JP5415251B2 - ポリエステル樹脂水性分散体、およびその製造方法、ならびにそれから得られる樹脂被膜 - Google Patents

ポリエステル樹脂水性分散体、およびその製造方法、ならびにそれから得られる樹脂被膜 Download PDF

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Description

本発明は、各種基材へ塗布されて被膜性能に優れる樹脂被膜を形成することができるポリエステル樹脂水性分散体、およびその製造方法、ならびにそれから得られる樹脂被膜に関するものである。
従来、ポリエステル樹脂は被膜形成用樹脂として用いられている。特に、被膜の加工性、有機溶剤に対する耐性(耐溶剤性)、耐候性に優れ、同時にPET、PBT、塩化ビニル、各種金属等の成形品やフィルムなど、さまざまな基材への密着性にも優れていることから、こうした基材に対する塗料、インキ、接着剤、コーティング剤等に用いる樹脂として、有機溶剤に溶解したものが非常に多く使用されている。
また、近年、環境保護、消防法による危険物規制、職場環境の改善等の理由で、有機溶剤の使用が抑制される傾向にあるため、前記用途に使用できるポリエステル樹脂を、水性媒体に微分散させた、ポリエステル樹脂水性分散体が求められるようになり、その開発が盛んにおこなわれている。
たとえば、ポリエステル樹脂のカルボキシル基を塩基性化合物で中和することにより水性媒体中に分散させたポリエステル樹脂水性分散体が提案されており、かかる水性分散体を用いると加工性、耐溶剤性、密着性等の性能に優れた被膜を形成できることが開示されている。(特許文献1〜3)
しかしながら、前記の特許文献1〜3に記載されたポリエステル樹脂水性分散体においては、耐熱性、特に高温雰囲気下等、より過酷な条件下における耐熱性、耐水性が十分ではないという問題があった。
特開2002−173582号公報 国際公開第2004/037924号パンフレット 特開2007−031509号公報
本発明は、各種基材への密着性、透明性、耐水性、耐溶剤性および耐熱性等の性能に優れた樹脂被膜を形成できる、保存安定性の優れたポリエステル樹脂水性分散体と、およびその製造方法、ならびにそれから得られる樹脂被膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、特定の酸成分と、アルコール成分を配合し、得られるポリエステル樹脂の酸価を制御することで、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)ポリエステル樹脂を水性媒体に分散してなるポリエステル樹脂水性分散体であって、ポリエステル樹脂を構成する全酸成分中芳香族ジカルボン酸を80モル%以上含有し、かつポリエステル樹脂を構成する全アルコール成分中トリシクロデカンジメタノールを70モル%以上含有し、ポリエステル樹脂の酸価が2〜40mgKOH/g、数平均分子量が5000〜20000、ガラス転移温度が90℃以上であることを特徴とするポリエステル樹脂水性分散体。
(2)ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分として、トリシクロデカンジメタノールを70〜95モル%含有することを特徴とする(1)のポリエステル樹脂水性分散体
(3)(1)または(2)のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法であって、ポリエステル樹脂、塩基性化合物、水性媒体を混合させることを特徴とするポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
(4)水性媒体中に有機溶剤を含有することを特徴とする(3)のポリエステル樹脂水
性分散体の製造方法。
(5)有機溶剤が、20℃における水への溶解度が5g/L以上であり、かつ沸点が150℃以下であることを特徴とする(4)のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
(6)塩基性化合物の沸点が、150℃以下であることを特徴とする(3)〜(5)のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
(7)70℃以上の温度条件で混合することを特徴とする(3)〜(6)のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
(8)(1)または(2)のポリエステル樹脂水性分散体から得られるポリエステル樹脂被膜。
本発明によれば、各種基材への密着性、透明性、耐水性、耐溶剤性および耐熱性等の性能に優れた樹脂被膜を形成できる、保存安定性の優れたポリエステル樹脂水性分散体と、およびその製造方法を提供することができる。また、ポリエステル樹脂を水性媒体に分散するため、有機溶剤の使用を抑制することができ、総じて環境保護、職場環境の改善、操業性の改善の立場からも優れた素材であり、産業上の利用価値は極めて高い。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明のポリエステル樹脂水性分散体は、ポリエステル樹脂を水性媒体に分散し得られたものである。
はじめに、本発明におけるポリエステル樹脂の構成成分について説明する。
ポリエステル樹脂は、その全酸成分中に芳香族ジカルボン酸を80モル%以上含有する必要があり、好ましくは90モル%以上、最も好ましくは100モル%含有する。芳香族ジカルボン酸は、本発明のポリエステル樹脂水性分散体より得られる樹脂被膜の、耐熱性や耐水性を向上させる。芳香族ジカルボン酸の含有量が80モル%未満である場合は、得られる樹脂被膜の耐熱性が劣る。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−tert−ブチルイソフタル酸、ジフェン酸等が挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸は、単独で用いることもできるし、2種類以上で併用することもできる。
芳香族ジカルボン酸としては、工業的に多量に生産されており、安価であること等から、テレフタル酸とイソフタル酸がより好ましく、ポリエステル樹脂の耐熱性をより向上することができることから、テレフタル酸が特に好ましい。
本発明の目的を達成できる限りにおいて、芳香族ジカルボン酸として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のカルボキシル基や水酸基以外の親水基を有する酸成分も使用することができるが、この場合、得られるポリエステル樹脂の被膜は耐水性が悪化するため、用いないことが好ましい。
