JP5123648B2 - 光学用易接着性フィルム - Google Patents
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Description
光学部材のベースフィルムには優れた透明性とともに、プリズムレンズ層、ハードコート層、粘着層、反射防止層、スパッタ層といった機能層に対する易接着性が要求される。
[ポリエステルフィルム]
本発明においてポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを例示することができる。ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートが力学的物性や光学物性等のバランスが良いので特に好ましい。
本発明において、ポリエステルフィルムはフィラーを含有しないことが透明性の点で好ましい。
ポリエステルフィルムの厚みは、光学用部材として必要な強度を得るために、好ましくは25〜300μm、特に好ましくは50〜250μmである。
本発明では、上記ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に共重合ポリエステルからなる易接着層が設けられる。易接着層はポリエステルフィルムの両面に設けてもよい。この易接着層は、塗布によって、塗布層としてポリエステルフィルムの上に設けられる。
易接着層の厚みは、好ましくは10〜200nmである。この範囲の厚みとすることで十分な接着力を備えながらも透明性を維持した光学用易接着性フィルムを得ることができる。
以下、易接着層の組成について詳細に説明する。
本発明における易接着層の共重合ポリエステルは、ジオール成分の20〜80モル%が下記式で表されるジヒドロキシ化合物、すなわち9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下、「BPF」と表記することがある)で占められ、20〜80モル%がエチレングリコールで占められる。
易接着層には、加工時の耐溶剤性能を向上させる目的で、架橋剤を配合することが好ましい。架橋剤としては、エポキシ、オキサゾリン、メラミンおよびイソシアネートが好ましい。これらは1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
易接着層は微粒子を含有することが好ましい。易接着層に含有される微粒子は、その平均粒子径が、好ましくは20〜350nm、さらに好ましくは40〜300nmである。350nmを超えると微粒子の落脱が発生しやすくなり好ましくなく、20nm未満であると十分な滑性、耐傷性が得られない場合があり好ましくない。
本発明における共重合ポリエステルは、従来からのポリエステルの製造技術によって製造することができる。脂環族ジカルボン酸、例えば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、要すればスルホン酸塩の基を有する芳香族ジカルボン酸、例えば5−ナトリウムスルホイソフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とを、エチレングリコールおよびジヒドロキシ化合物とを反応させてモノマーもしくはオリゴマーを形成し、その後真空下で重縮合させることによって所定の固有粘度の共重合ポリエステルとする方法で製造することができる。この際、反応を促進する触媒、例えばエステル化もしくはエステル交換触媒、重縮合触媒を用いることができ、また種々の添加剤、例えば安定剤等を添加することもできる。
水性塗液は、上記の共重合ポリエステルの他に、要すれば架橋剤および微粒子を含有してもよい。
なお、各特性値は以下の方法で測定した。
フィルムを小さく切り出しエポキシ樹脂で包埋させミクロトームで50nm厚みにフィルム断面を薄切りし、2%四酸化オスミウム酸で60℃、2時間かけて染色し、染色したフィルム断面を透過電子顕微鏡(TECNAI G2LEM−2000)で観察して、易接着層の厚みを測定した。
直径6mmの硬質クロムメッキしたピンを固定し、長手方向に20cm、幅方向に15mmの大きさにカットしたフィルムをピンに対して90°で接触させ、一定速度(20mm/s)でフィルムの易接着層表面をピン上を滑らせて表面に入る傷の度合を評価した。
◎: 全体面積に対する傷の面積≦10% (極めて良好)
○:10%<全体面積に対する傷の面積≦50% (良好)
×:50%<全体面積に対する傷の面積 (不良)
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用してフィルムのヘーズを測定し、フィルムのヘーズを下記の基準で評価した。
◎: ヘーズ値≦1.5% (極めて良好)
○:1.5%<ヘーズ値≦3.0% (良好)
×:3.0%<ヘーズ値 (不良)
ASTM D1894−63に準じ、東洋テスター社製のスリッパリー測定器を使用し、塗膜形成面とポリエチレンテレフタレートフィルム(塗膜非形成面)との静摩擦係数(μs)を測定した。ただし、スレッド板はガラス板とし、荷重は1kgとした。なお、フィルムの滑り性を下記の基準で評価した。
◎: 静摩擦係数(μs)≦0.5 (極めて良好)
○:0.5<静摩擦係数(μs)≦0.8 (良好)
×:0.8<静摩擦係数(μs) (不良)
JSR社製紫外線硬化型樹脂(商品名:デソライト)2gをフィルムサンプルの塗膜形成面上にマイヤバーを用いて塗布した。塗布直後のフィルムを80℃にて2分間乾燥し、さらに該サンプルを20mW/cm2で5分間紫外線照射させて、厚み5μmのハードコート層を形成した。フィルムサンプルの塗膜形成面上にハードコート層を形成させた後、碁盤目のクロスカット(1mm2のマス目を100個)を施し、その上にハンディ型金属ロールを使用して、24mm幅のセロハンテープ(ニチバン社製 CT405AP)を完全に貼り付け、180°の剥離角度で急激に剥がした後、剥離面を観察して下記の基準で評価した。
◎: 剥離面積<10% (極めて良好)
○:10%≦剥離面積<30% (良好)
×:30%≦剥離面積 (不良)
フィルムの全幅、長さ3m長をハロゲンランプで塗布層を観察し、塗布斑の有無、度合を評価した。なお、塗布斑は、機械方向の筋、機械方向の垂直の筋、ハジキ、ロール汚れの転写痕等である。
◎:塗布斑がフィルム観察面積の5%未満 (極めて良好)
○:塗布斑がフィルム観察面積の5%以上で10%未満 (良好)
×:塗布斑がフィルム観察面積の10%以上 (不良)
2枚のフィルムを、塗膜形成面同士が接するように重ね合せ、これに、60℃、80%RHの雰囲気下で17時間にわたって0.6kg/cm2の圧力をかけ、その後、剥離して、その剥離力により耐ブロッキング性を下記の基準で評価した。
◎: 剥離力< 98mN/5cm (極めて良好)
○: 98mN/5cm≦剥離力<196mN/5cm (良好)
×:196mN/5cm≦剥離力 (不良)
