JP2002265860A - 透明帯電防止コーティング剤および透明帯電防止フィルム - Google Patents

透明帯電防止コーティング剤および透明帯電防止フィルム

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JP2002265860A
JP2002265860A JP2001062724A JP2001062724A JP2002265860A JP 2002265860 A JP2002265860 A JP 2002265860A JP 2001062724 A JP2001062724 A JP 2001062724A JP 2001062724 A JP2001062724 A JP 2001062724A JP 2002265860 A JP2002265860 A JP 2002265860A
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film
tin oxide
polyester resin
water
transparent antistatic
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JP2001062724A
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Munenori Yamada
宗紀 山田
Masashi Okamoto
昌司 岡本
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性が高く、低湿度雰囲気下でも高い帯電
防止性を有し、かつ耐水性、基材との密着性、耐ブロッ
キング性に優れた被膜を得ることができる透明帯電防止
コーティング剤および透明帯電防止フィルムを提供す
る。 【解決手段】 水性媒体中に水分散性ポリエステル樹脂
の微粒子と酸化錫系超微粒子とが分散され、上記水分散
性ポリエステル樹脂の微粒子100質量部に対して上記
酸化錫系超微粒子を30〜1000質量部含む混合水分
散体からなり、上記水分散性ポリエステル樹脂を構成す
る多塩基酸成分と多価アルコール成分のうち、多塩基酸
成分の50モル%以上が芳香族多塩基酸からなり、多価
アルコール成分の35モル%以上がネオペンチルグリコ
ールからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明帯電防止コー
ティング剤および透明帯電防止フィルムに関するもので
あり、更に詳しくは、透明性が高く、低湿度雰囲気下で
も高い帯電防止性を有し、耐水性、基材との密着性、耐
ブロッキング性に優れた被膜を得ることができる透明帯
電防止コーティング剤および透明帯電防止フィルムに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般的な工業材料や磁気記録材料
としてフィルム、とくにポリエチレンテレフタレートな
どのポリエステル系フィルムが広く使用されているが、
ポリエステル系フィルムは表面抵抗率が大きいため、摩
擦などによって帯電しやすいという特性を有している。
これらのフィルムは帯電することによって、その表面に
ほこり、ごみなどが付着するといった問題が発生する。
【0003】そこで、帯電防止性が付与されたフィルム
として、帯電防止剤を練り込んだ樹脂から得られるフィ
ルムまたは表面に帯電防止被膜を形成したフィルムが実
用化されている。
【0004】しかし、例えば、高分子型の帯電防止剤を
練り込んだ樹脂から得られるフィルムは、帯電防止性を
良好なものとするためには帯電防止剤を多量に含有させ
る必要があるので、経済的ではなく、また低湿度雰囲気
下では帯電防止性が低下し、さらには耐水性が十分でな
いといった問題がある。
【0005】また、表面に帯電防止被膜を形成したフィ
ルムのうち、低分子の界面活性剤型帯電防止剤を用いた
フィルムでは、帯電防止性が経時的に低下する傾向があ
り、また、フィルムをロール状に巻いた状態では帯電防
止剤が隣接するフィルムの背面に移行したり、ブロッキ
ングを生じることがあり、さらには耐水性が十分でない
といった問題がある。また、ポリピロールやポリアニリ
ンなどの導電性高分子を用いたフィルムでは、コストが
高くなるとともに導電性高分子特有の着色が生ずるとい
う問題が起こる。
【0006】また、表面に帯電防止被膜を形成したフィ
ルムについては、導電性を有する酸化錫系微粒子を含有
させたフィルムも検討されているが、基材フィルムとの
密着性が必ずしも十分ではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は上記
課題を解決するものであって、透明性が高く、低湿度雰
囲気下でも高い帯電防止性を有し、かつ耐水性、基材と
の密着性、耐ブロッキング性に優れた被膜を得ることが
できる透明帯電防止コーティング剤および透明帯電防止
フィルムを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水分散性
ポリエステル樹脂エマルジョンと酸化錫系超微粒子の水
分散液とを撹拌、混合するのみという簡便な操作で酸化
錫系超微粒子が十分均一に分散した帯電防止コーティン
グ剤が得られることを見出し、また、このコーティング
剤から形成された被膜は、透明性が高く、低湿度雰囲気
下でも高い帯電防止性を有し、かつ耐水性、基材との密
着性、耐ブロッキング性に優れていることを見出し、そ
