TCDを1903g、EGを621g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/TCD/EG=100/97/100(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸67gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−3を得た。
酸成分として、TPAを1329g、イソフタル酸(IPA)を332g、アルコール成分として、TCDを1471g、EGを701g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/IPA/TCD/EG=80/20/75/113(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸94gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−4を得た。
酸成分として、TPAを1412g、アジピン酸(ADA)を219g、アルコール成分として、TCDを1765g、EGを621g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/ADA/TCD/EG=82/18/90/100(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに3時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸104gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−5を得た。
酸成分として、TPAを1661g、アルコール成分として、TCDを1177g、EGを701g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/TCD/EG=100/60/113(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸94gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−6を得た。
酸成分として、TPAを1163g、ADAを438g、アルコール成分として、TCDを1765g、EGを621g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/ADA/TCD/EG=70/30/90/100(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに3時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸104gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−7を得た。
酸成分として、TPAを1412g、ADAを219g、アルコール成分として、TCDを1412g、EGを621g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/ADA/TCD/EG=82/18/72/100(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに3時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸94gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−8を得た。
酸成分として、TPAを1661g、アルコール成分として、TCDを1471g、EGを701g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/TCD/EG=100/75/113(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに1時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸3.8gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−9を得た。
酸成分として、TPAを1661g、アルコール成分として、TCDを1471g、EGを701g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/TCD/EG=100/75/113(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸154gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−10を得た。
酸成分として、TPAを1562g、IPAを100g、アルコール成分として、TCDを1471g、EGを701g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/IPA/TCD/EG=94/6/75/113(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、解重合剤としてIPAを66gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−11を得た。
酸成分として、テレフタル酸(TPA)1661g、アルコール成分として、3,8−トリシクロデカンジメタノールを(TCD)1471g、エチレングリコール(EG)701g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/TCD/EG=100/75/113(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸179gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−12を得た。
ジャケット付きの、密閉が可能なガラス容器(内容量2L)に、ポリエステル樹脂P−1を300g、イソプロピルアルコール(20℃における水への溶解度5g/L以上、沸点82℃)を220g、トリエチルアミン(沸点90℃)を13.4g、蒸留水を467gそれぞれガラス容器内に仕込み、以下のような分散工程を行なった。攪拌翼の回転速度を75rpmに保って攪拌しながら、ジャケット内に熱水を通して加熱した。つづいて、系内温度を72〜75℃に保ってさらに1時間分散をおこなった。その後、ジャケット内に冷水を通し、回転速度を30rpmに下げて攪拌しつつ、25℃まで冷却した。
以上の分散工程を行った後、得られた水性分散体を、1000メッシュのステンレス製フィルターで濾過し、ポリエステル樹脂水性分散体E−1を990g得た。濾過では残渣はほとんど無かった。
次いで、得られたE−1を、二軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、厚さ38μm)のコロナ処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、150℃に設定された熱風乾燥機中で1分間乾燥させることにより、PETフィルム上に膜厚が1μmのポリエステル樹脂被膜T−1を得た。
ポリエステル樹脂P−2を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを10.9g、蒸留水を469g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−2を990g得た。濾過では残渣はほとんど無かった。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−2を得た。
ポリエステル樹脂P−3を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを16.1g、蒸留水を464g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−3を990g得た。濾過では残渣はほとんど無かった。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−3を得た。
ポリエステル樹脂P−4を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを12.8g、蒸留水を467g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−4を990g得た。濾過では残渣はほとんど無かった。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−4を得た。
ポリエステル樹脂P−5を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを13.7g、蒸留水を466g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−5を990g得た。濾過では残渣はほとんど無かった。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−5を得た。