ポリエステル樹脂の酸成分として、芳香族ジカルボン酸の他に用いることのできる成分は、飽和脂肪族ジカルボン酸、不飽和脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のカルボン酸等、末端に2個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸が挙げられる。飽和脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸などが挙げられ、不飽和脂肪族ジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等が挙げられ、脂環式ジカルボン酸としては、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物等が挙げられる。また、3官能以上のカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等も使用することができる。
ポリエステル樹脂は、その全アルコール成分中にトリシクロデカンジメタノールを70モル%以上含有する必要があり、好ましくは70〜95モル%、より好ましくは75〜90モル%含有する。トリシクロデカンジメタノールは本発明のポリエステル樹脂水性分散体より得られる樹脂被膜の、耐熱性や被膜強度等を向上させる。トリシクロデカンジメタノールの含有量が70モル%未満である場合は、得られる樹脂被膜の耐熱性が低下したり、樹脂被膜の耐溶剤性、耐ブロッキング性が低下する。重合度を高め、高分子量のポリエステル樹脂を効率よく得るためには、トリシクロデカンジメタノールの含有量が70〜95モル%の範囲で用いることが好ましい。
本発明で用いるトリシクロデカンジメタノールとは、ジヒドロキシメチル−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカンを示すものである。この化合物には、例えば、ヒドロキシメチル置換基が3,8位、または3,9位、または4,8位の各異性体が存在するが、本発明においては、それぞれを単独で用いることもできるし、2種類以上で併用することもできる。
ポリエステル樹脂のアルコール成分として、トリシクロデカンジメタノールの他に用いることのできる成分は、脂肪族グリコール、脂環族グリコール、エーテル結合含有グリコール、3官能以上のアルコール等、末端に2個以上のヒドロキシル基を有するポリアルコール等を用いることができる。脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールなどが挙げられ、脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。また、3官能以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
さらに、ポリアルコールとしては、2,2−ビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのようなビスフェノール類(ビスフェノールA)のエチレンオキシド付加体やビス[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンのようなビスフェノール類(ビスフェノールS)のエチレンオキシド付加体等も使用することができる。
トリシクロデカンジメタノール以外のアルコール成分としては、工業的に量産されているので安価であり、しかもポリエステル樹脂の重合性や水性媒体への分散性が向上する等、優れた性能を有することから、エチレングリコールとネオペンチルグリコールが特に好ましく、これらを単独、または併用して使用することが好ましい。
ポリエステル樹脂の構成成分には、モノカルボン酸、モノアルコール、ヒドロキシカルボン酸が共重合されていてもよく、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール、ε−カプロラクトン、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸のエチレンオキシド付加体などが挙げられる。また、3官能以上のポリオキシカルボン酸が共重合されていてもよく、たとえば、リンゴ酸、グリセリン酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
ポリエステル樹脂の酸価は2〜40mgKOH/gであることが必要である。酸価が40mgKOH/gを超える場合は、得られるポリエステル樹脂の分子量が低いものとなる傾向があり、樹脂被膜の加工性等の特性が不足する傾向にある。酸価が2mgKOH/g未満では、ポリエステル樹脂を後述する水性媒体に分散させることが非常に困難となり実用的でない。ポリエステル樹脂の酸価は、8〜40mgKOH/gであることが好ましく、10〜35mgKOH/gであることがより好ましい。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は90℃以上である必要がある。ガラス転移温度が90℃未満である場合は、得られる樹脂被膜の耐熱性が劣る傾向にある。
ポリエステル樹脂の数平均分子量は、5000〜20000である必要がある。ポリエステル樹脂の数平均分子量が5000未満である場合は、得られる樹脂被膜の造膜性等が不足するため好ましくない。ポリエステル樹脂の数平均分子量が20000を超える場合は、得られるポリエステル樹脂に対し酸価を付与することが難しくなるため、好ましくない。
次に、ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
ポリエステル樹脂を製造する方法としては、たとえば、前記酸成分とアルコール成分を、公知の方法により、縮重合させることにより製造することができる。全モノマー成分および/またはその低重合体を不活性雰囲気下で180〜260℃、2.5〜10時間反応させてエステル化反応をおこない、引き続いて縮重合触媒の存在下、130Pa以下の減圧下に220〜280℃の温度で、所望の分子量に達するまで縮重合反応を進めて、ポリエステル樹脂を得る方法などを挙げることができる。
ポリエステルの縮重合触媒は特に限定されず、酢酸亜鉛や三酸化アンチモン等の公知の化合物を用いることができる。
ポリエステル樹脂に所望の酸価を付与する方法として、前記の縮重合反応に引き続き、酸成分をさらに添加し、不活性雰囲気下、解重合反応をおこなう方法などを挙げることができる。
また、ポリエステル樹脂に所望の酸価を付与する方法として、前記の縮重合反応に引き続き、無水物の酸成分をさらに添加し、不活性雰囲気下、ポリエステル樹脂のヒドロキシル基と付加反応させる方法を用いることもできるが、付加反応の場合は、製造途中の溶融粘度が非常に高くなり、ポリエステル樹脂を払い出せなくなることがあるので、注意が必要である。