れに基づいて本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明の透明帯電防止コーティ
ング剤は、水性媒体中に水分散性ポリエステル樹脂の微
粒子と酸化錫系超微粒子とが分散され、上記水分散性ポ
リエステル樹脂の微粒子100質量部に対して酸化錫系
超微粒子を30〜1000質量部含む混合水分散体から
なり、上記水分散性ポリエステル樹脂を構成する多塩基
酸成分と多価アルコール成分のうち、多塩基酸成分の5
0モル%以上が芳香族多塩基酸からなり、多価アルコー
ル成分の35モル%以上がネオペンチルグリコールから
なることを特徴とする。
【0010】また、請求項2に記載の発明は、上記構成
において、酸化錫系超微粒子が酸化錫、アンチモンドー
プ酸化錫およびインジウムドープ酸化錫のうちの少なく
とも1種からなることを特徴とする。
【0011】また、請求項3に記載の発明は、上記構成
において、酸化錫系超微粒子の数平均粒子径が50nm
以下であることを特徴とする。さらに、本発明の透明帯
電防止フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも
一方の面に、上記透明帯電防止コーティング剤中に含有
する水分散性ポリエステル樹脂の微粒子と酸化錫系超微
粒子とからなる被膜を形成したことを特徴とする。
【0012】さらにまた、請求項5に記載の発明は、上
記構成において、被膜の表面固有抵抗が1010Ω/□以
下であることを特徴とする。また、請求項6に記載の発
明は、上記構成において、被膜を形成したフィルムの濁
度が10%以下であることを特徴とする。
【0013】また、請求項7に記載の発明は、上記構成
において、熱可塑性樹脂フィルムがポリエチレンテレフ
タレートからなることを特徴とする。本発明の透明帯電
防止コーティング剤によれば、多塩基酸成分の50モル
%以上が芳香族多塩基酸からなるとともに多価アルコー
ル成分の35モル%以上がネオペンチルグリコールから
なる特定の水分散性ポリエステル樹脂の微粒子と酸化錫
系超微粒子とを特定の割合で混合した混合水分散体から
なるので、酸化錫系超微粒子によって導電性が与えられ
て低湿度雰囲気下においても高い帯電防止性を示し、か
つ、ポリエステル樹脂が有する優れた透明性が酸化錫系
超微粒子によって阻害されることがなく維持された被膜
が形成される。また、この被膜は、上記ポリエステル樹
脂による優れた耐水性、基材との密着性を有し、さらに
上記ポリエステル樹脂と酸化錫系超微粒子とによって優
れた耐ブロッキング性を示す。
【0014】さらに、上記ポリエステル樹脂と酸化錫系
超微粒子は、それぞれ優れた水分散性を有するので、水
を主成分とする水性媒体に均一に分散されるため、貯蔵
安定性に優れ、また、有機溶媒の含有量を少なくするこ
とが可能であるため、環境問題の解消、作業環境の改善
にも寄与することができる。
【0015】また、本発明の透明帯電防止フィルムによ
れば、上記透明帯電防止コーティング剤の特性が反映さ
れて、透明性が高く、低湿度雰囲気下でも高い帯電防止
性を有し、かつ耐水性、基材との密着性、耐ブロッキン
グ性に優れた透明帯電防止フィルムが提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるコーティング剤は、水分散性ポリエステ
ル樹脂の微粒子100質量部に対して、酸化錫系超微粒
子が30〜1000質量部含有するものであり、好まし
くは水分散性ポリエステル樹脂の微粒子100質量部に
対して50〜1000質量部、より好ましくは100〜
800質量部混合されたものである。酸化錫系超微粒子
の割合が30質量部未満ではこのコーティング剤を用い
て得られる被膜の帯電防止性が不十分になることがあ
り、一方、1000質量部を超えると、被膜と基材との
密着性が低下することがある。
【0017】また、上記水分散性ポリエステル樹脂の微
粒子と酸化錫系超微粒子とを分散させる溶媒としては、
水性媒体が用いられる。この水性媒体としては水を主成
分とするものが用いられ、好ましくは水または60質量
%以上が水である水性媒体が用いられる。
【0018】そして、上記水分散性ポリエステル樹脂
は、多塩基酸成分の50モル%以上が芳香族多塩基酸か
ら構成され、好ましくは65モル%以上である。芳香族
多塩基酸の割合が50モル%未満では、形成される被膜
の耐熱水性、耐アルカリ性および被膜の硬度が低下する
傾向があり、また、混合水分散体の貯蔵安定性が低下す
るおそれがある。
【0019】また、上記水分散性ポリエステル樹脂は、
多価アルコール成分の35モル%以上がネオペンチルグ
リコールから構成され、好ましくは50モル%以上であ
る。ネオペンチルグリコールを35モル%以上とするこ
とにより、特に耐候性や加工性などが向上する。ネオペ
ンチルグリコールが35モル%未満では、形成されるポ
リエステル樹脂被膜の耐候性が低下することがある。
【0020】上記ポリエステル樹脂において多塩基酸成
分の50モル%以上を構成する芳香族多塩基酸として
は、芳香族ジカルボン酸が挙げられる。使用し得る芳香
族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル
酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェ
ニルジカルボン酸などが挙げられ、必要に応じて形成さ
れる被膜の耐熱水性を損なわない範囲で少量の5−ナト
リウムスルホイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル
酸等を用いることができる。
【0021】上記芳香族多塩基酸以外の50モル%未満
で任意成分として用いられる多塩基酸性成分としては、
脂肪族多塩基酸または脂環族多塩基酸が挙げられる。脂
肪族多塩基酸としては脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、
その具体例としては、シュウ酸、コハク酸、無水コハク
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
二酸、水添ダイマー酸などの飽和ジカルボン酸、および
フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、
無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダ
イマー酸などの不飽和ジカルボン酸などが挙げられる。
【0022】また、脂環族多塩基酸としては、脂環族ジ
カルボン酸が挙げられ、その具体例としては、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサン
ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、
2,5−ノルボルネンジカルボン酸及びその無水物、テ
トラヒドロフタル酸およびその無水物などが挙げられ
る。
【0023】上記多価アルコール成分のうち、65モル
%未満で任意成分として用いられる多価アルコール成分
としては、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数
6〜12の脂環族グリコール、エーテル結合含有グリコ
ールが挙げられる。
【0024】炭素数2〜10の脂肪族グリコールとして
は、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メ
チル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオ
ール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールなどが
挙げられる。
【0025】また、炭素数6〜12の脂環族グリコール
としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、さらにはビスフェノー
ル類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイド
またはプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加
して得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4−
ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどが挙げられ
る。
【0026】さらに、エーテル結合含有グリコール、例
えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコールなども必要により
使用することができる。ただし、これらのエーテル結合
含有グリコールは、エーテル構造を有し、それが水分散
性ポリエステル樹脂から形成される被膜の耐水性、耐熱
性を低下させることから、その使用量は全多価アルコー
ル成分の10質量%以下、好ましくは5質量%以下とす
ることが望ましい。
【0027】さらに、本発明における上記水分散性ポリ
エステル樹脂において、必要な物性を発現させるために
3官能以上の多塩基酸または多価アルコールを共重合す
ることができる。
【0028】3官能以上の多塩基酸としては、トリメリ
ット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水
ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチ
レングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グ
リセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,
2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などが挙げられ
る。
【0029】また、3官能以上の多価アルコールとして
は、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
ただし、3官能以上の多塩基酸及び多価アルコールを共
重合する場合には、全酸成分及び全アルコール成分に対
しそれぞれ0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜
5モル%にとどめることが望ましい。0.01モル%未
満では3官能以上の多塩基酸及び多価アルコールを入れ
たことによるポリエステル樹脂の物性変化はほとんど無
く、一方、10モル%を超えると被膜が硬くなりすぎて
加工性が低下する傾向がある。
【0030】また、上記水分散性ポリエステル樹脂にお
ける上記多塩基酸成分以外の酸成分として、必要に応じ
て、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの脂
