JP2003327801A - 紫外線吸収性水性分散体および透明紫外線吸収フィルム - Google Patents

紫外線吸収性水性分散体および透明紫外線吸収フィルム

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JP2003327801A
JP2003327801A JP2002138279A JP2002138279A JP2003327801A JP 2003327801 A JP2003327801 A JP 2003327801A JP 2002138279 A JP2002138279 A JP 2002138279A JP 2002138279 A JP2002138279 A JP 2002138279A JP 2003327801 A JP2003327801 A JP 2003327801A
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ultraviolet
absorbing
polyester resin
aqueous dispersion
film
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JP2002138279A
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English (en)
Inventor
Akifumi Yamada
昌文 山田
Masashi Okamoto
昌司 岡本
Hayami Onishi
早美 大西
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性が高く、基材との密着性に優れた被膜
を得ることができる紫外線吸収性水性分散体および透明
紫外線吸収フィルムを提供する。 【解決手段】 水性媒体中にポリエステル樹脂と紫外線
吸収性骨格を側鎖に有するポリマーとが分散され、ポリ
エステル樹脂100質量部に対して紫外線吸収性骨格を
側鎖に有するポリマーを30〜200質量部含むことを
特徴とする紫外線吸収性水性分散体およびこの紫外線吸
収性水性分散体を用いた透明紫外線吸収フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線吸収性水性
分散体及び透明紫外線吸収フィルムに関するものであ
り、更に詳しくは、容易に、透明性が高く、基材との密
着性に優れた被膜を得ることができ、塗れ性、液安定性
に優れた紫外線吸収性水性分散体および透明紫外線吸収
フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】紫外線吸収能を付与するためのコーティ
ング剤として、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン
系、シアノアクリレート系、サリシレート系の有機系低
分子紫外線吸収剤を含有するコーティング剤が知られて
いるが、有機系低分子紫外線吸収剤にはコート層中で、
コート面に向かって拡散する性質があり、その結果ブリ
ードアウトが起こってコート層中の紫外線吸収剤の濃度
が減少することにより、フィルムの紫外線吸収性能が低
下したり、ブリードアウトした紫外線吸収剤がコート層
と接触する材料を汚染するという問題があった。
【0003】そこで、紫外線吸収剤のブリードアウトを
抑制するために、ポリマー型の紫外線吸収剤が開発され
ている。
【0004】ポリマー型の紫外線吸収剤としては、ベン
ゾフェノン系やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収性骨
格を側鎖に有するアクリル共重合体が開発されている
が、このようなポリマー型紫外線吸収剤は、特に樹脂の
ガラス転移点が高いものは塗れ性に乏しいので、単体で
塗布した際に塗れ斑ができ、紫外線吸収剤としての性能
を充分に発揮できないという問題がある。また、ポリエ
チレンテレフタレートなどのポリエステル系基材との密
着性に劣るため架橋剤などを添加する必要があり、それ
を硬化させるために乾燥時間が長くなるという問題があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、透
明性が高く、基材との密着性に優れた被膜を容易に得る
ことができ、塗れ性、液安定性に優れた紫外線吸収性水
性分散体およびその水性分散体を塗工してなる透明紫外
線吸収フィルムを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討の結果、ポリエステル樹脂の
水性分散体と紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリマー
の水性分散体を混合することにより、塗れ性および液安
定性に優れた紫外線吸収性水性分散体が得られることを
見出した。さらに、その水性分散体から形成された被膜
は、紫外線遮蔽能を有し、透明性が高く、基材との密着
性に優れていることを見出し、それらに基づいて本発明
に到達した。
【0007】すなわち、本発明の第一は、水性媒体中に
ポリエステル樹脂と紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポ
リマーとが分散され、ポリエステル樹脂100質量部に
対して紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリマーを30
〜200質量部含むことを特徴とする紫外線吸収性水性
分散体を要旨とするものであり、好ましくは、ポリエス
テル樹脂が、該樹脂を構成する多塩基成分のうち50モ
ル%以上が芳香族多塩基酸であり、かつ該樹脂を構成す
る多価アルコール成分のうち35モル%以上がネオペン
チルグリコールであるポリエステル樹脂であり、また好
ましくは紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリマーが、
ベンゾトリアゾール系骨格および/またはベンゾフェノ
ン系骨格を側鎖に有するポリマーであり、また好ましく
は紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリマーが、アクリ
ル系共重合体からなることを特徴とするものである。
