JPH08142291A - 制電性フイルム - Google Patents

制電性フイルム

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JPH08142291A
JPH08142291A JP6287769A JP28776994A JPH08142291A JP H08142291 A JPH08142291 A JP H08142291A JP 6287769 A JP6287769 A JP 6287769A JP 28776994 A JP28776994 A JP 28776994A JP H08142291 A JPH08142291 A JP H08142291A
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JP
Japan
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film
antistatic
polyester
coating
acid
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JP6287769A
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English (en)
Inventor
Sadami Miura
定美 三浦
Satoshi Kitazawa
諭 北澤
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 制電性が優れ、かつ帯電防止剤の背面転写性
を改良した制電性フィルムを提供する。 【構成】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、
酸化錫と、分子内にスルホン酸塩基を有する単量体及び
/又は重合体とからなる帯電防止剤を含む水性塗液を塗
布し、乾燥してつくられた制電性塗膜が設けられている
制電性フイルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は制電性フイルムに関し、
更に詳しくは帯電防止性に優れ、帯電防止剤の背面転写
性を改良した、磁気カード(例えばテレホンカード、プ
リペイドカード)、磁気テープ(例えばオーディオテー
プ、ビデオテープ)、磁気ディスク(例えばフロッピー
ディスク)等の磁気記録材料や電子材料、グラフィック
材料、製版フィルム、OHPフィルム等に有用な制電性
フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートやポリエチ
レンナフタレート等のポリエステルからなるフイルムは
磁気カード、磁気テープ等の磁気記録材料用として、ま
た包装材料、写真材料、グラフィック材料等の一般工業
材料用として広く使用されている。しかしながら、かか
るポリエステルフイルムは表面固有抵抗が大きく、摩擦
等で帯電し易いという欠点を有している。フイルムが帯
電すると、フイルム表面にゴミやほこりが付着し、これ
らによるトラブルが生じる。また、加工工程で放電が起
こり、有機溶剤を用いている場合には引火の危険が生じ
る。
【0003】このような帯電によるトラブルを防ぐ方法
の一つとして、フイルム表面に制電性塗膜を形成する方
法が種々提案され、かつ実用化されている。この制電性
塗膜に含有させる帯電防止剤としては低分子型のものや
高分子型のものが知られているが、それぞれ長短を有す
る。そこで、帯電防止剤はその特性を用途に合わせて使
い分けられている。
【0004】例えば低分子型の帯電防止剤としては、ス
ルホン酸塩基を有する長鎖アルキル化合物(特開平4―
28728号)等のような界面活性剤型のアニオン系帯
電防止剤が知られており、また高分子型の帯電防止剤と
しては、主鎖にイオン化された窒素元素を有するポリマ
ー(特開平3−255139号、特開平4−28812
7号、特開平6−172562号)や、ポリスチレンス
ルホン酸塩(特開平5−320390号)等が知られて
いる。
【0005】しかし、このような低分子型の帯電防止剤
を用いた制電性塗膜では、帯電防止剤が塗膜中を移動し
て界面に集積しフイルムの反対面等に移行する(以下
『背面転写性』ということがある)という問題や、帯電
防止性(以下『制電性』ということがある)が経時的に
悪化するという問題がある。一方、高分子型の帯電防止
剤を用いた制電性塗膜では、制電性を良好なものとする
ため帯電防止剤を多量に配合することや、膜厚の厚い制