サンプル約10mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(デュポン社製・V4.OB2000型DSC)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させ、300℃で5分間保持した後取出し、直ちに氷の上に移して急冷した。このパンを再度示差熱量計に装着し、25℃から20℃/分の速度で昇温させてガラス転移温度(Tg:℃)を測定した。
固有粘度([η]dl/g)は、25℃のo−クロロフェノール溶液で測定した。
溶融ポリエチレンテレフタレート([η]=0.63dl/g、Tg=78℃)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いで縦方向に3.4倍に延伸した後、その片面に表2に示す塗剤の濃度5%の水性塗液をロールコーターで均一に塗布した。なお、表2中の共重合ポリエステル樹脂の組成は表1に示す。
ジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸99.9モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸0.1モル%、グリコール成分がエチレングリコール80モル%/BPF20モル%で構成されている。なお、ポリエステルAは、下記の通り製造した。すなわち、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル100重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル0.1重量部、エチレングリコール24.8重量部、BPF43.8重量部を反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.05部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。
ジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸70モル%/テレフタル酸20モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸10モル%、グリコール成分がエチレングリコール20モル%/BPF80モル%で構成されている(固有粘度0.51)。製造方法はポリエステルAと同様の方法で製造した。
ジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸99.9モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸0.1モル%、グリコール成分がエチレングリコール39モル%/BPF61モル%で構成されている(固有粘度0.49)。製造方法はポリエステルAと同様の方法で製造した。
ジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸70モル%/テレフタル酸20モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸10モル%、グリコール成分がエチレングリコール39モル%/BPF61モル%で構成されている(固有粘度0.50)。製造方法はポリエステルAと同様の方法で製造した。
ジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸90モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸10モル%、グリコール成分がエチレングリコール80モル%/BPF20モル%で構成されている(固有粘度0.46)。製造方法はポリエステルAと同様の方法で製造した。
ジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸90モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸10モル%、グリコール成分がエチレングリコール39モル%/BPF61モル%で構成されている(固有粘度0.47)。製造方法はポリエステルAと同様の方法で製造した。
ジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸99.9モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸0.1モル%、グリコール成分がエチレングリコール90モル%/BPF10モル%で構成されている(固有粘度0.45)。製造方法はポリエステルAと同様の方法で製造した。
ジカルボン酸成分が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸99.9モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸0.1モル%、グリコール成分がエチレングリコール5モル%/BPF95モル%で構成されている(固有粘度0.50)。製造方法はポリエステルAと同様の方法で製造した。
メチルメタクリレート30モル%/2−イソプロペニル−2−オキサゾリン30モル%/ポリエチレンオキシド(n=10)メタクリレート10モル%/アクリルアミド30モル%で構成されている(Tg=50℃)。なお、特開昭63−37167号公報の製造例1〜3に記載の方法に準じて下記の通り製造した。すなわち、四つ口フラスコに、イオン交換水302部を仕込んで窒素気流中で60℃まで昇温させ、次いで重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部、亜硝酸水素ナトリウム0.2部を添加し、さらにモノマー類である、メタクリル酸メチル23.3部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン22.6部、ポリエチレンオキシド(n=10)メタクリル酸40.7部、アクリルアミド13.3部の混合物を3時間にわたり、液温が60〜70℃になるよう調整しながら滴下した。滴下終了後も同温度範囲に2時間保持しつつ、撹拌下に反応を継続させ、次いで冷却して固形分が25%の水分散体を得た。
ポリメタクリル酸メチル系架橋物粒子(平均粒子径:150nm) (日本触媒社製 商品名エポスターMX100W)
ワックス:
カルナバワックス(中京油脂社製 商品名セロゾール524)
濡れ剤:
ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル
溶融ポリエチレンテレフタレート([η]=0.63dl/g、Tg=78℃)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとした。次いでその片面に表2に示す塗剤の濃度5%の水性塗液をロールコーターで均一に塗布した。次いでこの塗布フィルムを95℃で乾燥し、引き続いて120℃で縦方向に3.4倍、横方向に3.5倍に同時延伸した。さらに続いて220℃で幅方向に3%収縮させ熱固定し、厚さ125μmの易接着性ポリエステルフィルムを得た。なお、塗膜の厚さは0.08μmであった。評価結果を表3に示す。
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