【0008】本発明の第二は、ポリエステル樹脂100
質量部に対して紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリマ
ーを30〜200質量部含む紫外線吸収層が少なくとも
一層、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に形
成されていることを特徴とする透明紫外線吸収フィルム
を要旨とするものであり、好ましくは波長365nmの
紫外線吸光度が0.8以上であり、かつ、ヘイズが10
%以下であることを特徴とするものであり、また好まし
くは熱可塑性樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレ
ートであるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における紫外線吸収性水性分散体は、ポリエステ
ル樹脂100質量部に対して、紫外線吸収性骨格を側鎖
に有するポリマーを30〜200質量部含有するもので
あり、好ましくはポリエステル樹脂100質量部に対し
て紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリマーが50〜1
50質量部、より好ましくは50〜100質量部混合さ
れたものである。紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリ
マーの割合が30質量部未満ではこの紫外線吸収性水性
分散体を塗布して得られる被膜の紫外線吸収能が不十分
になることがあり、一方、紫外線吸収性骨格を側鎖に有す
るポリマーの割合が200質量部を超えると、被膜と基
材との密着性が低下することがあり、特に、ガラス転移
点の高い紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリマーを用
いた場合には塗れ性が悪くなることがある。
【0010】本発明においてポリエステル樹脂と紫外線
吸収性骨格を側鎖に有するポリマーとを分散させる媒体
としては、水性媒体が用いられる。この水性媒体として
は水を主成分とするものが用いられ、好ましくは60〜
100質量%が水である水性媒体が用いられる。この水
性媒体を構成する水以外の成分としては、水と均一に混
合できれば特に制限はないが、メタノール、エタノー
ル、イソパノールなどのアルコール類や、エチレングリ
コールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエ
チルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリ
コール誘導体類、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトンなどのケトン類が用いられ、なかで
もイソパノールが揮発性や取り扱い性の点で好ましい。
【0011】本発明で用いられるポリエステル樹脂とし
ては、好ましくは多塩基酸成分の50モル%以上、より
好ましくは65モル%以上が芳香族多塩基酸から構成さ
れるものが用いられる。芳香族多塩基酸成分が50モル
%未満では、形成される被膜の耐熱水性、耐アルカリ性
および被膜の硬度が低下する傾向があり、また、得られ
る紫外線吸収性水性分散体の貯蔵安定性が低下する恐れ
があり好ましくない。
【0012】また、上記ポリエステル樹脂は、好ましく
は多価アルコール成分の35モル%以上、より好ましく
は50モル%以上がネオペンチルグリコールから構成さ
れるものが用いられる。ネオペンチルグリコールを35
モル%以上とすることにより、特に耐候性や加工性など
が向上する。ネオペンチルグリコールが35モル%未満
では、形成されるポリエステル樹脂被膜の耐候性が低下
することがあり好ましくない。
【0013】上記ポリエステル樹脂において多塩基酸成
分の50モル%以上を構成する芳香族多塩基酸として
は、芳香族ジカルボン酸が挙げられる。使用し得る芳香
族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル
酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェ
ニルジカルボン酸などが挙げられ、必要に応じて形成さ
れる被膜の耐熱水性を損なわない範囲での少量の5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタ
ル酸を用いることができる。
【0014】上記芳香族多塩基酸以外の50モル%未満
で任意成分として用いられる多塩基酸成分としては、脂
肪族多塩基酸または脂環族多塩基酸が挙げられる。脂肪
族多塩基酸としては脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、そ
の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、無水コハク
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
二酸、水添ダイマー酸などの飽和ジカルボン酸、および
フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、
無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダ
イマー酸などの不飽和ジカルボン酸などが挙げられる。
より優れた塗れ性を得るためには、炭素数が6以上の飽
和ジカルボン酸が多塩基酸成分の5モル%以上を占める
ことが好ましい。
【0015】また、脂環族多塩基酸としては、脂環族ジ
カルボン酸が挙げられ、その具体例としては、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサン
ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、
2,5−ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、
テトラヒドロフタル酸およびその無水物などが挙げられ
る。
【0016】上記多価アルコール成分のうち、35モル
%以上のネオペンチルグリコールとともに65モル%未
満で任意成分として用いられる多価アルコール成分とし