電性塗膜を形成させることが必要であるため経済的でな
く、塗膜が硬くなり削れ易くなったり、低湿度の条件で
は制電性が低下するという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来技術の問題点を解消し、制電性や背面転写性を改
良した制電性フィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するため、次の構成からなる。ポリエステルフィル
ムの少なくとも片面に、酸化錫(A−1)と、分子内に
スルホン酸塩基を有する単量体(A−2)及び/又は重
合体(A−3)とからなる帯電防止剤(A)を含む水性
塗液を塗布し、乾燥してつくられた制電性塗膜が設けら
れている制電性フイルム。
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】[ベースフイルム]本発明においてベース
フイルムはポリエステルフイルムであるが、該フイルム
を構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリコ
ール成分からなる線状ポリエステルである。
【0010】このジカルボン酸成分としては、例えばテ
レフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4´−ジフェ
ニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン
ジカルボン酸等を挙げることができ、特にテレフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸がポリエステルフ
イルムの機械的特性、熱的特性等に優れるため好まし
い。
【0011】また、グリコール成分としては、例えばエ
チレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサ
ンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコール等を挙げることができ、特にエチレ
ングリコールがポリエステルフイルムの機械的特性、熱
的特性等に優れるため好ましい。
【0012】かかるポリエステルとしては、ポリエチレ
ンテレフタレート或いはポリエチレン―2,6―ナフタ
レートを好ましく例示することができる。このポリエチ
レンテレフタレート或いはポリエチレン―2,6―ナフ
タレートは、上記ジカルボン酸成分或いはグリコール成
分等を共重合したポリエステルであってもよく、三官能
以上の多価カルボン酸成分或いはポリオール成分をポリ
エステルが実質的に線状となる範囲(例えば5モル%以
下)で少量共重合したポリエステルであってもよい。か
かるポリエステルは常法によりつくることができ、平均
分子量は10,000以上であることがフイルムの機械
的特性が良好となるため好ましい。
【0013】上記のポリエステルには、フイルムの滑り
性を良好なものとするため有機や無機の微粒子を滑剤と
して、例えば0.001〜5重量%の配合割合で含有さ
せることができる。かかる微粒子の具体例として、炭酸
カルシウム、酸化カルシウム、酸化アミルニウム、酸化
チタン、グラファイト、カオリン、シリカ、アルミナ、
酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸
化錫、アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、
メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等を好ましく挙
げることができる。
【0014】前記微粒子以外にも着色剤、公知の帯電防
止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、蛍光増白剤、可塑
剤、架橋剤、滑り剤、紫外線吸収剤、他の樹脂等を必要
に応じて添加することができる。
【0015】本発明におけるベースフイルムには、制電
性フイルムの用途によって透明ポリエステルフイルムや
白色ポリエステルフイルムを用いることができる。この
透明ポリエステルフイルムとは、延伸後の光線透過率が
60%以上のものであり、特に80%以上のものが好ま
しい。また、白色ポリエステルフイルムとは、ポリエス
テルに例えば酸化チタン、硫酸バリウム或いは酸化珪素
等を5〜30重量%配合したものであり、延伸後の光線
透過率が60%未満のもの、特に30%以下のものが好