解重合反応、および/または、付加反応で用いる酸成分としては、前記した3官能以上のカルボン酸が好ましい。3官能以上のカルボン酸を使用することにより、特に、解重合によるポリエステル樹脂の分子量低下を抑制しながら、所望の酸価を付与することができる。その中でも、芳香族のカルボン酸成分であるトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸が特に好ましい。用いる酸成分の添加量は特に限定されないが、本発明におけるポリエステル樹脂の、酸価と、数平均分子量をバランスよく与えやすい点から、前記の縮重合反応により得られるポリエステル樹脂100質量部に対して、酸成分を1.0〜5.0質量部添加することが好ましく、2.0〜4.0質量部であることが特に好ましい。
次に、ポリエステル樹脂水性分散体について説明する。
ポリエステル樹脂水性分散体とは、前記のポリエステル樹脂を、水性媒体中に分散してなる液状物である。水性媒体とは、水を含む液体からなる媒体であり、有機溶剤や塩基性化合物を含んでいてもよい。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体に含有される、ポリエステル樹脂の含有率は、5〜50質量%が好ましく、15〜40質量%であることがより好ましい。ポリエステル樹脂の含有率が50質量%を超えると、分散していたポリエステル樹脂が凝集しやすくなり、安定性が乏しくなる傾向にある。ポリエステル樹脂の含有率が5質量%未満では、樹脂被膜の膜厚を十分に得るために、ポリエステル樹脂水性分散体の塗布量を増やす必要があり、均一な塗布が難しくなるため好ましくない。
ポリエステル樹脂水性分散体のpHは、特に限定されないが、6以上であることが好ましい。pHが6未満になると、分散していた樹脂が凝集しやすくなる。
水性分散体中のポリエステル樹脂微粒子の粒子径は、特に限定されないが、保存安定性を良好に保つ点から、体積平均粒子径は500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが特に好ましい。
水については特に制限されず、蒸留水、イオン交換水、市水、工業用水などが挙げられるが、蒸留水やイオン交換水を使用することが好ましい。
次に、ポリエステル樹脂水性分散体の製造方法について説明する。
本発明におけるポリエステル樹脂水性分散体は、前記のポリエステル樹脂、塩基性化合物および水性媒体を混合することにより分散させる工程(分散工程)を経て製造される。例えば、ポリエステル樹脂と塩基性化合物を、水性媒体中に一括で仕込み、混合、加熱、攪拌する方法が挙げられる。塩基性化合物を用いない場合には、ポリエステル樹脂が水性媒体中に分散することが困難となる。また、水性化を容易にするためにさらに有機溶剤を用いてポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解させた後、塩基性化合物とともに水性媒体に分散させる方法も用いることができる。ただし、後述する脱溶剤工程により、有機溶剤および/または塩基性化合物の一部または全部を留去することができる。
前記ポリエステル樹脂水性分散体の製造方法以外にも、例えば、ポリエステル樹脂としてスルホン酸基を有するものを用いたり、分散剤として界面活性剤を用いることで、塩基性化合物を用いずに、水性分散体を製造することは可能であるが、これらの水性分散体から得られる樹脂被膜は、耐水性に劣る傾向にあり、好ましくない。
分散工程における温度条件は、特に限定されないが、70℃以上にすることが好ましい。70℃未満で製造すると、未分散物が多くなり、ポリエステル樹脂水性分散体の収量が低下してしまうため注意が必要である。また、温度が150℃を超えるような高温になると、そのために多大なエネルギーを消費することになるため、150℃以下であることが好ましい。
分散工程にて用いることのできる有機溶剤としては、たとえば、ケトン系有機溶剤、芳香族系炭化水素系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、含ハロゲン系有機溶剤、アルコール系有機溶剤、エステル系有機溶剤、グリコール系有機溶剤等、公知のものが挙げられる。ケトン系有機溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられ、芳香族炭化水素系有機溶剤としては、トルエン、キシレン、ベンゼンなど、エーテル系有機溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。含ハロゲン系有機溶剤としては、四塩化炭素、トリクロロメタン、ジククロロメタンなど、アルコール系有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノールなど、エステル系有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチルなど、グリコール系有機溶剤としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。また、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコールなどの有機溶剤も使用することができる。なお、使用する有機溶剤は、単独、あるいは、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記有機溶剤としては、20℃における水への溶解度が5g/L以上のものが好ましく、10g/L以上のものがさらに好ましい。また、沸点は150℃以下であることが好ましい。沸点が150℃を超える場合、樹脂被膜から乾燥によって有機溶剤を十分に揮散させることが容易ではなくなるため好ましくない。特に、前記溶解性が5g/L以上でかつ沸点150℃以下のものが好ましく、このような条件を満たす具体的な有機溶剤としては、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテルが例示される。
塩基性化合物としては、カルボキシル基を中和することができるものであれば特に限定されず、例えば、金属水酸化物や、アンモニア、有機アミン等が挙げられる。金属水酸化物の具体例としては、LiOH、KOH、NaOH等が挙げられる。有機アミンの具体例としては、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。