ては、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜
12の脂環族グリコール、エーテル結合含有グリコール
などが挙げられる。
【0017】炭素数2〜10の脂肪族グリコールとして
は、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エ
チル−2−ブチルプロパンジオールなどが挙げられる。
【0018】また、炭素数6〜12の脂環族グリコール
としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、さらにはビスフェノー
ル類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイド
またはプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加
して得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4−
ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどが挙げられ
る。
【0019】さらに、エーテル結合含有グリコール、例
えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコールなども必要により
使用することができる。ただし、これらのエーテル結合
含有グリコールは、エーテル構造を有し、それがポリエ
ステル樹脂から形成される被膜の耐水性、耐熱性を低下
させることから、その使用量は全多価アルコール成分の
10質量%以下、好ましくは5質量%以下とすることが
望ましい。
【0020】さらに、本発明における上記ポリエステル
樹脂において、必要な物性を発現させるために3官能以
上の多塩基酸または多価アルコールを共重合することが
できる。3官能以上の多塩基酸としては、トリメリット
酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン
酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレ
ングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリ
セロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,
2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などが挙げられ
る。
【0021】また、3官能以上の多価アルコールとして
は、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
ただし、3官能以上の多塩基酸及び多価アルコールを共
重合する場合には、全酸成分及び全アルコール成分に対
しそれぞれ0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜
5モル%にとどめることが望ましい。0.01モル%未
満では3官能以上の多塩基酸及び多価アルコールを入れ
たことによるポリエステル樹脂の物性変化はほとんど無
く、一方、10モル%を超えると被膜が硬くなりすぎて
加工性が低下する傾向がある。
【0022】また、上記ポリエステル樹脂における上記
多塩基酸成分以外の酸成分として、必要に応じて、ラウ
リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの脂肪族やそ
のエステル形成性誘導体、安息香酸、p−tert−ブ
チル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェ
ニルステアリン酸などの高沸点のモノカルボン酸を使用
してもよい。また、上記多価アルコール成分以外のアル
コール成分として、必要に応じて、ステアリルアルコー
ル、2-フェノキシエタノールなどの高沸点のモノアルコ
ールを使用してもよい。
【0023】本発明における上記ポリエステル樹脂の酸
価は、10〜40mgKOH/gが好ましく、10〜3
5mgKOH/gがより好ましい。酸価が40mgKO
H/gを超えると、被膜の耐熱水性や耐アルカリ性が低
下し、また被膜が硬くなりすぎる傾向がある。一方、酸
価が10mgKOH/g未満では、ポリエステル樹脂の
水分散化が困難になるおそれがある。
【0024】上記のようなポリエステル樹脂は市販のも
のを使用することができ、例えば、ユニチカ株式会社製
共重合ポリエステル樹脂「エリーテル」、東洋紡績株式
会社製共重合ポリエステル樹脂「バイロン」などが挙げ
られる。
【0025】本発明においては上記ポリエステル樹脂
は、水分散性が付与された微粒子としてポリエステル樹
脂の水性分散体の形態で使用される。本発明の紫外線吸
収性水性分散体での上記ポリエステル樹脂は、数平均粒
子径が0.001〜0.1μmの微粒子として存在して
いる。ここで、ポリエステル樹脂微粒子の数平均粒子径
は、微粒子状物質の粒子径を測定するために一般的に使
用されている動的光散乱法によって測定された値であ
る。
【0026】次に本発明で用いられるポリエステル樹脂
の水性分散体製造方法について説明する。ポリエステル
樹脂の水性分散体を製造する方法としては、例えば、塩
基性化合物を添加した水及び有機溶剤中にポリエステル
樹脂の粉末もしくは粒状物を40℃以下の室温付近の温
度で混合、撹拌した(分散工程)後、撹拌しながら所定
温度まで加熱し(加熱工程)、ポリエステル樹脂のガラ
ス転移温度以上であって90℃以下の温度で撹拌してポ
リエステル樹脂を微粒子化し(水性化工程)、冷却する
(冷却工程)ことによって製造する方法(特開平09−
296100号公報参照)が好ましい。
【0027】この方法によると、数平均粒子径が0.0
01〜0.1μmのポリエステル樹脂の微粒子が溶媒中
に安定した状態で分散した水性分散体を容易に得ること
ができる。
【0028】上記4工程中、ポリエステル樹脂は分散工
程が終了するまでにその全量を系に添加することが必要
である。また、塩基性化合物および有機溶剤は、分散工
程〜水性化工程の任意の工程で添加すればよい。
【0029】ポリエステル樹脂の水性分散体を製造する
工程において添加される塩基性化合物は、ポリエステル
樹脂のカルボキシル基を中和するものであり、具体的に