ましい。白色ポリエステルフイルムをベースフイルムに
用いた白色の制電性フイルムは特に磁気カード用に好ま
しく用いられる。
【0016】本発明におけるポリエステルフイルムは、
従来から知られている方法で製造することができる。例
えば、前記ポリエステルを溶融し冷却ドラム上にキャス
トして未延伸フイルムとし、次いで該未延伸フイルムを
縦方向に延伸し、続いて横方向に延伸することで製造で
きる。さらに縦方向及び/又は横方向に再度延伸するこ
ともできる。延伸処理はポリエステルの二次転移点(T
g)より高い温度で、夫々の方向に2倍以上、さらには
3倍以上延伸することで行うのが好ましい。その際、面
積延伸倍率は8倍以上、さらには9倍以上とするのが望
ましい。面積延伸倍率の上限は、フイルムの用途にもよ
るが、35倍、さらには30倍とするのが好ましい。延
伸後に熱処理して配向結晶化を完結させることもでき
る。
【0017】[帯電防止剤(A)]本発明において、制
電性塗膜は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面
に、酸化錫(A−1)と、分子内にスルホン酸塩基を有
する単量体(A−2)及び/又は重合体(A−3)とか
らなる帯電防止剤(A)を含む水性塗液を塗布し、乾燥
してつくらる。
【0018】[酸化錫(A−1)]この酸化錫(A−
1)は、酸化錫単体であってもよいが、他の酸化物(例
えば酸化アンチモン、酸化チタン、酸化イットリウム、
酸化セリウム等)との混合物であってもよい。特に、ア
ンチモン等によりドーピングしたものが制電性が優れる
ため好ましい。かかる酸化錫(A−1)の平均粒径は2
〜100nm、特に3〜70nmであることが、制電性
向上効果が優れるため好ましい。
【0019】[分子内にスルホン酸塩基を有する単量体
及び/又は重合体]分子内にスルホン酸塩基を有する単
量体(以下『単量体(A−2)』ということがある)及
び/又は重合体(A−3)(以下『重合体(A−3)』
ということがある)とは、分子内にスルホン酸塩基を有
する化合物である。
【0020】この単量体(A−2)とはスルホン酸塩、
アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸
塩、アルキルジアリールエーテルポリスルホン酸塩等で
あり、具体的には例えば下記の化合物を挙げることがで
きる。
【0021】
【化1】
【0022】また、重合体(A−3)とはポリアルキレ
ンオキシドスルホン酸塩、アルキルポリアルキレンオキ
シドスルホン酸塩、アルキルアリールポリアルキレンオ
キシドスルホン酸塩、ビニルスルホン酸塩系重合体、メ
タリルスルホン酸塩系重合体、イソプレンスルホン酸塩
系重合体、スチレンスルホン酸塩系重合体、置換スチレ
ンスルホン酸塩系重合体等であり、具体的には例えば下
記の構造を有する重合体を挙げることができる。
【0023】
【化2】
【0024】重合体(A−3)の平均分子量は任意であ
るが、1,000〜500,000であることがが好ま
しい。この平均分子量が1,000未満であると帯電防
止剤(A)の背面転写性が不良となるため好ましくな
い。また、平均分子量が500,000を越えると水性
塗液の粘度が高くなりすぎポリエステルフイルムに均一
に塗布し難くなるため好ましくない。
【0025】帯電防止剤(A)において、酸化錫(A−
1)と単量体(A−2)及び/又は重合体(A−3)の
総重量に対する酸化錫(A−1)の割合は5〜95重量
%、特に20〜80重量%であることが好ましい。この
割合が5重量%未満であると低湿度の条件でのフイルム
の制電性が低下するため好ましくない。また、この割合
が95重量%以上であると制電性塗膜の靭性が低下し塗
膜が割れ易くなるため好ましくない。特に分子内にスル
ホン酸塩基を有する単量体及び/又は重合体として単量
体(A−2)を単独で用いる場合はこの割合が80重量
%以下であることが好ましい。
【0026】更に、単量体(A−2)と重合体(A−
3)の総重量に対する単量体(A−2)の割合は0〜6
0重量%であることが好ましい。この割合が60重量%
以上であると帯電防止剤の背面転写が生じ易くなるため
好ましくない。
【0027】[バインダー樹脂]本発明における制電性
塗膜には、塗膜とベースフイルムとの接着をより強固な
ものとするため、帯電防止剤(A)とバインダー樹脂
(B)とからなる組成物が含まれることが好ましい。こ
のバインダー樹脂としてはポリエステル樹脂(B−
1)、アクリル樹脂(B−2)、アクリル変性ポリエス
テル樹脂(B−3)を例示することができ、これらの樹