前記塩基性化合物は、樹脂被膜から乾燥によって容易に揮散させやすいという理由から、沸点が150℃以下のものであることが好ましい。沸点が150℃を超える場合、樹脂被膜から乾燥によって塩基性化合物を十分に揮散させることが容易ではなくなるため好ましくない。このような条件を満たす具体的な塩基性化合物としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンが例示される。
本発明におけるポリエステル樹脂水性分散体の製造方法では、有機溶剤や塩基性化合物の留去(脱溶剤)をおこなってもよい。脱溶剤工程は、分散工程の後に水性媒体を蒸留する方法によりおこなうことができる。蒸留は、常圧、減圧下いずれでおこなってもよい。
本発明におけるポリエステル樹脂水性分散体には、必要に応じて硬化剤、各種添加剤、保護コロイド作用を有する化合物、水、有機溶剤、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック等の顔料、染料、他の水性ポリエステル樹脂、水性ウレタン樹脂、水性オレフィン樹脂、水性アクリル樹脂等の水性樹脂等を配合して使用することができる。
次に、ポリエステル樹脂被膜について説明する。
樹脂被膜の形成方法としては、特に限定されるものではなく、たとえばディッピング法、はけ塗り法、スプレーコート法、カーテンフローコート法などが挙げられ、これらの方法により各種基材表面に均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥および焼き付けのための加熱処理に供することにより、均一な樹脂被膜を各種基材表面に密着させて形成することができる。このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや、赤外線ヒータなどを使用すればよい。また、加熱温度や加熱時間としては、被コーティング物である、基材の種類などにより適宜選択されるものであるが、経済性を考慮した場合、加熱温度としては、通常60〜250℃であり、70〜230℃が好ましく、80〜200℃が最も好ましい。加熱時間としては、通常1秒〜30分間であり、5秒〜20分が好ましく、10秒〜10分が最も好ましい。
樹脂被膜の厚さは、その目的や用途によって適宜選択されるものであるが、通常0.01〜40μmであり、0.1〜30μmが好ましく、0.5〜20μmが最も好ましい。
本発明のポリエステル樹脂水性分散体は、被膜形成能に非常に優れているので、インキ用バインダーや塗料用バインダー、PETやPVCのフィルムのコーティング用プライマーなどの用途に好適に使用することができる。例えば、ボイル処理をおこなう包装フィルム、レトルト処理をおこなう包装フィルム、ヒートシール用の包装フィルム、浴室など高温多湿空間用の加飾フィルムに用いるプライマー層として非常に有用である。
以下、実施例によって、本発明を具体的に説明する。
なお、測定方法は下記の通りである。
1.測定方法
(1)ポリエステル樹脂の構成
H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)より求めた。また、H−NMRスペクトル上に帰属・定量可能なピークが認められない構成モノマーを含む樹脂については、封管中230℃で3時間メタノール分解をおこなった後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析をおこなった。
(2)ポリエステル樹脂の酸価
ポリエステル樹脂0.5gを精秤し、50mlの水/1,4−ジオキサン=1/9(体積比)に溶解して、クレゾールレッドを指示薬として0.1モル/Lの水酸化カリウムメタノール溶液で滴定をおこない、中和に消費されたKOHのmg数を、ポリエステル樹脂のg数で割った値を酸価とした。
(3)ポリエステル樹脂のガラス転移温度
ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7、検出範囲:−50℃〜200℃)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定をおこない、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値を求め、これをガラス転移温度(Tg)とした。
(4)ポリエステル樹脂の数平均分子量
GPC分析(島津製作所製、送液ユニットLC−10ADvp型および紫外―可視分光光度計SPD−6AV型、検出波長:254nm、溶剤:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)より求めた。
(5)ポリエステル樹脂水性分散体の固形分濃度:
水性分散体を約1g秤量(Xgとする)し、これを150℃で2時間乾燥した後の残存物(固形分)の質量を秤量し(Ygとする)、次式により固形分濃度を求めた。
固形分濃度(質量%)=(Y/X)×100
(6)水性分散体のpH
pHメーター(堀場製作所製F−21)を用いて、pH7及びpH9の標準緩衝液(ナカライテスク製)により校正した後、測定温度25℃で水性分散体のpHを測定した。
(7)ポリエステル樹脂水性分散体の体積平均粒径:
水性分散体を、水で0.1質量%に希釈し、日機装製 MICROTRAC UPA(モデル9340−UPA)を用いて測定した。
(8)ポリエステル樹脂水性分散体の保存安定性:
50mlのガラス製サンプル瓶に、水性分散体30mlを入れて、25℃で6か月間保存した後の外観変化を目視にて観察し、保存安定性を評価した。
○:外観に変化がなく、沈殿や堆積物が現れていない。
×:底部に多量の堆積物(沈殿含む)がある、または、外観に変化が見られる。
(9)樹脂被膜の造膜性
水性分散体を、二軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、厚さ38μm)のコロナ処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、150℃に設定された熱風乾燥機中で1分間乾燥させることにより膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した。樹脂被膜を目視にて観察し、クラック、白化等が見られない樹脂被膜を形成しているか否かにより以下のように分類し、造膜性を評価した。なお、被膜の膜厚は、厚み計(ユニオンツール社製、MICROFINE)を用いて、フィルムの厚みを予め測定しておき、水性分散体を用いてフィルム上に樹脂被膜を形成した後、この樹脂被膜を有する基材の厚みを同様の方法で測定し、その差を樹脂被膜の膜厚とした。
○:クラック、白化が見られない
×:クラック、および/または、白化が見られる
(10)樹脂被膜の密着性