肪酸やそのエステル形成性誘導体、安息香酸、p−tert
−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシ
フェニルステアリン酸などの高沸点のモノカルボン酸を
使用してもよい。また、上記多価アルコール成分以外の
アルコール成分として、必要に応じて、ステアリルアル
コール、2−フェノキシエタノールなどの高沸点のモノ
アルコールを使用してもよい。
【0031】本発明における上記水分散性ポリエステル
樹脂の酸価は、10〜40mgKOH/gが好ましく、
10〜35mgKOH/gがより好ましい。酸価が40
mgKOH/gを超えると、被膜の耐熱水性や耐アルカ
リ性が低下し、また被膜が硬くなりすぎる傾向がある。
一方、酸価が10mgKOH/g未満では、ポリエステ
ル樹脂の水分散化が困難になるおそれがある。
【0032】上記水分散性ポリエステル樹脂は、水分散
性が付与された微粒子として水分散性ポリエステル樹脂
エマルジョンの形態で使用される。上記水分散性ポリエ
ステル樹脂の微粒子としては、数平均粒子径が0.00
1〜0.1μmのものが好ましく用いられる。
【0033】ここで、上記ポリエステル樹脂の微粒子の
数平均粒子径は、微粒子状物質の粒子径を測定するため
に一般的に使用されている動的光散乱法によって測定さ
れる。
【0034】次に、水分散性ポリエステル樹脂エマルジ
ョンの製造方法について説明する。水分散性ポリエステ
ル樹脂エマルジョンを製造する方法としては、例えば、
塩基性化合物を添加した水及び有機溶媒中にポリエステ
ル樹脂の粉末もしくは粒状物を40℃以下の室温付近の
温度で混合、撹拌した(分散工程)後、撹拌しながら所
定温度まで加熱し(加熱工程)、ポリエステル樹脂のガ
ラス転移温度以上であって90℃以下の温度で撹拌して
ポリエステル樹脂を微粒子化し(水性化工程)、冷却す
る(冷却工程)ことによって製造する方法(特開平9−
296100号公報)が好ましい。
【0035】この方法によると、数平均粒子径が0.0
01〜0.1μmのポリエステル樹脂の微粒子が溶媒中
に安定した状態で分散したエマルジョンを容易に得るこ
とができる。
【0036】上記4工程中、ポリエステル樹脂は分散工
程が終了するまでにその全量を系に添加することが必要
である。また、塩基性化合物および有機溶媒は、分散工
程〜水性化工程の任意の工程で添加すればよい。
【0037】水分散性ポリエステル樹脂エマルジョンを
製造する工程において添加される塩基性化合物は、ポリ
エステル樹脂のカルボキシル基を中和するものであり、
具体的には、被膜形成時の乾燥工程などで揮散しやすい
アンモニアもしくは沸点200℃以下の有機アミンが好
ましい。
【0038】有機アミンの具体例としては、トリエチル
アミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−
ジメチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモ
ルホリン、N−エチルモルホリンなどが挙げられる。
【0039】塩基性化合物の添加量は、ポリエステル樹
脂中のカルボキシル基に対して、0.2〜1.5倍当量
が好ましく、さらには、0.4〜1.3倍当量がより好
ましい。
【0040】0.2倍当量未満では中和が不完全で分散
安定性が良好なエマルジョンが得られない場合があり、
1.5倍当量を超えるとエマルジョンが著しく増粘する
場合がある。
【0041】水分散性ポリエステル樹脂エマルジョンを
製造する工程において、水に混合される有機溶媒として
は、ポリエステル樹脂の水性化能力およびポリエステル
樹脂に対して可塑化能力を有するものが用いられる。具
体的には、エタノール、n−プロパノール、イソプロパ
ノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタ
ノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イ
ソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−
アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2
−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロ
ヘキサノールなどのアルコール類、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シ
クロヘキサノン、イソホロンなどのケトン類、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチ
ル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n
−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸
−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオ
ン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチルなどのエステ
ル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメ
チルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレ
ングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール
エチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジ
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレング
リコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテ
ルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリ
コールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ
ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル
アセテートなどのグリコール誘導体、さらには3−メト
キシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノー
ル、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチ
ルなどが挙げられ、これらのうちの1種類を用いても、
2種類以上を混合して用いてもよい。
【0042】有機溶媒の沸点としては、被膜形成時の乾
燥工程などで揮散しやすい沸点200℃以下もしくは水
と共沸可能であるものが好ましい。水分散性ポリエステ
ル樹脂エマルジョン中における有機溶媒の含有量は、エ
マルジョン中の全溶媒中の25質量%以下であることが
好ましく、0.5〜25質量%がより好ましく、0.5
〜18質量%がさらに好ましい。有機溶媒の含有量を2
5質量%以下とすることにより、この水分散性ポリエス
テル樹脂エマルジョンと酸化錫系超微粒子とを混合して
混合水分散体すなわちコーティング剤を調製した後にお
ける混合水分散体の被膜形成能、粘性および貯蔵安定性
を良好に保つことができる。
【0043】上記水分散性ポリエステル樹脂エマルジョ
ン中におけるポリエステル樹脂の濃度は特に限定されな
いが、適度の粘性を保ちつつ、良好な貯蔵安定性を示す
ためには10〜50質量%が好ましい。
【0044】次に、本発明のコーティング剤における酸
化錫系超微粒子について説明する。本発明のコーティン
グ剤において、上記水分散性ポリエステル樹脂の微粒子
とともに使用される酸化錫系超微粒子は、その数平均粒
子径が50nm以下のものが好ましく使用され、より好
ましくは数平均粒子径が50nm以下であってかつ体積
平均粒子径が200nm以下であるものである。
【0045】この酸化錫系超微粒子は、通常あらかじめ
水中もしくは水を主成分とする溶媒中に分散した分散液
の形態で使用することが好ましい。この酸化錫系超微粒
子の分散液としては、酸化錫系超微粒子がほぼその1次
粒子径すなわち上記数平均粒子径を保ったまま分散され
たものが好ましく使用される。すなわち、数平均粒子径
が50nm以下、体積平均粒子径が200nm以下であ
るものが好ましく使用される。分散液中において酸化錫
系超微粒子が凝集して体積平均粒子径が200nmを超
えると、被膜の透明性が低下するおそれがある。
【0046】ここで、上記酸化錫系超微粒子の数平均粒
子径および体積平均粒子径は、上記ポリエステル樹脂の
微粒子と同様の動的光散乱法によって測定される。上記
のような酸化錫系超微粒子としては、酸化錫、アンチモ
ンドープ酸化錫、インジウムドープ酸化錫、アルミニウ
ムドープ酸化錫、タングステンドープ酸化錫、酸化チタ
ン−酸化セリウム−酸化錫の複合体、酸化チタン−酸化
錫の複合体などが挙げられ、なかでも導電性などの性能
に優れかつそれとコストとがバランスのとれた酸化錫、
アンチモンドープ酸化錫、インジウムドープ酸化錫が好
ましく用いられる。
【0047】本発明におけるコーティング剤は、例え
ば、上記水分散性ポリエステル樹脂エマルジョンと上記
酸化錫系超微粒子の水分散液と混合することによって調
製される。その際に、水分散性ポリエステル樹脂エマル
ジョンに酸化錫系超微粒子分散液を加えて混合してもよ
く、逆に酸化錫系超微粒子分散液に上記エマルジョンを
加えて混合してもよく、混合順序は任意である。
【0048】なお、両者を混合する際、水分散性ポリエ
ステル樹脂エマルジョンの分散安定性を維持するため
に、必要に応じて、混合液のpHが8〜12になるよう
にpH調整を行うことが好ましい。
【0049】上記コーティング剤を調製する際に、水分
散性ポリエステル樹脂エマルジョンと酸化錫系超微粒子
分散液とを混合する際の混合液の撹拌方法としては、液
/液撹拌装置として広く知られている装置を使用するこ
とが可能であり、混合液の分散性が良好であるため、極
めて短時間かつ簡便な混合操作でよい。
【0050】このようにして得られたコーティング剤中
には、上記水分散性ポリエステル樹脂エマルジョンに由
来する有機溶媒が含まれており、また、塗布性能を向上
させるために例えばイソプロパノールなどの低沸点アル
コールのような有機溶媒を加えることもあるが、有機溶
媒の含有量は溶媒全体の40質量%以下に抑え、60質
量%以上は水であることが好ましい。
【0051】本発明のコーティング剤中では、水分散性
ポリエステル樹脂の微粒子とともに、酸化錫系超微粒子
が酸化錫系超微粒子分散液中と同等の良好な分散性を保
って溶媒中に分散されている。すなわち、酸化錫系超微