脂から選ばれる1種以上、更に2種以上の樹脂を用いる
ことが好ましく、特にポリエステル樹脂(B−1)とア
クリル樹脂(B−2)とを用いることが好ましい。
【0028】[ポリエステル樹脂(B−1)]ポリエス
テル樹脂(B−1)は、ジカルボン酸成分とグリコール
成分とを構成成分とする線状ポリエステルである。
【0029】このジカルボン酸成分としてはテレフタル
酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4´
−ジフエニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、
ドデカンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等を
好ましく例示することができる。
【0030】また、グリコール成分としてはエチレング
リコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ビスフェノールA−アル
キレンオキシド付加体、水添ビスフェノールA−アルキ
レンオキシド付加体、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール等を好ましく例示することができる。
【0031】このポリエステル樹脂(B−1)には親水
性を付与するためにスルホン酸塩基を有する成分を共重
合することが好ましい。ポリエステル樹脂(B−1)に
親水性を付与すると、水性塗液中での分散性が良好とな
るので好ましい。かかる成分としては、例えば5−Na
スルホイソフタル酸、5−Kスルホイソフタル酸等を挙
げることができる。
【0032】ポリエステル樹脂(B−1)は、三官能以
上の多価カルボン酸成分、ポリオール成分を実質的に線
状のポリマーとなる範囲で少量(例えば5モル%以下)
共重合したものであってもよい。かかる三官能以上の多
価カルボン酸、ポリオールとしては、トリメリット酸、
ピロメリット酸、ジメチロールプロピオン酸、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン等を例示することができ
る。
【0033】[アクリル樹脂(B−2)]アクリル樹脂
(B−2)は、例えばアクリル酸エチル、アクリル酸メ
チル、アクリル酸、アクリル酸ブチル、アクリル酸ソー
ダ、アクリル酸アンモニウム、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸グリシジル、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−
メトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリ
ルアミド等で示されるアクリル系単量体を主成分とする
重合体或いは共重合体であり、スチレン、α−メチルス
チレン、スチレンスルホン酸ソーダ、塩化ビニル、塩化
ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルエーテル、ビニルスル
ホン酸ソーダ、メタリル酸ソーダ等を共重合成分とした
共重合体であってもよい。
【0034】[アクリル変性ポリエステル樹脂(B−
3)]アクリル変性ポリエステル樹脂(B−3)は、前
記ポリエステル樹脂の存在下でアクリル酸エチル、アク
リル酸メチル、アクリル酸、アクリル酸ブチル、アクリ
ル酸ソーダ、アクリル酸アンモニウム、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル
酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、2−ヒドロキシエ
チルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メチロー
ルアクリルアミド等で示されるアクリル系単量体を重合
させてつくられた共重合体であり、スチレン、α−メチ
ルスチレン、スチレンスルホン酸ソーダ、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルエーテル、ビニル
スルホン酸ソーダ、メタリル酸ソーダ等の単量体を共重
合成分として含むものであってもよい。
【0035】[その他のバインダー樹脂]上記以外のバ
インダー樹脂としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹
脂、ビニル樹脂、ポリエーテル樹脂、水溶性樹脂等を挙