前記(9)と同様に樹脂被膜を形成した。次いで、JIS Z1522に規定された粘着テープ(幅18mm)を、端部を残して樹脂被膜に貼りつけ、その上から消しゴムでこすって十分に接着させた後に、粘着テープの端部をフィルムに対して直角としてから瞬間的に引き剥がした。この引き剥がした粘着テープ面を表面赤外分光装置(パーキンエルマー社製SYSTEM2000、Ge60°50×20×2mmプリズムを使用)で分析することにより、粘着テープ面に樹脂被膜が付着しているか否かにより以下のように分類し、密着性を評価した。
○:粘着テープ面に樹脂被膜に由来するピークが認められない。
×:粘着テープ面に樹脂被膜に由来するピークが認められる。
(11) 樹脂被膜の耐水性
前記(9)と同様にして、PETフィルム上に膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した後、50mm×50mmの試験片に切り出し、90℃の熱水に全体を浸漬させた状態で、5分間または10分間熱水処理をおこなった。熱水処理後、試験片を取り出し、冷水に浸漬させて1分間冷却した後、水滴を拭き取り、樹脂被膜の外観を目視にて観察し、白化しているか否かにより以下のように分類し、耐水性を評価した。○または△を実用的に問題のない範囲とする。
○:10分間熱水処理を行ったが、外観変化が全く認められない。
△:10分間熱水処理では白化が認められ、5分間熱水処理では白化が認められない。
×:5分間熱水処理でも白化が認められる。
(12)樹脂被膜の耐溶剤性
前記(9)と同様に樹脂被膜を形成した。次いで、この樹脂被膜を有機溶剤を含浸させた綿棒で擦り、1往復を1回として樹脂被膜が溶解し、基材面が露出するまでの回数を調べた。なお、有機溶剤としては、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン(MEK)を使用した。
なお、50回擦っても基材面が露出しない時は、「>50」と記載した。
また、耐溶剤性は10回以上であれば実用上問題ないと判定した。
(13)樹脂被膜の耐ブロッキング性
前記(9)と同様にして、PETフィルム上に膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した後、被膜形成面に別のPETフィルムを重ねた状態で500Paの荷重をかけ、75℃の雰囲気下で24時間放置後、20℃まで冷却した後、2枚のPETフィルムを手で剥がし、容易に剥がすことができるか否かにより下記のように分類し、耐ブロッキング性を評価した。○または△を実用的に問題のない範囲とする。
○:容易に剥がすことができ、全く融着跡が認められない。
△:少し剥離音はするが、はがす際に抵抗はなく、融着跡もほとんど認められない。
×:剥がす際にかなりの抵抗があり、融着跡が認められる。
(14) 樹脂被膜の耐熱保持力
はじめに、水性分散体を、SUS304(0.5mm厚)表面に、前記の卓上型コーティング装置を用いてコーティングした後、150℃に設定された熱風乾燥機中で1分間乾燥させることにより膜厚が3μmの樹脂被膜を形成した。次に、試験板を幅30mm、長さ100mmの大きさに切り出し、320℃に設定されたオーブン中で、試験板の表面が250℃になるまで加熱し、ただちに、それぞれの被膜面どうしを、接着面積が30mm×30mmになるようにロールラミネーターを用いて圧着した。JIS Z1541の6.3.3に準拠し、72時間、標準状態に放置した後、80℃の熱風循環式恒温装置内に10分間放置して、同温中で500g、または1kgのおもりを掛け、3日間または
7日間経過後の落下の有無により、耐熱保持力を評価した。○または△を実用的に問題のない範囲とする。
○:1kgのおもりを用いた評価で、7日間経過後も、落下しない。
△:1kgのおもりでは、7日間経過後、おもりが落下したが、500kgのおもりでは、7日間経過後も、おもりが落下しない。
×:500gのおもりであっても、3日間経過で、おもりが落下する。
実施例および比較例で用いたポリエステル樹脂は、以下のようにして得た。
[ポリエステル樹脂の製造例]
[ポリエステル樹脂P−1]
酸成分として、テレフタル酸(TPA)1661g、アルコール成分として、3,8−トリシクロデカンジメタノールを(TCD)1471g、エチレングリコール(EG)701g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/TCD/EG=100/75/113(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸94gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−1を得た。
[ポリエステル樹脂P−2]
酸成分として、TPAを1661g、アルコール成分として、TCDを1569g、EGを621g、ネオペンチルグリコール(NPG)を125gオートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/TCD/EG/NPG=100/80/100/12(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸75gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−2を得た。
[ポリエステル樹脂P−3]
酸成分として、TPAを1661g、アルコール成分として、TCDを1903g、EGを621g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/TCD/EG=100/97/100(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸67gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−3を得た。
[ポリエステル樹脂P−4]
酸成分として、TPAを1329g、イソフタル酸(IPA)を332g、アルコール成分として、TCDを1471g、EGを701g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/IPA/TCD/EG=80/20/75/113(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸94gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−4を得た。
[ポリエステル樹脂P−5]
酸成分として、TPAを1412g、アジピン酸(ADA)を219g、アルコール成分として、TCDを1765g、EGを621g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/ADA/TCD/EG=82/18/90/100(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに3時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸104gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−5を得た。