は、被膜形成時の乾燥工程などで揮散しやすいアンモニ
アもしくは沸点200℃以下の有機アミンが好ましい。
【0030】有機アミンの具体例としては、トリエチル
アミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−
ジメチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモ
ルホリン、N−エチルモルホリンなどが挙げられる。
【0031】ポリエステル樹脂を分散するための水又は
有機溶剤への塩基性化合物の添加量としては、ポリエス
テル樹脂中のカルボキシル基に対して、0.2〜1.5
倍当量が好ましく、さらには、0.4〜1.3倍当量が
より好ましい。
【0032】0.2倍当量未満では中和が不完全で分散
安定性が良好な水性分散体が得られない場合があり、
1.5倍当量を超えると水性分散体が著しく増粘する場
合がある。
【0033】ポリエステル樹脂の水性分散体を製造する
工程において、水に混合される有機溶剤としては、ポリ
エステル樹脂の水性化能力およびポリエステル樹脂に対
して可塑化能力を有するものが用いられる。具体的に
は、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノ
ール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、
イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、t
ert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノ
ール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノー
ル、シクロヘキサノールなどのアルコール類、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケ
トン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類、
テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、酢
酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢
酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチ
ル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、
プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチルなど
のエステル類、エチレングリコール、エチレングリコー
ルモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチル
エーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、
エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリ
コールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコー
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチル
エーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコー
ルモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエ
ーテルアセテートなどのグリコール誘導体、さらには3
−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタ
ノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸
エチルなどが挙げられ、これらのうち1種類を用いて
も、2種類以上を混合してもよい。
【0034】有機溶剤の沸点としては、被膜形成時の乾
燥工程などで揮散しやすい沸点200℃以下もしくは水
と共沸可能であるものが好ましい。また、ポリエステル
樹脂の水性分散体中における有機溶剤の含有量を、水性
分散体中の全溶媒中の25質量%以下とすることによ
り、このポリエステル樹脂の水性分散体と紫外線吸収性
骨格を側鎖に有するポリマーの水性分散体とを混合して
得られる水性分散体は、粘性および貯蔵安定性に優れた
ものとなり、かつ塗膜形成能に優れたものとなる。
【0035】上記ポリエステル樹脂の水性分散体中にお
けるポリエステル樹脂の濃度は特に限定されないが、適
度の粘性を保ちつつ、良好な貯蔵安定性を示すためには
10〜50質量%が好ましい。
【0036】本発明における水性分散体の成分であるポ
リエステル樹脂の水性分散体は、貯蔵安定性に優れてお
り、また、紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリマーと
の相溶性にも優れているため、ポリエステル樹脂、紫外
線吸収性骨格を側鎖に有するポリマーの優れた特性を発
揮することができる。
【0037】次に、本発明の紫外線吸収性水性分散体に
おける紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリマーについ
て説明する。本発明の紫外線吸収性水性分散体において
使用される紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリマー
は、好ましくはアクリル系共重合体を主成分とする。本
発明におけるアクリル系共重合体としては、紫外線吸収
剤として作用する骨格を側鎖に有するアクリル系モノマ
ーの重合体、紫外線吸収剤として作用する骨格を側鎖に
有するアクリル系モノマーとエチレン系不飽和化合物と
の共重合体などが挙げられ、エチレン系不飽和化合物と
しては、エチレン、プロピレン、イソブテンなどのオレ
フィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニ
ル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化オレフィン類、
ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサ
チック酸ビニル、ピバロイル酸ビニルなどのビニルエス
テル類、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、ア
クリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、
アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのア
クリル酸エステル類、メタクリル酸、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、
メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、
メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メ
タクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシ
ル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エス
テル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチ
ロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミ
ド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸
およびそのナトリウム塩などのアクリルアミド系単量体
類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニト
リル類、酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物、
スチレン、α-メチルスチレン、p−メチルスチレンス
ルフォン酸およびそのナトリウム、カリウム塩などのス
チレン系単量体類、N−ビニルピロリドンなどが挙げら
れる。共重合体中に含まれるエチレン系不飽和化合物は
1種類でも、2種類以上でもよい。
【0038】この紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリ
マーは、通常あらかじめ水中もしくは水を主成分とする
媒体中に分散した水性分散体の形態で使用することが好
ましい。本発明に用いられる紫外線吸収性骨格を側鎖に
有するポリマーの水性分散体中には既述のポリエステル
樹脂を水性化する際に添加される有機溶剤が含まれてい
てもよい。
【0039】上記のような紫外線吸収性骨格を側鎖に有
するポリマーに含まれる紫外線吸収骨格としては、ベン
ゾトリアゾール系骨格やベンゾフェノン系骨格が好まし
い。ベンゾトリアゾール系骨格の構造の具体例として
は、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
5’−メチルフェニル)−5−カルボン酸ブチルエステ
ルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’
−メチルフェニル)−5,6−ジクロロベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニ
ル)−5−エチルスルホンベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5
−ジクロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキ
シ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−5’−アミノフェニル)ベン
ゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’
−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’
−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−
メトキシベンゾトリアゾール、2−(2’−メチル−
4’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ステアリルオキシ−3’,5’−ジメチルフェ
ニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2’−
ヒドロキシ−5−カルボン酸フェニル)ベンゾトリアゾ
ールエチルエステル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−
メチル−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブ
チルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチル
フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メトキシフェニル)ベンゾ
トリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−シクロ
ヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−
ヒドロキシ−4’,5’−ジメチルフェニル)−5−カ
ルボン酸ベンゾトリアゾールブチルエステル、2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’,
5’−ジクロロフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)
−5−エチルスルフォンベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベン
ゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メト
キシフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−カ