げることが出来る。
【0036】[制電性塗膜]本発明における制電性塗膜
は、前記の帯電防止剤(A)を含む塗膜であるが、更に
バインダー樹脂(B)を含む組成物からなる塗膜である
ことが好ましい。制電性塗膜に含まれる帯電防止剤
(A)の割合は、制電性を良好なものにするため5重量
%以上であることが好ましく、10重量%以上であるこ
とが更に好ましい。帯電防止剤(A)の割合が5重量%
未満であると制電性が不足する。
【0037】[水性塗液]本発明においては、前記帯電
防止剤(A)を含む水性塗液を用いて制電性塗膜を塗設
するが、この水性塗液には制電性塗膜表面の滑り性を良
好なものとし、フイルムの耐ブロッキング性を良好なも
のとするため滑剤を添加することができる。かかる滑剤
としては、例えばポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メ
ラミン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、尿素樹脂、
ベンゾグアナミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル
樹脂等の微粒子を挙げることができる。これらの樹脂の
微粒子は、制電性塗膜に微粒子状で含まれるものであれ
ば熱可塑性であっても熱硬化性のものであってもよい。
【0038】水性塗液には、更にその他の成分として界
面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤(A)以外の帯電防
止剤、着色剤、顔料、蛍光増白剤、可塑剤、架橋剤、滑
り剤(ワックス等の滑り性付与剤)、紫外線吸収剤等を
配合することができる。
【0039】水性塗液の固形分濃度は、1〜30重量%
が好ましく、特に2〜20重量%が好ましい。固形分濃
度がこの範囲にあると水性塗液の粘度が塗布に適したも
のになる。本発明に用いる水性塗液は、水溶液、水分散
液、乳化液等任意の形態で用いることができる。また、
水性塗液には少量の溶剤が含まれていてもよい。
【0040】[制電性塗膜の塗設]本発明においては、
ポリエステルフイルムの少なくとも片面に、前記水性塗
液を塗布し、加熱乾燥することにより制電性塗膜を塗設
するが、水性塗液の塗布方法としては、公知の任意の塗
工法が適用でき、例えばグラビアコート法、リバースロ
ールコート法、ダイコート法、キスコート法、リバース
キスコート法、オフセットグラビアコート法、マイヤー
バーコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート
法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法
等を単独または組み合わせて適用することができる。水
性塗液のWET塗布量は走行しているフイルム1m2
り1〜20g、特に2〜12gが好ましい。塗布量がこ
の範囲にあると乾燥が容易になり、かつ塗布斑が生じ難
いので好ましい。
【0041】本発明で水性塗液を塗布するポリエステル
フイルムとは、例えばポリエステルを熱溶融せしめ、そ
のままフイルム状とした未延伸フイルム;未延伸フイル
ムを縦方向(長手方向)または横方向(幅方向)の何れ
か一方に延伸せしめた一軸延伸フイルム;縦方向或いは
横方向の一軸延伸フイルムを横方向或いは縦方向に逐次
延伸せしめた二軸延伸フイルム、または未延伸フイルム
を縦方向および横方向の二方向に同時延伸せしめた二軸
延伸フイルム;二軸延伸フイルムを熱固定および/また
は熱弛緩せしめた二軸延伸熱処理フイルムを挙げること
ができる。
【0042】かかるポリエステルフイルムの厚さは、未
延伸フイルムでは10〜1000μm、一軸延伸フイル
ムでは2〜500μm、二軸延伸フイルムおよび二軸延
伸熱処理フイルムでは1〜300μmが好ましい。
【0043】水性塗液は前記ポリエステルフイルムのう
ち延伸可能なフイルム、例えば一軸延伸フイルム、特に
縦方向の一軸延伸フイルムに塗布し、乾燥、延伸するこ
とが、制電性塗膜の接着性が強固なものになり、かつ効
率良く制電性フイルムを製造できるため好ましい。例え
ば、ポリエステルを熱溶融し、シート状に押出し冷却し
て未延伸フイルムとし、この未延伸フイルムを縦方向に
延伸して一軸延伸フイルムとした後、水性塗液を塗布
し、乾燥しつつ横方向に延伸し、必要なら更に縦や横に
再延伸した後熱処理して制電性塗膜を塗設した制電性フ
ィルムがつくられる。
【0044】塗設した制電性塗膜の厚さは0.005〜
3μm、特に0.015〜1μmが好ましい。塗膜の厚