[ポリエステル樹脂P−6]
酸成分として、TPAを1661g、アルコール成分として、TCDを1177g、EGを701g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/TCD/EG=100/60/113(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸94gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−6を得た。
[ポリエステル樹脂P−7]
酸成分として、TPAを1163g、ADAを438g、アルコール成分として、TCDを1765g、EGを621g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/ADA/TCD/EG=70/30/90/100(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに3時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸104gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−7を得た。
[ポリエステル樹脂P−8]
酸成分として、TPAを1412g、ADAを219g、アルコール成分として、TCDを1412g、EGを621g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/ADA/TCD/EG=82/18/72/100(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに3時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸94gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−8を得た。
[ポリエステル樹脂P−9]
酸成分として、TPAを1661g、アルコール成分として、TCDを1471g、EGを701g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/TCD/EG=100/75/113(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに1時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸3.8gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−9を得た。
[ポリエステル樹脂P−10]
酸成分として、TPAを1661g、アルコール成分として、TCDを1471g、EGを701g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/TCD/EG=100/75/113(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸154gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−10を得た。
[ポリエステル樹脂P−11]
酸成分として、TPAを1562g、IPAを100g、アルコール成分として、TCDを1471g、EGを701g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/IPA/TCD/EG=94/6/75/113(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、解重合剤としてIPAを66gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−11を得た。
[ポリエステル樹脂P−12]
酸成分として、テレフタル酸(TPA)1661g、アルコール成分として、3,8−トリシクロデカンジメタノールを(TCD)1471g、エチレングリコール(EG)701g、オートクレーブ中に仕込んで、270℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。仕込み原料比率はTPA/TCD/EG=100/75/113(モル比)であった。ついで、触媒として三酸化アンチモン0.3g、燐酸トリエチル0.2g、テトラ−n−ブチルチタネート1.4gを添加した後、系の温度を270℃に保ち、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間縮重合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、無水トリメリット酸179gを添加し、270℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂P−12を得た。
ポリエステル樹脂P−1〜P−12の構成、および特性を分析した結果を表1に示す。
[ポリエステル樹脂水性分散体、およびポリエステル樹脂被膜の製造例]
[実施例1]
ジャケット付きの、密閉が可能なガラス容器(内容量2L)に、ポリエステル樹脂P−1を300g、イソプロピルアルコール(20℃における水への溶解度5g/L以上、沸点82℃)を220g、トリエチルアミン(沸点90℃)を13.4g、蒸留水を467gそれぞれガラス容器内に仕込み、以下のような分散工程を行なった。攪拌翼の回転速度を75rpmに保って攪拌しながら、ジャケット内に熱水を通して加熱した。つづいて、系内温度を72〜75℃に保ってさらに1時間分散をおこなった。その後、ジャケット内に冷水を通し、回転速度を30rpmに下げて攪拌しつつ、25℃まで冷却した。
以上の分散工程を行った後、得られた水性分散体を、1000メッシュのステンレス製フィルターで濾過し、ポリエステル樹脂水性分散体E−1を990g得た。濾過では残渣はほとんど無かった。
次いで、得られたE−1を、二軸延伸PETフィルム(ユニチカ社製、厚さ38μm)のコロナ処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機社製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、150℃に設定された熱風乾燥機中で1分間乾燥させることにより、PETフィルム上に膜厚が1μmのポリエステル樹脂被膜T−1を得た。