粒子が数平均粒子径50nm以下、体積平均粒子径20
0nm以下の一次粒子の状態で存在している。このよう
に良好な分散性を有するため、コーティング剤を25℃
で放置した場合、少なくとも30日間は粒子径に変化が
見られず、沈降物も観察されない。
【0052】また、本発明のコーティング剤における固
形分濃度すなわち水分散性ポリエステル樹脂と酸化錫系
超微粒子の総濃度は1〜40質量%が好ましい。固形分
濃度が1質量%以下では、基材に塗布する際に十分な厚
さの被膜を形成しにくくなる傾向があり、一方40質量
%を超えると、酸化錫系超微粒子の分散性が不十分にな
ることがある。
【0053】また、本発明のコーティング剤には、架橋
剤を混合して被膜の硬度を上げることができる。架橋剤
としては、水分散性ポリエステル樹脂が有する官能基、
例えばカルボキシル基や水酸基と反応性を有するものが
用いられ、例えば、フェノール樹脂、アミノ樹脂、多官
能エポキシ樹脂、多官能イソシアネート化合物及びその
各種ブロックイソシアネート化合物、多官能アジリジン
化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基
含有化合物などが挙げられる。このような架橋剤は1種
類のみでも、2種類以上を併用してもよい。
【0054】さらに、本発明のコーティング剤には、そ
の特性が損なわれない範囲で、酸化防止剤、滑剤、着色
剤などを添加することができる。本発明のコーティング
剤は、塗料、接着剤、インキ、繊維処理剤、紙塗工剤な
どの各種コーティング剤として、フィルムなどの樹脂成
形体、紙、ガラスなどの各種基材上に均一に塗布するこ
とができる。
【0055】塗布方法としては、ディップコート法、は
け塗り法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビ
アコート法、カーテンフローコート法、各種印刷法など
が挙げられる。
【0056】また、塗布されたコーティング剤の乾燥方
法としては、通常、熱風循環型のオーブン、赤外線ヒー
ターなどにより、60℃〜230℃で例えば2秒間〜5
0秒間乾燥する方法が挙げられ、それによって基材上に
被膜が形成される。
【0057】また、被膜の厚さとしては、強度および傷
が付きにくい均一な厚さの被膜が得られる0.10〜1
00μmが好ましく、0.05〜20μmがより好まし
く、0.1〜5μmがさらに好ましい。
【0058】本発明のコーティング剤を塗布して得られ
る被膜は、表面固有抵抗は1010Ω/□以下と低い表面固
有抵抗を示し、優れた帯電防止性を有する。そして、こ
の被膜の表面固有抵抗は湿度によってほとんど不変であ
り、この被膜は耐水性にも優れている。
【0059】さらに、本発明のコーティング剤を塗布し
て得られるフィルムは、濁度が10%以下と低く非常に
高い透明度を示し、透明性に優れており、水分散性ポリ
エステル樹脂エマルジョンと酸化錫系超微粒子水分散液
との組み合わせにより、被膜の透明性を変化させること
によって、フィルムの濁度は8%以下がより好ましく、
5%以下がさらに好ましい。
【0060】本発明におけるコーティング剤の被膜形成
成分である上記水分散性ポリエステル樹脂エマルジョン
は、貯蔵安定性に優れており、また、酸化錫系超微粒子
との分散性にも優れているため、ポリエステル樹脂およ
び酸化錫超微粒子の互いの優れた特性を発揮するするこ
とができる。
【0061】また、有機溶媒の含有量を非常に少なくす
ることが可能であるため、環境問題の解消、作業環境の
改善にも寄与することができる。本発明のコーティング
剤は、特に熱可塑性樹脂フィルムのコーティング剤とし
て好適に用いることができ、これによって熱可塑性樹脂
フィルムの表面に被膜を形成すると、被膜の表面固有抵
抗が1010Ω/□以下と低い表面固有抵抗を示す優れた帯
電防止性を有し、かつフィルムの濁度が10%以下と透
明性に優れた帯電防止フィルムを得ることができる。 (実施例)次に、本発明を実施例によってより具体的に
説明する。
【0062】以下の実施例において各種の特性は次に示
す方法によって測定した。 (1)被膜の厚さ 接触式膜厚計により、コーティング剤を基材フィルムに
塗布、乾燥して被膜を形成したフィルム(以下、コート
フィルムという)の全体の厚さから、基材フィルムの厚
さを減じて求めた。 (2)濁度 JIS−K7361−1に基づいて、濁度計(日本電色
工業社製、NDH2000)を用いてコートフィルムの
濁度を測定した。ただし、この測定値には、実施例で用
いた基材フィルムである2軸延伸ポリエチレンテレフタ
レートフィルム(以下、2軸延伸PETフィルムとい
う)の濁度2.7を含んでいる。 (3)コートフィルムの帯電防止特性 JIS−K6911に基づいて、アドバンテスト社製デ
ジタル超高抵抗/微少電流計、R8340を用いて、コ
ートフィルムの被膜の表面固有抵抗値を次の4つの条件
下で測定して、それぞれについて評価した。
【0063】(3−a)標準状態特性評価 温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で測定した。 (3−b)低湿度雰囲気状態特性評価 温度23℃、相対湿度20%の雰囲気下で測定した。
【0064】(3−c)耐流水性評価 コートフィルムを流水中に60秒間さらした後、3−a
と同一条件で測定した。
【0065】(3−d)耐温水性評価 コートフィルムを40℃の温水中に24時間浸した後、
3−aと同一条件で測定した。 (4)密着性 基材フィルムと被膜との密着性をクロスカット法による