さが0.005μmよりも薄いと制電性が不足すること
があり、1μmを超えると塗膜が削れ易くなることがあ
るため好ましくない。
【0045】[乾燥及び延伸条件]本発明で水性塗液を
塗布した後、乾燥させる温度は70〜130℃とするこ
とが塗液を迅速に乾燥させることができるため好まし
い。この乾燥のための加熱はポリエステルフイルムを延
伸する過程の加熱を兼ねことができる。また、ポリエス
テルフイルムを延伸温度は80〜160℃、熱処理温度
は180〜250℃とすることができる。
【0046】[制電性フイルム]本発明の制電性フィル
ムの表面固有抵抗は、1×108 〜1×1013Ω/□で
あることが好ましく、特に1×109 〜1×1012Ω/
□であることが好ましい。
【0047】本発明の制電性フィルムは用途によって、
光透過率が60%以上の透明な制電性フイルムや、光線
透過率が60%未満の白色の制電性フイルムとすること
ができる。透明な制電性フイルムのベースフイルムには
延伸後の光透過率が60%以上のポリエステルフイルム
を用い、白色の制電性フイルムのベースフイルムには延
伸後の光透過率が60%未満、特に30%以下の白色ポ
リエステルフイルムを用いることが好ましい。
【0048】白色ポリエステルフイルムをベースフイル
ムに用いた白色の制電性フイルムは特に磁気カード用に
好ましく用いられる。尚、ここでいう磁気カードとは、
例えば制電性フイルムの片面に磁気記録層を設け、もう
一方の面にUVインキ等により絵柄層等を印刷したカー
ドのことであり、フイルムの厚みは例えば100〜30
0μm、特に150〜250μmのものが好ましく用い
られる。
【0049】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を更に詳細に説
明する。各特性値は下記の方法で測定した。
【0050】1.表面固有抵抗 サンプルフイルムを20℃×32%RHで19時間放置
した後、フイルム塗布面の表面固有抵抗を振動容量型電
位差測定器TR―84M型(タケダ理研社製)を用いて
測定した。尚、印加電圧は100Voltとした。
【0051】2.背面転写性 サンプルフイルムの水性液塗布面と非塗布面とを重ねて
6Kg/cm2 の荷重を加え、50℃×70%RHの条
件で8時間放置した後、非塗布面の水接触角(θ:背面
転写性の代用特性)を測定し、下記の基準により評価し
た。 A: θ≧55° ……背面転写性良好 B:55°>θ≧48° ……背面転写性やや良好 C:48°>θ ……背面転写性不良 水接触角は上記サンプルフイルムを、水性液非塗布面を
上にして接触角測定装置(エルマ社製)にセットし、温
度23℃の条件にて水滴を落下させてから1分後の接触
角を読み取ることにより測定した。尚、背面転写が全く
無いフイルムの水接触角は60〜75°であり、背面転
写性良好なフイルムの水接触角は55°以上であり、背
面転写が著しい(背面転写性不良)フイルムの水接触角
は48°未満である。
【0052】[実施例1]固有粘度0.65のポリエチ
レンテレフタレート(酸化チタンを11重量%含有)を
溶融して冷却ドラム上にキャストし、次いで108℃に
て縦方向に3.5倍延伸して一軸延伸フイルムとした。
この一軸延伸フイルムの片面に、アンチモン・ドーピン
グ酸化錫(a−1)22重量%、ビニルスルホン酸ソー
ダ(42モル%)、アクリル酸エチル(25モル%)及
びアクリル酸メチル(33モル%)を重合して得られた
共重合体(a−2:平均分子量59,700)16重量
%、ドデカンスルホン酸ソーダ(a−3)5重量%、ジ
カルボン酸成分がテレフタル酸(44モル%)、イソフ
タル酸(35モル%)、アジピン酸(14モル%)及び
5−Kスルホテレフタル酸(7モル%)、グリコール成
分がエチレングリコール(38モル%)及びビスフェノ
ールA・エチレンオキサイド付加体(62モル%)の共
重合体(平均分子量:17,700)であるポリエステ
ル樹脂(b−1)42重量%並びにポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテル(c−1)11重量%からなる
組成物の6重量%水性液をロールコーターで塗布した。
次いで塗布フイルムを98℃で乾燥後、105℃で横方
向に3.5倍延伸し、234℃で熱処理して制電性塗膜
を塗設した厚さ189μmのフイルムをつくった。フイ
ルムの制電性塗膜の厚さは0.32μm、光透過率は3
%であった。このフイルムの特性を表1に示す。
【0053】[比較例1]水性液を塗布しない以外は実
施例1と同様にして得たフイルムの特性を表1に示す。