[実施例2]
ポリエステル樹脂P−2を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを10.9g、蒸留水を469g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−2を990g得た。濾過では残渣はほとんど無かった。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−2を得た。
[実施例3]
ポリエステル樹脂P−3を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを16.1g、蒸留水を464g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−3を990g得た。濾過では残渣はほとんど無かった。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−3を得た。
[実施例4]
ポリエステル樹脂P−4を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを12.8g、蒸留水を467g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−4を990g得た。濾過では残渣はほとんど無かった。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−4を得た。
[実施例5]
ポリエステル樹脂P−5を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを13.7g、蒸留水を466g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−5を990g得た。濾過では残渣はほとんど無かった。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−5を得た。
[実施例6]
実施例1と同様の操作をおこなって、分散工程までをおこなった後、2Lフラスコに得られた水性分散体を900g仕込み、蒸留水407gを添加して、常圧下で蒸留をおこなうことで水性媒体を脱溶剤した。脱溶剤工程は留去量が約407gになったところで終了し、25℃まで冷却した。脱溶剤した水性分散体を、1000メッシュのステンレス製フィルターで濾過し、ポリエステル樹脂水性分散体E−6を900g得た。濾過では残渣はほとんど無かった。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−6を得た。
[実施例7]
系内温度を42〜45℃に変更した以外は実施例1と同様の操作をおこなって、分散工程をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−7を得た。水性分散体を、1000メッシュのステンレス製フィルターで濾過したところ、220gの残渣が残り、ポリエステル樹脂水性分散体E−7を770g得た。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−7を得た。
参考
ポリエステル樹脂P−8を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチル
アミンを14.0g、蒸留水を466g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこ
なって、ポリエステル樹脂水性分散体E−10を990g得た。濾過では残渣はほとんど
無かった。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル
樹脂被膜T−8を得た。
[実施例
イソプロピルアルコールの代わりに、1−ヘキサノール(20℃における水への溶解度
0.58g/L以上、沸点157℃)を220g仕込む以外は実施例1と同様の操作をお
こなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−9を990g得た。濾過では残渣はほとんど
無かった。また、また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエ
ステル樹脂被膜T−9を得た。
参考
トリエチルアミンの代わりに、ジブチルアミン(沸点160℃)を17.1g仕込み、
蒸留水を463gに変更する以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹
脂水性分散体E−13を990g得た。濾過では残渣はほとんど無かった。また、実施例
1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−10を得た

[実施例
ポリエステル樹脂P−11を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチ
ルアミンを13.4g、蒸留水を467g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をお
こなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−11を990g得た。濾過では残渣はほとん
ど無かった。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステ
ル樹脂被膜T−11を得た。
[比較例1]
ポリエステル樹脂P−6を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを14.1g、蒸留水を466g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−12を990g得た。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−12を得た。
[比較例2]
ポリエステル樹脂P−7を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを13.4g、蒸留水を467g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−13を990g得た。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−13を得た。
[比較例3]