実施例1と同様の操作をおこなって、分散工程までをおこなった後、2Lフラスコに得られた水性分散体を900g仕込み、蒸留水407gを添加して、常圧下で蒸留をおこなうことで水性媒体を脱溶剤した。脱溶剤工程は留去量が約407gになったところで終了し、25℃まで冷却した。脱溶剤した水性分散体を、1000メッシュのステンレス製フィルターで濾過し、ポリエステル樹脂水性分散体E−6を900g得た。濾過では残渣はほとんど無かった。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−6を得た。
系内温度を42〜45℃に変更した以外は実施例1と同様の操作をおこなって、分散工程をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−7を得た。水性分散体を、1000メッシュのステンレス製フィルターで濾過したところ、220gの残渣が残り、ポリエステル樹脂水性分散体E−7を770g得た。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−7を得た。
ポリエステル樹脂P−8を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチル
アミンを14.0g、蒸留水を466g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこ
なって、ポリエステル樹脂水性分散体E−10を990g得た。濾過では残渣はほとんど
無かった。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル
樹脂被膜T−8を得た。
イソプロピルアルコールの代わりに、1−ヘキサノール(20℃における水への溶解度
0.58g/L以上、沸点157℃)を220g仕込む以外は実施例1と同様の操作をお
こなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−9を990g得た。濾過では残渣はほとんど
無かった。また、また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエ
ステル樹脂被膜T−9を得た。
トリエチルアミンの代わりに、ジブチルアミン(沸点160℃)を17.1g仕込み、
蒸留水を463gに変更する以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹
脂水性分散体E−13を990g得た。濾過では残渣はほとんど無かった。また、実施例
1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−10を得た
。
ポリエステル樹脂P−11を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチ
ルアミンを13.4g、蒸留水を467g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をお
こなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−11を990g得た。濾過では残渣はほとん
ど無かった。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステ
ル樹脂被膜T−11を得た。
ポリエステル樹脂P−6を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを14.1g、蒸留水を466g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−12を990g得た。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−12を得た。
ポリエステル樹脂P−7を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを13.4g、蒸留水を467g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−13を990g得た。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−13を得た。
ポリエステル樹脂P−9を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを1.0g、蒸留水を479g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、分散工程をおこなったが、ポリエステル樹脂が水性媒体中に分散せずに、均一なポリエステル樹脂水性分散体を得ることができなかった。
ポリエステル樹脂P−10を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを22.9g、蒸留水を457g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−15を990g得た。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−15を得た。
ポリエステル樹脂P−12を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを22.9g、蒸留水を457g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−16を990g得た。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−16を得た。
ポリエステル樹脂P−12を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを22.9g、蒸留水を457g仕込み、ホモミキサーを用いて回転速度を7000rpmにて混合を行ったのち、回転速度を4000rpmに下げて攪拌を行う以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−17を990g得た。しかしながら、得られたE−17中のポリエステル樹脂微粒子の粒子径が、1000nmであり、E−17の保存安定性が悪く、沈殿を生じたため、ポリエステル樹脂被膜の作製は行わなかった。
得られた樹脂被膜T−8の耐熱保持力は、やや低かったが、実用的には問題のない範囲で
あった。
、かつ沸点が150℃以下の範囲から外れた有機溶剤を用いたため、得られた樹脂被膜T
−9に、有機溶剤が残存して、耐ブロッキング性がやや悪くなり、耐水性がやや劣ったが
、実用的には問題はなかった。
め、得られた樹脂被膜T−10に、塩基性化合物が残存して、耐水性がやや劣ったが、実
用的には問題はなかった。
Claims (8)
- ポリエステル樹脂を水性媒体に分散してなるポリエステル樹脂水性分散体であって、ポリエステル樹脂を構成する全酸成分中芳香族ジカルボン酸を80モル%以上含有し、かつポリエステル樹脂を構成する全アルコール成分中トリシクロデカンジメタノールを70モル%以上含有し、ポリエステル樹脂の酸価が2〜40mgKOH/g、数平均分子量が5000〜20000、ガラス転移温度が90℃以上であることを特徴とするポリエステル樹脂水性分散体。
- ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分として、トリシクロデカンジメタノールを
70〜95モル%含有することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂水性分散
体。 - 請求項1または2記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法であって、ポリエステル樹脂、塩基性化合物、水性媒体を混合させることを特徴とするポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
- 水性媒体中に有機溶剤を含有することを特徴とする請求項3記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
- 有機溶剤が、20℃における水への溶解度が5g/L以上であり、かつ沸点が150℃
以下であることを特徴とする請求項4記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。 - 塩基性化合物の沸点が、150℃以下であることを特徴とする請求項3〜5いずれか記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
- 70℃以上の温度条件で混合することを特徴とする請求項3〜6いずれか記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
- 請求項1または2記載のポリエステル樹脂水性分散体から得られるポリエステル樹脂被膜。
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