【0054】[実施例2〜7および比較例2〜4]塗液
の組成、塗布厚さを表1に記載のように変更した以外は
実施例1と同様にして得たフイルムの特性を表1に示
す。
【0055】[実施例8]固有粘度0.62のポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートをベース
フィルムに使用し、縦方向の延伸温度を122℃、乾燥
温度を102℃、横方向の延伸温度を151℃、熱処理
温度を226℃とし、フイルム厚みを75μmとし、塗
液の組成、塗布厚さを表1に記載のように変更した以外
は実施例1と同様にして光線透過率が86%のフイルム
を得た。このフイルムの特性を表1に示す。
【0056】[実施例9]塗液の組成、塗布厚さを表1
に記載のように変更した以外は実施例8と同様にして得
たフイルムの特性を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】表1の制電性塗膜組成において帯電防止剤
[a−1]、[a−2]、[a−3]、[a−4]、バ
インダー樹脂[b−1]およびその他の成分[c−1]
はそれぞれ下記の共重合体、化合物あるいは混合物であ
る。
【0059】
【化3】[a−1]:アンチモン・ドーピング酸化錫 [a−2]:ビニルスルホン酸ソーダ(42モル%)、
アクリル酸エチル(25モル%)及びアクリル酸メチル
(33モル%)を重合して得られた共重合体(平均分子
量59,700) [a−3]:ドデカンスルホン酸ソーダ [a−4]:ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ [b−1]:ジカルボン酸成分がテレフタル酸(44モ
ル%)、イソフタル酸(35モル%)、アジピン酸(1
4モル%)及び5−Kスルホテレフタル酸(7モル
%)、グリコール成分がエチレングリコール(38モル
%)及びビスフェノールA・エチレンオキサイド付加体
(62モル%)の共重合体(平均分子量:17,70
0) [c−1]:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
【0060】
【発明の効果】本発明の制電性フイルムは、帯電防止剤
の成分として酸化錫を用いるので、帯電防止剤の背面転
写を低減でき、また酸化錫は電子伝導型の帯電防止剤で
あるため低湿度の条件でもフイルムの制電性が優れ、磁
気カ−ド等の磁気記録媒体、包装材料、写真材料、グラ
フィック材料、製版フィルム、OHPフィルム等に有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 7/24 E 7415−4F B32B 27/18 D 9349−4F C08J 7/04 CFD D G11B 5/78

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に、酸化錫(A−1)と、分子内にスルホン酸塩基を有
    する単量体(A−2)及び/又は重合体(A−3)とか
    らなる帯電防止剤(A)を含む水性塗液を塗布し、乾燥
    してつくられた制電性塗膜が設けられている制電性フイ
    ルム。
  2. 【請求項2】 帯電防止剤(A)を含む水性塗液を塗布
    し、乾燥、延伸してつくられた制電性塗膜が設けられて
    いる請求項1記載の制電性フイルム。
  3. 【請求項3】 水性塗液が、帯電防止剤(A)5〜10
    0重量%と、ポリエステル樹脂(B−1)、アクリル樹
    脂(B−2)およびアクリル変性ポリエステル樹脂(B
    −3)からなる群から選ばれた少なくとも1種のバイン
    ダー樹脂(B)0〜95重量%からなる組成物を含む水
    性塗液である請求項1または2記載の制電性フイルム。
  4. 【請求項4】 ポリエステルフイルムが白色ポリエステ
    ルフイルムであり、磁気カードに用いる請求項1または
    2記載の制電性フイルム。
  5. 【請求項5】 ポリエステルフイルムが透明ポリエステ
    ルフイルムである請求項1または2記載の制電性フイル
    ム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002265860A (ja) * 2001-03-07 2002-09-18 Unitika Ltd 透明帯電防止コーティング剤および透明帯電防止フィルム

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