テープ剥離により評価した。クロスカットにより、被膜
を100区画にカットし、テープ剥離後残留した被膜の
区画数を以下の基準により評価した。
【0066】 ○:100区画残留 △:90〜100区画残留 ×:0〜90区画残留 (5)耐ブロッキング性 コートフィルムの被膜面と基材フィルム面とを重ね合わ
せた状態で、200g/cm2の負荷をかけ、40℃の
雰囲気下で24時間放置後、その耐ブロッキング性を次
の基準により評価した。
【0067】 ○:フィルムに軽く触れる程度で剥離する。 △:フィルムを引っ張ることによって剥離する。 ×:フィルムを引っ張っても剥離しない。 (6)粒子径 ポリエステル樹脂微粒子および酸化錫系超微粒子の数平
均粒子径はそれぞれ日機装社製のマイクロトラック粒度
分布計UPA150(Model No.9340)を
用いて、動的光散乱法によって測定した。 実施例1 ジャケット付きの1Lガラス容器中に、ポリエステル樹
脂(テレフタル酸/イソフタル酸のモル比:71/2
9、ネオペンチルグリコール/エチレングリコールのモ
ル比:55/45、酸価:15.3、数平均分子量:9
000)150g、イソプロパノール63g、トリエチ
ルアミン3.3g(ポリエステル樹脂中に含まれる全カ
ルボキシル基量の1.2当量相当量)、および蒸留水2
87gを加え、系を密閉した後、攪拌機(特殊機化工業
社製、T.K.ロボミックス)を用いて攪拌翼の回転速
度を7000rpmとして攪拌しつつ、ジャケットに熱
水を通して加熱した。
【0068】系内温度を73〜75℃に保った状態で3
0分間攪拌し、その後ジャケットに冷水を通して、回転
速度を5000rpmまで下げて攪拌しつつ室温(約2
0℃)まで冷却し、固形分濃度が30質量%の乳白色で
ポリエステル樹脂微粒子が均一に分散された水分散性ポ
リエステル樹脂エマルジョンを得た。この水分散性ポリ
エステル樹脂エマルジョン中のポリエステル樹脂微粒子
の数平均粒子径は0.072μmであった。
【0069】得られた水分散性ポリエステル樹脂エマル
ジョンに、酸化錫超微粒子水分散液(酸化錫ゾル、山中
化学工業社製、EPS−6、酸化錫濃度:6質量%、数
平均粒子径:10nm)を、エマルジョン中のポリエス
テル樹脂固形分100質量部に対して酸化錫超微粒子が
400質量部となるように混合した後、手で軽く攪拌す
ることによって、酸化錫超微粒子を含有した水分散性ポ
リエステル樹脂エマルジョンからなるコーティング剤を
得た。
【0070】得られたコーティング剤を2軸延伸PET
フィルム(ユニチカ社製、厚さ12μm)の片面にフィ
ルムアプリケーター(安田精機社製、542−AB)を
使用して塗布した後、130℃で30秒間乾燥して、フ
ィルム面に厚さ0.2μmの被膜を形成したコートフィ
ルムを得た。 実施例2 被膜厚さを0.1μmとした以外は、実施例1と同様の
方法により、コートフィルムを得た。 実施例3 被膜厚さを0.4μmとした以外は、実施例1と同様の
方法により、コートフィルムを得た。 実施例4 ポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して酸化錫
超微粒子が800質量部となるように調製した以外は、
実施例1と同様の方法により、コーティング剤およびコ
ートフィルムを得た。 実施例5 被膜厚さを0.1μmとした以外は、実施例4と同様の
方法により、コートフィルムを得た。 実施例6 ポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して酸化錫
超微粒子が100質量部となるようにした以外は、実施
例1と同様の方法により、コーティング剤およびコート
フィルムを得た。 実施例7 実施例1と同様の水分散性ポリエステル樹脂エマルジョ
ンに、実施例1における酸化錫超微粒子水分散液に代え
て、アンチモンドープ酸化錫超微粒子水分散液(アンチ
モンドープ酸化錫ゾル、石原産業社製、SN100D、
アンチモンドープ酸化錫濃度:30質量%、数平均粒子
径:45nm)を、エマルジョン中のポリエステル樹脂
固形分100質量部に対して酸化錫超微粒子が100質
量部となるように混合した後、手で軽く攪拌することに
よって、アンチモンドープ酸化錫超微粒子を含有した水
分散性ポリエステル樹脂エマルジョンからなるコーティ
ング剤を得た。
【0071】得られたコーティング剤を実施例1と同様
の2軸延伸PETフィルムの片面に実施例1と同様のフ
ィルムアプリケーターを使用して塗布した後、130℃
で30秒間乾燥して、フィルム面に厚さ0.5μmの被
膜を形成したコートフィルムを得た。 比較例1 ポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して酸化錫
超微粒子が20質量部となるようにした以外は、実施例
1と同様の方法により、コーティング剤およびコートフ
ィルムを得た。 比較例2 実施例1と同様の水分散性ポリエステル樹脂エマルジョ
ンに、実施例1における酸化錫超微粒子水分散液に代え
て帯電防止成分としてカチオン系界面活性剤(三洋化成
工業社製、サンスタット2012A)をポリエステル樹
脂の固形分100質量部に対して固形分で1質量部加え
てコーティング剤を調製し、これを実施例1と同様の2
軸延伸PETフィルムの片面に実施例1と同様のフィル
ムアプリケーターを使用して塗布した後、130℃で3
0秒間乾燥し、フィルム面に厚さ0.2μmの被膜を形