ルボン酸エステルベンゾトリアゾール、2−(2’−ア
セトキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
などが挙げられる。
【0040】ベンゾフェノン系骨格の構造の具体例とし
ては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,
2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェ
ノン、2−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシベンゾフ
ェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホン
ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキ
シベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4,4’−
ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロ
ロベンゾフェノン、ビス−(2−メトキシ−4−ヒドロ
キシ−5−ベンゾイルフェニル)メタンなどが挙げられ
る。
【0041】紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリマー
に含まれる紫外線吸収骨格は、これらのうち1種類の骨
格構造を含んでいても、2種類以上の骨格構造を含んで
いてもよい。上記のような紫外線吸収性骨格を側鎖に有
するポリマーに含まれる紫外線吸収骨格を側鎖に有する
モノマーの含有率は1%以上、好ましくは30%以上、
さらに好ましくは50%以上であることが望ましい。
【0042】上記のような紫外線吸収骨格を側鎖に有す
るポリマーは市販のものを使用することができ、例え
ば、楠本化成株式会社製ポリマー型紫外線吸収剤、一方
社油脂工業株式会社製高分子紫外線吸収剤などが挙げら
れる。
【0043】本発明の紫外線吸収性水性分散体は、例え
ば、上記ポリエステル樹脂水性分散体と上記紫外線吸収
性骨格を側鎖に有するポリマーの水性分散体とを混合す
ることによって調製できる。その際に、ポリエステル樹
脂水性分散体に紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリマ
ーの水性分散体を加えて混合しても、紫外線吸収性骨格
を側鎖に有するポリマーの水性分散体にポリエステル樹
脂水性分散体を加えて混合してもよく、混合順序は任意
である。
【0044】なお、両者を混合する際、ポリエステル樹
脂水性分散体の分散安定性を維持するために、必要に応
じて、混合液のpHが8〜12になるようにpH調整を
行うことが好ましい。
【0045】ポリエステル樹脂の水性分散体と紫外線吸
収性骨格を側鎖に有するポリマーの水性分散体とを混合
する際の混合液の撹拌法としては、液/液撹拌装置とし
て広く知られている装置を使用することが可能であり、
混合液の分散性が良好であるため、極めて短時間かつ簡
単な混合操作でよい。
【0046】このようにして得られた紫外線吸収性水性
分散体には、上記ポリエステル樹脂の水性分散体に由来
する有機溶媒が含まれており、また、塗布性能を向上さ
せるために例えばイソプロパノールなどの低沸点アルコ
ールのような有機溶媒を加えることもあるが、前述のよ
うに有機溶媒の含有量は溶媒全体の40質量%以下に抑
え、60質量%以上は水であることが好ましい。
【0047】本発明の紫外線吸収性水性分散体における
固形分濃度、すなわちポリエステル樹脂と紫外線吸収性
骨格を側鎖に有するポリマーの総濃度は1〜40質量%
が好ましい。固形分濃度が1質量%未満では、基材に塗
布する際に十分な厚さの被膜を形成しにくくなる傾向が
あり、一方40質量%を超えると分散性が不十分になる
ことがある。
【0048】また、本発明の紫外線吸収性水性分散体に
は、架橋剤を混合して被膜の硬度をさらに上げることが
できる。架橋剤としては、ポリエステル樹脂が有する官
能基、例えばカルボキシル基や水酸基と反応性を有する
ものが用いられ、フェノール樹脂、アミノ樹脂、多官能
エポキシ樹脂、多官能イソシアネート化合物及びその各
種ブロックイソシアネート化合物、多官能アジリジン化
合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含
有化合物などが挙げられる。このような架橋剤は1種類
のみでも、2種類以上を併用してもよい。
【0049】さらに、本発明の紫外線吸収性水性分散体
には、その特性が損なわれない範囲で、酸化防止剤、滑
剤、着色剤などを添加することができる。
【0050】本発明の紫外線吸収性水性分散体は、塗
料、接着剤、インキ、繊維処理剤、紙塗工剤などの各種
コーティング剤として用いることができ、フィルムなど
の樹脂形成体、紙、ガラスなどの各種基材上に塗布する
ことができる。
【0051】本発明の第二の透明紫外線吸収フィルム
は、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、ポ
リエステル樹脂100質量部に対して紫外線吸収性骨格
を側鎖に有するポリマーを30〜200質量部含む紫外
線吸収層を有するものであり、このようなフィルムを得
るには、好ましくは本発明の第一の紫外線吸収性水性分
散体を熱可塑性樹脂フィルムに塗布し乾燥すればよい。
【0052】ここでの熱可塑性樹脂フィルムにおける熱
可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(以
下、PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメ
チレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹
脂よりなるフィルムまたはそれらのフィルムの積層体が
挙げられる。特に透明性の点でポリエチレンテレフタレ
ートを用いるのが良い。熱可塑性樹脂フィルムは、未延
伸フィルムでも延伸フィルムでも良く、その製法は限定
されない。熱可塑性樹脂フィルムの厚さも特に限定され
るものではないが、通常0.5〜2000μm、好まし
くは1〜1000μm、より好ましくは1〜500μm
のものが用いられる。