ポリエステル樹脂P−9を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを1.0g、蒸留水を479g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、分散工程をおこなったが、ポリエステル樹脂が水性媒体中に分散せずに、均一なポリエステル樹脂水性分散体を得ることができなかった。
[比較例4]
ポリエステル樹脂P−10を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを22.9g、蒸留水を457g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−15を990g得た。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−15を得た。
[比較例5]
ポリエステル樹脂P−12を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを22.9g、蒸留水を457g仕込み、それ以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−16を990g得た。また、実施例1と同様の操作をおこなって、PETフィルム上にポリエステル樹脂被膜T−16を得た。
[比較例6]
ポリエステル樹脂P−12を300g、イソプロピルアルコールを220g、トリエチルアミンを22.9g、蒸留水を457g仕込み、ホモミキサーを用いて回転速度を7000rpmにて混合を行ったのち、回転速度を4000rpmに下げて攪拌を行う以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリエステル樹脂水性分散体E−17を990g得た。しかしながら、得られたE−17中のポリエステル樹脂微粒子の粒子径が、1000nmであり、E−17の保存安定性が悪く、沈殿を生じたため、ポリエステル樹脂被膜の作製は行わなかった。
実施例1〜9、参考例1、2、比較例1〜6で得られたポリエステル樹脂水性分散体の特性、およびポリエステル樹脂被膜の評価結果を、表2と表3に示す。
以上の実施例1〜11は、有機溶剤の使用を抑制しているため、環境保護、職場環境の改善等の観点から非常に優れたものであり、また、その樹脂被膜は、各種基材への密着性、透明性、耐水性、耐溶剤性および耐熱性等の性能に優れていた。また、実施例6は、実施例1の工程に対してさらに脱溶剤工程を設けて、ポリエステル樹脂水性分散体を得たものであるが、その樹脂被膜は、他の実施例同様に、各種基材への密着性、透明性、耐水性、耐溶剤性および耐熱性等の性能に優れていた。
実施例7は、分散工程での系内の温度条件が70℃未満であったために、分散が不十分となり、未分散物がやや多くなったが、得られた樹脂被膜T−7の評価は満足できるものであった。
参考は、ポリエステル樹脂P−8のガラス転移温度が、90℃未満であったので、
得られた樹脂被膜T−8の耐熱保持力は、やや低かったが、実用的には問題のない範囲で
あった。
実施例は、水性分散体の製造に、20℃における水への溶解性が5g/L以上であり
、かつ沸点が150℃以下の範囲から外れた有機溶剤を用いたため、得られた樹脂被膜T
−9に、有機溶剤が残存して、耐ブロッキング性がやや悪くなり、耐水性がやや劣ったが
、実用的には問題はなかった。
参考は、水性分散体の製造に、沸点が150℃を超えた塩基性化合物を用いたた
め、得られた樹脂被膜T−10に、塩基性化合物が残存して、耐水性がやや劣ったが、実
用的には問題はなかった。
一方、各比較例については次のような問題があった。
比較例1は、ポリエステル樹脂を構成しているアルコール成分として、トリシクロデカンジメタノールが、70モル%未満であったために、得られた樹脂被膜の耐溶剤性、耐ブロッキング性、および耐熱性に劣る。
比較例2は、ポリエステル樹脂を構成している酸成分として、芳香族ジカルボン酸成分が、80モル%未満であったために、得られた樹脂被膜の耐ブロッキング性、および耐熱性に劣るものとなった。
比較例3は、ポリエステル樹脂の酸価が2mgKOH/g未満であったため、ポリエステル樹脂を水性媒体に分散させることが非常に困難となり、水性分散体、および樹脂被膜を得ることができなかった。
比較例4は、ポリエステル樹脂の酸価が40mgKOH/gを超えたため、得られた樹脂被膜の造膜性が悪いものとなった。
比較例5は、ポリエステル樹脂の酸価が40mgKOH/gを大きく超えたため、得られた樹脂被膜の造膜性、密着性、耐水性が悪いものとなった。

Claims (8)

  1. ポリエステル樹脂を水性媒体に分散してなるポリエステル樹脂水性分散体であって、ポリエステル樹脂を構成する全酸成分中芳香族ジカルボン酸を80モル%以上含有し、かつポリエステル樹脂を構成する全アルコール成分中トリシクロデカンジメタノールを70モル%以上含有し、ポリエステル樹脂の酸価が2〜40mgKOH/g、数平均分子量が5000〜20000、ガラス転移温度が90℃以上であることを特徴とするポリエステル樹脂水性分散体。
  2. ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分として、トリシクロデカンジメタノールを
    70〜95モル%含有することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂水性分散
    体。
  3. 請求項1または2記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法であって、ポリエステル樹脂、塩基性化合物、水性媒体を混合させることを特徴とするポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
  4. 水性媒体中に有機溶剤を含有することを特徴とする請求項3記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
  5. 有機溶剤が、20℃における水への溶解度が5g/L以上であり、かつ沸点が150℃
    以下であることを特徴とする請求項4記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
  6. 塩基性化合物の沸点が、150℃以下であることを特徴とする請求項3〜5いずれか記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
  7. 70℃以上の温度条件で混合することを特徴とする請求項3〜6いずれか記載のポリエステル樹脂水性分散体の製造方法。
  8. 請求項1または2記載のポリエステル樹脂水性分散体から得られるポリエステル樹脂被膜。
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