成したコートフィルムを得た。 比較例3 実施例1と同様の水分散性ポリエステル樹脂エマルジョ
ンに、実施例1における酸化錫超微粒子水分散液に代え
て帯電防止成分としてアルキル燐酸塩(三洋化成工業社
製、RPS−2)をポリエステル樹脂の固形分100質
量部に対して固形分で1質量部加えてコーティング剤を
調製し、これを実施例1と同様の2軸延伸PETフィル
ムの片面に実施例1と同様のフィルムアプリケーターを
使用して塗布した後、130℃で30秒間乾燥し、フィ
ルム面に厚さ0.2μmの被膜を形成したコートフィル
ムを得た。
【0072】得られた結果を表1にまとめて示す。
【0073】
【表1】 実施例1〜7によって得られたコートフィルムの特性
は、表1に示したようにいずれも透明性に優れ、低湿度
雰囲気下でも表面固有抵抗が低くて高い帯電防止性を示
し、流水処理、温水処理によっても表面固有抵抗が大き
く変化せず、密着性、耐ブロッキング性にも優れてい
た。
【0074】これに対して、比較例1によって得られた
コートフィルムは、コーティング剤中に含有する酸化錫
超微粒子の量が少ないため、表1に示したように表面固
有抵抗の値が高いものであり、帯電防止性が不十分であ
った。
【0075】また、比較例2、3によって得られたコー
トフィルムは、表1に示したようにいずれも標準状態で
は表面固有抵抗がやや低い程度で帯電防止性を有するも
のであったが、流水処理、温水処理によって表面固有抵
抗の値が非常に高くなり、帯電防止性が低下するもので
あった。
【0076】以上の実施例から明らかなように、本発明
のコーティング剤から得られるコートフィルムは、透明
性が高く、低湿度雰囲気下でも高い帯電防止性を有し、
耐水性、基材との密着性および耐ブロッキング性に優れ
た透明帯電防止コートフィルムであることが分かる。
【0077】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の透明帯電防
止コーティング剤によれば、透明性が高く、低湿度雰囲
気下でも高い帯電防止性を有し、かつ耐水性、基材との
密着性、耐ブロッキング性に優れた透明帯電防止性の被
膜を得ることができる。さらに、貯蔵安定性に優れ、ま
た、環境問題の解消、作業環境の改善にも寄与すること
ができる。
【0078】したがって、本発明のコーティング剤はプ
ラスチックフィルムを始めとして各種基材に帯電防止性
を付与するためのコーティング剤として好適に利用する
ことができる。
【0079】また、本発明の透明帯電防止フィルムによ
れば、上記透明帯電防止コーティング剤の特性が反映さ
れて、透明性が高く、低湿度雰囲気下でも高い帯電防止
性を有し、かつ耐水性、基材との密着性、耐ブロッキン
グ性に優れた透明帯電防止フィルムが提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 7/12 C09D 7/12 Fターム(参考) 4F100 AA28A AA29A AK01B AK41A AK42B AT00 BA02 BA07 DE01A JB07 JB16B JG03 JL00 JL11 JN01 YY00A 4J038 DD001 DD041 HA216 KA12 MA08 MA10 NA01 PC08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体中に水分散性ポリエステル樹脂
    の微粒子と酸化錫系超微粒子とが分散され、上記水分散
    性ポリエステル樹脂の微粒子100質量部に対して上記
    酸化錫系超微粒子を30〜1000質量部含む混合水分
    散体からなり、上記水分散性ポリエステル樹脂を構成す
    る多塩基酸成分と多価アルコール成分のうち、多塩基酸
    成分の50モル%以上が芳香族多塩基酸からなり、多価
    アルコール成分の35モル%以上がネオペンチルグリコ
    ールからなることを特徴とする透明帯電防止コーティン
    グ剤。
  2. 【請求項2】 上記酸化錫系超微粒子が酸化錫、アンチ
    モンドープ酸化錫およびインジウムドープ酸化錫のうち
    の少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1記
    載の透明帯電防止コーティング剤。
  3. 【請求項3】 上記酸化錫系超微粒子の数平均粒子径が
    50nm以下であることを特徴とする請求項1又は2記
    載の透明帯電防止コーティング剤。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方
    の面に、請求項1〜3のいずれかに記載の透明帯電防止
    コーティング剤中に含有する水分散性ポリエステル樹脂
    の微粒子と酸化錫系超微粒子とからなる被膜を形成した
    ことを特徴とする透明帯電防止フィルム。
  5. 【請求項5】 上記被膜の表面固有抵抗が1010Ω/□
    以下であることを特徴とする請求項4記載の透明帯電防
    止フィルム。
  6. 【請求項6】 上記被膜を形成したフィルムの濁度が1
    0%以下であることを特徴とする請求項4または5記載
    の透明帯電防止フィルム。
  7. 【請求項7】 上記熱可塑性樹脂フィルムがポリエチレ
    ンテレフタレートからなることを特徴とする請求項4〜
    6のいずれかに記載の透明帯電防止フィルム。
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