【0053】塗布方法としては、ディップコート法、は
け塗り法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビ
アコート法、カーテンフローコート法、各種印刷法など
様々な公知の方法を用いることができる。
【0054】また、塗布された紫外線吸収性水性分散体
の乾燥方法としては、通常、熱風循環型のオーブンや赤
外線ヒーターなどにより、60℃〜230℃で例えば2
秒間〜50秒間乾燥する方法が挙げられ、それによって
基材上に被膜が形成される。
【0055】また、被膜の厚さとしては、強度および傷
が付きにくい均一な厚さの被膜が得られる0.01〜1
00μmが好ましく、0.05〜20μmがより好まし
く、0.1〜5μmがさらに好ましい。
【0056】本発明の透明紫外線吸収フィルムは、波長
365nmにおける紫外線吸光度が0.8以上の数値を
示し、十分な紫外線吸収能を有する。そして、この被膜
は基材との密着性、耐水性に優れている。
【0057】ここで紫外線吸光度とは、自記分光光度計
(日立製作所製、U−4000型)を用いて、コートフ
ィルムの波長365nmでの紫外線吸光度測定を行った
値である。
【0058】さらに、本発明の透明紫外線吸収フィルム
は、ヘイズが10%以下と低く、非常に透明性に優れて
いる。ポリエステル樹脂の水性分散体と紫外線吸収性骨
格を側鎖に有するポリマーの水性分散体の組み合わせ
や、それらの組成比によって被膜の透明性は異なるが、
フィルムのヘイズは8%以下がより好ましく、5%以下
がさらに好ましい。
【0059】ここでヘイズとは、JIS−K7361−
1に基づいて、濁度計(日本電色工業株式会社製、ND
H2000)を用いて、コートフィルムのヘイズ測定を
行った。ただし、この評価値は、実施例で用いたヘイズ
が2.8%の同時2軸延伸PETフィルムにコートした
フィルム全体のヘイズの値である。
【0060】
【実施例】次に、実施例により具体的に説明する。以下
の実施例において紫外線吸光度及びヘイズは、上記した
方法により測定し、また他の特性は次に示す方法によっ
て測定した。 (1)被膜の厚さ 接触式膜厚計により、紫外線吸収性水性分散体を基材フ
ィルムに塗布、乾燥して被膜を形成したフィルム(以下
コートフィルムという)の全体の厚さから、基材フィル
ムの厚さを減じて求めた。
【0061】(2)密着性 基材フィルムと塗布層との密着性をクロスカット法によ
るテープ剥離により評価した。クロスカットにより、塗
布層を100区間にカットし、テープ剥離後残留した塗
布層の区間数で、以下の基準により評価した。 ○:100区間残留 △:90〜100区間残留 ×:0〜90区間残留
【0062】(3)塗れ性 基材フィルムと被膜との塗れ性を目視により次の基準に
よって評価した。 ○:塗れ斑なし ×:塗れ斑あり
【0063】(4)粒子径 ポリエステル樹脂微粒子の数平均粒子径は日機装社製の
マイクロトラック粒度分布計UPA150(Model
No.9340)を用いて、動的光散乱法によって測
定した。
【0064】実施例1 ジャケット付きの1Lガラス容器中に、150gのポリ
エステル樹脂(エリーテルWBPE−40、ユニチカ株
式会社製)、イソプロパノール90g、トリエチルアミ
ン4.6g(水分散性ポリエステル樹脂中に含まれる全
カルボキシル基量の1.2当量相当量)、および蒸留水
255gを加え、系を密閉した後、攪拌機(特殊機化工
業株式会社製、T.K.ロボミックス)を用いて攪拌翼の回
転速度を7000rpmとして攪拌したまま、ジャケッ
トに熱水を通して加熱した。系内温度を73〜75℃に
保った状態で30分間攪拌し、その後ジャケットに冷水
を通して、回転速度を5000rpmまで下げて攪拌し
つつ室温(約20℃)まで冷却し、固形分濃度が30%
の乳白色で均一なポリエステル樹脂水性分散体を得た。
数平均粒子径は0.080μmであり、その分布は1山
で、ポリエステル樹脂が水性媒体中に良好な状態で分散
していた。
【0065】得られたポリエステル樹脂水性分散体に、
ポリマー型紫外線吸収剤水分散体(SK−835W−
U、楠本化成株式会社製)を、ポリエステル樹脂固形分
100質量部に対してポリマー型紫外線吸収剤固形分が
200質量部となるように混合した後、軽く攪拌するこ
とによって、水性分散体を得た。得られた水性分散体を
同時2軸延伸PETフィルム(ユニチカ株式会社製、製
品名エンブレット、厚さ12μm)の片面にフィルムア
プリケーター(安田精機株式会社製、542-AB)を
使用してバーコーター#10で塗布後、130℃で30
秒間乾燥することにより、フィルム面に被膜を形成した
コートフィルムを得た。得られたコートフィルムの特性
評価結果を表1に示した。また、このコートフィルムの
紫外線吸収スペクトルを図1に示した。
【0066】実施例2 ポリエステル樹脂固形分100質量部に対してポリマー
型紫外線吸収剤固形分が100質量部となるようにした
以外は、実施例1と同様の方法により、水性分散体およ
びコートフィルムを得た。得られたコートフィルムの特
性評価結果を表1に示した。
【0067】実施例3 ポリエステル樹脂固形分100質量部に対してポリマー
型紫外線吸収剤固形分が50質量部となるようにした以
外は、実施例1と同様の方法により、水性分散体および
コートフィルムを得た。得られたコートフィルムの特性
評価結果を表1に示した。
【0068】比較例1 ポリマー型紫外線吸収剤を単体で用いた以外は、実施例
1と同様の方法により、コートフィルムを得た。得られ
たコートフィルムの特性評価結果を表1に示した。
【0069】比較例2 ポリエステル樹脂固形分100質量部に対してポリマー
型紫外線吸収剤固形分が20質量部となるようにした以
外は、実施例1と同様の方法により、水性分散体および
コートフィルムを得た。得られたコートフィルムの特性
評価結果を表1に示した。
【0070】比較例3 ポリエステル樹脂水性分散体の代わりに、ポリビニルア
ルコール水溶液(ユニチカケミカル株式会社製、商品名
UF040Gの10%水溶液)を使用し、ポリマー型紫
外線吸収剤固形分が100質量部となるようにした以外
は、実施例1と同様の方法により水性分散体およびコー
トフィルムを得た。得られたコートフィルムの特性評価
結果を表1に示した。
【0071】
【表1】
【0072】実施例1〜3によって得られたコートフィ
ルムの特性は、表1に示したようにいずれも透明性に優
れ、十分な紫外線吸収能を示し、密着性にも優れてい
た。また、代表的な例として実施例1で得られたコート
フィルムの紫外線吸収スペクトルを図1に示したが、コ
ートフィルムは紫外線領域だけを効率的に吸収し、可視
光線を吸収しないので無色透明であった。
【0073】これに対して、比較例1によって得られた
コートフィルムは、表1に示したように塗れ性に乏しい
ため、ヘイズが大きくなり、しかも紫外線吸収能も低
く、基材との密着性が不十分であった。また、比較例2
によって得られたコートフィルムは、水性分散体中に含
有する紫外線吸収剤の量が少ないため、表1に示したよ
うに紫外線吸収能が不十分であった。比較例3によって
得られたコートフィルムは、密着性は発現したものの、
非常にヘイズが大きくなり、しかも十分な塗膜厚みを得
られなかったこともあって、紫外線吸光度が小さく紫外
線吸収能が不十分であった。
【0074】以上の実施例から明らかなように、本発明
の紫外線吸収性水性分散体から得られるコートフィルム
は透明性が高く、基材との密着性に優れた透明紫外線吸
収コートフィルムであることが分かる。
【0075】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の紫外線吸収
性水性分散体によれば透明性が高く、塗れ性、基材との
密着性に優れた透明紫外線吸収能を有する被膜を得るこ
とができる。さらに、本発明の紫外線吸収性水性分散体
に含まれるポリエステル樹脂と紫外線吸収性骨格を側鎖
に有するポリマーは、それぞれ優れた水分散性を有する
ので、水を主成分とする水性媒体に均一に分散できる。
このため貯蔵安定性に優れ、また、有機溶媒の含有量を
少なくすることが可能であり、環境問題の解消、作業環
境の改善にも寄与することができる。また、本発明の透
明紫外線吸収フィルムによれば、上記紫外線吸収性水性
分散体の特性が反映されて透明性が高く、基材との密着
性に優れた透明紫外線吸収フィルムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた透明紫外線吸収フィルムの
紫外線吸収特性をPETフィルムと比較して示した図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA33 AA43 AA44 AA45 AA46 AA47 AF29 AH19 BA03 BB02 BC01 4F100 AK01A AK01B AK01C AK41A AK41C AK42B AL05A AL05C BA02 BA03 BA10A BA10C EH46 JD09A JD09C JL11 JN01 JN02 YY00A YY00C 4J002 BG04X BG05X BG07X CF03W CF04W CF05W CF06W CF07W CF09W FD05X GH01 GJ01 GK02 GK04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体中にポリエステル樹脂と紫外線
    吸収性骨格を側鎖に有するポリマーとが分散され、ポリ
    エステル樹脂100質量部に対して紫外線吸収性骨格を
    側鎖に有するポリマーを30〜200質量部含むことを
    特徴とする紫外線吸収性水性分散体。
  2. 【請求項2】 ポリエステル樹脂が、該樹脂を構成する
    多塩基成分のうち50モル%以上が芳香族多塩基酸であ
    り、かつ該樹脂を構成する多価アルコール成分のうち3
    5モル%以上がネオペンチルグリコールであるポリエス
    テル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の紫外
    線吸収性水性分散体。
  3. 【請求項3】 紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリマ
    ーが、ベンゾトリアゾール系骨格および/またはベンゾ
    フェノン系骨格を側鎖に有するポリマーであることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の紫外線吸収性水性分散
    体。
  4. 【請求項4】 紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリマ
    ーが、アクリル系共重合体からなることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載の紫外線吸収性水性分散
    体。
  5. 【請求項5】 ポリエステル樹脂100質量部に対して
    紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリマーを30〜20
    0質量部含む紫外線吸収層が少なくとも一層、熱可塑性
    樹脂フィルムの少なくとも一方の面に形成されているこ
    とを特徴とする透明紫外線吸収フィルム。
  6. 【請求項6】 ポリエステル樹脂が、該樹脂を構成する
    多塩基成分のうち50モル%以上が芳香族多塩基酸であ
    り、かつ該樹脂を構成する多価アルコール成分のうち3
    5モル%以上がネオペンチルグリコールであるポリエス
    テル樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の透明
    紫外線吸収フィルム。
  7. 【請求項7】 紫外線吸収性骨格を側鎖に有するポリマ
    ーが、ベンゾトリアゾール系骨格および/またはベンゾ
    フェノン系骨格を側鎖に有するポリマーであることを特
    徴とする請求項5又は6に記載の透明紫外線吸収フィル
    ム。
  8. 【請求項8】 波長365nmの紫外線吸光度が0.8
    以上であり、かつ、ヘイズが10%以下であることを特
    徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の透明紫外線吸
    収フィルム。
  9. 【請求項9】 熱可塑性樹脂フィルムが、ポリエチレン
    テレフタレートである請求項5〜8のいずれかに記載の
    透明紫外線吸収フィルム。
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